JP2002102820A - 廃棄物ガス化溶融ダストの処理方法及びその装置 - Google Patents

廃棄物ガス化溶融ダストの処理方法及びその装置

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JP2002102820A
JP2002102820A JP2000295999A JP2000295999A JP2002102820A JP 2002102820 A JP2002102820 A JP 2002102820A JP 2000295999 A JP2000295999 A JP 2000295999A JP 2000295999 A JP2000295999 A JP 2000295999A JP 2002102820 A JP2002102820 A JP 2002102820A
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dust
waste
heavy metal
particles
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JP2000295999A
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Inventor
Toshihiro Tadami
俊宏 多々見
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集塵機で捕集されたダスト全体の処理を効率
的に行うことができ、又、操業上のトラブルが発生しな
い、廃棄物ガス化溶融ダストの処理方法及びその装置を
提供することを目的とする。 【解決手段】 廃棄物ガス化溶融炉10から発生したダ
ストを集塵機60で捕集し、この集塵ダストを分級手段
61により分級して重金属の含有量が少ない粗粒分と重
金属の含有量が多い微粒分に分別する。粗粒分を安定化
処理設備62へ送り重金属の安定化処理を行った後、埋
め立て処分し、微粒分を重金属回収処理設備へ送って重
金属回収処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は廃棄物ガス化溶融炉
から発生した排ガス中のダストの処理方法及びその装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、廃棄物を熱分解してガス化した
後、燃焼させて高温のガスを発生させ、その残渣を溶融
しスラグにして排出する、いわゆる廃棄物ガス化溶融処
理技術の開発が進められている。この技術は上記の特徴
を有すると共に廃棄物の減容化と重金属の安定化が同時
に達成される技術としても注目されている。
【0003】廃棄物をガス化溶融処理する技術には幾つ
かの方法があるが、その一つとして、竪型の炉内に堆積
させたコークスを燃焼させて高温燃焼帯を形成させ、こ
の高温のコークス層の上に廃棄物を投入して熱分解させ
てガス化し、熱分解残渣を溶融してスラグ化する方法が
ある。
【0004】しかし、廃棄物ガス化溶融処理において
も、集塵機などに集められたダストが排出され、このダ
ストには有害な重金属が含まれているため、その埋め立
て処分に際しては、法令により定められた方法によっ
て、ダスト中の有害重金属を安定化させる処理(以下、
ダストの安定化処理と記す)をした後、埋め立て処分し
ている。
【0005】このダストの安定化処理に際しては、多く
の場合、処理操作が簡単な薬剤混練法が採用されてい
る。薬剤混練法においては、ダストに液体キレート剤を
加えて混練し、ダスト中の重金属と液体キレート剤を反
応させて水に不溶性のキレート錯体を形成させる処理が
行われる。
【0006】又、他の方法として、ダストをガス化溶融
炉へ返送して溶融させ、スラグとして排出する処理方法
の提案もなされている。
【0007】一方、近年、環境汚染の防止に対して一層
厳しく対処しなければならない状況になるにと共に、資
源のリサイクルが叫ばれるようになり、ダストの処分方
法が埋め立て処分から重金属を回収する方法に指向され
つつある。この重金属の回収処理においては、ダストに
酸を加えて亜鉛や鉛などの重金属を溶出させた後、この
抽出液にアルカリを加えて水酸化物を沈殿させ、或い
は、さらに水溶性硫化物を加えて硫化物を沈殿させる。
次いで、濾別して沈殿物を分離し、非鉄製錬に供するこ
とができるものを得ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
