JP2002110260A - 光エネルギー変換材料及び光エネルギー変換方法 - Google Patents

光エネルギー変換材料及び光エネルギー変換方法

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JP2002110260A
JP2002110260A JP2000299998A JP2000299998A JP2002110260A JP 2002110260 A JP2002110260 A JP 2002110260A JP 2000299998 A JP2000299998 A JP 2000299998A JP 2000299998 A JP2000299998 A JP 2000299998A JP 2002110260 A JP2002110260 A JP 2002110260A
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light energy
electron
porous body
energy conversion
electron donor
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JP2000299998A
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Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Kaoru Aramata
薫 荒又
Kazuhisa Yano
一久 矢野
Akihiko Yamagishi
皓彦 山岸
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光エネルギー吸収効率と電子供与体から電子
受容体への電子伝達効率との双方が十分に高く、十分に
高い光変換エネルギー効率を達成することを可能とする
光エネルギー変換材料及び光エネルギー変換方法を提供
すること。 【解決手段】 光活性色素1、電子供与体2、電子受容
体3、並びに細孔壁の厚さが2nm以下である細孔5
a、5bを有する多孔体4を備えており、光活性色素1
が細孔5aの内側若しくは多孔体4の外側に配置されて
おり、電子供与体2又は電子受容体3の少なくとも一方
が細孔5bの内側に配置されており、且つ電子供与体2
と電子受容体3とが直接隣接することなく互いに細孔壁
を介して配置されていることを特徴とする光エネルギー
変換材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光エネルギー変換材
料に関するものであり、より詳しくは、光誘起電子移動
反応を利用する光エネルギー変換材料及びそれを用いた
光エネルギー変換方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、光エネルギーの吸収に伴い電
子供与体から電子受容体へと電子が伝達する光誘起電子
移動反応を利用した光エネルギー変換システムの開発が
進められており、太陽電池や光触媒等の分野への適用が
試みられている。
【0003】これらの光エネルギー変換システムの多く
は植物の光合成を見本とするものであり、これらのシス
テムにおいて光エネルギー変換効率を向上させるために
は、光エネルギーの吸収効率を向上させること、並びに
電子供与体から電子受容体への電子伝達効率を高めるこ
とが重要である。
【0004】そこで、光エネルギーの吸収効率を向上さ
せる手段として、クロロフィルやポルフィリン誘導体等
の光活性色素を光増感剤として用い、電子供与体の電子
放出機能を高める試みがなされている。また、これらの
光活性色素を電子供与体として用い、光エネルギーの吸
収により励起された光活性色素から電子受容体へと電子
を伝達する光エネルギー変換方法も提案されている。
【0005】他方、電子供与体から電子受容体への電子
伝達効率を高める手段として、電子供与体と電子受容体
との距離を近距離に固定化する試みがなされており、種
々の方法が提案されている。例えば、特開平11−31
2541号公報には、透明電極と対向電極との間に電子
供与体としての色素材料を担持した酸化物半導体の多孔
体と電解質とが設けられた太陽電池において、透明電極
と多孔体との間に多孔体と同一の酸化物半導体で構成さ
れる緻密膜を設けることによって光エネルギー変換効率
を向上させる技術が開示されている。しかしながら、上
記の太陽電池においては、電極と緻密膜との接触抵抗等
に起因するエネルギー損失を抑制することは非常に困難
であり、十分に高いエネルギー変換効率を達成するため
には未だ十分なものではなかった。
【0006】また、電子供与体から電子受容体への電子
伝達効率を向上させる他の手段として、電子受容(酸化
反応)の反応点と電子供与(還元反応)の反応点とを分
離し、酸化還元反応における反応阻害作用を抑制する方
法が提案されている。例えば、特開平10−77461
号公報には、電子受容体と電子供与体とを化学結合で結
合させた電子受容体連結電子供与体で構成されるLB膜
を用いた光エネルギー変換方法が開示されている。しか
しながら、このように電子受容の反応点と電子供与の反
応点を分子レベルで分離した場合であっても、反応阻害
作用を十分に抑制することはできなかった。さらに、上
記の光エネルギー変換方法のようにLB膜を用いる場合
には、受光部分が小さくなり光エネルギー吸収効率が不
十分となるという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の有する課題に鑑みてなされたものであり、光エネルギ
ー吸収効率と電子供与体から電子受容体への電子伝達効
率との双方が十分に高く、十分に高い光変換エネルギー
効率を達成することを可能とする光エネルギー変換材料
及び光エネルギー変換方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、光活性色素、電子供
与体、電子受容体、並びに多孔体を備える光エネルギー
変換材料において、多孔体として特定の細孔壁の厚さを
有するものを用い、その多孔体の細孔の内側若しくは前
記多孔体の外側に光活性色素、細孔の内側に電子供与体
又は電子受容体の少なくとも一方、をそれぞれ配置する
とともに、電子供与体と電子受容体とを互いに細孔壁を
介して配置した場合に上記課題が解決されることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明のエネルギー変換材料
は、光活性色素、電子供与体、電子受容体、並びに細孔
壁の厚さが2nm以下である細孔を有する多孔体を備え
ており、前記光活性色素が前記細孔の内側若しくは前記
多孔体の外側に配置されており、前記電子供与体又は前
記電子受容体の少なくとも一方が前記細孔の内側に配置
されており、且つ前記電子供与体と前記電子受容体とが
直接隣接することなく互いに前記細孔壁を介して配置さ
れていることを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の光エネルギー変換方法は、
上記本発明の光エネルギー変換材料を用いることを特徴
とするものである。
【0011】本発明の光エネルギー変換材料によって十
分に高い光エネルギー変換効率が達成される理由は明ら
かではないが、本発明者らは以下のように推察する。す
なわち、本発明の光エネルギー変換材料においては、光
活性色素を細孔の内側又は多孔体の外側に配置すること
によって、光照射により励起された光活性色素から電子
供与体への電子伝達効率が向上するとともに、電子供与
体と電子受容体とを直接隣接することなく上記の特定の
厚さを有する細孔壁を介して配置することによって、電
子供与体と電子受容体とが十分に近距離に配置され、且
つ電子受容(酸化反応)の反応点と電子供与(還元反
応)の反応点とが十分に分離されるので、酸化還元反応
における反応阻害作用を抑制しながら十分に高い効率を
もって電子供与体から電子受容体への電子伝達を行うこ
とができるものと考えられる。従って、本発明の光エネ
ルギー変換材料を用いることによって、十分に高い光エ
ネルギー変換効率を達成することが可能となるものと本
発明者らは推察する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、場合により図面を参照しつ
