JP2002122572A - 材料特性評価方法及び装置 - Google Patents

材料特性評価方法及び装置

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JP2002122572A
JP2002122572A JP2000316301A JP2000316301A JP2002122572A JP 2002122572 A JP2002122572 A JP 2002122572A JP 2000316301 A JP2000316301 A JP 2000316301A JP 2000316301 A JP2000316301 A JP 2000316301A JP 2002122572 A JP2002122572 A JP 2002122572A
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Koji Yamada
興治 山田
Masatoshi Kuroda
雅利 黒田
Shinsuke Yamanaka
伸介 山中
Hitohiro Isobe
仁博 礒部
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Nuclear Fuel Industries Ltd
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Nuclear Fuel Industries Ltd
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  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被検査物の材料特性をコンパクトな装置構成
で正確かつ短時間に評価する。 【解決手段】 材料特性評価方法において、ホールセン
サによって、被検材の所定の複数位置における漏れ磁束
値を測定する測定工程と、前記複数位置での漏れ磁束値
から被検材の漏れ磁束分布を求める磁束分布算出工程
と、該漏れ磁束分布の測定平面に平行な方向に対する微
分値を算出し、微分値の平面分布を求める微分値算出工
程と、前記微分値の平面分布に基づいて、被検材の材料
特性を評価する評価工程とを含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料の残留応力レ
ベル、疲労損傷度、照射損傷度、熱脆化度等の特性を非
破壊検査手法により評価する方法及び装置に関するもの
であり、特にホールセンサを利用した評価方法及び装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】各種材料特性を評価するために非破壊検
査手法の開発が進んでいる。非破壊検査手法を利用した
場合、評価の空間分解能は評価可能な最小領域、具体的
には主として、使用するセンサの寸法に大きく依存して
いる。このため空間分解能を向上するためにはより小さ
な寸法のセンサが必要となってくる。一方、小さなセン
サを使用してある領域全体を評価する必要がある場合、
より多くの時間をかけて被検査物をスキャニングして評
価しなければならないため、容易にスキャニング測定を
行えるセンサが必要となってくる。
【0003】材料特性、特に材料の加工時の残留応力レ
ベルを非破壊測定することが可能な工業的に確立された
技術として、従来からX線残留応力測定法が一般的に知
られている。X線残留応力測定法は、材料の応力は結晶
粒子の微少な変形に基づくことから、被検材にX線を透
過して結晶の格子点の変位を測定することにより残留応
力を算出する手法である。X線残留応力測定法は測定結
果に信頼性が高い点で優れており、X線残留応力測定法
を利用した搬送可能な測定装置も一般に知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、X線を
放射させるために装置の寸法が過大となり、また重量も
大きい。このため、測定場所が狭い等空間的に制限のあ
る場所では測定装置を設置できないという問題がある。
また、重量も大きいのでたとえ広い場所でも搬送して設
置することに過大な労力を要する。更には、このような
X線残留応力測定装置は水中では使用できない。
【0005】また、X線ビームを1mm程度に絞って残
留応力を測定することは可能ではあるが、被検査物のあ
