JP2002088442A - レンズ用プラスチック金型材およびその製造方法 - Google Patents

レンズ用プラスチック金型材およびその製造方法

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JP2002088442A
JP2002088442A JP2000277594A JP2000277594A JP2002088442A JP 2002088442 A JP2002088442 A JP 2002088442A JP 2000277594 A JP2000277594 A JP 2000277594A JP 2000277594 A JP2000277594 A JP 2000277594A JP 2002088442 A JP2002088442 A JP 2002088442A
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JP2000277594A
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Takeshi Isaka
剛 井坂
Tatsumi Urita
龍実 瓜田
Tetsuo Shioda
哲郎 塩田
Yoshiaki Sakamoto
良昭 坂本
Naoyuki Yamauchi
直行 山内
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、溶接性、耐力、靱性などの金型に
必要な一般的な性質が優れているほか、ピンホールや微
細なピットの発生がほとんどなく、鏡面性が特に優れた
レンズ用プラスチック金型材およびその製造方法を提供
すること。 【解決手段】 重量%で、C:0.10〜0.20%、
Si:0.20〜1.5%、Mn:0.20〜2.0
%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、C
r:1.0〜3.0%、Mo:0.1〜0.5%、V:
0.05〜0.3%、s−Al:0.002〜0.03
0%およびO:0.0030%以下を含有し、残部がF
eおよび不可避的不純物からなり、介在物の総量が0.
053%以下であり、かつ介在物の最大幅径の平均値が
15μm以下であり、また硬さが28〜38HRCであ
ることを特徴とするレンズ用プラスチック金型材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ用プラスチ
ックの成形に用いる金型を製造するために使用する金型
材およびその製造方法、詳細には自動車のヘッドランプ
用レンズなどの透明樹脂の成形に用いる金型を製造する
ための鏡面性に優れた金型材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車などのレンズ用プラスチック金型
材は、切削加工あるいは放電加工後、研磨仕上げをして
おり、被削性がそれほど優れていることは必要ないが、
溶接性、硬さ、耐力、靱性などの金型に必要な一般的な
性質が優れているほか、ピンホールや微細なピットがな
く、鏡面性が特に優れていることが要求されている。
【0003】従来、鏡面性に優れたプラスチック金型用
鋼として、C:0.07〜0.16%、Si:0.60
%以下、Mn:0.60〜1.50%、Ni:2.50
〜3.50%、Al:0.30〜0.90%、Cu:
1.80〜2.50%を含有し、またSが0.004%
以下であり、さらに必要に応じてCr:0.60%以下
またはMoとWを単独もしくは複合で1/2W+Mo:
0.10〜0.70%を含有し残部Feおよび不可避的
不純物よりなるプラスチック成形プリハード金型用鋼が
知られている(特開昭63─114942号公報)。
【0004】また、本出願人が開発したC:0.05〜
0.25%、Si:0.20〜0.40%、Mn:0.
25〜2.0%、s−Al:0.010〜0.030
%、O:0.0020%以下を含有し、さらに必要に応
じてCr:0.1〜3.0%、Mo:0.5〜1.0
%、V:0.05〜0.6%の1種または2種以上を含
有し、また必要に応じてS:0.001〜0.10%、
Pb:0.03〜0.2%、Ca:0.0005〜0.
