JP4785174B2 - 膜タンパク質複合材料及びその製造方法 - Google Patents

膜タンパク質複合材料及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、シリカ系メソ多孔体とタンパク質との複合材料、並びにその製造方法に関する。
近年、様々な物質を吸着、貯蔵等するための材料として、孔径1〜50nm程度のメソサイズの細孔(メソ孔)が非常に規則的に配列したシリカ系メソ多孔体が注目されており、このようなシリカ系メソ多孔体の機能開発の研究が積極的に行われてきた。
一方、酵素は常温で触媒作用を発揮し、触媒作用の特異性が高く、副反応が少ない等の長所があり、このような酵素をシリカ系メソ多孔体等の構造ユニットに固定した超安定化酵素が特開2000−139459号公報(特許文献1)に記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載されているように従来からシリカ系メソ多孔体等の担体に複合化することが検討されてきた酵素は、溶液に容易に溶解するいわゆる可溶性タンパク質のみであった。そのため、従来は、複合化して用いることができるタンパク質は実質的に可溶性タンパク質に制限されてしまい、機能性の付与に限界があるといった問題があった。
特開2000−139459号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、従来はシリカ系メソ多孔体等の担体と複合化することはできないと考えられてきた膜タンパク質がその機能を阻害されることなくかつ安定的にシリカ系メソ多孔体に固定化されており、熱等に対する安定性が高くかつ膜タンパク質が有する機能を発現することが可能な膜タンパク質複合材料、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来はシリカ系メソ多孔体等の担体と複合化することはできないと考えられてきた膜タンパク質であっても、その機能が阻害されることなくかつ安定的にシリカ系メソ多孔体に固定化することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、いわゆる膜タンパク質は、細胞膜に埋め込まれた状態で光合成のようなエネルギー変換系等の機能を発現するものであり、一般的に内部には親水性アミノ酸、外部には疎水性アミノ酸を有しており、可溶化が非常に困難なものである。そのため、このような膜タンパク質を可溶化するためには、界面活性剤を利用してその疎水性表面を覆うことによって細胞膜から分離する必要があった。そのため、このようにして分離された膜タンパク質の表面には多量の界面活性剤が吸着しており、その分子径は膜タンパク質のみの分子径に比べて遥かに大きく、シリカ系メソ多孔体の細孔内に固定化させることはできないと考えるのが当業者の通常の認識であった。しかしながら、本発明者らは、分離された膜タンパク質をシリカ系メソ多孔体に固定化させる際に、膜タンパク質が凝集しない範囲で界面活性剤の濃度が低濃度化された状態とすることにより、驚くべきことに膜タンパク質をその機能が阻害されることなくかつ安定的にシリカ系メソ多孔体に固定化することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
本発明の膜タンパク質複合材料は、シリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に固定化されている細胞膜から分離された膜タンパク質とを備えることを特徴とするものである。
前記本発明の膜タンパク質複合材料において複合化される前記膜タンパク質は、疎水性アミノ酸を外部に有する疎水性膜タンパク質であることが好ましく、このような膜タンパク質が前記シリカ系メソ多孔体の細孔内に吸着されていることが好ましい。
また、本発明において担体として用いる前記シリカ系メソ多孔体は、細孔内表面にイオン性官能基を有さないものであることが好ましい。
本発明の膜タンパク質複合材料の製造方法は、
界面活性剤を含有する溶液に、膜タンパク質を溶解及び/又は分散させた溶液を調製する溶液調製工程と、
前記溶液にシリカ系メソ多孔体を懸濁させ、前記溶液中の前記膜タンパク質を前記シリカ系メソ多孔体に固定化せしめる固定化工程と、
を含み、且つ、
前記固定化工程において、前記溶液が10 −5 〜0.1質量%の濃度の界面活性剤を含有していることを特徴とする方法である。
前記本発明の方法は、前記固定化工程に先立って、前記膜タンパク質が凝集しない範囲で前記溶液中の界面活性剤の濃度を低濃度化する界面活性剤除去工程を更に含むことが好ましい。
また、前記本発明の方法においては、前記固定化工程において、前記溶液が25mM以上の濃度の塩を含有していることがより好ましい。
さらに、本発明において担体として用いる前記シリカ系メソ多孔体は、細孔内表面にイオン性官能基を有さないものであることが好ましく、このようなシリカ系メソ多孔体を準備するための前処理工程、すなわち前記シリカ系メソ多孔体の細孔内表面に存在するイオン性官能基を非極性基に置換せしめる前処理工程、を前記本発明の方法が更に含んでいてもよい。
なお、本発明によれば、熱等に対する安定性が高くかつ膜タンパク質が有する機能を発現することが可能な膜タンパク質複合材料が得られるようになる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の膜タンパク質複合材料においては、疎水性の膜タンパク質がその基本的な構造は変化することなく疎水性的な表面を有するシリカ系メソ多孔体の細孔内に固定化されているため、膜タンパク質が細胞膜内に存在する状態と同様な環境が提供され、膜タンパク質が有する機能が阻害されることなく発現される。そして、膜タンパク質がシリカ系メソ多孔体の細孔内表面に固定化されているため、膜タンパク質の分子運動が抑制され、膜タンパク質が変性・失活する際に生じる不可逆的な構造変化が物理的に押さえ込まれ、それらの結果として熱等に対する安定性が非常に向上するものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、従来はシリカ系メソ多孔体等の担体と複合化することはできないと考えられてきた膜タンパク質がその機能を阻害されることなくかつ安定的にシリカ系メソ多孔体に固定化されており、熱等に対する安定性が高くかつ膜タンパク質が有する機能を発現することが可能な膜タンパク質複合材料を提供することが可能となる。また、本発明の製造方法によれば、上記本発明の膜タンパク質複合材料を効率良くかつ確実に製造することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
(シリカ系メソ多孔体)
先ず、本発明の膜タンパク質複合材料において用いられるシリカ系メソ多孔体について説明する。
本発明において、メソ多孔体とは、細孔のサイズがメソ孔である多孔体をいう。ここで、メソ孔とは、中心細孔直径が1〜50nmのものをいい、好ましくは中心細孔直径が2〜20nmのものである。中心細孔直径が前記下限未満の場合は膜タンパク質が細孔内に導入されにくくなり、他方、前記上限を超える場合は細孔内に導入された膜タンパク質の安定化効果が低くなる。なお、中心細孔直径とは、メソ多孔体の細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径を意味する。そして、細孔分布曲線は、メソ多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガス吸着量をプロットして吸着等温線を得た後に、Cranston−Inklay法、Dollimore−Heal法、BJH法等を適用して求めることができる曲線である。
