JP2002095475A - わさびの新規な抗菌性タンパク質遺伝子 - Google Patents

わさびの新規な抗菌性タンパク質遺伝子

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JP2002095475A
JP2002095475A JP2000284178A JP2000284178A JP2002095475A JP 2002095475 A JP2002095475 A JP 2002095475A JP 2000284178 A JP2000284178 A JP 2000284178A JP 2000284178 A JP2000284178 A JP 2000284178A JP 2002095475 A JP2002095475 A JP 2002095475A
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Shiyouhan Koba
章範 木場
Masahiro Nishihara
昌宏 西原
Saburo Yamamura
三郎 山村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 わさび由来の抗菌性タンパク質、その遺伝
子、及びその利用方法の提供。 【解決手段】 以下の(a)又は(b)のタンパク質及び該タ
ンパク質をコードする遺伝子。(a) ワサビ由来の2種類
の特定のアミノ酸配列のいずれかからなるタンパク質
(b) 該アミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸
が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からな
り、かつ抗菌活性を有するタンパク質及び該タンパク質
をコードするDNA。更に該遺伝子を含有する組換えベ
クター、該組換えベクターを含む形質転換体。該DNA
を含むトランスジェニック植物。該形質転換体を培養に
よる抗菌性タンパク質の製造方法。該抗菌性タンパク質
を有効成分として含む抗菌剤。該タンパク質を含む機能
性食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、わさびから得られ
る新規な抗菌性タンパク質遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、遺伝子工学技術を用いて植物に有
用遺伝子を導入し、植物病害に強い病害耐性植物を作出
する試みが進められている。例えば、植物病原糸状菌で
は灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、ジャガイモ疫病
菌(Phytophthora infestans)、うどんこ病菌(Erysip
he cichoracearum)等、植物病原細菌ではタバコ立ち枯
れ病菌(Ralstonia solanacearum)、イネ白葉枯病菌
(Xanthomonas oryzae)等に対する防御機構の強化を目
的として、抗菌性タンパク質遺伝子の植物への導入が試
みられ、病気に対する抵抗性が高まったという事例が多
数報告されている(西澤ら : 化学と生物 37 : 295-305
など)。
【0003】植物は進化の過程で他の生物からの攻撃に
対する防御の仕組みを獲得してきた。植物は糸状菌、細
菌、ウイルスをはじめとする微生物の攻撃を受けると、
速やかに種々の防御応答を発現する。防御応答のうち代
表的なものとして PR-タンパク質群(Huub & Linthorst
: Crit. Rev. Plant Sci. (1999))の発現が挙げられ
る。 PR-タンパク質はその性質から PR 1〜14 まで知ら
れている。代表的なものとして、β-1,3グルカナーゼ、
キチナーゼ、タウマチン様タンパク質等が挙げられる。
これらPR-タンパク質遺伝子の導入によって、植物は耐
病性を獲得することが報告されている(西澤ら:化学と
生物 37 : 295 (1999))。
【0004】PR-タンパク質群をコードする遺伝子の1
つである PR-1は、ウイルスが感染した際におこる防御
応答の1つである過敏感細胞死に伴って蓄積するタンパ
ク質として同定された(Van Loon & Van Kammen : Vir
ology 40 : 199 (1970))。例えば、タバコにおいて本
遺伝子は多数の遺伝子群から構成されており、各種タバ
コ品種より PR-1a 〜 g の7種の PR-1が同定されて
おり、タンパク質の等電点から塩基性および酸性のPR-
1遺伝子に分類される。PR-1遺伝子は、サリチル酸を
はじめとする防御応答誘導薬剤や糸状菌、細菌、ウイル
スの接種によって誘導される防御関連遺伝子の1つであ
ると考えられる(Van Loon, L.C. & Van Strien, E.A.
: Physiol. Mol. Plant Pathol. 85 (1990))。例え
ば、トマトのPR-1遺伝子 は、疫病菌(Phytophthora i
nfestans)に対して抗菌性を示すことが知られている
(Niderman et al. : Plant Physiol. 108 : 17-27 (19
96))。また、ソラマメ PR-1は、さび病菌の侵入菌糸
の分化を阻害することが知られている(Rauscher et a
l. Plant J. : 625-633 (1999))。しかし、PR-1遺伝
子の詳細な抗菌作用のメカニズムについては未だ解明さ
れていない。
【0005】上記のような防御機構に着目し、植物に由
来するPR-1遺伝子を植物に導入することによって、耐
病性が強化された遺伝子組換え植物の作出が可能であ
る。例えば、PR-1遺伝子を導入したトランスジェニッ
クタバコでは、鞭毛菌亜門に属する糸状菌の1種、疫病
菌(Phytophthora parasitica var nicotianae)および
べと病菌(Peronospore tabaciana)に対して抵抗性を
示した報告事例がある(Alexander et al. : Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA : 90 : 7327-7331 (1993))。
【0006】しかしながら、PR-1遺伝子を導入した形
質転換植物は、上記の疫病菌(Phytophthora parasitic
a var nicotianae)およびべと病菌(Peronospore taba
ciana)等の鞭毛菌に対して耐病性が付与されることは
知られているが、これら鞭毛菌以外の糸状菌や細菌等に
対する病害抵抗性の効力は未だ不明なところが多い。
【0007】一方、各種病害ストレスに耐性な遺伝子組
換え植物の作出を目的として、わさび(Wasabia japoni
ca)からPR-1を含むPR-タンパク質遺伝子を単離した報
告はない。勿論、わさび由来の PR-1遺伝子を病害抵抗
性等のストレス耐性植物の作出を目的として導入した組
み換え植物も知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、わさび由来
の抗菌性タンパク質遺伝子を提供するとともに、本遺伝
子の導入により病害抵抗性の付与されたトランスジェニ
ック植物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を行った結果、わさびから各
種クロマトグラフィーを用いて新規な抗菌性タンパク質
および新規な抗菌性タンパク質をコードする遺伝子を単
離することに成功し、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質
である。 (a)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列か
らなるタンパク質 (b)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列に
おいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは
付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗菌活性を有す
るタンパク質
【0010】さらに、本発明は、以下の(a)又は
(b)のタンパク質をコードする抗菌性タンパク質遺伝
子である。 (a)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列か
らなるタンパク質 (b)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列に
おいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは
付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗菌活性を有す
るタンパク質
【0011】さらに、本発明は、以下の(c)又は
(d)のDNAからなる遺伝子である。 (c)配列番号1若しくは3で表される塩基配列からな
るDNA (d)配列番号1若しくは3で表される塩基配列からな
るDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
し、かつ抗菌活性を有するタンパク質をコードするDN
【0012】さらに、本発明は、前記の遺伝子を含有す
る組換えベクターである。
【0013】さらに、本発明は、前記の組換えベクター
を含む形質転換体である。
【0014】さらに、本発明は、前記のDNAを含むト
ランスジェニック植物である。
【0015】さらに、本発明は、前記の形質転換体を培
養し、得られる培養物から抗菌性タンパク質を採取する
ことを特徴とする抗菌性タンパク質の製造方法である。
【0016】さらに、本発明は、前記の抗菌性タンパク
質を有効成分として含む抗菌剤又は機能性食品である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、液体クロマトグラ
フィーを駆使し、わさび葉から抗菌活性を示す各種の抗
菌性ペプチドの単離を試みた。その結果、分子量約16
kDaのタンパク質を単離し、精製することに成功した。
