JP2002107708A - 液晶表示装置および投射型表示装置 - Google Patents

液晶表示装置および投射型表示装置

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JP2002107708A
JP2002107708A JP2001177241A JP2001177241A JP2002107708A JP 2002107708 A JP2002107708 A JP 2002107708A JP 2001177241 A JP2001177241 A JP 2001177241A JP 2001177241 A JP2001177241 A JP 2001177241A JP 2002107708 A JP2002107708 A JP 2002107708A
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liquid crystal
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display
signal
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JP2001177241A
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Hiroshi Takahara
博司 高原
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで高輝度表示できる液晶示装置を提
供する。 【構成】 液晶表示装置のアレイ基板162には画素電
極151が形成され、画素電極151にカラーフィルタ
471が形成される。対向基板161上には対向電極8
8が形成され、対向電極88上には画素電極形状に対応
してパターニングされた誘電体薄膜472が形成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画素がラインおよ
び行方向にマトリックス型に配置されている液晶表示装
置に関するものである。また、本発明は、小型の液晶表
示装置に表示された画像をスクリーン上に拡大投写する
表示装置(以後、投写型表示装置と呼ぶ)に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は軽量、薄型など数多くの
特徴を有するため、研究開発が盛んである。しかし、大
画面化が困難であるなどの問題点も多い。そこで近年、
小型の液晶装置の表示画面を投写レンズなどにより拡大
投映し、大画面の表示画像を得る投写型表示装置がにわ
かに注目を集めてきている。現在、商品化されている投
写型表示装置は液晶の旋光特性を利用したツイストネマ
ティック(以後、TNと呼ぶ)液晶表示装置が用いられ
ている。また、アクティブマトリクス型液晶表示装置は
高密度化、画素数の増大が進み、パーソナルコンピュー
タやワークステーションのデータ表示用ディスプレイと
して、また標準方式(NTSC)やHDTV方式のAV
用ディスプレイとして利用されている。
【0003】さらに、アクティブマトリクス型液晶表示
装置の画素数の増大にともないソース駆動(データライ
ン駆動)ICの動作クロックの高速化も要求されるよう
になった。そのため、高速動作クロックのソース駆動I
Cの開発のみならず、駆動方法としても複数のソース駆
動ICを並列に動作させ、複数に分割された画面領域の
ソースラインを同時に駆動する方法が提案されている。
従来の表示装置はTN液晶表示装置であり、ごく一般的
なものであるため、ここでは説明を省略し、映像信号表
示方法を説明する都合上、従来のアクティブマトリクス
型液晶表示装置の表示駆動方法の具体例について説明す
る。
【0004】図101は従来のアクティブマトリクス型
液晶表示装置の映像信号処理回路を示す。映像信号処理
回路は、A/D変換器71と、メモリ72,73と、D
/A変換器74,75と、ソース信号処理回路76,7
7と、アクティブマトリクス型液晶表示パネル(以後、
液晶表示パネルと略称する場合もある)81のゲートラ
インx(i=1〜n)を駆動するゲート駆動IC80
と、液晶表示パネル81のソースラインy(j=1〜
2m)を駆動する2つのソース駆動IC78,79とを
備える。ソース駆動IC78,79は、それぞれ、mビ
ットのシフトレジスタ82,83と、サンプルホールド
回路群84,85とを含む。なお、各サンプルホールド
回路群84,85は、それぞれm個のサンプルホールド
回路を有している。液晶表示パネル81には、複数の画
素がマトリクス状に配置されている。各画素は、スイッ
チング素子としての薄膜トランジスタ(以後、TFTと
呼ぶ)86と、液晶層87とによって構成される。TF
T86のソースは対応する列のソースラインyに接続
され、ゲートは対応する行のゲートラインxに接続さ
れる。液晶層87は、その一方電極が対応するTFT8
6のドレインに接し、その他方が対向電極88に接す
る。また、メモリ72,73はランダムアクセスメモリ
であり、映像信号を2倍に時間軸伸長する機能を有す
る。なお、上記の構成では、ソース駆動ICが2つに分
割されているが、より大きな液晶表示パネルを表示駆動
する場合は、ソース駆動ICが3以上に分割される場合
もある。
【0005】以下に、この従来のアクティブマトリクス
型液晶表示装置の映像信号処理回路の動作を説明する。
まず、入力映像信号がA/D変換器71でディジタル映
像信号に変換され、メモリ72,73にストアされる。
メモリ72は、液晶表示パネル81のソースラインy
〜yに入力される映像信号、すなわち一走査線の映像
信号の内の前半の映像信号を2倍に時間軸伸長する。メ
モリ72で2倍に時間軸伸長されたディジタル映像信号
は、D/A変換器74でアナログ映像信号に変換され
る。次に、ソース信号処理回路76は、2倍に時間軸伸
長されたアナログ映像信号にγ補正を施すとともに、液
晶表示パネル81を交流駆動するために1フレーム毎に
アナログ映像信号の極性を反転する。ソース信号処理回
路76の出力信号は、ソース駆動IC78に入力され
る。一方、メモリ73は、液晶表示パネル81のソース
ラインym+1〜y2mに入力される映像信号、すなわ
ち一走査線の映像信号の内の後半の映像信号を2倍に時
間軸伸長する。メモリ73で2倍に時間軸伸長されたデ
ィジタル映像信号は、D/A変換器75でアナログ映像
信号に変換される。次に、ソース信号処理回路77は、
2倍に時間軸伸長されたアナログ映像信号にγ補正を施
すとともに、液晶表示パネル81を交流駆動するために
1フレーム毎にアナログ映像信号の極性を反転する。ソ
ース信号処理回路77の出力信号は、ソース駆動IC7
9に入力される。ソース駆動IC78,79では、ソー
ス信号処理回路76,77から入力された映像信号が、
それぞれ、サンプルホールド回路群84,85の各サン
プルホールド回路に並列に与えられる。サンプルホール
ド回路群84の各サンプルホールド回路は、シフトレジ
スタ82のシフト動作に同期して、ソースラインy
へ入力する映像信号を順次的に保持する。同様に、
サンプルホールド回路群85の各サンプルホールド回路
は、シフトレジスタ83のシフト動作に同期して、ソー
スラインym+1〜y 2mへ入力する映像信号を順次的
に保持する。ゲートラインxがゲート駆動IC80に
よってアクティブとなりi行目の各TFT86がオンし
たとき、サンプルホールド回路群84,85の各サンプ
ルホールド回路に保持された一走査線分の映像データは
ソースラインy〜y2mを介してi行目の各液晶層8
7に印加される。その結果、一走査線分の映像データが
液晶表示パネル81に書き込まれる。上記のソース駆動
動作を繰り返すとともに、ゲート駆動IC80がゲート
ラインを順次走査することにより、液晶表示パネル81
に画像が得られる。
【0006】しかし、上記のような構成では、隣合うソ
ース駆動ICの継ぎ目で、D/A変換器以降のアナログ
回路のバラツキや、ソース駆動IC内部の各サンプルホ
ールド回路における保持時間の違いのために輝度差が発
生し画質が劣化する。また上記課題を解決するために、
輝度差を補正する補正回路を付加する方法や、ソース駆
動ICをディジタル入力にする方法が考えられるが、コ
ストアップや回路規模、液晶表示パネル周辺の実装面積
の増大を伴う。従来はシリコン基板に半導体技術を用い
てソースドライブ回路を複数形成し、各ソースドライブ
回路を切り出してソースドライブIC78,79として
用いる。前記ICはかなりの高速で動作するので、画面
分割数は2または3分割で対応できる。
【0007】近年、ガラス基板上にアモルファスシリコ
ン膜等を蒸着し、前記膜をレーザ等を用いて結晶化して
半導体層を形成し、前記半導体層を用いてTFT86を
形成する技術(低温ポリシリコン技術)が確立しつつあ
り、前記技術を用いた液晶表示パネルは安価に製造でき
るため注目を集めており、試作品が各社から発表・開発
されている。また、従来より石英ガラス基板にシリコン
の結晶膜を形成しTFT86を形成する技術(高温ポリ
シリコン技術)も確立している。前記ポリシリコン技術
による液晶表示パネルは、高価でかつ大面積の表示領域
のものを形成しにくいが、ビデオカメラ等のビューファ
インダに実用化されている。
【0008】高温ポリシリコン技術および低温ポリシリ
コン技術で作製した液晶表示パネルに共通した特徴は、
ゲートドライブIC80およびソースドライブIC82
がTFT86と同一基板上に、同時に形成できる点であ
る。したがって液晶表示パネル81を作製後、前記ゲー
トドライブIC80およびソースドライブIC82を、
前記パネル81上に実装する必要がない。また、新たに
ソースドライブIC82等を製造する必要がない。その
ため実装コストを削減できる点等で低価格化が図られ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このようなマトリクス
型ディスプレイとして、液晶表示装置が用いられる。し
かし、一般に用いられているTN液晶表示パネルには、
次のような問題がある。この表示パネルにおいて、液晶
分子は印加電圧により配向方向を変化する。映像信号に
応じて配向が変化し、液晶層を通る光が変調される。し
かし、TN液晶パネルは、偏光子を用いる必要があり、
全体の光の透過率が低く、高輝度表示ができない。ま
た、偏光子に吸収される熱のため、偏光子自体や液晶表
示パネルが高温になり、短時間で著しい性能劣化をひき
おこしやすくなる。
【0010】TN液晶表示パネルの欠点を解決するもの
として、高分子分散液晶表示パネルが考えられる。高分
子分散液晶は、液晶が高分子中に分散しているものであ
る。高分子分散液晶は、液晶分子が配向する方向により
屈折率が異なる。電圧を印加していない状態では、水滴
状の液晶の配向方向が不規則であり、または、液晶分子
が不規則な方向に配向していて、このため、高分子と液
晶に屈折率の差が生じ、入射光を散乱する。一方、液晶
が一定方向に配向したときの屈折率を高分子の屈折率と
合わせておくと、電圧を印加して液晶の配向方向がそろ
ったとき、入射光は散乱されずに透過する。
【0011】高分子分散液晶を用いた表示パネルの課題
は、表示コントラストが低い点にある。画素電極の間の
ソース電極などの存在する部分に横電界が発生し画素周
辺部から光りがもれる。この光り抜けは表示コントラス
トの低下に直結し、好ましくない。また、画素電極の間
にあるスイッチング素子にもれ光が入射して誤動作を起
こすことも防止しなければならない。また、高分子分散
液晶表示パネルにおいて、光りもれ防止のためブラック
マトリクスを形成すると、パネル製造時に、高分子と液
晶からなる溶液に光を照射して高分子分散液晶にすると
き、ブラックマトリクスの下方に高分子の未硬化部分が
残って散乱特性が低下するので、ブラックマトリクスの
周辺から光もれが発生する。したがって、(正規の映像
信号で変調した光でない)不要な光り抜けが画像ノイズ
となる。このため、鮮明な画像表示ができなくなる。表
示コントラストを上げるには、画素電極の周辺で発生す
る横電界が原因となる不要な光抜けを阻止できねばなら
ない。
【0012】本発明の目的は、高コントラストの液晶表
示装置や投写型装置などを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の液晶
表示装置は、画素電極がマトリックス状に配置された第
1の基板と、対向電極が形成された第2の基板と、前記
第1の基板と前記第2の基板に挟持された液晶層と、前
記画素電極上に、かつ画素電極に対応して形成されたカ
ラーフィルタと、前記第2の基板上に形成された誘電体
薄膜とを具備する。前記誘電体薄膜は各画素電極に対応
してパターニングされている。
【0014】本発明に係る第2の液晶表示装置は、画素
電極がマトリックス状に配置された第1の基板と、対向
電極が形成された第2の基板と、前記第1の基板と前記
第2の基板に挟持された液晶層と、前記画素電極上に、
かつ画素電極に対応して形成されたカラーフィルタと、
前記第2の基板上に形成された誘電体薄膜と、画素電極
間に配置された前記液晶層の膜厚と略一致する誘電体柱
を具備する。前記誘電体薄膜は各画素電極に対応してパ
ターニングされている。
【0015】本発明に係る第3の液晶表示装置は、画素
電極がマトリックス状に形成された第1の基板と、対向
電極が形成された第2の基板と、前記第1の基板と前記
第2の基板に挟持された液晶層とを具備する。前記画素
電極は反射電極である。前記第2の基板には、前記対向
電極に積層されて少なくとも1層の誘電体薄膜とが形成
されている。前記誘電体薄膜の屈折率は、前記ITO薄
膜の屈折率よりも小さく、かつ、前記液晶層の屈折率よ
りも大きく、かつ、屈折率は1.5以上1.8以下であ
る。Nを1以上の奇数、Mを1以上の整数、λを光の設
計主波長としたとき、前記誘電体薄膜の光学的膜厚は略
(N・λ)/4であり、かつ、前記ITO薄膜の光学的
膜厚は略(M・λ)/2であり、または、前記誘電体薄
膜の光学的膜厚は略(N・λ)/4であり、かつ、前記
ITO薄膜の光学的膜厚は略(N・λ)/4である。
【0016】本発明に係る第4の液晶表示装置は、画素
電極がマトリックス状に形成された第1の基板と、対向
電極が形成された第2の基板と、前記第1の基板と前記
第2の基板に挟持された液晶層と、前記画素電極または
前記対向電極と積層されたカラーフィルタと、前記カラ
ーフィルタが形成されていない方の基板に形成された誘
電体薄膜とを具備する。前記誘電体薄膜は、画素電極に
対応してパターニングされている。
【0017】本発明に係る第5の液晶表示装置は、マト
リックス状に配置された画素電極と、前記画素電極に信
号を印加するスイッチング素子と、前記スイッチング素
子に信号を伝達する信号線とが形成された第1の基板
と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板の
間に挾持された液晶層とを具備する。前記信号線に微小
な凹形状と微小な凸形状のうち少なくとも一方の形状が
形成されている。
【0018】本発明に係る第6の液晶表示装置は、透過
型の画素電極がマトリックス状に形成された第1の基板
と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板間
に挟持された液晶層と、前記画素電極の周辺部に配置ま
たは形成された光吸収膜とを具備する。
【0019】本発明に係る第7の液晶表示装置は、マト
リックス状に配置された画素電極と、前記画素電極に信
号を印加するスイッチング素子と、前記スイッチング素
子をオンオフさせる信号を伝達する第1の信号線と、前
記画素電極に印加する信号を伝達する第2の信号線とが
形成された第1の基板と、対向電極が形成された第2の
基板と、前記第1の基板と第2の基板間に挟持された液
晶層と、前記画素電極に、前記対向電極の電位に対して
正極性または逆極性の信号を印加する駆動手段と、前記
第1の基板側と第2の基板側のうち少なくとも一方に配
置された偏光手段とを具備する。前記駆動手段は、マト
リックス状に配置された画素電極に、複数行ごとに極性
が異なる第1の状態、または一列もしくは複数列ごとに
極性が異なる第2の状態となるように、画素電極に信号
を印加する。前記第1の状態の時は、前記偏光手段の偏
光軸が第2の信号線の形成方向と略一致させる。前記第
2の状態の時は、前記偏光手段の偏光軸が第1の信号線
の形成方向と略一致させている。
【0020】第1から第7の液晶表示装置は、好ましく
は、液晶層への光入射側または光出射側に、位相差フィ
ルムまたは位相差板が配置される。
【0021】第1から第7の液晶表示装置は、好ましく
は、複数の画素行に同一極性の映像信号が保持され、か
つ複数の画素行ごとに保持される映像信号の極性が異な
っており、横方向に隣接した画素に保持される映像信号
の極性が逆極性である。
【0022】本発明に係る投射型表示装置は、光発生手
段と、前述の液晶表示装置と、投射レンズとを具備す
る。液晶表示装置は、光発生手段から放射される光を変
調し、投射レンズは、液晶表示装置で変調された光を投
射する。
【0023】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施形態の映像信
号表示方法について、図面を参照しながら説明する。こ
こで、図面において同じ参照記号は同等のものをさす。
本発明では、互いに異なる第1および第2の表示方法が
個別的にまたは選択的に実行される。図1は第1の表示
方法を説明するためのディスプレイ上の表示画像を示し
ており、図2は第2の表示方法を説明するためのディス
プレイ上の表示画像を示している。
【0024】なお、プログレッシブ走査映像信号は、1
フィールドで1画面を形成する。したがって、1フィー
ルド=1フレームである。一方、インターレース信号
は、2フィールドで1画面を形成する。したがって、2
フィールド=1フレームである。以下の説明では、基本
的には、フィールドとフレームとは使い分けるが、説明
の内容によってはフィールドとフレームとは同義として
扱う。
【0025】まず、第1の表示方法について説明する。
図1において、(a)は入力されたプログレッシブ走査映
像信号の第1フレームをディスプレイ上にそのまま表示
したときの画像を示し、(b)は入力されたプログレッシ
ブ走査映像信号の第2フレームをディスプレイ上にその
まま表示した画像を示している。なお、第1および第2
のフレームは、時間的に連続したフレームである。(c)
に示すように、まず、入力されたプログレッシブ走査映
像信号の第1フレームの第1ライン(1_1ライン、以
下同様に標記している)を選択し、2倍に時間軸伸長し
てディスプレイ上の第1ラインに表示する。次に、第1
フレームの第3ラインを選択し、2倍に時間軸伸長して
ディスプレイ上の第3ラインに表示する。以下、第5ラ
イン、第7ライン、…というように、第1フレームの奇
数ラインだけを順次選択し、2倍に時間軸伸長してディ
スプレイ上の奇数ラインに表示する。一方、第2フレー
ムにおいては、偶数ラインだけを順次選択し、2倍に時
間軸伸長してディスプレイ上の偶数ラインに表示する。
その結果、(c)に示すような第1フレームの奇数ライン
と第2フレームの偶数ラインとからなる1フレームが表
示される。以上の操作を第3フレーム、第4フレームに
も同様に施し、以後繰り返す。
【0026】上記のように、入力されたプログレッシブ
走査映像信号の2フレーム期間で、第1のフレームの奇
数ラインと第2のフレームの偶数ラインとからなる1フ
レームを表示すれば良いため、入力されたプログレッシ
ブ走査映像信号をそのまま表示するときに比べて1/2
の速度で表示することができる。このことは従来例の図
101についていえば液晶表示パネル81を分割駆動す
る必要がなくなることを意味する。したがって、輝度差
の発生を防止できる。また、ソースドライブIC78等
をポリシリコン技術で直接液晶表示パネル81に形成し
た場合は、シフトレジスタ82等のクロック周波数を1
/2に低減できる。
【0027】なお、前記並列に形成するシフトレジスタ
の数を1/2に低減するとは、たとえば、映像信号の周
波数が40MHzで、シフトレジスタの動作周波数が4
MHzの場合、10個の並列に形成したシフトレジスタ
で前記40MHzの映像信号サンプルホールドできる。
したがって、本発明の実施により、シフトレジスタのク
ロックを1/2に低減できれば、5個の並列に形成した
シフトレジスタで対応できることになる。並列に形成し
たシフトレジスタの数が半減できれば、シフトレジスタ
などの欠陥発生が低減し、表示パネルの形成歩留まりが
向上する。また、1/2の速度で動作させることができ
ることから、消費電力を大幅に低減できる。
【0028】なお、第1フレームでは液晶表示パネル8
1の奇数ラインを表示し、第2のフレームでは前記液晶
表示パネル81の偶数ラインを表示するとしたが、これ
は説明の便宜上にすぎない。したがってプログレッシブ
走査映像信号の第1フレームが偶数ラインのデータであ
る場合は当然液晶表示パネルの偶数ラインを表示する。
また、第1のフレームでは第1のラインから表示すると
したが、これに限定するものではない。第1のラインと
は説明の便宜上にすぎない。たとえば第7のラインから
表示してもよい。第1のラインとは単に説明上の理解を
容易にするために規定しているだけにすぎない。前述の
場合、前記第1ラインから第6ラインは黒表示となる。
以上の記載事項は、本発明の明細書、特許請求の範囲に
記載した映像表示方法、表示装置についても適用され
る。
【0029】また、図101では、ソース駆動IC78
とかゲート駆動IC80という概念を用いているが、本
発明は表示方法等の発明に関するものであり、ICを実
装した表示装置に限定されるものではない。したがっ
て、以後、ポリシリコン技術で形成されたドライブ回路
をも含む概念としてソースドライブ回路、ゲートドライ
ブ回路という語句を用いる。
【0030】次に、第2の表示方法について説明する。
図2において、(a)は入力されたプログレッシブ走査映
像信号の第1フレームをディスプレイ上にそのまま表示
したときの画像を示し、(b)は入力されたプログレッシ
ブ走査映像信号の第2フレームをディスプレイ上にその
まま表示した画像を示している。まず、入力されたプロ
グレッシブ走査映像信号の第1フレームの第1ラインを
選択し、2倍に時間軸伸長してディスプレイ上の第1お
よび第2のラインに同時に表示する。次に、第1フレー
ムの第3ラインを選択し、2倍に時間軸伸長してディス
プレイ上の第3および第4のラインに同時に表示する。
以後、第5ライン、第7ライン、…というように、第1
フレームの奇数ラインだけを順次選択し、2倍に時間軸
伸長してディスプレイ上の奇数ラインと隣接偶数ライン
に同時に表示する。その結果、(b)に示す画像が得られ
る。一方、第2フレームにおいて、偶数ラインだけを順
次選択し、2倍に時間軸伸長してディスプレイ上の偶数
ラインと隣接奇数ラインに同時に表示する。その結果、
(c)に示す画像が得られる。以上の操作を第3フレー
ム、第4フレームにも同様に施し、以後繰り返す。上記
のように、入力されたプログレッシブ走査映像信号の2
ライン期間で、第1フレームの奇数ラインと第2フレー
ムの偶数ラインとからなる1フレームを表示すれば良い
ため、入力されたプログレッシブ走査映像信号をそのま
ま表示するときに比べて1/2の速度で表示することが
できる。
【0031】以上2つの表示方法について説明したが、
静止画の場合は第1の表示方法を選択し、動画の場合は
第2の表示方法を選択するのが好ましい。静止画は画像
が停止しているため、動画に比べて垂直方向の画像の不
連続性が視認されやすい。そのため、静止画の場合は、
第1の表示方法でフレーム間での内挿を行うことによ
り、見かけ上の垂直解像度を確保することが好ましい。
一方、動画は時間的な画像の変化が激しいため、第1の
表示方法を適用すると、いわゆる動画ボケ(ジャーキネ
ス妨害等)が発生する。そのため、動画の場合は、第2
の方法でフレーム内での内挿を行うことにより、動画ボ
ケの発生を防止することが好ましい。この第1の表示方
法と第2の表示方法とを切り替える回路構成について
は、後に図87を用いて説明する。
【0032】なお、第1の表示方法では、CRTディス
プレイのように表示時間(発光時間)が数ミリ秒から数十
ミリ秒と非常に短い場合、例えば入力プログレッシブ映
像信号のフレーム周期が60Hzのとき、同一ラインの
非常周期が30Hzとなりフリッカが発生する。ところ
が、アクティブマトリクス型液晶表示ディスプレイのよ
うに、リフレッシュするまで表示状態を保持するディス
プレイにおいては、完全に走査線補間が行われる。ま
た、第2の表示方法は、CRTディスプレイでは電子銃
をマルチガン構成にする(電子銃を例えば2つ用意する)
ことで、アクティブマトリクス型液晶表示ディスプレイ
ではゲートラインを2ライン同時にアクティブすること
で、容易に実現できる。
【0033】後に、本発明の映像信号表示方法について
詳しい追加説明を行うが、まず、本発明の一実施形態の
映像信号表示装置について、図面を参照しながら説明す
る。なぜならば、本発明の映像信号表示方法は、本発明
の表示装置と密接に関係し、前記表示装置の動作を理解
しておく方が、画素電極に印加する電圧極性などの説明
が容易になると考えられるからである。
【0034】図3は、本発明の一実施形態の映像信号表
示装置を示している。図3において、映像信号表示装置
は、表示ラインの選択と映像信号の時間軸伸長を行う表
示ライン選択回路31と、主にγ補正と交流化を行い映
像信号を液晶駆動に適した信号に変換するソース信号処
理回路32と、複数の画素がマトリクス状に配置された
液晶表示パネル81と、液晶表示パネル81のソースラ
インに接続され液晶87に電圧を印加するソース駆動回
路33と、水平スタートパルスHDおよび垂直スタート
パルスVDに応答してゲート駆動回路制御信号(GCK
1、GCK2、GST1、GST2、GEN1、GEN
2)を発生するゲート駆動回路制御回路36、37と、
ゲート駆動回路制御回路36、37からのゲート駆動回
路制御信号に基づいて動作が制御されるゲート駆動回路
38と、画像の性質(静止画か動画か)に応じてゲート駆
動回路制御回路36、37のいずれかを選択する表示方
法選択回路35と、表示方法選択回路35からの切換信
号に応答してゲート駆動回路制御回路36、37の出力
を選択的に切り換えてゲート駆動回路38に出力する切
換器44とを備える。表示ライン選択回路31は、A/
D変換器40と、一走査線分の画像信号を記憶するライ
ンメモリ41と、D/A変換器42と、水平スタートパ
ルスHDおよび垂直スタートパルスVDに応答してメモ
リ制御信号(WCK、WEN、RCK)を発生したライン
メモリ41の動作を制御するラインメモリ制御回路43
とを含む。ソース駆動回路33は、2mビットのシフト
レジスタと、2m個のサンプルホールド回路を有するサ
ンプルホールド回路群とを含む。ゲート駆動回路38
a、38bは、互いに同じ構成および機能を備えた回路で
ある。ただし、第1のゲート駆動回路38aは、液晶表
示パネル81の奇数番目のゲートラインに接続され、奇
数番目のゲートラインを順次アクティブにする。また、
第2のゲート駆動回路38bは、液晶表示パネル81の
偶数番目のゲートラインに接続され、偶数番目のゲート
ラインを順次アクティブにする。
【0035】図4は、上記ゲート駆動回路38のより詳
細な構成を示す。図4において、ゲート駆動回路38
は、n/2ビット(nは液晶表示パネル81のゲートライ
ンの本数)のシフトレジスタ91と、n/2個の切換スイ
ッチ96を有する切換スイッチ群92と、n/2個の出
力バッファ97を有する出力バッファ群93とを備えて
いる。シフトレジスタ91は、n/2個のD型フリップ
フロップ94と、1個のインバータ95とを有する。
【0036】スタート信号GST1(またはGST2)
が、1つ目のD型フリップフロップ94のデータ入力端
子Dに与えられるとともに、インバータ95で極性が反
転された後、2つ目以降の各D型フリップフロップ94
のクリア端子Cに与えられる。
【0037】クロック信号GCK1(またはGCK2)
が、各D型フリップフロップ94のクロック端子CKに
与えられる。また、2つ目以降の各D型フリップフロッ
プ94のデータ入力端子Dには、前段のD型フリップフ
ロップ94のQ出力が与えられる。上記のような構成を
有するシフトレジスタ91は、k個目(k=1〜n/2)の
D型フリップフロップ94のQ出力がkビット目の信号
として取り出され、切換スイッチ群92内のk個目の切
換スイッチ96のA端子に与えられる。
【0038】各切換スイッチ96のB端子は、接地され
ている。各切換スイッチ96の出力端子Cは、イネーブ
ル信号GEN1(またはGEN2)がハイレベルのときA
端子に接続され、ローレベルのときB端子に接続され
る。各切換スイッチ96の出力端子Cから出力される信
号は、それぞれ出力バッファ群93内の対応する出力バ
ッファ97を介して各出力ピン98に与えられる。各出
力ピン98は、それぞれ液晶表示パネル81の対応する
ゲートラインに接続される。
【0039】以上のように構成された映像信号表示装置
の動作を以下に説明する。図5は、ラインメモリ41に
入力されるメモリ制御信号およびラインメモリ41の入
出力映像信号のタイミングチャートを示している。ま
ず、図5を参照して、ソースラインの駆動制御動作を説
明する。表示ライン選択回路31に入力されたプログレ
ッシブ走査映像信号は、まずA/D変換器40でディジ
タル映像信号に変換される。ラインメモリ41は、ライ
トイネーブル信号WENがハイレベルの期間、ライトク
ロック信号WCKに同期するタイミングでプログレッシ
ブ走査映像信号を取り込む。(図において、たとえば信
号1_2_3は、1_2ラインの3番目の信号を表
す。)すなわち、第1フレームの第1ラインはライトイ
ネーブル信号WENがハイレベルのためライトクロック
信号WCKに同期して取り込まれ、第1フレームの第2
ラインはライトイネーブル信号WENがローレベルのた
め取り込まれない。
