JP4696433B2 - マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法 - Google Patents

マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4696433B2
JP4696433B2 JP2001303485A JP2001303485A JP4696433B2 JP 4696433 B2 JP4696433 B2 JP 4696433B2 JP 2001303485 A JP2001303485 A JP 2001303485A JP 2001303485 A JP2001303485 A JP 2001303485A JP 4696433 B2 JP4696433 B2 JP 4696433B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnesium porphyrin
silica
mesoporous material
based mesoporous
magnesium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001303485A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003103178A (ja
Inventor
徹二 伊藤
一久 矢野
喜章 福嶋
祐二 稲田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2001303485A priority Critical patent/JP4696433B2/ja
Publication of JP2003103178A publication Critical patent/JP2003103178A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4696433B2 publication Critical patent/JP4696433B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マグネシウムポルフィリン複合体及びマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光エネルギーの吸収に伴い電子供与体から電子受容体や電子伝達体へと電子が伝達する光励起電子移動反応を利用した光エネルギー変換システムの開発が進められており、太陽電池や光触媒等の分野への適用が試みられている。
【0003】
光触媒への適用の例としては、TiO2電極の光増感作用による水の分解や、不均一系での半導体による水の分解等が挙げられが、現在見出されている安定な半導体光増感剤のほとんどは、近紫外光を吸収するものの可視光領域を吸収しないため、太陽光のエネルギーを充分に活用しているとは言い難い。
【0004】
そこで、Ru錯体、ポルフィリン、フタロシアニン等の可視領域を吸収する色素を光増感剤とする研究が進められており、ポルフィリン誘導体の一種であるクロロフィルが可視領域を吸収する色素として有用であると考えられている。しかし、クロロフィルを用いた光エネルギー変換システムについては、SnO2透明電極に固定化したクロロフィルの光増感作用によるアノード光電流測定の報告(Miyata,T., Watanabe,T., Fujishima,A., Honda,K., J. Am. Chem. Soc. 100, 6657-6665, 1978)以来、目立った研究報告がなされていない。これは、クロロフィルが光に対して不安定であるため、クロロフィルを利用した安定な光エネルギー変換システムが作製困難であることに基づくものと考えられる。
【0005】
クロロフィルについては、最近になって、合成粘土鉱物であるスメクタイトに結合させることにより、光に対して安定な、光触媒活性を有する複合体が得られることが報告されている(Itoh,T. et al. Bioconjugate Chem. 9, 409-412, 1998)。しかしながら、かかる報告における複合体では、クロロフィルの吸着のほとんどが粘土鉱物表面で生じているために、クロロフィルの吸着量が非常に小さいという欠点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、クロロフィル等のマグネシウムポルフィリンを安定に、且つ大きな吸着量で吸着させたマグネシウムポルフィリン複合体を提供することを目的とする。本発明は、また、かかるマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の多孔体にクロロフィルを吸着させることにより、上記目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明のマグネシウムポルフィリン複合体は、シリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンとを備えることを特徴とするものである。シリカ系メソ多孔体は比表面積が非常に大きく、かかる多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させることにより、マグネシウムポルフィリンの吸着量を増加させることができるのみならず、マグネシウムポルフィリンの光等に対する安定性も向上させることができるようになる。そして、吸着させることにより得られるマグネシウムポルフィリン複合体は、光の照射を受けたときに励起して還元能を発現するために、電子供与体とともに用いることにより光還元材料として適用可能である。
【0009】
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体において適用されるシリカ系メソ多孔体は、pKa5〜14のシリカ系メソ多孔体であることが好ましい。pKaを上記範囲内にすることにより、マグネシウムポルフィリンとして酸に弱いクロロフィルを用いた場合であっても、マグネシウムポルフィリンの安定性及び吸着量の向上を図ることができるようになる。
【0010】
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体は、上記マグネシウムポルフィリンに接触して存在する、酸化還元電位が−1〜0ボルトの電子伝達剤を更に備えることが好ましい。マグネシウムポルフィリンに接触するように上記電子伝達剤を配置したマグネシウムポルフィリン複合体は、マグネシウムポルフィリンの安定性及び吸着量に優れるのみならず、電子供与体と共存状態で光の照射を受けたときに、励起したマグネシウムポルフィリンが電子伝達剤を還元して、電子伝達剤に電子が伝達されるため優れた光還元材料として適用可能になる。
【0011】
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体は、マグネシウムポルフィリンに近接して存在する、白金微粒子を更に備えることが好ましい。マグネシウムポルフィリンに近接するように白金微粒子を配置したマグネシウムポルフィリン複合体は、マグネシウムポルフィリンの安定性及び吸着量に優れているのみならず、電子供与体と共存状態で光の照射を受けたときに、励起したマグネシウムポルフィリンや、励起したマグネシウムポルフィリンから電子が伝達された電子伝達剤により、白金に吸着した水素イオンが還元されるため、優れた光水素発生材料として適用することが可能になる。
【0012】
本発明は、また、(1)シリカ系メソ多孔体を、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を含む溶液に接触させることにより、pKa5〜14のアルカリ処理シリカ系メソ多孔体を得る工程と、(2)上記アルカリ処理シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる工程とを含むことを特徴とするマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、更に、(1)有機基を有するシリカ系メソ多孔体であって、該シリカ系メソ多孔体におけるケイ素原子の少なくとも一部が前記有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成している有機化シリカ系メソ多孔体を得る工程と、(2)上記有機化シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる工程とを含むことを特徴とするマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法を提供する。
