JP3960372B2 - 基礎杭構造 - Google Patents

基礎杭構造 Download PDF

Info

Publication number
JP3960372B2
JP3960372B2 JP2001318183A JP2001318183A JP3960372B2 JP 3960372 B2 JP3960372 B2 JP 3960372B2 JP 2001318183 A JP2001318183 A JP 2001318183A JP 2001318183 A JP2001318183 A JP 2001318183A JP 3960372 B2 JP3960372 B2 JP 3960372B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pile
ready
strength
diameter
hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2001318183A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003119775A (ja
JP2003119775A5 (ja
Inventor
洋一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitani Sekisan Co Ltd
Original Assignee
Mitani Sekisan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitani Sekisan Co Ltd filed Critical Mitani Sekisan Co Ltd
Priority to JP2001318183A priority Critical patent/JP3960372B2/ja
Publication of JP2003119775A publication Critical patent/JP2003119775A/ja
Publication of JP2003119775A5 publication Critical patent/JP2003119775A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3960372B2 publication Critical patent/JP3960372B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、根固め部をストレート状とし、あるいは拡底部とした杭穴内に、セメントミルクなどの硬化性材料を充填して、既製杭を埋設する基礎杭構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、既製杭を埋設する方法として、杭穴軸部の底に拡底部を形成し、該拡底部内に根固液としてのセメントミルクを、杭穴軸部内に杭周固定液としてのセメントミルクを充填し、その後既製杭を埋設し、該既製杭の先端部が拡底部内に位置するように設置するプレボーリング拡大根固め工法が用いられている。
【0003】
また、ストレート状の杭穴の下端に根固液としてのセメントミルクを、その上部に杭周固定液としてのセメントミルクを充填し、その後既製杭を埋設し、該既製杭の先端部が根固部内に位置するように設置するプレボーリング根固め工法も知られている。
【0004】
前者の工法は、支持層となり得る層に拡底部を形成し、該拡底部内に根固液を充填し、既製杭の先端を拡底部内に位置させることによって、上部構造物等による荷重応力を拡底部に伝達させ、高支持力を得られるものである。
【0005】
後者の工法も同様に、支持層となり得る層までストレート状に掘削して杭穴を形成し、該杭穴の下端部に根固液を充填し、既製杭の先端を根固部内に位置させることによって、上部構造物による荷重応力を根固部に伝達させ、支持力を得るものである。
【0006】
前記支持層となり得るためには、所定の地盤強度(例えばN値50以上)を持ち、杭の先端から一定の長さ根入れでき、かつ杭先端の下方にも数メートル十分な地盤強度を有するような層厚がなければならない。
【0007】
そのため、例えば地盤強度は基準値を超えていても、層厚が薄いため、支持層として採用できない地層があった場合は、通常の杭穴掘削として掘削され、杭周面摩擦力として寄与するものの、比較的大きな支持力化や耐引抜力化としては不充分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような、地盤強度は基準値を超えていても層厚が薄い場合や、支持層となり得る地盤強度が不足しているが、層厚は所定の厚さがある場合には、これらの層を有効に活用できなかった。
【0009】
本発明では、支持層とはなり得ない層の杭穴軸部を拡大掘削して中間拡径部を形成し、該中間拡径部にもセメントミルク等の硬化性材料を充填することによって、根固め部(支持層への根入れ部)における先端支持力、また杭全長の杭周面摩擦力に加えて中間拡径部における中間支持力を得られるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
然るにこの発明では、杭穴に中間拡径部を形成して、硬化性材料を充填して基礎杭を埋設したので、前記問題点を解決した。
【0011】
(1) 即ちこの発明は、軸部の底部に、支持層への根入り部となり得る根固め部を有する杭穴内にセメントミルク等の硬化性材料を充填し、該杭穴内に、既製杭を設置した基礎杭構造において、前記根固め部の上方で、地盤強度又は層厚が基準を満たさず支持層とはならない層に、1又は複数の中間拡径部を形成し、該中間拡径部内にもセメントミルク等の硬化性材料を充填し、前記既製杭を設置してなり、前記既製杭は、外周に複数の突起を形成し、前記中間拡径部に前記突起が位置するように、かつ前記突起は、鉛直荷重に対して該突起の下面で抵抗力Pが作用し、引抜力に対して該突起の上面で抵抗力Qが作用するように構成して、前記中間拡径部に充填する硬化性材料の強度を、前記根固め部に充填する硬化性材料の固化強度以下で、前記杭穴の軸部に充填する硬化性材料の固化強度以上として構成して、前記既製杭を埋設したことを特徴とする基礎杭構造である。
【0012】
また、前記において、中間拡径部の高さ範囲は、突起付き既製杭の1又は複数の突起を包含するような高さ範囲で、形成したことを特徴とする基礎杭構造である。
【0013】
た、突起付き既製杭の突起部を、杭穴の中間拡径部の直上又は直下の該中間拡径部の範囲外に位置させたことを特徴とする基礎杭構造である。
【0014】
(2) 前記における硬化性材料とは、セメントミルクまたはこれと同等の水硬性材料、あるいはこれらと掘削土とを攪拌混合したいわゆるソイルセメントをも含めた材料である。この固化性材料の強度は、周辺地盤強度と同等又はそれ以上の固化強度を有する材料を採用する。
【0015】
