JP3469462B2 - 鏡面性および被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼 - Google Patents

鏡面性および被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼

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JP3469462B2
JP3469462B2 JP14276498A JP14276498A JP3469462B2 JP 3469462 B2 JP3469462 B2 JP 3469462B2 JP 14276498 A JP14276498 A JP 14276498A JP 14276498 A JP14276498 A JP 14276498A JP 3469462 B2 JP3469462 B2 JP 3469462B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック部品
およびプラスチック製品を成形する金型用鋼に関し、詳
しくは、プラスチックの射出成形等の金型用鋼であっ
て、さらに切削工具寿命が延び切削加工能率が高い等の
優れた被削性を備えると共に、鏡面仕上げ性に優れた性
能を持つプラスチック成形金型用鋼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチック部品およびプラスチック製
品成形用の金型は、自動車部品をはじめ、事務機器部
品、精密機械部品、電気部品、光学機器部品などに到る
まで、種々の部品、製品を製造するために、鏡面加工や
シボ加工等の加工が加えられ、使用されている。
【0003】この中でも光学レンズや注射器をはじめと
する医療機器等の透明なプラスチック製品などでは、そ
れらの表面は極めて平滑な表面肌が求められている。従
ってその成形に用いる金型用鋼は高度な鏡面仕上げ性が
要求されている。
【0004】また、最近、プラスチック成形用金型用鋼
においても多品種少量生産の傾向があると同時に、全体
の費用に占める金型製作費の比率上昇に伴い、金型製作
の簡便化、切削工具寿命延長による低コスト化、高精密
化等の厳しい条件が求められるようになってきている。
このため金型用鋼においてはさらに優れた被削性が要求
されている。
【0005】従来、プラスチック成形用金型用鋼につい
ては種々の提案がなされており、時効硬化によりプリハ
ードン状態にして使用される硬さがHRC40程度のプ
ラスチック成形プリハードン金型用鋼、(特開昭63−
183158号公報、特公平5−12422号公報)に
ついての提案もある。
【0006】しかし、一般の金型に用いられるプリハー
ドン鋼には、製鋼時の脱酸生成物であるAl23や快削
性を付与するMnS等の非金属介在物が含まれており、
それらが鏡面研磨時に脱落したり、掘起こされたり等し
てピンホールが発生し、鏡面仕上げ性に対して悪影響を
及ぼす。
【0007】そこで、この問題点を解決するために、非
金属介在物の低減を図ったプラスチック成形用金型用鋼
(特開昭63−162837号公報)、および同じく非
金属介在物の生成を抑制し、さらに母材硬さをHRC3
0程度まで下げた鏡面性および被削性に優れたプラスチ
ック成形プリハードン金型用鋼(特開平2−19754
8号公報)についての提案もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の特開昭63−1
83158号、特公平5−12422号に提案されてい
る従来のプラスチック成形金型用鋼では、鏡面仕上げ性
および被削性において未だ十分でなく、さらに鏡面性お
よび被削性の向上が望まれているという問題があり、こ
れらの問題を解決することが課題として存在していた。
また、特開昭63−162837号に提案されているプ
ラスチック成形金型用鋼は、原料を真空溶解した後、さ
らに、エレクトロスラグメルティング法、エレクトロビ
ームメルティング法等で再溶解する特殊溶解法で溶製さ
れるため、その製造費用は高くなる問題がある。
【0009】また、特開平2−197548号に提案さ
れているプラスチック成形金型用鋼は、非金属介在物の
生成の抑制のため、S、Al成分の低減を行う必要があ
り、被削性、シボ加工性が低下する。また硬さを低下さ
せることは、非金属介在物の脱落等を助長し鏡面性およ
び金型使用時の耐磨耗性に悪影響を及ぼす。
【0010】本発明は、従来の技術における、上記の課
題に鑑みてなされたものであって、鏡面仕上げ性および
被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼を提供するこ
とを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来技術にお
ける上記の問題点について、本発明者等が詳細にわたり
検討した結果、プラスチック成形金型用鋼中の酸素量お
よび窒素量について質量割合で、O:15ppm以下、
N:150ppm以下に調整し、硫化物系介在物を除く
非金属介在物の大きさが極値統計法(ルートAREAm
ax)により推定をしたときに50μm以下であること
を特徴とすることにより、鏡面性および被削性に優れた
プラスチック成形金型用鋼が得られ、よって、特開昭6
3−162837号に提案されているように、原料を真
空溶解した後、さらに、エレクトロスラグメルティング
法、エレクトロビームメルティング法等で再溶解する特
殊溶解法を採用せずに、また、特開平2−197548
号に提案されているように、非金属介在物の生成の抑制
のため、S、Al成分といった、被削性、シボ加工性に
影響を及ぼす成分を低減させることなく、優れた鏡面仕
上げ性を有すると共に、被削性にも優れたものにできる
ことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】上記の課題を解決する本発明における鏡面
仕上げ性および被削性に優れたプラスチック金型用鋼
は、請求項1の発明では、質量割合で、C:0.05〜
0.20%、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.
