JP2002098665A - ガスセンサおよびガス濃度の検出方法 - Google Patents

ガスセンサおよびガス濃度の検出方法

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JP2002098665A
JP2002098665A JP2000290366A JP2000290366A JP2002098665A JP 2002098665 A JP2002098665 A JP 2002098665A JP 2000290366 A JP2000290366 A JP 2000290366A JP 2000290366 A JP2000290366 A JP 2000290366A JP 2002098665 A JP2002098665 A JP 2002098665A
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electromotive force
oxide
sensor unit
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JP2000290366A
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Masao Maki
正雄 牧
Katsuhiko Uno
克彦 宇野
Takashi Niwa
孝 丹羽
Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
Takahiro Umeda
孝裕 梅田
Makoto Shibuya
誠 渋谷
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池駆動可能な家庭内一酸化炭素、ガス洩れ
警報用ガスセンサ 【解決手段】 加熱手段を備えた絶縁性基材の加熱手段
面上に、絶縁層を介して起電力型ガスセンサ部を備え、
前記絶縁性基材の裏面側に半導体型ガスセンサ部を備え
てなるガスセンサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の主たる対象は、一般
家庭で用いる一酸化炭素などの可燃性ガス警報機に搭載
するガスセンサに関し、設置自由度の高い電池駆動型に
適用することを目的とする。また、ガス警報機として、
高信頼性で、省電力型であり、単独の素子で一酸化炭素
とメタンまたはプロパン、またはイソブタンなど2種類
以上のガスを合わせて検出できることを目的とする。
【0002】
【従来の技術】家庭で安全の観点から検出したいガスと
しては、燃料ガス洩れによるメタンやプロパン、不完全
燃焼による一酸化炭素などが挙げられる。すでに燃料ガ
スの需要の増加と住宅の気密化が進むとともにガス洩れ
爆発事故が増加したことから、ガス洩れ事故を防止する
ためのガス洩れ警報機が広く普及してきている。ガス洩
れ警報機の普及とともにガス洩れ爆発事故は減少してき
ている。現在のガス洩れ警報機は、家庭用のAC電源に
より駆動するものである。ガス漏れ警報機として設置の
自由度に制約があるAC電源よりは、設置自由度の優れ
た電池で駆動するものが望まれている。現在警報機に使
用されるセンサは、90%以上が半導体式のもので、残
りの数%程度が接触燃焼式である。
【0003】一方、一酸化炭素については、従来、家庭
で不完全燃焼警報の目的に用いる有効なセンサが提案さ
れておらず、事故がなかなか減少しないことから、室内
に自由に設置して用いることのでき、安価であり、小型
で信頼性が高く、電池駆動できる低消費電力型の一酸化
炭素ガス検知センサが強く要望されている。
【0004】従来から提案されているガスセンサとくに
一酸化炭素などの可燃性ガスを検知する化学センサとし
ては、電解液に一酸化炭素を吸収して酸化する電極を設
けて、一酸化炭素濃度に比例する電流値から一酸化炭素
濃度を検知する方式(定電位電解式ガスセンサ)、貴金
属などの微量の金属元素を添加して増感したN型半導体
酸化物例えば酸化スズなどの焼結体タイプを用いて、こ
れらの半導体が可燃性ガスと接触した際に電気電導度が
変化する特性を利用してガスを検知する方式(半導体式
ガスセンサ)、20μm程度の白金の細線にアルミナを
添着し、貴金属を担持したものと担持しないものとの一
対の比較素子を用いて一定温度に加熱し、可燃性ガスが
この素子に接触して触媒酸化反応を行った際の発熱差を
検出する方式(接触燃焼式ガスセンサ)などが知られて
いる。例えば[文献1]大森豊明監修:「センサ実用事
典」:フジ・テクノシステム[第14章ガスセンサの基
礎(春田正毅担当)、P112−130(1986)に
詳しい記述がある。
【0005】また、ジルコニア電気化学セルを構成し、
電極の一方側に白金/アルミナの触媒層を形成して一酸
化炭素を検出する起電力型の固体電解質式一酸化炭素セ
ンサも提案されている。[例えば、H.OKAMOTO,H.OBAYA
SI AND T.KUDO,Solid StateIonics、1、319(19
80)参照] この固体電解質式一酸化炭素センサの原理は、触媒層側
と裸側の電極上で一種の酸素濃淡電池ができることによ
るもので、触媒層側の電極では、酸素がそのまま到達
し、一酸化炭素が到達しない状態にあるのに対して、裸
側の電極では、酸素も一酸化炭素も到達し、この一酸化
炭素が酸素を還元し、両者の電極の間に酸素濃淡電池が
形成され、起電力出力が現れることを利用するものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】これらの化学センサ
