JP2002122273A - 燃料用パイプまたはタンク - Google Patents

燃料用パイプまたはタンク

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JP2002122273A JP2001220960A JP2001220960A JP2002122273A JP 2002122273 A JP2002122273 A JP 2002122273A JP 2001220960 A JP2001220960 A JP 2001220960A JP 2001220960 A JP2001220960 A JP 2001220960A JP 2002122273 A JP2002122273 A JP 2002122273A
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  • Cooling, Air Intake And Gas Exhaust, And Fuel Tank Arrangements In Propulsion Units (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料、特にガソリンによるストレスクラッキ
ングを生じ難く、かつガソリンバリアー性に優れた燃料
用パイプおよびタンクを提供する。 【解決手段】 エチレン含有量10〜80モル%のエチ
レン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に
対し、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステル
から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)1〜
50重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層
有する燃料用パイプまたはタンク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガソリン、特に含酸素
ガソリンに対する耐ストレスクラック性およびガソリン
バリアー性に優れた、EVOH樹脂組成物層を有する燃
料用パイプまたはタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】炭化水素類、例えばガソリンを保存する
ための容器あるいは移送するためのパイプの素材として
プラスチックは多くの分野において期待されており、自
動車用燃料タンク、燃料パイプ等が一例として挙げられ
る。また、プラスチックとしてはポリエチレン(特に、
超高密度ポリエチレン)が経済性、成形加工性、機械的
強度等の点で期待されている。しかし、ポリエチレン製
燃料タンクは、保存されるガソリンの気体あるいは液体
が容器のポリエチレンの壁を通して大気中に飛散しやす
いという欠点を有する事が知られている。そこで、かか
る欠点を解消するため、ポリエチレン製容器にハロゲン
ガス(フッ素、塩素、臭素等)あるいは三酸化硫黄(S
)等を容器に吹き込み、容器内面をハロゲン化ある
いはスルホン化する方法が、また、ポリアミド樹脂とポ
リエチレン樹脂とを多層化する方法が考案されており一
部で実用化されている。しかしながら、既述の方法で処
理したポリエチレン容器においても、近年ガソリンの消
費節約、高性能化、地球環境改善のため、メチルアルコ
ール、エチルアルコール等の沸点の低いアルコール類、
あるいはメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)等の
エーテル類をブレンドした含酸素ガソリンや、燃料タン
ク使用時に実際上避けることのできない水分混入ガソリ
ンおよび水分混入含酸素ガソリンに対しては、透過量が
増大するという欠点を有しており、これらの欠点の改善
が望まれる。
【0003】そこで、さらなる改善方法として、ガソリ
ンおよび含酸素ガソリンの透過性が非常に小さい(バリ
アー性良好)素材として、エチレン−ビニルアルコール
共重合体(以下これを「EVOH」と略称する)に注目
が集まっており、EVOHとポリエチレンとを積層した
多層容器、あるいはEVOHとポリアミドとを積層した
多層パイプ等が試作されている。また、特開昭50−1
03528号公報には、内外2層よりなる中空成形容器
あるいはチューブ状容器において、一方の層がポリオレ
フィンで形成され、他方の層がEVOHを主体としこれ
に金属イオンを含有するエチレン共重合体(デュポン社
製サーリン)とナイロンの三成分からなる樹脂組成物で
形成されている中空成形容器あるいはチューブ状容器は
ガソリンの透過度が小さく、耐油性に優れていることが
紹介されている。
【0004】その結果、これらの多層構成体はガソリン
および含酸素ガソリンのバリアー性が良好であり、実用
化を目指し積極的な検討がなされているが、予想外の大
きな問題点がある事が判明した。すなわち、例えば、超
高密度ポリエチレン(UHDPE)/接着性樹脂(A
d)/EVOH/Ad/UHDPE3種5層多層構成の
燃料タンクにおいて、各種ガソリンを充填して長期間保
存すると、タンクの一部に微小なクラックが生じる為
か、ガソリンバリアー性が急激に悪化する場合がある。
種々原因の調査を行った結果、該多層構成容器におい
て、ガソリン充填時、UHDPEおよびAdのガソリン
膨潤性(寸法変化率)とEVOHのそれとが大きく異な
りEVOHに異常なストレスが掛かる事、およびEVO
Hは含酸素ガソリンおよび水分混入含酸素ガソリンでス
トレスクラックが生じやすい事が判明した。それゆえ、
ガソリン、特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラ
ック性、およびガソリンバリアー性に優れたEVOHの
開発が重要な課題の一つである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガソリン、
特に含酸素ガソリンに対する耐ストレスクラック性、お
よびガソリンバリアー性に優れたEVOH樹脂組成物を
用いたガソリンバリアー性を有する燃料用パイプまたは
タンクを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、エチレン含
有量10〜80モル%のEVOH(A)100重量部に
対し、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステル
から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)1〜
50重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層