【0014】
上記本発明のマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法により、クロロフィル等のマグネシウムポルフィリンを安定に、且つ大きな吸着量で吸着させたマグネシウムポルフィリン複合体を得ることが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
上述のように、本発明のマグネシウムポルフィリン複合体は、シリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンとを備えるものであり、更に、電子伝達剤及び/又は白金微粒子を備えることも可能である。以下、本発明のマグネシウムポルフィリン複合体及びかかるマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法について詳述する。
【0016】
(シリカ系メソ多孔体)
本発明においてシリカ系メソ多孔体とは、ケイ素原子と酸素原子を必須成分として含む化合物の多孔体であって、その孔のサイズがメソ孔(直径2〜50nmの細孔)であるものをいう。
【0017】
本発明におけるシリカ系メソ多孔体は、中心細孔直径が2〜50nmのシリカ系メソ多孔体であることが好ましい。ここで、中心細孔直径とは、シリカ系メソ多孔体の細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径を意味する。そして、細孔径分布曲線は、シリカ系メソ多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットして吸着等温線を得た後に、Cranston-Inklay法を適用して求めることが可能である。本発明において、シリカ系メソ多孔体の中心細孔直径が2nm未満の場合は、白金微粒子等が細孔内部に侵入しづらくなり高性能のマグネシウムポルフィリン複合体を作製することが困難になる場合があり、中心細孔直径が50nmを超す場合は、吸着可能なマグネシウムポルフィリンの量が少なくなる傾向にある。
【0018】
本発明におけるシリカ系メソ多孔体は、マグネシウムポルフィリン複合体の光還元材料及び光水素発生材料としての特性の観点から、0.1〜1.5mL/gの細孔容積を有するものであることが好ましく、また、200〜1500m2/gの比表面積を有するものであることが好ましい。シリカ系メソ多孔体は、更に、全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上の多孔体であることが好ましい。
【0019】
ここで、「全細孔容積に占める、中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上」とは、例えば、中心細孔直径が3.00nmである場合、この3.00nmの±40%、すなわち1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の合計が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味する。この条件を満たす多孔体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味し、このような細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させることにより、マグネシウムポルフィリンの安定性及び吸着量をより向上させることができ、また、電子伝達剤又は光水素発生材料としての性能を更に向上させることが可能になる。なお、細孔容積は、上述のようにシリカ系メソ多孔体を液体窒素温度に冷却して窒素ガスを導入する方法(窒素吸着法)により算出することができる。
【0020】
本発明におけるシリカ系メソ多孔体は、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するX線回折パターンを示す多孔体であることが好ましい。X線回折パターンでピークが現われる場合は、そのピーク角度に相当するd値の周期構造がシリカ系メソ多孔体中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。このように非常に規則的な細孔配列構造を有するシリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させることにより、マグネシウムポルフィリンの安定性及び吸着量をより向上させることができ、また、電子伝達剤又は光水素発生材料としての性能を更に向上させることが可能になる。
【0021】
上述のシリカ系メソ多孔体における、細孔の配列状態(細孔配列構造)は特に制限されない。シリカ系メソ多孔体は、例えば、ヘキサゴナルの細孔配列構造を有するものであっても、キュービックやディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。ここで、シリカ系メソ多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、シリカ系メソ多孔体の細孔の配置が六方構造であることを意味する。(S. Inagaki, et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun., 680, 1993; S. Inagaki, et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 69, 1449; 1996、Q. Huo et al., Science, 268, 1324, 1995 参照)。
【0022】
また、シリカ系メソ多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、シリカ系メソ多孔体中の細孔の配置が立方構造であることを意味する(J. C. Vartuli et al., Chem. Mater., 6, 2317, 1994; Q. Huo et al., Nature, 368, 317, 1994 参照)。そして、シリカ系メソ多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P. T. Tanev et al., Science, 267, 865, 1995; S. A. Bagshaw et al., Science, 269, 1242, 1995; R. Ryoo et al., J. Phys. Chem., 100, 17718, 1996 参照)。
【0023】
シリカ系メソ多孔体が、ヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造を有する場合は、細孔の全てがこれらの規則的細孔配列構造である必要はない。すなわち、シリカ系メソ多孔体は、ヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造とディスオーダの不規則的細孔配列構造の両方を有していてもよい。しかしながら、全ての細孔のうち80%以上はヘキサゴナルやキュービック等の規則的細孔配列構造となっていることが好ましい。
【0024】
本発明におけるシリカ系メソ多孔体は、有機基を有するシリカ系メソ多孔体(以下、「有機化シリカ系メソ多孔体」という。)であっても、有機基を有しないシリカ系メソ多孔体(以下、「非有機化シリカ系メソ多孔体」という。)であってもよい。そして、いずれの多孔体の場合においても、ケイ素以外の金属元素(例えば、Al、Zr、Ti等)を更に含んでいてもよい。なお、本発明において「有機基を有するシリカ系メソ多孔体」とは、有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているシリカ系メソ多孔体をいう。
