JP2002095978A - イオン交換性構造物およびこれを用いた脱塩装置 - Google Patents

イオン交換性構造物およびこれを用いた脱塩装置

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JP2002095978A JP2000288608A JP2000288608A JP2002095978A JP 2002095978 A JP2002095978 A JP 2002095978A JP 2000288608 A JP2000288608 A JP 2000288608A JP 2000288608 A JP2000288608 A JP 2000288608A JP 2002095978 A JP2002095978 A JP 2002095978A
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Yasuhiko Fujii
靖彦 藤井
Shigeru Itoi
滋 糸井
Norihisa Miyamatsu
徳久 宮松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な通水性と優れたイオン電導性を同時実現
し、コンパクトで高性能な純水製造装置を提供する。 【解決手段】1)プラスチックネットを芯とし、2)そ
の両側にあって該ネットに密着する、繊維状イオン交換
体を含む繊維層、および3)該繊維層間を所々でイオン
交換的に接合するイオン交換体、より構成されるシート
状イオン交換性構造物、および2)電気透析装置の少な
くとも脱塩室内に、アニオン交換膜側に繊維状アニオン
交換体を含む繊維層、カチオン交換膜側に繊維状カチオ
ン交換体を含む繊維層を配した上記構造物を装着してな
る電気再生式純水製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気再生式脱塩装置の
脱塩室や濃縮室に装着するのに、優れた特性を備えたシ
ート状イオン交換性構造物(以後、構造物という)、お
よびこれを装着してなる電気再生式脱塩装置に関する。
【0002】
【従来技術】電気透析装置の脱塩室にイオン交換体を収
容して電気的に脱塩を行う技術が開発され、特に電気再
生式純水製造装置として実用化されるようになった。こ
れまでの純水製造法では、たびたび薬品を用いてイオン
交換樹脂を再生しなければならないが、電気再生式純水
製造装置によれば、電源を入れておくだけで継続して高
純度の純水が得られ、しかも廃水処理の必要がないなど
のメリットがあり、今後の成長が期待される新技術とし
て注目されている。
【0003】こうした電気再生式脱塩装置において純水
の製造が行われる脱塩室は、陰極側のカチオン交換膜と
陽極側のアニオン交換膜により仕切られた、膜間数mm
の狭い空間であり、この空間に一般的にはアニオン交換
タイプとカチオン交換タイプが混合された、イオン交換
樹脂または繊維状イオン交換体が収容されている。ここ
で脱塩室に挿入されたイオン交換体は、主に異種イオン
交換体との界面(接点)で電位差によりもたらされる
「水解」現象により生じる水素イオンまたは水酸イオン
の供給を受けて遊離型に再生されつつ、微量イオンの捕
捉と捕捉したイオンの隣室への運搬路として機能すると
考えられている。
【0004】しかしながら、脱塩室に収容されるイオン
交換体がイオン交換樹脂である場合、かかる狭い空間に
球状のイオン交換樹脂をよい混合状態でもって均一に充
填し、そのうえでフィルタープレス状に脱塩室と濃縮室
を何層も重ねることは、作業的にも想像以上の困難を伴
い、その上その後も樹脂の移動や偏在、さらにはイオン
交換樹脂の破砕による通水性の低下があり、これらは脱
塩性能の低下に直結する。
【0005】一方、繊維状イオン交換体の場合には、不
織布として脱塩室に収容され、イオン交換樹脂に見られ
た破砕や移動等によるトラブルは解消されるが、水は不
織布の幅あるいは長さ方向の長い距離を狭い繊維間隙を
通過するため、圧力損失が大きく、流量を大きくするこ
とが困難である。
【0006】このため、被処理水の通路を確保するため
