JP2002116207A - 高感度測定法およびそれに使用するキット - Google Patents

高感度測定法およびそれに使用するキット

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JP2002116207A
JP2002116207A JP2000309950A JP2000309950A JP2002116207A JP 2002116207 A JP2002116207 A JP 2002116207A JP 2000309950 A JP2000309950 A JP 2000309950A JP 2000309950 A JP2000309950 A JP 2000309950A JP 2002116207 A JP2002116207 A JP 2002116207A
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Fumitomo Odawara
史知 小田原
Yoko Nagai
陽子 永井
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微量物質を高感度に測定する方法及びこの方
法に使用するキットの提供。 【解決手段】 被検物質を、あらかじめヌクレアーゼに
よって分解されるように設計された核酸を介して固相上
に固定し、標識物質と該被検物質とを固相上で結合さ
せ、未反応物を洗浄除去し、ヌクレアーゼで処理して結
合体を固相から分離し、標識物質を測定して被検物質を
測定することよりなる被検物質の高感度測定法。この方
法に使用するキット。臨床診断、生体成分検査の分野で
微量の被検物質をブランクの影響を受けることなく高感
度に検出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は固相上での被検物質
の測定において、核酸を介して固相上に被検物質を特異
的に結合させ、洗浄後ヌクレアーゼ反応を用いて固相上
から分離された特異的に結合した被検物質を分離し、そ
の量を測定することにより、高感度下で被検物質を測定
する方法およびそれに用いるキットに関する。本発明の
測定方法は、臨床診断、生体成分検査等の分野において
用いられる。
【0002】
【従来技術】臨床診断や生体成分検査の分野において
は、測定対象物質(被検物質ということもある)が微量
な場合に、測定法の高感度化はしばしば行われてきてい
る。高感度化させるための方策としては、測定対象物質
をそれ以外の物質から分離するために、測定対象物質に
対して特異的に結合する物質を利用するのが一般的であ
る。特異的結合としては、例えばアビジンまたはストレ
プトアビジンとビオチン、酵素と基質、抗原と抗体、ア
ゴニストとアンタゴニスト、2つの核酸の相補的配列な
どが知られている。測定法としては、例えば、測定対象
物に対する抗体を酵素などシグナルを発しうる物質で標
識して、測定対象物とこの標識体とを接触させて、結合
した複合体と未反応物を分離した後、そのどちらかに残
存する酵素活性を測定することにより、対象物質量を測
定することが行われてきた。結合した複合体と未反応物
を分離する方法は、一般に用いられている酵素免疫測定
法など、固相上に複合体を固定化させる方法が良く用い
られている。この方法の原理は、例えばポリスチレン製
96穴マイクロプレート上に予め抗体や抗原を固相化し、
酵素やラジオアイソトープ等のシグナルを発しうる物質
で標識された抗体と、被検体とを接触させた後、未反応
物を洗浄除去し、固相上に残存する標識物質量を測定す
ることにより、被検体中の物質量を定量することが良く
行われてきた。
【0003】具体的にはサンドイッチ ELISA法と言われ
る方法で、96穴マイクロプレートあるいは磁性ビーズ、
ポリスチレンボール、ラテックス粒子上に測定対象物質
に対する抗体を固相化させておき、抗原となる測定対象
物を結合させた後、アルカリフォスファターゼやパーオ
キシダーゼあるいはベータガラクトシダーゼで標識され
た測定対象物に対する別の抗体と被検体(測定対象物)
とを添加し、一定時間インキュベートし未反応物を洗浄
後、固相上に残存する酵素活性を測定することにより被
検体中の測定対象物質量を定量する方法が良く用いられ
てきた。
【0004】この方法では、固相上の酵素活性を測定す
るため、測定対象物量に反映した特異的な酵素活性と非
特異的に固相に結合した酵素活性の合計値として測定さ
れる。従ってブランクの値は非特異的に固相に結合した
酵素活性に由来するシグナルとして測定されるため大き
な値として測定される。微量物質を測定する場合、ブラ
ンクの値に対して特異的なシグナルの比率が低下し、特
異的なシグナルが、ブランクの変動の範囲内に入ってし
まうほど小さいとき、測定系の測定限界以下と考えられ
るが、このように大きなブランク値を持つ測定系では、
ブランクの値に対して特異的なシグナルの比率が小さい
上、ブランクの変動が大きいため、微量物質を測定する
ことが困難である問題点を抱えていた。
【0005】また別の例では、固相上での HIV由来の逆
転写酵素活性測定が挙げられる。これは逆転写酵素の鋳
型となる DNA-RNAハイブリッド型のテンプレートプライ
マーを96穴マイクロプレート上に固相化させておき、被
検体である逆転写酵素とこの酵素の基質なるビオチン標
識デオキシウイジントリフォスフェートを添加し固相上
にビオチン標識 DNAを形成させる。未反応物を洗浄除去
後、アルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン
溶液を添加し、一定時間インキュベート後未反応物を洗
浄除去し固相上に残存するアルカリフォスファターゼ活
性を酵素基質により発色させて逆転写酵素活性量を測定
する方法が良く知られている。
【0006】この方法でも、固相上の酵素活性を測定す
るため、測定対象物の量、つまり逆転写酵素活性に依存
して固相に取り込まれたビオチン量に反映した特異的な
アルカリフォスファターゼ活性と非特異的に固相に結合
したアルカリフォスファターゼ活性の合計値として測定