本発明にかかるシリカ系メソ多孔体は、ケイ素原子と酸素原子を必須成分として含む化合物の多孔体である。このようなシリカ系メソ多孔体としては、0.1〜1.5mL/gの細孔容積を有するものが好ましく、また、200〜1500m/gのBET比表面積を有するものが好ましい。そして、シリカ系メソ多孔体は、全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上の多孔体であることが好ましい。
ここで、「全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味する。この条件を満たす多孔体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味し、このような細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体に膜タンパク質を固定化させることにより、膜タンパク質の熱等に対する安定性が向上する傾向にある。なお、細孔容積は、上述のようにシリカ系メソ多孔体を液体窒素温度に冷却して窒素ガスを導入する方法(窒素吸着法)により算出することができる。
また、本発明にかかるシリカ系メソ多孔体は、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するX線回折パターンを示す多孔体であることが好ましい。X線回折パターンでピークが現われる場合は、そのピーク角度に相当するd値の周期構造がシリカ系メソ多孔体中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。このように非常に規則的な細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体に膜タンパク質を固定化させることにより、膜タンパク質の熱等に対する安定性が向上する傾向にある。
上述のシリカ系メソ多孔体における、細孔の配列状態(細孔配列構造)は特に制限されず、例えば、2d−ヘキサゴナルや3d−ヘキサゴナル等のヘキサゴナルの細孔配列構造を有するものであっても、キュービックやディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。ここで、シリカ系メソ多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、シリカ系メソ多孔体の細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,680,1993; S.Inagaki et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,69,1449,1996; Q.Huo et al.,Science,268,1324,1995参照)。
また、シリカ系メソ多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、シリカ系メソ多孔体中の細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli et al.,Chem.Mater.,6,2317,1994; Q.Huo et al.,Nature,368,317,1994参照)。そして、シリカ系メソ多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev et al.,Science,267,865,1995; S.A.Bagshaw et al.,Science,269,1242,1995; R.Ryoo et al.,J.Phys.Chem.,100,17718,1996参照)。
なお、シリカ系メソ多孔体が、ヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造を有する場合は、細孔の全てがこれらの規則的細孔配列構造である必要はない。すなわち、シリカ系メソ多孔体は、ヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造とディスオーダの不規則的細孔配列構造の両方を有していてもよい。しかしながら、全ての細孔のうち80%以上はヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造となっていることが好ましい。
また、シリカ系メソ多孔体は、有機基を有するシリカ系メソ多孔体(以下、場合により「有機化シリカ系メソ多孔体」という)であっても、有機基を有しないシリカ系メソ多孔体(以下、場合により「非有機化シリカ系メソ多孔体」という)であってもよい。なお、有機基の有無にかかわらず、いずれのシリカ系メソ多孔体の場合においても、ケイ素以外の金属元素(例えば、Al、Zr、Ti等)を更に含んでいてもよい。
ここで、有機化シリカ系メソ多孔体とは、シリカ系メソ多孔体を構成するケイ素原子の少なくとも一部に、有機基が、炭素−ケイ素結合を形成することによって結合しているものをいう。有機基としては、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から1以上の水素がとれて生じる炭化水素基や、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルホン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等が挙げられる。
上記非有機化シリカ系メソ多孔体を得る方法としては、例えば、(i)米国特許5057296号公報に記載されているように、アルコキシシラン、沈降性シリカ、水ガラス、ケイ酸ナトリウム等のシリカ原料を、界面活性剤(ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等)が溶解した水溶液に添加して反応させ、その後界面活性剤を除去する方法や、(ii)特開平8−67578号公報及び特開平8−277105号公報に記載されているように、層間にイオンを有する層状ケイ酸塩を界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩等)を用いてイオン交換した後に層間を架橋せしめ、その後界面活性剤を除去する方法等が挙げられる。また、上記有機化シリカ系メソ多孔体を得る方法としては、例えば、(iii)特開2001−114790号公報に記載されているように、有機基とケイ素原子を含有し、有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているケイ素化合物を含むシリカ原料を、界面活性剤(ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩等)と溶媒とを含む溶液中で反応させ、その後界面活性剤を除去する方法が挙げられる。
このような非層状のシリカ原料を用いる(i)や(iii)の方法においては、先ず、水に界面活性剤を添加することにより、界面活性剤は水中で規則的に配列したミセルを形成する。ミセルが形成された水溶液に対してシリカ原料が添加されると、界面活性剤の周囲にシリカ原料が集合し複合体(典型的にはハニカム状の複合体)が形成される。そして、界面活性剤の周囲において塩基性又は酸性条件下でシリカ原料が反応してケイ素酸化物に変化する。したがって、界面活性剤がミセルを形成していた部分にはケイ素酸化物が形成されないため反応生成物は多孔体となる。
