JP6058343B2 - 渦電流探傷装置および渦電流探傷方法 - Google Patents

渦電流探傷装置および渦電流探傷方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は渦電流探傷装置および渦電流探傷方法に関する。
炉内構造物の供用期間中検査では非破壊検査手法が用いられており、代表的なものとして目視検査(Visual Testing:VT)、超音波検査(Ultrasonic Testing:UT)、渦電流探傷検査(Eddy Current Testing:ECT)がある。このうち、VTおよびECTは表面検査、UTは体積検査に用いられる。また、きず指示があった場合は、より詳細なUTによってきずのサイジングが行われる。
しかし、炉内構造物には曲率半径の小さな狭隘かつ複雑形状を有する溶接部が多く存在する。このような部位に対しては超音波の入射角制御は難しく、また、その減衰も大きい事から高精度なサイジング(sizing)が困難とされている。その一方で、近年、ECTにパルス波を用いることで被検査体内に生じる渦電流の伝播現象を用いた検査手法が提案されている。
この検査手法の原理について説明すると、まず、励磁コイルに矩形の電流を供給する。電流が切断された直後ではパルス波に含まれる周波数成分に従って、被検査体内には3次元的な渦電流分布が形成される。
この時、前記渦電流分布を誘導していた磁場の供給が停止するため、その後、過渡的な変化を生じる。この過渡的な変化とは周波数成分に応じた減衰と被検査体深さ方向への渦電流の伝播である。
また、低周波成分ほど減衰率が小さく表皮深さも深いため、被検査体表層に存在する高周波成分の渦電流が無視できる程度に減衰するまで時間が経過しても低周波成分の渦電流の伝播は続いており、被検査体表層の渦電流の影響を受けることなく深部の情報を検出することができる。
さらに、非接触でパルス磁場を印加、渦電流信号を検出可能であることから、狭隘な複雑形状部位に対しても、サイジング可能性が期待できる。
このような原理を利用して、配管肉厚を測定する技術は、例えば、特開2005−106823号公報(特許文献1)に記載されている。
特許文献1に記載される技術は、アレイ状に配置したセンサ素子を用いてパルス磁場を印加し、被検査体に生じる渦電流の過渡変化を検出する。また、検出された渦電流信号に対して多項式による近似式を当てはめ、各次数項の係数から被検査体の厚さを推定する技術である。
特開2005−106823号公報
上述した特許文献1等に記載されるパルス励磁渦電流探傷検査(Pulsed Eddy Current Testing:PECT)は、渦電流の伝播特性を利用して渦電流の減衰曲線の形状から被検査体の厚みを推定する技術である。その一方で、PECTは、伝播する渦電流の局所的な時間における信号変化については検出しないため、きずの様に局所的な渦電流分布の変化が時間差を持って生じる対象に対して適用する場合に課題がある。すなわち、きずを検出した際にその深さを同定する場合に課題がある。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、パルス励磁渦電流探傷検査によるきずのサイジングが可能な渦電流探傷装置および渦電流探傷方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置は、被検査体にパルス磁場を励起し渦電流を形成する1つ以上の励磁コイルにパルス状の電流を供給する励磁部と、前記渦電流の被検査体における過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子に生じる電圧信号を検出する検出部と、前記励磁コイルおよび前記検出素子を把持し、前記検出素子を三次元的に走査させる把持部と、前記検出部で検出される電圧信号を所定の周期で取得し、前記所定の周期で取得する電圧信号のうち、今回取得する電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分が今回よりも前の回に取得された電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分に対して変化した総和を算出することで得られる2点以上の総和の極大値のうち、前記走査方向に対して連続する2点の極大値の出現位置に基づいて被検査体内に存在