JP2002107362A - 毛髪の損傷診断方法 - Google Patents
毛髪の損傷診断方法Info
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Abstract
かな試料であっても精度良く、早く、簡単に毛髪の損傷
度を知ることができる診断方法を提供せんとするもので
ある。 【解決手段】水溶性第二銅塩、アルカリ金属の水酸化物
及び/又はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩か
ら選ばれるアルカリ性物質、銅イオン錯体を形成する物
質、かつ、ビシンコニン酸を含有する試薬に、毛髪試料
を直接入れ、試料からのタンパク溶出とタンパク呈色を
同時に行い、試薬の発色により試料の損傷度を診断する
ことを特徴とする毛髪の損傷診断方法。
Description
精度良く、早く、簡単に知ることができる診断方法に関
する
膚の角質層、羊毛、羽毛、角、爪、蹄などは、ケラチン
を主成分としている生体組織である。しかし、人間にお
いては、生物学的な生体保護効果よりも、ファッション
の一部として、その見た目や弾力性などが重要な役割と
なっている。例えば毛髪は、洗髪、ブラッシング、ドラ
イヤーによる加熱、パーマ、ヘアダイなどの化学的施術
により損傷を受けているが、毛髪は自律的に修復するこ
とはできない為に、損傷が蓄積していき、徐々に艶や弾
力性が失われていき、最終的に枝毛や切れ毛といった状
態になる。枝毛や切れ毛を防ぐためには、毛髪の損傷度
を正確に把握し、トリートメント剤などによる日々のケ
アの方法や、パーマ等の施術の方法を検討する必要があ
る。
は、その組織の形態を観察する方法、その組織の物理的
能力を測定する方法、また、その組織の化学的分析を行
う方法があった。組織の形態を観察する方法として、電
子顕微鏡などにより組織一部を拡大する方法があるが、
大掛かりで高価な機器が必要であり、また基準の設定が
難しいために精度が劣っていた。組織の物理的能力を測
定する方法として、毛髪の引張り強度や伸び率を測定す
る方法が提案されている(特開平07−306200号
公報)。具体的には、毛髪の引張り強度と伸び率とを測
定し、毛髪の弾性領域における引張り強度と伸び率とか
ら弾性値を求め、その弾性値と別個に測定した毛髪の径
とから毛髪の柔軟性の度合いを診断するというものであ
る。しかし、この方法も特殊な機器を必要とし、精度を
確保するために多くの検体で試験する必要があった。
組織を構成する物質の溶出量を測定する方法、その化学
的組成の変化を確認する方法などがあった。例えば、毛
髪は損傷によりS―S結合が切れ、SH基が生じること
が知られているが、このSH基に選択的に蛍光物質を結
合させ、蛍光発色を観察することにより毛髪の損傷を診
断する方法が提案されている(特開平08−27151
5、特開平09−127105)。やはりこれらの方法
も、蛍光測定などの高価な装置を必要とし、操作が煩雑
になるという問題があった。
のタンパク溶出量が多くなることが知られており(Ma
sako oku,et al,J.Soc.Cosm
et.Chem.Japan,199,21(1987))、毛
髪からのタンパク溶出量を測定することにより、毛髪の
損傷を知ることができる。しかし、毛髪からのタンパク
の溶出量を測定するには、毛髪からのタンパク抽出作業
とタンパク濃度測定作業の2つの作業を行う必要がある
ため、長時間を要し、また液体クロマトグラフィーのよ
うな装置が必要になるため測定が煩雑になっていた。
殊で高価な測定装置を必要とせず、またわずかな試料で
あっても精度良く、短時間で、簡単に毛髪の損傷度を知
ることができる診断方法を提供せんとするものである。
た結果、毛髪試料を直接投入するだけで、試料からのタ
ンパク溶出とその溶出したタンパクの呈色を同時に行
い、その発色度により毛髪の損傷度合いを診断すること
ができる方法を見出し、本発明に至った。
より達成される。 (1)水溶性第二銅塩、アルカリ金属の水酸化物及び/
又はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩から選ば
れるアルカリ性物質、銅イオン錯体を形成する物質、か
つ、ビシンコニン酸を含有する試薬に、毛髪試料を直接
入れ、試料からのタンパク溶出とタンパク呈色を同時に
行い、試薬の発色により試料の損傷度を診断することを
特徴とする毛髪の損傷診断方法。 (2)試薬の保持温度20〜100℃での診断試薬のp