つ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付する
こととする。
【0013】図1は本発明の光エネルギー変換材料の好
適な一実施形態を示す説明図である。図1に示す光エネ
ルギー変換材料において、多孔体4は細孔壁の厚さが2
nm以下である細孔5a、5bを有しており、細孔5a
の内側には光活性色素1、細孔5bの内側には電子受容
体3がそれぞれ配置されている。また、多孔体4の外側
には電子供与体2が、電子受容体3と細孔壁を介して配
置されている。
【0014】また、図2は本発明の光エネルギー変換材
料の他の好適な実施形態を示す説明図である。図2に示
す光エネルギー変換材料において、多孔体4は細孔壁の
厚さが2nm以下である細孔5a、5b、5cを有して
おり、細孔5aの内側には光活性色素1、細孔5bの内
側には電子供与体2、細孔5cの内側には電子受容体3
がそれぞれ配置されている。また、電子供与体2と電子
受容体3とは互いに細孔壁を介して配置されている。
【0015】このように、本発明の光エネルギー変換材
料は、特定の細孔壁の厚さを有する多孔体の細孔の内側
若しくは前記多孔体の外側に光活性色素、細孔の内側に
電子受容体又は電子供与体の少なくとも一方、がそれぞ
れ配置され、且つ電子受容体と電子供与体とが直接隣接
することなく互いに細孔壁を介して配置されたことを特
徴とするものであり、上記の構成を有する光エネルギー
変換材料を用いることによって十分に高い光エネルギー
変換効率を達成することが可能となる。
【0016】以下、本発明にかかる光活性色素、電子供
与体、電子受容体及び多孔体について詳細に説明する。
【0017】(光活性色素)本発明にかかる光活性色素
は、光エネルギーを吸収して励起状態となることによる
電子放出機能を有するものである。このような光活性色
素としては、従来より公知のものが使用可能であるが、
具体的には、クロロフィル、ヘモグロビン等の天然色
素、ポルフィリン誘導体、ビピリジン誘導体、フタロシ
アニン誘導体、ピレン誘導体等の合成色素等が挙げられ
る。
【0018】ここで、前記合成色素のうち、ポルフィリ
ン誘導体、ビピリジン誘導体、フタロシアニン誘導体及
びピレン誘導体としては、それぞれ置換基としてアルキ
ル基(好ましくは炭素数2〜12のアルキル基)、アリ
ール基(好ましくは炭素数1〜12のアリール基)、ア
ルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12のアルコキシ
基)、エステル基(好ましくは炭素数1〜12のエステ
ル基)又はカルボキシル基を有する化合物が挙げられ
る。また、ポルフィリン誘導体、ビピリジン誘導体及び
フタロシアニン誘導体は、鉄(Fe)、ルテニウム(R
u)、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、銀
(Ag)、マンガン(Mn)、モリブデン(Mo)、亜
鉛(Zn)、銅(Cu)、バナジウム(V)等の金属又
はそれらのハロゲン化物若しくは酸化物に、ポルフィリ
ン、ビピリジン又はフタロシアニンが配位した錯体型合
成色素であってもよい。
【0019】本発明においては、上記の光活性色素の中
でも、クロロフィル、ポルフィリン誘導体、ルテニウム
ビピリジン誘導体、ルテニウムフタロシアニン誘導体、
ピレン誘導体を用いると、光エネルギーの吸収効率が向
上する傾向にあるので好ましい。
【0020】本発明において、光活性色素の含有量は特
に制限されないが、光エネルギー変換材料全量を基準と
して1〜20重量%であることが好ましい。光活性色素
の含有量が前記下限値未満であると、光エネルギーの吸
収効率が不十分となる傾向にある。他方、光活性色素の
含有量が前記上限値を超えると、同一細孔内に入る色素
分子が多くなり、細孔壁への電子移動が阻害されたり光
の内部への侵入が妨げられやすくなる傾向にある。
【0021】(電子供与体及び電子受容体)本発明にか
かる電子供与体は、上記の光活性色素から放出される電
子を受容し、さらに後述する電子受容体へと電子を放出
する機能を有するものである。このような電子供与体と
しては、フェロセン((C552Fe)、ルテノセン
((C552Ru)等のメタロセン誘導体;エチレン
ジアミン、エチレンジアミン四酢酸塩、エチレンジアミ
ン塩酸塩、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等
のアミン化合物、及びメルカプトメタノール、メルカプ
トエタノール、硫化水素、メルカプトコハク酸、メルカ
プト酪酸等の硫黄化合物が好ましく用いられる。これら
の電子供与体の含有量は、光エネルギー変換材料全量を
基準として好ましくは1〜20重量%である。
【0022】また、本発明にかかる電子受容体は、上記
の電子供与体から放出される電子を受容する機能を有す
るものである。このような電子受容体としては、メチル
ビオロゲン、エチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン等
のビオロゲン誘導体及びo−ベンゾキノン、p−ベンゾ
キノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アン
トラキノン等のキノン誘導体が好ましく用いられる。こ
れらの電子受容体の含有量は、光エネルギー変換材料全
量を基準として好ましくは1〜10重量%である。
【0023】本発明の光エネルギー変換材料において
は、光活性色素と電子供与体とを近距離に配置すること
が好ましく、具体的には、光活性色素と電子供与体との
双方を同一若しくは隣接する細孔の内側又は多孔体の外
側に配置することが好ましい。光活性色素と電子供与体
とがこのような条件を満たすように配置されると、光エ
ネルギー吸収効率及び電子供与体の電子放出機能がより
高められる傾向にある。
【0024】本発明においては、上記の電子受容体と電
子供与体とのモル比が1:10〜10:1であることが
好ましい。電子受容体と電子供与体とのモル比が前記範
囲内であると、より高い光エネルギー変換効率が得られ
る傾向にある。
【0025】また、本発明においては、電子受容体及び
電子供与体をそれぞれ上記の光活性色素と近距離に配置
することが好ましい。より具体的には、光活性色素と電
子受容体の双方、又は光活性色素と電子供与体との双方
を、同一若しくは隣接する細孔の内側又は多孔体の外側
に配置することが好ましい。このように電子受容体及び
電子供与体をそれぞれ光活性色素と近距離に配置する
と、電子の伝達が起こりやすくなって光エネルギー変換
効率がより向上する傾向にある。
【0026】さらに、本発明の光エネルギー変換材料
は、光活性色素、電子受容体及び電子供与体に加えて、
白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(R
h)、ルテニウム(Rh)、イリジウム(Ir)、金
(Au)、銀(Ag)等の貴金属微粒子を備えることが
好ましい。光エネルギー変換材料が貴金属微粒子を備え
ると、上記の電子受容体による酸化反応及び電子供与体
による還元反応が活性化されて、光エネルギー変換効率
がより向上する傾向にある。
【0027】なお、本発明において、これらの貴金属粒
子は電子受容体又は電子供与体の近傍に配置させること
が好ましい。例えば、多孔体の外側に配置された電子供
与体における還元反応を活性化する場合には、貴金属微
粒子も多孔体の外側に配置することが好ましい。また、
細孔の内側に配置された電子受容体における酸化反応を
活性化する場合には、貴金属微粒子を同一若しくは隣接
する細孔内に配置することが好ましい。
【0028】(多孔体)本発明にかかる多孔体は、細孔
壁の厚さが前述の通り2nm以下、好ましくは0.5〜
1nmのものである。細孔壁の厚さが2nmを超える
と、光活性色素と電子供与体との距離が長くなり、電子
伝達が起こりにくくなって光エネルギー変換効率が不十
分となる。他方、細孔壁の厚さが0.5nm未満の場
合、電子供与体と電子受容体との距離が過剰に短くな
り、電子受容(酸化反応)の反応点と電子供与(還元反
応)の反応点との分離が不十分となる傾向にある。
【0029】また、本発明にかかる多孔体の中心細孔直
径は1〜100nmであることが好ましい。中心細孔直
