JP2002097635A - 既製杭の埋設方法及び基礎杭の構造並びに既製杭 - Google Patents

既製杭の埋設方法及び基礎杭の構造並びに既製杭

Info

Publication number
JP2002097635A
JP2002097635A JP2000257030A JP2000257030A JP2002097635A JP 2002097635 A JP2002097635 A JP 2002097635A JP 2000257030 A JP2000257030 A JP 2000257030A JP 2000257030 A JP2000257030 A JP 2000257030A JP 2002097635 A JP2002097635 A JP 2002097635A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pile
ready
hole
shaft portion
projection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000257030A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4724873B2 (ja
Inventor
Yoichi Kato
洋一 加藤
Yoshinobu Kitani
好伸 木谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitani Sekisan Co Ltd
Original Assignee
Mitani Sekisan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitani Sekisan Co Ltd filed Critical Mitani Sekisan Co Ltd
Priority to JP2000257030A priority Critical patent/JP4724873B2/ja
Publication of JP2002097635A publication Critical patent/JP2002097635A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4724873B2 publication Critical patent/JP4724873B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Piles And Underground Anchors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】既製杭の突起の上面および下面から支持地盤に
せん断力を伝搬し、円錐状の底面で支持地盤に支持面を
形成して、1本の杭が負担すべき垂直荷重および引抜力
を増加させる。高鉛直支持力と高水平支持力とをバラン
ス良く発揮する。 【解決手段】軸部(穴径D00)2、拡底部(穴径
11)3の杭穴を掘削する(a)。杭穴1内に、下端
部に環状リブ(外径D1 )5、6、7を形成したコンク
リート製の既製杭(軸径D0 )4を下降させ、セメント
ミルク(支持地盤の強度に対応した固化強度100〜3
00kg/cm2 程度)を注入する。セメントミルク
が固化後に、杭穴1の拡底部3内に既製杭4が埋設され
た杭10を構築する(b)。環状リブ5、6が杭穴1の
拡底部3内に配置される。既製杭4に垂直荷重が作用
した際、既製杭4の環状リブ5、6の周縁でせん断力が
伝搬して、支持地盤面11で円錐状の底面に相当する部
分で支圧力が生じる(c)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、杭穴拡底部の信
頼性を向上させ、拡底部を強化した既製杭の埋設方法及
び基礎杭の構造、並びに既製杭に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、杭穴拡底部にコンクリート既製杭
を埋設する場合、外径が一定のストレート杭16では底
面17(外径D)で支持地盤(地盤底面)11に支持し
ていた(図15(a))。また、既製杭で、下端部が大
径となった、いわゆるST杭24でも、底面25(外径
D)で下方に支圧して支持地盤11に支持していた(図
15(b))。
【0003】また、通常杭穴の掘削中又は掘削後の既製
杭の埋設前に、杭穴下層部にセメントミルクを注入し
て、一定固化強度のセメントミルクが充填され、杭周辺
部に土泥を固着させながら杭を下降沈設させる埋設工法
が行われ、シルト等を含む地質の良くない地盤では、施
工時の品質低下が懸念されていた。
【0004】また、杭の外周にリブを設けたいわゆる節
杭の従来の基礎構造は、ストレート杭穴のみであり、積
載荷重および引抜力に関し、その拡底部の形状・寸法、
および特に拡底部を設ける埋設施工などで、そのリブな
どへのせん断応力の配慮は不充分であった。
【0005】また、一般に、杭穴内にセメントミルクを
注入して、セメントミルクと掘削泥土とを撹拌混合して
ソイルセメント層を形成する工法の場合、杭穴の上層部
(口部)では、掘削泥土が残されていた。杭穴上層部の
充填物は、杭穴内への既製杭の下降に伴い地上に溢れで
て廃棄されるものであり、杭構造の品質には影響しない
と考えられていたためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の既製杭では、支
持力の発現は主として既製杭の底面17、25に限られ
ると考えられており、支持力は既製杭の底面積に因って
いた。又、引き抜き抵抗力は、主として杭の表面摩擦力
によるために、その表面積に依存していた。従って、従
来の杭穴26の拡底部28の外径DD1 は軸部27の外
径DD0 の1.2〜1.5程度に限られていた。また、
埋設時既製杭の側面16a、24aおよび杭下端部端面
17、25等と、杭穴26内で固化したセメントミルク
または掘削土と混合したソイルセメントなどとの付着力
は、特別に配慮はされていなかった(図15)。
【0007】また、節杭は、側面での摩擦力により地中
に保持される機能を有する杭であり、通常、杭の長さ
(杭穴の深さ)は10〜30m程度であり、ストレート
杭16などとは全く異なる規格分野で利用されており、
根固め用の拡底部は形成されていなかった。従って、下
端部での支持力および引き抜き抵抗力は、特に配慮され
ず杭の節部の強度を充分生かした基礎構造となっていな
いのが実体であった。
【0008】即ち、節杭を埋設する杭穴がストレート
で、杭穴径が節部径とほぼ同径で、杭部と杭穴内壁との
隙間が僅少であり、さらにその根固め部の施工に関して
も該杭の下端部端面及び、下端部各節部より伝搬される
上下の応力によるせん断力を考慮し、杭性能を十分生か
した杭穴の形状・寸法での掘削および杭の埋設施工が行
われていなかった。
【0009】また、杭穴上層部に残存する掘削泥土層を
通過して既製杭を下降させた場合には、既製杭の外面に
泥土膜が形成された状態で、杭穴内に埋設されるため、
既製杭に初期沈下が生じると共に、杭穴内で、セメント
ミルクなどと既製杭との一体化が十分には図れない問題
点があった。
【0010】従って、杭の支持力発現時の初期沈下時の
品質の安定性も改善が必要であると共に、シルト等を含
む支持力の良くない地質に関しても個別に配慮した工法
は行われておらず、埋設する地質に対する品質安定性の
改善が必要で、地層に対応して、各既製杭の強度が有効
に活用されていない等の問題点があった。
【0011】また、基礎杭において、各杭の性能を充分
発揮させるために、通常数本の連結杭を採用するが、従
来の突起付き杭の代表である節杭を用いた異種連結杭に
おいては、鉛直支持力を主として突起(節部)による摩
擦力を利用した下杭と、水平支持力として所定の耐曲げ
応力等を有する円筒杭を上杭として構成して継ぎ杭と
し、両杭の軸径は、通常、同一寸法として構成されてい
る(例えば、特許第2651893号公報等)。即ち、
突起付き下杭を有する異種杭連結は、水平支持力の上杭
(円筒杭)と摩擦力の下杭(節杭)の構成とし、両杭の
軸径を略同一寸法とし杭穴軸部で両者の連結をする方法
であった。また、両杭の軸径が異なる寸法として上杭の
水平力を強化した構造も各種提案され、杭径寸法の変更
部分を杭本体または杭連結部に設けられているが、いず
れもその変更部分が杭穴軸部に位置しておりその変更部
分を杭周ソイルセメントなどで補強が充分できず、その
変更部分の強度及び応力集中などへの技術面及び、経済
性の両面から対応が困難であった。従って、従来の連結
技術では、例えば下杭の支持力が大きい等の場合に、上
杭の水平支持力が最適値となる杭形状・外径寸法を採用
することができず、結果として連結杭全体として最適な
連結構成の設計ができなかった。即ち基礎杭全体として
も最適な支持力等を実現するのが困難であった。
【0012】
【課題を解決するための手段】然るにこの発明は、拡底
した杭穴内に、外周に突起を有する既製杭を埋設した新
基礎構造および新工法を採用することにより、前記問題
点を解決した。
【0013】即ちこの発明は、拡底部を有する杭穴を掘
削し、次に該拡底部内に、固化強度が支持地盤と力学的
に同質以上となるようなセメントミルクを注入し、引き
続き杭軸部においてほぼ杭口までソイルセメント層を形
成し、前記杭穴内に、少なくとも下端部外周に突起を有
する既製中空杭を、必要ならば回転しながら、下降沈設
すると共に、前記既製杭の下端部を杭穴拡底部内に定着
させる既製杭の埋設方法であって、前記既製杭の最下端
面と杭穴拡底部の地盤底面との間に所定の間隙を形成
し、かつ既製杭の拡底部に位置する最上位置の突起と杭
穴拡底部の最上位置との間に上下方向に所定の間隙を形
成し、前記両間隙にソイルセメント層を形成することを
特徴とした既製杭の埋設方法である。
【0014】また、他の埋設方法の発明は、地質の良く
ない層に拡底部を有する杭穴を掘削し、次に該拡底部内
に、固化強度が支持地盤と力学的に同質以上となるよう
な所定のセメントミルクを注入し、拡底部の掘削土を該
セメントミルクと置換し、引き続き杭穴軸部において略
杭穴口までソイルセメント層を形成し、前記杭穴内に、
少なくとも下端部外周に突起を有する既製中空杭を、必
要ならば回転しながら、下降沈設すると共に、前記既製
杭の該下端部を杭穴拡底部内の所定位置に定着させる既
製杭の埋設方法であって、前記既製杭の最下端面と杭穴
拡底部の地盤底面との間に所定の間隙を形成し、かつ既
製杭の拡底部に位置する最上位置の突起と杭穴拡底部の
最上位置との間に上下方向に所定の間隙を形成し、前記
両間隙にセメントミルク層を形成することを特徴とした
既製杭の埋設方法である。
【0015】前記埋設方法の発明において、所定外径寸