されるため、微量物質を測定しようとした場合、非特異
的に固相に結合した酵素活性がブランク値として測定さ
れ、その値が洗浄のしかた等によっては変動し、大きな
ブランク値を持つ場合は、ブランク値に対するシグナル
値が小さくなり、結果として測定が困難となる問題点を
抱えていた。
【0007】このような固相上での測定法においては、
特異的に結合する物質の結合力と検出できるシグナルの
強さによってその感度が左右される。微量物質と結合を
行わせる場合、一般的には、その微量物質に対して結合
する物質の濃度を上げるかまたは結合のための時間を長
くすることが行われる。このとき結合能力が低ければそ
の濃度を上げ、または時間を長時間化させる。しかし、
濃度を上げると、固相への非特異的な結合が増加し、測
定対象物質が存在しない時のブランク値を上昇させ、こ
の変動により感度を逆に低下させてしまうという問題を
抱えている。
【0008】一方、この分野の診断や検査においては、
生命の維持や管理に必須な迅速かつ簡便さが求められて
おり、結合反応の長時間化は、測定時間全体を長時間化
させてしまい避けるべきことである。このような測定対
象物質が存在しない時のブランク値を低減させるための
方策として、これまでは固相への結合反応後の洗浄を行
うことがしばしば行われてきた。洗浄は、洗浄液中に界
面活性剤を添加するなどして行ってきたが、界面活性剤
の種類によっては結合を阻害したり、または標識物から
発するシグナルに負の影響を及ぼすこともあり、微量成
分の検出定量にとってはまだ不十分であった。また、シ
グナルを増大させる方法として、発光測定法、蛍光測定
法、酵素サイクリング法など、1分子から得られるシグ
ナルの強さを増大させて感度を向上させる方法が考えら
れるが、単にシグナルの強さを増大させたとしても、測
定対象物質が存在しないときに得られるブランク値が存
在すれば、その値も特異的に測定されたシグナルも両方
とも比例的に上昇してしまい、結果として感度を向上さ
せるには自ずと限界があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このように
微量物質の固相上での測定法において微量測定対象物を
高感度に測定するために、固相上に非特異的な結合と測
定対象物に由来する特異的な結合とを生成せしめ、この
特異的な結合物を分離し、この特異的に結合された測定
対象物を測定することにより、測定対象物を高感度に測
定する法及びこの測定法に使用するキットを提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題を解決するために鋭意努力した結果、固相上における
微量物質の測定において、固相上の特異的結合と非特異
的結合とを分離し、特異的結合物のみを測定する簡便で
感度の高い測定方法を発明するに至った。すなわち、本
発明は、被検物質(測定対象物)(以下、被検物質Aとい
うこともある)を、予めヌクレアーゼによって分解され
るように設計された核酸を介して固相化させ、シグナル
を発することが可能な標識物質(以下、標識物質Bとい
う)と被検物質Aとを結合させ、未反応物を洗浄後、固
相をヌクレアーゼにて処理し、固相上から分離された被
検物質A及び標識物質Bの結合体の量を測定することに
より被検物質A量を測定することを特徴とする高感度測
定法およびこの方法に用いるキットに関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明について以下に具体的に説
明する。ここでいう被検物質Aとは、例えば酵素、抗
原、抗体、核酸等が挙げられ、抗原は高分子タンパク、
ホルモン、ハプテン、レセプター、酵素基質などいずれ
でも良くこれらの物質が1種類かそれ以上結合していて
も良く、核酸を介して固相上へ固定化できれば良い。ま
た、標識物質Bは、例えば酵素、抗原、抗体、核酸等が
挙げられ、抗原は高分子タンパク、ホルモン、ハプテ
ン、レセプター、酵素基質などこれらのうち1種類かそ
れ以上の結合物が良く、かつ、シグナルを発しうる標識
物と結合し、被検物質Aと結合する能力があれば良い。
標識物は、酵素、抗原、抗体、核酸などシグナルを発す
ることが可能なものであれば何れでも用いられる。例え
ば、酵素で標識された抗体、抗原または核酸、ビオチン
で標識された抗体、抗原または核酸、核酸で標識された
抗体、抗原または酵素、ハプテンで標識された抗体、抗
原または酵素、ラジオアイソトープ、発光物質または蛍
光物質で標識された抗体、抗原または核酸などが挙げら
れる。
【0012】ここで言う固相とは、核酸を固定化可能な
担体であれば良く、粒子状でもボール状でも、あるいは
板状でも良く、透明、半透明、着色したものなどいずれ
でも用いることができる。材質としては、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、テフロン、ポリエチレン、メチル
ペンテン樹脂(TPX) 、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリ
カーボネート、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂等のプラ
スチック、ステンレス、アルミ、チタン等の金属、ガラ
ス及びゴム等いずれでも用いることができ、粒子状であ
れば、ラテックス粒子や磁性粒子等が好ましく、ボール
状であればラテックスビーズやポリスチレンボール、板
状であれば、マイクロプレートが好ましい。
【0013】本発明におけるヌクレアーゼは、核酸を分
解する触媒能力を持つ酵素であればいずれでも良く、DN
A 分解酵素でもRNA 分解酵素でも、また制限酵素でもい
ずれでも用いることができる。その種類としては、DNas
eI、DNaseII 、RNase アルファ、RNaseH、リボヌクレア
ーゼIII 、リボヌクレアーゼ P、リボヌクレアーゼT1、
リボヌクレアーゼT2、リボヌクレアーゼU2、リボヌクレ
アーゼ A、S1ヌクレアーゼ、Bal 31ヌクレアーゼ、Mung
Beanヌクレアーゼ、エクソヌクレアーゼIII 、ラムダタ
ーミナーゼなどいずれでも用いることができるが、好ま