本タンパク質の抗菌活性を Terras らの方法(Terras e
t al. : J. Biol. Chem. 267 : 15301-15309)で検討し
た結果、灰色カビ病菌(Botrytis cinerea)、リンゴ斑
点落葉病菌(Alternaria alternata)、トルコギキョウ
根腐れ病菌(Fusarium solani)、イネいもち病菌(Mag
naporthe grisea)の生育を著しく阻害することを見い
だした。
【0018】さらに、本抗菌性タンパク質の N 末端お
よび内部アミノ酸配列に基づき、degenerateしたプライ
マーを設計し、RT-PCR によりわさびで発現している本
抗菌性タンパク質遺伝子(タンパクの全コード領域を含
む)の単離を試みた。その結果、わさびから2種の抗菌
性タンパク質遺伝子、わさびPR-1遺伝子1及びわさびP
R-1遺伝子2のクローニングに成功した。
【0019】本発明の抗菌性タンパク質および抗菌性タ
ンパク質遺伝子は、以下のようにしてタンパク質の単離
・精製・抗菌活性評価、および遺伝子のクローニングを
することができる。
【0020】1 タンパク質の精製 タンパク質の供給源としては、わさびの葉、茎、葉柄、
花、根などが挙げられる。タンパク質の精製は上記植物
組織を各種蛋白質分解酵素の阻害剤等を含むリン酸緩衝
液中で摩砕後、イオン交換カラム(Q-セファロース、SP
-セファロース:ファルマシア社製等)、逆相系カラム
(フェニル5PWRP:TOSO社製等)によって単離できる。
その他、ゲルろ過化カラム(Superose12 カラム:ファ
ルマシア製)等での分画も可能である。
【0021】2 タンパク質の抗菌活性 ジャガイモデキストロース培地(PDA)で生育させた各
種微生物を用いて、生育の阻害を見ることで単離したわ
さび PR-1タンパク質 の抗菌活性の検定を行った(Ter
ras et al. : J. Biol. Chem. 267 : 15301-15309)。
【0022】3 わさびPR-1遺伝子のクローニング 1)cDNA の合成および PCR mRNA の供給源としては、わさびの葉、茎、葉柄、花、
根などが挙げられる。mRNA の調製は通常行われる方法
により行うことが可能である。例えば、上記植物組織
を、グアニジン試薬、フェノール試薬等で処理して全 R
NA を得た後、とくに発現量の低い遺伝子を除き、通常
の場合、全 RNA を鋳型に PCR 反応が可能であるが、必
要に応じてオリゴ-dT セルロースやセファロース2Bを
担体とするポリUセファロース等を用いたアフィニティ
ーカラム法、あるいはバッチ法によってもポリ(A)+
RNA(mRNA)を得ることができる。さらに、ショ糖密
度勾配遠心法等によりポリ(A)+RNAをさらに精細
に分画しても良い。
【0023】このようにして得られた全 RNA を鋳型に
オリゴ dT に M13プライマーM4(配列番号5) を付
加したプライマーおよび逆転写酵素を用いて一本鎖cDN
A を合成する。この一本鎖 cDNAを鋳型にわさびPR-1
タンパク質のアミノ酸配列(配列番号2及び4)をもと
に合成したプライマー(配列番号6、7、8、9)とM
13プライマーM4 を用いて PCR 反応によって本発明
の遺伝子を得ることができる。RT-PCRによる本遺伝子の
増幅例を図3に示す。ただし、本発明において用いられ
るプライマーはこれらに限定されるものではない。
【0024】2)塩基配列の決定 得られた PCR 断片をpCR2.1(Invitrogen 社製)、pBlu
eScriptSK(+)(Stratagene社製)等の適切なベクターに
サブクローニング後、塩基配列の決定を行う。塩基配列
の決定はマキサム-ギルバートの化学修飾法、またはM1
3ファージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法等
の公知の手法により行うことができるが、通常は自動塩
基配列決定機(PERKIN-ELMER社製 :ABI PRISM 377 DNA
Sequence System 等)を用いて配列決定が行われる。
【0025】配列番号1および3に、それぞれ本発明の
わさびPR-1遺伝子1および2の塩基配列を、配列番号
2および4に、それぞれ本発明のわさびPR-1タンパク
質1および2のアミノ酸配列を例示するが、このアミノ
酸配列からなるタンパク質が抗菌性を有する限り、当該
アミノ酸配列において少なくとも1個(好ましくは1又
は数個)のアミノ酸に欠損、置換、付加等の変異が生じ
ても良い。
【0026】例えば、配列番号2もしくは配列番号4で
表されるアミノ酸配列の1又は数個、好ましくは1〜1
0個、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失して
も良く、または、配列番号2もしくは配列番号4で表さ
れるアミノ酸配列の少なくとも1個、好ましくは1〜1
0個、さらに好ましくは1〜5個のアミノ酸が付加して
も良く、あるいは、配列番号2若しくは4で表されるア
ミノ酸配列の1又は数個、好ましくは1〜10個、さら
に好ましくは1〜5個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換
しても良い。
【0027】また、上記遺伝子とストリンジェントな条
件下でハイブリダイズすることができる遺伝子も本発明
の遺伝子に含まれる。ストリンジェントな条件とは、例
えば、ナトリウム濃度が 300 - 2000 mM、好ましくは 6
00 - 900 mM であり、温度が40 - 75℃、好ましくは 65
℃の条件下を言う。なお遺伝子の変異を導入する場合
には、Kunkel 法や Grapped duplex 法等の公知の手法
又はこれに準ずる方法により、例えば部位特異的突然変
異誘発法を利用した変異導入キット(例えば Mutant-K
(TAKARA 社製)や Mutant-G (TAKARA 社製))、あるい
は LA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキット(TAK
ARA 社製)を用いることができる。
【0028】一旦本発明の遺伝子の塩基配列が確定され
ると、その後は化学合成によって、または本遺伝子の c
DNA 又はゲノム DNA を鋳型とした PCR によって、ある
いは核塩基配列を有する DNA 断片をプローブとしてハ
イブリダイズさせることにより、本発明の遺伝子を得る
ことができる。
【0029】次に、上記によりクローニングした本発明
遺伝子を導入した形質転換体の作出例、および該形質転
換体の各種植物病原菌に対する抵抗性を示す。なお、こ
こで用いた形質転換植物、および植物病原菌は例示に限
定されるものではない。
【0030】4 本発明のわさびPR-1遺伝子1を導入
した形質転換植物の作出 遺伝子工学的手法を用いて本発明の抗菌タンパク質をコ
ードする DNA を植物宿主に導入する事によって植物病
原糸状菌および植物病原細菌に対して抵抗性を有するト
ランスジェニック植物を作成することができる。従っ
て、遺伝子工学的手法による栽培植物への本抗菌タンパ
ク質遺伝子の導入は、植物を植物病原性糸状菌および植
物病原細菌から防護する有効な手段となる。
【0031】1)ベクターの構築、およびアグロバクテ
リウムの形質転換 前記1で得られた DNA をそのまま又は所望により適当
な制限酵素で消化し、あるいは、適当なリンカーを連結
して使用することができる。DNA を導入するベクターと
して pUC18、pUC19、pUC118、pUC119 等の pUC 系ベク
ター、pBI101、pBI121、pGA482 等のバイナリーベクタ
ーが挙げられる。アグロバクテリウムのバイナリーベク
ターを用いる場合、上記のバイナリーベクターの境界配
列(LB, RB)間に外来遺伝子を挿入し、この組み換えベ
クターを大腸菌内で増幅する。次いで、増幅した組み換
えベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス L
BA4404、EHA101、EHA105、C58C1RifR 等に、凍結融解
法、エレクトロポレーション法等により導入し、これを
植物の形質転換体作出用に用いる。
【0032】植物体内で外来遺伝子などを発現させるた
めには、構造遺伝子の前後に、それぞれ植物用のプロモ
ーターとターミネーターを配置させる必要がある。本発
明で利用するプロモーター配列としては、例えばカリフ
ラワーモザイクウイルス (CaMV) 由来の 35S 転写物[T
he EMBO J. 6:3901-3907 (1987)、トウモロコシのユビ
キチン[Plant Mol. Biol. 18: 675-689 (1992) ]、ノ
パリン合成酵素(NOS)遺伝子、オクトピン(OCT)合成
遺伝子のプロモーターが挙げられ、ターミネーター配列
としては、例えばカリフラワーモザイクウイルス由来や
ノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター等が挙げ
られるが、植物体中で機能することが知られているプロ
モーターやターミネーターであればこれらのものに限定
されない。
【0033】また、必要に応じてプロモーター配列とわ
さびチオニン遺伝子の間に、遺伝子の発現を増強させる
機能を持つイントロン配列、例えばトウモロコシのアル
コールデヒドロゲナーゼ (Adh 1)のイントロン配列[G
enes & Development 1: 1183-1200 (1987)]を導入する
ことができる。さらに効率的に目的の形質転換細胞を選
抜するために、有効な選択マーカー遺伝子を上記のわさ
びPR-1遺伝子と併用することが好ましい。その際に使
用する選択マーカーとしては、抗生物質ハイグロマイシ
ンに対する抵抗性を植物に付与するハイグロマイシンホ
スホトランスフェラーゼ(htp)遺伝子及びビアラフォ
スに対する抵抗性を植物に付与するホスフィノスリシン
アセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子等から選ば
れる1つ以上の遺伝子を使用することができる。
【0034】わさびPR-1遺伝子および選抜マーカー遺
伝子は、単一のベクターに一緒に組み込んでも良いし、