法の拡底部を有する杭穴を掘削し、次に杭穴内にセメン
トミルクを注入し、杭穴軸部はほぼ杭穴口までソイルセ
メント層を形成し、該杭穴の拡底部内に、少なくとも下
端部外周に突起を有する既製杭を沈設する方法であっ
て、前記拡底部内の地盤底面と前記既製杭の最下端面と
の間に所定の間隙を形成し、かつ既製杭の拡底部に位置
する最上位置の突起と杭穴拡底部の最上位置との間に上
下方向に所定の間隙を形成し、前記両間隙にソイルセメ
ント層またはセメントミルク層を形成すると共に、前記
既製杭の下端部外周の突起を、前記杭穴の拡底部内に埋
設し、前記拡底部外径寸法D11を、下記Aの値以上で且
つBの値以下とした埋設方法である。但し、A、Bは下
記値である。 A={既製杭の軸部外径}+{(既製杭の最下端面と拡
底部の地盤底面との間のソイルセメント層の厚さ)÷√
3}×2 B={既製杭の突起部外径}+{[(既製杭の最下端面
より拡底部内の最上部の突起までの高さ)+(既製杭の
最下端面と拡底部の地盤底面との間のソイルセメントの
厚さ)]÷√3}×2
【0016】また、前記埋設方法において、杭穴の軸部
の外径の1.2乃至2.5倍程度の外径の拡底部を掘削
して杭穴を構成する埋設方法である。
【0017】また、基礎杭の構造の発明は、拡底部を有
する杭穴内に、少なくとも下端部に突起を有する既製杭
の該下端部を定着させた基礎杭構造であって、前記拡底
部内には、前記既製杭を埋設する地盤の地質により、注
入したセメントミルクと掘削土とを混合したソイルセメ
ントが充填され、または掘削泥土と置換したセメントミ
ルクが充填されたことを特徴とする基礎杭の構造であ
る。
【0018】また、この発明は、拡底部を有する杭穴内
に、少なくとも下端部に突起を有する既製杭の該下端部
を定着させた基礎杭構造であって、前記既製杭の軸部下
端面及び前記突起により作用する下向きせん断力の伝搬
を考慮して所定の先端支持力を確保でき、かつ前記既製
杭の突起により作用する上向きせん断力の伝搬を考慮し
て所定の引抜力を確保できる構成として築造したことを
特徴とする基礎杭の構造である。
【0019】また、この発明は、拡底部を有する杭穴内
に、少なくとも下端部に突起を有する既製杭の該下端部
を定着させた基礎杭構造であって、前記既製杭は、軸部
下面及び突起により少なくとも先端支持力を発揮できる
ように形成した突起を有する下杭に、上杭を連結して構
成し、前記拡底部内には、前記既製杭を埋設する地盤の
地質により、注入したセメントミルクと掘削土とを混合
したソイルセメントが充填され、または掘削泥土と置換
したセメントミルクが充填されたことを特徴とする基礎
杭の構造である。
【0020】また、前記基礎杭構造の発明において、既
製杭の下端部外周に所定高さ毎に複数の環状リブを形成
して突起とした基礎杭の構造である。また、既製杭は、
所定外径の下部軸部外周に1つ又は複数の環状リブを形
成し、最上に位置する環状リブに連続してストレート杭
状の上部軸部を形成してなり、該上部軸部の外径は、前
記下部軸部より大径でかつ前記最上に位置する環状リブ
より小径に形成したことを特徴とする基礎杭の構造であ
る。
【0021】また、前記において、既製杭の突起であっ
て、杭穴の拡底部のソイルセメントまたはセメントミル
ク内に定着される複数の突起の間隔を、少なくとも「前
記既製杭の軸部外径から突起の先端までの高さ」の√3
倍より大きくした基礎杭の構造である。
【0022】また、既製杭の発明は、杭穴軸部の下端部
に拡底部を形成した杭穴に埋設する既製杭であって、埋
設予定の杭穴の軸部に位置する部分をストレート杭状と
し、埋設予定の杭穴の拡底部に位置する部分に突起を有
する構造としたことを特徴とする既製杭である。
【0023】また、前記において、埋設予定の杭穴の拡
底部に位置し、突起を有する下部軸部の上に、ストレー
ト杭状であり前記下部軸部より大径の上部軸部を、傾斜
段部を介して一体に形成すると共に、該傾斜段部を前記
杭穴の拡底部内に位置する高さに形成したことを特徴と
する既製杭である。また、埋設予定の杭穴の拡底部に位
置する既製杭の下部軸部に1つ又は複数の突起を形成
し、該下部軸部の上に、下部軸部の最上に位置する突起
に連続して、ストレート杭状であり前記下部軸部より大
径に形成した上部軸部を、一体に形成すると共に、前記
最上に位置する突起は前記杭穴の拡底部内に位置する高
さに形成したことを特徴とする既製杭である。
【0024】また、他の既製杭の発明は、杭穴軸部の下
端部に拡底部を形成した杭穴に埋設する既製杭であっ
て、埋設予定の杭穴の拡底部に位置する既製杭の下部軸
部に1つ又は複数の突起を形成し、該下部軸部の上に下
部軸部の最上に位置する突起に連続して、前記下部軸部
より大径に形成した上部軸部を一体に形成すると共に、
上部軸部にも1つ又は複数の突起を形成し、少なくとも
下部軸部の最上に位置する突起を、前記拡底部内に位置
する高さに形成したことを特徴とする既製杭である。
【0025】また、前記において、下部軸部に形成され
た突起の外径と上部軸部に形成された突起の外径を略同
径に形成したことを特徴とする既製杭である。また、上
部軸部の外径を、下部軸部の外径より大径で、かつ該下
部軸部の最上に位置する突起の外径より小径に形成した
ことを特徴とする既製杭である。また、上部軸部の長手
方向の少なくとも上端部に、上部軸部の杭肉厚内のPC
鋼棒配筋位置よりも外周に異形鉄筋を配置したことを特
徴とする既製杭である。また、異形鉄筋は上部軸部の杭
肉厚内のPC鋼棒配筋位置より外周に位置し、かつPC
鋼棒とPC鋼棒の間に配置したことを特徴とする既製杭
である。また、隣り合う異形鉄筋の長さを異なる長さに
形成したことを特徴とする既製杭である。
【0026】また、前記において、埋設予定の杭穴拡底
部に位置する複数の突起と傾斜段部との上下方向の間隔
を少なくとも、「前記既製杭の下部軸部の外径から突起
の先端までの高さ」の√3倍より大きくしたことを特徴
とする既製杭である。
【0027】また、他の既製杭は、埋設予定の杭穴の拡
底部及び軸部下端側とに位置する下杭の上に、上杭を連
結した既製杭であって、前記下杭は、埋設予定の杭穴の
拡底部に位置し、突起を有する下部軸部に、ストレート
杭状であり前記下部軸部より大径の上部軸部を、傾斜段
部を介して一体に形成すると共に、該傾斜段部を前記杭
穴の拡底部内に位置する高さに形成して構成し、前記上
杭は、前記下杭の上部軸部と略同径に構成したことを特
徴とする既製杭である。また、前記において、下杭の軸
力と、上杭の軸力とを略同一強度となるように構成した
ことを特徴とする既製杭である。
【0028】前記において、「拡底部外径寸法D11を、
上記Aの値以上で且つBの値以下とし」あるいは「杭穴
の軸部の外径の1.2乃至2.5倍程度の外径の拡底部
を掘削して杭穴を構成する」としたのは、より少ない拡
底部の掘削径で、突起部を含めて杭自身に関し、効率よ
い支持力を発揮させる為である。また、前記において、
突起の間隔を、少なくとも「前記既製杭の軸部外径から
突起の先端までの高さ」の√3倍より大きくしたのは、
上下の突起が干渉せずに、効率よく支圧力の伝搬をさせ
る為である。
【0029】尚、前記において、√3は、「平方根3
(約1.732・・)」を表す。
【0030】
【実施の態様】(1) 掘削ロッドを正転して、通常の杭穴
と同等の杭穴1の軸部(穴径D00)2を掘削する。
【0031】(2) 掘削ロッドを逆転して(あるいは他の
拡大掘削用の掘削ヘッドを使用して)、杭穴1に拡底部
3を掘削し(図1(a))、穴径D11とする。拡底部3
内にセメントミルク(支持地盤の強度に対応した固化強
度100〜300kg/cm 2 程度)を注入し、掘削土
と撹拌・混合しソイルセメント化する。次に、杭穴軸部
に杭周固定液としてのセメントミルクを注入し、掘削土
と攪拌し、ほぼ杭穴口までソイルセメント化する。
【0032】(3) 次に杭穴1内に、下端部に環状リブ
(外径D1 )5、6、7を形成したコンクリート製の既
製杭(軸径D0 )4を下降させる(図1(b))。前記
環状リブは下から順に5、6、7とする。
【0033】(4) 杭穴1の拡底部3内であって、拡底部
3の地盤底面11から所定高さDH1(ソイルセメントの
所要強度分の厚さ。通常は杭の軸径以上) に、最下端
面が位置するように既製杭4を埋設して杭構造10を構
築する。ここで、環状リブ5、6が杭穴1の拡底部3に
配置される。
【0034】(5) ここで、既製杭4に垂直荷重が作用す
る場合は、既製杭4の軸部8の下端面8a、のみなら
ず、既製杭4の側面の環状リブ5、6の下面5a、6a
の周縁で、せん断力が伝搬して、夫々角θ1 (30°程
度)の角度で円錐状の底面に相当する部分で支圧力が生
じ、支持地盤面(地盤底面)11では、順にD8a 、D5
a 、D6a に作用するが、拡底部13内での環状リブ
5、6とソイルセメントとの一体性が高いため、垂直荷
重は拡底部3の径全体(D11)で発現する。
【0035】従って、従来のストレート杭(ほぼD0
当)に比して、1本の杭10の支持力を大幅に増加でき
る。すなわち、杭強度および建物などに基づく必要な支
持力は、拡底部径を寸法D8a以上から寸法D6a以下の広
い範囲で選択することにより所望の支持力に設定できる
(図1(c))。
【0036】(6) 次に、既製杭4に引抜応力が作用した
場合は、側面の環状リブ5、6の上側の5b、6bの周
縁でせん断力が伝播し夫々角θ2 (30°程度)の角度
で上方へ円錐状に作用するが、拡底部3内の最上位の環
状リブ6と拡底部3の最上端(杭穴軸部2の最下端)の
水平面Xとの間隙DH2(ソイルセメントの所要強度分の
厚さ。通常は杭の軸径以上)を設け(即ちDH2間は、環
状リブが形成されていない)、拡底部3内での環状リブ
部とソイルセメント部の一体性が高いため、引き抜き抵
抗は拡底部径全体で発現できる。従って、垂直荷重の作
用時と同様に、ストレート杭に比して、1本の杭の引抜
力を大幅に増加できる。すなわち、杭基礎および建造物
において必要な引抜力は、拡底部径を寸法D5b以上から
寸法D6b以下の範囲で選択することにより所望の引抜力
に設定できる(図1(d))。
【0037】ここで、突起部の支持力及び、引抜力を更
に増加したい場合は、拡底部内の既製杭の突起の数を増
加すること、または、突起の外径を大きくすることによ
り(突起が破壊されない限度において)でも可能であ
る。
【0038】また、本例では、一個の突起のせん断力の
負担範囲が隣の突起のせん断力の負担範囲と重ならない
で互いに十分作用するように、せん断力の伝搬角度θ
(θ1、θ2 ) より各突起の高さを勘案し、環状リブ等
の間隔も充分余裕が取ってある。
【0039】従って、突起の段数(上下方向の数)を増
加させる場合は、突起の支持力を充分に発揮させるため
に、上記のように各突起のせん断力の伝搬角度θ
