JP4496630B2 - 金属細線触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属細線触媒に関するものであり、より詳しくは、多孔体の細孔内に細線状の金属クラスターが形成された金属細線触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属を微粒子化すると、粒子表面に存在する原子(以下、表面原子という)の割合の増加に伴って表面の特異性がマクロな物性として発現し、バルクの金属とは異なる特性を示すことが知られている。例えば、アルミナ、シリカ等の担体上に白金やロジウム等の金属を分散させて得られる金属触媒においては、分散させる金属を微粒子化することによって触媒活性を向上させることができる。
【0003】
ところで、このような金属触媒において微粒子化された金属の粒径は通常数十nm〜数百nmであるが、近年、触媒活性をより向上させるために金属のさらなる微粒子化が検討されている。しかしながら、従来の方法では上記の範囲より小さい粒径を有する金属微粒子を得ることは非常に困難であり、より微粒子化された金属触媒を効率よく且つ確実に得るための方法は未だ開発されていない。また、貴金属触媒等においては、金属微粒子の粒径が特定の値以下になると触媒活性が却って低下したり耐熱性が不十分となる等、金属を過度に微粒子化することは触媒活性を向上させる上で必ずしも有効ではない。
【0004】
また、金属触媒の触媒活性を向上させるための他の方法として、特定の金属と特定の担体とを組み合わせることにより両者の相互作用に起因する触媒活性を発現させる試みがなされている。例えば、担体としてゼオライト等の多孔体を用い、その細孔内に金属を充填して粒状若しくは細線状の金属のクラスターを形成させた金属触媒が知られており、特に、金属のクラスターが細線状のものは金属細線触媒と呼ばれている。しかしながら、このような金属触媒においては、金属と担体との相互作用に起因する触媒活性向上効果は僅かであり、十分に高い触媒活性向上効果を得ることはできなかった。また、このような金属触媒は、水性ガスシフト反応等の高温条件下で行われる反応に使用した際に触媒活性が低下して触媒の寿命が短くなってしまうという欠点があった。さらに、担体としてゼオライトを用いる場合には、ゼオライトの細孔が小さいために、クラスターを均一に且つ高密度で形成することが非常に困難であった。
【0005】
一方、特開平10−130013号公報には、孔径(中心細孔直径)1.3〜10nmの細孔を有するメソ多孔体の細孔内に粒子状もしくは細線状のクラスターが配置されたクラスター包接材料が開示されているが、このようなクラスター包接材料が触媒として使用可能であることについては示唆されていない。また、本発明者らの検討によれば、仮に上記のクラスター包接材料を用いた場合であっても、必ずしも十分に高い触媒活性を得ることはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、水性ガスシフト反応等の高温条件下で行われる反応に有用な、十分に高い触媒活性と十分に高い耐熱性とを有する金属細線触媒を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、多孔体の細孔内に金属細線が形成された金属細線触媒において、金属細線の形成のホストとして中心細孔直径細孔が特定の範囲内である細孔を有する多孔体を用い、その細孔内に形成される金属細線の平均直径と平均アスペクト比とをそれぞれ特定の範囲となるように制御することによって上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の金属細線触媒は、中心細孔直径が1nm以上50nm以下である細孔を有する多孔体と、
前記細孔内に形成された、平均直径が1nm以上50nm以下であり且つ平均アスペクト比が3以上である、貴金属からなる金属細線と、
を備え、水性ガスシフト反応に用いられることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の金属細線触媒によって十分に高い触媒活性と十分に高い耐熱性とが同時に達成される理由は明らかではないが、本発明においては、多孔体の細孔内に形成される金属細線の平均直径と平均アスペクト比とをそれぞれ上記特定の範囲内となるように制御することによって、金属細線と多孔体との強い相互作用に起因する電子欠陥が生じるので、金属細線を構成する金属原子が従来の金属微粒子や金属クラスターとは異なる特異な電子状態をとり、その結果、触媒活性と耐熱性とが十分に高められるものと本発明者らは推察する。
【0010】
なお、本発明にかかる中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径に対してプロットした細孔径分布曲線においてdV/dDが最も大きくなる(最大ピークを示す)細孔直径を中心細孔直径という。ここで、上記の細孔径分布曲線は、液体窒素温度(−196℃)における窒素ガスの平衡圧と窒素ガスの多孔体への吸着量とをプロットすることにより得られる吸着等温線に基づいて、Cranston−Inklay法、Dollimore−Heal法、BJH法等の計算式により得られるものである。