有する燃料用パイプまたはタンクを提供することによっ
て、また前記組成物(C)層と熱可塑性樹脂(D)層と
を接着性樹脂(E)層を介して積層した多層構造体から
なる燃料用パイプまたはタンクを提供することにより達
成される。本発明者らは、種々の熱可塑性樹脂等をEV
OHにブレンドしたフィルムを用い、10%引張定歪み
条件下におけるガソリンに対するストレスクラック性お
よびガソリンバリアー性の評価を実施した。その結果、
EVOH(A)に前記熱可塑性樹脂(B)を配合した場
合、ストレスクラックが改善すること、すなわち10%
引張定歪み条件下におけるガソリンに対するストレスク
ラックが生じないことを見出した。
【0007】本発明において、熱可塑性樹脂(B)とし
ては、(1)脂肪族ポリアミド、非晶性ポリアミド、メ
タキシリレン含有ポリアミド等のポリアミド系樹脂、
(2)ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレンとプロ
ピレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルモノ
マーとの共重合体;これらと酸無水物、ビニルシラン系
化合物あるいはエポキシ基含有化合物を共重合あるいは
グラフト重合したポリオレフィン;エチレン含有量50
〜95モル%、けん化度50%以上のエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体けん化物等のポリオレフィン、(3)脂肪
族および芳香族ポリエステルが挙げられる。
【0008】特に、この中で(1)のポリアミドをブレ
ンドする場合は、(2)のポリオレフィンをブレンドす
る場合に比較してガソリンバリアー性の点で優れてい
る。また(2)のポリオレフィンをブレンドする場合は
(1)のポリアミドをブレンドする場合に比較してEV
OH(A)との組成物(C)の熱安定性が良好であり、
フィルム等の成形加工時成形機の長時間運転によっても
ゲル、ブツの発生によるストレスクラック性の悪化を防
止することができる。
【0009】本発明において、EVOH(A)とはエチ
レン−ビニルエステル共重合体けん化物であり、エチレ
ン含有量はそれぞれ10〜80モル%、好適には20〜
70モル%の範囲が、またけん化度は80%以上、好適
には85%以上から選ばれる。エチレン含有量が20モ
ル%未満では溶融成形性が悪く、一方80モル%以上で
は、ガスバリアー性が不足する。また、けん化度が80
%未満では、ガスバリアー性および熱安定性が悪くな
る。本発明においては、EVOH製造時に用いるビニル
エステルとしては酢酸ビニルが代表的なものとして挙げ
られるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン
酸ビニル、ピバリン酸ビニル等)も使用できる。
【0010】また、EVOHに共重合成分としてビニル
シラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有する場
合にも基材と該EVOHとの溶融粘性の整合性が改善さ
れ、均質な共押出多層フィルムの製造が可能なだけでな
く、EVOH同士のブレンドに際し分散性が改善され成
形性等の改善の面で有効である。
【0011】ここで、ビニルシラン系化合物としては、
たとえばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラ
ン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランが挙
げられる。なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシランが好適に用いられる。
【0012】さらに、本発明の目的が阻害されない範囲
で、他の共単量体、例えばプロピレン、ブチレン、不飽
和カルボン酸またはそのエステル{(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル(メチル、エチル)
等}、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドン等)を
共重合することもできるし、さらに、熱安定剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合
物をブレンドすることもできる。特に、ゲル発生防止、
成形性改善、クラック防止対策として、ハイドロタルサ
イト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードア
ミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(たと
えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシ
ウム等)、あるいはホウ素系化合物の一種または二種以
上を0.01〜1重量%添加する事は好適である。
【0013】また、本発明に用いるEVOHの好適なメ
ルトインデックス(MI)(190℃、2160g荷重
下で測定した値;ただし、融点が190℃付近あるいは
190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の
複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を
横軸、メルトインデックスを縦軸としてプロットし、1
90℃に外挿して求めた値)は0.1〜50g/10m
in.、最適には0.5〜20g/10min.であ
る。
【0014】ポリアミド(B)の脂肪族ポリアミドとし
ては、6ナイロン、6・6ナイロン、6/6・6ナイロ
ン、6・9ナイロン、6・12ナイロン、12ナイロ
ン、11ナイロン、6・4ナイロンおよびこれらのエラ
ストマーが挙げられる。とりわけ、ポリアミド中のCH
基とNHCO基とのモル比(CH基/NHCO基=
C/N)が5〜12の範囲にあることが好ましい。C/
N<5の場合、EVOHとの熱安定性が悪くゲル等が発
生しやすく、C/N>12ではEVOHとの相溶性が悪
く機械的強度(引張強伸度、衝撃強度等)が低下する。
【0015】メタキシリレン含有ポリアミドとしては、
メタキシリレンジアミンと全量の80%以下のパラキシ
リレンジアミンを含む混合キシリレンジアミンと、炭素
数が6〜10個のα,ω−脂肪族ジカルボン酸とから生
成された構成単位を分子鎖中に少なくとも70モル%含
有した重合体が挙げられる。
【0016】これらの重合体の例としては、ポリメタキ
シリレンジアジパミド、ポリメタキシリレンセバカミ
ド、ポリメタキシリレンスべラミド等のような単独重合