径が1nm未満の場合、光活性色素、電子供与体又は電
子受容体を細孔内に配置する際に、これらの物質が均一
に且つ高密度で導入されにくくなる傾向にある。他方、
中心細孔直径が100nmを超えると、光活性色素等の
分子の配列が疎になったり、過剰な分子の配列のため電
子の細孔壁への移動が阻害されやすくなる傾向にある。
【0030】なお、本発明にかかる中心細孔直径とは、
細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/
dD)を細孔直径に対してプロットした細孔径分布曲線
においてdV/dDが最も大きくなる(最大ピークを示
す)細孔直径を中心細孔直径という。ここで、上記の細
孔径分布曲線は、液体窒素温度(−196℃)における
窒素ガスの平衡圧と窒素ガスの多孔体への吸着量とをプ
ロットすることにより得られる吸着等温線に基づいて、
Cranston−Inklay法、Dollimor
e−Heal法、BJH法等の計算式により得られるも
のである。
【0031】さらに、本発明にかかる多孔体において、
上記の中心細孔直径の±40%の範囲内の細孔容積の総
和が全細孔容積の40%以上であることが好ましい。こ
の条件は、多孔体が十分に均一な細孔径を有するメソ孔
を有することを示すものであり、このようにメソ孔の細
孔構造が均一であることによって光活性色素等の吸着配
列において十分な選択性が得られる傾向にある。
【0032】本発明にかかる多孔体において、上記の細
孔は多孔体の表面のみならず内部にも形成される。この
細孔の形状は特に制限はないが、1次元的にトンネル状
に延びたものや、3次元的に箱状あるいは球状の細孔が
結合したもの等を挙げることができる。また、本発明に
かかる多孔体の細孔構造としては、2次元ヘキサゴナル
構造(p6mm)、3次元ヘキサゴナル構造(P63
mmc)、キュービック構造(Ia3-d、Pm3
-n)、ラメラ、不規則構造等が挙げられる。
【0033】上記の細孔を有する多孔体は、無機系骨格
の細孔壁、又は、有機/無機ハイブリッド系骨格の細孔
壁を有している。
【0034】ここで、本発明にかかる多孔体のうち無機
系骨格を有するものとしては、酸化ケイ素(シリカ)、
酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム、酸
化タンタル、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化ハフニウム、
酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸
化ニッケル、酸化ガリウム、酸化ベリリウム、酸化イッ
トリウム、酸化ランタン、酸化鉛、酸化バナジウム、酸
化チタン(チタニア)等が挙げられる。あるいはこれら
の無機酸化物に含有される金属原子の2種以上を含有す
る複合酸化物が挙げられる。
【0035】なお、本発明においては、このような無機
系の基本骨格の側鎖に種々の有機基等が付与されていて
もよい。かかる側鎖としては、チオール基あるいはチオ
ール基を含む有機基、メチル基、エチル基等の低級アル
キル基、フェニル基、カルボキシル基、アミノ基、ビニ
ル基等が挙げられる。
【0036】また、本発明における多孔体の骨格は炭素
(C)を主成分とするものであってもよい。
【0037】本発明にかかる多孔体が無機/有機ハイブ
リッド系骨格を有する場合は、ケイ素、アルミニウム、
ジルコニウム、タンタル、ニオブ、スズ、ハフニウム、
マグネシウム、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリ
ウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、鉛、バナ
ジウム、チタン等の金属原子を含む高分子主鎖に、1又
は2以上の炭素原子を含む有機基が、該炭素原子におい
て前記主鎖を構成する金属原子に直接あるいは酸素原子
を介して結合している。この有機基と高分子主鎖との結
合は、1点であっても2点以上であってもよい。また、
かかる主鎖の形態は特に限定されないが、具体的には、
直鎖状、網目状、分岐鎖状等の各種形態をとることがで
きる。
【0038】このような無機/有機ハイブリッド系骨格
の高分子主鎖において、炭素原子は、1又は2以上の炭
素原子を備えた有機基の形態で含まれる。この有機基中
の1又は2以上の炭素原子が、前記主鎖を構成する金属
原子に1点あるいは2点以上で結合される。前記有機基
と前記金属原子との結合部位は、有機基の末端でもよ
く、末端以外の他の部位であってもよい。
【0039】前記無機/有機ハイブリッド系骨格の有機
基については特に限定されないが、具体的には、アルキ
ル鎖、アルケニル鎖、ビニル鎖、アルキニル鎖、シクロ
アルキル鎖、ベンゼン環、ベンゼン環を含む炭化水素等
の各種炭化水素基の他、各種水酸基、アミノ基、カルボ
キシル基、チオール基等の有機官能基と1又は2以上の
炭素原子を備えた化合物に由来する有機基等、各種のも
のを使用することができる。有機基は、1種を単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】また、前記無機/有機ハイブリッド系骨格
の高分子主鎖と2点以上で結合される有機基としては、
好ましくはアルキル鎖由来の炭化水素基であり、より好
ましくは炭素数1〜5の鎖状アルキル鎖由来の炭化水素
基である。このような炭化水素基としては、具体的に
は、メチレン基(−CH2CH2−)等のアルキレン鎖を
挙げることができる。また、好ましい有機基として、フ
ェニレン基(−C64−)を挙げることができる。
【0041】前記無機/有機ハイブリット系骨格の高分
子主鎖を構成する原子として、上記の金属原子及び炭素
原子の他に、さらに、他の原子を含めることができる。
ここで、前記無機/有機ハイブリッド系骨格を構成する
他の原子については特に限定されないが、好ましくは、
金属原子と金属原子との間に位置される酸素原子であ
り、酸素原子を含む場合に形成される結合としては、具
体的には、Si−O、Al−O、Ti−O、Nb−O、
Sn−O、Zr−O等が挙げられる。なお、これらの結
合は、ポリシロキサン、ポリアロキサン等の各種遷移金
属のポリメタロキサンに含まれる金属原子と酸素原子と
の結合に対応する。本発明においては、無機/有機ハイ
ブリッド系骨格の主鎖に含まれるこれらの結合は、1種
であってもよく、あるいは2種以上が組み合わされてい
てもよい。また、前記無機/有機ハイブリッド系骨格の
主鎖には、窒素、イオウ、各種ハロゲン等の原子が含ま
れていてもよい。
【0042】なお、このような無機/有機ハイブリット
系骨格の高分子主鎖を構成する原子に結合する側鎖部分
には、各種金属原子、有機官能基、無機官能基が付加さ
れていてもよい。無機/有機ハイブリッド系骨格の主鎖
を構成する原子の側鎖官能基としては、例えば、チオー
ル基、カルボキシル基、メチル基やエチル基などの低級
アルキル基、フェニル基、アミノ基、ビニル基等を有す
るものが好ましい。
【0043】上記の無機系骨格又は無機/有機ハイブリ
ッド系骨格を有する多孔体の中でも、酸性の多孔体が好
ましく、シリカ多孔体が特に好ましい。酸性の多孔体を
担体として用いると、触媒反応における収率及び選択率
が向上する等より高い触媒活性が得られる傾向にある。
【0044】本発明においては、細孔壁の厚さが上記の
条件を満たす限り、多孔体を構成する骨格は無機系骨
格、無機/有機ハイブリッド系骨格のうちのいずれであ
ってもよいが、多孔体の骨格が電子伝導性を有する材料
で構成される場合には、光活性色素からの電子伝達が起
こりやすくなり、光エネルギー変換効率がより向上する
傾向にあるので好ましい。中でも、酸化チタンで構成さ
れる骨格を有する多孔体は、光エネルギー変換効率が十
分に高く、加えて、光照射による劣化が十分に防止され
るので特に好ましい。
【0045】また、本発明にかかる多孔体の形状につい
ては特に制限されないが、その平均粒径は0.1〜5μ
mであることが好ましい。多孔体の平均粒径が上記の範
囲内であると、本発明の光エネルギー変換材料に光を照
射する際に散乱された光が多孔体の内部まで到達しやす
くなり、光エネルギー変換効率が向上する傾向にある。
【0046】(多孔体の製造方法)本発明にかかる多孔