(θ1、θ2)を考慮した間隔を設定する必要がある(図
1(b)(c))。
【0040】従って、杭穴1の拡底部3の径を大きくし
て底面の面積をできるだけ大きくすれば支持力および引
抜力は増加するが、既製杭の強度、既製杭の埋設間隔及
び掘削装置の掘削効率等を考慮した拡底部の最適掘削径
は、杭穴の軸径の外径の1.2〜2.5倍程度で、杭穴
を構成し、この杭穴の中には所定の突起部を設けた杭を
使用することが望ましい。
【0041】また、前記埋設方法は、先端地盤強度がN
値50未満の地質においても有効であるが、特に地質が
良くない、シルト等を多く含み強度に影響を与える場合
には、拡底部の掘削土を注入するセメントミルクと置換
し、シルトなどの混入を極力低減し、少なくとも拡底部
3のセメントミルクの品質を向上させ、固化後の強度を
安定・向上させることもできる。
【0042】また、前記埋設方法では、拡底部3内にソ
イルセメント層を形成した後に、既製杭4を下降・沈設
したが、基礎杭構造の所要品質により、従来からあるよ
うに、ソイルセメントを形成しながら既製杭4を埋設
し、あるいは既製杭4を下降させた後にソイルセメント
を形成することも任意である。
【0043】また、セメントミルクの注入時期も、基礎
杭構造の所要品質により、拡底部3の掘削の前後、既製
杭の下降の前後、いずれでも任意である。要は、拡底部
3内に、固化後に所定の強度・品質のソイルセメント層
が形成されればよい。
【0044】また、ここでは、既製杭として既製コンク
リート杭で説明しているが、杭下端部に所定の突起を形
成した既製杭であれば、コンクリート以外の他の杭材に
おいても適用でき同様の効果が得られる。
【0045】即ち、上記の発明に基づき、既製杭の突起
部(いわゆる節など)を杭穴の拡底根固め部に配置して
埋設・定着させるに際して、「既製杭の形状及び構造」
「杭穴拡底部の形状・寸法」「杭穴拡底部内の充填物の
構成」「杭穴拡底部内での既製杭の埋設位置」等を考慮
して基礎杭を築造することにより、その突起により作用
する下向きのせん断力を利用した先端支持力による高鉛
直支持力杭を実現し、更に同様にその突起による上向き
のせん断力を利用した高引抜力杭を実現できる。
【0046】また、上記の発明による突起付きの高鉛直
支持力及び高引抜力を有する既製杭において、他の杭特
性とのバランスを取り、より高性能の基礎杭を構成する
ためには、拡底根固め部内において突起により先端支持
力を発揮させた突起を有する下杭に、所望の上杭を連結
した基礎杭を形成する新たな技術を導入ことにより、該
高鉛直支持力及び高引抜力などに適合した所定形状寸法
の上杭による所望性能すなわち水平支持力などを適合さ
せたバランスの良い基礎杭を容易に実現できる。
【0047】また、上記発明は、高鉛直支持力及び高引
抜力のいずれも強化した下杭としたが、求める基礎杭の
性能により、高鉛直支持力又は高引抜力のいずれか一方
のみを強化した下杭に、上杭を連結して基礎杭(既製
杭)とすることもできる。この場合にも、高鉛直支持力
又は高引抜力の一方のみを強化ができる構成で杭穴(拡
底部)内に埋設される下杭に、同様の構成で上杭を連結
する。この場合にも、従来に無い更にバランスの取れた
高性能な基礎杭が得られることは言うまでもない。
【0048】
【実施例1】図面に基づきこの発明の実施例を説明す
る。
【0049】この実施例に使用するコンクリート製の既
製杭4は、全長に亘り、環状リブを形成してある。前記
環状リブは、杭穴1の拡底部3内に埋設される環状リブ
5、6、杭穴1の軸部2内に埋設される環状リブ12、
12とを形成してある。また、前記既製杭4は、軸部8
の外径D0 =60cm、各環状リブの外径D1 =75c
m、環状リブのピッチP=100cmで形成されている
(図2)。
【0050】次に、軸部2の径D00(80cm)、拡底
部3の径D11(150cm)の杭穴1を掘削する(図3
(a))。ここで、杭穴1の拡底部3内には所定固化強
度(300kg/cm2 )のセメントミルクが注入さ
れ、掘削土と撹拌・混合したソイルセメントが充填され
ている。また、杭穴1の軸部2には、固化強度(200
kg/cm2 )のセメントミルクが注入され、掘削土と
撹拌・混合して生成されたソイルセメント(30Kg/
cm2程度)がほぼ杭穴口まで充填される。
【0051】続いて、杭穴1内に既製杭4を下降させ、
杭穴1の拡底部3内に既製杭4の下端部9を保持する。
ここで、既製杭4の底面(最下端部面)8aは、拡底部
3の地盤底面11より高さDH1(60cm。既製杭4の
底面8aと地盤底面11と間のソイルセメント層の厚
さ)に位置し、拡底部3内に位置する最上位の環状リブ
6と拡底部3内の最上部の水平面Xとに間隙DH2(60
cm)を設ける。
【0052】ソイルセメントの固化により、杭穴1内に
既製杭4が埋設された杭構造10を構築する(図3
(a))。
【0053】前記において、杭穴1内に既製杭4を回転
させながら下降することもできる。このようにして、既
製杭4の表面に土泥を固着させないようにすることもで
きる。
【0054】また、本実施例の埋設地盤の下層は砂質土
であるが、埋設地盤が、シルト等を含み地質が良くない
場合は、セメントミルクを拡底部の最下端に注入し、強
度上良くないシルト等を杭穴の上層部に押し上げて置換
することにより、拡底部内は好ましくないシルトなどを
極力少なくした所要の強度および品質のセメントミルク
層が形成される。
【0055】次に、上記杭構造10に垂直荷重W1を加
え、支持地盤の強度を75kg/cm2 程度とした時
に、最終的に(W1 =1000kg/cm2 程度)、杭
構造10はクラック13aを生じて破壊される(図3
(b))。
【0056】クラック13aは、杭穴1の拡底部3内
で、上方に位置する環状リブ6の下面6aの周縁から生
じ、鉛直となす角θ1 (約30°程度)で下方に底面1
4aの円錐状14prに形成される。
【0057】即ち、既製杭4の支圧力は、拡底部3内で
は、底面8aのみではなく、環状リブ5、6の下方に向
けた面5a、6aの周縁から円錐状に生じることが確認
できる(図1(c))。
【0058】また、上記同様で杭長14mの杭構造10
において、引抜応力W2(W2 =10t/m2 程度)を
加えたところ、最終的に引き抜きが生ぜず杭構造10は
健全であった。
【0059】更に、引抜力を加えたところ、杭構造10
は、クラック13bを生じて破壊される。クラック13
bは杭穴1の拡底部3内で、下方に位置する環状リブ5
の上面5bの周縁から生じ、鉛直と成す角θ2 (約30
°程度)で上方に底面14bの円錐状14puに形成さ
れる(図3(c))。
【0060】即ち、既製杭4の引抜応力は、拡底部3内
では環状リブ5、6の上方に向けた面5b、6bの周縁
から円錐状に生じることが確認できる(図1(d)、図
3(c))。
【0061】また、杭構造10はソイルセメントと既製
杭4との一体性が良いため、垂直荷重がかった際には、
地盤底面11から下方の地盤へもDA のように、応力が
伝搬する(図1(c))。
【0062】また、上記と同様に、杭構造10に引抜応
力がかかった際にも、拡底部3の最上部の水平面Xから
上方の地盤へも、DB のように、応力が伝搬し、アンカ
ー的な役割を果たす(図1(d))。
【0063】
【実験例】環状リブ5、6、・・・を形成していない同
一の軸径D0 のストレート杭16を杭穴1内の同程度の
セメントミルク内に埋設して基礎杭構造18を構成する
(図4)。
【0064】同様の試験をすると、垂直荷重W3 (=5
00kg/cm2 程度)で、杭構造18のストレート杭
16の底面17からやはり円錐状のクラック13cが生
じて破壊する。
【0065】従って、W1 は、W3 の2倍程度であり、
従来、垂直荷重には作用しないと思われていた環状リブ
およびソイルセメントの一体性の品質向上の付加によ
り、支圧力の大幅な増加が得られることが確認できた。
【0066】また同様に、引き抜き試験をすると、図4
の基礎杭構造18の場合、通常の計算値では、5t/m
2 程度の引抜力が認められるが、前述のように、本発
明の杭構造10では、これの2倍以上の10t/m2
度の引抜力W2 が確認でき大幅な増加が得られた。
【0067】即ち、上記実験では、ソイルセメントが充
填された所定径の杭穴拡底部3内に既製杭の環状リブ
5、6を埋設したこと、垂直荷重及び引抜力が確実に伝
達するように既製杭4の底面8aと拡底部3の地盤底面
11とに間隙DH1を、また、拡底部3内に位置する最上
位の環状リブ6と拡底部3の最上部の水平面Xとに間隙
DH2を設けたこと、かつ既製杭4とソイルセメントの一
体性が良いこと、その他(セメントミルクの強度等)の
条件により得られた結果であることが確認された。
【0068】
【実施例2】次に図5、6に基づき他の実施例を説明す
る。
【0069】前記実施例1において、環状リブ5、6、
・・・は、既製杭4の全長に亘って設けたが、少なくと
も杭穴1の拡底部3内に位置する部分に環状リブを形成
すればよい。
【0070】また、前記実施例1において、環状リブ
5、6、・・・を設けたが、断続した突起(平面十字
状)21、22、23を上下に交互に設けることができ
る(図5(a)。突起21は突起片21a、21aから
(図5(d))、突起22は突起片22a、22aから
(図5(c))、突起23は突起片23a、23aから
(図5(a))、夫々形成される。
【0071】また、前記実施例1において、環状リブ
5、6、7を同径としたが、下方から順にに大径となる
ようにD2 、D3 、D4 と異なる外径(D2 <D3 <D
4 )とすることもでき(図6(a)(b))、あるいは
逆に小径となるような外径(D 2 >D3 >D4 )とする
こともできる(図示していない)。
【0072】
【実施例3】図7〜図11に基づきこの発明の他の実施
例を説明する。実施例1の杭構造10では、杭穴1の拡
底部3内は大幅な垂直荷重や引抜力に対する強化がなさ
れるが、本実施例では、更に杭穴軸部も強化して、杭構
造全体として軸部と拡底部でバランス良い強化を実現で
きる為の既製杭とし、合わせて施工効率も高めるもので
ある。
【0073】前記実施例1、2では、基礎杭全体として
垂直支持力(耐鉛直荷重)及び引抜力が2倍以上強化さ
れるが、拡底部3内の既製杭は軸部に突起を形成して全
体として所定の強度を確保するものである。この場合、
拡底部3内の既製杭の軸部径は、その強度の割には小径
となっているので、拡底部3内の既製杭の軸部径をその
径のままで既製杭の上部(拡底部3の上方で、杭穴軸部
に配置される既製杭の部分)に適用したならば、既製杭
の上部で、一般に杭材の強度が不足しやすくなり、施工
範囲が限られることにもなる。
【0074】よって、深さ方向での求める性能の違いに
対応する観点から、上杭と下杭とを連結して基礎杭を構