体、およびメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド
共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド
共重合体、等のような共重合体、並びにこれらの単独重
合体または共重合体の成分とヘキサメチレンジアミンの
ような脂肪族ジアミン、ピペラジンのような脂環式ジア
ミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンのよ
うな芳香族ジアミン、テレフタル酸のような芳香族ジカ
ルボン酸、ε−カプロラクタムのようなラクタム、γ−
アミノヘプタン酸のようなω−アミノカルボン酸、パラ
−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン
酸等とを共重合した共重合体等が挙げられる。上記の共
重合体において、パラキシリレンジアミンは全キシリレ
ンジアミンに対して80%以下であり、好適には、75
%以下である。またキシリレンジアミンと脂肪族ジカル
ボン酸とから生成された構成単位を分子鎖中において少
なくとも70モル%以上、好適には、75モル%以上で
ある。
【0017】また、これらのポリマーに、たとえば前記
したポリアミド等の重合体、帯電防止剤、滑剤、耐ブロ
ッキング剤、安定剤、染料、顔料等を含有してもよい。
そして、該メタキシリレン含有ポリアミド樹脂の相対粘
度{96%硫酸溶液(1g/100ml)、25℃}は
1.0〜5dl/g、さらには1.5〜4dl/gであ
ることが望ましい。
【0018】非晶質ポリアミドとは、DSC測定におい
て、実質上、吸熱結晶融解ピークを有さないもので、主
として、脂肪族ジアミンおよび芳香族ジカルボン酸の重
縮合体である。脂肪族ジアミンとしては、たとえばヘキ
サメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレ
ンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ビス
−(4−アミノヘキシル)−メタン、2,2−ビス−
(4−アミノヘキシル)−イソプロピリジン、1,4−
ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキ
サン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノブ
タン、1,3−ジアミノプロパン、および2−エチルジ
アミノブタン等が挙げられる。これらのジアミンは、一
種またはそれ以上を同時に用いることができる。なかで
も、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレ
ンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,4−ジア
ミノブタン、および1,3−ジアミノプロパンが好適に
用いられる。
【0019】芳香族ジカルボン酸としては、たとえばイ
ソフタール酸、テレフタール酸、アルキル置換イソフタ
ール酸、アルキル置換テレフタール酸、ナフタレンジカ
ルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げら
れる。これらのジカルボン酸は、一種またはそれ以上を
同時に用いることができる。なかでも、イソフタール
酸、テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェ
ニルエーテルジカルボン酸等が熱成形性、透明性および
ガスバリアー性等の面で好適である。
【0020】そして、非晶質ポリアミドとしての例は、
ヘキサメチレンジアミンとイソフタール酸の重縮合体、
ヘキサメチレンジアミン−イソフタール酸/テレフター
ル酸の重縮合体、2,2,4−トリメチルヘキサメチレ
ンジアミンおよび2,4,4−トリメチルヘキサメチレ
ンジアミン−テレフタール酸の重縮合体等が挙げられ
る。なかでもイソフタール酸/テレフタール酸のモル比
が60/40〜95/5、さらには、65/35〜90
/10の範囲にあるヘキサメチレンジアミン−イソフタ
ール酸/テレフタール酸の重縮合体が好適である。
【0021】ポリオレフィン(B)としては、ポリエチ
レン;ポリプロピレン;エチレンとプロピレン、酢酸ビ
ニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ア
クリル酸、メタクリル酸等との共重合体、前記ポリオレ
フィンに、不飽和カルボン酸、その酸無水物、ビニルシ
ラン系化合物、あるいはエポキシ基含有化合物を共重合
あるいはグラフト重合してなる変性ポリオレフィン系樹
脂であり、EVOH(A)との相溶性、分散性改善に有
効な、酸無水物、ビニルシラン系化合物、あるいはエポ
キシ基含有化合物を共重合あるいはグラフト重合してな
る変性ポリオレフィン系樹脂が好適であり、中でも酸無
水物あるいはエポキシ基含有系が、また、樹脂として
は、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合
体がより好適である。
【0022】他のポリオレフィン(B)としては、エチ
レン含有量40〜95モル%、けん化度50%以上のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体けん化物が挙げられる。該
エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物のエチレン含有
率が40%以下の場合には耐ストレスクラック性の改善
効果が十分でなく、一方95%以上ではEVOHとの相
溶性の悪化による機械的強度の低下およびガソリンバリ
アー性が悪化する。一般的な傾向としてはエチレン含有
率が低い事が望ましく好適には44〜90モル%であ
る。また、けん化度に関しては50%以下では熱安定性
が悪く、また相溶性の面からも好ましくない。一般的な
傾向としてはけん化度が低い事が望ましく好適には60
%以上である。なおEVOH(A)のエチレン含有量と
は少なくとも5モル%、さらには10モル%大きいこと
が望ましい。
【0023】ポリエステル(B)としては、脂肪族ポリ
エステルおよび芳香族ポリエステルが挙げられ、脂肪族
ポリエステルにはエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール等の脂肪族ジオール、またはシクロヘキサメチ
レングリコールのような脂環族ジオールとアジピン酸、
セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸とのポリエステル等
を用いることができる。また芳香族ポリエステルには前
