JP2002121620A - 排ガス循環方式焼結操業方法 - Google Patents

排ガス循環方式焼結操業方法

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JP2002121620A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス循環方式焼結機の操業において、高水
分排ガスを循環しても焼結ベッド上層部に脆化層を形成
することなく焼結鉱強度(製品歩留り)を維持乃至向上
できる焼結機の操業方法を提供する。 【解決手段】 焼結ベッド表面から焼結ベッド層厚の1
5%までの上層部の固体燃料配合率を焼結ベッド全体の
平均固体燃料配合率より0.5〜1.5質量%高くし、
そして/または焼結ベッドの表層部を焼結ベッド層厚の
1〜7%圧密してから焼成を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排ガス循環方式焼
結機の操業において、高水分ガスを焼結ベッドに循環し
ても焼結鉱の強度が低下しない焼結機の操業方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】以下の説明において、排ガス中の「水
分」とは、排ガス中の「水蒸気」を意味し、また例え
ば、「水分8〜9%」は「乾ガス基準で水蒸気濃度8〜
9容量%」を、「 酸素濃度18〜20%」は「乾ガス
基準で酸素濃度18〜20容量%」を略記したものであ
る。
【0003】焼結鉱の原料は、鉄源としての粉鉄鉱石や
集塵ダスト、ミルスケールなどに、媒溶剤としての石灰
石、ドロマイト、固体燃料としての粉コークス、無煙炭
などである。これらを配合したものはドラムミキサーで
水やバインダーとともに転動造粒され、水を6〜7質量
%(外数)含有する平均粒径3〜4mmの粒子よりなる
焼結原料とされる。この焼結原料が焼結機に供給され、
ドワイトロイド式焼結機(DL式焼結機)で連続焼結さ
れる。DL式焼結機で焼結鉱を製造する際には、焼結で
生じる排ガスの一部を循環させるのではなく、下向きに
吸引する大気(空気)のみで焼結原料中の粉コークスを
燃焼させる大気吸引方式による焼結操業方法と、排ガス
の一部を循環させて操業を行う排ガス循環方式による焼
結操業方法とがある。
【0004】大気吸引方式による焼結操業方法は、エン
ドレスに移動するパレット上に50〜60cm厚さにて
焼結原料を装入し、点火炉にてコークス炉ガス、重油な
どの燃焼熱によって原料層(焼結ベッド)表面の粉コー
クスに着火し、パレットの下方に連設された風箱群によ
り焼結ベッドを上部から下部へ通過する空気によって粉
コークスを燃焼させ、その燃焼熱によって焼結原料の焼
結を行うものであり、パレット上の焼結ベッドが排鉱側
へ移動する間に焼結ベッドの粉コークスの燃焼が上層か
ら下層へと進み、焼結機排鉱端に達した時点で焼結を完
了するようにしたものである。
【0005】一般に、大気吸引方式の場合、焼結ベッド
を通過した排ガスの焼結機長手方向の温度変化、水分変
化、および酸素濃度変化は図11に示すようになる。す
なわち、焼結機の前半部においては、焼結ベッド上部の
原料が加熱されてその原料中に保有されていた水が蒸発
してガス中に移行し、そのガスは焼結ベッド下部のまだ
水を保有する原料層(湿潤帯)19で冷却されるため、
焼結ベッドを通過した排ガスの温度は50〜60℃と低
くなり、その水分は5〜16%と高くなる。一方、焼結
機の後半部においては、焼結ベッドからの水の除去はほ
ぼ終了し、粉コークスの燃焼による高温部(燃焼帯)2
0が焼結ベッド下部に到達するので、排ガスの温度は急
激に上昇する(最高約460℃)が、水分は急激に2〜
3%まで低下する。酸素濃度については、粉コークスの
燃焼がまだ少ない点火炉5の下の領域と粉コークスの燃
焼がほぼ終了した焼結機の後部域で18〜20%と高
く、粉コークスの燃焼が活発な焼結機の中部域で12〜
14%と低い。
【0006】排ガス循環方式による焼結操業方法は、前
記大気吸引方式による操業での欠点を改善し、環境保全
の点から焼結機の系外に排出する排ガス量やNOx総量の
削減、さらに排ガスの熱回収、生産性の向上などを図る
ようにしたものであり、DL式焼結機の風箱群を焼結機
長手方向に適宜分割し、焼結で生じる排ガスの一部を焼
結機のパレット上へ循環させて一部大気のかわりに吸引
して操業を行うものであり、近年、広く採用されるよう
になってきた。
【0007】例えば、図12に示すように、焼結機排ガ
ス系を機長方向に2分割し、後部域の高温かつ酸素濃度
の比較的高い排ガスを焼結機のガス吸引部へ循環させて
再使用することにより排ガス量の削減、排ガス顕熱の回
収を図る方法が一般的に行われている。このような方法
においては、大気よりも高温の排ガスを焼結ベッドの上
部から導入しているため原料の予熱の程度を高めること
ができるが、その温度は一般に100〜200℃の範囲
であり、赤熱帯の温度(1000℃以上)よりは低いた
め、基本的には排ガスを循環していない場合と同様に、