5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5
%、Al:0.5〜1.5%、O:15ppm以下、
N:150ppm以下、残部Feおよび不可避的不純物
からなり、硫化物系介在物を除く非金属介在物の大きさ
が、極値統計法(ルートAREAmax)により推定を
したときに50μm以下であることを特徴とする鏡面性
および被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼であ
る。
【0013】請求項2の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、S:0.
01〜0.30%、O:15ppm以下、N:150p
pm以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、硫
化物系介在物を除く非金属介在物の大きさが、極値統計
法(ルートAREAmax)により推定をしたときに5
0μm以下であることを特徴とする鏡面性および被削性
に優れたプラスチック成形金型用鋼である。
【0014】請求項3の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、O:15
ppm以下、N:150ppm以下を含有し、さらにC
r:0.05〜2.5%、Mo:0.1〜0.4%、
W:0.5%以下から選択した少なくとも1種を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、硫化物系
介在物を除く非金属介在物の大きさが、極値統計法(ル
ートAREAmax)により推定をしたときに50μm
以下であることを特徴とする鏡面性および被削性に優れ
たプラスチック成形金型用鋼である。
【0015】請求項4の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、O:15
ppm以下、N:150ppm以下を含有し、さらに
V:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5
%以下から選択した少なくとも1種を含有し、残部Fe
および不可避的不純物からなり、硫化物系介在物を除く
非金属介在物の大きさが、極値統計法(ルートAREA
max)により推定をしたときに50μm以下であるこ
とを特徴とする鏡面性および被削性に優れたプラスチッ
ク成形金型用鋼である。
【0016】請求項5の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、S:0.
01〜0.30%、O:15ppm以下、N:150p
pm以下を含有し、さらにCr:0.05〜2.5%、
Mo:0.1〜0.4%、W:0.5%以下から選択し
た少なくとも1種を含有し、残部Feおよび不可避的不
純物からなり、硫化物系介在物を除く非金属介在物の大
きさが、極値統計法(ルートAREAmax)により推
定をしたときに50μm以下であることを特徴とする鏡
面性および被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼で
ある。
【0017】請求項6の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、S:0.
01〜0.30%、O:15ppm以下、N:150p
pm以下を含有し、さらにV:0.5%以下、Ti:
0.5%以下、Nb:0.5%以下から選択した少なく
とも1種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なり、硫化物系介在物を除く非金属介在物の大きさが、
極値統計法(ルートAREAmax)により推定をした
ときに50μm以下であることを特徴とする鏡面性およ
び被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼である。
【0018】請求項7の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、O:15
ppm以下、N:150ppm以下を含有し、さらにC
r:0.05〜2.5%、Mo:0.1〜0.4%、
W:0.5%以下から選択した少なくとも1種を含有
し、さらにV:0.5%以下、Ti:0.5%以下、N
b:0.5%以下から選択した少なくとも1種を含有
し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、硫化物系
介在物を除く非金属介在物の大きさが、極値統計法(ル
ートAREAmax)により推定をしたときに50μm
以下であることを特徴とする鏡面性および被削性に優れ
たプラスチック成形金型用鋼である。
【0019】請求項8の発明では、質量割合で、C:
0.05〜0.20%、Si:1.0%以下、Mn:
0.5〜2.5%、Ni:2.5〜3.5%、Cu:
0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5%、S:0.