は、いずれも以下の欠点を有している。すなわち定電位
電解ガスセンサ、半導体型ガスセンサ、接触燃焼式ガス
センサとも原理的に還元性ガス(可燃性ガス)に無差別
に反応するため各種工夫をおこなったとしても基本的に
は、一酸化炭素(CO)以外の水素、アルコールなども
検知してしまう特性を持っている。つまりCOの選択性
が悪いという欠点を持っている。
【0007】またいずれのセンサにおいても動作のため
に温度が必要でそのための駆動エネルギーを必要として
いる。例えば、半導体式では、基本的に高温側動作と低
温側動作になる測定温度の動作を繰り返すが、測定温度
での動作は、対象ガスの種類により異なるが、高温動作
は、測定するガスの種類に関係なく、少なくとも450
℃程度の加熱が必要になる。これは、省電力が必要な電
池駆動を意図する際には、大きなエネルギー消費とな
る。
【0008】省電力化を図るために、センサを薄膜化、
小型化して低消費電力を図る場合、電力消費は、センサ
を備えた周辺の空気を加熱するために消費する電力が大
きくて、なかなか低消費電力化が図れない。またパルス
的な動作をさせたり、断続的な動作をさせたりして、低
消費電力化を図る方法も提案されているが、経済的な電
池電源の範囲において、せいぜい1種類のガスセンサを
高々1年程度動作させる程度の能力にすぎず、2種以上
のガスを数年以上持たせるという能力は備えていない。
【0009】また化学センサ全般に耐久性に課題があっ
た。すなわち、経時的にセンサの感度が低下してしまう
という課題である。これは、化学センサの中心的な機能
を担う電極や触媒が反応の進行とともに経時的に劣化す
ることによるものであり、この劣化は、一般大気中に微
量に存在する炭化水素系の還元性ガスで触媒が還元され
たり、電極表面に硫黄系化合物などが強く吸着したりし
て、一酸化炭素の検出反応が阻害されることによる。
【0010】また本来の家庭内のガスセンサに対する要
求としては、設置自由度の高い電池で駆動できる低消費
電力型ガスセンサで、メタン、プロパンのガス洩れ警報
と不完全燃焼による一酸化炭素とを同時に検出できる複
合型のセンサが望まれているが、これを達成できるもの
は、未だ提案されていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明のガスセンサおよびガス濃度の検出方法
としては、加熱手段を備えた絶縁性基材の加熱手段面上
に、絶縁層を介して起電力型ガスセンサ部を備え、前記
絶縁性基材の裏面側に半導体型ガスセンサ部を備えて構
成する。起電力型ガスセンサ部としては、固体電解質層
および一対の白金電極および片方の白金電極上に配した
多孔性酸化触媒被膜を備えて構成する。起電力型ガスセ
ンサ部では、一酸化炭素または水素を検出する。これに
対して、半導体型ガスセンサ部では、金、白金の群から
選定してなる一種以上の元素を用いた櫛形電極および酸
化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムの群から選定
してなる金属酸化物を主成分として、コバルト、マンガ
ン、銅、ニッケル、クロムの群から選定して成る一種以
上の金属酸化物または白金属元素を添加してなる被膜を
備えて構成する。半導体型センサ部では、メタン、プロ
パン、イソプタンなどのガスを検出する。
【0012】具体的な検出方法としては、共通の加熱手
段を用いて、加熱手段を断続的に動作させ、断続的な加
熱手段の遮断時を起点として、同時点または一定時間経
過後の起電力値および抵抗値に基づいて、ガスの濃度を
検知する。
【0013】基本的にガスセンサ素子は、寸法的に小型
化し、絶縁性基材および加熱手段も薄いものを用いて、
基本的な製膜方法としては、必要なパターンマスクを配
してのスパッタリングや電子ビーム蒸着などの薄膜プロ
セスやマイクロ加工技術としてリアクティブイオンエッ
チングなどのプロセス技術を用いて、機能部を薄膜化
し、起電力型素子の多孔性酸化触媒層や半導体型のガス
感応膜層については、厚膜印刷などのプロセス技術を用
いて、小型化する。加熱手段は、白金、鉄−クロム、ニ
ッケル−クロムの群から選定してなる一種以上の元素を
スパッタリング、または電子ビーム蒸着により形成する
抵抗加熱膜を用いて、これも極めて薄膜に形成する。多
層積層の薄膜は、必要に応じて結晶化などの熱処理を加
えながら、積層密着構造に形成する。手順としては、多
数の素子が得られる基板上で、順次必要なパターンマス
クによる薄膜等形成を経て、最終的にダイシングをし
て、これにリード線を接合して、1個の複合素子を完成
することになるが、製膜の取り扱い操作がデリケートに
なる裏面の半導体型ガスセンサ部については、転写紙上
にパターン形成して、基板上に転写する方法で形成する
こともできる。
【0014】加熱手段は、エネルギー的なロスが多い空
気ばかり温めることにならないように、なるべく素子だ
けが、アクティブになる温度までの時間だけ加熱を持続
し、空気への放熱が顕著になる前に遮断する。例えば、
酸素イオン導電性固体電解質のイットリア安定型ジルコ
ニアを用いる起電力型ガスセンサ部のアクティブな温度
は、450℃〜500℃で、半導体型ガスセンサ部にお
いて、空気中の酸素がドナーレベルから電子を奪うのに
必要な温度は、450℃〜500℃と共通域にあるの
で、共通に備えた加熱手段による一定時間の加熱で起電
力型ガスセンサ部では、動作状態になり、半導体型ガス
センサ部では、スタンバイの状態になる。スタンバイ状
態は、酸素が感応部の結晶表面に負で吸着し、表面電位