る領域全体を評価する場合にはより多くの時間をかけて
被検査物をスキャニングして評価する必要性が生じ、X
線残留応力測定装置を高精度でスキャニングすること
は、その寸法、重量等から困難であるという問題があ
る。
【0006】更に、X線残留応力測定方法は、放射線を
使用した測定方法であるため、放射線バックグラウンド
が高い場所では測定が困難になるという問題がある。
【0007】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであり、被検査物の材料特性をコンパクトな装置
構成で正確に評価することができる材料特性評価方法及
び装置を提供することを主な目的とする。本発明の別の
目的は、被検査物の材料特性を短時間で高精度に評価す
ることができる材料特性評価方法及び装置を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、ホールセンサによって、被
検材の所定の複数位置における漏れ磁束値を測定する測
定工程と、前記複数位置での漏れ磁束値から被検材の漏
れ磁束分布を求める磁束分布算出工程と、該漏れ磁束分
布の測定平面に平行な方向に対する微分値を算出し、微
分値の平面分布を求める微分値算出工程と、前記微分値
の平面分布に基づいて、被検材の材料特性を評価する評
価工程と、を含むことを特徴とする材料特性評価方法に
かかるものである。
【0009】この請求項1の発明では、材料特性を評価
するためのセンサとしてホールセンサを使用している。
ホールセンサは、コンパクトなホール素子を利用したも
のであり、ホール効果を用いた電子デバイスである。こ
こでホール効果とは、金属や半導体の電流方向と垂直方
向に磁界をかけると両者に直交する方向に起電力が生じ
る効果であり、ホールセンサはこのようなホール効果を
利用して磁気特性を検査するものである。即ち、ホール
素子を通電した状態でホール素子直下に被検査物として
の試料を接近させて、このとき探査された磁束によって
生じたホール電圧を測定する。ホール電圧は電流と磁束
密度の積に比例するという直線性を有するため、測定さ
れたホール電圧と電流値とから磁束密度を測定すること
が可能となる。通常、ホール素子は120μm角程度の
もの、更に小さな素子も研究開発されている。
【0010】また、本発明は、被検材の漏れ磁束の測定
表面に平行な方向に対する微分値が、被検材の残留応力
の微分値に対応していることを発明者が見いだした結果
を、材料特性評価に適用したものである。
【0011】図3、図4は、A533B鋼で製作した引
張試験片に対して塑性ひずみを付与した場合の残留応力
値の微分値|dσ/dx|の分布を示している。図3
は7.35%の塑性ひずみの場合であり、図4は0.3
8%の塑性ひずみの場合である。図3及び図4におい
て、横軸は被検材(A533B鋼)の測定領域中心から
のx方向の位置を示し、縦軸は残留応力の微分値|dσ
/dx|を示している。ここで、σは、X線残留応
力測定装置で測定した引張試験片の長手方向(x方向)
の残留応力値を示し、dσ/dxは、測定した残留応
力値のx方向の微分値を示している。
【0012】一方、図5及び図6は、図3及び図4で測
定した引張試験片の漏れ磁束値の微分値|dB/dx
|の分布を示している。図5は7.35%の塑性ひずみ
の場合であり図3に対応したものである。図6は0.3
8%の塑性ひずみの場合であり図4に対応したものであ
る。図5及び図6において、横軸は被検材(A533B
鋼)の測定領域中心からのx方向の位置を示し、縦軸は
漏れ磁束微分値|dB /dx|を示している。ここ
で、Bはホールセンサで測定した引張試験片表面の垂
直方向(z方向)の漏れ磁束値を示し、dB/dx
は、測定した漏れ磁束値のx方向の微分値を示してい
る。
【0013】図3と図5、及び図4と図6を夫々対比し
てみると、残留応力の微分値|dσ /dx|と漏れ磁
束値の微分値|dB/dx|の分布状況がきわめて近
似しており、両者の間に良好な相関関係が成立している
ことがわかる。即ち、引張試験片長手方向の残留応力値
の長手方向(x方向)の微分値|dσ/dx|が、引
張試験片表面の垂直方向(z方向)の漏れ磁束値|dB
/dx|に明確に対応していることを発明者により見
いだされた。一般に転位密度が上昇すると、材料が磁化
されにくいため透磁率は減少することから、A533B
鋼で生じた漏れ磁束分布は、引張負荷により試験片内部