また、前記における既製杭は、構成する基礎杭構造の深さに応じて、単独の既製杭から構成する場合、複数(通常2本)本の既製杭を接合して使用することもできる。この場合、使用する既製杭は、一般的には、杭穴との間隙の硬化性材料との付着を考慮し、コンクリート系の材料からなる構造とすることが望ましいが、鋼管杭あるいは、これらを合わせた構造とすることもできる。
【0016】
また、既製杭の構造はいわゆる節杭のように外面に円環状の突起を形成した構造の既製杭を採用する。また、複数の既製杭を使用する場合、各構成する既製杭を同一の構造とするか異なる構造とするかは求める基礎杭構造に応じて適宜選択できる。
【0017】
また、突起付きの既製杭を使用した場合、突起の形状は、円環状に限らず、環状突起の一部を切り欠いた形状、独立した突起(例えば、いぼ状、板状、帯状等)であっても、突起による支圧力が発現できる強度の材料・形状であれば、可能である。また、独立した突起を使用した場合の突起の配置も自由であり、例えば、整列配置、散点状配置、螺旋状に沿った配置などが可能である。また、上部、中間部、下部で所定長さに亘って他の位置より軸径を大きく形成して突起とすることもできる。
【0018】
また、前記において、中間拡径部に充填する硬化性材料の強度を、杭穴の根固め部に充填する硬化性材料の固化強度以下で、杭穴の軸部に充填する硬化性材料の固化強度以上としたので、地盤性状に応じて、経済的面を含めて、効率良い支持力の増強を図れる。中間拡径部に充填する硬化性材料の固化強度を、杭穴軸部の杭周部に充填する硬化性材料の固化強度未満とした場合、中間拡径部が杭周部の強度より弱いため、中間拡径部に応力が集中した際に、地盤からの抵抗力によって杭周部が損傷するよりも先に中間拡径部が破壊されるおそれがある。また、根固め部に充填する硬化性材料の固化強度より強い強度とした場合、逆に根固め部が先に破壊されるおそれがあり、材料費や作業の繁雑さを考慮すると根固め部よりも強度の強い中間拡径部は無駄となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(1) この発明は、杭穴17の軸部18に中間拡径部20を形成して、杭穴17の底部に根固め部23を形成して杭穴17を掘削する。杭穴17内に、セメントミルクを注入した後、あるいは杭穴17内にセメントミルクを注入しながら、既製杭13を埋設して、セメントミルクが固化発現後、この発明の基礎杭構造30を構成する(図2(a))。従って、この発明では、杭穴17内で、既製杭13との間隙で固化したセメントミルクと既製杭13とが一体となって、杭穴17の形状で、支持力を発揮できる。
【0020】
(2) 地盤の支持層に対応する位置の杭穴17を根固め部23とし、中間支持層28の位置に対応させて、中間拡径部20を形成すれば、効率的に支持力を増強できる(図1、図2)
【0021】
(3) 例えば、中間層に支持層となるべき層厚はないが、例えばN値50以上の地盤強度を持ち合わせていた場合、その地層の深さに対応して、杭穴の中間拡径部20を形成する。この場合、中間拡径部20のソイルセメント層の強度と組合わせることによって、中間拡径部20から周辺地盤への支圧力がさらに向上し、この中間拡径部20における中間支持力と拡底部23の先端支持力によって、基礎杭構造30としての支持力が増大する。
また、支持地盤としての層厚はあるが、地盤強度が基準値を満たさない地層があった場合にも、前記した中間拡径部20のソイルセメント層の強度と組合わせることによって、中間拡径部20による周辺地盤への摩擦力が発生し、この中間支持力と拡底部23の先端支持力によって基礎杭構造30としての支持力が増大する。
【0022】
(4) 基礎杭構造30では、杭穴17の根固め部を拡底部23とし、既製杭13をストレート状の構造を採用した場合、鉛直荷重に対しては、既製杭13の下面16から斜め下方にむけて拡がるように支圧力が伝搬すると共に、杭穴17の拡底部23の底24、中間拡径部20の下面22でも同様に斜め下方に向けて拡がるように支圧力が伝搬する。従って、既製杭13の下面16、拡底部23の下面24、中間拡径部20の下面22で鉛直荷重に対する抵抗力P、Pが作用するので、総体として鉛直支持力を強化できる(図10(a))。
また、引抜力に対しては、杭周面の摩擦力だけでなく、拡底部23の上面25、中間拡径部22の上面21で、斜め上方に向けて拡がるように支圧力が伝搬する。従って、拡底部23の上面25、中間拡径部20の上面21で、引抜力に対する抵抗力Q、Qが作用するので、総体として大きな引抜力に抵抗できる(図10(a))。
【0023】
(5) 基礎杭構造30では、杭穴17の根固め部23を拡底部とし、既製杭13を外周に節部(環状突起)32を有する構造を採用した場合、ストレート状の既製杭13の場合の作用に加えて、鉛直荷重に対しては節部32の下面34で抵抗力P、Pが、引抜力に対しては節部32の上面33、33で、抵抗力Q、Q、が夫々作用して、ストレート状の既製杭13に比較してより大きな鉛直支持力、引抜抵抗力を得ることができる(図10(b)(c))。
外周に突起部を形成した既製杭を使用し、中間拡径部に突起部を位置させるに際し、各突起によるせん断支圧が互いに重ならないで十分発現できるような突起間隔を持つように既製杭を形成することが望ましい。また、必要耐力を満たす固化強度のソイルセメント層の形成された(ソイルセメント層の厚さ、幅が所要寸法で、セメントミルク濃度も所望の値で充填されている)中間拡径部に突起部を配置することにより、突起部によるせん断力を最大限に有効活用することができ、安定した高支持力が得られる。中間拡径部の拡径寸法を増減することによって、中間支持力を増減することも可能である。
即ち、従来のように、単に既製杭の表面に突起などを設け、杭の表面積を増加させ、あるいは表面の摩擦係数を増加させて、杭周面での摩擦力を増加させる手法ではなく、基礎杭の中間部で積極的に支持力を発現させるべく、所要支持力に適合して杭穴に中間拡径部を設けると共に適切な構造の既製杭を組み合わせて、基礎杭を採用したことにある。
【0024】
(6) 前記における杭穴の根固め部は、通常は、杭穴軸部に充填するセメントミルクより、固化強度が高いセメントミルクを充填して構成し、及び/または、杭穴底部を拡径して、拡大根固め部を形成することもできる。
【0025】
(7) 前記における中間拡径部は、1つあるいは2つ以上形成することができる。複数の中間拡径部を設けた場合、中間拡径部の外径は同一とすることもでき(図2(b)、図4(b)等)それぞれ異なる寸法とすることもできる。
【0026】
例えば、杭穴17の軸部18の径D、根固め部23の径D、中間拡径部20a、20bの径を上から径D2−1、D2−2、とする。また、
<D、D2−1<D2−2
とする構造(図9(a))、また、最上の中間拡径部20aから拡底部23へと下方に向けて徐々に大径となるように、
<D2−1<D2−2<D
とする構造(図9(b))、また、逆に最上の中間拡径部20aを最大径として拡径部23へと下方に向けて徐々に小径となるように、
<D<D2−2<D2−1
とする構造(図9(c))等とすることができる。
