JPH0783884A - 探傷検査方法、探傷検査装置、及び探傷検査用センサ - Google Patents

探傷検査方法、探傷検査装置、及び探傷検査用センサ

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JPH0783884A
JPH0783884A JP5252363A JP25236393A JPH0783884A JP H0783884 A JPH0783884 A JP H0783884A JP 5252363 A JP5252363 A JP 5252363A JP 25236393 A JP25236393 A JP 25236393A JP H0783884 A JPH0783884 A JP H0783884A
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JP
Japan
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flaw
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subject
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Application number
JP5252363A
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English (en)
Inventor
Kenzo Miya
健三 宮
Mitsuru Kamisaka
充 上坂
Kazuo Kasai
一夫 笠井
Yasuhiko Sato
安彦 佐藤
Kazuhiko Aoki
一彦 青木
Hidenobu Komatsu
英伸 小松
Yoshihiro Matsumoto
善博 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Precision Products Co Ltd
Nuclear Fuel Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Precision Products Co Ltd
Nuclear Fuel Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の渦電流探傷検査法に比べ格段に高精度
の探傷を行えると共に欠陥形状の定量評価ができる探傷
検査方法及び装置等を得ること。 【構成】 被検体7に対して交流磁場を印加すると共に
該交流磁場の変化を磁気検出手段4により検出しつつ被
検体の探傷検査範囲を走査して該被検体7に存在する欠
陥を検査する探傷検査方法で、磁気検出手段4は、前記
走査方向と、該走査方向と交叉する方向とに二次元的に
配列された複数の磁気検出素子5を有するものであり、
該磁気検出手段4の複数の磁気検出素子5を用いて、被
検体表面に交叉する磁場の強度及び/又は位相の変化の
分布を測定することにより欠陥を検出する方法。また、
磁気検出手段4の複数の検出素子5が被検体の表面形状
に沿って配列されたもの等を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、探傷検査方法、探傷検
査装置、及び探傷検査用センサに関し、特に極めて高精
度の探傷を行うことができ、さらに欠陥の長さや深さ、
向きなどの検出をも行うことができる探傷検査方法、探
傷検査装置、及び探傷検査用センサに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】材質や形状寸法を変化させることなく検
査対象物の健全性を検査する被破壊検査法には、超音波
検査や磁気検査、放射線透過検査など、各種の検査法が
用いられているが、このような被破壊検査法のうち、例
えばPWR原子力プラントの蒸気発生器細管の定期検査
などには、比較的短時間で簡便に探傷できることから渦
電流探傷検査法(ECT)が広く用いられている。
【0003】この渦電流探傷検査法は、磁気検査法の一
種で、次のような原理により被検査物に生じた欠陥や被
検査物に付着した付着物を検出するものである。すなわ
ち、交流を通じて変化する磁界の中に導体を置いたり近
づけたりすると置かれた導体(金属材料)の内部には磁
束の変化を妨げようとする方向に渦電流が流れるが、こ
の渦電流は導体の材質や欠陥の存在、異種金属の付着な
どによって異なるものとなる。
【0004】したがって本検査法では、コイルにより被
検査物(金属材料)に対して交流磁界を印加し、被検査
物に生じる渦電流の発生状態を測定することにより被検
査物に生じた局所的な材質の変化や欠陥、異種金属の付
着の有無などを検出する。渦電流の発生状態の変化は、
