JP3546108B2 - 灰溶融炉における排ガス処理方法及びその装置 - Google Patents

灰溶融炉における排ガス処理方法及びその装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ,産業廃棄物等のごみを焼却して得られる灰(ごみ焼却炉から排出される焼却残渣やその排ガス中から分離,回収される煤塵)を灰溶融炉により溶融処理した場合において、灰溶融炉から排出される排ガスを処理するための方法及びこれを実施するための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ,産業廃棄物等のごみは焼却することにより減量・減容,無害化されることになることから、伝統的に、ごみの処理方法としては、ストーカ炉や流動床炉等のごみ焼却炉を使用した焼却処理がその主流を占めている。
【0003】
而して、ごみを焼却して得られる灰は、被焼却物であるごみに含まれていた金属,ガラス,土砂等の不燃物や燃焼によって完全燃焼し切れなかった微量の炭素成分を含むものであり、焼却炉の焼却残渣口から排出される焼却残渣(例えば、ストーカ炉のストーカ末端部から排出されるボトム灰或いは主灰)と、燃焼により飛散して焼却炉から排ガスと共に排出され、バグフィルタ,電気集塵器等により排ガス中から分離除去,回収される煤塵(飛灰)とに大別されるが、これらの灰が被焼却物に対して占める割合は、一般に、焼却残渣については約10〜15wt%、煤塵については約2〜5wt%であり、ごみが焼却処理により大幅に減量・減容化されることになる。しかも、これらの灰は、ごみと異なって、衛生的にも問題がない。これらのことから、灰は伝統的に埋め立て処分されることが慣用されてきた。
【0004】
ところで、灰のうち特に煤塵については、その粒子径が極めて小さいため埋め立て地において飛散したり、また重金属等の有害物質が含有されているため、雨水等で溶出して二次公害を引き起こす危険があることが指摘されるに至り、近年においては、煤塵をそのまま埋め立て処分するのではなく、何らかの有害物質溶出防止処理(例えば、セメントによる固化処理やキレート剤による溶出防止処理等)を施した上で、埋め立て処分されているのが普通である。また、その一方で、ごみは焼却により減量・減容化されるものではあるが、近時の埋め立て地の確保難から、なお一層の減量・減容化と廃棄物としての長期安定化が求められており、更には灰を廃棄することなく、有価物として再利用することの社会的要請も高くなっている。
【0005】
そこで、近時、灰を溶融処理して、その溶湯(鉱滓湯)を水砕スラグ化させた上で最終処分(埋め立て処分又は有価物として再利用する等)することが行なわれている。すなわち、灰を化石燃料又は電力を使用した溶融炉により溶融させ、溶融炉から排出される溶湯を水中への投入により急冷させて粒状の水砕スラグとなすのである。このような溶融処理によって、被溶融物である灰に対して30〜40%にまで減容することができ、元のごみに対しては3〜5%にまで減容することができるのである。しかも、水砕スラグ化することにより、灰に含まれていた重金属等の有害物質が物理・化学的に一層安定した形で封入されることになるから、水砕スラグは、有害物質が溶出する虞れのない無害なものであり、上述したような有害物質溶出防止処理を施さずとも、そのまま埋め立て処分することができる。また、水砕スラグは、その硬度が高いものであるから、コンクリートフィラー,路盤材,盛土材,埋め立て材,ブロック等の有価物として再利用することが可能となる。
【0006】
このように、ごみ焼却炉から排出,回収される煤塵等の灰を溶融処理することは、ごみの減量・減容化,無害化及び再利用を図る上で極めて有効な手段であり、従来指摘されていたごみ処理上の諸問題を解決するものとして期待されている。
【0007】
ところで、灰溶融炉としては、従来からも、種々の方式(例えば、表面方式,旋回流方式,コークスベッド方式,アーク方式,プラズマ方式,電気抵抗方式,誘導加熱方式等)のものが開発されており、実用されているが、何れの方式のものにおいても、灰をすべてスラグ化することは不可能である。すなわち、灰溶融炉に投入された灰は、その溶融点以上(通常、1300〜1500℃)に加熱されて溶融されるが、灰の溶融がこのような高温度で行なわれるため、灰がすべて完全にスラグ化することにならず、灰成分の一部は揮散し、溶融飛灰となって、排ガスと共に炉外に排出されることになる。特に、灰成分のうち低融点の重金属類は、その相当量が揮散して、排ガス中に移行することになる。このことは、後述する表1からも明らかであり、重金属類(Zn,Pb)の含有比率は溶湯よりも溶融飛灰の方が大きい。