には、その何れにおいても、改善すべき余地が残されて
いる。
【0009】液体キレート剤を添加するダストの安定化
処理においては、液体キレート剤が非常に高価な薬剤で
あるので、潜在的な問題として、ダストの処理コストが
非常に高くなるということが挙げられる。又、この処理
方法においては、鉛などの有害重金属の含有量に応じて
液体キレート剤が添加されるので、特に、重金属の含有
量が多いダストを処理する場合には、高価な液体キレー
ト剤を多量に使用しなければならず、ダストの処理コス
トが一層高くなる。さらに、ガス化溶融炉から飛散する
ダストの量は、一般の灰溶融炉などで発生するダストの
量と比較して多いので、多量のダストを処理しなければ
ならない。このため、コストの面からみると、このダス
ト処理法が必ずしも効率的な方法であるとは言えない。
【0010】又、集塵機で捕集されたダストをガス化溶
融炉へ返送する処理方法においては、ダスト中に含まれ
ている塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩類や重金
属化合物が高温のガス化溶融炉内で気化し、再び集塵機
で捕集される。このため、返送したダストの大部分は溶
融スラグになって排出されるが、上記塩類や重金属化合
物は排ガスライン内を循環しながら系内に蓄積する。そ
して、塩類などが多量に含まれている排ガスが系内を流
通していると、塩類などが煙道に付着してガスの流通に
支障が生じたり、機器に付着して目詰まりしたりする操
業上のトラブルが発生する。
【0011】又、ダスト中の重金属を酸抽出して回収す
る方法においては、次のような問題がある。ガス化溶融
炉から飛散するダストの量が一般の灰溶融炉などから飛
散するダストの量と比較して多いため、集塵機で捕集さ
れるダスト中の重金属の含有率が低く、亜鉛の含有率が
0.5〜4mass%、鉛の含有率が0.2〜2mas
s%程度である。このため、回収する重金属の含有率が
非鉄製錬原料として供給される他の原料に比べ非常に少
なく、重金属の回収処理が効率的に行われない。
【0012】本発明は、上記の問題を解決し、集塵機で
捕集されたダストを効率よく処理することができ、又、
操業上のトラブルが発生しない、廃棄物ガス化溶融ダス
トの処理方法及びその装置を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するための調査の一環として、廃棄物ガス化溶
融炉から発生するダストの性状を調べたところ、粒度に
よって成分組成が異なることを見出した。
【0014】この知見は、廃棄物ガス化溶融炉で都市ご
みをガス化溶融処理した際に、バグフィルターで捕集さ
れたダストについて、各種成分の含有量を粒度別に調べ
た結果に基づくものである。この試験は、排ガス中の塩
化水素を除去するための消石灰粉の吹き込みを行った場
合に採取したダストを調べたものであって、その結果は
図4〜図6及び表1に示す通りであった。図4はバグフ
ィルターで捕集されたダストの粒径分布を示す図であ
る。図5、図6は気流式の微粉分級装置により、目標分
別粒径を10μmにして粗粒分と微粒分に分別したもの
の粒径分布を示す図であり、図5は粒径10μmを超え
るものを主とする粗粒分の粒径分布を示し、図6は粒径
10μm以下のものを主とする微粒分の粒径分布を示
す。又、表1は上記ダストの成分分析値を示す。なお、
上記各図における粒径分布は個数分布で示す。
【0015】
【表1】
【0016】図4〜図6及び表1によれば、10μm以
下のものを主とする微粒分には、重金属や塩素分(塩化
物)の成分が多く含まれており、重金属の含有量は粗粒
分の値に対し約2〜4倍であった。そして、Si、C
a、Alなどの灰分成分は10μmを超える粒度の粗粒
分に多く含まれており、10μm以下の粒度のものには
少なくなっていた。この結果、廃棄物ガス化溶融炉から
発生するダストにおいては、主として重金属や塩類が微
細な粒子として存在し、主として灰分成分からなるもの
が相対的に粗い粒子として存在していることが判った。
【0017】このことから、相対的に粗い粒子はSi、
Ca、Alなどの灰分成分がガス化溶融炉から飛散した
ものであり、微細な粒子の多くは塩類や重金属化合物が
ガス化溶融炉の高温部で気化した後、凝縮して固化した
ものであるものと考えられる。そして、塩類や重金属化
合物の粒子は気化して生成したものであって、極めて微
細な粒子であるので、廃棄物ガス化溶融炉から発生する
ダストにおいては、或る粒径を境に成分の偏りが生じて
いるものと考えられる。