また、層状のシリカ原料を用いる(ii)の方法においては、界面活性剤の水溶液に層状ケイ酸塩が添加されると、層状ケイ酸塩の層間に界面活性剤が入り込み複合体(典型的にはハニカム状の複合体)が形成される。このとき、隣接する層状ケイ酸塩の各層は結合しないが、塩基性又は酸性条件下で層状ケイ酸塩の反応が進行することにより隣接する層が結合する。これにより、界面活性剤が存在していた部分が孔となるようにして多孔体が形成される。
なお、本発明にかかるシリカ系メソ多孔体を得る際に用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム{Cp2p+1N(CH33}、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭化物、ヨウ化物又は水酸化物;ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤{(EO)x(PO)y(EO)xで表されるトリブロックコポリマー型ポリアルキレンオキサイド等};脂肪酸塩;アルキルスルホン酸塩;アルキルリン酸塩;一級アルキルアミン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を混合して用いてもよいが、細孔内表面にイオン性官能基を実質的に有さないシリカ系メソ多孔体が得られるという観点から、ポリエチレンオキサイド系等の非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
このように細孔内表面にイオン性官能基を実質的に有さないシリカ系メソ多孔体を用いると、細孔内に固定化される膜タンパク質の量が顕著に向上する傾向にある。なお、いわゆる可溶性タンパク質の場合は逆であり、細孔内表面にイオン性官能基を実質的に有さないシリカ系メソ多孔体を用いると、細孔内に固定化される可溶性タンパク質の量が顕著に減少する傾向にある。このように膜タンパク質と可溶性タンパク質とで現象が逆になる理由は必ずしも定かではないが、可溶性タンパク質は細孔内のイオン性官能基に結合するのに対して、膜タンパク質は全く別異のメカニズム(吸着・結合形態)によって細孔内に固定化されるものと本発明者らは推察する。
なお、シリカ系メソ多孔体の細孔内表面に存在し得るイオン性官能基としては、シラノール基(−SiOH基)、シラノール基の塩(−SiONa基等)等が挙げられ、このようなイオン性官能基を細孔内表面に実質的に有さないとは、前記イオン性官能基を有さない結合、例えばシロキ酸結合(−Si−O−Si−)で覆われている場合をいう。
(膜タンパク質)
次に、本発明の膜タンパク質複合材料において用いられる膜タンパク質について説明する。
本発明において用いる膜タンパク質(membrane protein)は、細胞膜(脂質二分子膜)に埋め込まれた状態で光合成のようなエネルギー変換系等の機能を発現するものであり、一般的に内部には親水性アミノ酸、外部には疎水性アミノ酸を有している。
このような膜タンパク質の外部(表面及びその近傍)に存在する疎水性アミノ酸としては、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン等が挙げられる。
また、本発明において用いることができる膜タンパク質は、特に限定されるものではなく、以下のような諸機能を有する各種の膜タンパク質:
・輸送機能を有するナトリウムポンプやプロトンポンプ、
・光エネルギー変換機能を有する光合成タンパク質複合体、
・電子伝達機能を有するNADH脱水素酵素複合体やシトクローム酸化酵素複合体、
・ATP合成酵素、
等が挙げられる。
このような膜タンパク質の具体的なものとしては、例えば、光合成タンパク質複合体として以下の反応中心及びアンテナタンパク質が挙げられる。すなわち、クロロフィル(Chl)、バクテリオクロロフィル(BChl)等の色素を含む光合成生物においては、光合成により光エネルギーが化学エネルギーに変換される。このような反応を行う分子装置が、色素や電子伝達物質を内部に含むタンパク質複合体、すなわち反応中心(RC)と呼ばれる膜タンパク質である。また、光合成における電子伝達反応は、光からエネルギーを獲得して反応中心のスペシャルペア(SP)が励起されることによって反応が開始されるが、効率的な反応を続けるために光の獲得・輸送に特化したタンパク複合体が存在する。このような光の獲得・輸送に特化したタンパク複合体が、アンテナタンパク質(光捕集系)と呼ばれる膜タンパク質である。このようなアンテナタンパク質で集められた光エネルギーが励起エネルギー移動により反応中心に運ばれ、反応中心で光エネルギーから電気化学エネルギーへと変換される。なお、このような過程は化学的には酸化還元反応として考えられる。
(膜タンパク質複合材料)
次に、本発明の膜タンパク質複合材料について説明する。
本発明の膜タンパク質複合材料は、前記シリカ系メソ多孔体とそのシリカ系メソ多孔体に固定化されている前記膜タンパク質とを備えるものである。このような膜タンパク質複合材料において、膜タンパク質は、シリカ系メソ多孔体の表面、特に細孔内表面に固定化(好ましくは吸着)されており、それによって膜タンパク質の分子運動が抑制され、熱等に対する安定性の向上が達成される。
本発明の膜タンパク質複合材料においてシリカ系メソ多孔体に固定化されている膜タンパク質の量は特に制限されないが、膜タンパク質としての機能がより確実に達成されるようになるという観点から、シリカ系メソ多孔体100質量部に対して固定化されている膜タンパク質の量が1〜100質量部程度であることが好ましい。
また、本発明において用いる膜タンパク質とシリカ系メソ多孔体との組み合わせは特に制限されないが、膜タンパク質の大きさ(最大直径、φ)の1.0倍〜1.5倍程度の大きさの中心細孔直径(φ)を有するシリカ系メソ多孔体を用いることが好ましい。(φ/φ)の値が前記下限未満の場合は膜タンパク質が細孔内に導入されにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超える場合は細孔内に導入されても膜タンパク質の安定化効果が現れなくなる傾向にある。
(膜タンパク質複合材料の製造方法)
本発明の膜タンパク質複合材料の製造方法は、
(i)界面活性剤を含有する溶液に、前述の膜タンパク質を溶解及び/又は分散させた溶液を調製する溶液調製工程と、
(ii)前記溶液に前述のシリカ系メソ多孔体を懸濁させ、前記溶液中の前記膜タンパク質を前記シリカ系メソ多孔体に固定化せしめる固定化工程と、
を含むことを特徴とする方法である。
本発明にかかる膜タンパク質は、前述の通り、可溶化が非常に困難なものである。そのため、先ずはこのような膜タンパク質を可溶化するために、界面活性剤を利用してその疎水性表面を覆うことによって細胞膜から分離(抽出)せしめ、膜タンパク質を溶解及び/又は分散させた溶液を調製する(溶液調製工程)。
ここで使用する界面活性剤としては、特に制限されないが、以下の陰イオン性、陽イオン性、両性、及び非イオン性の界面活性剤が挙げられる。
・陰イオン性:Sodium Dodecylsulfate[SDS]、Lithium Dodecyl Sulfate[LDS]、Sodium Cholate、N−Lauroylsarcosine
