JP2002123117A - 定着装置及びこの定着装置を備える画像形成装置 - Google Patents

定着装置及びこの定着装置を備える画像形成装置

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JP2002123117A JP2000317026A JP2000317026A JP2002123117A JP 2002123117 A JP2002123117 A JP 2002123117A JP 2000317026 A JP2000317026 A JP 2000317026A JP 2000317026 A JP2000317026 A JP 2000317026A JP 2002123117 A JP2002123117 A JP 2002123117A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 定着体の内部側からの熱が表面側へと伝達さ
れることによる該定着体の表面のオーバーシュートを防
止すると共に、定着体の内部の無駄な加熱を抑えて加熱
手段による熱エネルギーを有効利用して省エネ化を図る
ことができる定着装置及びこの定着装置を備える画像形
成装置を提供する。 【解決手段】 熱ローラ3は、定着ローラ1のニップ領
域に対して記録材の搬送方向上流側で定着ローラ1の外
周面に当接配設され定着ローラ1を加熱するようになっ
ており、定着ローラ1は、定着ローラ1の表面若しくは
その近傍に設けられ高熱伝導率の材料で形成され弾性を
有する高熱伝導率層と、該高熱伝導率層の下層若しくは
その近傍に設けられ低熱伝導率の材料で形成され弾性を
有する低熱伝導率層とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、互いに圧接回転す
る定着体及び加圧体によって形成されるニップ領域で、
未定着像を担持する記録材を挟持搬送しながら加熱及び
加圧することにより上記未定着像を上記記録材に定着さ
せる定着装置及びこの定着装置を備える画像形成装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式等を採用する複写機やプリ
ンター、FAX等の画像形成装置においては、近年重要
性を増してきた課題として、省エネ対応という問題が挙
げられる。
【0003】かかる画像形成装置に備えられる定着装置
は、トナー等からなる未定着像を融解して用紙等の記録
材に定着させるために電力を直接熱エネルギーとして消
費しており、画像形成装置全体で使用される電力消費の
大きな要因を占めている。
【0004】この電力を低減するための一つの方向性と
して、かかる定着装置にはオンデマンド化が図られてい
る。つまり、かかる定着装置は、定着体を薄肉ローラ或
は薄いベルト状若しくはフィルム状にすることで、熱容
量を小さくして立ち上がりを早くすると同時に、その間
の消費電力を抑えるようになっている。
【0005】定着装置のオンデマンド化を図ることで、
画像形成装置は、プリント信号を受け取ると待ち時間も
ほとんどなく、すぐにプリント開始がなされるため、非
プリント時には定着体をプリント温度近辺の高温で保温
しておく必要がなく、常温かせいぜい適度に低温に保て
ばよい。定着装置の保温時の放熱は、環境温度と定着体
の設定温度との温度差に比例して大きくなり、これらは
プリントしていない状態でも常時電力を消費する。した
がって、間欠的にプリントを繰り返すような状況下で
は、オンデマンド化が非常に大きな節電効果をもたら
す。
【0006】さて、一般的には定着体の内部からヒータ
等の加熱手段によって加熱を行う方法が主である。加熱
手段としてハロゲンランプ、定着体として定着ローラを
用いるローラ定着方式の場合では、ハロゲンランプのガ
ラス表面が200℃をはるかに越える高温に達するが、
実際の温調は定着ローラの表面温度を検知して180℃
前後で行っている。又、近年製品化されている構成とし
て、加熱手段としてセラミックヒータ、定着体として定
着フィルムを用いるベルト定着方式の場合では、セラミ
ックヒータの温度が190〜200℃程度の低温で前者
と同等の定着性を得ていることから、トップ温度をほぼ
定着温度まで下げることができる後者のシステムはより
放熱ロスが少なく、効率的であると言える。
【0007】同様に、定着体自体が自己発熱する方式、