010%、Zr:0.003〜0.2%およびBi:
0.01〜0.20%の1種または2種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
するプラスチック成形金型用鋼が知られている(特開平
11─158579号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特開昭6
3─114942号公報に記載されているプラスチック
成形プリハード金型用鋼は、Alを多く含有しているた
め、Al2 3 の含有量が多く、これらが研磨する際に
脱落してピンホールや微細なピットの原因となり、鏡面
性が十分でないという問題があった。また、上記特開平
11─158579号公報に記載されているプラスチッ
ク成形金型用鋼は、介在物の総量が0.053%以下に
なっておらず、かつ介在物の最大幅径の平均値が15μ
m以下になっていないため、これらが研磨する際に脱落
してピンホールや微細なピットの原因となり、鏡面性が
十分でないという問題があった。
【0006】本発明は、溶接性、強度、耐力、靱性など
の金型に必要な一般的な性質が優れているほか、成形品
の肌品位を損なうピンホールや微細なピットが発生がほ
とんどなく、鏡面性に特に優れたレンズ用プラスチック
金型材およびその製造方法を提供することを課題として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは特に優れた鏡面性を有することが必要
な自動車、二輪車などのレンズ用プラスチック金型材お
よびその製造方法について調査・研究していたところ、
ピンホールや微細なピットが鏡面性を低下する原因であ
ること、A系介在物のMnSがピンホールの起点になる
こと、またB系介在物のAl2 3 などおよびC系介在
物のTiO2 、AlN、ZrN、TiNも研磨する際に
脱落してピンホールや微細なピットの原因になること、
s−Alを0.002〜0.030%の範囲内にし、硬
さを28〜38HRCとし、介在物の総量を0.053
%以下とし、かつ介在物の最大幅径の平均値を15μm
以下にすれば、成形品の肌品位を損なうピンホールや微
細なピットがほとんど発生しないことなどの知見を得
た。
【0008】また、介在物の総量を0.053%以下と
し、かつ介在物の最大幅径の平均値を15μm以下にす
るには、S含有量を0.009%以下にし、凝固速度を
30℃/Hr以上とし、かつ鍛練比を4s以上になるよ
うに熱間加工するか、またはS含有量を0.020%以
下にし、エレクトロスラグ溶解法または真空アーク溶解
法で再溶解し、鍛練比が4s以上になるように熱間加工
することであること等の知見を得た。本発明は、これら
の知見に基づいて発明をしたものである。
【0009】すなわち、本発明のレンズ用プラスチック
金型材においては、C:0.10〜0.28%、Si:
0.20〜1.5%、Mn:0.20〜2.0%、P:
0.030%以下、S:0.020%以下、Cr:1.
0〜3.0%、Mo:0.1〜0.5%、V:0.05
〜0.3%、s−Al:0.002〜0.030%およ
びO:0.0030%以下を含有し、さらに必要に応じ
てCa:0.0005〜0.010%、Zr:0.00
3〜0.20%、Te:0.01〜0.1%およびB
i:0.01〜0.20%のうちの1種または2種以上
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
介在物の総量が0.053%以下であり、かつ介在物の
最大幅径の平均値(複数の視野、例えば30視野の平均
値)が15μm以下であり、さらに硬さが28〜38H
RCになるようにすることである。
【0010】さらに、本発明の介在物の総量が0.05
3%以下であり、かつ介在物の最大幅径の平均値が15
μm以下であり、さらに硬さが28〜38HRCである
レンズ用プラスチック金型材の製造方法においては、
C:0.10〜0.28%、Si:0.20〜1.5
%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.030%以
下、S:0.009%以下、Cr:1.0〜3.0%、
Mo:0.1〜0.5%、V:0.05〜0.3%、s
−Al:0.002〜0.030%およびO:0.00
30%以下を含有し、必要に応じてCa:0.0005
〜0.010%、Zr:0.003〜0.20%、T
e:0.01〜0.1%およびBi:0.01〜0.2
0%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がFe
および不可避的不純物からなる成分組成の鋼を通常の溶
解法(真空脱ガス法)で溶解し、その溶鋼を30℃/H
r以上の凝固速度で凝固させ、凝固させたインゴットま