を増大させた状態で、高抵抗状態にある。そこで起電力
型ガスセンサの起電力出力を加熱手段の遮断の瞬間また
は、微少時間経過後に採取すれば、一酸化炭素濃度が検
出できる。
【0015】これからさらに微少時間が経過すると、加
熱手段が遮断されているため、ガスセンサの熱容量と周
囲温度等の関係により、ガスセンサの温度は低下する。
半導体型ガスセンサにおいて、メタン、プロパン、イソ
ブタン等の可燃ガスが酸素を還元し、電子をドナーレベ
ルに戻す温度、とくに最大感度が得られる温度は、対象
ガスにより異なる。メタンの場合は、300℃〜400
℃、プロパン、イソブタンの場合には、250℃〜35
0℃、また一酸化炭素の場合には、100℃〜150℃
と異なるので、抵抗値データの取り込み時間をガスセン
サの熱容量特性に応じて、複数点設けることで、何種類
かのガス種の濃度を測定することができる。一酸化炭素
については、起電力型ガスセンサと半導体型ガスセンサ
とで2回検出することができるので、センサの異常を相
互にチェックできる上に、高信頼の警報が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、
加熱手段を備えた絶縁性基材の加熱手段面上に、絶縁層
を介して起電力型ガスセンサ部を備え、前記絶縁性基材
の裏面側に半導体型ガスセンサ部を備えて構成する。加
熱手段により、起電力型ガスセンサ部および半導体型ガ
スセンサ部の動作に必要な温度が確保される。電池駆動
を目的にしているので、ガスセンサの温度を動作温度に
上げ続けるのは、電池電力を消費してしまうため、加熱
手段の断続的な動作が基本になる。加熱手段による加熱
は、ガスセンサの周囲の空気をなるべく暖めないよう
に、なるべく、ガスセンサのみが、動作温度まで、温度
上昇する時間に留めて省電力化を図る。
【0017】半導体式ガスセンサでは、もともと高温側
動作と低温側動作の断続的な動作が基本となる。起電力
型ガスセンサに関しては、このような意図的な断続動作
の例は、知られていない。起電力型センサでは、一酸化
炭素、水素の検出ができる。起電力型ガスセンサでの断
続動作は、新しい提案である。起電力型ガスセンサで、
断続動作を行うと、実用可能な起電力型ガスセンサの動
作温度は、半導体型ガスセンサの動作温度よりも高いの
で、データの取り込み時間をずらして、起電力型ガスセ
ンサ部からのデータの取り込み後の適切なタイミング
で、半導体型センサのデータを取り込むことができる。
一酸化炭素の検出による警報と燃料ガスのガス漏れ警報
が可能になる。
【0018】とくに、半導体型センサのガス種に対する
感度の温度特性を利用して、メタンまたはプロパンと一
酸化炭素を分離して取り込むこともできる。一酸化炭素
については、起電力型センサと併せて2回測ることがで
きる。
【0019】これを利用して、一酸化炭素の不完全燃焼
に対する警報の精度を高めることができる。また、どち
らかのセンサ部が故障していることのチェックも可能に
なる。
【0020】本発明の請求項2記載の発明は、前記起電
力型ガスセンサ部として、固体電解質層および一対の白
金電極および片方の白金電極上に配した多孔性酸化触媒
被膜を備えて構成する。起電力型ガスセンサ部の構成と
しては、一酸化炭素を検出する目的で、固体電解質層上
に一対の白金電極を形成し、片方の電極上には、一酸化
炭素が到達しないよう多孔性酸化触媒被膜を形成して基
準電極とする。他方の電極が一酸化炭素の検出電極にな
る。
【0021】固体電解質は、動作温度が低いものが有利
で、高分子固体電解質なども適用可能であるが、水蒸気
の連続供給など信頼性に劣るので、動作温度は、400
〜500℃と高くなるが、イットリア安定化ジルコニア
などの酸素イオン導電性固体電解質を用いることが望ま
しい。多孔性酸化触媒皮膜は、印刷による製膜になる
が、他は基本的にスパッタリングによる薄膜を用いる。
【0022】本ガスセンサ部の動作は、一酸化炭素がな
い状態では、白金電極間の酸素濃度差は殆どなく、起電
力はゼロであるが、一酸化炭素が存在すると両電極間
に、一酸化炭素濃度に関係する酸素濃度差に基づく起電
力が発生し、これにより一酸化炭素濃度が検出される。
この場合も、断続的動作で極めて省電力になる。半導体
型センサとの組み合わせ動作の効果などは、先の実施の
形態と同様である。
【0023】本発明の請求項3記載の発明は、半導体型
ガスセンサ部として、金、白金の群から選定してなる一
種以上の元素を用いた櫛形電極および酸化錫、酸化亜
鉛、酸化鉄、酸化インジウムの群から選定してなる金属
酸化物を主成分として、コバルト、マンガン、銅、ニッ
ケル、クロムの群から選定して成る一種以上の金属酸化
物または白金属元素を添加してなる被膜を備えて構成す
る。櫛形電極は、半導体型センサのガス感応部の抵抗値
変化を検出する目的で、金または白金電極をパターニン
グして用いる。
【0024】製膜法は、スパッタリングなどの薄膜、ま
たは厚膜印刷でも良い。酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸
化インジウムは、n型半導体酸化物で、400℃〜50
0℃程度の高温側で、酸素がドナーレベルから電子を奪
って結晶表面に負で荷電吸着し、表面電位を増大させ、
スタンバイ状態となる。従って、起電力型ガスセンサ部
の動作温度の400〜500℃となると、スタンバイ状
態になる。これにより、表面の水蒸気なをの吸着ガスも
脱離し、リフレッシュされる。
【0025】コバルト、マンガン、銅、ニッケル、クロ