【0040】上記の動作を繰り返すことにより、第1フ
レームの奇数ラインがラインメモリ41に順次取り込ま
れる。同様に、第2フレームの第1ラインはライトイネ
ーブル信号WENがローレベルのため取り込まれず、第
2フレームの第2ラインはライトイネーブル信号WEN
がハイレベルのためライトクロック信号WCKに同期し
て取り込まれる。上記の動作を繰り返すことにより、第
2フレームの偶数ラインがラインメモリ41に順次取り
込まれる。さらに、以上の各動作をフレーム単位で繰り
返すことにより、奇数フレームの奇数ラインと偶数フレ
ームの偶数ラインが、ラインメモリ41に順次取り込ま
れる。ラインメモリ41に取り込まれたディジタル映像
信号は、ライトクロック信号WCKの1/2の周波数で
あるリードクロック信号RCKに同期して読み出され
る。
【0041】ラインメモリから出力される信号は、取り
込まれたプログレッシブ走査映像信号の奇数フレームの
奇数ラインと偶数フレームの偶数ラインを2倍に時間軸
伸長したディジタル映像信号であり、D/A変換器42
でアナログ映像信号に変換される。
【0042】次にソース信号処理回路32は、ライン選
択され2倍に時間軸伸長されたプログレッシブ走査映像
信号にγ補正を施し、液晶表示パネル81を交流駆動す
るために1フレーム毎に極性を反転し、ソース駆動回路
33に入力する。
【0043】ソース駆動回路33は、入力された映像信
号をIC内部の各サンプルホールド回路(図示せず)へ順
次書き込み保持する。このときソース駆動回路33に入
力される信号は、2倍に時間軸伸長されたプログレッシ
ブ走査映像信号であるため、シフトレジスタ(図示せず)
で生成される各サンプルホールド回路への書き込みクロ
ックも、時間軸伸長しない場合に比べて1/2でよい。
【0044】液晶表示パネル81のゲートラインxiがゲ
ート駆動回路38によってアクティブとなりTFT86
がオンしたとき、各サンプルホールド回路に保持された
映像データはソースラインyjを介して液晶セル87に印
加される。その結果、一走査線分の映像信号が液晶表示
パネル81に書き込まれる。上記の動作をくり返すとと
もに、ゲート駆動回路38がゲートラインを走査するこ
とにより、液晶表示パネル81に画像が得られる。
【0045】次に、ゲートラインの駆動制御動作につい
て説明する。ゲートラインの走査は、第1のゲート駆動
回路制御回路36または第2のゲート駆動回路制御回路
37から出力されるゲート駆動回路制御信号(GCK
1、GST1、GEN1またはGCK2、GST2、G
EN2)によって決まる。前述したようにゲート駆動回
路38aおよび38bは同じ機能を備えた回路であり、ゲ
ート駆動回路制御信号の制御によって液晶表示パネル8
1のゲートラインを順次的かつ選択的にアクティブにす
る。
【0046】ゲート駆動回路38は、スタート信号GS
T1(またはGST2)がハイレベルのとき、クロック信
号GCK1(またはGCK2)の立ち上がり(ローレベル
からハイレベルに変化したとき)で内部のシフトレジス
タ91(図4参照)がリセットされ1番目のゲートライン
を選択(リトレースされ)し、クロック信号GCK1(ま
たはGCK2)の立ち上がりのたびに2番目、3番目と
順次選択していく。そして、イネーブル信号GEN1
(またはGEN2)がハイレベルのときに、選択されたゲ
ートラインに信号が出力され、ゲートラインをアクティ
ブにする。これによって選択されたゲートラインに接続
されたTFT86がオンする。イネーブル信号GEN1
(またはGEN2)がローレベルのときは、選択されたゲ
ートラインに信号が出力されずアクティブにならない。
したがって、そのゲートラインに接続されたTFT86
はオフ状態である。ここで、第1のゲート駆動回路38
aは液晶表示パネル81の奇数番目のゲートラインに接
続され、第2のゲート駆動回路38bは偶数番目のゲー
トラインに接続されている。
【0047】図6は第1のゲート駆動回路制御回路36
から出力されるゲート駆動回路制御信号のタイミングチ
ャートを示し、図7は第2のゲート駆動回路制御回路3
7から出力されるゲート駆動回路制御信号のタイミング
チャートを示している。以下、これら図6および図7を
参照して、ゲートラインの駆動制御動作をより詳細に説
明する。
【0048】図6において、クロック信号GCK1、ス
タート信号GST1、イネーブル信号GEN1は第1の
ゲート駆動回路制御回路36から第1のゲート駆動回路
38aに入力されるゲート駆動回路制御信号であり、ク
ロック信号GCK2、スタート信号GST2、イネーブ
ル信号GEN2は第1のゲート駆動回路制御回路36か
ら第2のゲート駆動回路38bに入力されるゲート駆動
回路制御信号である。
【0049】クロック信号GCK1は2ライン期間周期
でハイレベル、スタート信号GST1は第1フレーム第
1ラインでハイレベル、イネーブル信号GEN1は第1
フレーム期間中ハイレベル(ただし、第1フレーム期間
の最終のラインではローレベル)なので、第1フレーム
が始まると、第1のゲート駆動回路38aは、1番目の
ゲートライン(図3のx)から順次アクティブにする。
第1のゲート駆動回路38aは液晶表示パネル81の奇
数番目のゲートラインに接続されているため、第1フレ
ーム期間は、2ライン期間毎に液晶表示パネル81の奇
数ラインが順次アクティブにされる。なお、第2フレー
ム期間はイネーブル信号GEN1がローレベルなので、
液晶表示パネル81の奇数ラインはアクティブにされな
い。
【0050】一方、クロック信号GCK2は2ライン期
間周期でハイレベル、スタート信号GST2は第2フレ
ーム第2ラインでハイレベル、イネーブル信号GEN2
は第2フレーム第2ラインからハイレベルなので、第2
フレームが始まると、第2のゲート駆動回路38bは、
2番目のゲートライン(図3のx)から順次アクティブ
にする。第2のゲート駆動回路38bは液晶表示パネル
81の偶数番目のゲートラインに接続されているため、
第2フレーム期間は、2ライン期間毎に液晶表示パネル
81の偶数ラインが順次アクティブにされる。なお、第
1フレーム期間はイネーブル信号GEN2がローレベル
なので、液晶表示パネル81の偶数ラインはアクティブ
にされない。
【0051】したがって、入力プログレッシブ走査映像
信号の第1フレームの奇数ラインだけを選択し2倍に時
間軸伸長して、液晶表示パネル81の奇数ラインに表示
することができる。また、入力プログレッシブ走査映像
信号の第2フレームの偶数ラインだけを選択し2倍に時
間軸伸長して、液晶表示パネル81の偶数ラインに表示
することができる。以上の動作を2フレーム単位で繰り
返す。
【0052】図7において、クロック信号GCK1、ス
タート信号GST1、イネーブル信号GEN1は第2の
ゲート駆動回路制御回路37から第1のゲート駆動回路
38aに入力されるゲート駆動回路制御信号であり、ク
ロック信号GCK2、スタート信号GST2、イネーブ
ル信号GEN2は第2のゲート駆動回路制御回路37か
ら第2のゲート駆動回路38bに入力されるゲート駆動
回路制御信号である。
【0053】第1フレーム期間において、クロック信号
GCK1は2ライン期間周期でハイレベル、スタート信
号GST1は第1ラインでハイレベル、イネーブル信号
GEN1は第1フレーム期間中ハイレベル(ただし、第
1フレーム期間の最終のライン期間はローレベル)なの
で、第1フレームが始まると、第1のゲート駆動回路3
8aは、1番目のゲートライン(図3のx)から順次アク
ティブにする。また、第1フレーム期間において、クロ
ック信号GCK2は2ライン期間周期でハイレベル、ス
タート信号GST2は第1ラインでハイレベル、イネー
ブル信号GEN2は第1フレーム期間中ハイレベル(た
だし、第1フレーム期間の最終のライン期間はローレベ
ル)なので、第1フレームが始まると、第2ゲート駆動
回路38bは、2番目のゲートライン(図3のx)から順
次アクティブにする。
【0054】第1のゲート駆動回路38aは液晶表示パ
ネル81の奇数番目のゲートラインに接続されており、
第2のゲート駆動回路38bは液晶表示パネル81の偶
数番目のゲートラインに接続されているため、第1フレ
ーム期間は、2ライン期間毎に液晶表示パネル81の奇
数ラインと次の隣接偶数ラインが同時にアクティブにさ
れ、以降、順次2ライン期間周期で、奇数、偶数ライン
が2ラインずつ同時にアクティブにされる。
【0055】一方、第2フレーム期間において、クロッ
ク信号GCK1は2ライン期間周期でハイレベル、スタ
ート信号GST1は第1フレームの最終ラインでハイレ
ベルなので、第2フレーム第1ライン期間には、1番目
のゲートライン(図3のx)が選択されている。しかし
ながら、第2フレーム第1ライン期間には、イネーブル
信号GEN1がローレベルのため、1番目のゲートライ
ンはアクティブにならない。
【0056】その後、第2フレーム第2ライン期間から
イネーブル信号GEN1がハイレベルとなるため、第1
のゲート駆動回路38は、第2フレーム2ライン期間が
開始すると、3番目のゲートライン(図3のx)から順
次アクティブにする。また、クロック信号GCK2は2
ライン期間周期でハイレベル、スタート信号GST2は
第2ラインでハイレベル、イネーブル信号GEN2は第
2フレーム第2ライン期間からハイレベルなので、第2
のゲート駆動回路38bは、第2フレーム2ライン期間
が開始すると、2番目のゲートライン(図3のx)から
順次アクティブにする。
【0057】第1のゲート駆動回路38aは液晶表示パ
ネル81の奇数番目のゲートラインに接続されており、
第2のゲート駆動回路38bは液晶表示パネル81の偶
数番目のゲートラインに接続されているため、第2フレ
ーム期間は、2ライン期間毎に液晶表示パネル81の偶
数ラインと次の隣接奇数ラインが同時にアクティブにさ
れ、以降、順次2ライン期間周期で、偶数、奇数ライン
が2ラインずつ同時にアクティブにされる。
【0058】したがって、入力プログレッシブ走査映像
信号の第1フレームの奇数ラインだけを選択し2倍に時
間軸伸長して、液晶表示パネル81の奇数ラインと隣接
偶数ラインに同時に表示することができる。また、入力
プログレッシブ走査映像信号の第2フレームの偶数ライ
ンだけを選択し2倍に時間軸伸長して、液晶表示パネル
81の偶数ラインと隣接奇数ラインに同時に表示するこ
とができる。以上の動作を2フレーム単位で繰り返す。
【0059】上記のように、第1および第2のゲート駆
動回路制御回路36、37いずれのゲート駆動回路制御
信号によっても、入力されたプログレッシブ走査映像信
号の2フレーム期間で、第1のフレームの奇数ラインと
第2のフレームの偶数ラインからなる1フレームを表示
すれば良いため、入力されたプログレッシブ走査映像信
号をそのまま表示するときに比べて1/2の速度で表示
することができる。したがって、従来例のように液晶表
示パネル81を分割駆動する必要がなくなり、輝度差の
発生を防止することができる。また、ソース駆動回路3
23のシフトレジスタの並列数を半減でき、消費電力も
低減できる。
【0060】以上の説明において、ゲートドライブ回路
38aは液晶表示パネル81の奇数番目のゲートライン
に接続され、ゲートドライブ回路38bは前記液晶表示
パネル81の偶数番目のゲートラインに接続され、順次
2ライン期間(2H)周期で、各一本の偶数、奇数ゲート
ラインが同時にゲートオン電圧が印加されるとした。し
かし、図28に示すような付加コンデンサ171がゲー
ト信号線Xiと画素101間に形成しているときは問題
となる。なお、この構成を前段ゲート構成と呼ぶ。
【0061】たとえばゲート信号線XおよびXにゲ
ートオン電圧Vg(+)が印加された場合を考える。TF
T86はアクティブ状態(オン)となり、ソース駆動回路
33の出力を画素101に書きこむ。この際、ソース駆
動回路33の出力が+極性であったとすると、付加コン
デンサ171の両端子はともに+電圧が印加される。2
H後、ゲート信号線Xにゲートオフ電圧Vg(−)とな
る。したがって、付加コンデンサ171の−端子が−側
にひっぱられ、結果画素101に電荷は充電できないこ
とになる。
【0062】この課題に対処するため、本発明では図8
のように液晶表示パネル81を駆動する。図8におい
て、(a)はゲート駆動回路38aの出力である。ただし、
一ゲート信号線の出力電圧を描いたものではない。(b)
はゲート駆動回路38bの出力である。また、(c)はソー
ス駆動回路33のyj端子の出力である。
【0063】図8で明らかなように、ゲート駆動回路は
1Hごとにゲートオン電圧の出力位置をシフトさせる。
かつ、ゲート駆動回路38aと38bは交互にゲートオン
電圧を出力し、他方のゲート駆動回路がゲートオン電圧
を出力している時はゲートオフ電圧を出力する。したが
って、ゲート駆動回路38aと38bでゲート信号線Xi
を1H期間ごとに1本づつシフトさせていることにな
る。他方、ソース駆動回路33は2H期間ごとにデータ
信号の値と極性を変化させる。つまり、ゲート駆動回路
38は1H動作し、ソース駆動回路33は2H動作をす
る。駆動周波数が高く問題となるのはソース駆動回路3
3である。ゲート駆動回路38は(kHz)の周波数で動
作している。図8の駆動方法では、2本のゲート信号線
に同時にゲートオン電圧が印加されることがない。つま
り、図28に示す液晶表示装置(後述)の前段ゲート構
成においても付加コンデンサ171に充分、電荷を充電
することができる。かつ、ソース駆動回路33の動作周
波数も低減できる。
【0064】前述のように、ゲートラインの走査方法
は、第1のゲート駆動回路制御回路36または第2のゲ
ート駆動回路制御回路37から出力されるゲート駆動回
路制御信号によって決まる。換言すれば、液晶表示パネ
ル81の表示方法は、どちらのゲート駆動回路制御回路
から出力されたゲート駆動回路制御信号を選択するかに
よって決定される。ゲート駆動回路制御信号の選択は、
表示方法選択回路35から出力される切換信号に応答す
る切換器44で行う。
【0065】表示方法選択回路35には、A/D変換器
40でディジタル信号に変換されたプログレッシブ走査
映像信号が入力される。表示方法選択回路35は、入力
されたプログレッシブ走査映像信号のフレーム毎の差分
を計算し、差分の大きさにより、静止画か動画かの判定
をする。その結果、静止画の場合は第1のゲート駆動回
路制御回路36から出力されるゲート駆動IC制御信号
を、動画の場合は第2のゲート駆動回路制御回路37か
ら出力されるゲート駆動回路制御信号を選択する。
【0066】より具体的には、表示方法選択回路35
は、図9に示すように構成される。今、A/D変換器4
0が8ビットとすれば、A/D変換器40により映像信
号は0〜255のデータとなる。前記データは第1フレ
ームメモリ871aに入力され、保持される。第1フレ
ームメモリ871aに保持されたデータは、1フレーム
遅れて出力され、第2フレームメモリ871bに入力さ
れる。第1フレームメモリ871aに入力されるデータ
を入力データと呼び、出力されるデータを出力データと
呼ぶ。出力データは入力データよりも1フレーム時間遅
れている。
【0067】入力データと出力データとは減算器872
により差分がとられる。したがって、差分後の値は−1
28〜127の値となる。次に、前記データは、絶対値
回路873に入力され、値“128"が加えられて0〜
255の値となる。入力データと出力データ間の差分を
とるのは、フレーム間での画像の動きを検出するためで
ある。フレーム間で画像の動きがなければ差分値は
“0"になる。画像の動き量が大きいほど差分値は大き
くなる。
【0068】絶対値回路873から出力されたデータは
総和回路(SUM)874に入力され、1フレーム期間内
の差分値が加算される。つまり、フレーム間で動き量が
どれくらいあるかを求めることになる。加算された総和
値が大きいほど動き量が大きいことを示す。1フレーム
期間、加算された総和差は、比較器875に送られ基準
値回路876の基準値と比較される。基準値とは所定値
以上のとき画像の動きが大きかったと判断する値であ
る。この値は、本発明の第1の表示方法と第2の表示方
法とを切り換えるための値である。基準値よりも大きい
とき、比較器874から切換器44に第2の表示方法を
選択するように信号が転送され、切換器44は前記信号
をうけて第2の表示方法を実現する。一方、基準値より
も小さいときには、第2の表示方法を実現するように切
換器44に信号が転送される。つまり、総和値が基準値
よりも大きいとき、動画に適するように表示方法が選択
され、小さいとき静止画に適するように表示方法が選択
される。
【0069】ただし、第1の表示方法と第2の表示方法
を切りかえるスレシュ−ホールドレベルにある映像信号
の場合は、第1の表示方法と第2の表示方法とがめぐる
ましく切りかわり、表示状態としては見にくくなる。こ
の課題に対処するには、表示方法が切りかわった後、一
定の期間再びもとの表示状態にもどらないようにする必
要がある。つまり「ヒスラリシス」をもたせればよい。
「ヒスラリシス」をもたせるのは容易である。比較器8
75が表示方法を切りかえる信号が出力される回数をカ
ウントし、そのカウント値が一定値以上のとき、表示方
法を切りかえるようにすればよい。
【0070】本実施形態において、ゲート駆動回路38
aが奇数番目のゲート信号線と接続され、ゲート駆動回
路38bが偶数番目のゲート信号線と接続されているこ
とも重要である。なぜならばこの構成により第1の表示
方法と第2の表示方法とを容易に実現できるからであ
る。つまり、第1の表示方法では第1のフレームではゲ
ート駆動回路389を動画させ、第2のフレームではゲ
ートドライブ回路38bを動画させればよい。第2の表
示方法では、ゲート駆動回路38a、38bがそれぞれ、
一水平走査期間に1本のゲート信号線(計2本)を選択
し、かつ、ゲート信号線の選択信号を順次移動させてい
けばよい。もし、すべてのゲート信号線が1つのゲート
駆動回路に接続されていたならば、第1の表示方法の
際、第1フレームおよび第2フレームのそれぞれでゲー
ト信号線を1本おきに選択しなくてはならなくなる。こ
のように1本おきに選択するのは回路構成が複雑にな
る。
【0071】ただし、ゲート駆動回路38aが奇数番目
のゲート信号線と接続され、ゲート駆動回路38bが偶
数番目のゲート信号線と接続されているとしたが、この
構成に限定されない例外がある。たとえば、1つのゲー
ト駆動回路38内に2つのシフトレジスタ91aと91b
とを具備する場合である。シフトレジスタ91aが奇数
番目のゲート信号線と接続され、シフトレジスタ91b
が偶数番目のゲート信号線と接続されている場合であ
る。この場合見かけ上、ゲート駆動回路としては1つで
あるが、独立したシフトレジスタ回路を2系統有してい
る。したがって、実質的には2つのゲート駆動回路があ
るのにほかならない。
【0072】アクティブマトリクス型液晶ディスプレイ
(パネル)のように、リフレッシュするまで表示状態を保
持するディスプレイにおいては、静止画の場合、フレー
ム間での内挿が行われるために垂直解像度が確保され、
動画の場合、フレーム内での内挿が行われるために動画
ボケは発生せず、入力されたプログレッシブ走査映像信
号をそのまま表示するときに比べて1/2の速度で表示
したにもかかわらず良好な画像が得られる。
【0073】なお、上記実施形態では自動検出による切
り換えを述べたが、それにつけ加えユーザーによる切換
器44の強制切換を可能にすると、さらに実用上便利に
なる。たとえば、切換器44としてはプッシュボタンな
どが例示される。
【0074】用途によっては表示方法選択回路35を用
いず、切換器44をプッシュボタンなどで強制切換する
方が実用的な場合がある。たとえば表示ディスプレイ8
1に表示する画像が静止画が主であるか動画が主である
か判断できる場合である。通常ワークステーションのデ
ィスプレイはプログレッシブの信号が入力され、表示さ
れる画像は文字または図形等の静止画がほとんどであ
る。この場合は、第1の表示方法(図1)でディスプレイ
に画像を表示すればよい。第1の表示方法は高品位の静
止画を表示できる。静止画が満足できる表示であれば、
ワークステーションの用途として十分実用的である切換
器44は第1の表示方法を実現できるように固定してお
けばよい。つまり切換器44は必要ではない。また、家
庭用に用いるテレビジョンでは通常インタレース信号が
入力され、表示される画像のほとんどが動画である。し
たがって、第2の表示方法を実現できるように切換器4
4を固定すればよい。第2の表示方法は静止画の表示に
は多少不向きであるが動画に対してはすぐれた表示品位
を実現できる。特に本発明の第2の表示方法は高品位テ
レビで提案されているMUSE信号の表示に適すると推
測される。以上のように、画像を表示すべき、ディスプ
レイが静止画を主とするか動画を主とするかが判断でき
る場合は、あえて、表示方法選択回路35を採用する必
要はない。
【0075】また、本発明の表示装置は、単純マトリク
ス型液晶表示パネル、ELパネル、プラズマディスプレ
イ、PLZTを用いたディスプレイ、強誘電液晶表示パ
ネルにも適用可能なことはいうまでもない。しかし、本
発明の表示装置では、信頼性、画像品位、コストなどの
観点から、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルを
採用している。
【0076】以上に説明した映像信号表示方法によれ
ば、2フレーム期間で1フレーム分の映像情報を表示す
るようにしているので、入力されたプログレッシブ走査
映像信号をそのまま表示するときに比べて1/2の速度
で表示することができる。その結果、パーソナルコンピ
ュータやワークステーション等の広帯域(高速データレ
ート)プログレッシブ走査映像信号を、マトリクス型液
晶ディスプレイのように高速走査の苦手なディスプレイ
に表示する場合でも画質の劣化が生じない。また、第1
の表示制御手段と第2の表示制御手段とを選択的に能動
化するようにすれば、プログレッシブ走査映像信号の性
質(例えば、静止画か動画か)に応じて常に最適な表示を
行うことができる。
【0077】さらに、プログレッシブ走査映像信号の隣
接フレーム間の相関を表す値が所定値以上のとき(すな
わち、静止画のとき)は第1の表示制御手段を選択的に
能動化し、所定値未満のとき(すなわち、動画のとき)は
第2の表示制御手段を選択的に能動化するようにすれ
ば、静止画の場合はフレーム間で内挿が行われて垂直解
像度を確保でき、動画の場合はフレーム内で内挿が行わ
れて動画ぼけの発生を防止できる。
【0078】以上のような映像信号表示方法は非常に多
くの画素がマトリックス状に並べられた液晶表示パネル
に適用すると効果を発揮する。非常に多くの画素とはた
とえばSXGA(よこ1280ドット×たて1024ド
ット)である。これらの表示パネルに画像を表示するの
は容易ではない。画素数が多いことはデータ転送レート
が非常に高いことを意味し、かつ、前記SXGAはプロ
グレッシブ走査映像信号が転送されているからである。
SXGAに画像を表示しようとするとソース駆動回路3
3内のシフトレジスタの並列数は非常に多くなる。これ
はポリシリコン技術等では動作周波数が1〜3MHzで
ある。したがって、データ転送レートに適応できるよう
に時間軸伸長する必要があるためである。時間軸伸長を
すればするほどシフトレジスタの並列数が多くなること
を意味する。
【0079】従来、家庭用テレビとしてはNTSC規格
(よこ640ドット程度×たて480ドット)にのみに対
応すれば十分であった。パーソナルコンピュータにおい
てもVGA(よこ640ドット×たて480ドット)に対
応していればよかった。しかし、近年は、ハイビジョン
(HD)規格にも対応できることが望まれ、またSXGA
にも対応することが望まれるようになった。
【0080】本発明の映像信号表示方法を適用する表示
装置の特徴は、上記規格に対応するため、アクティブマ
トリックス型の液晶表示パネルを用い、かつ、前記表示
パネルは、よこ1820ドット×たて1024ドットと
しているところにもある。よこのドット数は1820ド
ットのみに限定するものではないが、少なくとも182
0ドット±100ドット以内を保持しておく必要があ
る。あまり1820ドットからはなれると、画素形状が
たて1:よこ1の正方形の形状からはずれ、SXGAの
画像表示に適さなくなるからである。よこのドットは1
024ドット必要である。多少ずれても実用上は支障が
ないかもしれないが、1024ドットより少ないとSX
GAの画面の完全な表示を実現できなくなる。
【0081】図10は、本実施形態の表示装置における
画像表示状態を示したものである。本表示装置はHD規
格に対応できる1820×1024(16:9)の画素を
保有する(表示領域53a)。その一部を用いてSXG
A(1280×1024(5:4))を表示する(表示領域
53b)。また、(640×2)×(480×2)(4:3))
の画素でNTSCおよびVGA規格の画像を表示する
(表示領域53c)。
【0082】NTSCおよびHDはインタレース走査映
像信号である。VGA、SXGAはプログレッシブ走査
映像信号である。家庭用のテレビとしてはNTSC、H
Dに対応できれば当面は十分である。しかし、SXGA
も表示したいという要望が強い。しかし、液晶表示パネ
ルをプログレッシブ走査映像信号に適用するには、シフ
トレジスタの並列数がインタレース走査映像信号時の2
倍となる。したがって、SXGAのプログレッシブ走査
映像信号にも適用するためには、HD規格では必要でな
い。さらに2倍に並列に形成したシフトレジスタをあら
かじめ形成しておく必要がある。これはあまりにも損失
が大きい。この損失とは表示パネルを構成するTFTア
レイの製造の困難さ(製造歩留まり、設計の困難さ)、シ
フトレジスタの形成領域が広くなりパネルの有効表示領
域が小さくなるというデメリット、ゲート信号線等の信
号伝達速度をHD規格の信号を表示するときに比較して
1/2に向上させるために前記信号線の低抵抗値かの困
難さに伴う損失である。
【0083】本方法は、第1のフレームのプログレッシ
ブ走査映像信号から奇数ラインデータを取り出し、表示
パネルに表示し、第2のフレームから偶数ラインのデー
タを取り出して表示パネルに表示し、前記2フレーム期
間で一画面を形成する。本方法によれば、シフトレジス
タ数はHD規格のインタレースに適用できる並列数でS
XGA規格のプログレッシブ走査映像信号による画像も
表示できることになる。特にSXGA等はワークステー
ションで用いられ、ワークステーションで用いる画像は
静止画がほとんどであり本方法で十分適用できる。もち
ろん、第2の表示方法を用いれば動画表示にも適応でき
るし、第3の表示方法のように、切換器44を動作させ
れば、映像信号に応じて(動画か静止画か)適正な画像表
示を実現できる。
【0084】図10でもわかるように、HDの表示領域
53a内にSXGAの表示領域53bが上下方向は丁度お
さまる(縦1024ドットであれば当然である)。また、
NTSC(VGA)の表示領域53cでもほとんど無表示
領域(画像を表示しない画素行)が生じず、ほとんどの画
素を有効に利用できる。また、HDの表示領域53a内
でSXGAの表示領域53bを左右(A、B方向)に「移
動」させることができる。
【0085】前述の「移動」方式はマルチウィンドウ方式
に適応し、本発明の表示装置の応用範囲を広げることに
効果がある。図3等では表示ライン選択回路31にライ
ンメモリ41を用いたが、「移動」させるためには図11
に示すようにフレームメモリ51を用いる必要がある。
映像信号はA/D40によりデジタルデータに変換され
フレームメモリ51に入力される。前記データをフレー
ムメモリ制御回路52により読みだしを制御してD/A
変換42を通してソース信号処理回路32に出力するの
である。
【0086】なお、図11に示すように、ソース駆動回
路33は、液晶表示パネル81の上下にソース駆動回路
33a、33bとして配置してもよい。ソース駆動回路を
上下に配置すれば、後に説明する列方向の画素に信号極
性が異なるように印加する。カラム反転駆動がやりやす
くなるという効果がある。
【0087】液晶表示パネル81には画面がちらついて
みえる現象「フリッカ」が発生しやすい。そのため、図
12に示すように1行(ライン)画素101または複数行
ごとに極性の異なる信号を印加するH反転駆動が採用さ
れる。また、図13に示すように1列の画素101また
は複数の列ごとに極性の異なる信号を印加するカラム反
転駆動が行なわれる。
【0088】H反転駆動では、図12が第1フレーム目
を表すとすると、図13は第2フレーム目の信号の印加
状態を表す。また、カラム反転駆動では、図14が第1
フレーム目を表すとすると、図15は第2フレーム目の
印加状態を表す。各画素101は2フレーム周期で同一
極性の信号が印加される。
【0089】なお、以上の図では正極性を(+)で負極
性を(−)で示している。また正極性とは通常対向電極
88の電位に対して正方向を、負極性とは対向電極88
の電位に対して負方向の電圧を示す。
【0090】H反転駆動等を実現するのは容易である。
図16に示すように映像信号はアンプ141を通して位
相分割回路142に入力される。位相分割回路142
は、図17に示すようにトランジスタQと2つの抵抗R
、Rで容易に構成できる。位相分割回路142で正
極性(+)と負極性(−)の2つの極性の信号が作ら
れ、前記信号は出力切り換え回路143に入力される。
出力切り換え回路143からは正極性と負極性のいずれ
か一方の信号を出力する。1水平走査(1H)期間(図1
0の場合は2H期間)ごとに信号の極性を切り換えて出
力すればH反転駆動となる。図11のように構成し、ソ
ース駆動回路33aに正極性(負極性)の信号を印加し、
同時にソース駆動回路33bに負極性(正極性)の信号を
印加すればカラム反転駆動となる。
【0091】液晶表示装置でフリッカが視覚的に認識さ
れないように構成することは重要な事項である。そこで
本発明の映像信号表示方法では以下のようにしている。
なお、以下の図18〜図22において、横軸のnF(nは
1以上の整数)は各フレームを示しており、たとえば1