【0027】
このように、杭穴の長さ方向で中間拡径部及び/又は拡底部の径を変化させることによって、過剰な鉛直荷重や引抜力が作用した際に、ある箇所の中間拡径部が損傷した場合であっても、他の箇所の中間拡径部でカバーさせることができる。とりわけ、地盤強度が強い層に大きい径の中間拡径部及び/又は拡底部を設ければ、この中間拡径部及び/又は拡底部が地盤への抵抗体として高い効果を発揮する。
【0028】
(8) この発明の実施に使用する掘削ロッド1の掘削ヘッド2の構成は任意であるが、中間拡径部20を形成できるような掘削径を可変とすることができる構造とすることが望ましい。例えば、拡開できる拡大掘削用の掘削刃を設ける構造(図1(a)(b))、揺動する掘削アーム6、6を一側と他側の揺動方向で掘削径を変更できる構造(図3(a)(b))等を使用することができる。その他、数段階に拡開が可能な油圧を使用した掘削ヘッドを用いたり、ジェット噴射機能を有する掘削ヘッドによってジェット圧を調節して寸法の異なる掘削ヘッドを有する掘削ロッドを使用することができる(図示していない)。
【0029】
また、本発明では、プレボーリング工法だけでなく、杭中空部内に、先端に掘削ヘッドを有する掘削ロッドを挿通させて、掘削と同時に既製杭を埋設する中掘工法であっても同様に適用できる。
【0030】
【実施例1】
図1、図2に基づき、この発明の実施例を説明する。
【0031】
(1) この発明の実施に使用する掘削ロッド1は、先端に掘削ヘッド2を有し、中間部には、所定間隔毎に練付ドラム10、10、攪拌バー11、11を有し、掘削土を破砕攪拌して、杭穴壁に練付られる構成となっている。掘削ヘッド2には種々なものがあるが、本実施例では、螺旋状に形成されたヘッド本体3に、水平方向に開く拡大翼4、4が取付けられた構造の掘削ヘッド2を用いる。掘削ヘッド2は、掘削ロッド1の逆回転時に拡大翼4、4が拡開し、通常時の杭穴掘削に比べて大きな杭穴17を形成することができるようになっている(図1(a)(b))。
【0032】
(2) この施工地盤26では、深度25m以降に支持層27となるべき地盤が続いているものとし、地上から25m〜27mまで拡底部23を形成して、既製杭13の先端を26mに位置させる。また、深度19m〜22mに中間支持層28が続いているものとし、深度20m〜21mに中間拡径部20を形成するように杭穴17を構築する。
【0033】
(3) 従って、本実施例で使用する既製杭13は、
下杭14:PHC杭A種 外径600mm
杭長14mの中空円筒杭
上杭15:PRC杭B種 外径600mm
杭長10mの中空円筒杭
とし、下杭14と上杭15を溶接又は無溶接(上下杭の端板外周に、リングを複数個に分割した接続プレートを嵌合し、該プレート外面から端板にボルト締めを行う等)にて連結して使用する(図2(a))。
【0034】
(4) このようにして構成された掘削ロッド1を、杭打ち機のオーガーに取り付けると共に、杭打機を杭芯位置(杭穴掘削位置)に移動し、掘削ヘッド2を杭芯にセットし、掘削を開始する。まず、掘削ロッド1を正回転させて、掘削ヘッド2で水等を吐出しながら掘削し、掘削によって生じる掘削土を攪拌バー11、11で破砕して、練付けドラム10、10で杭穴壁に練付けながら杭穴軸部18を形成する。杭穴軸部18は、既製杭13の外径よりも若干大径の径D(例えば630mm程度)で形成する(図1(a))。
【0035】
(5) 深度20m付近まで杭穴軸部18を形成した後、掘削ロッド1を逆回転して掘削ヘッド2の拡大翼4、4を拡開させ、中間拡径部20、20を形成する。中間拡径部は、例えば径D(D=800mm程度)とし、深度21mまで、深さL(L=1m程度)形成する(図1(b))。
【0036】
(6) 中間拡径部20を形成した後、掘削ロッド1を正回転に戻し、再び深度25mまで杭穴軸部18を形成する(図1(c))。
【0037】
(7) 深度25mに到達した後、掘削ロッド1を逆回転させて支持層27内に拡底部(根固め部)23を形成する。拡底部23の形状は、例えば外径D(D=800mm)、拡底部長L(L=2m)とする(図1(d))。
【0038】
(8) 拡底部23を形成した後、掘削ヘッド2先端から吐出していた水をセメントミルクに切替え、拡底部23内に根固液(固化強度30N/mm程度)を注入して拡底部23内の掘削土と撹拌・混合し、ソイルセメント層(固化強度30N/mm以上)を形成する。
その後、掘削ロッド1を正回転に戻し、杭穴軸部18内に杭周固定液(固化強度20N/mm程度)を注入して杭穴軸部内の掘削土(泥土を含む)と撹拌・混合し、ソイルセメント層(固化強度0.5N/mm以上)を形成する。
前記杭周固定液を深度20m〜21mの中間拡径部20にも注入して、前記同様にソイルセメント層(固化強度0.5N/mm以上)を形成する(図1(e))。
ここでは杭穴軸部18と中間拡径部20とに注入するセメントミルクの強度と同等したが、地上構造物の荷重、使用する既製杭13の種類、地盤性状(地質、N値等)などによっては、中間拡径部20に注入するセメントミルクの強度を杭穴軸部18のものより大きくすることもできる。例えば根固液に用いるセメントミルクと同等とすることもできる。これによって、中間拡径部20のソイルセメント層の強度が向上し、中間拡径部20から周辺地盤への鉛直荷重による支圧力、及び引抜力による支圧力を増加させることができる。
【0039】
(9) 地上付近までソイルセメント層を形成した後、杭穴17内から掘削ロッド1を引抜き、杭打ち機から掘削ロッドを取り外す。杭打ち機のオーガーの掘削ロッドを杭保持キャップと取替えて、杭保持キャップに下杭を把持させて、沈設を開始する(図1(f))。既製杭13の埋設に際し、下杭14を杭頭部から1m程度残して沈設した状態で沈設作業を一旦停止し、下杭14の杭頭部を杭穴17の開口部付近で支持する。オーガーから下杭14を外し、オーガーに上杭15を取り付けると共に、下杭14の上部に上杭15を連結し、連結した上杭15及び下杭14の沈設を再び進行する。杭穴17の拡底部23の底(最下端)24から約1m上方に下杭14の杭先端部が位置するように下杭14を設置し、既製杭13(上杭14、下杭15)の埋設が完了する(図1(g))。以上のようにして、セメントミルクが固化発現後に、この発明の基礎杭構造30を構成する(図1(g))。
【0040】
(10)他の実施例前記実施例において、中間拡径部20は、1箇所だけ形成したが、2箇所に形成することもできる(図2(b))。この場合、周辺地盤に比べて、比較的に地盤強度が高い、深さ位置に形成すれば、より効率的に支持力を高められるので、望ましいが、地盤強度に拘わらず、適宜位置に中間拡径部20、20を形成しても支持力等を高めることができる。
【0041】
【実施例2】
図3、4に基づき、この発明の他の実施例を説明する。
【0042】
(1) この発明の実施に使用する掘削ロッド1は、先端に掘削ヘッド2を有し、中間部には、所定間隔毎に練付ドラム10、10及び攪拌バー11、11を有し、掘削土を破砕攪拌して、杭穴壁に練付られる構成となっている。掘削ヘッド2として本実施例では、先端に固定刃を有するヘッド本体3の両面に、2本の掘削アーム6、6を揺動自在に取り付けてなる掘削ヘッド2を用いる。掘削ヘッド2はヘッド本体3にストッパーが固着されており、掘削ロッド1を正回転させたとき、掘削アーム6、6が一側に杭穴軸部18の径Dに対応して小さく揺動し、掘削ロッド1を逆回転させたときは、掘削アーム6、6が他側に中間拡径部20(拡底部23)の径D、Dに対応して大きく揺動でき、掘削アーム6、6の拡開度が替えられるようになっている(図3(a)(b))。
【0043】
(2) この施工地盤26では、深度25m以降に支持層27となるべき地盤が続いているものとし、25〜27.5mまで拡底部23を形成して、既製杭13の底面(先端)16を、深さ27mに位置させる。また、深度19m〜23mに中間支持層28が続いているものとし、深度20m〜22mに、中間拡底部20を形成するように杭穴17を構築する。
【0044】
(3) 本実施例で使用する既製杭13は、
下杭14:節杭A種
軸部径600mm
節部径750mm
杭長14mの中空杭
先端から50cmの位置に第1の節部、
以後1m間隔で第2、第3の節部を有する
上杭15:SC杭(外殻鋼管付きコンクリート杭)
外径600mm
杭長10mの中空円筒杭
とし、下杭14と上杭15を溶接又は無溶接(例えば、実施例1と同様の接合構造)にて連結して使用する(図4(a))。
【0045】
(4) このようにして構成された掘削ロッド1を、杭打ち機のオーガーに取り付けると共に、杭打機を杭芯位置(杭穴掘削位置)に移動し、掘削ヘッド2を杭芯にセットし、掘削を開始する。まず、掘削ロッド1を正回転させて、掘削アーム6、6を通常掘削状態に一側に揺動させ、掘削ヘッド2の先端から水等を吐出しながら掘削し、掘削によって生じる掘削土を攪拌バー11、11で破砕して練付けドラム10、10で杭穴壁に練付けながら杭穴軸部18を形成する。杭穴軸部18は、節杭(既製杭)の節部32の外径(750mm)よりも若干大径の径D(D=780mm程度)で形成する(図3(a))。
【0046】
(5) 深度20m付近まで杭穴軸部18を形成した後、掘削ロッド1を逆回転して掘削ヘッド2の掘削アーム6、6を拡大掘削状態に揺動拡開させ、中間拡径部20を形成する。中間拡径部20は、外径D(D=1100mm)で深さL(L=2m)の範囲で形成する(図3(b))。
【0047】
(6) 中間拡径部20を形成した後、掘削ロッド1を正回転に戻し、再び深度25mまで杭穴軸部18を形成する(図1(c))。
【0048】
(7) 深度25mに到達した後、掘削ロッド1を逆回転させて支持層27内に拡底部23を形成する。拡底部23の形状は、外径D(D=1100mm)、深さL(L=2.5m)とする(図3(d))。
【0049】
(8) 拡底部23を形成した後、掘削ヘッド1の先端から吐出していた水をセメントミルクに切替え、拡底部23内に根固液(固化強度20N/mm程度)を注入して拡底部23内の掘削土と撹拌・混合し、ソイルセメント層(固化強度20N/mm以上)を形成する。
その後、掘削ロッド1を正回転に戻し、杭穴軸部18内に杭周固定液(固化強度20N/mm程度)を注入して杭穴軸部18内の掘削土(泥土を含む)と撹拌・混合し、ソイルセメント層(固化強度1.0N/mm以上)を形成する。
杭周固定液を深度20m〜22mの中間拡径部20にも注入して、同様にソイルセメント層(固化強度1.0N/mm以上)を形成する(図3(e))。
杭穴拡大部に注入するセメントミルクの強度は、上記のようにすることが望ましいが、実施例1と同様に適宜可変することもできる。
【0050】
(9) 地上付近までソイルセメント層を形成した後、杭穴17内から掘削ロッド1を引抜き、杭打ち機から掘削ロッド1を取り外す。杭打ち機のオーガーの掘削ロッドを杭保持キャップと取替えて、杭保持キャップに下杭(節杭)14を把持させて、沈設を開始する(図3(f))。下杭14を杭頭部から1m程度残して沈設した状態で沈設作業を一旦停止し、下杭14を杭穴17の開口部付近で支持する。オーガーを下杭14から外し、オーガーに上杭15を取り付けると共に、下杭14の上部に上杭15を連結し、連結した上杭15及び下杭14の沈設を再び進行する。杭穴17の拡底部23の底(最下端)24から約50cm上方に下杭14の底(先端)16が位置するように下杭14を設置し、埋設が完了する(図3(g))。以上のようにして、セメントミルクが固化発現後に、この発明の基礎杭構造30を構成する(図3(g))。
【0051】
(10) また、上記のように、杭穴17内に既製杭13を埋設した状態で、拡底部23内に下杭(節杭)14の節部32、32が配置され、また、既製杭13の下面16と拡底部23の底24との間、および拡底部23内に位置する最上の節部32と拡底部23の上面の間、に夫々間隙が形成され、セメントミルクが充填される。また、セメントミルクが充填された中間拡径部20内にも下杭14の節部32、32が位置する。
従って、杭穴拡底部23内で、既製杭13の下面16からの支圧力だけでなく、節部32下面からの斜め下方に向けた支圧力、および節部32上面からの斜め上方に向けた支圧力などの伝搬も得られる。よって、支圧力の伝播範囲が拡底部23内に拡がるため、既製杭13の下端部での鉛直及び引抜方向の支持力・抵抗力が大幅に向上する。
更に、中間拡径部20にも下杭14の節部32、32が配置されるため、前記拡底部23内における作用と同様に節部32からの支圧力が得られ、拡底部23の既製杭13の先端支持力と相俟って基礎杭構造30全体としてさらに大きな支持力を得ることができる。
【0052】
(11)他の実施例前記実施例において、中間拡径部20を杭穴17の中間部より下方に1箇所のみ設けたが、杭穴軸部18であればいずれの場所でも可能である。また中間拡径部20は、2つなど複数箇所設けることも可能である(図4(b))。
【0053】
また、前記実施例では中間拡径部を形成するにあたって、杭の突起部(ここでは節部)を包含する形状・寸法に構築したが、突起部を外して杭軸部が位置する杭穴に杭穴拡大部を形成することもできる。例えば、突起部が中間拡径部の直上又は直下に位置させれば、突起部を外して杭穴拡大部を形成した場合でも、上下の突起部間に杭穴拡大部が設けられているため、鉛直荷重に対しては、上側の突起部の下面から杭穴拡大部に支圧力が伝播し、引抜力に対しては下側の突起部の上面から杭穴拡大部に支圧力が伝播し、中間支持力として十分に機能させることができる(図4(b))。また、節部32、32が中間拡径部20の直上又は直下に位置させることが望ましいが、他の位置でも可能である(図示していない)。
【0054】
前記実施例における既製杭の突起部の形状は、支圧力の伝搬を考慮すれば、円環状とすることが望ましいが、その形状は任意である。
【0055】
【実施例3】
図5、図6に基づき、この発明の他の実施例を説明する。この実施例では、拡底部を有しないストレート状(杭穴軸部のみ)の杭穴において、既製杭の支持層への根入れ部分よりも上方の杭穴に中間拡径部を形成した基礎杭構造である。
【0056】
(1) この発明の実施に使用する掘削ロッド1は、前記実施例1と同様である。
【0057】
(2) この施工地盤26では、例えば深度25m以降に支持層となるべき地盤が続いている場合、27mまでを根固部とし、杭先端を26mに位置させる。また、杭穴の20m〜21mに中間拡径部を形成する。
【0058】
(3) 本実施例で使用する既製杭13は、実施例1と同様とする。
【0059】
(4) 実施例1と同様に、掘削ロッド1を、杭打ち機のオーガーに取り付けると共に、杭打機を杭芯位置(杭穴掘削位置)に移動し、掘削ヘッド2を杭芯にセットし、掘削を開始する。まず、掘削ロッド1を正回転させて、掘削ヘッド2で水等を吐出しながら掘削し、掘削によって生じる掘削土を攪拌バー11、11で破砕し、練付けドラム20、20で杭穴壁に練付けながら杭穴軸部18を形成する。杭穴軸部18の径Dは、杭外径よりも若干大径に(例えば630mm程度)形成する(図5(a))。
【0060】
(5) 深度20m付近までストレート状の杭穴17の軸部18を形成した後、掘削ロッド1を逆回転して掘削ヘッド1の拡大翼6、6を拡開させ、中間拡径部20を形成する。中間拡径部20の径Dは、例えば800mm程度とし、深度21mまで形成する(図5(b))。
【0061】
(6) 中間拡径部20を形成した後、掘削ロッド1を正回転に戻し、再び深度27mまでストレート状の杭穴軸部18を形成する(図5(c))。杭穴17の根固め部23は拡大しないので(根固め部23の径D=D)、そのままの径で杭穴17の底24まで掘削する。
【0062】
(7) 杭穴17を形成後、掘削ヘッド2の先端から吐出していた水をセメントミルクに切替え、深度25m〜27mの根固部内に根固液(固化強度30N/mm程度)を注入して、根固部2内の掘削土と撹拌・混合し、ソイルセメント層(固化強度30N/mm以上)を形成する。
【0063】
(8) その後、根固部23より上方の杭穴17に杭周固定液(固化強度20N/mm程度)を注入して、杭17内の掘削土(泥土を含む)と撹拌・混合し、ソイルセメント層(固化強度0.5N/mm以上)を形成する。
前記杭周固定液を深度20m〜21mの中間拡径部にも注入して、前記同様にソイルセメント層(固化強度0.5N/mm以上)を形成する。
ここでは中間拡径部20に注入するセメントミルクの強度を杭周固定液と同等としたが、中間拡径部20に注入するセメントミルクの強度を杭周固定液より大きくすることもできる。これによって、中間拡径部20のソイルセメント層の強度が向上し、中間拡径部20から周辺地盤への鉛直荷重による支圧力、及び引抜力による支圧力が増加する。また、根固部23、杭周固定部及び杭穴拡大部に注入するセメントミルクの固化強度を同一としてもよい。
【0064】
(9) 地上付近までソイルセメント層を形成した後、掘削ロッド1を引抜き、前記実施例1と同様に、ストレート状の下杭14、上杭15を順次沈設し、杭穴17の拡底部23の底部24から約1m上方に下杭14の下面16が位置するように既製杭13(上杭15、下杭14)を設置し、埋設が完了する(図5(f)(g))。以上のようにして、セメントミルクが固化発現後に、この発明の基礎杭構造30を構成する(図5(g))。
【0065】
(10)この基礎杭構造30によれば、杭の根入れ部(根固め部23の深さ範囲L。例えば杭径の約1.5倍)よりも上方の杭穴17に、すなわち杭穴17の深度方向に支持地盤としての地盤強度はあるが、層厚が薄くて支持層とはなり得ない地層、及び支持地盤としての層厚はあるが、地盤強度が基準値を満たさない地層等に中間拡径部20を設けたため、ソイルセメント層と既製杭13とが一体となった基礎杭構造30として、根固部23での先端支持力及び杭周面の摩擦力と相俟って、中間拡径部20が鉛直荷重や引抜力の抵抗体となるため、安定した支持力を得ることができる。
【0066】
(11)他の実施例前記実施例において、中間拡径部20を杭穴17の中間部下方に1箇所のみ設けたが、2箇所に設けることもでき(図6(b))、支持層への根入れ部分より上方であればいずれの場所でも、また3箇所以上の複数箇所に設けることもできる(図示していない)。
【0067】
【実施例4】
図7、図8に基づきこの発明の他の実施例について説明する。この実施例では、実施例3と同様な杭穴17を形成し、既製杭13(上杭15、下杭14)として、全長に亘り節部(突起部)32を有する節杭を使用した実施例である。
【0068】
(1) この発明の実施に使用する掘削ロッド1は、前記実施例1と同様である。
【0069】
(2) 本実施例では、地盤性状に応じて、実施例3と同様な杭穴17(杭穴の軸部D=780mm程度)を形成し、深度20m〜22mに中間拡径部20を設ける。
【0070】
(3) 本実施に使用する既製杭は、
下杭:節杭A種 軸部径600mm 節部径750mm
杭長14mの中空杭先端から50cmの位置に第1の節部を、
以後1m間隔で第2、第3の節部を有する
上杭:異形鉄筋入り節杭 軸部径600mm 節部径750mm
杭長10mの中空杭
とし、下杭14と上杭15とを溶接又は無溶接(例えば、実施例1と同様の接合構造)にて連結して既製杭13として使用する(図8(a))。尚、上杭15に使用した異形鉄筋入り節杭とは、下杭14に、曲げ強度を大きくするため異形鉄筋を埋設した構造である。
【0071】
(4) 実施例1等と同様に、掘削ロッド1を、杭打ち機のオーガーに取り付けると共に、杭打機を杭芯位置(杭穴掘削位置)に移動し、掘削ヘッド2を杭芯にセットし、掘削を開始する。まず、掘削ロッド1を正回転させて、掘削ヘッド2で水等を吐出しながら掘削し、掘削によって生じる掘削土を攪拌バー11、11で破砕して、練付けドラム10、10で杭穴壁に練付けながら杭穴軸部18を形成する。杭穴軸部18の径Dは、節杭の節部外径よりも若干大径(D=780mm程度)に形成する(図7(a))。
【0072】
(5) 深度20m付近まで杭穴軸部18を形成した後、掘削ロッド1を逆回転して掘削ヘッド2の拡大翼4、4を拡大掘削状態に拡開させ、中間拡径部20を形成する。中間拡径部20は径D(D=1100mm程度)、深度22mまで、高さL(L=2m程度)で形成する(図7(b))。
【0073】
(6) 中間拡径部20を形成した後、掘削ロッド1を正回転に戻し、再び深度27mまで杭穴軸部18を形成する(図7(c)(d))。杭穴17の根固め部23は拡大しないので(根固め部23の径D=D)、そのままの径で杭穴17の底24まで掘削する。
【0074】
(7) 杭穴17を形成後、掘削ヘッド2の先端から吐出していた水をセメントミルクに切替え、深度25m〜27mに根固め液(固化強度7.5N/mm程度)を注入して掘削土と置換する。この際、根固め液の注入の仕方は任意である。例えば、根固め液の全量を杭穴の底から注入する場合、適量を杭穴底部で注入し残量を掘削ロッド1を引き上げながら注入する場合等が可能である。
【0075】
(8) 引続き、中間拡径部20を含めて、杭穴17の根固め部23の上方に、杭周固定液(固化強度7.5N/mm程度)を注入して掘削土と撹拌・混合してソイルセメント層(固化強度0.5N/mm2以上)を形成する。
【0076】
(9) 地上付近までソイルセメント層を形成した後、掘削ロッド1を引抜き、前記実施例2と同様に、下杭14、上杭15を順次沈設し、杭穴17の拡底部の底24から約50cm上方に下杭14の下面16が位置するように下杭14を設置し、埋設が完了する(図7(f)(g))。以上のようにして、セメントミルクが固化発現後に、この発明の基礎杭構造30を構成する(図7(g))。
【0077】
(10) この基礎杭構造30によれば、中間拡径部20内に埋設した既製杭13の節部32、32が配置され、既製杭13(下杭14)の下面16からの支圧力だけでなく、節部32からの支圧効果も得られ、中間拡径部20内に位置する節部からの支圧効果も得られ、中間拡径部20内に位置する節部32、32からの支圧力の伝播範囲が中間拡径部20内に拡がるため、基礎杭構造30全体として大きな摩擦力、鉛直支持力、引抜抵抗力を得ることができる。
【0078】
(11)他の実施例ここでは中間拡径部20を杭穴17の中間部より下方に1箇所のみ設けたが、支持層への根入れ部分(根固め部23)より上方であればいずれの場所でも、また複数箇所設けることができる。
また、前記実施例における中間拡径部20と節部32、32との位置関係は、前記実施例2と同様に、他の設定とすることもできる(図8(b))。
また、前記実施例において、中間拡径部20に注入するセメントミルクの強度を杭周固定液と同等としたが、中間拡径部20に注入するセメントミルクの強度を杭周固定液より大きくすることもできる。これによって、中間拡径部20のソイルセメント層の強度が向上し、中間拡径部20から周辺地盤への鉛直荷重の支圧力及び引抜荷重の支圧力が増加する。また、根固め部23、杭周固定部及び中間拡径部20に注入するセメントミルクの強度を同一とすることもできる。
前記実施例における既製杭の突起部の形状は、支圧力の伝搬を考慮すれば、円環状とすることが望ましいが、その形状は任意である。
【0079】
(12)以上実施例1〜4を説明したが、次に、実施例1〜4が夫々適用されると最適な場合について説明する。
【0080】
(a) 実施例2及び実施例4は、地盤上層部が軟弱地盤で支持力が不足し、下層部で支持力が期待されているが、従来の基礎杭構造では総合的な支持力が不足するような場合に好適である。ここで、上部構造物の荷重が大きい場合には、実施例2が有効であり、実施例4に比べて大きい支持力が得られるため、上部構造物の1本の柱当たりの基礎杭の本数を減らすことができ、それに伴い産業廃棄物として処理される掘削残土量を削減でき、環境上も好ましい結果となる。
また、実施例2、4の場合は、根固め部での高先端支持力に対し、上部構造物や地盤にもよるが、地盤上層で水平力や曲げモーメント等が相対的に不足しがちであるため、連結杭とする場合には上杭に外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)を利用することが多い。従って、実施例2、4の基礎杭構造において、根固部の下杭にSC杭を使用し、その外側面に棒状、角状、板状の鋼材を溶接等の手段で固定させた突起付き既製杭、あるいは外殻の鋼管部を突起状に形成した突起付き既製杭を利用することにより、上下杭の杭材を同一にでき、上下杭の応力バランスが良くなり、更に、既製杭同士の連結も容易で施工性も良くなり、上部構造物からの荷重、耐震力等の要求仕様に対する地盤強度、施工性等に関し、選択範囲が広がり有効である。
【0081】
(b) 上部構造物の荷重に対して、施工地盤の地質が良く、地盤強度が比較的高い場合には、実施例1及び実施例3が有効であり、比較的良い地盤に中間拡径部を用いると効率的である。ここで、上部構造物の荷重が大きい場合には実施例1が有効であり、比較的に荷重が大きくないような場合には実施例3を用いることができる。
【0082】
【発明の効果】
杭穴の根固め部の上方に1又は複数の中間拡径部を形成し、杭穴内にセメントミルク等の硬化性材料を充填し、既製杭と一体化したため、鉛直荷重や引抜力が作用した際に、中間支持力とし中間拡径部が周面地盤への支圧力を発生し、基礎杭構造全体として支持力を向上させることができる。
【0083】
また、突起付きの既製杭を使用して、中間拡径部内に突起を位置させたり、突起を包含するように中間拡径部を形成することによって、鉛直荷重や引抜力が作用した際に、突起の上面又は下面からの支圧力が得られ、既製杭の下端面の支持力と相俟って基礎杭構造全体としてさらに大きな支持力を得ることができる。
【0084】
また、この発明は、杭穴に中間拡径部を形成して硬化性材料を充填するので、注入するセメントミルク等の硬化性材料や、形成されるソイルセメント層の固化強度を、基礎杭構造の上方に構築される構造物の荷重、使用する既製杭の種類、地盤性状(地質、N値等)などに応じて、選定することによって、より一層安定した中間支持力を得ることができる効果がある。
【0085】
また、既製杭を複数の杭で連結した杭を使用した場合、中間拡径部に上下杭の連結部を位置させれば、比較的強度が弱くなりがちな杭の連結部が杭穴の中間拡径部内のセメントミルク等の硬化性材料によって補強され、基礎杭構造の総体として、地震時等の水平力や曲げモーメントに対する耐力を増強することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(g)は、この発明の実施例1の基礎杭構造の構築工程を説明する縦断面図である。
【図2】(a)(b)は実施例1の基礎杭構造の縦断面図である。
【図3】(a)〜(g)は、この発明の実施例2の基礎杭構造の構築工程を説明する縦断面図である。
【図4】(a)(b)は実施例2の基礎杭構造の縦断面図である。
【図5】(a)〜(g)は、この発明の実施例3の基礎杭構造の構築工程を説明する縦断面図である。
【図6】(a)(b)は実施例3の基礎杭構造の縦断面図である。
【図7】(a)〜(g)は、この発明の実施例4の基礎杭構造の構築工程を説明する縦断面図である。
【図8】(a)(b)は実施例4の基礎杭構造の縦断面図である。
【図9】(a)〜(c)は、この発明の中間拡径部と根固め部の径の設定を表す縦断面図である。
【図10】この発明の基礎杭構造で、鉛直荷重に対する抵抗力、引抜力に対する抵抗力を表す図で、(a)はストレート状の既製杭を使用した場合を表し、(b)は節部を有する既製杭を使用した場合を表し、(c)は(b)の節部の拡大図である。
【符号の説明】
1 掘削ロッド
2 掘削ヘッド
10 練付ドラム
11 攪拌バー
13 既製杭
14 上杭
15 下杭
16 既製杭(下杭)の下面
17 杭穴
18 杭穴の軸部
20、20a、20b 杭穴の中間拡径部
21 中間拡径部の上面
22 中間拡径部の下面
23 杭穴の根固め部(拡底部)
24 杭穴の根固め部(拡底部)の底
25 拡底部の上面
26 地盤
27 支持層
28 中間支持層
30 基礎杭構造
32 既製杭の節部
33 節部の上面
34 節部の下面

Claims (3)

  1. 軸部の底部に、支持層への根入り部となり得る根固め部を有する杭穴内にセメントミルク等の硬化性材料を充填し、該杭穴内に、既製杭を設置した基礎杭構造において、
    前記根固め部の上方で、地盤強度又は層厚が基準を満たさず支持層とはならない層に、1又は複数の中間拡径部を形成し、該中間拡径部内にもセメントミルク等の硬化性材料を充填し、前記既製杭を設置してなり、
    前記既製杭は、外周に複数の突起を形成し、前記中間拡径部に前記突起が位置するように、かつ前記突起は、鉛直荷重に対して該突起の下面で抵抗力Pが作用し、引抜力に対して該突起の上面で抵抗力Qが作用するように構成して、
    前記中間拡径部に充填する硬化性材料の強度を、前記根固め部に充填する硬化性材料の固化強度以下で、前記杭穴の軸部に充填する硬化性材料の固化強度以上として構成して、前記既製杭を埋設したことを特徴とする基礎杭構造。
  2. 中間拡径部の高さ範囲は、突起付き既製杭の1又は複数の突起を包含するような高さ範囲で、形成したことを特徴とする請求項記載の基礎杭構造。
  3. 突起付き既製杭の突起部を、杭穴の中間拡径部の直上又は直下の該中間拡径部の範囲外に位置させたことを特徴とする請求項記載の基礎杭構造。
JP2001318183A 2001-10-16 2001-10-16 基礎杭構造 Expired - Lifetime JP3960372B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001318183A JP3960372B2 (ja) 2001-10-16 2001-10-16 基礎杭構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001318183A JP3960372B2 (ja) 2001-10-16 2001-10-16 基礎杭構造

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2003119775A JP2003119775A (ja) 2003-04-23
JP2003119775A5 JP2003119775A5 (ja) 2005-12-08
JP3960372B2 true JP3960372B2 (ja) 2007-08-15

Family

ID=19135939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001318183A Expired - Lifetime JP3960372B2 (ja) 2001-10-16 2001-10-16 基礎杭構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3960372B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102409670A (zh) * 2011-08-08 2012-04-11 浙江中淳新材料股份有限公司 基桩施工方法
CN103603341A (zh) * 2013-10-31 2014-02-26 周兆弟 废渣填充超高强桩基成形方法
CN106120706A (zh) * 2016-06-27 2016-11-16 浙大宁波理工学院科技研究院有限公司 地基加固装置和地基加固方法
CN109024557A (zh) * 2018-08-09 2018-12-18 中国兵器工业北方勘察设计研究院有限公司 一种钻孔灌注预制桩及施工方法

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5077865B2 (ja) * 2005-09-13 2012-11-21 三谷セキサン株式会社 既製杭及び基礎杭構造
JP4599511B2 (ja) * 2006-05-25 2010-12-15 三谷セキサン株式会社 基礎杭の構築方法、基礎杭の構造、基礎杭の設計方法
JP5125778B2 (ja) * 2008-06-03 2013-01-23 株式会社大林組 杭の押込抵抗力の試験方法、押込載荷試験杭
JP5471073B2 (ja) * 2009-06-26 2014-04-16 株式会社大林組 節付杭、節付杭の荷重支持方法
JP2014114600A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Kajima Corp 基礎杭施工方法
JP2014114601A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Kajima Corp 基礎杭施工方法
JP6278366B2 (ja) * 2016-09-06 2018-02-14 三谷セキサン株式会社 杭穴掘削管理方法
WO2024029070A1 (ja) * 2022-08-05 2024-02-08 Jfeシビル株式会社 人工地盤構造物

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102409670A (zh) * 2011-08-08 2012-04-11 浙江中淳新材料股份有限公司 基桩施工方法
CN102409670B (zh) * 2011-08-08 2015-12-16 中淳高科桩业股份有限公司 基桩施工方法
CN103603341A (zh) * 2013-10-31 2014-02-26 周兆弟 废渣填充超高强桩基成形方法
CN103603341B (zh) * 2013-10-31 2016-04-27 周兆弟 废渣填充超高强桩基成形方法
CN106120706A (zh) * 2016-06-27 2016-11-16 浙大宁波理工学院科技研究院有限公司 地基加固装置和地基加固方法
CN106120706B (zh) * 2016-06-27 2018-05-25 浙大宁波理工学院科技研究院有限公司 地基加固装置和地基加固方法
CN109024557A (zh) * 2018-08-09 2018-12-18 中国兵器工业北方勘察设计研究院有限公司 一种钻孔灌注预制桩及施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003119775A (ja) 2003-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5520347B2 (ja) 杭の中掘工法
JP3960372B2 (ja) 基礎杭構造
JP2002155530A (ja) 既製杭の埋設方法及び先端金具
JP4984308B2 (ja) 既製杭
JP2004270440A (ja) 基礎杭の造成方法及び既製杭
JP4154487B2 (ja) 基礎杭の構築方法、基礎杭
JP4724879B2 (ja) 基礎杭構造
JPH02289718A (ja) 拡頭くい穴掘削方法、拡頭くい構築方法及びくい穴掘削具
JP2885077B2 (ja) 既製コンクリート杭の連結杭工法
JP4724878B2 (ja) 基礎杭構造
JP4724873B2 (ja) 既製杭
JP2004308411A (ja) 大径の既製コンクリート杭基礎、既製杭の埋設方法
JP3510988B2 (ja) 鋼管杭
JP2001271347A (ja) 既製杭の沈設工法
JP2001107356A (ja) 異径組合せ杭及びその施工方法
JP5536825B2 (ja) テーパー杭の施工方法及びテーパー杭施工用ケーシング
JP2000154540A (ja) 埋込み杭、その施工方法、施工装置および埋込み杭用既成杭
JP4054903B2 (ja) 既製杭の埋設方法及び基礎杭構造並びに既製杭
JP2811038B2 (ja) 大径曲げ引張り補強体とその築造方法
JP4441774B2 (ja) 既製杭及び基礎杭構造
JP4641369B2 (ja) 部分築造ソイルセメント合成杭
JP4111261B2 (ja) 既製杭、杭基礎構造、杭基礎の構築方法
JP4706994B2 (ja) 既製杭を使用した基礎杭構造
JP2005098108A5 (ja)
JP2001182055A (ja) 芯材を挿入されたソイルセメントコラム柱体およびその築造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041012

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061107

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070410

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3960372

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100525

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110525

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120525

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120525

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130525

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130525

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250