JP2002087971A - 生体組織再生用細胞の分離方法及び装置 - Google Patents

生体組織再生用細胞の分離方法及び装置

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JP2002087971A
JP2002087971A JP2000271688A JP2000271688A JP2002087971A JP 2002087971 A JP2002087971 A JP 2002087971A JP 2000271688 A JP2000271688 A JP 2000271688A JP 2000271688 A JP2000271688 A JP 2000271688A JP 2002087971 A JP2002087971 A JP 2002087971A
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cells
tissue
cell
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red blood
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JP2000271688A
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Hajime Ogushi
始 大串
Masaya Sumida
政哉 澄田
Shuji Terajima
修司 寺嶋
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
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Asahi Medical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な操作で細胞浮遊液から組織再生用細胞
を分離濃縮し、しかも同時に、赤血球も分離濃縮して利
用できる方法および装置を提供すること。 【解決手段】 赤血球と、造血組織を除く生体組織の再
生に用いられる組織再生用細胞とを含む細胞浮遊液を、
少なくとも赤血球は通過し組織再生用細胞は捕捉する細
胞分離フィルターに通液して、赤血球は通過させ、組織
再生用細胞は細胞分離フィルターに捕捉させた後、前記
通過した赤血球を回収して輸血に用いるまで保存するこ
とを特徴とする赤血球の分離方法。及びそのための装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤血球を含む細胞
浮遊液から、輸血に用いるために赤血球を分離する方
法、及びそのための装置に関する。さらに、本発明は、
赤血球を輸血に用いるために細胞浮遊液を利用する方法
に関する。さらに詳細には、本発明は、いわゆる組織工
学を用いて生体組織の病変および/または欠損を修復再
生するために用いる細胞を分離して、残った赤血球を有
効に利用するための方法に関する。得られた細胞は生体
組織再生用細胞を用いて行う各種生体組織病変および/
または欠損の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学
分野で用いることが可能となる。
【0002】
【従来の技術】近年、生体の組織または臓器(以下、単
に組織という)の幹および/または前駆細胞を用いて、
同組織をin vitroまたはin vivoで形成す
ることで組織の病変および/または欠損を治療する、い
わゆる組織工学(Tissueengineerin
g。再生医学とも言う)が大変注目を集めており、世界
各国で研究開発が盛んに行われている(例えば、「月刊
組織培養工学」Vol.24、No.4、特集:組織工
学I(1998年4月);同、Vol.24、No.
5、特集:組織工学II(1998年5月))。
【0003】骨髄や血液(末梢血、臍帯/胎盤血)中に
は骨や軟骨、血管などを形成する細胞の幹/前駆細胞で
ある間葉系幹/前駆細胞が含まれていることが明らかに
された(例えば、国際公開特許WO95/25164号
公報、WO97/26326号公報、英国公開特許GB
2301114A号公報)。これらの細胞が存在する部
位には、しばしば赤血球などの夾雑細胞が混在してお
り、夾雑細胞を除去し組織再生用細胞を濃縮分離する必
要がある。国際公開特許WO95/25164号公報に
はFicoll−Hypaque比重遠心法を用いて、
末梢血から、組織再生用細胞を濃縮分離する方法が開示
されている。また、英国公開特許GB2301114A