【0008】
このように、灰溶融炉から排出される排ガスには、本来のガス成分(Nガス及びCO,CO,O等)の他、灰成分の殆どがその沸点以上の気相,揮散ガス体,昇華ガス体として含有されることになる。
【0009】
このため、従来にあっては、一般に、排ガスを適当温度まで冷却させて、排ガス中の溶融飛灰をバグフィルタにより捕集除去し、その上で大気中に放出させるようにしているのが普通である。すなわち、灰溶融炉から排出される高温の排ガス(通常、1000〜1200℃)を、空冷又は水冷方式の冷却により、バグフィルタの濾材(ポリテトラフルオロエチレン製布やガラス製布等で構成されている)が耐え得る温度(一般に、200℃程度)にまで冷却すると、排ガス中に高温で揮散していた重金属類やその他の塩,酸化物はすべて微粉状の固体となる。したがって、排ガス温度を200℃程度まで減温させることにより、排ガス中に気相,揮散ガス体,昇華ガス体として含有されている溶融飛灰成分をすべて微粉状の固体に凝固させることができるから、このように減温された排ガスをバグフィルタに導くことにより、排ガスに含まれている溶融飛灰を確実に捕集除去し、バグフィルタから回収することができるのである。
【0010】
ところで、表1は、都市ごみの焼却処理時に発生する排ガスから分離,回収された煤塵である被溶融灰を電気抵抗方式の灰溶融炉で溶融させると共にこの灰溶融炉から排出される排ガスを約200℃に減温した上でバグフィルタにより溶融飛灰を捕集,回収した場合における、被溶融灰(煤塵),溶湯,溶融飛灰(バグフィルタにより捕集,回収したもの)における主たる成分の含有比率を示したものであるが、この表1から明らかなように、溶融飛灰成分のうち、大きな割合を占めるものは、K,Na等のアルカリ金属やCaに代表されるアルカリ土類金属とZn,Pb等の重金属類とであり、これらのアルカリ土類金属や重金属類は、やはり溶融飛灰中に大きな割合を占めているCl,SO 2−等と結合して、塩ないし酸化物として存在しているものと考えられる。すなわち、溶融飛灰成分は、アルカリ金属の塩,酸化物及びアルカリ土類金属の塩,酸化物からなる第1成分グループと、重金属類の塩,酸化物からなる第2成分グループとに大別される。そして、塩としては、Clが多いことからみて、圧倒的に塩化物が多いものと考えられる。なお、溶融飛灰等の成分及びその比率は、ごみの成分やごみ焼却炉ないし灰溶融炉の形式等によって変動するが、概ね、表1に示す通りであり、また溶融処理された被溶融灰に対する溶融飛灰(被溶融灰の溶融処理時に発生する排ガスから捕集,回収されたもの)の量も、灰溶融炉の形式等に拘わらず、一般的に3〜10%程度である。
【0011】
【表1】
Figure 0003546108
【0012】
而して、排ガスに含まれる溶融飛灰は上述する如く被溶融灰(煤塵)の3〜10%程度にすぎないものの、可採年数が少ないといわれている貴重な金属資源である重金属類が多量に含まれている(例えば、特に多く含まれているZn,Pb、鉱業便覧平成6年版によれば、1992年現在において、可採年数(世界の埋蔵量を世界の年間生産量で除したもの)が夫々47年(Zn),24年(Pb)にすぎないと指摘されている)ことから、溶融飛灰成分のうち第2成分グループ(重金属類)についてはこれを再資源化することが好ましく、その要請も極めて高い。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の排ガス処理方法によっては、バグフィルタにより回収される溶融飛灰は第1成分グループと再資源化が要請される第2成分グループとが混在するものであり、回収された溶融飛灰において第2成分グループの占める割合(含有比率)は極めて低い。例えば、表1に示す如く、溶融飛灰におけるZnの含有比率は8.2%にすぎず、Pbの含有比率は6.4%にすぎない。したがって、このような溶融飛灰から低濃度の重金属類を有価物として有効に再利用することは、経済的に採算がとれず、溶融飛灰の回収再資源化は現実的に不可能であった。
【0014】
このため、従来においては、溶融飛灰の再資源化は断念せざるを得ず、やむなく埋め立て処分しているのが実情である。勿論、かかる廃棄処分を行なうにも問題がある。すなわち、溶融飛灰は、上記した如く含有比率は低いものの、多量の有害物質(重金属類)を含むものであるから、そのまま埋め立て処分することができず、煤塵を埋め立て処分する場合と同様に、前述した有害物質溶出防止処理を施す等の何らかの安全対策を講じておく必要がある。
【0015】
