JP2009049346A - 光エネルギー変換材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】光エネルギー変換反応を効率よく進行させて、光エネルギー変換効率を大幅に向上させることができ、しかも電子供与体と電子受容体の物理的安定性を向上させて十分な耐久性を発揮させることが可能な光エネルギー変換材料を提供すること。
【解決手段】骨格内に電子供与体を備える多孔体と、該多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に配置された電子受容体とを備えることを特徴とする光エネルギー変換材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、光エネルギー変換材料に関する。
従来から、光エネルギーの吸収に伴って電子供与体から電子受容体へと電子が伝達する光励起電子移動反応を利用した光エネルギー変換材料の研究が進められてきた。
例えば、特開2002−110260号公報(特許文献1)においては、光活性色素、電子供与体、電子受容体、並びに、細孔壁の厚さが2nm以下の細孔を有する多孔体を備え、前記光活性色素が前記細孔の内側又は外側に配置されており、前記電子供与体又は前記電子受容体の少なくとも一方が前記細孔の内側に配置されており、且つ前記電子供与体と前記電子受容体とが直接隣接することなく互いに前記細孔壁を介して配置されている光エネルギー変換材料が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載されているような従来の光エネルギー変換材料においては、十分な効果を得るために細孔空間内に多量の電子供与体を導入する必要があった。一方で、細孔空間内には光活性色素や電子受容体も配置されているため、十分な量の電子供与体を細孔内に導入することは空間的に困難であり、その導入量は必ずしも十分なものではなかった。また、このような光エネルギー変換材料においては、十分な導入量の光活性物質及び電子物質によって前記細孔空間が満たされたとしても、細孔空間を反応場とする化学エネルギー変換反応が必ずしも十分に進行せず、エネルギー変換効率が必ずしも十分なものではなかった。
一方、発光性分子が導入された薄膜に関して、ルテニウム錯体やピレン等の一対の発光性分子が空間的に分離した領域に導入されたメソ構造の無機ケイ酸塩の薄膜の製造方法(J.AM.CHEM.SOC.,2002,124,14388−14396,「Placement and Characterization of Pairs of Luminescent Molecules in Spatially Separated Regions of Nanostructured Thin Films」(非特許文献1)参照)が開示されている。また、発光材料に関しては、WO2005/097944号パンフレット(特許文献2)において、蛍光又は燐光を示す特定の有機基を含有するシリカ多孔体が開示されているが、このような発光材料等を光エネルギー変換材料に応用することは示唆されていない。
特開2002−110260号公報 WO2005/097944号パンフレット J.AM.CHEM.SOC.,2002,124,14388−14396,「Placement and Characterization of Pairs of Luminescent Molecules in Spatially Separated Regions of Nanostructured Thin Films」
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、光エネルギー変換反応を効率よく進行させて、光エネルギー変換効率を大幅に向上させることができ、しかも電子供与体と電子受容体の物理的安定性を向上させて十分な耐久性を発揮させることが可能な光エネルギー変換材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、骨格内に電子供与体を含有する多孔体を用い、その多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に電子受容体を配置することにより、驚くべきことに、光エネルギー変換反応を効率よく進行させて、光エネルギー変換効率を大幅に向上させることができ、しかも電子供与体と電子受容体の物理的安定性を向上させて十分な耐久性を発揮させることが可能な光エネルギー変換材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光エネルギー変換材料は、骨格内に電子供与体を備える多孔体と、該多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に配置された電子受容体とを備えることを特徴とするものである。
上記本発明にかかる前記骨格内に電子供与体を備える多孔体としては、有機基を含有するシリカ多孔体であることが好ましく、また、前記有機基としては、芳香族化合物、ペリ縮合環芳香族化合物、多環芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、含硫黄芳香族化合物、芳香族ビニルポリマー、芳香族アミン化合物、アルキルアミン化合物、ニトロ化合物、窒素含有有機配位子を有する金属錯体、環状配位子を有する金属錯体、金属錯塩、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また、上記本発明にかかる多孔体としては、前記有機基の規則的な配列に起因する5nm以下の周期構造を有するものが好ましい。
また、上記本発明にかかる多孔体としては、中心細孔直径が1〜30nmの細孔を有するものが好ましい。
さらに、上記本発明にかかる多孔体としては、X線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するものがより好ましい。
また、上記本発明にかかる電子受容体が、キノン化合物、ビニル基を有する芳香族化合物、シアノ基を有する芳香族化合物、ニトロ基を有する芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、ジシアノメチレン基を有する有機化合物、ジシアノメチレン基を有する有機化合物を配位子として含有する分子性金属錯体、シアノイミノ基を有する有機化合物、シアノイミノ基を有する有機化合物を配位子として含有する分子性金属錯体、フラーレン、カーボンナノチューブ、窒素含有有機配位子を有する金属錯体、環状配位子を有する金属錯体、金属錯塩、金属イオン、金属酸化物、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
なお、本発明の光エネルギー変換材料によって上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。このような光エネルギー変換材料において光エネルギー変換効率を向上させるためには、光エネルギーの吸収効率を向上させること、並びに電子供与体から電子受容体への電子伝達効率を向上させることが重要である。また、電子供与体から電子受容体への電子伝達効率を向上させるためには、電子供与体と電子受容体のペア体が高密度で配置された状態を形成させることが重要である。しかしながら、溶液中において電子供与体と電子受容体の両者の化合物を高濃度な状態に分散させることは可能であるものの、光エネルギー変換材料として使用するのに実用的な固体材料を用いた場合においては、電子供与体と電子受容体のペア体が高密度で配置された状態を形成することが困難であった。
そこで、本発明においては、骨格内に電子供与体を備える多孔体を用いており、電子供与体の多くが多孔体の細孔の表面に露出される。そして、多孔体の表面に電子受容体が配置されると、電子供与体と電子受容体のペア体が高密度に配置された状態が形成されるため、光エネルギーを吸収した際に電荷分離による電子とホールの発生が促進されて、電子伝達効率が向上され、更には光エネルギー変換効率が大幅に向上される。また、このような骨格内に電子供与体を備える多孔体は、その骨格中に電子供与体が高密度に存在するため光エネルギーの吸収効率が高く、更に、光エネルギーの吸収により励起したエネルギーが多孔体の骨格内において移動可能なため、電子受容体への電子伝達効率が向上される。また、このような骨格内における励起エネルギーの移動効率は、多孔体の構造に依存するため、より規則的な構造の多孔体を用いた場合に、光エネルギー変換効率をより向上させることが可能となる。更に、電子供与体を骨格内に備える多孔体の細孔内、骨格内等の狭い空間内に電子受容体を固定して配置させることによって、電子供与体と電子受容体の物理的安定性が向上され、これによって光エネルギー変換材料の耐久性を向上させることが可能となるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、光エネルギー変換反応を効率よく進行させて、光エネルギー変換効率を大幅に向上させることができ、しかも電子供与体と電子受容体の物理的安定性を向上させて十分な耐久性を発揮させることが可能な光エネルギー変換材料を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の光エネルギー変換材料は、骨格内に電子供与体を備える多孔体と、該多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に配置された電子受容体とを備えることを特徴とするものである。
先ず、本発明にかかる多孔体について説明する。このような多孔体としては、骨格内に電子供与体を備える多孔体であればよく、特に制限されず、有機基を含有するシリカ多孔体や、電子供与体として機能するような処理が施されたFSMやMCM等のシリカ多孔体等を用いることができる。このような骨格内に電子供与体を備える多孔体としては、有機基を含有するシリカ多孔体が好ましい。
このような有機基を含有するシリカ多孔体としては、例えば、下記一般式(1):
で表される有機ケイ素化合物の重合体からなるシリカ多孔体が挙げられる。
上記一般式(1)中、Xは有機基であり、電子供与体として機能するものである。ここで、このような電子供与体と後述する電子受容体とによって起こる光電子移動に関して説明する。光電子移動は、溶液又は固体中に分散した分子X(X)と分子Y(Y)間での光照射に起因する分子間電子移動である。光電子移動が起こるには、光励起されたX(X*)の最高占有軌道(HOMO軌道)と最低空軌道(LUMO軌道)のエネルギー準位間にYのLUMO又はHOMO軌道が存在する必要がある。X*のHOMO−LUMOのエネルギー準位間にYのLUMO軌道が存在する場合は、X*からYへの電子移動が起こる。またX*のHOMO−LUMOのエネルギー準位間にYのHOMO軌道がある場合はYからX*への電子移動が起こる。光電子移動過程において、電子を与える分子(電子供与体:D)から電子を受け取る分子(電子受容体:A)への電子移動により、系中に正負の電荷が離れた電荷分離状態が形成される。