号公報にはPercoll比重遠心法を用いて骨髄から
組織再生用細胞を濃縮分離する方法が開示されている。
これら、比重遠心法がベースとなる方法は、免疫学や細
胞生物学、あるいは臨床検査医学などの実験室レベルで
は汎用される方法ではあるが、操作が煩雑で、しかもク
リーンベンチ内で行われるものの完全開放系の操作のた
め無菌性に難があり、臨床行為としては到底受け入れら
れる方法ではなかった。組織工学が実験室レベルの実験
医療から脱皮し、ルーチンの医療行為として発展するに
は、本分離濃縮操作の簡便化と非完全開放系での処理が
待望されていた。
【0004】さらに、例えば骨髄を患者から採取して骨
髄の中の骨系前駆細胞を用いて骨欠損の治療に用いる場
合、患者が貧血を起こすため骨髄は大量に採取できない
という問題がある。この問題に対しては、同種血輸血あ
るいは貯血自己血による輸血という解決法もあるが、前
者はウイルス感染の危険を否定できず、後者は骨髄採取
とは別に自己血採血、保存という手間が追加されること
になり、別の問題を生むことになる。
【0005】一方、血液医学の分野においては、造血組
織、すなわち骨髄の再生である造血幹細胞移植は、すで
に通常の医療行為として確立されている。同分野で用い
る造血幹細胞の濃縮分離には、たとえば特開平8−10
4643号公報で提案されている、簡便操作が特徴であ
るフィルター法が利用されている。造血組織以外の生体
組織再生用細胞についても、本発明者らは、生体組織の
病変および/または欠損の治療への応用や基礎科学分野
での利用を目指して、フィルター法による生体組織再生
用細胞の分離方法を開発し、特許出願した(特願平11
−345515号)。この方法では、生体組織再生用細
胞を分離回収する方法は、提供できたものの、同時に分
離される赤血球の利用は考慮していなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、簡便
な操作で、かつ非完全開放系で細胞浮遊液から組織再生
用細胞を分離濃縮し、しかも同時に、赤血球も分離濃縮
して利用できる方法および装置を提供することにある。
さらに、本発明は、分離濃縮した赤血球を利用して、輸
血用の赤血球の供給不足の問題や患者の貧血問題を解決
する方法を提供することも課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる課題
を解決すべく、鋭意検討を進めた。その結果、造血幹細
胞の濃縮分離に用いるフィルターを用いると、造血組織
以外の組織再生用細胞の濃縮分離をも可能になるという
驚くべき発見を行い、同時に分離される赤血球も有効利
用できるということを見出して、本発明に至った。さら
に、本発明者らは、組織再生用細胞の分離濃縮と、分離
した赤血球を利用するのに適した装置に改良し、その結
果、輸血用の赤血球の供給の問題や、患者の貧血問題を
克服する使用方法を見出すことにより本発明を完成し
た。
【0008】すなわち本発明は、(1)赤血球と、造血
組織を除く生体組織の再生に用いられる組織再生用細胞
とを含む細胞浮遊液を、少なくとも赤血球は通過し組織
再生用細胞は捕捉する細胞分離フィルターに通液して、
赤血球は通過させ、組織再生用細胞は細胞分離フィルタ
ーに捕捉させた後、前記通過した赤血球を回収して輸血
に用いるまで保存することを特徴とする赤血球の分離方
法、(2)赤血球と、造血組織を除く生体組織の再生に
用いられる組織再生用細胞とを含む細胞浮遊液を、少な
くとも赤血球は通過し組織再生用細胞は捕捉する細胞分
離フィルターに通液して、赤血球は通過させ、組織再生
用細胞は細胞分離フィルターにいったん捕捉させた後、
前記細胞分離フィルターには流体を導入して捕捉されて
いる細胞を回収し、前記通過した赤血球は回収して輸血
に用いるまで保存することを特徴とする赤血球の分離方
法、(3)少なくとも入口と出口とを有する細胞分離フ
ィルターと、該細胞分離フィルターの入口より上流にあ
って細胞浮遊液注入手段を接続する手段と、細胞分離フ
ィルターから組織再生用細胞を回収するために流体を注
入する手段と、組織再生用細胞を回収する手段と、細胞
分離フィルターの出口より下流に接続される赤血球回収
手段とを含む赤血球分離装置、(4)赤血球と、造血組
織を除く生体組織の再生に用いられる組織再生用細胞と
を含む細胞浮遊液を個体から採取すること、前記採取し
た細胞浮遊液を細胞分離フィルターに通液すること、前
記細胞分離フィルターから通過流出した赤血球を回収す
ること、前記回収された赤血球を同一個体または別の個
体に輸血することを含む細胞浮遊液の利用方法、および