ムの群から選定して成る一種以上の金属酸化物は、炭化
水素を分子状吸着または解離吸着し、増感する。白金、
パラジウム、ロジウムなどの白金属元素も同様の増感効
果を示す。半導体型ガスセンサ部として、金、白金の群
から選定してなる一種以上の元素を用いた櫛形電極およ
び酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムの群から
選定してなる金属酸化物を主成分として、コバルト、マ
ンガン、銅、ニッケル、クロムの群から選定して成る一
種以上の金属酸化物または白金属元素を添加してなる被
膜を備えた半導体型ガスセンサ部は、ガス燃料のメタ
ン、イソブタンに対して良好な検出感度を備える。
【0026】このような構成の半導体型ガスセンサ部の
メタン、イソブタンに対しての感度は、メタンの場合
は、300℃〜400℃、プロパン、イソブタンの場合
には、250℃〜350℃となる。これは、加熱手段を
遮断して、ピーク温度から冷却の温度帯となり、感度最
大の温度で抵抗値データを取り込めば、ガス燃焼の濃度
が検出できる。また、一酸化炭素については、100〜
150℃に最大感度があるため、半導体型ガウセンサ部
で、もう一度チェックすることができる。起電力型ガス
センサ部の動作は前記と同様である。以上により、省電
力の電池駆動方式で、有効に複数種のガスが一挙に検出
できる。
【0027】本発明の請求項4記載の発明は、加熱手段
として、白金、鉄−クロム、ニッケル−クロムの群から
選定してなる一種以上の元素をスパッタリング、または
電子ビーム蒸着により形成する抵抗加熱膜を用いて構成
する。電池駆動のガスセンサを構成するために、小熱容
量の小型、薄膜が望ましい。ガスセンサ自身積層構造を
備えるがこの層間で、熱移動のロスがあると望ましくな
い。スパッタリングで順次積層した膜は、良好に密着し
ており、層間での熱移動のロスはない。アルミナなどの
絶縁性基材上に白金、鉄−クロム、ニッケル−クロムの
群から選定してなる一種以上の元素をスパッタリング、
または電子ビーム蒸着により形成する抵抗加熱膜を用い
ると動作上有利となる。
【0028】抵抗加熱膜は、0.5μm以下の薄膜で加
熱手段ができるためである。白金は電子ビーム蒸着でも
可能であるが、ヒータ合金の場合は、スパッタリングに
なる。リード線の取り出しを考慮して、膜厚、幅、長さ
を最適化してヒータパターンを設計する。メタルマスク
を用いて、スパッタリングや電子ビーム蒸着で所定の抵
抗加熱膜パターンを作製する。さらに微細なパターンの
場合には、最初に基材上に全面被膜形成して、後から、
所定のパターンにドライまたは、ウエットエッチングで
パターン化する。基材にアルミナを用いる場合は、熱膨
張係数を考慮して、加熱手段の上に形成する絶縁膜は、
同じアルミナを用いるのが望ましい。
【0029】絶縁性基材上にヒータパターンおよび絶縁
膜を形成した状態で、この上に固体電解質膜、一対の白
金電極膜、片側の電極膜上への多孔性酸化触媒膜を形成
して、起電力型ガスセンサ部は完成する。裏面には、櫛
形電極およびガス感応膜を順次形成してガスセンサ部の
基本構造は完成する。所定のリード取り出し部から、リ
ードピンに接合マウントし、メッシュケースに収納する
ことで、ガスセンサ素子部が完成する。本ガスセンサの
動作、効果については、先の実施の形態と同様である。
【0030】本発明の請求項5記載の発明は、起電力型
ガスセンサ部として、固体電解質層および一対の白金電
極を備え、さらに積層して撥水性多孔質膜および撥水性
多孔質膜の一部の領域に多孔性酸化触媒被膜を備えて構
成する。
【0031】起電力型ガスセンサ部は、高温側での動作
でもあり、水蒸気には強く、アルコールの検出感度は低
く、メタン、イソブタンなどにも感度が低く、電気化学
的に極めて安定した動作が見込める。しかし、白金電極
にシリコーン蒸気や、亜硫酸ガスなどの硫黄化合物が吸
着すると被毒影響が現れ、センサの出力やゼロ点が変化
する懸念がある。被毒物質による吸着被毒から電極を保
護する目的で、固体電解質層および一対の白金電極を備
え、さらに積層して撥水性多孔質膜および撥水性多孔質
膜の一部の領域に多孔性酸化触媒被膜を備えて構成す
る。撥水性多孔質膜により、亜硫酸ガスなどの親水性ガ
スやシリコーン蒸気のような巨大分子は、電極表面に到
達することが防止される。これにより起電力型ガスセン
サ部の耐久信頼性が改善される。
【0032】本発明の請求項6記載の発明は、撥水性多
孔質膜として、シリカもしくはジルコニアの群から選定
して成る一種以上の元素を含むゾルゲル硬化体を用いて
構成する。
【0033】本撥水性多孔性被膜は、多孔体セラミック
粉末を含有するゾルゲル被膜処理により達成される。シ
リカまたはジルコニアのアルコキシド例えば、イソプロ
ポキシドやアセチルアセトナートを用いて多孔体セラミ
ックの分散液を用いて塗布焼成することで目的とする被
膜が得られる。このようにして形成した被膜は、シリコ
ーンなどの蒸気や亜硫酸ガスなどの被毒性ガスが電極に
到達する事を防止する。これにより、起電力型センサ部
の耐久信頼性は、著しく改善される。
【0034】本発明の請求項7記載の発明は、加熱手段
を備えた絶縁性基材の加熱手段面上に、絶縁層を介して
起電力型ガスセンサ部を備え、加熱手段を繰り返し断続
的に動作させ、断続的な加熱手段の遮断時を起点とし
て、同時点または一定時間経過後の起電力値に基づい
て、ガス濃度を検知する構成を備える。起電力型ガスセ
ンサ部の動作に関するもので、電池駆動のための省電力
動作の目的で、なるべく周辺空気を暖めずセンサ部のみ