【0011】
また、本発明にかかる金属細線の平均直径及び平均アスペクト比とは、それぞれ透過型電子顕微鏡写真(好ましくは倍率440000〜750000倍)において無作為に抽出される20個の金属細線の直径及びアスペクト比(長さ/直径比)の平均値をいう。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
(多孔体)
本発明の金属細線触媒においては、中心細孔直径が1nm以上50nm以下である細孔を有する多孔体が用いられる。中心細孔直径が1nm未満である場合は、細孔の平均の大きさが吸着の対象となる物質の大きさよりも小さくなることが多くなるために、吸着性能が低下する傾向にある。また、中心細孔直径が50nmを超える場合は、比表面積が減少して触媒活性が低下する傾向にある。
【0013】
本発明にかかる多孔体においては、前記中心細孔直径の±40%の範囲内の細孔容積の総和が全細孔容積の60%以上であることが好ましい。この条件は、多孔体が十分に均一な細孔径を有するメソ孔を有することを示すものであり、このようにメソ孔の細孔構造が均一であることによって触媒反応において十分に高い選択性が得られる傾向にある。
【0014】
ここで、例えば細孔径分布曲線における中心細孔直径が3.00nmであり、その±40%の細孔範囲に全細孔容積の60%以上が含まれるということは、細孔直径が1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の総計が全細孔容積の60%以上を占めているということであり、言い換えれば、細孔径分布曲線における細孔直径1.80〜4.20nmにある細孔の細孔容積の積分値が、細孔径分布曲線の全積分値の60%以上を占めているということである。
【0015】
また、本発明にかかる多孔体は、そのX線回折パターンにおいて1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0016】
本発明にかかる多孔体が有する細孔は、粒子の表面のみならず内部にも形成される。この細孔の形状は特に制限はないが、例えば、トンネル状に貫通したものであってもよく、また、球状もしくは多角形状の空洞が互いに連結したような形状を有していてもよい。
【0017】
本発明にかかる多孔体の細孔形状としては、1次元的にトンネル状に延びたものや、3次元的に箱状あるいは球状の細孔が結合したもの等を挙げることができる。また、本発明にかかる多孔体の細孔構造としては、2次元ヘキサゴナル構造(p6mm)、3次元ヘキサゴナル構造(P63/mmc)、キュービック構造(Ia3-d、Pm3-n)、ラメラ、不規則構造等が挙げられるが、3次元的に細孔が結合したメソ孔を有する細孔構造が好ましい。このようなメソ孔を有する場合には、触媒反応における反応基質がより速やかに拡散して効率よく吸着分離することが可能となる傾向にある。
【0018】
上記の細孔を有する多孔体は、無機系骨格の細孔壁、又は、有機/無機ハイブリッド系骨格の細孔壁を有している。
【0019】
ここで、本発明にかかる多孔体が無機系骨格を有する場合、該無機系骨格はシリケート等の無機酸化物の高分子主鎖からなる。シリケート基本骨格中のケイ素原子に代える原子、あるいはシリケート骨格に付加する原子としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等を挙げることができる。
【0020】
本発明にかかる多孔体を構成し得るその他の無機系骨格としては、非Si系のジルコニア、チタニア、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化スズ、酸化ハフニウム、アルミナ等の無機酸化物、あるいはそれらの無機酸化物からなる基本骨格中に上記のシリケート骨格に付加する原子を組み込んだ複合酸化物が挙げられる。
【0021】
なお、本発明においては、このような無機系の基本骨格の側鎖に種々の有機基等が付与されていてもよい。かかる側鎖としては、チオール基あるいはチオール基を含む有機基、メチル基、エチル基等の低級アルキル基、フェニル基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基等が挙げられる。
【0022】
また、本発明にかかる多孔体が無機/有機ハイブリッド系骨格を有する場合は、金属原子を含む高分子主鎖に、1又は2以上の炭素原子を含む有機基が、該炭素原子において前記主鎖を構成する金属原子に直接あるいは酸素原子を介して結合している。この有機基と高分子主鎖との結合は、1点であっても2点以上であってもよい。また、かかる主鎖の形態は特に限定されないが、具体的には、直鎖状、網目状、分岐鎖状等の各種形態をとることができる。
【0023】