01〜0.30%、O:15ppm以下、N:150p
pm以下を含有し、さらにCr:0.05〜2.5%、
Mo:0.1〜0.4%、W:0.5%以下から選択し
た少なくとも1種を含有し、さらにV:0.5%以下、
Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下から選択した
少なくとも1種を含有し、残部Feおよび不可避的不純
物からなり、硫化物系介在物を除く非金属介在物の大き
さが、極値統計法(ルートAREAmax)により推定
をしたときに50μm以下であることを特徴とする鏡面
性および被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼であ
る。
【0020】続いて、本発明に係わる鏡面性および被削
性に優れたプラスチック成形金型用鋼における化学成分
の組成範囲の限定理由について説明する。
【0021】C:0.05〜0.20質量%について、
Cは当該発明鋼に溶体化処理を実施した焼入れ組織を、
被削性の良好な塊状上部ベイナイト組織に保ち、時効処
理を実施した際の、炭化物の析出による析出硬化をもた
らすのに有効な成分である。そのため、その効果を有効
に得るために0.05質量%を下限とする。しかし余り
に多量に添加した場合は、基地をマルテンサイト化し、
被削性を低下させ、また過度の炭化物を生成してさらに
被削性を低下させる。加えて時効硬化後の靭性を低下さ
せるので、0.20質量%を上限とする。
【0022】Si:1.0質量%以下について、Siは
溶製時の脱酸剤として必要不可欠な元素であるが、多す
ぎると時効硬化後の靭性を低下させるので、1.0質量
%を上限とする。
【0023】Mn:0.5〜2.5質量%について、M
nは脱酸および溶体化処理実施時の焼入れ性を確保する
ために添加するが、その効果を有効に得るために、0.
質量%を下限とする。しかし余りに多量に添加した場
合は、靱性が低下するため2.5質量%を上限とする。
【0024】Ni:2.5〜3.5質量%について、N
iはベイナイト焼入れ性を高め、またフェライトの生成
を抑制し、時効処理実施時にNi−Al系の金属間化合
物を析出させ高硬度を得、さらに、プラスチック金型に
必要なシボ加工性を向上させるために有効な成分であ
る。そのため、その効果を有効に得るために2.5質量
%を下限とする。しかし余りに多量に添加した場合は、
ベイナイト変態温度を低下させベイナイト組織を過度に
微細化させ、被削性が低下するため3.5質量%を上限
とする。
【0025】Cu:0.5〜2.5質量%について、C
uは、微細析出による析出硬化をもたらすために有効な
成分であり、塊状上部ベイナイト基地と相まって被削性
を向上させるために有効な成分である。そのため、その
効果を有効に得るために、0.5質量%を下限とする。
しかし余りに多量に添加した場合は、熱間加工性を低下
させると共に、被削性が低下するため、2.5質量%を
上限とする。
【0026】Al:0.5〜1.5質量%について、A
lはベイナイト変態温度を高め、望ましい塊状上部ベイ
ナイト組織を得やすくし、時効処理実施時にNi−Al
系の金属間化合物を析出させ高硬度を得、さらにプラス
チック金型に必要なシボ加工性を向上させるために有効
な成分である。そのため、その効果を有効に得るために
0.5質量%を下限とする。しかし余りに多量に添加し
た場合は、アルミナ系の介在物(Al23)を過度に生
成し、鏡面仕上げ性および被削性に悪影響を及ぼすため
1.5質量%を上限とする。
【0027】プラスチック成形金型用鋼として重要な特
性である快削性は、後述するO、N規制で達成される
が、更にSを0.01質量%を下限として添加してもよ
い。なお、特に被削性を重視する場合には、0.03
%以上を添加することが好ましい。一方、Sを多量に
添加した場合、粗大な硫化物系介在物を形成し、靱性を
損なうとともに孔食の発生や、過度のピットの発生の原
因となるため、0.30質量%を上限とする。
【0028】O、Nの成分の限定理由について、本発明
に係わる鏡面仕上げ性および被削性に優れたプラスチッ
ク成形金型用鋼において、その溶製時、O量について
割合で、0:15ppm以下とすることが必要とな
る。ここでO量を15ppm以下とするのは、O量がこ
れよりも増加すると鏡面仕上げ性および被削性が低下す
るためである。N量については質量割合で、N:150
ppm以下とすることが必要となる。ここでN量を15
0ppm以下とするのは、NはAlと窒化物を形成し、
オーステナイト粒を微細化し、均一な組織が得られる
が、過剰に添加すると、硬質の粗大な窒化物を生成し、
被削性、鏡面加工性の低下を招くこととなるためであ
る。このことは図1に示す鋼の鏡面性に及ぼす鋼中のO
量、N量の関係のグラフからもあきらかである。
【0029】Cr、Mo、Wの成分の限定理由につい
