JP2002111431A - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JP2002111431A
JP2002111431A JP2000296806A JP2000296806A JP2002111431A JP 2002111431 A JP2002111431 A JP 2002111431A JP 2000296806 A JP2000296806 A JP 2000296806A JP 2000296806 A JP2000296806 A JP 2000296806A JP 2002111431 A JP2002111431 A JP 2002111431A
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saw
surface acoustic
acoustic wave
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filter
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JP2000296806A
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Michiaki Takagi
道明 高木
Yusuke Kinoshita
裕介 木下
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、従来より大幅に高調波成分
を除去しかつ平衡型の高品質な出力信号を有するSAW
発振器および電圧制御型SAW発振器(VCSO)を、
Gbit系高速有線通信市場のクロック信号源として提
供することである。 【解決手段】 例えば水晶基板を用いて横2重モード型
SAWフィルタとSAW共振子を一体に集積化して1チ
ップ上に形成し、さらに外付けの能動素子と受動素子を
付加することにより、フィルタ内臓型のSAW発振器を
構成し、さらに前記SAW共振子とSAWフィルタを弾性
的に結合させて同一の共振周波数となすことによって、
単一の周波数にて発振かつ濾波することができる。さら
には、SAWフィルタの特性を合成する2つの独立な共振
モードとして、1次対称モードS1、1次斜対称モード
A1を使用し、両モード間の周波数差をおよそ1000
ppmの帯域通過フィルタとなし、SAW共振子を前記1
次斜対称モードA1からS1モード間の周波数で動作す
るVCSOを構成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電体平板上に、
SAW共振子とSAWフィルタを一体にして形成し、外付けの
増幅素子と接続してSAW発振器となし、前記SAW発振器の
出力信号を前記圧電体平板上で前記SAWフィルタに供給
し濾波された信号を出力信号とする弾性表面波装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来のSAWフィルタを出力段にもつS
AW発振器としては、縦に2個のSAW共振子を重ねて
配置した、いわゆる縦2重モードSAWフィルタ(別名
では、高周波狭帯域多重モード・フィルタとも呼ばれ
る)を使用し、SAW共振子として前記SAWフィルタ
と同型の縦2重モード結合共振子を用いたものが知られ
ている(USP5721515号公報中に記載の、従来
技術であるFIG.3参照のこと)。
【0003】この方式のSAW発振器に使用するSAW
素子を周波数温度特性が優れた、約30度から45度の
回転Y板である水晶STカットX伝搬基板にて製作すれ
ば、前記SAWフィルタの出力には、同位相ノイズ成分
を抑圧した平衡型の信号出力±Vsin(2πft)が
容易に得られる他、SAWフィルタを使うことにより高
調波成分が除去されて、低ジッタなクロック信号源が容
易に得られ高速有線通信系のバックボーンシステムに有
用である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし前述の従来技術
を使用しては、SAW共振子とSAWフィルタを一体あ
るいは別体にて形成するとしても、それら周波数を10
0ppmの精度に一致させて調整する必要がある(課題
1)。このため製造コストが高いという問題点があっ
た。
【0005】さらにまた、前記のSAW共振子と、外付
けする増幅素子と、伸長コイル、可変容量ダイオードに
よって電圧制御型SAW発振器を構成するに際しては、
その発振周波数がおよそ500ppm範囲で可変させる
必要上から、800から1000ppmの通過帯域幅を
有して、前記通過帯域幅内にスプリアスの無いフィルタ
が必要である(課題2)。ところが、前記の縦2重モード
SAWフィルタにおいては、横高次モードと呼ばれるス
プリアス(不要振動モードのこと)がフィルタの通過帯
域幅中に存在して、ジッタ(出力信号の位相が瞬時に変
動する現象のこと。これにより検出データのエラーにつ
ながる)等の不具合となり、また歩留まり低下の原因と
なっている。
【0006】そこで本発明はこのような問題点を解決す
るもので、その目的とするところは、水晶STカットの
ような周波数温度特性が優れかつ材料のQ値が優れた基
板を用いて、SAWフィルタとSAW共振子をほぼ同一
周波数にて1チップ上に一体に集積化して形成すること
により小型であり、またSAWフィルタからの平衡型出
力信号が、同相ノイズ成分を抑圧した平衡型でかつ高調
波成分を除去して高品質となして、低ジッタかつ低位相
ノイズなクロック信号源であるSAW発振器および電圧
制御型SAW発振器をGbit系の高速有線通信市場に提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】(1)本発明の弾性表面
波装置は、圧電体平板上に、SAW共振子とSAWフィルタを
一体にして形成し、外付けの増幅素子と接続してSAW発
振器となし、前記SAW発振器の出力信号を前記圧電体平
板上で前記SAWフィルタに供給し濾波された信号を出力
信号とする弾性表面波装置において、前記SAWフィルタ
およびSAW共振子は、少なくとも1個のすだれ状電極
と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面波をその両側
において反射するための、1対の反射器を有した2個の
SAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方向Xに対して
相隣接してほぼ平行に配置した横2重モード型の構成で
あって、前記横2重モード型のSAWフィルタおよびSA
W共振子の伝送特性が、横モードに属する1次対称モー
ドS1と1次斜対称モードA1とから合成されており、