・陽イオン性:Cetyltrimethylammonium Bromide[CTAB]、Guanidine Thiocyanate
・両性:3−[(3−Cholamidopropyl)dimethylammonio]−1−propanesulfonate[CHAPS]
・非イオン性:Polyoxyethylene(10)Octylphenyl Ether[Triton X−100]、n−Dodecyl−β−D−maltopyranoside[DM]、Lauryldimethylamine oxide[LDAO]、Polyoxyethylene(23)Lauryl Ether[Brij35]、Decanoyl−N−methylglucamide[MEGA−10]。
これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上を混合して用いてもよいが、膜タンパク質を構造を保持したまま活性型で溶出するという観点から、非イオン性界面活性剤が特に好ましい。
また、膜タンパク質を可溶化する際に用いる溶液中の界面活性剤の濃度は、0.001〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることが特に好ましい。この溶液中の界面活性剤の濃度が上記下限未満では膜タンパク質が可溶化されにくくなる傾向にあり、他方、上記上限を超えると膜タンパク質の変性が生じる傾向にある。
さらに、膜タンパク質を可溶化する際に用いる溶媒は、可溶化された膜タンパク質を前記界面活性剤と共に溶解及び/又は分散させることが可能なものであればよく、特に制限されないが、pHを5〜9程度に調整した緩衝液が好適に用いられる。
上記溶液調製工程において膜タンパク質を細胞膜から分離(抽出)させる具体的な方法や条件等も特に制限されず、例えば、前記溶液中で超音波処理によって細胞膜を破壊し、遠心分離により得た上澄み液中の膜タンパク質を超遠心分離により回収した後、前記溶液中で膜タンパク質を0〜60℃程度で10分〜数時間程度撹拌することによって可溶化させることができる。
次に、本発明の膜タンパク質複合材料の製造方法においては、前記溶液調製工程において得られた溶液に前述のシリカ系メソ多孔体を懸濁させ、前記溶液中の前記膜タンパク質を前記シリカ系メソ多孔体に固定化せしめる(固定化工程)。
本発明においては、かかる固定化工程において膜タンパク質をシリカ系メソ多孔体に固定化させる際に、膜タンパク質が凝集しない範囲で界面活性剤の濃度が低濃度であることが大切であり、このような溶液中の界面活性剤の濃度は、10−5〜0.1質量%であることが好ましく、10−5〜10−3質量%であることが特に好ましい。この溶液中の界面活性剤の濃度が上記下限未満では膜タンパク質が凝集してシリカ系メソ多孔体の細孔内に固定化されにくくなる傾向にあり、他方、上記上限を超えると膜タンパク質の表面に多量の界面活性剤が吸着してシリカ系メソ多孔体の細孔内に固定化されにくくなる傾向にある。
なお、前述の溶液調製工程において用いた溶液中の界面活性剤の濃度が低濃度であればそのまま固定化工程に用いてもよいが、固定化工程に先立って、膜タンパク質が凝集しない範囲で前記溶液中の界面活性剤の濃度を低濃度化せしめることが好ましい(界面活性剤除去工程)。このように界面活性剤を除去する具体的な方法としては、特に制限されないが、透析や希釈により界面活性剤濃度を低下させる方法が適宜用いられる。
かかる固定化工程において用いる溶媒は、特に制限されないが、前述の溶液調製工程において用いた溶媒と同様のものでよく、pHを5〜9程度に調整した緩衝液が好適に用いられる。
また、上記溶液における膜タンパク質の濃度は特に制限されないが、0.1〜10nM程度とすることが好ましい。さらに、固定化工程における具体的な方法や条件等は特に制限はなく、例えば、前記溶液中にシリカ系メソ多孔体を投入し、0〜10℃程度で0.5〜5時間程度撹拌することによって膜タンパク質をシリカ系メソ多孔体に固定化せしめることができる。
なお、固定化工程において用いるシリカ系メソ多孔体としては、前述の通り、細孔内表面にイオン性官能基を実質的に有さないものが好ましいが、細孔内表面にイオン性官能基を有するものを用いた場合であっても、前記溶液中の塩濃度を25mM以上(より好ましくは50〜200mM)とすることによって固定化される膜タンパク質の量をより向上させることが可能である。その理由は必ずしも定かではないが、シリカ系メソ多孔体の細孔内表面に存在する電荷と膜タンパク質表面に存在する電荷との間のクーロン力が塩濃度を上げることにより抑制されることによると本発明者らは推察する。このような塩としては、特に制限されないが、NaCl、KCl等が挙げられる。
また、本発明の膜タンパク質複合材料の製造方法においては、用いるシリカ系メソ多孔体の細孔内表面に存在するイオン性官能基を予め非極性基に置換せしめておいてもよい(前処理工程)。このようにイオン性官能基を非極性基に置換する方法も特に制限されないが、例えば、シリカ系メソ多孔体の細孔内表面をトリメチルメトキシシラン等のシランカップリング剤によって処理するといった方法が適宜用いられる。
また、本発明の膜タンパク質複合材料の製造方法は、上記固定化工程の後に、更に、遠心分離等を行って膜タンパク質複合材料を溶液と分離して取り出す工程を有していてもよく、さらに、乾燥等を行って液体成分を除去した状態の膜タンパク質複合材料を得る工程を有していてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(シリカ系メソ多孔体Aの合成)
乾燥水ガラス(SiO2/Na2O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成し、ジケイ酸ソーダ(δ−Na2Si25)に結晶化させた。この結晶25gを500mLの水に分散させ、1.5時間攪拌した。その後、濾過して固形分を回収してカネマイトを得た。こうして得られたカネマイト5.0gを50mlの水に分散させ、得られた分散液を55℃に保温した。また、ドコサトリメチルアンモニウムクロライド4.0gを50mlの水に溶解せしめ、そこに3.0gのトリイソプロピルベンゼンを加えて激しく攪拌した。次に、得られた溶液と前記分散液とを混合し、攪拌しながら80℃に昇温してそのまま80℃で3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液のpHは12.3であった。その後80℃で加熱、攪拌しながら2Nの塩酸を添加して、分散液のpHを8.5に下げた。そして更に80℃で3時間加熱した後、室温まで放冷した。固形生成物を一旦濾過し、再び1000mLのイオン交換水に分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返してから風乾した。風乾して得られた試料を、窒素中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより、中心細孔直径が約8.5nmのシリカ系メソ多孔体Aを得た。
(シリカ系メソ多孔体Bの合成)
トリイソプロピルベンゼンの添加量を4.0gとした以外はシリカ系メソ多孔体Aの合成と同様にして、中心細孔直径が約10.1nmのシリカ系メソ多孔体Bを得た。
(シリカ系メソ多孔体Cの合成)
