JP2002088236A - ポリエステル複合材料 - Google Patents

ポリエステル複合材料

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JP2002088236A
JP2002088236A JP2000279602A JP2000279602A JP2002088236A JP 2002088236 A JP2002088236 A JP 2002088236A JP 2000279602 A JP2000279602 A JP 2000279602A JP 2000279602 A JP2000279602 A JP 2000279602A JP 2002088236 A JP2002088236 A JP 2002088236A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、ポリエステル中に膨潤性層
状珪酸塩を分子レベルで均一分散させることにある。ま
た、膨潤性層状珪酸塩を均一分散することにより芳香族
ポリエステルの生分解性を向上させることにある。 【解決手段】 (1)熱可塑性芳香族ポリエステル、
(2)酸成分として、スルホン酸基をもつ芳香族ジカル
ボン酸を10モル%以下含むポリエステル共重合体、及
び(3)膨潤性層状珪酸塩、からなるポリエステル複合
材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は膨潤性層状珪酸塩を
ポリエステル中に均一に分散させてなるポリエステル複
合材料に関する。さらにそのポリエステル複合材料は生
分解性の特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)などの熱可塑性ポリエステルは優れた耐熱
性や機械的性質、耐薬品性などを有しているため、繊
維、フィルム、樹脂などとして広範囲で使用されてい
る。また、ポリマー単独では機会物性、耐熱性が不十分
な場合、無機質充填剤を強化剤として用いることにより
向上させる試みがなされている(例えば特開昭51-24653
号公報)。しかし機械物性、耐熱性を十分満足させるた
めには強化剤を大量に添加する必要があり、この場合強
度や耐熱性は向上するものの、靭性や表面性が大きく低
下しさらには比重が大きくなるという問題がある。この
原因として、無機質充填材の分散不良及び分散粒子のサ
イズの大きさが考えられる。そこで最近になって無機質
充填材を分子レベルで分散させることで、非常に少量の
含有量で、高度の強靭性、強度、ガスバリア性、さらに
は熱安定性や難燃性を向上させる研究が盛んに行われて
いる。さらに最近では、生分解性の向上など非常に興味
深い報告もなされている。ポリエステルの場合、この技
術により透明性を失うことなく機械強度、耐熱性及びガ
スバリア性の向上が期待されるため、ガスバリア性フィ
ルムやボトルへの用途が考えられる。また、生分解性が
向上すると農業用資材への用途も考えられる。上記無機
質充填剤として膨潤性層状珪酸塩がある。膨潤性層状珪
酸塩は厚さ1nmの単位層が数百枚程度積層をなしてお
り、ポリマー中に均一に分散したとしても分子レベルで
分散することはこれまで不可能であった。しかし、特開
昭62-74957号公報においてポリアミド中に4級アンモニ
ウム塩で処理した膨潤性層状珪酸塩を分子レベルで分散
させることが可能であることが報告され、その後ポリイ
ミド(特開平4-33955号公報,特開平9-194723号公報,特
開平9-208822号公報)、エポキシ化合物(Chem.Mater.,
5,1064(1994))、ポリスチレン(J.Am.Chem.Soc.,121,161
5(1999))、ポリプロピレン(J.Appl.Polym.Sci.,63,137
(1997)) においても同様な報告がなされてきた。しか
し、ポリエステルにおいては特開平3-62846号公報、特
開平7-166036号公報、WO99/03914号公報に均一分散させ
る方法が開示されているが、ポリアミドの様に分子レベ
ルでの均一分散は達成されていない。ポリエステルはポ
リアミドとは異なり分子鎖中にエステル結合やベンゼン
環を有するという構造上の特性から、膨潤性層状珪酸塩
を4 級アンモニウム塩で処理した程度では、分子レベル
での均一分散は達成されないことが考えられる。
【0003】また前記した様に、膨潤性層状珪酸塩を分
子レベルで分散させることで生分解性の向上という新し
い報告がなされている(ANTEC'99,Biodegradable Plasti
cs 99 Conference)。従来より、脂肪族ポリエステルの
生分解については周知の域に達しているものの、芳香族
ポリエステルの分解については困難とされてきた(「生分
解性高分子材料」263〜276(1990)、工業調査会、東京)。
その原因として芳香族ポリエステルは、分解菌がほと
んどいない、脂肪族ポリエステルと比べて吸水率が低