加熱し、動作させる思想に基づく。加熱手段を瞬間的に
動作させ、遮断する。起電力型ガスセンサ部は、温度上
昇し動作可能になる。すなわち加熱手段を遮断した同時
点もしくは、ミリセカンドレベルの経過後の起電力値を
起電力型ガスセンサの特性値として取り込む。この動作
を周期的に繰り返すことで、不連続な特性値の群が得ら
れる。この特性値は、一酸化炭素濃度と相関を持つの
で、この相関を利用して、一酸化炭素濃度を検出するこ
とができる。
【0035】マイクロコンピュータを用いて動作させる
ので、一酸化炭素濃度の値が増加側にある場合には、加
熱手段の断続動作間隔を短くしてより正確な警報を発す
ることもできる。逆に一酸化炭素濃度の値が一定値で安
定している場合には、加熱手段の断続動作間隔を長くす
ることもできる。これにより、電池駆動で例えば、実用
的なリチウム電池1本で数年間以上の動作が可能にな
る。
【0036】本発明の請求項8記載の発明は、前記起電
力型ガスセンサ部として、固体電解質層および一対の白
金電極および片方の白金電極上に配した多孔性酸化触媒
被膜を備えて構成して動作させる。これは、構成として
は、請求項2記載の発明と同じで、請求項7記載の発明
の方法で動作させるものである。
【0037】本発明の請求項9記載の発明は、加熱手段
を備えた絶縁性基材の加熱手段面上に、絶縁層を介して
起電力型ガスセンサ部さらに裏面に半導体型ガスセンサ
部を備え、加熱手段を断続的に動作させ、断続的な加熱
手段の遮断時を起点として、同時点または一定時間経過
後の起電力値および抵抗値に基づいて、ガスの濃度を検
知する。
【0038】構成としては、請求項1記載の発明と同じ
である。起電力型ガスセンサの動作温度は、400〜5
00℃の温度レベルにあり、加熱手段の瞬時加熱によ
り、この温度に加熱すると、裏面の半導体型ガスセンサ
は、酸素がドナーレベルから電子を奪い表面にマイナス
電位吸着して、スタンバイ状態になる。ここで、加熱手
段が遮断される。
【0039】起電力型ガスセンサ部では、このタイミン
グでデータを採取し、半導体型ガスセンサ部では、冷却
途中の少し時間が遅れたタイミングでデータを採取す
る。半導体型センサのメタン、イソブタンなどの燃焼ガ
スと一酸化炭素の検出感度の温度特性は、異なるので、
同一の加熱手段を用いて住宅内で、安全保安上監視した
い何種類かのガスが一つのガスセンサで信頼性高くウオ
ッチングできることになる。
【0040】本発明の請求項10記載の発明は、半導体
型ガスセンサ部として、金、白金の群から選定してなる
一種以上の元素を用いた櫛形電極および酸化錫、酸化亜
鉛、酸化鉄、酸化インジウムの群から選定してなる金属
酸化物を主成分として、コバルト、マンガン、銅、ニッ
ケル、クロムの群から選定して成る一種以上の金属酸化
物または白金属元素を添加してなる被膜を備えて構成し
てガスを検出する。構成は、第三の実施の形態と同じ
で、作用等も先の実施の形態と同様である。
【0041】
【実施例】以下本発明の実施例について図1ないし図6
を用いて説明する。
【0042】(実施例1)図1は本発明の一実施例のガ
スセンサの断面概念図を示すものである。図1において
1が加熱手段で、絶縁性基材2の片方の面に設けてあ
る。加熱手段1の側に絶縁層3を介して起電力型ガスセ
ンサ部4が、そして起電力型ガスセンサ部4の裏面側に
は、半導体型ガスセンサ部5を備えている。起電力型ガ
スセンサ部4および半導体型ガスセンサ部は、熱伝導が
瞬時に行われるよう基本的に極力薄膜で形成することが
望ましい。絶縁性基材2については、熱伝達および熱衝
撃、さらに機械的強度などの観点から膜厚が50μmか
ら200μm程度のアルミナなどを用いるのが望まし
い。加熱手段は、パターン化した白金抵抗膜などの薄膜
の被膜を用いる。
【0043】加熱手段の上面に形成する絶縁層3として
は、基材と材質を合わせるのが望ましい。特にピンホー
ル等を含まない緻密な被膜に形成する必要がある。絶縁
層については、スパッタリング等の製膜手段を用いて形
成するのが望ましい。
【0044】起電力型ガスセンサ部としては、固体電解
質上に一対の電極を備え、片方の電極を多孔性酸化触媒
被膜で被覆したガスセンサを用いる。空気中で、固体電
解質の動作環境で動作させると電極間に一酸化炭素濃度
あるいは、水素濃度に応じた酸素濃淡電池型起電力が発
生する。これにより一酸化炭素、水素ガス濃度を検知す
ることができる。固体電解質としては、「ナフィオン」
(商品名)膜のような高分子固体電解質から、安定化ジ
ルコニアのような酸素イオン導電体、さらにはフッ化物
導電体や水素イオン導電体なども適用可能であるが、動
作温度は高いが、安定性などの点から酸素イオン導電体
を用いるのが望ましい。
【0045】半導体型ガスセンサ部5としては、櫛形電
極上に半導体酸化物を主成分として増感材、結合材を含
む硬化体よりなる感応膜を形成して用いる。半導体型ガ
スセンサ部5の動作としては、加熱手段により、酸素が
ドナーレベルから電子を奪って表面吸着する高温のスタ
ンバイの高抵抗状態から温度を下げることで、メタン、
イソブタンなどの燃料ガスや、一酸化炭素などの還元ガ
スに対して、抵抗値が低下して、検出することができ
る。電池動作の観点から消費電力を低下させるため、加
熱手段を起電力型ガスセンサ部4が動作温度に達する時
間まで加熱することで、半導体型センサ部5は、高抵抗
状態となり、加熱手段1を遮断することで温度低下が始
まり、それぞれのガスに対する感度が大きな温度で、抵
抗データと読み込むことで、メタン、イソブタンなどの
燃料ガスや、一酸化炭素などの還元ガスを検出すること
