JP2002098810A - 異方性拡散シート、この異方性拡散シートの製造方法及びこの異方性拡散シートを用いたバックライトユニット - Google Patents

異方性拡散シート、この異方性拡散シートの製造方法及びこの異方性拡散シートを用いたバックライトユニット

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JP2002098810A
JP2002098810A JP2000286235A JP2000286235A JP2002098810A JP 2002098810 A JP2002098810 A JP 2002098810A JP 2000286235 A JP2000286235 A JP 2000286235A JP 2000286235 A JP2000286235 A JP 2000286235A JP 2002098810 A JP2002098810 A JP 2002098810A
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anisotropic diffusion
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bubbles
shaped
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Mizuho Kamikawa
瑞穂 上川
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Keiwa Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光拡散性が高く、異方性の調整が容易で、さ
らに製造が容易な異方性拡散シート及びその製造方法の
提供を目的とするものである。また、その異方性拡散シ
ートを用い、輝度分布に異方性が少なく、かつ、輝度が
高いバックライトユニットの提供を目的とするものであ
る。 【解決手段】 棒状の気泡3が分散しており、その棒状
の気泡3の軸方向がシート面と平行にかつ一方向に向け
られている異方性拡散シート1である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置用の
バックライトユニットに用いられる異方性拡散シート、
この異方性拡散シートの製造方法、及び、この異方性拡
散シートを用いたバックライトユニットに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、液晶層を背面から照ら
して発光させるバックライト方式が普及し、液晶層の下
面側にバックライトユニットが装備されている。かかる
バックライトユニットにはエッジライト型方式や直下型
方式のものがあるが、いずれの方式を採用しても出射さ
れる光線の輝度分布は線状のランプと垂直方向を基準に
して見た場合と平行方向を基準にして見た場合とでは異
なり、一般的にはランプと垂直方向の輝度分布が強いピ
ークを示し、ランプと平行方向の輝度分布が相対的に左
右対称かつ均一であり、特定の方向にピークを示すこと
が少ない。
【0003】一方、ビーズ塗工タイプやエンボスタイプ
の光拡散シートでは、その拡散能が全方向に均一な等方
性を有するため、上述のような出射された光線の前後方
向の輝度分布と左右方向の輝度分布との違い(異方性)
をなくすよう制御することはできない。
【0004】かかる輝度分布の異方性を是正するために
は、前後方向の光拡散能と左右方向の光拡散能とが異な
る異方性拡散シートが必要であり、今日数種の異方性拡
散シートが開発されている。これらの異方性拡散シート
は、(a)表面に半円柱状のシリンドリカルレンズをス
トライプ状に備えたものと、(b)バインダー中に繊維
状の光拡散剤が略平行に分散した異方性拡散層と基材層
とを備えたものに大別される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記(a)の異方性拡
散シートは、表面にシリンドカルレンズをストライプ状
に形成することが容易ではなく、シリンドカルレンズを
微細にするのには技術的な制限がある。そのため、光線
の光拡散性にも自ずと制限がある。また、表面のシリン
ドカルレンズは通常成形型を用いて形成されるので、表
面形状の設計変更が困難である。
【0006】また上記(b)の異方性拡散シートは、繊
維状の光拡散剤を一方向に完全に引き揃えることが難し
く、製造性及び拡散の異方性に問題がある。
【0007】本発明はこれらの不都合に鑑みてなされた
ものであり、光拡散性が高く、異方性の調整が容易で、
さらに製造が容易な異方性拡散シート及びその製造方法
の提供を目的とするものである。また、その異方性拡散