【0018】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものであり、次のような特徴を有する。
【0019】請求項1の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理方法は、廃棄物ガス化溶融炉から発生したダ
ストを集塵機で捕集し、この集塵ダストを分級手段によ
り分級して重金属の含有量が少ない粗粒分と重金属の含
有量が多い微粒分に分別することを特徴としている。
【0020】請求項2の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理方法は、請求項1の発明において、粗粒分を
安定化処理設備へ送って重金属の安定化処理を行うこと
を特徴としている。
【0021】請求項3の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理方法は、請求項1の発明において、粗粒分を
廃棄物ガス化溶融炉へ装入して加熱すると共に、新たに
装入された廃棄物と共に溶融して排出することを特徴と
している。
【0022】請求項4の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理方法は、請求項1〜請求項3の何れかの発明
において、微粒分を重金属回収処理を行う設備へ送って
処理することを特徴としている。
【0023】請求項5の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理方法は、請求項1〜請求項4の何れかの発明
において、集塵機で捕集した集塵ダストを、主として粒
径10μmを超える粒子よりなる粗粒分と、主として粒
径10μm以下の粒子よりなる微粒分に分別することを
特徴としている。
【0024】請求項6の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理装置は、廃棄物ガス化溶融炉から発生した排
ガス中のダストを除去する集塵機と、集塵機で捕集した
ダストを分級して重金属の含有量が少ない粗粒分と重金
属の含有量が多い微粒分に分別する分級手段を有するこ
とを特徴としている。
【0025】請求項7の発明に係る廃棄物ガス化溶融ダ
ストの処理装置は、請求項6の発明において、分級手段
が気流式の微粉分級装置であることを特徴としている。
【0026】前述のように、ダスト中の重金属の分布が
微粒分に偏析しているので、廃棄物ガス化溶融炉から発
生したダストを或る粒径で分級して粗粒分と微粒分の2
種類のダストに分ければ、重金属を多く含むダストと重
金属の含有量が少ないダストに分別することができる。
そして、このような2種類のダストに分別することがで
きれば、それぞれに適した処理方法を選定して処理する
ことができるので、廃棄物ガス化溶融炉から発生したダ
ストを総合的に効率よく処理することができる。
【0027】例えば、重金属含有量が少ない粗粒分のダ
ストについては、液体キレート剤などの薬剤混練法によ
り安定化処理をすれば、薬剤の添加量が少なくて済むの
で、埋め立て処分するダストを低コストで安定化処理す
ることができる。
【0028】又、重金属含有量が少ない粗粒分のダスト
を高温の廃棄物ガス化溶融炉へ投入すれば、廃棄物の熱
分解残渣と一緒に溶融されてスラグとなり、安定化され
て炉外へ排出される。このため、ダストをスラグ化して
有効利用することができると共に、ダストの処理が簡素
化される。この際、ダスト中に含まれていた塩化物や重
金属化合物が高温のガス化溶融炉内で気化するが、これ
らは集塵機で捕集され、次いで微粉分級装置で分級され
て微粒分に移行し、排ガスラインの系外へ排出される。
このため、排ガスライン内に塩類などが蓄積することが
なく、操業上のトラブルは発生しない。
【0029】そして、重金属を多く含む微粒分のダスト
については、重金属回収処理を行う設備へ送って重金属
を回収する処理を行えば、鉛や亜鉛などの製錬原料とし
て有効利用することができる。
【0030】本発明において、通常の廃棄物ガス化溶融
炉から発生したダストを粗粒分と微粒分に分別する場
合、分別する粒径を10μm程度にすれば、重金属の多
くが微粒分のダストに含まれるものと判断される。分別
する粒径を10μmになるように設定して分級した場
合、主として粒径10μmを超える粒子よりなる粗粒分
のダストと、主として粒径10μm以下の粒子よりなる
微粒分のダストに分級されるが、粗粒分と微粒分の粒度
分布が次の範囲内になるようにすることが望ましい。粗