するきずの位置を算出する一方、算出する位置に存在する前記被検査体内のきずの深さを、前記検出部で検出される電圧信号の周波数スペクトルの時間変化に基づいて算出する演算処理部と、を具備することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る渦電流探傷方法は、被検査体にパルス磁場を励起し渦電流を形成する1つ以上の励磁コイルにパルス状の電流を供給する励磁部と、前記渦電流の被検査体における過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子に生じる電圧信号を検出する検出部と、前記検出部で検出される電圧信号に基づいて前記被検査体内に存在するきずの位置および深さの少なくとも一方を算出する演算処理部とを具備する渦電流探傷装置を用いて行う渦電流探傷方法であり、前記励磁部が、前記被検査体にパルス磁場を励起し渦電流を形成する1つ以上の励磁コイルにパルス状の電流を供給するステップと、前記検出部が、前記渦電流の被検査体における過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子に生じる電圧信号を検出するステップと、前記演算処理部が、前記検出素子に生じる電圧信号を検出するステップで、走査される前記検出素子が検出する電圧信号を所定の周期で取得し、前記所定の周期で取得する電圧信号のうち、今回取得する電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分が今回よりも前の回に取得された電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分に対して変化した総和を算出することで得られる2点以上の総和の極大値のうち、前記走査の方向に対して連続する2点の極大値の出現位置に基づいて前記被検査体内に存在するきずの位置を算出するステップ、および前記検出素子に生じる電圧信号を検出するステップで検出される電圧信号の周波数スペクトルの時間変化に基づいて前記被検査体内に存在するきずの位置として算出される位置に存在するきずの深さを算出するステップの少なくとも一方のステップと、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、パルス励磁渦電流探傷検査(PECT)において、きずによる局所的な渦電流分布の変化を検出することができ、きずのサイジングが可能となる。
本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置の構成を示す機能ブロック図。 本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置に適用される検出素子の一例であって、検出コイルとは異なる例を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置の被検査体に対して使用している状態を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置において計測される検出信号の一例を示した説明図。 本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置におけるきず位置同定方法を説明する説明図。 本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置によるきずの深端部の検出時刻を同定する方法を説明する説明図であり、(A)は検出電圧のタイムチャート、(B)は検出電圧の周波数スペクトル図である。 本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置において使用される校正試験片の一例を示す概略図。
本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置および渦電流探傷方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、上下、左右等方向を示す言葉は、図示した状態または通常の使用状態を基準とする。
本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置は、例えば、原子炉管台、炉底部、または金属配管等の金属構造材全般の検査に適用することができ、金属構造材に発生したきずの深さを同定することができる装置である。