それぞれを別個のベクターに組み込んだ2種類の組換え
DNAを用いてもよい。わさびPR-1遺伝子は前記のよ
うにプレプロ構造をなしており、活性型のわさびPR-1
が生産されるためには、小胞体通過の際に、プレ配列で
あるシグナルペプチドが切断される必要がある。そこで
わさびPR-1遺伝子のシグナルペプチドが他の植物細胞
内でうまく機能しない場合には、これらの遺伝子がその
植物中でうまく切断される様な配列をわさびPR-1遺伝
子上流に配し、ベクター DNA に組み込むことができ
る。
【0035】2)宿主植物への本発明わさびPR-1遺伝
子の導入 本発明において宿主植物とは、植物培養細胞、栽培植物
の植物全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、根
茎、種子等)、または植物組織(例えば表皮、師部、柔
組織、木部、維管束等)のいずれをも意味するものであ
る。植物培養細胞、植物体、植物器官、または植物組織
を宿主とする場合、本発明のタンパク質をコードする D
NA は、採取した植物切片にベクターをアグロバクテリ
ウムのバイナリーベクター法、パーティクルガン法、ま
たはポリエチレングリコール法などで導入し、宿主植物
を形質転換することができる。あるいはプロトプラスト
にエレクトロポレーション法で導入して形質転換植物を
作成することもできる。
【0036】パーティクルガン法などによる直接遺伝子
導入法では選抜マーカー遺伝子を含むベクターとわさび
PR-1 遺伝子を含有するベクターとを混合して同時に
植物の細胞に撃ち込むいわゆる co-transformation 法
により行うことができる。形質転換の結果得られるシュ
ート、毛状根などは細胞培養、組織培養または器官培養
に用いることが可能であり、また従来知られている植物
組織培養法を用いて、適当な濃度の植物ホルモンの投与
などによって植物体に再生させることができる。
【0037】わさび PR-1 遺伝子が導入された植物細
胞は、選択マーカーによるスクリーニング、又はわさび
PR-1 遺伝子もしくはその発現産物の発現解析によ
り、わさび PR-1 遺伝子を保有する形質転換細胞を選
抜することが可能である。得られた植物体は、土壌また
はバーミキュライトを詰めたポットで栽培し、株分けす
ることによって増殖が可能である。このように増殖させ
たわさび PR-1 遺伝子導入植物も本発明の範囲に含ま
れる。本発明によりわさび PR-1 遺伝子導入植物は、
病原性糸状菌や病原性細菌が原因となる各種植物病害を
含むストレスに耐性を有することが期待される。
【0038】3)本発明の遺伝子の植物組織での発現部
位の解析 得られた形質転換植物およびその次世代植物に目的とす
るわさび PR-1 遺伝子が組み込まれていることの確認
は、これらの細胞及び組織から常法に従って DNAを抽出
し、公知の PCR 法又はサザン分析法を用いて導入した
遺伝子を検出することによって行うことができる。ま
た、本発明の抗菌性タンパク質遺伝子の組織内での発現
部位は、例えば各組織における mRNA の発現又はタンパ
ク質の発現を解析することによって確認することができ
る。具体的には本発明の抗菌性タンパク質遺伝子の発現
の確認方法として RT-PCR 法、ノーザン解析法等が挙げ
られる。本発明の抗菌性タンパク質の発現の確認方法と
して、本タンパク質に対する抗体を用いたウエスタン解
析法等が挙げられる。
【0039】5 本発明の新規抗菌性タンパク質の遺伝
子工学的手法による生産 本発明においては、本発明のタンパク質を遺伝子工学的
に得ることができる。 1)組換えベクターの作製 本発明の組み換えベクターは、適当なベクターに本発明
の遺伝子を連結(挿入)する事によって得ることができ
る。本発明の遺伝子を挿入するためのベクターは宿主中
で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラ
スミド DNA、ファージ DNA 等が挙げられる。
【0040】プラスミド DNA としては、大腸菌由来の
プラスミド(例えば pBR322, pBR325, pUC18, pUC119,
pTrcHis, pBlueBacHis 等)、枯草菌由来のプラスミド
(例えば pUB110, pTP5 等)、酵母由来のプラスミド
(例えば YEp13, YEp24, YCp50,pYE52 等)などがあげ
られ、ファージ DNA としてはλファージ等が挙げられ
る。さらにレトロウイルスまたはワクシニアウイルスな
どの動物ウイルス、バキュロウイルス等の昆虫ウイルス
ベクター、ジャガイモエックスウイルス等の植物ウイル
スベクターなどを用いることもできる。
【0041】ベクターに本発明の遺伝子を挿入するに
は、まず、精製された DNA を適当な制限酵素で切断
し、適当なベクター DNA の制限酵素部位又はマルチク
ローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法が
採用される。本発明の遺伝子はその遺伝子の機能が発揮
できるようにベクターに組み込む必要がある。そこで、
本発明に用いるベクターには、本発明遺伝子の他にプロ
モーターや所望によりエンハンサー等のシスエレメン
ト、スプライシングシグナル、ポリ A 付加シグナル、
選択マーカー、リボソーム結合配列(SD 配列)等を含
有するものを連結することができる。なお選択マーカー
としては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピ
シリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げら
れる。
【0042】2)形質転換体の作製 本発明の形質転換体は、本発明の組み換えベクターを目
的遺伝子が発現しうるように宿主中に導入することによ
って得ることができる。ここで宿主としては、本発明の
DNA を発現できるのもであれば特に限定されるもので
はない。例えば、エッシェリヒア・コリ(Escherichia
coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブリチス
(Bacillus subtilis)等のバチルス属、シュードモナ
ス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス
属、リゾビウム・メリロテイ(Rhizobium melilotei)
等のリゾビウム属に属する細菌が挙げられ、サッカロミ
セス・セルビシエ(Saccharomyces cervisiae)、サッ
カロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)等の酵母
が挙げられ、サル細胞(COS 細胞)、チャイニーズハム
スター卵巣細胞(CHO 細胞)等の動物細胞、あるいは S
f19、Sf21 等の昆虫細胞が挙げられる。
【0043】大腸菌等の細菌を宿主とする場合は、本発
明の組み換えベクターが各細菌中で自律複製可能である
とともにプロモーター、リボゾーム結合配列、本発明遺
伝子、転写終結配列により構成されていることが望まし
い。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれてい
ても良い。大腸菌としてはエッシェリヒア・コリ(Esch
erichia coli)K12、DH1、TOP10F等が挙げられ、枯草菌
としてはバチルス・ズブリチス(Bacillus subtilis)M
I114、207-21 等が挙げられる。
【0044】プロモーターとしては、大腸菌等の宿主で
発現できるものであれば何れを用いてもよい。例えば、
trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、
PRプロモーター等の大腸菌由来のプロモータが用いられ
る。tacプロモーター等の人為的に設計されたプロモー
ターを用いてもよい。細菌への組み換えベクターの導入
方法は、細菌に DNA を導入する方法であれば特に限定
されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる
方法(Cohen, SN et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
69 : 2110 (1972))、エレクトロポレーション法が等
が挙げられる。
【0045】酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロ
ミセス・セルビシエ(Saccharomyces cervisiae)、サ
ッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、ピヒ
ア・パストリス(Pichia pastoris)等が用いられる。
この場合、プロモーターとしては酵母で発現できるもの
であれば特に限定されない。例えば、gal1プロモータ
ー、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プ
ロモーター、MFα1プロモーター、PHO5プロモーター、P
GKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、
AOXプロモーター等が挙げられる。
【0046】酵母への組み換えベクターの導入方法は、
酵母に DNA を導入する方法であれば特に限定されるも
のではない。例えばエレクトロポレーション法(Becke
r, D.M. et al. : Methods. Enzymol., 194 : 180 (199
0))、スフェロプラスト法(Hinnen, A. et al. : Proc
Natl. Acad. Sci. USA, 75 : 1929 (1978))、酢酸リ
チウム法(Itoh, H. : J. Bacteriol., 153 : 163 (198
3))等が挙げられる。
【0047】動物細胞を宿主とする場合にはサル細胞
(COS-7)、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(C
HO細胞)、マウス L 細胞、ラット GH3 細胞、ヒト FL
細胞などが用いられる。プロモーターとしては、SRαプ
