JP2000083675A - 新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法 - Google Patents

新規タンパク質、それをコードする遺伝子及びそれらの利用法

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JP2000083675A JP10270606A JP27060698A JP2000083675A JP 2000083675 A JP2000083675 A JP 2000083675A JP 10270606 A JP10270606 A JP 10270606A JP 27060698 A JP27060698 A JP 27060698A JP 2000083675 A JP2000083675 A JP 2000083675A
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sequence
protein
thr
seq
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Yoshimitsu Takakura
由光 高倉
Shigeru Kuwata
茂 桑田
Shozo Ota
象三 太田
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Society for Techno Innovation of Agriculture Forestry and Fisheries
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Japan Tobacco Inc
Society for Techno Innovation of Agriculture Forestry and Fisheries
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    • C07K14/37Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi
    • C07K14/375Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from fungi from Basidiomycetes

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低濃度でイネの2大病害であるイモチ
病菌や紋枯病菌などの植物病原菌の生長を抑止できる新
規な抗菌タンパク質を検索、同定し、さらに当該タンパ
ク質の遺伝子をクローニングすること。 【解決手段】 マツタケの水性抽出液から硫安沈殿法で
沈殿する画分から得ることができ、少なくともイネ紋枯
病菌またはイネイモチ病菌に対する抗菌活性を有し、ゲ
ル濾過法による分子量が約210kDであり、SDS−
PAGE法では約50kDと約15kDの成分の存在を
示し、中性水溶液中で60℃10分間の加熱により上記
抗菌活性が保持され、中性水溶液中で80℃10分間の
加熱により上記抗菌活性が失活することを特徴とする抗
菌タンパク質、それをコードする遺伝子並びにそれらの
利用法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌活性を有する
新規なタンパク質、上記タンパク質をコードする遺伝
子、並びに上記タンパク質および上記遺伝子の利用法に
関する。さらに詳細には、本発明は、少なくともイネ紋
枯病菌およびイネイモチ病菌に対する抗菌活性を有する
マツタケ由来タンパク質、上記タンパク質をコードする
遺伝子、並びに上記タンパク質および上記遺伝子の利用
法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物病原菌に対して抗真菌活性あるいは
抗菌活性を有する植物のタンパク質としては、キチナー
ゼ、β-1,3-グルカナーゼなどの溶菌酵素が従来から知
られている。In vitro実験では、これらの酵素は単独で
も効果があるが(Schlumbaum他,(1986) Nature 324: 3
65-367、Broglie 他,(1991) Science 254: 1194-119
7)、一般には2種類以上の酵素を組み合わせて使用す
ることにより、より高い効果が得られることが知られて
いる(Mauch 他,(1988) Plant Physiol. 88:936-942、
Sela-Buurlage 他,(1993) Plant Physiol. 101: 857-8
63)。これら溶菌酵素が糸状菌の生育を抑制する濃度は
一般的には、単独の場合で数十〜数百μg/ml程度、組み
合わせの場合でも各々の酵素当たり数μg/ml程度を必要
とすることが知られている。しかしながら、これらの溶
菌酵素の中で、イネの重要病害であるイモチ病菌(Pyri
cularia oryzae)に対して抗菌的に働くことが証明され
たものは本発明者が知る範囲では未だ報告されていな
い。
【0003】一方、ディフェンシンをはじめとする小分
子量AFP(抗真菌ペプチド;Anti-fungal peptide)も
抗微生物活性を有する。このうちイネのイモチ病菌(Py
ricularia oryzae)と紋枯病菌(Rhizoctonia solani
の両方に対して抗菌的に働くものとしては、Ca-AMP1
(特表平8-505048)及びCB-1(Oita 他,(1996) Biosc
i.Biotech. Biochem. 60:481-483)が、イモチ病菌(Py
ricularia oryzae)に対して抗菌活性があるものとし
て、Rs-AFP1とRs-AFP2(Terras 他,(1992) J. Biol. C
hem. 267: 15301-15309)、及びAce-AMP1(特表平9-501
424)が報告されている。これらの低分子ペプチドは数
μg/ml程度で上記病原菌を含む各種の植物病原菌の生育
を50%阻害する。
【0004】溶菌酵素あるいは低分子量抗菌ペプチドの
遺伝子を単離して、植物に導入し、病害抵抗性植物を作
出しようという試みもなされている(Broglie 他,(199
1) Science 254: 1194-1197., Zhu 他,(1994) Bio/Tec
hnology 12: 807-812., Lin他,(1995) Bio/Technolog
y 13: 686-691., Terras 他,(1995) The Plant Cell
7: 573-588.)。しかし、現状では、必ずしも実用化レ
ベルの抵抗性を付与された植物体が得られていないこと
が多い。この理由としては、導入した遺伝子の発現レベ
ルが低いことがあげられるが、より本質的には、これま
でに報告されている抗菌タンパク質自体の抗菌力が低い
ことによるものと考えられる。従って、従来の抗菌タン
パク質よりさらに強力な抗菌タンパク質を同定して利用
を図ることが望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の1つ
は、比較的低濃度でイネの2大病害であるイモチ病菌と
紋枯病菌をはじめとする様々な植物病原菌の生長を抑止
できる新規な抗菌タンパク質を検索、同定することであ
る。
【0006】本発明の別の目的は、上記の新規タンパク
質をコードする遺伝子をクローニングし、その塩基配列
を特定することである。
【0007】本発明のさらに別の目的は、本発明の遺伝
子を宿主生物(微生物、動物または植物など)に導入し
て形質転換体を作出し、本発明の遺伝子の利用を図るこ
とである。
【0008】本発明のさらに別の目的は、本発明の抗菌
タンパク質を含む抗菌剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
を目的として、本発明者らは、先ず、イモチ病菌および
紋枯病菌に対するin vitroでの抗菌活性を検定するため
のアッセイ系を確立した。次いで、本発明者らは、食用
キノコの一つであるマツタケからタンパク質を抽出し、
イオン交換カラムクロマトグラフィーとゲル濾過カラム
クロマトグラフィーを組み合わせ、各画分を上記アッセ
イ系に供試することにより、抗菌タンパク質画分を同定
し、抗菌タンパク質を単離・精製することに成功した。
さらに本発明者らは、精製タンパク質の部分アミノ酸配
列を決定し、このアミノ酸配列に基づき合成したオリゴ
ヌクレオチドをプライマーとして使用するRT−PCR
法により当該タンパク質をコードする部分長cDNAを
得た。次いで、本発明者らは、この部分長cDNAをプ
ローブとして用いてマツタケ由来のcDNAライブラリ
ーをスクリーニングすることにより、当該タンパク質を
コードする完全長のcDNAを単離し、全塩基配列を決
定した。上記の通り、本発明者らは、マツタケ由来の新
規な抗菌タンパク質の単離とそれをコードするDNAの
クローニングに成功し、また当該タンパク質のアミノ酸
配列と当該DNAの塩基配列を決定して、本発明を完成
するに至った。
【0010】即ち、本発明の第1の側面によれば、マツ
タケの水性抽出液から硫安沈殿法で沈殿する画分から得
ることができ、少なくともイネ紋枯病菌またはイネイモ
チ病菌に対する抗菌活性を有し、ゲル濾過法による分子
量が約210kDであり、SDS−PAGE法では約5
0kDと約15kDの成分の存在を示し、中性水溶液中
で60℃10分間の加熱により上記抗菌活性が保持さ
れ、中性水溶液中で80℃10分間の加熱により上記抗
菌活性が失活することを特徴とする、抗菌タンパク質が
提供される。
【0011】本発明の抗菌タンパク質は、典型的には、
約50kDの成分が配列表の配列番号3に記載のN末端
アミノ酸配列:His Glu Ile Val His Tyr Thr Asp Val
PheIle Ala Gly Ser Gly Pro Ile Ser Xaa Thr Tyr Ala
Arg His Ile Ile Asp AsnThr Ser Thr Thr:を有し、
約15kDの成分が配列表の配列番号4に記載のN末端
アミノ酸配列:Arg Glu Trp Glu Ala Gly Val Thr Asp
Thr Tyr Gly Met Pro Gln Pro Thr Phe His Val Lys Ar
g Thr Asn Ala Asp Gly Asp Arg Asp Gln Arg Met Met
Asn Asp Met Thr Asn Val Ala Asn Met Leu Gly Gly Ty
r Leu Pro Gly Ser Tyr Pro Gln Phe Met Ala Pro Gly
Leu Val Leu His Ile Thr Gly Thrを有する。ここで、X
aaはエドマン分解法で検出されなかった点、およびこの