図1は、本発明の実施形態に係る渦電流探傷装置の一例である渦電流探傷装置10の構成を示す機能ブロック図である。
渦電流探傷装置10は、パルス励磁渦電流探傷検査(PECT)によって被検査体1のきず2の有無を検査する装置であり、例えば、励磁コイル11を駆動させる励磁部12と、検出コイル13等の検出素子に生じる電気信号(例えば電圧信号)を検出する検出部14と、把持部15と、きず位置演算手段およびきず深さ演算手段としての演算抽出処理部16と、表示部17とを具備する。
渦電流探傷装置10では、励磁部12、検出部14、把持部15、および表示部17と、演算抽出処理部16とが、電気的に接続される。また、励磁部12には励磁コイル11が電気的に接続され、検出部14には検出コイル13が電気的に接続されている。さらに、励磁部12および演算抽出処理部16は、表示部17と電気的に接続されている。
励磁コイル11は、励磁部12からパルス状の電流(励磁電流)の供給を受けて被検査体1にパルス磁場を励起し、渦電流を形成する。なお、励磁コイル11の個数は、少なくとも一つあれば良く二つ以上でも構わない。
励磁部12は、パルス状の電流を発生させて、発生させたパルス状の電流を励磁電流として励磁コイル11に供給する。
検出コイル13は、励磁コイル11によって被検査体1に形成される渦電流の過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子の一例である。なお、検出コイル13の個数は、少なくとも一つあれば良く、二つ以上でも構わない。
検出部14は、検出コイル13(検出素子)に生じる電気信号を検出し、検出した電気信号を検出信号として演算抽出処理部16へ伝送する。また、検出部14は、増幅器(アンプ)と濾波器(フィルタ)とを有しており、検出された電気信号を適宜増幅およびノイズ除去して演算抽出処理部16へ伝送している。
把持部15は、励磁コイル11と検出コイル13を把持しつつ、励磁コイル11および検出コイル13を被検査体1の表面(検査面)上の所望の地点に移動させる機能と、3次元空間内に設定される原点Oを基準とした励磁コイル11および検出コイル13の位置情報を取得し、演算抽出処理部16へ伝送する機能とを有する。
演算抽出処理部16は、検出部14から伝送される検出信号(電気信号)を受け取り、受け取った検出信号に対して、所定の波形分析処理を行うことで、被検査体1に存在し得るきず2のサイジングを行う。演算抽出処理部16が所定の波形分析処理した結果は表示部17に与えられ、表示部17に表示される。
演算抽出処理部16は、演算部16aと抽出部16bとを備える。演算抽出処理部16では、例えば、演算部16aがきず2の存在する場所を特定するための演算処理(後述する検出信号の上包絡線と下包絡線との包絡線差分変化の総和を求める演算処理等)ときず2の深さを特定するための演算処理の一部(後述する検出信号のフーリエ変換処理)を行い、抽出部16bがきず2の深さを特定するための残りの演算処理(後述する検出信号の周波数スペクトルの周波数シフトが生じる時間を求める演算処理およびきず2の深さを算出する演算処理)とを行う。
表示部17は、例えば、表示機能を有するモニタ等で構成され、演算抽出処理部16が演算処理の結果および抽出処理した結果を表示する。
なお、図1に示される渦電流探傷装置10では、検出素子として検出コイル13が適用されているが、検出素子は必ずしもコイルである必要はなく、被検査体1に形成される渦電流により生じる磁場を検出する磁気センサを適宜選択して適用することができる。
図2は渦電流探傷装置10に適用される検出素子の一例であって、検出コイル13とは異なる例を説明する説明図である。
例えば、図2に示されるように、渦電流探傷装置10において、検出素子は必ずしも検出コイル13に限られるものではなく、検出コイル13の代わりに、ホール素子や磁気抵抗素子(MRセンサ)等のコイル以外の磁気センサ23を検出素子として適宜選択して適用することができる。
次に、渦電流探傷装置10を用いて行う被検査体1のパルス励磁渦電流探傷検査(PECT)について説明する。
図3は渦電流探傷装置10を被検査体1に対して使用している状態を説明する説明図である。