ロモーター、 SV40プロモーター、LTRプロモーター、CM
Vプロモーター等が用いられる。また、ヒトサイトメガ
ロウイルスの初期遺伝子プロモーター等を用いても良
い。動物細胞への組み換えベクターの導入方法は、例え
ばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リ
ポフェクション法等が挙げられる。昆虫細胞を宿主とす
る場合には、Sf9細胞、Sf21細胞などが用いられる。昆
虫細胞への組み換えベクターの導入方法は、例えばエレ
クトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェ
クション法等が用いられる。
【0048】3)本発明の新規抗菌性タンパク質の生産 本発明の抗菌性タンパク質は、前記形質転換体を培養
し、その培養物から採取することによって得ることがで
きる。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培
養に用いられる通常の方法に従って行われる。大腸菌や
酵母等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養
する培地としては、微生物が資化しうる炭素源、窒素
源、無機塩類等を含有し、形質転換体を効率的に培養し
うる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用い
ても良い。
【0049】炭素源としては、グルコース、フラクトー
ス、スクロース、デンプン、マルトース、デキストリン
等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノ
ール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒
素源としてはアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アン
モニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の
無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の
含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンステ
ィープリカー、カザミノ酸、NZ アミン等が用いられ
る。
【0050】無機物としては、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウ
ム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸
銅、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、塩化コバルト等が用い
られる。培養は通常、振とう培養または通気攪拌培養な
どの好気的条件下で、約30℃で24〜96時間行う。培養期
間中、pH は5.0〜8.0に保持する。pH の調製は無機又は
有機の酸、アルカリ溶液による。
【0051】培養中は必要に応じてアンピシリンやテト
ラサイクリン等の抗生物質を培地に添加しても良い。プ
ロモーターとして誘導性のものを用いた発現ベクターで
形質転換した微生物を培養する場合は、必要に応じてイ
ンデューサーを培地に添加しても良い。例えば、Lacプ
ロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物
を培養する場合は、イソプロピル-β-チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)等を、trpプロモーターを用いた発現ベ
クターで形質転換した微生物を培養する場合は、インド
ールアクリル酸(IAA)等を培地に添加しても良い。
【0052】動物細胞を宿主として得られた形質転換体
を培養する培地としては、一般的に使用されているRPMl
1640培地、DMEN 培地又はこれらの培地に牛胎児血清等
を添加した培地が挙げられる。培養は通常、5%CO2存在
下、20〜30℃で1〜7日行う。培養中は必要に応じてアン
ピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加
しても良い。
【0053】昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体
を培養する培地としては、Grace'sInsect Medium(Grac
e, T.C.C. : Nature, 195:788 (1962))に牛胎児血清等
を添加した培地が挙げられる。培養は通常25℃で1〜7日
行う。培養期間中、pH は6.0〜7.0に保持し、必要に応
じて通気や攪拌を加える。
【0054】培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は
細胞内に生産される場合は、菌体内又は細胞を破砕す
る。一方、本発明のタンパク質が菌体外又は細胞外に分
泌される場合は、培養液をそのまま用いるか、遠心分離
等によって菌体又は細胞を除去後上清を得る。タンパク
質の単離・精製には、一般的に、例えば硫酸アンモニウ
ム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロ
マトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等
を単独であるいは適宜組み合わせて用いることにより、
上記の培養物(細胞破砕液、培養液、又はそれらの上
清)から本発明の抗菌性タンパク質またはその塩を単離
・精製することができる。
【0055】6 本発明の新規抗菌性タンパク質の化学
合成 本発明のタンパク質の化学合成はペプチド合成の常法手
段によって行うことができる。例えば、アジド法、酸ク
ロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC 法、活
性エステル法、カルボイミダーゾール法等が挙げられ
る。また、その合成は、固相合成法および液相合成法の
何れをも適用できる。即ち、本発明のタンパク質を構成
しうるアミノ酸と残余部分を縮合させて、生成物が保護
基を有する場合は保護基を脱離することによって目的の
タンパク質が合成される。縮合法や脱離方法は公知の何
れの方法を用いても良い。
【0056】反応後は、通常の精製法、例えば、溶媒抽
出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグ
ラフィー、再結晶を組み合わせて本発明のタンパク質を
精製できる。本発明のタンパク質はC末端が通常カルボ
キシル基(-COOH)、またはカルボキシレート(-COO-)
であるが、C末端がアミド(-COONH2)、エステル(-COO
R)であってもよい。ここでエステルにおける R は炭素
数7〜12のアラルキル基、炭素数3〜10のシクロアラルキ
ル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルキ
ル基等が挙げられる。さらに本発明のタンパク質にはN
末端アミノ酸残基が保護されているもの、あるいは糖鎖
が結合した糖ペプチド等の複合ペプチドも含まれる。
【0057】7 本発明の新規な抗菌性タンパク質の抗
菌剤としての利用 本発明のタンパク質は、植物病原性糸状菌や細菌に対し
てその抗菌作用を有し、かつ抗菌スペクトラムが広いた
め、特に抗菌剤としての活用が有益である。また、本抗
菌タンパク質は他の農薬と組み合わせた形態、例えば、
殺菌剤(イネ害虫用殺虫剤等)との組み合わせによる殺
虫殺菌剤、植物調整剤(イネわい化剤等)との組み合わ
せによる殺菌植物調整剤としての形態等で使用できる。
即ち、本抗菌タンパク質は単独で、あるいは適当な液
体、固体、又は気体の単体と組み合わせて使用できる。
さらに必要に応じて、液化ガス、噴射剤(フレオン
等)、表面活性剤(乳化剤、分散剤、消泡剤等)等を添
加し、乳剤、油剤、水和剤、粉剤、粒剤、液剤等の製剤
として使用することができる。
【0058】製剤に使用する液体担体としては、例え
ば、キシレン、トルエン、ベンゼン、アルキルナフタレ
ン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロエチレ
ン、塩化メチレン等の塩素化芳香族炭化水素、シクロヘ
キサン、パラフィン等の脂肪族炭化水素、鉱油成分な
ど、そしてエタノール、ブタノール、グリコール等のア
ルコールおよびこれらのエーテル類、ならびにエステル
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニト
リル、水等の極性用材が挙げられ、これらの1種又は2
種以上を混合して使用することができる。水が溶剤とし
て用いられる場合、純水または無機塩類(塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム等)、糖(グルコース、ショ糖等)も
しくは糖アルコール(D- ソルビトール、D- マンニトー
ル等)の水溶液を用いることができる。
【0059】また、製剤に使用する固体担体としては、
例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、ア
タパルジャイト、モンモリナイト、珪藻土等の天然鉱物
粉末、ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩等の合成鉱物粉末、
高分子性天然物(結晶性セルロース、コーンスターチ、
ゼラチン、アルギン酸等)が挙げられ、これらの1種又
は2種以上を混合して使用することができる。
【0060】乳化剤、分散剤、消泡剤等として使用され
る表面活性剤としては、ポリオキエチレン-脂肪酸エス
テル、ポリオキエチレン脂肪アルコールエステル、アル
キルアリールポリグリコールエステル、アルキルスルフ
ォネート、アルキルサルフェート、アリールスルフォネ
ート、アルブミン加水分解物、メチルセルロース、アラ
ビアゴム等が挙げられる。
【0061】有効成分である本発明の抗菌性タンパク質
は、乳剤では0.01〜50重量%、水和剤では0.01〜50重量
%、粉剤では0.01〜10重量%が適当であるが、使用目的