先ず、テフロン容器中にPluronicP−123ブロック共重合体{HO(CHCHO)20(CHCH(CH)O)70(CHCHO)20H}2.0gを入れ、そこに水15mlと2N HCl 60mlとを加えて溶解した。更にそこにメシチレン1.0gを添加し、次いでテトラエチルオルソシリケート(TEOS)4.25gを加えて室温で5分間攪拌した後、30℃で24時間攪拌し、更に80℃の恒温槽に移して静置した。このようにして得られた固形生成物をろ過し、イオン交換水で洗浄した後、空気中において550℃で6時間焼成することにより、中心細孔直径が約18.0nmのシリカ系メソ多孔体Cを得た。なお、得られたシリカ系メソ多孔体Cの細孔内表面には、イオン性官能基は実質的に存在していなかった。
(膜タンパク質溶液の準備)
以下の表1に示す4種類の膜タンパク質を含有する溶液を準備した。なお、D1D2 cytB559は、ホウレンソウの光化学系II(PS II)のコアタンパク質である。また、Rodobactor(Rb.)sphaeroides及びThermochromatium(T.)tepidumはそれぞれ酸素非発生型光合成生物の一種である紅色光合成細菌であり、RC(Rb.sphaeroides)は前者の反応中心、RC(T.tepidum)は後者の反応中心、LHII(T.tepidum)は後者のアンテナタンパク質である。
Figure 0004785174
RC(T.tepidum)及びLHII(T.tepidum)を含有する溶液は、それぞれ以下のようにして抽出及び精製することによって調製した。すなわち、先ず、T.tepidum cell 6mlに、20mMのTris-HCl及び0.05質量%のLDAOを含有する緩衝液(pH8.5)30mlを加えて懸濁せしめ、氷中で超音波処理(1.5min照射+1.5min休止を8サイクル)を施した後、遠心分離(13000rpm、15min、4℃)により上澄み液を残りの沈殿物から分離した。次に、得られた上澄み液を超遠心分離(32000rpm、90min、4℃)にかけ、沈殿物を残りの上澄み液から分離した。続いて、得られた沈殿物に、LH吸収の吸光度の高い方が約50%となるように前記緩衝液(約40ml)を加えて懸濁せしめ、体積の0.25%のLDAOを更に加えて40℃で40分間攪拌し、前段の可溶化処理を施した後、超遠心分離(32000rpm、90min、4℃)によりLHII(T.tepidum)を含有する上澄み液(sup(1))と残りの沈殿物とを分離した。さらに、得られた沈殿物に、LH吸収の吸光度の高い方が約50%となるように前記緩衝液(約30ml)を加えて懸濁せしめ、体積の0.25%のLDAOを更に加えて40℃で30分間攪拌し、後段の可溶化処理を施した後、超遠心分離(32000rpm、90min、4℃)によりRC(T.tepidum)を含有する上澄み液(sup(2))と残りの沈殿物とを分離した。そして、得られた上澄み液(sup(1))及び上澄み液(sup(2))をそれぞれ陰イオン交換カラム(DEAE)にかけて精製することにより、LHII(T.tepidum)を含有する溶液及びRC(T.tepidum)を含有する溶液を得た。
また、RC(Rb.sphaeroides)を含有する溶液は、15mMのTris-HCl及び0.06質量%のLDAOを含有する緩衝液(pH8.0)を用いるようにしたこと以外は上記と同様にして調製した。
さらに、D1D2 cytB559を含有する溶液は、15mMのMES及び0.1質量%のDMを含有する緩衝液(pH6.5)を用いるようにしたこと以外は上記と同様にして調製した。
(実施例1〜2:D1D2 cytB559のシリカ系メソ多孔体への吸着試験)
15mMのMES、0.1質量%のDM、20mMのNaCl及び1mMのCaCl2を含有する緩衝液(pH6.5)を用いて得たD1D2 cytB559溶液(膜タンパク質濃度:0.1mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体A(実施例1)又は1mgのシリカ系メソ多孔体B(実施例2)を加え、5℃で所定時間攪拌した。
シリカ系メソ多孔体を添加する前のD1D2 cytB559溶液、並びにシリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液(各時間において遠心により分離)の吸収スペクトルを測定し、D1D2 cytB559の吸収スペクトルである672nmのピーク高さの経時変化を測定した。得られた結果を、シリカ系メソ多孔体を添加する前の溶液のピーク高さを1.0として吸光量(OD)を規格化し、図1に示す。
図1に示した結果から明らかなように、D1D2 cytB559はシリカ系メソ多孔体A及びシリカ系メソ多孔体Bのいずれにも吸着したが、中心細孔直径が約8.5nmであるシリカ系メソ多孔体Aにより多くのD1D2 cytB559が吸着することが確認された。
次に、前記と同様にしてD1D2 cytB559溶液にシリカ系メソ多孔体を加え、30時間攪拌した後のシリカ系メソ多孔体及び上澄み液の蛍光スペクトル(励起波長:430nm)を、F4500 fluorescence spectrometer(HITACHI社製)を用いて測定した。なお、シリカ系メソ多孔体の蛍光スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を、シリカ系メソ多孔体を添加せずに測定した前記溶液の蛍光スペクトル(コントロール)と共に図2に示す。また、図2に示した各蛍光スペクトルのピーク高さを1.0として規格化した結果を図3に示す。
さらに、前記と同様にしてD1D2 cytB559溶液にシリカ系メソ多孔体を加え、30時間攪拌した後のシリカ系メソ多孔体及び上澄み液の励起スペクトル(波長:680nm)を、F4500 fluorescence spectrometer(HITACHI社製)を用いて測定した。なお、シリカ系メソ多孔体の励起スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を図4に示す。また、図4に示した各励起スペクトルの436nmにおけるピーク高さを1.0として規格化した結果を図5に示す。
図2〜3に示した結果から明らかなように、蛍光スペクトルの形は溶液中とシリカ系メソ多孔体中とでほとんど違いが見られないことから、D1D2 cytB559がシリカ系メソ多孔体に吸着しても、タンパク質がほどけたり、クロロフィルが抜けたりすることなく、D1D2 cytB559の構造は維持されていることが確認された。また、図4〜5に示した結果から明らかなように、励起スペクトルにおいては長波長側で強度に若干の違いが見られたものの、励起スペクトルの形も溶液中とシリカ系メソ多孔体中とでほぼ同じであることが確認された。
(実施例3〜6:RC(Rb.sphaeroides)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験)
実施例3〜4においては、15mMのTris-HCl、0.06質量%のLDAO(透析前)及び300mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.0)を用いて得たRC(Rb.sphaeroides)溶液(膜タンパク質濃度:0.1mg/ml)0.7mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体A(実施例3)又は1mgのシリカ系メソ多孔体B(実施例4)を加え、5℃で所定時間攪拌した。
