JP2002119627A

JP2002119627A - ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JP2002119627A
Application number: JP2000315245A
Authority: JP
Inventors: Shinji Yamamoto; 眞司山本
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2000-10-16
Filing date: 2000-10-16
Publication date: 2002-04-23

Abstract

(57)【要約】【課題】溶接に起因する不都合を排除して寸法上の設
計自由度を高めたゴルフクラブヘッドを提供する。【解決手段】金属製のヘッド本体１にソールプレート
２を溶接した中空ヘッド構造を有し、ソールプレート２
に金属製の重量体３を固着したゴルフクラブヘッドにお
いて、重量体３をソールプレート２の外表面に露出する
ように固着し、露出した重量体３の最大幅Ｗ₁と該重量
体３を固定する位置におけるソールプレート２の最小幅
Ｗ₂との関係がＷ₂−Ｗ₁＜８ｍｍであること、及び、
露出した重量体３の周辺部とソールプレート２の周辺部
との最小間隔が４ｍｍ未満であることの少なくとも一方
を満足させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、中空構造を有する
金属製のゴルフクラブヘッドに関し、更に詳しくは、溶
接に起因する不都合を排除して寸法上の設計自由度を高
めたゴルフクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ゴルフクラブヘッドにおいてヘ
ッドの重心位置を低くすると、ボールとの衝突位置（打
点位置）がフェース面のスウィートスポットより上とな
り、インパクト時の衝撃によりヘッドが動き、縦方向
（トップ−ソール方向）のギア効果が働くことによっ
て、ボールに加わるバックスピン量が少なくなり、飛距
離が増大することが知られている。そのため、ヘッドの
各部を軽量化し、必要なヘッド質量に対する質量マージ
ンをソール部に集中させることが従来から行われてい
る。

【０００３】ヘッドを軽量化して質量マージンを得る方
法としては、比強度、比弾性率に優れた材質を用いるこ
とが理想的であり、耐摩耗性、耐衝撃性、耐食性、更に
は打球感、高級感等のゴルフクラブヘッドとして要求さ
れる項目を満たすにはチタン又はチタン合金を材質とす
ることが好ましく、特に中空構造を構成することで十分
な質量マージンを発生させることができる。また、ソー
ル部に質量を集中させてヘッドの低重心化を図る際に、
より高比重の材料をより広く（薄く）、より下方に配置
することが効率的であることは自明である。

【０００４】上記のような理論が公知であっても実際に
ヘッドを成形する際には困難な問題が多々ある。即ち、
中空構造を得るためには、シャフトを挿入するホーゼル
穴を除く一部に開口部を設けたヘッド本体を鋳造で成形
する一方で、開口部に嵌め込む蓋として、同じく鋳造で
成形した板状のシェルもしくは板材を打ち抜いて一定の
形状に曲げ加工した板状のシェルを用いる方法が一般的
である。上記蓋をヘッド本体に対して固定する方法は、
接合強度の面から溶接が最も好ましい。また、板材を打
ち抜いて一定の形状に曲げ加工した複数のシェルを相互
に溶接固定することで蓋部分以外のヘッド本体を形成し
た所謂鍛造ヘッドの構造とすることもできる。

【０００５】このような中空構造のゴルフクラブヘッド
においては、ソール部に高比重の重量体を固着するの
で、その重量体の固着方法の自由度、即ち、圧入嵌合部
等の機械加工、圧入、カシメ等のプレス加工時における
作業性、精度、治具の簡素化等を考慮すると、重量体を
固着するソール自体がヘッド本体とは別体の板状シェル
であることが好ましい。そのため、ヘッド本体の開口部
に嵌め込む蓋部材はソール部に配置することが好まし
い。

【０００６】蓋部材をソール部に配置するにあたって、
溶接時の熱伝導の問題から溶接して接合する両部材の肉
厚は同等であることが好ましく、またソール部に固定し
た高比重の重量体に加わる慣性力を支えるために或る程
度の肉厚が必要であり、より低重心を図るためにソール
以外の部分の肉厚を極力薄くしたいとの要求がある。そ
のため、蓋をする部分、言い換えれば、開口部は、サイ
ド部分やフェース部分にまで広げることは難しく、ソー
ル面の範囲内で出来るだけ大きく取るのが理想的であ
る。また、蓋部材の溶接がフェースのスコアラインに干
渉するのを避ける事、ソール面を認識できる稜線や曲率
の大きな部分がソール形状の特徴として必要な場合は形
状を安定させるために鋳造あるいは鍛造によって予めソ
ール形状を作っておくのが好ましい事、フェースの角度
や形状を安定させる事、溶接部の長さを出来るだけ少な
くして生産性を高める事などの様々な要因から、蓋（開
口部）はソール面の範囲内に設けることが好ましい。