しくはDNaseIや制限酵素が用いられる。
【0014】予めヌクレアーゼによって分解されるよう
に設計された核酸は、選択するヌクレアーゼの種類によ
ってその塩基配列や1本鎖か2本鎖などを選択すれば良
く、例えば、DNaseIを用いる場合にはその核酸は1本鎖
か2本鎖の DNAを用いれば良く、好ましくは2本鎖DNA
を含んでいるのがよい。また制限酵素を用いる場合に
は、その制限酵素が切断できる特異的塩基配列を含む核
酸であればよい。またRNaseHを用いる場合などは、DNA
と RNAのハイブリッド体であればよい。これら核酸の長
さはそれぞれに対応したヌクレアーゼが対象核酸を分解
できる長さに調製されていればそれでよい。
【0015】被検物質Aの固相化は、核酸を介していれ
ばよい。予め固相上に核酸を結合させておき、これと被
検物質Aを結合させさえすればよい。固相と核酸との結
合は、固相に直接核酸を結合させてもよく、また、酵
素、抗原、抗体などを介して結合させてもよい。固相に
直接結合させる方法としては、例えば、よく知られた物
理吸着や化学結合などが挙げられ、既知の方法として
は、特許第3011987 号明細書に記載されているように96
穴 EIA用マクロプレート上に化学結合する方法が知られ
ている。物理吸着法としては、適当な緩衝液に核酸を溶
解させておき、これをマクロプレートや磁性化ラテック
ス粒子に添加し、適当時間放置した後、未吸着の核酸を
洗浄して除いて得る方法がよく知られている。
【0016】酵素、抗体、抗原などを介して結合させる
方法としては、通常の酵素免疫測定法などで用いている
ような方法を用いれば容易に行うことができ、酵素、抗
体、抗原に核酸を標識させておけば簡単にできる。例え
ば予め固相に酵素、抗体、抗原等を物理吸着や化学結合
等により固相化させておき、これに特異的に結合する能
力を持ちかつ核酸と結合した核酸標識体を添加するだけ
でよい。核酸標識体は、標識によって固相の結合対象物
との結合能力が保持されてさえすればそれでよい。
【0017】更に具体的に言えば、上記核酸標識体を利
用して核酸を固相に結合させる方法として、例えば、96
穴 ELISA用のプレートへ抗IgG 溶液を添加し、一定時間
インキュベーション後洗浄し、アルブミンやカゼイン溶
液などでブロッキング処理を行い、抗IgG 固定化プレー
トを調製する。これに核酸標識抗 IgG抗体を添加して固
相上に抗IgG-IgG-核酸複合体を形成させ、未反応物を洗
浄除去することにより、核酸を固相化させることができ
る。
【0018】核酸の標識方法としては、市販の試薬を利
用して既知の方法を用いれば簡単に行うことができる。
例えば合成核酸の5'末端または3'末端へのアミノ化、ビ
オチン化、リン酸化などはルーチンで行われ、これらの
方法に用いられている試薬は既に販売されているので所
望の塩基配列の修飾核酸を用意しておき、標識したい物
質と官能基を利用して化学的に結合させるとよい。官能
基としては、アミノ基、SH基、カルボキシル基、アルデ
ヒド基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基、
フルオレセイン基等が挙げられる。例として具体的に挙
げるならば、5'末端アミノ化核酸を用意し、常法にて調
製した抗体のFab'化断片のSH基とを市販の架橋剤を用い
て結合させることができる。抗体以外のSH基が利用でき
ないようなタンパクの場合には、タンパクのアミノ基を
利用してSH基を導入させる試薬などが市販されており上
記と同様に簡単に行うことができる(酵素免疫測定法、
石川栄治ら編、医学書院)。架橋剤としては、N-サクシ
ニミジル−マレイイミド−カルボキシレイト、SH基導入
試薬としては、S-アセチルメルカプトスクシニックアン
ヒドロイド、N-サクシニミジル-3-(2'ピリジルジチオ)
プロピオネイトが挙げられる。これら試薬は他にもピア
ース社(USA) より多種類市販されており、結合させる物
質にあわせて適当に選択するとよい。
【0019】結合反応は適当な緩衝液中で反応させ、結
合物と未結合物はHPLCなどでゲル濾過、イオン交換、ま
たはアフィニティ精製を行えば簡単に入手できる。更に
具体的には、例えば、核酸のアミノ基と、N-サクシニミ
ジル-4-(N-マレイイミドメチル)−シクロヘキサン-1-
カルボキシレートとを緩衝液中にて30℃で1時間反応さ
せてマレイイミド基を導入させる。これをゲル濾過によ
り分離し、予め用意しておいたFab'化抗体のSH基とマレ
イイミド基を反応させて架橋させることにより、核酸結
合抗体を入手できる。
【0020】被検物質Aと固相上の核酸との結合は、前
記のような固相上に核酸を予め用意しておきさえすれ
ば、該核酸配列中にまたは該核酸の3'末端または5'末端
へ結合させてもよいし、また固相化された該核酸に対し
て相補的な塩基配列を利用してハイブリダイゼーション
させてもよい。
【0021】例えば、核酸配列中に被検物質Aを結合さ
せる例としては、酵素的に塩基配列中に組み込む方法が
ある。核酸にポリメラーゼ、デオキシヌクレオチジルト
ランスフェラーゼ等を作用させて、標識ヌクレオチドを
取り込ませることができる。ポリメラーゼとしては、 D
NA依存性DNA ポリメラーゼ、 RNA依存性RNA ポリメラー
ゼ、 RNA依存性DNA ポリメラーゼ、 DNA依存性RNA ポリ
メラーゼなどがあり、耐熱性のDNA ポリメラーゼや逆転
写酵素、Klenowなどがすでに市販されているので簡単に
入手できる。更に言えば生体から得られた酵素例えば、
HIV(ヒト免疫不全ウィルス) 、HAV(ヒトA型肝炎ウィル
ス) 、HBV(ヒトB型肝炎ウィルス) 、HCV(ヒトC型肝炎
ウィルス) 、HTLV1(ヒトT細胞白血病ウィルスI型) 、
ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスなどのウイ
ルスや大腸菌を始めとするグラム陽性菌やグラム陰性菌
などの微生物、あるいは真核生物などの細胞に含有され
る酵素、例えば、 DNA依存性DNA ポリメラーゼ、 DNA依
存性 RNAポリメラーゼ、 RNA依存性RNA ポリメラーゼ、