なお、図3では、説明を簡略化する等の観点から、励磁コイル11および検出素子の一例である検出コイル13がそれぞれ1個の場合における渦電流探傷装置10を示す。
把持部15は、例えば、xyz3次元直交座標系のz軸方向を長手方向とする柱状の支柱31と、支柱31と垂直な方向、すなわち、被検査体1の検査面と平行な方向に取り付けられる棒状のアーム32と、アーム32の長さの範囲内で当該アーム32に沿ってスライド移動可能なスライダ33とを有して構成され、励磁コイル11および検出コイル13を把持する把持ユニット35を備える。把持ユニット35全体の移動は、把持部駆動装置30から駆動力を受けることで行われる。
把持部駆動装置30は、例えば、少なくともx軸方向、y軸方向、およびz軸方向に移動自在な3軸以上の多軸ロボット(マニピュレータ)や搬送装置であり、支柱31を把持した状態で把持ユニット35をxyz3次元直交座標系の3軸方向(x軸方向、y軸方向、およびz軸方向)に自在に移動させる。また、把持部駆動機構30は、z軸を回転軸として把持している支柱31を任意の角度に回転させることができる。
支柱31は、例えば、被検査体1の検査面(z=zとなるx−y平面)に対して垂直方向(z軸方向)を長手方向とする柱状体であり、下端に励磁コイル11が取り付けられる。支柱31は、検査実施時には、把持部駆動装置30からの駆動力を受けて、被検査体1の検査面上の任意の場所(x,y,z)に設置したり、アーム32を自在に軸回転させることができる。
スライダ33は、アーム32に沿って励磁コイル11と検出コイル13間の距離(r)をアーム32まで自在に調整する機能を有する。また、スライダ33は、アーム32の下方で検出コイル13を把持している。アーム32と検出コイル13との距離は、励磁コイル11が被検査体1の検査面上の任意の場所(x,y,z)に設置されると、検出コイル13も被検査体1の検査面に接するように調整される。
渦電流探傷装置10では、上述のように構成される把持ユニット35を移動させることによって、励磁コイル11の中心を極座標系の原点とし、走査方向(図3に示されるブロック矢印の方向)と平行な軸によって決まる極座標上の任意の位置に検出コイル13を移動(走査)することができる。
なお、走査開始位置を原点Oとした励磁コイル11の位置座標(x,y,z)、および検出コイル13の位置座標(x+cosθ,y+sinθ,z)は、例えば、把持ユニット35等の励磁コイル11の位置および検出コイル13の位置を検出可能な所望の位置に取り付けられる位置検出センサとしてのエンコーダ(図を省略)によって検出される。エンコーダによって検出される励磁コイル11の座標の情報、および検出コイル13の座標の情報は、演算抽出処理部16に与えられる。
励磁コイル11が被検査体1の検査面上に位置決めされると、励磁部12が、以下の式(1)で示されるパルス電流I(t)を励磁コイル11に供給する。励磁コイル11にパルス電流I(t)が励磁電流として供給されると、検出コイル13の磁場信号の検出を開始する。
Figure 0006058343
励磁部12は、表皮深さδから算出される係数を持つフーリエ級数から生成されるパルス形状の印加電流I(t)を励磁電流として励磁コイル11に供給することで、被検査体1の深さ方向に略同程度の振幅強度である渦電流をパルス電流切断直後に誘起することができる。
続いて、本発明の実施形態に係る渦電流探傷方法として、渦電流探傷装置10を用いて行う被検査体1のパルス励磁渦電流探傷検査(PECT)におけるきず2のサイジング方法について説明する。
[きず2の位置の同定]
図4は渦電流探傷装置10において計測される検出信号の一例を示した説明図である。
ここで、破線Vはきずが無い場合の検出信号、実線Vはきずが存在する場合の検出信号、破線UEおよびLEは、それぞれ、検出信号Vの上包絡線および下包絡線、実線UEおよびLEは、それぞれ、検出信号Vの上包絡線および下包絡線である。
検出信号V,Vは、検出コイル13(検出素子)の電圧信号に相当し、検出部14で増幅およびフィルタ処理された後に演算抽出処理部16へと送られる。
演算抽出処理部16では、演算部16aが検出信号V,Vに対してフーリエ変換を行い、検出信号V,Vの周波数スペクトルを求める。さらに、検出信号V,Vの周波数スペクトルを求める過程において、図4に示される微小区間41である(t,t+Δt)に限定して周波数スペクトルを求めることもできる。Δtは可変であり、測定開始から終了までの時間領域でフーリエ変換対象区間を掃引させることで、周波数スペクトルの時間的な変化を求めることができる。