また、実施例5〜6においては、15mMのTris-HCl、6×10−5質量%のLDAO(透析後)及び300mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.0)を用いて得たRC(Rb.sphaeroides)溶液(膜タンパク質濃度:0.1mg/ml)0.7mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体A(実施例5)又は1mgのシリカ系メソ多孔体B(実施例6)を加え、5℃で所定時間攪拌した。
シリカ系メソ多孔体を添加する前のRC(Rb.sphaeroides)溶液、並びにシリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液(各時間において遠心により分離)の吸収スペクトルを測定し、RC(Rb.sphaeroides)の吸収スペクトルである800nmのピーク高さの経時変化を測定した。得られた結果を、シリカ系メソ多孔体を添加する前の溶液のピーク高さを1.0として吸光量(OD)を規格化し、図6及び図7に示す。
図6〜7に示した結果から明らかなように、界面活性剤であるLDAOの濃度を透析によって下げると、RC(Rb.sphaeroides)の吸着量が上がることが確認された。また、RC(Rb.sphaeroides)もシリカ系メソ多孔体A及びシリカ系メソ多孔体Bのいずれにも吸着したが、界面活性剤濃度が低い場合には中心細孔直径が約8.5nmであるシリカ系メソ多孔体Aにより多くのRC(Rb.sphaeroides)が吸着することが確認された。
(実施例7:RC(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を用いて得たRC(T.tepidum)溶液(膜タンパク質濃度:0.1mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体Aを加え、常温で所定時間攪拌した。
シリカ系メソ多孔体を添加する前のRC(T.tepidum)溶液、並びにシリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液(各時間において遠心により分離)の吸収スペクトルを測定し、RC(T.tepidum)の吸収スペクトルである800nmのピーク高さの経時変化を測定した。得られた結果を、シリカ系メソ多孔体を添加する前の溶液のピーク高さを1.0として吸光量(OD)を規格化し、図8に示す。図8に示した結果から明らかなように、RC(T.tepidum)もシリカ系メソ多孔体Aに吸着することが確認された。
次に、前記と同様にしてRC(T.tepidum)溶液にシリカ系メソ多孔体を加え、更に酸化剤としてフェリシアノイドを10nM、還元剤としてアスコルビン酸を10nM添加し、数分間攪拌した後の上澄み液及びシリカ系メソ多孔体の酸化還元スペクトルを測定した。なお、シリカ系メソ多孔体の酸化還元スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を、酸化剤及び還元剤を添加せずに測定した酸化還元スペクトル(コントロール)と共に図9(上澄み液)及び図10(シリカ系メソ多孔体)に示す。
さらに、前記と同様にしてRC(T.tepidum)溶液にシリカ系メソ多孔体を加え、30時間攪拌した後の上澄み液及びシリカ系メソ多孔体の光誘発スペクトルを、以下の条件下で測定した。なお、シリカ系メソ多孔体の光誘発スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を図11(上澄み液)及び図12(シリカ系メソ多孔体)に示す。
励起光:YAGレーザー(5.2mW)、
プローブ光:フラッシュランプ、
常温、メナキノン再構築済み。
図11〜12に示した結果から明らかなように、酸化還元スペクトル及び光誘発スペクトルの形はいずれも、溶液中とシリカ系メソ多孔体中とでほとんど違いが見られないことから、シリカ系メソ多孔体に吸着してもRC(T.tepidum)はその機能を損なわず、吸着後にも外部からの薬品や光によって反応を起こすことが確認された。
(実施例8〜9:LHII(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験1)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を用いて得たLHII(T.tepidum)溶液(膜タンパク質濃度:0.1mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体A(実施例8)又は1mgのシリカ系メソ多孔体C(実施例9)を加え、5℃で所定時間攪拌した。
実施例8においては、シリカ系メソ多孔体を添加する前のLHII(T.tepidum)溶液、並びにシリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液(各時間において遠心により分離)の吸収スペクトルを測定し、LHII(T.tepidum)の吸収スペクトルである800nmのピーク高さの経時変化を測定した。得られた結果を図13に示す。
また、実施例9においては、シリカ系メソ多孔体を添加する前のLHII(T.tepidum)溶液、並びにシリカ系メソ多孔体を加えて2時間攪拌した後の上澄み液の吸収スペクトルを測定し、得られた結果を図14に示す。
図13〜14に示した結果から明らかなように、LHII(T.tepidum)はシリカ系メソ多孔体A及びシリカ系メソ多孔体Cのいずれにも吸着したが、細孔内表面にイオン性官能基が実質的に存在しないシリカ系メソ多孔体Cに対しては非常に吸着性が高いことが確認された。
(実施例10:LHII(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験2)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び0〜200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を複数準備し、それらを用いて得た各LHII(T.tepidum)溶液(膜タンパク質濃度:0.1mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体Aをそれぞれ加え、常温で2時間攪拌した。
各塩濃度の緩衝液を用いた場合について、シリカ系メソ多孔体を添加する前のLHII(T.tepidum)溶液とシリカ系メソ多孔体を加えて2時間攪拌した後の上澄み液の吸収スペクトルを測定し、LHII(T.tepidum)の吸収スペクトルである800nmのピーク高さの減少量を測定した。得られた結果を、塩濃度が200mMの場合におけるピーク高さの減少量を1.0として吸光量(OD)を規格化し、図15に示す。図15に示した結果から明らかなように、溶液中の塩濃度が高い方がより多くのLHII(T.tepidum)がシリカ系メソ多孔体Aに吸着することが確認された。
(実施例11〜12及び比較例1:LHII(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験3)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を用いて、LHII(T.tepidum)を2mg含有する溶液(実施例11)、LHII(T.tepidum)を20mg含有する溶液(実施例12)、及びLHII(T.tepidum)を含有しない溶液(比較例1)を得た。次に、各溶液10mlに、20mgのシリカ系メソ多孔体Aをそれぞれ加え、常温で2時間攪拌した。