Hが11〜13であることを特徴とする上記(1)記載
の毛髪の損傷診断方法。
試料タンパク質の溶出と呈色を1段階で行い、その発色
の度合いで毛髪の損傷を診断することにある。つまり、
本発明の試薬に適当量の試料(毛髪)を直接投入する
と、試料の損傷度に応じて試料からタンパクが溶出す
る。それと同時に、試薬中の銅イオンが溶出したタンパ
クにより還元されて第一銅塩になる。この第一銅塩とビ
シンコニン酸がキレーション(錯体化)して発色すると
いうわけである。この発色の度合いは試料からの溶出タ
ンパクの量に比例しており、発色が強いほど溶出タンパ
クの量が多い、つまり損傷が大きいということが分か
る。従って、試薬の発色度を確認することによって、試
料の損傷度を知ることができるのである。
毛髪を測定機にセットしたり、毛髪を試薬より取りだ
し、洗浄・乾燥して診断するといったことを一切行うこ
となく、試薬に試料を入れ、一定時間放置するだけで、
その損傷度を診断することが出来るのである。
よるもので十分であり、色見本などを用いて行えばより
簡単に試薬の発色度、つまり毛髪の損傷度を判断するこ
とが出来る。より厳密に損傷度合いを診断したい場合は
分光光度計などの装置を使用しても、もちろん構わな
い。
としては、硫酸銅、塩化銅、臭化銅、酢酸銅など有機、
無機の第二銅塩を挙げることが出来る。診断試薬中の水
溶性第二銅塩の濃度は、0.001〜10%が好まし
く、0.01〜1%が更に好ましい。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩から選ばれる
アルカリ性物質は、銅キレート化剤の発色の安定と試料
からのタンパク溶出をコントロールするためにpH調整
の目的で添加され、アルカリ金属の水酸化物としては、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが
挙げられ、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩と
しては、ナトリウム、カリウム、リチウム又はカルシウ
ム、マグネシウム、バリウム、ベリリウムの炭酸塩、硫
酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、塩化物、
臭化物、沃化物、弗化物等が挙げられる。
ム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましいが、酸
のままでも用いることができる。診断試薬中のビシンコ
ニン酸の濃度は、0.01〜10%が好ましく、1〜5
%が更に好ましい。尚、ビシンコニン酸と銅塩による蛋
白質検出方法は、Anal.Bio.Chem.,15
0,76,(1985)、などに記載されている。
物質は、第二銅塩の安定化の目的で添加され、エチレン
ジアミン、ニトリロトリ酢酸、クエン酸、酒石酸および
これらの塩を用いることができるが、好ましくは酒石酸
および酒石酸ナトリウム、カリウムなどのアルカリ塩で
ある。診断試薬中の銅イオン錯体を形成する物質の濃度
は、0.01〜10%が好ましく、0.1〜1%が更に
好ましい。
状態で保存し、使用前に水や水と有機溶媒との混合溶媒
などに溶解させて使用することができる。また、診断試
薬には試料からのタンパク溶出をコントロールする目的
で、界面活性剤、塩類、有機溶媒、増粘剤等を添加する
ことができる。
る容器としては、診断試薬の色の変化を観察又は測定で
きるものであれば、その形状や容量はいかなるものでも
使用できるが、光透過性の高い材質の試験管、マイクロ
チューブなどの容器に入れて使用することが好ましい。
は、容器や毛髪試料に合わせ調整して構わないが、毛髪
試料1mgに対して0.1〜100mlにすることが好
ましく、1〜10mlが更に好ましい。
てからの時間と保持温度、試料の重量と形状は特に規定
されない。しかし、診断の精度を保つために、診断試薬
に試料を投入してから発色を確認するまでの放置時間は
1〜120分、好ましくは3〜30分である。この点か
ら見ても、従来の損傷毛のSH基に選択的に蛍光物質を
結合させて、蛍光発色を観察することにより毛髪の損傷
を診断する方法の損傷毛と蛍光物質の反応に掛かる時間
(数分〜5時間)と比べて、かなり簡易な方法であるこ
とがわかる。
を確認するまでの保持温度は、試薬が液体である範囲な
らば0〜100℃のいずれの温度でも構わない。しか
し、20℃未満の温度では毛髪からもタンパク溶出が少
なくなるために発色が小さくなり、発色時間を長くした
り、サンプル量を多くしたりする必要があるので、好ま