粒分には、粒径10μmを超える粒子が60%(個数分
布)以上存在し、微粒分には、粒径10μm以下の粒子
が60%(個数分布)以上存在していることが望まし
い。
【0031】なお、すべての廃棄物ガス化溶融炉から発
生するダストについて、その分別粒径が10μm程度に
限定されるものではない。ダストの粒径分布と重金属の
偏析は、廃棄物の種類或いは炉の構造やその運転条件な
どによっても異なることもあるので、分別粒径の設定に
際しては、排出されるダストについて、粒径と重金属含
有量の関係を調べた結果に基づいて決定する必要があ
る。
【0032】
【発明の実施の形態】次に、図1〜図3により本発明を
具体的に説明する。なお、本発明においては、分別され
た粗粒分と微粒分のダストの処理・処分に際し、粗粒分
と微粒分のダストにそれぞれ適した処理方法が適宜選択
されるが、図1と図2には、粗粒分と微粒分の処理方法
の主要な組み合わせを示した。
【0033】図1は本発明の実施の形態に係る一例を示
す図である。図1において、廃棄物ガス化溶融炉10は
竪型で円筒形状に形成されており、炉底部11で廃棄物
のガス化溶融処理が行われる。拡径された上部はフリー
ボード部12である。13は廃棄物などの装入口、14
は酸素富化空気を吹き込むノズル、15,16は空気吹
き込みノズル、17は熱分解ガスの排出口、18は溶融
スラグの排出口である。
【0034】又、20はガス化溶融炉から排出された熱
分解ガスを燃焼させる二次燃焼炉、30は二次燃焼炉か
ら排出された高温ガスの熱回収を行うボイラ、40は除
塵処理や有害ガス処理に適する温度まで排ガスを冷却す
るための減温塔、50は排ガス中の塩化水素などの酸性
ガスを除去するための消石灰吹き込み装置である。
【0035】そして、60は排ガスを集塵処理してダス
トを捕集するバグフィルター、61はバグフィルターで
捕集されたダストを分級して粗粒分と微粒分に分別する
気流式の微粉分級装置である。
【0036】上記のように構成された廃棄物ガス化溶融
設備の操業は次のように行われる。ガス化溶融炉10の
上部から廃棄物と共にコークスや石灰石などの副資材を
装入し、炉底部11にコークス層を形成させる。そし
て、このコークス層へ酸素富化空気吹き込みノズル14
から酸素富化空気を吹き込んでコークスを燃焼させ、高
温の燃焼帯を形成させながら、その上に廃棄物及び上記
の副資材を投入する。この際、コークス層よりも上のレ
ベルに設けられている空気吹き込みノズル15から空気
の吹き込みが行われ、廃棄物は緩やかに流動しながら加
熱されて熱分解し、可燃性ガスと熱分解残渣になる。
【0037】熱分解残渣は高温の燃焼帯へ到達し、溶融
して高温のコークス層の中を滴下し、溶融スラグ排出口
18から排出される。排出された溶融スラグは冷却され
て固化し、安定化された排出物として処分されたり、有
効利用されたりする。
【0038】可燃性ガスは、フリーボード部12で空気
吹き込みノズル16から空気の吹き込みが行われて部分
燃焼し、二次燃焼炉20へ送られる。二次燃焼炉20で
は、空気吹き込みノズル21から空気が吹き込まれ、ガ
ス化溶融炉10から送られてきた熱分解ガスが燃焼して
高温ガスとなる。高温ガスはボイラ30へ送られて熱回
収され、その排ガスが減温塔40へ送られる。減温塔4
0では、排ガスに水が噴霧されて急冷され、除塵処理や
有害ガス処理に適する温度まで冷却される。
【0039】次いで、減温塔40とバグフィルター60
の間の煙道内へ消石灰吹き込み装置50から消石灰粉が
吹き込まれる。バグフィルター60においては、消石灰
粉と塩化水素などとの反応生成物がガス化溶融炉10か
ら飛散してきたダストと一緒に捕集される。集塵処理さ
れた排ガスは、必要に応じて、さらに有害ガスを除去す
る処理がなされた後、放散される。
【0040】バグフィルター60からは捕集された集塵
ダストが排出される。この集塵ダストは微粉分級装置6
1へ送られ、粗粒分と微粒分に分級される。この際、微
粉分級装置61へ吹き込まれる空気流量や固気比を調整
して分級粒径が所定値になるように設定しておき、主と
して所定粒径を超える粒子よりなる粗粒分と、主として
所定粒径以下の粒子よりなる微粒分に分別する。
【0041】廃棄物ガス化溶融炉で都市ごみをガス化溶
融処理した場合に、ガス化溶融炉から排出されるダスト
の分級処理においては、分級粒径を10μm程度に設定
し、粗粒分と微粒分に分別する。この際、バグフィルタ
ー60から排出されたダストに含まれていた重金属の多
くが微粒分に移行しており、粗粒分の重金属の含有率が