【0025】
したがって、本発明におけるシリカ系メソ多孔体は、ケイ素以外の金属原子を含まない場合は、以下の(a)単位が酸素原子を介して結合した骨格を有しているか(この場合が、非有機化シリカ系メソ多孔体に該当する。)、(a)単位及び(b)単位が酸素原子を介して結合した骨格を有している(この場合が、有機化シリカ系メソ多孔体に該当する。)。そして、いずれの骨格を有する場合であっても、シリカ系メソ多孔体は、少なくともその表面にはシラノール基(−SiOH基)が存在している。
【0026】
なお、(b)単位におけるRはn価有機基であり、nは1以上の整数である。また、本発明におけるシリカ系メソ多孔体においては、以下の(a)単位及び(b)単位のそれぞれは、酸素原子を介してランダムに結合していてもよく、同一の単位が酸素原子を介してある程度連続して結合していてもよい。そして、この場合において、複数存在する(a)単位及び(b)単位のそれぞれは、全てが同一の構造を有していなくてもよい。
【0027】
【化1】
Figure 0004696433
【0028】
【化2】
Figure 0004696433
【0029】
(b)単位におけるRとしては、例えば、アルカン、アルケン、アルキン、ベンゼン、シクロアルカン等の炭化水素から1以上の水素がとれて生じる1価以上の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、有機基は、アミド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフォン基、カルボキシル基、エーテル基、アシル基、ビニル基等を有したものであってもよい。
【0030】
本発明において有機化シリカ系メソ多孔体を用いる場合は、Rの価数は1価又は2価であることが好ましい。したがって、有機化シリカ系メソ多孔体は、上記(a)単位及び下記(b1)単位が酸素原子を介して結合した骨格を有しているか(Rの価数が1価の場合)、上記(a)単位及び下記(b2)単位が酸素原子を介して結合した骨格を有していること(Rの価数が2価の場合)が好ましい。なお、下記(b1)単位においてR21は1価有機基であり、下記(b2)単位においてR22は2価有機基である。
【0031】
【化3】
Figure 0004696433
【0032】
【化4】
Figure 0004696433
【0033】
本発明におけるシリカ系メソ多孔体は、pKa5〜14のシリカ系メソ多孔体であることが好ましく、pKa5〜8のシリカ系メソ多孔体であることがより好ましい。かかるシリカ系メソ多孔体を用いることにより、マグネシウムポルフィリンとして酸に弱いクロロフィルを適用した場合であっても、安定性及び吸着量の向上を図ることが可能になる。なお、シリカ系メソ多孔体のpKaは、指示薬法により測定可能である。
【0034】
シリカ系メソ多孔体のpKaを5〜14にする方法としては、シリカ系メソ多孔体の表面付近に存在するシラノール基を塩基と反応させることにより、塩を生じせしめる方法が好適である。例えば、シリカ系メソ多孔体を水酸化ナトリウムの0.1%エタノール溶液に接触させることにより、シラノール基に少なくとも1部を−SiONa基に変換させ、上記pKaにすることができる。
【0035】
本発明においては、上記方法を適用して、非有機化シリカ系メソ多孔体のpKaを5〜14にすることが好ましいが、有機化シリカ系メソ多孔体については、塩基等と反応させることは必須でない。これは、有機化シリカ系メソ多孔体はそれ自体でpKaが上記範囲内にある場合が多いためである。
【0036】
(マグネシウムポルフィリン)
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体は、上述したシリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンが吸着している。本発明において、マグネシウムポルフィリンとは、ポルフィリンを配位子とするマグネシウム錯体をいい、その化学構造は、下記一般式(I)で表すことができる。
【0037】
【化5】
Figure 0004696433
【0038】
上記一般式(I)における、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、同一若しくは異なる1価有機基を示す。なお、隣り合う1価有機基はそれぞれ連結して2価有機基を形成していてもよい。
【0039】
本発明におけるマグネシウムポルフィリンは、供給安定性や光エネルギー変換効率の観点から、クロロフィルであることが好ましい。クロロフィルとしては、クロロフィルa、クロロフィルb、クロロフィルc、クロロフィルd、クロロフィルe、バクテリオクロロフィル及びバクテリオピリジンが挙げられるが、下記一般式(II)で表される構造を有したクロロフィルが好ましい。なお、下記一般式(II)におけるR0は1価有機基である。
【0040】
【化6】
Figure 0004696433
【0041】
本発明においては、上記一般式(II)におけるR0がメチル基(−CH3)又はホルミル基(−CHO)であることが好ましい。なお、R0がメチル基である場合は、一般式(II)で表される化合物はクロロフィルaに該当し、R0がホルミル基である場合は、一般式(II)で表される化合物はクロロフィルbに該当する。
【0042】
本発明におけるマグネシウムポルフィリンは、上述したシリカ系メソ多孔体に吸着している。この場合において、マグネシウムポルフィリンの吸着箇所は多孔体表面であってもメソ孔内部であってもよい。ただし、マグネシウムポルフィリン複合体の光還元材料又は光水素発生材料としての性能の観点からは、マグネシウムポルフィリンは少なくともシリカ系メソ多孔体のメソ孔内部に存在していることが好ましい。また、同様の観点から、シリカ系メソ多孔体に吸着させるマグネシウムポルフィリンの重量は、シリカ系メソ多孔体100重量部当たり、0.5〜50重量部であることが好ましく、20〜50重量部であることがより好ましい。
【0043】
(電子伝達剤)
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体においては、酸化還元電位が−1〜0ボルトの電子伝達剤を、マグネシウムポルフィリンに接触するように配することができる。
【0044】
ここで、電子伝達剤とは、シリカ系メソ多孔体と該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンとを備えたマグネシウムポルフィリン複合体に光照射したときに、励起したマグネシウムポルフィリンから電子を受容する機能を有する化合物をいう。そして、マグネシウムポルフィリン複合体において、電子伝達剤をマグネシウムポルフィリンに接触するように配する手段としては、電子伝達剤を必要により溶液に溶解して液状化した後に、マグネシウムポルフィリンが吸着したシリカ系メソ多孔体に含浸させる方法が挙げられる。
【0045】
マグネシウムポルフィリン複合体が、シリカ系メソ多孔体と、該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと、該マグネシウムポルフィリンに接触して存在する電子伝達剤とからなる場合は、マグネシウムポルフィリン複合体が電子供与体と共存状態で光照射を受けたときに、マグネシウムポルフィリンが先ず励起され、励起したマグネシウムポルフィリンが電子伝達剤を還元する。したがって、マグネシウムポルフィリン複合体は還元能を有するようになるため、電子供与体と共存状態で用いることにより光還元剤として機能する。
【0046】
本発明において適用可能な電子伝達剤としては、例えば、メチルビオロゲン、エチルビオロゲン、ベンジルビオロゲン等のビオロゲン誘導体及びo−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4−ナフトキノン、アントラキノン等のキノン誘導体が挙げられる。
【0047】
マグネシウムポルフィリン複合体の光還元材料としての性能を向上させる観点からは、電子伝達剤は、シリカ系メソ多孔体100重量部当たり、0.01〜10重量部用いることが好ましく、0.01〜2重量部用いることがより好ましい。