Fの次のフレームは2Fである。縦軸は表示パネル(デ
ィスプレイ)の行(ライン)を示している。図中の+は正
極性の信号であることを、−は負極性の信号であること
を示し、アルファベットのa、b、cは画素101に印加
される電圧(振幅)を示す。各フレームに含まれる映像信
号データは異なるものとし、各フレームのデータごとに
a、b、cと記号を付加している。
【0092】なお、a、b、cの記号は説明の都合上、記
述したにすぎない。たとえば、ラスター表示ではa、b、
cはすべて同一の電圧(振幅)であろう。また、以下の図
面において、+と−は説明の便宜上記載したものであ
り、+と−は置き換えてもよい。前記事項は以下の図面
に対しても同様である。
【0093】以下、第5の映像信号表示方法について、
図18を用いて説明する。第5の映像信号表示方法は、
HD規格の信号(インタレース走査映像信号(飛び越し走
査))を表示装置に表示させるための方法である。前記信
号は第1フレームに奇数番目のライン信号(走査線のデ
ータ)が、次の第2のフレームに偶数番目のライン信号
が転送されてくるものとする。
【0094】図18では、1Fの列にa(jは1以上の
整数)が記載される。これは表示パネルの一画素列に第
1フレームの映像信号データが保持されたことを示す。
2Fの列に一番上に“+a"と記載され、以下の列には
b(jは2以上の整数)と記載されているから、一番上の
画素には第1フレームの映像信号データがそのまま保持
されており、他の画素には第2フレームの映像信号デー
タが保持されたことを示す。
【0095】以上のことから明らかなように、+a
−aとは画素101に保持されている電圧値が同じ
で、信号(電圧)の極性のみが異なっていることを示す。
また、+aと+aであれば同一フレームの映像信号デ
ータではあり、画素101に保持された信号(電圧)の極
性が同じであることを示す。
【0096】なお、実際の映像信号が1ラインのa
値と5ラインのaの値が異なる場合もあるが同一の場
合もある。なぜならば、一画面すべてが白ラスター表示
であればすべての画素101には同一の電圧が書き込ま
れているからである。したがって、添字は説明の都合上
異なった添字を付加しているにすぎない。また、たとえ
ば図18において1Fの1ラインは+aと正極性の電
圧を保持しているとしているが、これに限定するもので
はなく、説明の都合上にすぎない。1ラインが−a
2ラインが−a、3ラインが+a、4ラインが+a
であってもよい。また“×"とはdon't careであること
を示す。つまり、1Fより前のフレームで書き込まれた
データである。
【0097】以下、本発明の映像信号の表示方法におい
て画素に印加保持する電圧の極性について説明してい
く。以下のように画素に印加する電圧の極性を考慮する
ことによってフリッカが視覚的に認識されるのを大幅に
低減できるのである。また、画素数等は図10で説明し
たものと同じとする。
【0098】図18は、第5の映像信号表示方法によ
り、HD規格のインタレース走査映像信号を表示パネル
に表示する方法を示している。奇数フレーム(F)では奇
数ラインおよびそれに続く偶数ラインに同一電圧を画素
に保持させる。偶数フレーム(F)では偶数ラインおよび
それに続く奇数ラインに同一電圧を画素に保持させる。
また、一列において2画素ごとに画素101に保持させ
る。つまり第1フレーム(F)では一列の画素101に
“++−−++−−・・・・"と電圧が保持され、次の
第2フレーム(F)では一列の画素101に“+−−++
−−・・・・"と保持される。さらに次の第3フレーム
(F)では“−−++−−++・・・・"となり、次の第
4フレームでは“−++−−++−・・・・"となる。
第5フレームでは第1フレームと同じの“++−−++
−−・・・・"となる。
【0099】つまり、一画素101のみに注目すればフ
レーム方向(時間軸方向)で“++−−++−−"の極性
の電圧が印加されており、4フレーム期間で一周期とな
っている。したがって1フレームは1/60秒であるか
ら4周期では1/15秒となりフリッカが発生する。し
かし、前記画素の上下の画素は2フレームごとに反対極
性の電圧が印加されている。たとえば第1フレームの3
ラインの画素101aを注目すれば前記画素は時間軸方
向で“−−++−−++"と電圧が印加されるが、2ラ
インの画素101cは“+−−++−−+"と電圧が印加
され、4ラインの画素101bは“−++−−++"と電
圧が印加される。したがって、多少フリッカが発生して
もある任意の画素の上または下に隣接した画素には逆極
性の電圧が印加されているためフリッカが発生している
とは認識されない。また、列方向にも“++−−++−
−"と極性の異なる電圧が周期的に印加されているから
フリッカをさらに認識されない方向に作用する。
【0100】また、この第5の映像表示方法では、フレ
ーム補間をとったのと同様な画像表示となり、特に動画
領域の多い画像表示に適する。通常の家庭用テレビでは
静止画像はほとんどないため、この表示方法は実用上十
分である。なお、第2のフレームの1ラインの画素に+
aが印加されている。これは、第1のフレームの1ラ
インで書き込まれた電圧+aがそのまま保持されてい
ることを示す。このように、フレームごとに1ラインず
らせて表示することも重要な点である。
【0101】図19は、表示装置にワークステーション
等のプログレッシブ走査映像信号を表示させる方法であ
る。つまり、第1の映像信号表示方法において、画素に
印加する電圧の極性を考慮した場合である(第4の映像
信号表示方法)。第1のフレームでは第1フレームのプ
ログレッシブ走査映像信号から奇数ラインの信号を取り
出し、奇数ラインに表示する。その際、(4n−3)ライ
ン(ただしnは1以上の整数)には正極性の電圧を、(4n
−1)ラインには負極性の電圧を印加する。第1のフレ
ームに続く第2のフレームでは第2フレームのプログレ
ッシブ走査映像信号から偶数ラインの信号を取り出し、
偶数ラインに表示する。その際(4n−2)ライン(ただし
nは1以上の整数)には負極性の電圧を、(4n)ラインに
は正極性の電圧を印加する。以上の2フレーム期間で1
画面を表示できる。
【0102】次に、第2フレームに続く第3のフレーム
では、第3のフレームのプログレッシブ走査映像信号か
ら奇数ラインの信号を取り出し、奇数ラインに表示す
る。その際、各画素には第1フレームに印加した電圧の
極性と逆極性となるようにする。また、第4フレームで
は各画素には第2のフレームに印加した電圧の極性と逆
極性となるようにする。
【0103】以上のように電圧を印加すれば、各画素に
印加した電圧の極性は図18と同一となる。したがっ
て、フリッカは認識されない。図19の表示方法はライ
ン補間を実現していることになる。したがって静止画に
適する。ワークステーションでは図形、文章、またはプ
ログラムのテキストを表示することが多く、これらの図
形、文章等にほとんどが静止画である。したがって、第
1の本発明の表示方法が適する。駆動周波数(データ転
送レート)も、そのままプログレッシブ走査映像信号を
液晶表示パネル81に表示する場合の1/2に低減でき
る。したがって、ポリシリコン技術を用いてソースドラ
イブ回路33等を形成したパネルであっても、前記ソー
スドライブ回路33内のシフトレジスタ数は増加しな
い。
【0104】HD規格の信号はインタレース走査映像信
号で送信されてくるから、図18に示すようにインタレ
ース走査映像信号で表示すれば十分である。ワークステ
ーション等のプログレッシブ走査映像信号は、図19に
示すようにすれば実用上十分である。
【0105】本発明の表示装置は、HD規格のインタレ
ース走査映像信号は図18で説明した表示方法で表示
し、プログレッシブ走査映像信号かつ静止画の場合は図
19の表示方法で表示する。また、プログレッシブ走査
映像信号かつ動画の場合は、図2に示す本発明の映像信
号表示方法を随時適用する。
【0106】NTSC規格の信号を画像表示するために
は、図20で説明する方法を用いればよい。NTSC規
格の信号は有効水平走査線(ライン数)数は480本程度
である。本発明の表示装置は有効水平走査線数は102
4本ある。そのため、NTSC規格の信号を表示するに
は前記1024本中、480本の2倍の960本を用い
る。つまり一本の走査線のデータを表示装置の複数のラ
インに表示する。また、NTSC規格の信号もインタレ
ース走査映像信号である。図18に示すようにHD規格
のインタレース走査映像信号を表示するのには、2本の
ラインに同一表示した。NTSC規格は480本の2倍
の960本であるから、一本の走査線のデータを図20
に示すように4本のラインに表示する。
【0107】図20に示すように、奇数フレーム(F)で
は奇数番目の映像信号データが転送されてくるとし、か
つ、nを1以上の整数とすれば、(8n−7)から(8n−
4)ラインの画素101に同一の電圧が書き込まれる。
偶数フレーム(F)では偶数番目の映像信号データが転送
されてくるとすると、先と2ラインずらせて(8n−5)
から(8n−2)のラインの画素101に同一の電圧が書
き込まれる。偶数フレームでは(8n−7)と(8n−6)の
画素101には前記偶数フレームの1つ前の奇数フレー
ムのデータがそのまま保持される。これは、図18に示
すように第2フレーム(2F)で第1ラインの画素に第1
フレーム(1F)の1ラインのデータ“+a "がそのまま
保持されているのと同一の理由からである。
【0108】図20ではフリッカを低減するには、画素
101に書き込む電圧の極性にも考慮している。つま
り、第1フレームでは列方向(1ライン〜nライン)に
“++++−−−−++++・・・・"の極性の電圧を
印加し、第2フレームでは“++−−−−++++−−
・・・・"の極性の電圧を印加する。また、1画素(たと
えば画素101a)を中心に時間軸方向(フレーム方向=
1F〜9F)にみれば“++−−++−−・・・・"の極
性の電圧を印加する。前記画素101aの下位置の画素
101bは“+−−++−−・・・・"の極性の電圧を印
加して、先の画素101aとは異なるようにしている。
そのため一画素のみに注視すればフリッカは発生してい
るが、全体(任意の一画素とその周辺画素を同時にみれ
ば)としてはフリッカは打ち消されて視覚的には認識さ
れない。
【0109】さらにフリッカの発生の影響を防止するた
めには、図21に示す第7の映像信号表示方法を行えば
よい。図20では、1フレームの4ラインに同一の極性
の電圧(たとえば第1Fの1ライン〜4ラインは“++
++"、第1Fの5ライン〜8ラインは“−−−−")を
印加していたが、図21では、4ラインは同一電圧であ
っても2ラインづつ電圧の極性を変化させている。(た
とえば、第1Fの1ライン〜4ラインは“++−−"、
第1Fの5ライン〜8ラインも“++−−")。
【0110】以上のように表示させると、第1フレーム
では列方向(1ライン〜nライン)に“++−−++−−
・・・・"、第2フレームでは列方向に“−−++−−
++・・・・"の極性の電圧が画素に印加される。ま
た、1画素(たとえば画素101a)を中心に時間軸方向
(フレーム方向=1F〜9F)にみれば“+−+−+−+
−・・・・"の極性の電圧が印加され、前記画素101a
の下位置の画素101bには“−+−+−+−+・・・
・"と全く画素101aとは逆の極性の電圧が印加され
る。そのためフリッカの発生は極めて良好に抑制され
る。
【0111】HD規格の信号は、図18の表示方法によ
り表示できる。図21は、図18の表示方法を行なうの
と同一のデータ転送レートである。したがって、本発明
の表示装置で図18の表示方法を実現できるのであれ
ば、図21の表示方法をも実現できることは容易に理解
できるであろう。
【0112】図22は、VGA規格の表示を実現する方
法である。なお、この図22は第6の映像信号表示方法
の説明図である。VGA規格の表示は、本発明の表示装
置ではプログレッシブ走査映像信号をそのまま用いて表
示する。VGA規格の有効水平走査線数は480本であ
る。したがって、本発明の表示装置には1024本のう
ち480本の2倍の960本を用いて表示する。VGA
規格の表示を行なうには、これまで説明した表示方法と
異なり奇数フレームまたは偶数フレームと区別する必要
はない。第1のフレームの映像信号データのうち奇数ラ
インに該当する信号は、(4n−3)および(4n−2)ライ
ンに表示する。偶数ラインに該当する信号は(4n−1)
および(4n)ラインに表示する。映像信号データの1ラ
インのデータを、2本のラインの画素行に書き込むので
ある。つまりプログレッシブ走査映像信号をそのまま表
示装置の2ラインに表示していく。
【0113】フリッカの発生を防止するため画素に書き
込む信号極性にも考慮を払っている。信号極性は奇数フ
レームでは列方向に“++−−++−−・・・・"、偶
数フレームでは列方向に“−−++−−++・・・・"
としている。フレーム方向(時間軸方向)では“+−+−
+−+−・・・・"と画素に電圧を保持させる。したが
って、1画素を注目してみれば1/30秒の周期で画素
に同一極性の電圧が印加される。そのためフリッカの発
生は全く生じない。
【0114】以上のように本発明の表示装置では、図1
0に示すように画素数が横1280ドット横1024ド
ットの液晶表示パネルを用いて、HD、NTSC、VG
A、SXGAの表示を実現している。また、図1、図2
等で説明した方法を用いることにより前記表示パネルに
転送するデータ転送レートを従来の1/2に低減し、消
費電力の低電力化、ソースドライブ回路等の簡略化を実
現している。その上、図18等で説明した方法によりフ
リッカの発生を防止している。
【0115】本発明の映像信号表示方法は、TN液晶表
示パネル、強誘電液晶表示パネルまたはPLETを用い
た表示パネル等、画素に電圧を保持する方式の表示パネ
ルに適応できる。
【0116】これらの液晶表示パネルのうち特によく用
いられるTN液晶表示パネルは、光の入射角依存性があ
る、画素に逆ドメインが発生する、液晶を配向させるた
めのラビング処理が必要で不良が発生しやすい等の課題
がある。
【0117】TN液晶表示パネルは、光の入射角と表示
コントラストが依存する。これは液晶層87の中の液晶
分子が画素電極151の法線に対し、一定角度で傾いて
いることから生じる。液晶分子の傾きと、光の入射角度
が一致しておれば表示コントラストは良好である。しか
し、不一致であれば表示コントラストは著しく劣化す
る。この課題は、TN液晶表示パネルをライトバルブと
して用い投写型表示装置に対して重大である。投写型表
示装置では光学設計の都合上ライトバルブに入射する光
の主光線をライトバルブの全領域で一定方向にすること
が困難だからである。たとえば、図102に示すように
TN液晶表示パネル691に入射する光の主光線はパネ
ル上部と下部で異なる。
【0118】今、液晶層87中の液晶分子の傾きが主光
線cと一致しておれば、ライトバルブ691の表示領域
の下部の表示コントラストは良好となる。しかし、上部
の主光線aに対しては不一致であり、上部の表示コント
ラストは著しく悪くなる。したがって画面下部から上部
に表示コントラストの劣化が生じる。つまり、画面下部
の画像表示は良好であるが、画面上部は悪い低品位の画
像表示状態となる。この現象は著しく画像表示を低下さ
せる。
【0119】また、TN液晶表示パネルの課題として、
図103に示すように画素開口部701の画素周辺部か
らの光もれ(逆ドメイン領域702)がある。これは液晶
分子が正規の配向方向と逆方向に配向することからおき
る。この配向状態を逆チルド・ドメインと呼ぶ。これは
画素電極と信号線間に発生する電界により液晶分子の立
ち上がり方向が部分的に逆になることより生じる。液晶
分子の立ち上がり方向が逆になった部分は電圧が印加さ
れているにもかかわらず光は出射面の偏光板(検光子)を
通過する。つまり光もれが生じる。正常な液晶の立ち上
がり方向であれば光もれは生じない。
【0120】光もれを防止する方法として、対向電極上
に形成するブラックマトリックス(BM)703を幅を太
くする方法がある。つまり、逆ドメイン領域702を隠
すようにBM703を形成する。これも、画素閉口面積
を低下させることとなり、表示輝度を低下させること
が、有効な方法とは言えない。
【0121】また、以下に説明するように、TN液晶を
用いる液晶表示パネルは、画素周辺部には光抜けが発生
しやすいため、ブラックマトリックスを太くしなければ
ならない。したがって、光利用率が悪く、表示輝度は低
い。ブラックマトリックスに照射された光は液晶表示パ
ネルを加熱することになり、パネル温度を上昇させ、パ
ネルの寿命を短くする。
【0122】また、TN液晶表示パネルは配向膜を塗布
し、ラビング処理が必要である。ラビング処理等は工程
数を増加させ、製造コストの増大をひきおこす。また、
近年、投写型表示装置に用いる液晶表示パネルの画素数
は30万画素以上と大容量となり、それにつれ画素サイ
ズは微細化の傾向にある。画素の微細化は信号線、TF
Tの凹凸を多数形成することになり、前記凹凸により良
好にラビング処理を行なえなくなったことは当然であ
る。また、画素サイズの微細化は1つの画素に占めるT
FTおよび信号線の形成面積が大きくなり画素開口率を
低減させる。一例として対角3インチの液晶表示パネル
で35万画素形成した場合、画素開口率は約30%であ
る。アモルファスシリコンでTFTを形成した場合で、
かつ、150万画素形成した場合は20%弱という予測
値もある。これらの画素開口率の低減は表示画像の低輝
度化にとどまらず、入射光開口部以外に照射された光に
より、さらに液晶表示パネルは加熱されることになり前
述の性能劣化を加速する。
【0123】そこで、本発明の表示装置では光変調層8
7として高分子分散液晶を用いる。高分子分散液晶を用
いた液晶表示パネル(以下、高分子分散液晶表示パネル
と呼ぶ)はTN液晶表示パネルのように入射角依存性が
なく、また、逆チルトドメインの発生もなく、ラビング
処理も不要である。その上、光変調に偏光板を用いる必
要がないため、高輝度表示を行なうことができる。
【0124】以下、本発明の表示装置を用いる高分子分
散液晶表示パネルについて説明する。高分子分散液晶
は、液晶と高分子(ポリマー)の分散状態によって大きく
2つのタイプに分けられる。1つは、水滴状の液晶が高
分子中に分散しているタイプである。液晶は、高分子中
に不連続な状態で存在する。以後、このような液晶をP
DLCと呼び、また、前記液晶を用いた液晶表示パネル
をPD液晶表示パネルと呼ぶ。もう1つは、液晶層に高
分子のネットワークを張り巡らせたような構造を採るタ
イプである。ちょうどスポンジに液晶を含ませたような
格好になる。液晶は、水滴状とならず連続に存在する。
以後、このような液晶をPNLCと呼び、また、前記液
晶を用いた液晶表示パネルをPN液晶表示パネルと呼
ぶ。前記2種類の液晶表示パネルで画像を表示するため
には光の散乱・透過を制御することにより行なう。
【0125】PDLCは、液晶が配向している方向で屈
折率が異なる性質を利用する。電圧を印加していない状
態では、それぞれの水滴状液晶は不規則な方向に配向し
ている。この状態では、高分子と液晶に屈折率の差が生
じ、入射光は散乱する。ここで電圧を印加すると液晶の
配向方向がそろう。液晶が一定方向に配向したときの屈
折率をあらかじめ高分子の屈折率と合わせておくと、入
射光は散乱せずに透過する。これに対し、PNLCは液
晶分子の配向の不規則さそのものを使う。不規則な配向
状態、つまり電圧を印加していない状態では入射した光
は散乱する。一方、電圧を印加し配列状態を規則的にす
ると光は透過する。
【0126】なお、前述のPDLCおよびPNLCの液
晶の動きの説明はあくまでモデル的な考え方である。本
発明においてはPD液晶表示パネルとPN液晶表示パネ
ルのうち一方に限定するものではないが、説明を容易に
するため主としてPD液晶表示パネルを例にあげて説明
する。また、PDLCおよびPNCLを総称してPD液
晶と呼ぶ。
【0127】図23は、PD液晶の動作の説明図であ
る。画素電極151にはTFT(図示せず)等が接続さ
れ、TFTのオン、オフにより画素電極151に電圧が
印加されて、画素電極151上の液晶配向方向を可変さ
せて光を変調する。(a)に示すように電圧を印加してい
ない状態では、それぞれの水滴状液晶181中の液晶分
子は不規則な方向に配向している。この状態ではポリマ
ー182と水滴状液晶181との間に屈折率差が生じ、
入射光は散乱する。ここで、(b)に示すように画素電極
151に電圧を印加すると液晶分子の方向がそろう。液
晶分子が一定方向に配向したときの屈折率をあらかじめ
ポリマー182の屈折率nと合わせておくと、入射光
は散乱せずにアレイ基板162より出射する。
【0128】液晶層87に用いる液晶材料としてはネマ
ティック液晶、スメクティック液晶、コレステリック液
晶が好ましく、単一または2種類以上の液晶性化合物や
液晶性化合物以外の物質も含んだ混合物であってもよ
い。
【0129】なお、先に述べた液晶材料のうち、異常光
屈折率nと常光屈折率nの差の比較的大きいシアノビ
フェニル系のネマティック液晶、または、経時変化に安
定なフッ素系、クロル系ネマティック液晶が好ましく、
中でもクロル系のネマティック液晶が散乱特性も良好で
かつ、経時変化も生じ難く最も好ましい。
【0130】高分子マトリックス材料としては透明なポ
リマーが好ましく、ポリマーとしては、製造工程の容易
さ、液晶相との分離等の点より光硬化タイプの樹脂を用
いる。具体的な例として紫外線硬化性アクリル系樹脂が
例示され、特に紫外線照射によって重合硬化するアクリ
ルモノマー、アクリルオリゴマーを含有するものが好ま
しい。中でもフッ素基を有する光硬化性アクリル樹脂は
散乱特性が良好な光変調層87を作製でき、経時変化も
生じ難く好ましい。
【0131】また、前記液晶材料は、常光屈折率n
1.49から1.54のものを用いることが好ましく、中
でも、常光屈折率nが1.50から1.53のものを用
いることが好ましい。また、屈折率差△nが0.15以上
0.30以下のものとを用いることが好ましい。n、△
nが大きくなると耐熱、耐光性が悪くなる。n、△nが
小さければ耐熱、耐光性はよくなるが、散乱特性が低く
なり、表示コントラストが十分でなくなる。散乱特性は
△nの2乗におよそ比例する。
【0132】以上のことから、光変調層87の構成材料
として、常光屈折率nが1.50から1.53、かつ、
△nが0.15以上0.30以下のクロル系のネマティッ
ク液晶を用い、樹脂材料としてフッ素基を有する光硬化
性アクリル樹脂を採用することが好ましい。
【0133】このような高分子形成モノマーとしては、
2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルアクリレート、ネオペンチルグリコールドアクリレー
ト、ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリ
コールジアクリレート、トリプロピレングリコールジア
クリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールアクリレート等が挙げられる。
【0134】オリゴマーまたはプレポリマーとしては、
ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポ
リウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0135】また、重合を速やかに行なうために重合開
始剤を用いても良く、この例として、2−ヒドロキシ−
2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク
社製「ダロキュア1173」)、1−(4−イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−
オン(メルク社製「ダロキュア1116」)、1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製「イ
ルガキュア184」)、ベンジルメチルケタール(チバガ
イギー社製「イルガキュア651」)等が挙げられる。そ
の他に任意成分として連鎖移動剤、光増感剤、染料、架
橋剤等を適宜併用することができる。
【0136】なお、樹脂材料が硬化した時の屈折率n
と、液晶の常光屈折率nとは略一致するようにする。
液晶層に電界が印加された時に液晶分子が一方向に配向
し、液晶層の屈折率がnとなる。したがって、樹脂の
屈折率nと一致し、液晶層は光透過状態となる。屈折
率nとnとの差異が大きいと液晶層に電圧を印加して
も完全に液晶層が透明状態とならず、表示輝度は低下す
る。屈折率nとnとの屈折率差は0.1以内が好まし
く、さらには0.05以内が好ましい。
【0137】PD液晶層97中の液晶材料の割合はここ
で規定していないが、一般には30重量%〜90重量%
程度がよく、好ましくは60重量%〜85重量%程度が
よい。30重量%以下であると液晶滴の量が少なく、散
乱の効果が乏しい。また90重量%以上となると高分子
と液晶が上下2層に相分離する傾向が強まり、界面の割
合は小さくなり散乱特性は低下する。PD液晶層の構造
は液晶分率によって変わり、だいたい50重量%以下で
は液晶滴は独立したドロップレット状(水滴状)として
存在し、50重量%以上となると高分子と液晶が互いに
入り組んだ連続層となる。
【0138】水滴状液晶の平均粒子径または、ポリマー
ネットワークの平均孔径は、0.5μm以上2.0μm以下
にすることが好ましい。中でも、0.7μm以上1.5μm
以下が好ましい。PD表示パネルが変調する光が短波長
(たとえば、B光)の場合は小さく、長波長(たとえば、
R光)の場合は大きくする。水滴状液晶の平均粒子径ま
たはポリマー・ネットワークの平均孔径が大きいと、透
過状態にする電圧は低くなるが散乱特性は低下する。小
さいと、散乱特性は向上するが、透過状態にする電圧は
高くなる。上記0.7〜1.5μmの範囲は駆動電圧も適
正で散乱特性も高く、また、液晶の応答性も速い。
【0139】なお、本発明の投写型表示装置にライトバ
ルブとしてPD液晶表示パネルを用いる場合は、青色光
を変調する液晶表示パネルの水滴状液晶の平均粒子径ま
たはポリマー・ネットワークの平均孔径は、赤色光を変
調する液晶表示パネルのそれより小さくしている。
【0140】本発明にいうPD液晶(高分子分散液晶)と
は、特公表61−502128号公報に示すような液晶
が水滴状に樹脂中に分散されたもの(図23参照)、樹脂
がスポンジ状(ポリマーネットワーク)となり、そのスポ
ンジ状間に液晶が充填されたもの(たとえば特開平5−
173117号公報、特開平3−46620号公報等)
が該当し、他に特開平6−208126号公報、特開平
6−202085号公報に開示されているような樹脂が
層状となっているものも包含する。また、特開平5−1
13558号公報、特公平3−52843号公報のよう
に液晶がカプセル状の収容媒体に封入されているものも
含む。さらには、液晶または樹脂45中に二色性、多色
性色素を含有されたもの(例えば特開昭59−2263
22号公報、特開昭59−178429号公報)も含
む。
【0141】液晶層87の膜厚は5〜20μmの範囲が
好ましく、さらには8〜15μmの範囲が好ましい。膜
厚が薄いと散乱特性が悪くコントラストがとれず、逆に
厚いと高電圧駆動を行わなければならなくなり、ゲート
信号線にTFT86をオンオフさせる信号を発生するゲ
ートドライブ回路38やソース信号線に映像信号を印加
するソースドライブ回路33の設計などが困難となる。
【0142】図24等に示すように、液晶層87の膜厚
制御としては、黒色のガラスビーズ233または黒色の
ガラスファイバー、もしくは、黒色の樹脂ビーズ233
または黒色の樹脂ファィバーを用いる。特に黒色のガラ
スビーズまたは黒色のガラスファイバーは、非常に光吸
収性が高く、かつ、硬質のため液晶層に散布する個数が
少なくてすむので好ましい。
【0143】以上の説明においてビーズ、ファイバーは
黒色としたが、液晶表示パネルを投写型表示装置のライ
トバルブとして用いる場合はこれに限定されるものでは
ない。投写型表示装置は3枚の表示パネルでR、G、B
の3色の光をそれぞれ変調するものである。R光を変調
する表示パネルに用いるビーズ233などは、R光を吸
収させれば良い。つまり、変調する光の色に対して、補
色の関係にある色素を含有したビーズ233を用いれば
よい。
【0144】液晶層87は、電圧無印加状態で入射光を
散乱(黒表示)する。透明のビーズを用いると表示画面が
黒表示であっても、前記ビーズの箇所から光漏れが生
じ、表示コントラストを低下させる。黒色のガラスビー
ズまたは黒色のガラスファイバーを用いれば光漏れは生
じず、良好な表示コントラストを実現できる。
【0145】また、画素電極151と対向電極88上に
絶縁膜232を形成することは有効である。絶縁膜23
2としてはTN液晶表示パネル等に用いられるポリイミ
ド等の配向膜、ポリビニルアルコール(PVA)等の有機
物、SiO等の無機物が例示される。好ましくは、密
着性等の観点からポリイミド等の有機物がよい。PD液
晶87は比較的、比抵抗が低い。そのため画素電極15
1に印加された電荷を1フィールド(1/30または1
/60秒)の時間のあいだ完全に保持できない場合があ
る。保持できないと液晶層87が完全に透明状態となら
ず、表示輝度が低下する。ポリイミド等の有機物からな
る薄膜は比抵抗が非常に高い。したがって、有機物から
なる薄膜を電極上に形成することにより電荷の保持率を
向上できる。そのため、高輝度表示および高コントラス
ト表示を実現できる。
【0146】絶縁膜232は液晶層87を電極88、1
51とが剥離するのを防止する効果もある。それは液晶
層87を構成する材料の約半分近くは樹脂からなる有機
物であるからである。そのため、前記絶縁膜232が接
着層の役割をはたし、基板162、161と液晶層87
との剥離が発生しにくくなる。
【0147】また、有機物からなる絶縁膜232を形成
すれば、液晶層87のポリマーネットワークの孔径また