例えば自己発熱体や磁気誘導加熱を用いる方式は、トッ
プ温度を下げることができ、高効率なシステムである。
又、定着体の表面近傍を直接加熱することが可能である
ことから熱応答性が向上し、通常のローラ定着方式と比
べてリップルの小さい安定した温調が可能であり、高温
オフセット領域と低温オフセット領域との間のラチチュ
ードを有効にとることができる。結果として光沢ムラの
ない定着性の高い安定した画像を得るものである。
【0008】但し、ローラ定着方式には、ベルト定着方
式と比べてニップ領域の圧を高めても、定着体と記録材
等とのスリップ等の問題がなく機械的に安定していると
いうそれなりの利点がある。又、ニップ領域に高い圧が
かけられるということがOHT透過性向上のための大き
な要因となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来のローラ定着方式を採用する定着装置にあっては、
プリント時には定着ローラの表面が最も低温、該定着ロ
ーラの芯金が最も高温となるような温度勾配となってい
る。効率化の観点から着目すると、定着のためには定着
ローラの表面近傍のみが常にある適当な温度になってい
ればよく、芯金の温度をそれより高温にするのに無駄な
エネルギーを要している。この余分な熱は、プリント後
のオーバーシュートをもたらすことになり、結局は有効
に利用されずに外部に放熱されてしまうこととなる。
【0010】そこで、本発明は、定着体の内部側からの
熱が表面側へと伝達されることによる該定着体の表面の
オーバーシュートを防止すると共に、定着体の内部の無
駄な加熱を抑えて加熱手段による熱エネルギーを有効利
用して省エネ化を図ることができる定着装置及びこの定
着装置を備える画像形成装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本出願によれば、上記目
的は、互いに圧接回転する定着体及び加圧体と、該定着
体を加熱する加熱手段とを備え、未定着像を担持する記
録材を上記定着体及び上記加圧体によって形成されるニ
ップ領域で挟持搬送しながら加熱及び加圧することによ
り上記未定着像を上記記録材に定着させる定着装置にお
いて、加熱手段は、定着体のニップ領域に対して記録材
の搬送方向上流側で該定着体の外周面に当接配設され該
定着体を加熱するようになっており、定着体は、該定着
体の表面若しくはその近傍に設けられ高熱伝導率の材料
で形成され弾性を有する高熱伝導率層と、該高熱伝導率
層の下層若しくはその近傍に設けられ低熱伝導率の材料
で形成され弾性を有する低熱伝導率層とを備えていると
いう第一の発明によって達成される。
【0012】又、本出願によれば、上記目的は、第一の
発明において、定着体は、中空円筒状の定着ローラ、若
しくは、無端帯状の定着ベルトであるという第二の発明
によっても達成される。
【0013】更に、本出願によれば、上記目的は、第一
の発明又は第二の発明において、定着体は、低熱伝導率
層が高熱伝導率層より低硬度の材料で形成されていると
いう第三の発明によっても達成される。
【0014】又、本出願によれば、上記目的は、第一の
発明乃至第三の発明のいずれかにおいて、定着体は、低
熱伝導率層が高熱伝導率層より半径方向に厚く形成され
ているという第四の発明によっても達成される。
【0015】更に、本出願によれば、上記目的は、第一
の発明乃至第四の発明のいずれかにおいて、定着体の低
熱伝導率層は、スポンジ材料で形成されているという第
五の発明によっても達成される。
【0016】又、本出願によれば、上記目的は、一連の
画像形成プロセスによって形成された画像を記録材に記
録する画像形成装置であって、第一の発明乃至第五の発
明のいずれかの定着装置を備えるという第六の発明によ
っても達成される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に関し
て、添付図面に基づき説明する。
【0018】(第一の実施形態)先ず、本発明の第一の
実施形態について説明する。
【0019】図1は、本実施形態の画像形成装置を好適
に示す一例たる電子写真レーザビームプリンタ101
(以下、プリンタ101と略称する。)の概略構成を示
す模式的断面図である。
【0020】プリンタ101は、プリンタ101の本体
の外部に設けられたホストコンピュータ等の画像情報提
供装置(図示せず)から提供された画像情報に応じた画