交流磁界を印加するためのコイルのインピーダンスの変
化や、或いは該コイルとは別個に設けられた検出用のコ
イルに発生する起電力の変化として測定することができ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来の渦電流探傷検査法では、極めて微小な欠陥
までは検出することができず、また、欠陥の長さや向
き、検査表面側にあるのか或いは裏面側にあるのか、そ
の深さなどの検出は不可能で、欠陥形状の定量評価がで
きないとの問題があった。
【0006】特に原子力の分野においては原子炉の安全
性を保障するためにも現在広く用いられている渦電流探
傷法における前記問題の解決が望まれており、また、そ
の他種々の分野において欠陥の検出能力の向上、並びに
欠陥形状の定量評価の実現の要請は大きい。
【0007】本発明は、このような要請に応えるもの
で、微小な欠陥の検出を行うことができ、然も欠陥形状
の定量評価をも行うことができる探傷検査方法、探傷検
査装置、及び探傷検査用センサを提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、
本願の請求項1の発明は、被検体に対して交流磁場を印
加すると共に該交流磁場の変化を磁気検出手段により検
出しつつ被検体の探傷検査範囲を走査して該被検体に存
在する欠陥を検査する探傷検査方法であって、前記磁気
検出手段は、前記走査方向と、該走査方向と交叉する方
向とに二次元的に配列された複数の磁気検出素子を有す
るものであり、該磁気検出手段の複数の磁気検出素子を
用いて、被検体表面に交叉する磁場の強度及び/又は位
相の変化の分布を測定することにより前記欠陥を検出す
ることを特徴とする探傷検査方法に係るものである。
【0009】請求項2の発明は、被検体に対して交流磁
場を印加する交流磁場印加手段と、磁場の強度を測定す
る二次元的に配列された複数の検出素子を有する磁気検
出手段とを備えた探傷検査用センサと、前記探傷検査用
センサと前記被検体とを近接させつつ両者の相対位置を
変化させる移動手段とを備え、前記磁気検出手段の複数
の検出素子を用いて、被検体表面に交叉する磁場の強度
及び/又は位相の変化の分布を測定することにより前記
欠陥を検出することを特徴とする探傷検査装置に係るも
のである。
【0010】請求項3の発明は、被検体に対して交流磁
場を印加する交流磁場印加手段と、磁場の強度を測定す
る二次元的に配列された複数の検出素子を有する磁気検
出手段とを一体に備えてなる探傷検査用センサに係るも
のである。
【0011】請求項4の発明は、前記請求項2の発明に
おいて、前記磁気検出手段の複数の検出素子は、被検体
の表面形状に沿って配列されたものであることを特徴と
する探傷検査装置に係るものである。
【0012】請求項5の発明は、前記請求項4の発明に
おいて、前記交流磁場印加手段の、被検体側の面と、該
被検体側の面の反対側の面とに前記磁気検出手段が設け
られたことを特徴とする探傷検査装置に係るものであ
る。
【0013】
【作用】前記のように構成された本発明においては、被
検体に対して交流磁場を印加すると共に該交流磁場の変
化を前記磁気検出手段により検出しつつ被検体の探傷検
査範囲を走査する。磁気検出手段は、前述のように走査
方向と、該走査方向と交叉する方向とに二次元的に配列
された複数の磁気検出素子を有するものであり、このよ
うな磁気検出手段の複数の磁気検出素子を用いて被検体
表面に交叉する磁場の強度及び/又は位相の変化の分布
を測定することで、欠陥の存在、並びにその欠陥の長さ
や深さ、向きなどの欠陥形状の検出が可能となる。
【0014】また、請求項4乃至5の発明においては、
前述のように磁気検出手段の複数の検出素子が被検体の
表面形状に沿って配列されているため、検査時に該複数
の検出素子のすべてを被検体に一定の距離を隔てて近接
させることが可能となる。したがって、検出素子の一部
が被検体から離れることによる外乱ノイズの混入を防止
することができ、S/N比の向上、欠陥検出能力の向上
が図られる。以下、実施例を通じて本発明をさらに詳し
く説明する。
【0015】
【実施例】本発明の一実施例に係る探傷検査方法並びに
該検査方法に用いられる検査装置について説明するが、
この検査方法は、被検体(被検査物)に交流磁場を印加
する励起コイルと、多数の小型の検出素子を備えた磁気
検出器とからなる探傷検査用センサ(以下、「マイクロ
ECTプローブ」と称する。)を被検体に近接配置して
被検体に交流磁場を印加し、被検体の欠陥によって乱さ
れた渦電流が作る磁場を前記多数の小型検出素子を用い
て測定することにより微小欠陥の検出能力を高めるとと
もに、欠陥形状の定量評価を可能とするものである。
【0016】ここで、「欠陥形状の定量評価」とは、
欠陥の向き(被検体表面に平行なXY面内における欠陥