前記2個のSAW共振子が有するすだれ状電極は、前記
1次対称モードS1と1次斜対称モードA1の振動変位
を効率良く励振できるように、前記各々のSAW共振子
の横幅方向の中央部位において極性を反転して形成し、
さらに、前記SAWフィルタとSAW共振子は、横幅方
向に距離GAPFRをとって弾性的に結合させてた上で、前
記S1モードとA1モードの周波数差を100ppm程度
以下となして、同一の周波数にて動作できるようにした
を特徴とする。 (2)前記(1)において、前記SAW共振子とSAW
フィルタの横幅方向の距離GAPFRは、弾性表面波の波長
λを単位として、1λから4λの範囲にあることを特徴と
する。 (3)前記SAW共振子の反転するすだれ状電極は、正
負電極指の交差幅寸法WC00が弾性表面波の波長λを
単位として、9λから12λの範囲にあることを特徴と
する。 (4)前記(1)において、前記2個のSAW共振子の
すだれ状電は、相互に近接する側において、2.5um
から5umのギャップ長Eによって分離配置している
ことを特徴とする。 (5)本発明の弾性表面波装置は、圧電体平板上に、SA
W共振子とSAWフィルタを一体にして形成し、外付けの増
幅素子と接続してSAW発振器となし、前記SAW発振器の出
力信号を前記圧電体平板上で前記SAWフィルタに供給し
濾波された信号を出力信号とする弾性表面波装置におい
て、前記SAWフィルタは、少なくとも1個のすだれ状電
極と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面波をその両
側において反射するための、1対の反射器を有した2個
のSAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方向Xに対し
て相隣接してほぼ平行に配置した横2重モード型であっ
て、前記横2重モード型のSAWフィルタの伝送特性
が、横モードに属する1次対称モードS1と1次斜対称
モードA1とから合成されており、前記2個のSAW共
振子が有するすだれ状電極は、前記1次対称モードS1
と1次斜対称モードA1の振動変位を効率良く励振でき
るように、前記各々のSAW共振子の横幅方向の中央部
位において極性を反転して形成しており、かつ前記SAW
共振子は、前記SAWフィルタと同一形状のすだれ状電極
を形成することによって、前記SAWフィルタの1次斜対
称モードA1の直列共振周波数fs(A1)で動作する
ようなし、さらに外付けする増幅素子と、伸長コイル、
可変容量ダイオードによって電圧制御型SAW発振器を
構成し、その発振周波数が前記SAWフィルタのS1モ
ードとA1モード周波数間に可変して存在させたことを
特徴とする。 (6)前記(5)において、前記SAW共振子の反転す
るすだれ状電極は、正負電極指の交差幅寸法WC00が
弾性表面波の波長λを単位として、4λから6λの範囲に
あることを特徴とする。 (7)前記(5)において、前記2個のSAW共振子の
すだれ状電は、相互に近接する側において、2.5um
から5umのギャップ長Eによって分離配置しているこ
とを特徴とする。 (8)前記(1)又は(5)において、前記SAW共振
子が有するすだれ状電極の対数が120対から300対
の範囲かつ片側反射器の導体本数が80本から300本
の範囲内であることを特徴とする。 (9)前記(1)又は(5)において、前記圧電体平板が
水晶であって、30〜45度回転Y板のSTカットX伝
搬方位であることを特徴とする。 (10)前記(1)又は(5)において、前記SAWフィ
ルタの出力をバランス出力型ことを特徴とする。 (11) 前記(1)又は(5)において、前記SAW共
振子は1ポート型であることを特徴とする。 (12) 前記(1)又は(5)において、前記SAW共
振子は2ポート型であることを特徴とする。 (13)本発明の弾性表面波装置は、 前記(5)記載
の弾性表面波装置に外付けして、前記装置の出力信号を
受ける平衡型のミキサ回路、入力信号を供給するPLL
回路、さらに前記PLL回路の入力信号を供給する基準
発振器を付加し周波数シンセサイザを構成したことを特
徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に関して、具体的な実施例
を説明する前に理論的な解説を行ない、本発明の理解を
助けることにする。水晶、タンタル酸リチウム、PZ
T、四ほう酸リチウム等の圧電体材料から平板を切り出
して、その表面を鏡面研磨した後、レイリー型、ラム
型、リーキー型、BGS波等の弾性表面波の位相伝搬方
向に対して直交して、例えば金属アルミニウムからなる
多数の平行導体の電極指を周期的に配置したIDTを形
成し、さらには、その両側に一対の反射器を多数のスト
リップ導体を平行にかつ周期的に配置して構成し、1ポ
ート型のSAW共振子を形成する。
【0009】前記のSAW共振子において、前記IDT
を構成する際の要点として、正電極と負電極を1対とし
てM対としたときに、IDTの電極指全体でのトータル
反射係数Гを次式(1)の通り定義した上で、10>Г
>0.8とすれば、振動エネルギーが共振子の中央に集
中した、いわゆるエネルギー閉込型SAW共振子(参考
文献:エネルギー閉じ込め弾性表面波共振子,信学技法
US87−36,pp9−16(1987.9.))を
実現できることが知られている。
【0010】
【数1】 但し、ここでMは前記IDTの対数、bは電極1本当た
りの弾性表面波の反射係数、Hは前記導体の膜厚、λは
弾性表面波の波長である。
【0011】例えば、STカット水晶板で前記アルミニ
ウム導体で形成されたIDTであれば、b=0.25
5、H/λ=0.03としてM=80対とすれば、図1
の1ポートSAW共振子を構成できる。このときΓ=
2.448程度となる。従って、M=80対程度以上の
1ポート型SAW共振子を本発明の構成要素である横2
重モード型SAWフィルタに使用し、素子サイズの小型
化をはかることが可能である。
【0012】さらに、本発明の弾性表面波装置における
発明が解決しようとする課題1)および2)を解決する
に当たっては以下に述べる理論を用いて、いわゆる横モ
ードとよばれるモードの振動変位とその共振周波数を算
出し、フィルタおよび共振子の設計を行ったのでこの内
容を順に説明する。前記横モードは、SAW共振子の幅
方向(弾性表面波の伝搬方向Xに対してに直交するY軸
方向のこと)の長さに依存して存在する固有振動モード
であり、前記幅方向の長さとはIDTのもつ電極指交差
幅WCを指すことが一般的である。この電極指交差幅W
Cとは、正極性と負極性の電極指が相互に重なる配置と
なる幅方向の寸法である。次に、前記のSAW共振子の
幅方向(Y軸とする)について、SAW共振子の振動変