さらに、このような電子供与体として機能する有機基(電子供与体)としては、電子を供与し易いという観点から、芳香族化合物、ペリ縮合環芳香族化合物、多環芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、含硫黄芳香族化合物、芳香族ビニルポリマー、芳香族アミン化合物、アルキルアミン化合物、ニトロ化合物、窒素含有有機配位子を有する金属錯体、環状配位子を有する金属錯体、金属錯塩、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種がより好ましく、1,1−bi−2−naphthol、1,3−di(N−carvazolyl)propane(DCzPr)、1,4−di(N−carvazolyl)butane(DCzBu)、1,4−diazabicyclo[2,2,2]octane、2,3−dihydroxy−naphthol、2,7−dihydroxy−naphthol、2−naphthol、Cr(CN) 3−、Cu(2,9−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)2+、di(N−carvazolyl)methane(DCzMe)、Eu2+、Fe(CN) 4−、Fe2+、meso−2,4−di(N−carvazolyl)pentane(m−DCzPe)、Mg(フタロシアニン)4+、N,N,N’,N’-テトラメチル−p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルベンジジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N−ethyl−carbazole(EtCz)、Pt(P) 4−、ReCl 2−、Rh(1,3−ジイソシアノプロパン) 2+、Ru(2,2’−ビピリジン) 2+、Tetrakis(dimethylamino)ethylene(TDAE)、trans−1,2−di(N−carvazolyl)cyclobutane(DCzCBu)、Zn(テトラ(N−メチルピリジニウム)ポルフィリン)4+、Znポルフィリン錯体、Zn(テトラフェニルポルフィリン)、Zn(オクタエチルポルフィリン)、Znフタロシアニン錯体、アントラセン、インデン、オキサジアゾール、オキサゾール、カドリシクラン、ジアザビシクロオクタン、ジフェニルエチレン、トリエチルアミン、トリフェニルメタン、トリメトキシベンゼン、ナフタレン、ノルボルナジエン、ヒドラゾン、ピレン、フェナントレン、フェノチアジン、ペリレン、メトキシナフタレンなどが特に好ましい。
また、上記一般式(1)中、Rは、低級アルコキシ基{好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(RO−)}、ヒドロキシル基(−OH)、アリル基(CH=CH−CH−)、エステル基(好ましくは炭素数1〜5のエステル基(RCOO−))及びハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子)からなる群から選択される少なくとも一つを示し、中でも縮合反応が制御し易いという観点から低級アルコキシ基及び/又はヒドロキシル基が好ましい。なお、同一分子中に複数のRが存在する場合、Rは同一でも異なっていてもよい。
また、上記一般式(1)中、Rは、低級アルキル基{好ましくは炭素数1〜5のアルキル基(R−)}及び水素原子からなる群から選択される少なくとも一つを示す。なお、同一分子中に複数のRが存在する場合、Rは同一でも異なっていてもよい。
さらに、上記一般式(1)中のn及び(3−n)はそれぞれケイ素原子(Si)に結合しているR及びRの数であり、このようなnは1〜3の整数を示すが、縮合した後の構造が安定であるという観点からn=3であることが特に好ましい。また、上記一般式(1)中のmは前記有機基(X)に結合しているケイ素原子(Si)の数であり、このようなmは1〜4の整数を示すが、安定なシロキサンネットワークを形成し易いという観点からm=2であることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を重合せしめてなる前記多孔体としては、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物として一種のモノマーを重合せしめても、二種以上のモノマーを共重合せしめてもよい。また、このような多孔体としては、(i)上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物と、上記一般式(1)中のXが前記有機基以外の他の有機基である有機ケイ素化合物とを共重合せしめてなるものであってもよく、また、(ii)上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物と、それ以外のモノマーとを共重合せしめてなるものであってもよい。以下、前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物、並びに必要に応じて共重合に供されるモノマーを総称して「モノマー」という。
このような他の有機基としては、アルカン、アルケン、アルキン、シクロアルカン等の炭化水素から1以上の水素がとれて生じる1価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等を有するものであってもよい。また、上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物以外のモノマーとしては、アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等のケイ素化合物が挙げられ、更にはアルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等の無機系成分を含む金属化合物であってもよい。なお、前記(i)又は(ii)のような共重合の場合、共重合せしめる全モノマー中の上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の割合が30%以上であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物を重合せしめると、一般式(1)中のSiにRが結合している部分においては、加水分解とその後の縮合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。この時、一部はシラノール基(Si−OH)となる場合があるが、シラノール基が形成されてもその特性に影響はない。例えば、上記一般式(1)におけるRがエトキシ基、nが3、mが2である有機ケイ素化合物を重合せしめる場合の反応式は、以下の一般式(2):
[式中、Xは前記有機基を示し、pは繰り返し単位の数に相当する整数を示す。]
のようになる。なお、pの数は特に制限されないが、一般的には10〜1000程度の範囲であることが好ましい。
このように上記モノマーを重合せしめてなる重合体は、有機基(X)とケイ素原子(Si)と酸素原子(O)とを主成分として骨格が形成されている有機シリカ系材料であり、有機基に結合しているケイ素原子が酸素原子を介して結合した骨格(−X−Si−O−)を基本とし、高度に架橋した網目構造を有している。
また、上記モノマーを重合せしめる方法は特に制限されないが、水又は水と有機溶媒との混合溶媒を溶媒として使用し、酸又は塩基触媒の存在下で前記モノマーを加水分解及び縮合反応せしめることが好ましい。ここで好適に用いられる有機溶媒としてはアルコール、アセトン等が挙げられ、混合溶媒とする場合の有機溶媒の含有量は5〜50重量%程度であることが好ましい。また、使用される酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸といった鉱酸等が挙げられ、酸触媒を使用する場合の溶液はpHが6以下(より好ましくは2〜5)の酸性であることが好ましい。さらに、使用される塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等が挙げられ、塩基触媒を使用する場合の溶液はpHが8以上(より好ましくは9〜11)の塩基性であることが好ましい。
このような重合工程における前記モノマーの含有量は、ケイ素濃度換算で0.0055〜0.33mol/L程度であることが好ましい。また、上記重合工程における諸条件(温度、時間、等)は特に制限されず、用いるモノマーや目的とする重合体等に応じて適宜選択されるが、一般的には0〜100℃程度の温度で1〜48時間程度の時間前記有機ケイ素化合物を加水分解及び縮合反応せしめることが好ましい。
前記モノマーを重合せしめてなる重合体(前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の重合体)は、通常はアモルファス構造であるが、合成条件により前記有機基の規則的な配列に起因する周期構造を有することが可能である。このような周期性は使用するモノマーの分子長に依存するが、5nm以下の周期構造であることが好ましい。この周期構造はモノマーが重合した後も保持される。そして、この周期構造の形成は、X線回折(XRD)測定によりd=5nm以下の領域にピークが出現することにより確認することができる。なお、X線回折測定においてこのようなピークが確認されない場合であっても、部分的に周期構造が形成されている場合がある。このような周期構造は、後述する層状構造に伴って形成されるのが一般的であるが、その場合に限定されるものではない。
また、本発明にかかる多孔体において前記有機基の規則的な配列に起因する周期構造が形成されると、有機基同士の相互作用が増して電子伝達効率が大幅に向上する傾向にある。このように周期構造の形成により有機基同士の相互作用が増して電子伝達効率が大幅に向上する機構については必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、上記のように電子供与体として機能する有機基が規則的に配列すると、均一なバンド構造が形成され且つ維持されるため、有機基の電子軌道が重なり易くなり、有機基同士の相互作用が増して、電子伝達効率が大幅に向上するものと本発明者らは推察する。
また、このような有機基の規則的な配列に起因する周期構造を形成するための好適な合成条件としては、以下の諸条件が挙げられる。
(i)前記周期構造はモノマー間に働く相互作用により形成されるため、モノマー間の相互作用が大きくなる有機基(X)、すなわちベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセンを用いることが好ましい。
(ii)溶液のpHが1〜3(酸性)又は10〜12(塩基性)であることが好ましく、10〜12(塩基性)であることがより好ましい。
また、このような周期構造は、S.Inagaki et al.,Nature,(2002年)416巻,304〜307頁等に記載の方法に準拠して得ることが可能である。
さらに、前記モノマーを重合せしめる際の合成条件を制御することにより、或いは原料に界面活性剤を混合することにより、得られる重合体(前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物の重合体)に細孔を形成できる。前者の場合は溶媒が鋳型となり、後者の場合は界面活性剤のミセル又は液晶構造が鋳型となり、細孔を有する多孔体が形成される。
特に、後述する界面活性剤を用いると、細孔径分布曲線における中心細孔直径が1〜30nmのメソ孔を有するメソ多孔体が得られるので好ましい。なお、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径であり、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
このようなメソ多孔体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。この条件を満たすメソ多孔体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、メソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、700m/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET式を用いてBET比表面積として算出することができる。
さらに、このようなメソ多孔体は、そのX線回折(XRD)パターンにおいて1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1.5〜30.5nmの間隔で規則的に配列していることを意味する。
また、このようなメソ多孔体が有する細孔は、多孔体の表面のみならず内部にも形成される。かかる多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は特に制限されないが、2d−ヘキサゴナル構造、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造であることが好ましい。また、このような細孔配列構造は、ディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。