前記無機/有機ハイブリッド系骨格の主鎖における金属原子は、特に限定されないが、具体的には、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、タンタル、ニオブ、スズ、ハフニウム、マグネシウム、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、鉛、バナジウム、チタン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムであり、より好ましくはケイ素である。本発明においては、上記の各種金属原子のうちの1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
このような無機/有機ハイブリッド系骨格の高分子主鎖において、炭素原子は、1又は2以上の炭素原子を備えた有機基の形態で含まれる。この有機基中の1又は2以上の炭素原子が、前記主鎖を構成する金属原子に1点あるいは2点以上で結合される。前記有機基と前記金属原子との結合部位は、有機基の末端でもよく、末端以外の他の部位であってもよい。
【0025】
前記無機/有機ハイブリッド系骨格の有機基については特に限定されないが、具体的には、アルキル鎖、アルケニル鎖、ビニル鎖、アルキニル鎖、シクロアルキル鎖、ベンゼン環、ベンゼン環を含む炭化水素等の各種炭化水素基の他、各種水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等の有機官能基と1又は2以上の炭素原子を備えた化合物に由来する有機基等、各種のものを使用することができる。有機基は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、前記無機/有機ハイブリッド系骨格の高分子主鎖と2点以上で結合される有機基としては、好ましくはアルキル鎖由来の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜5の鎖状アルキル鎖由来の炭化水素基である。このような炭化水素基としては、具体的には、メチレン基(−CH2CH2−)等のアルキレン鎖を挙げることができる。また、好ましい有機基として、フェニレン基(−C64−)を挙げることができる。
【0027】
前記無機/有機ハイブリット系骨格の高分子主鎖を構成する原子として、上記の金属原子及び炭素原子の他に、さらに、他の原子を含めることができる。ここで、前記無機/有機ハイブリッド系骨格を構成する他の原子については特に限定されないが、好ましくは、金属原子と金属原子との間に位置される酸素原子であり、酸素原子を含む場合に形成される結合としては、具体的には、Si−O、Al−O、Ti−O、Nb−O、Sn−O、Zr−O等が挙げられる。なお、これらの結合は、ポリシロキサン、ポリアロキサン等の各種遷移金属のポリメタロキサンに含まれる金属原子と酸素原子との結合に対応する。本発明においては、無機/有機ハイブリッド系骨格の主鎖に含まれるこれらの結合は、1種であってもよく、あるいは2種以上が組み合わされていてもよい。また、前記無機/有機ハイブリッド系骨格の主鎖には、窒素、イオウ、各種ハロゲン等の原子が含まれていてもよい。
【0028】
なお、このような無機/有機ハイブリット系骨格の高分子主鎖を構成する原子に結合する側鎖部分には、各種金属原子、有機官能基、無機官能基が付加されていてもよい。無機/有機ハイブリッド系骨格の主鎖を構成する原子の側鎖官能基としては、例えば、チオール基、カルボキシル基、メチル基やエチル基などの低級アルキル基、フェニル基、アミノ基、ビニル基等を有するものが好ましい。
【0029】
上記の無機系骨格又は無機/有機ハイブリッド系骨格を有する多孔体の中でも、酸性の多孔体が好ましく、シリカ多孔体が特に好ましい。酸性の多孔体を担体として用いると、触媒反応における収率及び選択率が向上する等より高い触媒活性が得られる傾向にある。
【0030】
本発明にかかる多孔体は、基本的には、多孔体を構成する骨格成分を、細孔構造を得るためのテンプレート(鋳型)として界面活性剤を用いて縮重合させ、その後、界面活性剤を除去することによって得られる。
【0031】
ここで、本発明にかかる多孔体が無機系骨格である場合、無機系高分子主鎖を縮重合により形成する無機系骨格成分としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等のアルコキシシラン、ケイ酸ソーダ、カネマイト(kanemite、NaHSi25・3H2O)あるいはシリカを用いることができる。これらの骨格成分はシリケート骨格を形成する。なお、本発明においては、低級アルキル基やフェニル基などの官能基のシリケート骨格への導入は、相当する官能基を有するアルコキシシランを用いて行うことができる。
【0032】