【０００７】ソール蓋を固定する溶接は一般にＴＩＧ溶
接もしくはＭＩＧ溶接によって行われる。これらの溶接
においては、接合しようとする２枚の板材に隙間（板圧
によっては多少異なるが通常１mm程度）を設け、さらに
開先と呼ばれる間口の広がりを設ける。溶接接合しよう
とする材料と同種の材料（いわゆる共材）からなる溶接
棒を溶融してこの隙間に溶け込ませると同時に周辺部も
溶融させて一体化させるものである。

【０００８】溶接部分は十分な溶け込みと板材の溶融を
確保するため溶接棒が溶融した材料が表面に盛られた状
態になる程度の熱量を加える。この溶融した材料の盛り
上がりを「溶接ビード」と呼び、ビードの幅が小さい方
が研磨で取り除く量も少なくなるため好ましいが、熟練
した溶接工や溶接ロボットの調整を行ってもビード幅は
最小で８ｍｍ程度に抑えるのが限度である。

【０００９】また、チタン又はチタン合金は溶融した状
態で他の金属と接触した場合に非常に脆い金属化合物を
生成するほか、この時にガスを発生し、ビードを研磨で
取り除いたとしても気泡（ボイド）が残り、製品の外観
上を悪化させてしまう。

【００１０】その結果、ヘッド本体のソール部に設けた
開口部に該開口部と概ね同形状でヘッド本体と溶接可能
な材質からなるソールプレートを溶接固定することによ
って中空ヘッド構造をなし、そのソールプレートに予め
ヘッド本体及びソールプレートを構成する金属材料より
も比重が大きい金属製の重量体を固着しておく方法を採
る場合、ソールプレートの外表面に露出させる重量体
は、溶接によって固定するソールプレートの周辺部から
４ｍｍ以上（好ましくは５ｍｍ以上）の間隔を持たせる
必要があり、その重量体の大きさは最大でもソールプレ
ートの幅よりも８ｍｍ以上（好ましくは１０ｍｍ以上）
小さいものとなる。

【００１１】なお、溶接前の状態でソールプレートに重
量体を固着する方法として、ソールプレート及び重量体
のいずれか一方を変形させる所謂カシメを採用し、この
カシメによって両者を隙間無く固定した場合、溶接時の
熱変形により隙間を生じると、外観上好ましくないばか
りか、カシメによる固着力が低下し、ゴルフクラブとし
て使用中に重量体のがたつきを生じたり、最悪の場合、
重量体が脱落してしまう恐れがある。

【００１２】また、ソールプレートも先に示した理由か
らソール面内の開口部に合わせた大きさにすると、ソー
ル面の境界となる角又は大きな曲率の位置から４ｍｍ以
上内側とすることが必要となり、小さいものになってし
まう。つまり、溶接ビードの幅を考慮するとソールプレ
ートを小さくせざるを得ず、しかも重量体も溶接ビード
の幅を考慮することによって制限を受けて小さい範囲に
しか露出させられないことになるので、クラブヘッドの
各部材を軽量化して質量マージンを確保できても、重量
体の厚さ（高さ）を大きくするか、重量体をソールプレ
ートの外表面に露出させない構造にする必要があるの
で、質量マージンの範囲内で効果的に低重心化を図るこ
とが困難である。特に、ソール面の幅が狭いアイアンタ
イプのヘッドにおいてはソール表面に露出できる重量体
の大きさが制限されることはヘッドの効率的な低重心化
を行う上で大きな問題となる。