ここで、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki et al., J.Chem.Soc.,Chem.Commun., p.680(1993)、S.Inagaki et al., Bull.Chem.Soc.Jpn., 69,p.1449(1996)、Q.Huo et al., Science, 268,p.1324(1995)参照)。また、多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli et al., Chem.Mater., 6,p.2317(1994)、Q.Huo et al., Nature, 368,p.317(1994)参照)。また、多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev et al., Science, 267,p.865(1995)、S.A.Bagshaw et al., Science, 269,p.1242(1995)、R.Ryoo et al., J.Phys.Chem., 100,p.17718(1996)参照)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n、Ia−3d、Im−3m又はFm−3m対称性であることが好ましい。前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。
また、このような多孔体の細孔壁に前述の周期構造を形成せしめれば、多孔体の有機基(電子供与体)から電子受容体への電子伝達がより効率良く起こるようになる。更に、前記メソ多孔体を得るためには、前記モノマーに界面活性剤を添加して重縮合することが望ましい。前記モノマーが重縮合する際、添加した界面活性剤が鋳型となってメソ孔ができるからである。
このようなメソ多孔体を得る際に用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を混合して用いられる。
上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式C2n+1(OCHCHOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。また、このような界面活性剤としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることもできる。
さらに、このような界面活性剤としては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)x(PO)y(EO)xで表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)x(PO)y2NCH2CH2N((PO)y(EO)x2で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
このような界面活性剤の中では、結晶性の高いメソ多孔体を得ることができることから、アルキルトリメチルアンモニウム[C2p+1N(CH]の塩(好ましくはハロゲン化物塩)を用いることが好ましい。また、その場合は、アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は8〜22であることがより好ましい。このようなものとしては、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドコシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
前記モノマーの重合体としてメソ多孔体を得る場合、前記界面活性剤を含有する溶液中で前記モノマーを重合反応せしめるが、その溶液中の界面活性剤の濃度は0.05〜1mol/Lであることが好ましい。この濃度が前記下限未満であると細孔の形成が不完全となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると未反応で溶液中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下する傾向にある。
また、このようにして得られたメソ多孔体に含まれる界面活性剤を除去する方法としては、例えば、(i)界面活性剤に対する溶解度が高い有機溶媒(例えば、エタノール)中に前記メソ多孔体を浸漬して界面活性剤を除去する方法、(ii)前記メソ多孔体を300〜1000℃で焼成して界面活性剤を除去する方法、(iii)前記メソ多孔体を酸性溶液に浸漬して加熱し、界面活性剤を水素イオンに交換せしめるイオン交換法、等を挙げることができる。
また、このようなメソ多孔体は、特開2001−114790号公報等に記載の方法に準拠して得ることが可能である。
また、本発明にかかる骨格内に電子供与体を備える多孔体としては、電子供与体として機能するような処理が施されたシリカ多孔体を用いてもよい。このようなシリカ多孔体としては、電子供与体として機能するような処理が施された、FSM、MCM−41、SBA−15、MCM−48、SBA−1、SBA−2等が挙げられる。また、このようなシリカ多孔体を電子供与体として機能させるための処理としては、例えばアルカリ処理が挙げられる。また、このようなアルカリ処理としては、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属及びアンモニウム等の水溶液に浸漬する方法を採用することが好ましい。そして、このような処理を施すことによってシリカ多孔体の表面にSi−O基が形成され、かかるSi−O基が電子供与体として機能し、後述する電子受容体との間で電子伝達をさせることが可能となる。
次に、本発明にかかる電子受容体について説明する。本発明においては、前記多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に電子受容体が配置されている。そして、本発明の光エネルギー変換材料に光が照射された場合には、前記多孔体中の前記電子供与体から電子受容体(エネルギー受容体)への電子の移動が行われる。また、ここにいう「配置」とは、前記多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に、前記電子供与体が、共有結合により固定化されている状態やイオン交換や物理交換により固定化されている状態等をいう。
また、本発明にかかる電子受容体としては特に制限されないが、キノン化合物、ビニル基を有する芳香族化合物、シアノ基を有する芳香族化合物、ニトロ基を有する芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、ジシアノメチレン基を有する有機化合物、ジシアノメチレン基を有する有機化合物を配位子として含有する分子性金属錯体、シアノイミノ基を有する有機化合物、シアノイミノ基を有する有機化合物を配位子として含有する分子性金属錯体、フラーレン、カーボンナノチューブ、窒素含有有機配位子を有する金属錯体、環状配位子を有する金属錯体、金属錯塩、金属イオン、金属酸化物、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種が好適に用いられる。また、このような電子受容体の中でも、前述のような電子供与体との間で、より効率のよい電子伝達が行われるという観点から、下記一般式(3):
で表される化合物や、Cr(2,2’−ビピリジン) 2+、Cr(2,2’−ビピリジン) 3+、Cr(CN) 3−、Fe(CN) 4−、Fe3+、N,N−ジメチルアニリン、Pt(P 4−、p−シアノ安息香酸メチル、p−ジシアノベンゼン、p−ジニトロベンゼン、p−ベンゾキノン、ReCl 2−、Rh(1,3−ジイソシアノプロパン)4 2+、Ru(2,2’−ビピリジン) 2+、trans−スチルベン、UO 2+、Znポルフィリン錯体、Zn(テトラフェニルポルフィリン)、Zn(オクタエチルポルフィリン)、Znフタロシアニン、アセトフェノン、アントラセン、オスミウム(II)錯体、クロラニル、シアノアントラセン、シアノナフタレン、ジメチルアニリン、ジシアノアントラセン、ジシアノナフタレン、ジメチルビシクロヘプタ−2,5−ジエン−2,3−ジカルボン酸、テトラシアノアントラセン、テトラシアノエチレン、トリフェニルピリリウムテトラフルオロホウ酸、ナフタレン、ニトロベンゼン、ビオロゲン、フェナントレン、フラーレンC60、フラーレンC60−μ−オキソダイマー(C120O)、フラーレンC70、ベンゾフェノン、メチルビオロゲン、メチルビオロゲン、メトキシアセトフェノン、酸素、芳香族ビニルポリマー等を用いることが好ましい。
また、このような電子受容体の含有量としては、光エネルギー変換材料の全量を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。このような電子受容体の含有量が前記下限未満では、電荷分離が十分に行われなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると細孔空間が電子受容体で満たされ、反応等の十分な空間が確保できなくなる傾向にある。
また、前記電子供与体(有機基中の有機分子)と前記電子受容体の比率としては、モル比が1:0.01〜1:10の範囲にあることが好ましく、1:0.1〜1:1.5の範囲にあることがより好ましい。このような電子供与体の含有比率が前記下限未満では、電荷分離が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、電荷分離が不十分となる傾向にある。
また、本発明においては、電子受容体は前記多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に配置されているため、電子供与体及び電子受容体が近接して配置されており、電荷分離による電子とホールの発生をより促進される。また、このような電子受容体を多孔体の細孔や骨格内等に固定して配置することで、電子受容体が物理的に安定化され、耐久性が向上される。
さらに、このような電子受容体を、前記多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に配置する方法としては特に制限されず、電子受容体を前記いずれかの部位に配置することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、共有結合させて固定化して配置する方法、イオン交換もしくは物理交換により固定化して配置する方法等を採用することができる。具体的には、前記多孔体と前記電子受容体とを混合し、加熱することにより共有結合させて、多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に電子受容体を配置する方法、前記多孔体と前記電子受容体とを混合し、これに超音波を照射した後、加熱することにより共有結合させて多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に電子受容体を配置する方法、骨格内にチオール基やスルホン酸基を有する多孔体を用い、電子受容体を含んだ溶液にその多孔体を添加し、撹拌してイオン結合により固定化して多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に電子受容体等を配置する方法等を採用してもよい。更に、このような電子供与体又は電子受容体は、多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に、同時に配置させてもよく、それぞれ別々に配置させてもよい。
また、電子供与体(D)と電子受容体(A)の間の光電子移動による電荷分離状態の形成は、分子Dと分子Aが電荷移動錯体を形成した系、分子Dと分子Aがエキシプレックスを形成した系、分子Dと分子Aが架橋された系においても進行する。分子Dと分子Aが電荷移動錯体を形成する場合の電子供与体と電子受容体としては、ベンゼン/ヨウ素、ベンゼン/(NC)C=C(CN)、ベンゼン/トリニトロベンゼン、ベンゼン/テトラシアノベンゼン、ヘキサメチルベンゼン/テトラシアノベンゼン、ベンゼン/マレイン酸、フェロセン/トリクロロメタン、アントラセン/diquat、アントラセン/メチルビオロゲン、アントラセン/N−methylcyanopyridinium、アントラセン/N−methylcyanopyridinium、ナフタレン/メチルビオロゲン、ナフタレン/N−methylcyanopyridinium、ジメトキシベンゼン/メチルビオロゲン、カーボンナノチューブ/メチルビオロゲン等が挙げられる。