また、演算部16aでは、検出信号V,Vの上包絡線UE,UEおよび下包絡線LE,LEを求め、さらに、上包絡線UE,UEと下包絡線LE,LEとの差分(以下、「包絡線差分」と称する。)を求める。さらにまた、演算部16aでは、上包絡線UE,UE、下包絡線LE,LE、および包絡線差分に対して前後のスキャンステップでの差分を算出し、検出コイル等の検出センサの位置変化に対する包絡線差分変化、および包絡線差分変化の総和(面積)を求める。
図5は渦電流探傷装置10におけるきず位置を同定する方法を説明する説明図である。
なお、図5は、一次元(x軸方向)の走査の場合を一例として示している。また、符号2aはきず2の表面側の端部である表端部、符号2bはきず2の最も深い位置である深端部、符号43は検出コイル13等の検出素子をケーシングに収容したもの(以下、「検出センサ」と称する。)である。
検出センサ43がきず2の上を通過する際、複数の特定の座標において、きず2の存在が原因となって包絡線差分変化の総和が極大となる。例えば、図5に示される例では、包絡線差分変化の総和の極大値が、座標x,xの2点において出現している。この場合、きず2の位置は、包絡線差分変化の総和が極大となる座標xおよびxの中点、すなわち、(x+x)/2として特定される。きず2の位置を同定する計算は、演算部16aが行う。
なお、包絡線差分変化の総和が極大となる前記座標およびその個数は、センサ構造やきずの形状によって変化する。包絡線差分変化の総和が極大となる座標の個数については、2個に限らず、3個以上が出現する場合もある。その場合には、連続する2点の極大値を抽出し、抽出した2つの極大値の中点にきず2が存在するものとみなして計算する。
[きず2の深さの同定]
図6は渦電流探傷装置10によるきず2の深端部2b(図5)の検出時刻を同定する方法を説明する説明図であり、図6(A)は時間に対する検出信号(検出電圧)の変化を示すグラフ(検出電圧の時間チャート)であり、図6(B)は周波数に対する検出信号(検出電圧)の変化を示すグラフ(検出電圧の周波数スペクトル図)である。
ここで、図6(A)に示されるΔtは図4に示されるΔtと対応する微小時間である。また、符号Rは渦電流がきず2の表端部2a(図5)に到達した時刻からΔtが経過するまでの間の時間領域、Rは表端部2aに到達した渦電流が深さ方向に伝播してきず2の深端部2bに到達した時刻からΔtが経過するまでの間の時間領域であり、RはRとRの間の時間領域、RはR以降の時間領域である。さらに、VR1〜VR4は、それぞれ、時間領域R〜Rにおける検出電圧の周波数スペクトルである。
上述した手順によって、演算部16aが包絡線差分変化の総和が極大となる座標x,xを特定すると、続いて、抽出部16bが包絡線差分変化の総和が極大となる座標として特定された座標xまたはxにおける検出信号(検出電圧)に対して時間幅Δtの区間でフーリエ変換を行って得られる周波数スペクトルを取得する。また、抽出部16bは、フーリエ変換の対象区間を測定開始時から測定終了時までの時間領域とし当該対象区間を掃引させることで、検出電圧の周波数スペクトルの時間変化を得る。
図6(B)に示されるように、時間領域R〜Rの間、すなわち、渦電流が表端部2a(図5)から深さ方向に伝播して深端部2b(図5)に到達するまでの間では、検出電圧の周波数スペクトルVR1,VR2,VR3の中心周波数は、励磁コイル11に与える励磁パルスの中心周波数fから周波数がシフトしてf+Δfとなる。また、この時間領域R〜Rの間では、中心周波数は変化せず、振幅のみが減衰していく。
一方、時間領域R以降、すなわち、時間領域Rでは、きず2の影響を受けない渦電流の信号も検出されるため、検出電圧の周波数スペクトルVR4の中心周波数は励磁パルスの中心周波数fへとシフトしていく。
抽出部16bは、中心周波数がf+Δfにシフトしている時間を観測することで、表端部2aに到達した渦電流が深さ方向に伝播して深端部2bに到達するまでの時間を求める。あとは、渦電流が被検査体1を伝播する伝播速度および検出コイルの傾き等を考慮した補正計算を行い、きず2の深さ方向の長さ(表端部2aから深端部2bまでの長さ)を算出する。
補正計算の数式情報や渦電流が被検査体1を伝播する伝播速度については、抽出部16bが演算可能なように予め与えておく。また、渦電流が被検査体1を伝播する伝播速度については、例えば、後述する試験片50(図7)を用いて予め算出することができる。