に二枚のイオン交換性不織布の間にプラスチック網(以
後スペイサーと言う)を介在させる方法(特開平7−1
00391号)、このスペイサーの空隙部分に両側に装
着したイオン交換性不織布の毛羽を侵入させる方法(特
開平9−99221号)、さらにはスペイサーににイオ
ン交換性を付与する方法(赤堀,小西,日本イオン交換
学会誌,10,60(1999))がなどが提案されて
いる。これにより、通水性が改善されたものの、イオン
交換樹脂に比べて繊維状イオン交換体の比抵抗が高いう
え、不織布およびスペイサーを合計3〜4枚も合わせで
使用するため、膜間距離および膜間電気抵抗が大きくな
らざるを得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる現状
の問題点を根幹より解決するもので、良好な通水性と安
定で優れた電導性を同時実現し、高い電流密度で運転で
きる、コンパクトで高性能な純水製造装置を提供するこ
とを目的としている。他の目的は良好な電導性を維持し
たまま、良好な通水性を一段と改善し、現在純水製造に
のみ限られている電気再生方式の優れた特徴を、純水製
造以外の用途に展開することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、1)
プラスチックネットを芯とし、2)その両側にあって該
ネットに密着する、繊維状イオン交換体を含む繊維層、
および3)繊維層間を所々でイオン交換的に接合するイ
オン交換体、より構成されるシート状イオン交換性構造
物、および2)電気透析装置の少なくとも脱塩室に前記
構造物が、装着されてなる電気再生式純水製造装置に関
する。ここで「イオン交換的に接合する」なる言葉は、
離れたイオン交換体を、直接または他のイオン交換体を
介して間接的に、接触または合体させることであり、接
合されたイオン交換体間では電位差によるイオンの移
動、通電、水解などの電気化学的な現象が可能になる。
【0009】本発明構造物は、プラスチックネットを骨
格とする繊維状イオン交換体との複合体であり、1)寸
法安定性に優れ、取り扱い易く、脱塩装置への装着も至
って容易である、2)ネットを構成する太いモノフィラ
メントの交差部近傍、シートの反対側などに繊維が存在
しない部分が確保され、確実な通水性が得られる、3)
良好な寸法安定性と通水性により、脱塩室の面積を拡大
でき、大型装置の開発が可能となる、4)電導性は繊維
層間を最短距離で接合するイオン交換体の寄与により、
良好な電導性が安定して得られる、5)水解が起きる部
分がアニオン交換膜から離れアニオン交換膜の傷みが回
避でき、電導性の向上効果との相乗効果により高い電流
密度で運転ができる、などの特徴がある。これらにより
優れた電気再生式純水製造装置を可能とするのみなら
ず、6)プラスチックネットとして極太繊度の使いの厚
い不織布を使用することにより、一層大きな空間を設け
ることができ、こうした大きな空間は、溶質、懸濁物、
水と非混和性溶媒、等を含む水溶液、粘性のある水、さ
らには空気などをスムースに通す通路として適してお
り、脱塩処理の対象を広げることができる。
【0010】以下、本発明の構成についてより詳細に説
明する。プラスチックネットは、本発明構造物の芯とな
って、優れた寸法安定性、取扱性、通水性などの特性を
付与するもので、太繊度の合成繊維より構成された、目
開きのある織物、編み物あるいは不織布が使用できる。
ここで、目開きの尺度はネットを通過できる球形粒子の
最大直径で表すことができ、目開き0.5〜5mm、す
なわち0.5mm以上の粒子が通過し5.0mm以上の
粒子を通さないものが好適である。
【0011】プラスチックネットを構成する好ましい材
料として太繊度の合成繊維があり、なかでも単繊維繊度
が20デニール以上でフィラメント数の10以下のフィ
ラメント糸または30デニール以上のモノフィラメント
が好ましく、これの繊維原料としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフ
ロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレン
テレフタレートなどが繊維形成性、耐薬品性などの観点
より好ましい。
【0012】プラスチックネットは編み、織りあるいは
不織布化の工程を経た段階で、必要により熱セットを行
い、モノフィラメントの強い剛直性を解消し組織に馴染
ませておくことが望ましい。また繊維の交点や接触部分
で、融着または接着固定することは、組織を維持するの
みならず、構造体としての曲げモーメントが高くなり、
相対的に細いフィラメントで構成された場合でも、高い
剛性を得ることができる場合がある。こうした繊維交点
での固定は、低融点成分を繊維表層部などに持つ複合繊
維を利用することにより効果的に行うことが出来る。電
気透析装置に広く使用されている前記した斜交ネット
は、この好例であり、本発明にとっても好ましいもので
ある。
【0013】繊維状イオン交換体は、酸性基を有するカ
チオン交換体と塩基性基を持つアニオン交換体に大別で
き、これらはスルホン酸基などの強酸性基やカルボキシ
ル基などの弱酸性基を有するカチオン交換体および第4
級アンモニウム基などの強塩基性基や第1〜3級アミノ
基を有する弱〜中塩基性基を持つアニオン交換体があ
る。このうち、本発明に用いることができる繊維状イオ
ン交換体のイオン交換基は、脱塩力の強さおよび電導性
の観点から、強酸性基を交換基とする強酸性カチオン交
換体および強塩基性基を交換基とする強塩基性アニオン
交換体である。
【0014】現在、こうした繊維状イオン交換体は、
1)イオン交換樹脂を粉砕した微粒子を混合紡糸した
り、2)イオン交換基を有するポリマーをポリビニルア
ルコールと混合して繊維状とする方法、さらには、3)
ポリスチレンとポリエチレンよりなる海島構造の繊維に
イオン交換基を導入したものなどが工業生産されてお
り、いずれも条件を選べば本発明に使用できる材料であ
る。
【0015】ポリオレフィンまたはフッ化ポリオレフィ
ンを原料とし、延伸開孔法により得られた多孔質繊維を
原料とし、その空孔内にスチレン/ジビニルベンゼン系
イオン交換性重合体を形成して得られる繊維状イオン交
換体は、総合的に最も好ましい。 すなわち、多孔質繊
維の連通する多孔空間内に導入されたイオン交換体は、
スチレン/ジビニルベンゼン系イオン交換樹脂そのもの
であり、十分な連続性も確保されており、化学安定性、
イオン電導性に優れ、物性面では発達した配向と結晶性
とによりもたらされる丈夫な繊維構造に保護され、本発
明の目的にもっとも叶うものとなっている。
【0016】繊維状イオン交換体を用い本発明構造物を
作るには、まずこれを層状に重ねた繊維層とする必要が
ある。本発明は以下の記載にのみ限定されるものではな
いが、繊維層の調整は以下のように行うことができる。
繊維長が一般的に3〜7cmの場合には、長さ方向に引
き揃えられた繊維より構成される通常数十センチメート
ル幅の薄い繊維層(ウエッブ)を作り、このウエッブを
方向性を違えて重ね合わせる方法(A)、繊維をほぐし
気流に乗せてメッシュネットまたはメッシュドラム上に
積層し巻き取る方法(B)があり、繊維長が10mm以
下の場合では水に分散して抄紙法により積層する方法
(C)がある。また、繊維状イオン交換体がフィラメン
ト、トウなど長繊維状である場合には、これらを広げ、
かつ方向性を違えて積層する方法(D)がとれる。
【0017】いずれの場合も繊維状イオン交換体のみで
は強度がなかったり、繊維の絡みがないため工程通過性
が著しく悪い場合があり、こうした場合には、巻縮を付
与したポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリビニルア
ルコール繊維等を繊維状イオン交換体に混合使用するこ
とにより解決できる。ポリエステル繊維など疎水性合成
繊維は水中でも反発弾性があり、混用により繊維層に弾
力性を付与する効果も得られ、一般的に混合はできるだ
け均一に行うのが好ましい。また、Cの場合には水中に
少量のパルプや糊剤などを添加することができる。繊維
状イオン交換体と混用する繊維の混用率は、一般的には
必要最低限とし、50%以下であることが望ましい。