像をシート状の記録材Pに形成し記録するという一連の
画像形成プロセスを公知の電子写真方式に沿って行う形
態の画像形成装置である。
【0021】プリンタ101は、図1に示すように、潜
像担持体たるドラム状の回転自在な感光体102と、現
像装置103と、画像情報提供装置からの画像情報に応
じた露光処理工程により感光体102の外周面に上記画
像情報に応じた静電潜像を形成するためのレーザスキャ
ナユニット105(以下、スキャナ105と略称す
る。)と、記録材Pに転写処理工程を施すためのロール
状の回転自在な転写体106と、転写処理済みの記録材
Pに加熱及び加圧により定着処理を施すようになってい
る定着装置107とを備えている。
【0022】プリンタ101にあっては、先ず、プリン
タ101への一連の画像形成プロセスの開始指示のため
にプリンタ101の本体に設けられたスタートボタン等
(図示せず)が押されるなどにより、感光体102が所
定方向に規定周速度にて回転駆動を開始されると共に、
規定バイアスが印加されている帯電ローラ104と感光
体102とが互いに摺接し合うことにより感光体102
の外周面が規定電位分布に帯電せしめられる。
【0023】次に、画像情報提供装置からの画像情報に
応じて感光体102の外周面の帯電処理済みの部位がス
キャナ105により走査及び露光されることにより上記
画像情報に応じた静電潜像が上記部位に形成されたの
ち、現像装置103の現像剤により上記静電潜像が顕像
に可視像化され、所定枚数の記録材Pを収容可能である
と共にプリンタ101の本体にて取り外し自在に支持さ
れたカセット111から回転自在な給紙ローラ112等
により感光体102と転写体106との間に形成された
空間へと所定のタイミング等にて搬送されてきた記録材
Pに転写体106により上記顕像が転写される。
【0024】そして、転写処理済みの記録材Pは、定着
装置107により定着処理が施されたのちプリンタ10
1の本体にて回転自在に支持された排紙ローラ113に
より機外へと排紙され上記本体の一側面に取り付けられ
たトレイ114上に積層されることにより、一連の画像
形成プロセスが終了することとなる。
【0025】従来のローラ定着方式を採用する定着装置
にあっては、上述したように、定着ローラの芯金内部か
ら該定着ローラをハロゲンヒータ等の加熱手段によって
加熱する構成であったため、無駄なエネルギーを要して
いた。
【0026】そこで、本発明者等は、定着ローラの表面
側より最小限必要な加熱を行うことで、定着ローラの表
面は高温で芯金側はむしろ低温となるような熱勾配で定
着を行うことで熱効率を向上させ、省エネ化を図ること
ができると考えた。
【0027】つまり、立ち上がりの早い薄肉小径の金属
ローラに表面離型層を形成しハロゲンヒータを内蔵した
熱ローラをニップ領域より上流側の位置で定着ローラの
表面に当接して回転させながら、定着ローラ表面を加熱
するようにした。その結果として、一応の定着性を得る
ことは可能であった。
【0028】又、セラミックヒータのような発熱体を加
熱手段として定着ローラの表面に当接させても同様の結
果が得られた。しかし、この場合、セラミックヒータと
定着ローラの表面との間にトナーが蓄積されたものがす
り抜けて、画像に筋状の画像不良をもたらしたり、或は
冷えたときに両者が貼り付いてしまうといった問題がし
ばしばあった。
【0029】そこで、セラミックヒータをエンドレスの
薄い離型性表面のフィルムでくるみ、フィルムを定着ロ
ーラに押しつけて定着ローラと同速でセラミックヒータ
に摺動させることにより、トナーの溜まりを防止するこ
とができた。上述の熱ローラに比べ熱容量が小さいた
め、より急速な定着ローラの表面温度の立ち上がりが得
られた。
【0030】本発明者等は、定着体を加熱手段によって
表面側から加熱する上述の方式を表面加熱方式と名付
け、さらなる効率化と定着性向上の検討を行った。この
方式において定着性を向上させるためには、ヒータから
定着ローラ表面に送りこむ熱量と、定着ローラがニップ
領域で用紙に送り込む熱量とを定着に充分な必要量まで
増やすことが重要であることが判明した。これらの熱量
は、定着ローラの表面温度が同一温度で、ニップ領域の
圧力が同一圧力のときには定着ローラの表面近傍の熱伝
導率λに比例すると考えられる。
【0031】熱伝導率が低い定着ローラでは、加熱によ