シートを用い、輝度分布に異方性が少なく、かつ、輝度
が高いバックライトユニットの提供を目的とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
になされた発明は、棒状の気泡が分散しており、その棒
状の気泡の軸方向がシート面と平行にかつ一方向に向け
られている異方性拡散シートである。ここで、「棒状」
とは、気泡が細長い状態を意味し、例えば円柱状、紡錘
状等を含み、その横断面形状も円形に限定されない概念
である。また、「軸方向がシート面と平行にかつ一方向
に向けられている」とは、上記気泡の軸方向が完全にシ
ート面と平行にかつ一方向に向けられている場合に限定
されず、実質的に軸方向がシート面と平行にかつ一方向
に向けられていればよい。また、「気泡」とは、シート
の内部にあるものに限定されず、シートの表面に開口し
たものも含む概念である。
【0009】当該異方性拡散シートによれば、内部に分
散する気泡が棒状であり、この棒状の気泡の軸方向がシ
ート面と平行にかつ一方向に向けられていることから、
かかる棒状の気泡の軸方向と平行方向には拡散作用は小
さく、棒状の気泡の軸方向と垂直方向には比較的大きい
拡散作用が発揮される。つまり、主に棒状の気泡の軸方
向と垂直方向の拡散作用のみを発揮し、棒状の気泡の軸
方向と平行方向の拡散作用を小さくすることができる。
【0010】また、拡散作用を発揮する部分が棒状の気
泡であり、気体であるため、合成樹脂等から形成される
繊維状光拡散剤を用いた場合よりも、合成樹脂から形成
される基地との屈折率差を大きくすることができ、その
結果、光拡散性を格段に大きくすることができる。
【0011】さらに、拡散作用を発揮する部分が気泡で
あるため、上記シリンドカルレンズよりも、容易に細か
くすることができ、その結果、微細かつ均一に拡散する
ことができる。
【0012】上記棒状の気泡は、平均アスペクト比が
1.5以上20以下が好ましい。ここで、「アスペクト
比」とは、棒状の気泡における軸方向長さの平均径に対
する比を意味する。当該手段のように棒状の気泡の平均
アスペクト比を上記範囲にすることで、光拡散シートと
して有効な異方性を奏することができ、かつ、製造性及
び強度性も良好になる。
【0013】上記棒状の気泡の比率としては1vol%
以上80vol%以下が好ましい。このように棒状の気
泡の比率を上記範囲とすることで、拡散シートとして十
分な光拡散性を奏しつつ、強度の低下を防止することが
できる。
【0014】上記棒状の気泡の平均径としては0.5μ
m以上100μm以下が好ましい。棒状の気泡の平均径
を上記範囲とすることで、拡散の均一性を促進すること
ができる。
【0015】当該異方性拡散シートは、上記棒状の気泡
を基材層に有し、さらにバインダー中にビーズが分散し
た等方性光拡散層を上記基材層に積層することができ
る。この手段によれば、基材層に異方性拡散作用を奏さ
せて上記バックライトユニットの出光特性の異方性を改
善でき、さらに等方性拡散層により等方性拡散作用を奏
させて、より均一に光線を分散させることができる。そ
のため、基材層は異方性拡散のみを考慮して棒状の気泡
のサイズ及び密度の設計が可能になり、上記出光特性の
異方性改善作用を高めることができる。
【0016】また当該異方性拡散シートは、上記基材層
の表面のうち等方性拡散層が積層されている面と反対側
の面に、バインダー中にビーズが分散したスティッキン
グ防止層をさらに積層することができる。この手段のよ
うに、基材層の一方の面に等方性拡散層を積層し、他方
の面にスティキング防止層を積層することで、表面側又
は裏面側に配設される導光板、プリズムシート等とのス
ティッキングを防止することができる。
【0017】また、上記課題を解決するためになされた
別の発明は、Tダイ法による押出成形方法を用いた異方
性拡散シートの製造方法であって、(a)シート原料の
樹脂組成物に発泡剤を添加する発泡剤添加工程と、
(b)押出し前に発泡剤を発泡させて溶融樹脂組成物中
に気泡を分散させる発泡工程とを付加したことを特徴と
する異方性拡散シートの製造方法である。
【0018】当該異方性拡散シートの製造方法によれ
ば、上記発泡剤添加工程と発泡工程とを付加することで
押出前の溶融樹脂組成物中に気泡を分散させ、かかる気
泡が分散した溶融樹脂組成物をTダイ法による押出成形
方法で押し出すことで、内部に分散した気泡を棒状に引
き伸ばし、上述の異方性拡散シートを容易に製造するこ
とができる。また、発泡剤添加工程において、添加する
発泡剤の量及び発泡剤の分散密度により溶融樹脂組成物
中に発泡する気泡の大きさ及び分散密度が調整でき、そ
の結果押出し後の棒状の気泡の大きさ及び分散密度を制
御することができる。さらに、Tダイ法による押出速