たはビレットを鍛練比が4s以上になるように熱間加工
をすることである。
【0011】また、本発明の介在物の総量が0.053
%以下であり、かつ介在物の最大幅径の平均値が15μ
m以下であり、さらに硬さが28〜38HRCであるレ
ンズ用プラスチック金型材の製造方法においては、C:
0.10〜0.28%、Si:0.20〜1.5%、M
n:0.20〜2.0%、P:0.030%以下、S:
0.020%以下、Cr:1.0〜3.0%、Mo:
0.1〜0.5%、V:0.05〜0.3%、s−A
l:0.002〜0.030%およびO:0.0030
%以下を含有し、必要に応じてCa:0.0005〜
0.010%、Zr:0.003〜0.20%、Te:
0.01〜0.1%およびBi:0.01〜0.20%
のうちの1種または2種以上を含有し、残部がFeおよ
び不可避的不純物からなる成分組成の鋼を通常の溶解法
(真空脱ガス法)で溶解および凝固させ、凝固させたイ
ンゴットまたはビレットをエレクトロスラグ溶解法また
は真空アーク溶解法で再溶解し、凝固したインゴットま
たはビレットを鍛練比が4s以上になるように熱間加工
をすることである。
【0012】
【作用】本発明のレンズ用プラスチック金型材は、上記
成分組成にすると共に、介在物の総量を0.053%以
下にし、さらに介在物の最大幅径の平均値を15μm以
下にし、また硬さを28〜38HRCにしているので、
成形品の肌品位を損なうピンホールや微細なピットの発
生がほとんどなく、砥石、ペーパー研磨およびダイヤモ
ンドで研磨をすることができ、♯2500以上の鏡面性
が特に優れたものとなる。
【0013】さらに、本発明のレンズ用プラスチック金
型材の製造方法は、上記成分組成のようにSを0.00
9%以下にし、30℃/Hr以上の凝固速度で凝固さ
せ、凝固させたインゴットまたはビレットを鍛練比が4
s以上になるように熱間加工し、さらに硬さを28〜3
8HRCにし、介在物の総量が0.053%以下であ
り、かつ介在物の最大幅径の平均値が15μm以下にな
るため、成形品の肌品位を損なうピンホールや微細なピ
ットの発生がほとんどなく、砥石、ペーパー研磨および
ダイヤモンドで研磨をすることができ、♯2500以上
の鏡面性を特に優れたものとすることができる。
【0014】また、本発明のレンズ用プラスチック金型
材の製造方法は、上記成分組成のようにSを0.020
%以下にし、エレクトロスラグ溶解法または真空アーク
溶解法で再溶解し、凝固したインゴットまたはビレット
を鍛練比が4s以上になるように熱間加工し、さらに硬
さを28〜38HRCにしているので、エレクトロスラ
グ溶解法または真空アーク溶解法で再溶解することによ
りSが0.020%以下でも、ピンホールや微細なピッ
トの発生がほとんどなくなる介在物の総量が0.053
%以下となり、かつ介在物の最大幅径の平均値が15μ
m以下となるため、砥石、ペーパー研磨およびダイヤモ
ンドで研磨することができ、♯2500以上の鏡面性が
特に優れたものとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のレンズ用プラスチック金
型材およびその製造方法において、鋼の成分組成、介在
物の総量および最大幅径ならびに硬さを上記のように特
定する理由を説明する。 C:0.10〜0.28% Cは、硬さを高くするので、そのために含有させる元素
である。必要な硬さ、すなわち28HRCを得るために
は0.10%、好ましくは0.13%以上含有させる必
要があるが、0.28%、好ましくは0.24%を超え
ると溶接が困難になると共に、硬さが高くなって被削性
を低下させるので、その含有量を0.10〜0.28%
とする。好ましい含有量は0.13〜0.24%であ
る。
【0016】Si:0.20〜1.5% Siは、溶製時の脱酸剤であると共に焼入性を高めるの
で、それらのために含有させる元素である。それらの作
用効果を得るためには0.20%、好ましくは0.25
%以上含有させる必要があるが、1.5%、好ましくは
1.1%を超えると靱性を低下させるので、その含有量
を0.20〜1.5%とする。好ましい含有量は0.2
5〜1.1%である。
【0017】Mn:0.20〜2.0% Mnは、溶製時の脱酸剤であると共に焼入性を高めるの
で、それらのために含有させる元素である。それらの作
用効果を得るためには0.20%、好ましくは0.80
%以上含有させる必要があるが、2.0%、好ましくは
1.6%を超えると靱性を低下させるので、その含有量
を0.20〜1.5%とする。好ましい含有量は0.8
0〜1.6%である。
【0018】P:0.030%以下 Pは、不純物であり、溶接性を低下すると共に、靱性及
び疲労強度を低下させるので、その含有量を0.030