は水滴状液晶の粒子径がほぼ均一になるという効果もあ
る。対向電極88上に有機残留物が残っていても前記絶
縁膜232で被覆するためと考えられる。その効果はポ
リイミドよりもPVAの方が良好である。これはポリイ
ミドよりもPVAの方がぬれ性が高いためと考えられ
る。しかし、パネルに各種の絶縁膜232を作製して行
った信頼性(耐光性、耐熱性など)試験の結果では、TN
液晶の配向膜等に用いるポリイミドが、経時変化がほと
んど発生せず良好である。そのため、本発明の表示パネ
ルにはポリイミドを絶縁膜232として用いることが好
ましい。
【0148】なお、有機物で絶縁膜232を形成する
際、その膜厚は0.02μm以上、0.1μm以下の範囲
が好ましく、さらには0.03μm以上0.08μm以下
が好ましい。
【0149】PD液晶表示パネルは高輝度表示を実現で
きる。しかし、PD液晶表示パネルにも課題がある。以
下、その課題と、本発明の表示パネル(表示装置)に採用
した対策(構成)について順次説明をしていく。PD液晶
表示パネルで画像を表示した際、表示コントラストが悪
くなる原因に、画素周辺部からの光漏れがある。これは
信号線と画素電極間に発生する電気力線に液晶分子が配
向するために生じる。特に図104に示すように、白ウ
ィンドウを表示した際に顕著になる。白表示部の上部お
よび下部の黒表示領域が灰色表示となるからである(以
後、この現象を黒浮きと呼ぶ)。輝度分布は図105に
示すようになる。b−b'線の部分は黒浮きは生じず、原
理的には画面上部から画面下部まで輝度Bで一定であ
る。しかし、a−a'線の部分は、輝度Bの部分がB
となる。PD液晶表示パネルで自然画を表示すると白表
示部の上下に白線が表示される(以後、この現象を尾ひ
きと呼ぶ)。この現象は画像表示品位を大幅に低下させ
る。
【0150】前述黒浮きを防止するためには、TN液晶
表示パネル等と同様にブラックマトリックス(BM)を
形成すればよい。しかし、対向電極88上にBMを形成
することは好ましくない。PD液晶表示パネルの製造す
る際、未硬化の紫外線硬化樹脂と液晶とを混合させたも
の(混合溶液)を対向電極88と画素電極151間に注入
し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、樹脂成分と液晶
成分とを相分離させるためである。紫外線は対向基板側
より照射する。対向電極88上にBMが形成されている
と、BM下の樹脂成分は硬化せず、液晶と樹脂成分とが
相分離しない。したがって、表示パネルは安定性が悪
く、経時変化の大きくなり、実質上ライトバルブとして
用いることが困難である。
【0151】また、BMが対向電極88上に形成されて
いる場合、対向基板161とアレイ基板162との貼り
合わせ精度も重要になる。貼り合わせの際ずれるとBM
の端から光漏れが生じる。通常BM幅は貼り合わせ精度
を考慮して、BMの幅を太く形成している。一般的には
貼り合わせ精度は5μm〜10μmである。BMを太くす
れば、それだれ、画素開口率が低下する。したがって、
表示輝度は低くなる。
【0152】そこで、本発明の表示装置は、主として画
素電極151側等にBMとして機能する遮光膜155ま
たはそれに類似する構成物を形成する。対向電極88側
には通常、BMは形成しない。したがって、製造時、対
向電極88側から紫外線を照射すれば、未硬化の樹脂成
分が生じず、経時変化が生じない。BM156を画素電
極151側に形成すれば、対向基板161とアレイ基板
162の貼り合わせ精度を考慮することが必要なくな
る。
【0153】一例として、図25のように遮光膜155
(155a〜155e)を形成する。さらに、ブラック
マトリックス(BM)156(156a〜156d)を
形成する。なお、図25は、表示パネルの対向基板16
1を取り除いた時のアレイ基板162の平面図を示して
いる。また、以下に示す各図面は理解を容易にするため
に、モデル図的に描き、説明に不要な箇所は省略してい
る。また、図26は図25のA−A'線での断面図であ
り、図27は図25のB−B'線での断面図である。
【0154】図28は、本表示装置の等価回路図を示
す。S〜Snはソース信号線154であり、また、G
〜Gmはゲート信号線153(153a、153b)
である。ソース信号線154(154a、154b)と
ゲート信号線153との交点にはスイッチング素子とし
てのTFT86(86a〜86d)が形成されており、
前記TFT86の一端子はゲート信号線153に、ま
た、他の一端子はソース信号線154に、残る一端子は
表示画素である画素電極151に接続されている。ま
た、前記端子には液晶層87の電荷だけでは1フィール
ド間に必要な電荷を蓄積することができないため画素電
極151とゲート信号線153間に付加容量171を形
成している。なお、図28の点線で囲った領域が一画素
101である。
【0155】遮光膜155(155a〜155e)の形
成材料としてはクロム(Cr)が例示され、その膜厚は遮
光効果を考慮して500オングストーム以上にする必要
がある。遮光膜155の幅は、信号線154等に印加さ
れる電圧、液晶層87の膜厚を考慮して定めなければな
らない。対向基板88と信号線間距離が近いと、信号線
154等と画素電極151間に発生する電気力線数は相
対的に少なくなる。また、画素電極151と信号線15
4との間隔が広くても前記電気力線数は相対的に少なく
なる。ソース信号線154に印加される信号振幅が小さ
ければ遮光膜155の幅は狭くすることができる。
【0156】遮光膜155は金属薄膜に限定されない。
遮光膜155を光吸収膜におきかえてもよい。光吸収膜
を形成する光吸収材料としては電気絶縁性が高く、液晶
層87に悪影響を与えない材料であればよい。例えば、
黒色の色素または顔料を樹脂中に分散したものを用いて
も良いし、カラーフィルターのようにゼラチンやカゼイ
ンを黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色素の例と
しては、単一で黒色となるフルオラン系色素を発色させ
て用いることもでき、緑色系色素と赤色系色素とを混合
した配色ブラックを用いることもできる。
【0157】以上の材料はすべて黒色の材料であるが、
本発明の表示装置を投写型表示装置は3枚の表示装置を
用いる。それぞれの表示装置はR、G、Bの3色の光の
うち1色を受け持ち変調するものである。R光は変調す
る表示装置の光吸収膜としてはR光を吸収させれば良
い。つまり特定波長を吸収できるように、例えばカラー
フィルタ用の光吸収材料を望ましい光吸収特性が得られ
るように改良して用いれば良い。基本的には前記した黒
色吸収材料と同様に、色素を用いて天然樹脂を染色した
り、色素を合成樹脂中に分散した材料を用いることがで
きる。色素の選択の範囲は黒色色素よりむしろ幅広く、
アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、
トリフェニルメタン染料などから適切な1種、またはそ
れらのうち2種類以上の組み合わせでも良い。
【0158】黒色色素は液晶層87に悪影響を与える材
料が多い。そのため、使用は好ましくない。そこで前述
のように特定波長を吸収できる色素を光吸収薄膜の含有
色素として採用することが好ましい。
【0159】R光用、B光用およびG光用の3枚の表示
装置をライドバルブとして用いる投写型表示装置では採
用が容易である。つまり、変調する光の色に対して、補
色の関係にある色素を光吸収膜中に含有させればよい。
補色の関係とは、例えば、B光に対しては黄色である。
黄色に着色された光吸収膜はB光を吸収する。したがっ
て。B光を変調する表示装置は黄色の光吸収膜を形成す
ればよい。
【0160】光吸収膜を形成した効果として大きく2つ
挙げられる。これらの効果を図29を用いて説明する。
第一の効果として表示コントラストの向上がある。入射
光Aは水滴状液晶181で散乱し、画素電極151に入
射する。光吸収膜155が形成されておれば、前記光は
吸収される。光吸収膜155がなければ点線で示すよう
にアレイ基板162に入射し、出射されるから、黒浮き
が生じ、表示コントラストは低下する。
【0161】第2の効果として、隣接画素への光のまわ
りこみの防止がある。入射光Bは水滴状液晶181で反
射し、対向電極88と画素電極151間反射を繰り返
し、隣接画素に入射する(点線で示す)。光吸収膜155
が形成されておれば、光吸収膜155で吸収され隣接画
素へ光が入射することがなくなる。したがって、画素の
にじみが少なくなる。なお、このように光吸収膜を形成
した構造を光吸収膜構造と呼ぶ。
【0162】ここで、後の説明で必要となるので、図3
0と図31を用いてP偏光とS偏光等を定義しておく。
P偏光とは、ダイクロイックミラー314等の光源素子
の平面の法線312と入射光線311の進行方向を含む
面上で振動する光317を言う。なお、前記「光線の進
行方向を含む面」をP偏光面318と呼び、前記面上か
つ前記光線進行方向に垂直な軸をP偏光軸315と呼
ぶ。また、S偏光とは前記P偏光の振動方向313と垂
直な方向に振動する光を言い、前記S偏光が振動する面
をS偏光面と呼び、前記面上かつ前記光線の進行方向に
垂直な軸をS偏光軸と呼ぶ。したがって、P偏光軸とS
偏光軸とは直交する。
【0163】高分子分散液晶でも液晶が配向することに
より偏光依存性が発生する。この偏光依存性が発生する
理由について、図32と図33を用いて説明する。液晶
分子281は分子の長軸方向の屈折率と短軸方向の屈折
率とは異なる。通常正の屈折率を有する液晶分子は長軸
方向の屈折率を異常光屈折率nと呼び、短軸方向の屈
折率を常光屈折率nと呼ぶ。高分子分散液晶は常光屈
折率nとほぼ屈折率の等しいポリマー182材料を用
いる。ポリマー182の屈折率をnとする。図33に
示すようにaa'方向に電界が生じると液晶分子281は
前記電界に沿って配向する。すると、aa'方向の屈折率
分布はポリマーの屈折率n(n=n)と液晶分子の異
常光屈折率nと混在した状態となり、n≠nであ
る。したがって、aa'方向の偏光は散乱する。一方、bb'
方向は、常光屈折率nとnとが混在した状態でるがn
=nであるから、bb'方向の偏光は散乱されずそのま
ま透過する。以上のことから、aa'方向の横電界が発生
し、前記横電界によって液晶分子281が配向するとb
b'方向の偏光は透過し、aa'方向の光は散乱する。つま
り偏光依存性が発生することになる。
【0164】なお、以後に説明するが、図12のように
ライン方向(aa'方向)の画素に同一極性の信号を印加す
れば、隣接する画素間の横電界は上下方向(bb'方向、つ
まり列方向)に発生する。したがって、液晶分子はbb'方
向に配向するから、aa'方向の偏光が透過(光漏れ)しや
すくなる。したがって、前記横電界を抑制しなければ極
めて良好なコントラストを実現できない。そこで、本発
明の表示方法を実施するにあたり、パネル構造にも数々
の対策を施している。この意味で本発明の表示方法と表
示パネルの構造とは一体不可欠の関係にある。
【0165】図34に示すように、画素電極151とソ
ース信号線154間に電位差があると電気力線263
(横電界)が発生し、前記電界に沿って液晶分子281が
配向する。液晶分子281が一方向に配向するため画素
電極151周辺部で光抜けが生じ、また、画素電極15
1と信号線154間は偏光依存性が生じる。
【0166】なお、図35では、説明を容易にするた
め、図34におけるaa'方向の偏光を入射させたとして
説明をする。また、説明を容易にするために、対向電極
の電位を0V(図面ではGと表す)とし、前記対向電極の
電位に対して正極性の電位を+電圧(図面では+と表
す)、前記対向電極の電位に対して負極性の電位を−電
圧(図面では−と表す)ものとする。
【0167】図35において、(a)、(b)、(c)は液晶層
87内の電気力線発生状態を示し、(d)、(e)、(f)は横
軸をアレイ基板162の位置xとし、縦軸に透過率Tと
している。つまり、透過光の分布を概念的に示してい
る。(a)、(b)、(c)は画素電極151に+電圧が印加さ
れ、ソース信号線に−電圧が印加された状態を示してい
る。電気力線は、対向電極88と画素電極151の間
(電気力線263a)および画素電極151とソース信号
線154の間(電気力線263b)に発生する。このよう
に、画素電極151と信号線間に発生する電界を横電界
と呼んでいる。液晶分子281は電気力線の強度(電界
強度)が所定値(液晶の立ち上がり電圧)以上のとき前記
電気力線263に沿って配向する。電気力線263の方
向が対向電極88に垂直の時、前記電気力線に沿って液
晶分子281が配向すれば、液晶層の見掛け上の屈折率
は常光屈折率nとなる。nとポリマー182の屈折率
nがn≒nなる関係があるから、液晶層87は透明
状態となる。一方、電気力線263の方向が対向電極8
8と平行の時、前記電気力線263に沿って液晶分子が
配向すれば、液晶層の見掛け上の屈折率nは(n
n)/2となり、n≠nであるから、液晶層87は散
乱状態となる。
【0168】画素電極151と信号線154間の液晶層
は横電界263により散乱状態となる。画素電極151
の周辺部の電気力線263の方向は対向電極88に対し
て斜めとなっているから、光透過状態となる。このこと
から透過光Tの分布は、(d)で示される。
【0169】図35において、(b)は、画素電極151
の電位がG電位の場合である。この場合、電気力線は信
号線154と画素電極151の間の263bのみが発生
する。このような電位状態が生じるのは、(a)の白表示
部の上下の表示領域の画素である。前記上下の表示領域
画素は黒表示であるから、対向電極88と画素電極15
1間に電位差がない。しかし、ソース信号線154には
白表示部の画素に印加する信号が加わるので、横電界に
より電気力線263bが発生する。したがって、画素周
辺部の液晶層87は半透過状態となり、光抜けが発生す
る。本発明の表示パネルでは、(c)に示すように、遮光
膜155を画素電極周辺部に形成しているので、光抜け
は発生せず良好な黒表示を実現できる。
【0170】実験によれば画素電極周辺部の光抜けは大
きいが、画素電極151と信号線154の間の光抜けは
比較的小さい。したがって、PD液晶表示パネルに偏光
板を配置せずとも遮光膜155の形式のみで実用上十分
な場合が多い。それよりは高輝度表示が要望されること
が多い。
【0171】偏光板を用いる場合は、偏光板の偏光軸は
横電界の発生方向と一致させる。たとえば、ソース信号
線154と画素電極151の間に横電界が発生している
場合は図36のように偏光板331と表示パネル81と
を配置する(偏光軸332はゲート信号線の形成方向)。
図36および図37において、実線矢印は表示パネルの
横電界発生方向、点線矢印は偏光板の偏光軸(偏光方向)
である。偏光板は、図36の(a)のようにPD液晶表示
パネルの光の入射側と出射側の両方に配置してもよく、
また、図36の(b)、(c)のように一方のみでもよい。な
お、コントラスト表示が良好なのは(a)であることは説
明するまでもないが、偏光板331の透過率分だけ表示
輝度が低下する。図36のいずれの方式を採用するか
は、光利用率、コスト、表示コントラストを考慮して決
めればよい。なお、このような偏光板331を用いる構
成を偏光板構造と呼ぶ。
【0172】なお、図36と図37では、偏光板331
を配置したが、本発明の技術的思想は横電界の発生方向
を考慮して、直線偏光を液晶表示パネル81へ入射させ
ることである。その一つの実現手段が偏光板331を用
いることである。その他の方法として図38のように偏
光ビームスプリッタ361を用いる方法がある。入射光
363は偏光ビームスプリッタ361の光分離面362
でP偏光とS偏光に分離される。前記P偏光とS偏光の
うち一方を液晶表示パネル81に入射させるように構成
する。
【0173】図34等では、画素電極151に書き込み
電圧の大きさを考慮せずに対向電極88に対して正極性
を+、負極性を−と表現している。現実にはラスター表
示でもないかぎり、各画素に印加される電圧が同一とい
うことはあり得ない。しかし、隣接した画素電極151
間ではほぼ同じレベルの信号が印加されているため、あ
る任意の画素を中心とし、その近傍の画素には同一のレ
ベルの信号(電圧)が書き込まれていると見なしても差し
支えないことが多い。つまり、隣接画素電極151間で
各画素に印加された電圧の極性が一致しているならば、
前記画素電極151間では横電界は発生しない。逆に各
画素電極151間で電圧の絶対値が等しくともその極性
が異なるならば横電界が発生する。
【0174】もし、ソース信号線154からの電界が発
生せず、隣接した画素電極間のみに発生する横電界で液
晶分子が配向し、光漏れが生じるならば、図12のH反
転駆動の場合は横電界の発生方向はbb'方向である。し
たがって、aa'方向の偏光が透過しやすくなる。そのた
め、図37のように偏光板331を配置すれば、光漏れ
を防止できる。図11のカラム反転駆動の場合は横電界
発生方向は、図12と逆になる。そこで、図36のよう
に偏光板331を配置すればよい。
【0175】本発明の表示方向は、ライン方向に同一極
性を印加するH反転駆動である。したがって、偏光板を
用いる場合は図37のように配置する。この事項は本発
明に重要な事項である。図37の偏光板構造と組み合わ
すことにより、横電界による画素電極151周辺部の光
漏れを完全に防止でき、極めて良好な表示コントラスト
を実現できるからである。以上のように画素電極151
に印加する電圧の極性と、偏光板331の偏光軸332
を考慮するという技術的思想は、前述の偏光板構造にお
いて重要な事項である。
【0176】以上のようにPD液晶表示パネルでは、横
電界が生じる。そのため、画素電極151周辺部から光
漏れが生じる。横電界による光漏れ対策は極めて良好な
表示コントラストを実現するためには重要な事項であ
る。
【0177】その対策の1つが、図25に示す遮光膜2
11を付加した遮光膜構造である。なお、遮光膜155
(光吸収膜と考えてもよい)は画素電極151上に形成す
るとしたが、図39に示すように対向電極88上に形成
してもよい(遮光膜211)。製造上、液晶と樹脂成分を
相分離するときに、遮光膜211は未重合の樹脂成分を
生じさせることになるが、以下の方法で解決することが
できる。
【0178】まず、未重合の樹脂と液晶を画素電極15
1と対向電極88の間に注入した後、A方向から紫外線
を照射する。遮光膜211の下層の樹脂は未重合で残る
ので、次にB方向から紫外線を照射して残りの未重合の
樹脂を硬化させる。遮光膜211上の樹脂はB方向か
ら、ソース信号線154上の樹脂はA方向から硬化させ
ることになる。したがって、液晶層87は完全に液晶と
樹脂成分と相分離できる。
【0179】対向基板161とアレイ基板162との貼
り合わせの位置決めの許容範囲を拡大するためには、図
40に示すように、図39の構造に加えて、画素電極1
51上に遮光膜155を形成する構成がある。この構成
であれば、多少、貼り合わせがずれても画素電極151
周辺部から光抜けが生じることはない。つまり、遮光膜
155と遮光膜211を、A方向からみて貼り合わせ許
容範囲分をオーバーラップさせておけばよい。
【0180】従来のTN液晶表示パネルのようにBMが
形成されなければPD液晶表示パネルでは、ソース信号
線154上の樹脂は未硬化のまま残る。なぜならば、ソ
ース信号線154上の対向電極88上にBMがあるから
である。本発明では、図25または図39に示すよう
に、ソース信号線154上に遮光膜を除去しているか
ら、未硬化の樹脂は生じない。なお、遮光膜155、2
11は先に説明したように光吸収膜構造に置き換えても
よい。
【0181】さらに、図24に示すように、遮光膜23
1は画素電極151と信号線154の間、さらには信号
線154上に形成してもよい。この場合は、遮光膜23
1は絶縁材料では形成しなければならない。絶縁材料と
しては先に光吸収膜構造で例示した配色ブラック、また
はアクリル樹脂にカーボンなどを含有させたもの等を用
いることができることは、説明は要さないであろう。
【0182】遮光膜155、231、211は、ソース
信号線154の周辺または信号線上に形成するとした
が、これに限定するものではない。ゲート信号線153
の周辺または前記ゲート信号線153上に形成すべきで
あることは明らかである。図12のようにH反転駆動を
実施すれば、上下の画素間に横電界が発生し、光抜けが
発生するからである。
【0183】横電界による光抜けを防止する構成とし
て、図41は、ソース信号線154またはゲート信号線
153を低誘電率材料で取り囲む構成を示す。信号線1
54を低誘電体膜241で囲っている。低誘電体とは、
液晶層87の比誘電率よりも低い比誘電率の材料という
意味である。液晶層87を構成するポリマー32の比誘
電率は5前後、液晶の比誘電率は15〜30である。液
晶層24はポリマー182と液晶の混合物であるからそ
の比誘電率は5以上30以下の比誘電率となる。
【0184】低誘電体膜241の材料として、ポリマー
182の同じ材料、SiO、SiN などの無機材料、
または半導体プロセスに用いるレジスト材料が例示され
る。比較的、低誘電体膜241は厚く形成する必要があ
るため、ポリマー182またはレジストなどの有機材料
を用いることが好ましい。このような構成を低誘電体膜
構造と呼ぶ。必要であればゲート信号線153上にも低
誘電体膜241を形成する。
【0185】低誘電体膜は横電界が発生する箇所に形成
する。膜厚は厚い方がよい。PD液晶表示パネルはラビ
ング等の配向処理が必要でないため、低誘電体膜241
によりアレイ基板162等の表面に凹凸が生じても問題
はない。これはTN液晶表示パネルと異なる、PD液晶
表示パネルの大いなる利点である。
【0186】また、好都合なことに前記低誘電体膜24
1に遮光膜155等を用いる色素等を混入させれば、遮
光膜となる。色素等を混入させても比誘電率はほとんど
高くならない。ただし、色素としてカーボンを用いる場
合は多少比誘電率は高くなる。また、低周波数領域で画
素電極151とソース信号線154との容量結合量が高
くなる。しかし、ソース信号線154に通常印加される
周波数帯域では前記容量結合量はほとんど高くならな
い。
【0187】また、図41等に示す本発明の表示装置
を、ライトバルブとして投写型表示装置に用いる場合
は、色素としてカーボンを用いる必要性がない。なぜな
ら、前記投写型表示装置では各ライトバルブは赤(R)、
緑(G)および青(B)の1色のみを変調し、前記1色を吸
収するものであれば遮光膜として機能するからである。
たとえば、変調光が青色の場合は黄色の色素である。
【0188】遮光膜構造に用いる遮光膜は樹脂等の絶縁
物に限定されるものではない。たとえば、ソース信号線
154上に絶縁膜を積層し、前記絶縁膜上に金属からな
る遮光膜を形成してもよい。たとえば、クロム(Cr)、
アルミニウム(Al)からなる薄膜である。六価クロムを
用いれば前記六価クロムは黒色であり、光吸収膜として
も機能する。
【0189】以上のように、本発明の遮光膜構造とは画
素電極周辺部を遮光するという構造であり、その構成
(樹脂または金属薄膜)を問題とするものではない。図2
9に示す光吸収の効果が不要であれば、光を反射して遮
光する構成であってもよい。誘電率が低い材料中は、電
気力線が通過しにくい。したがって、横電界は弱まり、
光抜けは発生しない。
【0190】低誘電体膜241の膜厚は厚いほど横電界
を防止し、光抜けを防止する効果が大きい。したがっ
て、低誘電体膜241は、対向電極88と信号線154
間を完全に充填する構造(図42参照)であってもよい。
また、画素電極151の外周部を大きく被覆する方が光
抜けを防止できる。
【0191】また、図42の構成では低誘電体膜262
が柱(以後、低誘電体柱と呼ぶ)となり、対向電極88と
画素電極151間を一定の距離を保つ手段となる。つま
り、図23で示したような液晶層87膜厚を一定距離に
保つために用いたビーズ233を使用する必要がなくな
る。これは重要な事項である。TN液晶表示パネルでは
ラビング処理が必要であるため、図42に示すような低
誘電体柱262が形成されておれば、ラビング処理の
際、ラビング布が前記柱262に邪魔されて配向処理が
不可能であろう。図42の構成はPD液晶表示パネルで
初めて可能となった構成である。当然のことながら低誘
電体柱262にも色素が混入させて“遮光柱"とするこ
とが望ましい。
【0192】図42に示すように電気力線263bは低
誘電体柱により遮蔽されるため、全く発生しない。した
がって、横電界による光抜けはなくなる。電気力線は画
素電極151と対向電極88に真っ直ぐに発生する(電
気力線263a)。また、低誘電体柱262は液晶層87
の膜厚を規定する機能をも有する。つまり、液晶膜厚を
規定するビーズ233としての役割をはたす。そのた
め、ビーズ233の散布は必要がない。したがって、ビ
ーズ233周辺部の光抜けがなく表示コントラストも良
好である。
【0193】また、対向基板161とアレイ基板とを貼
り合わす際、位置合わせが必要でないという利点をも有
する。低誘電体柱262は対向電極88上に形成してお
くことが好ましい。対向電極88上に他に構成物がな
く、低誘電体柱の形成が容易だからである。なぜなら
ば、アレイ基板162上はTFT等が形成された凹凸が
あるからであり、低誘電体柱の形成が困難であるからで
ある。一方、対向電極88には極めて平滑性が高く、低
誘電体柱の形成が容易である。
【0194】図43は、低誘電体柱262上にBM26
1を形成する構成を示す。この場合、低誘電体柱262
上にBM261を形成する。このように構成することに
より、低誘電体柱262は透明材料であっても、光漏れ
は全く生じなくなる。
【0195】図44は、図41の変形例を示し、ソース
電極154、ゲート電極163および画素電極151の
間を絶縁膜163で絶縁するときに、ソース電極163
の近傍に、低誘電体膜241を形成する。
【0196】図45は、本発明の他の実施形態における
表示装置の平面であり、また、図46は、図45のC−
C'線での断面図であり、図47は図45のD−D'線で
の断面図である。図45に示す実施形態では画素電極1
51とゲート信号線153間に付加容量(コンデンサ)1
71を形成している。付加コンデンサ171はゲート信
号線153上に絶縁膜163を形成し、前記絶縁膜16
3上に画素電極151を重ねることにより形成する。ゲ
ート信号線153はソース信号線154に沿って分枝し
ている。画素電極151はゲート信号線153上を可能
なかぎりシールドするように形成することが好ましい。
【0197】付加コンデンサ171の形成位置はゲート
信号線153および画素電極151周辺部であり、図2
5の遮光膜155と同一位置を中心として形成する。ゲ
ート信号線153は通常金属薄膜で形成されるから、分
枝したゲート信号線は遮光膜155としての機能を有す
るようになる。
【0198】図25の表示装置は前段ゲート方式であ
る。前段ゲート方式はゲート信号線153幅を太く形成
し、前記ゲート信号線153と画素電極151とを重ね
て所定のコンデンサ容量を得る。しかし、ゲート信号線
153幅を太くすれば、画素開口率は低下する。図45
では分枝させたゲート信号線153と画素電極151の
間に電荷を蓄積できるようにしてから、前記電荷分だけ
分枝がない場合に比較して、ゲート信号線幅を細くでき
る。また、分枝したゲート信号線部では遮光膜155の
機能をもたせている。したがって、図25の表示装置の
開口率は、従来の前段ゲート方式の表示装置の開口率と
同等にできる。
【0199】ソース信号線154と画素電極151の間
の横電界による画素周辺部からの光抜けは、分枝したゲ
ート信号線153で防止できる。つまり、図25におい
て、遮光膜155をゲート信号線153に置き換えて考
えればよい。
【0200】ソース信号線154またはゲート信号線1
53に一定の信号が印加されている場合には前記信号に
よる電圧により、画素電極151と信号線間に電気力線
(横電界)が発生する。横電界により液晶が配向した偏光
依存性が生じる。そのため、画素電極151周辺部に光
抜けが生じる。これを防止するには、信号線154等
を、図24に示す低誘電体膜により被覆することが好ま
しい。しかし、前記信号線等からの電気力線を完全にシ
ールドしても、今度は隣接画素電極151間に発生する
電気力線により横電界が生じる。この横電界を防止する
には、図42の低誘電体柱262を形成する構成が有効
である。また、偏光板331等を用いる方法も有効であ
る。
【0201】本発明の映像表示方法においては画素10
1に印加する電圧極性は図12のごとくなる。したがっ
て、隣接画素電極間の横電界の発生方向はbb'方向であ
る。偏光板331を用いる場合は、偏光軸332は図3
7に示すようにbb'方向にする必要がある。ソース信号
線154からの電気力線は低誘電体膜241、低誘電体
柱262を用いて完全にシールドする、または遮光膜1
55もしくは231により光漏れが生じないようにす
る。
【0202】本発明の映像表示方法および前記映像表示
方法を採用した表示装置において、図12に示すように
画素電極101に所定の極性の電圧を印加するとした
が、以下に示す駆動方式も採用することが好ましい。液
晶層87は厚いほど散乱特性が良好になる。したがっ
て、表示コントラストは高くなる。しかし、液晶層87
と透過させるのに高い電圧を必要とする。図12の方法
を用いれば、液晶層87により高い電圧を有効に印加で
きるようになる。
【0203】まず、対向電極88の電位は水平走査期間
(H)(1Hまたは2H)ごとに極性を反転すべきである
(図48の(a))。対向電極88の電位をG電位を中心
として、±V1+電位を4水平走査期間(4H)周期で印
加する。4Hとしたのは、図12で示すように2ライン
ごとに同一極性の電圧を印加するからである。一方、図
49に示す前段ゲート方式(ゲート信号線153と画素
電極151間でコンデンサを形成し、付加容量171を
構成する方式)ではゲート信号線153も4H周期でG
電位を中心として±V2+電圧を印加する。なお、ゲ
ート信号線にはTFT86をオンさせる電圧、オフさせ