【００１３】ソールプレートの内面側により広い面積で
重量体を取り付けることで露出部の少なさ、即ちより低
い位置に配置できる重量体の少なさを補うことも考えら
れる。曲面からなるソールプレートに広い面積で確実に
重量体を固着させる方法として、ソール内面側に設けた
窪み部に重量体を圧入やカシメによって嵌合させること
も行われているが、重量体自体が圧力によって変形しう
る柔らかさと延性を持っていることが必要となり、銅や
真鍮の類の比重が１０以下のもの、あるいはタングステ
ン焼結金属であったとしてもバインダーとなる銅やニッ
ケルの比率が高く重量体としての比重が１５以下のもの
に限定される。また、このような構造では、低重心化を
図りながら質量をトゥ−ヒール方向に分散する等の高度
な技術には対応できなくなり、質量配分の自由度が低い
という点で、より高比重（１５以上）の重量体をより低
い位置（ソール面に露出する位置）により大きな面積で
固着する構造に勝るものではない。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶接
に起因する不都合を排除して寸法上の設計自由度を高め
たゴルフクラブヘッドを提供することにある。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明は、ソールプレー
トの溶接固定をレーザービーム溶接、電子ビーム溶接又
はプラズマ溶接で行うことにより、溶融した金属跡であ
るビードの幅を３ｍｍ程度に抑え、ソールプレートの大
きさと露出できる金属製重量体の大きさへの制限が飛躍
的に緩和され、理想的な中空複合金属ヘッドを提供する
ものである。

【００１６】レーザービーム溶接、電子ビーム溶接及び
プラズマ溶接は、ＴＩＧ溶接やＭＩＧ溶接と異なり、溶
接する２枚の板の合わせ部を局部的に高温にして溶着さ
せるものである。従って２枚の板の合わせ部に隙間を必
要とせず、局部的に高温となることから金属が溶融する
部分は深く、狭い範囲となり、溶接ビードは狭くなる。
本発明はレーザービーム溶接、電子ビーム溶接及びプラ
ズマ溶接の特徴をヘッドの低重心化の理想的な構造を達
成するために利用し、従来品にない構造を実現したもの
である。

【００１７】即ち、本発明のゴルフクラブヘッドは、ソ
ール部に開口部を設けた金属製のヘッド本体と、前記開
口部と概ね同形状で前記ヘッド本体と溶接可能な材質か
らなるソールプレートとを相互に溶接固定することによ
って中空ヘッド構造をなし、前記ソールプレートにヘッ
ド本体及びソールプレートを構成する金属材料よりも比
重が大きい金属製の重量体を固着したゴルフクラブヘッ
ドにおいて、前記重量体をソールプレートの外表面に露
出するように固着し、露出した重量体の最大幅Ｗ₁と該
重量体を固定する位置におけるソールプレートの最小幅
Ｗ₂との関係がＷ₂−Ｗ₁＜８ｍｍであること、及び、
露出した重量体の周辺部とソールプレートの周辺部との
最小間隔が４ｍｍ未満であることの少なくとも一方を満
足することを特徴とするものである。

【００１８】また、本発明のゴルフクラブヘッドは、ソ
ール部のソール面に開口部を設けた金属製のヘッド本体
と、前記開口部と概ね同形状で前記ヘッド本体と溶接可
能な材質からなるソールプレートとを相互に溶接固定す
ることによって中空ヘッド構造をなし、前記ソールプレ
ートにヘッド本体及びソールプレートを構成する金属材
料よりも比重が大きい金属製の重量体を固着したゴルフ
クラブヘッドにおいて、前記重量体をソールプレートの
外表面に露出するように固着し、露出した重量体の最大
幅Ｗ₁と該重量体を固定する位置におけるソール面の最
小幅Ｗ₃との関係がＷ₃−Ｗ₁＜１６ｍｍであること、
及び、露出した重量体の周辺部とソール面の境界との最
小間隔が８ｍｍ未満であることの少なくとも一方を満足
することを特徴とするものである。

【００１９】上記構成により、ヘッド本体のソール部に
ソールプレートを配置すると共に、該ソールプレートに
重量体を固着した中空構造のゴルフクラブヘッドにおい
て、寸法上の設計自由度が高くなり、ソールプレートの
外表面に露出させる重量体の大きさを可及的に大きく
し、しかもソール面に取り付けるソールプレートを可及
的に大きくすることが可能になるので、重量体を用いて
効果的に低重心化を図ることができる。

【００２０】上記構成においては、重量体を固着したソ
ールプレートをヘッド本体の開口部に対してレーザービ
ーム溶接、電子ビーム溶接又はプラズマ溶接によって固
定すれば良い。