り表面温度は急速に立ち上がるが、定着ローラの表面の
み温度が上がってもそれより内部側の部分の温度は立ち
上げ初期には冷えているため、画像を定着するために必
要な熱流を用紙に送り込むには熱量が足りず、高い定着
性を得るためには1分以上の待ち時間をとり、表面から
内部側の部分もある程度加熱する必要があった。
【0032】そこで、表面離型層と該表面離型層の下層
に設けられたシリコーンゴム層との2層からなるローラ
において、シリコーンゴム層の熱伝導率の異なるものを
各種作成した。尚、シリコーンゴム層の熱伝導率は、フ
ィラーであるシリカ添加量により調整した。その結果
は、シリコーンゴム層の熱伝導率が大きくなるにつれ、
ローラの硬度はアップしていくため、ニップは小さくな
った。又、シリコーンゴム層の熱伝導率が大きくなる
程、ローラ内部への熱の逃げが多くなるため、ローラ表
面の最高到達温度は低下した。この2つの要因により普
通紙定着性はかえって悪化してしまった。
【0033】そこで、本発明では、この矛盾を解決する
方法として、定着ローラが、表面離型層と、該表面離型
層の下層に設けられた高熱伝導率層と、更に該高熱伝導
率層の下層に設けられた低熱伝導率層とを有する層構成
をなしている。
【0034】つまり、定着ローラの表面から用紙を定着
させるのに充分な熱流を生み出すだけの熱容量をもつよ
うに、ある程度の厚みまでは熱伝導率を高くして表面で
の熱交換を向上させた方が良い。それより内部側ではむ
しろ低い熱伝導率で断熱効果を持たせた方が下への熱の
逃げがなくなり、表面到達温度を高くすることができて
定着効率が良くなる。又、低熱伝導率層は、熱伝導が低
くてもよいため柔らかくできて、用紙を定着するように
必要なニップ量をとることができる。この結果、普通紙
定着性を満足する実用レベルの画像を得ることができ
た。
【0035】図2は、本実施形態における定着装置10
7の概略構成を示す模式的断面図である。
【0036】かかる定着装置107にあっては、回転駆
動される定着体たる定着ローラ1に対して加圧体たる加
圧ローラ2が圧接され従動回転する。定着ローラ1は、
加圧ローラ2とのニップ領域より上流側で当接配設され
る加熱手段たる熱ローラ3によって表面が加熱されるよ
うになっている。又、定着ローラ1の表面の温度制御に
あっては、熱ローラ3に当接配設されたサーミスタ5の
温度検知信号に基づき、熱ローラ3のハロゲンヒータ4
の加熱制御を行うようになっている。
【0037】この表面加熱方式においては、熱ローラ3
による定着ローラ1の表面加熱によりニップ領域の上流
側で定着ローラ1の上層の高熱伝導率層に充分に熱をた
め込み、ニップ領域に入るまでの間に低熱伝導率層でそ
の熱が拡散することなく断熱されつつ移動し、ニップ領
域において用紙に対して蓄積された熱を放出する。この
プロセスは定着処理の間連続的に行われる。
【0038】定着ローラ1は、直径30φに形成され、
必要なニップ領域を確保しつつ熱容量を減らすように、
本実施形態では芯金が中空筒体となっている。
【0039】定着ローラ1の層構成を図3に示す。
【0040】定着ローラ1にあっては、表面離型層7が
厚さ10〜30μm程度のFEP若しくはPTFE、C
PTFE、PFA等のフッ素樹脂チューブ又はコート層
として形成されている。その下層に熱伝導率1.4×1
-3cal/cm/s/KHTVシリコーンゴム弾性層
である高熱伝導率層8が厚さ0.5tで形成されてい
る。この厚みは0.5t前後であれば、定着に必要な熱
を充分に蓄積しておくことが可能であった。0.2〜
0.8t程度の範囲においては定着性向上の効果が認め
られた。さらにその下層に熱伝導率0.8×10-3ca
l/cm/s/KのHTVシリコーンゴム弾性層である
低熱伝導率層9が厚さ1.5tで形成されている。芯金
10はアルミ6063で厚さ2.0tのものを使用して
いる。
【0041】本実施形態の加圧ローラ2は、直径30φ
に形成され、定着ローラ1と同様な表面離型層の下にH
TVシリコーンゴム2.0tを形成した2層構成であ
る。
【0042】熱ローラ3は、直径16φ、アルミ1.0
tの中空円筒状であり、内部にハロゲンヒータ4を内蔵
している。表面にはフッ素樹脂離型層チューブ50μm
厚を有している。定着ローラ1に対して加圧ローラ2が
圧接して両者間にニップ領域を形成した状態で駆動回転
され、静止時のニップ幅は中央部8.6mmであった。