の方向)、欠陥の位置(被検体表面に平行なXY面内
における欠陥の位置)、欠陥の長さ、及び被検体の
厚さ方向に関する欠陥の位置(マイクロECTプローブ
側にあるのか(この欠陥を「上側欠陥」と称する。)或
いはマイクロECTプローブとは反対側にあるのか(こ
の欠陥を「下側欠陥」と称する。)、及びその深さ)に
ついての評価をいうが、本発明はこれら評価項目(〜
)のすべてを検出するものに限定されるものではな
く、これらの評価項目うちいずれを検出するものも本発
明に含まれるものである。
【0017】図1は前記本発明の一実施例に係る探傷検
査装置が備えるマイクロECTプローブの構成を示す側
面図、図2は平面図である。これらの図に示すように、
該マイクロECTプローブ1は、被検体7に交流磁場を
印加するパンケーキ型の励起コイル2と、励起コイル2
の下面に一体に設けられた磁気検出器4とからなる。な
お、励起コイル2は芯3を有する。
【0018】磁気検出器4は、二次元的に配列された複
数の検出素子5を備えるものであり、本実施例の場合に
は、4×4、すなわち16個の検出素子A〜Pを備え
る。なお、検出素子5の数はこれに限定されるものでは
ない。図3は検出素子5の一つを取り出しその構成を拡
大して示した平面図であるが、同図に示すように、各検
出素子5は、銅製のマイクロコイル5aと電極5bとか
らなり、銅製マイクロコイル5aは、線幅0.008mm
で、リソグラフィ技術により直接石英基盤6上に作製さ
れる。
【0019】図4は、本実施例に係る探傷検査装置の全
体構成を示すブロック図であるが、同図に示すように該
検査装置は、図1乃至図2に基づいて説明した前記マイ
クロECTプローブ1、XYZθステージ42、ステー
ジコントローラ43,44、ファンクションシンセサイ
ザ45、リレーボード46、ロックインアンプ47、及
びコンピュータ48を備えるものである。
【0020】マイクロECTプローブ1は、XYZθス
テージ42により、被検体7に平行な面(XY直交座
標)内におけるXY方向、及び被検体7に直交する方向
(Z方向)に移動可能に構成されており、さらに励起コ
イルの中心軸の傾き角度θを変化させることができる。
これらの駆動は、インターフェイスを通してコンピュー
タ48からの命令により、XYZ用ステージコントロー
ラ43とθ用ステージコントローラ44とにより行われ
る。
【0021】ファンクションシンセサイザ45は、マイ
クロECTプローブ1の励起コイルに交流電圧を印加す
るとともに、該交流電圧の位相信号を、参照信号として
ロックインアンプ47に入力するものである。
【0022】リレーボード46は、マイクロECTプロ
ーブ1に設けられた複数の検出素子5からの電圧信号
(EMF出力)をコンピュータ48からの命令によって
スイッチングして、個々の検出素子5からの出力として
順次ロックインアンプ47に入力するものである。
【0023】ロックインアンプ47は、前記検出素子5
からの出力を、ファンクションシンセサイザ45から入
力された前記参照信号と比較することにより、各検出素
子5からの起電力EMF及び位相差φ(励起コイルの起
電力との位相差)を検出するもので、この検出信号はコ
ンピュータ48に入力されデータ処理される。
【0024】次に、かかる構成の探傷検査装置を用いた
探傷検査方法について、図7のフローチャートに基づい
て説明する。先ず、ステップ701で探傷検査を開始す
ると、ステップ702乃至704でマイクロECTプロ
ーブ1により探傷検査を行うべき範囲の走査が行われ
る。
【0025】すなわち、図5(a)は該走査の様子を説
明する側面図、同図(b)は同じく該走査の様子を説明
する平面図、図6は図5に示したマイクロECTプロー
ブの拡大平面図(磁気検出器4のみを示す。)である
が、これらの図に示すように、マイクロECTプローブ
は、被検体に平行なXY直交座標系に対して、検出素子
K,C,A,EがX軸と平行になるように、また、検出
素子N,B,D,HがY軸と平行になるように配置され
る。
【0026】そして、各検出素子からのデータを収集し
つつX軸方向の走査を行い、探傷検査を行うべき範囲の
X方向を走査した後、Y軸方向(同図ではY軸の負方向
にずらしている)に1ピッチずらして再びX軸方向を走
査する、という工程を繰り返し、検査範囲のすべてを走
査してデータの収集を行う(ステップ704)。
【0027】そして、ステップ705で、かかる走査の
結果、検出素子が起電力EMFの変化ΔEMFを検出し
ない場合には欠陥がないとの判断がなされる(ステップ
711)。一方、起電力の変化ΔEMFが検出された場
合には欠陥があると判断されてステップ706に進む。
【0028】ステップ706では欠陥の向きが判定され
るが、検査範囲内のある点において前記検出素子K,
C,A,Eにより同時にΔEMFが検出された場合に