部分に相当するcDNAによってコードされるアミノ酸
がCysであることから、Cysである可能性が極めて高い。
【0012】本発明の抗菌タンパク質は、典型的には、
配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列;この配列中
に1から複数個のアミノ酸変異を有するアミノ酸配列;
またはこの配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸
配列を有する。
【0013】本発明の抗菌タンパク質は、好ましくは、
配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列と60%以
上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80
%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは9
5%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する。
【0014】本発明の第2の側面によれば、配列表の配
列番号2の部分アミノ酸配列1−25からなるポリペプ
チド;部分アミノ酸配列26−435からなるポリペプ
チド;部分アミノ酸配列436−564からなるポリペ
プチド;部分アミノ酸配列1−435からなるポリペプ
チド;及び部分アミノ酸配列26−564からなるポリ
ペプチド;並びに上記アミノ酸配列の何れかの中に1〜
複数個のアミノ酸変異を有するポリペプチドおよび上記
アミノ酸配列の何れかと50%以上の相同性を有するア
ミノ酸配列を有するポリペプチド;の単独又は何れかの
ポリペプチドの組み合せから成る抗菌タンパク質が提供
される。
【0015】本発明の第2の側面による上記抗菌タンパ
ク質に関して、各々の具体的アミノ酸配列と「50%以
上の相同性を有するタンパク質」という定義は、少なく
とも50%以上の相同性を有していればよいことを意味
するが、好ましくは60%以上、より好ましくは70%
以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは9
0%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する
アミノ酸配列を有するタンパク質が意図される。
【0016】本発明の第3の側面によれば、マツタケの
水性抽出液から硫安75%飽和を使用する硫酸沈殿法で
沈殿する画分を回収する工程;および上記画分をイオン
交換クロマトグラフィーにかけNaCl濃度0.35か
ら0.65Mの濃度で溶出する画分を回収する工程;を
含む、本発明の抗菌タンパク質の製造方法が提供され
る。
【0017】本発明の第4の側面によれば、本発明の抗
菌タンパク質をコードする遺伝子が提供される。
【0018】本発明の遺伝子は、典型的には、配列表の
配列番号1に記載の塩基配列、上記塩基配列中に1〜複
数個の塩基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を有する
塩基配列、または上記塩基配列とストリンジェントな条
件下でハイブリダイズする塩基配列を有する。
【0019】本発明の遺伝子は、一般的には、配列表の
配列番号1に記載の塩基配列と50%以上、好ましくは
60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好まし
くは80%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ま
しくは95%以上の相同性を有する塩基配列を有する。
【0020】本発明の第5の側面によれば、配列表の配
列番号5〜9の何れかに記載のヌクレオチド配列を有す
るオリゴヌクレオチドが提供される。
【0021】本発明の第6の側面によれば、配列表の配
列番号5〜9の何れかに記載のヌクレオチド配列を有す
るオリゴヌクレオチドの何れか2種の組をプライマーと
して用いて、マツタケ子実体cDNAライブラリーを鋳
型にしてPCRを行い本発明の抗菌タンパク質をコード
する遺伝子の一部を増幅し、得られた増幅産物をプロー
ブとして使用して上記cDNAライブラリーをスクリー
ニングして完全長cDNAクローンを単離することを含
む、本発明の遺伝子の単離方法が提供される。
【0022】本発明の第7の側面によれば、本発明の遺
伝子を含む組換えベクターが提供される。本発明の組換
えベクターにおいて、好ましくは、ベクターは発現ベク
ターである。
【0023】本発明の第8の側面によれば、宿主生物に
本発明の組換えベクターを導入して得られる形質転換体
が提供される。
【0024】本発明の第9の側面によれば、本発明の抗
菌タンパク質を有効成分として含む抗菌剤が提供され
る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明に関してさらに詳細
に説明する。本発明の第一の側面によれば、植物病原菌
に対して抗菌効果のあるマツタケ由来のタンパク質が提
供される。本発明のタンパク質は本明細書に記載した特
徴を有する限り、その起源、製法などは限定されない。
即ち、本発明の抗菌タンパク質は、天然産のタンパク
質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現させ
たタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでも
よい。
【0026】本発明のタンパク質は典型的には、配列表
の配列番号2に記載の564個のアミノ酸配列を有す
る。しかし、天然のタンパク質の中にはそれを生産する
生物種の品種の違いや、生態系の違いによる遺伝子の変
異、あるいはよく似たアイソザイムの存在などに起因し
て1から複数個のアミノ酸変異を有する変異タンパク質
が存在することは周知である。なお、本明細書で使用す
る用語「アミノ酸変異」とは、1以上のアミノ酸の置
換、欠失、挿入及び/又は付加などを意味する。本発明
のタンパク質は、クローニングされた遺伝子の塩基配列
からの推測に基づいて、配列番号2に記載のアミノ酸配
列を有するが、その配列を有するタンパク質のみに限定
されるわけではなく、本明細書中に記載した特性を有す
る限り全ての相同タンパク質を含むことが意図される。
相同性は少なくとも50%以上、好ましくは60%以
上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80
%以上、特に好ましくは90%以上、最も好ましくは9
5%以上である。
【0027】一般的に、同様の性質を有するアミノ酸同
士の置換(例えば、ある疎水性アミノ酸から別の疎水性
アミノ酸への置換、ある親水性アミノ酸から別の親水性
アミノ酸への置換、ある酸性アミノ酸から別の酸性アミ
ノ酸への置換、あるいはある塩基性アミノ酸から別の塩
基性アミノ酸への置換)を導入した場合、得られる変異
タンパク質は元のタンパク質と同様の性質を有すること
が多い。遺伝子組換え技術を使用して、このような所望
の変異を有する組換えタンパク質を作製する手法は当業
者に周知であり、このような変異タンパク質も本発明の
範囲に含まれる。
【0028】本発明のタンパク質は、SDS-PAGEで分子量
が約50kD(配列表の配列番号2の配列のうち第26番目
から第435番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドに
相当)、および15kD(第436番目から第564番目のアミ
ノ酸配列からなるポリペプチドに相当)と見積もられる
2つのポリペプチドから成り、ゲル濾過カラムで分子量
がおよそ210kDと推定されることを特徴とするタンパ
ク質として同定された。しかしながら、配列番号2のう
ち第1番目から第25番目のアミノ酸配列からなるポリペ
プチドもこの抗菌タンパク質の一つのサブユニットとな
っている可能性は残る。
【0029】従って、本発明によれば、配列表の配列番
号2の第1番目から第25番目のアミノ酸配列からなるポ
リペプチド;第26番目から第435番目のアミノ酸配列か
らなるポリペプチド;第436番目から第564番目のアミノ
酸配列からなるポリペプチド;第1番目から第435番目の
アミノ酸配列からなるポリペプチド;並びに第26番目か
ら第564番目のアミノ酸配列からなるポリペプチドの単
独又は何れかの組み合せから成る抗菌タンパク質が提供
される。なお、上記ポリペプチドには、本明細書中上記
したような変異を有する相同なポリペプチドも含まれ
る。
【0030】本発明のタンパク質は、例えば後述の実施
例に従ってマツタケ子実体から硫安沈殿法およびイオン
交換カラムクロマトグラフィー等を用いて精製すること
ができ、あるいは本発明による配列表の配列番号1のD
NA配列のうち、第101番目から第1792番目の配列から
成るDNA配列、または第176番目から第1792番目の配
列から成るDNA配列を、大腸菌や酵母あるいは昆虫や
ある種の動物細胞に、それぞれの宿主で増幅可能な発現
ベクターを用いて導入、発現させることにより、当該タ
ンパク質を大量に得ることができると考えられる。
【0031】本発明のマツタケ由来抗菌タンパク質およ
びその遺伝子について、DDBJのBLASTによる相
同性検索を行うと、最も相同性の高いものでもアミノ酸
配列全体同士およびDNA配列全体同士で比較すると、
それぞれ35%、46%の相同性しか有しておらず、これ以
外で相同性のある配列は存在していないことから、本タ
ンパク質は新規なタンパク質であると考えられる。本発
明によってこのタンパク質のアミノ酸配列およびそれを
コードするDNA配列が開示されれば、この配列または
その一部を利用して、ハイブリダイゼーションまたはP
CRなどの遺伝子工学的手法を用いて、他の生物種から
同様の生理活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を容易に単離することができる。このような場合、それ
らの遺伝子がコードする新規タンパク質も本発明の範囲
に含まれる。
【0032】本発明のタンパク質の精製および単離は、
硫安沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー(MonoQ、Q
SepharoseまたはDEAEなど)、ゲルろ過カラムクロマト
グラフィー(Superose6または Sephacryl S-200HRなど)
などのタンパク質の精製および単離のために慣用される
方法を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、下
記の実施例に記載するように、細粉化したマツタケを緩
衝液で抽出した後、ろ過し、その上清に硫安(硫酸アン
モニウム)を好適な濃度、例えば75%飽和になるまで