る電圧を印加する説明が容易にするためここでは考慮し
ない。このように駆動する方式をフローティングゲート
方式と呼ぶ。
【0204】図50は、フローティングゲート方式の説
明図である。対向電極88には駆動手段821により4
H周期の矩形波801を印加する。一方、ゲート信号線
153には駆動手段822により4H周期の矩形波80
2を印加する。また、液晶層87のコンデンサ容量をC
とし、付加コンデンサ171の容量をCとする。さ
らに説明を容易にするため、C<<Cなる関係があ
る。TN液晶の場合、液晶層のコンデンサ容量Cは比
較的大きい。しかし、PD液晶の場合は液晶層のコンデ
ンサ容量Cは付加コンデンサの容量Cに比較して十
分小さい場合が多い。これはPD液晶の比誘電率が低
く、かつ、液晶層87の膜厚が8μm以上と厚いためで
ある。TFT86はスイッチとみなし、ゲート信号線に
印加した電圧波形は画素電極151にほぼ減衰なく出力
されるとする。なぜならば、C<<Cなる関係があ
るからである。また、説明を容易にするため、V=4
Vとし、V=4Vとする。また、ソースドライブ回路
33から出力する映像信号電圧Vsは映像信号により変
化するが、ここではVs=±6Vと一定として説明す
る。
【0205】図50の(a)において、対向電極88にV
1+=4Vが印加され、その時ゲート信号線V2+=+
4Vを印加する。(オフ電圧のレベルは説明上考慮して
いない)。この時にTFT86により画素電極151
に、たとえばVs=6Vの電圧(これは、ソースドライブ
回路33からの映像信号である)を印加する。すると、
液晶層87には+4V−(−6V)=10Vの電圧が印加
される。これが、図48の(a)の期間である。次に、図
80の(b)の期間では、図50の(b)のように対向電
極88にV1+=4Vが印加され、その時、ゲート信号
線V2−=−4Vを印加する。対向電極88およびゲー
ト信号線電位Vは全ての画素に対して共通の電極であ
るから、前記電圧VがV2−、VがV1−と変化す
ることにより、図50の(a)で印加した電圧−6Vは、−
6V+V2−=−6V+(−4V)=−10Vと変化す
る。しかし、液晶層87に印加されている電圧は10V
と変化しない。図50の(b)では画素電極151に+6
Vの電圧を印加する。したがって、液晶層87には−4
V−(−6V)=−10V、つまり10Vの電圧が印加さ
れる。
【0206】以上のように、液晶層にはたえずソースド
ライブ回路からの電圧VsとVまたはVの電圧が加
えられた電圧が印加されることになる。このように4H
周期で対向電極88の電圧を変化させる方式は本発明の
特徴である。特に、PD液晶表示パネルの場合は液晶層
88のコンデンサ容量Cが小さく、好都合である。な
ぜならばCがCに比較して一定以上大きければ、V
を変化させても画素電極151には電圧が印加されに
くくなるからである。
【0207】以上の説明は、前段ゲート方式の構造に対
する駆動方式の説明である。他に図51に示す共通電極
方式にも適用できる。共通電極方式は別レイヤーに形成
した共通電極831と画素電極151とで付加コンデン
サ171aを形成する構造である。前記共通電極方式で
は、共通電極831を、図50のゲート信号線153に
置き換えれば先のフローティングゲート方式の駆動方法
を実現できる。つまり、駆動手段822を共通電極83
1に接続したとして考えればよい。他の事項は、図48
および図50を用いて説明したので省略する。
【0208】共通電極方式では、共通電極831を別レ
イヤーに形成する必要があり、アレイ形成プロセスにお
いてマスク数が増大するという欠点がある。しかし、ゲ
ート信号線153を付加コンデンサ171の一方の電極
とする必要がない。そのため、付加コンデンサ容量設計
の自由度が高くなる。また、一般に画素開口率も高くな
るという利点がある。特にドライブ回路33の回路構成
が簡単である。そのため、本発明の表示装置のようにド
ライブ回路33等をポリシリコン(特に低温ポリシリコ
ン)技術で形成する際に採用することが好ましい。
【0209】本発明の表示装置を投写型表示装置のライ
トバルブとして用いる際に、以下の課題が発生すること
がある。それは、液晶表示パネル裏面の金属薄膜での反
射によるゴーストまたは表示コントラスト低下である。
【0210】図52に示すように、入射光451は液晶
層87の水滴状液晶181により散乱される。散乱した
光452は透過光454aとなるが、その一部は反射光
453aとなる。前記反射光453aはソース信号線15
4等の金属薄膜で反射され、薄膜453aとなり、さら
に透過光454bとなる。透過光454bはスクリーンに
投映されるとゴーストとなる。また、投写レンズ等で乱
反射し、表示コントラストを低下させる。
【0211】PD液晶表示パネルは入射光を液晶87で
散乱することにより光変調を行う。そのため、界面45
5に臨界角以上で入射する光が多い。前記臨界角以上の
光は全反射される。そのため、界面で反射しソース信号
線154またはゲート信号線153等の金属薄膜面に入
射する光の割合がTN液晶表示パネル等と比較して大き
い。したがって、前記ゴーストの発生原因を除去するこ
とが重要となる。なお、画素開口率が50%とすると開
口以外の箇所のほとんどは金属薄膜で形成されていると
考えてよい。
【0212】前記ゴーストに対する第1の対策として、
本発明の液晶表示装置では、パネルと空気との界面45
5に反射防止膜を形成している。反射防止膜は3層また
は2層の薄膜の積層で形成する。なお、3層の場合は広
い可視光の波長帯域での反射を防止するために用いら
れ、これをマルチコートと呼ぶものとする。2層の場合
は特定の可視光の波長帯域での反射を防止するために用
いられ、これをVコートと呼ぶものとする。
【0213】マルチコートの場合は、酸化アルミニウム
(Al)を光学的膜厚がnd=λ/4、ジルコニウム
(ZrO)をnd=λ/2、フッ化マグネシウム(MgF)
をnd=λ/4積層して形成する。通常、G光の場合、λ
として520nmまたはその近傍の値として薄膜は形成さ
れる。Vコートの場合は一酸化シリコン(SiO)を光学
的膜厚nd=λ/4、フッ化マグネシウム(MgF)をnd
=λ/4、または酸化イットリウム(Y)とフッ化
マグネシウム(MgF)をnd=λ/4積層して形成す
る。SiOは青色側に吸収帯域があるため、青色光を変
調する場合はYを用いた方がよい。物質の安定性
からもYの方が安定しているため好ましい。な
お、ここで言うλとは変調する光のピーク波長つまり中
心波長である。nは薄膜の屈折率、dは物理的膜厚であ
る。
【0214】しかし、マルチコートまたはVコートの反
射防止膜では十分とは言えない。なぜならば、界面45
5に臨界角以上で入射する光が、界面455で反射する
のを防止できないからである。そのため、第2の対策と
して、図53または図54の構成を採用することが好ま
しい。
【0215】図53は、金属薄膜(ソース信号線154
等)に凹凸を形成した構成を示し、このような構成を凸
構造と呼ぶ。また、図55は、図53のEE'線での断
面図である。アレイ基板162に金属薄膜が形成される
位置にはまず、凸部411が形成される。凸部411の
形成材料としてはSiO、SiNxなどの無機材料等が
例示される。前記凸部411上に位置合わせしてソース
信号線154等の金属薄膜が形成される。なお、凸部4
11は周期的に形成し、回折効果をもたせてもよい。界
面455で反射し、ソース信号線154も戻った光45
3aは、凸部411により進行方向が変化する。したが
って、透過光453bが発生せずゴースト等が生じな
い。
【0216】また、図54の表示装置は、アレイ基板1
62上に遮光膜431を形成し、前記遮光膜431上に
ソース信号線154等を形成する。なお、このような構
成を下層遮光膜構造と呼ぶ。また、遮光膜431は光吸
収膜構造とすることが好ましいことは言うまでもない。
【0217】遮光膜431の構成材料としては六価クロ
ムなどの金属材料の他、図25の遮光膜155または図
24の遮光膜231の形成材料等が例示される。遮光膜
431上に絶縁膜432が形成され、前記絶縁膜432
上にソース信号線154および画素電極151の周辺部
が重ねられている。画素電極151の下層部の遮光膜4
31は、図15の遮光膜155に対応する。
【0218】図54の構成では、画素電極151と信号
線154間の下層にも遮光膜431が形成されているか
ら、画素電極151と信号線154間から光漏れが生じ
ることがない。また、遮光膜431で反射光453aを
吸収できるため、ゴースト等が発生しない。
【0219】TFT86においても、反射光453aに
対する対策が重要である。TFT86の半導体層に光が
入射するとホトコンダクタ現象(TFTのオフ特性が悪
くなる現象)が発生する。ホトコンダクタ現象が生じる
と、画素電極151に印加した電界を1フレーム期間保
持できなくなり、白表示の輝度が低下して表示コントラ
ストが悪くなる。
【0220】前記反射光453aによるホトコンダクタ
現象の発生を防止するため、本発明の表示パネルにおい
ては、図56に示すように、TFT86の半導体層44
5の下層に遮光膜431を形成している。したがって、
反射光453aは前記遮光膜431で吸収されたホトコ
ンダクタ現象の発生を防止できる。なお、TTF86
は、ゲート電極444、ドレイン電極442、ソース電
極443、SiN層441、半導体層445からな
る。
【0221】TN液晶表示パネルは、90度ねじれて液
晶分子が配向し、かつ光が前ねじれ方向に沿って偏光方
向を回転させることにより入射光を変調する。したがっ
て、光を散乱させることがない。そのため、界面455
で反射する光は少ない。しかし、PD液晶表示パネル
は、図23で説明したように、入射光を散乱させること
により変調する。したがって、界面455で反射する光
が大きくなる。そのため図53〜図56に示す構成を採
用する意義は大きい。高分子分散液晶表示パネルに特有
の構成と考えることができる。
【0222】ある特定の波長の光に対して、PD液晶の
散乱特性が最適となる水滴状液晶の平均粒子径、ポリマ
ーネットワークの平均孔径がある。一般的に光の波長が
長い(赤色光)ほど、水滴状液晶の平均粒子径等は大きく
する。逆に光の波長が短い(青色光)ほど、水滴状液晶の
平均粒子径等は小さくする方が散乱特性は向上する。し
たがって、赤色光を変調する表示パネルの平均粒子径等
は青色光を変調する表示パネルの平均粒子径等よりも大
きくする方が好ましい。平均粒子径を変化させるには、
混合溶液を注入後、紫外線を照射する際に、前記紫外線
の強度を可変することにより行える。短時間に強い紫外
線を照射すると水滴状液晶の平均粒子径等は小さくな
る。逆に長時間に弱い紫外線を照射すると水滴状液晶の
平均粒子径は大きくなる。
【0223】本発明の投写型表示装置は、主として赤
色、青色および緑色の変調用の3枚の本発明の表示パネ
ルをライトバルブとして用いる。前記表示パネルは、先
に説明したように、混合溶液の樹脂成分を重合させる
際、紫外線の照射強度を変化させて、各変調する光の波
長に対して最適な平均粒子径または平均孔径としてい
る。
【0224】問題となるのは、一つの表示パネルで赤
色、青色および緑色の3色を変調する場合である。具体
的には画素に対応したモザイク状のカラーフィルタを具
備する場合である。画素電極ごとに最適な平均粒子径等
にしないと良好な表示コントラストは望めない。したが
って、一律に紫外線を照射して混合溶液の樹脂成分を重
合させることは困難である。
【0225】図57に示す構成は、この課題を解決す
る。画素電極151上にはカラーフィルタ471が配置
されている。なお、説明を容易にするため、透過型表示
パネルではカラーフィルタ471aは赤色、471bは緑
色、471cは青色として説明をする。対向電極88上
には誘電体薄膜472がパターニングされて形成されて
いる。前記薄膜472の形成は画素電極151の形状と
略一致させる。なお、誘電体薄膜472は紫外線吸収手
段として用いるので、誘電体薄膜に限定するものではな
い。たとえばITOを厚く形成し、紫外線吸収手段とし
て用いてもよい。もちろん誘電体薄膜にはTiOなど
の無機材料、ポリイミド、PVA等の有機材料をも含
む。
【0226】誘電体薄膜472の形状材料としてTiO
またはSiOが例示される。TiO の屈折率nは2.
3、SiOの屈折率nは1.7である。両材料は紫外線領
域の波長の光を吸収し、可視光を透過する。ただし、吸
収する波長帯域および吸収率は蒸着条件により変化する
ので、実験を繰り返して設定をする必要がある。一例と
して実験によれば、TiOの場合、前記膜の物理的膜
厚が0.075μmの時、光吸収率は350nmの波長の
光に対して40%、360nmでは37%、370nmでは
30%、380nmでは16%であり、可視光ではほとん
ど吸収がなかった。SiOは多少可視光を吸収する場合
があるので、この意味からTiOの方が好ましい。
【0227】赤色のフィルタ471a上の誘電体薄膜4
72aは最も厚く、緑色のフィルタ471b上の誘電体薄
膜472bはそれよりも薄く、青色のフィルタ471c上
には誘電体薄膜を形成しない。したがって、混合溶液を
重合させる際、A方向から紫外線を照射すれば、液晶層
87cに入射する紫外線強度が最も強く、次に液晶87b
となり、液晶87aは最も弱くなる。紫外線が弱いほど
水滴状液晶181は平均粒子径は大きくなる。これはポ
リマーネットワークの平均孔径が大きくなるのと同じで
ある。つまり、PD液晶としては水滴状液晶を有するも
のに限定したものではない。
【0228】以上の誘電体薄膜472の紫外線の吸収率
の差異により、液晶層87の水滴状液晶181の平均粒
子径は 液晶層87a>液晶層87b>液晶層87c となる。液晶層87の平均粒子径に対する最適に散乱す
る変調する光の波長とはほぼ比例の関係にある。図57
のようにカラーフィルタの光に対して、最適な平均粒子
径にすることにより良好な表示コントラストが得られ
る。
【0229】なお、ポリマーネットワークの平均粒子径
または水滴状液晶の平均粒子径は、変調する光が赤色光
の場合は1.2〜1.6μm、緑色光の場合は1.0〜
1.4μm、青色光の場合は0.8〜1.2μmにすると
表示コントラストは良好である。これらの平均粒子径に
制御するのは誘電体薄膜472の膜厚により行い、ま
た、十分な実験を行ったのちに膜厚を決定する。なお、
以上のように、誘電体薄膜472等で画素ごとに水滴状
液晶の平均粒子径等を変化させた構成を粒子径変化構造
と呼ぶ。
【0230】図57ではソース信号線154等上には低
誘電体膜231を形成したが、その他、図42に示すよ
うに低誘電体柱562としてもよい。遮光柱261とし
てもよいことは言うまでもない。その他、図24に示す
光吸収膜構造および絶縁膜232の採用、図36に示す
ように偏光板331を用いる偏光板構造、図53に示す
凸構造、図54に示す遮光膜構造、図56に示すTFT
遮光構造を随時採用すれば、各構造に伴う効果を享有で
きることは言うまでもない。なお、これらの構成、構造
は以後に説明する反射型の表示装置にも採用する。
【0231】なお、図57等では低誘電体膜231を形
成することにより横電界を防止する構成であるが、図5
8のように、カラーフィルタ471でソース信号線15
4等を被覆し、電磁シールドを行ってもよい。カラーフ
ィルタ471を形成する際にソース信号線154等を同
時に被覆するだけであるから製造上も容易である。カラ
ーフィルタは樹脂材料であり比較的比誘電率が低く、低
誘電体膜231と同様の効果をもたせることができる。
【0232】紫外線を混合溶液に照射する際、極端に強
い光を照射すると、水滴状液晶の平均粒子径は非常に小
さくなる。極端に小さくなると、電圧を印加しても透過
状態とならなくなる。たとえば平均粒子径は0.6μm
以下となると透過状態となる電圧は10Vに近くなる。
【0233】画素電極154上の液晶層は通常6V以下
の電圧で透過状態となるようにしている。10Vで透過
状態となる仕様であれば6Vでは散乱状態である。散乱
状態では黒表示である。したがって、疑似的にBMがあ
るのと同様の作用が得られる。
【0234】図59に示す構造では、以上のようにソー
ス信号線154等の液晶層87を常時散乱状態にし、前
記疑似的にBMとする。ソース信号線154と相対する
対向電極88上には誘電体薄膜472は形成せず、画素
電極151に相対する対向電極88上に誘電体薄膜47
2を形成している。赤色のカラーフィルタ471aに相
対する誘電体薄膜472aが最も厚く、緑色のカラーフ
ィルタ471bに相対する誘電体薄膜472bが次に薄
く、青色のカラーフィルタ471cに相対する誘電体薄
膜472cが最も薄い。したがって、紫外線を照射する
際、液晶層87に入射する紫外線のエネルギーは 液晶層87a<液晶層87b<液晶層87c<液晶層87d にする。この紫外線のエネルギーの差異により、液晶層
の水滴状液晶等の平均粒子径等の大きさは 液晶層87a>液晶層87b>液晶層87c>液晶層87d となる。この際、液晶層87a、87b、87cは電圧6
Vで透明状態となるようにし、液晶層87dは10V近
くでないと透過状態とならないようにする。このよう
に、画素電極以外の箇所の液晶層87dを、電圧に対し
応答しないようにした構成を疑似BM構造と呼ぶ。
【0235】以上のように、図59のごとくソース信号
線およびゲート信号線上等の水滴状液晶の平均粒子径等
を非常に小さくすれば電圧印加に対して応答しなくな
る。ソース信号線154上等に低誘電体柱262を形成
したのと同様の効果が得られる。つまり、平均粒子径が
非常に小さければ、横電界に対しても応答しない。した
がって、画素周辺部等からの光抜けがなくなる。また、
常時散乱状態であるから、BMを形成したのと同様の効
果が得られる。当然のことながら、図59のように低誘
電体柱262を形成してもよい。
【0236】なお、図57から図60の構成において、
画素電極151上にカラーフィルタ471を形成し、対
向電極88上に誘電体薄膜472を形成するとしたが、
逆に、画素電極151上または画素電極151の下層に
誘電体薄膜472を形成し、対向電極88上またはその
下層にカラーフィルタ471を形成する構成でもよいこ
とは言うまでもない。その場合は、混合溶液の樹脂成分
を重合させる際に、紫外線は図47のB方向より照射す
ればよい。
【0237】以下、本発明の反射型の表示装置の実施形
態について説明する。なお、説明は透過型と異なる事項
を中心として説明をする。したがって、以前に説明した
透過型の構成は、適用される。図61は、本発明の反射
型の液晶表示装置の構成図である。対向基板161とし
てのガラス基板の厚みは0.6〜1.1mmのものを用い
ている。アレイ基板161上にはTFT86等が形成さ
れている。TFT86上には絶縁膜374を介して反射
電極372が形成されている。反射電極372とTFT
86とは接続端子373で電気的に接続されている。絶
縁膜374の材料としてはポリイミド等を代表とする有
機材料、またはSiO、SiNxなどの無機材料が用い
られる。反射電極372は表面をAlの薄膜で形成され
る。Cr等を用いて形成してもよいが、反射率がAlより
低く、また硬質のため反射電極372周辺部の破れなど
が生じやすい。
【0238】接続端子部373は0.5〜1μmの落ち
くぼみができるが、PD液晶87の配向などの処理が不
要なため問題とはならない。開口率は画素サイズが10
0μm角の場合80%以上、50μm角の場合でも70%
以上の開口率が得られる。ただし、TFT86上等は凹
凸が生じ、多少反射効率は低下する。この凹凸をなくす
るためには反射電極372の表面を研磨すればよい。研
磨により反射率は90%以上を達成できる。
【0239】ソース信号線154およびゲート信号線1
53も図示していないが、アレイ基板162に上に形成
されている。前記信号線およびTFT86上は反射電極
372が被覆する構造となるため、信号線およびTFT
86から発生する電界により液晶87が配向動作し、画
像ノイズが発生するということがない。
【0240】透過型表示パネルでは、横電界の発生は信
号線と画素電極151間での発生を主としていた。反射
型の表示パネルでは信号線154等は反射電極372の
下層に形成されるため、信号線154と反射電極372
間での横電界の発生はほとんどない。しかし、隣接画素
間で横電界が発生する。すなわち、図62に示すよう
に、反射電極372dが正極性、反射電極372b、37
2c、372eに負極性の電圧が印加されていると、反射
電極372bと372d間に電気力線(横電界)263が発
生する。液晶分子281は前記横電界263に沿って配
向する。なお、反射電極372bと372e間には横電界
が発生しない。前記反射電極は同極性だからである。
【0241】図62に示すように液晶分子281の長軸
が横電界263の方向に並べば、bb'方向の偏光は透過
し、aa'方向の偏光に対しては散乱するようになる。偏
光板を用いて横電界による光漏れを防止するには偏光板
331の偏光軸332をaa'方向にすればよい。
【0242】ただし、反射型の液晶表示パネルでは透過
型の液晶表示パネルのような光が画素電極の周辺部を透
過する現象は生じない。反射型では反射電極の周辺部の
液晶が映像表示では関係のない表示(以後、画像ノイズ
と呼ぶ)する現象として表われる。つまり、横電界26
3により液晶層が透過状態となり、前記透過部に入射し
た光が反射電極で反射されスクリーンに投映されてしま
う。
【0243】画素電極間に発生する横電界をさらに防止
するためには、低誘電体膜231を反射電極372間に
形成すればよい。低誘電体膜厚231は反射電極と反射
電極の間、および反射電極周辺部に形成する。低誘電体
膜231の形成材料および効果等は図42等で説明をし
たので省略する。また、低誘電体膜231を着色すれ
ば、液晶層87間のハレーションを防止できることは図
29を用いてすでに説明をした。さらに、低誘電体膜2
31は図63に示すように遮光柱262としてもよい。
【0244】図63は、反射型のPD液晶表示パネルで
粒子径変化構造を採用したものである。図60等に示す
透過型表示パネルの構造を反射型に採用した構造である
から特に説明を要しないであろう。紫外線の照射はA方
向から行えばよい。対向電極371bの両面に誘電体多
層膜371a、371bを積層し、反射防止膜371とす
る。反射防止膜371は、対向基板161側から順に第
1の誘電体薄膜371a、対向電極であるITO薄膜3
71b、第2の誘電体薄膜371cで構成される3層構成
である。対向電極371bとなるITO薄膜の前後に透
明誘電体薄膜371a、371cを形成して3層構成をと
り、反射防止機能をもたせている。ITO薄膜371b
の光学的膜厚(nd)はλ/2、第1の薄膜371aおよび
第2の薄膜371cの光学的膜厚はそれぞれλ/4であ
る。ただし、nは屈折率、dは物理的膜厚、λは光の波長
である。
【0245】図61等に示す液晶表示パネル81では、
反射電極372の下層にTFT86を形成している。つ
まり、反射電極372はPD液晶層87で散乱した入射
光がTFT86の半導体層に入射することを防止する遮
光膜(BM)の機能と、液晶層87に電圧を印加する電極
としての機能とを合わせもっている。反射電極372は
金属材料で形成され、遮光効果も十分であり、また、構
造も簡単であるため、低コスト化を実現できる。
【0246】反射電極372とTFT86とは接続部3
73で電気的に接続をとる。接続をとるためには絶縁膜
374の膜厚以上に金属薄膜(反射電極)372を蒸着す
る必要がある。絶縁膜374の膜厚は1μm程度であ
る。そのため、接続部373に1μmの段差が生じる。
また、反射電極372の膜厚も1μmとなるため、隣接
した反射電極間には1μmの谷間が生じる。PD液晶表
示パネルは、ラビングが必要でないため、前記段差があ
ってもなんら障害はなく、高い製造歩留で液晶表示パネ
ルを製造できる。
【0247】接続端子部373には1μmの段差が生じ
る。また、TFT86の形状が反射電極372にパター
ニングされ、1μm程度の凹凸が生じる。PD液晶表示
パネルは、散乱状態の変化として光変調を行う。したが
って、前記段差およびTFT86の凹凸による液晶膜厚
の1μm程度変化は、ほとんど光変調に影響を与えな
い。TN液晶等のように施光特性を光変調に応用する表
示パネルでは前記凹凸は光変調に致命傷となるであろ
う。また、PD液晶表示パネルの液晶膜厚は8μm以上
と厚いことも液晶層87の膜厚むらに対して、よい方向
に作用する。
【0248】第1の薄膜および第2の薄膜の屈折率は
1.60以上1.80以下が望ましい。一例としてSi
O、Al、Y、MgO、CeF、WO
PbFが例示される。また、中でも、第1の薄膜をSi
Oに、第2の薄膜をYにした場合、可視光領域全
般にわたり0.1%以下の極めてすぐれた反射防止効果
を実現できる。
【0249】なお、反射防止膜371は、第1および第
2の誘電体薄膜の光学的膜厚をλ/4、ITO薄膜の光
学的膜厚をλ/2としたが、第1および第2の誘電体薄
膜の光学的膜厚をλ/4、ITO薄膜の光学的膜厚をλ
/4としてもよい。
【0250】さらに、反射防止膜の理論で述べれば、N
を1以上の奇数、Mを1以上の整数としたとき、第1お
よび第2の誘電体薄膜の光学的膜厚は(N・λ)/4、I
TO薄膜の光学的膜厚は(N・λ)/4であればよい。ま
たは、第1および第2の誘電体薄膜の光学的膜厚は(N
・λ)/4、ITO薄膜の光学的膜厚は(M・λ)/2で
あればよい。
【0251】さらには、第1および第2の誘電体薄膜の
うち一方は省略することができる。その場合は、多少反
射防止としての性能は低下するが、実用上は十分である
ことが多い。この場合も、先の反射防止の理論を適用す
ることができる。
【0252】反射防止膜371の形成により液晶層87
に入射せずに、反射する光を防止できるから、表示コン
トラストを大幅に向上できる。なお、さらに詳しくは特
願平5−109232号に記載している。これらの反射
防止膜371の構成等については前記公報の記載が本明
細書にも適用される。
【0253】反射型の表示パネルは、透過型の表示パネ
ルに比較して、薄い液晶87膜厚でコントラストも良好
であり、画素開口率も高いので高輝度表示を行うことが
できる。その上、表示パネルの裏面には障害物がないの
でパネル冷却が容易である。たとえば、裏面からの強制
空冷、液冷を容易に行え、また、図64に示すように裏
面にヒートシンク381等も取り付けることができる。
ヒートシンク381はシリコン等の接着剤282で表示
パネル81に貼り付けて用いる。
【0254】本発明の表示装置において、図55に示す
凸構造または図54に示す下層遮光膜構造により界面4
55で反射した光を散乱または吸収し、ゴースト等を防
止する。表示パネル81の光入出射面に凹レンズまたは
透明基板(以後、総称して透明部材と呼ぶ)を貼り付けた
構成(以後、透明部材構造と呼ぶ)をとることにより、前
記ゴースト等を防止でき、さらに表示コントラストを向
上できる。なお、透明部材構造は単独で用いることによ
り表示コントラスト等を向上できる特有の効果を発揮で
き、また、下層遮光膜構造、凸構造と組み合わせること
によりさらに効果は大きくなる。以下、透明部材構造に
ついて説明する。
【0255】図65は、本発明の表示パネルに透明部材
等を貼り付けた構成である。表示パネルの表面には透明
基板391を貼り付けている。透明基板391は表示パ
ネルの表面に光結合層392を介して貼り付けている。
透明基板391の表面には空気との界面で反射する光を
防止するための反射防止膜(図示せず)が形成されてい
る。たとえば、前述のVコートである。
【0256】光結合層としては紫外線硬化型接着剤が例
示される。前記接着剤は表示パネルを構成するガラス基
板の屈折率に近いものが多く、光結合剤の用途として適
する。また、紫外線硬化型接着剤だけに限定されるもの
ではなく、透明シリコーン樹脂なども用いることができ
る。他にエポキシ系透明接着剤、エチレングリコール等
の液体等も用いることができる。留意すべき点は表示パ
ネルの対向基板161等との間に空気が混入しないよう
にすることである。空気があると屈折率差により画質異
常が生じる。
【0257】透明基板391はガラスまたはアクリル樹
脂のような透明物質で形成され、有効表示領域以外の部
分である非表示領域(無効面と呼ぶ)には、黒色塗料等に
より光吸収膜(図示せず)が形成されている。
【0258】透明基板391を表示パネルに貼り付ける
ことにより表示コントラスト等を向上できる理由につい
ては特開平4−145277号公報に詳しく記載してい
るのでここでは説明を省略する。なお、前記公報に記載
された事項はすべて本明細書に適用される。
【0259】本発明の表示パネルに透明部材を貼り付け
た構成は数々考えられる。たとえば、前記公報の図13
に示すように、表示パネルに凹レンズ112に貼り付け
た構成、凹レンズ112を貼り付け、さらに凹レンズの
凹部に凸レンズをわずかな空気層を介して配置した構
成、または、透明基板111がある。これらの事項も前
記公報に記載されている。
【0260】図66に示すように、透明基板または凹レ
ンズを表示パネルに貼り付けることにより液晶層87で
散乱した光が界面455で反射し、再び液晶層87で散
乱(2次散乱または2次光源)が生じることがないため、
表示コントラストを向上できる。界面455で反射した
光が再び液晶層87に戻ってくることがなくなるという
ことは、ソース信号線154等で反射する光453bも
無くなることを意見する。つまり、図46に示すよう
に、入射光451は液晶層87で散乱し、散乱光452
となるが、前記光は凹レンズ391の界面455で反射
し、すべて凹レンズの無効領域に形成された光吸収膜に
入射し、吸収されてしまうのである。
【0261】表示パネルに偏光板331を貼り付ける場
合は、図65に示すように、透明基板391と対向基板
161間に挾持させるとよい。透明部材391と空気と
接する面に偏光板331を貼り付けてもよいが、通常、
偏光板331は樹脂フィルムであるため、反射防止膜を
樹脂フィルム面に形成することは難しい。反射防止膜が
なければ、界面455で反射する光が増加し、光損失が