ができる。加熱手段1は、薄膜、小型のガスセンサの極
力必要な部分のみ加熱することになるので、これを繰り
返し間欠動作をさせることで、著しく省電力化が図れ
る。
【0046】(実施例2)図2は本発明の他の実施例の
起電力型ガスセンサ部の要部断面図を示すものである。
図2において、起電力型ガスセンサ部において、固体電
解質6の表面上に一対の白金電極7を備え、その片方の
電極上に多孔性酸化触媒被膜8を備える。いずれの被膜
も基本的には、スパッタリングなどの薄膜で形成する。
白金電極は、各種パターンの適用が可能であるが、形
状、膜厚、性状が異なるとゼロ点がずれることになるの
で、極力同じ形状とする。固体電解質6は、イットリア
安定化ジルコニアなどの酸素イオン導電体を用いるのが
望ましい。
【0047】多孔性触媒被膜8については、印刷などの
プロセスも併用する。酸化触媒、結合材、多孔化材、溶
剤などを含むペーストを所定のパターンにて塗布し、乾
燥、焼成して形成する。図2の構成で、基本的に起電力
型ガスセンサとして、動作可能であるが、図2の構成の
展開系として、他方の電極膜上に触媒を含まない、同種
の多孔性被膜を別に、形成しても良い。図2において、
固体電解質の動作温度条件下では、一酸化炭素含有空気
が到達すると一対の白金電極上で、多孔性酸化触媒被膜
を含む電極側(高酸素濃度)と反対側(低酸素濃度)で
濃淡電池が形成され一酸化炭素の検出ができる。水素の
場合にも、同様である。
【0048】(実施例3)図3は本発明の他の実施例の
要部である半導体型センサ部の断面概念図を示すもので
ある。図3において、基材2の上に櫛形電極9を備え、
櫛形電極9の上に、酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化イ
ンジウムの群から選定してなる金属酸化物を主成分とす
る被膜10を備える。同被膜10は、コバルト、マンガ
ン、銅、ニッケル、クロムの群から選定して成る一種以
上の金属酸化物または白金属元素11を増感材として含
有する。櫛形電極9は、白金もしくは金を用いて、スパ
ッタリングまたは印刷などにより任意のパターンにて基
材2上に形成する。また櫛形電極9の上のガス感応膜も
薄膜または、印刷にて形成する。複合被膜になるため、
薄膜の場合は、プロセスが複雑になるので、主として印
刷法にて被膜形成する。
【0049】酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウ
ムの群から選定してなる金属酸化物は、N型半導体酸化
物で、検出対象の還元ガスにより、ドナーレベルに電子
を戻し、導電性を増加させる。一方、コバルト、マンガ
ン、銅、ニッケル、クロムの群から選定して成る一種以
上の金属酸化物または白金属元素は、検出対象の還元ガ
スを吸着し、N型半導体酸化物に検出対象ガスを濃縮し
て供給したりする効果や、検出対象ガスの酸素との反応
性を増大させたりする効果、さらには、電子のドナーま
たはアクセプターとしてドナーレベルを活性化させたり
することで検出感度を増大させる効果を備える。検出対
象ガスの種類に応じた感度最大の温度で動作させること
で、燃料ガスなどの高感度の検出が可能になる。
【0050】(実施例4)図4は本発明の他の実施例の
ガスセンサの要部である加熱手段についての概念図を示
すものである。図4において、基材2上に加熱手段1を
パターン化して形成してある。加熱手段1として、白
金、鉄−クロム、ニッケル−クロムの群から選定してな
る一種以上の元素をスパッタリング、または電子ビーム
蒸着により形成する抵抗加熱膜を用いて構成する。本ガ
スセンサの考え方として、基本的にガスセンサの寸法を
小型化、薄膜化して熱容量を小さくして立ち上がり時間
を早くする。短い時間で駆動させ、理想的には、ガスセ
ンサ部のみが温度上昇し、動作状態になったタイミング
で、加熱手段を遮断する。この動作を繰り返すことを基
本的に目指している。
【0051】この観点において、加熱手段としては、サ
イズの小さな絶縁性基材上に薄膜で形成できて、耐熱
性、耐食性などに優れており、体積固有抵抗値の大きな
材料が有利である。白金、鉄−クロム、ニッケル−クロ
ムの群から選定してなる一種以上の元素をスパッタリン
グ、または電子ビーム蒸着により形成した抵抗加熱膜
は、この条件を満足している。上記の抵抗加熱膜、所定
のパターンを備えたメタルマスク下で薄膜に製膜するこ
とで得られる。薄膜を形成した後、ドライ、またはウエ
ットな条件で所定のパターンにエッチングすることでも
得ることができる。白金、鉄−クロム、ニッケル−クロ
ムの群から選定してなる一種以上の元素をスパッタリン
グ、または電子ビーム蒸着により形成する抵抗加熱膜
は、ヒータとして要求される耐熱性、耐食性などの面で
優れた特性を備えている。これらの抵抗加熱膜の中で
は、特に、白金抵抗膜が安定性および製膜性などの点で
優れている。
【0052】(実施例5)図5は本発明の他の実施例の
ガスセンサの要部である起電力型ガスセンサ部の断面概
念図を示すものである。図5において、起電力型ガスセ
ンサ部は、固体電解質層6の上に、一対の白金電極7を
備え、さらに積層して撥水性多孔質膜9を備え、さら
に、撥水性多孔質膜9の一部の領域、すなわち片方の白
金電極をカバーする領域、に多孔性酸化触媒被膜8を備
えて構成してある。撥水性多孔質膜9の目的は、白金電
極7の保護である。一般大気中で、動作温度も高いの
で、起電力型ガスセンサ部は安定した動作を示すが、シ
リコーン蒸気や、亜硫酸ガス、酢酸などの吸着性の強い
