JP2002098077A - ロータリ圧縮機およびその製造方法 - Google Patents
ロータリ圧縮機およびその製造方法Info
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- JP2002098077A JP2002098077A JP2000290389A JP2000290389A JP2002098077A JP 2002098077 A JP2002098077 A JP 2002098077A JP 2000290389 A JP2000290389 A JP 2000290389A JP 2000290389 A JP2000290389 A JP 2000290389A JP 2002098077 A JP2002098077 A JP 2002098077A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 R134a冷媒、R22冷媒、R22代替冷
媒用のロータリ圧縮機において耐摩耗性に優れた摺動材
を提供する。 【解決手段】 空孔率15%以下のマルテンサイト組織
化された鉄系粉末焼結合金基地の表面に、Fe3Nまた
は(FeCr)3Nからなる第1化合物層およびFe−
Cr−Nからなる第2化合物層および窒素拡散層を表面
から内側に向かって順に形成し、しかる後側面を研削し
て寸法精度を確保したベーン32を使用することで、耐
摩耗性を向上させる。
媒用のロータリ圧縮機において耐摩耗性に優れた摺動材
を提供する。 【解決手段】 空孔率15%以下のマルテンサイト組織
化された鉄系粉末焼結合金基地の表面に、Fe3Nまた
は(FeCr)3Nからなる第1化合物層およびFe−
Cr−Nからなる第2化合物層および窒素拡散層を表面
から内側に向かって順に形成し、しかる後側面を研削し
て寸法精度を確保したベーン32を使用することで、耐
摩耗性を向上させる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリ圧縮機に
係わり、特にR22冷媒、R134a冷媒、R22代替
冷媒用としてのHFC冷媒に好適な圧縮機に関するもの
である。
係わり、特にR22冷媒、R134a冷媒、R22代替
冷媒用としてのHFC冷媒に好適な圧縮機に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】本願発明に係る従来の技術について、図
10を用いて説明する。図10は、従来知られたロータ
リ圧縮機で、シリンダ10と、シャフト8によりシリン
ダ10内で偏心して回転するローラ13と、シリンダ1
0に径方向に形成したシリンダ溝24と、シリンダ溝2
4に摺動自在かつ出没可能に挿入されて先端がローラ1
3と摺接するベーン14とを備えている。この時ベーン
14は側面がシリンダ溝24と往復摺動運動し、かつ先
端が偏芯回転するローラ13の外周面と摺接しながら運
転されるので高い耐摩耗性を要求されることになる。こ
のためベーン14は耐摩耗性に優れた特殊鉄系溶製材料
に熱処理を施し、研削加工仕上げを行なっている。ま
た、より耐摩耗性を向上させるために、熱処理、研削仕
上げされたベーン14を窒化処理した後、シリンダ10
との摺動面を研削精密仕上げして寸法精度を出すように
している。
10を用いて説明する。図10は、従来知られたロータ
リ圧縮機で、シリンダ10と、シャフト8によりシリン
ダ10内で偏心して回転するローラ13と、シリンダ1
0に径方向に形成したシリンダ溝24と、シリンダ溝2
4に摺動自在かつ出没可能に挿入されて先端がローラ1
3と摺接するベーン14とを備えている。この時ベーン
14は側面がシリンダ溝24と往復摺動運動し、かつ先
端が偏芯回転するローラ13の外周面と摺接しながら運
転されるので高い耐摩耗性を要求されることになる。こ
のためベーン14は耐摩耗性に優れた特殊鉄系溶製材料
に熱処理を施し、研削加工仕上げを行なっている。ま
た、より耐摩耗性を向上させるために、熱処理、研削仕
上げされたベーン14を窒化処理した後、シリンダ10
との摺動面を研削精密仕上げして寸法精度を出すように
している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このロータリ圧縮機に
おいては、近年オゾン層の破壊防止など地球環境保護の
ためにHFC冷媒が使用されるようになっている。しか
しながら、HFC冷媒は塩素を構成要素として含まない
ため、潤滑性が低いという性質があり、より耐摩耗性の
高い材料組合せが要求されるようになってきている。一
方、ロータリ圧縮機の寿命については更なる長寿命が要
求され、より低コストのロータリ圧縮機が常に求められ
ている。
おいては、近年オゾン層の破壊防止など地球環境保護の
ためにHFC冷媒が使用されるようになっている。しか
しながら、HFC冷媒は塩素を構成要素として含まない
ため、潤滑性が低いという性質があり、より耐摩耗性の
高い材料組合せが要求されるようになってきている。一
方、ロータリ圧縮機の寿命については更なる長寿命が要
求され、より低コストのロータリ圧縮機が常に求められ
ている。
【0004】上記のような要求に対しては、従来の特殊
鉄系溶製材料に熱処理を施し、研削加工仕上げを行な
い、更に窒化処理を行なった後シリンダとの摺動面を研
削精密仕上げしたベーンでは耐摩耗性が不十分であっ
た。また、溶製材料でベーンを作る場合には全面加工を
する必要があり、加工コストが非常に高いものになると
いう課題もあった。
鉄系溶製材料に熱処理を施し、研削加工仕上げを行な
い、更に窒化処理を行なった後シリンダとの摺動面を研
削精密仕上げしたベーンでは耐摩耗性が不十分であっ
た。また、溶製材料でベーンを作る場合には全面加工を
する必要があり、加工コストが非常に高いものになると
いう課題もあった。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、空孔率15%以下のマルテンサイト組織化
された鉄系粉末焼結合金基地の表面に、Fe3Nまたは
(FeCr)3Nからなる第1化合物層およびFe−C
r−Nからなる第2化合物層および窒素拡散層を表面か
ら内側に向かって順に形成したベーンを使用する構成と
したものである。さらには、寸法精度を出す目的でシリ
ンダと摺動するベーン側面を仕上げ研削加工し、第2化
合物層または拡散層を露出させる構成としたものであ
る。
に本発明は、空孔率15%以下のマルテンサイト組織化
された鉄系粉末焼結合金基地の表面に、Fe3Nまたは
(FeCr)3Nからなる第1化合物層およびFe−C
r−Nからなる第2化合物層および窒素拡散層を表面か
ら内側に向かって順に形成したベーンを使用する構成と
したものである。さらには、寸法精度を出す目的でシリ
ンダと摺動するベーン側面を仕上げ研削加工し、第2化
合物層または拡散層を露出させる構成としたものであ
る。
【0006】これにより、摺動面を耐摩耗性の高い化合
物層または窒素拡散層で構成し、かつ適度に形成された
空孔により潤滑油を保持するので、ベーンと他の摺動部
品間の耐摩耗性を大幅に向上させることができる。
物層または窒素拡散層で構成し、かつ適度に形成された
空孔により潤滑油を保持するので、ベーンと他の摺動部
品間の耐摩耗性を大幅に向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、円筒形状の内周面を有するシリンダと、前記シリン
ダ内周面に外周面を接しながら偏芯回転運動をするロー
ラと、前記シリンダの径方向に設けられたシリンダ溝に
摺動自在かつ出没可能に挿入されたベーンとからなり、
前記ベーンが先端部をローラの外周面に摺接するように
弾性体によって付勢されてシリンダ内空間を吸入空間と
圧縮空間に仕切るロータリ圧縮機であって、前記ベーン
は空孔率15%以下のマルテンサイト組織化された鉄系
粉末焼結合金基地の表面に、Fe3Nまたは(FeC
r)3Nからなる第1化合物層およびFe−Cr−Nか
らなる第2化合物層および窒素拡散層を表面から内側に
向かって順に形成したものであり、耐摩耗性の高い窒素
化合物層または窒素拡散層を摺動面とし、かつ空孔に保
持された潤滑油が供給されるので非常に優れた耐摩耗性