【0048】
(白金微粒子)
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体においては、白金微粒子をマグネシウムポルフィリンに近接して存在するように配することが可能である。
【0049】
ここで、白金微粒子がマグネシウムポルフィリンに近接して存在するとは、白金微粒子がマグネシウムポルフィリンから電子を受容可能な距離に存在することをいい、その距離は2nm以下であることが好ましい。
【0050】
マグネシウムポルフィリン複合体が、シリカ系メソ多孔体と、該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと、該マグネシウムポルフィリンに近接して存在する白金微粒子とからなる場合は、光の照射を受けたときに、励起したマグネシウムポルフィリンから白金微粒子上の水素イオンに電子が移動して、水素イオンが還元され水素が発生するため、電子供与体と共存状態で用いることにより光水素発生剤として機能する。
【0051】
一方、マグネシウムポルフィリン複合体が、シリカ系メソ多孔体と、該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと、該マグネシウムポルフィリンに接触して存在する電子伝達剤と、該マグネシウムポルフィリンに近接して存在する白金微粒子とからなる場合は、光の照射を受けたときに、励起したマグネシウムポルフィリン、及び/又は、励起したマグネシウムポルフィリンにより還元された電子伝達剤から、白金微粒子上の水素イオンに電子が移動して、水素イオンが還元され水素が発生するため、電子供与体と共存状態で用いることにより光水素発生剤として機能する。
【0052】
マグネシウムポルフィリンはシリカ系メソ多孔体のメソ孔内部や表面に存在することから、マグネシウムポルフィリンと白金微粒子とを近接させるためには、白金微粒子はメソ孔内部に存在させることが好ましく、かかる観点からは、白金微粒子の平均粒径は2〜50nmであることが好ましい。また、同様の観点から、白金微粒子は、シリカ系メソ多孔体100重量部当たり、0.1〜10重量部用いることが好ましい。
【0053】
(マグネシウムポルフィリン複合体)
図1は、本発明のマグネシウムポルフィリン複合体に光を照射した場合の反応の模式図である。具体的には、シリカ系メソ多孔体(FSM)にクロロフィルを吸着させたもの(FSM−chl)にメチルビオロゲン(MV2+)及び白金微粒子(Pt)を配してなるマグネシウムポルフィリン複合体を、電子供与体(RSH)と共存せしめた状態で、光を照射したときの反応を示すものである。
【0054】
図1に示すマグネシウムポルフィリン複合体に光が照射されると、FSM−chlが励起してFSM−chl*となり、メチルビオロゲンMV2+を還元してMV+に変化させる。メチルビオロゲンMV2+に電子を渡したFSM−chl*は、FSM−chl+となるため強い酸化力を発揮し、電子供与体であるメルカプト化合物RSHから水素を引抜いて自らはFSM−chlに戻るとともに、メルカプト化合物RSHをRS−SRで表される化合物へと変化させる。そして、還元されてMV+となったメチルビオロゲンは、白金Pt上に存在する水素イオンH+を還元して水素H2を生じせしめるとともに、自らはメチルビオロゲンMV2+と変化する。
【0055】
上記メカニズムから明らかなように、シリカ系メソ多孔体と該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンを備えたマグネシウムポルフィリン複合体、及び、シリカ系メソ多孔体と該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと該マグネシウムポルフィリンに接触して存在する電子伝達剤を備えたマグネシウムポルフィリン複合体は、電子供与体と共存状態で光還元剤として機能する。
【0056】
また、シリカ系メソ多孔体と該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと該マグネシウムポルフィリンに接触して存在する電子伝達剤と該マグネシウムポルフィリンに近接して存在する白金微粒子を備えたマグネシウムポルフィリン複合体は、電子供与体と共存状態で光水素発生剤として機能する。
【0057】
なお、シリカ系メソ多孔体と該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと該マグネシウムポルフィリンに近接して存在する白金微粒子を備えたマグネシウムポルフィリン複合体においては、光照射により励起したマグネシウムポルフィリンが直接白金微粒子上の水素イオンを還元し得るため、電子供与体と共存状態で光水素発生剤として機能し得る。
【0058】
(マグネシウムポルフィリン複合体の製造方法)
本発明のマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法は、(1)シリカ系メソ多孔体を、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を含む溶液に接触させることにより、pKa5〜14のアルカリ処理シリカ系メソ多孔体を得る工程と、(2)上記アルカリ処理シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる工程とを含むものである。
【0059】
この製造方法における「シリカ系メソ多孔体」は、上述した「非有機化シリカ系メソ多孔体」であっても、「有機化シリカ系メソ多孔体」であってもよい。ここで、非有機化シリカ系メソ多孔体の製造方法としては、例えば、液晶構造を利用した製造方法(以下「製造方法1」という)、または層状ケイ酸塩を利用した製造方法(以下「製造方法2」という)が挙げられる。
【0060】
製造方法1は、沈降性シリカ[Ultrasil(Ultrasil社)、Cab-O-Sil(Cabot社)、HiSil(Pittsburgh Plate Glass社)等]や水ガラス等のシリカ原料を、界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩)が溶解した水溶液に添加して加熱する方法であり、かかる方法は、例えば、米国特許5057296号公報に記載されている。製造方法2は、層間にイオンを有する層状ケイ酸塩をアルキルトリメチルアンモニウムハライドでイオン交換した後、層間を架橋する方法であり、かかる方法は、例えば、特開平8−67578号公報及び特開平8−277105号公報に開示されている。
【0061】
このようにして得られたシリカ系メソ多孔体を、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を含む溶液に接触させるが、これによりシリカ系メソ多孔体の表面付近に存在するシラノール基の少なくとも一部が中和され、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩となり、pKa5〜14のアルカリ処理シリカ系メソ多孔体を得ることができる。ここで用いられるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物としては水酸化カルシウム等が挙げられる。これらの塩基は水溶液やアルコール溶液として用いることが好ましく、例えば水酸化ナトリウムを適用する場合は、水酸化ナトリウムの0.1%エタノール溶液が好ましい。
【0062】
このようにして得られたアルカリ処理シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる方法としては、アルカリ処理シリカ系メソ多孔体をマグネシウムポルフィリンの有機溶剤溶液に浸漬する方法が好適である。マグネシウムポルフィリンとしてクロロフィルaを用いる場合は、クロロフィルa濃度が1〜30mM程度のベンゼン溶液が適用可能である。
【0063】