RNA依存性DNA ポリメラーゼなどが挙げられる。標識ヌ
クレオチドとしては、ビオチン標識dUTP、ビオチン標識
dATP、ジゴキシゲニンdUTP、DNP 標識dUTP、あるいは発
光または蛍光標識dNTPなどが市販されていて簡単に入手
できる。
【0022】また、このように取り込まれた被検物質A
は、その物質に対して特異的に結合する能力を持ち、か
つ、検出可能なシグナルを発することが可能な標識物質
Bとの結合を行わせて、未反応物を洗浄後ヌクレアーゼ
処理に供した後、上清のシグナルを測定することにより
AB結合体のみから生じるBのシグナルを検出できる。
さらに具体的に言えば、特許第 3011987号明細書に記載
されているように、固相化された核酸に逆転写酵素とビ
オチン標識dUTPを添加し、酵素反応によって、固相の核
酸にビオチンを結合させる。次いで、固相上に取り込ま
れたビオチンを検出するためにアルカリフォスファター
ゼ標識ストレプトアビジンを固相と反応させ、未反応物
を洗浄したのちヌクレアーゼ処理に供するとよい。
【0023】また、固相化された核酸に対して相補的な
塩基配列を利用してハイブリダイゼーションさせる方法
としては、前記核酸標識体の調製方法と同様に、予め被
検物質Aを固相上の核酸と相補的塩基配列を持つ核酸で
標識しておくとよい。固相上の核酸と、この核酸標識被
検物質Aとを接触させてハイブリダイゼーションさせ、
未反応物を洗浄して簡単に行うことができる。
【0024】核酸で標識された被検物質Aは、被検物質
Aのアミノ基やSH基などの官能基を利用し、予め、固相
化された核酸の塩基配列と相補的な配列の核酸で標識さ
せておいたものを用いればよく、この核酸標識被検物質
Aと固相上の核酸とのハイブリダイゼーション反応によ
り、簡単に結合でき、反応後未反応物を洗浄除去するだ
けでよい。
【0025】更に具体的に言えば、前記と同様の方法、
すなわち、S-アセチルメルカプトスクシニックアンヒド
ロイドにて被検物質Aにマレイイミド基を導入し、これ
とSH基を導入した核酸とを反応させて、核酸と結合した
被検物質Aを入手できる。また別には予め5'末端をアミ
ノ化させておき、この末端にS-アセチルメルカプトスク
シニックアンアヒドロイドにて被検物質Aにマレイイミ
ド基を導入し、これと被検物質AのSH基とを反応させて
核酸と結合した被検物質Aを入手することもできる。こ
の核酸と結合した被検物質Aを固相化された核酸と適当
な緩衝液条件下でハイブリダイゼーションさせ、必要に
応じて未反応物を洗浄除去すれば得られる。そして、シ
グナルを発することが可能な標識物質Bと被検物質Aを
結合させ、未反応物を洗浄後、ヌクレアーゼ反応させれ
ばよい。洗浄は、適当な緩衝液にてブランクを低減でき
かつシグナルを維持できる最適なpHに調整し、場合によ
っては塩や界面活性剤などを添加して用いる。
【0026】測定対象物は固相上の被検物質Aそのもの
であっても、また被検物質Aとの特異的結合によって固
相上に捕捉されたものであってもよく (本発明ではこれ
らを含めて被検物質Aという) 、固相上への標識物質B
の非特異的結合物と、特異的結合により固相上に捕捉さ
れた標識物質Bとをヌクレアーゼ反応によって分離でき
ればよい。
【0027】具体的には、固相上に固定化された被検物
質Aの量を測定するために、例えば、固相上に核酸を介
して固定化された被検物質Aと結合能力があり、かつ酵
素、ラジオアシソトープ、蛍光物質、発光物質などで標
識された標識物質Bとを、固相上で一定時間結合反応さ
せた後、未反応物を除去することで、固相−核酸−被検
物質A−標識物質Bを形成させる。この形成された複合
体をヌクレアーゼ処理すれば、固相から、固相上の被検
物質Aの量に反映された被検物質A−標識物質B複合体
が遊離される。
【0028】また別の例では、固相上の被検物質Aと結
合力を持つ測定対象物とを測定するために、固相上に核
酸を介した被検物質Aとその結合力を持つ測定対象物と
を結合させ、未反応物を洗浄後、さらにその結合した測
定対象物と結合能力があり、かつ酵素、ラジオアイソト
ープ、蛍光物質、発光物質などで標識された標識物質B
とを、固相上にて一定時間結合反応させた後、未反応物
を除去することで、固相−核酸−被検物質A−測定対象
物−標識物質Bを形成させる。固相をヌクレアーゼ反応
させ、固相から被検物質A−測定対象物−標識物質B複
合体を遊離させ、標識物質Bからシグナルを検出するこ
とで、固相上に捕捉された測定対象物量に反映した、シ
グナルを得ることができる。
【0029】洗浄後、固相を前記ヌクレアーゼにて処理
することにより、固相から被検物質Aと標識物質Bを含
む複合体、あるいは被検物質A量を反映する標識物質を
遊離させる。具体的にはヌクレアーゼをその種類に応じ
て最適となるように調整された組成液に溶解させてお
き、これを固相と接触させ、一定時間インキュベートす
ることによって簡単に実施することができる。ヌクレア
ーゼ量は、固相の核酸を分解できる充分量あればよく、
酵素の種類や測定系に応じた反応温度を設定すればよ
い。
【0030】ヌクレアーゼ反応後、上清と固相とを分離
し、上清中の標識物質Bに含まれる標識体量を定量すれ
ばよい。定量方法は、物質に合わせて用いれば何でもよ
く、酵素免疫測定法、ラジオイムノアッセイ、液体クロ
マトグラフィー、あるいは酵素活性測定、比色測定法、
発光測定、蛍光強度測定などが挙げられる。
【0031】更に具体的に言えば、固相上にポリメラー
ゼの鋳型となるオリゴデオキシチミジン−ポリアデニリ
ックアシドハイブリダイゼーション物を固定化させてお
き、ポリメラーゼとビオチン標識デオキシウイリジン3
リン酸を添加して固相上にビオチン化 DNA−ポリアデニ
リックアシドハイブリダイゼーション物を形成させる。
ポリメラーゼ活性量に応じて取り込まれたビオチンを分
離測定するために、固相を洗浄後、酵素標識ストレプト
アビジンを添加し固相上に結合した核酸を介して酵素を
結合させる。未反応物を洗浄除去した後、DNaseI溶液を
添加しインキュベートした後、固相と上清液を分離し、
上清中の酵素活性を測定することにより、ビオチン量を
定量する。
【0032】また、別の例として、固相上に制限酵素 H