度、押出後の巻取速度を調整することで、棒状の気泡の
平均アスペクト比を制御することができる。
【0019】上記発泡剤添加工程における発泡剤の添加
量としては0.01wt%以上10wt%以下が好まし
い。発泡剤の添加量を上記範囲とすることで、光拡散性
と製造性とをともに満たすことができる。
【0020】従って、(a)線状のランプと、(b)こ
のランプから発せられる光線を分散させて表面側に導く
光学シートとを備えた液晶表示装置用のバックライトユ
ニットにおいて、上記光学シートとして上記本発明の異
方性拡散シートを用い、この異方性拡散シートを上記棒
状の気泡が上記ランプに平行になるよう配設するとよ
い。このバックライトユニットによれば、上述のような
出射させる光線における輝度分布の異方性を改善するこ
とができ、ひいては輝度の向上を図ることができる。ま
た、当該異方性拡散シートは光拡散性が高いので、光学
シートの装備枚数を少なくすることができ、その結果、
薄型化を促進することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、適宜図面を参照しつつ本発
明の実施の形態を詳説する。図1(a)は本発明の一実
施形態に係る異方性拡散シートを示す模式的平面図、図
1(b)及び(c)は(a)の異方性拡散シートのA−
A模式的断面図及びB−B模式的断面図、図2(a)は
拡散シートの出光光線の例示的な輝度分布を示すベクト
ル図、図2(b)は上記輝度分布を示す縦軸が輝度で横
軸が法線方向からの角度のグラフである。また図3は図
1の異方性拡散シートの製造装置を説明する概略構成図
である、さらに図4及び図5はそれぞれ図1の異方性拡
散シートとは異なる形態に係る異方性拡散シートを示す
模式的断面図である。
【0022】図1の異方性拡散シート1は、基材層2か
らなる単層の合成樹脂製シートであり、基材層2中に多
数の棒状の気泡3が分散されている。この棒状の気泡3
は、その軸方向がシート面と平行にかつ一方向(図1
(a)では左右方向)に向けられている。
【0023】この基材層2は、光線を透過させる必要が
あるので透明、特に無色透明の合成樹脂から形成されて
いる。かかる基材層2に用いられる合成樹脂としては、
特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹
脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオレフィ
ン、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等が挙げ
られる。基材層2の厚みは、特には限定されないが、例
えば10μm以上500μm以下、好ましくは75μm
以上250μm以下とされる。基材層2の厚みが上記範
囲未満であると、強度が低下し、取扱いが困難になる等
の不都合が発生する。逆に、基材層2の厚みが上記範囲
を超えると、液晶表示装置の輝度が低下してしまうこと
があり、またバックライトユニットの厚みが大きくなっ
て液晶表示装置の薄型化の要求に反することにもなる。
【0024】なお、基材層2には、上記の合成樹脂の
他、例えば可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、光
拡散剤、無機フィラー等が配合される場合がある。
【0025】気泡3は、円柱状、紡錘状等の細長い形状
を呈するものであり、その横断面形状も円形に限定され
ず、方形、多角形等も可能である。また、棒状の気泡3
の両端部の形状も半球状、円錐状等種々の形状が可能で
ある。但し、異方性拡散のためには気泡3の形状は横断
面形状が円形の円柱状や紡錘状が好ましい。
【0026】上記棒状の気泡3の平均アスペクト比とし
ては、1.5以上20以下が好ましく、5以上15以下
が特に好ましい。このアスペクト比とは、上述のように
棒状の気泡3における軸方向長さLの平均径Dに対する
比L/Dを意味する(図1(b)参照)。これは、気泡
3の平均アスペクト比が上記範囲より小さいと、拡散の
異方性が小さく、バックライトユニットにおける上記出
光の異方性を改善する効果が小さいためであり、逆に、
平均アスペクト比が上記範囲を超えると、製造が困難に
なり、またシートの強度も低下してしまうことからであ
る。
【0027】上記気泡3の基材層2に対する比率として
は、1vol%以上80vol%以下が好ましく、5v
ol%以上50vol%以下が特に好ましい。これは、
気泡3の体積比が上記範囲より小さいと、光拡散性ひい
ては異方性を発揮することができず、逆に、気泡3の体
積比が上記範囲を超えると、シートの強度や全光線透過
率が低下してしまうことからである。
【0028】上記棒状の気泡3の平均径Dとしては0.