【００２１】また、有効な低重心化を可能にするため
に、重量体の比重は１５以上であることが好ましい。ヘ
ッド本体及びソールプレートを構成する金属材料として
チタン又はチタン合金を用いる一方で、重量体の金属材
料としてはタングステン焼結金属を用いることが好まし
い。

【００２２】上記構成は、ソール面の幅が４０ｍｍ以下
であるゴルフクラブヘッドに適用した場合に顕著な効果
を奏するものである。なお、ソール面とはソール部の底
側の連続した曲面或いは小さな起伏を含む曲面で構成さ
れた領域であり、ソール部に形成された角部又は大きな
曲率となる位置によって区分される。より具体的には、
クラブヘッドをアドレス状態で基盤の上に置き、該基盤
に垂直でかつヘッド前後方向に対して平行な面でクラブ
ヘッドを切り欠いた時、基盤に垂直でかつヘッド前後方
向に対して垂直な面が、ヘッド断面のフェース側及びバ
ックフェース側に対してそれぞれ最も基盤側で接する２
つの位置で挟まれた範囲をソール面とする。また、上記
フェース側及びバックフェース側の各接点より基盤側に
目視によって確認できるような不連続面を形成する著し
く大きな曲率変化や角が存在する場合には、その位置を
基準とする。例えば、図１１（ａ）〜（ｅ）に示す具体
例では、クラブヘッドのソール面は領域Ｓの内側とな
る。

【００２３】本発明は凹凸デザインを備えたゴルフクラ
ブヘッドを溶接固定する場合にも有効である。即ち、本
発明の他のゴルフクラブヘッドは、外郭の一部に開口部
を設けた金属製のヘッド本体と、前記開口部と概ね同形
状で前記ヘッド本体と溶接可能な材質からなる蓋状シェ
ルとを相互に溶接固定することによって中空ヘッド構造
をなし、前記ヘッド本体及び前記蓋状シェルの少なくと
も１つに文字ロゴ、マーク、溝等の凹凸によるデザイン
が存在するゴルフクラブヘッドにおいて、前記凹凸デザ
インを設けたヘッド本体又は蓋状シェルの周辺部と該凹
凸デザインとの最小間隔が４ｍｍ未満であることを特徴
とするものである。

【００２４】上記構成により、ヘッド本体及び蓋状シェ
ルの少なくとも１つに凹凸デザインを備えた中空構造の
ゴルフクラブヘッドにおいて、寸法上の設計自由度が高
くなり、凹凸デザインの形成領域を可及的に大きくする
ことができる。

【００２５】上記構成においては、蓋状シェルをヘッド
本体の開口部に対してレーザービーム溶接、電子ビーム
溶接又はプラズマ溶接によって固定すれば良い。一方、
凹凸デザインはヘッド本体又は蓋状シェルの鋳造時に金
型から転写したものとすることができる。

【００２６】本発明の更に他のゴルフクラブヘッドは、
金属製の複数のシェルを相互に溶接固定することによっ
て中空ヘッド構造をなし、前記シェルの少なくとも１つ
に文字ロゴ、マーク、溝等の凹凸によるデザインが存在
するゴルフクラブヘッドにおいて、前記凹凸デザインを
設けたシェルの周辺部と該凹凸デザインの最小間隔が４
ｍｍ未満であることを特徴とするものである。

【００２７】上記構成により、複数のシェルの少なくと
も１つに凹凸デザインを備えた中空構造のゴルフクラブ
ヘッドにおいて、寸法上の設計自由度が高くなり、凹凸
デザインの形成領域を可及的に大きくすることができ
る。

【００２８】上記構成においては、複数のシェルをレー
ザービーム溶接、電子ビーム溶接又はプラズマ溶接によ
って相互に固定すれば良い。一方、凹凸デザインは溶接
前の段階でシェルに対して刻印したものとすることがで
きる。