%以下にする。好ましい含有量は、0.0015%以下
である。
【0019】S:0.009%以下、0.020%以下 Sは、不純物であり、MnSとなって研磨時のピンホー
ルの発生の原因となり、鏡面性を低下させるので、少な
いほうが好ましいが、再溶解しない場合には0.009
%以下にする必要がある。また、エレクトロスラグ溶解
法または真空アーク溶解法で再溶解する場合の再溶解に
おいてはMnSが細かくなるので、0.020%以下ま
でとすることができる。
【0020】Cr:1.0〜3.0% Crは、焼入性を高めると共に600℃以上における焼
戻し軟化抵抗を高めるので、それらのために含有させる
元素である。それらの作用効果を得るためには1.0
%、好ましくは1.1%以上含有させる必要があるが、
3.0%、好ましくは2.4%を超えると被削性を低下
させると共にコスト高にするので、その含有量を0.1
0〜3.0%とする。好ましい含有量は1.1〜2.4
%である。
【0021】Mo:0.1〜0.5% Moは、焼入性を高めると共に600℃以上における焼
戻し軟化抵抗を高めるので、それらのために含有させる
元素である。それらの作用効果を得るためには0.1
%、好ましくは0.2%以上含有させる必要があるが、
0.5%、好ましくは0.45%を超えると被削性を低
下させると共にコスト高にするので、その含有量を0.
1〜0.5%とする。好ましい含有量は0.2〜0.4
5%である。
【0022】V:0.05〜0.3% Vは、結晶粒を微細化して靱性を向上させると共に焼戻
し軟化抵抗を高めるので、それらのために含有させる元
素である。それらの作用効果を得るためには0.05
%、好ましくは0.07%以上含有させる必要がある
が、0.3%、好ましくは0.2%を超えると被削性を
低下させると共に靱性を低下させるので、その含有量を
0.05〜0.3%とする。好ましい含有量は0.07
〜0.2%である。
【0023】s−Al:0.002〜0.030% Alは、溶製時の脱酸剤として含有させる元素である。
脱酸剤としての作用効果を得るためには0.002%、
好ましくは0.010%以上含有させる必要があるが、
0.030%、好ましくは0.026%を超えると介在
物のAl2 3が増加し、鏡面性を低下させるので、そ
の含有量を0.002〜0.030%にする。好ましい
含有量は0.010〜0.026%である。
【0024】O:0.0030%以下 Oは、不純物であり、Alなどと化合して非金属介在物
を形成し、鏡面性を低下させるので、その含有量を0.
0030%以下とする。好ましい含有量は0.024%
以下である。
【0025】Ca:0.0005〜0.010%、Z
r:0.003〜0.20%、Te:0.01〜0.1
%およびBi:0.01〜0.20% Ca、Zr、TeおよびBiは、被削性を向上させるの
で、そのために含有させる元素である。その含有量がC
aで0.0005%、Zrで0.003%、Teおよび
Biで0.010%より少ないとその効果が小さく、C
aで0.010%、ZrおよびBiで0.20%、Te
で0.1%を超えると、靱性、硬さ、熱間加工性などを
低下させるので、その含有量を上記のとおりとする。
【0026】介在物の総量:0.053%以下、最大幅
径の平均値:15μm以下 介在物は、不純物であり、研磨時のピンホールの発生の
原因となり、鏡面性を低下させるので、少ないほうが好
ましいが、0.053%、好ましくは0.044%を超
えると成形品の肌品位を損なうピンホールの発生数が許
容できなくなるので、その総量を0.053%以下とす
る。好ましい総量は0.044%以下である。また、最
大幅径が大きくなると研磨時に脱落した場合、大きなピ
ンホールの発生の原因となるので、その平均値、例えば
30視野の平均値を15μm以下とする。
【0027】硬さ:28〜38HRC 硬さが28HRCより低いと金型に必要な一般的な性質
の強度、耐力、靱性が不足すると共に鏡面性が低下し、
また38HRCを超えると被削性が低下するので、焼入
れおよび焼戻し温度を調節して硬さを28〜38HRC
とする。
【0028】次に、本発明のレンズ用プラスチック金型
材の製造方法について説明する。本発明のレンズ用プラ
スチック金型材の製造方法は、金型に必要な一般的な性
質を有すると共に介在物の総量が0.053%以下であ
り、かつ介在物の最大幅径の平均値が15μm以下であ
り、さらに硬さが28〜38HRCである特に優れた鏡
面性を有するレンズ用プラスチック金型材を製造する方
法であり、それには二つの製造方法がある。
【0029】その一つは、材料の成分組成をC:0.1
0〜0.28%、Si:0.20〜1.5%、Mn:
0.20〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.