添加して静置することにより本発明のタンパク質を含む
沈殿が得られる。この沈殿をさらに透析した後、イオン
交換クロマトグラフィーにかけ、塩濃度のグラジェント
(例えば、塩化ナトリウムで50mMから1M)で溶出
し、所望のタンパク質を含む画分を回収すればよい。
【0033】本発明はまた、本発明の抗菌タンパク質を
コードする遺伝子をも提供する。遺伝子の種類は特に限
定されず、天然由来のDNA、組換えDNA、化学合成
DNAの何れでもよく、またゲノミックDNAクロー
ン、cDNAクローンの何れでもよい。
【0034】本発明の遺伝子は典型的には、配列表の配
列番号1に記載の塩基配列を有するが、これは本発明の
一例を示すにすぎない下記の実施例で得られたクローン
の塩基配列である。天然の遺伝子の中にはそれを生産す
る生物種の品種の違いや、生態系の違いに起因する少数
の変異やよく似たアイソザイムの存在に起因する少数の
変異が存在することは当業者に周知である。従って、本
発明の遺伝子は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列
を有する遺伝子のみに限定されるわけではなく、本発明
の抗菌タンパク質をコードする全ての遺伝子を包含す
る。
【0035】特に、本発明によってこのタンパク質のア
ミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列が開示さ
れれば、この配列またはその一部を利用して、ハイブリ
ダイゼーションや、PCRという遺伝子工学の基本的手
法を用いて、他の生物種から同様の生理活性を有するタ
ンパク質をコードする遺伝子を容易に単離することがで
きる。このような場合、そのような遺伝子も本発明の範
囲に含まれる。
【0036】相同遺伝子のスクリーニングのために使用
するハイブリダイゼーション条件は特に限定されない
が、一般的にはストリンジェントな条件が好ましく、例
えば、6×SSC、5×Denhardt's、0.1%SDS、
25℃〜68℃などのハイブリダイゼーション条件を使
用することが考えられる。ホルムアミド濃度、塩濃度及
び温度などのハイブリダイゼーション条件を適宜設定す
ることによりある一定の相同性以上の相同性を有する塩
基配列を含むDNAをクローニングできることは当業者
に周知であり、このようにしてクローニングされた相同
遺伝子は全て本発明の範囲の中に含まれる。
【0037】上記のようなハイブリダイゼーションを使
用してクローニングされる相同遺伝子は、配列表の配列
番号1に記載の塩基配列に対して少なくとも50%以
上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以
上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90
%以上、最も好ましくは95%以上の相同性を有する。
【0038】本発明によればまた、配列表の配列番号5
〜9の何れかに記載のヌクレオチド配列を有するオリゴ
ヌクレオチドが提供される。このヌクレオチド配列は、
配列番号3及び4のアミノ酸配列に基づいて、各々のタ
ンパク質をコードする遺伝子断片のクローニングのため
のPCR用プライマーとして設計されたものであり、当
該アミノ酸をコードすることが可能な全ての塩基をミッ
クスしたプライマーである。
【0039】本発明の遺伝子の部分断片は、配列表の配
列番号5〜9の何れかに記載のオリゴヌクレオチドの適
切な組み合せを使用してマツタケ子実体cDNAライブ
ラリーを鋳型にしてPCRを行うことにより増幅させて
単離することができる。かくして得られたPCR産物を
プローブとして使用してさらにcDNAライブラリーを
プラークハイブリダイゼーションなどでスクリーニング
することにより完全長のcDNAクローンを単離するこ
とができる。PCRの手順及び条件、プラークハイブリ
ダイゼーションの条件などは当業者に周知である。
【0040】本発明によればまた、本発明の遺伝子を含
む組換えベクターが提供される。プラスミドなどのベク
ターに本発明の遺伝子のDNA断片を組み込む方法とし
ては、例えば、「Sambrook,J.ら,Molecular Cloning,
A Laboratory Manual, second edition)、Cold Spring
Harbor Laboratory,1.53(1989)」に記載の方法などが挙
げられる。簡便には、市販のライゲーションキット(例
えば、宝酒造製等)を用いることもできる。このように
して得られる組換えベクター(例えば、組換えプラスミ
ド)は、宿主細胞(例えば、E-coil TB1, LE392 または
XL-1Blue等)に導入される。
【0041】プラスミドを宿主細胞に導入する方法とし
ては、「Sambrook,J.ら,MolecularCloning, A Laborat
ory Manual, second edition),Cold Spring Harbor Lab
oratory,1.74(1989)」に記載の塩化カルシウム法または
塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、エレクトロポレー
ション法、エレクトロインジェクション法、PEGなどの
化学的な処理による方法、遺伝子銃などを用いる方法な
どが挙げられる。
【0042】べクターは、簡便には当業界において入手
可能な組換え用べクター(例えば、プラスミドDNAな
ど)に所望の遺伝子を常法により連結することによって
調製することができる。用いられるべクターの具体例と
しては、大腸菌由来のプラスミドとして、例えば、pBlu
escript、pUC18、pUC19、pBR322などが例示されるがこ
れらに限定されない。
【0043】所望のタンパク質を生産する目的において
は、特に、発現べククーが有用である。発現べクターの
種類は、原核細胞および/または真核細胞の各種の宿主
細胞中で所望の遺伝子を発現し、所望のタンパク質を生
産する機能を有するものであれば特に限定されないが、
例えば、大腸菌用発現ベクターとして、pQE-30、pQE-6
0、pMAL-C2、pMAL-p2、pSE420などが好ましく、酵母用
発現べクターとしてpYES2(サッカロマイセス属)、pPI
C3.5K、pPIC9K、pAO815(以上ピキア属)、昆虫用発現
ベクターとしてpBacPAK8/9、pBK283、pVL1392、pBlueBa
c4.5などが好ましい。
【0044】形質転換体は、所望の発現べクターを宿主
細胞に導入することにより調製することができる。用い
られる宿主細胞としては、本発明の発現べクターに適合
し、形質転換され得るものであれば特に制限はなく、本
発明の技術分野において通常使用される天然の細胞、ま
たは人工的に樹立された組換え細胞など種々の細胞を用
いることが可能である。例えば、細菌(エシェリキア属
菌、バチルス属菌)、酵母(サッカロマイセス属、ピキ
ア属など)、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞などが挙げ
られる。
【0045】宿主細胞は、大腸菌、酵母または昆虫細胞
が好ましく、具体的には、大腸菌(M15、JM109、BL21
等)、酵母(INVSc1(サッカロマイセス属)、GS115、K
M71(以上ピキア属)など)、昆虫細胞(BmN4、カイコ
幼虫など)などが例示される。また、動物細胞としては
マウス由来、アフリカツメガエル由来、ラット由来、ハ
ムスタ−由来、サル由来またはヒト由来の細胞若しくは
それらの細胞から樹立した培養細胞株などが例示され
る。さらに、植物細胞に関しては、細胞培養が可能であ
れば特に限定されないが、例えば、タバコ、アラビドプ
シス、イネ、トウモロコシ、コムギ由来の細胞などが例
示される。
【0046】宿主細胞として細菌、特に大腸菌を用いる
場合、一般に発現べクターは少なくとも、プロモーター
/オペレーター領域、開始コドン、所望の抗菌タンパク
質をコードする遺伝子、終止コドン、ターミネーターお
よび複製可能単位から構成される。
【0047】宿主細胞として酵母、植物細胞、動物細胞
または昆虫細胞を用いる場合には、一般に発現べクター
は少なくとも、プロモーター、関始コドン、所望の抗菌
タンパク質をコードする遺伝子、終止コドン、ターミネ
ーターを合んでいることが好ましい。またシグナルペブ
チドをコードするDNA、エンハンサー配列、所望の遺
伝子の5'側および3'側の非翻訳領域、選択マーカー領
域または複製可能単位などを適宜含んでいてもよい。
【0048】本発明のべクタ−において、好適な開始コ
ドンとしては、メチオニンコドン(ATG)が例示され
る。また、終止コドンとしては、常用の終止コドン(例
えば、TAG、TGA、TAAなど)が例示される。
【0049】複製可能単位とは、宿主細胞中でその全D
NA配列を複製することができる能力をもつDNAを意
味し、天然のプラスミド、人工的に修飾されたプラスミ
ド(天然のプラスミドから調製されたプラスミド)およ
び合成プラスミド等が含まれる。好適なプラスミドとし
ては、E.coilではブラスミドpQE30、pETまたはpCALもし
くはそれらの人工的修飾物(pQE30、pETまたはpCALを適
当な制限酵素で処理して得られるDNAフラグメント)
が、酵母ではプラスミドpYES2もしくはpPIC9Kが、また
昆虫細胞ではプラスミドpBacPAK8/9等があげられる。
【0050】エンハンサー配列、ターミネーター配列に
ついては、例えば、それぞれSV40に由来するもの等、当
業者において通常使用されるものを用いることができ
る。
【0051】選択マーカーとしては、通常使用されるも
のを常法により用いることができる。例えばテトラサイ
クリン、アンピシリン、またはカナマイシンもしくはネ
オマイシン、ハイグロマイシンまたはスペクチノマイシ
ン等の抗生物質耐性遺伝子などが例示される。
【0052】発現べクターは、少なくとも、上述のプロ
モータ−、開始コドン、所望の抗菌タンパク質をコード
する遺伝子、終止コドン、およびターミネーター領域を
連続的かつ環状に適当な複製可能単位に連結することに
よって調製することができる。またこの際、所望により
制限酵素での消化やT4DNAリガーゼを用いるライゲ
ーション等の常法により適当なDNAフラグメント(例
えば、リンカー、他の制限酵素部位など)を用いること
ができる。
【0053】本発明の発現べクターの宿主細胞への導入
[形質転換(形質移入)]は従来公知の方法を用いて行
うことができる。例えば、細菌(E. coil, Bacillus su
btilis等)の場合は、例えばCohenらの方法[Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)]、プロトプラスト法[Mo
l.Gen.Genet.,168,111(1979)]やコンピテント法[J.Mol.