体は、基本的には、ゾル−ゲル法により、多孔体を構成
する骨格成分を、細孔構造を得るためのテンプレート
(鋳型)として界面活性剤を用いて縮重合させ、その
後、界面活性剤を除去することによって得られる。
【0047】ここで、本発明にかかる多孔体の骨格成分
は目的とする骨格の種類により適宜選択されるが、具体
的には、シリケート骨格を形成する場合にはテトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シラン等のアルコキシシラン、ケイ酸ソーダ、カネマイ
ト(kanemite、NaHSi25・3H2O)、
シリカ等;チタネート骨格を形成する場合には四塩化チ
タン、テトラプロポキシチタン(Ti(OC254
等のチタネート化合物、チタニア等、を用いることがで
きる。なお、本発明においては、低級アルキル基やフェ
ニル基などの官能基の無機系骨格への導入は、アルコキ
シシランやアルコキシチタン等の相当する官能基を有す
る骨格成分を用いて行うことができる。
【0048】また、擬ベーマイト、アルミン酸ソーダ、
硫酸アルミニウムあるいはジアルコキシアルミノトリア
ルコキシシランを添加することによって、SiO2−A
2 3からなる基本骨格の多孔体が合成され得る。さら
に、SiをTi、Zr、Ta、Nb、Sn、Hf等の金
属に置き換えた酸化物を使用することによって、種々の
金属(Mn+;MはZr、Ta、Nb、Sn、Hf等の金
属を表し、nは金属の電荷を表す)をシリケート骨格内
に含むメタロシリケート系多孔体(SiO2−MOn/2
を得ることができる。具体的には、硫酸バナジル(VO
SO4)、ホウ酸(H3BO3)又は塩化マンガン(Mn
Cl2)をアルコキシシランに加えて共重合反応を行う
ことによって、それぞれV、B又はMnが導入されたメ
タロシリケート系多孔体を得ることができる。
【0049】また、多孔体が炭素を主成分とする場合
は、やしがら、竹等の天然素材やフェノール等の樹脂
を、水分含有量が0〜30容量%である窒素雰囲気下、
400〜1500℃で熱処理する方法や、上記の無機酸
化物からなる多孔体にショ糖等の有機化合物を含浸さ
せ、窒素気流中、900〜1500℃で熱処理した後、
フッ化水素酸をで酸化物を除去する方法等により目的の
多孔体を得ることができる。
【0050】また、本発明にかかる多孔体が無機/有機
ハイブリッド系骨格を有する場合、無機/有機ハイブリ
ッド系骨格成分として、金属原子と有機基とが2以上の
結合部位において結合し、且つ該有機基が結合する各金
属原子に少なくとも1つのアルコキシ基又はハロゲン基
が結合した有機金属化合物を用いることができる。この
ような構成を有する有機金属化合物として、具体的に
は、(CH3O)3Si−CH2−CH2−Si(OC
33、(CH3O)3Si−C64−Si(OCH33
等の有機ケイ素化合物、又は前記有機ケイ素化合物のケ
イ素原子(Si)を他の金属原子(Al、Ti、Zr、
Ta、Nb、Sn、Hf等)に置き換えた化合物、メト
キシ基(OCH3)を上記のハロゲン基で置き換えた化
合物等が挙げられる。ここで、上記の有機金属化合物に
含まれるアルコキシ基及びハロゲン基は、縮重合反応に
おける加水分解基である。本発明においては、上記の有
機金属化合物のみを骨格成分として用いてもよく、上記
の有機金属化合物と上記の無機系骨格成分において例示
されたアルコキシシラン、ケイ酸ソーダ、シリカ等とを
組み合わせて用いてもよい。
【0051】上記の多孔体の骨格成分を、テンプレート
(鋳型)としての界面活性剤を用いて縮重合し、その
後、界面活性剤を除去することによって、目的の多孔体
を得ることができる。
【0052】ここで、本発明において使用される界面活
性剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちの
いずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチ
ルアンモニウム(好ましくはアルキル基の炭素数が8〜
18のアルキルトリメチルアンモニウム)、アルキルア
ンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジ
ルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水
酸化物の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキ
ルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面
活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
【0053】上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオ
キサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分
として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキ
サイド、をそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非
イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活
性剤としては、具体的には、C1633(OCH2CH2
2OH(以下、このような構造をC16EO2と略して記載
する)、C12EO4、C16EO10、C16EO20、C18
10、C18EO20、C1835EO10等が挙げられる。
【0054】また、本発明においては、オレイン酸、ラ
ウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソ
ルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポ
リエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることが
できる。このような界面活性剤としては、Triton
X−100、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド
(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween2
0、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)
ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリ
エチレンオキサイド(20)ソルビタンモノステアレー
ト、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノオ
レート(Tween60)、ソルビタンモノパルミテー
ト等が挙げられる。本発明においては、上記の界面活性
剤のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0055】さらに、本発明においては、トリブロック
コポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いること
ができ、中でもポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピ
レンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖型、ある
いはポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサ
イド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖型のトリブロック
コポリマーが好適に使用される。ここで、エチレンオキ
サイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレン
オキサイド鎖型のトリブロックコポリマーを(EO)x
(PO)y(EO)xと表すと、各アルキレンオキサイド
のユニット数は好ましくはx=5〜110、y=15〜
70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50