焼結ベッドの上層部における冷却速度は他の部位(中層
部、下層部)に比べて大きくなる。したがって、排ガス
循環焼結法においても、大気吸引式焼結法と同様、上層
部の歩留りは相対的に低下する傾向を示す。加えて、排
ガス循環を行うことにより、導入される雰囲気中の酸素
濃度が低下(約18容量%)して固体燃料の燃焼速度が
低下するので、上部からの熱の伝播や蓄積効果のない焼
結ベッド上層部での歩留り低下を助長する原因となる。
【0008】そこで、排ガス循環法においても製品歩留
りを向上する方法として、焼結ベッド全体の熱バランス
を適正にすることにより製品歩留りを向上することが提
案されている。例えば、特開平7−278685号公報
には、排ガス循環箇所と循環量によって、焼結ベッドの
上層と下層とのコークスを、偏析指数で0.7〜1.2
%の範囲で傾斜配合させる方法が提案されている。ま
た、傾斜配合する粉状コークスのうち+3mmの配合比
率を1〜10%で調整することも合わせて提案されてい
る。
【0009】このときのコークスの傾斜配合方法には、
実開平1−66599号公報などに記載されている多数
本のバーを有する熊の手状の整粒・分散式装入装置など
を採用している。この方法は、移動パレットへの原料充
填時に、粒度の大きい原料を下層部に充填し、下層部か
ら上層部に行くにしたがって、順次粒度の小さい原料を
充填するものである。そして、原料粒子の表面には粉状
コークスが付着しているので、原料粒子の粒度が小さく
なり体積当たりの表面積が大きくなるほど、多量の粉状
コークスが付着することになる。これにより、コークス
量は傾斜配合的に下層より上層の方が多くなるというも
のである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、特願平2
000−53803号において、焼結機排ガス系を従来
の2分割でなく3分割し、後部域の高温かつ比較的酸素
濃度の高い排ガスのみでなく、前部域の低温・高水分で
あるが比較的酸素濃度の高い排ガスをも焼結機の吸引部
へ循環させることにより、系外に排出する排ガス量を一
層削減できる方法を提案した(図7参照)。この方法に
おいて、後部域からの高温排ガスは焼結前の原料の予熱
の程度をより高め、前部域および後部域からの排ガス中
の酸素は原料中の固体燃料の燃焼速度を維持し低下させ
ないことに寄与する。
【0011】しかしながら、この排ガス循環方式焼結方
法においては、従来の排ガス系を2分割した排ガス循環
方式焼結方法に比して、焼結ベッド上層部の歩留り低下
がさらに著しく、前述の特開平7−278685号公報
に記載のコークス傾斜配合法では、十分に上層部の歩留
りを改善できないことがわかった。
【0012】本発明者らは、この上層部の顕著な歩留り
低下の原因について種々検討を行なった結果、循環ガス
に含有される高濃度の水分が焼結鉱強度(歩留り)を低
下させることを突き止めた。焼結ベッドに吸引されるガ
スの水分は、従来の排ガス系を2分割した排ガス循環方
式焼結操業方法においては、高々2〜3%であるのに対
して、本排ガス循環方式焼結方法においては、前部域か
らの高水分の排ガスをも循環しているため、約8〜9容
量%に達する。そこで、後述の実施例1で用いた焼結鍋
試験装置により、実施例1の比較例と同じ焼結原料を用
いて、吸引ガス中の水分のみを変更して焼結実験を行な
い、吸引ガス中の水分が製造された焼結鉱の落下強度に
与える影響を調査した。その結果を表1に示す。表1よ
り明らかなように、吸引ガス中の水分が6%までは焼結
鉱の落下強度の低下は小さいが、吸引ガス中の水分が6
%を超えると焼結鉱の落下強度が急激に低下することが
わかった。
【0013】
【表1】
【0014】吸引ガス中の水分が高くなると、赤熱帯
(ヒートフロント近傍)で以下の2つの反応式で示され
る水性ガス化反応および水性ガス変成反応が活発になり
2 の生成量が増大し、このH2 が原料中のヘマタイト
(Fe2 3 )またはマグネタイト(Fe3 4 )の還
元を促進してウスタイト(FeO)含有量を増加させ
(図10参照)、このウスタイトが原料鉱石中の脈石成
分のSiO2 等と化合して低融点化合物を作って溶融
し、5mm径程度のマクロな空隙を形成して脆化層とな
り、焼結鉱の強度が著しく低下したものである。
【0015】 C+H2 O→CO+H2 (水性ガス化反応) CO+H2 O→CO2 +H2 (水性ガス変成反応) さらに、固体燃料が水性ガス化反応で消耗して本来の酸
素による燃焼発熱量を減少させるとともに、この水性ガ
ス化反応が大きな吸熱反応であることから焼結ベッド上
部での供給熱量不足を増幅し歩留り低下を助長したもの
と想定される。
【0016】特開平7−278685号公報に提案され
ているコークスの傾斜配合方法ではこの上層部の歩留り
低下を十分に防止できないのは、以下の理由による。こ
のコークス傾斜配合方法では、原料充填時、微粉コーク
スが微粉原料とともに造粒されてコークス量の多い大き
な粒子(擬似粒子)が形成され、これが焼結ベッドの下
層部に充填されるため、焼結ベッドの上層部から下層部
に向けて、目的に応じてコークスを傾斜配合することは