また、分子Dと分子Aがエキシプレックスを形成する場合の電子供与体と電子受容体としては、トリエチルアミン/ナフタレン、トリエチルアミン/アントラセン、ジエチルアニリン/ナフタレン、ナフタレン/ジシアノアントラセン、ジエチルアニリン/ピレン、ピレン/ジシアノベンゼン等が挙げられる。
さらに、分子Dと分子Aが架橋する場合の電子供与体と電子受容体としては、Znポルフィリン/フラーレン(C60又はC70)、ポルフィリンフリーベース/フラーレン(C60又はC70)、フェロセン/Znポルフィリン、Znポルフィリン/ポルフィリンフリーベース、Znポルフィリン/ピリジルナフタレンジイミド、フェロセン/アントラキノン、フェロセン/フラーレン(C60)、Thiophene polymer/フラーレン(C60)、N,N−di(6−tert−butylbiphenyl)−benzenamine/フラーレン(C60)等が挙げられる
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1:ビフェニル基により修飾されたシリカ多孔体(BiPh−HMM)の結晶粉体の合成)
先ず、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド(界面活性剤:1.83g、5.26mol)を、水(100ml)と6Mの水酸化ナトリウム水溶液(10g)との混合液に溶解させて混合溶液を得た。次に、得られた混合溶液に4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル(2.00g、4.18mol)を室温で撹拌しながら滴下した。次いで、その溶液に対して20分間の超音波照射と撹拌とを繰り返した後、室温で24時間攪拌し、反応溶液を得た。そして、その反応溶液を98℃の温度条件下で48時間静置した後、加熱することで界面活性剤を含有し且つビフェニル基により修飾されたシリカ多孔体(BiPh−HMM)を得た。次いで、界面活性剤が含有されたBiPh−HMMを、エタノール(260ml)と濃塩酸(11.7g)とを含む混合液中に懸濁させた後、その懸濁液を70℃の温度条件で7時間加熱攪拌し、前記BiPh−HMMから界面活性剤を抽出した。その後、この懸濁液を濾過し、得られた白色粉体をエタノール洗浄し、真空乾燥することで、BiPh−HMMの結晶粉体を得た。
このようにして得られたBiPh−HMMの結晶粉体のX線回折(XRD)測定を行った。得られたBiPh−HMMの結晶粉体のXRD回折パターンを図1に示す。図1に示す結果から、得られたBiPh−HMMの結晶粉体に規則的なメソ細孔構造(d=45.04Å)が確認され、更に、その細孔壁内にビフェニル基の周期構造(d=11.78,5.90,3.94,2.96,2.37Å)が確認された。
次に、合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体の窒素吸着量を測定した。得られたBiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を図2に示す。図2に示す結果からも明らかなように、合成例1で得られたBiPh−HMMはメソ多孔体に典型的なIV型の吸脱着等温線を示していることが確認された。また、図2に示す吸着等温線から算出したところ、細孔表面積(BET)は793.90m/gであり、細孔径(BJH)は23.9Åであり、細孔容量は0.502ccであることが確認された。
(合成例2:BiPh−HMMの薄膜の合成)
先ず、トリブロックコポリマーP123((EO)20(PO)70(EO)20:界面活性剤:0.40g、0.069mmol)を、エタノール(3.0g)と水(0.18g、10mmol)と2MのHCl水溶液(5.0μl、0.010mmol)との混合液に溶解させて混合溶液を得た。次に、得られた混合溶液に4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル(0.598g、1.25mmol)を滴下し、室温下で21時間攪拌して反応溶液を得た。次いで、得られた反応溶液にエタノール(2.0g)を加えて、ビフェニルシリカゾル溶液を得た。次に、前記ゾル溶液を硝子板又は石英ガラス上にスピンコート(4000rpm,10s)し、室温で1日乾燥してスピンコート薄膜を得た。そして、得られたスピンコート薄膜を、室温から6時間かけて250℃に昇温させた後、250℃で2時間保持して鋳型として用いたP123(界面活性剤)を除去し、BiPh−HMMの薄膜を得た。
このようにして得られたBiPh−HMMの薄膜のX線回折(XRD)測定を行った。得られたBiPh−HMMの薄膜のXRD回折パターンを図3に示す。図3に示す結果からも明らかなように、BiPh−HMMの薄膜はd=83.49Åに規則的なメソ細孔構造を示すことが確認された。
(合成例3:4,4’−ビピリジン誘導体[N,N'-Bis(3-(trimethoxysilanyl)propyl)-4,4'-bipyridinium diiodide]の合成)
先ず、4,4’−ビピリジル(1.80g、11.0mmol)と、(3−ヨードプロピル)トリメトキシシラン(7.02g、24.2mmol)とを、アルゴン雰囲気下でアセトニトリル(25ml)に溶解させて混合溶液を得た。次に、得られた混合溶液を40℃で7時間撹拌した後、70℃で18時間加熱撹拌し、更に85℃で24時間加熱撹拌した。次いで、このようにして得られた析出物をジクロロメタンで洗浄し、真空乾燥して、4,4’−ビピリジン誘導体(N,N'-Bis(3-(trimethoxysilanyl)propyl)-4,4'-bipyridinium diiodide)を7.62g得た。
このようにして得られた4,4’−ビピリジン誘導体の構造をH−NMRにより確認した。得られた結果を以下に示す。
H−NM(500MHz,DO):δ8.98(d,4H,J=6.7Hz),8.41(d,4H,J=6.7Hz),4.60(t,4H,J=7.3Hz),3.20(s,18H),2.07−2.02(m,4H),0.58−0.55(m,4H)。
(実施例1)
先ず、合成例3で得られた4,4’−ビピリジン誘導体(100mg、0.136mmol)を含水アセトニトリル(8ml)に溶解させた溶液に、合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体(0.4g、1.56mmol)を加え、室温で1分間超音波処理を施した後、70℃の温度条件で2時間加熱攪拌し、沈降物を析出させた。そして、このようにして得られた沈降物を濾過し、水で洗浄した後、更にエタノールで洗浄し、その後、真空乾燥させることによって、ビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMMの結晶粉体(SiVSi(I)−BiPh−HMM)を0.462g得た。
このようにして得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMのX線回折測定を行った。SiVSi(I)−BiPh−HMMのXRD回折パターンを図4に示す。図4に示す結果から、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMにおいては、規則的なメソ細孔構造(d=45.04Å)が確認され、更に、細孔壁内のビフェニル基の周期構造(d=11.78,5.89,3.93Å)が確認された。
次に、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMの窒素吸着量を測定した。得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を図5に示す。図5に示す結果から明らかなように、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMはメソ多孔体に典型的なIV型の吸脱着等温線を示していることが確認された。また、図5に示す吸着等温線から算出したところ、細孔表面積(BET)は699.48m/gであり、細孔径(BJH)は23.0Åであり、細孔容量は0.40ccであることが確認された。
次いで、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を測定した。得られた拡散反射スペクトルのグラフを図6に示す。図6に示す結果から明らかなように、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMにおいては、280nmを中心とするBiPh基に由来する吸収が確認され、更に、400nmにビオロゲンとビフェニル基とからなる電荷移動(CT)錯体に由来するブロードな吸収が確認された。
(実施例2)
実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM(50mg)を飽和NHPF水溶液(1ml)に懸濁させて懸濁液を製造し、室温で1日攪拌した。その後、前記懸濁液中の懸濁物を濾過し、水で洗浄した後、更にエタノールで洗浄し、真空乾燥させて、ビオロゲンのカウンターアニオンをヨウ素イオン(I)から六フッ化リン酸イオン(PF )へとイオン交換した。そして、このようなイオン交換を完全に行うために、同様の作業を2度繰り返して、ビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMMの結晶粉体(SiVSi(PF)−BiPh−HMM)を32.6mg得た。
(実施例3)
先ず、合成例3で得られた4,4’−ビピリジン誘導体(100mg、0.136mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させた溶液に、合成例2で得られたBiPh−HMMの薄膜を浸して室温で2日間反応させた。このようにして反応させた後、BiPh−HMM薄膜をエタノールで洗浄し、乾燥することにより、ビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMM薄膜(SiVSi(I)−BiPh−HMM−film)を得た。
このようにして得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmのX線回折測定を行った。SiVSi(I)−BiPh−HMM−filmのXRD回折パターンを図7に示す。図7に示す結果からも明らかなように、実施例3で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmにおいては、d=66.36Åに規則的なメソ構造に由来する回折ピークが確認された。
次に、実施例3で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmの吸収スペクトルを測定した。得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmの吸収スペクトルを図8に示す。図8に示す結果からも明らかなように、実施例3で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmにおいては、280nmにビフェニル基に由来する吸収が確認され、また、400nmにビオロゲンとビフェニル基とからなるCT錯体に由来するブロードな吸収が確認された。
(実施例4)
合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体(500mg)を0.1質量%NaOHメタノール溶液(100g)中に添加し、3分間保持した後、これを吸引ろ過し、エタノールで洗浄し、真空下で乾燥することによってメソ細孔表面にアニオンサイト(Si−ONa)を構築したNa−BiPh−HMM(500mg)を得た。
次に、得られたNa−BiPh−HMM(10.0mg)と二塩化メチルビオロゲン(MV(Cl):3.0mg、0.010mmol)とをイオン交換水(0.3mL)中で混合し、室温で1時間反応させた。その後、真空ラインにつないで室温、減圧の条件下で、溶媒をゆっくりと留去して二塩化メチルビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMMの結晶粉体(MV(Cl)−Na−BiPh−HMM)を得た。