5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上20
μm以下が特に好ましい。これは、気泡3の平均径Dが
上記範囲より小さいと、所定の平均アスペクト比では気
泡3の軸方向長さも小さくなり、拡散の異方性が小さく
なってしまうことからであり、逆に、気泡3の平均径D
が上記範囲を超えると、所定の平均アスペクト比では棒
状の気泡3が長大になり、均一な拡散が困難になること
からである。
【0029】なお、気泡3に含まれる気体は、気泡3の
形成方法により決定され、特に限定されるものではな
い。例えば、後述するように発泡剤を用いた場合、発泡
剤の種類により空気、窒素ガス、二酸化炭素、アンモニ
アガス等が充填される。
【0030】上記異方性拡散シート1は、棒状の気泡3
の軸方向と平行な面を基準にすると(図1(b)参
照)、基材層2の基地と気泡3との界面の曲率が比較的
小さく、シート面と比較的平行であるため、拡散作用は
小さい。一方、棒状の気泡3の軸方向と垂直な面を基準
にすると(図1(c)参照)、基材層2の基地と気泡3
との界面の曲率が比較的大きく、気泡3の界面で種々の
方向に屈折され、比較的大きい拡散作用が発揮される。
従って、当該異方性拡散シート1は、棒状の気泡3の軸
方向と垂直方向の拡散作用が大きく、棒状の気泡3の軸
方向と平行方向の拡散作用が小さい異方性拡散作用を奏
することができる。また、当該異方性拡散シート1は、
拡散作用を奏するのが気泡3であるため、合成樹脂から
なる基材層2の基地と気泡3との屈折率差が合成樹脂か
らなる光拡散剤を用いる場合より大きくできるので、光
拡散性が格段に大きくなる。
【0031】上記異方性拡散シート1に法線方向から光
線を入射した場合の出光特性としては、半値角差が10
°以上40°以下となるのが好ましく、中でも20°以
上が特に好ましい。また半値角比は1:3程度が好まし
い。これは、半値角差が上記範囲より小さいと効果的な
異方性を奏することができず、また半値角比が上記範囲
を超えるものの製造は困難であり、光拡散シートとして
の強度を保つことができないことからである。
【0032】ここで、上記「半値角差」及び「半値角
比」について説明する。かかる半値角差や半値角比は当
該異方性拡散シート1等の出光特性の1つであって、特
に拡散能の異方性を示す特性値である。当該異方性拡散
シート1の裏面側から垂直に光線を入射した場合、法線
方向を含む所定の面を基準にすると、図2(a)に示す
ように出射光線の輝度分布は、法線方向が大きく、接線
方向ほど小さくなる。この図2(a)中の矢印付線分は
輝度と方向を示すベクトルである。かかる出射光線の輝
度分布を、横軸を法線方向からの角度θ、縦軸を輝度I
として表すと、図2(b)に示すような山形をなす分布
曲線となる。このような輝度分布曲線において、輝度の
最大値I0の2分の一(I0/2)に対応する分布曲線の
角度幅θHを半値角といい、この値が大きい方が拡散性
が高い。当該異方性拡散シート1の場合、上述のように
棒状の気泡3の軸方向と平行な面を基準にした場合と、
棒状の気泡3の軸方向と垂直な面を基準にした場合とで
出射光線の輝度分布が異なり、気泡3の軸方向と垂直な
面を基準にした場合の半値角の方が大きくなる。気泡3
の軸方向と垂直な面を基準にした場合の半値角と、気泡
3の軸方向と平行な面を基準にした場合の半値角との差
を半値角差といい、その比を半値角比という。かかる半
値角差及び半値角比が大きいほど異方性が大きい。
【0033】従って、線状のランプと、このランプから
発せられる光線を均一に拡散させる光学シートとを装備
する表示装置用のバックライトユニットにおいて、上記
異方性拡散シート1をその棒状の気泡3の軸方向と線状
のランプとが平行になるよう配設すると、線状のランプ
と垂直方向に現れる輝度の強い異方性を当該異方性光拡
散シート1の大きい拡散能によって拡散し、輝度の異方
性を解消することができる。
【0034】次に、当該異方性拡散シート1の製造方法
について説明する。当該異方性拡散シート1は図3に示
す製造装置10を用いて製造する。この製造装置10
は、円筒状のシリンダー12と、シリンダー12内に回