を発揮するという作用を有する。また、空孔率を15%
以下という値に設定したので、窒素化合物層を形成する
際に窒素がベーン内部まで深く進入することを防止する
ことができ、その結果寸法歪や脆化といった現象を最小
限に抑えることができるという作用を有する。
は、円筒形状の内周面を有するシリンダと、前記シリン
ダ内周面に外周面を接しながら偏芯回転運動をするロー
ラと、前記シリンダの径方向に設けられたシリンダ溝に
摺動自在かつ出没可能に挿入されたベーンとからなり、
前記ベーンが先端部をローラの外周面に摺接するように
弾性体によって付勢されてシリンダ内空間を吸入空間と
圧縮空間に仕切るロータリ圧縮機であって、前記ベーン
は空孔率15%以下のマルテンサイト組織化された鉄系
粉末焼結合金基地の表面に、Fe3Nまたは(FeC
r)3Nからなる第1化合物層およびFe−Cr−Nか
らなる第2化合物層および窒素拡散層を表面から内側に
向かって順に形成したものであり、耐摩耗性の高い窒素
化合物層または窒素拡散層を摺動面とし、かつ空孔に保
持された潤滑油が供給されるので非常に優れた耐摩耗性
を発揮するという作用を有する。また、空孔率を15%
以下という値に設定したので、窒素化合物層を形成する
際に窒素がベーン内部まで深く進入することを防止する
ことができ、その結果寸法歪や脆化といった現象を最小
限に抑えることができるという作用を有する。
【0008】請求項2に記載の発明は、請求項1記載の
ロータリ圧縮機でベーンの材料をクローム9〜27%、
炭素0.4%以上を含有する焼入れ硬化性のある鉄系粉
末焼結合金としたものであり、クロームを適量含有する
ことにより窒素化合物層の耐摩耗性を向上させ、特に窒
素拡散層の耐摩耗性を飛躍的に向上させるという作用を
有する。
ロータリ圧縮機でベーンの材料をクローム9〜27%、
炭素0.4%以上を含有する焼入れ硬化性のある鉄系粉
末焼結合金としたものであり、クロームを適量含有する
ことにより窒素化合物層の耐摩耗性を向上させ、特に窒
素拡散層の耐摩耗性を飛躍的に向上させるという作用を
有する。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1記載の
ロータリ圧縮機でベーンの材料をクローム9〜27%、
ニッケル4〜8%、炭素0.2%以下を含有する析出硬
化性のある鉄系粉末合金としたものであり、クロームを
適量含有することにより窒素化合物層の耐摩耗性を向上
させ、特に窒素拡散層の耐摩耗性を飛躍的に向上させる
と同時に耐食性に優れたベーンを得ることができるとい
う作用を有する。
ロータリ圧縮機でベーンの材料をクローム9〜27%、
ニッケル4〜8%、炭素0.2%以下を含有する析出硬
化性のある鉄系粉末合金としたものであり、クロームを
適量含有することにより窒素化合物層の耐摩耗性を向上
させ、特に窒素拡散層の耐摩耗性を飛躍的に向上させる
と同時に耐食性に優れたベーンを得ることができるとい
う作用を有する。
【0010】請求項4に記載の発明は請求項1乃至3記
載のロータリ圧縮機で、第1化合物層の厚さを1〜20
μm、第2化合物層の厚さを50〜200μmとしたも
のであり、化合物層の厚さをこの寸法範囲にすることに
より、十分な耐摩耗性を確保しながら窒化による寸法歪
や脆化といった悪影響を許容できる範囲内に抑えられる
という作用を有する。
載のロータリ圧縮機で、第1化合物層の厚さを1〜20
μm、第2化合物層の厚さを50〜200μmとしたも
のであり、化合物層の厚さをこの寸法範囲にすることに
より、十分な耐摩耗性を確保しながら窒化による寸法歪
や脆化といった悪影響を許容できる範囲内に抑えられる
という作用を有する。
【0011】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4
記載のロータリ圧縮機で、シリンダ溝と摺動するベーン
の側面で、第1および第2の化合物層を除去し、窒素拡
散層を主たる摺動面としたものであり、窒素拡散層の中
に存在する空孔の内壁表面が窒素化合物層で覆われてい
るので空孔内に保持される潤滑油を逃がし難くなり、ベ
ーンとシリンダの凝着摩耗に対する耐性が極めて優れた
ものになるという作用を有する。
記載のロータリ圧縮機で、シリンダ溝と摺動するベーン
の側面で、第1および第2の化合物層を除去し、窒素拡
散層を主たる摺動面としたものであり、窒素拡散層の中
に存在する空孔の内壁表面が窒素化合物層で覆われてい
るので空孔内に保持される潤滑油を逃がし難くなり、ベ
ーンとシリンダの凝着摩耗に対する耐性が極めて優れた
ものになるという作用を有する。
【0012】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至4
記載のロータリ圧縮機で、シリンダ溝と摺動するベーン
の側面で第1の化合物層すべてと第2の化合物層の一部
を除去し、第2の化合物層と窒素拡散層とが混在して露
出する面を摺動面としたものであり、窒素拡散層の方が
第2化合物層よりも摩耗しやすいため、第2化合物層露
出部分の間に存在する窒素拡散層が摺動摩耗により削り
取られることで窪みが形成され、その窪みに潤滑油が保
持されるので、ベーンとシリンダの凝着摩耗に対する耐
性が極めて優れたものになるという作用を有する。
記載のロータリ圧縮機で、シリンダ溝と摺動するベーン
の側面で第1の化合物層すべてと第2の化合物層の一部
を除去し、第2の化合物層と窒素拡散層とが混在して露
出する面を摺動面としたものであり、窒素拡散層の方が
第2化合物層よりも摩耗しやすいため、第2化合物層露
出部分の間に存在する窒素拡散層が摺動摩耗により削り
取られることで窪みが形成され、その窪みに潤滑油が保
持されるので、ベーンとシリンダの凝着摩耗に対する耐
性が極めて優れたものになるという作用を有する。
【0013】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至4
記載のロータリ圧縮機で、シリンダ溝と摺動するベーン
の側面で第1の化合物層を除去し、第2の化合物層を摺
動面としたものであり、第2化合物層はきわめて金属凝
着しにくい性質を持っているので、ベーンとシリンダの
凝着摩耗に対する耐性が極めて優れたものになるという
作用を有する。
記載のロータリ圧縮機で、シリンダ溝と摺動するベーン
の側面で第1の化合物層を除去し、第2の化合物層を摺
動面としたものであり、第2化合物層はきわめて金属凝
着しにくい性質を持っているので、ベーンとシリンダの
凝着摩耗に対する耐性が極めて優れたものになるという
作用を有する。
【0014】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至4
記載のロータリ圧縮機で、ローラの外周面に摺接するベ
ーンの先端部を表面粗さRy3μm以下の第2の化合物
層となるように研削加工したものであり、微細な突起部
に大きな応力が働き難くなるため、きわめて金属凝着し
にくい状態になり、ベーンとローラの凝着摩耗に対する
耐性が極めて優れたものになるという作用を有する。
記載のロータリ圧縮機で、ローラの外周面に摺接するベ
ーンの先端部を表面粗さRy3μm以下の第2の化合物
層となるように研削加工したものであり、微細な突起部
に大きな応力が働き難くなるため、きわめて金属凝着し
にくい状態になり、ベーンとローラの凝着摩耗に対する
耐性が極めて優れたものになるという作用を有する。
【0015】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8
記載のロータリ圧縮機で、ローラが、クロームを0.5
〜1.0%、モリブデンを0.2〜0.4%、リンを
0.1〜0.4%含む鋳鉄からなるものであり、ローラ
材料の耐摩耗性を向上させることができるという作用を
有する。
記載のロータリ圧縮機で、ローラが、クロームを0.5
〜1.0%、モリブデンを0.2〜0.4%、リンを
0.1〜0.4%含む鋳鉄からなるものであり、ローラ
材料の耐摩耗性を向上させることができるという作用を
有する。
【0016】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至
8記載のロータリ圧縮機で、ローラが、クロームを0.