実際上難しい。また、上層部に分配されるコークスの粒
度は小さいため、固体である鉱石類への伝熱効率が低下
する。すなわち、粒度の小さいコークスは燃焼が速く、
固体である鉱石類への伝熱よりも空気への伝熱の方が優
先的に進行することにより、鉱石類の温度が十分上昇せ
ず、鉱石粒子間の十分な溶融結合力が得られない。その
ため、焼結ベッド上層部の大きな強度低下を伴う高水分
ガスを吸引する排ガス循環方式焼結方法に対しては、改
善効果が小さい。
【0017】そこで、本出願人は上記の問題を解決する
ための手段について検討を行い、特願平11−0646
61号に、排ガス循環法において、焼結原料を装入シュ
ートから移動パレット上に充填するに際し、装入シュー
ト上で固体燃料を新たに添加することにより、焼結ベッ
ドの上層部、特に焼結ベッド表面から50〜100mm
までの領域の固体燃料の配合量を、それよりも下層領域
の固体燃料の配合量よりも多くして操業を行うことによ
り、焼結ベッドの上層部に形成される脆化層の形成を防
止する焼結鉱の製造方法を提案した。この方法は、下層
部に比べ上層部に確実に固体燃料を多く配合でき、焼結
ベッド全体の熱バランスを容易に変更しうるものであ
る。しかしながら、上層部への固体燃料の新たな添加量
が少ないと脆化層の形成を完全に防止できないので歩留
りが十分改善されず、一方、この添加量が多すぎると逆
に下層部が熱不足となり歩留りが悪化するため、単純に
上層部の固体燃料配合量を下層部より増加すればよいと
いうわけには行かず、十分歩留りの向上を実現するには
至っていなかった。
【0018】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、高水分ガスを循環する排ガス循環焼結法において、
焼結ベッドの上層部に形成される脆化層の形成を防止し
た製品歩留りの高い焼結鉱の製造方法を提供することを
目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、焼結機排ガスの一部を再度焼結ベッドに循環する排
ガス循環方式焼結操業方法において、焼結ベッドの表面
から焼結ベッド層厚の略15%下方までの上層部に存在
する固体燃料の配合率を、焼結ベッド層厚全体の固体燃
料の平均配合率より0.5〜1.5質量%高くして操業
を行うことを特徴とする排ガス循環方式焼結操業方法で
ある。
【0020】請求項2に記載の発明は、焼結機排ガスの
一部を再度焼結ベッドに循環する排ガス循環方式焼結操
業方法において、焼結ベッドの表面から焼結ベッド層厚
の略15%下方までの上層部に存在する固体燃料の配合
率を、焼結ベッド層厚全体の固体燃料の平均配合率より
0.5〜1.5質量%高くし、さらに該焼結原料に点火
する前に、焼結ベッド表面を焼結ベッド層厚の1〜7%
の範囲で下方に圧密して操業を行うことを特徴とする排
ガス循環方式焼結操業方法である。
【0021】焼結ベッド上層部の所定の厚さ(深さ)に
固体燃料を選択的に多く配置することにより、焼結充填
層の高さ方向全体にわたり適正な熱バランスが得られて
焼結充填層の上層部における脆弱層の形成が防止され製
品強度が上昇し、製品歩留りが向上するものである。加
えて、充填層下部の固体燃料の配合率が従来に比して低
くなるので充填層下部での過剰の熱供給が回避され過剰
の融液の生成が防止されて通気性が改善され、生産性も
向上する。
【0022】さらに、焼結ベッドの表面を所定の厚さ
(深さ)下方に圧密することにより、焼成後の上層部の
焼結構造が緻密化するとともに上層部の高温保持時間が
延長されて層全体の熱バランスもより適正となるので、
さらに強度が上昇し歩留りが向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】図7は、本発明適用前の特願平2
000−53803号で提案した排ガス循環方式焼結機
の概略説明図である。
【0024】焼結機1は、駆動機によってエンドレスに
移動する移動パレット2、焼結原料を移動パレット2上
に積み付けるための原料供給装置3、積み付けられた焼
結原料4のベッド表面の固体燃料に着火するための点火
炉5、移動パレット2の下方に焼結機機長にわたって連
設され、下向きの吸気によってパレット2上の焼結原料
4中の固体燃料を燃焼させるための風箱群6A、6B、
6Cおよび循環ガスを移動パレット2の上方へ供給する
ための循環ガスフード7を備えている。
【0025】前記風箱群は、低温高水分排ガスを循環供
給するための焼結機前部域の第1風箱群6A、排気を行
うための焼結機中部域の第2風箱群6B、高温低水分排
ガスを循環供給するための焼結機後部域の第3風箱群6
Cの3つに分割されている。
【0026】循環ガスフード7は、排ガスを移動パレッ
ト2上の焼結ベッド4へ導くためのものであり、移動パ
レット2の上方に配設されている。8は第1風箱群6A
からの低温の高水分ガスを循環ガスダクト11Aを介し
て循環ガスフード7に循環するための低温ガス循環用排
風機である。また、9は第3風箱群6Cからの高温の低
水分ガスを循環ガスダクト11Bを介して循環ガスフー