位を簡便に計算するための方法として、筆者等はすでに
これら横モードを支配する微分方程式を導いて公開して
いる(高木,桃崎,他:”常温に動的及び静的零温度係
数をもつKカット水晶SAW共振子”,電気学会 電子
回路技術委員会 第25回EMシンポジウム,pp79
−80,(1996))。あらためて、この方程式を記
述すると式(2)となる。
【0013】
【数2】 ここで、ωは角周波数、ω0(Y)は該当する領域の素
子角周波数、aは幅方向の実効的せん断剛性定数、V
(Y)は幅方向の弾性表面波変位の振幅、Yは弾性表面
波の波長で規格化したY座標である。また、ω0(Y)
は座標Yにおける弾性表面波の速度を角周波数に換算し
た量であり、周波数ポテンシャル関数と呼ぶことにす
る。この周波数ポテンシャル関数はSAW共振子の動作
点近傍においては、弾性表面波の伝搬路に存在するアル
ミニウム金属導体膜の厚みH(Y)の関数により変化す
る。もっと一般的には、アルミニウム金属の質量m
(Y)の関数で変化することが確認されている。従っ
て、SAW共振子の主要部を構成するすだれ状電極部に
おいては、すだれ状電極のもつ質量m(Y)によりω0
(Y)はほぼ決定される。すなはち、ω0(m(Y))
である。前記の水晶ST−カットの場合には、膜厚みが
薄いために、前記のω0(Y)はmに対してほぼ比例し
て直線的に降下する。 ここで計算を簡単にするために
式(2)において、基準となる周波数ω00 2で割ると、
【0014】
【数3】 ここで、Ω=ω/ω00は規格化周波数、Q(m(Y))
はポテンシャル関数となる。
【0015】変位振幅V(Y)求める方法は、たとえ
ば、次の様に逐次積分にて計算することができる。
【0016】
【数4】 式(4)のV(Y,Ω)は規格化周波数の関数である
が、現実に起きる変位振幅は、エネルギーの最小原理で
ある次式により与えられるΩにおいて得られる。
【0017】
【数5】 以上の式(1)から(4)が本発明の弾性表面波装置に
用いた計算の基本式であり、これらを用いて、後述の具
体的実施例になる横2重モード型のSAWフィルタおよ
びSAW共振子の周波数配置と寸法設計を行い、試作品
を製作して測定してみたので、これらを順に説明する。
【0018】(実施例1)以下、本発明の実施の形態を
図1から順を追って説明する。図1は本発明の弾性表面
波装置に使用される横2重モード型SAWフィルタ(1
01)および2ポート型のSAW共振子(102)に使
用される電極パターンを、平面図で表した実施例1であ
る。前記のSAWフィルタ101とSAW共振子102は、す
でに詳述したSAW共振子2個を平行に近接配置して構成
する。
【0019】図1中の各部位の名称は、100は圧電体
平板、118は本素子に利用する弾性表面波の伝播方向
X軸であり、119は前記X軸に直交するY軸である。
太い破線で囲まれた103と104は本発明の弾性表面
波装置の反射器1と反射器2であり、SAW共振子(破
線枠内101、SAWRと略記)とSAWフィルタ(破線枠
内102、SAWFと略記)を構成する1対の反射器を兼ね
ている。120と121等はアルミニウム金属からなる
導体ストリップ群であって、弾性表面波を反射する役目
を果たす。前記SAW共振子は軸Xの左側であり、SA
Wフィルタは軸Xの右側に配置する。細い破線で囲まれ
た105と106は各々、 SAW共振子101,SA
Wフィルタ102の反転極性を有するすだれ状電極すな
はちIDTの集合体(114,115,116,11
7)である。前記IDT1(105)とIDT2(10
6)はほぼ左右対称をなしており、SAW共振子101
とSAWフィルタ102の周波数が一致する基本をなし
ている。前記IDT(115)に接続する107はSA
W共振子101およびSAWフィルタ102の正極性入
力端子である。108,110,113,112はGN
D(接地)端子である(端子はパッドと呼んでもよ
い)。また、109はSAW共振子101の正極性出力
端子である。端子108と110間は前記IDT1(1
05)の負極側の給電導体122を介して反射器104
の導体ストリップ123に接続しており、さらにSAW
共振子の負極性側端子であるGND(接地)110へ接
続される。ただし、入出力信号は当然、高周波交流信号
であるが、ここでは一方を正極、他方を負極と呼んでい
る。前記IDT2(106)において、本発明の横2重
モード型SAWフィルタに加えられる外部電気信号(電
圧)は、SAW共振子の正極性入力端子(107)を介
して、SAW共振子101とSAWフィルタ102のI
DT 115,116の正極性入力端子間に印加され
る。107の正極性入力端子に加えられた電圧は、 I
DT115,116の中央を縦に縦断する給電導体12
4、125を介して126とか127等の正極側電極指
群に供給される。110、113の負極性入力端子は1
28、129等の負極性電極指群に接続導体を介して接
続する。
【0020】さらに、本発明の弾性表面波装置における
横2重モード型SAWフィルタからの出力電気信号は、
111の正極性端子(F−OUTQ)と負極性端子11
2(F−OUTQ*)の端子間に相互に反転した交流電
圧として発生する。112の出力側正極性端子は130
の接続導体を介して、前記IDT 117の横幅方向
(Y軸)の中央を縦に縦断する給電導体131を介して
132の正極性側電極指群に接続し圧電効果を介して出
力電圧を検出できる。112の負極性端子は133の接
続導体を介して134の負極性側給電導体に接続し、さ
らに135等の負極性側電極指群に接続する。
【0021】また136の寸法GAPFRは、SAW共振子
101とSAWフィルタ102の素子間の距離であり、
弾性表面波の波長λを単位として、相互に弾性結合させ
て使用する場合には、1λから4λの範囲に設定し、相互
に弾性結合させないで使用する場合には、5λ以上に離
して設定する必要があることが実験的に得られている。
100の圧電体平板は、水晶、タンタル酸リチウム、四
ほう酸リチウム等の圧電性を有する単結晶およびダイヤ
基板上のZnO等の圧電性薄膜を形成した基板等からな
ってもよいが、本発明においては特に30〜45度回転
Y板のレーリー波使用の水晶ST−X伝播カット、ST
W−Y伝播カット等について記載している。前記の10
0上に形成された前記のSAW共振子及びSAWフィルタ
を構成するIDTならびに反射器等は、アルミニウムお
よび金等の導電性を有する金属膜を蒸着、スパッタ等の
手段により薄膜形成した後、フォトリソグラフィ技術に
よりパターン形成して作られる。前記IDTと反射器の
電極指群は、利用する弾性表面波(レーリー波及びリー
キー波等)の位相進行方向(長手方向X)に対して直交