次いで、得られたシリカ系メソ多孔体を遠心分離により沈殿させ、上澄み液を除いてシリカ系メソ多孔体のみにし、その表面に吸着している膜タンパク質を除くために純水で洗った後、シリカ系メソ多孔体を乾燥させた。そして、得られたシリカ系メソ多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガス吸着量をプロットして窒素吸着等温線を得た。得られた結果を図16に示す。
図16に示した結果から明らかなように、シリカ系メソ多孔体に吸着させる膜タンパク質の量を変えた際に窒素吸着量も変化したことから、次の二つの可能性が考えられた。すなわち、その一つはシリカ系メソ多孔体の細孔に膜タンパク質が蓋をする形で吸着した可能性であり、もう一つはシリカ系メソ多孔体の細孔内に膜タンパク質が吸着した可能性である。しかし、これらの実施例で用いた膜タンパク質の量とシリカ系メソ多孔体の表面積を考慮すると、前者のように細孔に蓋をする形で吸着したのでは吸着しきれないことから、後者のように膜タンパク質は細孔内に吸着していることが確認された。
(実施例13:LHII(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験4)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を用いて得たLHII(T.tepidum)溶液(膜タンパク質濃度:0.2mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体Aを加え、常温で所定時間攪拌した。
シリカ系メソ多孔体を添加する前のLHII(T.tepidum)溶液、並びにシリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液及びシリカ系メソ多孔体の吸収スペクトルを測定した。なお、上澄み液の吸収スペクトルを測定する際にはMilton roy、シリカ系メソ多孔体の吸収スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を図17(上澄み液)及び図18(シリカ系メソ多孔体)に示す。
図17〜18に示した結果から明らかなように、吸収スペクトルの形は溶液中とシリカ系メソ多孔体中とでほとんど違いが見られず、いずれにも800〜850nmのスペクトルのピークが確認されることから、LHII(T.tepidum)がシリカ系メソ多孔体に吸着しても、LHII特有のリング構造は保持されており、吸着による大きな構造変化はなかったことが確認された。
さらに、シリカ系メソ多孔体を加えて2時間攪拌した後の上澄み液及びシリカ系メソ多孔体の蛍光スペクトルを測定した。なお、励起波長は488nm、測定装置はストリークカメラを使用した。得られた結果を図19(上澄み液)及び図20(シリカ系メソ多孔体)に示す。
図19〜20に示した結果から明らかなように、シリカ系メソ多孔体に吸着するとLHII(T.tepidum)のピーク波長が若干長波長側にシフトしており、770nm付近のスペクトルの形も異なっていた。図21に示すように、溶液中のLHII(T.tepidum)のピーク波長が低温になるほど長波長側にシフトすることは既に確認されており、770nm付近のスペクトルの形も低温になると同様に変化することが知られている。このことから、LHII(T.tepidum)はシリカ系メソ多孔体に吸着されることによってかなり強く束縛され、分子運動が制限されている可能性が高いことが確認された。
(実施例14:LHII(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験5)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を用いて得たLHII(T.tepidum)溶液(膜タンパク質濃度:0.2mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体Aを加え、5℃で2時間攪拌した。
次に、シリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液及びシリカ系メソ多孔体をそれぞれ所定の温度に加熱し、10分保持した後、10℃まで温度を下げてそれらの吸収スペクトルを測定した。なお、上澄み液の吸収スペクトルを測定する際にはMilton roy、シリカ系メソ多孔体の吸収スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を図22(上澄み液)及び図23(シリカ系メソ多孔体)に示す。また、図22〜23に示した吸収スペクトルにおける855nmのピーク高さを、10℃の時のピーク高さを1.0として吸光量(OD)を規格化した結果を図24に示す。
LHII(T.tepidum)では855nmの長波長バンドの消失が膜タンパク質が壊れたことを示すことから、図22〜24に示した結果から明らかなように、LHII(T.tepidum)は溶液中においては50℃を過ぎたあたりから急激に吸収が減少してタンパク質が破壊されている。それに対して、シリカ系メソ多孔体に吸着されているLHII(T.tepidum)においては、70℃においても約80%のタンパク質が保持されており、LHII(T.tepidum)はシリカ系メソ多孔体に吸着されることによって熱に対する安定性が非常に高くなったことが確認された。
(実施例15:LHII(T.tepidum)のシリカ系メソ多孔体への吸着試験6)
20mMのTris-HCl、0.05質量%のLDAO及び200mMのNaClを含有する緩衝液(pH8.5)を用いて得たLHII(T.tepidum)溶液(膜タンパク質濃度:0.2mg/ml)1mlに、1mgのシリカ系メソ多孔体Aを加え、5℃で2時間攪拌した。
次に、シリカ系メソ多孔体を加えて所定時間攪拌した後の上澄み液及びシリカ系メソ多孔体をそれぞれ所定の温度に加熱し、10分保持した後、その温度でそれらの吸収スペクトルを測定した。なお、上澄み液の吸収スペクトルを測定する際にはMilton roy、シリカ系メソ多孔体の吸収スペクトルを測定する際にはナノファインダーを使用した。得られた結果を図25(上澄み液)及び図26(シリカ系メソ多孔体)に示す。また、図25〜26に示した吸収スペクトルにおいて10℃では855nmにあるピークバンドの温度上昇に伴うバンドシフトを測定し、得られた結果を図27に示す。なお、バンドシフトの測定の際には、吸収スペクトルをそれぞれガウシアンフィッティングして求めた。
図25〜27に示した結果から明らかなように、LHII(T.tepidum)の吸収スペクトルは温度の上昇に伴って長波長バンドが短波長側にシフトすることが確認されたが、溶液中の場合とシリカ系メソ多孔体に吸着されている場合とではバンドシフトの仕方が異なることが確認された。すなわち、一般にLHIIの800〜850と呼ばれるリング構造において、850nm側は励起子状態がリング全体に広がっていることから現れるバンドだと考えられており、温度上昇によりリングを構成するBChl-BChl間のエネルギー順位が熱揺らぎのため等しくなくなり、励起子状態が局在化するために起こると考えられている。したがって、上記のようにバンドシフトの仕方が異なることからも、シリカ系メソ多孔体への吸着によりLHII(T.tepidum)の分子運動が抑制されている可能性が高いことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、従来はシリカ系メソ多孔体等の担体と複合化することはできないと考えられてきた膜タンパク質がその機能を阻害されることなくかつ安定的にシリカ系メソ多孔体に固定化されており、熱等に対する安定性が高くかつ膜タンパク質が有する機能を発現することが可能な膜タンパク質複合材料を提供することが可能となる。したがって、本発明の膜タンパク質複合材料は、膜タンパク質が有する機能を利用した各種の機能性材料として非常に有用である。