ド7に循環するための高温ガス循環用排風機である。循
環ガスダクト11Aと11Bは途中で結合された後、さ
らに複数の小さいダクトに分けられて循環ガスフード7
全体に接続されており、前記低温高水分排ガスと前記高
温低水分排ガスを混合して180〜200℃、水分8〜
9%の循環排ガスとし循環ガスフード7全体へほぼ均一
に導入する。
【0027】主排風機10で吸引された第2風箱群6B
からの排ガス(主排ガス)は、排気ダクト14を介して
集塵機12で清浄化された後、煙突13で大気へ放出さ
れる。
【0028】以上により、第3風箱群からの高温低水分
排ガスを循環することにより排ガス顕熱の回収が図ら
れ、第1風箱群からの低温高水分排ガスを循環すること
により系外へ排出する排ガス量(排気ガス量)の一層の
低減が可能となるものである。
【0029】さて、焼結によって生じる脆化層は、焼結
ベッドの上層部に存在するものの、存在する深さ自体が
焼結条件により種々異なってくるので一概に特定できな
い部分がある。ただ、焼結条件が略一定の範囲に操業さ
れていれば、脆化層は概ね、焼結ベッドの最表部から焼
結ベッドの全体高さの5〜10%までの深さ部分に発生
および存在している。したがって、この脆化層の存在場
所に基づき、固体燃料の配合量を多くする上層部は、脆
化層がより深くなった場合を考慮して、焼結ベッドの最
表部から焼結ベッドの全体高さの略15%までの深さ部
分とすることが好ましい。また、上層部の固体燃料の配
合量を焼結ベッド全体の固体燃料の平均配合量より高く
する度合いはあまり少ないと脆化層の形成を防止する効
果が小さく、逆に多すぎると脆化層の形成は防止できて
も上層部の温度が上がりすぎて融液の生成量が過剰とな
り、かえって通気性を悪化させ生産性を低下させてしま
う。したがって、脆化層の形成を防止つつ生産性を向上
できる乃至維持できる前記度合いの範囲として、後述す
る実施例2の実験結果に基づき0.5〜1.5質量%と
することが好ましい。
【0030】焼結ベッドの表面から焼結ベッド層厚の略
15%下方までの上層部に存在する固体燃料の配合率
を、焼結ベッド全体の固体燃料の平均配合率より0.5
〜1.5質量%高くする手段としては、例えば図1に示
す方法が採用できる。すなわち、原料供給装置3により
定量的に切り出された焼結原料4を移動パレット2上に
積み付け、その積み付けられた焼結ベッド4の上に固体
燃料散布装置21を用いて所定量の固体燃料24を定量
的に散布する。この散布に際して、焼結ベッド表面から
所定深さまでを例えば固定式の鋤(図示せず)により鋤
いておき、散布された固体燃料がその所定の深さまでの
範囲に潜り込むようにし、次いで、その下端が焼結ベッ
ド4の表面より少しだけ下方の位置に固定されたカット
プレート22により、上記散布時に焼結ベッド表面上に
載った固体燃料が焼結原料中に強制的に混ぜ込まれる。
このようにして焼結ベッド上層部25の所定深さまでに
存在する固体燃料の配合量を焼結ベッド全体の固体燃料
の平均配合率より所定分高くすることができる。
【0031】この焼結ベッドの上に固体燃料を散布する
方法の場合、従来の焼結鉱の基本的な製造条件を変える
必要もなく、また、基本的な操業条件に影響を与えるこ
とも好ましくはない。すなわち、本発明においては、焼
結ベッドの高さ方向の固体燃料の賦存状態のみを変化さ
せることが好ましい。したがって、本発明を適用しな
い、それまでに実施していた焼結鉱の製造方法とは、酸
化鉄原料に対する投入熱量が同じとなるよう、酸化鉄原
料に配合する固体燃料全体の配合量は一定(すなわち、
焼結ベッド全体の固体燃料の平均配合率は一定)とする
ことが好ましい。このため、本発明ではまず焼結ベッド
の上に散布する固体燃料の散布量を、目標とする上層部
の固体燃料の配合率と焼結ベッド全体の固体燃料の平均
配合率との差に目標とする上層部の厚み(深さ)分の焼
結原料の量を掛けることにより決定する。次いで、酸化
鉄原料にあらかじめ配合する固体燃料の量を、焼結ベッ
ド全体に配合する量から前記散布量を差し引いた量とす
ればよい。また、実操業では焼結原料の供給量や粒度、
散布する固体燃料の散布量や粒度などの操業条件が異な
るので、事前に実験により鋤やカットプレート22の設
置条件(設置高さ、設置角度等)を種々変更し、それぞ
れの設置条件ごとに焼結ベッド中の炭材の分布を測定す
ることによって適正な設置条件を決定する。その適正な
設置条件を適用することにより移動パレット2上に充填
された焼結ベッド表面から焼結ベッド層厚の略15%ま
での領域の固体燃料の配合率を、焼結ベッド層厚全体の
固体燃料の平均配合率より0.5〜1.5質量%高くで
きる。
【0032】これにより焼結ベッドの高さ方向全体にわ
たり適正な熱バランスが得られて、生産性を悪化させる
ことなく、焼結ベッドの上層部における脆弱層の形成が
防止され製品強度が上昇し、製品歩留りも向上するもの
である。
【0033】なお、焼結ベッド表面から焼結ベッド層厚
の略15%下方までの上層部に存在する固体燃料の配合
率を、焼結ベッド全体の固体燃料の平均配合率より0.