非常に低くなっている。
【0042】上記のようにして分別された粗粒分は安定
化処理設備62へ送られて安定化処理された後、埋め立
て処分される。安定化処理設備62では、粗粒分に液体
キレート剤を添加して混練し、重金属を安定化する処理
が行われる。この安定化処理においては、上記のよう
に、粗粒分の重金属含有率が非常に低くなっており、さ
らに処理するダストが粗粒分だけであるので、重金属を
安定化させるための液体キレート剤の添加量が少量で済
み、埋め立て処分するダストを低コストで安定化処理す
ることができる。
【0043】重金属の含有量が多い微粒分は重金属回収
処理を行う設備へ送られる。重金属回収処理設備では、
ダスト中の重金属を酸抽出して濃縮する処理が行われ、
この濃縮物が鉛や亜鉛などの製錬原料に供される。
【0044】上記のダスト処理において、微粒分を重金
属回収処理設備へ送る前に、水で浸出処理してアルカリ
金属の塩化物や塩化カルシウムを取り除く処理を行え
ば、重金属の含有率が高いダストを重金属回収処理設備
へ供給することができる。
【0045】微粒分の浸出処理は、図3に示すように、
微粒分のダストに水を加えてスラリ状にし、これを攪拌
して、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム
などの水溶性塩類を溶出させる。この際、必要に応じて
アルカリを添加し、pHが約10になるように調整し
て、水溶性塩類の形態で存在している重金属を水酸化物
の形態にし、溶出しないようにする。このpH調整によ
り、上記水溶性塩類だけが溶出して液側へ移行する。次
いで、濾過、遠心沈降などの操作によりスラリを固液分
離し、浸出残渣を重金属回収設備へ送る。浸出液は排水
処理設備へ送られる。
【0046】図2は本発明の実施の形態に係る他の例を
示す図である。図2において、図1と同じ構成に係る部
分については、同一の符号を付し説明を省略する。この
実施の形態においては、粗粒分のダストをガス化溶融炉
10へ返送するようになっている。このダストの返送に
際しては、粗粒分のダストを粒状化装置63へ送って粒
状にし、ガス化溶融炉10へ装入したときに、再飛散が
起こらないようにしている。
【0047】粗粒分のダストが返送された炉内において
は、次のように、重金属を含むダストが廃棄物の熱分解
残渣と一緒に溶融されてスラグとなり、安定化されて炉
外へ排出される。この際、粗粒分のダストに含まれてい
た塩化物などの形態の重金属化合物は再び気化して排ガ
ス中へ飛散する。ケイ酸塩などの形態の重金属はそのま
ま粗粒分中に残留するが、溶融してスラグ中に閉じこめ
られる。このため、粗粒分のダストをスラグ化して有効
利用することができると共に、粗粒分のダストの処理が
簡素化される。
【0048】炉内で気化した重金属化合物は凝縮して微
細な粒子になり、他のダストと共にバグフィルター12
で捕集される。そして、バグフィルター12で捕集され
たダストは微粉分級装置20で分級され、粗粒分と微粒
分に分別される。このため、ガス化溶融炉10へ返送し
たダストに含まれていた重金属の大部分が微粒分のダス
トに移行し、微粒分中の重金属の含有率が高くなる。
【0049】なお、粗粒分のダストをガス化溶融炉10
へ返送する際には、ダストの再飛散を防止するために、
この実施の形態に示すように、ダストを粒状化すること
が好ましいが、本発明においては、返送するダストが、
必ずしも粒状化されたものであることに限定されない。
ダストに水を加えて泥状又はスラリー状にした後、この
泥状物を返送し、或いは廃棄物に混ぜて返送すれば、炉
内におけるダストの再飛散を抑制することができる。
【0050】重金属の含有量が多い微粒分は、重金属回
収処理を行う設備へ送られる。重金属回収処理設備で
は、ダスト中の重金属を酸抽出して濃縮する処理が行わ
れ、この濃縮物が鉛や亜鉛などの製錬原料に供される。
ここで処理される微粒分のダストは、図1の方法により
分別した微粒分のダストより重金属含有率が高められて
いるので、重金属回収処理が一層効率的に行われる。
【0051】なお、分級装置61で分別された微粒分の
ダストの一部を、必要に応じて安定化処理設備62へ送
り、薬剤混練法による安定化処理をして埋め立て処分し
てもよい。
【0052】上記のダスト処理において、微粒分のダス
トを重金属回収処理設備へおくる前に、図3に示す方法
により、水で浸出処理してアルカリ金属の塩化物や塩化
カルシウムを取り除く処理を行えば、水溶性塩類が少な
く、重金属の含有率が高いダストを後工程に供給するこ