いため分解菌が付着しにくいことが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した様に、ポリエ
ステル中に膨潤性層状珪酸塩を分子レベルで均一分散さ
せること、またポリエステルの生分解は非常に困難な技
術である。本発明の目的は、ポリエステル中に膨潤性層
状珪酸塩を分子レベルで均一分散させることにある。ま
た、膨潤性層状珪酸塩を均一分散することにより芳香族
ポリエステルの生分解性を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した様に膨潤性層状
珪酸塩を分子レベルで均一分散させることは、困難な技
術であると考えられていたが、本発明者らはスルホン酸
基をもつ芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル共重
合体を相溶化剤として用いることにより、膨潤性層状珪
酸塩がポリエステル中に分子レベルで均一分散すること
を見出した。さらには、そのポリエステル複合材料が生
分解性を示すことを見出した。
【0006】すなわち本発明は、(1)熱可塑性芳香族
ポリエステル、(2)酸成分として、スルホン酸基をも
つ芳香族ジカルボン酸を10モル%以下含むポリエステ
ル共重合体、及び(3)膨潤性層状珪酸塩、からなるポ
リエステル複合材料である。
【0007】また本発明は、熱可塑性芳香族ポリエステ
ル中に膨潤性層状珪酸塩を分散させたポリエステル複合
材料を製造する方法であって、相溶化剤として、スルホ
ン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸を酸成分するポリエス
テル共重合体を用いるポリエステル複合材料の製造方法
である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用される膨潤性層状珪
酸塩は、陽イオン交換能を有しさらに層間に水を取り込
んで膨潤する性質を示す層状珪酸塩である。例えば、ス
メクタイト系粘土鉱物としてヘクトライト、サポナイ
ト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリロナイト
又はこれらの天然または化学的に合成したもの、又これ
らの置換体、誘導体、あるいは混合物が挙げることがで
きる。また膨潤性マイカとしては、化学的に合成した層
間に例えばLi,Naイオンを持った合成膨潤性雲母叉はこ
れらの置換体、誘導体あるいは混合物が挙げることがで
きる。
【0009】本発明では、上記膨潤性層状珪酸塩を有機
オニウムイオンによって処理したものを用いる。使用さ
れる有機オニウムイオンは、下記式(1)
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1,R2,R3及びR4は、それぞ
れ独立に、炭素数1〜30のアルキル基またはポリエチ
レンオキサイド基である。)の構造である4級アンモニ
ウムイオンが好ましい。ここで、炭素数1〜30のアル
キル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好まし
い。
【0012】上記式(1)で表される有機オニウムイオ
ンは、4級アンモニウムイオンが好ましい。具体的には
ドデシルトリメチルアンモニムクロライド、テトラデシ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルト
リメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメ
チルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアン
モニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウム
クロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロ
ライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライ
ド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド、
ジオレイルジメチルアンモニウムクロライドドデシルジ
メチルベンジルアンモニムクロライド、テトラデシルジ
メチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサデシル
ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オレイル
ジメチルベンジルクロライド、ヒドロキシポリオキシエ
チレンドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒド
ロキシポリオキシエチレンテトラデシルジメチルアンモ
ニウムクロライド、ヒドロキシポリオキシ エチレンヘ
キサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキ
シポリオキシエチレンオクタデシルジメチルアンモニウ
ムクロイド、ヒドロキシポリオキシエチレンオレイルジ
メチルアンモニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキ
シエチレンドデシルメチルアンモニウムクロライド、ジ
ヒドロキシポリオキシエチレンテトラデシルメチルアン
モニウムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレン
ヘキサデシルメチルアンモニウムクロライド、ジヒドロ
キシポリオキシエチレンオクタデシルメチルアンモニウ
ムクロライド、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイ
ルメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0013】膨潤性層状珪酸塩の有機オニウムイオンで
の処理方法は、通常、膨潤性層状珪酸塩1重量部、有機
オニウムイオン1〜10 重量部とを水中で混合した後、乾
燥する。水の量は、膨潤性層状珪酸塩の1 〜100 倍であ
る。また混合するときの温度は、30 ℃〜70 ℃であり、
混合時間は0.5 〜2 時間が好ましい。乾燥条件として
は、70 〜100 ℃で3日間常圧乾燥、2日間真空乾燥が
好ましい。
【0014】本発明で使用される熱可塑性芳香族ポリエ
ステルの原料モノマーとしては、公知のポリエステル原
料であるすべてのジカルボン酸、ジカルボン酸エステ
ル、ヒドロキシカルボン酸及びジオールが使用可能であ
る。例えば、ジカルボン酸としてテレフタル酸、オルト
フタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、2,5-ナフ
タレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,
7-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン
酸、4,4′-ビフェニルジカルボン酸、2,2′-ビフェニル
ジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン
酸、4,4′-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′-ジフ
ェニルスルフォンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルイソ
プロピリデンジカルボン酸、1,2-ビス(4-カルボキシフ
ェノキシ)-エタン、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、
5-テトラブチルフォスフォニウムスルホイソフタル酸等
の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン
ジオン酸、オクタデカンジカルボン酸、ダイマー酸、マ
レイン酸及びフマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4-シ
クロヘキサンジカルボン酸などの環状脂肪族ジカルボン
酸などが挙げられる。ジカルボン酸エステルとしては、
上記のジカルボン酸のメチルエステルが挙げられる。ヒ
ドロキシカルボン酸としては、p-ヒドロキシ安息香酸、
p-(ヒドロキシエトキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフ
トエ酸、4′-ヒドロキシ-ビフェニル-4-カルボン酸等の
芳香族ヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
【0015】ジオールとしては、エチレングリコール、
プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール1,4-ブタン
ジオール、2,2-ジメチルプロパンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,5-ペンタジオール、1,6-ヘキサンジオ
ール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール1,4
-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジ
メタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、トリメ
チレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタ
メチレングリコール、オクタメチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビス
フェノールA及び2,2-ビス(2′-ヒドロキシエトキシフェ