生じる。図65のように透明部材391と対向基板間に
挾持させれば、偏光板331では光の反射は生じず、か
つ透明部材391の界面に反射防止膜を形成できて光利
用率の向上が望める。なお、偏光板331の偏光軸33
2は、図36等で説明したように、横電界の発生方向を
考慮して設定をする。
【0262】透明部材構造は、反射型の本発明の表示パ
ネルにも適用できる。図67はその構成図である。透明
部材391aの表面には3層のマルチコートの反射防止
膜401を形成している。もちろん図68に示すよう
に、Vコート401でもよい。
【0263】透明部板(透明基板、凹レンズ)は、ガラ
ス、アクリル等の固体物に限定されるものではない。た
とえば、立方体の容器等にエチレングリコール等の液体
を充たしたものを含む。液体は流動性があるため、液晶
パネルの熱をうばい、液晶パネルを冷却する効果があ
る。つまり2次散乱光の制御だけでなく光で加熱された
液晶パネルを冷却する機能を透明部材は有する。
【0264】反射型の表示パネルの構成も、図65と同
様に数々の変形が考えられる。たとえば、図67に示す
ように反射型の表示パネルの対向基板161に透明基板
391を貼り付けた構成、または透明基板の代わりに凹
レンズを貼り付けた構成、または対向基板161を十分
厚く(対向基板の厚さ+透明基板391の厚さ)した構成
である。これらの効果も、先の図65に示す透過型の表
示パネルの効果と同様である。また、図68のように偏
光板331を対向基板161と透明部材391の間に挾
持させてもよい。
【0265】図61に示す反射型の表示装置は金属薄膜
372を採用する構成であった。しかし、反射型として
は、図69および図70に例示されるタイプも考えられ
る。
【0266】図69は、図25の構成で画素電極151
の下に光吸収膜771を配置した構成である。光吸収膜
771としては黒色の染料を含有した樹脂が例示され
る。その他、六価クロム等の黒色の金属材料が例示され
る。しかし、作製の容易さ、配色選定の容易さを考慮す
れば樹脂からなる光吸収膜を採用することが望ましい。
【0267】光吸収膜771は画素形状に対応してパタ
ーニングされている。全画素に共通して(一体として)形
成されているのではない。この理由はTFTアレイの製
造プロセスの制約に起因する。まず、基板162上にT
FT86および信号線154などが形成される。次に、
光吸収膜771がスピンナーなどで塗布され、その後、
画素形状に対応してパターニングされる。最後に画素電
極151になるITOが蒸着されて前記ITOがパター
ニングされた画素電極151となる。
【0268】TFT86などを構成する金属薄膜の蒸着
には、比較的高温度に基板161を加熱する必要があ
る。前記温度では光吸収膜771の樹脂は劣化または変
化する。したがって、光吸収膜771の形成後、TFT
86を形成することはできない。そこで、TFT86の
形成後、光吸収膜771を形成する。かつ、TFT86
と画素電極151とを接続するための穴あけ(パターニ
ング)をする。なお、図面では図示していないが、信号
線154などの上には光吸収膜771を形成している。
前記光吸収膜771を低誘電体膜241または光吸収膜
231として機能させ、信号線と画素電極間の横電界を
防止するためである。
【0269】A方向から画素電極151をみると、液晶
層87が散乱状態の時、白色(散乱)にみえる。液晶層8
7が光透過状態の時は黒色の光吸収膜771を見ること
ができる。つまり、TFT86により画素ごとに光透過
率が制御され、白黒の画像または文字等を表示できる。
図69の反射型の構成は光源等を用いず、直射光または
蛍光灯等の人工光の照明下で文字、図形等を表示するこ
とができる。したがって、低消費電力化を実現でき、ポ
ケットコンピュータ等にモニタ用として適する。もちろ
ん光吸収膜771を赤色光、緑色光、青色光を反射する
ものを採用すればフルカラー表示も行える。これは、P
D液晶を採用してこそ実現できる事項である。TN液晶
では偏光板を用いる必要があり、実用上十分な表示輝度
を得られないからである。なお、遮光膜156その他反
射防止膜371等の構成等は、以前に図69において説
明したので説明を省略する。
【0270】図61の反射型を変形した図70の構成も
考えられる。図70の構成は、図61の反射電極372
を透明電極151とし、かつ、絶縁膜374を光吸収膜
771とした構成である。つまり、液晶層87が光透過
状態となれば、図69に示すように、ITO151の下
の光吸収膜771の色が見えるのである。
【0271】TFT86はITO151の下層に形成す
る。このように形成することにより画素開口率が向上す
る。しかし、光吸収膜771はアルカリ金属等の不純物
を含む場合があり、TFT86の特性に影響を与える場
合がある。そのため、TFT86上には、SiO、Si
Nx等の無機材料からなる保護膜781を形成する。ま
ず、基板162上にTFT86および信号線154など
が形成される。次に、TFT86に保護膜781が形成
される。その後、光吸収膜771がスピンナーなどで塗
布され、その後、画素形状に対応してパターニングされ
る。最後に画素電極151になるITOが蒸着されてパ
ターニングがされて画素電極151となる。
【0272】また、隣接したITO151間には光吸収
膜231を形成しておく。これは、画素間に発生する横
電界により光変調が正規の表示状態以外となる領域が視
覚的にみえなくするためである。なお、図69と図70
の構成の表示パネルにおいて、好ましくは対向電極88
およびITO電極151上には絶縁膜232を形成す
る。この理由については以前に説明したので省略をす
る。また、液晶層87の構成、材料などについても、す
でに説明したので省略する。
【0273】図32〜図34と図61において、液晶分
子は正の誘電率を持つものとして説明した。したがっ
て、横電界がaa'の方向に生じると、液晶分子はaa'の方
向に配向する。そのため、bb'方向の偏光が透過しやす
くなる。
【0274】しかし、液晶分子が負の誘電率を持つ場合
は、前記関係は逆になる。負の誘電率を持つ場合は横電
界がaa'方向に生じると、bb'の方向に配向したのと同等
と見なすことができる。したがって、aa'方向の偏光が
透過しやすくなる。液晶分子が正の誘電率を有する場合
において、図62に示すように、本発明の映像信号表示
方法を実施すると、aa'方向の偏光が透過しやすくな
る。そのため、偏光板を本発明の表示装置に用いる場合
は、前記偏光板の偏光軸を画素列方向(bb'方向)に略一
致させる。また、カラム反転駆動の場合は、前記偏光板
の偏光軸を画素行方向(aa'方向)に一致させる。
【0275】本明細書(特許請求の範囲を含む)の記載
事項は、液晶分子が正の誘電率を有するものとして記述
している。現実に、実用となる液晶は正の誘電率を有す
るものがほとんどである。しかし、負の誘電率の液晶を
用いることもあり得る。したがって、負の誘電率の液晶
を用いた場合は、本発明の明細書(特許請求の範囲を含
む)の記載事項は読みかえる必要がある。具体的には、
液晶が負の誘電率を有する場合は、H反転駆動を行う場
合は偏光手段の偏光軸を画素行方法(ゲート信号線の形
成方向)とし、カラム反転駆動を行う場合は偏光手段の
偏光軸を画素列方法(ソース信号線の形成方向)にする。
【0276】本発明の一つの技術的思想は、横電界に液
晶分子が配向することにより画素電極周辺部などからの
光抜けが発生するのを防止するため、前記横電界の発生
方向を考慮した表示パネルの構成または駆動方法であ
る。たとえば、偏光軸の方向、低誘電体柱261、遮光
膜211、樹脂遮光膜231、低誘電体膜241、遮光
柱262、駆動方式(H反転駆動、カラム反転駆動)など
である。したがって、液晶が負の誘電率を有すれば、横
電界による液晶分子の配向方向も異なるから、当然のこ
とながら、本明細書および特許請求の範囲を、負の誘電
率の場合に適合するように読み変えなければならない。
本発明が意図する技術的思想としては、変更がないから
である。
【0277】以下、本発明の投写型表示装置について説
明をする。本発明の投写型表示装置は、基本的には、本
発明の表示装置81をライトバルブとして用いたもので
ある。まず、本発明の投写型表示装置について共通する
事項を簡単に述べる。
【0278】本発明の投写型表示装置において、光利用
率の向上の観点から、パネル有効表示サイズ(パネルの
表示領域)を小さくなれば、照明光のFナンバーは大き
くする必要がある。パネル有効表示サイズdを大きくす
れば、照明光のFナンバーは小さくでき、結果として明
るい大画面表示を実現できる。しかし、パネル有効表示
サイズが大きくなると投写型表示装置のシステムサイズ
は大きくなり好ましくない。また、パネル有効表示サイ
ズが小さくなればパネルの表示領域に入射する単位面積
あたりの光束が増大し、パネルを加熱して好ましくな
い。
【0279】また、発光体輝度をランプ寿命を考慮して
1.2×10ntと一定とすると、アーク長とランプの
消費電力はおよそ比例すると考えられる。メタルハライ
ドランプの効率は80lm/Wである。50Wのランプの
全光束は4000lm、100Wのランプの全光束は80
00lm、150Wのランプの全光束は12000lmとな
る。ランプのアーク長とランプ消費電力には相関があ
り、アーク長とFナンバーとは相関がある。
【0280】投写型表示装置において、投写画像の画面
サイズが40インチ以上で、かつ実用域の視角および画
像の明るさを得るためには、300〜400lm以上の光
束が必要である。したがって、ランプの光利用率が4%
程度とすると、100W以上のランプを用いなければな
らない。このことから、表示コントラスト(CR)を良好
に得るためだけであればアーク長3mmのランプを用いる
ことができるが、十分な投写画像の輝度を得るためには
100W以上のメタルハライドランプが必要である。
【0281】また、パネル有効表示サイズも小さいと十
分な表示輝度を得ることができない。パネルは有効表示
サイズはアーク長が5mm、照明光の有効F値を7とする
と、3.5インチ前後の大きさが必要である。アーク長
が5mm程度、パネル有効表示サイズが2インチ強であれ
ば、照明光の有効F値は5弱となる。この場合、表示輝
度は実用域となるが、良好な表示コントラスト(CR)は
望めない。
【0282】各種の実験と検討の結果、照明光の有効F
値が5以上であれば実用域の表示輝度が得られる。しか
し、良好な表示輝度と表示コントラストおよび適正な消
費電力かつランプ寿命を得るためには照明光の有効F値
(=投写光の有効F値)は7前後、ランプのアーク長は5
mm前後、ランプのWは150W前後を用いなければなら
ないという結果を得た。
【0283】投写レンズのFナンバーを低下させるとス
クリーンに到達するスクリーン光束は高くなる。それに
ともない、ランプの消費電力も大きくしなければならな
い。また、ランプの長寿命化の観点からランプの消費電
力が大きくなると、アーク輝度を一定と考えると長アー
クになる。当然、表示コントラスト(CR)はFナンバー
が小さくなると悪くなる。逆に投写光学系のFナンバー
を大きくすると表示コントラストは高くなるが、スクリ
ーン光束は小さくなる。
【0284】各種の実験と検討の結果、消費電力の点か
ら250W以下でなければならない。かつ、スクリーン
輝度を得るために100W以上のメタルハライドランプ
を用いなければならない。さらに好ましくは、スクリー
ン輝度および表示コントラストを考慮するとアーク長は
3mm以上6mm以下でなければならない。
【0285】パネルの有効表示領域の対角長はシステム
サイズの点から4.5インチ以下でなければならない。
また、光利用効率の点から2インチ以上でなければなら
ない。中でも十分な光集光効率を得、かつコンパクトに
するためには好ましくは3インチ以上4インチ以下にし
なければならない。
【0286】パネルサイズ(有効対角表)をd(イン
チ)とし、ランプのアーク長L(mm)とすれば以下の
関係を満たすことが好ましい。 2/3d≦L≦2d たとえば、パネルサイズdが3インチであれば、アーク
長Lは2mm以上6mm以下である。
【0287】投写レンズのFナンバー、広義には投写光
学系のFナンバーは、良好なコントラスト(CR)を得る
ために5以上でなければならない。また、十分なスクリ
ーン輝度を得るために9以下でなければならない。さら
に前述のランプのアーク長を考慮すればFナンバーは6
以上8以下でなければならない。
【0288】また、照明光の光の広がり角(Fナンバー)
を投写レンズの集光角(Fナンバー)と略一致させなけれ
ば光利用率は低下する。これは、Fナンバーが大きい方
に制約を受けるからである。本発明の投写型表示装置の
照明光のFナンバーと投写レンズのFナンバーは一致さ
せている。
【0289】なお、以上の記載において、たとえばラン
プのアーク長が5mmとは、「実質的に5mm」であること
を意味する。実質的に5mmとは、アーク長が8mmであっ
ても、前記アークから放射された光の内、投写レンズ
が、アークの中央部の5mm付近から放射した光しか集光
できなければ、実質的にアーク長は5mmとなる。同様に
Fナンバーとは有効Fナンバーを意味する。たとえ物理
的なFナンバーが4でも、光が投写レンズの瞳の中央付
近しか通過していなければ、当然Fナンバーは4以上で
ある。
【0290】本発明の投写型表示装置では、本発明の表
示装置81をライトバルブとして用いる。図71と図7
2は、本発明の投写型表示装置の構成を示す。ただし、
説明に不要な構成要素は省略している。図71におい
て、521は光源であり、内部に凹面鏡521bおよび
光発生手段521aとしてのメタルハライドランプまた
はキセノンランプを配置している。また、凹面鏡521
bの前面にはUVIRカットフィルタ521cが配置され
ている。UVIRカットフィルタ521cは赤外線(I
R)および紫外線(UV)を反射させ可視光を透過させ
る。また、523aはB光を反射させるBDM、523b
はG光を反射させるGDM、523cはR光は反射させ
るRDMである。なお、BDM523aからRDM52
3cの配置は同図の順序に限定するものではない。ま
た、最後のRDM523cは全反射ミラーにおきかえて
もよいことは言うまでもない。また、リレーレンズ52
2は光源521からR光を変調する表示装置81cにい
たる光路長とB光を変調する表示装置81aにいたる光
路長の差異を補正するものである。本発明の投写型表示
装置では主として、本発明の表示装置81をライトバル
ブとして用いる。(なお、図71の光学系と3つの投写
レンズが、図72に示す装置においてキャビネット70
1内に702、524として示される。投写される光
は、ミラー531a、531bで反射されて、スクリー
ン542に投写される。)
【0291】なお、光変調層87にPD液晶を用いる場
合は、R光を変調する光変調層を他のGおよびB光を変
調する光変調層に比較して水滴状液晶粒子径を大きく、
または液晶膜厚を厚めにして構成する。これは光が長波
長になるほど散乱特性が低下しコントラストが低くなっ
てしまうためである。水滴状液晶の粒子径は、重合させ
るときの紫外線光を制御すること、または使用材料を変
化させること、また、図57等で説明をした粒子径変化
構造を採用することで実現できる。液晶87の膜厚は液
晶層のビーズ径等を変化することにより調整できる。5
24は投写レンズ、525、227はレンズであり、5
26はしぼりとしてのアパーチャである。なお、アパー
チャ526は、投写型表示装置の動作の説明のために図
示したものである。アパーチャ526は投写レンズ52
4の集光角を規定するものであるから、投写レンズの機
能に含まれるものとして考えればよい。つまり投写レン
ズ524のF値が大きければアパーチャ526の穴径は
小さいと考えることができる。
【0292】高コントラスト表示を得るためには投写レ
ンズのF値は大きいほどよい。しかし、F値が大きくな
ると白表示の輝度、つまりスクリーン輝度は低下する。
逆にF値を小さくすると、スクリーン輝度が高くなり、
高輝度表示が可能であるが、表示コントラストは低下す
る。アーク長5mmのメタルハライドランプを用いたと
き、F値は5以上9以下にする。好ましくはF値は7前
後がよい。7前後であれば表示コントラストは良好とな
りかつ、十分な表示輝度が得られる。
【0293】以下、本発明の投写型表示装置の動作につ
いて説明する。なお、R、G、B光のそれぞれの変調系
については、ほぼ同一動作であるのでB光の変調系につ
いて例にあげて説明する。
【0294】光源521から白色光が照射され、この白
色光のB光成分はBDM523aにより反射される。こ
のB光は表示装置81aに入射する。表示装置81は、
図23に示すように画素電極151に印加された信号に
より入射した光の散乱と透過状態とを制御し光を変調す
る。
【0295】散乱した光はアパーチャ526aで遮光さ
れ、逆に平行光または所定角度内の光はアパーチャ52
6aを通過する。変調された光は投写レンズ524aによ
りスクリーン(図示せず)に拡大投映される。以上のよう
にして、スクリーンには画像のB光成分が表示される。
同様に表示装置81bはG光成分の光を変調し、また、
表示装置81cはR光成分の光を変調して、スクリーン
上にはカラー画像が表示される。
【0296】赤、緑および青光を変調する3枚のライト
バルブを用いる場合の投写型表示装置の駆動回路および
駆動方法について説明する。図17は、本実施形態の投
写型表示装置の一実施例における駆動回路の説明図であ
る。ここに、RとRおよびトランジスタQは、ベー
スに入力させたビデオ信号の正極性と負極性のビデオ信
号を作る位相分割回路142を構成している。143は
水平走査期間(H)または一垂直走査期間(1V)ごとに極
性を反転させた交流ビデオ信号を表示装置81に出力す
る出力切換回路である。
【0297】ビデオ信号は所定値に利得調整された後、
R・G・B光に対応する信号に分割される。この分割さ
れたビデオ信号をそれぞれビデオ信号(R)、ビデオ信号
(G)、ビデオ信号(B)とする。ビデオ信号R、G、Bは
それぞれ位相分割回路に入力され、この回路により正極
性と負極性の2つのビデオ信号が作られる。次に、この
2つのビデオ信号はそれぞれの出力切換回路143a、
143b、143cに入力され、前記出力切換回路は1H
または1Vごとに出力信号の極性を切りかえる。次に、
それぞれの出力切換回路143からのビデオ信号は、図
11等に示すソースドライブ回路33に入力される。ド
ライブ制御回路141はソースドライブ回路33とゲー
トドライブ回路38との同期をとり、表示パネル81に
画像を表示させる。
【0298】次に人間の眼の視感度について説明する。
人間の眼は波長550nm付近が最高感度となっている。
光の3原色では緑が一番高く、次が赤で、青が最も鈍感
である。この感度に比例した輝度信号を得るためには、
赤色を30%、緑色を60%、青色を10%加えればよ
い。したがって、テレビ映像で白色を得るためにはR:
G:B=3:6:1の比率で加えればよい。また、先に述
べたように液晶は交流駆動を行なう必要がある。この交
流駆動は表示パネルの対向電極に印加する電圧(以後、
コモン電圧と呼ぶ)に対して、正極性と負極性の信号が
交互に印加されることにより行われる。本実施例では表
示パネルに正極性の信号が印加され視感度nの強さの光
を変調している状態を+n、負極性の信号が印加され視
感度nの強さの光を変調している状態を−nとあらわす。
例えばR:G:B=3:6:1の光が表示パネルに照射され
ており、RとB用の表示パネル(81c、81a)の所定の
画素に正極性の信号が印加され、前記画素と重ねられる
G用の表示パネル81bの画素に負極性の信号が印加さ
れておれば、+3・−6・+1とあらわすものとする。
【0299】なお、R:G:B=3:6:1はNTSCのテ
レビ映像の場合であって、投写型表示装置では光源のラ
ンプ、ダイクロイックミラーの分光特性などにより上記
比率は異なってくる。図17では、+3・−6・+1と
示されている。これは、スクリーンの同一位置に重ねあ
わされた各表示パネルの任意の一画像に注目したとき、
前記各画素にR:G:B=3:6:1の光が照射され、Rと
B用の表示パネルの画素には正極の信号が、G用の表示
パネル81bの画素には負極性の信号が印加されている
ところを示している。前記各画素は1フィールド後は−
3・+6・−1と表現される信号印加状態となる。
【0300】通常、液晶表示パネル81には同一信号が
印加されていても偶数フィールドと奇数フィールドでわ
ずかに画素に保持される電圧に差が生じる。これは、T
FT86のオン電流およびオフ電流が映像信号により異
なること、または絶縁膜372などの正電界と負電界で
の保持特性の違いにより生じる。この違いによりフリッ
カという現象があらわれる。
【0301】しかし、本発明の投写型表示装置では、図
17に示すように、G光変調用の信号をR・B光変調用
の信号と逆極性にすることにより、フリッカが視覚的に
見えることを防止できる。なお、G光変調用の信号を他
と逆極性にしたのは、光の強度がR:G:B=3:6:1で
あり、信号の極性および人間の視覚を考慮したとき(R
+B):G=(3+1):6=4:6となり、ほぼ4:6(理想
的には5:5がよい)でつりあうようにするためである。
【0302】以上の理由により、本発明の投写型表示装
置は、フリッカが視覚的に認識されることなく、良好な
画像表示を実況している。なお、以上の技術的思想は、
3枚の表示パネルをもちいる投写型表示装置のみに適用
されるものではなく、図57と図59に示すようなカラ
ーフィルタを具備する1枚の表示パネルを用いる投写型
表示装置にも、多少の変更を加えることにより適用でき
る。たとえば、RとBの画素に+極性の電圧を、Gの画
素に−極性の電圧を印加し、フレームごとに印加する電
圧極性を反転させる。
【0303】図18と図19に示す駆動方法を実施する
と、図75に示すような表示状態となることがある。つ
まり、一行または二行ごとに輝度の高いライン(白線)と
輝度の低いライン(黒線)が表示され、かつ白線が下方向
にゆっくりと動いていくように見えるのである。白線、
黒線といってもその輝度(透過率の差)はわずかである。
しかし、各ラインが隣あっているため、めだつのであ
る。
【0304】この原因は、画素101に充電する電荷量
が異なるためと考えられる。たとえば図73において、
1ライン目の画素101では、1Fでは、+a、2Fで
は+a 、3Fでは−c、4Fでは−c、5Fでは
+eである。電圧極性だけに着目すると、図73に示
すように“+"→“+"→“−"→“−"→“+"となる。
画素101にはTFT86を用いて電荷を充電する。図
73のでは、電圧極性は“+"→“+"であるから同一
である。しかし、では、“+"→“−"であるから電圧
極性は反対である。電圧極性が同一であれば追加に要す
る電荷量は少ない。したがってTFT86の駆動能力は
小さくてよい。しかし、電圧極性が異なれば反対極性の
電荷に充電する必要がある。したがって、TFT86の
大きな駆動能力が必要となる。このことは、図74の液
晶層87のV−Tカーブ(電圧−透過率特性)で説明でき
る。電圧極性が反対の時は点線の特性となっており、電
圧極性が同一の時は実線の特性となっているのであろ
う。つまり、同一の実動電圧(V)を印加しても画素10
1の電荷の極性が同一の時と、反対極性で完全に電荷の
極性の書きかえが必要な時とでは、透過率が異なってし
まうのであろう。そのため、図75に示すように白線と
黒線(ハッチング部分)とが生じてしまうのであろう。
もちろん、画素の電荷保持率が高く、かつTFT86の
駆動能力が十分あるときは、ほとんど図71の現象は発
生しないであろう。しかし、実用面ではTFT86のサ
イズを小さくし、画素開口率を高くしたいという要望が
あり、図75の現象が発生する場合が多いと思われる。
【0305】そこで、本発明では、図76に示すよう
に、データ補正回路931を付加して対応する。データ
補正回路931は、一例として、図3の表示ライン選択
回路内に配置する。または図11のフレームメモリの後
段に配置する構成もある。データマップ932は、図7
4のV−Tカーブをマップ化して記録している。具体的
にはROMである。(++)(−−)用マップとは、図74
の実線特性カーブをマップ化して記憶している領域であ
る。データ補正回路931から透過率Tに対応するデー
タが与えられたとき、実線に該当する実動電圧(データ)
を出力し、データ補正回路931に転送する。つまり、
“+"→“+"、“−"→“−"極性の時に画素101に印
加する電圧(データ)を補正する。一方、(+−)(−+)用
マップとは、図74の点線特性カーブをマップ化して記
憶している領域である。データ補正回路931から透過
率Tに対応するデータが与えられたとき、点線に該当す
る実動電圧(データ)を出力し、データ補正回路931に
転送する。なお、図74の特性カーブは実験等によりあ
らかじめ測定しておき、前記測定されたデータを用いて
データマップ932にROM化しておく。
【0306】以上のようにラインメモリ41からの透過
率データ(または電圧データ)はデータ補正回路931に
より補正されてD/A変換器42でアナログ信号に変換
され、ソース信号処理回路32に出力される。
【0307】液晶表示パネル81を複数枚用いる投写型
表示装置では、図75の現象は、より容易に対応でき
る。図17で説明したように、複数の表示パネル81の
うち、少なくとも1つの表示パネル81の画素に印加す
る電圧極性を反対にするのである。特にG光変調用のパ
ネルを、RおよびB光変調用のパネルと反対極性にする
ことが好ましい。このことは図17で説明をしているの
で省略する。
【0308】電圧印加の方法として、図77のように行
なう。つまり、図77の(a)のパネル1では2行ずつの
同一の極性の電圧を画素101に印加し、(上端から+
+−−++……)、パネル2(図77の(b))では、2行づ
つ−−++−−……と印加する。
【0309】また、図78の方法の方が良好な結果をも
たらす場合もある。パネル1(図78の(a))では上端
から++−−++−−……であり、パネル2(図78の
(b))では一行ずらして+−−++−−……としている。
図78のように表示パネルを駆動することにより、図7
5のパネルの白線部とパネル2の黒線部とがスクリーン
上で重ねあわされ、打ち消しあう状態にすることができ
る。もちろん、図77の場合では、パネル1とパネル2
とを一行ラインをずらせてスクリーン上に重ねあわせれ
ばよい。当然のことながら、図76の回路構成を採用す
れば、図77や図78の方法を用いなくてもよい。ま
た、図76の回路構成と、図77または図78の方法と
を組みあわせればさらに良好な結果が得られることはい
うまでもない。
【0310】以上のように本発明の投写型表示装置は各
表示パネル81に、図12を用いて説明した映像信号表
示方法を適用し、かつ、図17に示すように、3枚の液
晶表示パネル81のうち1枚の液晶表示パネル81に加
える映像信号の位相を反転させている。したがって、フ
リッカは全く発生せず、良好な表示を実現できる。
【0311】以下、他の実施形態の投写型表示装置につ
いて説明していくが、主として第一の実施例の差異につ
いて説明をする。したがって、図71において説明した
表示パネルに関する事項、駆動回路に関する事項、光学
系に関する事項は他の投写型表示装置にも場合に応じて
随時適用される。
【0312】図71と図72は、3つの投写レンズ52
4によりスクリーンに拡大投映する方式を示すが、一つ
の投写レンズで拡大投映する方式もある。図79は、そ
の構成を示す。ここでは説明を容易にするため、81b
をG光の映像を表示する表示パネル、81cをR光の映
像を表示する表示パネル、81aをB光の映像を表示す
る表示パネルとする。したがって、各ダイクロイックミ
ラー531を透過および反射する波長は、ダイクロイッ
クミラー523aはR光を反射し、G光とB光を透過す
る。ダイクロイックミラー523bはG光を反射し、R
光を透過させる。ダイクロイックミラー523cはR光
を透過し、G光を反射させる。また、ダイクロイックミ
ラー523dはB光を反射させ、G光およびR光を透過
する。
【0313】メタルハライドランプ(図示せず)から放射
された光は、全反射ミラー531aにより反射され、光
の進行方向を変化させられる。前記光はダイクロイック
ミラー523a、523bによりR・G・B光の3原色の
光路に分離され、R光はフィールドレンズ532cに、
G光はフィールドレンズ532bに、B光はフィールド
レンズ532aにそれぞれ入射する。各フィールドレン
ズ532は各光を集光する。表示パネル81はそれぞれ
映像信号に対応して液晶の配向を変化させ、光を変調す
る。このように変調されたR・G・B光はダイクロイッ
クミラー523c、523dにより合成され、投写レンズ
524によりスクリーン(図示せず)に拡大投映される。
【0314】以下、反射型の本発明の表示装置(表示パ
ネル)81をライトバルブとして用いた本発明の投写型
表示装置の実施形態を、図80を参照しながら説明す
る。光源521は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3
原色の色成分を含む光を放射する。凹面鏡521bは先
にも説明したようにガラス製で、反射面に可視光を反射
し赤外光を透過させる多層膜を蒸着したものである。ラ
ンプ521aからの放射光に含まれる可視光の一部は、
凹面鏡521bの反射面により反射する。凹面鏡521b
から出射する反射光は、フィルタ521cにより赤外線
と紫外線とが除去されて出射する。
【0315】投写レンズ524は液晶表示パネル側の第
1レンズ群524bとスクリーン側の第2レンズ群52
4aとで構成され、第1レンズ群524bと第2レンズ群
524aとの間には平面ミラー531が配置されてい
る。表示パネル81の画面中心にある画素から出射する
散乱光は、第1レンズ群524bを透過した後、約半分
が平面ミラー531に入射し、残りが平面ミラー531
に入射せずに第2レンズ群524aに入射する。平面ミ
ラー431の反射面の法線は投写レンズ524の光軸5