5〜1.0%、モリブデンを0.2〜0.4%、ボロン
を0.02〜0.1%含む鋳鉄からなるものであり、ロ
ーラ材料の耐摩耗性を向上させることができるという作
用を有する。
8記載のロータリ圧縮機で、ローラが、クロームを0.
5〜1.0%、モリブデンを0.2〜0.4%、ボロン
を0.02〜0.1%含む鋳鉄からなるものであり、ロ
ーラ材料の耐摩耗性を向上させることができるという作
用を有する。
【0017】請求項11に記載の発明は、請求項1乃至
10記載のロータリ圧縮機で、冷媒をHFC、冷凍機油
をエステル油としたものであり、潤滑性の低いHFC冷
媒を使用しても、耐摩耗性に優れたロータリ圧縮機とす
ることができるという作用を有する。
10記載のロータリ圧縮機で、冷媒をHFC、冷凍機油
をエステル油としたものであり、潤滑性の低いHFC冷
媒を使用しても、耐摩耗性に優れたロータリ圧縮機とす
ることができるという作用を有する。
【0018】請求項12に記載の発明は、円筒形状の内
周面を有するシリンダと、前記シリンダ内周面に外周面
を接しながら偏芯回転運動をするローラと、前記シリン
ダの径方向に設けられたシリンダ溝に摺動自在かつ出没
可能に挿入されたベーンとからなり、前記ベーンが先端
部をローラの外周面に摺接するように付勢されてシリン
ダ内空間を吸入空間と圧縮空間に仕切るロータリ圧縮機
の製造方法であって、前記ベーンを空孔率15%以下の
鉄系粉末焼結合金を熱処理によりマルテンサイト組織と
した後、窒化または軟窒化処理により、Fe3Nまたは
(FeCr)3Nからなる第1化合物層およびFe−C
r−Nからなる第2化合物層および窒素拡散層を表面か
ら内側に向かって順に形成するロータリ圧縮機の製造方
法であり、特殊な工程を必要とせずに耐摩耗性に優れた
ベーンを得ることができるという作用を有する。
周面を有するシリンダと、前記シリンダ内周面に外周面
を接しながら偏芯回転運動をするローラと、前記シリン
ダの径方向に設けられたシリンダ溝に摺動自在かつ出没
可能に挿入されたベーンとからなり、前記ベーンが先端
部をローラの外周面に摺接するように付勢されてシリン
ダ内空間を吸入空間と圧縮空間に仕切るロータリ圧縮機
の製造方法であって、前記ベーンを空孔率15%以下の
鉄系粉末焼結合金を熱処理によりマルテンサイト組織と
した後、窒化または軟窒化処理により、Fe3Nまたは
(FeCr)3Nからなる第1化合物層およびFe−C
r−Nからなる第2化合物層および窒素拡散層を表面か
ら内側に向かって順に形成するロータリ圧縮機の製造方
法であり、特殊な工程を必要とせずに耐摩耗性に優れた
ベーンを得ることができるという作用を有する。
【0019】請求項13に記載の発明は、請求項11記
載のロータリ圧縮機の製造方法で、窒化または軟窒化処
理の温度を500℃から580℃とし、窒素拡散層の厚
さを0.05mm以上としたものであり、耐摩耗性の高
い化合物層を安定して得られると共に、寸法精度を出す
ためにベーンの側面を研削する場合の研削代を確保する
ことができるという作用を有する。
載のロータリ圧縮機の製造方法で、窒化または軟窒化処
理の温度を500℃から580℃とし、窒素拡散層の厚
さを0.05mm以上としたものであり、耐摩耗性の高
い化合物層を安定して得られると共に、寸法精度を出す
ためにベーンの側面を研削する場合の研削代を確保する
ことができるという作用を有する。
【0020】請求項14に記載の発明は、請求項11ま
たは12記載のロータリ圧縮機の製造方法で、ベ−ンを
焼結成形した後に水蒸気処理をして前記ベ−ンの表面お
よび空孔内に酸化皮膜を形成し、しかる後に窒化または
軟窒化処理を行なうものであり、クロームを多く含む材
料は窒化が困難であるがあらかじめ酸化皮膜を設けてお
くことで窒化を容易にすることができるという作用を有
する。
たは12記載のロータリ圧縮機の製造方法で、ベ−ンを
焼結成形した後に水蒸気処理をして前記ベ−ンの表面お
よび空孔内に酸化皮膜を形成し、しかる後に窒化または
軟窒化処理を行なうものであり、クロームを多く含む材
料は窒化が困難であるがあらかじめ酸化皮膜を設けてお
くことで窒化を容易にすることができるという作用を有
する。
【0021】以下に、図を用いながら本発明の実施の形
態について幾つか例をあげて説明する。
態について幾つか例をあげて説明する。
【0022】(実施の形態1)まず、図1〜図4を用い
て、本発明の実施の形態1について説明する。
て、本発明の実施の形態1について説明する。
【0023】図1は本発明の実施の形態1におけるロー
タリ圧縮機を示す縦断面図、図2はその圧縮機構の要部
を示す横断面図、図3(a)は本発明の実施の形態1に
おけるベーンを示す図、(b)はベーンの先端部の拡大
断面模式図、(c)は窒化処理を行なった後のベーン側
面部の拡大断面模式図、図4(a)窒化処理後側面を仕
上げ研削加工したベーンを示す図、(b)は同ベーンの
側面部の拡大断面模式図である。
タリ圧縮機を示す縦断面図、図2はその圧縮機構の要部
を示す横断面図、図3(a)は本発明の実施の形態1に
おけるベーンを示す図、(b)はベーンの先端部の拡大
断面模式図、(c)は窒化処理を行なった後のベーン側
面部の拡大断面模式図、図4(a)窒化処理後側面を仕
上げ研削加工したベーンを示す図、(b)は同ベーンの
側面部の拡大断面模式図である。
【0024】図1において1は密閉容器であり、電動機
部2と圧縮機部3が配置されている。電動機部2は回転
子と固定子から構成され、回転子には主軸受9と副軸受
11により回転自在に支持されたシャフト8が圧入等の
方法により固定されている。圧縮機部3は吸入孔5およ
び径方向のシリンダ溝24を有するシリンダ30と、外
周面をシリンダ30の内周面に摺接しながら偏芯回転す
るローラ31と、ローラ31の内周面に摺動自在に挿入
されたシャフト8の偏芯部と、シリンダ溝24に往復摺
動自在に収納されてスプリング15による押圧力と背圧
(吐出圧)により先端部がローラ31に押し付けられて
シリンダ内部空間を吸入室16と圧縮室17に分割する
ベーン32と、シリンダ両端面を密閉する主軸受9およ
び副軸受11とから構成されている。
部2と圧縮機部3が配置されている。電動機部2は回転
子と固定子から構成され、回転子には主軸受9と副軸受
11により回転自在に支持されたシャフト8が圧入等の
方法により固定されている。圧縮機部3は吸入孔5およ
び径方向のシリンダ溝24を有するシリンダ30と、外
周面をシリンダ30の内周面に摺接しながら偏芯回転す
るローラ31と、ローラ31の内周面に摺動自在に挿入
されたシャフト8の偏芯部と、シリンダ溝24に往復摺
動自在に収納されてスプリング15による押圧力と背圧
(吐出圧)により先端部がローラ31に押し付けられて
シリンダ内部空間を吸入室16と圧縮室17に分割する
ベーン32と、シリンダ両端面を密閉する主軸受9およ
び副軸受11とから構成されている。
【0025】次に、本構成によるロータリ圧縮機の動作
を説明する。電動機部2に外部から通電することにより
より回転子が回転してシャフト8が回転駆動される。シ
ャフト8が回転すると偏芯部に摺動自在に取り付けられ
たローラ31がシリンダ内周面に摺接しながら遊星運動
(図2で反時計方向回転)を行なう。その結果、HFC
などの冷媒ガスが吸入管4から吸入孔5を介して吸入室
16に吸い込まれ、同時に圧縮室17で圧力を上げられ
た冷媒ガスが吐出切り欠き19から吐出孔6を通して密
閉容器1内に吐出される。
を説明する。電動機部2に外部から通電することにより
より回転子が回転してシャフト8が回転駆動される。シ
ャフト8が回転すると偏芯部に摺動自在に取り付けられ
たローラ31がシリンダ内周面に摺接しながら遊星運動
(図2で反時計方向回転)を行なう。その結果、HFC
などの冷媒ガスが吸入管4から吸入孔5を介して吸入室
16に吸い込まれ、同時に圧縮室17で圧力を上げられ
た冷媒ガスが吐出切り欠き19から吐出孔6を通して密
閉容器1内に吐出される。
【0026】なお、図1では見やすくするために吐出孔
6の位置を吸入孔から離れた位置に描いたが、実際には
図2に示すようにベーン32を挟んで吸入孔の近くに配
置されている。