以上により、シリカ系メソ多孔体と該多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンとを備えたマグネシウムポルフィリン複合体が得られるが、マグネシウムポルフィリンに接触するように、該複合体に更に電子伝達剤を含有せしめてもよく、更には、マグネシウムポルフィリンに近接するように白金微粒子を含有せしめてもよい。電子伝達剤を含有せしめる場合は、電子伝達剤を、必要に応じて水や有機溶剤等に溶解して液状化し、これに上記複合体を浸漬すればよい。また、白金微粒子を含有せしめる場合は、例えば、塩化テトラアンミン白金の水溶液等の白金前駆体にシリカ系メソ多孔体を投入して攪拌しながら減圧乾燥して水素等で還元した後、上記と同様にして塩基を含む溶液に接触させてアルカリ処理シリカメソ多孔体とし、これをマグネシウムポルフィリンの有機溶剤溶液に浸漬する等してマグネシウムポリフィリンを吸着させればよい。
【0064】
本発明は、また、(1)有機基を有するシリカ系メソ多孔体であって、該シリカ系メソ多孔体におけるケイ素原子の少なくとも一部が前記有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成している有機化シリカ系メソ多孔体を得る工程と、(2)上基有機化シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる工程とを含むマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法を提供する。
【0065】
この製造方法における「有機基を有するシリカ系メソ多孔体であって、該シリカ系メソ多孔体におけるケイ素原子の少なくとも一部が前記有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成している有機化シリカ系メソ多孔体」は、上述した「有機化シリカ系メソ多孔体」に該当する。
【0066】
有機化シリカ系メソ多孔体は、例えば、(1)有機基とケイ素原子を含有し該有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成しているケイ素化合物を少なくとも含むシリカ原料と、界面活性剤と溶媒とを含む溶液中で反応させて、上記界面活性剤を含有した多孔体を得る反応工程と、(2)上記多孔体から前記界面活性剤を除去する除去工程とを含む製造方法により、製造が可能である。
【0067】
反応工程においては、例えば、界面活性剤を含む水中で、下記一般式(1)及び(2)で表される化合物を反応させることが好ましい。
【0068】
【化7】
Figure 0004696433
【0069】
【化8】
Figure 0004696433
【0070】
なお、上記一般式(1)及び(2)において、Rはn価有機基であり(上記Rと同義)、nは1以上の整数(上記nと同義)である。X1及びX2は同一でも異なってもよく、それぞれ水酸基又は加水分解性基を示し;R31及びR32は同一でも異なってもよく、それぞれ1価有機基を示し;pは1〜3の整数を示し;qは2〜4の整数を示す。なお、X1、X2、R31及びR32が複数存在するときは、当該X1、X2、R31及びR32はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0071】
上記加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、メルカプト基等が挙げられるが、本発明においてはアルコキシ基が好ましい。上記1価有機基としては、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基等が挙げられるが、本発明においてはアルキル基が好ましい。また、上記化合物において、pは3が好ましく、qは3〜4がより好ましく4が更に好ましい。一般式(1)で表される化合物におけるnは1又は2であることが好ましく、したがってRは上述したR21又はR22であることが好ましい。すなわち、反応工程においては、下記一般式(1a)で表される化合物及び上記一般式(2)で表される化合物を用いるか(nが1の場合)、下記一般式(1b)で表される化合物及び上記一般式(2)で表される化合物を用いること(nが2の場合)が好適である。
【0072】
【化9】
Figure 0004696433
【0073】
【化10】
Figure 0004696433
【0074】
一般式(1a)で表される化合物としては、トリメトキシシリルエタン等のトリアルコキシシリルアルカンが挙げられる。また、一般式(1b)で表される化合物としては、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン等の1,2−ビス(トリアルコキシシリル)アルカンが挙げられる。そして、一般式(2)で表される化合物としては、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。なお、反応工程において用いる界面活性剤は、溶媒中でシリカ原料を分散可能なものであればよく、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤のいずれも適用可能であるが、トリメチルアンモニウムハライドが好ましい。
【0075】
反応工程により得られた多孔体は、細孔内に界面活性剤を含有するため、除去工程においてその界面活性剤を除去する。界面活性剤の除去方法としては、界面活性剤の良溶媒で抽出する方法、界面活性剤を加熱溶融する方法、界面活性剤を焼成する方法等が挙げられる。界面活性剤が極性を有するものである場合は、極性溶媒による抽出または焼成が好ましい。
【0076】
このようにして得られた有機化シリカ系メソ多孔体は、表面のシラノール基の数が非有機化シリカ系メソ多孔体に比べて少ないために、通常はpKa5〜14の範囲内にあるが、必要により、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を含む溶液に接触させ、pKa5〜14となるように調製してもよい。また、上記と同様にして、電子伝達剤及び/又は白金微粒子を含有せしめてもよい。
【0077】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
(シリカ系メソ多孔体の合成)
乾燥水ガラス(SiO2/Na2O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成し、ジケイ酸ソーダ(δ−Na2Si25)に結晶化させた。この結晶50gを500mLの水に分散させ、3時間攪拌した。その後、濾過して固形分を回収してカネマイトを得た。こうして得られたカネマイト50gを0.1Mのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液1000mLに分散させ、70℃で3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液のpHは12.3であった。その後70℃で加熱、攪拌しながら2Nの塩酸を添加して、分散液のpHを8.5に下げた。そして更に70℃で3時間加熱した後、室温まで放冷した。固形生成物を一旦濾過し、再び1000mLのイオン交換水に分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返してから風乾した。風乾して得られた試料を、窒素中450℃で3時間加熱した後、空気中550℃で6時間焼成することにより、シリカ系メソ多孔体(以下「FSM−16」と呼ぶ)を得た。
【0079】
このFSM−16について、粉末X線回折及び窒素吸着等温線の測定を行った。粉末X線回折は理学RAD−B装置を用い、CuKαを線源として2度(2θ)/分でスキャンした。スリット幅は、1度−0.3mm−1度であった。窒素吸着等温線は液体窒素温度において定容積法により求めた。
【0080】
X線回折パターンでは、10度(2θ)以下の低角度領域に4本のピークが観察された。それぞれ、d値で、3.7nm、2.1nm、1.8nm、1.4nmであった。これらのピークよりFSM−16は2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造を有していることがわかった。窒素吸着等温線は、相対蒸気圧(P/P0)が、0.32付近で急激に立ち上がる曲線を示し、均一な細孔(メソ細孔)の存在が示された。得られた窒素吸着等温線からCranston-Inklay法で計算した細孔径分布曲線は、中心細孔直径2.7nmを中心としたシャープな細孔分布を示した。また、中心細孔直径(2.7nm)の±30%の範囲内の直径を有する細孔の全容積が全細孔容積の80%を占めていることがわかった(すなわち、全細孔容積に占める中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合は60%以上であった。)。