記脂肪族ジオールまたは脂環族ジオールとイソフタール
酸、テレフタール酸、アルキル置換イソフタール酸、ア
ルキル置換テレフタール酸、ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルエーテルカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸
とのポリエステル等を用いることができる。
【0024】熱可塑性樹脂(B)の配合量は、EVOH
(A)100重量部に対して、1〜50重量部、好適に
は5〜40重量部である。配合量が1重量部未満では耐
ストレスクラック性の改善効果が十分でない。一方、5
0重量部をこえるとガソリンバリアー性が十分でない。
【0025】上記熱可塑性樹脂(B)の中で(1)のポ
リアミドをブレンドする場合は、(2)のポリオレフィ
ンをブレンドする場合に比較してガソリンバリアー性の
点で優れている。また(2)のポリオレフィンをブレン
ドする場合は(1)のポリアミドをブレンドする場合に
比較してEVOH(A)との組成物(C)の熱安定性が
良好であり、フィルム等の成形加工時成形機の長時間運
転によってもゲル、ブツの発生によるストレスクラック
性の悪化を防止することができる。
【0026】本発明においては、前記(A)および
(B)からなる組成物に、疎水性可塑剤(F)を配合す
ることが好適な場合が多い。特に(B)としてポリオレ
フィンを使用する場合は、疎水性可塑剤(F)を配合す
ることが好ましい。
【0027】ここで疎水性可塑剤としては次の式を満足
するものがより好適である。 6.5≧19−CH(A)×0.1−SP(F)≧1.5・・・・・・・(i) −1≦SP(F)−SP(B)≦3.5 ・・・・・・(ii) [但し、CH(A)はEVOH(A)の平均エチレン含
有量(モル%)を、SP(F)は疎水性可塑剤(F)の
溶解性パラメーター(Fedorsの式)を、SP
(B)は熱可塑性樹脂(B)の溶解性パラメーター(F
edrosの式)を示す。]
【0028】疎水性可塑剤(F)添加による予想外の改
善効果発現の原因は定かでは無いが、耐ストレスクラッ
ク性は疎水性可塑剤(F)添加により、熱可塑性樹脂
(B)の添加量を大きく削減できる事、すなわち、疎水
性可塑剤(F)が溶解性(パラメーター)の関係でEV
OH樹脂(A)側よりは熱可塑性樹脂(B)に優先的に
分配され、熱可塑性樹脂(B)の可塑化による耐ストレ
スクラック性の改善が図れたものと推定される。
【0029】疎水性可塑剤(F)としては、芳香族エス
テル、脂肪族エステル、リン酸エステル、およびそれら
のエポキシ化合物等が挙げられる。
【0030】芳香族エステルとしては、ジブチルフタレ
ート、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、
ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジシクロヘキシ
ルフタレート、ブチルラウリルフタレート、ジイソオク
チルフタレート、ブチルココナッツアルキルフタレー
ト、ジトリデシルフタレート、ジラウリルフタレート、
ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、
オクチルカプリルフタレート、ジメチルグリコールフタ
レート、エチルフタリルエチレングリコレート、メチル
フタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレ
ングリコレート、ジノニルフタレート、オクチルデシル
フタレート、ジカプリルフタレート、ジ(3,5,5−
トリメチルヘキシル)フタレート、イソオクチルイソデ
シルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジブト
キシジエチルフタレート、ビス(ジエチレングリコール
モノメチルエーテル)フタレート等が挙げられる。
【0031】脂肪族エステルとしては、ポリプロピレン
アジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−メチル
ヘキシル)アジペート、ジカプリルアジペート、ジイソ
オクチルアジペート、オクチルデシルアジペート、イソ
オクチルイソデシルアジペート、ジブチルフマレート、
ジオクチルフマレート、トリエチルシトレート、アセチ
ルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセ
チルトリブチルシトレート、アセチルトリ(2−エチル
ヘキシル)シトレート等がある。
【0032】リン酸エステルとしては、トリクレシルフ
ォスフェート、フェニルジクレシルフォスフェート、キ
シレニルジクレシルフォスフェート、クレシルジキシレ
ニルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、ト
リブチルフォスフェート、トリクロルエチルフォスフェ
ート、トリオクチルフォスフェート、トリエチルフォス
フェート、アリルアルキルフォスフェート、ジフェニル
モノオルソキセニルフォスフェート等がある。
【0033】エポキシ系化合物としては、エポキシモノ
エステル、ブチルエポキシステアレート、オクチルエポ
キシステアレート、エポキシブチルオレエート、エポキ
シ化オレイン酸ブチル、エポキシ化ダイズ油、エポキシ
化アマニ油、エポキシ化アルキルオイル、エポキシ化ア
ルキルオイルアルコールエステル等がある。
【0034】これらの疎水性可塑剤の中でも、エポキシ
化ダイズ油、エポキシ化アマニ油、ジ(2−エチルヘキ
シル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジブチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジ(2−エチルヘ
キシル)フタレート、メチルフタリルエチレングリコレ
ート等が好適に用いられる。
【0035】EVOH(A)と熱可塑性樹脂(B)との
組成物またはこれに疎水性可塑剤(F)を配合した組成
物の190℃、2160g荷重下におけるMIは0.1
〜50g/10min.好適には、0.3〜30g/1
0min.である。
【0036】前記(A)および(B)、さらにはこれに
(F)をブレンドする方法に関しては、特に限定される
ものではないが、EVOHと該熱可塑性樹脂をドライブ
レンドしてそのまま使用する、あるいはより好適にはバ
ンバリミキサー、単軸または二軸スクリュー押出機等で
ペレット化、乾燥する方法等がある。ブレンドが不均一
であったり、またブレンドペレット化操作時にゲル、ブ
ツの発生、混入があるとクラックが発生する可能性が大