indIII領域を含む一本鎖核酸を標識させたFab 化抗体を
物理吸着法で固定化させておき、これに固相上の核酸と
相補的な配列を含む一本鎖核酸で標識させておいた抗Ig
G 抗体を添加し、固相上にFab 化抗体核酸抗IgG 複合体
を形成させる。これに測定対象であるIgG を添加し未反
応物を洗浄除去後、酵素で標識した抗IgG 抗体を添加
し、未反応物を洗浄除去後、制限酵素HindIII 溶液を添
加して固相と上清を分離し、上清中の酵素活性を測定す
ることによりIgG 量に反映した酵素量を測定することが
できる。
【0033】このような方法を利用し、高感度測定用キ
ットとすることも簡単にできる。すなわち、少なくとも
被検物質Aを予めヌクレアーゼによって分解されるよう
に設計された核酸を介して固相化させるための、核酸を
固相化させた担体、シグナルを発することが可能な標識
物質B及びヌクレアーゼを含んでなる被検物質の高感度
測定用キットである。
【0034】被検物質A量を測定するために、予め被検
物質Aが固定化できるようにしておいた固相担体を用意
する。このとき被検物質Aは前記の通り固相担体と核酸
を介して結合可能であればよく、核酸はヌクレアーゼの
種類に応じて分解されるように設計されていればよい。
この固相担体と、前記の通り被検物質Aと結合可能な標
識物質Bおよびヌクレアーゼさえあれば、誰でも高感度
な測定が可能となる。更に、この固相担体と標識物質B
及びヌクレアーゼに、必要に応じて洗浄剤や緩衝液類、
あるいは、ヌクレアーゼ反応後分離された溶液を移し取
るための容器があればよく、容器は以後の検出ににあわ
せて適当に選択すればよい。例えば、透明、半透明ある
いは着色された試験管やマイクロプレート、測定機専用
に設けられた専用キュベットなどが挙げられ、材質とし
ては前記固相担体と同様に適当に選択すればよいが、好
ましくはマイクロプレートがよい。
【0035】以下に本発明を実施例に基づいて説明す
る。
【実施例1】1.テンプレートプライマー固定化プレー
トの作成以下の実施例において、テンプレートプライマ
ー固定化プレートを、中野らの手法に従って作成した
(感染症学雑誌,第68巻,第7号,923-931, 1994 年)
。その方法を簡単に述べると、100mM 1-エチル -3(3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(CDIと
略す;ペプチド研究所製)と 10mM 1-メチル−イミダゾ
ール−塩酸緩衝液(pH7;IMD と略す;SIGMA 社製)を含
む水溶液に、オリゴdT19-24 (ファルマシア社製; 数
値19-24 はオリゴdTの平均塩基長を意味する)を 200ng
/100μl となるように溶解し、その 100μl ずつをアミ
ノ化プレート(住友ベークライト社製)のウエルに分注
し、室温で24時間反応させた。反応後この溶液を捨て、
0.15M NaClを含む0.1Mトリス−塩酸緩衝液 (pH7.5;以下
TBSと呼ぶ) 200μl でウエルを洗浄し、これをオリゴ
dT固定化プレートとした。このプレートにトリス−塩酸
緩衝液中にポリA(ファルマシア社製)を10μg/100μl
の濃度になるようにそれぞれ調製し、 100μl ずつ分
注し、プレートを37℃で一昼夜反応させ、液を捨てた
後、TBS300μl にて4回洗浄し、テンプレートプライマ
ー固定化プレートを作成した。
【0036】2.逆転写酵素反応産物の測定1%Triton
X-100 にて0, 0.001mU/ 50μl の濃度となるように希釈
したRAV-2型逆転写酵素 (宝酒造社製) またはHIV-1 型
逆転写酵素 (生化学工業社製) 、または M-MuLV 逆転写
酵素 (ファルマシア社製) 溶液50μl をプレートのウエ
ルに添加し、100-mMトリス緩衝液 pH7.8、20mM塩化マグ
ネシウム、10mMジチオスレイトール、2.4 mM還元型グル
タチオン、0.4 %トリトンX-100 、4 %エチレングリコ
ール、280mM 塩化カリ、0.18mMdTTP、8.3 μM ビオチン
標識dUTP (ロッシュ社製) 溶液50μl を各ウエルに添加
し、37℃で2時間インキュベートした。液を捨てた後、
0.01%のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
を含むTBS300μl にて4回洗浄した。洗浄した後、アル
カリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン(ジャク
ソンイムノリサーチ社製)が40ng/ml となるように調整
された、0.5M塩化ナトリウム、10mMの塩化マグネシウ
ム、1%牛血清アルブミンを含む50mMトリス緩衝液(pH
7.5) を調製し、これをプレートの各ウエルに 100μl
添加し、37℃で1時間反応させた。0.01%のポリオキシ
エチレンソルビタンモノラウレートを含むTBS300μl に
て4回洗浄し、アルカリフォスファターゼ−ストレプト
アビジン−ビオチン化 DNA固定化プレートを得た。
【0037】このプレートにDNaseI (宝酒造社製)を2
0, 10,5, 2.5, 1.25, 0U/100μlとなるように調製し
た4mM 塩化マグネシウム、0.1mM 塩化カルシウムを含む
50mMトリス緩衝液(pH7.5) を用意し、各ウエルに 100μ
l ずつ添加し37℃で15分間反応させた。反応後上清を全
量とり、発光測定用96穴マイクロプレート(住友ベーク
ライト社製)へ移し、発光試薬CSPD (トロピクス社製)
を 100μl添加して室温30分放置した。プレートを発光
測定機 (PEバイオシステムズ社モデル TR717型)にて各
ウエル2秒間の発光強度を測定した。この時、ブランク
である逆転写酵素0濃度でDNaseI濃度 20U/100μl の条
件で6回繰り返し測定し、標準偏差の大きさとブランク
に対するシグナルの大きさから感度比較した。その結果
を表1に示した。
【0038】
【比較例1】比較例として、実施例1と同様にアルカリ
フォスファターゼ−ストレプトアビジン−ビオチン化 D