[校正試験片]
図7は渦電流探傷装置10において使用される校正試験片の一例である試験片50を示す概略図である。
試験片50は、被検査体1と材質が同一または略同一の材料(少なくとも導電率σおよび透磁率μが、ユーザが必要とする検査精度を考慮した際に同一視できる材料)で構成されており、例えば、少なくとも1以上の段差を有する。すなわち、試験片50は、厚みの異なる個所(段)が複数あり、n(nは2以上の自然数)段の階段状に形成される。ここで、符号dは第1段の厚さであり、符号dは第n段の厚さである。
校正時には、励磁コイル11および検出素子としての検出コイル13を試験片50に配置して周波数スペクトルや包絡線を得る。ここから、パルス渦電流が底面51まで伝播するまでの時間を同定し、伝播距離(校正試験片の厚さd,…,d)から伝播速度を算出する。
なお、試験片50は、必ずしも複数段を有する階段状に構成される必要はないが、被検査体1における伝播速度の算出精度を高める観点から少なくとも2段を有する階段状に構成されている。
また、被検査体1における伝播速度の算出精度をより高める観点からすれば、試験片50の段数nは、なるべく多くすることが望ましい。被検査体1での渦電流の伝播速度は、最終的にきず2の深さ方向の長さを同定する際に使用されるため、より正確にきず2の深さ方向の長さを知りたい場合には、試験片50の段数nを多くして、より高精度に被検査体1での渦電流の伝播速度を算出することが望ましい。
以上、渦電流探傷装置10および渦電流探傷装置10を用いて行う被検査体1の渦電流探傷方法によれば、従来パルス励磁渦電流探傷検査(PECT)では検出できなかった伝播する渦電流の局所的な時間における信号変化についても検出することができるので、きず2の様に局所的な渦電流分布の変化を生じる被検査体1等の対象に対してもPECTを実施でき、被検査体1に対してきず2のサイジング、すなわち、PECTによる被検査体1の体積検査が可能となる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…被検査体、2…きず、2a…表端部、2b…深端部、10…渦電流探傷装置、11…励磁コイル、12…励磁部、13…検出コイル、14…検出部、15…把持部、16…演算抽出処理部、16a…演算部、16b…抽出部、17…表示部、23…検出コイル13以外の磁気センサ(ホール素子、MRセンサ)、31…支柱、32…アーム、33…スライダ、41…微小区間、43…検出センサ、50…試験片、51…(試験片の)底面、VR1…時間領域Rにおける検出電圧の周波数スペクトル、VR2…時間領域Rにおける検出電圧の周波数スペクトル、VR3…時間領域Rにおける検出電圧の周波数スペクトル、VR4…時間領域Rにおける検出電圧の周波数スペクトル。

Claims (10)

  1. 被検査体にパルス磁場を励起し渦電流を形成する1つ以上の励磁コイルにパルス状の電流を供給する励磁部と、
    前記渦電流の被検査体における過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子に生じる電圧信号を検出する検出部と、
    前記励磁コイルおよび前記検出素子を把持し、前記検出素子を三次元的に走査させる把持部と、
    前記検出部で検出される電圧信号を所定の周期で取得し、前記所定の周期で取得する電圧信号のうち、今回取得する電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分が今回よりも前の回に取得された電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分に対して変化した総和を算出することで得られる2点以上の総和の極大値のうち、前記走査方向に対して連続する2点の極大値の出現位置に基づいて被検査体内に存在するきずの位置を算出する一方、算出する位置に存在する前記被検査体内のきずの深さを、前記検出部で検出される電圧信号の周波数スペクトルの時間変化に基づいて算出する演算処理部と、
    を具備することを特徴とする渦電流探傷装置。