成し、上杭及び下杭を夫々求める性能に応じた構成とす
ることが有効となる。即ち、杭穴軸部での大きい曲げモ
ーメントや圧縮力等が要求される施工現場では、その深
さで要求される強度等の所定の仕様を満たした上杭を使
用することとなる。そして、杭穴の拡底部内に埋設され
る下杭(所定の支持力、引抜力を有する)に、この上杭
を連結して、既製杭を構成すると共に、所定の性能を満
たした杭穴内(拡底部、軸部)に埋設すれば、施工範囲
が限られず、基礎杭全体として要求される性能仕様へ対
応が容易となる。このように、上杭と下杭を連結して基
礎杭を構成すれば、汎用性、コスト面からも望ましい構
成の基礎杭とすることができる。また、上杭下杭の連結
による場合と同様に、1本の既製杭を使用する場合であ
っても、1本の既製杭の上部と下部とを求める性能に応
じて、軸部径や突起部等を異なる仕様として構成するこ
とも同様に有効である。
【0075】即ち、本発明による拡底根固め部内におい
て、先端支持力を発揮させる突起を有する下杭に、所望
の上杭を連結して基礎杭を形成する新たな技術を利用
し、更に根固め部内の下杭において、下杭の形状寸法を
上杭の軸部若しくは外側の形状・寸法へ調整する部分を
設けることによって、下杭と上杭との連結部の形状・寸
法を一致させたりあるいは連結を容易にさせる寸法・形
状とさせることができる。従って、上杭の形状寸法の選
択範囲が広がり、水平支持力等の選択範囲も広がり、上
杭と下杭の応力マッチングが容易となり基礎杭全体とし
ての総合的性能を向上させることができる。
【0076】また、この突起による上方せん断力を発揮
させた高引抜き力を有する下抗に対しても、同様に所望
の上杭をバランス良く適合させることができることは勿
論である。更に、下杭と上杭との連結おいては、両者の
連結部を同一外径の円筒形状となるように下抗の調整部
で整合させることが望ましい。これにより、上下両杭の
応力バランスが取り易く、また連結作業においても確実
で安定しており、本基礎杭が高性能であり従来にない施
工管理が必要であるので、品質維持・管理上も有利とな
ると共に経済性の面からも有利となる。
【0077】この実施例の既製杭4は、杭穴1の軸部2
に位置する部分に使用する1本又は複数本の上杭30と
杭穴1の拡底部3に位置する部分に使用する下杭32と
から構成される中空コンクリート杭である。前記上杭3
0は、外形D9 (=700mm)、肉厚110mm、コ
ンクリート圧縮強度850kg/cm2 に形成されてい
る(図8(a))。
【0078】また、前記下杭32は、軸部33外径D0
(=600mm)、軸部肉厚90mmで、下端部及び中
間部に環状リブ(外径D1 =750mm)5、6が2つ
形成され、上端部は膨出され上杭30との連結部(外径
9 =700mm)34とし、当該連結部内厚165m
m、コンクリート圧縮強度1000kg/cm2 に形
成されている。ここで上杭として使用する杭は、通常は
プレストレス量の大きいものを使用するため、上下杭の
肉厚、コンクリート圧縮強度等を可変させて、軸力強度
をほぼ同一強度にしている。前記膨出した連結部34と
軸部33との境界は徐々に外径が変化する段部35が形
成されている(図8(a))。下杭32の環状リブ5、
6と段部35の間隔は、下杭32の底面8aから500
mmの位置に環状リブ5を、1500mmの位置に環状
リブ6を、2000mmの位置に段部35を夫々形成す
る。
【0079】本実施例では、基礎杭における各杭材の耐
力をバランス良く構成し、かつ高強度を実現する構造と
してある。即ち、根固め部において、下杭32はその軸
部33を含めて段部35まで根固め部内に埋設してい
る。
【0080】ここで、例えば、段部35まで根固め部外
に出し、軸部33も上部が根固め部の外部に形成された
場合には、軸部33の根固め部の外部に位置する部分の
支持強度は、外径D0 (600mm)の通常の杭と同様
となってしまう。よって、この部分の強度は、該高強度
の根固め部支持強度の約2分の1、また段部35につい
ては上部に連結する上杭(700mm)の約70%程度
しか支持強度を発揮することができない。
【0081】従って、根固め部及び杭材の強度を生かす
には、下杭32の軸部33及び段部35を根固め部に埋
設することが最適である。
【0082】また、下杭32は軸部33の円に沿って等
間隔に配置されたPC鋼棒37、37の周りに螺旋鉄筋
38が周設された配筋となっている(図9(a)
(b))。
【0083】尚、前記下杭32の製造にあたり、専用の
凹凸形状の型枠を使用しても良いが、従来の円筒杭(ス
トレート杭)の型枠の内面にテーパーを取り付けて突起
部を形成することもできる(図示していない)。
【0084】次に、軸部2の径D00(=780mm)、
拡底部3の径D11(=1500mm)の杭穴1を掘削
し、実施例1と同様に、杭穴1の拡底部3内には所定固
化強度(300kg/cm2 )のセメントミルクを注入
し、掘削土と撹拌・混合したソイルセメントを充填し、
杭穴1の軸部2には固化強度(200kg/cm2 )の
セメントミルクを注入し掘削土と撹拌・混合して、ソイ
ルセメント(30Kg/cm2程度)をほぼ杭穴口まで充
填する(図7(a))。
【0085】続いて、下杭32を、杭表面に土泥を固着
させないように、必要ならば回転を加えて、下降させ
(図7(b))、上杭30を下杭32の連結部34に連
結して、下降させる(図7(c))。杭穴1の拡底部3
内に既製杭4の下杭32を保持する。ここで、既製杭4
の下杭32の底面(最下端部面)8aは、拡底部3の地
盤底面11より高さDH1(60cm程度)に位置してい
る。また、下杭32の連結部34の段部35は、杭穴1
の拡底部3内の上側に位置し、最上位の環状リブ6から
拡底部の最上部の水平面Xまでの間隙DH2(80cm程
度)を設け、接続面34a(上杭の下縁31、下杭の上
縁)は杭穴1の軸部2に内に位置している。ソイルセメ
ントの固化により、杭穴1内に既製杭4が埋設された杭
構造10を構築する(図7(d))。
【0086】このように構築された杭構造10は、実施
例1と同様に、垂直荷重に対して、底面8a、環状リブ
5、6の下方に向けた面5a、6a、更に、段部35の
下方に向けた面が作用して、実施例1以上に、負担する
垂直荷重の大幅な増加が図れる(図1(c)、図3
(b))。また、引抜力に対しても、実施例1と同様
に、環状リブ5、6の上方に向けた面5b、6bが作用
して、実施例1と同等以上の高引抜耐力を得ることがで
きる(図1(d)、図3(c))。
【0087】前記において、上杭30の外径を下杭32
の軸部33の外径より適宜大径にでき、既製杭4の軸部
(上杭30)の曲げモーメントの増加を図り、杭穴1拡
底部3での杭構造10としての強化を維持したまま、杭
穴1軸部2での杭構造10の水平荷重、垂直荷重に対す
る耐力を強化できる。また、上杭30の外径を下杭32
の軸部33の外径より大径とすることにより、杭穴1軸
部2で、既製杭4(上杭30)の外面と杭穴1内面との
間隙を小さくでき、杭穴1軸部2での杭周固定液の使用
量を軽減できる。また、水平荷重、垂直荷重等に対する
耐力を強化したまま、上杭30の外径を、下杭32の軸
部外径より大きく、環状リブ5、6の外径よりも小さく
すれば、杭表面積が小さくなり、杭の挿入がし易くな
る。
【0088】前記実施例において、既製杭4の下杭32
は、軸部33のみに配筋したが、上部の膨出した連結部
34にも異形鋼棒39、39などの補強鉄筋を配置し
て、リング筋40、40で補強することもできる(図1
0(a)(b))。
【0089】このように、PC鋼棒37、37の外周に
異形鋼棒39、39を配置することにより、地上構造物
等から作用する鉛直荷重、水平力に対して、杭頭部の破
壊を防止することができ、また、異形鋼棒39を配置す
ることによって、過大な水平力に耐えることができる。
異形鋼棒39の効果は、実施例4で詳細に述べる内容と
同様であり、本実施例では記載を省略する。尚、実施例
4と同様に、異形鉄筋39の長さの異なるものを複数
(例えば2種類)用意し、隣合う異形鉄筋同志を異なる
長さのものとすることもできる(図14(c))。
【0090】更に、下杭32はPC鋼棒37、37の間
隙に、異形鋼棒など41、41を中空部36を経由して
斜に配筋(いわゆる「X配筋」)して補強することもで
きる(図11(a)(b))。
【0091】また、前記実施例において、上杭30及び
下杭32は、圧縮強度800〜1000kg/cm2
範囲で、強度を設定することが望ましいが、他の強度と
することもできる。
【0092】また、前記実施例において、既製杭4の下
杭32の段部35の傾斜角度は、軸力の伝搬角度θ(θ
1、θ2 。約30°)で形成することもでき、垂直荷重
作用時に段部がより有効に作用するので望ましいが(図
8(c))が、段部の角度は任意に設定できる。また、
下杭32は、下端部にも上端部同様に膨出した連結部4
2を形成することもでき(図8(d))、この場合、更
に支持力、引抜力を向上させることができる。
【0093】また、前記実施例において、既製杭4の下
杭32は連結部34を上方に延長して長さLに形成する
こともできる(図8(b))。長さLは上部に連結する
上杭30や杭構造10の上部に構築される構造物の荷重
等を考慮して適宜選択して設定する。また、連結部34
の長さLを必要な上杭30の長さとすれば、単杭として
一体の既製杭とすることもでき、上杭30を不要とし、
施工において接合作業を省くことができる。
【0094】また、前記実施例において、上杭30、下
杭32はコンクリート杭としたが、コンクリート杭の外
周に鋼管を巻いて構成し、あるいは同様の構造の鋼管杭
とすることもできる(図示していない)。
【0095】
【実施例4】(1) 図12〜図14に基づきこの発明
の他の実施例を説明する。実施例3では、実施例1の杭
構造10における垂直荷重や引抜力に対する強化に加
え、杭穴軸部も強化して、杭構造全体としてに軸部と拡
底部でバランス良い強化を実現できる為の既製杭とし、
合わせて施工効率も高めた。本実施例では、更に、根固
め部の高い鉛直支持力強度能力を最大限生かし、かつ生
産効率をも高めるものである。
【0096】(2)既製杭の構成 この実施例の既製杭4は、杭穴1の軸部2に位置する部
分に使用する1本又は複数本の上杭30と杭穴1の拡底
部3に位置する部分に使用する下杭32とから構成され
る中空コンクリート杭である。前記上杭30は、外形D
9 (=700mm)、肉厚110mm、コンクリート圧
縮強度850kg/cm2 に形成されている(図13
(a))。
【0097】また、前記下杭32は、軸部(下部軸部)
33外径D0 (=600mm)、軸部肉厚90mmで、
下端部及び中間部に環状リブ(外径D1 =750mm)
5、6が2つ形成され、上端部は外径D9のストレート
杭状の上部軸部43を形成し、該上部軸部43の上端部