このようにして得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMのX線回折測定を行った。MV(Cl)−Na−BiPh−HMMのXRD回折パターンを図9に示す。図9に示す結果からも明らかなように、実施例4で得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMにおいては、規則的なメソ細孔構造(d=44.58Å)が確認され、更に、細孔壁内のビフェニル基の周期構造(d=11.81,5.92,3.94,2.96,2.36Å)が確認された。
次に、実施例4で得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMの窒素吸着量を測定した。得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を図10に示す。図10に示す結果から明らかなように、実施例4で得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMはメソ多孔体に典型的なIV型の吸脱着等温線を示していることが確認された。また、図10に示す吸着等温線から算出したところ、細孔表面積(BET)は509.74m/gであり、細孔径(BJH)は22.4Åであり、細孔容量は0.29ccであることが確認された。
(実施例5〜9)
合成例1で得られたBiPh−HMM(50mg)とメチルビオロゲン二塩化物(MV(Cl):<初期濃度> 20mM(実施例5)、40mM(実施例6)、70mM(実施例7)、100mM(実施例8)、120mM(実施例9))とを水(1ml)に分散させ、室温で1時間攪拌し、その後、遠心分離(3500rpm,30min)することによって、メチルビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMM結晶粉体(MV(Cl)−BiPh−HMM)をそれぞれ得た。
実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMに吸着したMV(Cl)の量を算出するために、濾液に含まれる未吸着のMV(Cl)の重さをそれぞれ測定した。平衡時における溶液中のMV(Cl)濃度と、BiPh−HMMに吸着されたMV(Cl)量との関係を示すグラフを図11及び12に示す。図11及び12に示す結果からも明らかなように、平衡時の溶液中のMV(Cl)濃度とBiPh−HMMに吸着されたMV(Cl)量の間には原点を通る比例関係が確認された。また、多孔体の細孔容量から細孔内に吸着されたMV(Cl)の濃度を算出したところ、平衡時における溶液中のMV(Cl)濃度に対して約20倍高濃度であることが確認された。
次に、実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMの窒素吸着量を測定した。得られた窒素吸脱着等温線を図13に示す。図13に示す結果からも明らかなように、MV(Cl)の吸着量が増加するのに伴って細孔容積が減少していることが確認された。このような結果から、実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMにおいては、MV(Cl)が細孔内部に吸着されて配置されていることが確認された。
次いで、実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を測定した。得られた拡散反射スペクトルのグラフを図14に示す。図14に示す結果から明らかなように、実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMにおいては、MV(Cl)の吸着量の増加に伴い300〜500nmに観測されるCT錯体のピーク強度が増加することが確認された。
(実施例10〜14)
合成例1で得られたBiPh−HMM(50mg)とメチルビオロゲン二ヘキサフルオロホスフェイト(MV(PF、初期濃度:20mM(実施例10)、40mM(実施例11)、70mM(実施例12)、100mM(実施例13)、120mM(実施例14))とをアセトニトリル(1ml)に分散させ、室温で1時間攪拌し、その後、遠心分離(3500rpm,30min)することによって、メチルビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMMの結晶粉体(MV(PF)−BiPh−HMM)をそれぞれ得た。
このようにして実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMに吸着したMV(PFの量を算出するために、濾液に含まれる未吸着のMV(PFの重さを測定した。平衡時における溶液中のMV(PF濃度と、BiPh−HMMに吸着されたMV(PF量との関係を示すグラフを図15及び16に示す。図15及び16に示す結果からも明らかなように、平衡時の溶液中のMV(PF濃度とBiPh−HMMに吸着されたMV(PF量との間には、原点を通る比例関係が確認された。また、多孔体の細孔容量から細孔内に吸着されたMV(PFの濃度を算出したところ、平衡時の溶液中のMV(PF濃度に対して約20倍高濃度であることが確認された。
次に、実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMの窒素吸着量を測定した。実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を図17に示す。図17に示す結果からも明らかなように、MV(PFの吸着量が増加するのに伴い、細孔容積が減少することが確認された。このような結果から、実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMにおいては、MV(PFが細孔内部に吸着されていることが確認された。
次いで、実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を測定した。得られた拡散反射スペクトルのグラフを図18に示す。図18に示す結果からも明らかなように、実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMにおいては、MV(PFの吸着量の増加に伴い、300〜500nmに観測されるCT錯体のピーク強度が増加することが確認された。
(実施例15)
MV(PFのTris−HCl緩衝水溶液(MV(PF:1mM、Tris:50mM、pH=7.4、4.0ml)に合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体(0.1mg)を加え、室温で約2分間超音波を照射した後、室温で攪拌して反応溶液を得た。その後、この反応溶液を遠心濾過することによってメチルビオロゲンを担持したBiPh−HMMの結晶粉体(MV(PF)−BiPh−HMM)を得た。
(実施例16)
FSM(1.06g)を0.1質量%NaOHメタノール溶液(100g)に添加し、3分間保持した後、吸引ろ過し、更にメタノールで洗浄した後に真空下で乾燥することによって、メソ細孔の表面にアニオンサイト(Si−ONa)を構築したNa−FSM(500mg)を得た。次に、得られたNa−FSM(10mg)と二塩化メチルビオロゲン[MV(Cl):3mg、0.01mmol]とをメタノール(0.5mL)中で混合し、室温で1時間反応させた後、真空ラインにつないで、室温、減圧の条件下で溶媒をゆっくりと留去して、二塩化メチルビオロゲンにより修飾されたFSMの結晶粉体(MV(Cl)−Na−FSM)を得た。
このようにして得られたMV(Cl)−Na−FSMの積分球を用いてUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を測定した。得られた拡散反射スペクトルのグラフを図19に示す。図19に示す結果からも明らかなように、実施例16で得られたMV(Cl)−Na−FSMにおいては400nm付近にCT錯体に特徴的なピークが確認された。
(比較例1)
FSM(10mg)と二塩化メチルビオロゲン(MV(Cl):3mg、0.01mmol)とをメタノール(0.5mL)中で混合し、室温で1時間反応させた後、真空ラインにつないで、室温、減圧の条件下で溶媒をゆっくりと留去して、二塩化メチルビオロゲンを担持したFSMの結晶粉体(MV(Cl)−FSM)を得た。
このようにして得られたMV(Cl)−FSMの積分球を用いてUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を測定した。得られた拡散反射スペクトルのグラフを図20に示す。図20に示す結果からも明らかなように、比較例1で得られたMV(Cl)−FSMにおいては、CT錯体に由来する特徴的なピークがほとんど測定されなかった。
[実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMの特性の評価]
実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM(25mg)をイオン交換水(1.0ml)に加え、室温で1時間攪拌した後、遠心分離(3500rpm、30min)によりろ過し、得られた淡黄色残渣をスクリューキャップ付の石英セル(1cm×1cm×4.5cm)の内壁に薄く塗布して試料を形成した。次に、このようにして得られた試料を用いて、真空脱気した条件下で800nmのプローブ光を当てながら10分ごとにUV−VISスペクトルを測定した。このような光照射前のSiVSi(I)−BiPh−HMMの薄膜の状態を示す写真を図21(a)に示し、光照射後のSiVSi(I)−BiPh−HMMの薄膜の状態を示す写真を図21(b)に示す。また、得られたUV−VISスペクトルを図22に示す。
図21及び22に示す結果からも明らかなように、光を照射することで、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMは600nmの吸収が大きくなり、青色に着色されることが確認された。このような結果から、光の照射により、ビオロゲンカチオンラジカル(V・+)が生成されることが確認された。一方、比較のために、同様の実験を光照射せずに行った。この場合においては600nmの吸収は変化しなかった。また、図21(b)に示す青色に着色した試料は、空気に触れさせたところ数分で退色してもとの状態に戻った。
以上の結果から、実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMは、光照射によりCT錯体が励起され、ビフェニル骨格からビオロゲンへ電荷移動が起きることが確認された。
[実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの特性の評価]
実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMを用いて、過渡吸収スペクトルを測定した。すなわち、先ず、SiVSi(PF)−BiPh−HMMを石英セル(2mm×10mm×45mm)にアルゴン置換して封入し、測定用の試料を作成した。そして、この試料に対して355nmのパルス光を照射しながら、波長域360nm〜900nmの範囲にわたって20nmおきにパルス光照射後5μ秒〜160μ秒後の吸収変化を測定した。得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの時間分解過渡吸収スペクトルを図23に示す。
図23に示す結果からも明らかなように、355nmの波長の光を照射してCT錯体を励起させることにより、実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMは、600nm付近にビオロゲンラジカルカチオン(V・+)に由来する吸収があることが確認された。このような結果から、355nmの波長の光を照射することにより、ビフェニルシリカ骨格からビオロゲンに電荷の移動が起きていることが確認された。また生成されたV・+の吸収は光照射後徐々に減少していくことが確認された。