009%以下、Cr:1.0〜3.0%、Mo:0.1
〜0.5%、V:0.05〜0.3%、s−Al:0.
002〜0.030%およびO:0.0030%以下を
含有し、必要に応じてCa:0.0005〜0.010
%、Zr:0.003〜0.20%、Te:0.01〜
0.1%およびBi:0.01〜0.20%のうちの1
種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼を通常の溶解法(真空脱ガス法)で溶
解し、その溶鋼を30℃/Hr以上の凝固速度になるよ
うに冷却して凝固させ、凝固させたインゴットまたはビ
レットを鍛練比が4s以上になるように熱間加工するこ
とである。
【0030】上記製造方法において、金型材の成分組成
を上記のように特定したのは、金型に必要な一般的な性
質の溶接性、強度、耐力、靱性などを確保すると共に介
在物の総量を0.053%以下にするためである。さら
に、金型材の溶湯を30℃/Hr以上の凝固速度になる
ように冷却して凝固させるのは、凝固速度が30℃/H
rより遅くなると、結晶粒が大きくなり、また鏡面性を
低下する介在物の最大幅径の平均値が15μm以下にな
らないからである。また、鍛練比が4s以上にするの
は、鍛練比が4sより小さい場合に鏡面性を低下する介
在物の最大幅径の平均値を15μm以下にすることがで
きないからである。
【0031】本発明のレンズ用プラスチック金型材の製
造方法のもう一つは、材料の成分組成をC:0.10〜
0.28%、Si:0.20〜1.5%、Mn:0.2
0〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.020
%以下、Cr:1.0〜3.0%、Mo:0.1〜0.
5%、V:0.05〜0.3%、s−Al:0.002
〜0.030%およびO:0.0030%以下を含有
し、必要に応じてCa:0.0005〜0.010%、
Zr:0.003〜0.20%、Te:0.01〜0.
1%およびBi:0.01〜0.20%のうちの1種ま
たは2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純
物からなる鋼を通常の方法で溶解および鋳造して凝固さ
せ、凝固させたインゴットまたはビレットをエレクトロ
スラグ溶解法または真空アーク溶解法で再溶解し、凝固
したインゴットまたはビレットを鍛練比が4s以上にな
るように熱間加工することである。
【0032】上記製造方法において、金型材の成分組成
を上記のように特定したのは、金型に必要な一般的な性
質の溶接性、強度、耐力、靱性などを確保すると共に介
在物の総量を0.053%以下にするためである。さら
に、金型材のインゴットまたはビレットをエレクトロス
ラグ溶解法または真空アーク溶解法で再溶解するのは、
結晶粒や介在物を微細化すると共にに鏡面性を低下する
介在物の最大幅径の平均値を15μm以下にするためで
ある。また、鍛練比を4s以上にするのは、鏡面性を低
下する介在物の最大幅径の平均値を15μm以下にする
ためであり、鍛練比が4sより小さい場合鏡面性を低下
する介在物の最大幅径の平均値を15μm以下にするこ
とができないからである。
【0033】
【実施例】実施例1 下記表1に示す成分組成の本発明例のレンズ用プラスチ
ック金型材および比較例の鋼を電気炉で通常の方法(真
空脱ガス法)で溶製し、鋳造して下記表2に示す凝固速
度で凝固させてインゴットを製造し、その後このインゴ
ットを下記表2に示す鍛練比で熱間鍛造して310mm
×610mmの本発明例のレンズ用プラスチック金型材
および比較例の鋼材を製造した。これらのレンズ用プラ
スチック金型材および比較例の鋼材から硬さ、被削性、
鏡面性、介在物の総量および最大幅径を測定するための
試験片を切り出し、硬さが30〜32HRCになるよう
に焼入れ(970℃)焼戻し(600〜610℃)を
し、これら試験片を用いて硬さ、被削性、鏡面性、介在