が上杭30との連結部(外径D9 =700mm)34が
形成され、当該連結部内厚140mm、コンクリート圧
縮強度1000kg/cm2 に形成されている。
【0098】前記上部軸部43は、上側(最上部に位置
する)の環状リブ6の上面に連続して一体に形成される
ので、実施例3のように、該部に軸部33は現れない。
また、外径D9の上部軸部が、環状リブ6の外径D1(D
1>D9)に連続して形成されるので、環状リブ6の外周
部上面6cに斜め上向きの環状面が形成される(図13
(a))。
【0099】ここで上杭30として使用する杭は、前記
実施例3と同様に、通常はプレストレス量の大きいもの
を使用するため、上下杭の肉厚、コンクリート圧縮強度
等を可変させて、軸力強度をほぼ同一強度にしている。
下杭32の環状リブ5、6の間隔は、下杭32の底面8
aから500mmの位置に環状リブ5を、1500mm
の位置に環状リブ6を、夫々形成する。また、下杭32
は軸部33の円に沿って等間隔に配置されたPC鋼棒3
7、37の周りに螺旋鉄筋38が周設された配筋となっ
ている。また、上部軸部43の上端部には、継手端板4
5に固着された異形鉄筋44、44が環状に配置されて
いる(図14(a)(b))。
【0100】このように、PC鋼棒37、37の外周に
異形鋼棒44、44を配置することにより、地上構造物
等から作用する鉛直荷重、水平力に対して、杭頭部の破
壊を防止することができる。また、連結杭とした場合、
上杭30から下杭32へ伝搬する鉛直荷重に対して、略
均一に根固め部3までこれを伝達させることができる。
このとき、上杭30のPC鋼棒37配筋位置と異形鋼棒
44配筋位置とを一致させることが望ましい。また、異
形鋼棒44の周囲に螺旋鉄筋を配置することもできる
(図示していない)。
【0101】また、異形鋼棒44を配置することによっ
て、過大な水平力に耐えることができる。また、異形鉄
筋の長さの異なるものを複数(例えば2種類)用意し、
隣合う異形鉄筋同志を異なる長さのものとすることによ
って(図14(b))、破壊荷重付近の荷重が作用した
場合、一度に既製杭が破砕されてしまうことを防止でき
る。
【0102】尚、以上の異形鋼棒44の作用効果は、実
施例3の異形鋼棒39においても同様に発揮できる。
【0103】尚、前記下杭32の製造にあたり、専用の
凹凸形状の型枠を使用しても良いが、従来の円筒杭(ス
トレート杭)の型枠の内面にテーパーを取り付けて突起
部を形成することもできる(図示していない)。
【0104】また、本発明の下杭32(リブ付きの高支
持力杭の製造に関しては、上部軸部43の外径D9)寸
法が、環状リブ5、6の外径D1寸法より大径であるた
めに、簡単な製造型枠交換程度で、容易に従来の環状リ
ブ付きの杭を製造する設備を利用でき、新たな製造ライ
ンを構築せず量的にフレキシブルに生産できる利点があ
る。
【0105】(3)基礎杭の埋設方法・基礎杭構造 次に、実施例3と同様に、軸部2の径D00(=780m
m)、拡底部3の径D 11(=1100mm)の杭穴1を
掘削し、実施例1と同様に、杭穴1の拡底部3内には所
定固化強度(200kg/cm2 )のセメントミルクを
注入し、掘削土と撹拌・混合したソイルセメントを充填
し、杭穴1の軸部2には固化強度(200kg/cm
2 )のセメントミルクを注入し掘削土と撹拌・混合し
て、ソイルセメント(30kg/cm2程度)をほぼ杭
穴口まで充填する(図12(a))。
【0106】続いて、下杭32を、杭表面に土泥を固着
させないように、必要ならば回転を加えて、下降させ
(図12(b))、上杭30を下杭32の連結部34に
連結して、下降させる(図12(c))。杭穴1の拡底
部3内に既製杭4の下杭32の下端部を設置する。ここ
で、既製杭4の下杭32の底面(最下端部面)8aは、
拡底部3の地盤底面11より高さDH1(50cm程度)
に位置している。また、下杭32の最上位の環状リブ6
から拡底部の最上部の水平面Xまでの間隙DH2(50c
m程度)を設け、接続面34a(上杭の下縁31、下杭
の上縁)は杭穴1の軸部2に内に位置している。ソイル
セメントの固化により、杭穴1内に既製杭4が埋設され
た杭構造10を構築する(図12(d))。
【0107】このように構築された杭構造10は、実施
例1と同様に、垂直荷重に対して、底面8a、環状リブ
5、6の下方に向けた面5a、6a、の下方に向けた面
が作用して、実施例1以上に、負担する垂直荷重の大幅
な増加が図れる(図1(c)、図3(b))。この場
合、実施例3より傾斜段部35が形成されていない分だ
け、作用する下方に向けた面が少ないが、充分な効果が
得られる。
【0108】また、引抜力に対しても、環状リブ5の上
方に向けた面5b、環状リブ6の上向き外周部上面6c
が作用して、実施例1と同等以上の高引抜耐力を得るこ
とができる(図1(d)、図3(c))。
【0109】(4)作用
【0110】(a)下杭32の上部軸部43の外径をリ
ブ外径D1より大きくしない(D9≦D1)ことによる作
用効果:
【0111】杭基礎の設計に際しては、先ず築造する建
造物を支持する所要鉛直支持力が設定されるので、その
支持力の大部分を負担する根固め部(杭穴1の拡底部
3)の構造およびその施工方法を前提として他の水平力
等の条件が調整されるのが通例である。
【0112】本実施例では、杭基礎の施工における掘削
作業は、前述のように、先ず、地上より、杭穴1の軸部
2を掘削し、同時に掘削泥土を杭穴壁に練りつけながら
通常10mから50m程度の深度まで杭穴1軸部2を形
成する。次に、根固め部を形成する所定の深度に到達し
たならば、深度数メートルの範囲で掘削径を拡大して所
定寸法形状の根固め部とし、所要固化強度のセメントミ
ルクを所定の方法で充填し構築し、根固め部の支持力が
効率的に発現できるよう施工されている。
【0113】そこで、注入されたセメントミルクと杭3
2、30の付着品質を確保するために、杭穴1の軸部2
の掘削径は、根固め部に埋設する環状リブ5、6付の下
杭32が、杭穴1軸部2を沈設中に掘削泥土が環状リブ
5、6に固着しないで滑らかに埋設させるために必要な
寸法であり、すなわち、根固め部にて支持力を発現する
「下杭32の環状リブの外径(D1)+30mm程度」
としてある。
【0114】従って、同様趣旨で、この杭穴1軸部2に
埋設できる「下杭32の上部軸部43(上杭30)」の
外径寸法D9は、根固め部に埋設される環状リブ5、6
の外径D1より大きくない外径(D9≦D1)寸法とし、
杭穴1軸部2の掘削径をそのまま利用する方が2重掘削
にならず効率的である。
【0115】例えば、さらに大きい径の「上部軸部43
(上杭30)」を使用する場合は、拡底部3の10倍以
上の深度に亘る大径の杭穴1軸部2の掘削が必要となる
が、軸部2の掘削径をさらに大きくする割には支持力の
増加は少なく、経済性的に非効率である。
【0116】従って、杭穴掘削深度が大きく、既製杭4
を複数連結して構成する場合には、杭穴1軸部2に埋設
する上杭30の軸径と、根固め部に位置する下杭32の
上部軸部43の軸径とは同一寸法で形成され互いに連結
するので、この場合も根固め部の上部軸部43の軸径は
環状リブ5、6外径Dより大きくしない方が有利であ
る。
【0117】即ち、既製杭4を単抗とした場合は、根固
め部の上端部内に位置する杭の上部軸部43が杭穴1軸
部にも位置し一体であり(図13(b))、連結杭の場
合は根固め部に位置する下杭の上部軸部43と杭穴1軸
部2に位置する上杭30の外径は同一寸法Dで連結さ
れている(図13(a))。
【0118】(b)上部軸部43の径D9を下部軸部3
3の軸径D0より大きくした作用効果:
【0119】根固め部に環状リブを有する高支持力を発
揮する基礎杭4は、支持力発現は従来の杭の先瑞部支持
力に加えて環状リブの支圧力を利用するために環状リブ
の上下および周辺部をも所定固化強度のセメントミルク
層で覆い、杭穴内で既製抗とセメントミルクとを一体化
した強固な根固め部を形成している。即ち、環状リブの
支圧力を充分発現するために、環状リブが接触するセメ
ントミルク固化面をできる限り広くかつ層を厚くする必
要があり、その径差(D1−D0)を大きくするために、
結果として環状リブ外径D1に対し下杭32の下部軸部
33の軸径D0を総合的に支持力として許容できる範囲
で出来る限り小さくしている。
【0120】また、上杭30(単杭の場合は、上部軸部
43)の耐水平力を大きくする為の手段として、杭外径
を大きくする方が、杭の素材強度を高め又はより高強度
の杭種とするよりも、経済的で、杭材、杭穴径共に選択
肢が広くなり、有利である。
【0121】従って、上部軸部43の径D9を下部軸部
33の径D0に比べ大きくする方が根固め部の性能を充
分に生かすためにも必要であり、またD9寸法を適宜選
択することにより求められている建造物の必要な支持力
と適合させることも容易で、経済的である。
【0122】(c)下杭32の上部軸部43を、最上に
位置する環状リブ6の直上に形成した作用効果:
【0123】根固め部内に環状リブを位置させる高支持
力を発揮する基礎杭は、支持力発現は杭の先端部支持力
に加えて環状リブの支圧力を利用するために、環状リブ
の上下および周辺部にも所定固化強度のセメントミルク
層で厚く覆い該杭とセメントミルクとを一体化した強固
な根固め部を形成している。結果として、基礎杭の構造
において、同一外径D0の円筒杭(ストレート状)に比
べて、約2倍の鉛直支持力が得られることが実験により
確認されている。
【0124】従って、杭穴根固め部の上端部から杭穴軸
部に位置させる杭を、根固め部の下部軸部33(径
0)と同一寸法の同一杭材としたならば、根固め部の
支持力に比して杭材強度が小さく、高支持力を発現する
根固め部の能力をフルに生かすことが困難である。よっ
て、根固め部の高鉛直支持力強度能力をフルに生かすた
めには、上部軸部43(上杭30)の杭材として根固め
部の杭材より高い強度の高品質(一般に高価)の杭材を
使用することも考えられるが、大径の杭との連結が必要
になり技術的にも問題が多く、その施工が制約されるこ
とになる。
【0125】この解決策として、実施例3の図8(d)
の構造の下杭32としても解決できるが、この方法は、
根固め部の深さを多く取らなければならず、部材費およ
び施工費ともに大きくなる。特に、段付根固め杭が長い
ことによるその杭の段付部の製造、運搬時の取扱いおよ
び根固め部の品質および信頼性に関して施工上固有の管
理が必要となる。
【0126】この根本的解決のために、本実施例4で
は、最上部に位置する環状リブ6の直上に上部軸部43
(大径軸部D9)を一体に形成する構造とした。
【0127】上記構造とすることにより、環状リブ6に
前記寸法範囲で円筒杭を接続するのは製造設備上、型枠
交換などで容易であるので、その建造物に対する所要支