して、平行かつ周期的に多数配置される。
【0022】(実施例2)次に図2は、前述の図1ある
いは後述の図10の弾性表面波装置を用いて構成したS
AWフィルタを内蔵するSAW発振器の一実施例であ
る。図中の各部位の名称は、200が本発明の弾性表面
波装置を搭載した圧電体平板、太い破線で囲まれた20
1は横2重モード型SAWフィルタ(SAWF)、20
2はSAW共振子(SAWR)である。前記200の圧電体
平板は220の気密容器中に固定されており、気密容器
の接続パッド204(R&F-IN)、205(R−O
UT)、206,207,210(GND)、208
(F-Q*)、209(F-Q)等を介して外付けの電気
素子に接続している。また、211はIC中のLVDS
(Low voltage Differential Signals)規格対応の差
動インターフェイスドライバ回路(バランス型と呼ばれ
る)であるとか、ゲインを抑えて線形的な動作を行う差
動増幅器である。212は、インダクターL、213は
NPNトランジスタ、214、215、218、219
は抵抗、216はコンデンサ、217は発振の動作、非
動作状態を決定する制御電圧Venを印加する制御端子
である。212から219の素子と202のSAW共振
子によりSAW発振器を構成している。図2での動作を
簡単に説明すると、トランジスタ213のコレクタCに
発生する振動電圧Vc=ΣAnsin(2nπft)
(ここで、n=1,2,3…は整数,fは周波数、tは時
間、Anは第n次高調波の振幅)は、一般的に高調波成
分を含んで存在するが、Vcは204端子から203の
導体分岐点を通ってSAWフィルタおよびSAW共振子
の入力側IDTに印加されて圧電体平板200が有する
圧電気現象により弾性表面波による弾性振動を励起す
る。前記励起された弾性振動は、SAW共振子202に
おいては出力端子205(R-OUT)とGND(20
6)間で位相が約180度反転した基本波成分電圧Vb
= GcbA1sin(2πft)として検出される。一
方、203から201のSAWフィルタに印加したVc
電圧は、同様に主に基本波成分A1のみが弾性振動に変
換されて、208と209の端子間にVQ= GcqA1
in(2πft)/2とVQ*= −GcqA1sin(2
πft)/2の平衡電圧として検出される。ここでGc
b、Gcqは伝達ゲインである。図2のSAW発振器の場合に
おいては、前記図1中の136の寸法GAPFRは、弾性表
面波の波長λを単位として1λから4λの範囲に設定し、
相互に弾性結合させて単一周波数で動作できるようにす
る。
【0023】つぎに、本発明の図1、図2に関するさら
に細部にわたる構成と特性の説明を図3、図4、図5、
図6、図7、図8を用いて説明する。
【0024】まず、図3は図1のSAW共振子101およ
びSAWフィルタ102で用いられるIDT1(105)
あるいはIDT2(106)の詳細な構成と機能を、別
の実施例をもとに寸法および形状と横幅方向振動変位状
態V(Y)の関係を図示したものである。図中の300
は、入力側における正極性入力端子、302は負極性端
子であり、303は出力側におけるの正極性出力端子、
301は負極性端子である。図3のIDTの電極指位置
によって得られる励振電界は上向きの矢印308と下向
きの矢印309となる。この励振電界によって発生する
振動変位は、図3の下部に示す変位状態V(Y)のよう
になる。306は1次対称モードであるS1モード、3
07は1次斜対称モードであるA1モードである。30
4の縦軸は相対変位V(Y)量を、305の横軸は横幅
方向の位置Yを示す。モードS1、A1ともに各々図3
のIDT1とIDT2の中央位置P、Qにおいてほぼ零
の変位V(Y)をとっているのが特徴である。これによ
って前記モードの効率的な励振が可能となる。その他図
中の寸法を指定する記号は、EがIDT1とIDT2を
分離するギャップ長、Dと2Dは給電導体幅、CとIG
は給電導体と電極指間の分割ギャップ、BWは外側の給
電導体幅寸法、WC00は反転極性を有する個々の電極
指交差幅寸法(図3中のWC00)を指定する記号であ
る。また、前記寸法Eの領域は前面が金属導体で覆うこ
とも可能である。
【0025】つぎに、具体的な寸法設計例について図4
から図7を用いて説明する。まず図3に示された記号E
とWC00を変化させた場合の図1と図2が示す特性を
図4と図5に示す。他の共通な設計条件として、圧電体
平板は30から45度の回転Y板からなるST−X伝播
カット、IG=2λ(λはX方向に伝播する弾性表面波
の波長)、BW=2λ、C=2um、D=4um、素子
の動作周波数はf=250MHzである。図4は前記W
C00=5λにおいて、前記Eを2から10umまで可
変した場合の横インハーモニックモード群の内、S0
(基本波対称モード),A0(基本波斜対称モード),
S1(1次対称モード),A1(1次斜対称モード)の
周波数を計算したものである。図中の曲線400がS0
モード、401がA0モード、402がS1モード、4
03がA1モードである。図4に見られる通り、周波数
差DF0(A0とS0モードの周波数差)は、DF1
(A1とS1モードの周波数差)より小さく、フィルタ
の比帯域幅をたとえば電圧制御型SAW発振器に使うため
の目標の1000ppm程度にする場合にはEとして、
2.5umから5umの範囲で、A1とS1モードの周
波数差DF1を使用すれば良いことがわかる。この場合
の各モードの周波数計算方法は、前記2個のIDT1と
IDT2の電極指交差領域WC00において、各領域が
もつ規格化周波数ポテンシャル関数PYM(Y)を等し
く1として、前述の式(3)中のQ(Y)とPYM
(Y)の関係を次式として計算している。
【0026】
【数6】 ただし、ηとしては0.99から0.95の値とした。
この条件下で、前記規格化周波数ポテンシャル関数PY
M(Y)がどのようにして与えれたかをつぎに説明す
る。まず最初にWC00で表される電極指の周期的配列
で構成された領域は、電極指のつくる周期的格子構造に
より弾性表面波が摂動を受け、自由表面の伝搬速度Vs
からVmに速度が低下する。従ってVmに対応して前述
の領域の角周波数ω00(=2πVm/(2PT))が決
定されている。PTは電極指の配列周期長である。この
角周波数に対応するPYMが1であることは式(6)か
ら容易に理解できる。また、自由表面に対するPYMは
PYM=0であり、この場合の角周波数はω00(1/
η)( >ω00 )となる。図3中のD、2D、BWで
示される給電導体部は、全面被服としてFEM解析で得
られる弾性表面波速度から、前記の自由表面の速度Vs
より500から1000ppmとやや小さいものとされ
ている。従って、PYM=0.1程度に対応する(0.