ニル)プロパンが挙げられる。
【0016】エステル化反応の方法としては、ジカルボ
ン酸エステル原料とジオール原料とを180〜250℃の温度
で酢酸カルシウムなどのエステル交換触媒を用いて、ア
ルコールを留出しながらエステル交換を行う。次に250
〜290 ℃で、二酸化ゲルマニウム、三酸化アンチモンな
どの重合触媒を用いて0.5 mmHg以下の減圧下にてジオー
ルを留出しながら、1〜5時間溶融重合を行い、ポリエス
テルを得る。得られたポリエステルの溶液粘度は0.6〜
1.2である。
【0017】熱可塑性芳香族ポリエステルとしては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート-テレフタレート共重
合体、ポリブチレンイソフタレート-テレフタレート共
重合体、ポリシクロヘキシレンジメチレンイソフタレー
ト-テレフタレート共重合体などが挙げられる。
【0018】上記ポリエステルは、フェノール/1,1',2,
2'-テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、3
5 ℃で測定を行ったとき、溶液粘度が0.6〜1.2のものを
用いるのが好ましい。
【0019】本発明におけるポリエステル共重合体は、
酸成分として、芳香族ジカルボン酸およびスルホン酸基
をもつ芳香族ジカルボン酸を用いる。かかる芳香族ジカ
ルボン酸としては、炭素数6〜12のもの、例えばテレ
フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸を挙げることが
できる。かかるスルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸
としては、例えば5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-
テトラブチルフォスフォニウムスルホイソフタル酸を挙
げることができる。かかるスルホン酸基をもつ芳香族ジ
カルボン酸は、酸成分全体の10モル%以下、好ましく
は2〜5モル%で用いられることにより、ポリエステル
中の膨潤性層状珪酸塩の分散性が良好である。
【0020】さらに酸成分としては、全酸成分を100
としたとき、40モル%以下、好ましくは20モル%以
下で脂肪族ジカルボン酸を用いてもよい。かかる脂肪族
ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、コハク酸、ア
ジピン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を挙げるこ
とができる。
【0021】したがって、上記ポリエステル共重合体に
おける酸成分は、芳香族ジカルボン酸55〜98モル%
とスルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸2〜5モル%
と脂肪族ジカルボン酸0〜40モル%とからなるが好適
である。また、かかるポリエステル共重合体は基本的に
非水溶性であるものが好適である。
【0022】上記ポリエステル共重合体におけるアルキ
レングリコール成分としては、炭素数2〜20のグリコ
ールを用いることができる。例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0023】本発明で使用される上記ポリエステル共重
合体は、ポリオキシエチレン基を有するものでもよく、
上記酸成分及びアルキレングリコール成分からなるポリ
エステル共重合体とポリオキシエチレンとの共重合体で
ある。これは、例えば、上記酸成分、アルキレングリコ
ール成分及びポリオキシエチレンを出発原料として、公
知の方法により製造することができる。かかるポリオキ
シエチレン基は、1〜10モル%含有するものが好まし
い。またかかるポリオキシエチレンの分子量は、好まし
くは200〜4000である。
【0024】上記ポリエステル共重合体は、フェノール
/1,1',2,2'-テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒に
溶解し、35 ℃で測定を行ったとき、溶液粘度が0.6〜1.
2のものを用いるのが好ましい。
【0025】本発明のポリエステル複合材料における膨
潤性層状化合物の含有率は、0.5 〜10 重量%であること
が好ましく、特に1〜5 重量%であるとより高い分散性が
得られる。
【0026】本発明のポリエステル複合材料におけるポ
リオキシエチレン基及びスルホン酸基を含むポリエステ
ル共重合体の含有率は、好ましくは0.5 〜20 重量%、よ
り好ましくは1〜10重量%とすることで、膨潤性層状化
合物の高い分散性が得られる。
【0027】上記膨潤性層状化合物を上記熱可塑性芳香
族ポリエステルと混合してポリマー中に分散させる方法
としては、例えば膨潤性層状珪酸塩、ならびにポスルホ
ン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル
共重合体を、熱可塑性芳香族ポリエステルの重合時に添
加し均一分散させるか、もしくは、熱可塑性芳香族ポリ
エステル、膨潤性層状珪酸塩、及び該ポリエステル共重
合体を、溶融混錬、または溶液分散により分散させる方
法を採用することができる。
【0028】本発明で言う分子レベルでの均一分散とは
X線解析で測定した膨潤性層状珪酸塩の(001)面の底面反
射に由来する回折ピークが消失することを意味する。つ
まり、膨潤性層状珪酸塩が一枚一枚層剥離しているかも
しくは5 層以下の多層物が平行もしくはランダムに混在
している状態を言う。
【0029】また本発明で言う生分解は、活性汚泥中に
浸漬させた後のポリエステルの溶液粘度低下を意味す
る。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、スルホン酸基をもつ芳
香族ジカルボン酸からなるポリエステル共重合体を相溶
化剤として用いることにより、膨潤性層状珪酸塩がポリ
エステル中に分子レベルで均一分散することを見出し、
さらにはそのポリエステル複合材料が生分解性を示すこ
とを見出した点である。このポリエステル複合材料は、
ポリエステル中に分子レベルで均一分散してるためポリ
エステルの生分解化を促進し、さらにはガスバリア性の
向上も期待される。そして、ポリエステルへの分散性は
向上しかつ透明性を失うことなく機械強度、耐熱性の向
上も期待されるため、生分解性ガスバリア性フィルムな
どの用途が考えられる。
【0031】
【実施例】以下の実施例により、本発明の詳細をより具
体的に説明する。本実施例に使用したモンモリロナイト
はNanocor社、ジヒドロキシポリオキシエチレンオレイ
ルメチルアンモニウムクロライドは竹本油脂(株)社、フ
ェノール、1,1',2,2'-テトラクロロエタン、ジメチルテ
レフタレート、5-ナトリウムスルホジメチルイソフタレ
ート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テ
トラブチルチタネート、グルコース、リン酸二水素化カ
リウム、バクトペプトンは関東化学(株)、PET(ポリエチ
レンテレフタレート、FK-OM)は帝人(株)製を使用した。
【0032】膨潤性層状珪酸塩の4 級アンモニウムイオ
ン処理 モンモリロナイト100 g、ジヒドロキシポリオキシエチ
レンオレイルメチルアンモニウムクロライド100 gに水1
0 Lを加え、室温で2 時間攪拌を行い、ろ過により粗生
成物を得た。さらに、水10Lで3 回洗浄を行った後、100
℃で3日間熱風乾燥、2日間真空乾燥を行い4 級アン
モニウムイオン処理されたモンモリロナイトを得た。確
認は、X線解析により行った。
【0033】膨潤性層状珪酸塩の層間距離測定 膨潤性層状珪酸塩の層間距離は、広角X線解析装置( 理
学電機(株)CN2155)を用い、ポリエステル複合材料の
層状珪酸塩の(001)面の底面反射に由来する回折ピーク
より求めた。
【0034】スルホン酸基をもつ芳香族ジカルボン酸か
らなるポリエステル共重合体の合成 ジメチルテレフタレート g(0.98 mol)、5-ナトリウム
スルホジメチルイソフタレート g(0.02 mol)、エチレン
グリコール g(1.6 mol)、ジエチレングリコール g(0.4
mol)、テトラブチルチタネート0.17 g(0.05 mol%)を1 L
三口フラスコに仕込み、190〜220 ℃で4 時間エステル
交換を行った。さらに250 ℃で4 時間重合を行った。得
られたポリマーの溶液粘度は0.82であった。
【0035】活性汚泥の調整 貯水池より汲み上げた汚水1Lに、腐葉土100 gを加え10
分間攪拌した。攪拌後、ろ過により腐葉土を取り除き、
ろ液にグルコース、リン酸二水素化カリウム、バクトペ
プトンをそれぞれ1 gずつ加え、50 ℃で1日酸素バブリ
ングを行い、活性汚泥を得た。
【0036】生分解性テスト 活性汚泥中にポリエステル複合材料を50 ℃で2 週間、
酸素バブリングを行いながら浸漬させた。
【0037】溶液粘度測定 ポリエステル複合材料をフェノール/1,1',2,2'-テトラ
クロロエタン=60/40(重量比)溶媒に溶解し、35 ℃で測
定を行った。
【0038】[実施例1]PET(FK-OM)5 g、スルホン酸
基をもつ芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル共重
合体0.5 g(PETに対し10 重量%)、モンモリロナイト(4
級アンモニウムイオン処理)0.21 g(PETに対し3 重量%)
をフェノール /1,1',2,2'-テトラクロロエタン=6/4(重
量比)混合溶媒に溶解し、テフロン(登録商標)板にキ
ャストし80℃で1 時間熱風乾燥、24 時間真空乾燥を行
い厚さ50μmのフィルムを得た。X線解析によりモンモ
リロナイトのポリエステル中での分散性について評価を
行った。また、活性汚泥中に50 ℃で2 週間酸素バブリ
ングを行いながら浸漬し、生分解性テストを行い浸漬前