また、本発明においては、無機骨格成分として、ケイ素以外の元素を含む化合物を用いることができる。例えば、Al源として擬ベーマイト、アルミン酸ソーダ、硫酸アルミニウムあるいはジアルコキシアルミノトリアルコキシシランを添加することによって、SiO2−Al23からなる基本骨格の多孔体が合成され得る。また、SiをTi、Zr、Ta、Nb、Sn、Hf等の金属に置き換えた酸化物を使用することによって、種々の金属(Mn+;MはTi、Zr、Ta、Nb、Sn、Hf等の金属を表し、nは金属の電荷を表す)をシリケート骨格内に含むメタロシリケート系多孔体(SiO2−MOn/2)を得ることができる。具体的には、Ti(OC254等のチタネート化合物、硫酸バナジル(VOSO4)、ホウ酸(H3BO3)又は塩化マンガン(MnCl2)をアルコキシシランに加えて共重合反応を行うことによって、それぞれTi、V、B又はMnが導入されたメタロシリケート系多孔体を得ることができる。
【0033】
また、本発明にかかる多孔体が無機/有機ハイブリッド系骨格を有する場合、無機/有機ハイブリッド系骨格成分として、金属原子と有機基とが2以上の結合部位において結合し、且つ該有機基が結合する各金属原子に少なくとも1つのアルコキシ基又はハロゲン基が結合した有機金属化合物を用いることができる。このような構成を有する有機金属化合物としては、具体的には、(CH3O)3Si−CH2−CH2−Si(OCH33、(CH3O)3Si−C64−Si(OCH33等の有機ケイ素化合物、又は前記有機ケイ素化合物のケイ素原子(Si)を他の金属原子(Al、Ti、Zr、Ta、Nb、Sn、Hf等)に置き換えた化合物、メトキシ基(OCH3)を上記のハロゲン基で置き換えた化合物等が挙げられる。ここで、上記の有機金属化合物に含まれるアルコキシ基及びハロゲン基は、縮重合反応における加水分解基である。本発明においては、上記の有機金属化合物のみを骨格成分として用いてもよく、上記の有機金属化合物と上記の無機系骨格成分において例示されたアルコキシシラン、ケイ酸ソーダ、シリカ等とを組み合わせて用いてもよい。
【0034】
上記の多孔体の骨格成分を、テンプレート(鋳型)としての界面活性剤を用いて縮重合し、その後、界面活性剤を除去することによって、目的の多孔体を得ることができる。
【0035】
ここで、本発明において使用される界面活性剤は、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム(好ましくはアルキル基の炭素数が8〜18のアルキルトリメチルアンモニウム)、アルキルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物の他、脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。
【0036】
上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイド、をそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、具体的には、C1633(OCH2CH22OH(以下、このような構造をC16EO2と略して記載する)、C12EO4、C16EO10、C16EO20、C18EO10、C18EO20、C1835EO10等が挙げられる。
【0037】
また、本発明においては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることができる。このような界面活性剤としては、TritonX−100、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノラウリレート(Tween20、アルドリッチ)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノパルミテート(Tween40)、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレンオキサイド(20)ソルビタンモノオレート(Tween60)、ソルビタンモノパルミテート等が挙げられる。本発明においては、上記の界面活性剤のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
さらに、本発明においては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることができ、中でもポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖型、あるいはポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖型のトリブロックコポリマーが好適に使用される。ここで、エチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖型のトリブロックコポリマーを(EO)x(PO)y(EO)xと表すと、各アルキレンオキサイドのユニット数は好ましくはx=5〜110、y=15〜70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60である。