て、Cr:0.05〜2.5質量%、Mo:0.1〜
0.4質量%、W:0.5質量%以下とするのは、C
r、Mo、Wは溶体化処理実施時の金型の焼入性を改善
させ、硬さ、靱性を向上させるために有効な成分である
ので、これらの内1種または2種以上の合金成分が含有
されてもよい。また、特にCr、Moについては耐食性
の向上にも有効な成分であるため、その効果を有効にす
るためにはCrは0.05質量%を下限とし、Moは
0.1質量%を下限とする。しかし余りに多量に添加し
た場合、過度の炭化物を析出させ靱性が低下するため、
Crは2.5質量%、Moは0.4質量%、Wは0.5
質量%を上限とする。
【0030】V、Ti、Nbの成分の限定理由につい
て、V:0.5質量%以下、Ti:0.5質量%以下、
Nb:0.5質量%以下とするのは、V、Ti、Nbは
結晶粒を微細化して、靱性の向上に効果が得られるが、
多量の添加は、溶体化硬さを必要以上に高くし、逆に靱
性を低下させ、また被削性も低下させることとなるた
め、0.5質量%以下とした。
【0031】本発明における鏡面仕上げ性および被削性
に優れたプラスチック金型用鋼は、圧延もしくは鍛造を
行った後、800〜900℃での溶体化処理および45
0〜600℃での時効硬化処理を行い、時効硬化を利用
したプリハードンプラスチック成形金型用鋼として提供
される。
【0032】同じく、本発明に係わる鏡面仕上げ性およ
び被削性に優れたプラスチック金型用鋼において、硫化
物系介在物を除く非金属介在物について、極値統計法
(ルートAREAmax)により推定したときの最大の
非金属介在物の大きさが50μm以下であることが必要
となる。ここで非金属介在物の大きさを50μm以下と
したのは、非金属介在物の大きさがこれ以上となると、
鏡面仕上げ性が低下するためである。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明鋼は、本発明鋼は通常製造
される鋼と同様に製造すればよく、例えば電気炉にて溶
製した鋼塊を圧延または鍛造により、所望の形状に仕上
げて製品とし、その後、溶体化処理および時効硬化処理
を実施してプリハードン鋼として使用される。本発明の
実施の形態を以下の実施例に示す。
【0034】
【実施例】表1に示す化学成分組成を有するプラスチッ
ク成形金型用鋼を通常の溶製方法により溶製し供試材を
作成する。ここで、発明鋼1は請求項1を満足し、発明
鋼2は請求項2を満足し、発明鋼3は請求項3を満足
し、発明鋼4は請求項4を満足し、発明鋼5は請求項5
を満足し、発明鋼6は請求項6を満足し、発明鋼7は請
求項7を満足し、発明鋼8は請求項8を満足するプラス
チック成形金型用鋼である。これに対し比較鋼1〜8は
各々請求項1〜8を満足しないプラスチック成形金型用
鋼である。
【0035】
【表1】
【0036】表1において、 *1:成分値の“−”の表記は不可避不純物であること
を示す。 *2:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼1と同
等成分である。 *3:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼2と同
等成分である。 *4:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼3と同
等成分である。 *5:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼4と同
等成分である。 *6:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼5と同
等成分である。 *7:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼6と同
等成分である。 *8:O、Nは請求範囲と異なるが、他は発明鋼7と同
等成分である。 *9:Ni、Al、O、Nは請求範囲と異なるが、他は
発明鋼8と同等成分である。
【0037】続いて、表1に示された供試材について、
鋳造加工を実施し、その後850℃に加熱し、溶体化処
理を行い、引き続き500℃に加熱した後、時効硬化処
理を行い、プリハードンプラスチック成形金型用鋼とし
た。
【0038】前記熱処理条件にて処理されたプリハード
ンプラスチック成形金型用鋼において、熱処理後の硬
さ、極値統計法(ルートAREAmax)により推定さ
れた非金属介在物(AlN、Al23)の大きさ、鏡面
仕上げ性、被削性、シボ加工性を評価した。この結果を
表2にまとめる。なお、鏡面仕上げ性について、今回の
供試材においては、鏡面仕上げ性が非常に良好であるも
の:◎、鏡面仕上げ性が良好であるもの:○、鏡面仕上
げ性がやや劣るもの:△、鏡面仕上げ性がおとるもの:
×、とし、各供試材の評価を行った。
【0039】