6の位置を吸入孔から離れた位置に描いたが、実際には
図2に示すようにベーン32を挟んで吸入孔の近くに配
置されている。
【0027】この時、吸入室16と圧縮室17とを仕切
るベーン32はスプリング15とベーン背部にかかる圧
力によりローラ31の外周面に押し付けられており、先
端部がローラ31の外周面と、側面部がシリンダ溝24
の内壁面と摺動することになる。ベーン32とローラ3
1およびシリンダ溝24の潤滑は定常運転状態では密閉
容器底部に貯留されている潤滑油23を使って行なわれ
るが、始動時には摺動部に充分な潤滑油が存在しておら
ず、吸入された冷媒ガスに僅かながら含まれている潤滑
油(潤滑油は僅かではあるが冷媒ガスと共に圧縮機から
吐出され、冷凍サイクルを循環した後再び吸入管から圧
縮機に戻ってくる)が使われることになる。
るベーン32はスプリング15とベーン背部にかかる圧
力によりローラ31の外周面に押し付けられており、先
端部がローラ31の外周面と、側面部がシリンダ溝24
の内壁面と摺動することになる。ベーン32とローラ3
1およびシリンダ溝24の潤滑は定常運転状態では密閉
容器底部に貯留されている潤滑油23を使って行なわれ
るが、始動時には摺動部に充分な潤滑油が存在しておら
ず、吸入された冷媒ガスに僅かながら含まれている潤滑
油(潤滑油は僅かではあるが冷媒ガスと共に圧縮機から
吐出され、冷凍サイクルを循環した後再び吸入管から圧
縮機に戻ってくる)が使われることになる。
【0028】つまり、密閉型ロータリ圧縮機の始動時に
おける摺動条件は潤滑油が充分に供給されない厳しいも
のであり、特にベーンとシリンダ溝の間は往復摺動運動
となるため油膜が形成されにくいため更に厳しい摺動条
件であるということがいえる。また、近年環境対策のた
めに採用されているHFC冷媒はそれ自身に潤滑性が乏
しいので、HFC冷媒を使用したロータリ圧縮機の摺動
条件は特に厳しいものであるといえる。
おける摺動条件は潤滑油が充分に供給されない厳しいも
のであり、特にベーンとシリンダ溝の間は往復摺動運動
となるため油膜が形成されにくいため更に厳しい摺動条
件であるということがいえる。また、近年環境対策のた
めに採用されているHFC冷媒はそれ自身に潤滑性が乏
しいので、HFC冷媒を使用したロータリ圧縮機の摺動
条件は特に厳しいものであるといえる。
【0029】ベーン32は炭素が0.95〜1.2%、
クロームが16.0〜18.0%のマルテンサイト系ス
テンレス鋼を材料として次のようにして製造される。
クロームが16.0〜18.0%のマルテンサイト系ス
テンレス鋼を材料として次のようにして製造される。
【0030】(1)空孔率15%以下の固相焼結鉄とし
て粉末焼結成型する。
て粉末焼結成型する。
【0031】(2)焼入れ焼き戻しにより基地をマルテ
ンサイト組織とする。
ンサイト組織とする。
【0032】(3)研削加工により先端部32aおよび
側面部32bを仕上げる。
側面部32bを仕上げる。
【0033】(4)560〜570℃で窒化処理を行な
うことで図3(a)、(b)に示すようにFe3Nまた
は(FeCr)3Nの層で形成された第1化合物層32
c、Fe−Cr−Nの層で形成された第2化合物層32
d、窒素拡散層32eを形成する。
うことで図3(a)、(b)に示すようにFe3Nまた
は(FeCr)3Nの層で形成された第1化合物層32
c、Fe−Cr−Nの層で形成された第2化合物層32
d、窒素拡散層32eを形成する。
【0034】(5)最後に寸法精度を出すために図4
(a)、(b)で示すように側面部32bを研削して窒
素拡散層32eを露出させる。
(a)、(b)で示すように側面部32bを研削して窒
素拡散層32eを露出させる。
【0035】ここで、クロームを16〜18%とした理
由は、クロームを9%以上含有していると窒化処理によ
り形成される化合物層32cや窒素拡散層32eの耐摩
耗性(耐凝着摩耗性)が大幅に向上するが、27%を越
えると窒化が困難となるため両者の中間で容易に窒化を
行なうことができ、かつ十分な耐摩耗性を得ることがで
きる範囲に設定したものである。
由は、クロームを9%以上含有していると窒化処理によ
り形成される化合物層32cや窒素拡散層32eの耐摩
耗性(耐凝着摩耗性)が大幅に向上するが、27%を越
えると窒化が困難となるため両者の中間で容易に窒化を
行なうことができ、かつ十分な耐摩耗性を得ることがで
きる範囲に設定したものである。
【0036】また、空孔率15%以下とした理由は、空
孔率が15%以上となった場合は空孔どうしが繋がって
連続空孔を形成するようになり、窒化時の窒素ガスがベ
ーン材料の深部まで侵入し、表面だけではなくベーンの
中心部まで窒化処理が行なわれてしまうので、極めて脆
い組織となってしまうからである。また、窒化時に発生
する歪についても、表面だけの窒化処理であれば、側面
部を仕上げ研削することにより寸法精度を確保すること
ができるが、中心まで窒化が進行した場合には仕上げ研
削によって除去することができない極めて大きな歪が発
生してしまうからである。一方、空孔率が小さすぎる場
合には窒化処理による問題は発生しないが、潤滑油を充
分に保持することができなくなる。このため空孔率の下
限は通常5%以上、好ましくは10%以上に設定するの
が良い。
孔率が15%以上となった場合は空孔どうしが繋がって
連続空孔を形成するようになり、窒化時の窒素ガスがベ
ーン材料の深部まで侵入し、表面だけではなくベーンの
中心部まで窒化処理が行なわれてしまうので、極めて脆
い組織となってしまうからである。また、窒化時に発生
する歪についても、表面だけの窒化処理であれば、側面
部を仕上げ研削することにより寸法精度を確保すること
ができるが、中心まで窒化が進行した場合には仕上げ研
削によって除去することができない極めて大きな歪が発
生してしまうからである。一方、空孔率が小さすぎる場
合には窒化処理による問題は発生しないが、潤滑油を充
分に保持することができなくなる。このため空孔率の下
限は通常5%以上、好ましくは10%以上に設定するの
が良い。
【0037】図4で示すように、ベーン32の側面を研
削して窒素拡散層が露出した状態にすると、研削面32
fは窒素拡散層の中に空孔34が点在している状態にな
る。そして、空孔34には潤滑油23が保持されてお
り、この潤滑油23は運転時に摺動面に供給されるので
耐摩耗性を向上させることになる。また、空孔34は窒
化処理時に内壁面にFe−Cr−Nからなる第2化合物層
32gが形成されており、この第2化合物層は窒化によ
り組織を歪ませることで、隣り合う空孔どうしを連通す
る小さな孔を封孔する働きがあり、窒化処理前の材料に
連続空孔が少々存在しても、窒化処理後には連続空孔が
消滅していることになる。つまり、連続空孔が存在する
と、圧力が加わったときに空孔どうしを連通する小さな
孔を通じて潤滑油がベーンの外部に逃げていってしまう
が、連続空孔が無い状態では圧力が加わっても潤滑油は
逃げ道が無いのでそのまま保持されることになり、更な
る耐摩耗性の向上に効果がある。
削して窒素拡散層が露出した状態にすると、研削面32
fは窒素拡散層の中に空孔34が点在している状態にな
る。そして、空孔34には潤滑油23が保持されてお
り、この潤滑油23は運転時に摺動面に供給されるので
耐摩耗性を向上させることになる。また、空孔34は窒
化処理時に内壁面にFe−Cr−Nからなる第2化合物層
32gが形成されており、この第2化合物層は窒化によ
り組織を歪ませることで、隣り合う空孔どうしを連通す
る小さな孔を封孔する働きがあり、窒化処理前の材料に
連続空孔が少々存在しても、窒化処理後には連続空孔が
消滅していることになる。つまり、連続空孔が存在する
と、圧力が加わったときに空孔どうしを連通する小さな
孔を通じて潤滑油がベーンの外部に逃げていってしまう
が、連続空孔が無い状態では圧力が加わっても潤滑油は
逃げ道が無いのでそのまま保持されることになり、更な
る耐摩耗性の向上に効果がある。
【0038】また、窒化処理条件の温度を、500℃か
ら570℃に設定した理由は、この温度では化合物層や
窒素拡散層が安定して形成され、安定した耐摩耗性を発
揮することができるためである。更に窒素拡散層を0.