他方、ポリプロピレンオキサイド鎖−ポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖型のトリブロックコポリマーを(PO)x(EO)y(PO)xと表すと、各アルキレンオキシドのユニット数は、好ましくはx=5〜110、y=15〜70であり、より好ましくはx=15〜20、y=50〜60である。このようなトリブロックコポリマーとしては、具体的には、(EO)5(PO)70(EO)5、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)39(EO)26等が挙げられ、これらのトリブロックコポリマーはBASF社等より商業的に入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値とを有するものを得ることもできる。さらに、これらのトリブロックコポリマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
さらにまた、本発明においては、エチレンジアミンの2つの窒素原子にそれぞれ2つのポリエチレンオキサイド鎖−ポリプロピレンオキサイド鎖が結合したスターダイブロックコポリマーをテンプレートとして使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、具体的には、{(EO)113(PO)222NCH2CH2N{(PO)22(EO)1132、{(EO)3(PO)182NCH2CH2N{(PO)18(EO)32、{(PO)19(EO)162NCH2CH2N{(EO)16(PO)192等が挙げられる。また、本発明においては、上記のスターダイブロックコポリマーのうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
さらにまた、本発明においては、1級アルキルアミン等の界面活性剤を使用することができる。ここで、1級アルキルアミンのアルキル鎖の長さを適宜選択することによって、得られる多孔体の細孔径を制御することができる。
【0041】
上記の界面活性剤を用いて上記の骨格成分を縮重合させる場合、溶媒として水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物等を使用することができるが、これらの中でも水を用いることが好ましい。また、反応に用いる骨格成分と界面活性剤とのモル比(骨格成分/界面活性剤比)は好ましくは60以上であり、より好ましくは90以上であり、さらに好ましくは120以上である。骨格成分/界面活性剤比を前記の範囲内とすると、得られる多孔体細孔径が小さくなるとともに、細孔壁厚が厚くなり、また細孔容積が小さくなる傾向にある。
【0042】
また、上記の骨格成分と上記の界面活性剤とを含む反応系は、酸性、中性、アルカリ性のうちのいずれであってもよいが、酸性であることが好ましく、pH1以下であることがより好ましく、pH0.5以下とすることが特に好ましい。反応系を酸性にする際には、塩酸、ホウ酸、臭素酸、フッ素酸、ヨウ素酸、硝酸、硫酸、リン酸、又はこれらのうちの2種以上の混合物等を用いることができ、これらの中でも、塩酸又は硫酸を用いることが好ましく、塩酸を用いることが特に好ましい。
【0043】
本発明においては、上記の各成分を混合する方法について特に制限はないが、界面活性剤を溶媒と混合し、同時に、あるいは引き続いて酸を添加して好ましい酸性雰囲気とした後、骨格成分を添加することが好ましい。ここで、界面活性剤及び酸を混合する際の温度は特に制限されないが、0〜100℃であることが好ましい。また、骨格成分を添加する際の温度は特に制限されないが、35〜80℃であることが好ましく、40℃〜45℃であることがより好ましい。さらに、骨格成分を添加する際には、骨格成分全量を一度に添加してもよく、混合液を攪拌しながら少量ずつ添加してもよいが、攪拌しながら1分以上にわたって少量ずつ添加することが好ましい。
【0044】
上記の手順により各成分を混合した後、反応混合物を所定の温度に保持して縮重合反応を行うことにより、多孔体前駆体(界面活性剤が細孔内に充填されたままのもの)を得ることができる。ここで、本発明においては、縮重合反応の反応温度は使用する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常0〜100℃であり、好ましくは35〜80℃である。特に、界面活性剤として上記のトリブロックコポリマーを使用する場合、反応温度は40〜45℃であることが好ましい。縮重合反応の反応温度が前記範囲内であると、得られる多孔体の構造の規則性が高くなるとともに、細孔径が小さく、細孔壁厚が厚くなる傾向にある。なお、上記の縮重合反応においては、反応の進行状況に応じて反応温度を適宜変更することもできる。
【0045】
また、上記の縮重合反応の反応時間は使用する界面活性剤や骨格成分の種類や濃度によって異なるが、通常、8〜24時間である。また、上記の縮重合反応は、静置状態、攪拌状態のいずれで行ってもよく、またそれらを組み合わて行ってもよい。さらに、上記の縮重合反応においては、界面活性剤に加えてトリメチルベンゼンやトリイソプロピルベンゼンなどの疎水性を有する化合物を添加することによって、得られる多孔体の細孔径を制御することができる。