動可能に装備されたスクリュー13と、樹脂ペレットを
シリンダー12後端部に供給するホッパー14と、スク
リュー13の先端側に装備された加熱部15と、スクリ
ュー13の先端に装備されたTダイ16と、Tダイ16
から押し出されたシートを狭圧するニップロール17
と、シートを巻き取る巻取ロール18とを主構成要素と
する。
【0035】当該製造装置10は、基材層2を構成する
樹脂組成物に発泡剤を添加して樹脂ペレット11とし、
この樹脂ペレット11をホッパー14からシリンダー1
2内に供給し、スクリュー13で先端方向に圧送し、加
熱部15で溶融し、発泡剤を溶融樹脂組成物中で発泡さ
せた後に、Tダイ16からシート状に押し出し、ニップ
ロール17で押圧した後に巻取ロール18で巻き取り合
成樹脂製のシートに成形するものである。なお、基材層
2を構成する樹脂組成物のみを樹脂ペレット11とし、
かかる樹脂ペレット11と発泡剤とを混合してホッパー
14に供給することも可能である。
【0036】従って、当該異方性拡散シート1の製造方
法としては、大別すると、(a)シート原料の樹脂組成
物に発泡剤を添加して樹脂ペレット11とする発泡剤添
加工程、(b)ホッパー14を介してシリンダー12後
端部に樹脂ペレット11を供給する供給工程、(c)ス
クリュー13の回転により樹脂ペレット11をシリンダ
ー12内の後端から先端に圧送する圧送工程、(d)加
熱部15により樹脂ペレット11を加熱溶融する溶融工
程、(e)発泡剤を発泡させて溶融樹脂組成物中に気泡
を分散させる発泡工程、(f)溶融樹脂組成物をTダイ
16からシート状に押出す押出工程、(g)押し出され
たシートをニップロール17により所定の厚さに押圧す
る押出工程、及び(h)押出したシートを巻取ロール1
8により巻き取る巻取工程からなる。
【0037】上記異方性拡散シートの製造方法によれ
ば、一般的なTダイ法に上記発泡剤添加工程と発泡工程
とを付加することで、押出前の溶融樹脂組成物中に気泡
を分散させ、上記押出工程及び押圧工程の過程で内部に
分散した気泡を棒状に引き伸ばし、上述の異方性拡散シ
ートを容易に製造することができる。
【0038】上記発泡剤は特に限定されるものではな
く、化学発泡剤又は物理発泡剤を用いることができる。
この化学発泡剤は有機系と無機系とに大別され、有機系
としては例えばアゾ化合物、ニトロソ化合物、ヒドラジ
ン誘導体、イソシアネート化合物等があり、無機系とし
ては重炭酸塩・炭酸塩、重炭酸ナトリウム+酸、亜鉛粉
末+酸等がある。また物理発泡剤も有機系と無機系とに
大別され、有機系としてはブタン、ペンタン、フロン等
があり、無機系としては空気、炭酸ガス、窒素ガス等が
ある。これらのうち基材層2を構成する樹脂組成物との
相性を考慮し適宜選択するとよい。例えば、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレートなどの合成樹脂にはアゾジカルボンアミド等
のアゾ化合物や炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩が好ま
しい。
【0039】上記発泡剤添加工程における発泡剤の添加
量としては0.01wt%以上10wt%以下が好まし
く、1wt%以上5wt%以下が特に好ましい。これ
は、発泡剤の添加量が上記範囲より小さいと、光拡散シ
ートとしての光拡散性を奏することができず、逆に、発
泡剤の添加量が上記範囲を超えると、上述のTダイ法に
よるシート成形が困難になることからである。
【0040】また上記巻取工程における巻取ロール18
のロールスピードとしては3m/min以上50m/m
in以下が好ましく、10m/min以上30m/mi
n以下が特に好ましい。これは、上記ロールスピードが
上記範囲より小さいと、気泡3の平均アスペクト比が小
さく、拡散の異方性の度合が小さくなることからであ
り、逆に、ロールスピードが上記範囲を超えると、シー
トが破断するおそれがあることからである。
【0041】なお、発泡剤添加工程における添加する発
泡剤の量及び発泡剤の分散密度により溶融樹脂組成物中
に発泡する気泡の大きさ及び分散密度が調整でき、その
結果押出し後の棒状の気泡の大きさ及び分散密度を制御