001=1/0.99−1)×PYM)。領域Cは、領
域WC00の電極指本数の1/4が弾性表面波の伝搬路
と交差しているから、約0.25の速度降下とみなす。
従ってPYM=0.25である。 以上の規格化周波数
ポテンシャル関数PYM(Y)によって発生する横モー
ドの変位V(Y)は、すでに見た通り図3の最下部に図
示した306のS1モードと307のA1モードであ
る。
【0027】つぎに図5は、前記Eを4umとして、電
極指交差幅寸法WC00を4λから12λまで変えた場
合の前記A1モードとS1モードの周波数差DF1(p
pm)の特性(500)を示す。WC00が4λから6
λの範囲においては、DF1が1500から1000p
pm以上の値をとることができ、またWC00が10λ
から12λの範囲においては、DF1が150から10
0ppm程度以下の値をとることができる。
【0028】つぎに図6において、本発明の横2重モー
ド型SAWフィルタおよびSAW共振子を構成する2個
のSAW共振子が示す等価定数とIDT対数Mの関係を
示す。前記SAW共振子の周波数のとして250MHz
とした。前記周波数にて、水晶で製作可能と思われる
最小の素子サイズである約2×3mmに収納するために
は、IDTの対数Mと片側の反射器Nの和が200以内
である必要がある。この条件のもとに、1個のSAW共
振子のQ値(共振先鋭度)(曲線600)と等価直列共
振抵抗R1(曲線601)の特性を図6に示した。ID
Tの対数Mが40から120の範囲において、約1万以
上のQ値が、また、R1はMが60から120対の範囲
において100Ω程度が得られる。ただし、1個のSA
W共振子の電極指交差幅(前述のWC00×2に対応す
る。)として、8波長(λ)を用いた。従って本発明に
は、前記WC00幅が4λ以上から6λあるいは、10
λから12λ以上でかつ、対数M=60から120対、
従って反射器の導体本数NRは140から80本とすれ
ば、おおむね本発明の目的とする特性が得られる。
【0029】もちろん、素子サイズに約2×3mmの制
約がなければ、これ以上のIDT対数Mが120対から
300対の範囲および反射器導体本数NRが80本から
300本の範囲内であれば十分な特性が実現できる。最
後に、本発明の前述の条件において、図1の構成により
得られるSAW共振子101およびSAWフィルタ10
2の伝送特性(動作伝送量SB=20LOG 10(V2/
V1)(dB))を図7に示す。縦軸はSBを対数表示
し、横軸は周波数変化率Δf/fをppm単位10-6
表示している。図中の700が前述のS1、A1モード
によって作られる100ppm程度以下の通過帯域幅で
ある。前記700の周波数はSAW共振子(図1の10
1)とSAWフィルタ(図1の102)の周波数が一致
するように、両者の横幅方向の距離GAPFR(図1の13
6)が、弾性表面波の波長λを単位として、1λから4λ
の範囲内として、弾性結合するように設定する。701
はS0とA0によって作られるフィルタ特性である。ま
た、702はS1より高次の対称モードであるS2モー
ドによって作られるスプリアスであって、高次モードが
ゆえに十分に抑圧されている。フィルタの挿入損失SBmj
nは9dB程度である(SBmin=−9dB)。また701
のスプリアスは予想外に小さい結果となった。この原因
を図8を用いて考察する。図8の下部に図示したS0と
A0モードの変位803,804が、WC0とWC1の
IDT領域において同一なる極性の変位をもつために、
電極指に発生する電荷(806と807)が相互に相殺
して電気的短絡現象を呈することにより、エネルギー損
失を発生して共振先鋭度(Q値)の大幅低下をもたらす
ことになる(2万から2000へ低下)(−20d
B)。さらに、各モードに対する相対励振効率を計算す
ると、S0とA0モードにおいては、0.1であり、S
1とA1モードについては0.75程度となるために、
0.1/0.75=0.133(−17dB)の抑圧効
果がある。従って全体では前記SBminに対してさらに
−37dB程度の抑圧が発生したものと考えられる。図
7の特性からみて、スプリアスレベルが十分小さな発振
出力が得られることがわかる。
【0030】次に本発明を用いた他の実施例である電圧
制御型SAW発振器について、図10(実施例3)、図
9(実施例4)、図11、図12、図13、図14、図1
5を用いて説明する。
【0031】(実施例3)図10は本発明の弾性表面波
装置に使用される横2重モード型SAWフィルタおよび
1ポート型のSAW共振子に使用される電極パターン
を、平面図で表した実施例3である。細部はおおむね図
1と同様であるためあらためは解説しない。図10中の
各部位の名称は、1000は圧電体平板、太い破線で囲
まれた103と104は本発明の弾性表面波装置の反射
器1と反射器2であり、SAW共振子(破線枠内100
1のSAWR)とSAWフィルタ(破線枠内1002のSAW
F)を構成する1対の反射器を兼ねている。前記SAW共
振子は軸Xの左側であり、SAWフィルタは軸Xの右側
に配置する。細い破線で囲まれた1005と1006は
各々、 SAW共振子1001,SAWフィルタ100
2の反転極性を有するすだれ状電極すなはちIDTの集
合体(1014,1015,1016,1017)であ
る。前記IDT1(1005)はほぼ左右が平行移動に
よって重なるように電極指群が形成されており、SAW
共振子1001が1次斜対称モードA1のみで動作できる
ようにする。これを説明するために、1005のIDT
1中には励振電界の方向矢印で示した。これら電界の向
きから、中央にて反転する前記1次斜対称モードが励起
されることが容易にわかる。またIDT2(1006)
はほぼ左右対称をなして形成されており、SAWフィル
タ1002が1次対称S1モードおよびA1モードで動作し
てフィルタ特性をとって、後述する特定の周波数配置と
なるよう設定されている。前記IDT1014、101
5に接続する1007はSAW共振子1001およびS
AWフィルタ1002の正極性入力端子(R&F-IN)で
ある。1013,1012はGND(接地)端子である
(端子はパッドと呼んでもよい)。また、1009はS
AW共振子の負極性出力端子(R-OUT)である。 ただ
し、入出力信号は当然、高周波交流信号であるが、ここ
では一方を正極、他方を負極と呼んでいる。さらに、本
発明の弾性表面波装置における横2重モード型SAWフ
ィルタからの出力電気信号は、1011の正極性端子
(F−OUTQ)と負極性端子1012(F−OUTQ