は、該点においてX方向に延在する欠陥があるものとの
判定がなされ(「X方向欠陥」と称する。これに対して
Y方向に延在する欠陥を「Y方向欠陥」称する。)、ス
テップ707に進む。
【0029】ステップ707では、検出素子KのΔEM
Fの半値幅から欠陥の位置(XY座標系における位置)
と欠陥の長さとが判定される。図8は一例として長さ3
mmの欠陥について、プローブの位置と、検出素子Kの起
電力EMF及び位相との関係を示す線図であるが、同図
から明らかなように、EMFの半値幅はプローブ位置1
2mm〜15mmの位置に対応しており、このように欠陥の
長さ(この場合、3mm)と、該欠陥のXY平面内におけ
る位置(X方向の位置)が同定できる。
【0030】次に、ステップ708では、欠陥のY方向
の位置が判定される。このY方向の位置を判定するに
は、検出素子のどの位置でプローブが欠陥を通過したの
かを検出する必要がある。すなわち、図9に示すよう
に、前記検出素子K,C,A,Eの中心を基準とする
と、この基準線と欠陥とのずれdが求められればよい。
【0031】図10は被検体の厚さ方向に対する欠陥の
深さが20%〜100%の欠陥について、前記Y方向の
ずれd(横軸)と、ΔEMF(K)P /ΔEMF(J)
PK(縦軸)との関係を示す線図である。なお、ΔEMF
(K)P は、検出素子KのΔEMFの最大値であり、Δ
EMF(K)PKは、検出素子KがΔEMFの最大値をと
るときの検出素子JのΔEMFの値である。
【0032】同図から明らかなように、Y方向のずれd
と、EMF(K)P /ΔEMF(J)PKとは、欠陥の深
さに拘らずほぼ一定の関係を有しており、したがってΔ
EMF(K)P /ΔEMF(J)PKを測定すれば、逆に
Y方向のずれdが求められることとなる。例えば、ΔE
MF(K)P /ΔEMF(J)PK=1.5の場合には、
d=0.25となる。このように、ステップ708でΔ
EMF(K)P /ΔEMF(J)PKを測定することによ
りプローブ走査の基準線(前記検出素子K,C,A,E
の中心線)と、欠陥とのずれを同定することができる。
【0033】さらに、ステップ709では、前記ステッ
プ707において求められた欠陥の長さと、ステップ7
08で求められた欠陥のY方向ずれdとに基づいて、被
検体の厚さ方向に関する該欠陥の位置、すなわち、上側
欠陥(マイクロECTプローブ側にあるもの)であるか
下側欠陥(マイクロECTプローブとは反対側にあるも
の)であるか、及びその深さが判定される。
【0034】図11乃至図12は一例として長さが5mm
の欠陥について、前記Y方向ずれdが0mm、0.5mm、
及び1.0mmのそれぞれの場合の、欠陥の深さと、検出
素子KのΔEMF並びに位相差φとの関係を示す線図で
あるが(図11は上側欠陥の場合、図12は下側欠陥の
場合である。)、前記ステップ708で欠陥のY方向ず
れdが求められているから、これらの線図に基づいて、
検出素子KのΔEMF及び位相差φの値から次のように
して被検体の厚さ方向に関する欠陥の位置(上側欠陥か
下側欠陥か、欠陥の深さ)が同定できる。
【0035】すなわち、図11(上側欠陥)と図12
(下側欠陥)の双方についてそれぞれ、検出素子KのΔ
EMFの値と、同じく検出素子Kの位相差φの値とから
欠陥の深さを求める。そして、ΔEMFから求めた深さ
と、位相差φから求めた深さとが、より一致した方がそ
の欠陥の側(上側欠陥又は下側欠陥)となり、該値が欠
陥の深さとなる。
【0036】例えば、Y方向ずれdが0.25mm、検出
素子KのΔEMFが2.00mV、位相差φが22deg の
場合には、図11(a)から欠陥深さは90%、同図の
(b)から欠陥深さは90%となる(ずれ0mmの線図と
ずれ0.5mmの線図との中間の線図を考える。)。一
方、図12(a)からは欠陥深さは95%となり、同図
の(b)からは欠陥深さは90%となる。したがって、
(a)から求められた深さと(b)から求められた深さ
が、より一致した方、すなわち、当該欠陥は上側欠陥で
あることが判り、その深さは、90%である。
【0037】なお、前記ステップ706で検出素子K,
C,A,Eにより同時にΔEMFが検出されない場合に
は、当該欠陥はX方向欠陥ではなく、Y方向欠陥である
と判断し、ステップ712によりY方向欠陥の定量評価
を行う。なお、このY方向欠陥の定量評価は、前記X方
向欠陥に関する定量評価であるステップ707乃至70
9と同様の評価をY方向に関して行うものである。
【0038】本実施例に係る探傷検査方法に用いられる
検出素子は、前述のようにフォトリソグラフィ技術によ
り作製された銅製マイクロコイルにより構成されている
ため、銅製線を芯に巻くことにより作製していた従来の
装置に比べ、次のような利点がある。
【0039】すなわち、前記銅製マイクロコイルは一層