〜60である。他方、ポリプロピレンオキサイド鎖−ポ
リエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖
型のトリブロックコポリマーを(PO)x(EO)y(P
O)xと表すと、各アルキレンオキシドのユニット数
は、好ましくはx=5〜110、y=15〜70であ
り、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60で
ある。このようなトリブロックコポリマーとしては、具
体的には、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13
(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)
20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO) 17(P
O)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17
(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)
30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106
(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(P
O)33(EO)19、(EO)26(PO)39(EO)26
が挙げられ、これらのトリブロックコポリマーはBAS
F社等より商業的に入手可能であり、また、小規模製造
レベルで所望のx値とy値とを有するものを得ることも
できる。さらに、これらのトリブロックコポリマーは1
種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
【0056】さらにまた、本発明においては、エチレン
ジアミンの2つの窒素原子にそれぞれ2つのポリエチレ
ンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖が結合し
たスターダイブロックコポリマーをテンプレートとして
使用することができる。このようなスターダイブロック
コポリマーとしては、具体的には、{(EO)113(P
O)222NCH2CH2N{(PO)22(E
O)1132、{(EO)3(PO) 182NCH2CH2
{(PO)18(EO)32、{(PO)19(EO)16
2NCH2CH2N{(EO)16(PO)192等が挙げら
れる。また、本発明においては、上記のスターダイブロ
ックコポリマーのうちの1種を単独で用いてもよく、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】さらにまた、本発明においては、1級アル
キルアミン等の界面活性剤を使用することができる。こ
こで、1級アルキルアミンのアルキル鎖の長さを適宜選
択することによって、得られる多孔体の細孔径を制御す
ることができる。
【0058】さらにまた、本発明おいては、本発明にか
かる光活性色素の分子又はその会合体をテンプレートと
して使用することもできる。このような光活性色素とし
ては、例えば、図3に示すルテニウム錯体(Ru(dc
bpy)2(dC18−bpy)2;式中、dibpy
はジカルボキシルビピリジンを表し、dC18−bpy
はジオクタデシルビピリジンを表す)が挙げられる。な
お、このような光活性色素をテンプレートとして使用す
る場合には、多孔体からのテンプレートの除去を行わず
にそのまま使用することが可能である。
【0059】上記の界面活性剤を用いて上記の骨格成分
を縮重合させる場合、溶媒として水、有機溶媒、水と有
機溶媒との混合物等を使用することができるが、これら
の中でも水を用いることが好ましい。また、反応に用い
る骨格成分と界面活性剤とのモル比(骨格成分/界面活
性剤比)は好ましくは20以上であり、より好ましくは
40以上であり、さらに好ましくは50以上である。骨
格成分/界面活性剤比を前記の範囲内とすると、骨格成
分/界面活性剤比が大きくなるに伴って得られる多孔体
細孔径が小さくなるとともに、細孔壁厚が厚くなり、ま
た細孔容積が小さくなる傾向にある。
【0060】また、上記の骨格成分と上記の界面活性剤
とを含む反応系は、酸性、中性、アルカリ性のうちのい
ずれであってもよいが、酸性であることが好ましく、p
H1以下であることがより好ましく、pH0.5以下と
することが特に好ましい。反応系を酸性にする際には、
塩酸、ホウ酸、臭素酸、フッ素酸、ヨウ素酸、硝酸、硫
酸、リン酸、又はこれらのうちの2種以上の混合物等を
用いることができ、これらの中でも、塩酸又は硫酸を用
いることが好ましく、塩酸を用いることが特に好まし
い。
【0061】本発明においては、上記の各成分を混合す
る方法について特に制限はないが、界面活性剤を溶媒と
混合し、同時に、あるいは引き続いて酸を添加して好ま
しい酸性雰囲気とした後、骨格成分を添加することが好
ましい。ここで、界面活性剤及び酸を混合する際の温度
は特に制限されないが、0〜100℃であることが好ま
しい。また、骨格成分を添加する際の温度は特に制限さ
れないが、15〜80℃であることが好ましい。さら
に、骨格成分を添加する際には、骨格成分全量を一度に
添加してもよく、混合液を攪拌しながら少量ずつ添加し
てもよいが、攪拌しながら1分以上にわたって少量ずつ
添加することが好ましい。
【0062】上記の手順により各成分を混合した後、反
応混合物を所定の温度に保持して縮重合反応を行うこと
により、多孔体前駆体(界面活性剤が細孔内に充填され
たままのもの)を得ることができる。ここで、本発明に
おいては、縮重合反応の反応温度は使用する界面活性剤
や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常0〜1
00℃であり、好ましくは15〜80℃である。特に、
界面活性剤として上記のトリブロックコポリマーを使用
する場合、反応温度は40〜45℃であることが好まし
い。縮重合反応の反応温度が前記範囲内であると、反応
温度が低くなるに伴って得られる多孔体の構造の規則性
が高くなるとともに、細孔径が小さく、細孔壁厚が厚く
なる傾向にある。なお、上記の縮重合反応においては、
反応の進行状況に応じて反応温度を適宜変更することも
できる。
【0063】また、上記の縮重合反応の反応時間は使用
する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なる
が、通常、8〜24時間である。また、上記の縮重合反
応は、静置状態、攪拌状態のいずれで行ってもよく、ま
たそれらを組み合わて行ってもよい。さらに、上記の縮
重合反応においては、界面活性剤に加えてトリメチルベ
ンゼンやトリイソプロピルベンゼンなどの疎水性を有す
る化合物を添加することによって、得られる多孔体の細
孔径を制御することができる。
【0064】本発明においては、上記の縮重合反応の
後、得られた多孔体前駆体に対して水熱処理を行うこと
が好ましい。水熱処理を行うと、界面活性剤除去後の多
孔体の強度及び構造規則性が向上し、細孔安定性及び細
孔径分布の均一性に優れた多孔体が得られる傾向にあ
る。
【0065】本発明における水熱処理は以下の手順で行
うことができる。すなわち、縮重合反応に使用したもの
と同様の界面活性剤を含む水溶液(好ましくは縮重合反
応時と同等以下の界面活性剤濃度である)中に多孔体前
駆体を分散させて得られる反応液をそのまま、あるいは
必要に応じてさらに希釈して加熱し、所定の時間経過
後、反応液を濾過し、得られた多孔体前駆体を乾燥させ
る。ここで、本発明における水熱処理温度は、通常50
〜200℃であり、好ましくは60〜100℃であり、
より好ましくは70〜80℃である。また、本発明にお
ける水熱処理は弱アルカリ条件下で行うことが好まし
く、pH8〜8.5で行うことがより好ましい。反応液
のpHは塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて調整するこ
とができる。さらに、本発明における水熱処理時間は特
に制限されないが、好ましくは0.5時間以上であり、
より好ましくは3〜8時間である。水熱処理時間が0.