することができる。さらに、押出工程におけるTダイ1
6からの押出速度及び押圧工程におけるニップロール1
7の押圧力を調整することで、棒状の気泡の平均アスペ
クト比を制御することができる。
【0042】図4の異方性拡散シート21は、基材層2
と、この基材層2の表面に積層された等方性拡散層22
とからなる。この基材層2は、上記図1の異方性拡散シ
ート1の基材層2と同様のものであり、平行に分散した
棒状の気泡3により異方性拡散機能を発揮する。
【0043】等方性拡散層22は、バインダー23と、
このバインダー23中に分散するビーズ24とからな
る。このようにビーズ24を分散させることにより、等
方性拡散層22を裏側から表側に透過する光線を均一に
拡散させることができる。またビーズ24は、その上端
がバインダー23から突出したものやバインダー23に
埋設されているものが存在するが、ビーズ24のうちバ
インダー23の表面から突出した部分が主に光拡散性に
寄与していると考えられるので、光拡散性を促進させる
ためにはビーズ24をバインダー23表面から突出させ
るのが好ましく、突出させるためにはバインダー23の
厚さよりビーズ24の粒径を大きくすればよい。そのビ
ーズ24の突出程度としては、突出比(ビーズ24の粒
径とバインダー23の厚さの差のビーズ24の粒径に対
する比)が5%以上32%以下になる程度が好ましい。
これは、上記突出比が上記範囲より小さいと、十分な拡
散効果を発揮することができず、逆に、突出比が上記範
囲を超えると、反射光が増加することによる輝度の低下
やビーズ24の脱落を招来することからである。
【0044】バインダー23に用いられるポリマーとし
ては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエ
ステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド
イミド、エポキシ樹脂などが挙げられる。またバインダ
ー23には、上記のポリマーの他、例えば可塑剤、安定
化剤、劣化防止剤、分散剤等が配合されてもよい。かか
るバインダー23の厚さ(ビーズ24が存在していない
部分の平均厚さを意味する)は特には限定されないが、
例えば1μm以上30μm以下程度とされている。
【0045】ビーズ24は略球形であり、その材質とし
ては、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミ
ド等が挙げられる。
【0046】ビーズ24の粒径は、1μm以上100μ
m以下が好ましく、5μm以上50μm以下が特に好ま
しい。これはビーズ24の粒径が上記範囲未満である
と、取扱いが困難になり、特にバインダー23の表面か
ら突出させることや突出比の制御が困難になり、逆に、
粒径が上記範囲を越えると、光線の均一な分散ができな
くなってしまうことからである。なお、ビーズ24の粒
径とは平均粒径を意味する。
【0047】等方性拡散層22のビーズ24の配合量
は、バインダー23中のポリマー分100部に対して
0.1部以上500部以下が好ましく、10部以上30
0部以下が特に好ましい。これは、当該配合量が上記範
囲未満であると、光拡散効果が不十分となってしまい、
逆に、当該配合量が上記範囲を越えると、等方性拡散層
22を形成する樹脂組成物の塗工が困難となってしまう
ことからである。ここで、「部」で示す数値は質量を基
準とした比を意味する。
【0048】当該異方性拡散シート21は、上記基材層
2に等方性拡散層22を積層することで、ランプの位置
等に起因する出光の異方性を基材層2の異方性拡散によ
って防止しつつ光拡散性を促進でき、バックライトユニ
ットの輝度の向上及び輝度ムラの防止を促進することが
できる。また、等方性の光拡散シートを省略でき、バッ
クライトユニットの薄型化を促進できる。
【0049】図5の異方性拡散シート31は、基材層2
と、この基材層2の表面に積層された等方性拡散層22
と、基材層2の裏面に積層されたスティッキング防止層
32とからなる。この基材層2は上記図1の異方性拡散
シート1の基材層2と同様であり、等方性拡散層22は
上記図4の異方性拡散シート21の等方性拡散層22と