とができ、後工程の処理を効率よく行うことができる。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、廃棄物ガス化溶融炉か
ら発生したダストを分級して、重金属を多く含む微粒分
と重金属の含有量が少ない粗粒分に分別し、この分別し
た2種類のダストを、それぞれに適した処理方法を選定
して処理することができるので、廃棄物ガス化溶融炉か
ら発生するダストを総合的に効率よく処理することがで
きる。
【0054】例えば、重金属の含有量が少ない粗粒分を
埋め立て処分するダストとし、重金属を多く含む微粒分
を重金属回収用のダストにすれば、埋め立て処分するダ
ストを安定化させる処理コストを大幅に低減することが
でき、又、重金属回収の処理を効率よく行うことができ
る。
【0055】又、重金属含有量が少ない粗粒分のダスト
を廃棄物ガス化溶融炉へ返送すれば、ダストがスラグ化
されて排出され、その有効利用が図れると共にダストの
処理が簡素化される。この際、粗粒分のダストに含まれ
ていた塩化物や重金属化合物が高温のガス化溶融炉内で
気化するが、これらは集塵機で捕集され、次いで分級手
段で微粒分として分別されて排ガスラインの系外へ排出
されるので、系内に塩類などが蓄積することがなく、操
業上のトラブルは発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る一例を示す図であ
る。
【図2】本発明の実施の形態に係る他の例を示す図であ
る。
【図3】微粒分を浸出処理する方法を示す図である。
【図4】廃棄物ガス化溶融設備のバグフィルターで捕集
されたダストの粒径分布の例を示す図である。
【図5】粒径10μmを超えるものを主とする粗粒分の
粒径分布を示す図である。
【図6】粒径10μm以下のものを主とする微粒分の粒
径分布を示す。
【符号の説明】
10 廃棄物ガス化溶融炉 20 二次燃焼炉 30 ボイラ 40 減温塔 50 消石灰吹き込み装置 60 バグフィルター 61 気流式の微粉分級装置 62 安定化処理設備 63 粒状化装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物ガス化溶融炉から発生したダスト
    を集塵機で捕集し、この集塵ダストを分級手段により分
    級して重金属の含有量が少ない粗粒分と重金属の含有量
    が多い微粒分に分別することを特徴とする廃棄物ガス化
    溶融ダストの処理方法。
  2. 【請求項2】 粗粒分を安定化処理設備へ送って重金属
    の安定化処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の
    廃棄物ガス化溶融ダストの処理方法。
  3. 【請求項3】 粗粒分を廃棄物ガス化溶融炉へ装入して
    加熱すると共に、新たに装入された廃棄物と共に溶融し
    て排出することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物ガ
    ス化溶融ダストの処理方法。
  4. 【請求項4】 微粒分を重金属回収処理を行う設備へ送
    って処理することを特徴とする請求項1〜請求項3の何
    れかに記載の廃棄物ガス化溶融ダストの処理方法。
  5. 【請求項5】 集塵機で捕集した集塵ダストを、主とし
    て粒径10μmを超える粒子よりなる粗粒分と、主とし
    て粒径10μm以下の粒子よりなる微粒分に分別するこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の廃
    棄物ガス化溶融ダストの処理方法。
  6. 【請求項6】 廃棄物ガス化溶融炉から発生した排ガス
    中のダストを除去する集塵機と、集塵機で捕集したダス
    トを分級して重金属の含有量が少ない粗粒分と重金属の
    含有量が多い微粒分に分別する分級手段を有することを
    特徴とする廃棄物ガス化溶融ダストの処理装置。
  7. 【請求項7】 分級手段が気流式の微粉分級装置である
    ことを特徴とする請求項6に記載の廃棄物ガス化溶融ダ
    ストの処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008221205A (ja) * 2007-02-13 2008-09-25 Metawater Co Ltd 汚泥焼却炉排ガスの集塵方法

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