の転位構造等の格子欠陥に変化が生じ、その結果磁気特
性(透磁率)が変化したことによりもたらされたと考え
られる。
【0014】本発明ではこのような測定工程でホールセ
ンサにより複数位置での漏れ磁束値を測定し、磁束分布
算出工程で測定した漏れ磁束値から被検材の漏れ磁束分
布を求め、微分値算出工程で漏れ磁束分布の測定平面に
平行な方向に対する微分値を算出し、微分値の平面分布
を求め、残留応力の微分値の分布と漏れ磁束値の微分値
の分布の相関関係を利用して、評価工程で材料特性を評
価しているので、ホールセンサを用いてコンパクトな装
置構成で、かつ高精度に評価することができる。
【0015】本発明における評価の内容としては、例え
ば、材料表面の応力場が一様であるか、局所的な不連続
領域があるか等の評価があげられる。ここで、本発明で
は、微分値算出工程によって微分値の平面分布を求め、
微分値の分布状況を可視化しているので、かかる評価を
瞬時で判断することができ、短時間で高精度な材料特性
評価を行うことができる。
【0016】本発明における評価工程では、漏れ磁束値
の微分値の平面分布を生成するものであれば良く、例え
ば前述の図5又は図6に示すようなグラフで表示又は出
力したり、あるいは表形式で表示又は出力することも可
能である。更には、漏れ磁束値の微分値の分布状況を色
分けして表示又は出力するように構成することもでき
る。この場合には、色分け表示により漏れ磁束値の微分
値の分布状況をより短時間に判断できるという利点があ
る。
【0017】本発明における材料特性の評価には、磁気
特性が変化する特性の評価、即ち材料の残留応力レベル
の評価の他にも、疲労損傷度、照射損傷度、熱脆化度等
の評価が含まれる。
【0018】本発明における測定工程において、ホール
センサで測定する被検材の複数の位置は任意に定めるこ
とができるが、短距離間隔の位置で漏れ磁束を測定すれ
ば、より高精度な評価結果を得ることができる。
【0019】請求項2に係る発明は、被検材の漏れ磁束
を測定するホールセンサと、前記ホールセンサを被検材
表面に沿って移動する移動手段と、前記ホールセンサに
より、被検材の複数位置での漏れ磁束値から被検材の漏
れ磁束分布を求める磁束分布算出手段と、該漏れ磁束分
布の測定平面に平行な方向に対する微分値を算出し、微
分値の平面分布を求める微分値算出手段と、前記漏れ磁
束値の微分値の平面分布を出力する出力手段と、を備え
たことを特徴とする材料特性評価装置にかかるものであ
る。本発明は請求項1にかかる方法を実施するための装
置であり、請求項1の発明と同様の作用効果を奏する。
【0020】本発明における出力手段は、漏れ磁束値の
微分値の平面分布を出力するものであれば良く、例えば
ディスプレイ装置、プリンタ装置等を使用すれば良い。
また、漏れ磁束微分値の平面分布に基づいて、被検材の
材料特性を評価する評価手段を更に設け、材料特性を自
動的に判断、評価するように構成してもよい。この場合
には、完全な自動化を図れるので、検査者の便宜とな
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照して、この
発明に係る材料特性評価方法及び装置の好適な実施の形
態を詳細に説明する。本実施形態では、被検材としての
試料21の残留応力特性を評価するための残留応力測定
装置及び残留応力評価方法に本発明を適用している。図
1(a)は、本実施形態の残留応力測定装置の全体構成
図である。図1(a)に示すように、本実施形態の残留
応力測定装置は、被検材の磁束値を計測するホールセン
サ1と、ホールセンサ1を取り付けたアーム5と、被検
物表面と平行にホールセンサ1をx軸方向及びy軸方向
に移動するXYポジションコントローラ3と、XYポジ
ションコントローラ3に接続されたコンピュータ9とを
主に備えている。
【0022】図1(b)は、このコンピュータ9の機能
的構成を示すブロック図である。図1(b)に示すよう
に、XYポジションコントローラ3に接続されたコンピ
ュータ9は、ホールセンサ1により測定された漏れ磁束
値を入力する入力制御部11と、入力された漏れ磁束値
から被検材の漏れ磁束分布を求める磁束分布算出部13
と、算出された漏れ磁束分布の測定平面に平行なx方向
に対する微分値を算出し、微分値の平面分布を求める微
分値算出部15と、漏れ磁束の微分値の平面分布を表示
する表示部17と、当該平面分布を出力する出力部19