5時間未満であると処理が不十分となる傾向にあり、他
方、8時間を超えても処理時間に見合う効果が得られな
い傾向にある。さらにまた、本発明における水熱処理は
攪拌しながら行うことが好ましい。なお、上記の水熱処
理を行う際には、反応液を加熱する前に予め室温で数時
間攪拌処理を行うと、水熱処理によって得られる上記の
効果がより高められる傾向にあるので好ましい。
【0066】上記の縮重合反応後又は水熱処理後に得ら
れる多孔体前駆体から界面活性剤を除去することによっ
て、目的の多孔体を得ることができる。ここで、多孔体
前駆体からの界面活性剤の除去は、焼成による方法、水
やアルコール等の溶媒で処理する方法等により行うこと
ができる。
【0067】焼成による方法を用いる場合、多孔体前駆
体を通常300〜1000℃、好ましくは400〜70
0℃に加熱し、通常30分以上、好ましくは1時間以上
保持することによって界面活性剤を除去することができ
る。なお、上記の焼成は空気を流通させた雰囲気で行う
ことができるが、多量の燃焼ガスが発生するため、焼成
初期は窒素等の不活性ガスを流通させた雰囲気で行うこ
とが好ましい。
【0068】また、溶媒で処理する方法を用いる場合、
多孔体前駆体に含まれる界面活性剤に対して溶解度の大
きい溶媒に多孔体前駆体を分散させ、攪拌した後に固形
分を回収することによって、目的の多孔体を得ることが
できる。ここで、本発明において界面活性剤の除去に使
用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、
アセトン等が挙げられる。これらの溶媒のうち、水を用
いる場合は25〜80℃で上記の処理を行うことが好ま
しい。また、水を用いる場合には、十分な溶解性を得る
ために塩酸、酢酸、塩化ナトリウム、塩化カリウムなど
の陽イオン成分を含む物質を少量(好ましくは0.1〜
10mol/l)添加してもよい。特に、水あるいは塩
酸を添加した水を用いると、界面活性剤の抽出を効率よ
く行うことができる傾向にあるので好ましい。また、界
面活性剤の除去にエタノールを用いる場合、多孔体前駆
体の分散量はエタノール100ccに対して0.5〜5
0gであることが好ましい。さらに、エタノールを用い
る場合は25〜100℃で上記の処理を行うと、溶媒の
みで界面活性剤の抽出を効率よく行うことができる傾向
にあるので好ましい。なお、本発明においては、粉砕、
ふるい分け、成形等の各工程は、界面活性剤を除去する
前の多孔体前駆体に対して行ってもよく、界面活性剤除
去後に得られる多孔体に対して行ってもよい。
【0069】また、多孔体が炭素を主成分とする場合
は、やしがら、竹等の天然素材やフェノール等の樹脂
を、水分含有量が0〜30容量%である窒素雰囲気下、
400〜1500℃で熱処理する方法や、上記の無機酸
化物からなる多孔体にショ糖等の有機化合物を含浸さ
せ、窒素気流中、900〜1500℃で熱処理した後、
フッ化水素酸をで酸化物を除去する方法等により目的の
多孔体を得ることができる。 (光エネルギー変換材料の製造方法)本発明の光エネル
ギー変換材料の製造方法は、上記の光活性色素、電子受
容体及び電子供与体が上記の条件を満たすように配置可
能である限りにおいて特に制限されないが、例えば、下
記(i)、(ii): (i) 光活性色素、電子受容体及び電子供与体として
それぞれ分子の大きさが異なるものを用い、多孔体の分
子ふるい作用を利用してこれらの3成分のうち特定のも
の(少なくとも電子受容体又は電子供与体の一方)を所
定の細孔の内側に選択的に導入するとともに、他の成分
(少なくとも電子受容体又は電子供与体の他方)を多孔
体の外側に配置する方法; (ii)上記の多孔体の調製工程(ゾル−ゲル法による
多孔体の調製工程)において、中間のゲル状態の多孔体
前駆体の細孔の内側に光活性素子、電子受容体及び電子
供与体をそれぞれ別個に導入して単機能素子(光活性素
子、電子受容体又は電子供与体と多孔体との複合体)と
した後、これらの多孔体前駆体を混合してゲル化させて
複合化させる方法、 に示す方法によって好適に得ることができる。
【0070】上記(i)の方法においては、光活性色素
が細孔の内側又は多孔体の外側に配置されるとともに、
電子受容体又は電子供与体の一方が細孔の内側、他方が
多孔体の外側にそれぞれ配置された光エネルギー変換材
料(例えば図1に示す光エネルギー変換材料)が得られ
る。ここで、光活性色素、電子受容体又は電子供与体を
多孔体の細孔の内側に導入する方法としては、液相法、
固相法、気相法等が挙げられる。気相法においては、光
活性色素、電子受容体又は電子供与体を水、エタノー
ル、ベンゼン等の溶媒に溶解させ、その溶液中に多孔体
を加えて攪拌混合することにより;固相法では、光活性
色素、電子受容体又は電子供与体と多孔体(通常、粉末
状である)とを固相で混合し、密閉容器中で加熱した
後、洗浄等により過剰の物質を除去することにより;気
相法では、光活性色素、電子受容体又は電子供与体とし
て蒸気を発生するものや昇華しやすいものを原料に用
い、それらの蒸気を多孔体と接触させることにより、各
成分が多孔体の細孔の内側に導入される。さらに、上記
の方法により細孔の内側に導入された各成分は、焼成等
の処理を行うことにより細孔の内側に固定化することが
可能である。
【0071】なお、上記(i)の方法で使用される多孔
体が、電子受容体又は電子供与体の一方のみが導入され
得る大きさの細孔(以下、細孔Aという)と、電子受容
体及び電子供与体の双方が導入され得る大きさの細孔
(以下、細孔Bという)と、を有するものである場合に
は、電子受容体又は電子供与体のうちの細孔Aに導入さ
れ得る成分を細孔に導入した後、水蒸気による加水分解
等の処理を行うことによって、細孔Bが崩壊して細孔A
のみに特定の成分が配置された多孔体を得ることができ
る。
【0072】また、上記(i)の方法において、光活性
色素、電子受容体又は電子供与体を多孔体の外側に配置
する方法としては、細孔の内側に特定の成分が導入され
た多孔体を目的の成分を含む溶液に浸漬して多孔体の外
側に吸着させる方法、あるいは目的の成分を多孔体の外
側に吸着させた後に多孔体を焼成する方法等が挙げられ
る。
【0073】上記(ii)の方法においては、光活性色
素、電子受容体及び電子供与体がそれぞれ別個の細孔の
