JP2002121271A - 連続重縮合装置及び方法 - Google Patents

連続重縮合装置及び方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、比較的簡単な構造の撹拌翼により本
体内の被処理液を薄膜状態に長く保持させて良好な表面
更新を行い、品質の良い重合物を効率良く反応させる連
続重縮合装置及び連続重縮合方法を提供することにあ
る。また、本発明は広い処理液の粘度範囲を持った、撹
拌消費動力の小さい連続重縮合装置及び連続重縮合方法
を提供することにある。 【解決手段】横型の円筒状容器本体(1)長手方向に本
体の内側に近接して回転する撹拌ロータ(4)を設け、
この撹拌ロータの内部に処理液の粘度範囲に応じて最適
な撹拌ブロックを複数個連結して撹拌ロータとし、撹拌
ロータの両端に支持部材を介して回転支持用の軸(3
a,3b)を取り付け、撹拌ロータの回転中心に軸等の
部材を取り付けない構造とすることにより達成される。 【効果】本体内の被処理液は粘度範囲に応じた最適な撹
拌ブロックにより薄膜化され広い蒸発表面積を得ること
により、十分な表面更新作用を得ることができ、品質の
良い重合物を効率良く生産することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高粘性物質の撹拌
方法および装置に関し、特にポリエチレンテレフタレー
ト,ポリカーボネート等の重縮合系高分子の連続重合反
応に好適な装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエチレンテレフタレート等の
重縮合系高分子の横型連続処理装置として、特公昭53
−1228号公報に示されるように、リング状の円板と
かきとり板で被処理液をすくい上げ、多孔板又は金網上
を落下させて薄膜とし、揮発物を蒸発させて反応させる
ものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術は多孔板又は金網上を重力方向に落下させる間に
揮発物を蒸発させるもので、薄膜状態を長く保持させる
点に充分な配慮がされてなく改良の余地があった。ま
た、撹拌翼の構成は処理液の入口から出口まで同一の構
造であるために処理できる粘度範囲が制限されるという
問題点があった。
【0004】本発明の目的は、上記従来技術を改善し、
比較的簡単な構造の撹拌翼構成により本体内の被処理液
を薄膜状態に長く保持させて良好な表面更新を行い、さ
らに処理液の粘度に最適な撹拌翼形状を提供することに
より処理液粘度範囲が広く、品質の良い重合物を効率良
く反応させる連続重縮合装置及び連続重縮合方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的は、撹拌ロータ
を複数個のそれぞれの処理液粘度に最適な撹拌ブロック
を連結する撹拌翼により達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施例を示す。図
1は本発明の装置の縦断面を示す正面図である。図にお
いて、1は横長円筒状の容器本体で外周を熱媒ジャケッ
ト(図示せず)で覆われており、長手方向の両端に回転支
持用の軸3a,3bが取り付けられている。これらの回
転支持用の軸3a,3b間に撹拌ロータ4が取付けら
れ、一方の回転軸3aは駆動装置(図示せず)に連結さ
れている。この撹拌ロータ4は両端に強度部材5a,5
b,5c,5d(本実施例では4本の場合を示すがロー
タの大きさによって使用する本数は決定される)と連結
されるロータ支持部材2を持ち、この支持部材2間に複
数個の撹拌ブロックから成る撹拌ロータ4を形成してい
る。撹拌ロータ4は入口ノズル11側の低粘度域はかき
とり板6aと6bにより構成されるバケット部とバケッ
ト部から処理液を注ぎかける薄板円板7aおよび中空円
板8より構成される低粘度撹拌ブロック(詳細構造は図
2,図6,図7により説明する)が設けられている。次
に中粘度域は両側に中空円板8を配置し、その中に同一
外径の中空薄板7bを複数枚設置し、さらに外周部には
これらの部材を貫通したかきとり板6cを放射状に複数
個設置して構成される中粘度撹拌ブロック(詳細構造は
図3,図4,図8,図9により説明する)が設けられて
いる。さらに出口側には車輪型形状の円板9を複数個適
当な間隔で設置し車輪型形状の円板9の外周部にかきと
り板10を設置して高粘度撹拌ブロック(詳細構造は図
5,図10により説明する)が設けられている。また本
体1の他端下部には、被処理液の出口ノズル11が取り
付けられている。さらに、本体1の上部に揮発物の出口
ノズル14が設けられ、配管で凝縮器及び真空引き装置
(図示せず)に接続される。
【0007】このような装置において、入口ノズル11
より連続して供給された重合度の低い低粘度の被処理液
(プレポリマー)は、図2に示す低粘度撹拌ブロックで
まず撹拌される。このときの処理液の粘度は数Pasか
ら数十Pasである。低粘度撹拌ブロックは中空円板8