とを主に備えている。ここで、XYポジションコントロ
ーラ3及びアーム5は、本発明の移動手段を構成し、表
示部17及び出力部19は本発明の出力手段を構成す
る。
【0023】被検材の試料21(引張試験片)に、予め
所定の塑性歪みを付与しておく。本実施形態では、試料
21として図7に示す形状のA533B鋼(化学成分
(wt%) C:0.18,Si:0.14, Mn:1.53, P:0.004, S:0.0
02, Cu:0.03, Ni:0.66, Mo:0.56, Al:0.01, Fe:bal. )
を使用し、このA533B鋼に対して7.35%の塑性
歪みを予め付与しておいた。尚、試料21の材質はA5
33B鋼に限定されるものではない。また試料21に付
与する歪みも、7.35%に限定されるものではない。
ここで、この7.35%の塑性歪みを付与したA533
B鋼について、1mmφのコリメータを使用して図7の
斜線部分の測定領域23に対し、x方向(長手方向)の
X線残留応力値σを測定し、残留応力値のx方向の微
分値|dσ /dx|の分布を求めておいた。図3はこ
の残留応力値の微分値|dσ/dx|の分布図であ
る。尚、図4はA533B鋼に0.38%の塑性歪みを
付与した場合の残留応力値の微分値|dσ/dx|の
分布図である。尚、試料21(A533B鋼)は電流源
(図示せず)に接続されており、予め所定のx方向に通
電されている。
【0024】ホールセンサ1は、先端部に一般に市販さ
れている120μm角程度のホール素子を装着してい
る。ホール素子の電流端子にはホール素子用電流源(図
示せず)が接続されて通電状態となっている。ホール素
子における電流方向はy方向であり、従って、ホール効
果によってx方向及びy方向と直交するz方向の起電力
が生じるようになっている。ホール素子のホール端子に
は電圧計(図示せず)が接続されており、試料21から
の磁束によって生じたホール電圧が測定されるようにな
っている。測定された電圧値は、z方向の磁束値B
して、測定地点の位置座標と共にコンピュータ9の入力
制御部11に入力されるようになっている。
【0025】XYポジションコントローラ3は、アーム
5に固定されたホールセンサ1を測定領域23内でx方
向に移動させ、これによりホールセンサ1は試料21表
面を平行に走査(スキャニング)し、所定間隔ごとに漏
れ磁束を測定するようになっている。
【0026】磁束分布算出部13はコンピュータ9上で
動作するプログラムから構成され、入力制御部11によ
り入力した試料表面の漏れ磁束値と測定地点の位置座標
から、試料21の漏れ磁束分布を求めるものである。
【0027】微分値算出部15はコンピュータ9上で動
作するプログラムから構成され、磁束算出部で求めた試
料21の漏れ磁束分布から、各測定地点におけるx方向
の微分値|dB/dx|を算出し、例えば図5又は図
6に示すような磁束値の微分値分布を作成するものであ
る。
【0028】表示部17は例えばディスプレイ装置等で
あり、出力部19はプリンタ装置等であり、いずれも微
分値算出部15で作成されたx方向の微分値|dB
dx|を出力するものである。
【0029】次に、以上のように構成された本実施形態
の残留応力測定装置を使用した残留応力評価方法につい
て説明する。図2は、本実施形態の残留応力評価方法の
フローチャートである。
【0030】まず、事前に試料21(A533B鋼)を
XYポジションコントローラ3のテーブル7上に設置し
て試料21を通電し、ホールセンサ1のホール素子も通
電しておく(ステップ201)。そして、XYポジショ
ンコントローラ3を駆動して、ホールセンサ1により試
料表面の測定領域23をx方向に走査しながら、250
μm間隔で試料21からのz方向の磁束値Bを測定す
る(ステップ202)。測定された磁束値Bは測定地
点の位置座標と共に、逐次コンピュータ9の入力制御部
11へ転送される。ここで、本実施形態では、測定間隔
を250μmとしているが、これに限定されるものはな
く、ホール素子のサイズ、測定領域等の諸条件によって
任意に定めることができる。
【0031】コンピュータ9では、磁束分布算出部13
によって、入力した試料表面の漏れ磁束値Bと測定地
点の位置座標とを対応させて試料21の漏れ磁束分布を
生成する(ステップ203)。そして、微分値算出部1
5によって、磁束算出部で生成された試料21の漏れ磁
束分布から、各測定地点における磁束値のx方向の微分