【0081】
(アルカリ処理シリカ系メソ多孔体の調製)
FSM−16の粉末1gを水酸化ナトリウム0.1%エタノール溶液100mL中に入れ、5分間室温で攪拌した。その後、エタノールで洗浄して乾燥し、アルカリ処理シリカ系メソ多孔体(以下「Na−FSM−16」と呼ぶ)を得た。なお、Na−FSM−16のpKaは5であった。
【0082】
MSL−300WB(ブルッカー社製)を用いて、FSM−16とNa−FSM−16の13C MAS NMRスペクトルを得た。得られた13C MAS NMRスペクトルを図2に示す。図2に示されるように、アルカリ処理の前後でQ4とQ3の比率が異なっており、アルカリ処理前に存在していたFSM−16のシラノール基(−SiOH)がナトリウム塩(−SiONa)に変化していた。
【0083】
次いで、RAD−B(理学社製、X線:CuKα線)を用いて、FSM−16とNa−FSM−16の粉末X線回折を行った。得られたX線回折パターンを図3に示す。図3に示されるように、アルカリ処理の前後でX線回折パターンはほぼ同等であることから、FSM−16の2次元ヘキサゴナルの細孔配列構造が、アルカリ処理後も保たれていることがわかった。
【0084】
(マグネシウムポルフィリン複合体の作製)
Na−FSM−16の粉末100gとクロロフィルaのベンゼン溶液2mL(クロロフィルaのモル濃度:3.8〜21.3mM)とを混合し、25℃で30分間震盪させた。その後、7000rpmで20分間遠心分離を行ない、沈殿物を凍結乾燥した。これにより緑色のマグネシウムポルフィリン複合体(以下「FSM−Chlorophyll」という)を得た。次いで、Na−FSM−16に代えてFSM−16を用いた他は上記と同様にして、マグネシウムポルフィリン複合体(以下「未処理FSM−Chlorophyll」という)を得た。
【0085】
分光光度計330(日立社製)を用いて、FSM−Chlorophyllと未処理FSM−Chlorophyllの紫外/可視吸収スペクトルを測定した。得られたスペクトルを図4に示す。図4に示されるように、未処理FSM−Chlorophyllでは400〜800nmの波長領域でほとんど吸収が見られないものの、FSM−Chlorophyllでは同波長領域で大きな吸収が観察された。
【0086】
次いで、上記遠心分離で得られた上澄みを用いて、Na−FSM−16に対するクロロフィルaの吸着等温線を算出した。得られた吸着等温線を図5に示す。図5においては、100mgのNa−FSM−16に吸着したクロロフィルaの吸着量を縦軸に示し、そのときのクロロフィルaの平衡濃度を横軸に示した。
【0087】
(FSM−Chlorophyllの光安定性)
上記「マグネシウムポルフィリン複合体の作製」で得られた吸着量の異なるFSM−Chlorophyllを用いて、クロロフィルaの安定化率を算出し、以下の表1に示した。なお、安定化率は吸収極大波長の吸光度の減少から算出した。表1から明らかなように、クロロフィルaの吸着量が増加すると吸収極大波長が長波長側にシフトし、光に対する安定性が向上している。
【0088】
【表1】
Figure 0004696433
【0089】
Na−FSM−16に代えてFSM−16を用いた他は上記「マグネシウムポルフィリン複合体の作製」と同様にして、マグネシウムポルフィリン複合体を得た。そして、Na−FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体と、FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体とに同一条件で光(390nm以下をカットしたキセノンランプからの光)を照射して、クロロフィルaの安定性を評価した。評価結果を図6に示す。なお、図6におけるAはFSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体の結果を示し、BはNa−FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体の結果を示す。図6から明らかなように、Na−FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体におけるクロロフィルaの安定性は非常に優れていたものの、FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体におけるクロロフィルaの安定性は非常に劣っていた。
【0090】
(マグネシウムポルフィリン複合体の光還元材料としての応用)
上記「マグネシウムポルフィリン複合体の作製」で得られたFSM−Chlorophyll(100gのNa−FSM−16に対するクロロフィルaの吸着量が25mgのもの)200mgに、0.1Mのメチルビオロゲンを水に溶解した溶液10mLを加えることで、クロロフィルaが吸着したNa−FSM−16においてクロロフィルaに接触するようにメチルビオロゲンを配置させ、マグネシウムポルフィリン複合体(以下「光還元材料1」という。)を得た。
【0091】
次いで、電荷の分離を効率よく行うために、0.2gの光還元材料1に0.5gのSDS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)又はL−リジンとポリビニルピロリドンそれぞれ0.5gを加えた後に、光(390nm以下をカットしたキセノンランプからの光)を照射して、メチルビオロゲンの光還元を生じせしめた。そして、メチルビオロゲンの還元体の605nmの吸収を光の照射時間とともに測定した。得られた結果を図7に示す。図7におけるAは光還元材料1を用いたときの結果であり、BはFSM−Chlorophyllに代えてNa−FSM−16を用いた他は上記と同様に作製した光還元材料の結果である。また、Aにおける「off」は光照射開始10分後に光照射を中止したことを意味し、「on」は光照射を中止して10分後に光照射を再開したことを意味する。
【0092】
(マグネシウムポルフィリン複合体の光水素発生材料としての応用)
0.5gのFSM−16に対して、塩化テトラアンミン白金50mg(Pt:10mg)を水30mLに溶解した溶液を加え、減圧乾燥した後に、400℃ H2で還元した。次いで、得られた粉末1gに対して水酸化ナトリウム0.1%エタノール溶液100mLを加え、5分間室温で攪拌した後、エタノールで洗浄して乾燥しアルカリ処理を行った。次に、アルカリ処理後の粉末100gに対してクロロフィルaのベンゼン溶液2mLを混合し、25℃で30分間震盪させた後、7000rpmで20分間遠心分離を行ない、沈殿物を凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物におけるクロロフィルaの吸着量は、上記アルカリ処理後の粉末100gに対して25mgであった。次いで、凍結乾燥物200mgに対し0.1Mのメチルビオロゲンを水に溶解した溶液10mLを加えた。これにより、クロロフィルaが吸着したNa−FSM−16においてクロロフィルaに接触するようにメチルビオロゲンを配置させ、更にクロロフィルaに近接するように白金微粒子を配置させた、マグネシウムポルフィリン複合体(以下「光水素発生材料1」という。)が得られた。
【0093】
そして、0.1gの光水素発生材料1に1.5mLのメルカプトエタノール(電子供与体)を共存させた状態で、光(390nm以下をカットしたキセノンランプからの光)を照射して、白金微粒子に吸着した水素イオンの光還元を生じせしめた。水素発生量と光照射時間の関係を図8に示す。図8におけるAは光水素発生材料1を用いたときの結果であり、Bはメルカプトエタノールを共存させずに光水素発生材料1に光照射を行ったときの結果であり、Cはメルカプトエタノールを共存させた光水素発生材料1に光を照射しなかったときの結果である。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、クロロフィル等のマグネシウムポルフィリンを安定に、且つ大きな吸着量で吸着させたマグネシウムポルフィリン複合体を提供することが可能になる。また、かかるマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネシウムポルフィリン複合体に光を照射した場合の反応の模式図である。