同様である。そのため、上記図4の異方性拡散シート2
1と同様の作用を発揮することができる。
【0050】スティッキング防止層32は、バインダー
33とこのバインダー33中に分散するビーズ34とか
ら構成され、バインダー33から突出したビーズ34に
よって裏面側に配設される導光板等とのスティッキング
を防止するものである。当該スティッキング防止層32
のバインダー33及びビーズ34も上記等方性拡散層2
2のバインダー23及びビーズ24と同様である。
【0051】なお、ビーズ34の配合量は比較的少量で
あり、そのためビーズ34は互いに離間してバインダー
33中に分散している。一方、スティッキング防止層3
2の厚み(ビーズ34を除いたバインダー33部分の厚
みを意味する)は特には限定されないが、例えば1μm
以上10μm以下程度とされている。
【0052】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、
この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈され
るべきものではないことはもちろんである。
【0053】[実施例1]ポリカーボネートにアゾ化合
物系の発泡剤を0.6wt%含有した樹脂ペレット(永
和化成工業(株)製「ポリスレンES201」)を用い
た上述の異方性拡散シートの製造方法により図1と同様
の構造の実施例1の異方性拡散シートを得た。当該異方
性拡散シートは分散する気泡が紡錘状であり、その気泡
の平均アスペクト比は約7、平均径は約20μm、体積
比は約24.3vol%である。
【0054】[実施例2]発泡剤を1.0wt%含有し
た以外は上記実施例1と同様にして実施例2の異方性拡
散シートを得た。当該異方性拡散シートは分散する気泡
が紡錘状であり、その気泡の平均アスペクト比は約5.
2、平均径は約30μm、体積比は約36.9vol%
である。
【0055】[特性の評価]上記実施例1及び実施例2
の異方性拡散シートを用い、その気泡の軸方向と平行な
面(平行方向)を基準にした輝度分布と垂直な面(垂直
方向)を基準にした輝度分布とを測定し、その測定結果
を図6及び図7に示した。
【0056】図6に示すように、実施例1の異方性拡散
シートは、気泡と垂直方向の最大輝度が1723cd/
2、半値輝度が861.5cd/m2、半値角が126
°となり、平行方向の最大輝度が1872cd/m2
半値輝度が936cd/m2、半値角が60°となっ
た。従って、当該実施例1の異方性拡散シートの半値角
差は66°であり、エッジライト型のバックライトユニ
ットにおける導光板から出射される光線のランプに平行
方向と垂直方向との輝度分布の異方性を十分改善できる
異方性拡散能を示した。
【0057】図7に示すように、実施例2の異方性拡散
シートは、気泡と垂直方向の最大輝度が1881cd/
2、半値輝度が940.5cd/m2、半値角が10
8.2°となり、平行方向の最大輝度が2091cd/
2、半値輝度が1045.5cd/m2、半値角が4
6.2°となった。従って、当該実施例2の異方性拡散
シートの半値角差は62°であり、実施例1の異方性拡
散シートと同様に十分な異方性拡散能を示した。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の異方性拡
散シートによれば、光拡散性が高く、異方性の調整が容
易である。また異方性拡散シートの製造方法によれば、
比較的製造が困難な異方性拡散シートの製造を容易にす
ることができる。さらに本発明の異方性拡散シートを用
いたバックライトユニットによれば、輝度分布の異方性
を少なく、かつ、輝度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係る異方性拡散
シートを示す模式的平面図で、(b)は(a)の異方性
拡散シートのA−A模式的断面図で、(c)は(a)の
異方性拡散シートのB−B模式的断面図である。
【図2】(a)は拡散シートの出光光線の輝度分布を例
示するベクトル図で、(b)は上記輝度分布を示す縦軸
が輝度で横軸が法線方向からの角度のグラフである。
【図3】図1の異方性拡散シートの製造装置を説明する