このように、従来の排ガス処理方法によって得られる溶融飛灰は、再資源化するにしても埋め立て処分するにするにしても問題があり、その解決が強く望まれている。
【0016】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、灰溶融炉から排出される排ガスを、上記した問題を生じることなく、処理することができる排ガス処理方法及びこれを好適に実施しうる排ガス処理装置を提供し、もって排ガスに含まれる溶融飛灰の回収再資源化を実現すると共に再資源化し得ない成分の廃棄処分を容易に行ないうるように図ったものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
ところで、灰溶融炉から排出される排ガスに含まれる溶融飛灰は、前述した如く種々の成分で構成されているが、これらの成分特性は区々であり、各々、固有の融点,沸点,昇華温度,蒸気圧を有している。一方、溶融飛灰を構成する成分の多くは、前述した如く、Clと結合した塩化物として多く存在しており、第1成分グループの塩化物つまり(KCl,NaCl,CaCl等)は第2成分グループの塩化物(PbCl,ZnCl等)に比して、沸点が高く且つ蒸気圧が低い。したがって、排ガスを灰溶融炉から排出された直後の温度(1000〜1200℃)から減温させていくと、これに伴って第1成分グループの塩化物が固相に変化していき、或る程度の温度(以下「第1成分グループ凝固温度」という)まで減温されると、第1成分グループの塩化物はほぼ完全に固相化される。これに対して、第2成分グループの塩化物は、それらの沸点が低く且つ蒸気圧が高いことから、排ガスが第1成分グループ凝固温度まで減温されたときにも、大部分が固相化されずに気相のままであり、第1成分グループ凝固温度から冒頭で述べた如くバグフィルタが耐え得る温度(200℃程度)近くにまで減温される間において固相化されることになる。このように、第1成分グループである高沸点物質と第2成分グループである揮散重金属類とは、排ガスの減温(冷却)によって凝固される温度条件が明瞭に異なるのである。
【0018】
本発明の灰溶融炉における排ガス処理方法にあっては、かかる点に着目して、灰溶融炉から排出された高温度の排ガスを1次冷却器により500℃〜750℃の温度にまで減温して排ガス中に含まれる気相状のアルカリ金属の塩、酸化物及びアルカリ土類金属の塩、酸化物を凝固させると共に、当凝固物を1次フィルターにより排ガス内から分離し、更に、前記1次フィルターから排出した排ガスを2次冷却器により200℃以下の温度にまで減温して排ガス中に揮散する重金属類を凝固させると共に当該凝固物を2次フィルターにより分離し、2次フィルターからの排ガスを外部へ排出することにより、排ガス中の前記アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩類と重金属類とを分別回収することを提案するものである。
【0019】
すなわち、一次冷却により第1成分グループを構成する溶融飛灰成分のみを凝固させて、これを捕集,回収する。この一次回収物には、第2成分グループの重金属類が殆ど含まれていない。そして、一次回収物を除去された排ガスを更に二次冷却することにより、排ガスに気相状態で残存する第2成分グループを固相化して、これを捕集,回収する。この二次回収物は、第1成分グループが除去された排ガスから捕集,分離されるものであるから、当然に、第1成分グループの物質が殆ど含まれておらず、Zn,Pb等の重金属類が高濃度で含まれることになる。したがって、高濃度の重金属類を含む二次回収物の再資源化は、経済的に充分採算に見合うものとなり、そに実現が可能となる。一方、一次回収物は、有害な重金属類を殆ど含まないものであるから、セメントによる固化処理等の有害物質溶出防止処理を施すことなく、そのまま埋め立て処分等の廃棄処分を簡便に行なうことができる。
【0020】
また、本発明の灰溶融炉における排ガス処理装置は、かかる方法を好適に実施できるように工夫されたものであり、灰溶融炉から排出された高温度の排ガスを1次冷却器により500℃〜750℃の温度にまで減温して排ガス中に含まれる気相状のアルカリ金属の塩、酸化物及びアルカリ土類金属の塩、酸化物を凝固させる1次冷却器と、前記1次冷却器からの排ガス中に含まれる凝固物を排ガス内から分離、回収する1次フィルターと、前記1次フィルターから排出した排ガスを2次冷却器により200℃以下の温度にまで減温して排ガス中に揮散する重金属類を凝固させる2次冷却器と、前記2次冷却器からの排ガス中に含まれる重金属類の凝固物を分離、回収する2次フィルターとから構成され、排ガス中のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩類と重金属類とを分別回収することを発明の基本構成とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1に基づいて具体的に説明する。