内側に配置された光エネルギー変換材料(例えば図2に
示す光エネルギー変換材料)が得られる。ここで、中間
のゲル状態にある多孔体前駆体の細孔の内側に光活性色
素、電子受容体又は電子供与体を導入する方法として
は、上記(i)の方法において例示された液相法、固相
法、気相法等が挙げられる。また、上記(ii)の方法
においてテンプレートとして光活性色素を用いる場合に
は、アルキル基等の疎水基とカルボキシル基、アミノ
基、水酸基等の極性基とを有する光活性色素を用いる
と、ゾル−ゲル反応を効率よく且つ確実に行うことがで
きる。
【0074】(光エネルギー変換方法)本発明の光エネ
ルギー変換方法は、上記の構成を有する本発明の光エネ
ルギー変換材料を用いることを特徴とするものであり、
これにより十分に高い光エネルギー変換効率をもって光
エネルギーから化学エネルギー又は電気エネルギーへの
変換が可能となる。
【0075】本発明の光エネルギー変換方法による光エ
ネルギーから化学エネルギーへの変換の一例として、酸
化還元サイクルを利用した光反応が挙げられる。このよ
うな光反応においては、本発明の光エネルギー変換材料
への光照射に伴い、電子受容体及び電子供与体がそれぞ
れ電子受容(酸化反応)及び電子供与(還元反応)の反
応点として機能し、十分に高いエネルギー変換効率をも
って酸化還元サイクルを実現することができる。したが
って、水の光分解、二酸化炭素の光還元による固定化等
において、水素ガスや有機化合物等のエネルギー利用の
観点で有効な物質を十分に高い収率で得ることが可能と
なる。
【0076】また、本発明の光エネルギー変換方法によ
る光エネルギーから電気エネルギーへの変換の一例とし
て、太陽電池が挙げられる。すなわち、本発明の光エネ
ルギー変換材料への光照射に伴う電子伝達(電子移動)
の方向を所定の方法により制御することによって、十分
に高いエネルギー変換効率をもって電気エネルギーを得
ることができる。ここで、電子伝達の方向を制御する方
法としては、例えば、本発明の光エネルギー変換材料と
して多孔体の細孔の内側に電子受容体を、多孔体の外側
に光活性色素をそれぞれ吸着させたものを用い、透明電
極と対向電極との間に、上記の光エネルギー変換材料
と、電子供与体を溶解させた電解質と、を配置する方法
が挙げられる。
【0077】なお、本発明の光エネルギー変換方法にお
いては、紫外光のみならず可視光を用いた場合であって
も十分に高いエネルギー変換効率を達成することが可能
であるが、照射する光の波長が350〜650nmの範
囲内であると、より高いエネルギー変換効率をもって光
エネルギーの変換を行うことができるので好ましい。
【0078】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
より具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら
限定されるものではない。
【0079】実施例1 雰囲気の水分濃度を100ppmに制御したグローブボ
ックス内で、ポリアルキレンオキサイド共重合体(HO
(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O) 70(CH
2CH220H、BASF社製)1gをエタノール5gに
溶解した溶液に、四塩化チタニウム(和光純薬工業社
製)1.9gをエタノール5gに溶解した溶液を徐々に
加えて30分間攪拌混合した。このようにして得られた
混合溶液を500ml三つ口フラスコに移し、水分除去
を行っていない空気を500ml/minでフラスコ内
に導入しながら40℃で7日間保持することによって、
空気中に含有される水分で四塩化チタンを加水分解して
酸化チタンとポリアルキレンオキサイド重合体との複合
体を合成した。
【0080】次に、ソックスレー抽出器を用い、エタノ
ールを溶媒として上記の酸化チタンとポリアルキレンオ
キサイド重合体との複合体から有機成分を除去した後、
300℃で3時間熱処理を行い、チタニア多孔体を得
た。得られたチタニア多孔体の中心細孔直径は3.3n
mであり、BET比表面積は300m2/gであった。
また、このチタニア多孔体についてX線回折測定を行っ
たところ、アナターゼ結晶に帰属される回折ピークに加
えて、低角度領域において面間隔5nm付近にそれぞれ
幅広い回折ピークが観測された。この回折ピーク一と中
心細孔直径とから求められた細孔壁の厚さは1.7nm
であった。
【0081】(電子受容体の細孔内への導入)白金アセ
チルアセトナート(アルドリッチ社製)0.2gをアセ
トン2mlに溶解した溶液を上記の多孔体に滴下し、ア
ルミナ製乳鉢で1時間混合した後、室温大気圧下で乾燥
し、さらに窒素気流中、300℃で熱処理して白金−チ
タニア多孔体複合体を得た。
【0082】次に、上記の白金−チタニア多孔体複合体
0.5gに、メチルビオロゲン(1,1−ジメチル−
4,4’−ビピリジニウム、和光純薬工業社製)150
mgを含む水溶液20mlを加えて24時間攪拌し、濾
過して得られた固形物をメタノールで洗浄し、大気中、
室温で12時間乾燥してメチルビオロゲン−白金−チタ
ニア多孔体複合体を得た。
【0083】(光活性色素の細孔内への導入)さらに、
上記のメチルビオロゲン−白金−チタニア多孔体複合体
1.0gを、クロロフィルa(和光純薬工業社製)50
mgをベンゼン5mlに溶解した溶液に添加して1時間
攪拌混合した後、混合物を蓋付きガラス製シャーレに移
し、大気中でベンゼンを除去してクロロフィル−メチル
ビオロゲン−白金−チタニア多孔体複合体を得た。
【0084】さらに、上記のクロロフィル−メチルビオ
ロゲン−白金−チタニア多孔体複合体5gと水10ml
とをステンレス製密閉容器(内容積50ml)に入れ、
電気オーブンを用いて150℃で24時間加熱した。な
お、この操作において、複合体を容器内上部に設けられ
た網状のステンレス製籠に配置するとともに、水を容器
内下部に配置して、複合体と水とが直接接触しないよう
にした。
【0085】このようにして得られた複合体において、
多孔体の細孔壁の厚さ(平均値)は2nmであり、BE
T比表面積は40m2/gであった。また、光エネルギ
ー変換材料についてX線回折測定を行ったところ、アナ
ターゼに帰属される回折ピークは残存しているが、1.