Biol.,56,209(1971)]によって、Saccharomyces cerevis
iaeの場合は、例えばHinnenらの方法[Proc.Natl.Acad.S
ci.USA,75,1927(1978)]やリチウム法[J.Bacteriol.,15
3,163(1983)]によって、植物細胞の場合は、例えばリー
フディスク法[Science,227,129(1985)]、エレクトロポ
レ−ション法[Nature,319,791(1986)]によって、動物細
胞の場合は、例えばGrahamの方法[Virology,52,456(197
3)]、昆虫細胞の場合は、例えばSummersらの方法[Mol.C
ell.Biol.,3,2156-2165(1983)]によってそれぞれ形質転
換することができる。
【0054】本発明のタンパク質は極めて強力な抗菌活
性をもつ。例えばイネのイモチ病菌に対しては20ng
/mlという非常に低い濃度で胞子の発芽を完全に抑制
する(後述の実施例2を参照)。この濃度においては長
時間のインキュベーションの後にも胞子の発芽はみられ
ないことから、本発明のタンパク質のイモチ病菌に対す
る効果は、生長の部分的阻害というよりはむしろ、殺菌
効果であると考えられる。このような低い濃度(ナノグ
ラムオーダー)で、病原菌の生育を完全に抑止できる抗
菌タンパク質は本発明者の知る範囲では現在までに報告
されていない。後述の実施例においては、抗菌タンパク
質の精製のための抗菌アッセイのための植物病原菌とし
てイネの最重要病害であるイモチ病菌と紋枯病菌を使用
したが、同定したマツタケ抗菌タンパク質が、これら以
外の植物病害にも大差ないレベルで抗菌効果を有してい
る可能性は極めて高い。このように本発明のマツタケ由
来の抗菌タンパク質は強い抗菌活性を有していることか
ら、本発明のタンパク質は、抗菌剤や農薬などの薬剤と
してそれが活性のある形で含まれるような製剤として利
用することができる。この場合、本発明のタンパク質を
コードするDNA配列を用いれば、先述のように例えば
大腸菌や酵母などで機能する発現ベクターにそのDNA
を組み込んで大量に製造することができる。
【0055】上記の通り本発明の抗菌タンパク質は、真
菌類あるいは細菌が関与する植物の疾患の予防及び治療
などに利用することが可能である。即ち、本発明によれ
ば、本発明の抗菌タンパク質を有効成分として含む抗菌
剤が提供される。本発明の抗菌剤は通常、植物の全身ま
たは局所的に、散布することができる。
【0056】散布量は、植物の種類、生育段階、症状、
散布方法、処理時間、散布するタンパク質の種類(全長
のタンパク質、該タンパク質の一部を置換、欠失、挿入
及び/又は付加したクンパク質など)、生育している場
所の気候、生育している場所の土壌などにより異なる
が、一日一回から複数回散布することができる。散布量
は種々の条件により変動する。本発明の抗菌剤の散布に
際しては、必要に応じて、溶液剤、懸濁剤、乳濁剤など
を混合して散布することも可能である。水性または非水
性の溶液剤、懸濁剤としては、一つまたはそれ以上の活
性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤として混合
される。水性の希釈剤としては、例えば蒸留水、食塩水
などが挙げられる。非水性の希釈剤としては、例えばプ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリー
ブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類
などが挙げられる。
【0057】このような抗菌組成物は、さらに防腐剤、
湿潤剤、乳化剤、分散別または安定化剤(例えばアルギ
ニン、アスパラギン酸など)などの補助剤を含んでいて
もよい。これらは、必要に応じてバクテリア保留フィル
ターを通す濾過、殺菌剤の配合または照射によって無菌
化される。これらはまた、例えば凍結乾燥法などによっ
て無菌の固体組成物の形態で製造し、使用前に無菌の蒸
留水または他の溶媒に溶解して使用することもできる。
【0058】このようにして得られる抗菌剤の剤形とし
ては、使用する用途に応じて決めればよく、上記のよう
な添加物と混合し、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、液剤、
乳剤等の形態により散布することができる。以下の実施
例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は
実施例によって限定されることはない。
【0059】
【実施例】実施例1:アッセイ系の構築 1)検定系の確立 病原菌の培養:イネいもち病菌(菌株TUS-1、レース33
7;農林水産省東北農業試験場より分譲)はオートミル
培地(Difco社製,1%ショ糖添加)上で培養して分生胞
子を得た.胞子液は10%グリセロールを加えて、-80℃
で保存した。イネ紋枯病菌(菌株JT872)は1/2ジャガイ
モ煎汁培地(PD培地:Difco社製)で2日間培養し、5mm
程度の菌糸塊3個をテフロンホモジナイザーで1/2PD培地
とともに軽く磨砕して得られた断片化菌糸を接種源とし
た。上記の接種源を96穴マイクロタイタープレート(コ
ーニング社製)に1ウエル当たりいもち病菌分生胞子は
約1,000個、紋枯病菌は断片化菌糸が約300個になる様に
100μlの1/2PD培地とともに加え、28℃の恒温器で培養
した。菌の増殖はマイクロプレートリーダー(Bio-Rad
社製Benchmark)で595nmの吸光度を測定した。菌の増殖
に対する塩や緩衝液の影響を、培地にNaClやリン酸緩衝
液、Tris緩衝液、Hepes緩衝液、牛血清アルブミン、ジ
チオスレイトールなどを一定量加えて判定した。
【0060】2)マツタケからのタンパク質抽出 日本産マツタケ10gを予めハサミで細かく切断後、液体
窒素を用いて凍結して乳鉢で細粉となるまで磨砕し、3
倍量の50mM Hepes緩衝液を加えて30分間抽出を行った。
抽出液はミラクロスでろ過後、10,000×g、20分間の遠
心を行った上清に硫安を75%飽和になるように加え
て、一晩4℃で静置した。再度、15,000×g、20分間の遠
心で沈殿させて、沈殿物を3mlの10mM Hepes緩衝液, pH
7.5に溶解し、透析チューブ(Spectra/Por1 MWCO 6-800
0, Spectrum Medical Industries 社製)またはベンゾ
イル化透析チューブ(SIGMA社製)を用いて10mM Hepes
緩衝液、pH7.5に対して透析を行って、不溶物を遠心に
よって除去してマツタケタンパク質試料とした。マツタ
ケタンパク質試料のタンパク質濃度は牛血清アルブミン
(BSA)を標準タンパク質としてBradford法で測定し
た。
【0061】実施例2:抗菌タンパク質の精製 1)マツタケ粗タンパク質試料の抗菌活性 上記のいもち病菌、紋枯病菌の培養系に培養開始直後に
マツタケタンパク質試料を一定量加えて、2日間まで培
養して、吸光度変化を経時的に測定して抗菌活性の有無
について判定した。タンパク質試料は希釈系列を作成
し、抗菌活性に対するdillution end pointを検出し
た。その結果、イモチ病菌と紋枯病菌の両方に対する非
常に高い抗菌活性が見いだされた(表1)。
【0062】
【表1】 表1 マツタケタンパク質のイモチ病菌・紋枯病菌に対する抗菌活性 キノコ 抽出時pH 完全生長阻害濃度(μg/ml) イモチ病菌 紋枯病菌 マツタケ 7.5 0.07<〜0.7 <3.6
【0063】イモチ病菌に対する完全生長阻害濃度は0.
7μg全抽出タンパク質/ml以下と概算され、このことか
ら、マツタケの抽出物の中には極めて高い抗菌活性をも
つ物質が含まれていることが明らかとなった。またその
阻害の様式は、濃度の高い場合は発芽の完全抑制、低い
場合は菌糸の生長阻害が観察された。菌糸の伸長阻害程
度は、明らかに濃度依存的であった。また、イモチ病菌
の細胞は、その細胞質が細胞壁から離れ、原形質分離様
の様相を呈していた。図1は、マツタケタンパク質無添
加の区のイモチ病菌の培養開始後24時間の菌糸の生長度
合いを示し、図2はマツタケ全タンパク質を0.5μg/ml
加えた区のイモチ病菌の培養開始後24時間の菌糸の生長
度合いを示す。
【0064】これらの結果が、タンパク質によるものか
否かを確認するために、まず熱処理を行い、残存活性を
調査した。次に、およその分子量を把握するため、限外
濾過膜により、サンプルを分画した。マツタケタンパク
質サンプルについてイモチに対する抗菌活性を調査し
た。熱処理は60℃、80℃、100℃をそれぞれ10分間行
い、限外濾過膜はセントリカットミニV-10(カットオ
フ分子量10000)、V-20(カットオフ分子量20000)
(ともにクラボウ社製)を用い、膜を通過した画分と、
膜を通過しなかった画分に分けてアッセイを行った。そ
の結果、60℃では活性は保持されたが(多少失活)、80
℃、100℃では活性はほぼ完全に消失した。また用いた
限外濾過膜では、活性はともに膜不通過画分のみに存在
していた(表2)。
【0065】
【表2】表2 マツタケタンパク質の抗菌活性に対する熱処理と分子量による分画の影響 キノコ 熱処理(10分間) 限外濾過膜 60℃ 80℃ 100℃ V-10 V-20 通過画分 不通過画分 通過画分 不通過画分 マツタケ + − − − + − + (+:活性あり −:活性なし)
【0066】熱による失活が見られた点、分子量は少な
くとも20000以上であると見積もられる点から抗菌活性
を示しているのはタンパク性物質であることが強く示唆
された。
【0067】2)イオン交換カラムによる精製 次に抗菌タンパク質の精製を行った。タンパク質試料3.