次に、実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMを用いて、600nmの吸光度の変化から電荷分離状態の寿命を測定した。すなわち、先ず、SiVSi(PF)−BiPh−HMMを石英セル(2mm×10mm×45mm)にアルゴン置換して封入し、測定用の試料を作成した。そして、前記試料に、355nmのパルス光を励起光として照射し、600nmの吸光度の変化を測定して電荷分離状態の寿命を測定した。実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの600nmの吸光度の変化を示すグラフを図24〜26に示す。
図24〜26に示す結果からも明らかなように、実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの電荷分離状態は非常に長寿命であることが確認された。このような結果から、実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMにおいては、電荷分離で生じた正孔がビフェニル骨格上に拡散していることが推察される。
[メチルビオロゲンラジカルカチオンの生成速度の測定試験1]
アミンを正孔還元剤(犠牲試薬)として用いて試料を作成し、光照射によるメチルビオロゲンラジカルカチオンの生成速度を測定した。すなわち、先ず、サンプル瓶に、MV(PFのTris−HCl緩衝水溶液(MV(PF:1mM、Tris:50mM、pH=7.4、4.0ml)に、ホスト分子として合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体(0.1mg)を加え、前記ホスト分子が均一に分散するまで室温で約2分間超音波を照射して反応溶液を得た。次に、この反応溶液を光路長1cmの石英セルに導入してセプタムで密栓した後、脱気操作として20分間アルゴンによるバブリングを行い、測定用の試料を得た。次いで、この試料に対して355nmの波長のレーザー光(18mJ cm−2)を照射し、MV・+の生成(605nm)を測定した。MV・+の濃度と時間との関係を示すグラフを図27に示す。なお、このような反応溶液の製造方法は実施例15で採用されている方法と同様のものであり、このような反応溶液中にはMV(PF)−BiPh−HMM(実施例)が形成されている。
また、ホスト分子としてFSMを用いた以外は上記方法と同様の方法を採用して得られた溶液によって形成された試料(比較用試料1)、及び、ホスト分子を用いずにMV(PFのTris−HCl緩衝水溶液のみによって形成された試料(比較用試料2)を用いて同様にMV・+生成の測定を行った。MV・+の濃度と時間との関係を示すグラフを図27に示す。
図27に示す結果からも明らかなように、MV(PF)−BiPh−HMMを含む反応溶液においては、355nmの励起光の照射時間に比例してMV・+の濃度が増加することが確認され、また、測定されたデータからMV・+の反応初期速度を算出したところ、MV・+の反応初期速度は1.6μM/minであることが確認された。これに対して、比較用試料1〜2においては、MV・+の生成が見られなかった。このような結果から、MV(PFとビフェニル基とにより形成されるCT錯体によって、電荷分離が起こることが確認された。
[メチルビオロゲンラジカルカチオンの生成速度の測定試験2]
アミンを正孔還元剤(犠牲試薬)として用いて試料を作成し、光照射によるメチルビオロゲンラジカルカチオンの生成速度を測定した。すなわち、先ず、20mlのサンプル瓶に、MV(PFのTris−HCl緩衝水溶液(MV(PF:1mM、Tris:50mM、pH=7.4、4.0ml)と、ホスト分子として合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体(0.1mg)とを加え、前記ホスト分子が均一に分散するまで室温で約2分間超音波を照射して反応溶液(実施例)を得た。次に、この反応溶液を光路長1cmの石英セルに導入してセプタムで密栓した後、脱気操作として20分間アルゴンによるバブリングを行い、測定用の試料を得た。次いで、この試料に対して、CT錯体のみを光励起させる目的で310nmより長波長の光を150Wのキセノンランプを用いて照射しながら、MV・+の生成(605nm)を観察した。MV・+の濃度と時間との関係を示すグラフを図28に示す。なお、このような反応溶液の製造方法は実施例15で採用されている方法と同様のものであり、このような反応溶液中にはMV(PF)−BiPh−HMM(実施例)が形成されている。
また、ホスト分子としてFSMを用いた以外は上記方法と同様の方法を採用して得られた溶液によって形成された試料(比較用試料1)、ホスト分子としてMCMを用いた以外は上記方法と同様の方法を採用して得られた溶液によって形成された試料(比較用試料2)、ホスト分子としてカラムクロマト用のメソ細孔含有シリカゲルを用いた以外は上記方法と同様の方法を採用して得られた溶液によって形成された試料(比較用試料3)、及び、ホスト分子を用いずにMV(PFのTris−HCl緩衝水溶液のみによって形成された試料(比較用試料4)を用いて同様にMV・+生成の測定を行った。MV・+の濃度と時間との関係を示すグラフを図28に示す。
図28に示す結果からも明らかなように、ホスト分子としてBiPh−HMMを用いた場合においては、MV・+が生成され、その濃度は増加することが確認された。また、測定されたデータから算出したところ、ホスト分子としてBiPh−HMMを用いた場合においては、反応初期速度は0.40μM/minであった。
一方、ホスト分子が存在しない場合(比較用試料4)においては、MV・+は生成されず、メチルビオロゲンを直接光励起させてもMV・+が生成されないことが確認された。また、ホスト分子としてFSMを用いた場合(比較用試料1)においては、MV・+の生成は遅く、その反応初期速度は0.20μM/minであることが分かった。更に、ホスト分子としてMCMを使用した場合(比較用試料2)においては、MV・+の生成は遅く、その反応初期速度は0.21μM/minであることが分かった。また、カラムクロマト用のメソ細孔含有シリカゲルを使用した場合(比較用試料3)においてもMV・+が生成されることが確認されたが、その反応初期速度は0.066μM/minであることが分かった。このような結果から、ホスト分子としてBiPh−HMMを用いた場合と比べると、比較用試料1〜4においては、MV・+が生成されたとしてもその反応速度が遅く、速いものでもBiPh−HMMを用いた場合の半分の速度程度であることが分かった。また、このような結果から、骨格内に電子供与体を備える多孔体(BiPh−HMM)を用い、その細孔内等に電子受容体[MV(PF)]を配置することによって、電荷分離が効率よく進行することが確認され、FSMやMCMを用いた場合に比べて光エネルギー変換効率が十分に向上することが分かった。
次に、ホスト分子としてFSMを用いて得られた比較用試料1を用いて、酸性条件下(pH3.6)において同様の測定を行った。pH3.6又はpH7.4の場合におけるMV・+の濃度と時間との関係を示すグラフを図29に示す。図29に示す結果からも明らかなように、前記比較用試料1においては、酸性条件においてもMV・+濃度の増加はごくわずかであることが確認された。
また、ホスト分子(BiPh−HMM、FSM、MSM及びメソ細孔含有シリカゲル)の細孔の表面積と、反応速度との関係をプロットした(図30)。図30に示す結果から、無機多孔体を用いた場合においては、表面積に比例してMV・+の生成速度高くなる傾向があることが分かった。
(合成例4)
先ず、水(100g)に界面活性剤(オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、1.83g)を完全に溶解させた後、水酸化ナトリウム水溶液(6mol/L,10mL)を加えて溶液を得た。次に、得られた溶液にシリカ源として4,4’−ビス(トリエトキシシリル)ビフェニル(2.0g)をゆっくりと添加して、室温で20時間攪拌を続けた後、静置条件下で熟成処理(100℃、24時間)を行った。その後、得られた反応液をろ過し、洗浄処理することによって、界面活性剤を含有し且つビフェニル基により修飾されたシリカ多孔体(BiPh−HMM)を得た。次いで、界面活性剤が含有されたBiPh−HMMを80度に加熱した塩酸‐エタノール溶液(10g塩酸/300mLエタノール)に分散させることによって界面活性剤を抽出除去する処理を2回繰り返して、ビフェニル基により修飾されたシリカ多孔体の結晶粉体(BiPh−HMM)を得た。
このようにして得られたBiPh−HMMの結晶粉体の窒素吸脱着等温線と細孔径分布曲線とを図31に示す。図31に示す結果からも明らかなように、得られたBiPh−HMMはメソ多孔体に典型的なIV型の吸脱着等温線を示していることが確認された。また、図31に示す吸着等温線から算出したところ、細孔表面積(BET)は776m/gであり、細孔容積は0.68mL/gであった。また、図31に示す細孔径分布曲線から、得られたBiPh−HMMにおいては、2.3nmの均一なサイズのメソ細孔が存在していることが確認された。
次いで、得られたBiPh−HMMの結晶粉体のX線回折(XRD)測定を行った。合成例4で得られたBiPh−HMMの結晶粉体のXRDパターンを図32に示す。図32に示す結果からも明らかなように、低角度域に見られる回折パターン(1.9°付近)から、BiPh−HMM(合成例4)は、均一な大きさの円筒型メソ細孔がハニカム状に配列した2次元ヘキサゴナル構造を備えるものであることが確認された。また、5°以上の周期的な回折パターン(7.4、14.9、22.5、30.1°)から、BiPh−HMM(合成例4)においては、シリカ骨格内でビフェニレン基が規則的に配列していることが確認され、分子スケールで結晶性層状構造を形成していることが確認された。
(実施例17)
先ず、合成例3で得られた4,4’−ビピリジン誘導体(N,N'-Bis(3-(trimethoxysilanyl)propyl)-4,4'-bipyridinium diiodide)を100mLの脱水アセトニトリルに添加し、室温で攪拌しながら溶解させて溶液を得た。次に、合成例4で得られたBiPh−HMM(0.30g)に対して、真空排気下において150℃の温度条件で1時間脱水処理を施した。次いで、このようにして調製した4,4’−ビピリジン誘導体溶液の上澄み液(80mL)に、脱水処理したBiPh−HMM(0.30g)を加え、不活性ガス雰囲気下において加熱処理(90℃、2時間)を施した後、ろ過し、反応物を回収した。その後、得られた反応物を脱水アセトニトリル(100mL)に分散させて、加熱処理(90℃、1時間)を施すことによって、BiPh−HMMから未反応の4,4’−ビピリジン誘導体を抽出した。その後、得られた反応物を脱水エタノール(100mL)による洗浄と、水(100mL)による洗浄とを行い、ビオロゲンにより修飾されたBiPh−HMMの結晶粉体(SiVSi(I)−BiPh−HMM)を得た。
実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM及び合成例4で得られたBiPh−HMMのX線回折測定を行った。実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM及び合成例4で得られたBiPh−HMMのXRD回折パターンを図33に示す。図33に示す結果から、ビオロゲンを修飾する前後の試料の回折パターンを比較すると、どちらの試料においても、メソ孔の規則的な配列を示す低角度域の回折パターン及びシリカ骨格内でのビフェニレン基の周期構造を示す高角度域の回折パターンが確認された。そのため、ビオロゲンにより細孔等の表面を修飾したSiVSi(I)−BiPh−HMMにおいても、細孔構造及び結晶性分子配列が保持されることが確認された。
次に、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMの窒素吸着量を測定した。得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を図34に示し、細孔径分布曲線を図35に示す。