シリカ系メソ多孔体への吸着によるD1D2 cytB559の吸収スペクトルのピーク高さの経時変化を示したグラフである。 溶液中及びシリカ系メソ多孔体中におけるD1D2 cytB559の蛍光スペクトルを示したグラフである。 図2に示した蛍光スペクトルを規格化した結果を示したグラフである。 溶液中及びシリカ系メソ多孔体中におけるD1D2 cytB559の励起スペクトルを示したグラフである。 図4に示した励起スペクトルを規格化した結果を示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体への吸着(透析前)によるRC(Rb.sphaeroides)の吸収スペクトルのピーク高さの経時変化を示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体への吸着(透析後)によるRC(Rb.sphaeroides)の吸収スペクトルのピーク高さの経時変化を示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体への吸着によるRC(T.tepidum)の吸収スペクトルのピーク高さの経時変化を示したグラフである。 溶液中におけるRC(T.tepidum)の酸化還元スペクトルを示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体中におけるRC(T.tepidum)の酸化還元スペクトルを示したグラフである。 溶液中におけるRC(T.tepidum)の光誘発スペクトルを示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体中におけるRC(T.tepidum)の光誘発スペクトルを示したグラフである。 細孔内表面にイオン性官能基を有するシリカ系メソ多孔体への吸着によるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルのピーク高さの経時変化を示したグラフである。 細孔内表面にイオン性官能基を有さないシリカ系メソ多孔体への吸着によるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルの経時変化を示したグラフである。 塩濃度を変化させた場合のシリカ系メソ多孔体に対するLHII(T.tepidum)の吸収量を示したグラフである。 LHII(T.tepidum)を吸着しているシリカ系メソ多孔体と吸着していないシリカ系メソ多孔体とにおける窒素吸着量を示したグラフである。 溶液中におけるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルを示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体中におけるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルを示したグラフである。 溶液中におけるLHII(T.tepidum)の蛍光スペクトルを示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体中におけるLHII(T.tepidum)の蛍光スペクトルを示したグラフである。 溶液中のLHII(T.tepidum)のピーク波長の温度による変化を示したグラフである。 溶液中におけるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルの加熱による変化を示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体中におけるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルの加熱による変化を示したグラフである。 図22〜23に示した吸収スペクトルを規格化した結果を示したグラフである。 溶液中におけるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルの加熱による変化を示したグラフである。 シリカ系メソ多孔体中におけるLHII(T.tepidum)の吸収スペクトルの加熱による変化を示したグラフである。 図25〜26に示した吸収スペクトルにおいて10℃では855nmにあるピークバンドの温度上昇に伴うバンドシフトを示したグラフである。

Claims (8)

  1. シリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に固定化されている細胞膜から分離された膜タンパク質とを備えることを特徴とする膜タンパク質複合材料。
  2. 前記膜タンパク質が、疎水性アミノ酸を外部に有する疎水性膜タンパク質であり、該膜タンパク質が前記シリカ系メソ多孔体の細孔内に吸着されていることを特徴とする請求項1に記載の膜タンパク質複合材料。
  3. 前記シリカ系メソ多孔体が、細孔内表面にイオン性官能基を有さないものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の膜タンパク質複合材料。
  4. 界面活性剤を含有する溶液に、膜タンパク質を溶解及び/又は分散させた溶液を調製する溶液調製工程と、
    前記溶液にシリカ系メソ多孔体を懸濁させ、前記溶液中の前記膜タンパク質を前記シリカ系メソ多孔体に固定化せしめる固定化工程と、
    を含み、且つ、
    前記固定化工程において、前記溶液が10−5〜0.1質量%の濃度の界面活性剤を含有していることを特徴とする膜タンパク質複合材料の製造方法。
  5. 前記固定化工程に先立って、前記膜タンパク質が凝集しない範囲で前記溶液中の界面活性剤の濃度を低濃度化する界面活性剤除去工程を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の膜タンパク質複合材料の製造方法。
  6. 前記固定化工程において、前記溶液が25mM以上の濃度の塩を含有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の膜タンパク質複合材料の製造方法。
  7. 前記シリカ系メソ多孔体の細孔内表面に存在するイオン性官能基を非極性基に置換せしめる前処理工程を更に含むことを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれか一項に記載の膜タンパク質複合材料の製造方法。
  8. 前記シリカ系メソ多孔体が、細孔内表面にイオン性官能基を有さないものであることを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載の膜タンパク質複合材料の製造方法。
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