*)の端子間に相互に反転する極性を有した交流電圧と
して発生する。1019はSAW共振子とSAWフィルタ間の
距離GAPFRである。特に図10のSAW共振子1001につ
いては、1次斜対称モードA1のみで動作する点が図1の
実施例1の場合と異なる。
【0032】(実施例4)次に図9は、前述の図10の
弾性表面波装置の1実施例を用いて構成したSAWフィ
ルタを内蔵する電圧制御型SAW発振器の一実施例であ
る。図中の各部位の名称は、900が本発明の弾性表面
波装置を搭載した圧電体平板、太い破線で囲まれた90
1は横2重モード型SAWフィルタ(SAWF)、90
2はSAW共振子である。 前記900の圧電体平板は
903の気密容器中に固定されており、気密容器の接続
パッド904(F-IN)、905(R−IN)、906
(R-OUT)907,910(GND)、908(F-Q
*)、909(F-Q)等を介して外付けの電気素子に
接続している。また、911はIC中のLVDS(Low
voltage Differential Signals)規格対応の差動インタ
ーフェイスドライバ回路(バランス型と呼ばれる)であ
るとか、ゲインを抑えて線形的な動作を行う差動増幅器
であり、さらに922のインダクタンスと923のコン
デンサは全体でHPF型の整合回路を構成して前記911
の入力インピーダンスと整合をとっている。
【0033】また917は、周波数可変範囲を広げるた
めのインダクターL、914はNPNトランジスタ、9
13、916、918、920は抵抗、915はコンデ
ンサ、919は電圧を印加して障壁容量を可変できる可
変容量ダイオード、921は発振周波数を可変するため
の制御電圧Vctlを印加する制御端子、912は電源
端子Vccである。
【0034】912から921の素子と902のSAW
共振子により919の可変容量ダイオードの容量値Cv
を制御電圧Vctlにて可変することにより、発振周波
数が可変できる電圧制御型SAW発振器を構成してい
る。
【0035】図9での動作を簡単に説明すると、トラン
ジスタ914のエミッタeに発生する振動電圧Ve=Σ
Ansin(2nπft)(ここで、n=1,2,3…は整
数,fは周波数、tは時間、Anは第n次高調波の振
幅)は、一般的にトランジスタの電流増幅率のもつ非線
形によって高調波成分を含んで存在するが、Veは90
4の端子を通ってSAWフィルタの入力側IDTに印加
されて圧電体平板900が有する圧電気現象によって弾
性表面波による弾性振動を励起する。前記の弾性振動は
前述図3の下部に見られるような1次対称モードS1と
1次斜対称モードA1の合成からなり、およそS1とA
1間の周波数差を通過帯域幅とするフィルタを形成す
る。前記フィルタの公称周波数が基本波fに設定してあ
るため、主に基本波成分A1のみが、908と909の
端子間にVQ= GeqA1sin(2πft)/2とVQ
*= −GeqA1sin(2πft)/2の平衡電圧とし
て検出される。一方、914トランジスタのベイス電圧
Vbは、SAW共振子902の単一モードA1の共振電流
からなることによって、基本波成分電圧Vb= GebA1
sin(2πft)のみとして検出される。ここでGe
b、Geqは伝達ゲインである。
【0036】つぎに、本発明の図9、図10に関するさ
らに細部にわたる構成と特性の説明を図11、図12、
図13、図14、図15を用いて説明する。
【0037】まず、図11は図9あるいは図10で用い
られる1ポート型SAW共振子1001のもつインピー
ダンスZ(f)特性である。図11中の曲線1100は
Z(f)の振幅の対数値 20Log10(Z(f)) (dB)で
あり、破線の1101はZ(f)の位相特性である。また1
103の共振は横S1モードスプリアスである。13Ωで
ある1102点が主共振点frである。
【0038】つぎに、図10の1002のSAWフィルタ
の具体的な寸法設計例は前述(実施例1の説明)の通り
であるが、あらためて図8に従って記載すると、圧電体
平板は30から45度の回転Y板からなるST−X伝播カ
ット、IG=2λ(λはX方向に伝播する弾性表面波の
波長)、BW=2λ、C=2um、D=4um、素子の
動作周波数はf=250MHzである。またWC00=
5λにおいて、フィルタの比帯域幅を1000ppm程
度にする場合にはEとして、2.5から5umの範囲
で、A1とS1モードの周波数差DF1を使用すれば良
いことがわかる。SAWフィルタの公称周波数fと前記1
次対称モードS1と1次斜対称モードA1の主共振周波
数f(S1),f(A1)の関係は、ほぼf={f(S
1)+f(A1)}/2の関係にあることをつけくわえ
る。
【0039】従って本発明には、前記WC00幅が4λ
以上から6λあるいは、10λから12λ以上でかつ、対
数M=60から120対、従って反射器の導体本数NR
は140から80本とすれば、十分小型(素子サイズが
約2×3mm)でかつおおむね本発明の目的とする特性
が得られる。もちろん、これ以上のIDT対数Mが12
0対から300対の範囲および反射器導体本数NRが8
0本から300本の範囲内とすれば、素子サイズは大き
くなるが十二分な特性が実現できる。
【0040】つぎに、図10の1002のSAWフィルタ
の特性を図12に示した。図中1200がSAWフィル
タ1002の伝送特性(動作伝送量SB=20LOG10
(V2/V1)(dB))を示す。縦軸はSBを対数表
示し、横軸は周波数変化率Δf/fをppm単位10-6
で表示している。図中の1201が前述のS1、A1モ
ードによって作られる1000ppm程度以下の通過帯
域幅であり、また、1201はS0とA0によって作ら
れるフィルタ特性である。また、1202はS1より高
次の対称モードであるS2モードによって作られるスプ
リアスであって、高次モードがゆえに十分に抑圧されて
いる。フィルタの挿入損失は2dB程度、スプリアスの
抑圧度は−40dBとなった。
【0041】つぎに図13は、図9の電圧制御型SAW発
振器の出力信号の電力スペクトルP(dB)の周波数特性を
示す。 図中の1300が従来と本発明の基本波(1次)
成分P(f)、破線で示される特性は、従来型の電圧制
御型SAW発振器のもので、1301は2次高調波成分P(2
f)、1302は3次高調波成分P(3f)、1303は4次高
調波成分P(4f)に対応する。一方、実線で示される13
04,1305、1306等は本発明の図9が示す電力
スペクトル特性である。f2、f3、f4の高調波成分
レベルは、前記SAWフィルタの−40dBの帯域外減