持力に合わせた杭穴の軸部抗径の選択が容易となる。
【0128】環状リブ6の上に小径の軸部33(軸径D
0)および段差部がないために杭全長を短くでき、応力
の弱い杭部分が全く無くなり製造、施工等品質管理上容
易となる。簡便なコンパクトな根固め構造杭が得られ
た。
【0129】また、基礎杭においては、一般に所要引抜
き力は鉛直支持力に比べて小さいため、鉛直支持力には
2本の環状リブ5、6の下面5a、6aを利用し、引抜
き力には1本の環状リブ5の上面5bを利用すれば実務
的に充分可能である。
【0130】従って、上部軸部43(軸経D9)を最上
部の環状リブ6の上側から直上に形成させれば、基礎抗
としての鉛直支持力は環状リブ2本分の所望支持力が得
られると共に環状リブ6での鉛直支圧力は上部の上部軸
部43(大径)でさらに強度補強され信頼性が向上す
る。
【0131】また、引抜き力は、ほとんど環状リブ5の
支圧力で負担させており、上部の環状リブ6は殆ど寄与
していないので、実用上は問題なく、逆に効率的な構造
となっている。即ち、鉛直支持力、引抜き力ともに実用
上バランスが取れており、大きい水平支持力及び鉛直支
持力の発現を可能とし、従来にない実用的な高支持力を
有する杭基礎構造が得られた。
【0132】(5)既製杭32の配筋 前記既製杭32は、例えば、下部軸部径D0 =600m
m、突起部径D1 =750mm、上部軸径D9 =700
mmの既製杭4の場合、PC鋼棒37を軸部径D0(6
00mm)の肉厚90mmのほぼ中央部に位置するよう
に複数本均等に(環状等間隔に)配置し、その外周を螺
旋鉄筋38で巻回し、鉄筋かごが形成されている(図1
4(c))。このとき、巻回する螺旋鉄筋38のピッチ
は杭全長に亘って同ピッチとすることが望ましい。
【0133】次に、鉄筋かごの両端に、上下杭端板を取
付ける。このとき、上部軸部43側の杭端板45には、
異形鋼棒44、44が取り付けられており、PC鋼棒3
7、37の外側でかつPC鋼棒37とPC鋼棒37の間
に配置される(図14(a))。
【0134】また、異形鋼棒44、44の長さは2種類
用意し(例えば、500mmと700mm)、異なる長
さの異形鋼棒44が夫々交互に位置するように配置する
(図14(b))。尚、異形鋼棒44は上部軸部43の
全長に亘って設けることもできる(図示していない)。
【0135】その後、従来の既製杭の製造法と同様に、
PC鋼棒37、37を引張して、プレストレスを導入
し、遠心成形を行い、所定の養生をして、本発明の既製
杭32、4が完了する(図14(c))。
【0136】上記の様に配筋して形成した、既製杭32
(下部軸部径D0 =600mm、突起部径D1 =750
mm、上部軸径D9 =700mm)の上端に外径700
mmの円筒杭を連結して、同一外形で異形鉄筋44の有
無による2種類の試験体で曲げ試験を行った。
【0137】異形鋼棒44を設けた既製杭の方が、異形
鋼棒44を設けなかった既製杭と比較して、約1.5倍
の強度値を得ることができた。
【0138】このことから、異形鋼棒44を設けた既製
杭を用いることが望ましいが、地上構造物等からの応力
を考慮して、適宜選択してもよい。
【0139】(6)他の実施例 前記において、上杭30の外径を下杭32の軸部33の
外径より適宜大径にでき、既製杭4の軸部(上杭30)
の曲げモーメントの増加を図り、杭穴1拡底部3での杭
構造10としての強化を維持したまま、杭穴1軸部2で
の杭構造10の水平荷重、垂直荷重に対する耐力を強化
できる。また、上杭30の外径を下杭32の軸部33の
外径より大径とすることにより、杭穴1軸部2で、既製
杭4(上杭30)の外面と杭穴1内面との間隙を小さく
でき、杭穴1軸部2での杭周固定液の使用量を軽減でき
る。また、上杭30の外径を、水平荷重、垂直荷重等に
対する耐力を強化したまま、下杭32の軸部外径より大
きく、環状リブ5、6の外径よりも小さくすれば、杭表
面積が小さくなり、杭の挿入がし易くなる。
【0140】前記実施例において、実施例3と同様に、
既製杭4の下杭32は、軸部33のみに配筋したが、上
部の膨出した連結部34にも異形鋼棒39、39などの
補強鉄筋を配置して、リング筋40、40で補強するこ
ともできる(図10(a)(b))。
【0141】更に、下杭32はPC鋼棒37、37の間
隙に、異形鋼棒など41、41を中空部36を経由して
斜に配筋(いわゆる「X配筋」)して補強することもで
きる(図11(a)(b))。
【0142】また、前記実施例3と同様に、前記実施例
において、上杭30及び下杭32は、圧縮強度800〜
1000kg/cm2の範囲で、強度を設定することが
望ましいが、他の強度とすることもできる。
【0143】また、前記実施例において、下杭32は、
下端部にも上端部同様に膨出した連結部42を形成する
こともでき(図13(d))、この場合、更に支持力、
引抜力を向上させることができる。
【0144】また、前記実施例において、上部軸部43
の中間部に更に、環状リブ7を形成することもできる
(図13(c))。上部軸部43に環状リブ7を設ける
ことによって、杭穴1の軸部2に該環状リブ7が位置す
る。これによって、杭の表面積が増大し、杭穴軸部2に
おいて周面支持力を増強することができ、杭穴の根固め
部3での支持力と合わせて、更に基礎杭構造全体として
の強度が向上する。また、上部軸部43に環状リブ7を
設け、かつ上部軸部43の環状リブ7の外径をD 1で略
同一とすることにより、掘削された杭穴1に既製杭3
2、30を挿入する際に既製杭32、30が傾斜してし
まう、いわゆる偏心を防止することができる。
【0145】また、前記実施例において、前記実施例3
と同様に、既製杭4の下杭32は連結部34を上方に延
長して長さLに形成することもできる(図13
(b))。長さLは上部に連結する上杭30や杭構造1
0の上部に構築される構造物の荷重等を考慮して適宜選
択して設定する。また、連結部34の長さLを必要な上
杭30の長さとすれば、単杭として一体の既製杭とする
こともでき、上杭30を不要とし、施工において接合作
業を省くことができる。
【0146】また、前記実施例において、実施例3と同
様に、上杭30、下杭32はコンクリート杭としたが、
コンクリート杭の外周に鋼管を巻いて構成し、あるいは
同様の構造の鋼管杭とすることもできる(図示していな
い)。
【0147】
【発明の効果】拡底掘削した杭穴内に、下端部に突起を
有する既製杭を埋設し、その既製杭とソイルセメントと
の一体化の品質が良い杭構造を構成するので、突起の上
面および下面周縁からのせん断力が支持地盤に伝搬し、
所定角度の円錐状の底面で支持地盤に支持面を形成でき
拡底部径全体で支持するために、1本の杭が負担すべき
垂直荷重および引抜力を従来より大幅に(2倍以上)に
増加させることができる。
【0148】また、杭穴口までソイルセメントを形成し
て既製杭を沈設し、既製杭の節部等の表面に土泥の固着
層を形成させないため、既製杭とソイルセメントとの密
着状態が良く、ソイルセメント固化時の初期沈下が防止
できる。
【0149】また、埋設地盤にシルト等が含まれ支持地
盤として良くない場合には、掘削土とセメントミルクを
置換するので、ソイルセメント品質が地質に左右されず
安定した強度および品質が得られる。
【0150】また、突起を設けると共に上部軸部径を下
部軸径より大径とし、上方に向けて徐々に大径となる傾
斜段部を設けて既製杭を構成し、当該突起のみならず、
傾斜段部をも杭穴の拡底部内に位置させて、既製杭を杭
穴内に埋設したので、突起からの支圧に加え、傾斜段部
からの支圧も付加することにより、より高垂直荷重に耐
えることができる。
【0151】また、また、突起付きの既製杭の肉厚及び
圧縮強度等を可変させて、突起付きの下杭と上杭とのバ
ランスを考慮して、下杭と上杭とをほぼ同一軸力強度と
なるように設定することによって、既製杭全体の軸力強
度がほぼ一定となり、過大な荷重がかかった際の杭材の
破壊を効率よく防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の概略した縦断面図で、
(a)は杭穴を掘削した状態、(b)は杭穴内に既製杭
を埋設し杭を構築した状態、(c)は杭の支持力を説明
する図、(d)は引抜力を説明する図である。
【図2】(a)はこの発明の既製杭の正面図、(b)は
(a)のA−A線における断面図、(c)は(a)のB
−B線における断面図である。
【図3】(a)はこの発明の実施例で構築した杭構造の
正面図、(b)は荷重を付加した場合の破壊状態の正面
図、(c)は引抜力を付加した場合の破壊状態を表す。
【図4】同じく比較例の杭構造で、荷重を付加した場合
の破壊状態の正面図を表す。
【図5】(a)は既製杭の他の実施例の正面図、(b)
は(a)のC−C線における断面図、(c)は(a)の
D−D線における断面図、(d)は(a)のE−E線に
おける断面図である。
【図6】同じく既製杭の他の実施例で、(a)は正面
図、(b)は底面図である。
【図7】この発明の実施例3の埋設方法を説明する概略
した縦断面図で、(a)は杭穴を掘削した状態、(b)
(c)は杭穴内に既製杭を埋設している途中の状態、
(d)は杭を構築した状態である。
【図8】(a)乃至(d)は、実施例3に使用する既製
杭の正面図である。
【図9】同じく実施例3に使用する既製杭で(a)は拡
大横断面図、(b)は配筋を説明する概略した正面図で
ある。
【図10】同じく実施例3に使用する他の既製杭で
(a)は拡大横断面図、(b)は配筋を説明する概略し
た正面図である。
【図11】同じく実施例3に使用する他の既製杭で
(a)は拡大横断面図、(b)は配筋を説明する概略し
た正面図である。
【図12】この発明の実施例4の埋設方法を説明する概
略した縦断面図で、(a)は杭穴を掘削した状態、
(b)(c)は杭穴内に既製杭を埋設している途中の状
態、(d)は杭を構築した状態である。
【図13】(a)乃至(d)は、実施例4に使用する既
製杭の正面図である。
【図14】同じく実施例4に使用する既製杭で(a)は
拡大横断面図、(b)は一部正面図、(c)は配筋を説
明する概略した正面図である。
【図15】(a)(b)は従来例の基礎杭構造の概略し
た縦断面図である。
【符号の説明】
1 杭穴 2 杭穴の軸部 3 杭穴の拡底部 4 既製杭 5、6、7、12 環状リブ(既製杭) 8 軸部(既製杭) 8a 既製杭の底面(最下端面) 10 杭構造 11 支持地盤面(地盤底面) 16 ストレート杭(従来例) 18 杭構造(従来例) 21、22、23 突起 24 ST杭(従来例) 26 杭穴(従来例) 27 杭穴の軸部(従来例) 28 杭穴の拡底部(従来例) 30 上杭 32 下杭 33 下杭の軸部 34 下杭の連結部 35 下杭の段部 37 PC鋼棒 39 異形鋼棒 43 下杭の上部軸部 44 異形鋼棒