NA固定化プレートを得た後、発光試薬CSPD (トロピクス
社製)を 100μl 添加して室温で30分放置した。プレー
トを発光測定機 (PEバイオシステムズ社モデルTR717
型)にて各ウエル2秒間の発光強度(RLU、以下同じ) を
測定した。その結果を表2に示した。この時、ブランク
である逆転写酵素0濃度でDNaseI濃度 20U/100μl の条
件で6回繰り返し測定し、標準偏差の大きさとブランク
に対するシグナルの大きさから感度比較した。
【0039】その結果、以下の表1と表2の通りいずれ
の酵素においても実施例1は比較例と比較して、ブラン
クに対するシグナルの比率が向上しかつブランクの標準
偏差が縮小し、感度向上が認められ、しかもシグナルの
強さはDNaseIの量に依存していることが確認できた。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【実施例2】実施例1のオリゴdT19-24 の代りに合成 D
NA(配列;5'TTTATATGAATTCTT3')〔配列表配列番号1〕
を用い、ポリAの代りに合成 DNA (配列;5'TTAAAAAAAA
AAGAATTCATATAAA3')〔配列表配列番号2〕を用い、逆転
写酵素の代りにDNA polymeraseI(クレノウ)(宝酒造社
製)を0, 0.1mU/100μl 用い実施例1と同様に反応させ
た。DNaseIの代りに制限酵素EcoRI(宝酒造社製)を 20U
/100μl として用い、その100μl 中の反応組成を、添
付の x10反応液の10倍希釈液中に溶解させて用いた。比
較例は同様にアルカリフォスファターゼ−ストレプトア
ビジン−ビオチン化DNA固定化プレートを得た後、発光
試薬CSPD (トロピクス社製)を 100μl 添加して室温30
分放置した。プレートを発光測定機 (PEバイオシステム
ズ社モデル TR717型)にて各ウエル2秒間の発光強度を
測定した。この時、ブランクである逆転写酵素0濃度を
6回繰り返し測定し、標準偏差の大きさとブランクに対
するシグナルの大きさから感度比較した。その結果を表
3に示した。
【0043】
【比較例2】比較例1のオリゴdT19-24 の代りに合成 D
NA(配列;5'TTTATATGAATTCCT3')〔配列表配列番号1〕
を用い、ポリAの代りに合成 DNA (配列;5'TTAAAAAAAA
AAGAATTCATATAAA3')〔配列表配列番号2〕を用い、逆転
写酵素の代りに DNAポリメラーゼI(宝酒造社製)を0,
0.1mU/100μl 用い比較例1と同様に反応させた。この
時、ブランクである逆転写酵素0濃度を6回繰り返し測
定し、標準偏差の大きさとブランクに対するシグナルの
大きさから感度比較した。その結果を表4に示した。
【0044】その結果、以下の表3と表4の通り実施例
2においては、比較例2と比較して、ブランクに対する
シグナルの比率が向上しかつブランクの標準偏差が縮小
し、感度向上が認められた。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【実施例3】1.核酸結合抗ヒトIgGの調製マイクロ
チューブ内でジメチルスルフォキシド中に0.017mg/μl
N-サクシニミジル−マレイイミド−カルボキシレイト
(ピアス社製)となるように調製した液30μl と、10mM
リン酸緩衝液(pH7) 中に3.33mg/ml となるように調製し
た合成 DNA(配列;5'アミノ化-TTAAAAAAAAAAGAATTCATA
TAAA3') を0.3ml 添加し30℃で45分インキュベートし
た。反応液を遠心して沈殿物を除去し、セファデックス
G25(ファルマシア社製)を用い、100mM リン酸緩衝液(p
H6) にて脱塩し、マレイイミド化合成 DNA画分を得た。
ヤギにヒトIgG を免役して調製した抗ヒトIgG 血清を常
法に従いFab'化抗体画分を得(酵素免疫測定法、石川栄
治ら編、医学書院)、2.5mM のEDTAを含む 100mMリン酸
緩衝液(pH6) 中に2mg/mlとなるように調整したFab'化抗
体1ml と100mM リン酸緩衝液(pH6) 中に1mg/mlとなるよ
うに調整したマレイイミド化合成 DNA画分0.5ml とを混
合し4℃で24時間インキュベートした。得られた反応液
を100mM リン酸緩衝液(pH6.5) を溶離液としてスーパー
デックスG200カラム(ファルマシア社製)に通し 0.25m
l/分の流速で12分から13分の画分を分取し、核酸結合抗
ヒトIgG を得た。
【0048】2.ヒトIgG の測定実施例1のオリゴdT19
-24 の代りに合成 DNA(配列;5'TTTATATGAATTCTT3')
〔配列表配列番号1〕を用い、合成 DNA(配列;5'TTTA
TATGAATTCTT3') 固定化プレートを調製した。0.02%ポ
リオキシエチレンソルビタンモノラウレート、0.8M塩化
ナトリウムを含む50mMトリス緩衝液(pH7.5) に、核酸結
合抗ヒトIgG が10μg/100 μl となるように調製し、プ
レートの各ウエルに 100μl ずつ添加して37℃で18時間
インキュベートした。0.02%ポリオキシエチレンソルビ
タンモノラウレートを含む TBS 300μl にて5回洗浄
後、2 %のBSA を含む50mMトリス緩衝液( pH7.5)、0.15
M塩化ナトリウムをプレートの各ウエルに300 μl ずつ
添加し、37℃で4時間インキュベートした。
【0049】プレートを0.02%ポリオキシエチレンソル
ビタンモノラウレートを含むTBS300μl にて5回洗浄
後、アルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG (ICN社
製)を0.2 %アルブミンと150mM 塩化ナトリウムを含む
リン酸緩衝液(pH7) にて10000 倍に希釈し、これをプレ
ートの各ウエルに 100μl ずつ添加した後、37℃で2時
間インキュベートし、固相上に核酸を介して抗ヒトIgG-
ヒトIgG-アルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG 複合