【００２９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付
の図面を参照しながら詳細に説明する。

【００３０】図１〜図４は、本発明の第１実施形態から
なるゴルフクラブヘッドを示すものである。本実施形態
のゴルフクラブヘッドは、ソール部のソール面に開口部
を設けた金属製のヘッド本体１と、その開口部と概ね同
形状でヘッド本体１と溶接可能な材質からなるソールプ
レート２とを相互に溶接固定することによって中空ヘッ
ド構造をなし、該ソールプレート２にヘッド本体１及び
ソールプレート２を構成する金属材料よりも比重が大き
い金属製の重量体３を固着した構成になっている。この
重量体３は細径部と太径部とを有する円柱状をなし、そ
の細径部側の端面がソールプレート２の外表面に露出す
るように固着されている。ソールプレート２に対する重
量体３の固着方法は、特に限定されるものではなく、溶
接や圧入等の処理を施せば良い。また、ヘッド本体１の
ヒール側にはクラブシャフトを装着するためのホーゼル
が形成されている。

【００３１】ヘッド本体１及びソールプレート２を構成
する金属材料としてはチタン又はチタン合金を使用する
と良い。一方、重量体３を構成する金属材料としては、
比重１５以上の金属材料が好ましく、そのような材料と
してタングステン焼結金属を挙げることができる。重量
体３を固着したソールプレート２はヘッド本体１の開口
部に対してレーザービーム溶接、電子ビーム溶接又はプ
ラズマ溶接によって固定されている。

【００３２】図４に示すように、露出した重量体３の最
大幅Ｗ₁と該重量体３を固定する位置におけるソールプ
レート２の最小幅Ｗ₂との関係がＷ₂−Ｗ₁＜８ｍｍと
なるか、或いは、露出した重量体３の周辺部とソールプ
レート２の周辺部との最小間隔が４ｍｍ未満となるよう
に重量体３の寸法が設定されている。

【００３３】もしくは、露出した重量体３の最大幅Ｗ₁
と該重量体３を固定する位置におけるソール面の最小幅
Ｗ₃との関係がＷ₃−Ｗ₁＜１６ｍｍとなるか、或い
は、露出した重量体３の周辺部とソール面の境界（角部
又は大きな曲率となる位置）との最小間隔が８ｍｍ未満
となるように重量体３の寸法が設定されている。

【００３４】このようにヘッド本体１のソール部にソー
ルプレート２を取り付けると共に、該ソールプレート２
に重量体３を固着した中空構造のゴルフクラブヘッドに
おいて、その溶接にレーザービーム溶接、電子ビーム溶
接又はプラズマ溶接を採用することにより、ソールプレ
ート２の外表面に露出させる重量体３の大きさを可及的
に大きく、しかもソール面に取り付けるソールプレート
２を可及的に大きくしすることができる。

【００３５】従って、ゴルフクラブヘッドの質量マージ
ンを重量体３に割り当て、その重量体３をソール部に配
置して低重心化を図る場合に、その低重心化を極めて効
果的に行うことができる。特に、ソール面の幅が４０ｍ
ｍ以下であるゴルフクラブヘッドでは、ソールプレート
２の嵌め込み領域及び重量体３の配置領域が狭く限定さ
れるが、本発明を適用することで効果的な低重心化が可
能になる。

【００３６】図５〜図７は、本発明の第２実施形態から
なるゴルフクラブヘッドを示すものである。本実施形態
のゴルフクラブヘッドは、外殻の一部に開口部を設けた
金属製のヘッド本体１１と、その開口部と概ね同形状で
ヘッド本体１１と溶接可能な材質からなる蓋状シェル１
２とを相互に溶接固定することによって中空ヘッド構造
をなし、ヘッド本体１１及び蓋状シェル１２の少なくと
も１つに文字ロゴ、マーク、溝等の凹凸によるデザイン
を存在させた構成になっている。凹凸デザインはデザイ
ン形成領域１３に配置することができる。図５〜図７に
おいて、ヘッド本体１１の開口部をソール部に設けてい
るが、この開口部はヘッド本体１１の他の部位に配置し
ても良い。また、ヘッド本体１１のヒール側にはクラブ
シャフトを装着するためのホーゼルが形成されている。

【００３７】デザイン形成領域１３内の凹凸デザインは
ヘッド本体１１又は蓋状シェル１２の鋳造時に金型から
転写したものである。即ち、凹凸デザインは溶接前の段
階でヘッド本体１１又は蓋状シェル１２に付与したもの
である。蓋状シェル１２はヘッド本体１１の開口部に対
してレーザービーム溶接、電子ビーム溶接又はプラズマ
溶接によって固定されている。