に巻かれるものであるから、コイルの厚みをコイルの線
幅と同程度に薄くでき(0.01mm以下程度)、また、
コイルの外径寸法を小さくできるとともにコイルの巻数
を増やすことができる。したがって、これにより微小欠
陥の検出が可能な高感度の検査装置を実現することがで
きる。さらに、該コイルはフォトリソグラフィ技術によ
り形成されるため、線の巻きむらがなく、高性能なコイ
ルを作製できると共に、品質の均一性を図ることがで
き、品質管理が容易となる。
【0040】さらに、本発明の別の実施例に係る探傷検
査装置を説明する。この実施例に係る検査装置は、前記
図1乃至図2に示したマイクロECTプローブ1の代わ
りに図13乃至図14に示すようなマイクロECTプロ
ーブ101を備えるものであり、この検査装置は平板状
でない被検体の探傷を行うのに最適なものである。
【0041】図13は本実施例のマイクロECTプロー
ブの側断面図、図14は図13のA−A矢視断面図であ
るが、これらの図に示すように、本実施例では、マイク
ロECTプローブ101の形状が被検体107(円筒
管)の形状に沿ったものとされており、各検出素子10
5,105aが被検体107の表面形状に沿って二次元
的に配列されている。また、励起コイル102の両面
に、前記複数の検出素子105,105aが配列された
磁気検出器104,104aが一体に設けられている
(以下、被検体側(図の下側)の磁気検出器104を
「下側検出器」、その反対側(図の上側)の磁気検出器
104aを「上側検出器」と称する。)。
【0042】本実施例においては、マイクロECTプロ
ーブ101は円筒管107の内壁面に沿って移動され、
前記実施例と同様に被検体の走査、データのとり込み、
処理が行われるが、本実施例の検査装置では、前述のよ
うにマイクロECTプローブ101が被検体の表面形状
に沿った形状とされているため、検査時(走査時)に複
数の検出素子105のすべてを被検体107に一定の距
離を隔てて近接させることが可能となる。
【0043】したがって、検出素子105の一部(例え
ば、中央部のもの)が被検体107から離れることによ
る外乱ノイズの混入を防止することができ、S/N比の
向上、欠陥検出能力の向上を図ることができる。
【0044】さらに、前記上側検出器104aにより得
られた検出信号と、下側検出器104により得られた検
出信号とを足し合せることにより励起コイル102が作
る磁場を打ち消すことで、欠陥により生じた磁場の変化
分の測定が容易となり、検出感度が向上する。
【0045】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
従来の渦電流探傷検査法に比べて格段に高精度の探傷検
査を行うことができると共に、欠陥形状の定量評価をも
行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る探傷検査装置が備える
マイクロECTプローブの構成を示す側面図である。
【図2】前記実施例に係る探傷検査装置が備えるマイク
ロECTプローブの構成を示す平面図である。
【図3】前記マイクロECTプローブが備える検出素子
の構成を示す拡大平面図である。
【図4】前記実施例に係る探傷検査装置の全体構成を示
すブロック図である。
【図5】前記実施例におけるマイクロECTプローブに
よる走査の様子を説明する側面図(a)、及び平面図
(b)である。
【図6】図5のマイクロECTプローブの拡大平面図で
ある。
【図7】前記実施例に係る探傷検査装置による探傷検査
の手順を示すフローチャートである。
【図8】長さ3mmの欠陥について、プローブの位置と、
検出素子Kの起電力EMF及び位相との関係を示す線図
である。
【図9】Y方向のずれdを定義する説明図である。
【図10】被検体の厚さ方向に対する欠陥の深さが20
%〜100%の欠陥について、Y方向のずれd(横軸)
と、ΔEMF(K)P /ΔEMF(J)PK(縦軸)との
関係を示す線図である。
【図11】欠陥の深さと、検出素子KのΔEMF並びに
位相差φとの関係を示す線図である(欠陥の長さ5mm、
上側欠陥の場合)。
【図12】同じく欠陥の深さと、検出素子KのΔEMF
並びに位相差φとの関係を示す線図である(欠陥の長さ
5mm、下側欠陥の場合)。
【図13】本発明の別の実施例に係る探傷検査装置が備
えるマイクロECTプローブの構成を示す側断面図であ
る。
【図14】図13のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