6 mg/10 mlを先ず、イオン交換カラムMonoQ HR5/5(Pha
rmacia社製)にかけ、抗菌タンパク質を部分精製した。
流速は1ml/分とし、基本緩衝液は50 mM Mes pH 6.0,5
0 mM NaCl、溶出緩衝液は50 mM Mes pH6.0, 1 M NaClを
用い、グラジエント(NaClで50 mMから1M)は、試料を
打った20分後から40分間かけた。各画分(1 ml)の一部
をイモチ病菌に対する抗菌アッセイと、SDS-PAGE電気泳
動に供試した。まず、HPLCのチャートと抗菌活性の強さ
との関係を図3に示した。抗菌活性はMono Qの各画分か
ら5、1、0.2、0.04μlをとり、イモチ病菌に対するアッ
セイを行い、+++(0.2μlまで阻害、0.04μlでは阻
害しない)、++(1μlまで阻害)、+(5μlまで阻
害)、−(5μlでも阻害しない)の4段階で表示した。
その結果、A280と、イモチ病菌に対する抗菌活性により
タンパク質をモニターすると、pH6.0においてイオン強
度(NaCl濃度)が375mM付近に抗菌タンパク質の溶出ピ
ークが現れた。その後、イオン強度が高くなるにつれ、
単位溶出液あたりのタンパク質の抗菌活性は徐々に減少
することが明らかとなった。
【0068】次に各画分から5μlをとり、等量の2×SDS
泳動用緩衝液(Sambrook 他,1989)を加え、95℃で5
分間処理した後、Laemmli (1970)の方法に従い、SDS-PA
GE電気泳動を行った。ゲルは15%のPAGEL(ATTO社製)
を用い、銀染色IIキットワコー(和光純薬社製)によ
りタンパク質を検出した。タンパク質のおよその分子量
と量を見積もるため、分子量マーカー(LMW:Pharmacia
LKB社製、分子量の大きい順に94kD、67kD、43kD、30k
D、20.1kD、14.4kD)を1本のバンドが20 ngとなるよう
に泳動した。電気泳動像と抗菌活性の強さの関係を図4
に示した。各レーンの上に表示した数字は、図3の画分
の番号と同じもので、抗菌活性の強さも図3に準じて表
示した。抗菌活性とリンクすると考えられるタンパク質
のバンドを精査すると、約50 kDと、約15 kDの2つのバ
ンドが有力候補として挙げられた(図4矢印)。これら
2種のバンドの濃度と抗菌活性の度合いは正の相関関係
にあるので、これらのバンドが抗菌タンパク質本体であ
る可能性が強く示唆された。分子量マーカー(67kDのア
ルブミン)から、デンシトメーターにより抗菌タンパク
質の量を推定し、イモチ病菌に対する完全生長阻害濃度
を算出すると、およそ20 ng/mlとなった。
【0069】3)ゲルろ過カラムによる分子量の推定 次に、マツタケ抗菌タンパク質のnativeな状態でのおよ
その分子量を推定するため、また、本当に50 kDと15 kD
の2つのバンドのみが抗菌活性に関与しているか否かを
確認するため、さらにこれら2つのバンドが一つのタン
パク質複合体のサブユニットになっているか否かを推定
するために、上記のMono Q画分の#39をセントリカット
V-20で濃縮し、ゲル濾過カラムSuperose6 HR 10/30(P
harmacia社製)にかけた。流速は0.5 ml/分とし、緩衝
液は上記の基本緩衝液を用いた。まずGel filtration s
tandard (BIO-RAD社製)によりタンパク質の分子量とお
よその溶出時間を把握した後、抗菌活性のあるMono Q
画分を打ち込んだ。その結果、A280でタンパク質をモニ
ターすると210 kDを頂点とする鋭いピークと、22 kDを
頂点とする比較的なだらかなピークが現れた(図5)。
抗菌活性は210 kDのピークと、近接したその前後に集中
し、抗菌活性の総和は、打ち込んだMono Q画分の抗菌活
性量とほぼ一致したことから、マツタケの有する抗菌活
性は、ゲル濾過でおよそ210 kDの分子量を有する単一の
タンパク質に由来することが分かった。また、各フラク
ション(0.25 ml)の20μlをSDS−PAGE電気泳動
後、銀染色すると、210 kD付近にのみ、実施例2の2)
でみられた50 kDと15 kDのバンドが検出された(図
6)。また隣接して泳動したMono Q画分#39(5μl)の
抗菌力(+++)と、Superose 6により分画された抗菌
活性の検出された画分#28〜#32の抗菌力、およびそれ
らの画分のバンドパターンから、抗菌活性に寄与してい
るのは、やはり50 kDと15 kDであることが強く示唆され
た。また分子量の違いでタンパク質を分画するゲル濾過
カラムにおいても、50 kDと15 kDバンドがともに抗菌活
性と挙動を同じくしていたことから、両タンパク質は抗
菌タンパク質のサブユニットを形成しており、相互に結
合していることが示唆された。なお、22kDを含むその他
のフラクションにはメインバンドは見られなかった。
【0070】実施例3:cDNAの単離 1)マツタケタンパク質のアミノ酸配列の解読 上記のmono Q画分#39〜44をセントリカットV-20(ク
ラボウ社製)で濃縮し、SDS−PAGE電気泳動し
た。トリスを除去し、グリシンを含まない緩衝液系でP
VDF膜(ミリポア社製)へ転写し、クマシーブリリア
ントブルーR-250で軽く染色した後、脱色した。その
後、抗菌活性に関与すると考えられた50 kDと、15 k
Dのタンパク質バンドを切り出した。N末端アミノ酸配
列は、気相プロテインシークエンサー(HPG1005A Prote
in Sequencing System)を用いて、エドマン分解法によ
り決定した。
【0071】その結果、50kDタンパク質からは次のよ
うな32アミノ酸(配列番号3) N末端-HEIVHYTDVF IAGSGPISXT YARHIIDNTS TT-C末端
が、また、15kDタンパク質からは次のような67アミノ
酸(配列番号4) N末端-REWEAGVTDT YGMPQPTFHV KRTNADGDRD QRMMNDMTNV
ANMLGGYLPG SYPQFMAPGL VLHITGT- C末端が決定され
た。
【0072】2)ディジェネレートプライマーの設計 1)で決定されたアミノ酸配列を基に、考えられる全て
の塩基がミックスされたプライマーを合成した(Tmは
50〜54℃、( )はdegeneracyを示す)。50kDタンパ
ク質(31アミノ酸分を解読)から2つのプライマー、MT
50R1(5'-caytwyacigaygtittyathgc-3'(96))(配列番
号5)、およびMT50F1(5'-gtigaigtrttrtcdatdatrtg-
3'(72))(配列番号6)を、15kDタンパク質(67アミ
ノ酸分を解読)から3つのプライマーMT15R1(5'-aciga
yacitayggiatgcc-3'(4))(配列番号7)、MT15F-1(5'
−crttigtcatrtcrttcatca-3'(8))(配列番号8)、お
よびMT15F-2(5'-aaicciggigccatraaytg-3'(4))(配列
番号9)を合成した(ただし、iはイノシン、yはcまた
はt、rはaまたはg、wはaまたはt、hはcまたはaまたは
t、dはgまたはaまたはt、をそれぞれ示す)。
【0073】3)マツタケ子実体cDNAライブラリー
の構築 マツタケ子実体からSDSフェノール法で全核酸を抽出
し、塩化リチウム沈殿により全RNAを回収した。ここ
からmRNA purification kit(Pharmacia社製)によりマ
ツタケmRNAを調製した。子実体約5 gから10μgのm
RNAが得られた。このうち5μgをZAP cDNA synthesis
kit (Stratagene社製)に供試し、cDNAを合成し
た。ゲル濾過カラムにより1〜5 kbのcDNAを分画
し、Uni-ZAP XRベクター(Stratagene社製)にライゲー
ションし、Gigapack III(Stratagene社製)によりパッ
ケージングを行った。全ての手順はキット添付の説明書
に従った。構築したマツタケcDNAライブラリーのタ
イターは、およそ100万pfuと算出された。
【0074】4)RT−PCRによるプローブの取得 2)で合成したプライマーを用いて3)で合成したcD
NAを鋳型にPCRを行い、ライブラリーをスクリーニ
ングするためのプローブとなるマツタケタンパク質の部
分長cDNAの増幅を試みた。反応条件は以下のように
行った。50μlの反応液中に、cDNA 60 ng, 10×Ex taq
緩衝液 5μl, dNTPs 4μl, プライマー10 pmoles / 各
配列, Ex taq (Takara社製)+ Taq START antibody (Cl
ontech社製) 1μl をそれぞれ含み、プログラムテンプ
コントロールシステムPC-700(ASTEK社)を用いて、9
4℃ 3分を1回、次いで94℃ 1分、50℃ 1分及び72℃ 2分
のサイクルを40回、最後に72℃ 6分を1回行った。その
結果、MT50R1-15F1、MT50R1-15F2のプライマー組み合わ
せにおいて各々1.3kb,1.4kbの産物が増幅された。こ
れらのうち増幅効率のより高かった50R1-15F1の組み合
わせによる1.3kbの断片をゲル精製し、ベクターpCRII
(Invitrogen社製)にクローニングした。サイズの微妙
に異なる6つのクローンに関して塩基配列を決定した結
果、うち2つのクローンにおいて、1)で決定された2
カ所のアミノ酸配列とほとんど(およそ94%)同じ配列
が両方とも含まれていた。このことから、精製した50 k
Dと15 kDの抗菌タンパク質は、この順序で両ペプチドを
含むある一つの前駆体タンパク質から生成することが示
唆された。さらに、RT−PCRにより得られたcDN
Aクローンは、この前駆体タンパク質をコードする配列
であることが強く示唆された。
【0075】5)ゲノミックサザン分析によるコピー数
の推定 マツタケから全DNAを抽出し、5μgのDNAを6種の
制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で分画した
後、Zeta-probeブロッティングメンブレン(BIO-RAD社
製)にアルカリブロッティングした。4)のクローン化
RT−PCR産物をRedi-primeラベリングキット(Amar
sham社製)によりRIラベルし、これをプローブとして
ゲノミックサザン分析を行った。ハイブリダイゼーショ
ン、洗浄の条件は製造業者の説明書に従った。その結
果、EcoRIとXhoI消化では1本、BamHIとPstI消化では2
本、HindIII消化で3本のバンドが検出された。また、S
alI消化では高分子側にスメアーバンドが検出された
(図7)。このことからマツタケタンパク質をコードす
る遺伝子はマツタケゲノム内に最少で1コピー、最多で
も3コピー程度存在することが明らかとなった。EcoRI
のバンドの濃度が濃いことからこれはdoubletであると
考えられ、マツタケ抗菌タンパク質をコードする遺伝子
は、マツタケゲノム中におそらく2コピー存在するので
はないかと考えられた。
【0076】6)完全長cDNAのスクリーニング 4)で得られたクローンをベクターから切り出し、これ
をプローブに用いて3)で構築したマツタケcDNAラ
イブラリーをスクリーニングした。14×10 cmの角形シ
ャーレにZAP cDNA synthesis kit (Stratagene社製)の
説明書に従って、約15,000 pfuのファージを宿主菌XL1-
blue MRF'とともにプレーティングした。プラークをHyb
ond-N+ナイロンメンブレンフィルター(Amersham社
製)に接触させ、製造業者の説明書に従ってアルカリ処
理を行い、DNAを変性させ、メンブレン上に固定させ
た。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件は、Zeta
-probeメンブレンの製造業者の説明書に従って高いスト
リンジェンシーの条件下で行った。1次スクリーニング
で約120,000 pfuのファージから40個の陽性クローン
が得られた。うち16個のクローンに関して、2次スク
リーニング、プラークの精製を兼ねた3次スクリーニン
グを行い、16個全てについてZAP cDNA synthesis kit
(Stratagene社製)の説明書に従って、in vivo excisio
nを行った。その結果、5個(#1、4、5、11及び
14)のクローンが、ファージミドベクターpBluescrip
t SKに組み込まれたcDNAとして回収された。これら
のクローンの長さは1.7〜2.3kbであり、制限酵素分析
から非常によく似た遺伝子由来であることが示唆され
た。
【0077】7)塩基配列の決定 上記の5つのcDNAクローンについて、5'側の塩基
配列およそ500 bpを決定した。得られた塩基配列データ
をGenetyx ver.9.0解析ソフト(Software Development
社製)を用いて解析した。その結果、#1(2.0 kb)と1
4(1.9 kb)は、同じ遺伝子由来であり、#5(2.3 kb)は
このグループとは異なることが示唆された。即ち、#5
の5'側の塩基配列には、1)で決定した50kDの31ア
ミノ酸と非常によく似た配列(31アミノ酸中29アミノ酸
が一致)をコードするDNA配列が存在するが、その読
み枠においては上流域に翻訳開始コドンが現れず、翻訳
終始コドンが連続して現れ、最初の翻訳開始コドンは、
1)で決定した31アミノ酸をコードするDNA配列の直
後に初めて現れた。なお、1)の50kDの配列中で唯
一決定されなかった第19番目のアミノ酸は、その部分
に相当するcDNA配列からシステイン(Cys)である
ことが明らかになった。エドマン分解法では、システイ
ンは解析できないためアミノ酸シーケンシングの際に検
出不能であったのであろう。
【0078】一方、#1と14のクローンにおいては、
1)で決定した31アミノ酸と非常によく似た配列(31ア
ミノ酸中29アミノ酸が一致)が含まれ、その読み枠にお
いて31アミノ酸のN末端から25アミノ酸分上流に翻訳開
始コドンATGが存在していた。しかもその27 bp(同じ読
み枠)上流に翻訳終始コドンTAAが存在していたことか
ら、このATGが翻訳開始点であることが強く示唆され
た。なお、#4(1.8 kb)と11(1.7 kb)は、cDNAイ
ンサートの配列の長さが短く、両クローンとも50kDの
31アミノ酸の一部は保持しているが、それより上流の差
異のある領域が存在していないことから、グループ分け
は困難であった。また、3'側のおよそ500bpの塩基配列
を5つのクローンについて比較したところ、全クローン
とも塩基配列はほぼ一致し、1)で決定した15kDの67
アミノ酸と非常によく似た配列(67アミノ酸中63アミノ
酸が一致)が5つのクローン全てに保存されていた。な
お、ポリA付加部位にはクローン間で差異があり、#1
のそれを起点とした場合、#4、5、11では10塩基上
流、#14では17塩基下流であった。
【0079】以上の結果より、本発明のマツタケ抗菌タ
ンパク質の全情報をコードするのは#1や#14のグル
ープであると考え、よりサイズの大きい、#1クローン
の全塩基配列を決定した。まず、2.0 kbのクローンを内
部にある数カ所の制限部位を利用して、ベクターpBlues
criptへサブクローニングし、M13プライマーを用い
て、ABI PRISM蛍光シークエンサー(Model 310 Genetic
Analyzer , Perkin Elmer社製)で塩基配列を決定し
た。また、制限部位を含むその周辺配列は、内部の塩基
配列を基にプライマーを合成し、配列決定に利用した。
以上のようにしてDNAの両鎖の配列を解読し、全塩基
配列を決定した(図8)。その結果、本発明のマツタケ
由来の抗菌タンパク質をコードするcDNAは全長1946
塩基からなり、564個のアミノ酸をコードしていた(配
列表の配列番号1および2)。アミノ酸配列から推定さ
れる分子量は約61.9kD、等電点は5.68と算出された。
また推定糖鎖付加部位が2カ所(配列表の配列番号2の
アミノ酸番号53〜56、同287〜290のAsn)存在してい
た。
【0080】精製タンパク質から決定されたN末端のア
ミノ酸は、50kDのN末端32アミノ酸が配列表の配列番
号2のアミノ酸配列の26〜57番目のアミノ酸配列に、15
kDのN末端67アミノ酸が同436〜502番目のアミノ酸配
列にそれぞれ相当した。また、配列番号2のアミノ酸配
列のうち、第26番目から第435番目のアミノ酸配列、及
び第436番目から第564番目のアミノ酸配列の分子量を計
算すると、それぞれおよそ45.3kD、13.8kDとなり、
SDS-PAGEから推定された大まかな分子量とほぼ一致し
た。このことから、本発明のマツタケ由来の抗菌タンパ
ク質は、まず前駆体型として翻訳された後、然るべき細
胞内器官においてN末のリーダー配列(25アミノ酸)が
切り離され、またアミノ酸番号435と436の間で切断さ
れ、結果生じたおよそ50kDと15kDの2つのポリペプ
チドが相互に会合し、抗菌活性を発揮すると推定され
る。
【0081】以上の結果から、クローニングしたcDN
Aは本発明のマツタケ由来の抗菌タンパク質をコードす
る遺伝子に由来すると結論された。本発明のマツタケ由
来の抗菌タンパク質のアミノ酸配列およびその遺伝子D
NA配列について、データベース(DDBJ)に対する
相同性検索(BLAST)を実施したところ、最も相同
性の高かったカワラタケのピラノースオキシダーゼに対
してもアミノ酸配列全体同士およびDNA配列全体同士
で比較すると、それぞれ35%、46%の相同性しか有して
おらず、これ以外で相同性のある配列は存在していない
ことから、本タンパク質は新規なタンパク質であると考
えられる。
【0082】
【発明の効果】本発明の配列表の配列番号2の配列また
は、このうち第1番目から第25番目の配列を除いた全配
列あるいは、第26番目から第435番目のアミノ酸配列か
らなるポリペプチドおよび第436番目から第564番目のア
ミノ酸配列からなるポリペプチドを含むことを特徴とす
るタンパク質成分を有効成分として含む製剤を作出すれ
ば、強力な抗菌剤としての利用が期待できる。また、本
発明の配列表の配列番号1のDNA配列のうち、第101
番目から第1792番目の配列であることを特徴とするDN
A配列、または第176番目から第1792番目の配列である
ことを特徴とするDNA配列を、大腸菌や酵母あるいは
昆虫やある種の動物細胞に、それぞれの宿主で増幅可能
な発現ベクターを用いて導入、発現させることにより、
当該タンパク質を大量に安価に得ることができると期待
される。
【0083】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> JAPAN TOBACCO INC. and NORINSUISAN-SENTANGIJUTSU SANNGYOUSHINKOU CENTOR <120> A Novel Protein, a Gene Coding therefor, and A Method of Use thereof <130> 981321 <160> 9
【0084】 <210> 1 <211> 1946 <212> DNA <213> Tricholoma matsutake <400> 1 cttccttcga tttctaggtc tcatattatt tgatacatgc cgcggcatag gggcaaagtc 60 acaggccagg acataaggtc agtcttaccc acctactacc atg ccg ata cgt ctt 115 Met Pro Ile Arg Leu 1 5 tcc aaa gaa aaa atc aac gac ctg ctg caa cgt tct caa ggg gat ctt 163 Ser Lys Glu Lys Ile Asn Asp Leu Leu Gln Arg Ser Gln Gly Asp Leu 10 15 20 act tcc tcg caa gac gaa att gta cat tac act gat gtt ttc att gct 211 Thr Ser Ser Gln Asp Glu Ile Val His Tyr Thr Asp Val Phe Ile Ala 25 30 35 ggc agt ggt ccc att gcc tgt act tac gcc cgc cac atc att gac aat 259 Gly Ser Gly Pro Ile Ala Cys Thr Tyr Ala Arg His Ile Ile Asp Asn 40 45 50 acc tca act aca aag gtc tac atg gcc gaa ata ggt tct caa gat aac 307 Thr Ser Thr Thr Lys Val Tyr Met Ala Glu Ile Gly Ser Gln Asp Asn 55 60 65 cct gtc atc gga gcc cat cac agg aac tcc ata aag ttt cag aaa gac 355 Pro Val Ile Gly Ala His His Arg Asn Ser Ile Lys Phe Gln Lys Asp 70 75 80 85 act gac aag ttt gtg aat atc atc aac ggt gcc ctc cag ccc att tcg 403 Thr Asp Lys Phe Val Asn Ile Ile Asn Gly Ala Leu Gln Pro Ile Ser 90 95 100 att tcg cca tcg gac acc tac cag ccc act ctc gct gta gca gcg tgg 451 Ile Ser Pro Ser Asp Thr Tyr Gln Pro Thr Leu Ala Val Ala Ala Trp 105 110 115 gcg ccg ccc atc gat cct gcc gaa ggc cag ctc gtg att atg gga cac 499 Ala Pro Pro Ile Asp Pro Ala Glu Gly Gln Leu Val Ile Met Gly His 120 125 130 aat ccg aat cag gag gcc ggc ctg aac ctt ccc ggt agc gct gtc acg 547 Asn Pro Asn Gln Glu Ala Gly Leu Asn Leu Pro Gly Ser Ala Val Thr 135 140 145 agg aca gtc ggg gga atg gcg acc cac tgg act tgc gcg tgt cct act 595 Arg Thr Val Gly Gly Met Ala Thr His Trp Thr Cys Ala Cys Pro Thr 150 155 160 165 cca cat gac gaa gag agg gtc aac aac cca gtt gac aag cag gag ttc 643 Pro His Asp Glu Glu Arg Val Asn Asn Pro Val Asp Lys Gln Glu Phe 170 175 180 gac gca ctg ctc gaa cgt gct aaa aca ttg ctc aac gtt cac agc gac 691 Asp Ala Leu Leu Glu Arg Ala Lys Thr Leu Leu Asn Val His Ser Asp 185 190 195 cag tat gac gat tct atc cgt cag ata gtt gtc aaa gag acc ctt cag 739 Gln Tyr Asp Asp Ser Ile Arg Gln Ile Val Val Lys Glu Thr Leu Gln 200 205 210 cag acc ctt gat gcg tcg cgg ggt gtg acc act ctc ccg ctg ggg gtg 787 Gln Thr Leu Asp Ala Ser Arg Gly Val Thr Thr Leu Pro Leu Gly Val 215 220 225 gag cgc cgc acg gac aat cct att tat gtc acc tgg acc ggt gcc gat 835 Glu Arg Arg Thr Asp Asn Pro Ile Tyr Val Thr Trp Thr Gly Ala Asp 230 235 240 245 acc gtc ctt ggt gat gtg ccg aag agt ccc cga ttc gtt ttg gtt aca 883 Thr Val Leu Gly Asp Val Pro Lys Ser Pro Arg Phe Val Leu Val Thr 250 255 260 gag acg aga gtg acg aag ttt att gtc agt gaa acc aat ccg acg cag 931 Glu Thr Arg Val Thr Lys Phe Ile Val Ser Glu Thr Asn Pro Thr Gln 265 270 275 gtt gtt gct gcg ttg cta cgt aac ttg aat aca agc aac gat gaa ctt 979 Val Val Ala Ala Leu Leu Arg Asn Leu Asn Thr Ser Asn Asp Glu Leu 280 285 290 gtc gtg gcc cag agt ttc gtc ata gct tgt gga gca gtc tgc aca ccg 1027 Val Val Ala Gln Ser Phe Val Ile Ala Cys Gly Ala Val Cys Thr Pro 295 300 305 caa atc ctg tgg aac agc aac atc cgc cca cat gcg ctt ggt cgc tac 1075 Gln Ile Leu Trp Asn Ser Asn Ile Arg Pro His Ala Leu Gly Arg Tyr 310 315 320 325 ctc agc gaa cag tcc atg act ttt tgt cag att gtt ctc aag agg agc 1123 Leu Ser Glu Gln Ser Met Thr Phe Cys Gln Ile Val Leu Lys Arg Ser 330 335 340 ata gtc gat tcc atc gct act gac cct cgc ttc gct gcg aag gtt gag 1171 Ile Val Asp Ser Ile Ala Thr Asp Pro Arg Phe Ala Ala Lys Val Glu 345 350 355 gcg cac aag aag aag cac ccc gat gac gtg ctg ccg att cca ttc cac 1219 Ala His Lys Lys Lys His Pro Asp Asp Val Leu Pro Ile Pro Phe His 360 365 370 gag cct gaa cct caa gtg atg att ccg tac acg tcg gac ttc cct tgg 1267 Glu Pro Glu Pro Gln Val Met Ile Pro Tyr Thr Ser Asp Phe Pro Trp 375 380 385 cat gtt cag gtc cat cgc tat gca ttt ggt gat gtt gga ccc aag gcc 1315 His Val Gln Val His Arg Tyr Ala Phe Gly Asp Val Gly Pro Lys Ala 390 395 400 405 gac ccg cgt gtt gtc gtc gat ctg agg ttt ttc ggc aaa tca gat att 1363 Asp Pro Arg Val Val Val Asp Leu Arg Phe Phe Gly Lys Ser Asp Ile 410 415 420 gtc gaa gaa aat cga gtg act ttc ggt ccg aac cct aag cta cgc gac 1411 Val Glu Glu Asn Arg Val Thr Phe Gly Pro Asn Pro Lys Leu Arg Asp 425 430 435 tgg gaa gcg ggt gtt aca gac act tat gga atg cca cag ccg aca ttc 1459 Trp Glu Ala Gly Val Thr Asp Thr Tyr Gly Met Pro Gln Pro Thr Phe 440 445 450 cat gtc aag cgg acc aac gcc gat gga gac cgt gac cag agg atg atg 1507 His Val Lys Arg Thr Asn Ala Asp Gly Asp Arg Asp Gln Arg Met Met 455 460 465 aat gat atg acc aac gtc gcg aac ata ctg ggc ggg tac ctt cct ggc 1555 Asn Asp Met Thr Asn Val Ala Asn Ile Leu Gly Gly Tyr Leu Pro Gly 470 475 480 485 tcc tac cct caa ttt atg gca cct ggt ctc gca cag cac atc acg gga 1603 Ser Tyr Pro Gln Phe Met Ala Pro Gly Leu Ala Gln His Ile Thr Gly 490 495 500 act act cgg atc ggg aca gat gat caa act tct gtt gct gat ccg aca 1651 Thr Thr Arg Ile Gly Thr Asp Asp Gln Thr Ser Val Ala Asp Pro Thr 505 510 515 tca aag gtt cat aac ttc gac aat ctg tgg gtc ggc ggg aat ggg tgc 1699 Ser Lys Val His Asn Phe Asp Asn Leu Trp Val Gly Gly Asn Gly Cys 520 525 530 att cca gat gcg act gcc tgc aac ccg act cgt acg agc gtc gcg tat 1747 Ile Pro Asp Ala Thr Ala Cys Asn Pro Thr Arg Thr Ser Val Ala Tyr 535 540 545 gcg ctt aag ggt gct gag gct gta gtc agt tac ctt ggc gtc tcc 1792 Ala Leu Lys Gly Ala Glu Ala Val Val Ser Tyr Leu Gly Val Ser 550 555 560 tgaaagattc tcgtgtcttg agagcgattc aagtttgaaa agctgtactt aatatatcta 1852 ggtcctgacg ttcgcatttt aacatgtact tgtatccgat tgttgtctta tgtgatgatt 1912 ttcgtcatat ttacttgaaa aaaaaaaaaa aaaa 1946
【0085】 <210> 2 <211> 564 <212> PRT <213> Tricholoma matsutake <400> 2 Met Pro Ile Arg Leu Ser Lys Glu Lys Ile Asn Asp Leu Leu Gln 1 5 10 15 Arg Ser Gln Gly Asp Leu Thr Ser Ser Gln Asp Glu Ile Val His 20 25 30 Tyr Thr Asp Val Phe Ile Ala Gly Ser Gly Pro Ile Ala Cys Thr 35 40 45 Tyr Ala Arg His Ile Ile Asp Asn Thr Ser Thr Thr Lys Val Tyr 50 55 60 Met Ala Glu Ile Gly Ser Gln Asp Asn Pro Val Ile Gly Ala His 65 70 75 His Arg Asn Ser Ile Lys Phe Gln Lys Asp Thr Asp Lys Phe Val 80 85 90 Asn Ile Ile Asn Gly Ala Leu Gln Pro Ile Ser Ile Ser Pro Ser 95 100 105 Asp Thr Tyr Gln Pro Thr Leu Ala Val Ala Ala Trp Ala Pro Pro 110 115 120 Ile Asp Pro Ala Glu Gly Gln Leu Val Ile Met Gly His Asn Pro 125 130 135 Asn Gln Glu Ala Gly Leu Asn Leu Pro Gly Ser Ala Val Thr Arg 140 145 150 Thr Val Gly Gly Met Ala Thr His Trp Thr Cys Ala Cys Pro Thr 155 160 165 Pro His Asp Glu Glu Arg Val Asn Asn Pro Val Asp Lys Gln Glu 170 175 180 Phe Asp Ala Leu Leu Glu Arg Ala Lys Thr Leu Leu Asn Val His 185 190 195 Ser Asp Gln Tyr Asp Asp Ser Ile Arg Gln Ile Val Val Lys Glu 200 205 210 Thr Leu Gln Gln Thr Leu Asp Ala Ser Arg Gly Val Thr Thr Leu 215 220 225 Pro Leu Gly Val Glu Arg Arg Thr Asp Asn Pro Ile Tyr Val Thr 230 235 240 Trp Thr Gly Ala Asp Thr Val Leu Gly Asp Val Pro Lys Ser Pro 245 250 255 Arg Phe Val Leu Val Thr Glu Thr Arg Val Thr Lys Phe Ile Val 260 265 270 Ser Glu Thr Asn Pro Thr Gln Val Val Ala Ala Leu Leu Arg Asn 275 280 285 Leu Asn Thr Ser Asn Asp Glu Leu Val Val Ala Gln Ser Phe Val 290 295 300 Ile Ala Cys Gly Ala Val Cys Thr Pro Gln Ile Leu Trp Asn Ser 305 310 315 Asn Ile Arg Pro His Ala Leu Gly Arg Tyr Leu Ser Glu Gln Ser 320 325 330 Met Thr Phe Cys Gln Ile Val Leu Lys Arg Ser Ile Val Asp Ser 335 340 345 Ile Ala Thr Asp Pro Arg Phe Ala Ala Lys Val Glu Ala His Lys 350 355 360 Lys Lys His Pro Asp Asp Val Leu Pro Ile Pro Phe His Glu Pro 365 370 375 Glu Pro Gln Val Met Ile Pro Tyr Thr Ser Asp Phe Pro Trp His 380 385 390 Val Gln Val His Arg Tyr Ala Phe Gly Asp Val Gly Pro Lys Ala 395 400 405 Asp Pro Arg Val Val Val Asp Leu Arg Phe Phe Gly Lys Ser Asp 410 415 420 Ile Val Glu Glu Asn Arg Val Thr Phe Gly Pro Asn Pro Lys Leu 425 430 435 Arg Asp Trp Glu Ala Gly Val Thr Asp Thr Tyr Gly Met Pro Gln 440 445 450 Pro Thr Phe His Val Lys Arg Thr Asn Ala Asp Gly Asp Arg Asp 455 460 465 Gln Arg Met Met Asn Asp Met Thr Asn Val Ala Asn Ile Leu Gly 470 475 480 Gly Tyr Leu Pro Gly Ser Tyr Pro Gln Phe Met Ala Pro Gly Leu 485 490 495 Ala Gln His Ile Thr Gly Thr Thr Arg Ile Gly Thr Asp Asp Gln 500 505 510 Thr Ser Val Ala Asp Pro Thr Ser Lys Val His Asn Phe Asp Asn 515 520 525 Leu Trp Val Gly Gly Asn Gly Cys Ile Pro Asp Ala Thr Ala Cys 530 535 540 Asn Pro Thr Arg Thr Ser Val Ala Tyr Ala Leu Lys Gly Ala Glu 545 550 555 Ala Val Val Ser Tyr Leu Gly Val Ser 560
【0086】 <210> 3 <211> 32 <212> PRT <213> Tricholoma matsutake <220> <221> UNSURE <222> 19 <400> 3 His Glu Ile Val His Tyr Thr Asp Val Phe Ile Ala Gly Ser Gly 5 10 15 Pro Ile Ser Xaa Thr Tyr Ala Arg His Ile Ile Asp Asn Thr Ser 20 25 30 Thr Thr
【0087】 <210> 4 <211> 67 <212> PRT <213> Tricholoma matsutake <400> 4 Arg Glu Trp Glu Ala Gly Val Thr Asp Thr Tyr Gly Met Pro Gln 5 10 15 Pro Thr Phe His Val Lys Arg Thr Asn Ala Asp Gly Asp Arg Asp 20 25 30 Gln Arg Met Met Asn Asp Met Thr Asn Val Ala Asn Met Leu Gly 35 40 45 Gly Tyr Leu Pro Gly Ser Tyr Pro Gln Phe Met Ala Pro Gly Leu 50 55 60 Val Leu His Ile Thr Gly Thr 65
【0088】 <210> 5 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <222> 9 and 15 <223> n represents i(inosine). <400> 5 caytwyacng aygtnttyat hgc
【0089】 <210> 6 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <222> 3 and 6 <223> n represents i(inosine). <400> 6 gtngangtrt trtcdatdat rtg
【0090】 <210> 7 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <222> 3,9 and 15 <223> n represents i(inosine). <400> 7 acngayacnt ayggnatgcc