5〜1.5質量%高くする別の手段として、前述した特
願平11−64661号で提案された焼結原料が装入シ
ュート上を流下する途中で固体燃料を焼結原料に添加す
る装置を用いることができることはいうまでもない。図
4に概略を示すように、この装置を用いる方法では、新
たに添加する固体燃料24を装入シュート44上を流下
する焼結原料4の下部に供給し、装入シュート44を流
下および装入シュート44下端から落下する際に焼結原
料4と固体燃料24が混合され下部の層が固体燃料の割
合が高い焼結原料層となる。装入シュート44上の原料
の流下方向は移動パレット2の進行方向と逆としている
ので、この下部の層が移動パレット2上に充填されたと
き焼結ベッドの上層部25となるものである。そして、
新たに添加する固体燃料の量および予め原料に配合する
固体燃料の量は上記と同様の方法で決定すればよく、ま
た、固体燃料の配合率を高くする上層部の厚み(深さ)
は、新たに添加する固体燃料の添加位置を調整すること
により設定できるものであり、事前に実験により求めて
おけばよい。
【0034】要するに、焼結層上層部に選択的に固体燃
料を多く配置できる手段であれば上記手段に限定される
ものではなく、本発明を例えば既存の実機焼結機に適用
する際には、その既存実機焼結機の設備(特に、装入設
備)の配置等に適合するように適宜選択、変更しうるも
のである。
【0035】焼結ベッドの上層部に存在する固体燃料の
内の相当量、例えば50%以上の粒径が0.5〜3mm
となるように粒度調整することが好ましい。この固体燃
料の粒度調整が好ましい理由は、固体燃料の粒径が0.
5mm未満では、その固体燃料が燃焼して発生する燃焼
熱の伝熱は固体である鉱石類への輻射伝熱よりも充填層
を通過するガスへの対流伝熱の方が優勢となるため、鉱
石類の温度が十分上昇せず、十分な鉱石粒子間の溶融結
合が得られず、強度が低下する可能性があるからであ
る。一方、固体燃料の粒径が3mmを超えると、点火バ
ーナーで固体燃料に着火するまでの時間が長くなり、生
産速度の低下要因となる可能性があるからである。した
がって、平均粒径0.5〜3mmの固体燃料を焼結ベッ
ド上層部の固体燃料の配合量に対して相当量、例えば5
0%以上とすることにより、上記効果を確実に発揮する
ことができる。
【0036】上記の焼結原料に点火する前に、焼結ベッ
ド表面を焼結ベッド層厚の1〜7%の範囲で下方に圧密
することがさらに好ましい。ここに、「焼結ベッド表面
を下方に圧密する」とは、ローラー等を用いて焼結ベッ
ドの表面を転圧等することにより焼結ベッド表面近傍の
みを緻密にし焼結ベッド層厚を減少させることをいい、
また、例えば、「焼結ベッド層厚の7%下方に圧密す
る」とは、圧密する前の焼結ベッド層厚を基準として、
圧密によりその層厚を7%減少させることをいう。この
圧密の範囲を焼結ベッド層厚の1〜7%とした理由は、
後述する実施例3で示すように、圧密を焼結ベッド層厚
の1%未満とすると焼成後の上層部の焼結構造の緻密化
の範囲が小さいことに加え、循環ガスの吸引量がほとん
ど減少しないため高温保持時間の延長もほとんどなく、
焼結鉱強度の改善効果が小さいからである。一方、圧密
が焼結ベッド層厚の7%を超えると、圧密により緻密化
された部分が焼結するのに要する時間が焼結ベッド全体
が焼結するのに要する時間に占める割合が大きくなり生
産性の低下が無視できなくなるからである。
【0037】焼結ベッドを圧密する方法としては、例え
ば、図2に示す圧密ローラーを用いる方法が採用でき
る。カットプレート22により表面が平滑化された焼結
ベッドの表面は、圧密ローラー23にて転圧される。圧
密ローラー23は、焼結ベッド表面高さ位置に応じてロ
ーラーの下端の高さ位置を、パレット移動速度に応じて
回転速度を、それぞれ調整可能としておき、それらを適
宜調整することにより焼結ベッド上層部の所定の深さ部
分のみを焼結ベッドの表面の平滑を維持しながら緻密に
することができる。これにより、上層部が焼結するとき
のみ原料ベッドを通過する吸引ガス量が抑制されるの
で、生産性の悪化を招くことなく、上層部の高温保持時
間がさらに延長されることにより強度(歩留り)が改善
される。
【0038】
【実施例】(実施例1)本発明の焼結ベッド上層部への
固体燃料の選択的多量配置の効果、さらに焼結ベッド表
面の圧密の効果を確認するため、いわゆる焼結鍋試験装
置を用いて、排ガス循環方式の焼結操業を想定した、酸
素濃度が低く水分が高い吸引ガスによる焼結実験を行っ
た。
【0039】焼結鍋試験には内径320mmの焼結鍋を
使用した。酸化鉄原料として表2に示した化学組成の鉄
鉱石を、固体燃料としてコークス粉を用いた。これらを
表3に示した配合率で混錬して作製したコークス粉の添
加量のみ異なる3種類の焼結原料を準備した。なお、コ
ークス粉は、3種類の焼結原料とも同じ粒度(−5m
m、平均粒径1.5mm)のものを用いた。本発明を適
用しない比較例として、コークス粉の配合率3.2%
(外数)の焼結原料を焼結鍋にベッド層厚550mmに
装入し、COGバーナーで点火後、吸引圧15700P
aで循環排ガスを想定して調整した酸素濃度、水分およ
び温度のガスを吸引して焼成を行った。なお、循環排ガ
スを想定した吸引ガスは、空気にN2ガスを添加するこ
とにより酸素濃度を18%に調整し、さらに所定量の水
蒸気を添加して水分16%とした後、電気ヒーターによ