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 拡底部を有する杭穴を掘削し、次に該拡
    底部内に、固化強度が支持地盤と力学的に同質以上とな
    るようなセメントミルクを注入し、引き続き杭軸部にお
    いてほぼ杭口までソイルセメント層を形成し、前記杭穴
    内に、少なくとも下端部外周に突起を有する既製中空杭
    を、必要ならば回転しながら、下降沈設すると共に、前
    記既製杭の下端部を杭穴拡底部内に定着させる既製杭の
    埋設方法であって、前記既製杭の最下端面と杭穴拡底部
    の地盤底面との間に所定の間隙を形成し、かつ既製杭の
    拡底部に位置する最上位置の突起と杭穴拡底部の最上位
    置との間に上下方向に所定の間隙を形成し、前記両間隙
    にソイルセメント層を形成することを特徴とした既製杭
    の埋設方法。
  2. 【請求項2】 地質の良くない層に拡底部を有する杭穴
    を掘削し、次に該拡底部内に、固化強度が支持地盤と力
    学的に同質以上となるような所定のセメントミルクを注
    入し、拡底部の掘削土を該セメントミルクと置換し、引
    き続き杭穴軸部において略杭穴口までソイルセメント層
    を形成し、前記杭穴内に、少なくとも下端部外周に突起
    を有する既製中空杭を、必要ならば回転しながら、下降
    沈設すると共に、前記既製杭の該下端部を杭穴拡底部内
    の所定位置に定着させる既製杭の埋設方法であって、前
    記既製杭の最下端面と杭穴拡底部の地盤底面との間に所
    定の間隙を形成し、かつ既製杭の拡底部に位置する最上
    位置の突起と杭穴拡底部の最上位置との間に上下方向に
    所定の間隙を形成し、前記両間隙にセメントミルク層を
    形成することを特徴とした既製杭の埋設方法。
  3. 【請求項3】 所定外径寸法の拡底部を有する杭穴を掘
    削し、次に杭穴内にセメントミルクを注入し、杭穴軸部
    はほぼ杭穴口までソイルセメント層を形成し、該杭穴の
    拡底部内に、少なくとも下端部外周に突起を有する既製
    杭を沈設する方法であって、前記拡底部内の地盤底面と
    前記既製杭の最下端面との間に所定の間隙を形成し、か
    つ既製杭の拡底部に位置する最上位置の突起と杭穴拡底
    部の最上位置との間に上下方向に所定の間隙を形成し、
    前記両間隙にソイルセメント層またはセメントミルク層
    を形成すると共に、前記既製杭の下端部外周の突起を、
    前記杭穴の拡底部内に埋設し、前記拡底部外径寸法D11
    を、下記Aの値以上で且つBの値以下とすることを特徴
    とする請求項1又は2記載の既製杭の埋設方法。但し、
    A、Bは下記値である。 A={既製杭の軸部外径}+{(既製杭の最下端面と拡
    底部の地盤底面との間のソイルセメント層の厚さ)÷√
    3}×2 B={既製杭の突起部外径}+{[(既製杭の最下端面
    より拡底部内の最上部の突起までの高さ)+(既製杭の
    最下端面と拡底部の地盤底面との間のソイルセメントの
    厚さ)]÷√3}×2
  4. 【請求項4】 杭穴の軸部の外径の1.2乃至2.5倍
    程度の外径の拡底部を掘削して杭穴を構成する請求項1
    乃至請求項3のいずれか一項記載の既製杭の埋設方法。
  5. 【請求項5】 拡底部を有する杭穴内に、少なくとも下
    端部に突起を有する既製杭の該下端部を定着させた基礎
    杭の構造であって、前記拡底部内には、前記既製杭を埋
    設する地盤の地質により、注入したセメントミルクと掘
    削土とを混合したソイルセメントが充填され、または掘
    削泥土と置換したセメントミルクが充填されたことを特
    徴とする基礎杭の構造。
  6. 【請求項6】 拡底部を有する杭穴内に、少なくとも下
    端部に突起を有する既製杭の該下端部を定着させた基礎
    杭の構造であって、前記既製杭の軸部下端面及び前記突
    起により作用する下向きせん断力の伝搬を考慮して所定
    の先端支持力を確保でき、かつ前記既製杭の突起により
    作用する上向きせん断力の伝搬を考慮して所定の引抜力
    を確保できる構成として築造したことを特徴とする基礎
    杭の構造。
  7. 【請求項7】 拡底部を有する杭穴内に、少なくとも下
    端部に突起を有する既製杭の該下端部を定着させた基礎
    杭の構造であって、前記既製杭は、軸部下面及び突起に
    より、少なくとも先端支持力を発揮できるように形成し
    た突起を有する下杭に、上杭を連結して構成し、前記拡
    底部内には、前記既製杭を埋設する地盤の地質により、
    注入したセメントミルクと掘削土とを混合したソイルセ
    メントが充填され、または掘削泥土と置換したセメント
    ミルクが充填されたことを特徴とする基礎杭の構造。
  8. 【請求項8】 既製杭の下部外周に所定高さ毎に複数の
    環状リブを形成して突起とした請求項5又は6又は7記
    載の基礎杭の構造。
  9. 【請求項9】 既製杭は、所定外径の下部軸部外周に1
    つ又は複数の環状リブを形成し、最上に位置する環状リ
    ブに連続してストレート杭状の上部軸部を形成してな
    り、該上部軸部の外径は、前記下部軸部より大径でかつ
    前記最上に位置する環状リブより小径に形成したことを
    特徴とする請求項8記載の基礎杭の構造。
  10. 【請求項10】 既製杭の突起であって、杭穴の拡底部
    のソイルセメントまたはセメントミルク内に定着される
    複数の突起の間隔を、少なくとも「前記既製杭の軸部外
    径から突起の先端までの高さ」の√3倍より大きくした
    請求項5、6、7、8のいずれか1項記載の基礎杭の構
    造。
  11. 【請求項11】 杭穴軸部の下端部に拡底部を形成した
    杭穴に埋設する既製杭であって、埋設予定の杭穴の軸部
    に位置する部分をストレート杭状とし、埋設予定の杭穴
    の拡底部に位置する部分に突起を有する構造としたこと
    を特徴とする既製杭。
  12. 【請求項12】 埋設予定の杭穴の拡底部に位置し、突
    起を有する下部軸部の上に、ストレート杭状であり前記
    下部軸部より大径の上部軸部を、傾斜段部を介して一体
    に形成すると共に、該傾斜段部を前記杭穴の拡底部内に
    位置する高さに形成したことを特徴とする請求項11記
    載の既製杭。
  13. 【請求項13】 埋設予定の杭穴の拡底部に位置する既
    製杭の下部軸部に1つ又は複数の突起を形成し、該下部
    軸部の上に、下部軸部の最上に位置する突起に連続し
    て、ストレート杭状であり前記下部軸部より大径に形成
    した上部軸部を、一体に形成すると共に、前記最上に位
    置する突起は前記杭穴の拡底部内に位置する高さに形成
    したことを特徴とする請求項11記載の既製杭。
  14. 【請求項14】 杭穴軸部の下端部に拡底部を形成した
    杭穴に埋設する既製杭であって、埋設予定の杭穴の拡底
    部に位置する既製杭の下部軸部に1つ又は複数の突起を
    形成し、該下部軸部の上に下部軸部の最上に位置する突
    起に連続して、前記下部軸部より大径に形成した上部軸
    部を一体に形成すると共に、上部軸部にも1つ又は複数
    の突起を形成し、少なくとも下部軸部の最上に位置する
    突起を、前記拡底部内に位置する高さに形成したことを
    特徴とする既製杭。
  15. 【請求項15】 下部軸部に形成された突起の外径と上
    部軸部に形成された突起の外径を略同径に形成したこと
    を特徴とする請求項14記載の既製杭。
  16. 【請求項16】 上部軸部の外径を、下部軸部の外径よ
    り大径で、かつ該下部軸部の最上に位置する突起の外径
    より小径に形成したことを特徴とする請求項13又は1
    4記載の既製杭。
  17. 【請求項17】 上部軸部の長手方向の少なくとも上端
    部に、上部軸部の杭肉厚内のPC鋼棒配筋位置よりも外
    周に異形鉄筋を配置したことを特徴とする請求項12、
    13又は14のいずれか1項記載の既製杭。
  18. 【請求項18】 異形鉄筋は上部軸部の杭肉厚内のPC
    鋼棒配筋位置より外周に位置し、かつPC鋼棒とPC鋼
    棒の間に配置したことを特徴とする請求項17記載の既
    製杭。
  19. 【請求項19】 隣り合う異形鉄筋の長さを異なる長さ
    に形成したことを特徴とする請求項17記載の既製杭。
  20. 【請求項20】 埋設予定の杭穴拡底部に位置する複数
    の突起と傾斜段部との上下方向の間隔を少なくとも、
    「前記既製杭の下部軸部の外径から突起の先端までの高
    さ」の√3倍より大きくしたことを特徴とする請求項1
    2又は13記載の既製杭。
  21. 【請求項21】 埋設予定の杭穴の拡底部及び軸部下端
    側とに位置する下杭の上に、上杭を連結した既製杭であ
    って、前記下杭は、埋設予定の杭穴の拡底部に位置し、
    突起を有する下部軸部に、ストレート杭状であり前記下
    部軸部より大径の上部軸部を、傾斜段部を介して一体に
    形成すると共に、該傾斜段部を前記杭穴の拡底部内に位
    置する高さに形成して構成し、前記上杭は、前記下杭の
    上部軸部と略同径に構成したことを特徴とする既製杭。
  22. 【請求項22】 下杭の軸力と、上杭の軸力とを略同一
    強度となるように構成したことを特徴とする請求項21
    記載の既製杭。
JP2000257030A 1999-08-31 2000-08-28 既製杭 Expired - Lifetime JP4724873B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000257030A JP4724873B2 (ja) 1999-08-31 2000-08-28 既製杭