【００３８】上記ゴルフクラブヘッドにおいて、凹凸デ
ザインを設けたヘッド本体１１又は蓋状シェル１２の周
辺部と凹凸デザインの最小間隔は４ｍｍ未満となるよう
に設定されている。つまり、図６において、破線で示す
蓋状シェル１２の周辺部と、デザイン形成領域１３との
最小間隔は４ｍｍ未満である。

【００３９】このようにヘッド本体１の外殻の一部に蓋
状シェル１２を取り付けた中空構造のゴルフクラブヘッ
ドにおいて、その溶接にレーザービーム溶接、電子ビー
ム溶接又はプラズマ溶接を採用することにより、凹凸デ
ザイン形成領域１３を可及的に大きくすることができ
る。

【００４０】図８〜図１０は、本発明の第３実施形態か
らなるゴルフクラブヘッドを示すものである。本実施形
態のゴルフクラブヘッドは、金属製の複数のシェル２１
〜２３を相互に溶接固定することによって中空ヘッド構
造をなし、シェル２１〜２３の少なくとも１つに文字ロ
ゴ、マーク、溝等の凹凸によるデザインを存在させた構
成になっている。凹凸デザインはデザイン形成領域２４
に配置するものであるる。図８〜図１０において、シェ
ル２１〜２３はそれぞれフェース部、クラウン部、ソー
ル部に相当するが、その割り位置は特に限定されるもの
ではない。また、クラウン部に相当するシェル２２のヒ
ール側にはクラブシャフトを装着するためのホーゼルが
形成されている。

【００４１】デザイン形成領域２４内の凹凸デザインは
シェル２１〜２３の成形後に刻印したものである。即
ち、凹凸デザインは溶接前の段階でシェル２１〜２３に
付与したものである。これらシェル２１〜２３はレーザ
ービーム溶接、電子ビーム溶接又はプラズマ溶接によっ
て相互に固定されている。

【００４２】上記ゴルフクラブヘッドにおいて、凹凸デ
ザインを設けたシェル２１〜２３の周辺部と凹凸デザイ
ンの最小間隔は４ｍｍ未満となるように設定されてい
る。つまり、図９において、破線で示すシェル２１〜２
３の周辺部と、デザイン形成領域２４との最小間隔は４
ｍｍ未満である。

【００４３】このように複数のシェル２１〜２３からな
る中空構造のゴルフクラブヘッドにおいて、その溶接に
レーザービーム溶接、電子ビーム溶接又はプラズマ溶接
を採用することにより、凹凸デザイン形成領域２４を可
及的に大きくすることができる。

【００４４】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ゴ
ルフクラブヘッドの構成部材の溶接固定をレーザービー
ム溶接、電子ビーム溶接又はプラズマ溶接で行うことに
より、溶融した金属跡であるビードの幅を小さくするの
で、寸法上の設計自由度を高め、従来品にない構造を実
現することができる。

【００４５】その結果、ヘッド本体のソール部にソール
プレートを配置すると共に、該ソールプレートに重量体
を固着した中空構造のゴルフクラブヘッドでは、ソール
プレートの外表面に露出させる重量体の大きさを可及的
に大きくし、しかもソール面に取り付けるソールプレー
トを可及的に大きくすることが可能になるので、重量体
を用いて効果的に低重心化を図ることができる。

【００４６】また、ヘッド本体及び蓋状シェルの少なく
とも１つに凹凸デザインを備えた中空構造のゴルフクラ
ブヘッドでは、凹凸デザインの形成領域を可及的に大き
くすることができる。

【００４７】更に、複数のシェルの少なくとも１つに凹
凸デザインを備えた中空構造のゴルフクラブヘッドで
は、凹凸デザインの形成領域を可及的に大きくすること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示す断面図である。