05mm以上にすることにより、耐摩耗性が安定した窒
素拡散層とすることができる。
ら570℃に設定した理由は、この温度では化合物層や
窒素拡散層が安定して形成され、安定した耐摩耗性を発
揮することができるためである。更に窒素拡散層を0.
05mm以上にすることにより、耐摩耗性が安定した窒
素拡散層とすることができる。
【0039】ローラ31は、クローム0.8%、ニッケ
ル0.2%、モリブデン0.2%、リン0.2%を添加
した合金鋳鉄に焼き入れ焼き戻しをほどこしたもので、
シリンダ30は金型共晶黒鉛鋳鉄でパーライトを10〜
50%含んだものを使用している。
ル0.2%、モリブデン0.2%、リン0.2%を添加
した合金鋳鉄に焼き入れ焼き戻しをほどこしたもので、
シリンダ30は金型共晶黒鉛鋳鉄でパーライトを10〜
50%含んだものを使用している。
【0040】ベーン32の先端部32aとローラ31の
外周面33は前述したように油の少ない金属接触に近い
摺動条件となっているが、ベーン32の先端部は耐摩耗
性の良好な第1化合物層32cで構成されているため、
過酷な摺動条件においてもローラ31の外摺面33との
間で凝着摩耗を生じ難くすることができる。また、ロー
ラ31の合金鋳鉄に添加されたクローム、モリブデン、
リンは耐摩耗性を大幅に向上させる働きがあり、Niは
焼入性を大きく高める働きがあるので、前述したベーン
32とローラ31の組合せは非常に耐摩耗性の優れた材
料組合せとなる。
外周面33は前述したように油の少ない金属接触に近い
摺動条件となっているが、ベーン32の先端部は耐摩耗
性の良好な第1化合物層32cで構成されているため、
過酷な摺動条件においてもローラ31の外摺面33との
間で凝着摩耗を生じ難くすることができる。また、ロー
ラ31の合金鋳鉄に添加されたクローム、モリブデン、
リンは耐摩耗性を大幅に向上させる働きがあり、Niは
焼入性を大きく高める働きがあるので、前述したベーン
32とローラ31の組合せは非常に耐摩耗性の優れた材
料組合せとなる。
【0041】ベーン32とシリンダ溝24は往復摺動運
動であり、潤滑油の油膜が形成されにくい条件となって
いるが、潤滑油を保持した空孔を有する窒素拡散層を摺
動面とすることで高い耐摩耗性を得ることができてい
る。また、パーライトを10%以上含んだ金型共晶黒鉛
鋳鉄と窒素拡散層の組合せは極めて高い耐摩耗性を発揮
することができる。このようにして信頼性の高い圧縮機
を実現することができる。
動であり、潤滑油の油膜が形成されにくい条件となって
いるが、潤滑油を保持した空孔を有する窒素拡散層を摺
動面とすることで高い耐摩耗性を得ることができてい
る。また、パーライトを10%以上含んだ金型共晶黒鉛
鋳鉄と窒素拡散層の組合せは極めて高い耐摩耗性を発揮
することができる。このようにして信頼性の高い圧縮機
を実現することができる。
【0042】なお、上記実施の形態ではベーン32の素
材を炭素が0.95〜1.2%、クロームが16.0〜
18.0%のマルテンサイト系ステンレス鋼としたが、
具体的な材質としてはSUS440A、SUS440
B、SUS440Cなどのマルテンサイト系ステンレス
鋼はもちろん、SKD1やSKD11のような工具鋼で
も同様の効果を得ることができる。
材を炭素が0.95〜1.2%、クロームが16.0〜
18.0%のマルテンサイト系ステンレス鋼としたが、
具体的な材質としてはSUS440A、SUS440
B、SUS440Cなどのマルテンサイト系ステンレス
鋼はもちろん、SKD1やSKD11のような工具鋼で
も同様の効果を得ることができる。
【0043】(実施の形態2)次に、図5〜図6を用い
て、本発明の実施の形態2について説明する。図5は本
発明の実施の形態2におけるロータリ圧縮機の圧縮機構
の要部を示す横断面図、図6は同ロータリ圧縮機のベー
ンを示す図である。
て、本発明の実施の形態2について説明する。図5は本
発明の実施の形態2におけるロータリ圧縮機の圧縮機構
の要部を示す横断面図、図6は同ロータリ圧縮機のベー
ンを示す図である。
【0044】図5および図6において、ベーン50はク
ロームを16〜18%、ニッケルを6.5〜7.75
%、炭素を0.09%以下含有する析出硬化形ステンレ
ス鋼SUS631を材料として次のようにして製造され
る。
ロームを16〜18%、ニッケルを6.5〜7.75
%、炭素を0.09%以下含有する析出硬化形ステンレ
ス鋼SUS631を材料として次のようにして製造され
る。
【0045】(1)空孔率15%以下の固相焼結鉄とし
て粉末焼結成型する。
て粉末焼結成型する。
【0046】(2)固溶化処理および中間処理を行った
後に析出効果処理を行い、基地にマルテンサイトと析出
物を混在させた組織とする。
後に析出効果処理を行い、基地にマルテンサイトと析出
物を混在させた組織とする。
【0047】(3)研削加工により先端部32aおよび
側面部32bを仕上げる。
側面部32bを仕上げる。
【0048】(4)窒化処理を行い、図6(b)、
(c)に示すようにFe3Nまたは(FeCr)3Nの層
で形成された第1化合物層50c、Fe−Cr−Nの層で
形成された第2化合物層50d、窒素拡散層50eを形
成する。
(c)に示すようにFe3Nまたは(FeCr)3Nの層
で形成された第1化合物層50c、Fe−Cr−Nの層で
形成された第2化合物層50d、窒素拡散層50eを形
成する。
【0049】(5)最後に寸法精度を出すために図6
(d)で示すように側面部50bを研削して窒素拡散層
50eを露出させる。
(d)で示すように側面部50bを研削して窒素拡散層
50eを露出させる。
【0050】ローラ51は、クローム0.8%、ニッケ
ル0.2%、モリブデン0.2%、ボロン0.04%を
添加した合金鋳鉄に焼き入れ焼き戻しをほどこしたもの
である。シリンダ53はパーライトを95%以上含んだ
FC250を使用している。
ル0.2%、モリブデン0.2%、ボロン0.04%を
添加した合金鋳鉄に焼き入れ焼き戻しをほどこしたもの
である。シリンダ53はパーライトを95%以上含んだ
FC250を使用している。
【0051】ベーン50の先端部50aとローラ51の
外周面54は前述したように油の少ない金属接触に近い
摺動条件となるが、ベーン50の先端部は耐摩耗性の良
好な第1化合物層50cと第2化合物層50dで構成さ
れているため、過酷な摺動条件においてもローラ51の
外摺面54との間で凝着摩耗を生じ難くすることができ
る。
外周面54は前述したように油の少ない金属接触に近い
摺動条件となるが、ベーン50の先端部は耐摩耗性の良
好な第1化合物層50cと第2化合物層50dで構成さ
れているため、過酷な摺動条件においてもローラ51の
外摺面54との間で凝着摩耗を生じ難くすることができ
る。
【0052】また、ローラ51の合金鋳鉄に添加された
クローム、モリブデン、ボロンは耐摩耗性を大幅に向上
させる働きがあり、Niは焼入性を大きく高める働きが
あるので、前述したベーン50とローラ51の組合せは
非常に耐摩耗性の優れた材料組合せとなる。
クローム、モリブデン、ボロンは耐摩耗性を大幅に向上
させる働きがあり、Niは焼入性を大きく高める働きが
あるので、前述したベーン50とローラ51の組合せは
非常に耐摩耗性の優れた材料組合せとなる。
【0053】ベーン50とシリンダ溝24は往復摺動運
動であり、潤滑油の油膜が形成されにくい条件となって
いるが、潤滑油を保持した空孔を有する窒素拡散層を摺
動面とすることで高い耐摩耗性を得ることができてい
る。また、パーライトを95%以上含んだFC250と
窒素拡散層の組合せは極めて高い耐摩耗性を発揮するこ
とができる。