【0018】これらの繊維層における繊維状アニオン交
換体と繊維状カチオン交換体の存在比(混合比)は、イ
オン交換性構造物の繊維層がアニオン交換膜側になる場
合に繊維状アニオン交換体が多いことが好ましく、逆に
カチオン交換膜側になる繊維層には繊維状カチオン交換
体が多いことが望ましい。前者の場合繊維状アニオン交
換体が50%以上100%の範囲であり、特に好ましい
のは100%であり、後者の場合には、繊維状カチオン
交換体は0%(アニオン交換体100%)から100%
の広い範囲で選択することができる。
【0019】繊維状イオン交換体および混用繊維よりな
る繊維層の繊維存在密度は、大凡30〜500g/m2
の範囲が好ましい。30g/m2以下では繊維が少なす
ぎて、電導性が不足し、プラスチックネットとイオン交
換膜との間のクッション作用が得られない等の問題が発
生し、逆に500g/m2以上になると繊維層の厚さが
増し膜間距離が拡大して好ましくない。
【0020】次に、シートとして取り扱いに耐えるもの
とするために、繊維層の厚さ方向に絡みまたは接着を形
成する。これには、繊維層に対し鉤針や高速水流を用
い、局所的に表層の繊維を裏面に貫通させたり、ステッ
チングを行ったり、スポット的な接着あるいは融着を行
うことにより実施できる。この後、繊維層とプラスチッ
クネットとを積層し、両者を貫通する繊維状イオン交換
体による一体化を行い本発明構造物を完成する。ここで
プラスチックネット上に直接繊維を積層すると、プラス
チックネットを含めた一体化処理が一挙に行うことがで
き、合理的である。
【0021】繊維状イオン交換体は厳しい化学反応を経
て多くのイオン交換基が導入されており、繊維物性面に
おいて、通常の繊維とは比べようもないハンディキャブ
を負っており、繊維物性的に繊維加工工程に対する工程
通過性を持たないのが、むしろ一般的である。このた
め、織物、編み物、不織布などのシートにイオン交換基
の導入を行い、そのままシート状イオン交換体として利
用されている。こうして得られたシート状イオン交換体
は、上記した繊維状イオン交換体の繊維層と同じ扱いで
もって、本発明構造物に使用できる。
【0022】繊維層とプラスチックネットの一体化は、
両者を重ねたところに、1)鉤針、2)高圧水流、3)
高圧空気のいずれかを局所的に作用させ、繊維層の一部
の繊維をプラスチックネットの反対側まで送り出す(貫
通させる)ことにより行うことができる。ここで、反対
側に飛び出た繊維が多い場合や、プラスチックネットを
中心として両側に繊維層がある場合には、反転させて同
じ処理をし、繊維とプラスチックネットの間の繊維交絡
を増し、一体感をより強めることもできる。この方法は
上記の操作を行う際に繊維が動く必要があり、拘束力の
少ないルーズな繊維層を使用することが肝要である。
【0023】繊維層とプラスチックネットの一体化は両
者を縫いつけても行える。用いる縫い糸は、本発明構造
を貫通するすることにより、イオンおよび電流の通路と
して機能するもので、電導性のある繊維状イオン交換体
を含んで構成され、繊維状カチオン交換体または繊維状
アニオン交換体の両者を含んでいるか、両者別々の縫い
糸の場合には、異なった縫い糸を、引き揃えるなど併用
して用いる。この縫糸を用いる方法は、前記方法に比べ
確実であり、シート状態でイオン交換基を導入され構成
繊維拘束力が強いシートや、プラスチックネットが不織
布のような三次元構造を取りネットの厚さが大きな場合
などに有効である。
【0024】本発明構造物の一体化をもたらす貫通部分
は、多くなるとプラスチックネットの隙間を繊維が占め
ることとなり通水性を低下させ、一方で膜間の電導性を
高める。また、貫通部分は連続したり、極度に集中する
と通水性を阻害することがあるの、本発明構造物全体に
均一に分散させることが望ましい。こうした場合、貫通
部分は1平方センチメートルにつき1〜10ヶ所の密度
で存在するのが望ましく、太い縫い糸のように貫通部分
一カ所での繊維状イオン交換体の繊維量がしっかりあれ
ば、2〜5平方センチメートル1ヶ所程度であっても良
い。本発明構造物の貫通部分の密度を変えることによ