【0022】
まず、本発明に係る排ガス処理装置の構成について説明する。
【0023】
この排ガス処理装置1は、図1に示す如く、灰溶融炉2の排気口から煙突3に至る排ガス排出路4に、一次処理装置5,二次処理装置6,最終処理装置7を直列状に配設してなる。
【0024】
灰溶融炉2は、ごみ焼却炉(図示せず)から排出された焼却残渣若しくは排ガスから捕集,回収された煤塵(飛灰)又はこれらの混合物である灰(被溶融灰)9を、その溶融点以上の温度である1300〜1500℃に加熱することによって、溶融処理するものであり、その溶湯10を炉2の出湯口から取出すと共に、溶融処理により炉2内で発生する排ガス11を排ガス排出路4へと排出させるようになっている。灰溶融炉2としては、冒頭で述べた如き種々の方式のものが使用されるが、この例では電気抵抗方式のものが使用されている。
【0025】
ところで、電気抵抗方式の灰溶融炉2における排ガス11の発生量は、通常、120Nm(被溶融灰1t当たり)程度である。また、この例において溶融される被溶融灰9は煤塵であり、その主たる成分及びその含有比率は表1に示す通りである。また、炉2から排ガス排出路4に排出された直後の排ガス11においては、それが高温(1000〜1200℃)であるため、含有物質の殆どは気相状態にある。すなわち、排ガス11の主要成分はNガスであるが、その他、CO,CO,O等が含まれていると共に、常温では固相となる灰成分が2〜10g(排ガス1Nm当たり)含まれている。また、いうまでもないが、炉2から取り出された溶湯10は、水中投入による急冷により水砕スラグとなした上、有価物として再利用される等、冒頭で述べた如く処分される。
【0026】
一次処理装置5は、排ガス排出路4に配設された一次冷却器5aとその下流側の一次フィルタ5bとからなる。一次冷却器5aは、灰溶融炉2から排出された排ガス11を、排ガス11に含まれる溶融飛灰成分のうちの高沸点物質のみが凝固しうる温度に一次冷却するものである。具体的には、炉2から排ガス排出路4を経て一次冷却器5aに導入された排ガス11を、これに含有されるアルカリ金属成分(KCl,NaCl等)及びアルカリ土類金属成分(CaCl等)を固相化(凝固)させうるに充分な温度、具体的には500〜750℃(より好ましくは600〜700℃)に空冷又は水冷する。一次フィルタ5bは、一次冷却器5aから導入された排ガス、つまり高沸点物質が一次冷却により微粉状固体とされて混在する排ガス11aから、これに含まれる固体物質つまり一次冷却により凝固されたアルカリ金属塩等の高沸点物質を捕集,分離して、一次回収物11として回収しうるように構成されている。ところで、一次フィルタ5bとしては、これに導入される排ガス11aの温度が上記した如く高温であることから、耐熱性に優れた構造のものを使用する必要があり、ポリテトラフルオロエチレン布製やガラス布製の濾材を使用した通常のバグフィルタを使用することができない。この例では、セラミック製織布を使用したバグやセラミック製多孔質筒をシェルアンドチューブ式に配列したものを濾材とし且つフィルタケーシングに耐火材を内張りしてなるセラミックフィルタ5bを使用している。
【0027】
二次処理装置6は、一次フィルタ5bより下流側の排ガス排出路4部分に配設された、二次冷却器6aとその下流側の二次フィルタ6bとからなる。二次冷却器6aは、一次フィルタ5bにより一次回収物11(アルカリ金属,アルカリ土類金属を主成分とする高沸点物質)を分離除去された排ガス11bを、一般的な排ガス冷却温度(200℃程度)に二次冷却するものである。具体的には、二次冷却器6aは、一次フィルタ5bから導入された排ガス11bを180〜200℃に空冷又は冷却して、一次冷却によっては固相化されなかった排ガス11b中の揮散重金属類(PbCl,ZnCl等)を濃縮,凝固させるものである。二次フィルタ6bは、二次冷却器6aから導入された排ガス11cが通過する間に、これに含まれる微粉状の固体物質つまり二次冷却により凝固された重金属類11を捕集,分離して、これを二次回収物11として回収しうるように構成されている。ところで、二次フィルタ6bとしては、二次冷却器6aから導入される排ガス11cの温度が上記した如く低温であることから、一次フィルタ5bの如く耐熱性をさほど考慮する必要がなく、濾材をポリテトラフルオロエチレン布,ガラス布等で構成した通常のバグフィルタ等を使用することができる。この例では、かかる通常のバグフィルタ6b(フィルタケーシングは軟鋼製である)を使用している。
