JP4041913B2 - 抗腫瘍タンパク質およびその遺伝子 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、抗腫瘍タンパク質およびこれをコードするDNA配列に関する。
【0002】
背景技術
食用キノコの抗腫瘍性物質に関する研究は以前から多く行われてきている。
【0003】
例えば、特開昭52−61214号、特開昭55−74797号、特開昭61−293923号、特公昭61−47518号、特公昭61−47519号、特公平3−26172号、特開平5−70362号および特開平6−80699号には、キノコ類由来の抗腫瘍性多糖類および糖タンパク質が記載されている。また、これ以外にもキノコ類を経口投与し、抗腫瘍活性が認められたとの報告がなされている。
【0004】
しかし、本発明者らが知る限り、ガン細胞に直接作用するマツタケ(Tricholoma matsutake)由来の抗腫瘍タンパク質のアミノ酸配列およびこれをコードするDNA配列は報告されていない。
【0005】
【発明の概要】
今般、本発明者らは、マツタケ由来の抗腫瘍タンパク質を精製しこのタンパク質をコードするcDNAおよびそのアミノ酸配列を決定した。また、該タンパク質をコードするcDNAを単離し、そのcDNA配列を含んだベクターで大腸菌を形質転換し、抗腫瘍タンパク質を発現させることに成功した。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0006】
従って、本発明は、抗腫瘍タンパク質、該タンパク質をコードする塩基配列、該塩基配列を含んでなるベクター、該ベクターによって形質転換された宿主細胞、該タンパク質等の製造法、および該タンパク質に対する抗体の提供をその目的とする。
【0007】
そして、本発明によるタンパク質は、
(a)配列番号1のアミノ酸配列、または
(b)1以上のアミノ酸が付加および/または挿入され、および/または1以上のアミノ酸が置換および/または欠失された配列番号1のアミノ酸配列であって、抗腫瘍活性を有するアミノ酸配列、
を有するもの、である。
【0008】
【発明の具体的説明】
タンパク質
本発明によるタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質は後記実施例に記載されるように抗腫瘍活性を有する。
【0009】
本発明によるタンパク質としては、配列番号1のアミノ酸配列からなり、前記配列番号1のアミノ酸配列に1以上のアミノ酸が付加および/または挿入され、および/または前記配列番号1のアミノ酸配列の1以上のアミノ酸が置換および/または欠失され、前記改変アミノ酸配列が抗腫瘍活性を有するものが挙げられる。ここにいう付加、挿入、置換、および欠失とは、配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質の抗腫瘍活性を損なわないようなものをいう。付加、挿入、置換、欠失の数は、抗腫瘍活性を損なわなければ特に限定されるものではないが、通常は1〜8個程度であることができる。
【0010】
アミノ酸配列中における付加、挿入、置換、および欠失は、例えば、Molecular Cloning (A laboratory manual), second edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Vol.2, Chap. 15(1989); Botstein, D. et al., Science, 229:1193(1985); Craik, C.S, Bio Techniques, 3:12(1985); Itakura, K. et al., Annu. Rev. Biochem. 53:323(1984); Shortle, D. et al., Annu. Rev. Genet. 15:265(1981); Smith, M. Annu, Rev. Genet. 19:423(1985) に従って得ることができる。
【0011】
本発明において、「抗腫瘍活性を有するタンパク質」とは、当業者により抗腫瘍活性が認められたと評価されるタンパク質をいい、例えば、実施例1(3)と同様の条件において実験した場合に抗腫瘍活性が認められたと評価されるタンパク質を意味するものとする。
【0012】
配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質の分子量は、SDS−PAGEによる測定で約65kDaである。
【0013】
配列番号1のアミノ酸配列は、例えば、そのcDNA配列(配列番号2のDNA配列)を細菌等において常法に従って発現させることによって得ることができる。cDNA配列は抗腫瘍活性を有するタンパク質に対する抗体をプローブとして用い、マツタケ由来のcDNAライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる(実施例2)。
本発明によるタンパク質は、抗腫瘍活性を有する。従って、子宮頚ガン、子宮体ガン、ガン抑制遺伝子p53やpBRの発現異常に起因する各種ガン(皮膚ガン、肺ガン、肝臓ガン、腎臓ガン、乳ガン等)の治療剤として用いることができる。
【0014】
本発明による治療剤は、また、経口または非経口投与(例えば、筋注、静注、皮下投与、直腸投与、経皮投与、経鼻投与など)することができ、薬剤として経口または非経口投与に適した種々の剤型で、ヒトおよびヒト以外の動物に使用される。薬剤として直接患部に到達させる方法(例えば、局所で溶解する錠剤、塗布、注射等)が有効であると考えられる。
【0015】
治療剤は、例えばその用途に応じて、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、細粒剤、トローチ錠などの該タンパク質の安定性とドラッグデリバリー経路を勘案した経口剤、静注および筋注などの注射剤、直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤などのいずれかの製剤形態に調製することができる。これらの各種製剤は、通常用いられている賦形剤、例えば、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤などを用いて常法により製造することができる。
【0016】
種々の治療のための投与量は、用法、患者の年齢、性別、症状の程度などを考慮して適宜決定される。
【0017】
塩基配列
本発明によれば、本発明によるタンパク質をコードする塩基配列が提供される。この塩基配列の典型的配列は、配列番号2のDNA配列の一部または全部を有するものである。この塩基配列の典型的配列は、また、配列番号2のDNA配列の一部または全部を有するものである。
【0018】
配列番号2のDNA配列は、前記のようにマツタケ由来のcDNAライブラリーから得られたものである。このDNA配列は、前記タンパク質のオープンリーディングフレームを含み、オープンリーディングフレームは1〜3番のATGから始まり、1699〜1701番のTAAで終了する。
【0019】
本発明によるタンパク質のアミノ酸配列が与えられれば、それをコードする塩基配列は容易に定まり、配列番号1に記載されるアミノ酸配列をコードする種々の塩基配列を選択することができる。
【0020】
従って、本発明によるタンパク質をコードする塩基配列とは、配列番号2に記載のDNA配列の一部または全部に加え、同一のアミノ酸をコードするDNA配列であって縮重関係にあるコドンをDNA配列として有する配列をも意味するものとし、更にこれらに対応するRNA配列も含まれる。
【0021】
本発明による塩基配列は、天然由来のものであっても、全合成したものであってもよい。また、天然物由来のものの一部を利用して合成を行ったものであってもよい。塩基配列は、染色体ライブラリーまたはcDNAライブラリーから遺伝子工学の分野で慣用されている方法、例えば部分アミノ酸配列の情報を基にして作成した適当なDNAプローブを用いてスクリーニングを行う方法、等によって得ることができる。本発明による塩基配列は、例えば、マツタケcDNAライブラリーから配列番号3〜18のいずれかに示されたペプチドに対応するオリゴヌクレオチドをスクリーニングの際のプローブとして用いることによって得ることができる。
【0022】
塩基配列が天然由来のものである場合、その起源は特に限定されず、マツタケ由来のものであっても、それ以外を由来とするものであってもよい。
【0023】
ベクターおよび形質転換
本発明によれば、前記の本発明による塩基配列を、ベクターが宿主細胞内で複製可能な状態で、かつその塩基配列がコードするタンパク質を発現可能な状態で含むベクターが提供される。更に、本発明によれば、このベクターによって形質転換された宿主細胞が提供される。この宿主−ベクター系は特に限定されず、また、他のタンパク質との融合タンパク質発現系などを用いることができる。
【0024】
融合タンパク質発現系としては、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ等との融合タンパク質が挙げられる。
【0025】
ベクターとしては、プラスミドベクター(例えば、pBluescript SK(-) 、pBluescript SK(+) 、pGEX−4T、pGEX−5T、pRIT2T、pBPV、およびpSVK3(以上ファルマシア社等)、ZAP Express、pYEUra3、pMAM、およびpOG(以上東洋紡社等)、pET−11a〜d、pET20b、pET28a〜c、およびpET−32a〜b(以上Novagen 社)、pQE−10、16、30、40、50、60、および70(以上Qiagen社))やウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター)、リポソームベクター(例えば、カチオニックリポソームベクター)が挙げられる。
【0026】
本発明によるベクターは、これを実際に宿主細胞に導入して所望のタンパク質を発現させるためには、前記の本発明による塩基配列の他に、その発現を制御する配列(例えば、プロモーター配列、ターミネーター配列、エンハンサー配列)や宿主細胞を選択するための遺伝子マーカー(例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子)等を含んでいてもよい。また、このベクターは、本発明による塩基配列を反復した形で(例えば、タンデムで)含んでいてもよい。これらは常法に従いベクターに導入してよく、このベクターによる宿主細胞の形質転換の方法も、この分野で慣用されているものを用いることができる。
【0027】
本発明によるベクター構築の手順および方法は、遺伝子工学の分野で慣用されているものを用いることができる。
【0028】
また、宿主細胞としては、例えば、大腸菌(例えば、SOLR、JM109、XL1−Blue MRF’、およびBL21(DE3))、酵母(例えば、YRG−2株)、枯草菌、動物由来の細胞(CHO細胞、COS細胞、ヒトケラチノサイト、COP−5、C127、マウス3T3細胞、FR3T3、HB101等)が挙げられる。
上記形質転換された宿主細胞を適当な培地で培養し、その培養物から上記した本発明によるタンパク質を得ることができる。従って、本発明の別の態様によれば、本発明によるタンパク質の製造法が提供される。この方法により、抗腫瘍タンパク質を大量に生産することができる。
【0029】
形質転換された宿主細胞の培養およびその条件は、使用する細胞についてのそれと本質的に同様であってよい。また、培養液からの本発明によるタンパク質の回収、精製も常法に従って行うことができる(後記実施例参照)。例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィーのようなクロマトグラフィー法を使用することができる。
【0030】
抗体
本発明によれば、本発明によるタンパク質に対する抗体が提供される。本発明において、抗体は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。
【0031】
本発明による抗体は、当業界において慣用されている方法によって製造することができる。例えば、配列番号1に記載されるタンパク質を、任意の担体(例えば、フロイント完全および不完全アジュバンド)とともに動物体内(例えば、ウサギ、ラット、マウス)に注射し、一定期間の後に、その動物の血清を精製することによって得ることができる。
【0032】
このポリクローナル抗体の特異的な反応(すなわち、免疫反応)は、抗腫瘍タンパク質の存在の1つの指標となる。従って、本発明による抗体は抗腫瘍タンパク質の精製やスクリーニングに用いることができる。
【0033】
【実施例】
本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 抗腫瘍タンパク質の精製
(1)タンパク質の精製
市販されている(あるいは自生している)新鮮なマツタケを常法により破砕して、カラムクロマトグラフィー、HPLC、電気泳動等を用いる精製手段によって抗腫瘍作用を有するタンパク質を得た。具体的には下記のように行った。
【0034】
トリス緩衝液にNaClとプロテアーゼインヒビターとを含む溶液(50mMTris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、1mM PMSF、1mM EDTA、0.1mM IAA(ヨードアセトアミド)、1μg/ml ペプスタチンA、および1μg/ml ロイペプチン)でタンパク質の粗抽出をおこない、硫安沈殿処理(90%飽和硫安)をおこなった。硫安による沈殿を25mM Tris−HCl(pH7.5)(プロテアーゼインヒビター(PI)は前記の10分の1、以下同様)に対して透析し脱塩した。次いで、DEAE トヨパール(イオン交換クロマトグラフティー)、活性画分の濃縮、フェニルセファロース(疎水クロマトグラフティー)による精製、活性画分の濃縮、HPLC (TSK gel G3000SW)によるゲル濾過を行い、該タンパク質を精製した。
【0035】
イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水クロマトグラフィーは、25mM Tris−HCl(pH7.5)(PIを含む)で溶出した。直線濃度勾配は、それぞれNaClと(NH4 )2 SO4 を用いた。ゲル濾過は、0.1M リン酸ナトリウム(pH7.2)バッファー中0.1M Na2 SO4 ,およびPIを含む溶液で溶出した。
【0036】
HPLCによりゲル濾過をおこなったサンプルをSDS−PAGEにかけた。ゲル上のタンパク質PVDF膜に転写したのち、CBB染色して一本のバンド(約65kDa)を検出した。
【0037】
なお、新鮮でないマツタケを用いた場合やプロテアーゼインヒビターを精製工程において用いなかった場合には、収率が低下し、後記する抗腫瘍活性も低下することを本発明等は確認した。
【0038】
また、一部のサンプルについては、SDS−PAGE後、ゲルをCBBで染色し、ゲルを切りだして、電気抽出法でサンプルを回収した。このサンプルはアミノ酸配列の決定(実施例2)に用いた。
【0039】
また、後記(2)の抗体をCNBr-activated Sepharose 6MB樹脂(ファルマシア社)に結合させたカラムを用いてアフィニティークロマトグラフィーを行い、タンパク質を精製できることを確認した。
【0040】
(2)ポリクローナル抗体
(1)で精製したタンパク質をウサギに免疫して抗血清を調製した。具体的に下記のように行った。
【0041】
精製した該タンパク質15μgをフロントの完全アジュバンドと混和し、強く攪拌してエマルションとした後、ウサギの背皮下に注射した。3週間後、該タンパク質150μgをフロイント不完全アジュバンドと混和してエマルションとし、追加免疫をおこなった。2週間後、抗原50μgを用いて直接ブースター免疫をおこない、1週間後、耳から採血をした。
【0042】
次いで、5ml抗血清を56℃で30分間処理した後、PBS(−)を5ml加え、飽和(NH4 )2 SO4 を等量加え、氷水中に静置した。遠心後沈殿をナトリウム・リン酸緩液に再溶解し、20%(NH4 )2 SO4 になるように飽和(NH4 )2 SO4 を加えた。遠心後、上清を集め、33%(NH4 )2 SO4 になるように飽和(NH4 )2 SO4 を加え、遠心後、沈殿を集め、再溶解した。透析および脱塩の後、イオン交換クロマトグラフィー(DE52樹脂)にかけてIgG画分とした。
【0043】
(3)抗腫瘍活性試験
マウスやヒトの細胞をガン化することが知られているシミアンウイルス40(SV40)、ヒトパピローマウイルス(HPV)によってガン化した細胞に対して、その致死作用を調べた。具体的には、細胞死をもって抗腫瘍活性を測定した。上記(1)で精製したタンパク質を細胞に与えた場合に50%の細胞を死に至らしめるタンパク質量はSVT2細胞(SV40形質転換細胞)では10ng/ml、A31(SV40形質転換細胞)では100ng/ml、ヒト包皮細胞(HPV16形質転換)では15−20ng/mlであった。
【0044】
実施例2 cDNAクローニングおよび配列決定
プロテインシークエンサー(ヒューレットパッカード社)を用いて、実施例1で精製したタンパク質のN末端アミノ酸配列(配列番号3および4)を決定した。
【0045】
さらに、実施例1で得られたタンパク質をリシルエンド酵素(又は更にポストプロリンクリーベイジ酵素)で分解して多くのペプチドフラグメントを調製し、それらのうちの14個のペプチドフラグメントのアミノ酸配列を決定した(配列番号5〜18)。
【0046】
一方、マツタケのmRNAをoligo−dT Latex(oligo−dT粒子)(タカラ社)を用いて精製し、STRATAGENE ZAP−cDNA Synthesis Kit(販売元:東洋紡社)を用いて精製し、cDNAを合成した。cDNA合成後、ギガパックIII ゴールド(ストラタジーン社、販売元:東洋紡社)を用いて、cDNAをラムダファージにin vitroパッケージングしてファージライブラリーを作成した。
【0047】
実施例1の(2)で得られた抗体をプローブとして、ファージライブラリーから抗腫瘍タンパク質の遺伝子をもつファージをスクリーニングし、21個の陽性ファージを得た。具体的には以下のようにして行った。
【0048】
ライブラリーの濃度を知るために、タイターを測定した。150mm NZYM培地のプレートに、約2,000から20,000個のファージと600ulのE.Coli(XL1−Blue)宿主を6mlのNZYM Top Agar(0.7%)と共にプレーティングした。42℃で3〜4時間プラークが1mm程の適当な大きさになるまで培養した。10mM IPTGをしみ込ませた130−140mmのニトロセルロース膜をプレートにのせ、37℃で3時間培養した。プレートを1時間以上4℃で冷やした後、ニトロセルロースフィルターをプレートからはがし、3%スキムミルクを含むTBS−T緩衝液にてしんとうした。
【0049】
次いで、1次抗体(実施例1の(2))の緩衝液にフィルターをひたし、3%スキムミルクを含むTBS−T緩衝液にてゆるやかに振盪した。アルカリフォスファターゼ(AP)結合2次抗体の緩衝液にフィルターをひたした後、TBS−T緩衝液で洗浄した。アルカリフォスファターゼ(AP)用緩衝液で洗浄した後、陽性ファージを検出した。
【0050】
得られた陽性ファージを用いて大腸菌 SOLR 株( ストラタジーン社) をin vivo Excision法によって形質転換した。形質転換は、ストラタジーン社のZAP−cDNA Synthesis Kit(販売元:東洋紡社)を用いて、その使用説明書に従って、行った。
【0051】
この形質転換体から、図1に示されるプラスミドpTS18を得た。なお、プラスミドpTS18(配列番号1のcDNA配列を含む)は実施例3において発現ベクターとして用いた。
【0052】
このpTS18を Exo/Mung DNA Sequencing System (ストラタジーン社)を用いてディレーションしたのち両端を平滑末端にし、self−DNAにライゲーションした(図2)。次いで、大腸菌 JM 109 (東洋紡社)をディレーションしたプラスミドDNA で形質転換した。これらのディレーション変異が挿入された遺伝子部分の塩基配列を、ABI PRISM Cycle Sequencing Kit (パーキンエルマー社)を用いて、センス鎖とアンチセンス鎖の全塩基配列を解読した。
【0053】
解読した塩基配列の情報をつなぎ合わせて、抗腫瘍タンパク質のアミノ酸配列とcDNA配列を得た(配列番号2)。推定分子量は約62kDaであった。
【0054】
N末端のアミノ酸配列(配列番号3および4)は、配列番号1の2〜30番のアミノ酸配列および2〜58番のアミノ酸配列と、それぞれ一致した。
【0055】
さらに、ペプチドフラグメントの配列(配列番号5〜18)が配列番号1に示したアミノ酸配列とそれぞれ一致した。対応関係は下記のとおりであった。
【0056】
配列番号5:配列番号1の59〜77番、配列番号6:配列番号1の89〜149番、配列番号7:配列番号1の150〜178番、配列番号8:配列番号1の179〜209番、配列番号9:配列番号1の210〜267番、配列番号10:配列番号1の268〜297番、配列番号11:配列番号1の298〜355番、配列番号12:配列番号1の356〜406番、配列番号13:配列番号1の407〜436番、配列番号14:配列番号1の437〜486番、配列番号15:配列番号1の487〜521番、配列番号16:配列番号1の522〜554番、配列番号17:配列番号1の555〜566番、配列番号18:配列番号1の78〜99番。
これらのペプチドは、抗腫瘍タンパク質のスクリーニングおよび精製に用いることができる抗腫瘍タンパク質に対する抗体を得るための抗原として有用である。
【0057】
実施例3 抗腫瘍タンパク質の製造(1)
−80℃のコンピテント細胞(JM109株:東洋紡社)を融解して、Falconチューブ(コード2059)にその100μlを移した。pTS18のディレーションクローン(実施例2)を加え氷中30分間放置した。ヒートショック(42℃)を30秒間与え、氷中2分間冷却した。SOC培地を900μl加え、37℃で1時間振とう培養した。LB/Ampプレートに適量播種し、37℃で一晩培養した。次にプレート上に現れたコロニーから一白金耳かきとって液体LB培地(Ampを含む)に接種し、37℃で660nmの吸収(Abs660)が約0.2になるまで培養した。IPTGを最終10mMまで加え、Abs660=約1になるまで培養して集菌した。
【0058】
菌体を実施例1の(1)で使用したPIを含む、抽出液に(50mM Tris−HCl、pH7.5)懸濁し、超音波で破壊した。抽出液を(50mM Tris−HCl)遠心し、上清を集め、実施例1の(2)の抗体を結合させたアフィニティークロマトグラフィー(CNBr-activated Sepharose 6MB樹脂、ファルマシア社)にかけ、溶出液にて回収した。
【0059】
溶出液をSDS−PAGEにかけ、実施例1の(2)の抗体でウエスタンブロット解析を行った。その結果、本発明によるタンパク質が発現されていることが確認された。
【0060】
実施例4 抗腫瘍タンパク質の製造(2)
(1)発現ベクターpET−28aの調製
抗腫瘍タンパク質をコードするDNA断片を、プラスミドpTS18(10ng)(実施例2)を鋳型DNAとして用いてポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によって得た。PCR反応を市販キット(タカラ社)の試薬および下記プライマー1および2(それぞれ5pmole)を用いて使用説明書に基づいて実施した。
プライマー1:GAGAGACCATGGGGTATCGTCTTTCC (配列番号19)
プライマー2:GAGAGAGGATCCGGAGACGCCAAGGAT ( 配列番号20)
PCR反応後、生成物をNcoIおよびBamHIによって切断した。生じた断片(0.1μg)をpET−28aベクター(0.5μg)(Novagen社)のNcoI/BamI部位に連結した。
生じたDNA構築物をコンピテント細胞(大腸菌、DH5αおよびJM109株;東洋紡社)に導入した。これら形質転換細胞から収集したプラスミドDNAをさらにコンピテント細胞(BL21(DE3)株;Novagen社)に導入した。
【0061】
(2)発現ベクターpET−28bの調製
抗腫瘍タンパク質をコードするDNA断片を、プラスミドpTS18(実施例2)をEcoRIおよびXhoIで切断し、EcoRI/XhoI断片を収集することにより調製した。生じた断片(0.1μg)をpET−28bベクター(0.5μg)(Novagen社)のEcoRI/XhoI部位に連結した。
生じたDNA構築物をコンピテント細胞(大腸菌、DH5αおよびJM109株;東洋紡社)に導入した。これら形質転換細胞から収集したプラスミドDNAをさらにコンピテント細胞(BL21(DE3)株;Novagen社)に導入した。
【0062】
(3)抗腫瘍タンパク質遺伝子の発現
一白金耳の上記実施例4(1)および(2)において記載されるように得られた形質転換細胞(pET−28aを有するBL21(DE3)株およびpET−28bを有するBL21(DE3)株)を50μg/mlカナマイシンを含有するNZYM培地(1ml)に接種し、37℃で一晩前培養した。培養後の培地から100μlを取り出し、これを50μg/mlカナマイシンを含有するNZYM培地(10ml)に接種し、Abs600が約0.4となるまで25℃にて培養した。IPTGを最終濃度で1.0mM加えた後、24時間培養した。
細胞を培養培地から収集し、実施例1(1)において用いたPIを含む抽出液(25mM Tris−HCl、pH7.0)に懸濁し、超音波で破砕した。
【0063】
抽出液を遠心した後、沈殿物を回収した。この沈殿物をSDS−PAGEにて分析した。その結果、単一のバンドが65kDaの位置に観察された。
沈殿物をまた実施例1(2)に記載された抗体を用いてウエスタンブロッティングにより分析した。免疫反応がSDS−PAGEゲルにおいて観察されたタンパク質のバンドと同じ位置に観察された。この結果は、抗腫瘍遺伝子が宿主細胞において発現されたことを示す。
【0064】
【配列表】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミドベクターpTS18の構造を示した図である。
【図2】TTM遺伝子のディレーションを示した図である。点線はディレーションされた部分を示す。
Claims (10)
- 配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするDNA。
- 配列番号2の塩基配列である、請求項1に記載のDNA。
- マツタケ由来である、請求項2に記載のDNA。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のDNAを含んでなる、ベクター。
- プラスミドベクター、ウイルスベクター、およびリポソームベクターからなる群から選択される、請求項4に記載のベクター。
- 請求項4または5に記載のベクターによって形質転換された、宿主細胞。
- 大腸菌、酵母、枯草菌、CHO細胞、COS細胞、ヒトケラチノサイト、COP−5、C127、マウス3T3細胞、FR3T3、およびHB101からなる群から選択される、請求項6に記載の宿主細胞。
- 大腸菌が、SOLR株、JM109株、SURE株、TOPP株、およびBL21株からなる群から選択される、請求項7に記載の宿主細胞。
- 酵母がYRG−2株である、請求項7に記載の宿主細胞。
- 請求項7〜9のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、そしてその培養物から請求項1に記載のタンパク質を単離することを含む、請求項1に記載のタンパク質の製造法。
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