きい。従って、ブレンドペレット化操作時混練度の高い
押出機を使用し、ホッパー口を窒素シールし、低温で押
出しする事が望ましい。また、ブレンドペレット化する
際、他の添加剤(可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、着色剤、フィラー、ホウ素系化合物、他の樹
脂等)を本発明の目的が阻害されない範囲で使用する事
は自由である。特にゲル発生防止対策として、ハイドロ
タルサイト系化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダ
ードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩
(たとえば、ステアリン酸カルシウム等)の一種または
二種以上を0.01〜1重量%添加する事は好適であ
る。
【0037】本発明の燃料用パイプまたはタンクは、前
記(A)および(B)、またはこれに(F)を配合した
組成物(C)の層を少なくとも1層有するものである
が、組成物(C)層に他の熱可塑性樹脂(D)層を積層
したものが好適である。ガスバリアー性およびガソリン
バリアー性を付与する組成物(C)層の厚みは5〜25
0μ、通常10〜100μの範囲から選ばれる。一方、
内層および/または外層に使用する熱可塑性樹脂(D)
は任意のものが採用され、特に制限はないが、目的によ
っては透湿性、耐熱性、ヒートシール性、等の点を配慮
することにより優れたガソリンバリアー性の多層構造体
を得る事ができる。熱可塑性樹脂(D)としては、ポリ
プロピレン、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン
系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、ポリウレタン樹脂および照射架橋したポリプロピレ
ン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−酢酸ビニル系共重合体けん化物、エチレン−ア
クリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、エチレ
ン−メタクリル酸エステル系共重合体等が挙げられ、中
でも高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド
が好適に用いられる。また両外層に使用する樹脂には前
述したような酸化防止剤、着色剤、充填剤等の添加物を
添加してもよい。
【0038】本発明において組成物(C)と該熱可塑性
樹脂(D)とを積層する場合、ストレスクラック性を向
上させるために接着性樹脂(E)を使用することが好ま
しい。接着性樹脂(E)としては、組成物(C)層と該
熱可塑性樹脂(D)層とを強固に接着するものであれ
ば、特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸
またはその無水物(無水マレイン酸等)をポリプロピレ
ン、ポリエチレン等のオレフィン系重合体、あるいはエ
チレンとこれを共重合しうるモノマー(酢酸ビニル、ア
クリル酸エステル等)との共重合体[たとえばエチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸
エステル(メチルエステル、またはエチルエステル)共
重合体]にグラフトしたものが好適に用いられる。
【0039】多層構造体を得る方法としては、組成物
(C)と熱可塑性樹脂(D)とを接着性樹脂(E)を介
して押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出ラ
ミネート法、共押出成形法、共射出成形法、共押出イン
フレーション成形法、溶液コート法等によりフィルム
状、シート状、パイプ状、タンク(含ボトル)状構造
体、特に多層構造体を得る方法が挙げられる。この構造
体を得る場合、構造体をEVOHの融点以下の範囲で再
加熱し、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、あるい
はインフレーション延伸法、ブロー延伸法等により一
軸、あるいは二軸延伸することができる。また、該多層
構造体に放射線、電子線、紫外線等を照射し、組成物
(C)層、熱可塑性樹脂(D)層を架橋すること、ある
いは押出成形時、化学架橋剤を添加し化学架橋すること
もできる。
【0040】多層構造体の厚み構成に関しても、成形性
およびコスト等を考慮した場合、全厚みに対するEVO
H組成物層の厚み比率は2〜20%程度が好適である。
中間層の組成物(C)層と両外層または片外層にある熱
可塑性樹脂(D)層との位置関係は、バリアー性および
耐ストレスクラック性に大きく影響し、タンクあるいは
パイプの内側、すなわち、ガソリン等の燃料と接触して
いる層を内層、また外気に触れる層を外層とした場合、
組成物(C)層が内側に位置する程、耐ストレスクラッ
ク性は改善され、またガソリンの銘柄によってはバリア
ー性が悪化することがある。これとは逆に組成物(C)
層が外層側に位置するほど耐ストレスクラック性は悪く
なるもののガソリンバリアー性がよい場合がある。従っ
て一般的には組成物(C)層が外層と内層との中央に位
置しない構成を取る事が望ましい。また多層構造体の構
成としては、EVOH組成物(C)層/接着性樹脂
(E)層/熱可塑性樹脂(D)層、熱可塑性樹脂(D)
層/接着性樹脂(E)層/EVOH組成物(C)層、熱
可塑性樹脂(D)層/接着性樹脂(E)層/EVOH組
成物(C)層/接着性樹脂(E)層/熱可塑性樹脂
(D)層等が代表的なものして挙げられる。両外層にポ
リオレフィン樹脂層を設ける場合は、該樹脂が異なって
いてもよいし、また同じものでもよい。また成形時発生
するトリム等のスクラップを熱可塑性樹脂層にブレンド
したり、別途回収層をもうけて再使用される場合も多
い。
【0041】ここで燃料用パイプとは、ガソリン供給用
のパイプ、自動車に使用されるガソリン移送用のパイ
プ、石油供給用のパイプ、石油ストーブに使用される石
油移送用のパイプ等を意味し、また燃料用タンクとはガ
ソリン貯蔵タンク、貯蔵ボトル、自動車に用いられるガ
ソリンタンク、石油貯蔵タンク、貯蔵ボトル、石油スト
ーブに用いられる貯蔵タンク等を意味する。
【0042】またこれらのパイプまたはタンクは、前記
したとおり、共押出法、共射出法等により得られるが、
フィルム状物、シート状物を得、これを使用してパイプ
またはタンクを得ることもできる。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】実施例1 エチレン含有量27モル%、けん化度99.5%、MI
(190℃、2160g荷重)1.5g/10min.