【0046】
本発明においては、上記の縮重合反応の後、得られた多孔体前駆体に対して水熱処理を行うことが好ましい。水熱処理を行うと、界面活性剤除去後の多孔体の強度及び構造規則性が向上し、細孔安定性及び細孔径分布の均一性に優れた多孔体が得られる傾向にある。
【0047】
本発明における水熱処理は以下の手順で行うことができる。すなわち、縮重合反応に使用したものと同様の界面活性剤を含む水溶液(好ましくは縮重合反応時と同等以下の界面活性剤濃度である)中に多孔体前駆体を分散させて得られる反応液をそのまま、あるいは必要に応じてさらに希釈して加熱し、所定の時間経過後、反応液を濾過し、得られた多孔体前駆体を乾燥させる。ここで、本発明における水熱処理温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは60〜100℃であり、より好ましくは70〜80℃である。また、本発明における水熱処理は弱アルカリ条件下で行うことが好ましく、pH8〜8.5で行うことがより好ましい。反応液のpHは塩酸又は水酸化ナトリウムを用いて調整することができる。さらに、本発明における水熱処理時間は特に制限されないが、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは3〜8時間である。水熱処理時間が1時間未満であると処理が不十分となる傾向にあり、他方、8時間を超えても処理時間に見合う効果が得られない傾向にある。さらにまた、本発明における水熱処理は攪拌しながら行うことが好ましい。なお、上記の水熱処理を行う際には、反応液を加熱する前に予め室温で数時間攪拌処理を行うと、水熱処理によって得られる上記の効果がより高められる傾向にあるので好ましい。
【0048】
上記の縮重合反応後又は水熱処理後に得られる多孔体前駆体から界面活性剤を除去することによって、目的の多孔体を得ることができる。ここで、多孔体前駆体からの界面活性剤の除去は、焼成による方法、水やアルコール等の溶媒で処理する方法等により行うことができる。
【0049】
焼成による方法を用いる場合、多孔体前駆体を通常300〜1000℃、好ましくは400〜700℃に加熱し、通常30分以上、好ましくは1時間以上保持することによって界面活性剤を除去することができる。なお、上記の焼成は空気を流通させた雰囲気で行うことができるが、多量の燃焼ガスが発生するため、焼成初期は窒素等の不活性ガスを流通させた雰囲気で行うことが好ましい。
【0050】
また、溶媒で処理する方法を用いる場合、多孔体前駆体に含まれる界面活性剤に対して溶解度の大きい溶媒に多孔体前駆体を分散させ、攪拌した後に固形分を回収することによって、目的の多孔体を得ることができる。ここで、本発明において界面活性剤の除去に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられる。これらの溶媒のうち、水を用いる場合は25〜80℃で上記の処理を行うことが好ましい。また、水を用いる場合には、十分な溶解性を得るために塩酸、酢酸、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの陽イオン成分を含む物質を少量(好ましくは0.1〜10mol/l)添加してもよい。特に、水あるいは塩酸を添加した水を用いると、界面活性剤の抽出を効率よく行うことができる傾向にあるので好ましい。また、界面活性剤の除去にエタノールを用いる場合、多孔体前駆体の分散量はエタノール100ccに対して0.5〜50gであることが好ましい。さらに、エタノールを用いる場合は25〜100℃で上記の処理を行うと、溶媒のみで界面活性剤の抽出を効率よく行うことができる傾向にあるので好ましい。なお、本発明においては、粉砕、ふるい分け、成形等の各工程は、界面活性剤を除去する前の多孔体前駆体に対して行ってもよく、界面活性剤除去後に得られる多孔体に対して行ってもよい。
【0051】
(金属細線)
本発明にかかる金属細線とは、多孔体の細孔を鋳型として形成される原子集団(クラスター)のうち、細孔に沿って線状に形成されたものをいい、その平均直径は1nm以上50nm以下であり、その平均アスペクト比は3以上(好ましくは5以上)である。金属細線の平均直径が1nm未満である場合には、触媒の耐熱性が不十分となる。他方、金属細線の平均直径が50nmを超える場合には、金属細線における表面原子の割合が減少して金属細線表面の特異性がマクロな物性として発現しにくくなる。さらに、金属細線の平均アスペクト比が3未満である場合には、多孔体の細孔表面に接する金属原子の数が減少するため、細孔表面と金属との相互作用に由来する触媒活性向上効果が不十分となる。したがって、金属細線の平均直径や平均アスペクト比が上記の条件を満たさない場合には、触媒活性及び耐熱性が不十分となる。
【0052】