衰が加わって−50dB以下であり、従来品と比較する
と著しい高調波成分抑圧の改善が見られることがわか
る。
【0042】つぎに図14は、本発明の図9が示す制御
電圧Vctlに対する発振周波数の可変特性DF(ppm)で
ある。図中の縦軸DFは周波数変化率であり、図9の有す
るSAW共振子902の共振周波数frと発振周波数fosc
から、DF=(fosc−fr)/fr×10+6として与えられ
るものである。横軸は図9の921端子に外部から印加
する制御電圧Vctlである。図中1400は、前記の
DFを示し、1401は図9の919の可変容量ダイオ
ードが示す容量値Cv(pF)である。同図の特性は、
前述のf(A1)=622MHz、伸長コイルL=24nH,発
振器側の負荷容量値CL=10pFと設定して得たものであ
る。DF=0(ppm)の横線f(A1)がSAW共振
子(図9の902)とSAWフィルタ(図9の901)
が有する1次斜対称モードA1の直列共振周波数f(A
1)の配置であり、また横線f(S1)は前記SAWフ
ィルタが有する1次対称モードS1の直列共振周波数f
(S1)の配置である。本発明の電圧制御型SAW発振
器においては、伸長コイル917の周波数低下作用によ
って、前記f(S1)とf(A1)間に電圧制御型SA
W発振器の可変周波数範囲を設定している。このように
周波数を配置することにより、前記SAWフィルタの平
坦な通過地域幅(f(S1)とf(A1)間)を前記電
圧制御型SAW発振器の周波数foscの信号電力が通過で
き、減衰ロスのない振幅レベルが一定な出力信号を得る
ことができる。本発明においては、前記のSAW共振子とS
AWフィルタのパターンを横幅にして40波長から50波
長の領域に集積して一体形成することが可能なため、両
者のもつ1次斜対称モードの周波数f(A1)をほぼ一致
させて作成することができる(前記の横幅は622MH
zの場合であれば、およそ200μmから250μmに
相当する)。つぎに図15のブロック図において本発明
の弾性表面波装置の応用例を示す。図中1500はバラ
ンスドミキサ、1501は本発明の弾性表面波装置、1
502はnてい倍のPLL(位相ロック回路)、1503
はRb原子時計あるいは高安定な水晶発振器からなる基
準発振器である。これらの基準発振器の周波数確度は、
温度環境と経時変化にたいして10-9程度に安定である
が、利用しようとする周波数(fx+fs)に比べて1
0MHz程度と小さいのが現行技術である。同図全体で
周波数fxを(fx±fs)変換するにシンセサイザ機
能を果たす。本発明の前記1501を使うことにより、
1501からの出力信号に(n×fs)高調波周波数成
分が十分に抑圧されて含まれないために、結果としてバ
ランスドミキサにて発生する高調波成分(fx±n×f
s)が−50dBc除去でき優れた純度の新たな基準信
号(fx±fs)を得ることができる。さらにSAW発
振器であるために、位相ノイズフロアも通常−160d
Bc程度と抑圧でき、十分使用に耐えるものが実現でき
る。
【0043】以上、本発明の弾性表面波装置の構成およ
び特性につき説明した。構成例は水晶STカットで示し
たが、他のカットである16度回転Y板であるLSTカ
ットとか、9.6度回転Y板であるKカットでもよく、
さらにまた水晶以外の圧電気材料であっても条件を適正
化すれば構成できることをつけくわえる。さらにまた、
図2または、図3に示された回路素子はトランジスタで
構成されているが、C-MOSであっても、GaAsト
ランジスタであってもかまわないし、IC化してもよい
ことはもちろんである。
【0044】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、例え
ば水晶基板を用いて横2重モード型SAWフィルタとS
AW共振子を一体に集積化して1チップ上に形成し、さ
らに外つけの能動素子と受動素子を付加することによ
り、フィルタ内臓型のSAW発振器を構成できる。こと
に前記SAW共振子とSAWフィルタを弾性的に結合させ
て同一の共振周波数にて共振させて用いると単一の周波
数にて発振かつ濾波させることができるため個別の周波
数調整が不要となる。 さらには、SAWフィルタとしてフ
ィルタの特性を合成する2つの独立な共振モードとし
て、1次対称モードS1、1次斜対称モードA1を使用
し、両モード間の周波数差をおよそ1000ppmの帯
域通過フィルタとなし、SAW共振子を前記1次斜対称モ
ードA1からS1モード周波数で発振させるように周波
数配置を設定することにより、従来より大幅に高調波成
分を除去してかつ平衡型であり、SAW発振器を使用す
ることから位相ノイズが小さく高品質な出力信号を容易
に得ることができ、今後大幅に拡大すると思われるGb
it高速有線通信市場のクロック信号源に提供でき多大
な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の弾性表面波装置の一実施例が有する
導体パターンを示す平面図。
【図2】 本発明の弾性表面波装置を使用して構成した
SAWフィルタ内蔵型SAW発振器の一実施例が示す
図。
【図3】 本発明が内蔵する横2重モード型SAWフィ
ルタあるいはSAW共振子のIDTと振動変位を示す概
念図。
【図4】 本発明の図1と図10が示す特性図。
【図5】 本発明の図1と図10が示す他の特性図。
【図6】 本発明の図1と図10のSAW共振子が示す
他の特性図。
【図7】 本発明の図1が示す伝送特性図。
【図8】 本発明の動作原理を説明する概念図。
【図9】 本発明の使用例である電圧制御型SAW発振
器の1実施例を示す構成図。
【図10】 図9に使用する本発明の弾性表面波装置の
他の実施例が有する導体パターンを示す平面図。
【図11】 本発明の図10のSAW共振子1001が
示す共振特性図。
【図12】 本発明の図10のSAWフィルタ1002
が示す伝送特性図。
【図13】 本発明の図9のSAWフィルタ901の出
力信号が示す電力スペクトル特性図。
【図14】 本発明の図9が示す周波数可変特性図。
【図15】 本発明の弾性表面波装置を使用した周波数
シンセサイザの構成図。
【符号の説明】
100 圧電体平板 101 SAWR 102 SAWF 103 反射器1 104 反射器2 105,106 入出力IDT
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5J079 AA06 BA35 FA01 FA14 FA21 FA26 FB26 KA01 5J097 AA14 AA30 BB02 BB03 BB14 DD06 DD25 GG02 LL06 LL08