後でのポリマーの溶液粘度の変化により生分解性につい
て評価を行った。
【0039】[比較例1]PET(FK-OM)5 g、モンモリロ
ナイト(4 級アンモニウムイオン処理)0.21 g(PETに対し
3 重量%)をフェノール /1,1',2,2'-テトラクロロエタン
=6/4(重量比)混合溶媒に溶解し、テフロン板にキャスト
し80℃で1 時間熱風乾燥、24 時間真空乾燥を行い厚さ5
0μmのフィルムを得た。X線解析によりモンモリロナイ
トのポリエステル中での分散性について評価を行った。
また、活性汚泥中に50 ℃で2 週間酸素バブリングを行
いながら浸漬し、生分解性テストを行い浸漬前後でのポ
リマーの溶液粘度の変化により生分解性について評価を
行った。
【0040】[比較例2]PET(FK-OM)5 gをフェノール
/1,1',2,2'-テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒
に溶解し、テフロン板にキャストし80℃で1 時間熱風乾
燥、24 時間真空乾燥を行い厚さ50μmのフィルムを得
た。活性汚泥中に2 週間酸素バブリングを行いながら浸
漬し、生分解性テストを行い浸漬前後でのポリマーの溶
液粘度の変化により生分解性について評価を行った。
【0041】[比較例3]PET(FK-OM)をスルホン酸基を
もつ芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル共重合体
に変えた以外比較例2と同様に行った。
【0042】
【表1】
【0043】*生分解率=(生分解前のηsp/c-生分解後
のηsp/c)/(生分解前のηsp/c) 実施例1及び比較例1より、スルホン酸基をもつ芳香族ジ
カルボン酸からなるポリエステル共重合体は、膨潤性層
状珪酸塩をポリエステル中に均一分散させることが可能
であることが分かった。また実施例1及び比較例1,
2,3より、膨潤性層状珪酸塩をポリエステル中に均一
に分散させてなるポリエステル複合材料は高い生分解性
を示すことが分かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 武行 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J002 CF031 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 CF142 DJ006 EN137 EW177 FB086 GK01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)熱可塑性芳香族ポリエステル、
    (2)酸成分として、スルホン酸基をもつ芳香族ジカル
    ボン酸を10モル%以下含むポリエステル共重合体、及
    び(3)膨潤性層状珪酸塩、からなるポリエステル複合
    材料。
  2. 【請求項2】 上記ポリエステル共重合体における酸成
    分は、芳香族ジカルボン酸55〜98モル%とスルホン
    酸基をもつ芳香族ジカルボン酸2〜5モル%と脂肪族ジ
    カルボン酸0〜40モル%とからなるジカルボン酸であ
    る、請求項1記載のポリエステル複合材料。
  3. 【請求項3】 膨潤性層状珪酸塩は、有機オニウムイオ
    ンで処理されたものである、請求項1または2記載のポ
    リエステル複合材料。
  4. 【請求項4】 有機オニウムイオンが、4級アンモニウ
    ムイオンである請求項3記載のポリエステル複合材料。
  5. 【請求項5】 4級アンモニウムイオンが下記式(1)で
    示される請求項4記載のポリエステル複合材料。 【化1】 (式(1)中、R1,R2,R3及びR4はそれぞれ独立
    に、炭素数1〜30のアルキル基またはエチレンオキサ
    イドである。)
  6. 【請求項6】 膨潤性層状珪酸塩がモンモリロナイトま
    たは膨潤性マイカである、請求項1〜5のいずれかに記
    載のポリエステル複合材料。
  7. 【請求項7】ポリエステル複合材料中に占めるポリエス
    テル共重合体の含有量は0.5〜20重量%であり、か
    つ膨潤性層状珪酸塩の含有量は0.5〜10重量%であ
    る、請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル複合
    材料。
  8. 【請求項8】 生分解性を特徴とする請求項1〜7のい
    ずれかに記載のポリエステル複合材料。
  9. 【請求項9】 熱可塑性芳香族ポリエステル中に膨潤性
    層状珪酸塩を分散させたポリエステル複合材料を製造す
    る方法であって、相溶化剤として、スルホン酸基をもつ
    芳香族ジカルボン酸を酸成分するポリエステル共重合体
    を用いるポリエステル複合材料の製造方法。
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