【0043】立ち上がり時のオンデマンド化を図るため
には、数十s程度の時間に1000W程度の電力を送る
ことが必要である。いったんプリント温度に達した後
は、その保温のために80〜100W程度、用紙定着中
には400〜500W程度の電力を送ることが必要であ
る。
【0044】本実施形態では、室内常温状態よりプリン
ト温度190℃までの立上がりにほぼ90s要した。こ
れは、定着ローラ1の表面温度自体の立ち上がりはかな
り早いが、加圧ローラ2に熱源を持たない構成では加圧
ローラ2が冷えた状態では定着性が低めとなるため、前
多回転により加熱させるために1分程度以上の立ち上が
り時間を要するためである。定着ローラ1の表面温度の
リップルは±4℃程度であった。定着ローラ1の周速度
を30〜120mm/s、定着ローラ1及び加圧ローラ
2による加圧力を392N(40kgf)とした。
【0045】(第二の実施形態)次に、本発明の第二の
実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同様
の構成に関しては、同一符号を付し、その説明を省略す
る本実施形態の定着体たる定着ローラの構成としては、
第一の実施形態とほぼ同様の3層ローラであるが、定着
ローラの低熱伝導率層が弾性のシリコーンスポンジで形
成されていることにより、断熱効果を高めると同時に、
柔らかい材料であるためニップ領域を大きく確保するこ
とができ、定着性向上と省エネ化をもたらすものであ
る。
【0046】(第三の実施形態)次に、本発明の第三の
実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同様
の構成に関しては、同一符号を付し、その説明を省略す
る本実施形態では、図4に示すように、加圧ローラ2側
にも定着ローラ1同様に、加熱手段として、ハロゲンヒ
ータ4´を内蔵したサーミスタ5´により温度制御され
る熱ローラ3´が配設され、加圧ローラ2表面の加熱を
行い、定着性を高めたものである。
【0047】本実施形態によれば、立ち上げ初期に熱ロ
ーラ3による定着ローラ1のみの表面加熱では熱流の足
りない分を、熱ローラ3´による加圧ローラ2の加熱に
よって、用紙の裏面から背面加熱することで補って定着
性を向上するとともに、通常時でも表面温度を下げるこ
とで高温オフセットを防止する等の効果がある。
【0048】本実施形態でも、加圧ローラ2は定着ロー
ラ1と同様に、表面離型層の下層に高熱伝導率の材質か
らなる層を設け、更にその下層に低熱伝導率の材質から
なる層を設けた3層構成となっている。よって、本実施
形態では、プリント中にも用紙の両面から一定温度で熱
流を送ることができ、より安定化した定着が可能であ
る。
【0049】(第四の実施形態)次に、本発明の第四の
実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同様
の構成に関しては、同一符号を付し、その説明を省略す
る上述の第一の実施形態乃至第三の実施形態はオイルレ
ス定着系への応用であったが、本発明は、同様にオイル
定着系への応用も可能である。
【0050】本実施形態では、定着体たる定着ローラの
層構成は、図5に示すように、表面離型層が高熱伝導の
RTV若しくはLTVシリコーンゴムで形成され、既存
のオイル塗布ローラ等のオイル塗布機構より表面にオイ
ルを塗布することで離型性をもたせるようにする。この
オイル塗布ローラは熱ローラ3にその作用をもたせるよ
うにしても構成が簡略化できて良い。又、定着ローラの
低熱伝導率層は低熱伝導のLTV若しくはHTVシリコ
ーンゴムで形成されている。
【0051】従来のローラ定着とした場合、通常、芯金
と低熱伝導率層との界面温度が高くなるため、オイルが
低熱伝導率層まで滲み込んだ場合に両者の接着性が低下
して低熱伝導率層の剥離をもたらすことがある。このた
め、従来では、最下層までオイルが滲み込まないように
表層とその低熱伝導率層との間に別にフッ素ゴム等の中
間バリヤー層を設けたりしている。
【0052】しかし、本実施形態においては、表面加熱
方式により上記界面温度が定着ローラの表面温度より低
く保たれるために中間層は不要であり、上述の低熱伝導
率層の剥がれは防止されローラ構成はより簡単化され
る。又、低熱伝導率層の内部温度が低いことからオイル
ミストの発生もその分低減され、定着ローラのオイル膨