り200℃に加熱して作製した。なお、吸引ガスの水分
を16%と、前述したガス循環方式焼結機の循環ガスフ
ード内の吸引ガスの水分8〜9%より高くしたのは、前
述した水分による焼結ベッド上層部への影響(悪影響)
の度合いを大きくし、本発明の効果を明確に確認するた
めである。
【0040】本発明例1では、請求項1に記載の発明
(焼結ベッド上層部への固体燃料の選択的多量配置)の
効果を確認するため、焼結ベッド全体のコークス粉の平
均配合率は比較例と同じ3.2%(外数)とし、先ず、
コークス粉配合率3.0%(外数)の焼結原料を層厚4
50mm分を装入し、その上にコークス粉配合率4.2
%(外数)(平均配合率より約1%高め)の焼結原料を
層厚100mm分(全層厚の約18%)を装入し、比較
例と同じ吸引ガス条件で焼成を行った。
【0041】また、本発明例2では、請求項2に記載の
発明(焼結ベッド上層部への固体燃料の選択的多量配置
+焼結ベッド表面の圧密)の効果を確認するため、本発
明例1と同じ焼結原料を焼結鍋に装入した後、焼結ベッ
ドの表面を焼結鍋の内径より少しだけ小さい径の円盤状
の板で下方へ押し付け35mm(全層厚の約6%)圧密
し、比較例と同じ吸引ガス条件で焼結実験を行った。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】上記の焼結鍋による焼結実験の結果を図5
および図6に示す。図5は、各焼結実験により製造され
た焼結鉱の落下強度の比較を示したもの、図6は、焼結
鍋の異なる高さ位置4箇所(焼結ベッド下面を基準にそ
れぞれ150、250、350、450mmの各高さ位
置)から焼結ベッド内に水平に挿入した熱電対によって
測定された焼成中における焼結ベッド内各高さ位置にお
ける温度の経時変化から求めた保熱指数を焼結ベッド高
さ位置に対してプロットしたものである。
【0045】なお、焼結鉱の落下強度はJIS−M87
11の冷間強度試験方法に基づいて測定した。一般に、
同一の焼結原料を用いて同一のガス吸引条件で焼成して
も焼結鍋試験装置の熱損失が大きいため、焼結鍋試験で
焼成された焼結鉱(鍋試験焼結鉱)の落下強度は、実機
焼結機で製造された焼結鉱(実機焼結鉱)の落下強度に
比べて大幅に低くなることが知られている。本焼結鍋試
験の場合には、鍋試験焼結鉱の落下強度は実機焼結鉱の
落下強度より約40ポイント低くなることを過去の実績
より把握おり、例えば、本発明例1の鍋試験焼結鉱の落
下強度33%は、実機焼結鉱の落下強度約73%に相当
する。
【0046】また、「保熱指数」とは、測定された焼結
ベッド各高さ位置における温度の経時変化の曲線から求
まる最高到達温度を頂点とし、昇温時および降温時に通
過する1100℃の2点を底辺として描かれる三角形の
面積より算出した指数(単位:℃・min)であり、焼
結反応に寄与する熱量を相対的に表す指標として用いる
ものである。
【0047】図5より明らかなように、比較例では焼結
鉱の落下強度は約31%であったものが、本発明例1で
は約33%、本発明例2ではさらに約38%に上昇し、
本発明の効果が確認された。また、図6に示されるよう
に、比較例では焼結ベッド上部から中部(焼結ベッド下
面から450〜250mm高さ)にかけての保熱指数が
極端に低くなっている。前述した高水分ガスの吸引の影
響により上層部の温度上昇が阻害されるためと推測され
る。
【0048】それに対して、本発明例1では、焼結ベッ
ド上部(450mm高さ)の保熱指数が比較例に比して
著しく上昇し、中部、下部についても比較例よりかなり
高い値となった。上層部(焼結ベッド表面から焼結ベッ
ド層厚の約18%までの深さ)に固体燃料(コークス
粉)を焼結ベッド層厚全体の平均配合量より高く配合し
たことにより上層部の燃焼発熱量が増加したことによる
ものと推測される。これにより、落下強度が上昇したも
のといえる。
【0049】また、本発明例2では、焼結ベッド層厚全
体の保熱指数は本発明例1ほどには高くないが、比較例
に比すれば高い値になった。上層部を圧密化したことに
よる焼成後の上層部の焼結構造が緻密化したことと相俟
ってさらに落下強度が上昇したものと考えられる。
【0050】(実施例2)上記焼結鍋試験により本発明
の効果を確認できたので、さらに本発明を排ガス循環方
式(排ガス系を3分割)の実機焼結機に適用し、定量的
な効果の確認を行なった。先ず、実機焼結機(図7参
照)に請求項1の発明(焼結ベッド上層部への固体燃料
の選択的多量配置)の適用を行なった。用いた実機焼結
機の各風箱群の風箱No.については、第1風箱群6A
は風箱No.1〜No.7、第2風箱群6Bは風箱N
o.8〜No.22、第3風箱群6Cは風箱No.23
〜No.27である。また、循環ガスフード7の位置
は、風箱No.3〜No.22の上方に相当する。図1
に示す固体燃料散布装置21としては、本出願人が特願
平10−356651号にて提案した図3に示す固体燃
料散布装置を用いた。図3に示すように、この装置は、
移動パレット2に積み付けられた焼結原料の上方に、そ
の進行方向Gに対して横断する方向に分散板36が設け
られている。分散板36は、その分散板36上に供給さ
れた固体燃料24を振動によってパレット横断方向Eへ
移送する。分散板36のパレット進行方向板幅は、前記
移送方向に向かって減少しており、上記移送される固体