1,101 マイクロECTプローブ 2,102 励起コイル 3 励起コイル用芯 4,104,104a 磁気検出器 5,105,105a 検出素子 6 石英基盤 7,107 被検体(被検査物) 42 XYZθステージ 43 XYZ用ステージコントローラ 44 θ用ステージコントローラ 45 ファンクションシンセサイザ 46 リレーボード 47 ロックインアンプ 48 コンピュータ 尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【作用】前記のように構成された本発明においては、被
検体に対して交流磁場を印加すると共に該交流磁場の変
化を前記磁気検出手段により検出しつつ被検体の深傷検
査範囲を走査する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】 磁気検出手段は、前述のように走査方向
と、該走査方向と交叉する方向とに二次元的に配列され
た複数の磁気検出素子を有するものであり、このような
磁気検出手段の複数の磁気検出素子を用いて被検体表面
に交叉する磁場の強度及び/又は位相の変化の分布を測
定することで、欠陥の存在、並びにその欠陥の長さや深
さ、向きなどの欠陥形状の検出が可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】 また、請求項4の発明においては、前述
のように磁気検出手段の複数の検出素子が被検体の表面
形状に沿って配列されているため、検査時に該複数の検
出素子のすべてを被検体に一定の距離を隔てて近接させ
ることが可能となる。したがって、検出素子の一部が被
検体から離れることによる外乱ノイズの混入を防止する
ことができ、S/N比の向上、欠陥検出能力の向上が図
られる。以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説
明する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】 ステップ706では欠陥の向きが判定さ
れるが、検査範囲内のある点において前記検出素子K,
C,により同時にΔEMFが検出された場合には、該
点においてX方向に延在する欠陥があるものとの判定が
なされ(「X方向欠陥」と称する。)。これに対して
出素子HからΔEMFが検出された場合はY方向に延在
する欠陥があるものとの判定がなされ(「Y方向欠陥」
称する。)、それぞれステップ707,712に進
む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】 図10は被検体の厚さ方向に対する欠陥
の深さが20%〜100%の欠陥について、前記Y方向
のずれd(横軸)と、ΔEMF(K)/ΔEMF
(J) (縦軸)との関係を示す線図である。なお、Δ
EMF(K) ,ΔEMF(J) は、検出素子K,J
のΔEMFの最大値である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】 同図から明らかなように、Y方向のずれ
dと、EMF(K)/ΔEMF(J) とは、欠陥の
深さに拘らずほぼ一定の関係を有しており、したがって
ΔEMF(K)/ΔEMF(J) を測定すれば、逆
にY方向のずれdが求められることとなる。例えば、Δ
EMF(K)/ΔEMF(J) =1.5の場合に
は、d=0.25となる。このように、ステップ708
でΔEMF(K)/ΔEMF(J) を測定すること
によりプローブ走査の基準線(前記検出素子K,C,
A,Eの中心線)と、欠陥とのずれを同定することがで
きる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】 Y方向欠陥の定量評価には検出素子Hを
割り当てる。Y方向欠陥が検出素子Hの真下に位置する
ときの両者の相対位置は、X方向欠陥が検出素子Kの真
下に位置するときのそれと全く同じである。しかし、Y
方向欠陥はプローブ走行時、必ずその位置を通過する。
したがって、検出素子HのΔEMFと位相の最大値をY
方向ピッチ刻みでY方向座標に対してプロットすれば、
それらの波形は、ずれ0mmのX方向欠陥による検出素
子Kから得られる波形と全く同じとなる。よって、ステ
ップ707と全く同様に、EMFに関する波形の半値幅
より長さと位置が判定され、ずれ0mmと設定すること
により、ステップ709にて、欠陥深さと上・下側の判
定が可能となる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】 図13は本実施例のマイクロECTプロ
ーブの側断面図、図14は図13のA−A矢視断面図で
あるが、これらの図に示すように、本実施例では、マイ
クロECTプローブ101の形状が被検体107(円筒
管)の形状に沿ったものとされており、検出素子105
が被検体107の表面形状に沿って二次元的に配列さ
励起コイル102の面に、前記検出素子105
配列された磁気検出器104が一体に設けられている。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