物の総量および最大幅径などを下記の方法などで測定し
た。その結果を下記表2に示す。
【0034】被削性の測定方法:エンドミル径10m
m、切削幅10mm、切り込み5mm、切削油ユシロン
No.3(商品名)の条件でエンドミル切削を行い、従来例
のSCM440(比較例2)の値を1としたときの相対値を求
めた。 介在物の最大幅径の平均:試験片を顕微鏡観察して15
mm×20mmの視野で介在物の最大幅径を測定し、4
0視野の平均値として求めた。 鏡面性:試験片を顕微鏡観察して15mm×20mmの
視野でピンホールやピットの最大幅を測定し、40視野
の平均値として求めた。そして、その最大幅の平均値が
15μm以下を1、16〜30μmを2、31〜40μ
mを3、41μm以上を4として表した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】実施例2 下記表3に示す成分組成の本発明例のレンズ用プラスチ
ック金型材および比較例の鋼を電気炉で通常の方法(真
空脱ガス法)で溶製し、鋳造してインゴットを製造し
た。このインゴットを下記表4に記載した方法で再溶解
してインゴットを製造した。その後このインゴットを下
記表4に示す鍛練比で熱間鍛造して310mm×410
mmの本発明例のレンズ用プラスチック金型材および比
較例の鋼材を製造した。これらのレンズ用プラスチック
金型材および比較例の鋼材から硬さ、被削性、鏡面性、
介在物の総量および最大幅径を測定するための試験片を
切り出し、硬さが31〜32HRCになるように焼入れ
(970℃)焼戻し(600〜605℃)をし、これら
の試験片を用いて上記実施例1と同じ方法で硬さ、被削
性、鏡面性、介在物の総量および最大幅径の平均値を測
定した。その結果を下記表4に示す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】表2の結果より、本発明例1〜5は、被削
性がいずれも比較例2(SCM440) と同等またはそれ以上
であり、鏡面性がいずれも1であった。これに対して、
S含有量、介在物の総量および最大幅径の平均値が本発
明の範囲外である比較例1、2および3は、鏡面性が
4、2および3であった。また、鍛練比および介在物の
最大幅径の平均値が本発明の範囲外である比較例4は、
鏡面性が2であった。
【0041】表4の結果より、本発明例6〜10は、被削
性がいずれも比較例2(SCM440) と同等またはそれ以上
であり、鏡面性がいずれも1であった。これに対して介
在物の最大幅径の平均値が本発明の範囲外である比較例
5は、鏡面性が2であった。また、鍛練比および介在物
の総量および最大幅径の平均値が本発明の範囲外である
比較例6は、鏡面性が3であった。
【0042】
【発明の効果】本発明のレンズ用プラスチック金型材
は、上記構成にしたこにより、成形品の肌品位を損なう
ピンホールや微細なピットの発生がほとんどなく、鏡面
性が優れており、さらに被削性も切削可能な範囲内であ
るという優れた効果を奏する。また、本発明のレンズ用
プラスチック金型材の製造方法は、上記構成にしたこに
より、成形品の肌品位を損なうピンホールや微細なピッ
トの発生がほとんどなく、鏡面性が優れており、さらに
被削性も切削可能な範囲内のものであるレンズ用プラス
チック金型材を製造することができるという優れた効果
を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂本 良昭 東京都国分寺市内藤1─5─8 ファミー ル大蔵202号 (72)発明者 山内 直行 群馬県渋川927─2

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下同じ)、C:0.10〜
    0.28%、Si:0.20〜1.5%、Mn:0.2
    0〜2.0%、P:0.030%以下、S:0.020
    %以下、Cr:1.0〜3.0%、Mo:0.1〜0.