潤によるローラ径の変動も防止される。
【0053】(第五の実施形態)次に、本発明の第五の
実施形態について説明する。尚、第一の実施形態と同様
の構成に関しては、同一符号を付し、その説明を省略す
る本実施形態の定着装置は、図6に示すように、第一の
実施形態における熱ローラ3の代わりに加熱手段として
セラミックヒータ11をエンドレスフィルム13を介し
て定着ローラ1に圧せさせて定着ローラ1の表面加熱を
行うものである。
【0054】セラミックヒータ11は、0.6〜0.8
t程度のアルミナや窒化アルミ等の表面に導電発熱層の
帯を設け、その上にシリカやガラスの絶縁保護層を設け
た構造である。セラミックヒータ11の裏面にはサーミ
スタ12が押圧されており、この温度検知信号に基づ
き、セラミックヒータ11の温調が行われる。セラミッ
クヒータ11はエンドレスフィルム13を介して定着ロ
ーラ1の表面に当接されて表面加熱を行う。
【0055】エンドレスフィルム13は、25〜50μ
m程度の薄いポリイミド等の耐熱樹脂フィルムの表面に
フッ素樹脂等の離型層をコーティングしたものであり、
定着ローラ1の回転に伴い摩擦力でフィルムガイド14
の周囲を従動し、セラミックヒータ11に対しては接触
しつつ摺動する。
【0056】本実施形態によれば、エンドレスフィルム
13及びセラミックヒータ11により、付加的な熱容量
を最小限に抑えて立ち上がりをより早く、しかも熱効率
を高めるものである。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本出願にかかる第
一の発明によれば、加熱手段が、熱伝導率の適正化が図
られた定着体のニップ領域に対して記録材の搬送方向上
流側で該定着体を外周面から加熱するようになっている
ので、定着体の内部側からの熱が表面側へと伝達される
ことによる該定着体の表面のオーバーシュートを防止す
ると共に、定着体の内部の無駄な加熱を抑えて加熱手段
による熱エネルギーを有効利用して省エネ化を図ること
ができる。
【0058】又、本出願にかかる第二の発明によれば、
加熱手段が、熱伝導率の適正化が図られた定着ローラ又
は定着ベルトのニップ領域に対して記録材の搬送方向上
流側で該定着ローラ又は該定着ベルトを外周面から加熱
するようになっているので、定着体の内部側からの熱が
表面側へと伝達されることによる該定着体の表面のオー
バーシュートを防止すると共に、定着体の内部の無駄な
加熱を抑えて加熱手段による熱エネルギーを有効利用し
て省エネ化を図ることができる。
【0059】更に、本出願にかかる第三の発明によれ
ば、加熱手段が、硬度及び熱伝導率の適正化が図られた
定着体のニップ領域に対して記録材の搬送方向上流側で
該定着体を外周面から加熱するようになっているので、
定着体の内部側からの熱が表面側へと伝達されることに
よる該定着体の表面のオーバーシュートを防止すると共
に、定着体の内部の無駄な加熱を抑えて加熱手段による
熱エネルギーを有効利用して省エネ化を図ることがで
き、更に、ニップ領域を大きく確保でき定着性の向上を
図ることができる。
【0060】又、本出願にかかる第四の発明によれば、
加熱手段が、高熱伝導率層より厚く形成された低熱伝導
率層を備え熱伝導率の適正化が図られた定着体のニップ
領域に対して記録材の搬送方向上流側で該定着体を外周
面から加熱するようになっているので、定着体の内部側
からの熱が表面側へと伝達されることによる該定着体の
表面のオーバーシュートを防止すると共に、定着体の断
熱効果が高められ定着体の内部の無駄な加熱を抑えて加
熱手段による熱エネルギーをより有効利用して省エネ化
を図ることができる。
【0061】更に、本出願にかかる第五の発明によれ
ば、加熱手段が、スポンジ材料で形成された低熱伝導率
層を備え熱伝導率の適正化が図られた定着体のニップ領
域に対して記録材の搬送方向上流側で該定着体を外周面
から加熱するようになっているので、定着体の内部側か
らの熱が表面側へと伝達されることによる該定着体の表
面のオーバーシュートを防止すると共に、定着体の断熱
効果が高められ定着体の内部の無駄な加熱を抑えて加熱
手段による熱エネルギーをより有効利用して省エネ化を
図ることができ、更に、ニップ領域を大きく確保でき定
着性の向上を図ることができる。
【0062】又、本出願にかかる第六の発明によれば、
加熱手段が、熱伝導率の適正化が図られた定着体のニッ