【図２】本発明の第１実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示す底面図である。

【図３】図２のＸ−Ｘ矢視断面図である。

【図４】図３の拡大図である。

【図５】本発明の第２実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示す断面図である。

【図６】本発明の第２実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示す底面図である。

【図７】図６のＹ−Ｙ矢視断面図である。

【図８】本発明の第３実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示す正面図である。

【図９】本発明の第３実施形態からなるゴルフクラブヘ
ッドを示す側面図である。

【図１０】図８のＺ−Ｚ矢視断面図である。

【図１１】（ａ）〜（ｅ）はソール面の定義を説明する
ためのヘッド断面図である。

【符号の説明】

１，１１ヘッド本体２ソールプレート３重量体１２蓋状シェル１３，２４デザイン形成領域２１〜２３シェル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ソール部に開口部を設けた金属製のヘッ
ド本体と、前記開口部と概ね同形状で前記ヘッド本体と
溶接可能な材質からなるソールプレートとを相互に溶接
固定することによって中空ヘッド構造をなし、前記ソー
ルプレートにヘッド本体及びソールプレートを構成する
金属材料よりも比重が大きい金属製の重量体を固着した
ゴルフクラブヘッドにおいて、前記重量体をソールプレートの外表面に露出するように
固着し、露出した重量体の最大幅Ｗ₁と該重量体を固定
する位置におけるソールプレートの最小幅Ｗ₂との関係
がＷ₂−Ｗ₁＜８ｍｍであること、及び、露出した重量
体の周辺部とソールプレートの周辺部との最小間隔が４
ｍｍ未満であることの少なくとも一方を満足することを
特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項２】ソール部のソール面に開口部を設けた金
属製のヘッド本体と、前記開口部と概ね同形状で前記ヘ
ッド本体と溶接可能な材質からなるソールプレートとを
相互に溶接固定することによって中空ヘッド構造をな
し、前記ソールプレートにヘッド本体及びソールプレー
トを構成する金属材料よりも比重が大きい金属製の重量
体を固着したゴルフクラブヘッドにおいて、前記重量体をソールプレートの外表面に露出するように
固着し、露出した重量体の最大幅Ｗ₁と該重量体を固定
する位置におけるソール面の最小幅Ｗ₃との関係がＷ₃
−Ｗ₁＜１６ｍｍであること、及び、露出した重量体の
周辺部とソール面の境界との最小間隔が８ｍｍ未満であ
ることの少なくとも一方を満足することを特徴とするゴ
ルフクラブヘッド。
【請求項３】前記重量体を固着したソールプレートを
前記ヘッド本体の開口部に対してレーザービーム溶接、
電子ビーム溶接又はプラズマ溶接によって固定した請求
項１又は請求項２に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項４】前記重量体の比重が１５以上である請求
項１乃至請求項３のいずれか記載のゴルフクラブヘッ
ド。
【請求項５】前記ヘッド本体及びソールプレートを構
成する金属材料がチタン又はチタン合金であり、前記重
量体の金属材料がタングステン焼結金属である請求項１
乃至請求項４にいずれかに記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項６】前記ソール面の幅が４０ｍｍ以下である
請求項１乃至請求項５のいずれかに記載のゴルフクラブ
ヘッド。
【請求項７】外郭の一部に開口部を設けた金属製のヘ
ッド本体と、前記開口部と概ね同形状で前記ヘッド本体
と溶接可能な材質からなる蓋状シェルとを相互に溶接固
定することによって中空ヘッド構造をなし、前記ヘッド
本体及び前記蓋状シェルの少なくとも１つに文字ロゴ、
マーク、溝等の凹凸によるデザインが存在するゴルフク
ラブヘッドにおいて、前記凹凸デザインを設けたヘッド
本体又は蓋状シェルの周辺部と該凹凸デザインとの最小
間隔が４ｍｍ未満であることを特徴とするゴルフクラブ
ヘッド。
【請求項８】前記蓋状シェルを前記ヘッド本体の開口
部に対してレーザービーム溶接、電子ビーム溶接又はプ
ラズマ溶接によって固定した請求項７に記載のゴルフク
ラブヘッド。
【請求項９】前記凹凸デザインが前記ヘッド本体又は
前記蓋状シェルの鋳造時に金型から転写したものである
請求項７又は請求項８に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項１０】金属製の複数のシェルを相互に溶接固
定することによって中空ヘッド構造をなし、前記シェル
の少なくとも１つに文字ロゴ、マーク、溝等の凹凸によ
るデザインが存在するゴルフクラブヘッドにおいて、前
記凹凸デザインを設けたシェルの周辺部と該凹凸デザイ
ンの最小間隔が４ｍｍ未満であることを特徴とするゴル
フクラブヘッド。
【請求項１１】前記複数のシェルをレーザービーム溶
接、電子ビーム溶接又はプラズマ溶接によって相互に固
定した請求項１０に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項１２】前記凹凸デザインが溶接前の段階で前
記シェルに対して刻印したものである請求項１０又は請
求項１１に記載のゴルフクラブヘッド。