り、本発明構造物の電導性を同一構造物内で異なるよう
に調整することができ、これを利用して脱塩室内の電流
密度分布を制御することもできる。
【0025】本発明シート構造物は、プラスチックネッ
トと繊維層の関係から以下の2つのケースがある。第一
は、一枚のプラスチックネットと、その両側にある繊維
層とよりなるケースであり、純水製造装置に適してい
る。第二は、繊維状イオン交換体を含んで構成される繊
維束が、プラスチックネットおよび/または繊維層と交
絡を形成しつつ、プラスチックネットの少なくとも片面
で繊維層を形成しているケースである。
【0026】プラスチックネットと室枠とは、熱融着等
により一体化が可能であり、電気透析装置にも斜交ネッ
トが広く使用されている。プラスチックネットとして、
こうした室枠付きのネットを用いることにより、室枠一
体型の本発明構造物が得られる。この構造物を、脱塩室
や濃縮室に用いた場合、室内でのイオン交換体の移動に
よるトラブルは、完全に解決される。
【0027】本発明装置に使用するイオン交換膜は、炭
化水素系やフッ素樹脂系の均質膜であっても、あるいは
イオン交換樹脂微粒子とポリオレフィンやポリ塩化ビニ
ルなどのポリマーとの混合物よりなるいわゆる不均質膜
であっても良い。不均質膜は、選択イオン交換性、電導
度においてやや不利であるが、イオン交換体の膨潤や収
縮、劣化が表に出難く、ディメンジョナルスタビリティ
ーにおいては好都合な面もある。さらに、ポリオレフィ
ンを用いた不均質膜は熱可塑性があり、熱接着性を利用
して所々で本発明構造物を固定することも可能である。
【0028】本発明構造物とイオン交換膜の接触を長期
間安定な状態に保つために、脱塩室が膨らまないように
濃縮室に斜交ネットなどの非圧縮性のスペイサーを使用
することが好ましい。実施例で示した構造物Eにのよう
に薄く電導性に優れた構造物は、脱塩室のみならず、濃
縮室にスペイサーの代わりとして用いることができ、こ
の場合、良好な電導性により、純水に近い電導度の室液
を用いることができ、漏洩電流や脱塩室内へのイオンの
拡散浸透を防ぐことができる。
【0029】本発明装置は陽極室と陰極室の間にアニオ
ン交換膜とカチオン交換膜を交互に配し、濃縮室と脱塩
室を交互に、通常数室から数十室設けたフィルタープレ
ス型であっても、あるいは特開平6−7645号に開示
されているようなスパイラルタイプであっても良い。本
発明イオン交換性構造物は極めて優れた形態安定性と通
水性を兼備しており、広い膜面積に対応できる特性があ
り、フィルタープレスタイプでは装置のより大型化に余
裕を持って対応でき、大きな膜面積を必要とするスパイ
ラルタイプにも使用できる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、以下の記載に於ける「部」および「%」はそ
れぞれ「重量部」、「重量%}を意味する。 試験装置 実験用電気透析装置(エイエムピーアイオネクス株式会
社製ME-O型、使用カチオン交換膜:CMV,アニオン交
換膜:AMV,有効膜面積50cm2)を使用し、中央に
脱塩室が1室、その両側に濃縮室を1室ずつ、さらにそ
の外側を電極室とする構成で、以下の試験を実施した。
なお、脱塩室室枠および濃縮室室枠は共に、厚さ0.8
5mmであり、これらの室枠には同じ厚さ(0.85m
m、モノフィラメント交差部分での厚さ)の斜交ネット
が室枠に固定一体化されており、このネットに繊維状イ
オン交換体を固定することによる厚みの増加に対しては
「斜交ネットを除いた脱塩室室枠」を付加して対応し
た。
【0031】イオン交換性構造物の調整と脱塩室への装
着 (構造物A)カチオン交換樹脂微粉末とポリビニルアル
コールを混合紡糸して製造された繊維状カチオン体(イ
オン交換容量は中性塩分解能として2.1meq./
g)70部とポリエステル短繊維30部とを混合しウエ
ッブとし、これを方向を違えて積層し、ついでこれを軽
くニードルパンチングして得られたカチオン交換性繊維
層(目付:102g/m2);および繊維状カチオン交
換体の代わりに、ポリビニルアルコール繊維を化学変性
して得られた繊維状アニオン交換体(中性塩分解能2.