動であり、潤滑油の油膜が形成されにくい条件となって
いるが、潤滑油を保持した空孔を有する窒素拡散層を摺
動面とすることで高い耐摩耗性を得ることができてい
る。また、パーライトを95%以上含んだFC250と
窒素拡散層の組合せは極めて高い耐摩耗性を発揮するこ
とができる。
【0054】このようにして信頼性の高い圧縮機を実現
することができる。
することができる。
【0055】なお、上記実施の形態ではベーン50の素
材としてクロームを16〜18%、ニッケルを6.5〜
7.75%、炭素を0.09%以下含有する析出硬化形
ステンレス鋼SUS631としたが、SUS630でも
同様の効果を得ることができる。
材としてクロームを16〜18%、ニッケルを6.5〜
7.75%、炭素を0.09%以下含有する析出硬化形
ステンレス鋼SUS631としたが、SUS630でも
同様の効果を得ることができる。
【0056】(実施の形態3)次に、図7を用いて、本
発明の実施の形態3について説明する。図7は、本発明
の実施の形態3におけるベーンを示す図である。
発明の実施の形態3について説明する。図7は、本発明
の実施の形態3におけるベーンを示す図である。
【0057】図7において、ベーン62は炭素を0.9
5〜1.2%、クロームを16〜18%含むマルテンサ
イト系ステンレス鋼を材料として次のようにして製造さ
れる。
5〜1.2%、クロームを16〜18%含むマルテンサ
イト系ステンレス鋼を材料として次のようにして製造さ
れる。
【0058】(1)空孔率15%以下の固相焼結鉄とし
て粉末焼結成型する。
て粉末焼結成型する。
【0059】(2)焼き入れ焼き戻し処理により基地を
マルテンサイト組織とする。
マルテンサイト組織とする。
【0060】(3)研削加工により先端部62aおよび
側面部62bを仕上げる。
側面部62bを仕上げる。
【0061】(4)560〜570℃で窒化処理を行
い、図7(b)、(c)に示すようにFe3Nまたは
(FeCr)3Nの層で形成された第1化合物層62
c、Fe−Cr−Nの層で形成された第2化合物層62
d、窒素拡散層62eを形成する。
い、図7(b)、(c)に示すようにFe3Nまたは
(FeCr)3Nの層で形成された第1化合物層62
c、Fe−Cr−Nの層で形成された第2化合物層62
d、窒素拡散層62eを形成する。
【0062】(5)先端部62aおよび側面部62bを
研削加工し、先端部62aは表面あらさRy1μm程度
とする。
研削加工し、先端部62aは表面あらさRy1μm程度
とする。
【0063】先端部62aはこの表面あらさであれば、
ローラ63との微視的な接触においても、ヘルツ応力が
小さく摩耗に影響をあたえない結果となる。また、先端
部62aには第2化合物層62dを残しているため、ロ
−ラ63との間で凝着摩耗しにくい構成となっている。
一方、側面部62bにおいても、第2化合物層62dを
残しているため、シリンダ溝24との間の摩耗もきわめ
て少なくなる。
ローラ63との微視的な接触においても、ヘルツ応力が
小さく摩耗に影響をあたえない結果となる。また、先端
部62aには第2化合物層62dを残しているため、ロ
−ラ63との間で凝着摩耗しにくい構成となっている。
一方、側面部62bにおいても、第2化合物層62dを
残しているため、シリンダ溝24との間の摩耗もきわめ
て少なくなる。
【0064】(実施の形態4)次に、図8を用いて、本
発明の実施の形態4について説明する。
発明の実施の形態4について説明する。
【0065】図8は、本発明の実施の形態4におけるベ
ーンを示す図である。図8においてベーン62は窒化処
理により表面に第1の化合物層、第2の化合物層、窒素
拡散層を形成した後、側面を研削加工して第2化合物層
62dと窒素拡散層62eを混合して露出させている。
このためベーン側面は、非常に硬い組織(62d)と硬
い組織(62e)が混ざって分布し、摺動により硬い組
織62eが僅かに摩耗してできた浅い窪みに潤滑油23
が保持される。この結果、摺動面には常に潤滑油が存在
するので耐摩耗性が向上する。
ーンを示す図である。図8においてベーン62は窒化処
理により表面に第1の化合物層、第2の化合物層、窒素
拡散層を形成した後、側面を研削加工して第2化合物層
62dと窒素拡散層62eを混合して露出させている。
このためベーン側面は、非常に硬い組織(62d)と硬
い組織(62e)が混ざって分布し、摺動により硬い組
織62eが僅かに摩耗してできた浅い窪みに潤滑油23
が保持される。この結果、摺動面には常に潤滑油が存在
するので耐摩耗性が向上する。
【0066】さらに、ベ−ン62は先端部62aおよび
側面部62bの摺動面に空孔65を有し、この空孔65
内に潤滑油23が保持されるので常に充分な潤滑油が存
在することになり、非常に強い耐摩耗性を発揮する。
側面部62bの摺動面に空孔65を有し、この空孔65
内に潤滑油23が保持されるので常に充分な潤滑油が存
在することになり、非常に強い耐摩耗性を発揮する。
【0067】また、ローラは、クローム0.8%、ニッ
ケル0.2%、モリブデン0.2%、リン0.3%を添
加した合金鋳鉄に焼き入れ焼き戻しをほどこしたもの
を、シリンダはA型片状黒鉛鋳鉄FC250でパーライ
トを90%以上含んだものを使用している。これらのロ
ーラ、シリンダとベーンの組合せにより、非常に摩耗量
が少なく、信頼性の高い圧縮機が実現できる。
ケル0.2%、モリブデン0.2%、リン0.3%を添
加した合金鋳鉄に焼き入れ焼き戻しをほどこしたもの
を、シリンダはA型片状黒鉛鋳鉄FC250でパーライ
トを90%以上含んだものを使用している。これらのロ
ーラ、シリンダとベーンの組合せにより、非常に摩耗量
が少なく、信頼性の高い圧縮機が実現できる。
【0068】(実施の形態5)次に、図9を用いて、本
発明の実施の形態5について説明する。
発明の実施の形態5について説明する。
【0069】図9は、本発明の実施の形態5におけるベ
ーンを示す図である。図9において、ベーン72は炭素
を0.95〜1.2%、クロームを16〜18%含むマ
ルテンサイト系ステンレス鋼を材料として次のようにし
て製造される。
ーンを示す図である。図9において、ベーン72は炭素
を0.95〜1.2%、クロームを16〜18%含むマ
ルテンサイト系ステンレス鋼を材料として次のようにし
て製造される。
【0070】(1)空孔率15%以下の固相焼結鉄とし
て粉末焼結成型する。
て粉末焼結成型する。
【0071】(2)焼き入れ焼き戻し処理により基地を
マルテンサイト組織とする。
マルテンサイト組織とする。
【0072】(3)削加工により先端部および側面部を
仕上げる。
仕上げる。
【0073】(4)水蒸気処理により表面部および内部
空孔部に四三酸化鉄の皮膜76を形成する。
空孔部に四三酸化鉄の皮膜76を形成する。
【0074】(5)窒化処理を行い、Fe3Nまたは
(FeCr)3Nの層で形成された第1化合物層、Fe−
Cr−Nの層で形成された第2化合物、窒素拡散層を形
成する。
(FeCr)3Nの層で形成された第1化合物層、Fe−
Cr−Nの層で形成された第2化合物、窒素拡散層を形
成する。
【0075】(6)側面部を研削加工して第2化合物層
77を露出させる。
77を露出させる。
【0076】クロームを多く含む材料は素材の時点で酸
化クロームの膜が形成されているため、通常の窒化処理
だけでは窒化が難しく、硫化水素ガス、フッカ窒素ガス
等で酸化クロームの膜を除去する前処理が必要である。
しかし、上記のように水蒸気処理を施してあれば、前処
理が不要か、もしくは、短時間の前処理で、窒化処理が
可能となる。
化クロームの膜が形成されているため、通常の窒化処理