燃料24が次々と落下(F)し、焼結原料4上面に広範
かつ均一に散布されるものである。この固体燃料分散装
置21を用いて、焼結原料上面に散布する固体燃料(コ
ークス粉)の量を順次増加し(その散布量に相当する量
だけ焼結原料へのコークス粉の配合量を順次減少し
て)、製造される焼結鉱の落下強度および生産指数に及
ぼす影響を調査した。ここに「生産指数」とは、固体燃
料分散装置21によるコークス粉の添加を行なわない従
来方法による生産量を基準(100%)として生産性を
相対表示したものである。
【0051】図8は、固体分散装置21で焼結原料上面
にコークス粉を散布したあとカットプレート22でその
コークス粉と上層部の焼結原料とを混合した後の焼結ベ
ッドの一部をサンプリングし、そのサンプルの異なる高
さ位置ごとの固定炭素濃度を測定することにより、焼結
ベッド高さ方向のコークス粉の分布状況を調査したもの
の一例である。なお、図8は、横軸および縦軸は無次元
化して示している。すなわち、横軸の固定炭素濃度比
は、測定された各固定炭素濃度を焼結ベッド全体の平均
固定炭素濃度で割った値であり、縦軸の焼結ベッド高さ
位置は、焼結ベッド下面からの各高さを焼結ベッド全層
厚で割った値である。図8から明らかなように、コーク
ス粉の散布を行なわない場合の固定炭素濃度分布に比較
して、焼結ベッド上面から焼結ベッド層厚の約15%ま
での上層部のみ固定炭素濃度が高くなっており、所定の
深さの上層部にコークス粉を選択的に多く配置できるこ
とを確認した。
【0052】そこで、この固体燃料分散装置を用いて焼
結原料上面に散布する固体燃料(コークス粉)の量を順
次増加して焼結を行ない、図9の結果を得た。図9は、
前記上層部の固体燃料配合率の焼結ベッド層厚全体の固
体燃料平均配合率からの上乗せ分と製造された焼結鉱の
落下強度および生産指数との関係を示したものである。
図9から、前記上乗せ分を多くするほど焼結鉱の落下強
度は上昇することを確認した。前記上乗せ分を多くする
にしたがい、焼結ベッド上層部の脆化層の形成が減少す
る効果による。一方、生産指数は、前記上乗せ分を多く
していくと最初上昇するが、前記上乗せ分が約1質量%
のときに最大となり、前記上乗せ分をさらに多くすると
逆に低下することを確認した。このように前記上乗せ分
がある一定値(約1質量%)までは生産指数が上昇する
のは、前述したように焼結ベッド下部の熱バランスが改
善され下部における過剰の融液の生成が回避されて通気
性が向上するためであり、一方、前記上乗せ分が多すぎ
ると生産指数が低下するのは、前述したように、上層部
の融液の量が過剰になり焼結ベッドの通気性を阻害する
ためである。したがって、前記上乗せ分は、焼結鉱の落
下強度が0.3%以上上昇して歩留りの改善効果が十分
現れ、かつ生産指数も0.8%以上の上昇を確保できる
0.5〜1.5質量%が好ましい。
【0053】(実施例3)次に、請求項2(焼結ベッド
上層部への固体燃料の選択的多量配置+焼結ベッド表面
の圧密)の発明の定量的な効果を確認するため、前記実
機焼結機に請求項2の発明の適用を行なった(図2参
照)。図2に示すように、実施例2の設備構成(図1参
照)に、カットプレート22と点火炉5の間に圧密ロー
ラー23を追加した。圧密ローラー23は、電動機にて
駆動され任意の回転速度に調節でき、さらにローラーの
軸の両端は上下に移動でき、ローラーの高さ位置の調整
が可能な機構としている。
【0054】移動パレット2上に装入された焼結原料
は、まずカットプレート22でその表面が平滑化された
後、さらに、所定の高さ位置に設定された圧密ローラー
23でその表面が転圧される。なお、圧密ローラー23
の回転速度を適宜調整することにより、圧密ローラー2
3による転圧後の焼結ベッド表面が波打たずできるだけ
平滑なまま維持できる。上記固体燃料の上乗せ分を1%
に固定したまま、圧密ローラー23の高さ位置を順次低
下させて、全層厚に対する焼結ベッド表面の圧密割合を
増加させたときの、焼結鉱の落下強度および生産指数に
及ぼす影響を調査した。
【0055】図10に、焼結ベッド表面の圧密割合と、
製造された焼結鉱の落下強度および生産指数との関係を
示す。図10から、焼結鉱の落下強度は、圧密割合を0
%から順次大きくしていくと圧密割合が約7%に達する
までは加速度的に上昇するが、圧密割合が約7%を超え
るとその上昇度合いは次第に小さくなり圧密割合が約9
%を超えるとほとんど上昇しなくなることがわかった。
一方、生産指数は、圧密割合を0%から順次大きくして
いくにしたがって漸増するが、圧密割合が約7%でピー
クを示し、それを超えると急速に低下することがわかっ
た。このように圧密割合が約7%を超えると焼結鉱の落
下強度の上昇が鈍化し、かつ生産指数が低下するのは、
表面近傍が緻密になりすぎたため充填層内で焼結機幅方
向にガスの偏流が生じ十分焼結されない強度の弱い部分
が存在し始め上層部の焼結鉱の落下強度の上昇分を希釈
するとともに、通気抵抗が増大してガスの吸引量が少な
くなりすぎ焼結速度が低下したためと推測される。した
がって、圧密割合は、焼結鉱強度の改善効果が現れる約
1%以上で、生産指数を上昇させつつ焼結鉱の落下強度
が上昇できる、約7%以下とすることが好ましい。
【0056】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、焼結ベ