の外周部にかきとり板6aと6bでバケットを形成す
る。図に示したように回転するとバケット内に処理液を
すくい上げるように動作する。このときの処理液の流動
状況を模式的示したものが図6,図7である。かきとり
板6a,6bのバケット底部には小さな隙間δ(図2)
が形成されている。このために容器底部に滞留した低粘
度の処理液91の一部100は撹拌ロータの回転と共に
バケットですくい上げられ、バケットが回転により内側
へ傾き処理液が中側へ流れ出す(図6の101)と共に
外側へも少しずつ漏れだし(図6の102)て、バケッ
トの内側と外側の両方に液膜101,102を形成す
る。さらに内側に流れ出した処理液101は内側のバケ
ット先端部に設置された薄板円板7aに注がれ(図7の
103)、薄板円板7a表面及び薄板円板7aと薄板円
板7aとの間の両方に薄い液膜103を形成し、広い蒸
発表面積を確保することが出来る。これらの作用はバケ
ットが回転する毎に繰り返され、十分な蒸発表面と良好
な表面更新作用を得ることが出来る。このときの回転数
は0.5から数rpmの低速回転(10rpm 以下)でも十分
に良好な性能が得られ、撹拌消費動力の低減に大きな効
果が得られる。また処理液より蒸発した副生物は中空円
板8の中空部20a,薄板円板7aの中空部20aを通
過し揮発物の出口ノズル14から排出される。低粘度撹
拌ブロックで所定の滞留時間を経過した処理液は粘度を
数十Pas程度に上昇させて次の中粘度撹拌ブロックへ
到達する。中粘度撹拌翼ブロックの詳細構造を図3,図
4に示す。中粘度撹拌翼ブロックは中空円板8と薄板中
空円板7b及びかきとり板6cで構成されており中空円
板の孔径D1,薄板円板7bの孔径D3は処理液の反応
副生物のガス量に応じて最適の径になるように決定され
る。また薄板円板7bの孔径D2についても処理液の粘
度と反応ガス量に応じて最適径が決定される。数十Pa
sになった処理液92は図8,図9に示すように回転に
よってかきとり板6cによって持ち上げられ、さらにか
きとり板が回転によって傾斜するために液が垂れ下がり
液膜104を形成する。液膜104は回転と共に撹拌ロー
タの連結強度部材5aに垂れ掛かり液膜は長く保持され
る。また中空円板8の中空部20aの内部にも回転によ
って引きずりあげられた処理液が垂れ下がり液膜105
を形成する。また薄板円板7bも同様に液膜107が形
成されるが、さらに薄板円板7bに設けられた小孔20
bにも処理液が垂れ下がり液膜106を形成する。処理
液はこのような液膜を形成しながら大きな蒸発表面積と
良好な表面更新作用によりさらに重合度が上がり、処理
液の粘度が高くなる。処理液粘度が数百Pasになると
次の高粘度用の撹拌ブロックで処理される。高粘度用の
撹拌ブロックは図5に示したような車輪型の円板9の外
周部にかきとり板10aが取り付けられている。このよ
うな車輪型円板9が水平方向に撹拌強度部材5a,5
b,5c,5dによって所定の間隔で連結されている。
このとき車輪型円板9の前後のかきとり板は10aと1
0bのように互い違いに設置され、かきとり板の水平方
向の長さは円板が回転したときにお互いの先端部の軌跡
が重なり合って槽内壁面全体を掻き取るようになってい
る。図10に示すように数百Pasに達した処理液93
は撹拌翼の回転によりかきとり板10aによって液を持
ち上げる。持ち上げられた処理液は回転によって液が垂
れ下がり液膜108を形成する。また、このとき車輪型
円板9の中空部にも液膜109が形成され複雑な液面形
状を創出する。処理液の粘度がさらに上昇し数千Pas
に達すると持ち上げられる液の量も増大してくる。この
ような状態で回転数を早くすると処理液が垂れ落ちる前
に液を再び掻き上げてしまう供回り現象を起こしてしま
うので回転数は10rpm 以下で運転する必要がある。最
適な運転範囲は処理液の粘度が高いほど低くする必要が
あり、発明者らの実験では0.5 から6rpm の範囲が最
適であった。以上のように撹拌及び表面更新作用が繰り
返されて重縮合反応が促進される。そして反応により生
成した揮発物は中空円板の中空部を通って順次本体1内
を長手方向に移動し、揮発物ノズル14より系外に排出
される。このようにして重合度が高くなり高粘度となっ
た被処理液は出口ノズル12より系外に排出される。
【0008】このような装置でポリエチレンテレフタレ
ートを重合する場合には被処理液の中間重合物を入口ノ
ズル11より連続供給し、撹拌ロータ4で撹拌し表面を
更新して、重合反応で生じるエチレングリコール等の揮
発物を蒸発除去し、重縮合反応が進み高粘度の重合物と
なる。この間に分離したエチレングリコール等の揮発物
は出口ノズル14より排出される。この時の操作条件は
例えば液温度260〜300℃,圧力0.01 〜10k
Pa,回転数1〜10rpm の範囲で行われる。そして重
合物は出口ノズル12より系外に排出される。この時重
合物は本体1内でほぼ完全なセルフクリーニング状態で
撹拌され、良好な表面更新を受けるので、滞留による劣
化もなく品質の良い製品重合物を効率良く得ることがで