だけでは窒化が難しく、硫化水素ガス、フッカ窒素ガス
等で酸化クロームの膜を除去する前処理が必要である。
しかし、上記のように水蒸気処理を施してあれば、前処
理が不要か、もしくは、短時間の前処理で、窒化処理が
可能となる。
【0077】また、窒化後、第2化合物層77や窒素拡
散層78の空孔部75内に第2化合物層79や四三酸化
鉄の膜76が残存しているため気密性が向上し、かつ四
三酸化鉄は多孔質体であるため潤滑油23を保持する能
力が大きくなり、耐摩耗性を向上させることができる。
散層78の空孔部75内に第2化合物層79や四三酸化
鉄の膜76が残存しているため気密性が向上し、かつ四
三酸化鉄は多孔質体であるため潤滑油23を保持する能
力が大きくなり、耐摩耗性を向上させることができる。
【0078】
【発明の効果】以上に示したように、本願発明によれば
以下に示すような効果を奏するものである。
以下に示すような効果を奏するものである。
【0079】すなわち、本願発明によれば、空孔率15
%以下のマルテンサイト組織化された鉄系粉末焼結合金
基地の表面に、Fe3Nまたは(FeCr)3Nからなる
第1化合物層およびFe−Cr−Nからなる第2化合物
層および窒素拡散層を表面から内側に向かって順に形成
したので、極めて耐摩耗性の高いベーンを得ることがで
きるという有利な効果が得られる。
%以下のマルテンサイト組織化された鉄系粉末焼結合金
基地の表面に、Fe3Nまたは(FeCr)3Nからなる
第1化合物層およびFe−Cr−Nからなる第2化合物
層および窒素拡散層を表面から内側に向かって順に形成
したので、極めて耐摩耗性の高いベーンを得ることがで
きるという有利な効果が得られる。
【0080】また、本願発明によれば、鉄系粉末焼結合
金としてクロームを9〜27%、炭素を0.4%以上含
有する焼き入れ硬化性のある材料としたことで、強靭で
表面高度が高く耐摩耗性に優れたベーンを得ることがで
きるという優れた効果を得られる。
金としてクロームを9〜27%、炭素を0.4%以上含
有する焼き入れ硬化性のある材料としたことで、強靭で
表面高度が高く耐摩耗性に優れたベーンを得ることがで
きるという優れた効果を得られる。
【0081】また、本願発明によれば、鉄系粉末焼結合
金としてクロームを9〜27%、ニッケルを4〜8%、
炭素を0.2%以下含有する析出硬化性のある材料とし
たことで、耐摩耗性が高くかつ耐食性に優れたベーンを
得ることができるという優れた効果を得られる。
金としてクロームを9〜27%、ニッケルを4〜8%、
炭素を0.2%以下含有する析出硬化性のある材料とし
たことで、耐摩耗性が高くかつ耐食性に優れたベーンを
得ることができるという優れた効果を得られる。
【0082】また、本願発明によれば、シリンダ溝と摺
動するベーンの側面で、第1および第2の化合物層を除
去し、窒素拡散層を主たる摺動面としたことで、寸法精
度を確保するための研削代を大きく取れるのでベーン側
面の寸法精度が出しやすくなり、かつシリンダとの凝着
摩耗に対する耐性が優れたベーンを得ることができると
いう優れた効果を得られる。
動するベーンの側面で、第1および第2の化合物層を除
去し、窒素拡散層を主たる摺動面としたことで、寸法精
度を確保するための研削代を大きく取れるのでベーン側
面の寸法精度が出しやすくなり、かつシリンダとの凝着
摩耗に対する耐性が優れたベーンを得ることができると
いう優れた効果を得られる。
【0083】また、本願発明によれば、シリンダ溝と摺
動するベーンの側面で第1の化合物層すべてと第2の化
合物層の一部を除去し、第2の化合物層と窒素拡散層と
が混在して露出する面を摺動面としたことで、窒素拡散
層が摺動摩耗により削り取られた窪みに潤滑油が保持さ
れ、凝着摩耗に対する耐性が極めて優れたベーンを得る
ことができるという優れた効果を得られる。
動するベーンの側面で第1の化合物層すべてと第2の化
合物層の一部を除去し、第2の化合物層と窒素拡散層と
が混在して露出する面を摺動面としたことで、窒素拡散
層が摺動摩耗により削り取られた窪みに潤滑油が保持さ
れ、凝着摩耗に対する耐性が極めて優れたベーンを得る
ことができるという優れた効果を得られる。
【0084】また、本願発明によれば、ローラの外周面
に摺接するベーンの先端部を表面粗さRy3μm以下の
第2の化合物層となるように研削加工したことにより、
微細な突起部に大きな応力が働き難くなるため、ローラ
とベーンが金属凝着しにくいロータリ圧縮機を得ること
ができるという優れた効果を得られる。また、本願発明
によれば、潤滑性の低いHFC冷媒を使用しても、耐摩
耗性に優れたロータリ圧縮機とすることができるので、
地球環境の保護に貢献することができるという優れた効
果が得られる。
に摺接するベーンの先端部を表面粗さRy3μm以下の
第2の化合物層となるように研削加工したことにより、
微細な突起部に大きな応力が働き難くなるため、ローラ
とベーンが金属凝着しにくいロータリ圧縮機を得ること
ができるという優れた効果を得られる。また、本願発明
によれば、潤滑性の低いHFC冷媒を使用しても、耐摩
耗性に優れたロータリ圧縮機とすることができるので、
地球環境の保護に貢献することができるという優れた効
果が得られる。
【0085】また、本願発明によれば、あらかじめ酸化
皮膜を設けておくことでクロームの含有率が高い合金で
も容易に窒化することができるので、窒化処理後の表面
高度を大きくすることが可能となり、耐摩耗性に優れた
ベーンを得ることができるという優れた効果を得られ
る。
皮膜を設けておくことでクロームの含有率が高い合金で
も容易に窒化することができるので、窒化処理後の表面
高度を大きくすることが可能となり、耐摩耗性に優れた
ベーンを得ることができるという優れた効果を得られ
る。
【図1】本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機
を示す縦断面図
を示す縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるロータリ圧縮機
の圧縮機構の要部を示す横断面図
の圧縮機構の要部を示す横断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態1におけるベーンを
示す図 (b)ベーンの先端部の拡大断面模式図 (c)窒化処理を行なった後のベーン側面部の拡大断面
模式図
示す図 (b)ベーンの先端部の拡大断面模式図 (c)窒化処理を行なった後のベーン側面部の拡大断面
模式図
【図4】(a)窒化処理後側面を仕上げ研削加工したベ
ーンを示す図 (b)同ベーンの側面部の拡大断面模式図
ーンを示す図 (b)同ベーンの側面部の拡大断面模式図
【図5】本発明の実施の形態2におけるロータリ圧縮機
の圧縮機構の要部を示す横断面図
の圧縮機構の要部を示す横断面図
【図6】(a)本発明の実施の形態2におけるロータリ
圧縮機のベーンを示す図 (b)同D部拡大断面模式図 (c)同E部拡大断面模式図(切削前) (d)同E部拡大断面模式図(切削後)
圧縮機のベーンを示す図 (b)同D部拡大断面模式図 (c)同E部拡大断面模式図(切削前) (d)同E部拡大断面模式図(切削後)
【図7】(a)本発明の実施の形態3におけるベーンを
示す図 (b)同F部拡大断面模式図 (c)同G部拡大断面模式図
示す図 (b)同F部拡大断面模式図 (c)同G部拡大断面模式図
【図8】(a)本発明の実施の形態4におけるベーンを
示す図 (b)同H部拡大断面模式図
示す図 (b)同H部拡大断面模式図
【図9】(a)本発明の実施の形態5におけるベーンを
示す図 (b)同J部拡大断面模式図