(5)赤血球と、造血組織を除く生体組織の再生に用い
られる組織再生用細胞を含む細胞浮遊液を個体から採取
すること、採取した細胞浮遊液を細胞分離フィルターに
通液すること、前記細胞分離フィルターから通過流出し
た赤血球を回収すること、前記細胞分離フィルターに流
体を導入して前記細胞分離フィルターに捕捉された組織
再生用細胞を回収すること、前記回収された赤血球を同
一個体または別の個体に輸血することを含む細胞浮遊液
の利用方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で言う生体組織とは、骨、軟骨、筋肉、腱などの
結合組織、血管、神経、皮膚、毛髪、各種臓器のことを
言う。本発明で言う生体組織再生用細胞とは、前述の組
織を再生するために用いられる、前述の組織の幹および
/または前駆細胞のことを言い、例えば間葉系前駆細
胞、血管内皮前駆細胞、神経幹細胞などがあげられる
が、これらに限定されるものではない。また、生体組織
の再生は、当該組織の病変、欠損、傷害などで必要にな
るが、これらに限定されるものではない。夾雑細胞と
は、これらの細胞が存在する部位にしばしば混在する、
赤血球など本発明の組織の再生機能を有していない細胞
のことを言う。
【0010】これらを含む細胞浮遊液とは、赤血球と生
体組織再生用細胞とを含むものであればいずれでも良
い。具体的には、骨髄液、臍帯血(臍帯血管から採血さ
れたものだけでなく、胎盤血管から採血されたものも含
む)、末梢血、リンパ液及びこれらに遠心分離等何らか
の処理を施したもの、あるいは各種臓器や組織から抽出
した細胞を何らかの液体に再浮遊したものがあげられ
る。たとえば骨髄液、臍帯血などは造血組織を除く生体
組織の再生に用いられる組織再生用細胞と、夾雑細胞
(赤血球、血小板)以外に造血組織の再生に用いられる
造血幹細胞をも含むが、もちろん、これを排除するもの
ではない。
【0011】本発明で言う赤血球は通過し組織再生用細
胞は捕捉する細胞分離フィルターとは濾材を液体導入口
と液体導出口を有する容器に充填したものである。濾材
としては通常用いられている有核細胞捕捉材であればい
かなる材料も使用できるが、成形性、滅菌性や細胞毒性
が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、
ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアク
リルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロー
ス、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、
アルギン酸塩等の天然高分子、ヒドロキシアパタイト、
ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレ
ス、チタン、アルミニム等の金属があげられる。また、
濾材の形状としては、織布、不織布、スポンジ状構造
体、膜等があげられる。
【0012】不織布の場合、後述する抗体等の特定の細
胞に特異的に結合するいわゆるバイオリガンド類を表面
に固定しない場合は、通常、繊維径は1.0μm以上3
0μm以下であり、好ましくは1.0μm以上20μm
以下であり、さらにより好ましくは1.5μm以上10
μm以下である。1.0μm未満では回収必要細胞が強
固に捕捉されてしまい回収困難となる可能性がある。ま
た、30μmを超えると回収必要細胞が繊維に捕捉され
ず素通りする可能性が高くなる。いずれの場合も必要細
胞の回収率の低下につながると同時に、回収した赤血球
に他の細胞が混入する恐れがあるので好ましくない。
【0013】また、スポンジ状構造体を用いる場合、孔
径は通常2.0μm以上25μm以下であり、好ましく
は3.0μm以上20μm以下であり、さらにより好ま
しくは4.0μm以上15μm以下である。2.0μm
未満では流れ性が著しく劣り、通液自体が困難になるお
それがある。また25μmを超えると回収必要細胞の捕
捉率が低下し、必要細胞の回収率の低下だけでなく、回
収した赤血球に他の細胞の混入を招くので好ましくな
い。
【0014】この濾材を充填する、液体導入口と液体導
出口を有する容器の材質としては成形性や滅菌性に優
れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示する
と、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ア
クリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等