ッド表面から焼結ベッド層厚の15%までの上層部の固
体燃料配合率を焼結ベッド全体の固体燃料の平均配合率
より0.5〜1.5質量%高くすることにより、高水分
の循環排ガスを吸引しても、生産性を向上させつつ、製
品歩留りを向上させることができる。
【0057】請求項2に記載の発明によれば、焼結ベッ
ド表面から焼結ベッド層厚の15%までの上層部の固体
燃料配合率を焼結ベッド全体の固体燃料の平均配合率よ
り0.5〜1.5質量%高くし、さらに焼結ベッド表面
を焼結ベッド層厚の1〜7%圧密することにより、上記
と同じく生産性を向上させつつ、製品歩留りを一層向上
させることができる。
【0058】したがって、本発明により、系外に排出す
る排ガス量を一層削減しつつ、生産性、製品歩留りをと
もに向上でき、低コストで焼結鉱を製造できる排ガス循
環方式焼結操業方法が確立できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(請求項1:焼結ベッド上層部への固体
燃料の選択的多量配置)を実施するための排ガス循環方
式焼結機の原料装入部近傍の概要を示す、概略説明図で
ある。
【図2】本発明(請求項2:焼結ベッド上層部への固体
燃料の選択的多量配置+焼結ベッド表面の圧密)を実施
するための排ガス循環方式焼結機の原料装入部の概要を
示す、概略説明図である。
【図3】本発明(請求項1および2)における焼結ベッ
ド上層部に固体燃料を選択的に多く配置するための固体
燃料散布装置の概要を示す、概略説明図である。
【図4】本発明(請求項1および2)における焼結ベッ
ド上層部に固体燃料を選択的に多く配置する装置の別の
態様を示す、概略説明図である。
【図5】実施例1の、焼結鍋試験により製造された焼結
鉱の落下強度を示す説明図である。
【図6】実施例1の、焼結鍋試験における焼結ベッド各
高さ位置における保熱指数を示す説明図である。
【図7】実施例2および3の、本発明適用前の排ガス循
環方式焼結機(排ガス系を3分割)の概略説明図であ
る。
【図8】実施例2の、焼結ベッドの高さ方向での固体燃
料の分布を示す説明図である。
【図9】実施例2の、焼結ベッド上層部への固体燃料配
合率上乗せ分と焼結鉱の落下強度および生産指数との関
係を示す説明図である。
【図10】実施例3の、焼結ベッド表面の圧密割合と焼
結鉱の落下強度および生産指数との関係を示す説明図で
ある。
【図11】大気吸引方式焼結機における排ガスの焼結機
長手方向の温度変化、水分変化、および酸素濃度変化を
示す概略説明図である。
【図12】排ガス循環方式焼結機の一例(排ガス系を2
分割)の概略説明図である。
【図13】高水分ガス吸引時における燃焼部近傍の焼結
鉱中FeO含有量の分布を示す説明図である。
【符号の説明】
1…焼結機、2…移動パレット、3…原料供給装置、4
…焼結原料(焼結ベッド)、5…点火炉、6…風箱、6
A…第1風箱群、6B…第2風箱群、6C…第3風箱
群、7…循環ガスフード、8…低温ガス循環用排風機、
9…高温ガス循環用排風機、10…主排風機、11A…
循環ガスダクト、11B…循環ガスダクト、12…集塵
機(電気集塵機)、13…煙突、14…排気ダクト、1
9…焼結原料(湿潤帯)、20…赤熱帯、21…固体燃
料散布装置、22…カットプレート、23…圧密ローラ
ー、24…固体燃料、25…固体燃料配合率の高い焼結
原料層、35…固体燃料定量供給装置、36…分散板、
41…焼結原料ホッパー、42…固体燃料ホッパー、4
3…ドラムフィーダー、44…装入シュート、45…固
体燃料添加用ノズル、46…ガイドシュート、E…固体
燃料移送方向、F…固体燃料落下方向、G…パレット進
行方向
フロントページの続き (72)発明者 宮田 健士朗 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 (72)発明者 沢山 宗義 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社神 戸製鋼所加古川製鉄所内 Fターム(参考) 4K001 AA10 BA02 CA36 CA41 CA43 CA45 GA10 GB10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結機排ガスの一部を再度焼結ベッドに
    循環する排ガス循環方式焼結操業方法において、焼結ベ
    ッドの表面から焼結ベッド層厚の略15%下方までの上
    層部に存在する固体燃料の配合率を、焼結ベッド層厚全
    体の固体燃料の平均配合率より0.5〜1.5質量%高
    くして操業を行うことを特徴とする排ガス循環方式焼結
    操業方法。
  2. 【請求項2】 焼結機排ガスの一部を再度焼結ベッドに
    循環する排ガス循環方式焼結操業方法において、焼結ベ
    ッドの表面から焼結ベッド層厚の略15%下方までの上
    層部に存在する固体燃料の配合率を、焼結ベッド層厚全
    体の固体燃料の平均配合率より0.5〜1.5質量%高
    くし、さらに該焼結原料に点火する前に、焼結ベッド表
    面を焼結ベッド層厚の1〜7%の範囲で下方に圧密して
    操業を行うことを特徴とする排ガス循環方式焼結操業方
    法。
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