【表2】
【0040】被削性については、各供試材に付き、エン
ドミル加工性試験を表3に示す条件にて実施し、エンド
ミル加工性試験は工具折損までの切削長(m)にて評価
を行った。
【0041】シボ加工性については、各供試材につき、
同条件にてシボ加工を実施し、その結果シボむらが発生
したものつき:シボむら有、シボむらが発生しなかった
ものにつき:シボむら無、とし、評価を行った。
【0042】
【表3】
【0043】本発明における極値統計法について説明す
ると、極値統計法とは、ある母集団から複数個の試験片
を採取し、個々の試験片に存在する最大介在物(当該出
願では、硬質の介在物で、鏡面性および被削性に影響を
及ぼす硫化物系介在物を除く非金属介在物)の大きさを
測定し、それを極値確率紙にプロットすることにより、
母集団あるいは任意の体積(面積)中に存在する最大の
介在物の大きさ(ルートAREAmax)を予測するも
のであり、他の介在物評価方法と同様に量産材の介在物
評価に用いられており、特に今回の供給試材において
は、1視野の面積を10mm×l0mmとし、各供試材
につき30視野ごとに介在物の測定を行い予測面積を3
0000mm2として、極値統計法により最大介在物の
大きさを推定した。
【0044】以上、表2に示す結果より明らかなよう
に、本発明に係わるプラスチック成形金型用鋼は、熱処
理後の硬さにバラツキが無く均一である。表2に示すと
おり、発明鋼1〜8は、比較鋼1〜8とのそれぞれの比
較において鏡面仕上げ性について明らかにO、N量およ
び非金属介在物の大きさの影響により良好であることが
認められた。さらに、表2の結果より、発明鋼1〜8
は、比較鋼に対してエンドミル加工性試験において良好
な結果が得られており、被削性について明らかにO、N
量の影響および非金属介在物の大きさにより良好である
ことが認められた。また、表2の結果より、発明鋼1〜
8のいずれもシボ加工性において、シボむらの発生は認
められず良好であった。
【0045】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明鋼は、O
量について質量%で15ppm以下に調整されたもの、
およびN量について150ppm以下に調整され、非金
属介在物(AlN、Al23)の大きさを50μm以下
にしたプラスチック成形金型用鋼であるから、従来技術
に示されているような、原料を真空溶解した後、さら
に、エレクトロスラグメルティング法、エレクトロビー
ムメルティング法等で再溶解する特殊溶解法を採用せず
に、また、非金属介在物の生成の抑制のため、S、Al
成分といった、被削性、シボ加工性に影響を及ぼす成分
を低減させることなく、優れた鏡面仕上げ性を有すると
共に、被削性にも優れたプラスチック成形金型用鋼を提
供することが可能になるという著しく優れた効果を有す
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼の鏡面性評価に及ぼす鋼中のO量、N量の影
響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻井 信博 兵庫県姫路市飾磨区中島字一文字3007番 地 山陽特殊製鋼株式会社内 (72)発明者 尾内 浩明 兵庫県姫路市飾磨区中島字一文字3007番 地 山陽特殊製鋼株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−13543(JP,A) 特開 平1−279709(JP,A) 特開 平7−126802(JP,A) 特開 平4−116136(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 B29C 33/38

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、O:15ppm以下、N:15
    0ppm以下、残部Feおよび不可避的不純物からな
    り、硫化物系介在物を除く非金属介在物の大きさが極値
    統計法(ルートAREAmax)により推定をしたとき
    に50μm以下であることを特徴とする鏡面性および被
    削性に優れたプラスチック成形金型用鋼。
  2. 【請求項2】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、S:0.01〜0.30%、
    O:15ppm以下、N:150ppm以下、残部Fe
    および不可避的不純物からなり、硫化物系介在物を除く
    非金属介在物の大きさが極値統計法(ルートAREAm
    ax)により推定をしたときに50μm以下であること
    を特徴とする鏡面性および被削性に優れたプラスチック
    成形金型用鋼。