によってはこれらの濃度は適宜変更しても良い。乳剤、
水和剤の場合には、使用に際して水で希釈し、製品重量
の10〜5000倍で使用することができ、好ましくは500〜1
000倍で使用することができる。
【0062】本発明の抗菌剤は、噴霧法、ミスト法、ダ
スト法、散布法、注入法等を用いて植物病原菌に侵され
た植物に直接投与してもよく、あるいは物病原菌に汚染
された土壌に直接投与してもよい。使用法は使用目的に
よって選択されるが、何れの場合にも本発明の抗菌性タ
ンパク質が可能な限り均一に分散されることが望まし
い。本発明の抗菌剤の使用量は、その使用方法によって
異なるが、例えば噴霧法の場合10a当たり、有効成分量
で1〜1000gで噴霧するのが好ましい。
【0063】本発明の抗菌性タンパク質を抗菌剤として
使用すべき対象となる植物病原菌としては、例えば、灰
色かび病菌、アルタナリア菌、いもち病菌、うどんこ病
菌、苗立ち枯れ病菌等が挙げられる。これらの病原菌は
具体的には、灰色かび病菌はキュウリ(Cucumis sativu
s)、トマト(Lycopersicon esculentum)、ピーマン
(Capsicum annum)、レタス(Lactuca sativa)、イチ
ゴ(Fragaria ananassa)、ブドウ(Vitis vinifer
a)、スターチス(Limonium Mill)、トルコギキョウ
(Eustoma grandiflorum)、リンドウ(Gentiana trifl
ora)、タバコ(Nicotiana tabacum)、及びホップ(Hu
mulus luplus)等の栽培植物を侵す病原菌であり、アル
タナリア菌はリンゴ(Malus domestica)、ナシ(Pyrus
L.)、イチゴおよびタバコ等の栽培植物を侵す病原菌
であり、いもち病菌はイネ(Oryza sativa)等の栽培植
物を侵す病原菌であり、うどんこ病菌はリンゴ、ブドウ
及びピーマン等の栽培植物を侵す病原菌であり、苗立ち
枯れ病菌はイネ、レタス等の栽培植物を侵す病原菌であ
る。従って、これらの病原菌による病害の防除又は予防
することを目的として、前記の植物に本発明の抗菌性タ
ンパク質を含む抗菌剤を使用することが好適である。
【0064】さらに、本発明の抗菌性タンパク質は医薬
組成物として使用することができる。本発明のタンパク
質を有効成分として含む医薬組成物は、医薬的に許容さ
れる担体又は添加物を共に含むものであってもよい。こ
のような担体及び添加物の例として、水、医薬的に許容
される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ア
ルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシ
メチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガ
ム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセ
リン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ス
テアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソル
ビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界
面活性剤などが挙げられる。使用される添加物は、本発
明の剤型に応じて上記の中から適宜組み合わせて選択さ
れる。本発明のタンパク質を抗菌剤として使用する場合
は、使用する対象を特に限定するものではない。例え
ば、真菌症、細菌症、変形菌症などについて診断、治療
又は予防を目的として用いることが出きる。これらの疾
病は、単独又は併発したもの若しくは上記以外の他の疾
病を併発したものであっても、本発明のタンパク質の使
用の対象とすることができる。
【0065】本発明のタンパク質を含む医薬組成物は、
経口的又は非経口的に投与することができる。本発明の
タンパク質を経口的に投与する場合は、それに適用され
る錠剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの固形製剤、あるいは
液剤、シロップ剤などの液体製剤などとすればよい。と
くに顆粒剤及び散剤は、カプセル剤として単位量投与形
態とすることができ、液体製剤の場合は使用する際に再
溶解させる乾燥生成物にしてもよい。これら剤型のう
ち、経口用固形剤は、通常それらの組成物中に製剤上一
般に使用される結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、湿潤
などの添加剤を含有する。また、経口用液体製剤は、通
常それらの組成物中に製剤上一般に使用される安定剤、
緩衝剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤などの添加剤
を含有する。
【0066】本発明のタンパク質を非経口的に投与する
場合は、注射剤、坐剤などとすればよい。注射の場合
は、通常単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態で
提供され、使用する際に適当な担体、例えば発熱物質不
含の滅菌した水で再溶解させる粉体であってもよい。こ
れらの剤型は通常それらの組成物中に製剤上一般に使用
される乳化剤、懸濁剤などの添加剤を含有する。注射手
法としては、例えば点滴静脈内注射、静脈内注射、筋肉
内注射、腹腔内注射、皮下注射、皮内注射が挙げられ
る。また、その投与量は、投与対象の年齢、投与経路、
投与回数により異なり、広範囲に変えることができる。
この場合、投与の剤型及びその投与量については被検体
(ヒトおよび動物を包含する)および疾病の種類、症状
を勘案して、本発明による抗菌効果が認められる限り任
意の選択が可能である。例えば、投与量は約0.001〜10m
g/kg 体重であり、好ましくは約0.025〜0.5mg/kg 体重
である。
【0067】8 食品および飼料添加物としての利用 さらに、本発明の抗菌性タンパク質は、胃や腸に存在す
る蛋白質分解酵素によって容易に分解されるため、少な
くとも結果的には経口投与される場合にはその毒性はほ
とんどないものと考えられる。したがって、本発明の抗
菌性タンパク質は食品または飼料添加物として利用する
ことができる。例えば、本抗菌性タンパク質を固体のま
ま、又は液体、好ましくは水に適当な濃度になるように
溶解し、食品又は飼料に、例えば、混合、浸積、塗布、
噴霧等の方法で添加しうる。その結果、本タンパク質は
食肉、魚、野菜等の生鮮食品、又は加工食品、あるいは
豆粉、魚粉飼料等のかび等の発生を防ぐことができる。
例えば、有効成分である本発明の抗菌性タンパク質を水
溶液として用いる場合、0.00005〜0.05重量%、好まし
くは、0.0001〜0.01重量%とすることができる。
【0068】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示して具体的に説
明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものでは
ない。
【0069】[実施例1]わさびWasabia japonicaの新
規抗菌性タンパク質(わさびPR-1)の精製 1)抗菌タンパク質の精製 市販のわさび系統(真妻系)の葉1kg を 10 mM NaH2PO
4、15 mM Na2HPO4、100 mM KCl、2 mM EDTA、1.5% PV
P、2 mM thiourea、1 mM PMSF を含む1リットルの溶液
中で摩砕後、ガーゼで繊維部(細胞壁)を除去後、硫安
塩析により 30-70% 飽和画分を得た。本画分を 80℃ で
15 分間処理し、遠心分離(12,000×g、15分)により
熱変性蛋白質を除去し、熱耐性蛋白質画分を得た。熱耐
性蛋白質画分を滅菌水に対して1晩透析し(分子量 100
0 以下排除)、50 mM Tris-HCl (pH9.0) に調製した。
本画分を50 mM Tris-HCl (pH 9.0) で平衡化した Q-sep
harose カラムに供し、非吸着画分を熱耐性・塩基性蛋
白質画分とした。本画分を硫安 75 % 飽和により濃縮、
透析後、50 mM MES (pH6.0) に調製し、50 mM MES (pH
6.0) で平衡化した SP-sepharose カラムに供した。非
吸着画分を 50 mM MES (pH6.0) にて洗浄後、 0 から
0.5 M の NaCl グラディエントによって溶出した。抗菌
性を有する画分について滅菌水に対して1晩透析後(分
子量 1000 以下排除)、本画分に終濃度 0.1 % になる
ように TFA を加え、0.1 % TFA を含む滅菌水で平衡化
した逆相 HPLC に供し、0 - 50 % のアセトニトリルの
グラディエントによって溶出した。
【0070】2)抗菌活性の測定 ポテトデキストローズ寒天培地(PDA培地)で生育させ
た糸状菌の胞子を後述の低イオン強度液体培地に懸濁
後、胞子数 1×105 および 1×106 個/ml に調製し
た。細菌については、5%トリプトン又は Nutrient blo
th (Difco 社製)中で一晩培養した細菌を同様の培地
でOD 595 nm の吸光度 0.1〜0.2 程度に希釈し用いた。
各蛋白質画分 10μl に対して胞子懸濁液、細菌懸濁液
を 90 μlを混合し、糸状菌の場合 25℃、細菌の場合 3
0℃又は 37℃で 24〜48 時間培養した後、菌の生育を O
D 595 nm の吸光度を測定することによって抗菌活性の
検定を行った。 (1)供試菌 本発明の抗菌性タンパク質の抗菌活性は、糸状菌の代表
例として灰色かび病菌Botrytis cinerea (strain S1)、
リンゴ斑点落葉病菌Alternaria alternata apple patho
type、トルコキキョウ立ち枯れ病菌Fusarium solani (M
artius) Saccardo、イネいもち病菌Magneporte glycea
(Strain P2)を用い、細菌の代表例として大腸菌Escheri
chia coli (DH5α)を用いた。 (2)低イオン強度培地組成(Terras et al. : J. Bio