図34に示す結果からも明らかなように、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMはメソ多孔体に典型的なIV型の吸脱着等温線を維持していることが確認された。また、図34に示す吸着等温線から算出したところ、細孔表面積(BET)は672m/gであり、細孔容積は0.32mL/gであった。一方、合成例4で得られたBiPh−HMMは、上述のように、細孔表面積(BET)が776m/gであり、細孔容積が0.68mL/gであることから、ビオロゲンを配置することで、表面積には大きな変化は無いが細孔容積が半分程度に減少することが確認された。このような結果から、SiVSi(I)−BiPh−HMM(実施例17)においては、細孔の表面に嵩高いビピリジル誘導体(ビオロゲン)が固定化されたことが確認された。
また、図35に示す結果からも明らかなように、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMと合成例4で得られたBiPh−HMMの細孔径分布を比較すると、SiVSi(I)−BiPh−HMM(実施例17)においても細孔の均一性が保持されることが確認され、また、ビオロゲンを修飾することにより平均細孔径が2.3nmから1.4nmへ減少することが確認された。このような結果から、SiVSi(I)−BiPh−HMMにおいては、ビピリジル誘導体(ビオロゲン)が細孔表面を均一に修飾したことが確認された。また、固体NMR測定を行ったところ、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMにおいては、骨格の表面にビピリジル誘導体が導入されたことが確認された。
次に、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMを用いて触媒を製造し、以下のようにして水素の発生試験を行った。
〈触媒の製造〉
実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM(0.45g)と塩化白金酸水溶液(白金含有量:2.3mmoL)を蒸発皿に導入した後、更に30mLのエタノールを加えて50℃に加熱して2時間攪拌して溶液を得た。次に、100℃の湯浴場で前記溶液をゆっくりと蒸発させてSiVSi(I)−BiPh−HMMに白金塩を含浸担持させ、試料を得た。その後、得られた試料に対して、100Torrの水素ガス存在下で200℃に加熱する白金の還元処理を施し、1wt%の白金が担持された触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)を得た。
〈水素の発生試験1〉
水素の発生試験は、閉鎖循環型の反応システムに接続した反応セルによって行い、精製されたガスはガスクロマトグラフィーで定性および定量した。このような閉鎖循環型の反応システムは硝子管で作成されたものであり、真空ホンプ、圧力計、ガス循環器及びガスクロマトグラフィーに接続されており、反応系内の雰囲気を自由に制御する事が可能なものである。
また、水素の発生試験においては、先ず、水(400mL)、トリエタノールアミン(21mL)及び塩酸(10mL)の混合溶液を反応セルに導入した後、その混合溶液中に0.1gの触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)を分散させた。次に、反応セルを閉鎖循環系に接続させて脱気処理を行い、系内の空気及び溶液内の溶存酸素を除去した。次いで、450Wの高圧水銀灯を光源とし、亜硝酸ナトリウム水溶液をフィルターとして、400nm以上の可視光を反応セル内部から照射し、反応時間18時間後のガスを分析した。このような分析の結果、2.6μmoLの水素ガスが生成されたことが確認された。
〈水素の発生試験2〉
上述の水素の発生試験1と同様の装置を用いて、水素の発生試験を行った。すなわち、水(200mL)、トリエタノールアミン(10.5mL)及び塩酸(6mL)の混合溶液を反応セルに導入し、その混合溶液中に0.1gの触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)を分散させた。次に、反応セルを閉鎖循環系に接続させて脱気処理を行い、系内の空気及び溶液内の溶存酸素を除去した。次いで、300Wのキセノンランプを光源として380nm以下の光を上方より照射し、反応時間22時間後のガスを分析した。このような分析の結果、1.2μmoLの水素ガスの生成が確認された。
次に、水素発生試験の前後の触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)に対してX線回折測定を行った。このようにして水素発生試験の前後のPt−SiVSi(I)−BiPh−HMM、合成例4で得られたBiPh−HMM、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMのXREパターンを図36に示す。図36に示す結果からも明らかなように、水素発生試験前の触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)においては、細孔の規則的な配列を示す低角度域の回折パターンが保持されていることが確認され、更に、シリカ骨格内におけるビフェニレン基の周期構造を示す高角度域の回折パターンが保持されていることが確認された。また、水素発生試験後の触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)もシグナル強度にほとんど変化は見られなかった。このような結果から、界面活性剤のミセル構造を反映した細孔構造及びビフェニレン基の結晶性配列構造は水素生成反応に対して非常に安定であることが確認され、これにより、本発明の光エネルギー変換材料は安定性が高く、耐久性に優れることが確認された。
(合成例5〜6)
先ず、界面活性剤(トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド)6.7gを、水(240ml)と6Mの水酸化ナトリウム水溶液(18ml)との混合液に溶解させて第一混合溶液をそれぞれ得た。次に、第一混合溶液に対して、4,4’−トリエトキシシリルビフェニルとメトキシシシル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体(4-[4-[3-(Trimethoxysilanyl)propylsulfanyl]butyl]-4-methyl-2,2’-bipyridinyl:以下「BiPy’」と示す。)とを総量で16.8mmol含有する混合液(合成例5:BiPy’の混合比率が30mol%、合成例6:BiPy’の混合比率が50mol%)を、室温(25℃)で攪拌しながら滴下し、第二混合溶液をそれぞれ得た。次いで、得られた第二混合溶液に対して、3分間の超音波照射と10秒間の攪拌とを10回繰り返した後、室温(25℃)で18時間攪拌し、反応溶液をそれぞれ得た。そして、得られた反応溶液を95℃の温度条件下で20時間加熱して、界面活性剤が含有されたシリカ多孔体(界面活性剤が含有されたBiPh−HMM)をそれぞれ得た。次いで、前記界面活性剤が含有されたBiPh−HMM(1g)を、エタノール(200ml)と濃塩酸(9g)とを含む混合液中に懸濁させて第一懸濁液をそれぞれ得た。そして、第一懸濁液を75℃の温度条件で一晩加熱し、界面活性剤が含有されたBiPh−HMMから界面活性剤を抽出した。その後、第一懸濁液を濾過して粉末を取り分けて、ビピリジンがプロトン化された状態で導入されたBiPh−HMM粉末をそれぞれ得た。
次に、ビピリジンがプロトン化された状態で導入されたBiPh−HMM粉末1gを、0.5Mのトリエチルアミンを含むエタノール溶液20mlの混合液中に懸濁させて第二懸濁液をそれぞれ得た。そして、得られた第二懸濁液を常温(25℃)で一晩攪拌し、プロトン化されたビピリジンを中和した。その後、第二懸濁液を濾過して粉末を取り分け、得られた粉末を真空中で乾燥させて、ビピリジンの導入されたシリカ多孔体(BiPy’−BiPh−HMM)粉末をそれぞれ得た。なお、合成例5〜6で得られたBiPy’−BiPh−HMM中に導入されたビピリジンの含有比率は、前述の4,4’−トリエトキシシリルビフェニルとメトキシシシル基を有する2,2’−ビピリジン誘導体とを含有する混合液中のBiPy’の混合比率に依存し、S原子の元素分析の結果、それぞれ0.47mmol/g(合成例5)、0.78mmol/g(合成例6)であることが確認された。
(実施例18)
合成例5で得られたBiPy’−BiPh−HMM50mgと、Re(CO)(PPh)(CFSO)17.3mgと、トルエン10mlとを混合し、アルゴンガスを20分間通気した後に5時間加熱還流して粉末を得た。得られた粉末をろ過により取り分け、トルエン及びアセトン、エタノール、アセトン、ジエチルエーテルの順で洗浄した後、真空中で乾燥させて、レニウム錯体が固定されたBiPh−HMM(Re(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMM)を得た。
(実施例19)
合成例6で得られたBiPy’−BiPh−HMMとRe(CO)(PPh)(CFSO)28.9mgとを用いた以外は、実施例18と同様の方法を採用してレニウム錯体が固定されたBiPh−HMM(Re(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMM)を得た。
[実施例18〜19で得られたRe(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMMの特性の評価]
実施例18〜19で得られたRe(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMMの発光量子収率を測定した。このような測定は、各Re(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMMの粉末サンプル1mgを、それぞれ4mlのアセトニトリルに分散させて20分間アルゴンガスを通気した後に、容器(石英製セル)に密栓したものを用いて行った。265nmの光で励起させた際のRe(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMMの発光量子収率は、いずれの場合も0.03で、レニウム錯体に由来する発光のみが観測された。一方、350nmの光で励起させた際のRe(PPh)(CO)BiPy’―BiPh−HMMの発光量子収率は、いずれの場合も0.05で、レニウム錯体に由来する発光のみが観測された。このような結果から、265nmの光で多孔体の骨格内のBiPhを励起した場合、レニウム錯体にエネルギー移動を起こし、レニウム錯体に由来する発光が観測されることが分かった。また、265nmの光で多孔体の骨格内のBiPhを励起した場合に、BiPhからの発光が完全に消光されているにも関わらず、レニウム錯体へのエネルギー移動効率が100%に達していないことから、265nmの光で励起された多孔体の骨格内のBiPhの一部が、電子受容性の強いRe(PPh)部位へと電子供与していることが推察される。従って、本発明の光エネルギー変換材料(実施例18〜19)においては、多孔体の骨格内のBiPhによって吸収された光エネルギーがレニウム錯体から放出されることが確認され、更に、光励起されたBiPhがレニウム錯体へ電子供与していることが示唆された。
(実施例20)
合成例1で得られたBiPh−HMM0.50gを反応容器内に入れ、真空排気下で加熱処理し、細孔内の物理吸着水を除去した。その後、前記反応容器中にアルゴンガスを充填し、トルエン50mlとチタンイソプロポキシド0.58mLとを添加して1〜2時間還流処理を行った。次いで、前記反応溶中の混合物から濾過により粉末を回収した。そして、得られた粉末を脱水エタノール、イオン交換水で洗浄し、前記粉末から未反応のチタンイソプロポキシドを除去して、酸化チタン(TiO)により修飾されたBiPh−HMM(Ti−BiPh−HMM)を得た。
(実施例21)
合成例1で得られたBiPh−HMM0.50gを反応容器内に入れ、真空排気下で加熱処理し、細孔内の物理吸着水を除去した。その後、前記反応容器中にアルゴンガスを充填し、脱水エタノール50mlと塩化タンタル0.72gとを添加して、1〜2時間還流処理を行った。次いで、前記反応溶中の混合物から濾過により粉末を回収した。そして、得られた粉末を脱水エタノール、イオン交換水で洗浄し、前記粉末から未反応の塩化タンタルを除去して、酸化タンタル(TaO)により修飾されたBiPh−HMM(Ta−BiPh−HMM)を得た。