本発明にかかる金属細線の材料は目的に応じて適宜選択されるが、具体的には、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Rh)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)等が挙げられる。これらの中でも、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、銀等の貴金属を用いると、触媒活性と耐熱性とがより高水準で両立される傾向にあるので好ましい。
【0053】
本発明において、多孔体の細孔内に金属細線を形成する際に用いる原料化合物としては特に制限されないが、例えば、上記の貴金属の細線を形成する場合には上記の貴金属の塩又は錯塩を用いることができる。より具体的には、白金のクラスターの原料化合物として、H2PtCl6、Pt(NO22(NH32、[Pt(NH36]Cl4、H2Pt(OH)6、PtCl2(NH32、Pt(NH34Cl2、Pt(NH34(OH)2、Pt(NH34(OH)4、K2PtCl4、PtCl4、PtCl2等が挙げられる。
【0054】
上記の金属細線の原料化合物を多孔体の細孔内に導入する方法としては、液相法、固相法、気相法等が挙げられる。気相法においては、クラスターの原料化合物を水、エタノール、ベンゼン等の溶媒に溶解させ、その溶液中に多孔体を加えて攪拌混合することにより;固相法では、固体状の金属細線の原料化合物と多孔体(通常、粉末状である)とを固相で混合し、密閉容器中で加熱した後、過剰の原料化合物を洗浄等により除去することにより;気相法では、金属アルコキシド等の蒸気を発生するものや昇華しやすいものを原料に用い、それらの蒸気を多孔体と接触させることにより、それぞれ原料化合物が多孔体の細孔内に導入される。
【0055】
このようにして多孔体の細孔内に導入された原料化合物を金属細線に変換することによって、本発明の金属細線触媒が得られる。ここで、原料化合物を金属細線に変換する方法は原料化合物の種類に応じて適宜選択されるが、細孔内に原料化合物が導入された多孔体に光照射処理を行うことによって、平均直径及び平均アスペクト比が上記の条件を満たす金属細線の形成を効率よく且つ確実に行うことができる。例えば、H2PtCl6を用いた場合には、試料を透明容器に入れて真空脱気した後、冷却しながら高圧水銀ランプ等を用いて10分〜3時間光照射を行うことによって、目的とする白金細線の形成を好適に行うことができる。
【0056】
このようにして得られる本発明の金属細線触媒は、十分に高い触媒活性と十分に高い耐熱性とを有するものであり、高温条件下で行われる種々の反応、具体的には、水性シフト反応、ナフサ改質、クラッキング、軽油中の芳香族化合物の水素化、ガソリンへの軽質化等の触媒として好適に用いることができる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら制限されるものではない。
【0058】
実施例1
(多孔体の合成)
粉末ケイ酸ソーダ(SiO2/Na2O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成してジケイ酸ソーダ(δ−Na2Si25)の結晶とし、この結晶50gを水500ml中に分散させて3時間攪拌した後、濾過により固形分を回収してカネマイト結晶を得た。このカネマイト結晶の乾燥重量換算で50g相当を、乾燥させずに0.1Mヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド水溶液1000mlに加えて分散させ、70℃で3時間加熱攪拌した。その後、2規定の塩酸を用いて分散液のpHを8.5とし、さらに70℃で3時間加熱攪拌した。分散液を室温まで放冷した後、分散液中の固形分を濾取し、1000mlのイオン交換水に分散させて攪拌した。この濾過と分散・攪拌とを5回繰り返した後、固形分を60℃で24時間乾燥し、窒素ガス中、450℃で3時間加熱し、さらに空気中、550℃で6時間焼成することにより目的の多孔体(中心細孔直径:2.7nm)を得た。
【0059】
(金属細線の原料化合物の多孔体への導入)
上記の多孔体200mgをシュレンク管に入れて100℃に加熱し、1×10-4mmHgで2時間真空脱気を行った。その後、多孔体を200mlナス型フラスコに移し、水20mlを加えて分散液を調製した。
【0060】
一方、50mlナス型フラスコに塩化白金酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)30mg(5.8×10-2mmol)と水5mlとを入れて混合し、塩化白金酸水溶液を調製した。
【0061】
このようにして得られた分散液と塩化白金酸水溶液とを混合して24時間攪拌した(Pt担持量:5重量%)。その後、40℃に加熱しながらエバポレータを用いて水を留去し、さらに25℃、1×10-4mmHgの条件下で24時間真空脱気して水を完全に除去した。
【0062】
(金属細線の形成)