41に対して45°傾いている。光源521からの光は
平面ミラー531で反射されて第1レンズ群524bを
透過し、表示パネル81に入射する。
【0316】表示パネル81からの反射光は、第1レン
ズ群524b、第2レンズ群524aの順に透過してスク
リーン542に到達する。投写レンズ542の絞りの中
心から出て表示パネル81に向かう光線は、液晶層87
にほぼ垂直に入射するように、つまりテレセントリック
としている。
【0317】なお、ここでは説明を容易するために、8
1aをR光を変調する表示パネル、81cをB光を変調す
る表示パネル、81bをG光を変調する表示パネルであ
るとして説明する。
【0318】ダイクロイックミラー523は色合成系と
色分離系を兼用している。UVIRカットフィルタ52
1cの帯域は半値の値で430nm〜690nmである。以
後、光の帯域を記述する際は半値で表現する。ダイクロ
イックミラー523aはR光を反射し、G光およびB光
を透過させる。G光はダイクロイックミラー523bで
反射され表示パネル81bに入射する。R光の帯域は6
00nm〜690nm、G光の帯域は510nm〜570nmと
する。また、ダイクロイックミラー523bはB光を透
過する。B光は表示パネル81cに入射する。入射する
B光の帯域は430nm〜490nmである。各表示パネル
81はそれぞれの映像信号に応じて散乱状態の変化とし
て光学像を形成する。各表示パネル81で形成された光
学系はダイクロイックミラー523で色合成され、投写
レンズ524に入射し、スクリーン542上に拡大投写
される。
【0319】図61に示すように、表示パネル81はマ
トリックス状に配置された反射電極372を有し、反射
電極372と対向電極371b間の電圧印加状態によ
り、入射光を変調する。反射電極372に電圧が印加さ
れている画素上の液晶層87は透過状態となり、電圧無
印加の画素は散乱状態となる。液晶層87が透過状態の
時は、対向基板161から入射した光は反射電極372
で反射され、再び対向基板161より出射される。
【0320】図80は、ダイクロイックミラー523を
用いて色分離色合成を行う装置を示したが、ダイクロイ
ックプリズム553を用いても色分離色合成を行うこと
ができる。図81は、その構成を示す。ダイクロイック
プリズム553には2つの光分離面551を有してお
り、前記光分離面551で白色光をR・G・Bの3原色
光に分離する。各表示パネル81は光結合層392を介
してダイクロイックプリズム551に取りつけられてい
る。なお、552は補助レンズである。
【0321】ダイクロイックプリズム551の表面に
は、図82に示すように、光吸収膜(黒色塗料)561が
塗布されている。材料としては図25等に示す遮光膜1
55と同様のものが例示される。前記光吸収膜561は
表示パネル81で散乱した光を吸収する機能を有する。
【0322】表示パネル81はダイクロイックプリズム
553に貼りつけられ、前記ダイクロイックプリズム5
53の無効領域(光が入出力しない面)に光吸収膜561
が塗布されている。この構成は、図67等に示したよう
に、表示パネル81に透明基板391が光結合され、前
記透明基板391の無効領域に光吸収膜が塗布されてい
ることと機能的に類似する。つまり、透明基板391を
ダイクロイックプリズム553と置き換えて考えればよ
い。たとえば、表示パネル81aを中心に考え、かつ、
表示パネル81aはR光を変調すると考えれば、入射光
81aはダイクロイックプリズム553の光入出射面5
62より入射し、光分離面551bでR光が反射され
る。表示パネル81aは反射電極372に印加された電
圧の大きさに応じて光変調層87の散乱度合を変化させ
る。そのうち透過光の成分は再び光分離面551bで反
射し、光入出射面562より出射される。散乱した光は
そのほとんどが光吸収膜561に入射して吸収され、光
変調層87に再びもどり、2次散乱を発生させることは
ない。
【0323】以上のことから、図81において、ダイク
ロイックプリズム553は色分離色合成の機能を有する
ほか、2次散乱光の発生を防止する機能を有することが
理解できるであろう。図81に示した構成は、色分離合
成系が非常に簡単で小型である。かつ、2次散乱の防止
機能をも有している。なお、ダイクロイックプリズムは
ガラス等の固体からなるものに限定されるのではなく、
たとえば立方体の容器にエチレングリコール等の液体を
充填したものも含まれる。液体は流動性があるため、液
晶バネルから熱をうばい、冷却できる効果があり好まし
い。容器の内部には色分離を行なうダイクロイックミラ
ー板を配置し、外部は黒色の塗料を塗布して、液晶パネ
ルで散乱した光を吸収させる。
【0324】以上の装置は、光散乱状態の変化として光
学像を形成する表示パネルをライトバルブ(光変調手段)
として用いて投写型表示装置である。しかし、本発明の
位相板でP偏光とを変換し、色分離色合成系での光の帯
域幅を狭め、投写型表示装置の色相を改善するという技
術的思想は、他のランダム光を変調する表示パネルを用
いる投写型表示装置にも適用される。
【0325】なお、図80および図81は、理解を容易
にするため2次元的に図示したが、より具体的には図8
3に示すように構成すべきである。図83において、ダ
イクロイックミラー532の傾き方向と平面ミラー53
1の傾き方向に注目してほしい。ダイクロイックミラー
532は一般に透明基板上に誘電体多層膜を蒸着し、特
定の波長帯域の光を透過、または反射するもので用いら
れる。このタイプのダイクロイックミラー532は、光
線の入射角依存により分光性能がシフトするという特性
を持ち、図80のように、入射光線541aの光軸と出
射光線541bの光軸が異なる角度で入射する場合は、
色分離する分光特性と色合成する分光特性が互いに異な
るため、所望の色純度の投写画像を得ることは困難であ
る。
【0326】図83に示す構成では、光源521から出
射する照明光の光軸541aと液晶表示パネル81によ
って反射された投写光の光軸541bとを含む平面が、
液晶表示パネル81の中心法線とダイクロイックミラー
532の中心法線とを含む平面に対して垂直に配置され
ているので、光軸541aと光軸541bを含む面はダイ
クロイックミラー532の色分離合成面と45°の角度
をなしている。従って、照明光、投写光ともに同じ入射
角45°でダイクロイックミラー532に入射させるこ
とができる。
【0327】ダイクロイックミラー532aと532bの
分光透過率を図84の(a)と(b)に示す。(a)は、ダイク
ロイックミラー532aへの光線入射角が45°の場合
の分光透過率を示すもので、ダイクロイックミラー53
2aはR光を反射し、G光、B光を透過するタイプであ
る。また、(b)は、ダイクロイックミラー532bへの光
線入射角が45°の場合の分光透過率を示すもので、ダ
イクロイックミラー532bはB光を反射し、G光を透
過するタイプである。
【0328】本実施例の構成によれば、色分離の場合の
分光性能の、色合成した場合の分光性能が一致するた
め、図84の(a)と(b)に示した分光性能をそのまま投写
画像に反映することができる。
【0329】比較のため、従来例で示した図80のよう
に構成した場合について説明する。照明光の光軸541
aが液晶表示パネル81へ仮に5°で入射するように構
成すると照明光の光軸541aと投写光の光軸541bは
10°の角度をなし、照明光のダイクロイックミラー5
23a、523bへの入射角は40°、投写光のダイクロ
イックミラー523a、523bへの入射角は50°とな
る。入射角が40°の場合と入射角が50°の場合の分
光透過率を図85の(a)と(b)に示す。(a)はダイクロイ
ックミラー523aの、(b)はダイクロイックミラー52
3bの分光透過率を示したもので、図中の実線は光線の
入射角が40°の場合、点線は光線の入射角が50°の
場合を示している。図85より、入射角依存による波長
シフトのため照明光の分光性能と投写光の分光性能が大
幅に異なり、光の利用効率を低下させずに所望の色純度
を得ることは困難であることがわかる。
【0330】1枚の液晶表示パネル81でカラー表示を
行なうためには、図86または図87の構成を採用す
る。図86は、図57〜図60に示すカラーフィルタ4
71を具備する本発明の表示パネル(表示装置)81をラ
イトバルブとして用いる。偏光板331を用いる場合は
入射側331aと出射側331bのいずれか一方を配置す
る。
【0331】なお、もちろん、入射側と出射側の両方の
偏光板331a、331bを配置してもよい。両方の偏光
板331a、331bを用いる場合、偏光板331aと3
31bの偏光軸は一致させることが重要である(図38の
(a)の偏光板331aと331bの配置を参照)。この場
合、偏光板331aを通過した光は直線偏光となる。液
晶層87が透明状態(光透過状態)の時、前記直線偏光は
偏光状態を維持したまま、液晶層87を透過する。した
がって、出射側の偏光板331bでは光を損失すること
はないから、強い出射光が得られる。一方、液晶層87
が光散乱状態の時、液晶層87に入射した光は散乱され
るため、直線偏光状態が崩れる。したがって、約半分の
光は出射側の偏光板331bで吸収される。液晶層87
が散乱状態の時、表示は黒表示である。出射側の偏光板
331bで光が吸収されるということは、黒表示時に、
スクリーンに到達する光が減少することを意味するか
ら、表示コントラストは向上する。
【0332】以上のことから、光変調状態の変化として
光学像を形成する表示パネルをライトバルブとして用い
る投写型表示装置では、表示パネルの入射側の偏光板3
31aの偏光軸331aと出射側の偏光板331bの偏光
軸とを略一致させることが重要である。略一致としたの
は偏光板偏光軸が多少ずれていても表示コントラストが
多少低下するだけで、実用上は支障がないからである。
なお、偏光軸の角度のずれは20°以内にすることが好
ましい。
【0333】先の説明では表示パネルの入射側と出射側
に偏光板331を配置するとしたが、図88の構成をも
含むと考えるべきである。図88において、881は偏
光スクリーンである。一例として、偏光スクリーン88
1が“反射型"の場合は、反射板と偏光板とを貼りあわ
せた構成が該当する。たとえば有沢製作所(株)が販売し
ている。また、偏光スクリーンが「透過型」の場合はス
クリーンとなる拡散板等と偏光板とを貼り合わせたもの
が例示される。したがって、偏光スクリーンは透過型で
あっても、反射型であってもよい。偏光スクリーン88
1の偏光軸と一致する直線偏光が入射すると、直線偏光
は偏光スクリーンで反射し、または、偏光スクリーンを
透過する。逆に偏光スクリーンの偏光軸と直交する直線
偏光が入射すると前記偏光スクリーンで吸収される。
【0334】図88の表示装置は、表示パネルの入射側
には偏光板331aを具備するが、出射側には偏光板3
31bがない。かわりに、偏光スクリーン881が配置
されている。偏光スクリーン881が偏光板331bの
機能を果たす。図88の表示装置も、先の実施例(図8
6)と同様に高コントラスト表示を実現できる。その理
由および投写型表示装置の動作は、先の説明において出
射側の偏光板331bと偏光スクリーン881と置き換
えて考えればよいので説明を省略する。
【0335】なお、図86と図88の説明では、1つの
表示パネルを用いる投写型表示装置として説明した。し
かし、入射側の偏光板331aの偏光軸と出射側の偏光
板331b(または偏光スクリーン881)とを略一致さ
せるという技術的思想は、図71、図79、図89など
の複数の表示パネルを用いる投写型表示装置にも適用で
きることは言うまでもない。また、偏光板331などの
偏光軸の方向を、図32〜図34、図36、図37を用
いて説明したように、「偏光依存性」の発生する方向を
考慮して設定すればさらに好ましい。また、偏光手段は
偏光板331に限定されるものではなく、偏光ビームス
プリッターなどを用いてもよい。
【0336】表示パネルにカラーフィルタを具備しない
場合は、図87の如く構成する。光源521からの白色
光を3つのダイクロイックミラー523によりR、G、
Bの3原色光に分離する。液晶表示パネル81の入射側
にはR、G、Bの3つ1組画素101に対応したマイク
ロレンズ528が、マトリックス状に配置されたマイク
ロレンズアレイ581を配置する。表示パネルの出射側
には透明部材391を透明結合層を介して接続をする。
各R、G、Bの3原色光はマイクロレンズにより方向を
かえられ、各R、G、Bの光を変調する画素に入射す
る。
【0337】次に、さらに投写光学系に改良を加え、良
好な色再現性を確保し、かつ、高輝度表示、高コントラ
スト表示と実現できる投写型表示装置について説明をす
る。ライトバルブとしてPD液晶表示パネルを用いる投
写型表示装置は、明るい投写画像が得られる利点がある
反面、有効Fナンバーの小さい投写レンズを用いると、
黒表示状態で散乱する光の多くが投写レンズにより集光
されてしまい、黒浮きを生じる。その結果、投写画像の
コントラストが低下する。有効Fナンバーの大きい投写
レンズを用いれば高いコントラストを得るが、白表示状
態において集光できない光が発生するので光損失を生じ
る。光損失を抑制するには、投写レンズの有効Fナンバ
ーに合わせて照明光の有効Fナンバーを大きくする必要
がある。
【0338】有効Fナンバーの大きい、すなわち平行度
の良好な照明光を形成する場合、点光源に近い発光体を
用いなければ光損失が増加して高い光利用効率を得るこ
とは難しい。これに対し、一般にショートアーク型とし
て知られるメタルハライドランプの発光体は5〜10mm
程度の長さであり、点光源に近いとして知られるキセノ
ンランプの発光体は、2〜4mm程度の長さである。これ
らの発光体から放射される光を効率良く集光してライト
バルブ上を照明する光を形成すると、いずれの場合も、
ある程度の照射角を有するので、投写レンズの有効Fナ
ンバーをこれに整合させる必要がある。
【0339】光損失を増加させることなく照明光の有効
Fナンバーを大きくするために、発光体の大きさを小さ
くしようとすると、一般的なランプは寿命特性などの発
光特性が極端に劣化するので問題がある。また、発光体
に対して相対的に大きい表示領域のライトバルブを用い
ることは有効であるが、コンパクトな投写型表示装置を
構成することが困難となり、コストが高くなるので問題
がある。
【0340】従って、PD液晶表示パネルを用い、光損
失の少ない投写型表示装置を構成し、明るくコントラス
トの高い投写画像を得るには、照明光の有効Fナンバー
と投写レンズの有効Fナンバーを整合させる必要があ
る。ライトバルブから出射する光に対し、投写レンズが
必要最小限の開口を提供するので、投写レンズ内の迷光
を低減でき、コントラストの高い投写画像を得る。
【0341】また、照明光の有効Fナンバーと投写レン
ズの有効Fナンバーは、ライトバルブの表示領域上のあ
らゆる点において、良好に整合させることが好ましい。
特に、ライトバルブとしてPD液晶表示パネルを用いる
場合、投写画像の全領域におけるコントラストを均一に
するために重要である。そのためには、ライトバルブ上
の軸上点だけではなく、あらゆる軸外点について、照明
光の照射角と投写レンズの集光角を良好に制約できる必
要がある。従来、このように照明光の有効Fナンバーと
投写レンズの有効Fナンバーを制御することは難しく、
その結果、投写画像の画質が低下するので問題があっ
た。
【0342】図90は、上記問題点を解決した本発明の
投写型表示装置の構成図を示す。本発明の投写型表示装
置は、光発生手段としての発光体592と、発光体の放
射する光を集光する集光手段と、集光手段から出射する
光が入射する光伝達手段と、光伝達手段から出射する光
により照明される光変調手段としての本発明の表示パネ
ル(ライトバルブ81)と、ライトバルブ81上の光学像
をスクリーン上に投影する投写手段としての投写レンズ
591と、ライトバルブ81の入射側に配置される第1
開口絞り596と、ライトバルブ81の出射側に配置さ
れる第2開口絞り598とを備えている。
【0343】光伝達手段は入力部収束レンズアレイ59
4と中央部収束レンズアレイ595と出力部収束レンズ
597からなり、入力部収束レンズアレイ594は複数
の入力部収束レンズ599を二次元状に配列してなり、
中央部収束レンズアレイ597は複数の入力部収束レン
ズ599と同数で対を成す複数の中央部収束レンズ60
0を二次元状に配列してなる。
【0344】入力部収束レンズ599の各々は対応する
中央部集収束レンズ600の各々の主平面近傍に複数の
二次発光体を形成し、中央部収束レンズ600の各々は
出力部収束レンズ597と相まって対応する入力部収束
レンズ599の各々の主平面近傍の物体の像の各々を重
畳形態としてライトバルブ81の有効表示領域近傍に形
成し、出力部収束レンズ597は複数の二次発光体から
出射する光を投写レンズ591に有効に到達せしめる。
【0345】第1開口絞り596は複数の二次発光体の
近傍に配置し、第1開口絞り596から第2開口絞り5
98に至る光路に介在する光学素子は第1開口絞り59
6と第2開口絞り598を略共役の関係とならしめ、第
1開口絞り596は主として二次発光体の有効領域を通
過する光を選択的に通過せしめる開口形状を有し、第2
開口絞り598は前記ライトバルブの最白表示状態にお
いて第1開口絞り596を通過した光を選択的に通過せ
しめる開口形状を有するようにしたものである。
【0346】以下、まず図90を用いて、本発明の投写
型表示装置の光学系の基本構成について説明をする。投
写型表示装置は、主として、光発生手段としてのメタル
ハライドランプ521a、放物面鏡521b、UV−IR
カットフィルタ521cからなる光源521、入力部収
束レンズアレイ594、中央部収束レンズアレイ59
5、絞り596、出力部収束レンズ597、液晶表示パ
ネル81、投写手段としての投写レンズ591、絞り5
98から構成される。投写レンズ591は、前レンズ群
591aと後レンズ群591bから構成される。出力部収
束レンズ597と後群レンズ591bは、絞り596と
絞り598を互いに共役の関係とする。
【0347】入力部収束レンズアレイ594は、複数の
入力部収束レンズ599を二次元状に配列して構成す
る。図91は、その構成の一例を示す。矩形の開口を有
する10個の入力部収束レンズ599を正円の領域に内
接するように配列している。10個の入力部収束レンズ
599は、同一開口形状の平凸レンズであり、矩形開口
の長辺の短辺の比を4:3としている。つまり、液晶表
示パネル81の有効表示領域の画面形状にしている。も
し、画面形状が16:9であれば入力部収束レンズ59
9も16:9にする。
【0348】中央部収束レンズアレイ595は、複数の
中央部収束レンズ600を二次元状に配列して構成す
る。入力部収束レンズ599と同数で同一開口を有する
中央部収束レンズ600を、入力部収束レンズアレイ5
94と同様に配列している。
【0349】投写型表示装置における照明の手順を説明
する。メタルハライドランプ521aの発光体592か
ら放射される光は、放物面鏡521bにより反射されて
光軸604とおよそ平行に進行し、入力部収束レンズア
レイ594に入射する。放物面鏡521bから出射する
光の断面形状は一般に正円となるので、入力部収束レン
ズ599の開口の総和がこれに内接するように入力部収
束レンズアレイ594を構成する。入力部収束レンズア
レイ594を通過した光は、入力部収束レンズ599と
同数の部分光束に分割され、各部分光束は、液晶表示パ
ネル81の有効表示領域を照明する。
【0350】入力部収束レンズ599を通過した光は、
各々、対応する中央部収束レンズ600の開口に導かれ
て収歛される。中央部収束レンズ600の各々の開口上
には、二次発光体、例えば601A、601Bが形成さ
れる。中央部収束レンズアレイ595上に形成される複
数の二次発光体601の一例を、図62に模式的に示
す。中央部収束レンズ600は、各々、対応する光をP
D液晶表示パネル81の表示領域上に有効に伝達する。
具体的に、対応する入力部収束レンズ599の主平面上
の物体、例えば、601A、601Bの実像603をP
D液晶表示パネル81の表示領域近傍に形成する。ただ
し、各々の中央部収束レンズ600は適当に偏心させて
おり、複数の像を重畳させて1つの実像603を形成す
る。
【0351】以上の構成によれば、PD液晶表示パネル
81の表示領域と入力部収束レンズ599の各々の開口
とは、互いにおよそ共役の関係となる。従って、入力部
収束レンズ599の開口をPD液晶表示パネル81の表
示領域と相似形状とすれば、照明光の断面と表示領域の
形状を整合させて、光損失を抑制できる。従って、図9
1に示した入力部収束レンズアレイ594は、NTSC
に対応したアスペクト比が4:3の映像を表示するPD
液晶表示パネル81と組み合わせて用いるとよい。
【0352】なお、本構成でのPD液晶表示パネルと
は、いままで説明してきたすべての構成、形状、技術的
思想、機能のものの全てが適用される。たとえば、図
1、図2の表示方法、図3、図4の回路構成、図25〜
図29、図39〜図45、図53〜図68および図6
9、図70のパネル構成、図36、図37の偏光依存性
の対策に関する構成および駆動方法、図18〜図22の
駆動方法である。また、PD液晶表示パネルに限定され
ず、PLZTを応用した表示パネル、TNおよびSTN
液晶表示パネルでもよい。
【0353】一般に、放物面鏡などの凹面鏡から出射す
る光には、比較的大きな明るさむらがある。明るさむら
の大きい光をそのまま伝達してPD表示液晶表示パネル
81を照明すると、投写画像の明るさの均一性が低下す
る。明るさが比較的均一な領域のみを利用して照明する
と、利用できない光が増加するので光利用効率が低下す
る。これに対し、本発明の投写型表示装置は、高い光利
用効率を得ると共に、明るさの均一性の優れた投写画像
を得ることができる利点がある。その理由を以下に述べ
る。
【0354】入力部収束レンズアレイ254は、明るさ
むらの大きな光を複数の部分光束に分割する。各部分光
束の入力部収束レンズ599の開口上における明るさむ
らは、分割前の光束断面の明るさむらと比較して小さ
い。中央部収束レンズ600の各々は、明るさむらの少
ない部分光束を適当な大きさに拡大し、PD液晶表示パ
ネル204の表示領域上に重畳させる。従って、明るさ
の均一性の良好な照明を実現できる。
【0355】入力部収束レンズ599の開口の総和を入
射する光束の断面に内接させるので、入力部収束レンズ
アレイ594における光損失は少ない。また、中央部収
束レンズ600の開口の各々を二次発光体592に対し
て十分な大きさとするので、中央部収束レンズアレイ5
95における光損失は少ない。さらに、PD液晶表示パ
ネル81に入射する光の断面を表示領域の形状に整合さ
せるので、PD液晶表示パネル81における光損失は少
ない。従って、発光体592から放射される光の大部分
は、放物面鏡521bにより反射され、入力部収束レン
ズアレイ594、中央部収束レンズアレイ595、出力
部収束レンズ597、PD液晶表示パネル81を通過し
て投写レンズ591に到達する。従って、投写レンズ5
91における光損失を抑制すれば、高い光利用効率を実
現し、明るく、明るさの均一性の優れた投写画像を得
る。
【0356】ところで、中央部収束レンズアレイ600
上には離散的に複数の二次発光体592が形成されるの
で、この場合の照明光の有効Fナンバーは、二次発光体
592の面積の総和から等価的に換算される照射角から
定める必要がある。一方、PD液晶表示パネル81から
光軸604と最も角度を成して出射する光の集光角は、
この等価的な照射角よりも大きな値となる。従って、光
損失を抑制するためには、投写レンズ591の有効Fナ
ンバーを照明光の実効的な有効Fナンバーよりも小さく
する必要がある。これは、PD液晶表示パネル81の場
合に、投写画像のコントラストを低下させるので問題が
ある。
【0357】これに対し、本実施例の投写型表示装置
は、絞り596と絞り598の働きにより、光損失を増
加させることなく照明光側と投写レンズ側の開口をいず
れも必要最小限の大きさにできるので、コントラストの
低下を抑制できる。具体的には、離散的に形成される二
次発光体592の有効領域に合わせて、照明光側の絞り
596の開口を図92に示すような形状とする。破線
は、図92の中央部収束レンズ660の各々の開口に対
応する。また、投写レンズ側の絞り591の開口上には
二次発光体592の実像が形成されるので、絞り598
の開口形状も、絞り596の開口形状と同様にする。こ
れにより、絞り596を通過した光は絞り598を通過
するので、高い光利用効率を実現できる。同時に、投写
レンズ591は照明光が必要とする必要最小限の開口を
提供するので、コントラストの高い表示画像を実現でき
る。その結果、明るく高画質の投写画質を提供できるの
で、非常に大きな効果を得ることができる。
【0358】本発明の投写型表示装置に用いる入力部収
束レンズアレイ594、中央部収束レンズアレイ59
5、絞り596、絞り598は、以下のように構成する
となお良い。図93は、この場合の中央部収束レンズア
レイ595の構成を示す。一般に、二次発光体592の
大きさは、光軸近傍に位置する入力部収束レンズ599
の形成するものほど大きい。従って、中央部収束レンズ
600の各々の開口は必ずしも同一である必要はなく、
二次発光体601の各々に対して必要十分な大きさとす
ればよい。開口を有効に異ならせた複数の中央部収束レ
ンズ600を凝集して配列し、中央部収束レンズアレイ
595を構成すれば、開口領域の総和を小さくできる利
点がある。中央部収束レンズアレイ595と組み合わせ
る入力部収束レンズアレイ594は、図94に示したも
のと同様に構成し、入力部収束レンズの各々を適当に偏
心させ、対応する中央部収束レンズ600の開口中心に
二次発光体601を形成すればよい。
【0359】この場合、照明光側の絞り596の代わり
に、図95に示す開口形状の絞り596を用いるとよ
い。投写レンズ側の絞り598についても同様である。
これにより、光損失を生じることなく、中央部収束レン
ズアレイ595の開口径を小さくでき、かつ、投写レン
ズ591のレンズ径を小さくできる利点がある。
【0360】本実施例の投写型表示装置は、以上述べた
ように離散的に複数の二次発光体を形成してライトバル
ブを照明する場合に、より大きな効果を得る。最大集光
角の大きな投写レンズを用いたとしても、離散的に複数
の開口を有する絞りを備えることで、ライトバルブから
出射する光に対して必要最小限の開口を提供できる。そ
の結果、明るくコントラストの高い投写画像を得ること
ができる。
【0361】図89は、図90を基本構成として3枚の
本発明の表示パネル81を用いてカラー画像を表示でき
るようにした投写型表示装置の構成を示す。メタルハラ
イドランプ521aは、三原色を含む光を放射する発光
体592を形成する。図90に示したものと同様の手順
により、PD液晶表示パネル81b、81cの各表示領域
を照明する。ただし、ダイクロイックミラー523a、
523bと、平面ミラー531aの働きにより、照明光は
三原色の色光に分解され、それぞれ対応するPD液晶表
示パネル81の表示領域上に導かれる。
【0362】PD液晶表示パネル81は、各々の表示領
域上には外部から供給される映像信号に応じて、三原色
に対応した光学像が形成される。投写レンズ591は、
前レンズ群591a、後レンズ群591bから構成され、
三原色の光学像をスクリーン上に拡大投影する。PD液
晶表示パネル81から出射する光は、ダイクロイックミ
ラー523c、523dと、平面ミラー531cの働きに
より一つの光路が合成されるので、フルカラーの投写画
像を得る。
【0363】照明光側の絞り596と投写レンズ側の絞
り598は、図90または図93に示したものと同様の
ものを、同様の目的で用いる。絞り596と絞り598
が互いに共役の関係となるように、出力部収束レンズ5
97と後群レンズ591bを適切に構成する。以上のよ
うに構成することにより、色再現性がなく、かつ高輝
度、高コントラスト表示のカラー表示の投写型表示装置
を実現できる。他の点については、図90で説明したの
で説明を省略する。
【0364】なお、以上の投写型表示装置は、スクリー
ン542と光学ブロックが分離されたフロント型の投写
型表示装置として説明したが、これに限定するものでは
ない。たとえば図72に示すようにスクリーン542と
光学ブロック702がキャビネットで一体となったリア
型投写型表示装置でもよい。光学ブロックとしては、図
71、図79、図80等が該当することは言うまでもな
い。前記光学ブロックから出力される光をミラー531
aおよび531bで反射しスクリーン542に投射する。
【0365】本発明の映像信号表示方法およびそれを用
いた表示装置(表示パネル)を用いてビデオカメラ等の再
生画像表示装置として用いるビューファインダに適用す
ることもできる。なお、ビューファインダとは発光源と
液晶表示パネルおよび前記液晶表示パネルの画像を拡大
してみるレンズ等を具備するものをいい、以下に説明す
るビデオカメラ用のビューファインダ、また、ヘッドマ
ウントディスプレイの画像表示部の構成等が該当する。
図96は、本発明のビューファインダの外観図である。
668は接眼カバーであり、669はビデオカメラとの
取り付け金具である。667はボデーであり、前記ボデ
ー667内にレンズ663および表示パネル81等が格
納されている。
【0366】図97は、図96に示すボデー667内部
の構成を示している。661は発光素子、663は集光
レンズ、666は拡大レンズである。一例として、表示
パネル81の表示領域の対角長は28mmであり、集光レ
ンズ663は有効直径が30mm、焦点距離が15mmであ
る。集光レンズ663の焦点の近傍に発光素子661が
配置されている。集光レンズ663は平凸レンズであ
り、平面を発光素子661側に向けている。ボデー66
7の端部に接眼リング665が装着されている。接眼リ
ング665には、拡大レンズ666が装着されている。
ボデー667の内面は不要光を吸収するための黒色また
は暗色にしている。