概略構成図である。
【図4】図1の異方性拡散シートとは異なる形態に係る
異方性拡散シートを示す模式的断面図である。
【図5】図1及び図4の異方性拡散シートとは異なる形
態に係る異方性拡散シートを示す模式的断面図である。
【図6】実施例1の異方性拡散シートの輝度分布曲線を
表すグラフである。
【図7】実施例2の異方性拡散シートの輝度分布曲線を
表すグラフである。
【符号の説明】
1 異方性拡散シート 2 基材層 3 気泡 10 製造装置 11 樹脂ペレット 12 シリンダー 13 スクリュー 14 ホッパー 15 加熱部 16 Tダイ 17 ニップロール 18 巻取ロール 21 異方性拡散シート 22 等方性拡散層 23 バインダー 24 ビーズ 31 異方性拡散シート 32 スティッキング防止層 33 バインダー 34 ビーズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/13357 B29K 105:04 // B29K 105:04 B29L 7:00 B29L 7:00 G02F 1/1335 530 Fターム(参考) 2H042 BA01 BA02 BA12 BA14 BA15 BA20 2H091 FA16Z FA23Z FA41Z FB02 LA11 LA18 4F100 AK01B AK01C AK45 BA03 BA07 BA10A BA22 CA01 CA23B CA23C DE04B DE04C DJ10A EH17 GB41 JL13C JN08 JN30 JN30A JN30B 4F207 AA28 AB02 AC01 AG01 AG20 AH73

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状の気泡が分散しており、その棒状の
    気泡の軸方向がシート面と平行にかつ一方向に向けられ
    ている異方性拡散シート。
  2. 【請求項2】 上記棒状の気泡の平均アスペクト比が
    1.5以上20以下である請求項1に記載の異方性拡散
    シート。
  3. 【請求項3】 上記棒状の気泡の比率が1vol%以上
    80vol%以下である請求項1又は請求項2に記載の
    異方性拡散シート。
  4. 【請求項4】 上記棒状の気泡の平均径が0.5μm以
    上100μm以下である請求項1、請求項2又は請求項
    3に記載の異方性拡散シート。
  5. 【請求項5】 上記棒状の気泡を基材層に有し、さらに
    バインダー中にビーズが分散した等方性光拡散層が上記
    基材層に積層されている請求項1から請求項4のいずれ
    か1項に記載の異方性拡散シート。
  6. 【請求項6】 上記基材層の表面のうち等方性拡散層が
    積層されている面と反対側の面に、バインダー中にビー
    ズが分散したスティッキング防止層がさらに積層されて
    いる請求項5に記載の異方性拡散シート。
  7. 【請求項7】 Tダイ法による押出成形方法を用いた異
    方性拡散シートの製造方法であって、シート原料の樹脂
    組成物に発泡剤を添加する発泡剤添加工程と、押出し前
    に発泡剤を発泡させて溶融樹脂組成物中に気泡を分散さ
    せる発泡工程とを付加したことを特徴とする異方性拡散
    シートの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記発泡剤の添加量が0.01wt%以
    上10wt%以下である請求項7に記載の異方性拡散シ
    ートの製造方法。
  9. 【請求項9】 線状のランプと、このランプから発せら
    れる光線を分散させて表面側に導く光学シートとを備え
    た液晶表示装置用のバックライトユニットにおいて、上
    記光学シートとして請求項1から請求項6のいずれか1
    項に記載の異方性拡散シートが用いられ、この異方性拡
    散シートの棒状の気泡とランプとが平行になるよう配設
    されていることを特徴とする液晶表示装置用のバックラ
    イトユニット。
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