  2. 前記演算処理部は、前記渦電流が前記被検査体内のきずを深さ方向に伝播する時間と、予め与えられる前記渦電流が前記被検査体内のきずを深さ方向に伝播する速さとに基づいて前記被検査体内のきずの深さを算出するものであり、前記検出部で検出される電圧信号の周波数スペクトルの時間変化を観測し、前記検出部で検出される電圧信号の周波数スペクトルのピーク値をとる周波数が、前記励磁コイルに供給されるパルス状の電流の中心周波数に対して所定量シフトした状態で維持される時間を計測することで得られる時間を前記渦電流が前記被検査体内のきずを深さ方向に伝播する時間とみなして演算することを特徴とする請求項1記載の渦電流探傷装置。
  3. 前記演算処理部は、前記周波数スペクトルを得る際に、任意の微少な時間領域で分割した時間領域を対象としてフーリエ変換を行い、前記周波数スペクトルの時間変化を観測することを特徴とする請求項1または2記載の渦電流探傷装置。
  4. 前記演算処理部は、前記走査方向に対して連続する2点の極大値の出現位置の中点を算出し、算出結果を前記被検査体内に存在するきずの位置とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の渦電流探傷装置。
  5. 前記励磁コイルに供給されるパルス状の電流は、表皮深さから算出される係数を持つフーリエ級数から生成されるパルス形状の印加電流であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の渦電流探傷装置。
  6. 前記把持部は、前記被検査体の被検査面に対して前記励磁コイルと前記検出素子との三次元的な相対的位置関係を変更可能に構成されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の渦電流探傷装置。
  7. 前記検出素子は、コイル、ホール素子、および磁気抵抗素子の何れかであることを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の渦電流探傷装置。
  8. 前記渦電流が前記被検査体を深さ方向に伝播する速さは、前記被検査体と少なくとも導電率および透磁率が同じ材料で構成される校正試験片を用いて事前に算出した値であることを特徴とする請求項2から7何れか1項に記載の渦電流探傷装置。
  9. 前記校正試験片は、前記励磁コイルと前記検出素子とを一緒にして載置可能な面積を持つ平面を複数有し、
    前記平面の各々は、底面と平行であって当該底面からの距離がそれぞれ異なることを特徴とする請求項8記載の渦電流探傷装置。
  10. 被検査体にパルス磁場を励起し渦電流を形成する1つ以上の励磁コイルにパルス状の電流を供給する励磁部と、前記渦電流の被検査体における過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子に生じる電圧信号を検出する検出部と、前記検出部で検出される電圧信号に基づいて前記被検査体内に存在するきずの位置および深さの少なくとも一方を算出する演算処理部とを具備する渦電流探傷装置を用いて行う渦電流探傷方法であり、
    前記励磁部が、前記被検査体にパルス磁場を励起し渦電流を形成する1つ以上の励磁コイルにパルス状の電流を供給するステップと、
    前記検出部が、前記渦電流の被検査体における過渡的な広がりによる渦電流分布変化を検出する検出素子に生じる電圧信号を検出するステップと、
    前記演算処理部が、前記検出素子に生じる電圧信号を検出するステップで、走査される前記検出素子が検出する電圧信号を所定の周期で取得し、前記所定の周期で取得する電圧信号のうち、今回取得する電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分が今回よりも前の回に取得された電圧信号の波形の上包絡線と下包絡線の差分に対して変化した総和を算出することで得られる2点以上の総和の極大値のうち、前記走査の方向に対して連続する2点の極大値の出現位置に基づいて前記被検査体内に存在するきずの位置を算出するステップ、および前記検出素子に生じる電圧信号を検出するステップで検出される電圧信号の周波数スペクトルの時間変化に基づいて前記被検査体内に存在するきずの位置として算出される位置に存在するきずの深さを算出するステップの少なくとも一方のステップと、を具備することを特徴とする渦電流探傷方法。
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