【0028】
ところで、排ガス11は、一次処理装置5及び二次処理装置6を通過することによって、これに含有される灰成分の殆どを除去されたほぼ無害なガス(Nを主成分とする)となるが、なお微量の有害ガス成分が含まれている虞れがある。最終処理装置7は、このような点を配慮して設けられる公知のものであり、二次フィルタ6bを通過した排ガス11dを常法により無害化処理して、排ガス11dに残存する有害ガス成分を完全に除去するように構成されている。なお、最終処理装置7を通過した排ガス11eは、煙突3から大気中に放出される。
【0029】
而して、本発明の排ガス処理方法は、上記した排ガス処理装置1を装備した電気抵抗方式の灰溶融炉2において、次のように実施される。
【0030】
すなわち、主たる成分が表1に示す如き含有比率である被溶融灰(煤塵)9を電気抵抗方式の灰溶融炉2で溶融させると、炉2内で発生する排ガス11は、排ガス排出路4に排出されて、まず一次冷却器5aに導入される。そして、この排ガス11は一次冷却器5aにより一次冷却されて、500〜750℃(好ましくは600〜700℃)に減温される。かかる減温により、排ガス11中に気相状態で含有されている灰成分のうち、高沸点物質(アルカリ金属の塩,酸化物及びアルカリ土類金属の塩,酸化物)の殆どは凝固して微粉状の固相となる。一方、排ガス11中に揮散する重金属類(重金属の塩,酸化物)は、沸点が低く且つ蒸気圧が高いものであるため、かかる程度の減温によっては凝固せず、大部分が気相状態のままである。
【0031】
一次冷却器5aを通過した排ガス11aは、引続き、一次フィルタであるセラミックフィルタ5bに導入されて、該フィルタ5bを通過する間に、排ガス11aに混在する微粉状の固体物質を捕集,分離される。排ガス11aから分離された固体物質はセラミックフィルタ5bから回収されるが、回収された固体物質である一次回収物11の含有成分は、表2に示す如く、その大部分をアルカリ金属成分及びアルカリ土類金属成分が占めており、重金属類は極く僅かにすぎない。すなわち、表2は一次回収物11における主たる成分の含有比率を示すものであり、この表からは、一次回収物11が重金属類を殆ど含まないものであることが理解される。
【0032】
一次回収物11を分離除去された排ガス11bは、セラミックフィルタ5bから二次冷却器6aに導入されて二次冷却され、180〜200℃まで減温される。かかる温度まで減温されると、一次冷却によっては凝固されなかった揮散重金属類もほぼ完全に凝固され、微粉状の固体物質となる。なお、一次冷却では凝固されずに気相状態のまま残留した重金属類以外のアルカリ金属塩等も二次冷却によって凝固されることになるが、その量は微量である。
【0033】
二次冷却器6aで冷却された排ガス11cは、二次フィルタであるバグフィルタ6bに導入されて、該フィルタ6bを通過する間に、排ガス11c中に混在する微粉状の固体物質を捕集,分離される。排ガス11cから分離された固体物質はバグフィルタ6bから回収されるが、回収された固体物質である二次回収物11の含有成分は、表2に示す如く、その大部分を重金属類成分が占めており、重金属類以外の成分は極く僅かにすぎない。すなわち、表2は二次回収物11における主たる成分の含有比率を示すものであり、この表からは、二次回収物11が重金属類以外の成分を殆ど含まず、重金属類の高濃度物であることが理解される。
【0034】
このように、排ガス11中に気相状態で含まれる溶融飛灰成分は、2段階に亘る減温により、アルカリ金属塩等の高沸点物質を主成分とする一次回収物11と重金属類を主成分とする二次回収物11とに分別されて、各フィルタ5b,6bから各別に回収されることになる。したがって、有害な重金属類を殆ど含まない一次回収物11は、冒頭で述べた如き有害物質溶出防止処理を施す等の手間,費用をかけることなく、そのまま安全に廃棄処分(埋め立て処分)することができる。一方、二次回収物11は、有価物として再利用しうる重金属類(特に、Zn,Pb)を高濃度で含有することから、これを鉱業資源として有効に活用することができ、回収再資源化は充分採算に見合うものとなる。
【0035】
【表2】
Figure 0003546108