0meq./g)を使用し、同様にして得られた、繊維
状アニオン交換体/ポリエステル繊維よりなる、アニオ
ン交換性繊維層(目付:108g/m2)を入手した。
脱塩室用室枠に固定された斜交ネット部分に、陽極側
(アニオン交換膜側)に上記アニオン交換性繊維層、陰
極側にカチオン交換性繊維層を配し、鉤針を用い斜交ネ
ットを介して両繊維層間に繊維交絡を形成して、室枠一
体型の本発明構造物Aを得た。なお、室枠に固定された
繊維量は1.7gであり、繊維交絡は1cm2あたり
1.2ケとし均等に分散して形成した。なお室枠に繊維
層を固定することにより生じた膨らみに対処するため
に、あらかじめ「斜交ネットを除いた脱塩室室枠」2枚
を、繊維を固定した室枠の両側に重ねて用いた。したが
って脱塩室は室枠3枚となり、膜間距離は2.55mm
であった。
【0032】(比較構造物)脱塩室用室枠に固定された
斜交ネット部分に、陽極側(アニオン交換膜側)に上記
アニオン交換性繊維層、陰極側にカチオン交換性繊維層
を配し、これを脱塩室に装着した。脱塩室組立に関する
室枠条件は上記構造物Aと同じにした。室枠に固定され
た繊維量は1.1gであった。これは構造的に繊維交絡
のない構造物Aに相当する。
【0033】(構造物B)構造物Aにおいて、鉤針によ
る繊維交絡の形成を行う代わりに、後述する繊維状アニ
オン交換体の糸を4本揃えたものを縫い糸として手縫い
方式により、アニオン交換繊維層/斜交ネット/カチオ
ン交換繊維層を一体化させた構造物Bを得た。室枠に固
定された繊維量は1.3gであり、うちアニオン交換体
の糸は0.3gであった。縫い糸による構造物貫通部は
1cm2あたり4ケ所とし均等に形成した。脱塩室組立に
関する室枠条件は上記構造物Aと同じにした。
【0034】(構造物C)構造物Aにおいて、鉤針によ
る繊維交絡の形成を行う代わりに、カチオン交換樹脂を
ボールミルで粉砕して得た平均粒径4.2μm、最大粒
径が10μ以下の微粒子50部と平均重合度1,700
の完全鹸化ポリビニルアルコール30部を固形分とする
水溶液をスポット的に繊維層間に注入、乾燥、および熱
処理することにより、アニオン交換繊維層/斜交ネット
/カチオン交換繊維層を一体化させた構造物Cを得た。
室枠に固定された繊維量は1.1gであり、ポリビニル
アルコールおよび粉砕されたカチオン交換樹脂よりなる
結合用イオン交換体は0.3gであった。結合部分は1
cm2あたり0.5ケ所とし均等に形成した。脱塩室組立
に関する室枠条件は上記構造物Aと同じにした。
【0035】(構造物D)高密度ポリエチレン製多孔質
フィラメント(160デニール24フィラメント、空孔
率55vol%、三菱レイヨン株式会社試作品)を編み
布とし、繊維の多孔部分に、ジビニルベンゼンを5%、
アゾビスイソバレロニトリルを0.2%含むスチレンモ
ノマーを吸収させ85℃で重合させ、スチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体を形成した。次にこのものをクロル
メチル化とトリメチルアミンとの反応を順次行うことに
より、第四級アンモニウム基を交換基として2.4me
q/g有する繊維状アニオン交換体よりなるアニオン交
換性シートを得た。また、熱濃硫酸で処理することによ
り、3.4meq./gのスルホン酸基を交換基として
持つ繊維状カチオン交換体よりなるカチオン交換性シー
トを得た。いずれも繊維間の接着および剥離成分を除く
ために、湿潤状態でゴムロール間を通し、超音波洗浄後
風乾した。また、編み布を構成する糸を解し出し、それ
ぞれアニオン交換糸、カチオン交換糸を得た。かくして
得られた材料を用いて、前記構造物Bと同じ、アニオン
交換繊維層/斜交ネット/カチオン交換繊維層をアニオ
ン交換糸により一体化させた構造物Dを得た。室枠に固
定された繊維量は1.8gであり、うちアニオン交換糸
は0.3gであった。アニオン交換糸による構造物貫通
部は1cm2あたり4ケ所とし均等に形成した。脱塩室組
立の条件は上記構造物Aと同じにした。
【0036】(構造物E)厚さ0.3mmのポリエステ
ルモノフィラメント製の防虫網状の織物を芯とし、これ
に構造物Dの調整時に得たカチオン交換糸およびアニオ
ン交換糸を各1本ずつ揃えたものを、手縫いによる縫い
糸として使用し、断面を図4に示すように、縫い糸がモ
ノフィラメント織物を覆う形をとって規則的に他面に移
ることを繰り返して、両面のほぼ全面がイオン交換糸で
覆われた構造物を作った。この構造物に使用した繊維状
イオン交換体は合計で0.6g、構造物の厚さは約0.