体を固定化させたプレートを得た。0.02%ポリオキシエ
チレンソルビタンモノラウレートを含むTBS300μl にて
5回洗浄後、制限酵素EcoRI(宝酒造社製)を添付のx10
反応液の10倍希釈液中に 20U/100μl となるように調整
した液を 100μl ずつ各ウエルに添加し、37℃で30分間
インキュベートした。反応後上清を全量とり、発光測定
用96穴マイクロプレート(住友ベークライト社製)へ移
し、発光試薬CSPD (トロピクス社製)を 100μl 添加し
て室温で30分放置した。プレートを発光測定機 (PEバイ
オシステムズ社モデルTR717 型)にて各ウエル2秒間の
発光強度を測定した。この時、ブランクであるヒトIgG
0濃度を6回繰り返し測定し、標準偏差の大きさとブラ
ンクに対するシグナルの大きさから感度比較した。その
結果を表5に示した。
【0050】
【比較例3】実施例3において固相上に核酸を介して抗
ヒトIgG-ヒトIgG-アルカリフォスファターゼ標識抗ヒト
IgG 複合体を固定化させたプレートを得た後、発光試薬
CSPD(トロピクス社製)を 100μl 添加して室温30分で
放置した。プレートを発光測定機 (PEバイオシステムズ
社モデル TR717型)にて各ウエル2秒間の発光強度を測
定した。この時、ブランクであるヒトIgG 0濃度を6回
繰り返し測定し、標準偏差の大きさとブランクに対する
シグナルの大きさから感度比較した。その結果を表6に
示した。
【0051】その結果、表5と表6に示すとおり、実施
例3は比較例3と比較して、ブランクに対するシグナル
の比率が向上しかつブランクの標準偏差が縮小し、感度
向上が認められた。
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【実施例4】実施例3の合成 DNA(配列;5'TTTATATGAA
TTCTT3')〔配列表配列番号1〕の配列を5'TTTTTTTTAATT
TAAGCTTTAATCA3'〔配列表配列番号3〕とし、合成 DNA
(配列;5'アミノ化-TTAAAAAAAAAAGAATTCATATAAA3') の
配列を5'アミノ化-TTTTTTTTTTTTGATTAAAGCTTAA3'とし、
制限酵素EcoRI の代りに制限酵素HindIII(宝酒造社製)
を用いて同様に実験を行った。この時、ブランクである
ヒトIgG 0濃度を6回繰り返し測定し、標準偏差の大き
さとブランクに対するシグナルの大きさから感度比較し
た。その結果を表7に示した。
【0055】
【比較例4】比較例3の合成 DNA(配列;5'TTTATATGAA
TTCTT3') 〔配列表配列番号1〕の配列を5'TTTTTTTTAAT
TTAAGCTTTAATCA3'〔配列表配列番号3〕とし、合成 DNA
(配列;5'アミノ化-TTAAAAAAAAAAGAATTCATATAAA3') の
配列を5'アミノ化-TTTTTTTTTTTTGATTAAAGCTTAA3'として
同様に実験を行った。その結果を表8に示した。その結
果、以下の表7と表8の通り実施例4は比較例4と比較
して、ブランクに対するシグナルの比率が向上しかつブ
ランクの標準偏差が縮小し、感度向上が認められた。し
かも前記実施例3と考え合わせ制限酵素の種類に応じて
核酸配列を調製すると高感度化が可能であることが確認
できた。
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】
【実施例5】実施例1の逆転写酵素の代わりに、HIV1型
LAV-1株をMolt-4細胞にて培養しこの培養上清10μl を
正常ヒト血清中に添加して元の培養上清液に対して10万
倍から10倍希釈で段階希釈させて1億倍まで希釈させた
液を用いて実験を行った、なおDNaseI (宝酒造社製)の
濃度を 20U/100μl として同様に実験を行った。その結
果を表9に示した。この時、ブランクである正常ヒト血
清を6回繰り返し測定し、測定値の平均値+2SD を検出
のカットオフ値として考察した。
【0059】
【比較例5】実施例5のアルカリフォスファターゼ−ス
トレプトアビジン−ビオチン化 DNA固定化プレートを得
た後、発光試薬CSPD (トロピクス社製)を 100μl 添加
して室温30分放置する。プレートを発光測定機 (PEバイ
オシステムズ社モデルTR717型)にて各ウエル2秒間の
発光強度を測定した。その結果を表10に示した。この
時、ブランクである正常ヒト血清を6回繰り返し測定
し、測定値の平均値+2SD を検出のカットオフ値とし
た。その結果、表5に示すとおり、比較例と比較して10
00倍の高感度化が認められた。
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
【実施例6】1.抗ヒトIgG 固定化プレートの調製実施
例3の1、核酸結合抗ヒトIgG の調製に従い、核酸結合
抗ヒトIgG 画分を得た。実施例1のオリゴdT19-24 の代
りに合成 DNA( 配列 ;5'TTTATATGAATTCTT3') を用い、
合成 DNA (配列: 5'TTTATATGAATTCTT3') 固定化プレー
トを調製し、0.02%ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ラウレート、0.8M塩化ナトリウムを含む50mMトリス緩衝
液(pH7.5) 中に核酸結合抗ヒトIgG 画分10μg/100 μl
となるように調製された溶液を、プレートの各ウエルに
100 μl ずつ添加して37℃で18時間インキュベートし
た。0.02%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレー
トを含むTBS 300μl にて5回洗浄後、2%のBSA を含
む50mMトリス緩衝液(pH7.5) 、0.15M 塩化ナトリウムを
プレートの各ウエルに 300μl ずつ添加し、37℃で4時
間インキュベートした後、液を捨ててプレートを真空乾
燥させ、抗ヒトIgG 固定化プレートを調製した。
【0063】2.アルカリフォスファターゼ標識抗IgG