【0036】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の基本原理を逸脱しない範囲において、適宜に改良,変更することができる。例えば、各冷却器5a,6a及び各フィルタ5b,6bとしては、灰溶融炉の形式やこれによって溶融処理すべき灰9及び排ガス11に含まれる溶融飛灰の成分等に応じて、上記した排ガス処理を行なうに最適のものを任意に使用しておくことができる。また、各冷却器5a,6aによる排ガス冷却温度も、溶融飛灰成分や溶融処理条件,排ガス処理条件等に応じて適宜に設定することができるが、一般的には、上記した温度に設定しておくのが好ましい。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明の排ガス処理方法によれば、排ガスに含まれる溶融飛灰を重金属類を殆ど含まない一次回収物と高濃度の重金属類を含む二次回収物とに分別回収することができ、焼却残渣等の灰を溶融処理する場合において従来から指摘されていた、溶融飛灰の回収再資源化及び廃棄処分上の問題をすべて解決することができる。すなわち、二次回収物は、可採年数が少ないといわれている貴重な金属資源であるZn,Pb等の重金属類を高濃度に含むものであるから、溶融飛灰に含まれる重金属類を、経済的な問題(回収再資源化することが採算に見合わない)を生じることなく、有価物として有効に回収再資源化することができる。そして、溶融飛灰のうち二次回収物をこのように廃棄処分することなく再利用するため、溶融飛灰の廃棄処分量が少なくなり、その結果、ごみの焼却及び灰の溶融による廃棄処分量の減容,減量化をより図りうることになる。一方、一次回収物は、アルカリ金属,アルカリ土類金属を主成分とし、有害な重金属類を殆ど含まないものであるから、埋め立て処分等の廃棄処分を、有害物質溶出防止処理等の格別の処理を施すことなく、容易に且つ安価に行なうことができる。
【0038】
このように、本発明の排ガス処理方法は、ごみ焼却後に発生する煤塵等の灰の溶融処理による利点を最大限有効に活かしつつ、公害防止,有価物の回収再資源化等の地球環境改善に寄与するものであり、その実用的価値極めて大なるものである。
【0039】
また、本発明の排ガス処理装置によれば、上記した排ガス処理方法を好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る灰溶融炉における排ガス処理装置の一例を示す系統図である。
【符号の説明】
1…排ガス処理装置、2…灰溶融炉、3…煙突、4…排ガス排出路、5…一次処理装置、5a…一次冷却器、5b…一次フィルタ(セラミックフィルタ)、6…二次処理装置、6a…二次冷却器、6b…二次フィルタ(バグフィルタ)、7…最終処理装置、9…灰(被溶融灰)、10…溶湯、11,11a,11b,11c,11d,11e…排ガス、11…一次回収物、11…二次回収物。

Claims (2)

  1. 灰溶融炉から排出された高温度の排ガスを1次冷却器により500℃〜750℃の温度にまで減温して排ガス中に含まれる気相状のアルカリ金属の塩、酸化物及びアルカリ土類金属の塩、酸化物を凝固させると共に、当該凝固物を1次フィルターにより排ガス内から分離し、更に、前記1次フィルターから排出した排ガスを2次冷却器により200℃以下の温度にまで減温して排ガス中に揮散する重金属類を凝固させると共に当該凝固物を2次フィルターにより分離し、2次フィルターからの排ガスを外部へ排出することにより、排ガス中の前記アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩類と重金属類とを分別回収する構成としたことを特徴とする灰溶融炉における排ガス処理方法。
  2. 灰溶融炉から排出された高温度の排ガスを1次冷却器により500℃〜750℃の温度にまで減温して排ガス中に含まれる気相状のアルカリ金属の塩、酸化物及びアルカリ土類金属の塩、酸化物を凝固させる1次冷却器と、前記1次冷却器からの排ガス中に含まれる凝固物を排ガス内から分離、回収する1次フィルターと、前記1次フィルターから排出した排ガスを2次冷却器により200℃以下の温度にまで減温して排ガス中に揮散する重金属類を凝固させる2次冷却器と、前記2次冷却器からの排ガス中に含まれる重金属類の凝固物を分離、回収する2次フィルターとから構成され、排ガス中のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩類と重金属類とを分別回収することを特徴とする灰溶融炉における排ガス処理装置。
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