【図2】FSM−16とNa−FSM−16の13C MAS NMRスペクトルである。
【図3】FSM−16とNa−FSM−16のX線回折パターンである。
【図4】FSM−Chlorophyllと未処理FSM−Chlorophyllの紫外/可視吸収スペクトルである。
【図5】Na−FSM−16に吸着したクロロフィルaの吸着量と、クロロフィルaの平衡濃度との関係を示す図である。
【図6】Na−FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体と、FSM−16を用いたマグネシウムポルフィリン複合体とにおける、クロロフィルaの安定性を示す図である。
【図7】本発明のマグネシウムポルフィリン複合体を電子供与体と共存状態で光照射した場合における、メチルビオロゲンの光還元の結果を示す図である。
【図8】本発明のマグネシウムポルフィリン複合体を電子供与体と共存状態で光照射した場合における、水素発生量と光照射時間の関係を示す図である。

Claims (7)

  1. pKa5〜14のシリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンとを備えることを特徴とするマグネシウムポルフィリン複合体。
  2. 前記マグネシウムポルフィリンに接触して存在する、酸化還元電位が−1〜0ボルトの電子伝達剤を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムポルフィリン複合体。
  3. シリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと、該マグネシウムポルフィリンに接触して存在する、酸化還元電位が−1〜0ボルトの電子伝達剤とを備えることを特徴とするマグネシウムポルフィリン錯体。
  4. 前記マグネシウムポルフィリンに近接して存在する、白金微粒子を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグネシウムポルフィリン錯体。
  5. シリカ系メソ多孔体と、該シリカ系メソ多孔体に吸着したマグネシウムポルフィリンと、該マグネシウムポルフィリンに近接して存在する白金微粒子とを備えることを特徴とするマグネシウムポルフィリン錯体。
  6. シリカ系メソ多孔体を、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの塩基を含む溶液に接触させることにより、pKa5〜14のアルカリ処理シリカ系メソ多孔体を得る工程と、
    前記アルカリ処理シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる工程と、を含むことを特徴とするマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法。
  7. 有機基を有するシリカ系メソ多孔体であって、該シリカ系メソ多孔体におけるケイ素原子の少なくとも一部が前記有機基の1箇所以上で炭素−ケイ素結合を形成している有機化シリカ系メソ多孔体を得る工程と、
    前記有機化シリカ系メソ多孔体にマグネシウムポルフィリンを吸着させる工程と、を含むことを特徴とするマグネシウムポルフィリン複合体の製造方法。
JP2001303485A 2001-09-28 2001-09-28 マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4696433B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001303485A JP4696433B2 (ja) 2001-09-28 2001-09-28 マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001303485A JP4696433B2 (ja) 2001-09-28 2001-09-28 マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003103178A JP2003103178A (ja) 2003-04-08
JP4696433B2 true JP4696433B2 (ja) 2011-06-08

Family

ID=19123563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001303485A Expired - Fee Related JP4696433B2 (ja) 2001-09-28 2001-09-28 マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4696433B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004051991A (ja) * 2002-07-17 2004-02-19 Toyota Central Res & Dev Lab Inc マグネシウムポルフィリン複合体
JP2005161266A (ja) * 2003-12-04 2005-06-23 Japan Science & Technology Agency 界面電子移動触媒分子層構成体とその形成方法並びに光エネルギー変換方法
JP4814555B2 (ja) * 2005-06-23 2011-11-16 株式会社デンソー 光消臭性多孔体及びこれを用いた空気清浄器
JP4631032B2 (ja) * 2005-08-16 2011-02-16 独立行政法人産業技術総合研究所 ミオグロビン複合体
JP6452159B2 (ja) * 2013-08-02 2019-01-16 国立大学法人 名古屋工業大学 光化学反応装置、その製造方法および光化学反応方法
JP7517375B2 (ja) 2022-09-06 2024-07-17 株式会社Ihi 金属回収剤、金属回収部材、金属回収液剤及び金属回収方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57205301A (en) * 1981-06-13 1982-12-16 Nippon Mining Co Ltd Photochemical production of hydrogen
JPH09274939A (ja) * 1996-04-04 1997-10-21 Touin Gakuen 光化学電池
JPH10113658A (ja) * 1996-10-09 1998-05-06 Japan Organo Co Ltd 液体中に含まれる有害物質の処理方法
JP2000033265A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Chisso Corp オレフィン及び芳香族炭素化合物の選択酸化光触媒、並びにそれを用いた含酸素化合物の製造方法
JP2001190649A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 消臭性多孔体

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57205301A (en) * 1981-06-13 1982-12-16 Nippon Mining Co Ltd Photochemical production of hydrogen
JPH09274939A (ja) * 1996-04-04 1997-10-21 Touin Gakuen 光化学電池
JPH10113658A (ja) * 1996-10-09 1998-05-06 Japan Organo Co Ltd 液体中に含まれる有害物質の処理方法