溶液の調製アルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG (I
CN社製) を0.2 %アルブミンと150 mM塩化ナトリウムを
含むリン酸緩衝液(pH7) にて10,000倍に希釈し使用する
まで4 ℃保存した。3.制限酵素溶液の調製制限酵素Ec
oR1(宝酒造社製) を添付の x10反応液の10倍希釈液中に
20U/100 μl となるように調製し、使用まで-20 ℃保存
とした。
【0064】4.その他の試薬a.洗浄液の調製0.02%
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含むTB
S を洗浄液とし、使用まで4℃保存とした。b.発光試
薬の調製発光試薬 CSPD(トロピクス社製) を使用まで4
℃保存とした。c.検体希釈液0.2 %牛血清アルブミン
と150 mM塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液(pH7) を検
体希釈液として使用まで4℃保存とした。
【0065】上記試薬類をキットとし、以下の方法に従
って、血清中抗ヒトIgG 量を測定した。抗ヒトIgG 固定
化プレートの各ウエルを洗浄液300 μl にて5回洗浄
し、液を捨てた後、検体希釈液にてボランティアにて採
取したヒト血清5検体を150 万倍希釈した液と、検体希
釈液にてヒトIgG 標品0, 0.7, 7, 70ng/ml溶液 100μl
を添加し、37℃で1時間インキュベートした。各ウエル
を洗浄液 300μl にて5回洗浄し、液を捨てた後、アル
カリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG 溶液を各ウエルへ
100μl ずつ添加し37℃で2時間インキュベートした。
プレートを洗浄液300 μl にて5回洗浄し、液を捨てた
後、制限酵素溶液を各ウエルへ 100μl ずつ添加し37℃
で30分間インキュベートした。反応後上清を全量とり、
発光測定用96穴マイクロプレート (住友ベークライト社
製) へ移し、発光試薬を10μl 添加して室温30分放置し
た。プレートを発光測定機(PE バイオシステムズ社モデ
ルTR717 型) にて各ウエル2秒間の発光強度を測定し
た。ヒトIgG 標品から得られた結果を横軸にIgG 量、縦
軸に発光強度としてプロットし、各点を直線で結び、検
量用グラフとした。このグラフを用いて、検体から得ら
れた発光強度をIgG 濃度として読みとり、読み取り値を
150万倍して測定結果とした。その結果を次表に示す。
表11に示す通り、上記キットを用いてヒト血清中IgG を
定量できた。
【0066】
【表11】 参考値 : ヒト血清中8〜15mg/ml(生化学辞典 東京化
学同人)
【0067】
【発明の効果】本発明は、被検物質を、あらかじめヌク
レアーゼによって分解されるように設計された核酸を介
して固相化させ、固相化した被検物質にシグナルを発す
ることが可能な標識物質を結合させ、この反応に関与し
ない未反応物質を洗浄し、固相の核酸をヌクレアーゼに
よって分解することによって、結合体を固相から分離
し、分離された結合体の標識物質のシグナルによって被
検物質の量を測定するので、前記結合に関与しない物質
の影響を低下させた状態で高感度に被検物質の量を測定
することができる。また、本発明では、このような高感
度測定に用いられるキンドであって、本発明のキッドを
用いることによって被検物質量を簡単に高感度で測定す
ることができる。
【0068】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> ASAHI KASEI KOGYO Co. Ltd. <120> High sensible Determination method and kit therefor. <130> X12−1134 <141> 2000-10-10 <161> 3 <210> 1 <211> 15 <212> DNA <213> Aitificial Seguence <223> 制限酵素 EcoRIサイトを含む1本鎖 DNA <400> 1 tttatatgaa ttctt 15
【0069】 <210> 2 <211> 25 <212> DNA <213> Aitificial Seguence <223> 配列番号1に相補的な塩基配列を含む1本鎖 DNA <400> 2 ttaaaaaaaa aagaattcat ataaa 25
【0070】 <210> 3 <211> 25 <212> DNA <213> Aitificial Seguence <223> 制限酵素 HindIIIサイトを含む1本鎖 DNA <400> 3 ttttttttaa tttaagcttt aatca 25

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検物質Aを、予めヌクレアーゼによっ
    て分解されるように設計された核酸を介して固相化さ
    せ、シグナルを発することが可能な標識物質Bと被検物
    質Aを結合させ、未反応物を洗浄後、固相をヌクレアー
    ゼにて処理し、固相上から分離されたAB結合体の量を標
    識物質Bのシグナルを測定することによって核酸を介し
    て固相化された被検物質Aの量を測定することを特徴と
    する被検物質の高感度測定法。
  2. 【請求項2】 少なくとも被検物質Aを予めヌクレアー
    ゼによって分解されるように設計された核酸を介して固
    相化させるための、核酸を固相化させた担体、シグナル
    を発することが可能な標識物質B及びヌクレアーゼを含
    んでなる被検物質の高感度測定用キット。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009036687A (ja) * 2007-08-03 2009-02-19 Panasonic Corp 遺伝子検出方法

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