[実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMの特性の評価]
実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMをそれぞれ用い、N吸着等温線、BJH細孔径分布曲線、X線回折パターン、NMRスペクトルを測定した。このような測定の結果、半導体酸化物は細孔に高分散の状態で担持されていることが確認され、更に、合成例1で得られたBiPh−HMMと比較して、固定化処理によるメソ孔の規則配列、有機基配列、シロキサン縮合度等の変化は認められなかった。
<紫外/可視拡散反射スペクトルと発光スペクトルの測定>
合成例1で得られたBiPh−HMM、実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を測定した。得られたUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)のグラフを図37に示す。なお、かかる拡散反射スペクトルのグラフは図37中において実線で示す。
また、合成例1で得られたBiPh−HMM、実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMの発光スペクトルを測定した。このような測定には、合成例1で得られたBiPh−HMM、実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMの各粉末を、それぞれ0.4mg用い、各粉末をそれぞれ4mlのアセトニトリルに分散させて20分間アルゴンガスを通気した後に、容器(石英製セル)に密栓したものを試料として用いて行った。280nmの光で励起させた際の発光スペクトルを図37に示す。なお、かかる発光スペクトルのグラフは図37中において破線で示す。
図37に示す結果からも明らかなように、合成例1で得られたBiPh−HMMに対して280nmの励起光を照射した場合には、380nmを中心とする発光ピークが観察された。一方、実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMでは、骨格内ビフェニル基の発光ピークは確認されたものの、ピーク強度はBiPh−HMMの場合よりも大きく低下していることが確認された。また、蛍光量子収率(励起光:280nm)を比較すると、BiPh−HMM(合成例1)の0.20に対し、Ti−Bp−HMM(実施例20)は0.04であり、Ta−Bp−HMM(実施例21)は0.11であった。このような結果から、TiO、Taの伝導帯はビフェニレン分子のLUMO準位よりも低いため、光励起によって生成した励起電子がTiO、Taの伝導帯に移動し、量子効率低下を引き起こしたことが示唆された。
以上説明したように、本発明によれば、光エネルギー変換反応を効率よく進行させて、光エネルギー変換効率を大幅に向上させることができ、しかも電子供与体と電子受容体の物理的安定性を向上させて十分な耐久性を発揮させることが可能な光エネルギー変換材料を提供することが可能となる。したがって、本発明の光エネルギー変換材料は、光エネルギー変換効率に優れるため、COの光還元触媒やHの光還元触媒等の光触媒や太陽電池等の分野に好適に利用することが可能である。
合成例1で得られたBiPh−HMMの結晶粉体のXRD回折パターンを示すグラフである。 合成例1で得られたBiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 合成例2で得られたBiPh−HMMの薄膜のXRD回折パターンを示すグラフである。 実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMのXRD回折パターンを示すグラフである。 実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例1で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を示すグラフである。 実施例3で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmのXRD回折パターンを示すグラフである。 実施例3で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM−filmの吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例4で得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMのXRD回折パターンを示すグラフである。 実施例4で得られたMV(Cl)−Na−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例5〜9での平衡時の溶液中のMV(Cl)濃度とBiPh−HMMに吸着されたMV(Cl)量との関係を示すグラフである。 実施例5〜9での平衡時の溶液中のMV(Cl)濃度とBiPh−HMMに吸着されたMV(Cl)量との関係を示すグラフである。 実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例5〜9で得られたMV(Cl)−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を示すグラフである。 実施例10〜12での平衡時の溶液中のMV(PF濃度とBiPh−HMMに吸着されたMV(PF量との関係を示すグラフである。 実施例10〜14での平衡時の溶液中のMV(PF濃度とBiPh−HMMに吸着されたMV(PF量との関係を示すグラフである。 実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例10〜14で得られたMV(PF)−BiPh−HMMのUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を示すグラフである。 実施例16で得られたMV(Cl)−Na−FSMの積分球のUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)のグラフである。 比較例1で得られたMV(Cl)−FSMの積分球のUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)のグラフである。 図21(a)は、SiVSi(I)−BiPh−HMM(実施例1)を用いて石英セルの内壁に形成した薄膜の光照射前の状態を示す写真であり、図21(b)は、SiVSi(I)−BiPh−HMM(実施例1)を用いて石英セルの内壁に形成した薄膜の光照射後の状態を示す写真である。 SiVSi(I)−BiPh−HMM(実施例1)を用いて製造した試料のUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)のグラフである。 SiVSi(PF)−BiPh−HMM(実施例2)の時間分解過渡吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの600nmの吸光度の変化を示すグラフである。 実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの600nmの吸光度の変化を示すグラフである。 実施例2で得られたSiVSi(PF)−BiPh−HMMの600nmの吸光度の変化を示すグラフである。 MV(PF)−BiPh−HMMを含む反応溶液及び比較用試料1〜2に光を照射した際のMV・+の濃度と時間との関係を示すグラフである。 MV(PF)−BiPh−HMMを含む反応溶液及び比較用試料1〜4に光を照射した際のMV・+の濃度と時間との関係を示すグラフである。 FSMを用いて得られた比較用試料1のpH3.6又はpH7.4の場合のそれぞれのMV・+の濃度と時間との関係を示すグラフである。 BiPh−HMM、FSM、MSM及びメソ細孔含有シリカゲルの細孔の表面積と、反応速度との関係を示すグラフである。 合成例4で得られたBiPh−HMMの結晶粉体の窒素吸脱着等温線と細孔径分布曲線とを示すグラフである。 合成例4で得られたBiPh−HMMの結晶粉体のXRDパターンを示すグラフである。 実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM及び合成例4で得られたBiPh−HMMのXRD回折パターンを示すグラフである。 実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM及び合成例4で得られたBiPh−HMMの窒素吸脱着等温線を示すグラフである。 実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMM及び合成例4で得られたBiPh−HMMの細孔径分布曲線を示すグラフである。 水素発生試験の前後の触媒(Pt−SiVSi(I)−BiPh−HMM)、合成例4で得られたBiPh−HMM、実施例17で得られたSiVSi(I)−BiPh−HMMのXREパターンを示すグラフである。 合成例1で得られたBiPh−HMM、実施例20で得られたTi−BiPh−HMM及び実施例21で得られたTa−BiPh−HMMの発光スペクトル並びにUV/Visスペクトル(拡散反射スペクトル)を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 骨格内に電子供与体を備える多孔体と、該多孔体の細孔内、骨格内及び外周部のうちの少なくとも一つの部位に配置された電子受容体とを備えることを特徴とする光エネルギー変換材料。
  2. 前記骨格内に電子供与体を備える多孔体が、有機基を含有するシリカ多孔体であることを特徴とする請求項1に記載の光エネルギー変換材料。
  3. 前記有機基が、芳香族化合物、ペリ縮合環芳香族化合物、多環芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、含硫黄芳香族化合物、芳香族ビニルポリマー、芳香族アミン化合物、アルキルアミン化合物、ニトロ化合物、窒素含有有機配位子を有する金属錯体、環状配位子を有する金属錯体、金属錯塩、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の光エネルギー変換材料。
  4. 前記多孔体が、前記有機基の規則的な配列に起因する5nm以下の周期構造を有するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の光エネルギー変換材料。
  5. 前記多孔体が、中心細孔直径が1〜30nmの細孔を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の光エネルギー変換材料。
  6. 前記多孔体が、X線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するものであることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の光エネルギー変換材料。
  7. 前記電子受容体が、キノン化合物、ビニル基を有する芳香族化合物、シアノ基を有する芳香族化合物、ニトロ基を有する芳香族化合物、含窒素芳香族化合物、ジシアノメチレン基を有する有機化合物、ジシアノメチレン基を有する有機化合物を配位子として含有する分子性金属錯体、シアノイミノ基を有する有機化合物、シアノイミノ基を有する有機化合物を配位子として含有する分子性金属錯体、フラーレン、カーボンナノチューブ、窒素含有有機配位子を有する金属錯体、環状配位子を有する金属錯体、金属錯塩、金属イオン、金属酸化物、及びこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の光エネルギー変換材料。
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