0以上のd値に相当する回折ピークは消失していること
が確認された。
【0086】(光活性色素の多孔体の外側への固定化)
上記のクロロフィル−メチルビオロゲン−白金−チタニ
ア多孔体複合体0.5mgをクロロフィルa(和光純薬
工業社製)50mgをベンゼン5mlに溶解した溶液に
添加して1時間攪拌混合した後、混合物を蓋付きガラス
製シャーレに移し、大気中でベンゼンを除去した。
【0087】(電子受容体の多孔体の外側への固定化)
上記のクロロフィル−メチルビオロゲン−白金−チタニ
ア多孔体複合体50mgを2−メルカプトール2mmo
lとpH緩衝液(pH7用、和光純薬工業社製)50m
lとの混合溶液に浸漬し、多孔体の外側に2−メルカプ
トメタノールを吸着させて目的のに上記の光エネルギー
変換材料を得た。
【0088】(光エネルギー変換効率の評価)上記の光
エネルギー変換材料とpH緩衝液とを含む混合液の5m
lをパイレックス(登録商標)ガラス製容器(内容積2
0ml)に移し、混合液を凍結させて油回転真空ポンプ
で脱気した後、容器内にアルゴンガスを導入し、30℃
で光照射を行った。なお、光照射は、200Wタングス
テンランプを用い、ランプから出射される光のうち波長
390nm以下の光をフィルタ(L−39、東芝社製)
でカットして行った。この光照射により発生するガスの
種類及びその量をガスクロマトグラフィ分析にて測定し
たところ、1時間の光照射で9.0×10-7molの水
素の発生が認められた。
【0089】比較例1 実施例1と同様にして合成した酸化チタンとポリアルキ
レンオキサイド重合体との複合体を空気中、400℃で
20時間焼成してチタニア多孔体を得た。
【0090】得られたチタニア多孔体の中心細孔直径は
5nmであり、BET比表面積は200m2/gであっ
た。また、このチタニア多孔体についてX線回折測定を
行ったところ、アナターゼ結晶に帰属される回折ピーク
に加えて、低角度領域において10nm付近及び5nm
付近にそれぞれ幅広い回折ピークが観測された。
【0091】次に、上記の多孔体を用いたこと以外は実
施例1と同様にしてクロロフィル−メチルビオロゲン−
白金−チタニア多孔体複合体を作製した。この複合体の
細孔壁の厚さ(平均値)は2nmであった。
【0092】この複合体50mgを2−メルカプトメタ
ノール2mmolとpH緩衝液(pH7用、和光純薬工
業社製)50mlとの混合溶液に浸漬して2−メルカプ
トメタノールを細孔の内側及び多孔体の外側に吸着させ
て光エネルギー変換材料を作製した。
【0093】このようにして得られた光エネルギー変換
材料に用いて実施例1と同様の光エネルギー変換効率の
評価を行ったところ、1時間の光照射で発生した水素の
量は1.0×10-7molであった。この結果は、電子
供与体としての2−メルカプトメタノールが、多孔体の
外側だけでなくメチルビオロゲンが導入された細孔内に
も存在するために、電子受容の反応点と電子供与の反応
点との分離が不十分となり、反応阻害作用が十分に防止
されていないことを示唆するものである。
【0094】比較例2 雰囲気の水分濃度を100ppmに制御したグローブボ
ックス内で、ポリアルキレンオキサイド共重合体(HO
(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O) 70(CH
2CH220H、BASF社製)0.5gをエタノール5
gに溶解した溶液に、四塩化チタニウム(和光純薬工業
社製)2.0gをエタノール5gに溶解した溶液を徐々
に加えて30分間攪拌混合した。このようにして得られ
た混合溶液を500ml三つ口フラスコに移し、水分除
去を行っていない空気を500ml/minでフラスコ
内に導入しながら15℃で14日間保持することによっ
て、空気中に含有される水分で四塩化チタンを加水分解
して酸化チタンとポリアルキレンオキサイド重合体との
複合体を合成した。
【0095】次に、ソックスレー抽出器を用い、エタノ
ールを溶媒として上記の酸化チタンとポリアルキレンオ
キサイド重合体との複合体から有機成分を除去した後、
300℃で3時間熱処理を行い、チタニア多孔体を得
た。得られたチタニア多孔体の中心細孔直径は3.0n
mであり、BET比表面積は50m2/gであった。ま
た、このチタニア多孔体についてX線回折測定を行った
ところ、アナターゼ結晶に帰属される回折ピークに加え
て、低角度領域において面間隔7nm付近及び3nm付
近にそれぞれ幅広い回折ピークが観測された。この回折
ピーク一と中心細孔直径とから求められた細孔壁の厚さ
は4nmであった。
【0096】次に、上記の多孔体を用いたこと以外は実
施例1と同様にして光エネルギー変換材料を作製し、実
施例1と同様の光エネルギー変換効率の評価を行ったと
ころ、1時間の光照射で発生した水素の量は1.5×1
-7molであった。この結果は、細孔壁が厚いため
に、クロロフィルから放出される電子の伝達が起こりに
くいことを示唆するものである。
【0097】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の光エネルギ
ー変換材料によれば、光エネルギー吸収効率と電子供与
体から電子受容体への電子伝達効率との双方が十分に高
められ、十分に高い光変換エネルギー効率を達成するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光エネルギー変換材料の好適な一実施
形態を示す説明図である。
【図2】本発明の光エネルギー変換材料の好適な一実施
形態を示す説明図である。
【図3】本発明において用いられる光活性色素の一例を
示す説明図である。
【符号の説明】
1…光活性色素、2…電子供与体、3…電子受容体、4
…多孔体、5a、5b、5c…細孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 一久 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山岸 皓彦 北海道江別市野幌住吉25−40 Fターム(参考) 5F051 AA14 CB30 5H032 AA06 AS19 EE16 EE17 HH04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光活性色素、電子供与体、電子受容体、
    並びに細孔壁の厚さが2nm以下である細孔を有する多
    孔体を備えており、前記光活性色素が前記細孔の内側若
    しくは前記多孔体の外側に配置されており、前記電子供
    与体又は前記電子受容体の少なくとも一方が前記細孔の
    内側に配置されており、且つ前記電子供与体と前記電子
    受容体とが直接隣接することなく互いに前記細孔壁を介
    して配置されていることを特徴とする光エネルギー変換
    材料。
  2. 【請求項2】 前記光活性色素と前記電子供与体とが、
    それぞれ同一若しくは隣接する前記細孔の内側又は前記
    多孔体の外側に配置されていることを特徴とする、請求
    項1に記載の光エネルギー変換材料。
  3. 【請求項3】 前記細孔の中心細孔直径が1〜100n
    mであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光
    エネルギー変換材料。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記
    載の光エネルギー変換材料を用いることを特徴とする光
    エネルギー変換方法。
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