示す図 (b)同J部拡大断面模式図
【図10】従来のロータリ圧縮機の圧縮機構の要部を示
す横断面図
す横断面図
1 密閉容器 2 電動機部 3 圧縮機部 4 吸入管 5 吸入孔 6 吐出孔 8 シャフト 9 主軸受 11 副軸受 16 吸入室 17 圧縮室 23 潤滑油 24 シリンダ溝 30 シリンダ 31 ローラ 32 ベーン 32a ベーン先端部 32b ベーン側面部 32c 第1化合物層 32d 第2化合物層 32e 窒素拡散層 32f ベーン側面部の研削面 32g ベーン側面部の空孔内第2化合物層 34 空孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 37/06 C22C 37/06 38/00 304 38/00 304 38/18 38/18 38/40 38/40 C23C 8/02 C23C 8/02 8/26 8/26
Claims (14)
- 【請求項1】 円筒形状の内周面を有するシリンダと、
前記シリンダ内周面に対して外周面を接しながら偏芯回
転運動をするローラと、前記シリンダの径方向に設けら
れたシリンダ溝に摺動自在かつ出没可能に挿入されたベ
ーンとからなり、前記ベーンが先端部をローラの外周面
に摺接するように弾性体によって付勢されてシリンダ内
空間を吸入空間と圧縮空間に仕切るように構成されたロ
ータリ圧縮機であって、前記ベーンは空孔率15%以下
のマルテンサイト組織化された鉄系粉末焼結合金基地の
表面に、Fe3Nまたは(FeCr)3Nからなる第1化
合物層およびFe−Cr−Nからなる第2化合物層およ
び窒素拡散層を表面から内側に向かって順に形成されて
いることを特徴とするロータリ圧縮機。 - 【請求項2】 鉄系粉末焼結合金はクロームを9〜27
%、炭素を0.4%以上含有する焼き入れ硬化性のある
合金鋼としたことを特徴とする請求項1記載のロータリ
圧縮機。 - 【請求項3】 鉄系粉末焼結合金はクロームを9〜27
%、ニッケルを4〜8%、炭素を0.2%以下含有する
析出硬化性のある材料で構成したことを特徴とする請求
項1記載のロータリ圧縮機。 - 【請求項4】 第1化合物層の厚さを1〜20μm、第
2化合物層の厚さを50〜200μmとしたことを特徴
とする請求項1乃至3記載のロータリ圧縮機。 - 【請求項5】 シリンダ溝と摺動するベーンの側面で、
第1および第2の化合物層を除去し、窒素拡散層が主た
る摺動面となるように加工したことを特徴とする請求項
1乃至4記載のロータリ圧縮機。 - 【請求項6】 シリンダ溝と摺動するベーンの側面で第
1の化合物層すべてと第2の化合物層の一部を除去し、
第2の化合物層と窒素拡散層とが混在して露出する面が
摺動面となるように加工したことを特徴とする請求項1
乃至4記載のロータリ圧縮機。 - 【請求項7】 シリンダ溝と摺動するベーンの側面で第
1の化合物層を除去し、第2の化合物層が摺動面となる
ように加工したことを特徴とする請求項1乃至4記載の
ロータリ圧縮機。 - 【請求項8】 ローラの外周面に摺接するベーンの先端
部を表面粗さRy3μm以下の第2の化合物層となるよ
うに研削加工したことを特徴とする請求項1乃至4記載
のロータリ圧縮機。 - 【請求項9】 ローラが、クロームを0.5〜1.0
%、モリブデンを0.2〜0.4%、リンを0.1〜
0.4%含む鋳鉄からなることを特徴とする請求項1乃
至8記載のロータリ圧縮機。 - 【請求項10】 ローラが、クロームを0.5〜1.0
%、モリブデンを0.2〜0.4%、ボロンを0.02
〜0.1%含む鋳鉄からなることを特徴とする請求項1
乃至8記載のロータリ圧縮機。 - 【請求項11】 冷媒がHFCで、冷凍機油がエステル
油であることを特徴とする請求項1乃至10記載のロー
タリ圧縮機。 - 【請求項12】 円筒形状の内周面を有するシリンダ
と、前記シリンダ内周面に対して外周面を接しながら偏
芯回転運動をするローラと、前記シリンダの径方向に設
けられたシリンダ溝に摺動自在かつ出没可能に挿入され
たベーンとからなり、前記ベーンが先端部をローラの外
周面に摺接するように付勢されてシリンダ内空間を吸入
空間と圧縮空間に仕切るロータリ圧縮機の製造方法であ
って、前記ベーンを空孔率15%以下の鉄系粉末焼結合
金を熱処理によりマルテンサイト組織とした後、窒化ま
たは軟窒化処理により、Fe3Nまたは(FeCr)3N
からなる第1化合物層およびFe−Cr−Nからなる第
2化合物層および窒素拡散層を表面から内側に向かって
順に形成したことを特徴とするロータリ圧縮機の製造方
法。 - 【請求項13】 窒化または軟窒化処理の温度を500
℃から580℃とし、窒素拡散層の厚さを0.05mm
以上としたことを特徴とする請求項11記載のロータリ
圧縮機の製造方法。 - 【請求項14】 ベ−ンを焼結成形した後に水蒸気処理
をして前記ベ−ンの表面および空孔内に酸化皮膜を形成
し、しかる後に窒化または軟窒化処理を行なうことを特
徴とする請求項11または12記載のロータリ圧縮機の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000290389A JP2002098077A (ja) | 2000-09-25 | 2000-09-25 | ロータリ圧縮機およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000290389A JP2002098077A (ja) | 2000-09-25 | 2000-09-25 | ロータリ圧縮機およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002098077A true JP2002098077A (ja) | 2002-04-05 |
Family
ID=18773627
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000290389A Pending JP2002098077A (ja) | 2000-09-25 | 2000-09-25 | ロータリ圧縮機およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002098077A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005037469A1 (ja) * | 2003-10-21 | 2005-04-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 耐摩耗部品及びその製作方法 |
-
2000
- 2000-09-25 JP JP2000290389A patent/JP2002098077A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005037469A1 (ja) * | 2003-10-21 | 2005-04-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | 耐摩耗部品及びその製作方法 |
JPWO2005037469A1 (ja) * | 2003-10-21 | 2007-11-22 | 松下電器産業株式会社 | 耐摩耗部品及びその製作方法 |
JP4668793B2 (ja) * | 2003-10-21 | 2011-04-13 | パナソニック株式会社 | 耐摩耗部品及びその製作方法 |
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