のEVOH(A)100重量部と6−12ポリアミド
(C/N=7、表1にAで示す。グリラックスXE31
16)40重量部を二軸スクリュータイプ、ベント式4
0Φ押出機に入れ、窒素雰囲気下、200℃で押出しペ
レット化を行った。得られた樹脂(C)のMIは4g/
10min.であった。該ペレットを単層フィルム成形
装置に投入し100μのフィルムを得、JISダンベル
3号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃ガソリ
ン(市販レギュラーガソリン)に3時間浸漬し、ストレ
スクラック性の評価を行ったがクラックは認められなか
った。
【0045】また、該ペレットを用いて3種5層共押出
多層ダイレクトブロー装置により、多層容器を作成し
た。多層容器の構成は両最外層が高密度ポリエチレン樹
脂層(HDPE,三井石油化学(株)製のハイゼックス
HZ8200B)各850μ、接着性樹脂層(AD−
1、三井石油化学(株)製のアドマーNF450A)各
100μ、さらに最内層中央には上記EVOH組成物
(C)層100μである。得られた容器にガソリンを充
填し40℃、65%RHの条件下で1年間放置したが容
器にクラックは認められず、またガソリンバリアー性の
低下は認められなかった。加速試験として、該容器の胴
部を切取り、上記フィルムと同様にJISダンベル3号
を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃のガソリン
に3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがク
ラックは認められなかった。また、該容器のガソリンバ
リアー性は0.010g/m・dayであった。
【0046】実施例2 実施例1に用いたEVOH(A)100重量部と非結晶
性ポリアミド(B.宇部興産(株)製 12−ナイロン
X−21)40重量部とを用いて実施例1に記載した
方法によりEVOH樹脂組成物(C)のペレットを得
た。このペレットを用いて実施例1と同様100μのフ
ィルムを得、JISダンベル3号を用いて10%引張伸
度付加のもと、40℃ Ref−C(トルエン50%と
イソオクタン50%とからなる混合ガソリン)に3時間
浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラックの
発生は認められなかった。またこのペレットを用いて実
施例1と同様3種5層共押出ダイレクトブロー装置によ
り多層容器を作成した。得られた容器にRef−C混合
ガソリンを充填し40℃、65%RHの条件下で1年間
放置したが容器にクラックは認められず、またガソリン
バリアー性の低下は認められなかった。さらに実施例1
と同様にして加速試験を行ない、実施例1のガソリンに
代えてRef−Cに対するストレスクラック性の評価を
行ったがクラックは認められなかった。また、該容器の
ガソリンバリアー性は優れたもので表1に示したように
0.005g/m・dayであった。
【0047】実施例3 実施例1に用いたEVOH(A)100重量部とメタキ
シリレン系ポリアミド(C.三菱ガス化学(株)製 M
XD−6)40重量部とを用いて実施例1に記載した方
法と同じ方法によりEVOH樹脂組成物(C)のペレッ
トを得た。このペレットを用いて100μの単層フィル
ムを得、実施例2と同様Ref−Cに対するストレスク
ラック性の評価を行ったがクラックの発生は認められな
かった。またこのペレットを用いて実施例1と同様3種
5層共押出ダイレクトブロー装置により多層容器を作成
し、実施例2と同様にRef−C混合ガソリンに対する
ストレスクラック性およびガソリンバリアー性を測定し
た。その結果を表1に示すようにいずれの性質も優れた
多層容器であった。
【0048】実施例4 実施例1に用いたEVOH(A)100重量部と、エチ
レン含有量50モル%、けん化度95%のエチレン−酢
酸ビニル共重合体けん化物(表1中Dと記載)40重量
部とを用いて実施例1に記載した方法と同じ方法により
EVOH樹脂組成物(C)のペレットを得た。このペレ
ットを用いて実施例1と同様100μフィルムを得た。
またこのペレットを用いて実施例1と同様3種5層共押
出ダイレクトブロー装置により多層容器を製造した。こ
の単層フィルムおよび多層容器について実施例2と同様
にRef−C混合ガソリンに対するストレスクラック性
およびガソリンバリアー性を測定した。その結果は表1
に示すようにいずれも優れていた。
【0049】実施例5 エチレン含有量27モル%、けん化度99.5%、MI
(190℃、2160g荷重)1.5g/10min.