l. Chem. 267 : 15301-15309) K2HPO4 (2.5 mM), MgSO4 (50 μM), CaCl2 (50 μM), F
eSO4 (5 μM), CuSO4(0.1 μM), Na2MoO4 (2 μM), H3B
O3 (0.5 μM), KI (0.1 μM), ZnSO4 (0.5 μM), MnSO4
(0.1 μM), Glucose (10 g/l), Asparagine (1 g/l),
Methionine (20 mg/ml), Myo-inositol (2mg/l), bioti
n(0.2mg/l), Thiamine-HCl(1mg/l), Pyridoxine-HCl
(0.2 mg/l)
【0071】3)抗菌性の評価 上記の精製方法によって強い抗菌性をもつ画分を得た。
本画分をSDS-PAGE により解析したところ、16.5 kDa の
単純タンパク質であった(図1)。本画分の抗菌活性に
ついて灰色かび病菌、リンゴ斑点落葉病菌、トルコギキ
ョウ根腐れ病菌、イネいもち病菌を用いて詳細に解析し
たところ、これらの病原糸状菌に対して抗菌性を有した
(図2)。各糸状菌の生育を 50 % 阻害する濃度(IC5
0)については上記に菌に対してそれぞれ 14.5、11.0、
6.9、60 μg/ml であった。また、細菌に対する活性に
ついて大腸菌をモデルに行ったところ、大腸菌の生育を
抑制し、IC50 は 100 μg/ml であった。
【0072】[実施例2]新規抗菌性タンパク質(わさ
びPR-1)のアミノ酸配列の決定 1)N末端アミノ酸配列の決定 精製抗菌性タンパク質(わさびPR-1)を常法によりSDS
-PAGE による分画後、PVDF 膜にエレクトロブロッティ
ングした。本ブロット体をタンパク質染色試薬であるポ
ンソーS 0.1%を含む2%酢酸溶液にてタンパク質を検出
後、タンパク質のバンドをナイフで切りだした。N末端
アミノ酸配列に関しては切り出したブロット体を直接エ
ドマン法によってアミノ酸配列を決定した(Takara社;
カスタムサービス)。その結果、N末端アミノ酸配列はP
QDYLRVHNと決定された。
【0073】2)内部アミノ酸配列の決定 精製タンパク質をトリプシンで消化後、消化断片のアミ
ノ酸配列の決定を行った。上記で切り出したブロット体
を0.5%PVP/100mM 酢酸溶液に浸積した。ブロットを蒸
留水で十分洗浄後、100mM重炭酸アンモニウム(pH9.0)
中にて重量比1/10のトリプシンによって、37℃で24時間
反応させた。反応液を回収後、SDS-PAGEによる分画後、
PVDF膜にエレクトロブロッティングし上記の方法にてア
ミノ酸配列の決定を行った。その結果、トリプシン消化
産物の1つに関して、アミノ酸配列がLIHS(N)GGPYGENLと
決定された。
【0074】[実施例3]遺伝子のクローニング法 1)全 RNA の調製 茎頂培養由来のわさびをin vitro で継代培養し、増殖
させたわさびの茎葉よりFast green RNA isolation Kit
(Funakoshi社製) を用いて全RNAを抽出した。
【0075】2)一本鎖cDNA作製 上記1)によって得られた、全RNA(polyA mRNAを含
む)1μg を用いて RT-PCRキット(Takara社製)により
一本鎖cDNAの合成を行った。この反応に用いたプライマ
ーはオリゴ(dT)20の5'側に既知の配列5' -AGTTTTCCCAGT
CACGAC-3'(配列5)を連結したものを用いた。
【0076】
【0077】上記混合物を、42℃、50℃、55℃、60℃の
各温度でそれぞれ10分ずつインキュベートした。次いで
99℃で5分間インキュベートすることによって反応を停
止した。
【0078】3)プライマー作製 新規抗菌性タンパク質(わさびPR-1)遺伝子の増幅に
は5’プライマーとして5' -GTC ACA AAA AAG CTT GAA A
AT AGC CAT TAC-3'(配列番号6)又は 5' -AGCTTG AAA
ATA GCC ATT ACC AAC TAA GAA-3'(配列番号7)、 3'
プライマーとして5' -ACT AGT ACT ATA TCA GCT CTT A
TT TGT ATT-3'(配列番号8)又は5' -TAA ATA TTG ATA
CAC ATC ATG CAT ATG ATG-3' (配列番号9)を用いた
(サワディーテクノロジー社;カスタムサービス)。
【0079】4)RT-PCRによる新規抗菌性タンパク質
(わさびPR-1)遺伝子の増幅 合成された一本鎖cDNAを鋳型として、上記3)で記した
5’プライマーと 3’プライマーでPCR反応を行った。PC
Rの反応組成は以下の通りである。
【0080】
【0081】PCR 反応は、95℃で30秒間の熱変性、55℃
で30秒間のアニーリング、72℃1分間の伸長反応を1サイ
クルとして、30サイクル行った。
【0082】このPCR反応物を1.6%アガロースゲル電気
泳動に供し、約700bpのDNA断片をゲルから切り出した
(図4)。本ゲル片より Quia Gel Extration Kit(キ
アゲン社製)を用いてDNA断片を抽出した。
【0083】次いで、このPCR産物をベクターpCR2.1
(インビトロゲン社製)にTAクローニングを行った。即
ち、pCR2.1ベクターに重量比5〜10倍程度のPCR産物を混
合し、Ligation kit ver. 2(Takara社製)を用いてラ
イゲーションを行った。この組み換えプラスミドを大腸
菌(TOP10F' )に形質転換を行った。単一コロニーをLB
培地中で培養し、QUIA Miniprep Kit(キアゲン社製)
を用いてプラスミドを精製した。
【0084】5)塩基配列の決定 得られたプラスミドを鋳型に M13 RV および T7 プライ
マーを用いて Big DyeSycle sequence Kit(ABI)の方
法に準じてシークエンス反応を行い、ABI PRISM 377 DN
A Sequence System を持ちて塩基配列の決定を行った。
得られた塩基配列については DNASYS および GENETIX
を用いて解析し、BLAST によってホモロジー検索を行っ
た。2種の異なる塩基配列の cDNA が得られ、Wj AFP-2
a およびWj AFP-2b とした。ホモロジー検索の結果複数
の植物で報告されている PR-1と相同性を示した。そこ
でこれら2種の遺伝子についてわさび PR-1遺伝子1及
び2とした。
【0085】[実施例4]わさびゲノム DNA のサザン
ブロット解析 1)ゲノムDNA調製 継代培養し、増殖させてたわさび葉茎から CTAB 法(Fo
cus 12 : 13-15(1990))によってゲノム DNA を調製し
た。すなわち、5g のわさび茎葉を液体窒素で凍結後、
乳鉢、乳棒にて摩砕し、2×CTAB溶液(2%Cetyl trimet
hyl ammonium bromide (CTAB)、0.1M Tris-HCl, pH8.
0、1.4M NaCl、1% PVP)10mlを混合する。55℃で10分間
インキュベート後、クロロホルム/イソアミルアルコー
ル(24:1)を5ml添加後、30分間室温にて振とうした。
3500rpm で遠心分離後、水層部(上清)を回収し、1/10
容量の10%CTAB溶液(10%CTAB、0.7M NaCl)を加え、
転倒混和後、等量の沈殿バッファー(1%CTAB、5 mM Tr
is-HCl, pH8.0、10 mM EDTA)を加え、30分間室温にて
転倒混和した。7000rpm で遠心分離後、沈澱部を5mlの1
M NaCl-TE(1M NaCl、10 mM Tris-HCl, pH8.0、1mM EDT
A)で55℃で溶解し、イソプロパノール5ml加えた。転倒
混和後、3500rpm で遠心分離し、沈澱部を5mlの70%エ
タノールでエタノール沈澱を行い、沈澱部を乾燥後、50
0μlのTEで溶解した。その後、RNase(1μg/ml)処理を
行い、混入した RNAを除去後、フェノール/クロロホル
ム/イソアミルアルコール(25:24:1)抽出後、エタノー
ル沈澱を行い、沈澱部を乾燥後、500μlのTEで溶解し、
ゲノムDNAを得た。
【0086】2)ハイブリダゼーション 上記で得られた、ゲノムDNA をBamHI、EcoRI、HindII
I、PstI、SacIで消化し、その分解産物を1%アガロース
ゲル電気泳動に供した。泳動後、DNA断片をハイボンドN
+メンブラン(アマシャム社製)にトランスファーし、
そのメンブランを高SDSハイブリダイゼーションバッフ
ァー(7%SDS、50%ホルムアミド、5×SSC、2%ブロッキ
ング試薬、50mMリン酸ナトリウム,pH7.0、0.1%N-ラウ
リルサルコシン)中に42℃で1時間以上プレハイブリダ
イゼーションをおこなった。
【0087】次いで、プローブとしてわさびPR-1遺伝
子1の全長cDNAをDIG発光検出キットを用いてDIG標識し
たものを用いて、ハイブリダイゼーションをおこなっ
た。即ち、ハイブリダイゼーションは標識プローブを含
む高SDSハイブリダイゼーションバッファー中で、42℃
で16時間浸積することによっておこなった。次いで、2
×SSC、0.1%SDS中で50℃にて2回、0.1×SSC、0.1%SDS
中で68℃にて2回、メンブランを洗浄した。その後、ア
ルカリフォスファターゼ標識した抗DIG抗体を処理し、
オートラジオグラムを取ってプローブトハイブリダイズ
したバンドを調べた。
【0088】何れの制限酵素でも2本以上のバンド(少
なくとも8本)が認められた(図4)。cDNA 内に存在し
ない制限酵素(BamHI、EcoRI、SacI)で消化した場合に
おいても同様に結果であったことから、本遺伝子は遺伝
子ファミリーを形成しているものと考えられた。
【0089】[実施例5]植物導入用の組み換えベクタ
ーの構築 1)植物導入用組換えベクター p35SWPR-1の構築 わさび PR-1遺伝子1を含むプラスミド10μgを制限酵
素 SalI とBamHI 10単位で消化した後、断片をアガロー
スゲル電気泳動により分画し、約 600 bP のバンドをア
ガロースゲルから切り出した。このゲルより Quiaprep.
gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて 600 bp
の わさび PR-1遺伝子1を含むDNA断片を得た。
【0090】一方、CaMV35S(カリフラワーモザイクウ
イルス)プロモーターとNOS(ノパリン合成酵素)ター
ミネーターを含むプラスミドベクター の 10 μg の D
NA をTE バッファー中で 10 unit ずつの制限酵素BamH
Iと Sal I で消化した後、断片をアガロースゲル電気泳
動により分画し、約 4.5 kb のバンドをアガロースゲル
から切り出した。このゲルより Quiaprep. gel extract
ion kit(キアゲン社製)を用いて 消化されたプラスミ
ドを回収した。
【0091】上記のようにして得られたわさび PR-1 遺
伝子1を含む DNA 断片とベクターDNA 断片を各 5 μl
ずつを混合し、本 DNA 混合液と等量のライゲーション
溶液(DNA ligation kit (Takara 社製) )を加えるこ
とにより連結させた。この連結反応液のうちの 2μL を
市販の大腸菌コンピテントセル DH5α(TOYOBO Co.)100
μL と混合し氷中で 30 分間、 42 ℃で 45 秒間、さ
らに氷中に1分間放置した。このようにして得た大腸菌
の形質転換体を含む溶液に、LB 培地 (1% Bacto tryp
ton, 0.5 % Bact yeast extract, 0.5 % NaCl, 0.1%
グルコース pH7.5) 100 mL を加えて、37℃で1時間培
養した後、スペクチノマイシン 50 mg/Lを有するLB 寒
天培地にプレーティングした。翌日、培地上に出現した
コロニーのうち白色のコロニーの中から1つを選抜し、
スペクチノマイシン 50 mg/Lを含む LB 液体培地で 37
℃で約 6〜12 時間振盪培養した。この培養液から Quia
prep. miniprep. kit(キアゲン社製)を用いてプラス
ミドを調製し、各種の制限酵素を用いて消化してアガロ
ースゲル電気泳動により解析を行うことにより、CaMV35
Sプロモーターの下流にわさび PR-1遺伝子が正常に連
結されているプラスミドを選択し、これを植物導入用組
換えベクター pEbisWPR-1KB(図5参照)とした。
【0092】2)バイナリーベクターpEbisWPR-1KBの構
築 バイナリープラスミドベクター pEBisKB の 10 μg
およびプラスミドベクターp35SWPR-1 10 μgの DNA
を TE バッファー中で 10 unit ずつの制限酵素 SSeI
で消化した後、飽和フェノール抽出を2回行うことによ
り制限酵素を除いた。この抽出液に 100 分の1容の3
M 酢酸ナトリウム、2 倍容のエタノールを加え、- 20
℃に 6 時間放置した。この溶液を 1,500 rpm、4℃で1
0分間遠心分離し、得られた沈殿を減圧下で乾燥させ、1
0 μL の TE に溶解し、DNA ligation kit (Takara C
o.) により連結させた。この連結反応液のうちの 10 mL
を市販の大腸菌コンピテントセル DH5α(TOYOBO Co.)
100 μL と混合し氷中で 30分間、 42 ℃で 45 秒間、
さらに氷中に1分間放置した。このようにして得た大腸
菌の形質転換体を含む溶液に、LB 培地 (1% Bacto tr
ypton, 0.5 % Bact yeast extract, 0.5 % NaCl,
0.1% グルコース pH 7.5) 100 mL を加えて、37℃で1
時間培養した後、スペクチノマイシン 100 mg/L、カナ
マイシン50mg/Lを有するLB 寒天培地にプレーティング
した。翌日、培地上に出現したコロニーのうち白色のコ
ロニーの中から1つを選抜し、スペクチノマイシンとカ
ナマイシンを含む LB 液体培地で 37 ℃で約 6〜12 時
間振盪培養した。この培養液からQuiaprep. miniprep.
kit(キアゲン社製)を用いてプラスミドを調製し、各
種の制限酵素を用いて消化してアガロースゲル電気泳動
により解析を行うことにより、わさび PR-1 遺伝子が
正常に連結されているプラスミドを選択し、これを植物
導入用組換えベクター pEbisWPR-1KB(図5参照)とし
た。本ベクターをアグロバクテリウムに公知の方法によ
りトランスフォームし、植物の形質転換に用いた。
【0093】[実施例6]タバコへのわさびPR-1遺伝
子の導入 1)タバコへのpEbisWPR-1KBの導入 (1) タバコ植物体の育成 タバコ(Nicotiana tabacum SR1)の完熟種子を1%次
亜塩素酸で消毒後、MS培地(MS培地 + 3%ショ糖)、
0.9% 寒天固形培地)に置床して発芽・伸長を誘発す
る。1-2ヶ月間培養後、アグロバクテリウムに感染可能
な十分に展開した葉が得られた。
【0094】(2)バイナリーベクター pEbisWPR-1KB
の導入 十分展開したタバコの葉を外植片として約1cm四方に
切断し、1夜培養したpEbisWPR-1KBを有するアグロバ
クテリウム菌液にその外植片を約1分間浸漬し、付着し
た余分な菌液を濾紙で軽く拭い取りMS培地上に移し、2
日間共存培養した。
【0095】(3) 形質転換細胞の選抜および植物体
への再生 共存培養後の葉外植片を再分化培地(MS培地 +3%ショ
糖+1mg/mL BAP+0.1mg/mL NAA, 500ng/mLカルベニシリン
+ 5 mg/L ビアラフォス+ 0.9 % 寒天固形培地)に移
し、1ヶ月後に形成したカルス上に生じた不定芽を切り
出し、発根培地(MS培地 +500ng/mLカルベニシリン+5
mg/L ビアラフォス+ 0.2 % ゲランガム固形培地)に置
床し、発根を誘導した。選抜薬剤としては、ビアラフォ
スの他にカナマイシン等を用いることもできる。
【0096】
【発明の効果】本発明により、わさび抗菌性タンパク
質、遺伝子、組み換えベクター、形質転換体、トランス
ジェニック植物、抗菌タンパク質の製造方法、及び抗菌
剤が提供される。
【0097】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> IWATE-KEN <120> Antimicrobial protein <130> P00-0717 <140> <141> <160> 9 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 679 <212> DNA <213> Wasabia japonica <220> <221> CDS <222> (44)..(526) <400> 1 gtcacaaaaa agcttgaaaa tagccattac caactaagaa aaa atg aaa gtc att 55 Met Lys Val Ile 1 agc tat tct cga ctt cta cta atc ttg gca gcc ctt gta gga gct att 103 Ser Tyr Ser Arg Leu Leu Leu Ile Leu Ala Ala Leu Val Gly Ala Ile 5 10 15 20 gtt ctc ccc tcg aag gct caa gac agc cca caa gac tat cta agg gtt 151 Val Leu Pro Ser Lys Ala Gln Asp Ser Pro Gln Asp Tyr Leu Arg Val 25 30 35 cac aac cag gca cga gca gcg gta ggc gtt ggc ccc atg cag tgg gac 199 His Asn Gln Ala Arg Ala Ala Val Gly Val Gly Pro Met Gln Trp Asp 40 45 50 gac agg gtt gca gcc ttc gct cgg agc tac gca gac caa cga aga ggc 247 Asp Arg Val Ala Ala Phe Ala Arg Ser Tyr Ala Asp Gln Arg Arg Gly 55 60 65 gac tgc agg ctc ata cac tct ggt ggt cct tac ggc gag aac ttg gcc 295 Asp Cys Arg Leu Ile His Ser Gly Gly Pro Tyr Gly Glu Asn Leu Ala 70 75 80 tgg gga agc agc gac tta tct ggc ata agc gcc gtg aac atg tgg gtt 343 Trp Gly Ser Ser Asp Leu Ser Gly Ile Ser Ala Val Asn Met Trp Val 85 90 95 100 aac gag aag gct aac tac aac tac cct tcg aac acg tgc aat gga gtt 391 Asn Glu Lys Ala Asn Tyr Asn Tyr Pro Ser Asn Thr Cys Asn Gly Val 105 110 115 tgt ggt cac tac act cag gtt gtt tgg aga aac tcg gtg aga ctc gga 439 Cys Gly His Tyr Thr Gln Val Val Trp Arg Asn Ser Val Arg Leu Gly 120 125 130 tgt gct aaa gtg agg tgt aac aat ggt gga acc atc atc gtt tgc aac 487 Cys Ala Lys Val Arg Cys Asn Asn Gly Gly Thr Ile Ile Val Cys Asn 135 140 145 tat gat cct cct ggc aat tat gtg aac cag aaa cct tac taatgagtgg 536 Tyr Asp Pro Pro Gly Asn Tyr Val Asn Gln Lys Pro Tyr 150 155 160 tttatatgta tatgcatata aaatacgtgc atacaaaacg tacgtttata tatatatata 596 tatatttaaa taaagagcat catctgcagg atttgtatca atatctatta aagaatacaa 656 ataagagctg atatagtact agt 679 <210> 2 <211> 161 <212> PRT <213> Wasabia japonica <400> 2 Met Lys Val Ile Ser Tyr Ser Arg Leu Leu Leu Ile Leu Ala Ala Leu 1 5 10 15 Val Gly Ala Ile Val Leu Pro Ser Lys Ala Gln Asp Ser Pro Gln Asp 20 25 30 Tyr Leu Arg Val His Asn Gln Ala Arg Ala Ala Val Gly Val Gly Pro 35 40 45 Met Gln Trp Asp Asp Arg Val Ala Ala Phe Ala Arg Ser Tyr Ala Asp 50 55 60 Gln Arg Arg Gly Asp Cys Arg Leu Ile His Ser Gly Gly Pro Tyr Gly 65 70 75 80 Glu Asn Leu Ala Trp Gly Ser Ser Asp Leu Ser Gly Ile Ser Ala Val 85 90 95 Asn Met Trp Val Asn Glu Lys Ala Asn Tyr Asn Tyr Pro Ser Asn Thr 100 105 110 Cys Asn Gly Val Cys Gly His Tyr Thr Gln Val Val Trp Arg Asn Ser 115 120 125 Val Arg Leu Gly Cys Ala Lys Val Arg Cys Asn Asn Gly Gly Thr Ile 130 135 140 Ile Val Cys Asn Tyr Asp Pro Pro Gly Asn Tyr Val Asn Gln Lys Pro 145 150 155 160 Tyr <210> 3 <211> 664 <212> DNA <213> Wasabia japonica <220> <221> CDS <222> (34)..