次に、得られた残留物を石英製光学セルに移し、50mmHgの2−プロパノール蒸気及び20mmHgの水蒸気を導入した後、高圧水銀ランプ(波長:254nm以上)を用いて27℃で5時間光照射を行い、目的の金属細線触媒を得た。
【0063】
このようにして得られた金属細線触媒の透過型電子顕微鏡写真を図1及び図2に示す。得られた金属細線触媒においては、平均直径2.5nm、平均アスペクト比7.6の白金の細線が形成されていることが確認された。
【0064】
実施例2
金属細線の形成工程における光照射時の温度を200℃としたこと以外は実施例1と同様にして、金属細線触媒を作製した。
【0065】
このようにして得られた金属細線触媒の透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。得られた金属細線触媒においては、平均直径2.5nm、平均アスペクト比3.1の白金の細線が形成されていることが確認された。
【0066】
比較例1
金属細線の原料化合物の多孔体への導入工程までは実施例1と同様にして行った後、水を除去した後の残留物を石英製光学セルに移し、水素気流中、100℃で2時間処理することによって金属触媒を作製した。
【0067】
このようにして得られた金属触媒の透過型電子顕微鏡写真を図4に示す。得られた金属触媒においては、細孔内部に粒子状の白金が生成しており、白金細線は形成されていないことが確認された。
【0068】
次に、実施例1及び2の金属細線触媒、並びに比較例1の金属触媒について以下の試験を行った。
【0069】
(表面白金原子数の測定)
以下の手順に従って、実施例1及び2の金属細線触媒、並びに比較例1の金属触媒について表面に存在する白金原子の数を測定した。
【0070】
先ず、圧力センサを備えた定容式吸着装置に金属の含有量が既知である試料を封入し、水素雰囲気下、375℃で2時間還元処理を行った後、直ちに375℃にて排気処理を行い、試料に吸着している水素を脱着させた。次に、装置内を真空に保ったまま室温まで冷却した後、再び装置内に水素ガスを導入した。そして、水素ガスを導入したときの圧力の減少量を測定し、得られた測定値に基づいてH/Pt値(白金原子1個当たりに吸着した水素原子の数)を求めた。その結果を表1に示す。
【0071】
(水性ガスシフト反応における触媒活性評価試験)
実施例1及び2の金属細線触媒、並びに比較例1の金属触媒を用いて、以下に示す条件で水性ガスシフト反応を行い、生成する二酸化炭素量を測定した。
【0072】
一酸化炭素の初期圧力:200Torr
水の初期圧力:20Torr
触媒量:300mg
温度:100℃
上記の試験で得られた触媒1g当たりの二酸化炭素の生成量[mol/gcat]と反応時間との相関を図5に示す。また、二酸化炭素の生成量とH/Pt値とに基づいて得られた各触媒のターンオーバー周期(TOF[h-1])を表1に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004496630
【0074】
図5及び表1に示すように、実施例1及び2の金属細線触媒においては、比較例1の金属触媒に比べて表面に存在する白金原子数が少ないにも関わらず、水性ガスシフト反応におけるターンオーバー周期が十分に大きく、十分に高い触媒活性と十分に高い耐熱性とを有していることが確認された。
【0075】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、水性ガスシフト反応等の高温条件下で行われる反応に有用な、十分に高い触媒活性と十分に高い耐熱性とを有する金属細線触媒を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の金属細線触媒の透過型電子顕微鏡写真(倍率750000倍)を示す図である。
【図2】実施例1の金属細線触媒の透過型電子顕微鏡写真(倍率440000倍)を示す図である。
【図3】実施例2の金属細線触媒の透過型電子顕微鏡写真(倍率750000倍)を示す図である。
【図4】比較例1の金属触媒の透過型電子顕微鏡写真(倍率660000倍)を示す図である。
【図5】実施例1及び2の金属細線触媒、並びに比較例1の金属触媒を用いた水性ガスシフト反応における、触媒1g当たりの二酸化炭素の生成量と反応時間との相関を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 中心細孔直径が1nm以上50nm以下である細孔を有する多孔体と、
    前記細孔内に形成された、平均直径が1nm以上50nm以下であり且つ平均アスペクト比が3以上である、貴金属からなる金属細線と、
    を備え、水性ガスシフト反応に用いられることを特徴とする金属細線触媒。
  2. 前記多孔体の中心細孔直径の±40%の範囲内の細孔容積の総和が全細孔容積の60%以上であることを特徴とする、請求項に記載の金属細線触媒。
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