JP2000033265A (ja) * 1998-07-17 2000-02-02 Chisso Corp オレフィン及び芳香族炭素化合物の選択酸化光触媒、並びにそれを用いた含酸素化合物の製造方法
JP2001190649A (ja) * 2000-01-07 2001-07-17 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 消臭性多孔体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003103178A (ja) 2003-04-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Song et al. Microwave-assisted synthesis of BiOBr/graphene nanocomposites and their enhanced photocatalytic activity
Shylesh et al. Vanadium-containing ordered mesoporous silicates: Does the silica source really affect the catalytic activity, structural stability, and nature of vanadium sites in V-MCM-41?
Shen et al. Growth of quantum-confined CdS nanoparticles inside Ti-MCM-41 as a visible light photocatalyst
Liang et al. High performance visible-light driven photocatalysts of Bi2MoO6-g-C3N4 with controllable solvothermal fabrication
EP1590296B1 (en) Modified layered metallosilicate material and production process thereof
Khan et al. Synthesis of Ni2+ cation modified TS-1 molecular sieve nanosheets as effective photocatalysts for alcohol oxidation and pollutant degradation
JP4296307B2 (ja) 球状シリカ系メソ多孔体の製造方法
Cheng et al. Easily recoverable titanosilicate zeolite beads with hierarchical porosity: Preparation and application as oxidation catalysts
Khanh Nguyen et al. Synthesis and Characterization of Mesoporous Silica SBA‐15 and ZnO/SBA‐15 Photocatalytic Materials from the Ash of Brickyards
Peng et al. Controlled synthesis of thin BiOCl nanosheets with exposed {001} facets and enhanced photocatalytic activities
JP4873142B2 (ja) 球状シリカ系メソ多孔体の製造方法
Zhang et al. Well-crystallized mesoporous TiO 2 shells for enhanced photocatalytic activity: prepared by carbon coating and silica-protected calcination
JP4696433B2 (ja) マグネシウムポルフィリン複合体及びその製造方法
Ren et al. Post-synthesis of hierarchically structured Ti-β zeolites and their epoxidation catalytic performance
Smirnova et al. Photodegradation of dye acridine yellow on the surface of mesoporous TiO 2, SiO 2/TiO 2 and SiO 2 films: spectroscopic and theoretical studies
Koekkoek et al. Dry gel conversion of organosilane templated mesoporous silica: From amorphous to crystalline catalysts for benzene oxidation
Rahiman et al. Manganese (III) porphyrin-encapsulated Ti, Si-mesoporous molecular sieves as heterogeneous catalysts for the epoxidation of alkenes
Abboud et al. Synthesis of ferrocenylazobenzene-functionalized MCM-41 via direct co-condensation method
Baranowska et al. Bifunctional catalyst based on molecular structure: spherical mesoporous TiO2 and gCN for photocatalysis
Dong et al. CTAB modified TiO2 supported on HZSM-5 zeolite for enhanced photocatalytic degradation of azophloxine
Sathishkumar et al. Photocatalytic degradation of ternary dye mixture in aqueous environment using gold nanoparticles loaded amino and mercapto functionalized TiMCM-41 nanocatalysts in the presence of visible light
Ren et al. Encapsulation of direct blue dye into mesoporous silica-based materials
Lin et al. Preparation and catalytic properties of mesoporous titanosilicate of cubic Pm3n structure
Shankar et al. Synthesis, characterization and photocatalytic activity of nanotitania loaded W-MCM-41
JP2010120800A (ja) 球状酸化物半導体粒子、並びに、これを用いた集積体及び光電極

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101018

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101026

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110214

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4696433

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140311

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees