JP2002097137A - パーキンソン病の予防および/または治療剤 - Google Patents

パーキンソン病の予防および/または治療剤

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JP2002097137A
JP2002097137A JP2001219148A JP2001219148A JP2002097137A JP 2002097137 A JP2002097137 A JP 2002097137A JP 2001219148 A JP2001219148 A JP 2001219148A JP 2001219148 A JP2001219148 A JP 2001219148A JP 2002097137 A JP2002097137 A JP 2002097137A
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Junichi Sudo
純一 須藤
Tsuneji Nagai
恒司 永井
Kimio Higashiyama
公男 東山
Kozo Takayama
幸三 高山
Hiroaki Iwase
博明 岩瀬
Katsuhiko Sumino
勝彦 角野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より低用量で治療効果を発揮させることがで
きるL−dopa誘導体を有効成分として含有するパー
キンソン病の予防および/または治療剤を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 下記式(I)で表される化合物又は生理
学的に許容されるその塩を有効成分とする、パーキンソ
ン病の予防及び/又は治療剤。 【化1】 (式中、RはHまたはC1〜16の直鎖状もしくは分
枝鎖状のアルキル基、R およびRはそれぞれ独立
に、H、C1〜16のアシル基を表す。ただし、R
、Rが同時に水素原子になることはない。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L−dopa(以
下、「レボドパ」ということがある。)の誘導体、それ
らの薬理学的に許容される塩、およびこれらを有効成分
とするパーキンソン病の予防および/または治療用剤に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、わが国においては、高齢者人口の
増加に伴って痴呆や運動障害を起こす神経変性疾患の頻
度が増加しており、これらの中でも、パーキンソン病は
最も出現頻度の高い神経変性疾患の一つである。その治
療薬としては、ベンツトロピン、ベンツヘキソール等の
ムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬、ブロモクリ
プチン、アマンタジン、レボドパ等のドパミン系に作用
する薬剤、デプレニル等のMAO阻害薬等が症状の進
行等を見ながら使用されているが、最も汎用されている
のはレボドパ(以下、「L−dopa」ともいう。)を
主に含有するものである。下記式(III)に示す構造を
有するアミノ酸誘導体であり、水溶性薬物であるレボド
パは、従来経口剤として投与されてきた。
【0003】
【化3】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アミノ酸誘導体である
レボドパの標的部位は脳であり、血液脳関門(以下、
「BBB」ということがある。)をアミノ酸輸送系を利
用して通過するが、通過量が少ないために、脳内のレボ
ドパ濃度を上げて薬効濃度とするにはL−dopaを大
量に投与することが必要となる。一方で、大量投与を行
うと、治療当初には胃症状、起立性低血圧、動悸等の副
作用が生じ、治療開始2〜3ヶ月後からはジスキネジア
や精神症状等の重篤な中枢性副作用が見られる。こうし
た副作用のために、十分な量のL−dopaを内服でき
ないケースも少なくない。
【0005】また、重症のパーキンソン病患者は、嚥下
障害や痴呆症を合併していることが多く、こうした場合
には、レボドパを経口投与することができない。このた
め、静脈内投与(点滴)が行われてきており、点滴が終
わるまでの間、注射針が留置されている部位、例えば、
腕や足を動かすことはかなり制限される。そして、重症
のパーキンソン病患者の場合は投与中の痛みやこうした
制限を嫌って点滴用の注射針やチューブを引き抜いてし
まうことが多い。したがって、やむを得ずではあるが、
長時間にわたって患者の手足を拘束した状態での投与を
行わざるを得ないという実態がある。
【0006】さらに、頻繁に点滴を行うと、皮膚が硬く
なるために点滴の部位を動かさざるを得ず、正中静脈が
確保できない場合には、手首等の細い静脈に点滴をする
ことになるが、一層時間がかかるだけでなく、患者の苦
痛も大きくなる。また、脳に送達されないレボドパは、
長期の使用中の薬効の低下や、on−off現象やwe
aring−off現象等を惹起するため、他の治療法
に切り替えざるを得ないという事態を招く。
【0007】こうした事態を招かないためにも、脳内で
不足するドパミンを外部からのレボドパを生理的濃度の
範囲内で補充でき、かつ脳内に到達しないL−dopa
の量をできる限り減少させるようなL−dopaの送達
系または誘導体が治療上必須のものとして望まれてい
る。本発明者らは、軽症の患者には使用が可能な一層型
のレボドパの経皮吸収製剤を開発し、すでに特許出願を
行った(特許公開番号2000−38338)。
【0008】しかし、重症の患者においては、より皮膚
の透過性が高く速やかに脳に送達されるレボドパの誘導
体の開発が望まれている。さらに、投与に際して、経皮
吸収を制御でき、投与量の総量を減少させることによっ
て、有害作用が発現する可能性を一層低いものとする送
達系の開発も望まれている。本発明は、上記のような状
況の下でなされたものであり、より皮膚透過性が高く速
やかに脳に送達されるレボドパ誘導体、その薬理学的に
許容される塩、およびこれらを有効成分として含有する
パーキンソン病の予防および/または治療剤を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、L−dopaの
薬理作用を維持しつつ、脂溶性を高めたL−dopaの
誘導体の開発に成功し、本発明を完成した。すなわち、
本発明は、下記式(I)
【0010】
【化4】
【0011】(式中、Rは水素原子または炭素数1〜
16の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基、Rおよ
びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜16の
直鎖状、分枝状または置換基を有してもよい環状のアシ
ル基を表す。ただし、R、R 、およびRが同時に
水素原子になることはない。)で表される、パーキンソ
ン病の予防および/または治療用化合物である。ここ
で、上記式(I)中、Rは水素原子または炭素数1〜
16の直鎖状アルキル基であり、RおよびRは水素
原子であることが好ましい。また、本発明は、上記式
(I)に記載の化合物の薬理学的に許容される塩である
ことが好ましい。
【0012】本発明は、上記の化合物または薬理学的に
許容されるそれらの塩を有効成分とするパーキンソン病
の予防および/または治療剤である。このパーキンソン
病の予防および/または治療剤は、経皮吸収製剤である
ことが好ましい。この経皮吸収製剤は、上記の化合物ま
たは薬理学的に許容されるそれらの塩と、基剤、吸収促
進剤およびその他の助剤とを含有する、一層型の経皮吸
収製剤であってもよく、上記の化合物または薬理学的に
許容されるそれらの塩を含有する主剤含有シートと、基
剤、吸収促進剤およびその他の助剤とを含有する基剤−
吸収促進剤含有シートとを含む、二層型の経皮吸収製剤
であってもよい。
【0013】二層型の経皮吸収製剤である場合には、上
記の主剤含有シートは、製剤の総重量に対して0.5〜
15重量%の主剤と、主剤を含有させるための紙または
布帛である基材とからなるものであることが好ましい。
また、上記の基剤−吸収促進剤含有シートは、炭化水
素、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、グリコール類、および脂肪油からなる群から選ばれ
る少なくとも1種以上の油脂性基剤、またはカルボキシ
ビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースおよび
マクロゴールからなる群から選ばれる少なくとも1種以
上の水溶性基剤と炭素数2〜5の多価アルコールとを含
む基剤と;
【0014】モノテルペン、ジテルペンおよびセスキテ
ルペンとからなる群から選ばれるテルペン類と、炭素数
2または3のアルコールとからなる吸収促進剤と;水
と、基剤の酸性度に応じて炭素数4〜8のジアルキルエ
タノールアミンまたは炭素数2〜8のアジピン酸ジアル
キルとを含む他の助剤と;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリエチエレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル、アセテート、ポリカーボネート、ポリビニルアル
コール、ポリメタクリル酸メチル、もしくはこれらを構
成するモノマーの共重合体、シリコーン薄膜およびポリ
ビニルピロリドン架橋物、キチン、キトサン、豚皮、お
よび人工皮膚からなる群から選ばれる素材で形成された
シートおよび布帛とからなる群から選ばれる基材と;か
らなるものであることが好ましい。
【0015】また、上記の基剤−吸収促進剤含有シート
は、製剤の総重量に対して0.5〜15重量%の水溶性
基剤と、10〜55重量%の吸収促進剤と、他の助剤を
全体を100重量%とするに必要な量で含有してなる組
成物が基材上に展延されてなるものであることが好まし
い。ここで、上記の吸収促進剤は、製剤の総重量に対し
て1〜5重量%のリモネンまたはl−メントールと、1
5〜45重量%のエタノールまたはプロパノールとから
なるものであることが好ましく、上記の他の助剤は、少
なくともプロピレングリコールと水とを含み、基剤の酸
性度(pH)に応じてジイソプロピルエタノールアミン
とアジピン酸ジイソプロピルとを含むものであることが
好ましい。本発明はまた、製剤の総重量に対して1〜1
0重量%の下記式(II)
【0016】
【化5】 (式中、Rは炭素数1〜16の直鎖状もしくは分枝鎖
状のアルキル基を表す。)で表される化合物を主剤とし
て含有する主剤含有シートと、0.5〜15重量%の油
脂性基剤または水溶性基剤と、16〜49重量%の吸収
促進剤と、26〜72.5重量%の他の助剤とを含む基
剤−吸収促進剤含有シートとを含むパーキンソン病の予
防および/または治療剤である。
【0017】ここで、上記の基剤−吸収促進剤含有シー
トは、製剤の総重量に対して5〜15重量%のヒドロキ
シプロピルセルロースおよびマクロゴールからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種以上の水溶性基剤と、前記吸
収促進剤が製剤の総重量に対して1〜4重量%のリモネ
ンまたはl−メントールと製剤の総重量に対して15〜
45重量%のエタノールとからなるものであり、他の助
剤が製剤の総重量に対して5〜15重量%のプロピレン
グリコールと44〜51重量%の水とを含んでなるもの
であることが好ましい。
【0018】または、上記の基剤−吸収促進剤含有シー
トは、製剤の総重量に対して0.5〜2重量%のカルボ
キシビニルポリマーと、前記吸収促進剤が製剤の総重量
の1〜4重量%のリモネンまたはl−メントールと製剤
の総重量の15〜45重量%のエタノールとからなるも
のであり、他の助剤がプロピレングリコールと、47〜
58重量%の水と、0.5〜2重量%のジイソプロピル
エタノールアミンと1〜4重量%のアジピン酸ジイソプ
ロピルとを含んでなるものであることが好ましい。上述
した本発明の経皮吸収製剤は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリエチエレン、ポリプロピレン、ポリ
エステル、アセテート、ポリカーボネート、ポリビニル
アルコール、ポリメタクリル酸メチル、もしくはこれら
を構成するモノマーの共重合体、シリコーン薄膜および
ポリビニルピロリドン架橋物、キチン、キトサン、豚
皮、および人工皮膚からなる群から選ばれる素材で形成
された被覆用シートをさらに含むものであることが好ま
しい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のL−dopa誘導体は、下記式(I)
【0020】
【化6】
【0021】(式中、Rは水素または炭素数1〜16
の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基、RおよびR
はそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜16の直鎖状、
分枝状または置換基を有していてもよい環状のアシル基
を表す。ただし、R、R、およびRが同時に水素
原子になることはない。)で表される、パーキンソン病
の予防および/または治療用化合物、または薬理学的に
許容されるそれらの塩である。
【0022】ここで、Rは水素または炭素数1〜16
の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基であり、炭素数
3〜14の直鎖状アルキル基であることが、この化合物
が適度な脂溶性を有することになる点で好ましく、炭素
数4〜12の直鎖状アルキル基であることがさらに好ま
しい。また、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、
炭素数1〜16のアシル基であり、具体的には、ホルミ
ル基、アセチル基、イソブチリル基、オレオイル基、ア
クリロイル基、メタクリロイル基;ベンゾイル基、トル
オイル基、シンナモイル基等のアロイル基;ナフトイル
基等を挙げることができる。
【0023】ここで、上記のアシル基は、水素原子、炭
素数1〜8のアシル基であることが、経皮吸収された誘
導体そのもの、または体内で酵素による代謝を受けて生
成される代謝物が、BBBを通過し得るものとなる点で
好ましい。また、上記のアシル基がアロイル基である場
合には、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基を1個以上有していてもよい。
【0024】本発明の化合物は、Rが炭素数4〜12
の直鎖状アルキル基であり、RおよびRが水素原子
であることがさらに好ましく、最も好ましくは、R
n−ブチル基、n−オクチル基またはn−ドデシル基で
あり、RおよびRが水素原子である。具体的には、
下記式(IV)〜(VI)で表される化合物を経皮吸収製剤
の主剤として好適に使用することができる。以下、R
がn−ブチル基である化合物(IV)をL−dopaブチ
ルエステル、Rがn−オクチル基である化合物(V)
をL−dopaオクチルエステル、そしてRがn−ド
デシル基である化合物(VI)をL−dopaドデシルエ
ステルという。
【0025】
【化7】
【0026】上記の本発明の各化合物は、ボーガンらの
方法(Vaughan, et al., J. Am. Chem. Soc. 75, 5556
−5560(1953))に従って合成することができる。具体的
には、以下の手順で合成する。まず、所定量のL−do
pa(L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)を、合成
しようとする化合物のRと炭素数が等しい無水アルコ
ール(ここで、上記アルコールの炭素数は1〜16であ
る)に懸濁する。ついで、この懸濁液を所定の濃度の塩
酸で一定時間飽和させ、その後還流下に加熱する。加熱
を終了した後に、減圧下で溶媒を留去し、析出した粗結
晶を濾別して集める。この、粗結晶を酢酸エチルから再
結晶すると、本発明の化合物を得ることができる。
【0027】本発明はまた、上述した各化合物の薬理学
的に許容される塩であり、こうした塩としては、ナトリ
ウム塩、カリウム塩等を挙げることができる。これらの
塩は、上記のようにして得たL−dopaの誘導体を、
NaOH、KOH等で処理することによって得ることが
できる。本発明のパーキンソン病の予防および/または
治療剤では、上記のようにして得た化合物または薬理学
的に許容される塩を主剤として使用することが好まし
い。このパーキンソン病の予防および/または治療剤
は、嚥下が困難な重症患者にも投与が可能で患者の負担
も少ないといった理由から、経皮吸収製剤であることが
好ましい。
【0028】経皮吸収製剤とする場合には、主剤、基
剤、吸収促進剤、および他の助剤(以下、「基剤等」と
もいう。)を混合して組成物とし、基材上に展延した一
層型のものとしてもよく、主剤をある基材に含浸させ、
基剤、吸収促進剤および他の助剤とを混合した組成物と
して別の基材上に展延した二層型のものとしてもよい。
二層型の経皮吸収製剤とすると、主剤が基剤等と分離さ
れているので、より一層安定性に優れるという利点があ
る。
【0029】(主剤)本発明のパーキンソン病の予防お
よび/または治療剤は、主剤として、上述した式(I)
の化合物または薬理学的に許容されるそれらの塩を使用
することが、薬物の脂溶性と皮膚透過性とを高める点で
好ましい。本発明の二層型製剤の主剤含有シートは、製
剤の総重量に対して0.5〜15重量%の主剤と、主剤
を含有させるための紙または布帛とからなるものである
ことが好ましい。ここで「製剤の総重量」とは、基剤等
の重量および主剤の重量の合計をいう。また、主剤の量
を基剤等の重量の約0.5〜15重量%としたのは以下
の理由による。0.5重量%未満では、投与量が少なく
なるために投与回数が多くなり、投薬の管理が難しくな
り、逆に、15重量%を超えると、投与量が多くなり過
ぎて副作用が出ること、および皮膚から吸収しきれない
主剤が無駄になることによる。
【0030】約2〜約10重量%の範囲とすることが、
投与回数を1日1回とすることができ、さらに主剤も無
駄なく吸収されるために好ましく、約5重量%とすると
最も効率が良い。また、主剤を担持する材料である「基
材」を繊維構造の粗い紙または布帛とすると、基剤等の
作用によって主剤が皮膚へ容易かつ効率良く移行する点
で好ましい。
【0031】ここで、布帛とは、織布、不織布、および
編み物を意味する。本発明の二層型経皮吸収製剤におい
て使用する布帛は、天然繊維または化学繊維のいずれで
あってもよい。天然繊維としては、例えば、綿や麻等の
植物性繊維を挙げることができ、化学繊維としては、例
えば、ビスコースレーヨン等の再生繊維、アセテート−
レーヨン等の半合成繊維、ナイロン(登録商標、デュポ
ン社)等の合成繊維が含まれる。本発明の二層型経皮吸
収製剤は、主剤を含有する主剤含有シートと、基剤等含
有シートとを含むものであり、基剤等含有シートは基剤
によって、主剤の皮膚表面への移行と皮膚から体循環へ
の吸収と移行とを促すという作用を有する。このため、
図1に示すように、適用部位に主剤含有シートをまず貼
付し、その上に基剤等含有シートを、基剤等が主剤含有
シートの基材と直接接触するように積層して使用する。
【0032】そして、本発明の主剤含有シートにおいて
使用する基材は、所定量の主剤を主剤を含浸させて担持
するために、一定以上の液体保持力を有し、かつ基剤等
含有シートからの基剤等の皮膚への移行を妨げない程度
の粗さの網目状構造を有する紙または上述した布帛であ
ることが好ましい。このような基材としては、ガーゼ、
ワイパーシート(日本キンバリークラーク(株)製)、
油漉紙(ザ・ダイソー(株)製)その他の天然繊維を原
料とする不織布等を挙げることができ、これらを使用す
ることが、主剤の担持性と基剤等の移行性とのバランス
が良いこと、およびコストの面から好ましい。
【0033】(基剤)一般に、基剤は、日本薬局方にも
あるように、油脂性基剤、乳剤性基剤、水溶性基剤に分
けられるが、このうち、軟膏および坐剤の基剤として使
用される疎水性のものを油脂性基剤といい、軟膏剤の基
剤として用いられ、極めて水に溶け易いものを水溶性基
剤という。こうした油脂性基剤としては、豚脂、牛脂、
脂肪油、炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、高級
脂肪酸エステル、グリコール類、および各種の脂肪油等
を使用することができる。具体的には、炭化水素として
は、例えば、炭素数12〜32の炭化水素が挙げられ、
種々の炭化水素の混合物である流動パラフィン、分枝状
パラフィン(商品名アイソパー)、固形パラフィン、白
色ワセリン等が挙げられる。これらのうちで、固形パラ
フィンや白色ワセリン等を使用することが好ましい。こ
れらの油脂性基剤は、通常、製剤の総重量の約60〜9
0重量%程度の配合割合で使用される。
【0034】高級アルコールとしては、例えば、炭素数
12〜30の一価の脂肪族アルコールが挙げられる。具
体的には、ラウリルアルコール、ドデシルアルコール、
ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチ
ルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシル
アルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコー
ル、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セ
リルコール、メシルアルコール等がある。これらの中で
も、セチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプ
タデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイル
アルコール等を使用することが好ましく、セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール、またはオレイルアルコー
ルを使用することが好ましい。
【0035】また、高級脂肪酸としては、例えば、炭素
数6〜32の直鎖状または分枝状の飽和または不飽和脂
肪酸が挙げられる。具体的には、例えば、カプロン酸、
エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデシル
酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタ
デシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン
酸、オレイン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、リノール
酸、リノレン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン
酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセ
ル酸、エライジン酸、ブラシジン酸等を挙げることがで
き、ミリスチン酸、オレイン酸等を使用することが好ま
しい。
【0036】高級脂肪酸エステルとしては、例えば、炭
素数10〜32の脂肪酸と炭素数14〜32の一価の脂
肪族アルコールとのエステル、炭素数10〜22の飽和
または不飽和の脂肪酸とグリセリンとのエステルおよび
これらのエステルの水素添加物等を挙げることができ
る。具体的には、パルミチン酸ミリスチル、ステアリン
酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、リグノセリン
酸セリル等の脂肪酸エステル、ラノリン、後述する各種
のろう、グリセリルラウレート、グリセリルモノミリス
チレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノ
ステアレート、グリセリルジラウレート、グリセリルジ
ミリスチレート、グリセリルジステアレート、グリセリ
ルトリラウレート、グリセリルトリミリスチレート、グ
リセリルトリステアレート等を挙げることができる。グ
リセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレー
ト、グリセリルトリステアレートを使用することが好ま
しい。
【0037】脂肪油としては、ダイズの種子から得たダ
イズ油、ヤブツバキまたはその近縁植物の種皮を除いた
種子から得たツバキ油、ナタネナの種子から得たナタネ
油、ラッカセイの種子から得たラッカセイ油、ゴマの種
子から得たゴマ油、ベニバナから得られるサフラワー油
その他の植物油、ミンク油、卵黄油、スクワラン、ヒツ
ジの毛から得た脂肪様物質を精製して得られるラノリ
ン、魚油、鯨油、および肝油その他の動物油を挙げるこ
とができる。また、上記のような脂肪油に水素を添加し
た硬化油、例えば硬化ヒマシ油等を含める場合もある。
【0038】ろうとしては、カルナウバヤシの葉から得
たカルナウバロウ、トウヨウミツバチまたはヨーロッパ
ミツバチ等のミツバチの巣から得たろうを精製したミツ
ロウ、ミツロウを漂白したサラシミツロウ等を挙げるこ
とができる。また、ミツロウと上記のような脂肪油とを
常法に従って配合すると、単軟膏となる。なお、上記の
脂肪油には、日本局方収載の植物油のほか、市販のサフ
ラワー油、オリーブ油その他の植物油および牛脂その他
の動物油が含まれる。
【0039】ワセリンは、黄色ワセリン、白色ワセリン
および親水ワセリンの3種類に分けることができる。こ
れらのうち、黄色ワセリンは、石油から得た炭化水素類
の混合物を精製したもので、エタノールに溶けにくく、
水にはほとんど溶けず、エーテル、石油ベンジンまたは
テレビン油に透明またはわずかに不溶分を残して溶け
る。白色ワセリンは、石油から得た炭化水素類の混合物
を精製したもので、ほとんどすべての薬物と変化なく配
合し得るので、種々の軟膏基剤、化粧品基剤として広く
用いられる。また、親水ワセリンは、日本薬局方の記載
に従ってサラシミツロウとステアリルアルコールとコレ
ステロールと白色ワセリンとを配合して調製することが
できる。日本薬局方の記載に従ってサラシミツロウとセ
スキオレイン酸ソルビタンと白色ワセリンを配合する
と、白色軟膏となる。
【0040】油脂性基剤を用いた軟膏の硬度を上げるた
めには、石油から得た固形の炭化水素類混合物であるパ
ラフィンや石油から得た液状の炭化水素類の混合物であ
る流動パラフィン等を添加すればよい。また、水溶性基
剤としては、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプ
ロピルセルロース(以下、「HPC」ともいう。)、マ
クロゴール、メチルセルロース等を挙げることができ、
使用感がよいことから、カルボキシビニルポリマー、H
PC、マクロゴールを好適に使用することができる。こ
うした基剤用化合物は、単独で使用してもよく、2種以
上を適宜選択し組み合わせて使用してもよい。こうした
基剤は、軟膏の保存性その他の製剤としての性質を決定
付けるものでもある。
【0041】カルボキシビニルポリマーは、カルボキシ
ル基をもった水溶性のビニルポリマーであり、アクリル
酸を主として、これらに少量のショ糖等を配した共重合
体である。B. F. グッドリッチケミカル社(B. F. Go
odrich Chemical Co., Cleveland, Ohio, USA)によっ
て開発され、濃化、分散および乳化剤として、934、
940、および941の3つのグレードのものが市販さ
れている。分子量は、934および940が2,000
〜3,000,000、941が1,000,000〜
1,500,000である。ハイビスワコー(和光純薬
工業(株)製)の商品名でも市販されている。
【0042】カルボキシビニルポリマーは、高純度、均
一な品質が医薬品、医薬部外品または化粧品(以下、
「医薬品等」ということがある。)の製造に良好な再現
性を与えること、流動性を失わずに、高度の増粘(濃
化)を示すこと、10〜70℃の温度範囲では温度の変
化によって粘稠度が殆ど変わらないこと、エタノールお
よびグリセリンに対して親和性が良いこと、バクテリア
等による生物学的分解を受けにくいこと、適当な中和剤
が用いられた場合には、広いpH範囲でゲル安定性を示
すこと、そして多くの医薬品等に用いられる原材料との
親和性が高いといった特性を有する。マクロゴールは、
酸化エチレンと水との重合体であり、下記式(VII)
【0043】
【化8】
【0044】で表される、ポリエチレングリコールの総
称である。ポリエチエレングリコール400、150
0、4000、6000および20000が日本薬局方
に収載されている。これらはいずれも、水、エタノー
ル、有機溶剤に溶けやすく、400は軟膏、錠剤の基
剤、乳化剤として、1500も医薬品等の基剤として用
いられ、4000は固形化化粧品の可塑剤または医薬品
等の軟膏基剤として用いられている。マクロゴール40
00と400とを半量ずつ加えて製造したものはマクロ
ゴール軟膏と呼ばれ、水溶性の軟膏基剤として用いられ
ている。
【0045】HPCは、木材パルプまたはリンターパル
プからアルカリセルロースを得て、酸化プロピレンを作
用させて粗製HPCとし、弱残により中和した後、熱湯
でゲル化精製し、乾燥、粉砕して得られる。HPCは構
造中に親水基と親油基とをもち、非イオン性であるた
め、塩類や酸、アルカリにも安定である。水、メタノー
ル、エタノール、またはイソプロパノールを加えると、
粘性の液となる。適度の界面活性があり、プロピレング
リコール等との相溶性に優れるため、ローション、クリ
ーム等に用いられる。上記の基剤のうち、カルボキシビ
ニルポリマーを使用すると、一定の幅の分子量の化合物
が選択できることから、軟膏基剤となる組成物の特性を
一定にしやすいという利点がある。
【0046】また、カルボキシビニルポリマーを使用す
る場合には、多量に使用すると軟膏が酸性となって皮膚
刺激性が出てくるため、使用量をヒドロゲル重量に対し
て約0.5〜約2重量%とすることが好ましい。なお、
HPC等の中性のものを使用する場合には、中和剤は不
要であるが、酸性の水溶性高分子基剤を使用した場合に
は、皮膚への刺激性を極力低減させるために、後述する
中和剤を他の助剤として添加することが好ましい。中性
の水溶性高分子基剤は、ヒドロゲル重量に対して5〜1
5重量%の量で使用することが好ましい。5重量%未満
では水溶性高分子で形成されるヒドロゲルの硬度が低下
して柔らかくなりすぎ、15重量%を超えると硬くなり
すぎて塗布しにくくなるからである。約10重量%とす
るともっとも使用感が良い。
【0047】本発明においては、上述した油脂性基剤ま
たは水溶性基剤に、炭素数2〜5の多価アルコールを加
えたものを基剤として使用する。こうした炭素数2〜5
の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等
の3価のアルコール等を例示することができる。これら
の多価アルコールは、単独で使用してもよく、2種以上
を適宜組み合わせて使用してもよいが、プロピレングリ
コールを使用することが好ましい。プロピレングリコー
ルは、無色透明な粘稠性の液体で、医薬品に多く用いら
れる有機薬品、水溶性ビタミン類、色素、香料等をよく
溶かし、湿潤性がありながらも、殺菌性もある。また、
医薬品等に配合するとねばっこさを残さずに皮膚を柔ら
げ、展性や貼着性を良くするため、軟膏基剤として好適
に使用することができることによる。
【0048】(吸収促進剤)吸収促進剤は、皮膚からの
主剤の吸収を高めるものをいう。本発明の製剤におい
て、上述したような主剤と油脂性の基剤との組み合わせ
を用いる場合には、通常、経皮吸収製剤に使用されるも
のを使用することができる。例えば、尿素、チオ尿素等
の尿素類、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリド
ン、5−メチル−2−ピロリドン、1,5−ジメチルピロ
リドン等のピロリドン誘導体、ミリスチン酸メチル、ミ
リスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミ
チン酸イソプロピル、カプリン酸イソプロピル、カプロ
ン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル、l−メントー
ル、ローズマリー油、カルダモン油、バジル油、ユーカ
リ油、スペアミント油、ラベンダー油、イランイラン
油、サンダルウッド油等に代表される、モノ、セスキ、
またはジテルペン等のテルペンを含有する精油類、エイ
ゾンおよびその類縁体、シクロデキストリン、並びにチ
オグリコール酸カルシウム等を挙げることができる。主
剤と油脂性基剤との皮膚透過性と、これらとの相溶性等
を勘案して適宜選択すればよい。
【0049】また、水溶性の主剤と水溶性基剤との組み
合わせを使用する場合には、上述のテルペンと、炭素数
2または3のアルコールとからなるものを使用すること
が主剤の経皮吸収を適度に高める点で好ましい。炭素数
10のテルペン化合物の集合であるモノテルペンとして
は、例えば、ミルセン、リモネン、カンフェン等の炭化
水素類、シトロネロール、ゲラニオール、メントール等
のアルコール類、シトラール、ペリアルデヒド等のアル
デヒド類、メントン、ヨノン等のケトン類、およびシネ
オール等が挙げられる。また、炭素数15のテルペン化
合物の集合であるセスキテルペンとしては、ビサボレ
ン、ジンギベレン等の炭化水素類、ファルネソール、オ
イデスモール、セドロール等のアルコール類、シベロン
等のケトン類、その他ヒノキ酸等を挙げることができ
る。
【0050】炭素数20のテルペン化合物の集合である
ジテルペンとしては、レチノール、フィトール、等のア
ルコール類、その他アビエチン酸、ピマル酸、マノイル
オキシド等を挙げることができる。上述の主剤と油脂性
の基剤とを組み合わせた場合には、必要に応じて、例え
ば、l−メントール、ローズマリー油、サンダルウッド
油等と、炭素数2または3のアルコールを組み合わせて
使用することが好ましい。具体的には、エタノールとl
−メントール、1,3−ブチレングリコールとl−メント
ール、エタノールとl−メントールとローズマリー油、
エタノールとl−メントールとラベンダー油、エタノー
ルとl−メントールとサンダルウッド油等を好適に使用
することができる。なお、油脂性基剤の皮膚透過性に応
じて、吸収促進剤を添加するか否かを判断すればよい。
【0051】また、水溶性基剤と組み合わせた場合に
は、炭素数2または3のアルコールとd−リモネンまた
はl−メントールとを組み合わせて使用することが好ま
しい。これらを使用すると、主剤の吸収促進効果が高く
なること、また、清涼感があるため患者が使用するに際
しても受け入れやすいという利点がある。上記のような
テルペン類の量は、製剤の総重量に対して、約1〜約5
重量%とすることが吸収促進効果の面で好ましい。約1
重量%未満では、主剤の吸収促進効果および清涼感とも
に不充分であり、約5重量%を超えると皮膚に対して刺
激性が出てくることによる。約1〜約3重量%とするこ
とが好ましく、約2重量%とすることが、主剤の吸収増
強効果と十分な清涼感が得られるという点でさらに好ま
しい。
【0052】また、ここで使用する炭素数2または3の
アルコールとしては、エタノール、n−プロパノール、
イソプロパノール等を挙げることができるが、吸収促進
作用の面からエタノールが好ましく、組成物の総重量に
対して5〜59重量%の量で使用することができる。エ
タノール濃度が5重量%未満では主剤の吸収が不充分で
あり、59重量%を超えると皮膚に対して非常に大きな
ダメージを与える。したがって、エタノール濃度は10
〜50重量%とすることが好ましく、皮膚からの主剤の
吸収率の上からは約20〜約40重量%とすることがさ
らに好ましい。
【0053】本発明の製剤において、上述のテルペンと
エタノールとを組み合わせて使用する場合には、製剤中
に配合するそれらの量は、以下のようにして決定する。
ここでは、エタノールとl−メントールの組み合わせを
例にとって説明する。具体的には、ある濃度のエタノー
ルとl−メントールとの組み合わせを用いて、分配パラ
メータであるK’値の上昇を観察する。まず、ある濃度
のエタノールとl−メントールとの組み合わせを選択し
て、そのK’値を測定する。ついで、エタノールの濃度
を高めていくとK’値は上昇していくが、ある濃度を超
えるとK’値は上昇しなくなる。このことに基づいて、
K’値の上昇が見られた組み合わせの中から、レボドパ
のドナー溶液から皮膚への分配率を考慮して、エタノー
ル濃度とテルペン濃度の組み合わせを選択する。
【0054】例えば、20重量%エタノールと1〜5重
量%のl−メントールとの混合液、40重量%エタノー
ルと1〜5重量%のl−メントール、50重量%のエタ
ノールと1〜5重量%のl−メントールの混合液という
組み合わせを比較したときに、20重量%のエタノール
と1〜5重量%のl−メントールの組み合わせで得られ
たK’値よりも、40重量%のエタノールと1〜5重量
%のl−メントールの組み合わせで得られたK’値が高
くなっていたが、50重量%のエタノールとの組み合わ
せではK’値に上昇が見られなかったとする。この場合
には、40重量%以下のエタノールと1〜5重量%のl
−メントールとの組み合わせが好ましいということにな
る。
【0055】本発明において使用する助剤は、上述よう
に、酸性の水溶性基剤を用いた場合にはその中和に使用
する中和剤と水とからなる。例えば、上述のカルボキシ
ビニルポリマーを使用した場合には、助剤は、炭素数4
〜8のジアルキルエタノールアミンおよび炭素数2〜8
のアジピン酸ジアルキルからなる群から選ばれる、少な
くとも1種以上の化合物と水とを含むことが好ましい。
炭素数4〜8のジアルキルエタノールアミンとしては、
ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミ
ン、ジイソプロピルエタノールアミン、ジブチルエタノ
ールアミン、ジイソブチルエタノールアミン等を例示す
ることができる。
【0056】また、炭素数2〜8のアジピン酸ジアルキ
ルとしては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ
ブチル等を例示することができる。上記の化合物は、ジ
イソプロピルエタノールアミンを約0.5〜約2重量
%、アジピン酸ジイソプロピルを約1〜約4重量%とし
て使用することが、カルボキシビニルポリマーの酸性を
中和すること、および使用感が良く、肌になめらかであ
ることから好ましい。さらに好ましくは、ジイソプロピ
ルエタノールアミンを約1重量%、アジピン酸ジイソプ
ロピルを約2重量%で使用する。
【0057】本発明の二層型経皮吸収製剤の基剤等含有
シートでは、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リエチエレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテ
ート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリ
メタクリル酸メチル、またはこれらを構成するモノマー
の共重合体、シリコーン薄膜およびポリビニルピロリド
ン架橋物、キチン、キトサン、豚皮、および人工皮膚か
らなる群から選ばれる素材で形成されたシート、および
上述した布帛等を、ヒドロゲルを担持する基材として使
用することができる。具体的には、クリアテープ(タイ
プCR−4:住友3M(株)製)等を挙げることができ
る。基材として布帛を用いた場合には、後述する被覆用
シートで基剤等含有シートを被覆すると基剤等の乾燥を
防止することができる。また、クリアテープ等のプラス
チックフィルムをヒドロゲル含有シートの基材とする
と、こうした基材が被覆用シートを兼ねることができ
る。
【0058】本発明の製剤は、主剤含有シート中に製剤
の総重量に対して約0.5〜10重量%の主剤を含み、
基剤等含有シート中に0.5〜25重量%の基剤、10
〜55重量%の吸収促進剤、および他の助剤を全体を1
00重量%とするに足る量含有してなるものである。こ
こで、基剤、吸収促進剤、主剤、および他の助剤は上述
した通りである。まず、基剤等含有シートの作製を、基
剤として水溶性基剤(カルボキシビニルポリマー)を、
吸収促進剤としてl−メントールとエタノールとを使用
して行う場合を例にとって説明する。
【0059】水溶性基剤を用いた場合には、基剤等含有
シートはヒドロゲル等含有シートとなる。ここで上述し
た基材上に展延するヒドロゲルは、ヒドロゲル重量の
0.5〜15重量%の水溶性基剤と、10〜45重量%
の皮膚吸収増強剤と、残部を加えて100重量%となる
量の他の助剤とからなるものである。まず、所定量のカ
ルボキシビニルポリマーを所定量の蒸留水と混和し、一
昼夜放置する。水分を吸収してゲル状となったら、適量
のプロピレングリコールとジイソプロピルエタノールア
ミンとアジピン酸ジイソプロピルとを混和する。
【0060】吸収促進剤として、所定量のl−メントー
ルを含むエタノールをここに加えて混和し、ついで水を
加えて再度混和して表示量となるようにする。こうして
得られた基剤等を上述した基材上に展延して、ヒドロゲ
ル含有シートを作製する。なお、ヒドロゲル含有シート
の基材は、主剤の吸収を効率よく行うために、主剤含有
シートよりも一回り大きくしておくことが好ましい。
【0061】次に、主剤含有シートを、主剤としてL−
dopaブチルエステルを使用して作製する場合を例に
とって説明する。所定量のL−dopaブチルエステル
をエタノールに溶解し、この溶解液の一定量を容器にと
って、上記の主剤含有シート用の基材にこの液を含浸さ
せる。主剤を含浸させた基材を減圧下に置き、溶媒を留
去して乾燥させ、主剤含有シートとする。上記のヒドロ
ゲル含有シートと主剤含有シートとは、使用まで別々に
遮光して保存する。
【0062】なお、本発明の二層型経皮吸収製剤は、被
覆用シートをさらに含んでもよい。この被覆用シート
は、ヒドロゲル成分の揮発を防ぐために使用するもので
あるから、上述した主剤含有シートとヒドロゲル含有シ
ートとを完全にカバーする大きさを有し、保湿性が高い
ものであることが好ましいが、こうした性質を備えるも
のであれば特に限定されない。水分を通さない素材でで
きているものであることがさらに好ましい。また、被覆
用シートは、その周囲を皮膚に接触させて使用するもの
であるため、皮膚に対する刺激性の少ない粘着剤を塗布
したものであることが好ましい。また、空気は通すが、
水分を通さない素材からなるものであることが好まし
い。
【0063】被覆用シートの厚みは特に限定されない
が、臨床で使用する場合には、追従性の良さと適用部位
の拡大を考慮して、薄く、伸縮性のよいものであること
が好ましい。紙および布帛を除いて上述した基材を被覆
用シートとして使用することができ、さらに、ゴアテッ
クス(登録商標、ジャパンゴアテックス(株))、エン
トラント(登録商標、東レ(株)、シンパテックス(登
録商標、Sympatex Technologies GmbH)等も好適に使用
することができる。
【0064】上記のような素材で製造されたシートは、
その片面に皮膚への刺激性の少ない粘着剤等、例えば、
アクリル系粘着剤、を塗布したものであることが好まし
い。なお、上述したヒドロゲル含有シートは、後述する
ヒドロゲルを担持し、このヒドロゲルによって主剤の皮
膚への移行を確保するという役割を有するが、上記の被
覆用シートの上にヒドロゲル層を形成して、ヒドロゲル
含有シートとすることもできる。被覆用シートの上にヒ
ドロゲル層を形成した場合には、上述した被覆用シート
上に、後述するヒドロゲルを均一に展延すればよい。
【0065】以上のようにして作製した本発明の二層型
経皮吸収製剤のうち、最初に主剤含有シートを図1に示
すように患者の適用部位に貼付する。その上にヒドロゲ
ル含有シートを、ヒドロゲルが主剤含有シートの基材と
直接接触するように重ねる。この場合に、ヒドロゲル含
有シートの基材として上述の被覆用シートの基材として
も使用できる基材を使用した場合には、これら二つの層
を重ねればよい。被覆用シート基材を使用しなかった場
合には、これら二層の上に、これらを完全に覆うことの
できる大きさの被覆用シートを重ねて使用することによ
り、経皮吸収効果を一層高めることができる。なお、本
発明の二層型経皮吸収製剤は、基材の大きさを適宜変更
することができるとともに、主剤の含有量も適宜調節す
ることができるので、適用部位は特に限定されない。例
えば、腕、掌、脚、足、背中、首等、任意の部位に貼付
することができる。
【0066】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが本発明は、これらの実施例に何ら限定され
るものではない。 (実施例1)実験動物および試薬 (1)実験動物 体重300±10gのウィスター系雄性ラット(埼玉実
験動物(株))を普通ケージで馴化飼育し、試験前は、
水および標準固形飼料(CE−2、日本クレア(株))
を自由摂取させた。薬物投与群および対象群ともに1群
7匹で使用した。
【0067】(2)試薬 HPC−H(ヒドロキシプロピルセルロース)、o,o'-
ビス(2-アミノエチル)エチレングリコール-N,N,N',N'
-四酢酸(o,o'-bis(2-aminoethyl)ethyleneglycol-N,N,
N',N'-tetraacetic acid、以下、「EGTA」と略すこ
とがある。)およびハイビスワコー105、還元型グル
タチオン(以下、「GSH」と略す。)、ジイソプロピ
ルエタノールアミン、アジピン酸ジイソプロピル、d−
リモネンおよびl−メントール、エタノール、アセトニ
トリル、酢酸エチル、塩酸、過塩素酸、無水1−ブタノ
ール、無水1−オクタノール、無水1−ドデカノール、
1−オクタンスルホン酸、塩化ナトリウム、水酸化アン
モニウム、エチレンジアミン四酢酸2ナトリウム(以
下、「EDTA−2Na」と略すことがある。)、リン
酸二水素ナトリウム、トリスヒドロキシアンモニアアミ
ノメタン(以下、「Tris」または「トリス」と略す
ことがある。)、テトラメチルシラン(以下、「TM
S」と略すことがある。)は、いずれも和光純薬工業
(株)より購入した。
【0068】レボドパ(L-3,4-ジヒドロキシフェニルア
ラニン)、ドパミン、ノルエピネフリン、エピネフリ
ン、およびプロピレングリコールは、いずれもシグマ
(Sigma)社より購入した。また、カルボキシビニ
ルポリマー(934、B. F. Goodrich Chemical Co., C
leveland, Ohio, USA)、ワイパーシート(タイプCR
−4、日本キンバリークラーク(株)製)は以上のもの
を使用した。また、α−クロラロース、ウレタン、およ
びジヒドロキシベンジルアミン(以下、「DHBA」と
略すことがある。)はシグマ社より購入した。重水素化
メタノール、重水素化クロロホルムは関東化学(株)よ
り購入した。精製水は大塚製薬(株)より、アルミナ粒
子は和光純薬工業(株)より購入した。
【0069】(実施例2)L−dopaアルキルエステ
ルの合成および物性検討 (1)L−dopaブチルエステルの合成 L−dopaブチルエステルは、ボーガンらの方法(Va
ughan, J. R. Jr., Joyce, A. E., J. Am. Chem. Soc.,
75, 5556−5560(1953) )に従って、以下のように合成
した。まず、7.9gのL−dopaを120mLの無
水1−ブタノールに懸濁した。懸濁液を1時間塩酸で飽
和させ、還流下に1時間加熱した。懸濁液中の溶媒を減
圧下に留去した。油状の残渣を300mLの水に溶解
し、水酸化アンモニウム水溶液で塩基性化した。無色の
結晶が析出するまでこの溶液を静置し、析出した結晶を
濾別して集めた。集めた結晶を酢酸エチルから再結晶さ
せ、以下の条件でNMRで純度を測定したところ、結晶
の純度は99%以上であった。
【0070】<NMRの測定条件>ラムダ270(JN
M−LA270(日本電子(株)製))を用いて、室温
にて測定した。溶媒としては、重水素メタノールを2%
含有する重水素化クロロホルムを使用し、内部標準物質
にはTMSを用いた。得られたL−dopaブチルエス
テルの化学式(IV)を以下に示す。
【0071】
【化9】
【0072】(2)L−dopaオクチルエステルおよ
びドデシルエステルの合成 L−dopaブチルエステルの合成の際に使用した無水
1−ブタノールを、無水1−オクタノールまたは無水1
−ドデカノールに代えた以外は、L−dopaブチルエ
ステルの合成と同様にして、L−dopaオクチルエス
テルおよびL−dopaドデシルエステルを合成した。
得られたこれらのエステルの純度は、NMRで測定した
ときに、いずれも99%以上であった。NMRの測定条
件もL−dopaブチルエステルの測定と同じとした。
得られたL−dopaオクチルエステルおよびドデシル
エステルの化学式(VおよびVI)を以下に示す。
【0073】
【化10】
【0074】(3)L−dopaブチルエステル、オク
チルエステルおよびドデシルエステルの物性値の測定 上記のようにして得られた各L−dopaエステルの分
子量、“log P”および融点を表1に示す。“lo
g P”はオクタノール/水間の分配係数の対数値に相
当するが、クリッペンのフラグメンテーション法(Cripp
en's fragmentation : J. Chem. Inf. Comput. Sci., 2
7, 21(1987))により求めた。融点は、柳本(株)製の柳
本微量融点測定装置(Yanagimoto Micro Melting Point
Apparatus)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】表1に示したように、いずれのエステルも
“log P”が高く、脂溶性が高いことが明らかにな
った。また、これらの化合物はいずれもエタノールに可
溶であった。
【0077】(実施例3)吸収促進剤の検討 (1)吸収促進剤の組成の検討 皮膚吸収促進剤として最適なアルコール濃度を選択する
ために、主剤をL−dopaとした一層型の経皮吸収型
ヒドロゲルを下記のように調製し、基材上に1gずつ展
延した。L−dopa、カルボキシビニルポリマー、プ
ロピレングリコール、ジイソプロピルエタノールアミ
ン、アジピン酸ジイソプロピル、d−リモネンおよびl
−メントール、エタノール、蒸留水は上述したものを使
用した。
【0078】1gのカルボキシビニルポリマーを約30
mLの蒸留水と混和し、一昼夜放置し、水分を吸収して
ゲル状となったところで、10gのプロピレングリコー
ルと1gのジイソプロピルエタノールアミン、2gのア
ジピン酸ジイソプロピルとをここに混和した。以下の
〜のいずれかの組成の吸収促進剤をこれらに添加して
混和した。なお、〜に示す濃度はいずれも終濃度で
ある。
【0079】2重量%のl−メントールを含む10重量
%のエタノール溶液 2重量%のl−メントールを含む20重量%のエタノー
ル溶液 2重量%のl−メントールを含む30重量%のエタノー
ル溶液 2重量%のl−メントールを含む40重量%のエタノ
ール溶液 2重量%のd−リモネンを含む10重量%のエタノー
ル溶液 2重量%のd−リモネンを含む20重量%のエタノー
ル溶液 2重量%のd−リモネンを含む30重量%のエタノー
ル溶液 2重量%のd−リモネンを含む40重量%のエタノー
ル溶液 また、このデータを下記数式(1)〜(3)に従って処
理し、パラメータ解析を行った。
【0080】
【数1】
【0081】 D’=D/L …(2) K’=KL …(3)
【0082】数式(1)〜(3)中、Dは拡散定数、L
は膜の有効拡散長、Kは膜とドナー相との間の透過物の
分配係数、Qは時刻tにおいてレシーバー液中に存在
する透過物の蓄積量、Aは適量範囲、Cはドナー相中
のL−dopaの溶解度をそれぞれ表す。得られたL−
dopaの拡散係数と分配パラメータに対するドナー液
の影響を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】図2に示すように、経時変化を調べたとこ
ろ、40%のエタノールを含有する場合に、L−dop
aの皮膚透過量が大幅に高くなっていることが明らかに
なった。また、エタノール濃度が上がるにつれてレシー
バーセル中に蓄積されたL−dopa濃度は高くなるこ
とが判明した。また、一方、表2に示すK’値を比較す
ると、20%エタノールとl−メントールを組み合わせ
た場合には、後者のK’値が大きく向上していた。これ
に対し、40%エタノールと2%l−メントールとを組
み合わせた場合には、上記20%エタノールの場合と比
べて、K’の値はわずかに上昇したにすぎなかった。以
上より、皮膚吸収増強剤中のエタノール濃度の上限は4
0%とすることが好ましいと考えられた。このため、以
下の実験で使用するエタノール濃度は40重量%に設定
した。
【0085】(2)in vitroにおける吸収促進剤の効果
の検討 上記実施例2(1)で調製した吸収促進剤を使用した場
合の効果を、in vitroにおけるL−dopaの透過量を
指標として以下のように測定した。ラットの腹部の毛を
電気バリカンで刈り、毛を刈った部分の皮膚全厚を摘出
し、透過膜として使用した。ウォータージャケットを備
えた2チャンバー拡散セル(有効拡散面積0.785c
、各半セル体積3.0mL)を使用した。水、20
%(V/V)のエタノールと2%(W/V)のl−メン
トールを含む水溶液、40%(V/V)のエタノールと
2%(W/V)のl−メントールを含む水溶液にL−d
opaを過剰量で懸濁し、ドナーセル中に上記3種類の
液を入れ、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)でレシ
ーバーセルを満たした。いずれのセルも40℃に暖め、
マグネチックスターラーでセル中の懸濁液を攪拌した。
【0086】L−dopa懸濁液をドナーセルに入れた
後、0分、30分、60分、180分の時点で、レシー
バーセルから0.5mLずつ分析用試料を抜き取り、抜
き出す度に等容のリン酸緩衝生理食塩水をレシーバーセ
ルに加えた。抜き取った各試料を、検出器としてECD
を使用するHPLCで分析し、レシーバーセル中のL−
dopa濃度を定量した。
【0087】<HPLC条件> カラム:Mightysil RP−18(粒子径5μ
m、内径4mm×250mm、関東化学(株)) 移動相:12%アセトニトリル−10mM NaH
/0.01mM EDTA(pH3.1) 流速:1.0mL/分 カラム温度:40℃ 検出器:ECD、+0.7V
【0088】(実施例4)in vitroにおけるL−dop
aブチルエステルの皮膚透過性の検討(1)試料および
方法 in vitroにおけるL−dopaブチルエステルの皮膚透
過性は、先にオハラらが報告した方法によって行った
(Ohara, N., Takayama, K., Machida, Y and Nagai,
T. Int. J. Pharm. 105, 31-38: 1994)。すなわち、ラ
ットの腹部をあらかじめ電気バリカンで毛刈りし、その
部分の皮膚を全厚で切り出した。この切り出した皮膚を
透過膜とし、ウォータージャケット付きの2−チャンバ
ー拡散セル(有効拡散面積0.785cm;各半セル
体積3mL)を使用した。L−dopaブチルエステル
を、表3に示す溶液に過剰量で懸濁した(6.42g/
dL:L−dopa当量として5.00g/dL)。
【0089】
【表3】
【0090】これら3種類の溶液に懸濁したL−dop
aブチルエステルをドナーセル中に入れ、レシーバーセ
ルをリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)で満たした。
両方のセルを40℃に暖め、マグネチックスターラーで
攪拌した。L−dopaブチルエステルの懸濁液をセル
に入れ、0分(投入前)、30分、60分、120分お
よび180分の時点でレシーバーセルから1mLの液を
抜き取った。その後、等容のリン酸緩衝生理食塩水をレ
シーバーセルに補充した。L−dopaブチルエステル
のデータと比較するために、L−dopaを過剰量
(5.00g/dL)で40%エタノールと2%l−メ
ントールを含有する溶液に懸濁し、上記と同じ時点でレ
シーバーセルから1mLの液を抜き取り、等容のリン酸
緩衝生理食塩水をレシーバーセルに補充した。以上のよ
うにして試料を集めた。
【0091】(2)試料の分析 上記(1)で集めた試料を、L−dopaの定量用には
過塩素酸で除タンパクおよび希釈を行い(過塩素酸の最
終濃度=0.2M)、また、L−dopaブチルエステ
ルの定量用にはメタノールで除タンパクおよび希釈を行
った。10,000×gで10分間、4℃にて遠心した
後に、上清を以下のHPLC条件で分析した。 <L−dopaブチルエステル分析用HPLC条件> カラム:Mightysil RP−18(粒子径5μ
m、内径4mm×250mm、関東化学(株)) 移動相:12%アセトニトリル−10mmol/L N
aHPO/0.01mmol/L EDTA(pH
3.1) 流速:1.0mL/分 カラム温度:40℃ 検出器:+0.4V このHPLC系におけるL−dopaブチルエステル標
品の保持時間は22.2分であった。
【0092】<L−dopa分析用HPLC条件> カラム:Wakosil II 5C18HG(粒径5
μm、4.6mm×25cm、和光純薬工業(株)) 移動相:100mmol/L NaHPO―0.0
1mmol/L EDTA−2Na―100mg/L
1−オクタンスルホン酸(関東化学(株)製)(pH
3.5) 流速:1.0mL/分 カラム温度:40℃ ECD電圧:+0.7V サンプル注入量:100μL
【0093】(3)結果 皮膚を透過してレシーバーセル中に移行したL−dop
aブチルエステルの蓄積量とL−dopaブチルエステ
ルに由来するL−dopaの量とを以上のようにして定
量した。皮膚を透過してレシーバーセル中に移行したL
−dopaブチルエステルの蓄積量(μg/mL)の経
時変化(実験期間(分))を図2に、また、L−dop
aブチルエステルに由来するL−dopaの蓄積量(μ
g/mL)の経時変化(実験期間(分))を図3にそれ
ぞれ示す。図2および3には、各測定時点における平均
値±S.E.M.(n=5)を示した。
【0094】レシーバーセル中のL−dopaブチルエ
ステルとL−dopaの蓄積量は、水に懸濁した場合に
はほとんど上昇しなかった。20%エタノールと2%l
−メントールとを含有する溶液にL−dopaブチルエ
ステルを懸濁した場合には、レシーバーセル中のL−d
opaブチルエステル濃度およびL−dopa濃度がこ
れらを使用しない場合と比較して上昇することが示され
た。また、エタノール濃度を40%に上げると、これら
のレシーバーセル中の濃度はさらに高くなった(図
2)。一方、エタノールとl−メントールを含有する溶
液に懸濁した場合には、蓄積量は時間の経過とともに上
昇した。L−dopaブチルエステルの懸濁液を使用し
た場合には、試験開始後180分の時点におけるL−d
opaの蓄積量は、40%EtOHと2%l−メントー
ルとを含有する懸濁液では8.28±2.10μg/m
Lであり、20%EtOHと2%l−メントールとを含
有する懸濁液でも上昇していた(図3)。
【0095】40%エタノールと2%l−メントールと
を含有する溶液中にL−dopaブチルエステルを懸濁
すると、180分の時点においても、透過したL−do
paブチルエステルの95%は未変化体のままであり、
5%がL−dopaに変換されていることが示された。
L−dopaブチルエステルおよびL−dopaの蓄積
量の総計は、L−dopa当量として計算した(図4参
照)。このことから、エタノール濃度を40%に上げる
と、ドナーセル中で懸濁されたL−dopaブチルエス
テルは、さらに皮膚を透過してレシーバーセル中に移行
することが示された。L−dopaまたはL−dopa
ブチルエステルのいずれかを40%エタノールと2%l
−メントールとを含む溶液に懸濁したときは、L−do
paブチルエステルの透過効率はL−dopaの透過効
率よりも約7倍高いことが示された。
【0096】(実施例4)二層型経皮吸収製剤用各シー
トの作製および安定性試験 (1)二層型経皮吸収製剤用各シートの作製 (1−1)L−dopa含有シートの作製 L−dopa含有シートは、以下のようにして作製し
た。レボドパを100mg/mLの濃度で、秤量皿中に
て、5mol/Lの塩酸に溶解した。この塩酸溶液を2
mLとり、約1×3cmの長方形に切断したワイパーシ
ート(タイプCR−4、日本キンバリークラーク(株)
製)をこの中に含浸させ、−25℃のフリーザー内にお
いて凍結させた後にデシケーター中に移し、デシケータ
ー内の空気をアスピレーターで吸引して約2時間凍結乾
燥させ、L−dopa含有シートを作製した。
【0097】(1−2)L−dopaブチルエステル含
有シートの作製 L−dopaブチルエステル含有シートは、以下のよう
にして作製した。実施例2で合成したL−dopaブチ
ルエステルを100mg/mLの濃度でエタノールに溶
解した以外は、上記(1)と同様にしてL−dopaブ
チルエステル含有シートを作製した。
【0098】(1−3)ヒドロゲル含有シートの作製 カルボキシビニルポリマー、プロピレングリコール、ジ
イソプロピルエタノールアミン、アジピン酸ジイソプロ
ピル、d−リモネンおよびl−メントール、エタノー
ル、蒸留水は上述したものを使用した。カルボキシビニ
ルポリマー1gを約30mLの蒸留水と混和し、一昼夜
放置し、水分を吸収してゲル状となったところで、10
mLのプロピレングリコールと1gのジイソプロピルエ
タノールアミン、2mLのアジピン酸ジイソプロピルと
をここに混和した。ついで、水を加えて再度混和してメ
ントール、リモネン、エタノールの濃度が上記の終濃度
となるようにし、クリアテープ上に1gを延ばしてヒド
ロゲル含有シートを作製した。ヒドロゲルの組成は、表
4に示す通りである。
【0099】
【表4】
【0100】(2)L−dopa含有シートおよびL−
dopaブチルエステル含有シートの安定性試験 (2−1)L−dopa含有シート中のL−dopa含
量の検討 実施例4で製造したL−dopa含有シートおよびL−
dopaブチルエステル含有シート、および比較用シー
トを各28枚ずつ、遮光箱に入れて、室温で保持し、0
週、2週、6週および12週後に7枚ずつとり、シート
中の各化合物の含量の変化を検討した。L−dopa含
有シート7枚を1枚ずつ0.2mol/L濃度の過塩素
酸100mL中に入れて分析用の7検体とし、マグネチ
ックスターラーを用いてこれらの溶液を1時間攪拌して
シートからL−dopaを浸出させた。10,000×
gで、10分間、4℃にて遠心し、上清を分析用試料と
した。
【0101】実施例4(2)で調製したL−dopaブ
チルエステル含有シート7枚を、過塩素酸に代えてエタ
ノールを用いる以外は上記のL−dopa含有シートの
場合と同様に処理して、分析用試料とした。これらの試
料を、ECDを用いて、上述のHPLC条件により定量
した。製造当日におけるL−dopa含有シート中のL
−dopaの含量は、185.1±3.4mg/シート
(n=7)であり、L−dopaブチルエステルの含量
は72.1±6.2mg/シートであった。L−dop
aブチルエステル含有シート中のL−dopaブチルエ
ステル含量は、L−dopa当量では57.9mgに相
当し、L−dopa含有シート中のL−dopa含有量
の約1/3となった。
【0102】図5に示すように、シート調製12週後の
L−dopa含有シート中のL−dopa含量は調製当
日(0週)の95.3%、L−dopaブチルエステル
含有シート中のL−dopaブチルエステル含量は9
6.2%であり、含量の変化は認められなかった。以上
の結果から、L−dopa含有ヒドロゲルシートおよび
L−dopaブチルエステルは、遮光箱中にて室温で維
持した場合には、いずれも少なくとも12週間は安定で
あることが示された。
【0103】(2−3)各シートの色調の変化 実施例4で製造したL−dopa含有シートおよびL−
dopaブチルエステル含有シート、およびヒドロゲル
含有シートを各40枚ずつ、遮光箱に入れて、室温で保持
し、0週、2週、6週および12週後におけるシートの
変色を肉眼で観察した。シートの色は全観察期間を通し
て白色のままであった(表5)。このことから、シート
中のL−dopaまたはL−dopaブチルエステル
は、遮光し室温にて保存した場合には、少なくとも12
週間は安定であることが示された。
【0104】
【表5】
【0105】(実施例5)in vivoにおけるL−dop
aブチルエステルの経皮吸収の検討 (1)ラットへの投与 21匹のウィスター系雄性ラットを1群7匹ずつ3群に
分けてエーテル麻酔し、左頚静脈に0.2mol/Lの
EGTAを溶解した生理食塩水を満たしたポリエチレン
チューブ(PE−50)をカニューレーションした。こ
の経路を介して、生理食塩水を0.1mg/kg体重/
分で持続注入し、深麻酔と固定のためにウレタン(50
0mg/kg体重)とα−クロラロース(70mg/k
g体重)とを投与した。ついで、自由呼吸の確保のため
に挿管した。
【0106】ラットの腹部の毛を電気バリカンで皮膚を
傷つけないように注意して刈り、その上にレボドパ含有
シートまたはL−dopaブチルエステル含有シートを
貼った。その上にそれぞれヒドロゲル含有シート図1に
示すように重ねた。対照群のラットには、レボドパまた
はL−dopaブチルエステルを含まないシートとヒド
ロゲル含有シートとを適用する以外は、上記の薬物投与
群と同様に処理した。採血の30分前に、ラットの左大
腿部動脈に、0.2mol/LのEGTAを含むリン酸
緩衝生理食塩水を満たしたポリエチレンチューブ(PE
−50)をカニューレーションした。
【0107】レボドパ含有シートまたはL−dopaブ
チルエステル含有シートを上記のように腹部皮膚に貼着
する前(0分)、貼着後30分、60分、および180
分の各時点で1mLずつ採血した。採血した血液は、
0.2mol/LのEGTAと0.2mol/Lの還元
型グルタチオンとを含む40μLの溶液を入れ、氷中に
おいたチューブに集めた(Eriksson and Persson, 198
2)。失血によって誘導されるアミンの生理学的な濃度
変化を避けるために、採血量は2mL以内とした。
【0108】(2)血漿中の薬物濃度の定量 L−dopaおよびカテコールアミンの血漿中濃度を測
定するために、エリクソンらの方法(Eriksson and Per
sson, J. Chromatogr., 228:143-154(1982))に従っ
て、精製アルミナを用いて前処理を行った。 (2−1)アルミナの精製 アルミナは以下のようにして精製した。100gのアル
ミナを2mol/Lの過塩素酸500mLを含むビーカ
ーに加え、95℃で加熱しながら45分間、羽根付きス
ターラーで激しく攪拌し、微細分を含む上清を捨てた。
沈殿物を、95℃の2mol/Lの過塩素酸500mL
で再度15分間処理し、微細物を含む上清を捨て、50
0×250mmのガラスカラムに沈殿物を移し代えた。
溶出液のpHが3.5になるまでカラムを水洗し、アル
ミナをビーカーに移し、120℃で1時間、ついで20
0℃で2時間加熱し、デシケーター中に乾燥状態で保存
した。
【0109】(2−2)血漿の前処理 次いで、エリクソンらの方法に基づいて、血漿を以下の
ように処理した。20μLのEGTA(抗凝固剤)と
0.2mol/LのGSH(抗酸化剤)とを含む冷却し
た試験管中に血液を採取した。この試験管を4℃にて、
1,000×gで5分間遠心し、血漿を分離して分析ま
で−80℃で保存した。容量4mLの遠心管中に2mL
の血漿サンプルを移し、ここに50μLのGSH(0.
05mol/L)、50μLのEDTA(0.3mol
/L、pH7)および20mgの上記のように処理した
アルミナを加えた。
【0110】この遠心管をボルテックスしながら、0.
2mLのトリスバッファー(1mol/L、pH8.
6)を加え、ロータリーミキサーにかけて10〜30分
間攪拌した。0.1mol/Lのカテコールアミンの過
塩素酸溶液をストック溶液として、これを希釈して、2
pmol/Lおよび20pmol/Lのカテコールアミ
ンとし、対照として使用した。いずれのサンプルにも内
部標準としてDHBAを添加した。
【0111】遠心管の内壁に付着しているアルミナ粒子
を振盪によって管の底に落とし、上清を捨てた。EDT
A溶液(3mol/L、pH7)とともに数秒間混合
し、アルミナを洗浄した。この操作を3回繰り返した。
次いで、1,700×gで10分間、4℃にて遠心し、
余分な液を捨てた。150μLの過塩素酸(0.2mo
l/L)で1分間ボルテックスしてアルミナから、レボ
ドパ、ドパミン、ノルエピネフリン、およびエピネフリ
ン等を溶出させた。以上のようにアルミナから遊離させ
た各化合物を、スドウらの方法(Sudo etal.,Biol. Pha
rm. Bull. 18(4)610‐614(1995))に従って、逆相HP
LC法によって電気化学的に定量した。HPLC条件は
上述の通りである。
【0112】(3)経皮吸収後の血中L−dopaレベ
ルの検討 1群7匹のラットの血中L−dopaレベルを平均値±
S.E.M.で表し、ボンフェローニ法によって対照群
と薬物投与群との群間の有意差を求めた。p値が0.0
5未満である場合を有意差ありとした。結果を図6に示
す。図中、a)はp<0.05、b)はp<0.01を
表す。L−dopaブチルエステルの投与から以下のこ
とが明らかになった。すなわち、L−dopaブチルエ
ステルの検出限界は0.8ng/mLであるにもかかわ
らず、実験期間全体を通して、L−dopaブチルエス
テルは血漿中では検出されなかった。また、対照群の血
漿L−dopaレベルは実験期間全体を通して0.7n
g/mLであった。
【0113】L−dopa含有ヒドロゲルシートにより
経皮吸収をさせた場合には、血漿中のレボドパレベルは
速やかに上昇して30分でピークに達し、投与後60分
および180分までは約50ng/mLで一定となっ
た。対照的に、L−dopaブチルエステルを経皮吸収
させると、L−dopaレベルは投与30分後から18
0分後まで直線的に上昇し、180分の時点ではL−d
opaを投与した場合の5倍の濃度に達していた(図
6)。L−dopaブチルエステルの投与量がL−do
paの投与量の1/3であることを考え合わせると、こ
れらの結果より、L−dopaブチルエステルの経皮吸
収性はL−dopaのそれに比べて数段高いことが示さ
れた。
【0114】(4)血漿中ドパミン濃度の検討 1群7匹のラットの血漿中ドパミンレベルを平均値±
S.E.M.で表し、ボンフェローニ法によって対照群
と薬物投与群との群間の有意差を求めた。p値が0.0
5未満である場合を有意差ありとした。結果を図7に示
す。図中、b)はp<0.01を表す。血漿ドパミン濃
度は、対照群では実験期間全体を通して約0.3ng/
mLであった。L−dopa含有シートを用いた場合に
は投与後180分で対照群よりは高い値を示したが極め
て低かった。一方、L−dopaブチルエステル含有シ
ートを用いた場合には、投与後180分まで血漿中ドパ
ミン濃度は上昇し、180分では10ng/mLを超え
ており、L−dopa含有シートを用いた場合の約10
倍の値を示した(図7参照)。
【0115】(5)血漿エピネフリンおよびノルエピネ
フリン濃度の検討 血漿中ドパミン濃度の測定と同様にして、対照群と薬物
投与群との群間の有意差を求めた。p値が0.05未満
である場合を有意差ありとした。結果を図8に示す。血
漿ノルエピネフリン濃度は、実験期間を通して、対照
群、L−dopa含有シート使用群、L−dopaブチ
ルエステル含有シート使用群ともに有意差は認められな
かった(図8)。
【0116】一方、血漿中エピネフリン濃度では、群間
に相違が見られた。対照群では、実験期間中、約0.6
ng/mLで推移したにもかかわらず、L−dopa含
有シート使用群では60分で最高濃度に達しその後次第
に低下した。また、L−dopaブチルエステル含有シ
ート使用群では、60分で最高濃度に達し、その後は1
80分までほとんど低下は認められなかった(図9参
照)。図9中、a)はp<0.01を表す。以上より、
ノルエピネフリンが速やかに代謝されてエピネフリンが
産生されていることが示された。
【0117】in vitroの実験結果が示すように、L−d
opaアルキルエステルは未変化体として体内に移行す
る。しかし、in vivoの実験結果より、血中に移行した
L−dopaアルキルエステルが速やかにL−dopa
に代謝されていることが示されている。したがって、L
−dopaアルキルエステルは経皮吸収の際には変化は
せず、そのままの形で体内に移行するが、血漿中では速
やかに代謝を受けてL−dopaとなることが示され
た。
【0118】
【発明の効果】本発明によれば、L−dopaよりも脂
溶性が高く、皮膚からの透過性に優れたL−dopaの
アルキルエステルが提供される。上記L−dopaアル
キルエステルを経皮投与した場合には、血漿中で速やか
にL−dopaに代謝され、脳に送達されて薬理作用を
発揮する。L−dopaアルキルエステルはL−dop
aよりも皮膚透過性に優れるので、経皮吸収製剤とした
場合には、より高い血中濃度を得ることが可能であり、
治療に際して高い血中薬物濃度を必要とする重篤なパー
キンソン病患者への適用も可能となる。なお、同程度の
血中薬物濃度を得るために必要な投与量は、経口投与と
比較すると1/10以下とはるかに少なく、上述したよ
うな有害作用の起こる可能性をより低いものとすること
ができるので、長期間にわたる投与を安全かつ効果的に
行うことができる。また、L−dopaアルキルエステ
ルを有効成分とする経皮吸収製剤は、製剤を調製した
後、少なくとも12週間は安定に保存することができ、
臨床使用に十分耐えるものである。
【0119】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の二層式経皮吸収製剤を皮膚表面に適
用した状態を示す図である。
【図2】 in vitroにおいて、L−dopaブチルエス
テルの懸濁液を用いたときのL−dopaブチルエステ
ルの蓄積量(皮膚透過量)を示す図である。
【図3】 in vitroにおいて、L−dopaブチルエス
テルの懸濁液を用いたときのL−dopaの蓄積量の経
時変化を示す図である。
【図4】 L−dopaブチルエステルとL−dopa
の蓄積量をL−dopa当量で比較した結果を示す図で
ある。
【図5】 L−dopaまたはL−dopaブチルエス
テル含有シート中の各化合物の安定性を示す図である。
【図6】 L−dopaおよびL−dopaブチルエス
テルを経皮吸収させたときの血漿中L−dopa濃度の
経時変化を示す図である。
【図7】 L−dopaおよびL−dopaブチルエス
テルを経皮吸収させたときの血漿中ドパミン濃度の経時
変化を示す図である。
【図8】 L−dopaおよびL−dopaブチルエス
テルを経皮吸収させたときの血漿中ノルエピネフリン濃
度の経時変化を示す図である。
【図9】 L−dopaおよびL−dopaブチルエス
テルを経皮吸収させたときの血漿中エピネフリン濃度の
経時変化を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/14 A61K 47/14 47/18 47/18 47/32 47/32 47/34 47/34 47/38 47/38 47/42 47/42 47/44 47/44 47/46 47/46 A61P 25/16 A61P 25/16 (72)発明者 東山 公男 神奈川県横浜市磯子区東町17丁目29番501 号 (72)発明者 高山 幸三 埼玉県川越市新宿町6−24−18 (72)発明者 岩瀬 博明 神奈川県相模原市大野台6−4−6−617 (72)発明者 角野 勝彦 神奈川県横浜市都筑区仲町台5−7−4 プロムナード仲町台4−410 Fターム(参考) 4C076 AA73 BB31 CC01 DD34A DD37A DD38A DD41A DD45A DD47 DD50 EE03 EE05 EE06 EE09A EE12 EE16 EE23A EE24 EE27 EE32A EE37 EE41 EE45 EE51A EE53 EE57 FF34 4C206 AA01 AA02 FA56 MA52 MA83 NA10 ZA02

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子または炭素数1〜16の直鎖状
    もしくは分枝鎖状のアルキル基、RおよびRはそれ
    ぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜16の直鎖状、分枝
    状または置換基を有してもよい環状のアシル基を表す。
    ただし、R、R 、およびRが同時に水素原子にな
    ることはない。)で表される、パーキンソン病の予防お
    よび/または治療用化合物。
  2. 【請求項2】 前記式(I)中、Rが水素原子または
    炭素数1〜16の直鎖状アルキル基であり、Rおよび
    が水素原子である請求項1に記載のパーキンソン病
    の予防および/または治療用化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の化合物の薬理
    学的に許容される塩。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の化合物または
    薬理学的に許容されるそれらの塩を有効成分とするパー
    キンソン病の予防および/または治療剤。
  5. 【請求項5】 経皮吸収製剤である請求項4に記載のパ
    ーキンソン病の予防および/または治療剤。
  6. 【請求項6】 前記式(I)の化合物または薬理学的に
    許容されるそれらの塩と、基剤、吸収促進剤およびその
    他の助剤とを含有する、請求項5に記載のパーキンソン
    病の予防および/または治療剤。
  7. 【請求項7】 前記式(I)の化合物または薬理学的に
    許容されるそれらの塩を含有する主剤含有シートと、基
    剤、吸収促進剤およびその他の助剤とを含有する基剤−
    吸収促進剤含有シートとを含む請求項5に記載のパーキ
    ンソン病の予防および/または治療剤。
  8. 【請求項8】 前記主剤含有シートは、製剤の総重量に
    対して0.5〜15重量%の主剤と、主剤を含有させる
    ための紙または布帛である基材とからなるものである請
    求項7に記載のパーキンソン病の予防および/または治
    療剤。
  9. 【請求項9】 前記基剤−吸収促進剤含有シートは、 炭化水素、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エ
    ステル、グリコール類、および脂肪油からなる群から選
    ばれる少なくとも1種以上の油脂性基剤、またはカルボ
    キシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースお
    よびマクロゴールからなる群から選ばれる少なくとも1
    種以上の水溶性基剤と、炭素数2〜5の多価アルコール
    とを含む基剤と、 モノテルペン、ジテルペンおよびセスキテルペンとから
    なる群から選ばれるテルペン類と、炭素数2または3の
    アルコールとからなる吸収促進剤と、 水と、基剤の酸性度に応じて炭素数4〜8のジアルキル
    エタノールアミンまたは炭素数2〜8のアジピン酸ジア
    ルキルとを含む他の助剤と、 ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチエレ
    ン、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、ポリ
    カーボネート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル
    酸メチル、もしくはこれらを構成するモノマーの共重合
    体、シリコーン薄膜およびポリビニルピロリドン架橋
    物、キチン、キトサン、豚皮、および人工皮膚からなる
    群から選ばれる素材で形成されたシートまたは布帛とか
    らなる群から選ばれる基材と、からなるものである請求
    項7または8に記載のパーキンソン病の予防および/ま
    たは治療剤。
  10. 【請求項10】 前記基剤−吸収促進剤含有シートは、
    製剤の総重量に対して0.5〜15重量%の水溶性基剤
    と、10〜55重量%の吸収促進剤と、他の助剤を全体
    を100重量%とするに必要な量で含有してなる組成物
    が基材上に展延されてなる請求項7〜9のいずれかに記
    載のパーキンソン病の予防および/または治療剤。
  11. 【請求項11】 前記吸収促進剤は、製剤の総重量に対
    して1〜5重量%のリモネンまたはl−メントールと、
    15〜45重量%のエタノールとからなるものである請
    求項7〜10のいずれかに記載のパーキンソン病の予防
    および/または治療剤。
  12. 【請求項12】 前記他の助剤は、少なくともプロピレ
    ングリコールと水とを含み、基剤の酸性度に応じてジイ
    ソプロピルエタノールアミンとアジピン酸ジイソプロピ
    ルとを含む、請求項7〜11のいずれかに記載のパーキ
    ンソン病の予防および/または治療剤。
  13. 【請求項13】製剤の総重量に対して1〜10重量%の
    下記式(II) 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜16の直鎖状もしくは分枝鎖
    状のアルキル基を表す。)で表される化合物を主剤とし
    て含有する主剤含有シートと、 0.5〜15重量%の油脂性基剤または水溶性基剤と、
    16〜49重量%の吸収促進剤と、26〜72.5重量
    %の他の助剤とを含む基剤−吸収促進剤含有シート、と
    を含むパーキンソン病の予防および/または治療剤。
  14. 【請求項14】 前記基剤−吸収促進剤含有シートが、
    製剤の総重量に対して5〜15重量%のヒドロキシプロ
    ピルセルロースおよびマクロゴールからなる群から選ば
    れる少なくとも1種以上の水溶性基剤と、前記吸収促進
    剤が製剤の総重量に対して1〜4重量%のリモネンまた
    はl−メントールと製剤の総重量に対して15〜45重
    量%のエタノールとからなるものであり、他の助剤が製
    剤の総重量に対して5〜15重量%のプロピレングリコ
    ールと44〜51重量%の水とからなる、請求項13に
    記載のパーキンソン病の予防および/または治療剤。
  15. 【請求項15】 前記基剤−吸収促進剤含有シートが、
    製剤の総重量に対して0.5〜2重量%のカルボキシビ
    ニルポリマーと、前記吸収促進剤が製剤の総重量の1〜
    4重量%のリモネンまたはl−メントールと製剤の総重
    量の15〜45重量%のエタノールとからなるものであ
    り、他の助剤がプロピレングリコールと、47〜58重
    量%の水と、0.5〜2重量%のジイソプロピルエタノ
    ールアミンと1〜4重量%のアジピン酸ジイソプロピル
    と含んでなる、請求項13に記載のパーキンソン病の予
    防および/または治療剤。
  16. 【請求項16】 ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
    ン、ポリエチエレン、ポリプロピレン、ポリエステル、
    アセテート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコー
    ル、ポリメタクリル酸メチル、もしくはこれらを構成す
    るモノマーの共重合体、シリコーン薄膜およびポリビニ
    ルピロリドン架橋物、キチン、キトサン、豚皮、および
    人工皮膚からなる群から選ばれる素材で形成された被覆
    用シートをさらに含む請求項5〜15のいずれかに記載
    のパーキンソン病の予防および/または治療剤。
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