プ領域に対して記録材の搬送方向上流側で該定着体を外
周面から加熱するようになっているので、定着体の内部
側からの熱が表面側へと伝達されることによる該定着体
の表面のオーバーシュートを防止すると共に、定着体の
内部の無駄な加熱を抑えて加熱手段による熱エネルギー
を有効利用して省エネ化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる画像形成装置
の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1の画像形成装置に備えられた定着装置の概
略構成を示す模式的断面図である。
【図3】図2の定着装置に備えられた定着体の層構成を
示す部分断面図である。
【図4】本発明の第三の実施形態における定着装置の概
略構成を示す模式的断面図である。
【図5】第四の実施形態における定着装置に備えられた
定着体の層構成を示す部分断面図である。
【図6】本発明の第五の実施形態における定着装置の概
略構成を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 定着ローラ(定着体) 2 加圧ローラ(加圧体) 3 熱ローラ(加熱手段) 3´ 熱ローラ(加熱手段) 8 高熱伝導率層 9 低熱伝導率層 11 セラミックヒータ(加熱手段) 101 電子写真レーザビームプリンタ(画像形成装
置) 107 定着装置 P 記録材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴谷 貴明 東京都大田区下丸子三丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 木村 章治 東京都大田区下丸子三丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 (72)発明者 小林 達也 東京都大田区下丸子三丁目30番2号キヤノ ン株式会社内 Fターム(参考) 2H033 AA24 AA32 BA11 BB04 BB15 BB23

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに圧接回転する定着体及び加圧体
    と、該定着体を加熱する加熱手段とを備え、未定着像を
    担持する記録材を上記定着体及び上記加圧体によって形
    成されるニップ領域で挟持搬送しながら加熱及び加圧す
    ることにより上記未定着像を上記記録材に定着させる定
    着装置において、加熱手段は、定着体のニップ領域に対
    して記録材の搬送方向上流側で該定着体の外周面に当接
    配設され該定着体を加熱するようになっており、定着体
    は、該定着体の表面若しくはその近傍に設けられ高熱伝
    導率の材料で形成され弾性を有する高熱伝導率層と、該
    高熱伝導率層の下層若しくはその近傍に設けられ低熱伝
    導率の材料で形成され弾性を有する低熱伝導率層とを備
    えていることを特徴とする定着装置。
  2. 【請求項2】 定着体は、中空円筒状の定着ローラ、若
    しくは、無端帯状の定着ベルトであることとする請求項
    1に記載の定着装置。
  3. 【請求項3】 定着体は、低熱伝導率層が高熱伝導率層
    より低硬度の材料で形成されていることとする請求項1
    又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 【請求項4】 定着体は、低熱伝導率層が高熱伝導率層
    より半径方向に厚く形成されていることとする請求項1
    乃至請求項3のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 【請求項5】 定着体の低熱伝導率層は、スポンジ材料
    で形成されていることとする請求項1乃至請求項4のい
    ずれか一項に記載の定着装置。
  6. 【請求項6】 一連の画像形成プロセスによって形成さ
    れた画像を記録材に記録する画像形成装置であって、請
    求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の定着装置を
    備えることを特徴とする画像形成装置。
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