妨害ガスの影響を受けにくくする目的で、撥水性多孔質
膜9により白金電極7を保護する。
【0053】高温下で白金表面に強い吸着を示すガス
は、亜硫酸ガスや酢酸などの水溶性のガスが多いので、
撥水性多孔質膜9で水溶性酸性ガスが電極に透過し難く
する。電極のリード線の取り出し箇所をマスキングし
て、ゾルゲル液を用いての湿式の処理や、プラズマ溶射
などの乾式処理により皮膜形成する。撥水性多孔質膜と
しては、シリカもしくはジルコニアの群から選定してな
る一種以上の元素を含むゾルゲル硬化体を用いるのが望
ましい。ゾルゲル液は、シリカまたはジルコニアのアル
コキシドを用いて、その中にジルコニアまたはシリカの
粉末を含有して多孔質にして形成する。イソプロポキシ
ドまたは、アセチルアセトナートなどを用いて乾燥焼結
した皮膜は、有機物の空隙を備えポーラスになり易い。
これらの皮膜は疎水性で酸性ガスの電極への透過を抑制
する働きを備える。
【0054】また電極表面に撥水性多孔質膜を備えるこ
ろで、妨害ガスによる被毒影響を抑制する以外に、セン
サのサイズが小さいと発生する懸念がある電極間の反応
ガスの混合を防止するとともに電極面へのガス拡散量を
制御し、応答性を改善する効果も見込める。
【0055】(実施例6)図6は、本発明の他の実施例
のガスセンサの起電力型センサ部の動作およびデータの
取り込み方法に関する説明図である。すなわち、加熱手
段を備えた絶縁性基材の加熱手段面上に、絶縁層を介し
て起電力型ガスセンサ部を備え、加熱手段を繰り返し断
続的に動作させ、断続的な加熱手段の遮断時を起点とし
て、同時点または一定時間経過後の起電力値に基づい
て、ガス濃度を検知するという方法に関する動作の説明
である。
【0056】図6において横軸は、経過時間である。図
6の上段のグラフは、加熱手段の断続的な入力を示す。
加熱手段は、△t時間の間、パルス的に入力される。パ
ルス的な入力は、T時間の間隔で繰り返される。図6の
中段のグラフは、起電力型ガスセンサの加熱手段から最
も離れた多孔性酸化触媒部分の温度変化を示すグラフで
ある。パルス的な加熱手段のパワーレベルの入力に応じ
て温度上昇し、加熱手段が遮断されると冷却し、温度低
下する。図6の下段のグラフは、起電力型ガスセンサ部
の起電力変化を示す。Aが一酸化炭素を含まない空気の
場合で、温度が低い状況では、固体電解質センサのイン
ピーダンスが高いため不安定な状態にあるが、温度が3
50℃を越えた付近からセンサ出力が現れ、固体電解質
の動作温度付近になると出力は0に近づく。
【0057】固体電解質として、イットリア安定化ジル
コニアを用いた場合は、400〜500℃でこの安定出
力が得られる。Bが、一酸化炭素を含有する空気の場合
で、センサ出力は、+側に増加する。加熱手段を遮断し
た瞬間から微少時間のX時間後に起電力型ガスセンサ部
からの出力を採取すれば、一酸化炭素濃度に応じたA−
Bの差出力が得られる。このようにして、断続的な省電
力動作で一酸化炭素濃度を検知することができる。
【0058】(実施例7)図7は、本発明の他の実施例
のガスセンサの動作およびデータの取り込み方法に関す
る説明図である。すなわち、加熱手段を備えた絶縁性基
材の加熱手段面上に、絶縁層を介して起電力型ガスセン
サ部さらに裏面に半導体型ガスセンサ部を備え、加熱手
段を断続的に動作させ、断続的な加熱手段の遮断時を起
点として、同時点または一定時間経過後の起電力値およ
び抵抗値に基づいて、ガスの濃度を検知する方法を詳細
に示している。図7において、横軸は全て時間である。
第一から第三までのグラフは、先の実施例6の場合と同
様である。第四のグラフは、裏面に備えた半導体型ガス
センサ部のとくにセンサ感応部の温度変化を示す。半導
体型ガスセンサ部の温度上昇は、絶縁性基材の分の熱伝
導の遅れがあり、温度上昇は、起電力型ガスセンサ部と
比較すると少し遅れる。また加熱手段の入力される△t
時間の後は、冷却される。図7の最下段のグラフが半導
体型ガスセンサ部の抵抗値変化を示す。
【0059】△t時間の加熱で、半導体型ガスセンサ部
は温度上昇し、酸素がドナーレベルの電子を吸着してス
タンバイの状態となる。被検出ガスを含まない空気の場
合の抵抗値変化がCである。半導体型ガスセンサ部の特
有の温度特性で、抵抗値が変化する。Dが、被検出対象
ガスである燃料ガスのメタン、イソブタン、一酸化炭素
などが存在する場合の抵抗値変化である。ガスの種類に
よりこの変化のカーブが異なっている。被検出ガスの種
類によって、感度最大の温度は異なり、メタンの場合
は、300℃〜400℃、プロパン、イソブタンの場合
には、250℃〜350℃、また一酸化炭素の場合に
は、100℃〜150℃と異なるので加熱手段の遮断
後、Y1時間、Y2時間など異なる時間で、抵抗値を採
取すれば、検出感度が良好な条件で、ガスの検出が可能
になる。このようにして、複数のガスを同一の加熱手段
によりけんしゅつすることができる。特に一酸化炭素に
ついては、起電力型ガスセンサ部と半導体型ガスセンサ
部とで2回計測ができる。これを用いて正確な警報や相
互にセンサの動作が変化していないかなどチェックする
こともできる。
【0060】
【発明の効果】本発明のガスセンサは、共通の加熱手段
を用いて複数のガスが検出できる。とくに家庭内のガス
安全の観点から重要な一酸化炭素とメタン、イソブタン
などの燃料ガスの検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わるガスセンサを示す断
面概念図
【図2】本発明の実施例2に係わるガスセンサの起電力
型ガスセンサ部を示す断面図