従来の渦電流探傷検査法に比べて格段に高精度の探傷検
査を行うことができると共に、欠陥形状の定量評価をも
行うことが可能となる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】削除
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】 被検体の厚さ方向に対する欠陥の深さが2
0%〜100%の欠陥について、Y方向のずれd(横
軸)と、ΔEMF(K)/ΔEMF(J)(縦軸)
との関係を示す線図である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1,101 マイクロECTプローブ 2,102 励起コイル 3 励起コイル用芯4,104 磁気検出器5,105 検出素子 6 石英基盤 7,107 被検体(被検査物) 42 XYZθステージ 43 XYZ用ステージコントローラ 44 θ用ステージコントローラ 45 ファンクションシンセサイザ 46 リレーボード 47 ロックインアンプ 48 コンピュータ 尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【手続補正14】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正15】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正16】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
【手続補正17】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正内容】
【図14】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮 健三 茨城県那珂郡東海村白方白根2番地の22 東京大学工学部附属原子力工学研究施設内 (72)発明者 上坂 充 茨城県那珂郡東海村白方白根2番地の22 東京大学工学部附属原子力工学研究施設内 (72)発明者 笠井 一夫 兵庫県尼崎市扶桑町1番10号 住友精密工 業株式会社内 (72)発明者 佐藤 安彦 兵庫県尼崎市扶桑町1番10号 住友精密工 業株式会社内 (72)発明者 青木 一彦 大阪府大阪市鶴見区諸口3丁目1番17− 406 (72)発明者 小松 英伸 大阪府堺市南長尾町2丁3番10−205 (72)発明者 松本 善博 大阪府堺市新家町49番地の1

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に対して交流磁場を印加すると共
    に該交流磁場の変化を磁気検出手段により検出しつつ被
    検体の探傷検査範囲を走査して該被検体に存在する欠陥
    を検査する探傷検査方法であって、 前記磁気検出手段は、前記走査方向と、該走査方向と交
    叉する方向とに二次元的に配列された複数の磁気検出素
    子を有するものであり、 該磁気検出手段の複数の磁気検出素子を用いて、被検体
    表面に交叉する磁場の強度及び/又は位相の変化の分布
    を測定することにより前記欠陥を検出することを特徴と
    する探傷検査方法。
  2. 【請求項2】 被検体に対して交流磁場を印加する交流
    磁場印加手段と、磁場の強度を測定する二次元的に配列
    された複数の検出素子を有する磁気検出手段とを備えた
    探傷検査用センサと、 前記探傷検査用センサと前記被検体とを近接させつつ両
    者の相対位置を変化させる移動手段とを備え、 前記磁気検出手段の複数の検出素子を用いて、被検体表
    面に交叉する磁場の強度及び/又は位相の変化の分布を
    測定することにより前記欠陥を検出することを特徴とす
    る探傷検査装置。
  3. 【請求項3】 被検体に対して交流磁場を印加する交流
    磁場印加手段と、 磁場の強度を測定する二次元的に配列された複数の検出
    素子を有する磁気検出手段とを一体に備えてなる探傷検
    査用センサ。
  4. 【請求項4】 前記磁気検出手段の複数の検出素子は、
    被検体の表面形状に沿って配列されたものであることを
    特徴とする請求項2に記載の探傷検査装置。
  5. 【請求項5】 前記交流磁場印加手段の、被検体側の面
    と、該被検体側の面の反対側の面とに前記磁気検出手段
    が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の探傷検
    査装置。
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