の合成高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミ
ナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アル
ミニウム等の金属があげられるが、これらに限定される
ものではない。容器の構造としては、形状は直方体、立
方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの
形状でもよい。また、液体導入口と液体導出口の位置と
しては、液体導入口は濾材の最上層に液体を導入できる
位置であればよく、また液体導出口は濾材の最下層から
液体を導出できる位置であればいずれでも良い。
【0015】本発明による生体組織再生用細胞の分離方
法は前述の生体組織再生用細胞と赤血球など夾雑細胞を
含む細胞浮遊液を、前述の細胞分離フィルターに通液し
た後、流体を該フィルターに導入して捕捉されている生
体組織再生用細胞を回収するものであるが、回収用の流
体を導入する前に、該フィルターに微量残存する夾雑細
胞を洗い流す目的でリンスを行っても良い。リンス液と
しては細胞に悪影響を及ぼさない液体であればいかなる
液体も使用可能であるが、いくつか例示すると生理食塩
水、ダルベッコリン酸塩緩衝液(D−PBS)やハンク
ス液(HBSS)などの緩衝液、RPMI1640など
の培地があげられる。リンス液の導入方向としては生体
組織再生用細胞と夾雑細胞を含む細胞浮遊液の通液方向
と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、同一方向の
方が捕捉された細胞が漏出する可能性が低い傾向にある
のでより好ましい。
【0016】捕捉した細胞を回収するために該フィルタ
ーに導入する流体としては細胞に悪影響を及ぼさない流
体であればいかなる流体も使用できるが、いくつか例示
すると、生理食塩水、D−PBS(ダルベッコリン酸塩
緩衝液)、HBSS(ハンクス液)などの緩衝液、RP
MI−1640などの培地があげられる。これらの液体
に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、凍結保存時の
凍害防止、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)
等の目的で必要に応じ、アルブミン、グロブリン、グル
コース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合
物、EDTA、ジメチルスルホキシド、デキストラン、
ポリビニルピロリドン、グリセリン、キチン誘導体、ヒ
ドロキシエチルデンプン、ゼラチン等を添加してもよ
い。また、ここで言う流体とは、液体単体のみならず、
空気、アルゴン、窒素など細胞に悪影響を及ぼさない気
体を混合したものも含まれる。流体の導入方向としては
生体組織再生用細胞と夾雑細胞を含む細胞浮遊液の通液
方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、逆方向
の方が高い回収率が得られる傾向にあるのでより好まし
い。すなわち、捕捉した細胞を回収するためにフィルタ
ーに導入する流体の供給手段は、細胞分離フィルターの
上流に設けても下流に設けてもよいが、回収率の点から
下流に設ける方が好ましい。
【0017】本発明による生体組織再生用細胞の分離方
法においては、夾雑細胞は細胞分離フィルターを通過す
るが、本発明は、この通過した夾雑細胞を回収して何ら
かの目的に利用することを特徴とする。たとえば、細胞
浮遊液が骨欠損患者から得られた骨髄で、造血組織を除
く生体組織の再生に用いられる細胞が骨系前駆細胞で、
同細胞を用いて骨欠損の治療(骨の再生)を行う場合、
夾雑細胞は赤血球であり、この細胞分離フィルターから
通過流出した赤血球を血液バッグ等に回収・保存し、基
礎科学実験用赤血球検体としての利用や人工赤血球の原
料となるヘモグロビンの採取目的に用いることができ
る。また、輸血用血液として保存することもできるし、
また患者に輸血すれば骨髄採取による貧血を防止するこ
とができより好ましい。
【0018】本発明の生体組織の再生方法においては少
なくとも赤血球と、造血組織を除く組織再生用細胞を含
む細胞浮遊液を個体から採取するが、その採取方法は、
たとえば骨髄であれば骨髄穿刺針を用いるなど適宜選択
する。本発明では細胞分離フィルターにいったん捕捉さ
せ回収した生体組織再生用細胞を前述の個体に移植でき
るのみならず、細胞分離フィルターから通過流出した赤