8mmであった。これを斜交ネットの大きさとし、「斜
交ネットを取り除いた脱塩室室枠」1枚の斜交ネットよ
りなる脱塩室に装着した。したがって脱塩室の膜間距離
は僅か0.85mmである。
【0037】試験条件 (脱塩室の電気抵抗の測定)脱塩室の電気抵抗測定は、
濃縮室および電極室に、純水に塩化ナトリウムを添加し
て調整した、25℃、電導度100μS/cmの水を供
給しつつ、一方、で脱塩室内への水の供給を終始止めた
状態とし、最初に、内部のイオン交換体を遊離型にする
ために15mA(イオン交換膜の膜面積当たりの電流密
度は30mA/dm2)の電流を7日間流し続けた後、
電流値を変化させ電流/電位差の関係を求めこれをグラ
フ化し、15mA付近の勾配として電気抵抗を求めた。
電位差は、脱塩室を挟む両濃縮室内の脱塩室側のイオン
交換膜に接触して設定した白金黒線より取り出した電位
差を測定しており、したがって、求めた脱塩室の電気抵
抗は両端のイオン交換膜の抵抗を含むものである。
【0038】(脱塩性能および通水性)脱塩室には、脱
塩水に塩化ナトリウムを溶解して電導度20μS/cm
に調整した水を被脱塩水とし、上昇流で脱塩室内容積の
30倍/hrの流量(SV=30)でもって供給した。
一方、濃縮室および電極室にも、同じ電導度20μS/
cmの水を供給した。この状態で電極間に15mAの電
流を流し続け、脱塩室より出てくる水の比抵抗を継続し
て測定し、また、脱塩室入口と出口の圧力差を測定し通
水性の尺度とした。
【0039】試験結果 本発明イオン交換性構造物および比較用挿入物を装着し
た脱塩室の電気抵抗、および脱塩運転時の脱塩室通過水
の圧力損失の測定結果を表1に示す。脱塩試験では、脱
塩水の比抵抗は通電開始とともに徐々に向上し、やがて
安定する挙動をたどり、脱塩室に装着した構造物A、
B、C、D、E(それぞれ実施例1,2,3,4,5)い
ずれの場合にも比抵抗15MΩ・cmを越える純水を長
時間継続して得ることができた。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明イオン交換性構造物を脱塩室に装
着することにより、良好な通水性と優れたイオン電導性
を同時実現でき、イオン交換膜を傷め難い、コンパクト
で高性能な純水製造装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスチックネットの断面模式図。
【図2】本発明構造物を装着した脱塩室の断面模式図。
【図3】本発明構造物の断面模式図。
【図4】本発明構造物の断面模式図。
【符号の説明】
1 プラスチックネット 2 繊維状アニオン交換体の繊維層 3 繊維状カチオン交換体の繊維層 4 繊維状イオン交換体の糸 AEM アニオン交換膜 CEM カチオン交換膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1)プラスチックネットを芯とし、2)そ
    の両側にあって該ネットに密着する、繊維状イオン交換
    体を含む繊維層、および3)該繊維層間を所々でイオン
    交換的に接合するイオン交換体、より構成されるシート
    状イオン交換性構造物。
  2. 【請求項2】少なくとも片側の繊維層が、繊維状イオン
    交換体を含んで構成された、不織布、紙、編物、織物よ
    り選ばれるシート状物である、請求項1の構造物。
  3. 【請求項3】繊維層間をイオン交換的に接合するイオン
    交換体が、繊維層より引き出された繊維状イオン交換体
    を含んでなる繊維である、請求項1および2の構造物。
  4. 【請求項4】繊維層間をイオン交換的に接合するイオン
    交換体が、繊維状イオン交換体またはこれを含んで構成
    される糸条物であり、該糸状物によりプラスチックネッ
    トおよび繊維層が縫合されてなる、請求項1および2の
    構造物。
  5. 【請求項5】繊維層間をイオン交換的に接合するイオン
    交換体が、イオン交換樹脂微粒子と結合用重合体との混
    合体である、請求項1および2の構造物。
  6. 【請求項6】繊維状イオン交換体を含んで構成される繊
    維束が、プラスチックネットおよび/または繊維層と交
    絡を形成しつつ、プラスチックネットの少なくとも片面
    で繊維層を形成してなる、請求項1の構造物。
  7. 【請求項7】脱塩室あるいは濃縮室の室枠に固定された
    プラスチックネットを用いて構成された、室枠一体型
    の、請求項1、2,3,4,5および6の構造物。
  8. 【請求項8】電気透析装置の少なくとも脱塩室内に、ア
    ニオン交換膜側に繊維状アニオン交換体を含む繊維層、
    カチオン交換膜側に繊維状カチオン交換体を含む繊維層
    を配した上記構造物を装着してなる電気再生式脱塩装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012039127A1 (ja) * 2010-09-21 2012-03-29 パナソニック株式会社 多孔質イオン交換体、水処理装置、給湯装置、及び多孔質イオン交換体の製造方法
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