値|dB/dx|を計算し(ステップ204)、図5
に示すような微分値|dB/dx|の分布を生成する
(ステップ205)。尚、試料21に0.38%の塑性
歪みを付与した場合には、図6に示す分布図が生成され
る。
【0032】微分値算出部15により生成された磁束値
のx方向の微分値|dB/dx|を、検査者の指令に
よって、表示部17に表示及び/又は出力部19に表示
する(ステップ206)。これにより、磁束値の微分値
|dB/dx|の分布は可視化され検査者に見える形
式で表示、出力される。
【0033】図5と図3(あるいは図6と図4)を対比
すると、試料表面の漏れ磁束値|dB/dx|の微分
値の分布(図5又は図6)は、同一の塑性歪みを試料2
1に付与した場合における残留応力値の微分値|dσ
/dx|の分布(図3又は図4)に近似しており、互い
に相関関係にあることがわかる。従って、表示又は出力
された磁束値の微分値|dB/dx|の平面分布図に
基づいて、試料21の残留応力特性を評価する(ステッ
プ207)。例えば、漏れ磁束の微分値の平面分布図か
ら、漏れ磁束微分値が一様である分布状況の場合には残
留応力が一様であると判断する。一方、漏れ磁束微分値
が局所的に不連続である分布状況の場合には不連続部分
で残留応力値が急変していると判断する。
【0034】ここで、図8は、試料21としてのA53
3B鋼に1.4%の残留歪みを付与し、上記測定領域2
3をホールセンサ1でx方向に走査して250μm間隔
で漏れ磁束値を測定し、漏れ磁束微分値|dB/dx
|の分布を図5又は図6とは別の形態で可視化して表示
及び出力したものである。図8において、横軸は図7に
おける測定領域23の左端からx方向の位置を示し、縦
軸が漏れ磁束の微分値を示す。また、図8の実際の出力
結果ではカラー表示をしており、部分は赤色表示で漏
れ磁束値が正値であることを示し、部分は青色表示で
漏れ磁束値が負値であることを示し、部分は黒色表示
で漏れ磁束値が0であることを示すようにしている。こ
の図8の分布図からわかるように、中央から左側に部
分(青色表示)のバンドが現れている。当該部分は、試
料21の表面観察から引張試験時に発生したリューダー
スバンドに対応していることがわかった。このように漏
れ磁束の微分値の変化から、リューダースバンドという
特異な部分を試料21から同定することが可能となり、
試料21に何らかの応力場の変化部分を漏れ磁束の微分
値の変化から瞬時に検出することが可能となっている。
【0035】このように本実施形態の残留応力測定装置
及び残留応力評価方法では、コンパクトなホールセンサ
1により複数の測定位置での漏れ磁束値Bを測定し、
この漏れ磁束値B測定結果から、残留応力の微分値|
dσ/dx|と相関関係にある漏れ磁束分布の測定平
面に平行なx方向に対する微分値|dB/dx|の平
面分布図を求めて、試料21の残留応力特性を評価して
いるので、コンパクトな装置構成で高精度な試料21の
材料特性を評価することができる。本実施形態の残留応
力測定装置及び残留応力評価方法では、微分値|dB
/dx|の平面分布図を求めて、可視化した状態で表示
部17への表示、出力部19への出力を行っているの
で、検査者は残留応力特性の評価を瞬時で判断すること
ができ、短時間で高精度な残留応力評価を行うことがで
きる。
【0036】尚、本実施形態の残留応力測定装置におい
て、更に漏れ磁束微分値|dB/dx|の平面分布に
基づいて、試料21の残留応力特性を評価する評価部を
コンピュータ9に設け、残留応力特性を自動的に評価し
て出力するように構成してもよい。
【0037】また、本実施形態では、本発明を残留応力
特性の評価に適用しているが、試料21の磁気特性が変
化する特性の評価であればいずれの評価に適用すること
もでき、例えば疲労損傷度、照射損傷度、熱脆化度等の
評価に本発明を適用しても良い。
【0038】本実施形態の残留応力測定装置及び残留応
力評価方法は、被検材(試料)としての引張試験片に対
して残留応力特性を評価するもの、即ち実験室レベルで
の評価を行うものであるが、平板構造物、配管構造物
等、実用レベルでの被検材を測定対象として材料特性の
評価を行えることは言うまでもない。この場合には、X
Yポジションコントローラ3の代わりに、平板構造物、
配管構造物等、被検材の位置決め及び走査(スキャニン
グ)が可能な駆動機構を設ければ良い。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