のEVOH(A)100重量部と熱可塑性樹脂(B)と
して、エチレン含有量50モル%、けん化度95%のエ
チレン酢酸ビニル共重合体けん化物20重量部とを一軸
40Φ押出機に入れ、窒素雰囲気下、200℃で押出し
ペレット化を行った。得られた組成物(C)のMIは
2.5g/10min.であった。該ペレットを単層フ
ィルム成形装置に投入し100μのフィルムを得、JI
Sダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、4
0℃、メタノール15%含有モデルガソリン(イソオク
タン+トルエン(50vol%))に3時間浸漬しスト
レスクラッス性の評価を行ったがクラックは認められな
かった。また、該ペレットを用いて4種5層共押出多層
パイプ成形装置にかけ、多層パイプを作成した。パイプ
の構成は最外層12ポリアミド(宇部興産(株)製 U
BEナイロン30200)が450μ、次に接着性樹脂
層(AD−2三井石油化学(株)製 アドマーVF50
0)が各50μ、さらに6ポリアミド(東レ(株)製
東レアミランCM1046)100μ、上記EVOH組
成物(C)層150μであり、最内層が6ポリアミド
(東レ(株)製 東レアミランCM1046)250μ
である。得られたパイプの末端に金属製金具を取付け、
R(半径)=30cmでループ状に巻きガソリン(表1
中M−15で示す。Ref−C85容量%とメタノール
15容量%との混合ガソリン)を充填し40℃−65%
RH条件下で1年間放置したがクラック、ガソリンバリ
アー性の悪化は認められなかった。加速試験として、該
パイプの胴部を輪切りにし、10%引張伸度が付加でき
るように、パイプ内径周囲長さより10%長い外周径を
持つ円柱状の治具で該輪切りパイプを押し広げ(10%
引張伸度付加)、40℃、M−15混合ガソリンに3時
間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラック
は認められなかった。また、該パイプのガソリンバリア
ー性は0.2g/m・dayであった。
【0050】実施例6 実施例5で用いた熱可塑性樹脂(B)の代りにエチレン
含有量90モル%、けん化度90%以上のエチレン−酢
酸ビニル共重合体けん化物を用い、M−15ガソリンの
代りにMBE−15(Ref−C 85容量%とMTB
E 15容量%の混合ガソリン)を用いて実施例5の操
作を繰返した。その結果を表1に示す。
【0051】比較例1 実施例1に用いたEVOH(A)を二軸スクリュータイ
プ、ベント式40Φの押出機を用いてペレットを製造
し、このペレットを実施例1と同様の方法で100μの
単層フィルムを製造した。またこのペレットを用いて実
施例1と同様3種5層共押出ダイレクトブロー装置によ
り多層容器を製造した。この単層フィルムおよび多層容
器について実施例2と同様Ref−C混合ガソリンに対
するストレスクラック性およびガソリンバリアー性につ
いて測定した結果を表1に示した。
【0052】
【表1】
【0053】(註)表1中の符号は次の通りである。 (1)熱可塑性樹脂(B)の銘柄 A EMSポリアミド グリラックスXE3116 B 宇部興産(株)製 非結晶ポリアミドX−21 C 三菱ガス化学(株)製 メタキシリレン系ポリア
ミドMXD−6 D エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(エチレ
ン含有量50モル%) E エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(エチレ
ン含有量90モル%) (2)多層構造体を構成する熱可塑性樹脂の銘柄 HDPE 三井石油化学(株)製 ハイゼックスHZ
8200B 6PA 東レ(株)製 アラミンCM1046 12PA 宇部興産(株)製 UBEナイロン302
00 AD−1 三井石油化学(株)製 アドマーNF45
0A AD−2 三井石油化学(株)製 アドマーVF50
0 (3)ガソリンの銘柄 ガソリン 市販レギュラーガソリン Ref−C トルエン(50容量%)+イソオクタン
(50容量%) M−15 Ref−C(85容量%)+メタノール
(15容量%) MBE−15 Ref−C(85容量%)+MTBE
(15容量%)
【0054】実施例7 エチレン含有量27モル%、けん化度99.5%、MI
(190℃、2160g荷重)1.5g/10min.
のEVOH(A)100重量部と熱可塑性樹脂(B)と
してGMA(グリシジルメタアクリレート)変性HDP
E(高密度ポリエチレン、SP(B)=8.6)10重
量部およびGMS(グリセリンモノステアレート、SP
(F)=10.2)4重量部を二軸スクリュータイプ、
ベント式40Φ押出機に入れ、窒素雰囲気下、200℃
で押出しペレット化を行った。得られた組成物(C)の
MIは1g/10min.であった。該ペレットを単層
フィルム成形装置に投入し100μのフィルムを得、J
ISダンベル3号を用いて10%引張伸度付加のもと、
40℃ガソリン(市販レギュラーガソリン)に3時間浸
漬しストレスクラック性の評価を行ったがクラックは認
められなかった。また、該ペレットを用いて3種5層共
押出多層ダイレクトブロー装置にかけ、多層容器を作成
した。シートの構成は両最外層高密度ポリエチレン樹脂
層(三井石油化学(株)製 ハイゼックスHZ8200
B)が各850μまた接着性樹脂層(三井石油化学 ア
ドマーNF450A)が各100μ、さらに最内層中央
には上記EVOH組成物(C)層100μである。得ら
れた容器にガソリンを充填し40℃−65%RH条件下
で1年間放置したがクラック、ガソリンバリアー性の悪
化は認められなかった。加速試験として、該容器の胴部
を切取り、上記単層フィルムと同様にJISダンベル3
号を用いて10%引張伸度付加のもと、40℃ガソリン
に3時間浸漬しストレスクラック性の評価を行ったがク
ラックは認められなかった。また、該容器のガソリンバ
リアー性は0.020g/m・dayであった。
【0055】実施例8 実施例7で用いたEVOH(A)100重量部に熱可塑
性樹脂(B)としてグリシジルメタアクリレート変性H
DPE(高密度ポリエチレン)10重量部を二軸スクリ
ュータイプ、ベント式40Φ押出機に入れ、窒素雰囲気
下、200℃で押出してペレットを作製した。該ペレッ
トを実施例7と同様の方法により100μのフィルムと
した後、このフィルムをJISダンベル3号を用いて1
0%引張伸度付加のもと、40℃のRef−Cガソリン
に3時間浸漬してストレスクラック性の評価を行った。
また該ペレットを用いて実施例7と同様の方法で多層容
器を製造した。この容器についてRef−Cガソリンに
対するストレスクラック性およびガソリンバリアー性を