【0367】662は中央部の円形の穴のあいた遮光板
である。発光素子661から光が放射される領域を小領
域にする機能を有している。穴の面積が大きくなると表
示パネル81の表示画像は明るくなるが、コントラスト
は低下する。これは集光レンズで663に入射する光量
は多くなるが、入射光の指向性が悪くなるためである。
前述のような表示パネルの表示領域の対角長が28mmの
場合、光を放射する領域は15mm以下にすべきであ
る。これは直径がほぼ4mm強のピンホールの穴径に相当
する。好ましくは10mm以下とすべきである。しか
し、あまり穴の直径を小さくしすぎると、光の指向性が
必要以上に狭くなり、ビューファインダを見る際に、視
点を少しずらしただけで極端に表示画面が暗くなる。し
たがって、穴の面積は少なくとも2mm以上の領域を確
保すべきである。一例として、直線3mmの穴径の時、従
来の面光源を用いるビューファインダと同等の表示画面
の輝度が得られ、その時のコントラストも良好であっ
た。光を放射する領域、つまり穴径は直径0.5mmから
5mm以下の範囲と考えられるべきである。ただし、これ
は表示画面の対角長が28mmの場合であって、対角長が
長くなれば、対角長に応じて最適な穴径も変化する。
【0368】発光素子661から広い立体角に放射され
た光は、集光レンズ663により平行に近く、指向性の
狭い光に変換され、表示パネル81の対向電極88側か
ら入射する。観察者は、接眼ゴム688に眼を密着させ
て、表示パネル81の表示画像を見ることになる。つま
り、観察者の瞳の位置はほぼ固定されている。表示パネ
ル81の全画素が光を直進させる場合を仮定した時、集
光レンズ663は発光素子661から放射され、前記集
光レンズ663の有効領域に入射する光が拡大レンズ6
66を透過した後に、すべて観察者の瞳に入射するよう
にしている。レンズ666は拡大レンズとして機能する
ので、観察者は表示パネル81の小さな表示画像を拡大
して見ることができる。
【0369】ビューファインダは、観察者の瞳の位置が
接眼カバー668によりほぼ固定されるため、その背後
に配置する光源は指向性が狭くてもよい。光源として蛍
光管を用いたライトボックスを用いる従来のビューファ
インダでは、表示パネルの表示領域とほぼ同じ大きさの
領域からある方向の微小立体角内に進む光だけが利用さ
れ、他の方向に進む光は利用されない。つまり、光利用
効率が非常に悪い。
【0370】本発明では、発光体の小さな光源を用い、
その発光体から広い立体角に放射される光を集光レンズ
663により平行に近い光に変換する。こうすると、集
光レンズ663からの出射光は指向性が狭くなる。観察
者の視点が固定されておけば前述の狭い指向性の光でも
ビューファインダの用途に十分となる。
【0371】発光体の大きさが小さければ、当然、消費
電力も少ない。以上のように、本発明のビューファイン
ダは観察者が視点を固定して表示画像を見ることを利用
している。通常の直視液晶表示装置では一定の視野角が
必要であるが、ビューファインダは所定方向から表示画
像を良好に観察できれば用途として十分である。集光レ
ンズ663が無収差で、透過率が100%の場合、集光
レンズ663を通して見た発光体の輝度は発光体自身の
輝度と等しい。カラーフィルタ、偏光板、画像の開口率
等を含めた表示パネルの最大透過率を3%、集光レンズ
163の透過率を90%、ビューファインダとして必要
な輝度を15ft−Lとすると、光源に必要な輝度は約5
60ft−Lとなる。これらを満足する発光素子としては
陰極線管、蛍光管等の発光原理を用いた発光管、蛍光発
光素子、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステ
ンランプ、メタルハライドランプ、LED、エレクトロ
ルミネッセンス(EL)などの電子の動作により発光する
素子、プラズマ、ディスプレイパネル(PDP)などの放
電により発光するもの等の自己発光を行なうものが例示
される。これらのどの発光素子でも光発生手段として用
いてもよいが、中でも低消費電力、小型、白色発光を行
える等の点から、発光管、LEDおよび蛍光発光素子が
最適である。中でも、ミニパイロ電機(株)のルナパステ
ル07シリーズ(直径7mmの発光管)が消費電力も少なく
最適である。
【0372】表示パネル81は、各画素への印加電圧を
変えるとその画素の光散乱度合が変化する。電圧無印加
の場合に光散乱度合が最も大きく、印加電圧を大きくす
ると、光散乱度合が減少する。指向性の狭い光を表示パ
ネル81に入射し、光散乱度合を変化させると、その画
素からの観察者の瞳に入射する光量が変化する。つま
り、観察者からみた画素の輝度が変化するので、これを
利用して画像表示を行う。
【0373】表示パネル81にはモザイク状のカラーフ
ィルタ(図示せず)が取り付けられている。画素配置はデ
ルタ配置であり、画素数は約10万画素である。カラー
フィルタ471は赤、緑、青のいずれかの色を透過させ
る。カラーフィルタの構成物により各色の膜厚を制御し
てもよい。カラーフィルタの膜厚はカラーフィルタの作
製時に調整して形成する。つまりカラーフィルタの膜厚
を赤、緑、青で変化させる。カラーフィルタの膜厚によ
り各画素上の液晶の膜厚はそれぞれのカラーフィルタ色
に応じて調整する事ができる。特にPD液晶表示パネル
は、長波長の光(赤色光)に対する散乱特性が悪い。そこ
で、赤の画素の液晶層厚を他の青、緑の画素よりも液晶
層厚を厚くすれば、散乱特性を向上させることができ、
赤、緑、青の階調性を揃えることができる。つまり、図
57から図60の構成の本発明の表示パネル81を用い
ればよい。
【0374】表示パネル81からの出射光の一部は観察
者の瞳に入射するが、他の光は迷光となり、表示画像の
コントラストを低下させる要因となる。この問題を回避
するために、ボデー667と接眼リング665の内面
は、光の反射を防止するために黒色または暗色としてい
る。
【0375】集光レンズ663は平面、つまり曲率半径
の大きい面を発光体661側に向けている。これは、正
弦条件を満足しやすくして、表示パネル81の表示画像
の輝度均一性を良好にするためである。ただし、集光レ
ンズ663は前述の平凸レンズに限定するものではな
く、通常の正レンズでもよいことは言うまでもない。
【0376】接眼リング665のボデー667への挿入
度合を調整することにより、観察者の視力に合わせてピ
ント調整を行なうことができる。なお、接眼カバー66
8により観察者の眼の位置が固定されるので、ビューフ
ァインダの使用中に視点位置がずれることはほとんどな
い。視点が固定されておれば表示パネル81への光の指
向性が狭くても観察者は良好な画像を見ることができ
る。さらに良好に見えるようにするには発光素子661
からの光の放射方向を最適な方向に移動させればよい。
そのため、発光素子661は、前後または左右に多少移
動できるように位置調整機構が付加しておくことが好ま
しい。
【0377】以上のように、本発明のビューファインダ
は発光素子661の小さな発光体から広い立体角に放射
される光を、集光レンズ663により効率良く集光する
ので、蛍光管を用いた面光源のバックライトを用いる場
合に比較して、光源の消費電力を大幅に低減することが
できる。
【0378】なお、図96と図97において、表示パネ
ル81は説明を容易にする観点からPD液晶表示パネル
であるとして説明をしたが、これに限定するものではな
い。動的散乱モード(DSM)液晶等の散乱一透過により
光を変調するものに置きかえてもよい。また、強誘電液
晶も比較的膜厚が厚いとき散乱現象をおこすことが知ら
れている。したがって、強誘電液晶を用いてもよい。そ
の他、光散乱状態の変化として光学像を形成する(光変
調を行なう)ものとしてPLZTが知られている。本発
明の表示パネルおよびそれを用いた表示装置はこれらを
包含するものである。また、本発明の映像信号表示方法
を適用した表示パネルであればよいからTN液晶表示パ
ネルであってもよい。
【0379】図98〜図100は、偏光板を用いた構成
の1例を示す。図98は、PD液晶表示パネルの入出射
面に偏光板331を配置した例である。もちろん単にT
N液晶表示パネルと考えてもよい。なぜならば、図98
の構成における技術的思想は、未公知で、かつ、新規性
および進歩性を有するからである。
【0380】図99は、表示パネルの入射側663の偏
光板331aを集光レンズ663に貼りつけた構成であ
る。集光レンズ663は回転可能なようにする。つま
り、集光レンズ663を回転させることにより、入射側
の偏光板331aと出射側の偏光板331bとの偏光軸3
32の角度を調整できる。偏光軸の角度ずれは表示コン
トラストに直接影響する。したがって、偏光軸の角度調
整は重要である。好ましくは図100に示すように、集
光レンズ663の凸面を発光素子661側に向けるべき
である。正弦条件は多少悪くなるが実用上は問題がな
い。偏光板331aには平行光が入射する。したがっ
て、図99の場合よりも表示コントラストは高くなる。
【0381】なお、以上の事項については特開平7−9
2443号公報に詳しく記載している。前記公報の記載
事項が本明細書にそのまま適用または挿入される。前記
公報には多種多様な構成が記載されている。たとえば図
3の絞り31を具備する構成、図11のボデー667が
屈曲した構成、図12のフレネルレンズ101を用いた
構成である。
【0382】
【発明の効果】また、信号線154等を低誘電体膜24
1で被覆することにより、信号線等から発生する電界を
シールドでき、さらに、横電界を防止でき、画素電極1
51周辺部の光抜けを防止できる。したがって、表示コ
ントラストを向上できる。
【0383】また、図42に示すように液晶表示装置に
低誘電体柱262を形成することにより、信号線からの
電界は、ほぼ完全にシールドされるため、光抜けは全く
発生しない。低誘電体柱262は液晶層87の膜厚を規
定する機能をも有する。つまり、液晶膜厚を規定するビ
ーズとしての役割をはたす。そのため、ビーズの散布は
必要がない。したがって、ビーズ周辺部の光抜けがなく
表示コントラストも良好である。画素電極151上にビ
ーズを散布する必要がないため、前記ビーズによる光抜
けがないという効果を有する。図24に示すように低誘
電体膜231を着色して遮光膜とすれば、液晶層87内
等で発生するハレーションを防止できる。
【0384】図53に示すように凸構造にすれば、界面
455で反射し、ソース信号線154ももどった光45
3aは凸部411により進行方向が変化する。したがっ
て透過光453bが発生せずゴースト等が生じない。ま
た、図54に示すように下層遮光膜構造としてもその効
果は同様である。
【0385】また、図61に示す反射型の表示パネル
は、透過型の表示パネルに比較して、薄い液晶層87の
膜厚でコントラストも良好であり、画素開口率も高いの
で高輝度表示を行うことができる。その上、表示パネル
の裏面には障害物がないのでパネル冷却が容易である。
たとえば、裏面からの強制空冷、液冷を容易に行え、ま
た、裏面にヒートシンク等も取り付けることができる。
【0386】本発明の表示パネルにおいて凸構造または
下層遮光膜構造により界面455で反射した光を散乱ま
たは吸収し、ゴースト等を防止するとした。表示パネル
の光入出射面に凹レンズ391または透明基板を貼りつ
けることにより、前記ゴースト等を防止でき、さらに、
2次散乱防止効果により、表示コントラストを向上でき
る。
【0387】偏光板331を用いる場合は、偏光板33
1の偏光軸332は横電界の発生方向と一致させる。ま
た、駆動方式を考慮して横電界の発生方向を制御する。
偏光板331の偏光軸332を横電界の発生方向と一致
させることにより画素電極151周辺部からの光抜けを
完全に防止でき、高コントラスト表示が行える。
【0388】本発明の投写型表示装置では本発明の表示
パネルをライトバルブとして採用しているため、高輝度
表示を実現では、また200インチ以上の大画面化にも
対応できる。また、R・G・Bの光の波長に応じてそれ
ぞれの表示パネルの液晶膜厚を厚くまたは/および水滴
状液晶の半径粒子径を最適にしているので、表示コント
ラストが良好な画像表示を実現している。また、画素周
辺部からの光抜けもなく、白ウィンドウ表示等も良好で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施例の映像信号表示方法の説明
【図2】 本発明の他の実施例の映像信号表示方法の説
明図
【図3】 アクティブマトリクス型液晶表示パネルを用
いた本発明の一実施例の映像信号表示装置の構成を示す
ブロック図
【図4】 図3におけるゲート駆動ICのより詳細な構
成を示すブロック図
【図5】 図3におけるラインメモリに入力されるメモ
リ制御信号およびその入出力画像信号のタイミングチャ
ート
【図6】 図3におけるゲート駆動IC制御回路36か
らゲート駆動IC38、39に入力されるゲート駆動I
C制御信号のタイミングチャート
【図7】 図3におけるゲート駆動IC制御回路37か
らゲート駆動IC38、39に入力されるゲート駆動I
C制御信号のタイミングチャート
【図8】 本発明の駆動方法の説明図
【図9】 本発明の映像信号処理装置の説明図
【図10】 本発明の表示装置の説明図
【図11】 アクティブマトリクス型液晶表示パネルを
用いた本発明の一実施例の映像信号表示装置の構成を示
すブロック図
【図12】 本発明の映像信号表示方法の説明図
【図13】 本発明の映像信号表示方法の説明図
【図14】 本発明の映像信号表示方法の説明図
【図15】 本発明の映像信号表示方法の説明図
【図16】 本発明の表示装置のブロック図
【図17】 本発明の表示装置のブロック図
【図18】 本発明の他の実施例における映像信号表示
方法の説明図
【図19】 本発明の他の実施例における映像信号表示
方法の説明図
【図20】 本発明の他の実施例における映像信号表示
方法の説明図
【図21】 本発明の他の実施例における映像信号表示
方法の説明図
【図22】 本発明の他の実施例における映像信号表示
方法の説明図
【図23】 高分子分散液晶の動作の説明図
【図24】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図25】 本発明の他の実施例における表示装置の平
面図
【図26】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図27】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図28】 本発明の他の実施例における表示装置の一
部等価回路図
【図29】 本発明の他の実施例における表示装置の説
明図
【図30】 P偏光とS偏光の説明図
【図31】 P偏光とS偏光の説明図
【図32】 本発明の表示装置の説明図
【図33】 本発明の表示装置の説明図
【図34】 本発明の表示装置の駆動方法の説明図
【図35】 本発明の表示装置の説明図
【図36】 本発明の表示装置の説明図
【図37】 本発明の表示装置の説明図
【図38】 本発明の他の実施例における表示装置の構
成図
【図39】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図40】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図41】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図42】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図43】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図44】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図45】 本発明の他の実施例における表示装置の平
面図
【図46】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図47】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図48】 本発明の映像信号処理方式の説明図
【図49】 前段ゲート方式構造の等価回路図
【図50】 本発明の映像信号処理方式の説明図
【図51】 共通電極方式構造の等価回路図
【図52】 本発明の表示装置の説明図
【図53】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図54】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図55】 本発明の他の実施例における表示装置の一
部平面図
【図56】 本発明の表示装置のスイッチング素子部の
断面図
【図57】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図58】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図59】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図60】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図61】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図62】 本発明の表示装置の駆動方法の説明図
【図63】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図64】 本発明の他の実施例における表示装置の説
明図
【図65】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図66】 本発明の表示装置の説明図
【図67】 本発明の他の実施例における断面図
【図68】 本発明の他の実施例における断面図
【図69】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図70】 本発明の他の実施例における表示装置の断
面図
【図71】 本発明の投写型表示装置の構成図
【図72】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置の構成図
【図73】 本発明の駆動方法の説明図
【図74】 V−T特性のグラフである。
【図75】 液晶表示パネルの表示状態の説明図
【図76】 本発明の駆動回路の説明図
【図77】 本発明の駆動方法の説明図
【図78】 本発明の駆動方法の説明図
【図79】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置の構成図
【図80】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置の構成図
【図81】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置の構成図
【図82】 本発明の投写型表示装置の光学部品の斜視
【図83】 本発明の投写型表示装置の改良方法の説明
【図84】 図83に示す本発明の投写型表示装置のダ
イクロイックミラーを反射する分光特性図
【図85】 図80の投写型表示装置のダイクロイック
ミラーを反射する分光特性図
【図86】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置(1枚の表示パネルでカラー画像を表示する場合)の
説明図
【図87】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置(1枚の表示パネルでカラー画像を表示する場合)の
構成図
【図88】 本発明の投射表示装置の構成図
【図89】 図90の構成を用いてカラー画像を表示す
る場合の構成図
【図90】 本発明の他の実施例における投写型表示装
置の説明図
【図91】 図90の説明図
【図92】 図90の説明図
【図93】 図90の説明図
【図94】 図90の説明図
【図95】 図90の説明図
【図96】 本発明のビューファインダの外観図
【図97】 本発明のビューファインダの断面図
【図98】 本発明のビューファインダの他の実施例の
断面図
【図99】 本発明のビューファインダの他の実施例の
断面図
【図100】 本発明のビューファインダの他の実施例
の断面図
【図101】 アクティブマトリックス型液晶表示パネ
ルを用いた従来の映像信号表示装置の構成を示すブロッ
ク図
【図102】 従来の表示装置の課題の説明図
【図103】 従来の表示装置の課題の説明図
【図104】 従来の液晶表示装置の課題の説明図
【図105】 従来の液晶表示装置の課題の説明図
【符号の説明】
31 表示ライン選択回路 32 ソース信号処理回路 33 ソース駆動回路 35 表示方法選択回路 36,37 ゲート駆動回路制御回路 38 ゲート駆動回路 40 A/D変換器 41 ラインメモリ 42 D/A変換器 43 ラインメモリ制御回路 44 切換器 81 液晶表示パネル 86 TFT 87 液晶層 88 対向電極 101 画素 141 アンプ 142 位相分割回路 143 出力切り換え回路 144 ドライブ制御回路 151 画素電極 153 ゲート信号線 154 ソース信号線 155 遮光膜 161 対向基板 162 アレイ基板 163 絶縁膜 171 付加コンデンサ 181 水滴状液晶 182 ポリマー 231 低誘電体膜 232 絶縁膜 263 電気力線 281 液晶分子 311 入射光 312 法線 313 振動方向 315 P偏光軸 316 光分離面 317 P偏光 318 P偏光面 319 偏光板の偏光軸 331 偏光板 332 偏光軸 361 偏向ビームスプリッタ 372 反射電極 373 接続部 374 絶縁膜 391 透明基板 392 光結合層 411 凸部 471 カラーフィルタ 472 誘電体薄膜(紫外線吸収膜) 521 光源 521a ランプ 521b 凹面鏡 521c UVIRカットフィルタ 522 リレーレンズ 523 ダイクロイックミラー 524 投写レンズ 526 アパーチャ 531 ミラー 532 フィールドレンズ 541 光軸 541a 入射光線(入射光線の光軸) 541b 出射光線(出射光線の光軸) 542 スクリーン 551 光分離面 552 補助レンズ 553 ダイクロイックプリズム 561 光吸収膜 562 光入出射面 581 マイクロレンズアレイ 582 マイクロレンズ 592 発光体 594 入力部収束レンズアレイ 595 中央部収束レンズアレイ 596,598 絞り 597 出力部収束レンズアレイ 599 入力部収束レンズ 600 中央部収束レンズ 601 二次発光体 603 実像 604 光軸 663 集光レンズ 665 接眼リング 666 接眼レンズ 667 ボデー 668 接眼ゴム 669 取付け金具 702 逆ドメイン領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1343 G02F 1/1343 5C094 1/1368 1/1368 G03B 21/00 G03B 21/00 E G09F 9/30 338 G09F 9/30 338 349 349Z 9/35 9/35 // G02F 1/1334 G02F 1/1334 Fターム(参考) 2H042 AA09 AA15 AA26 BA04 BA20 2H089 HA04 KA08 LA09 LA11 QA11 QA14 2H091 FA02Z FA05Z FA15Z GA11 GA13 HA06 JA02 LA03 LA12 LA15 LA16 MA07 2H092 GA13 GA28 HA05 JA24 JB05 JB13 JB16 JB32 JB38 JB51 KB21 NA25 PA03 PA08 PA10 PA13 2H093 NA16 NC13 NC16 NC22 NC23 NC28 ND35 5C094 AA03 AA06 BA03 BA43 CA19 CA24 DA14 DA15 DB01 DB04 EA04 EA06 EA07 EB02 ED03 ED11 ED14 ED15 FB12 FB15 FB16

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画素電極がマトリックス状に配置された
    第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板に挟持された液晶層
    と、 前記画素電極上に、かつ画素電極に対応して形成された
    カラーフィルタと、 前記第2の基板上に形成された誘電体薄膜とを具備し、 前記誘電体薄膜は各画素電極に対応してパターニングさ
    れていることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】 画素電極がマトリックス状に配置された
    第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板に挟持された液晶層
    と、 前記画素電極上に、かつ画素電極に対応して形成された
    カラーフィルタと、 前記第2の基板上に形成された誘電体薄膜と、画素電極
    間に配置された前記液晶層の膜厚と略一致する誘電体柱
    を具備し、前記誘電体薄膜は各画素電極に対応してパタ
    ーニングされていることを特徴とする液晶表示装置。
  3. 【請求項3】 画素電極がマトリックス状に形成された
    第1の基板と、対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板に挟持された液晶層と
    を具備し、 前記画素電極は反射電極であり、 前記第2の基板には、前記対向電極に積層されて少なく
    とも1層の誘電体薄膜とが形成されており、 前記誘電体薄膜の屈折率は、前記ITO薄膜の屈折率よ
    りも小さく、かつ、前記液晶層の屈折率よりも大きく、
    かつ、屈折率は1.5以上1.8以下であり、 Nを1以上の奇数、Mを1以上の整数、λを光の設計主
    波長としたとき、前記誘電体薄膜の光学的膜厚は略(N
    ・λ)/4であり、かつ、前記ITO薄膜の光学的膜厚
    は略(M・λ)/2であり、または、前記誘電体薄膜の
    光学的膜厚は略(N・λ)/4であり、かつ、前記IT
    O薄膜の光学的膜厚は略(N・λ)/4であることを特
    徴とする液晶表示装置。
  4. 【請求項4】 画素電極がマトリックス状に形成された
    第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板に挟持された液晶層
    と、 前記画素電極または前記対向電極と積層されたカラーフ
    ィルタと、 前記カラーフィルタが形成されていない方の基板に形成
    された誘電体薄膜とを具備し、 前記誘電体薄膜は画素電極に対応してパターニングされ
    ていることを特徴とする液晶表示装置。
  5. 【請求項5】 マトリックス状に配置された画素電極
    と、前記画素電極に信号を印加するスイッチング素子
    と、前記スイッチング素子に信号を伝達する信号線とが
    形成された第1の基板と、 第2の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板の間に挾持された液晶
    層とを具備し、 前記信号線に微小な凹形状と微小な凸形状のうち少なく
    とも一方の形状が形成されていることを特徴とする液晶
    表示装置。
  6. 【請求項6】 透過型の画素電極がマトリックス状に形
    成された第1の基板と、 第2の基板と、 前記第1の基板と前記第2の基板間に挟持された液晶層
    と、 前記画素電極の周辺部に配置または形成された光吸収膜
    とを具備することを特徴とする液晶表示装置。
  7. 【請求項7】 マトリックス状に配置された画素電極
    と、前記画素電極に信号を印加するスイッチング素子
    と、前記スイッチング素子をオンオフさせる信号を伝達
    する第1の信号線と、前記画素電極に印加する信号を伝
    達する第2の信号線とが形成された第1の基板と、 対向電極が形成された第2の基板と、 前記第1の基板と第2の基板間に挟持された液晶層と、 前記画素電極に、前記対向電極の電位に対して正極性ま
    たは逆極性の信号を印加する駆動手段と、 前記第1の基板側と第2の基板側のうち少なくとも一方
    に配置された偏光手段とを具備し、 前記駆動手段は、マトリックス状に配置された画素電極
    に、複数行ごとに極性が異なる第1の状態、または一列
    もしくは複数列ごとに極性が異なる第2の状態となるよ
    うに、画素電極に信号を印加し、 前記第1の状態の時は、前記偏光手段の偏光軸が第2の
    信号線の形成方向と略一致させ、 前記第2の状態の時は、前記偏光手段の偏光軸が第1の
    信号線の形成方向と略一致させていることを特徴とする
    液晶表示装置。
  8. 【請求項8】 液晶層への光入射側または光出射側に、
    位相差フィルムまたは位相差板が配置されていることを
    特徴する請求項1から請求項7のいずれかに記載の液晶
    表示装置。
  9. 【請求項9】 複数の画素行に同一極性の映像信号が保
    持され、かつ複数の画素行ごとに保持される映像信号の
    極性が異なっており、横方向に隣接した画素に保持され
    る映像信号の極性が逆極性であることを特徴とする請求
    項1から請求項7のいずれかに記載の液晶表示装置。
  10. 【請求項10】 光発生手段と、 前記光発生手段から放射される光を変調する請求項1か
    ら請求項9のいずれかに記載の液晶表示装置と、 前記液晶表示装置で変調された光を投射する投射レンズ
    を具備することを特徴とする投射型表示装置。
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