【図3】本発明の実施例3に係わるガスセンサの半導体
型ガスセンサ部を示す断面図
【図4】本発明の実施例4に係わるガスセンサの加熱手
段部を示す概要図
【図5】本発明の実施例6に係わるガスセンサの起電力
型ガスセンサ部を示す断面図
【図6】本発明の実施例7に係わるガスセンサの起電力
型ガスセンサ部の動作を示す説明図
【図7】本発明の実施例8に係わるガスセンサの動作を
示す説明図
【符号の説明】
1 加熱手段 2 絶縁性基材 3 絶縁層 4 起電力型ガスセンサ部 5 半導体型ガスセンサ部 6 固体電解質 7 白金電極 8 多孔性酸化触媒皮膜 9 櫛形電極 10 酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムの群
から選定して成る金属酸化物 11 コバルト、マンガン、銅、ニッケル、クロムの群
から選定して成る1種以上の金属酸化物または白金属元
素 12 撥水性多孔性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 鶴田 邦弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 梅田 孝裕 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 渋谷 誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G004 BB04 BC03 BD04 BE22 BF05 BF07 BJ03 BL08 BL19 BM04 BM09 2G046 AA18 AA19 AA21 BA01 BA09 BB02 BC05 BE03 BE08 CA09 DB04 DB05 DC09 DC14 DD01 EB06 FB02 FE09 FE10 FE11 FE12 FE15 FE21 FE25 FE31 FE39 FE48

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加熱手段を備えた絶縁性基材の加熱手段
    面上に、絶縁層を介して起電力型ガスセンサ部を備え、
    前記絶縁性基材の裏面側に半導体型ガスセンサ部を備え
    てなるガスセンサ。
  2. 【請求項2】 起電力型ガスセンサ部として、固体電解
    質層および一対の白金電極および片方の白金電極上に配
    した多孔性酸化触媒被膜を備えてなる請求項1記載のガ
    スセンサ。
  3. 【請求項3】 半導体型ガスセンサ部として、金、白金
    の群から選定してなる一種以上の元素を用いた櫛形電極
    および酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムの群
    から選定してなる金属酸化物を主成分として、コバル
    ト、マンガン、銅、ニッケル、クロムの群から選定して
    成る一種以上の金属酸化物または白金属元素を添加して
    なる被膜を備えて成る請求項1記載のガスセンサ。
  4. 【請求項4】 加熱手段として、白金、鉄−クロム、ニ
    ッケル−クロムの群から選定してなる一種以上の元素を
    スパッタリング、または電子ビーム蒸着により形成する
    抵抗加熱膜を用いてなる請求項1〜3いずれか1項記載
    のガスセンサ。
  5. 【請求項5】 起電力型ガスセンサ部として、固体電解
    質層および一対の白金電極を備え、さらに積層して撥水
    性多孔質膜および撥水性多孔質膜の一部の領域に多孔性
    酸化触媒被膜を備えてなる請求項1記載のガスセンサ。
  6. 【請求項6】 撥水性多孔質膜として、シリカもしくは
    ジルコニアの群から選定して成る一種以上の元素を含む
    ゾルゲル硬化体を用いてなる請求項5記載のガスセン
    サ。
  7. 【請求項7】 加熱手段を備えた絶縁性基材の加熱手段
    面上に、絶縁層を介して起電力型ガスセンサ部を備え、
    加熱手段を繰り返し断続的に動作させ、断続的な加熱手
    段の遮断時を起点として、同時点または一定時間経過後
    の起電力値に基づいて、ガス濃度を検知する方法。
  8. 【請求項8】 起電力型ガスセンサ部として、固体電解
    質層および一対の白金電極および片方の白金電極上に配
    した多孔性酸化触媒被膜を備えてなる請求項7記載のガ
    ス濃度を検知する方法。
  9. 【請求項9】 加熱手段を備えた絶縁性基材の加熱手段
    面上に、絶縁層を介して起電力型ガスセンサ部さらに裏
    面に半導体型ガスセンサ部を備え、加熱手段を断続的に
    動作させ、断続的な加熱手段の遮断時を起点として、同
    時点または一定時間経過後の起電力値および抵抗値に基
    づいて、ガスの濃度を検知する方法。
  10. 【請求項10】 半導体型ガスセンサ部として、金、白
    金の群から選定してなる一種以上の元素を用いた櫛形電
    極および酸化錫、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化インジウムの
    群から選定してなる金属酸化物を主成分として、コバル
    ト、マンガン、銅、ニッケル、クロムの群から選定して
    成る一種以上の金属酸化物または白金属元素を添加して
    なる被膜を備えて成る請求項9記載のガスの濃度を検知
    する方法。
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