測定しその結果を表2に示す。
【0056】実施例9 実施例8に用いた熱可塑性樹脂(B)の量をEVOH
(A)100重量部に対して40重量部とした以外は、
実施例8と同じ操作を繰返した。その結果を表2に示
す。
【0057】実施例10実施例7で用いた熱可塑性樹脂
(B)に代えてHDPE(高密度ポリエチレン、SP
(B)=8.6)を用い、市販レギュラーガソリンに代
えてRef−Cガソリンを用いて実施例7により製造し
た単層フィルムおよび多層容器のストレスクラック性並
びにガソリンバリアー性を測定した。その結果を表2に
示す。
【0058】実施例11実施例7で用いた熱可塑性樹脂
(B)に代えて無水マレイン酸変性HDPE(高密度ポ
リエチレン、SP(B)=8.6)を、また疎水性可塑
剤としてGMSの代りにジエチルフタレート(DEP、
SP(F)=10.5)を用い、さらに、市販レギュラ
ーガソリンの代りにRef−Cガソリンを用いて実施例
7の操作を繰り返した。その結果を表2に示す。
【0059】実施例12実施例7で用いた熱可塑性樹脂
(B)に代えてSi変性エチレン−プロピレン共重合体
(SP(B)=8.4)を用い、また疎水性可塑剤とし
てGMSの代りにDEPを用い、さらに市販レギュラー
ガソリンに代えてMBE−15ガソリンを用いて実施例
7の操作を繰り返した。その結果を表2に示す。
【0060】実施例13実施例7で使用した疎水性可塑
剤(F)に代えて親水性可塑剤であるグリセリン(Gl
y、SP(F)=16.4)を用いて実施例7の操作を
繰り返した。その結果を表2に示す。
【0061】実施例14実施例7で用いたEVOH組成
物(C)を用いて4種5層共押出多層パイプ成形装置に
かけ、多層パイプを作成した。パイプの構成は最外層1
2ポリアミド(宇部興産(株)UBEナイロン3020
μ)が450μ、次に、接着性樹脂層が各50μ、さら
に6ポリアミド(東レ(株)製アミランCM1046)
100μ、上記EVOH組成物(C)層150μであ
り、最内層が6ポリアミド(東レ(株)製アミランCM
1046)250μである。得られたパイプの末端に金
属製金具を取付け、R(半径)=30cmでループ状に
巻き、ガソリン(M−15)を充填し40℃−65%R
H条件下で1年間放置したがクラック、ガソリンバリア
ー性の悪化は認められなかった。加速試験として、該パ
イプの胴部を輪切りにし、10%引張伸度が付加できる
ように、パイプ内径周囲長さより10%長い外周径を持
つ円柱状の治具で輪切りパイプを押し広げ(10%引張
伸度付加)、40℃M−15ガソリンに3時間浸漬しス
トレスクラック性の評価を行ったが、クラックは認めら
れなかった。また、該パイプのガソリンバリアー性は
0.2g/m・dayであった。
【0062】
【表2】
【0063】(註)表2中の符号は次の通りである。 (1)熱可塑性樹脂(B)の銘柄 A グリシジルメタアクリレート変性HDPE(高密度
ポリエチレン) B マレイン酸変性HDPE C シリコン(Si)変性エチレンプロピレン共重合体 D HDPE(高密度ポリエチレン) (2)疎水性可塑剤(C)の銘柄 GMS グリセリンモノステアレート DEP ジエチルフタレート Gly グリセリン(親水性可塑剤) (3)多層構造体を構成する熱可塑性樹脂の銘柄(表1
の(2)と同じ) (4)ガソリンの銘柄(表1の(3)と同じ)
【0064】
【発明の効果】このようにして得られた本発明の燃料用
パイプまたはタンクは、ガソリンに対する耐ストレスク
ラック性が優れており、かつガソリンバリアー性が良好
で、さらにガスバリアー性、保香性あるいは耐有機溶剤
性が優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D038 CA19 CB01 CC20 3H111 AA01 BA15 CA53 CB02 CB04 DA26 DB08 EA20 4F100 AK01A AK01B AK03A AK05 AK41A AK46A AK69A AL05A BA02 BA07 CB00 DA01 DA11 EC18 JB07 JB16A JB16B YY00A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン含有量10〜80モル%のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に
    対し、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステル
    から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)1〜
    50重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層
    有する燃料用パイプ。
  2. 【請求項2】 さらに熱可塑性樹脂(D)層と接着性樹
    脂(E)層とを有し、かつ組成物(C)層と熱可塑性樹
    脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多
    層構造体よりなる、請求項1記載の燃料用パイプ。
  3. 【請求項3】 エチレン含有量10〜80モル%のエチ
    レン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に
    対し、ポリアミド、ポリオレフィンおよびポリエステル
    から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)1〜
    50重量部を配合した組成物(C)層を少なくとも一層
    有する燃料用タンク。
  4. 【請求項4】 さらに熱可塑性樹脂(D)層と接着性樹
    脂(E)層とを有し、かつ組成物(C)層と熱可塑性樹
    脂(D)層とを接着性樹脂(E)層を介して積層した多
    層構造体よりなる、請求項3記載の燃料用タンク。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7150294B2 (en) 2004-01-30 2006-12-19 Tokai Rubber Industries, Ltd. Fuel cell hose
WO2014207948A1 (ja) * 2013-06-24 2014-12-31 住友ベークライト株式会社 積層フィルム
JPWO2016104095A1 (ja) * 2014-12-26 2017-10-05 三菱瓦斯化学株式会社 多層中空成形体

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