きる。
【0009】同様にして本発明は、ポリアミド,ポリカ
ーボネート等の重縮合系樹脂の連続塊状重合に適用でき
る。
【0010】
【発明の効果】本発明によれば、処理液の粘度に応じて
最適な撹拌ブロックで処理液を撹拌することにより良好
な表面更新を行い、品質の良い重合物を効率良く生産す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による連続重縮合装置の一実施例を示す
縦断面正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図1のB−B線断面図である。
【図4】図1のC−C線断面図である。
【図5】図1のD−D線断面図である。
【図6】低粘度撹拌ブロックのバケット部の処理液の流
れを示す模式図である。
【図7】低粘度撹拌ブロックの薄板円板付近の処理液の
流れを示す模式図である。
【図8】中粘度撹拌ブロックの中空円板付近の処理液の
流れを示す模式図である。
【図9】中粘度撹拌ブロックの薄板円板状の処理液の流
れを示す模式図である。
【図10】高粘度撹拌ブロックの処理液の流れを示す模
式図である。
【符号の説明】
1…容器本体、3a,3b…回転支持用の軸、4…撹拌
ロータ、5a,5b,5c,5d…撹拌ロータ構成用の
強度部材、2…ロータ支持部材、6a,6b,6c…か
きとり板、7a,7b…薄板円板、8…中空円板、9…
車輪形円板、10a,10b…かきとり板、11…入口
ノズル、12…出口ノズル、14…揮発物の出口ノズ
ル、20a,20b,20c…中空部、91,92,9
3…処理液液面、100,101,102,103,1
04,105,106,107,109,110…液
膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐世 康成 山口県下松市大字東豊井794番地 株式会 社日立製作所笠戸工場内 (72)発明者 鈴木 宙夫 山口県下松市大字東豊井794番地 株式会 社日立製作所笠戸工場内 Fターム(参考) 4G075 AA32 AA61 BA10 BB05 BD05 DA02 DA12 EA02 EC11 ED01 ED02 ED09 EE02 EE12 EE23 4J029 AA01 AB04 AC01 BA03 CB06A KC02 LA05 LA10 LA11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に横型の円筒状容器本体長手方向の
    一端下部及び他端下部にそれぞれ被処理液の入口及び出
    口を有し、本体の上部に揮発物の出口を持ち、本体内部
    の長手方向に本体の内側に近接して回転する撹拌ロータ
    を設けた装置において、本体内部の撹拌ロータが処理液
    の粘度に応じて複数個の撹拌翼ブロックで構成され、撹
    拌ロータの中心部に回転シャフトを持たないことを特徴
    とする連続重縮合装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の連続重縮合装置において、
    中粘度用の撹拌ブロックは両端に中空の円板を設け、円
    板の外周部には他のかきとり板を複数個放射状に設け、
    さらに中空円板の間には円板の外周と同一の大きさの中
    空薄板を複数個設け、該薄板には小円孔を複数個形成し
    た撹拌ブロックを複数個連結することを特徴とする連続
    重縮合装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の連続重縮合装置において、
    高粘度用の撹拌ブロックはかきとり板付きの車輪形状の
    円板を複数個水平方向に配置し、前後のかきとり板の取
    り付け位置を互い違いに設置して撹拌ブロックを形成す
    ることを特徴とする連続重縮合装置。
  4. 【請求項4】請求項1記載の連続重縮合装置により、重
    合度の低いプレポリマーを入口ノズルより連続供給し、
    それぞれの撹拌ロータによって最適な液膜を形成しなが
    らロータを回転させて処理液を撹拌することにより、良
    好な表面更新を行ってエチレングリコール等の揮発物を
    蒸発させ、出口方向へ移動させて重合度を高めるポリエ
    チレンテレフタレートの連続重縮合方法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の装置において、入り口の
    処理液粘度が数Pas以上、出口の処理液粘度が数kP
    as以下の範囲で運転することを特徴とする連続重縮合
    装置及び運転方法。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の装置において、撹拌翼の
    回転範囲を0.5rpmから10rpm とすることを特徴とす
    る連続重縮合装置及び運転方法。
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