被検材の残留応力の微分値と相関関係のある漏れ磁束値
の微分値に基づいて被検材の材料特性を評価するので、
コンパクトな構成でかつ高精度に材料の特性を評価でき
るという効果を有する。また、漏れ磁束値の微分値の分
布を可視化して利用することができ、材料特性の評価を
瞬時で判断することができ、短時間で高精度な材料特性
評価を行えるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本実施形態の残留応力測定装置
の構成図であり、図1(b)は、そのコンピュータの機
能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の残留応力評価方法のフローチャー
トである。
【図3】本実施形態において、A533B鋼で製作した
引張試験片に対して7.35%の塑性ひずみを付与した
場合の残留応力値の微分値の分布図である。
【図4】本実施形態において、A533B鋼で製作した
引張試験片に対して0.38%の塑性ひずみを付与した
場合の残留応力値の微分値の分布図である。
【図5】本実施形態において、引張試験片に対して7.
35%の塑性ひずみを付与した場合の漏れ磁束値の微分
値の分布図である。
【図6】本実施形態において、引張試験片に対して0.
38%の塑性ひずみを付与した場合の漏れ磁束値の微分
値の分布図である。
【図7】本実施形態で評価対象としたA533鋼試験片
の平面図である。
【図8】本実施形態で求めたA533鋼試験片の中央部
分の漏れ磁束値の微分値の分布状態を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1:ホールセンサ 3:XYポジションコントローラ 5:アーム 7:テーブル 9:コンピュータ 11:入力制御部 13:磁束分布算出部 15:微分値算出部 17:表示部 19:出力部 21:試料(被検材) 23:測定領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 伸介 兵庫県芦屋市朝日ヶ丘町14−5−401 (72)発明者 礒部 仁博 大阪府泉南郡熊取町大久保北3丁目323− 1−201 Fターム(参考) 2G053 AA11 AA14 AA19 AB22 BA21 CA05 CA18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホールセンサによって、被検材の所定の
    複数位置における漏れ磁束値を測定する測定工程と、 前記複数位置での漏れ磁束値から被検材の漏れ磁束分布
    を求める磁束分布算出工程と、 該漏れ磁束分布の測定平面に平行な方向に対する微分値
    を算出し、微分値の平面分布を求める微分値算出工程
    と、 前記微分値の平面分布に基づいて、被検材の材料特性を
    評価する評価工程と、を含むことを特徴とする材料特性
    評価方法。
  2. 【請求項2】 被検材の漏れ磁束を測定するホールセン
    サと、 前記ホールセンサを被検材表面に沿って移動する移動手
    段と、 前記ホールセンサにより、被検材の複数位置での漏れ磁
    束値から被検材の漏れ磁束分布を求める磁束分布算出手
    段と、 該漏れ磁束分布の測定平面に平行な方向に対する微分値
    を算出し、微分値の平面分布を求める微分値算出手段
    と、 前記漏れ磁束値の微分値の平面分布を出力する出力手段
    と、を備えたことを特徴とする材料特性評価装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007331140A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Mie Univ 磁性体を含む金型の補修方法
JP2009052904A (ja) * 2007-08-23 2009-03-12 Jfe Steel Kk 磁性金属帯の微小表面欠陥の品質検査方法及び装置
JP2009198296A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Nippon Steel Corp 疲労試験機および疲労強度評価方法

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