  3. 【請求項3】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、O:15ppm以下、N:15
    0ppm以下を含有し、さらにCr:0.05〜2.5
    %、Mo:0.1〜0.4%、W:0.5%以下から選
    択した少なくとも1種を含有し、残部Feおよび不可避
    的不純物からなり、硫化物系介在物を除く非金属介在物
    の大きさが極値統計法(ルートAREAmax)により
    推定をしたときに50μm以下であることを特徴とする
    鏡面性および被削性に優れたプラスチック成形金型用
    鋼。
  4. 【請求項4】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、O:15ppm以下、N:15
    0ppm以下を含有し、さらにV:0.5%以下、T
    i:0.5%以下、Nb:0.5%以下から選択した少
    なくとも1種を含有し、残部Feおよび不可避的不純物
    からなり、硫化物系介在物を除く非金属介在物の大きさ
    が極値統計法(ルートAREAmax)により推定をし
    たときに50μm以下であることを特徴とする鏡面性お
    よび被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼。
  5. 【請求項5】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、S:0.01〜0.30%、
    O:15ppm以下、N:150ppm以下を含有し、
    さらにCr:0.05〜2.5%、Mo:0.1〜0.
    4%、W:0.5%以下から選択した少なくとも1種を
    含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、硫化
    物系介在物を除く非金属介在物の大きさが極値統計法
    (ルートAREAmax)により推定をしたときに50
    μm以下であることを特徴とする鏡面性および被削性に
    優れたプラスチック成形金型用鋼。
  6. 【請求項6】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、S:0.01〜0.30%、
    O:15ppm以下、N:150ppm以下を含有し、
    さらにV:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Nb:
    0.5%以下から選択した少なくとも1種を含有し、残
    部Feおよび不可避的不純物からなり、硫化物系介在物
    を除く非金属介在物の大きさが極値統計法(ルートAR
    EAmax)により推定をしたときに50μm以下であ
    ることを特徴とする鏡面性および被削性に優れたプラス
    チック成形金型用鋼。
  7. 【請求項7】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、O:15ppm以下、N:15
    0ppm以下を含有し、さらにCr:0.05〜2.5
    %、Mo:0.1〜0.4%、W:0.5%以下から選
    択した少なくとも1種を含有し、さらにV:0.5%以
    下、Ti:0.5%以下、Nb:0.5%以下から選択
    した少なくとも1種を含有し、残部Feおよび不可避的
    不純物からなり、硫化物系介在物を除く非金属介在物の
    大きさが極値統計法(ルートAREAmax)により推
    定をしたときに50μm以下であることを特徴とする鏡
    面性および被削性に優れたプラスチック成形金型用鋼。
  8. 【請求項8】 質量割合で、C:0.05〜0.20
    %、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.5%、N
    i:2.5〜3.5%、Cu:0.5〜2.5%、A
    l:0.5〜1.5%、S:0.01〜0.30%、
    O:15ppm以下、N:150ppm以下を含有し、
    さらにCr:0.05〜2.5%、Mo:0.1〜0.
    4%、W:0.5%以下から選択した少なくとも1種を
    含有し、さらにV:0.5%以下、Ti:0.5%以
    下、Nb:0.5%以下から選択した少なくとも1種を
    含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、硫化
    物系介在物を除く非金属介在物の大きさが極値統計法
    (ルートAREAmax)により推定をしたときに50
    μm以下であることを特徴とする鏡面性および被削性に
    優れたプラスチック成形金型用鋼。
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