(519) <400> 3 agcttgaaaa tagccattac caactaagaa aaa atg aaa gtc att agc tat tct 54 Met Lys Val Ile Ser Tyr Ser 1 5 cga ctt cta cta atc ttg gca gcc ctt gta gga gct att gtt ctt ccc 102 Arg Leu Leu Leu Ile Leu Ala Ala Leu Val Gly Ala Ile Val Leu Pro 10 15 20 ttg aag gct caa gac agc cca caa gac tat cta agg gtt cac aac cag 150 Leu Lys Ala Gln Asp Ser Pro Gln Asp Tyr Leu Arg Val His Asn Gln 25 30 35 gca cga gcg gcg gta ggc gtt ggc ccc atg cag tgg gac gac agg gtg 198 Ala Arg Ala Ala Val Gly Val Gly Pro Met Gln Trp Asp Asp Arg Val 40 45 50 55 gca gcc ttc gct cgg agc tac gca gac caa cta aga ggc gac tgc agg 246 Ala Ala Phe Ala Arg Ser Tyr Ala Asp Gln Leu Arg Gly Asp Cys Arg 60 65 70 ctc ata cac tct ggt ggt tct tac ggc gag aac ttg gca tgg gga agc 294 Leu Ile His Ser Gly Gly Ser Tyr Gly Glu Asn Leu Ala Trp Gly Ser 75 80 85 agc gac tta tct ggc ata agc gcc gtg aac atg tgg gtt gac gag aag 342 Ser Asp Leu Ser Gly Ile Ser Ala Val Asn Met Trp Val Asp Glu Lys 90 95 100 gct gac tac aac tac cct tcg aac acg tgc aac gga gtt tgt ggt cac 390 Ala Asp Tyr Asn Tyr Pro Ser Asn Thr Cys Asn Gly Val Cys Gly His 105 110 115 tac act cag gtt gtt tgg aga aac tcg gtg aga ctc gga tgt gct aaa 438 Tyr Thr Gln Val Val Trp Arg Asn Ser Val Arg Leu Gly Cys Ala Lys 120 125 130 135 gtg agg tgt aac aat ggt gga acg atc atc gtt tgc aac tat gat cct 486 Val Arg Cys Asn Asn Gly Gly Thr Ile Ile Val Cys Asn Tyr Asp Pro 140 145 150 cct ggc aat tat gtg aac gag aag cct tac aaa tgagtggttt atgtgtatat 539 Pro Gly Asn Tyr Val Asn Glu Lys Pro Tyr Lys 155 160 gcataaaaaa acacgtgcat acaaaacgta cgtttttata tgtacattta aagaaagagc 599 atcatatgca tgatgtgtat caatatttat taaggaatac aaatatgagc tgatatagta 659 ctagt 664 <210> 4 <211> 162 <212> PRT <213> Wasabia japonica <400> 4 Met Lys Val Ile Ser Tyr Ser Arg Leu Leu Leu Ile Leu Ala Ala Leu 1 5 10 15 Val Gly Ala Ile Val Leu Pro Leu Lys Ala Gln Asp Ser Pro Gln Asp 20 25 30 Tyr Leu Arg Val His Asn Gln Ala Arg Ala Ala Val Gly Val Gly Pro 35 40 45 Met Gln Trp Asp Asp Arg Val Ala Ala Phe Ala Arg Ser Tyr Ala Asp 50 55 60 Gln Leu Arg Gly Asp Cys Arg Leu Ile His Ser Gly Gly Ser Tyr Gly 65 70 75 80 Glu Asn Leu Ala Trp Gly Ser Ser Asp Leu Ser Gly Ile Ser Ala Val 85 90 95 Asn Met Trp Val Asp Glu Lys Ala Asp Tyr Asn Tyr Pro Ser Asn Thr 100 105 110 Cys Asn Gly Val Cys Gly His Tyr Thr Gln Val Val Trp Arg Asn Ser 115 120 125 Val Arg Leu Gly Cys Ala Lys Val Arg Cys Asn Asn Gly Gly Thr Ile 130 135 140 Ile Val Cys Asn Tyr Asp Pro Pro Gly Asn Tyr Val Asn Glu Lys Pro 145 150 155 160 Tyr Lys <210> 5 <211> 38 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 5 agttttccca gtcacgactt tttttttttt tttttttt 38 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 6 gtcacaaaaa agcttgaaaa tagccattac 30 <210> 7 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 7 agcttgaaaa tagccattac caactaagaa 30 <210> 8 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 8 actagtacta tatcagctct tatttgtatt 30 <210> 9 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:synthetic DNA <400> 9 taaatattga tacacatcat gcatatgatg 30
【0098】
【配列表フリーテキスト】配列番号5:合成DNA 配列番号6:合成DNA 配列番号7:合成DNA 配列番号8:合成DNA 配列番号9:合成DNA
【図面の簡単な説明】
【図1】わさび抗菌性タンパク質(わさびPR-1)のSDS-
ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真であ
る。
【図2】わさび抗菌性タンパク質(わさびPR-1)の各種
微生物に対する作用を示す図である。
【図3】RT-PCRによるわさびPR-1遺伝子の増幅結果を示
す写真である。
【図4】わさびPR-1遺伝子1のサザンブロット解析結果
を示す写真である。
【図5】植物への遺伝子導入用組換えベクターpEbisWPR
-1barを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 4H011 1/19 1/21 4H045 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 A (72)発明者 山村 三郎 岩手県北上市新穀町一丁目6番27号 メル ベイユ北上1−404号 Fターム(参考) 4B018 MD48 4B021 MC01 MK05 4B024 AA05 BA80 CA04 DA01 EA04 GA11 4B064 AG01 CA19 CC24 DA10 4B065 AA01X AA57X AA87X AA88Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA41 4H011 AA01 AA02 BB19 BB22 DH11 4H045 AA10 AA30 BA10 CA30 EA01 FA72 FA74

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(a)又は(b)のタンパク質。 (a)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列か
    らなるタンパク質 (b)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列に
    おいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは
    付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗菌活性を有す
    るタンパク質
  2. 【請求項2】 以下の(a)又は(b)のタンパク質を
    コードする抗菌性タンパク質遺伝子。 (a)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列か
    らなるタンパク質 (b)配列番号2若しくは4で表されるアミノ酸配列に
    おいて1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは
    付加されたアミノ酸配列からなり、かつ抗菌活性を有す
    るタンパク質
  3. 【請求項3】 以下の(c)又は(d)のDNAからな
    る遺伝子。 (c)配列番号1若しくは3で表される塩基配列からな
    るDNA (d)配列番号1若しくは3で表される塩基配列からな
    るDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズ
    し、かつ抗菌活性を有するタンパク質をコードするDN
  4. 【請求項4】 請求項2または3に記載の遺伝子を含有
    する組換えベクター。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の組換えベクターを含む
    形質転換体。
  6. 【請求項6】 請求項2または3に記載のDNAを含む
    トランスジェニック植物。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の形質転換体を培養し、
    得られる培養物から抗菌性タンパク質を採取することを
    特徴とする抗菌性タンパク質の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の抗菌性タンパク質を有
    効成分として含む抗菌剤。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載のタンパク質を含む機能
    性食品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003088386A (ja) * 2001-09-19 2003-03-25 Iwate Prefecture リンドウ由来の新規抗菌性タンパク質及びその遺伝子
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JP2008120745A (ja) * 2006-11-14 2008-05-29 Univ Kansai 抗菌性のある不凍タンパク質含有植物抽出物
JP2013540442A (ja) * 2010-10-12 2013-11-07 コンスモ エム ヴェルデ ビオテクノロジア ダス プランタス ソシエダット アノニマ 食品防腐剤としての抗微生物ペプチドを含む組成物の使用

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