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電体平板上に、SAW共振子とSAWフィル
    タを一体にして形成し、外付けの増幅素子と接続して,S
    AW発振器となし、前記SAW発振器の出力信号を前記圧電
    体平板上で前記SAWフィルタに供給し濾波された信号を
    出力信号とする弾性表面波装置において、 前記SAWフィルタおよびSAW共振子は、少なくとも1個の
    すだれ状電極と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面
    波をその両側において反射するための、1対の反射器を
    有した2個のSAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方
    向Xに対して相隣接してほぼ平行に配置した横2重モー
    ド型の構成であって、 前記横2重モード型のSAWフィルタおよびSAW共振子
    の伝送特性が、横モードに属する1次対称モードS1と
    1次斜対称モードA1とから合成されており、 前記2個のSAW共振子が有するすだれ状電極は、前記
    1次対称モードS1と1次斜対称モードA1の振動変位
    を効率良く励振できるように、前記各々のSAW共振子
    の横幅方向の中央部位において極性を反転して形成し、 さらに、前記SAWフィルタとSAW共振子は、横幅方
    向に距離GAPFRをとって弾性的に結合させてた上で、前
    記S1モードとA1モードの周波数差を100ppm程度
    以下となして、同一の周波数にて動作できるようにした
    ことを特徴とする弾性表面波装置。
  2. 【請求項2】 前記SAW共振子とSAWフィルタの横
    幅方向の距離GAPFRは、弾性表面波の波長λを単位とし
    て、1λから4λの範囲にあることを特徴とする請求項1
    記載の弾性表面波装置。
  3. 【請求項3】 前記SAW共振子の反転するすだれ状電
    極は、正負電極指の交差幅寸法WC00が弾性表面波の
    波長λを単位として、9λから12λの範囲にあること
    を特徴とする請求項1記載の弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 前記2個のSAW共振子のすだれ状電
    は、相互に近接する側において、2.5umから5um
    のギャップ長Eによって分離配置していることを特徴と
    する請求項1記載の弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 圧電体平板上に、SAW共振子とSAWフィル
    タを一体にして形成し、外付けの増幅素子と接続して,S
    AW発振器となし、前記SAW発振器の出力信号を前記圧電
    体平板上で前記SAWフィルタに供給し濾波された信号を
    出力信号とする弾性表面波装置において、 前記SAWフィルタは、少なくとも1個のすだれ状電極
    と、前記すだれ状電極が発生する弾性表面波をその両側
    において反射するための、1対の反射器を有した2個の
    SAW共振子を、前記弾性表面波の伝搬方向Xに対して
    相隣接してほぼ平行に配置した横2重モード型の構成で
    あって、 前記横2重モード型のSAWフィルタの伝送特性が、横
    モードに属する1次対称モードS1と1次斜対称モード
    A1とから合成されており、 前記2個のSAW共振子が有するすだれ状電極は、前記
    1次対称モードS1と1次斜対称モードA1の振動変位
    を効率良く励振できるように、前記各々のSAW共振子
    の横幅方向の中央部位において極性を反転して形成して
    おり、 かつ前記SAW共振子は、前記SAWフィルタと同一形状のす
    だれ状電極を形成することによって、前記SAWフィルタ
    の1次斜対称モードA1の直列共振周波数fs(A1)
    で動作するようになし、さらに外付けする増幅素子と、
    伸長コイル、可変容量ダイオードによって電圧制御型S
    AW発振器を構成し、その発振周波数が前記SAWフィ
    ルタのS1モードとA1モード周波数間に可変して存在
    させたことを特徴とする弾性表面波装置。
  6. 【請求項6】 前記SAW共振子の反転するすだれ状電
    極は、正負電極指の交差幅寸法WC00が弾性表面波の
    波長λを単位として、4λから6λの範囲にあることを特
    徴とする請求項5記載の弾性表面波装置。
  7. 【請求項7】 前記2個のSAW共振子のすだれ状電
    は、相互に近接する側において、2.5umから5um
    のギャップ長Eによって分離配置していることを特徴と
    する請求項5記載の弾性表面波装置。
  8. 【請求項8】 前記SAW共振子が有するすだれ状電極
    の対数が120対から300対の範囲かつ片側反射器の
    導体本数が80本から300本の範囲内であることを特
    徴とする請求項1又は請求項5記載の弾性表面波装置。
  9. 【請求項9】 前記圧電体平板が水晶であって、30〜
    45度回転Y板のSTカットX伝搬方位であることを特
    徴とする請求項1又は請求項5記載の弾性表面波装置。
  10. 【請求項10】 前記SAWフィルタの出力をバランス
    出力型であることを特徴とする請求項1又は請求項5記
    載の弾性表面波装置。
  11. 【請求項11】 前記SAW共振子は、1ポート型であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項5記載の弾性表
    面波装置。
  12. 【請求項12】 前記SAW共振子は、2ポート型であ
    ることを特徴とする請求項1又は請求項5記載の弾性表
    面波装置。
  13. 【請求項13】 前記請求項5記載記載の弾性表面波装
    置に外付けして、前記装置の出力信号を受ける平衡型の
    ミキサ回路、入力信号を供給するPLL回路、さらに前
    記PLL回路の入力信号を供給する基準発振器を付加し
    周波数シンセサイザ構成したことを特徴とする弾性表面
    波装置。
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