    5%、V:0.05〜0.3%、s−Al:0.002
    〜0.030%およびO:0.0030%以下を含有
    し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、介在物
    の総量が0.053%以下であり、かつ介在物の最大幅
    径の平均値が15μm以下であり、また硬さが28〜3
    8HRCであることを特徴とするレンズ用プラスチック
    金型材。
  2. 【請求項2】 C:0.10〜0.28%、Si:0.
    20〜1.5%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.
    030%以下、S:0.020%以下、Cr:1.0〜
    3.0%、Mo:0.1〜0.5%、V:0.05〜
    0.3%、s−Al:0.002〜0.030%および
    O:0.0030%以下を含有し、更にCa:0.00
    05〜0.010%、Zr:0.003〜0.20%、
    Te:0.01〜0.1%およびBi:0.01〜0.
    20%のうちの1種または2種以上を含有し、残部がF
    eおよび不可避的不純物からなり、介在物の総量が0.
    053%以下であり、かつ介在物の最大幅径の平均値が
    15μm以下であり、また硬さが28〜38HRCであ
    ることを特徴とするレンズ用プラスチック金型材。
  3. 【請求項3】 C:0.10〜0.28%、Si:0.
    20〜1.5%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.
    030%以下、S:0.009%以下、Cr:1.0〜
    3.0%、Mo:0.1〜0.5%、V:0.05〜
    0.3%、s−Al:0.002〜0.030%および
    O:0.0030%以下を含有し、必要に応じてCa:
    0.0005〜0.010%、Zr:0.003〜0.
    20%、Te:0.01〜0.1%およびBi:0.0
    1〜0.20%のうちの1種または2種以上を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成から
    なる鋼の溶鋼を30℃/Hr以上の凝固速度で凝固さ
    せ、鍛練比が4s以上になるように熱間加工をすること
    を特徴とする介在物の総量が0.053%以下であり、
    かつ介在物の最大幅径の平均値が15μm以下であり、
    また硬さが28〜38HRCであるレンズ用プラスチッ
    ク金型材の製造方法。
  4. 【請求項4】 C:0.10〜0.28%、Si:0.
    20〜1.5%、Mn:0.20〜2.0%、P:0.
    030%以下、S:0.020%以下、Cr:1.0〜
    3.0%、Mo:0.1〜0.5%、V:0.05〜
    0.3%、s−Al:0.002〜0.030%および
    O:0.0030%以下を含有し、必要に応じてCa:
    0.0005〜0.010%、Zr:0.003〜0.
    20%、Te:0.01〜0.1%およびBi:0.0
    1〜0.20%のうちの1種または2種以上を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼をエレクト
    ロスラグ溶解法または真空アーク溶解法で再溶解し、鍛
    練比が4s以上になるように熱間加工をすることを特徴
    とする介在物の総量が0.053%以下であり、かつ介
    在物の最大幅径の平均値が15μm以下であり、また硬
    さが28〜38HRCであるレンズ用プラスチック金型
    材の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006328521A (ja) * 2005-05-30 2006-12-07 Daido Steel Co Ltd 精密加工用の工具および工具鋼
JP2012007221A (ja) * 2010-06-28 2012-01-12 Daido Steel Co Ltd プラスチック成形金型用鋼の製造方法
JP2012167324A (ja) * 2011-02-14 2012-09-06 Sumitomo Metal Ind Ltd 真空アーク溶解時のグロー放電防止方法
JP2014173119A (ja) * 2013-03-07 2014-09-22 Sanyo Special Steel Co Ltd 被削性と鏡面性に優れたプラスチック成形金型用鋼

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