Applications Claiming Priority (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1999246621 1999-08-31
JP24662199 1999-08-31
JP2000112592 2000-04-13
JP2000112592 2000-04-13
JP11-246621 2000-07-17
JP2000215329 2000-07-17
JP2000215329 2000-07-17
JP2000-112592 2000-07-17
JP2000-215329 2000-07-17
JP2000257030A JP4724873B2 (ja) 1999-08-31 2000-08-28 既製杭

Related Child Applications (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004377110A Division JP4054903B2 (ja) 1999-08-31 2004-12-27 既製杭の埋設方法及び基礎杭構造並びに既製杭
JP2005023229A Division JP4724878B2 (ja) 1999-08-31 2005-01-31 基礎杭構造
JP2005050877A Division JP4724879B2 (ja) 1999-08-31 2005-02-25 基礎杭構造
JP2010214207A Division JP4817156B2 (ja) 1999-08-31 2010-09-24 既製杭

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002097635A true JP2002097635A (ja) 2002-04-02
JP4724873B2 JP4724873B2 (ja) 2011-07-13

Family

ID=27478038

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000257030A Expired - Lifetime JP4724873B2 (ja) 1999-08-31 2000-08-28 既製杭

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4724873B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004003324A (ja) * 2002-04-26 2004-01-08 Mitani Sekisan Co Ltd 既製杭を使用した基礎杭構造、既製杭、既製杭用の先端金具
JP2004084275A (ja) * 2002-08-27 2004-03-18 Mitani Sekisan Co Ltd 既製杭用の先端金具、先端金具付き既製杭、既製杭を使用した基礎杭構造
JP2005163543A (ja) * 1999-08-31 2005-06-23 Mitani Sekisan Co Ltd 既製杭の埋設方法及び基礎杭構造並びに既製杭
JP2006090051A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Mitani Sekisan Co Ltd 既製コンクリート杭、既製コンクリート杭の製造方法、基礎杭構造
CN107905236A (zh) * 2017-11-10 2018-04-13 中铁隧道集团处有限公司 抗滑桩旋挖钻快速成孔及砼浇筑的施工方法
CN112343042A (zh) * 2020-12-01 2021-02-09 宁波中淳高科股份有限公司 一种uhpc预制异型桩及其制备方法

Citations (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS543314A (en) * 1977-06-10 1979-01-11 Takechi Komusho Kk Method of expansion pile construction
JPS5751736U (ja) * 1980-09-02 1982-03-25
JPS61277714A (ja) * 1985-06-03 1986-12-08 Asahi Chem Ind Co Ltd 埋込み杭の支持構造体
JPS6286223A (ja) * 1985-10-09 1987-04-20 Asahi Chem Ind Co Ltd 既製杭の沈設工法
JPS6323335U (ja) * 1986-07-24 1988-02-16
JPH0125848B2 (ja) * 1980-09-01 1989-05-19 Takechi Komusho Kk
JPH02232416A (ja) * 1989-03-06 1990-09-14 Takechi Koumushiyo:Kk 基礎杭構造
JPH0320137U (ja) * 1989-07-10 1991-02-27
JPH04182516A (ja) * 1990-05-10 1992-06-30 Hokukon:Kk 杭定着用根固め部の築造工法
JPH059933A (ja) * 1991-07-03 1993-01-19 Jiototsupu:Kk 既製リブ付テ−パ−杭
JPH05230832A (ja) * 1992-02-19 1993-09-07 Mitani Sekisan Co Ltd 埋込み杭工法及びコンクリート杭
JPH06280261A (ja) * 1993-03-29 1994-10-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 先端根固め杭
JPH0748833A (ja) * 1994-06-17 1995-02-21 Geotop Corp 基礎杭構造
JPH0841870A (ja) * 1994-08-02 1996-02-13 Kajima Corp 既製コンクリート杭の連結杭工法
JPH1193162A (ja) * 1997-09-22 1999-04-06 Mitani Sekisan Co Ltd 節付き杭及び節付き杭の製造方法
JPH11209972A (ja) * 1998-01-29 1999-08-03 Mitani Sekisan Co Ltd 杭の構築方法及び基礎杭構造
JP2001081862A (ja) * 1999-09-16 2001-03-27 Shimizu Corp 建 物
JP2001090181A (ja) * 1999-09-22 2001-04-03 Shimizu Corp 建 物

Patent Citations (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS543314A (en) * 1977-06-10 1979-01-11 Takechi Komusho Kk Method of expansion pile construction
JPH0125848B2 (ja) * 1980-09-01 1989-05-19 Takechi Komusho Kk
JPS5751736U (ja) * 1980-09-02 1982-03-25
JPS61277714A (ja) * 1985-06-03 1986-12-08 Asahi Chem Ind Co Ltd 埋込み杭の支持構造体
JPS6286223A (ja) * 1985-10-09 1987-04-20 Asahi Chem Ind Co Ltd 既製杭の沈設工法
JPS6323335U (ja) * 1986-07-24 1988-02-16
JPH02232416A (ja) * 1989-03-06 1990-09-14 Takechi Koumushiyo:Kk 基礎杭構造
JPH0320137U (ja) * 1989-07-10 1991-02-27
JPH04182516A (ja) * 1990-05-10 1992-06-30 Hokukon:Kk 杭定着用根固め部の築造工法
JPH059933A (ja) * 1991-07-03 1993-01-19 Jiototsupu:Kk 既製リブ付テ−パ−杭
JPH05230832A (ja) * 1992-02-19 1993-09-07 Mitani Sekisan Co Ltd 埋込み杭工法及びコンクリート杭
JPH06280261A (ja) * 1993-03-29 1994-10-04 Sumitomo Metal Ind Ltd 先端根固め杭
JPH0748833A (ja) * 1994-06-17 1995-02-21 Geotop Corp 基礎杭構造
JPH0841870A (ja) * 1994-08-02 1996-02-13 Kajima Corp 既製コンクリート杭の連結杭工法
JPH1193162A (ja) * 1997-09-22 1999-04-06 Mitani Sekisan Co Ltd 節付き杭及び節付き杭の製造方法
JPH11209972A (ja) * 1998-01-29 1999-08-03 Mitani Sekisan Co Ltd 杭の構築方法及び基礎杭構造
JP2001081862A (ja) * 1999-09-16 2001-03-27 Shimizu Corp 建 物
JP2001090181A (ja) * 1999-09-22 2001-04-03 Shimizu Corp 建 物

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005163543A (ja) * 1999-08-31 2005-06-23 Mitani Sekisan Co Ltd 既製杭の埋設方法及び基礎杭構造並びに既製杭
JP4724878B2 (ja) * 1999-08-31 2011-07-13 三谷セキサン株式会社 基礎杭構造
JP2004003324A (ja) * 2002-04-26 2004-01-08 Mitani Sekisan Co Ltd 既製杭を使用した基礎杭構造、既製杭、既製杭用の先端金具
JP4706994B2 (ja) * 2002-04-26 2011-06-22 三谷セキサン株式会社 既製杭を使用した基礎杭構造
JP2004084275A (ja) * 2002-08-27 2004-03-18 Mitani Sekisan Co Ltd 既製杭用の先端金具、先端金具付き既製杭、既製杭を使用した基礎杭構造
JP2006090051A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Mitani Sekisan Co Ltd 既製コンクリート杭、既製コンクリート杭の製造方法、基礎杭構造
JP4517233B2 (ja) * 2004-09-24 2010-08-04 三谷セキサン株式会社 既製コンクリート杭、既製コンクリート杭の製造方法、基礎杭構造
CN107905236A (zh) * 2017-11-10 2018-04-13 中铁隧道集团处有限公司 抗滑桩旋挖钻快速成孔及砼浇筑的施工方法
CN112343042A (zh) * 2020-12-01 2021-02-09 宁波中淳高科股份有限公司 一种uhpc预制异型桩及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4724873B2 (ja) 2011-07-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5520347B2 (ja) 杭の中掘工法
JP4984308B2 (ja) 既製杭
JP4013182B2 (ja) 自立山留壁工法及び自立山留壁
JP4724879B2 (ja) 基礎杭構造
KR100913346B1 (ko) 지반보강용 말뚝과 팽이말뚝부를 이용한 지반보강방법
JP3960372B2 (ja) 基礎杭構造
JP4724873B2 (ja) 既製杭
JPH11280067A (ja) 既製コンクリ―ト杭の埋設方法及び基礎杭の構造並びに既製コンクリ―ト杭
JP4724878B2 (ja) 基礎杭構造
CN111188347B (zh) 一种高边坡挡墙及其施工方法
JP5456627B2 (ja) 杭と鉄骨柱との接合構造および接合方法
JP4029191B2 (ja) 沈下抑制構造体、沈下抑制構造体の施工方法
JPH0547685B2 (ja)
JP3448629B2 (ja) 既設構造物基礎の耐震補強工法
JP4054903B2 (ja) 既製杭の埋設方法及び基礎杭構造並びに既製杭
JP2001098544A (ja) 既製杭及び基礎杭構造
JP2001073358A (ja) 杭孔内への既製杭の埋設方法
JP2005098108A5 (ja)
JPH0748833A (ja) 基礎杭構造
JP4478810B2 (ja) 既製杭と基礎ベースとの接合方法、既製杭と基礎ベースとの接合構造、既製杭
JP4706994B2 (ja) 既製杭を使用した基礎杭構造
JPH11247203A (ja) 斜杭による既存建物基礎の補強方法
JP4200236B2 (ja) 既製杭用の先端金具、先端金具付き既製杭、既製杭を使用した基礎杭構造
JP4517233B2 (ja) 既製コンクリート杭、既製コンクリート杭の製造方法、基礎杭構造
JP6873613B2 (ja) 基礎杭の構築方法、基礎杭構造および二重既製杭

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100727

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101221

R155 Notification before disposition of declining of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R155

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110325

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4724873

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140422

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term