【0091】 <210> 8 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <222> 5 <223> n represents i(inosine). <400> 8 crttngtcat rtcrttcatc a
【0092】 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <222> 3,6 and 9 <223> n represents i(inosine). <400> 9 aanccnggng ccatraaytg
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、培養開始後24時間のイモチ病菌の生
育状態を示す写真である。
【図2】 図2は、マツタケタンパク質によるイモチ病
菌の生育阻害を例示する写真である。タンパク質濃度は
0.5μg全抽出タンパク質/ml、24時間後の結果を示し
た。
【図3】 図3は、MonoQカラムによるマツタケタンパ
ク質の分離のチャートと、抗菌活性との関係を示す。
【図4】 図4は、MonoQカラムによるマツタケ抗菌タ
ンパク質の分離の電気泳動像と抗菌活性との関係を示
す。レーン上の番号は図3の画分番号に一致し、Mは分
子量マーカーを示す。またレーン下の記号(−、+、+
+、+++)は抗菌活性の強さを示す。抗菌タンパク質
(50kDと15kD)を矢印で示した。
【図5】 図5は、Superose6によるマツタケ抗菌タン
パク質の精製のチャートと抗菌活性との関係を示す。矢
印はGel filtration standard (BIO-RAD社製)の各分子
量のタンパク質標品の溶出位置を示す。
【図6】 図6は、Superose6によるマツタケ抗菌タン
パク質の精製の電気泳動像と抗菌活性との関係を示す。
レーン上の番号は図5の画分番号に一致し、m39はSupe
rose6にかけたmonoQの第39画分(図4参照)を、Mは分
子量マーカーを示す。またレーン下の記号(−、+、+
+、+++)は抗菌活性の強さを示す。抗菌タンパク質
(50kDと15kD)を矢印で示した。
【図7】 図7は、マツタケ抗菌タンパク質をコードす
る遺伝子の、マツタケゲノムに対するサザンブロット分
析の結果を示す。XはXhoIを、SはSalIを、PはPstIを、H
はHindIIIを、EはEcoRIを、BはBamHIをそれぞれ示す。
【図8】 図8は、マツタケ抗菌タンパク質をコードす
るcDNAの制限酵素地図と塩基配列決定の方法を示
す。太線はcDNAを示し、AAAA...はポリAを示す。c
DNA上にある制限酵素部位を太線上に示した(EcoRI
とXhoIはベクターへのクローニング部位)。各矢印は塩
基配列を決定した領域の方向と長さを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 1/14 C07K 1/14 4H045 1/18 1/18 1/30 1/30 14/375 14/375 C12N 1/19 C12N 1/19 1/21 1/21 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 C12N 5/00 B //(C12N 15/09 ZNA C C12R 1:645) (72)発明者 桑田 茂 静岡県磐田郡豊田町東原700番地 日本た ばこ産業株式会社遺伝育種研究所内 (72)発明者 太田 象三 静岡県磐田郡豊田町東原700番地 日本た ばこ産業株式会社遺伝育種研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA07 BA80 CA01 CA09 DA01 DA02 DA05 DA11 EA00 HA19 4B063 QA06 QA13 QA18 QQ09 QQ16 QQ41 QQ42 QQ79 QQ98 QR55 QR62 QR76 QS25 QX01 4B064 AG01 CA05 CA11 CA19 CC24 CE04 CE11 DA12 4B065 AA58X AA71Y AB01 BA02 BB37 BD14 BD22 CA24 CA47 4H011 AA01 BB19 BB22 DH11 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA15 DA00 EA06 FA10 FA71 GA05 GA23

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マツタケの水性抽出液から硫安沈殿法で
    沈殿する画分から得ることができ、少なくともイネ紋枯
    病菌またはイネイモチ病菌に対する抗菌活性を有し、ゲ
    ル濾過法による分子量が約210kDであり、SDS−
    PAGE法では約50kDと約15kDの成分の存在を
    示し、中性水溶液中で60℃10分間の加熱により上記
    抗菌活性が保持され、中性水溶液中で80℃10分間の
    加熱により上記抗菌活性が失活することを特徴とする、
    抗菌タンパク質。
  2. 【請求項2】 約50kDの成分が配列表の配列番号3
    に記載のN末端アミノ酸配列:His Glu Ile Val His Ty
    r Thr Asp Val Phe Ile Ala Gly Ser Gly Pro Ile Ser
    Xaa Thr Tyr Ala Arg His Ile Ile Asp Asn Thr Ser Th
    r Thr:を有し、約15kDの成分が配列表の配列番号
    4に記載のN末端アミノ酸配列:ArgGlu Trp Glu Ala G
    ly Val Thr Asp Thr Tyr Gly Met Pro Gln Pro Thr Phe
    HisVal Lys Arg Thr Asn Ala Asp Gly Asp Arg Asp Gl
    n Arg Met Met Asn Asp MetThr Asn Val Ala Asn Met L
    eu Gly Gly Tyr Leu Pro Gly Ser Tyr Pro Gln PheMet
    Ala Pro Gly Leu Val Leu His Ile Thr Gly Thrを有す
    る、請求項1に記載の抗菌タンパク質。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配
    列;この配列中に1から複数個のアミノ酸変異を有する
    アミノ酸配列;またはこの配列と50%以上の相同性を
    有するアミノ酸配列を有する、請求項1または2に記載
    の抗菌タンパク質。
  4. 【請求項4】 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配
    列と60%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する
    請求項3に記載の抗菌タンパク質。
  5. 【請求項5】 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配
    列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する
    請求項3に記載の抗菌タンパク質。
  6. 【請求項6】 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配
    列と80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する
    請求項3に記載の抗菌タンパク質。
  7. 【請求項7】 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配
    列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する
    請求項3に記載の抗菌タンパク質。
  8. 【請求項8】 配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配
    列と95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する
    請求項3に記載の抗菌タンパク質。
  9. 【請求項9】 配列表の配列番号2の部分アミノ酸配列
    1−25からなるポリペプチド;部分アミノ酸配列26
    −435からなるポリペプチド;部分アミノ酸配列43
    6−564からなるポリペプチド;部分アミノ酸配列1
    −435からなるポリペプチド;及び部分アミノ酸配列
    26−564からなるポリペプチド;並びに上記アミノ
    酸配列の何れかの中に1〜複数個のアミノ酸変異を有す
    るポリペプチドおよび上記アミノ酸配列の何れかと50
    %以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリペプ
    チド;の単独又は何れかのポリペプチドの組み合せから
    成る抗菌タンパク質。
  10. 【請求項10】 マツタケの水性抽出液から硫安75%
    飽和を使用する硫酸沈殿法で沈殿する画分を回収する工
    程;および上記画分をイオン交換クロマトグラフィーに
    かけNaCl濃度0.35から0.65Mの濃度で溶出
    する画分を回収する工程;を含む、請求項1から9の何
    れか1項に記載の抗菌タンパク質の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9に記載の抗菌タンパク質
    をコードする遺伝子。
  12. 【請求項12】 配列表の配列番号1に記載の塩基配
    列、上記塩基配列中に1〜複数個の塩基の置換、欠失、
    挿入及び/又は付加を有する塩基配列、または上記塩基
    配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
    塩基配列を有する請求項11に記載の遺伝子。
  13. 【請求項13】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列
    と50%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項
    11又は12に記載の遺伝子。
  14. 【請求項14】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列
    と60%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項
    11又は12に記載の遺伝子。
  15. 【請求項15】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列
    と70%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項
    11又は12に記載の遺伝子。
  16. 【請求項16】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列
    と80%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項
    11又は12に記載の遺伝子。
  17. 【請求項17】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列
    と90%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項
    11又は12に記載の遺伝子。
  18. 【請求項18】 配列表の配列番号1に記載の塩基配列
    と95%以上の相同性を有する塩基配列を有する請求項
    11又は12に記載の遺伝子。
  19. 【請求項19】 配列表の配列番号5〜9の何れかに記
    載のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチド。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の何れか2種のオリ
    ゴヌクレオチドの組をプライマーとして用いて、マツタ
    ケ子実体cDNAライブラリーを鋳型にしてPCRを行
    い請求項1〜9に記載の抗菌タンパク質をコードする遺
    伝子の一部を増幅し、得られた増幅産物をプローブとし
    て使用して上記cDNAライブラリーをスクリーニング
    して完全長cDNAクローンを単離することを含む、請
    求項11〜18に記載の遺伝子の単離方法。
  21. 【請求項21】 請求項11〜18の何れかに記載の遺
    伝子を含む組換えベクター。
  22. 【請求項22】 ベクターが発現ベクターである請求項
    21に記載の組換えベクター。
  23. 【請求項23】 宿主生物に請求項21または22に記
    載の組換えベクターを導入して得られる形質転換体。
  24. 【請求項24】 請求項1〜9に記載の抗菌タンパク質
    を有効成分として含む抗菌剤。
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