しくは20〜100℃である。
いても有効であるが、ビシンコニン酸の溶解が容易なp
H9〜14の範囲が好ましい。保持温度にも影響される
が、上記の好ましい温度20〜100℃の場合、pH1
1未満ではダメージを受けている毛髪からのタンパク溶
出が少なくなるために発色が小さくなる。またpH13
を超えると健常な毛髪からもタンパク溶出が多くなるた
めに発色が大きくなり、損傷毛の発色差の判断がしにく
くなるため、診断の正確さを上げるためにはpH11〜
13が好ましい。
明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
ン酸2ナトリウム1.0%、炭酸ナトリウム1.7%、
酒石酸ナトリウム0.16%、水酸化ナトリウム0.4
%、炭酸水素ナトリウム0.95%の水溶液)と試薬B
(硫酸銅2.6%水溶液)をA:B=50:1で混合し
てpH12.5の本発明の試薬を作成した。毛髪サンプ
ルとして、パーマ、ブリーチなどの化学的処理を実施し
ていない健常毛髪、パーマ処理を1回した毛髪、ブリー
チ処理を1回した毛髪、パーマ処理とブリーチ処理をそ
れぞれ1回づつした毛髪、パーマ処理を2回した毛髪、
ブリーチ処理を2回した毛髪、パーマ処理とブリーチ処
理をそれぞれ2回づつした毛髪を用意した。試験管に、
診断試薬2mLと毛髪サンプル(10cm)を入れて、
60℃で5分間加熱した。その後、目視にて診断試薬の
発色を観察し、変化なし―、 大変うすい紫+、 薄い
紫++、 紫+++、 濃い紫++++、 大変濃い紫
+++++ の基準で評価した。結果は表1にまとめ
た。
発色が強くなっているため、毛髪の損傷状態を診断する
ことができる。しかも再現性に優れているものであっ
た。さらに試薬が用意してあれば、簡単な操作で、短時
間に毛髪を診断することができる。
度の診断)実施例1の試薬Aを、炭酸水素ナトリウムを
添加してpH10、pH11、pH12に、また、水酸
化ナトリウムを添加してpH13、pH14に調整し
た。こうしてpH調整した試薬を実施例1と同様に、試
薬Bと50:1で混合し、pH10、pH11、pH1
2、pH13、pH14の5種類の本発明の試薬を用意
した。この試薬を用いて、化学的処理を実施していない
健常毛髪とパーマ処理とブリーチ処理をそれぞれ1回づ
つした損傷毛髪の2種類のサンプルを実施例1同様に
(保持温度60℃で)診断した。結果を表2にまとめ
た。
た場合、健常毛髪と損傷毛髪で発色にはっきりした差が
あり、損傷の診断ができる。pH13の場合、健常毛に
も若干の発色が見られるが、損傷毛との差が明らかであ
り区別可能である。一方、pH10では、損傷毛髪でも
発色が起こりにくく、健常毛髪と区別しにくい。また、
pH14では、健常毛髪でも発色が起こりやすく、損傷
毛と区別がつけにくい。
いう全く簡便な方法で、毛髪の損傷度を精度良く、早く
知ることができる。また、損傷度を試薬の発色の度合い
で診断することができ、目視において診断可能である。
さらに色見本などを用いるとより診断しやすくなる。特
別な装置や操作を必要とすることがなく、試薬とそれを
入れる発色度を確認できる容器があれば、どこでも誰で
もが毛髪の損傷度を診断することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 水溶性第二銅塩、アルカリ金属の水酸化
物及び/又はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩
から選ばれるアルカリ性物質、銅イオン錯体を形成する
物質、かつ、ビシンコニン酸を含有する試薬に、毛髪試
料を直接入れ、試料からのタンパク溶出とタンパク呈色
を同時に行い、試薬の発色により毛髪の損傷度を診断す
ることを特徴とする毛髪の損傷診断方法。 - 【請求項2】 試薬の保持温度20〜100℃での診断
試薬のpHが11〜13であることを特徴とする請求1
記載の毛髪の損傷診断方法。
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---|---|---|---|
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- 2000-09-29 JP JP2000300814A patent/JP4523137B2/ja not_active Expired - Fee Related
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