血球を、基礎科学実験用赤血球検体としての利用や人工
赤血球の原料となるヘモグロビンの採取目的に用いるこ
とができる。また、輸血用血液として他の患者に輸血す
ることもでき、特に前述の個体に輸血した場合は、個体
の貧血予防になるためより好ましい。
【0019】本発明で得られた生体組織再生用細胞は、
そのまま、あるいは必要に応じさらなる分離精製、培
養、活性化、分化誘導、増幅、遺伝子導入、凍結保存、
WO97/26326号公報で提案されているハイドロ
キシアパタイトなどの骨補填材との複合化、J.Bio
med.Mater.Res.(Appl.Biome
d.)vol.48,1999で提案されている人工関
節との複合化、第34回日本人工臓器学会大会予稿集S
1−1で提案されている人工血管との複合化などの各種
処理が施された後、各種生体組織の病変および/または
欠損の治療や基礎科学分野の研究に用いられる。
【0020】
【実施例】以下に実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【実施例1】1.細胞分離フィルター 平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布(目付約6
0g/m2、嵩高約0.3mm)18枚と平均繊維径1
2μmのポリエステル不織布(目付約100g/m2
嵩高約0.47mm)16枚を重ね、押し切りカッター
で35mm角に切断し細胞分離フィルター材とした。こ
の細胞分離フィルター材を容器外寸(縦×横×厚み)4
1×41×18mmで液体流出口と液体流入口を対角線
上に持つポリカーボネート製容器の出口側に平均繊維径
12μmのポリエステル不織布がくるように充填して細
胞分離フィルターとした。この細胞分離フィルターの入
口側にはずに示すように先端がスパイク2で、途中に細
胞回収バッグ6への分岐を有する三方活栓4を有するチ
ューブを接続した。また、細胞分離フィルター1の出口
側には途中に三方活栓5を有し、末端が赤血球バッグ3
に接続されるチューブを接続し図1に示す細胞分離回収
装置とした。
【0021】2.原料細胞浮遊液 常法によりヒト骨髄液3mlを採取し、ただちに6単位
/mlヘパリンを添加したD−PBS3mlと混和し、
細胞分離操作直前に15%Fetal Bovine
Serum(FBS、ギブコ社製)含有Minimum
Essential Medium(MEM、シグマ
社製)60mlで希釈して原料細胞浮遊液とした。
【0022】3.細胞分離回収操作 1.で作製した細胞分離回収装置のスパイク2に2.の
原料細胞浮遊液入り血液バッグ(以下、血液バッグ)を
接続した。三方活栓4は血液バッグと細胞分離フィルタ
ー1のみが連通する方向に、三方活栓5は細胞分離フィ
ルター1と赤血球バッグ3のみが連通する方向にして原
料細胞浮遊液を細胞分離フィルターに落差で通液濾過
し、フィルターから流出した赤血球を赤血球バッグ3に
回収した。空になった血液バッグを生理食塩水入りバッ
グと交換し、フィルターに100mlの生理食塩水を通
液し、フィルター内に微量残存する赤血球を洗い流し、
この洗液も赤血球バッグ3に回収した。次に三方活栓5
に15%FBS含MEM30ml を入れた30ml注
射器(ルアーロック口)を接続し、三方活栓5は注射器
と細胞分離フィルター1のみが連通する方向にし、三方
活栓4は細胞分離フィルター1と細胞回収バッグ6のみ
が連通する方向にした。次に注射器のプランジャーを手
で押すことで細胞分離回収フィルター1に捕捉されてい
る細胞(以下、組織再生用細胞)を回収バッグ6に回収
した。
【0023】4.評価 赤血球バッグ3に回収された赤血球数を測定した。赤血
球数は自動血球カウンターを用いて測定した。原料細胞
浮遊液中の赤血球数、赤血球バッグ中の赤血球数とこれ
らから算出した赤血球回収率を表1に示す。
【表1】
【0024】5.結果 赤血球バッグには原料細胞浮遊液の赤血球の90%とい
う高い回収率で赤血球が回収されていた。
【0025】
【実施例2】1.細胞分離フィルター 実施例1のフィルターに通液性を高めるために以下の方
法で親水性ポリマーをコートする以外は同様な操作を行
った。すなわち、実施例1のフィルターにヒドロキシエ
チルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート共重合体(モル比=97:3)の1%エタノール溶
液15mLを該細胞分離フィルターの液体流入口から通
エキし、窒素ガスで余分なポリマー溶液をパージした
後、60℃で8時間以上真空乾燥機で乾燥させ細胞分離
フィルターとした。本フィルターを実施例1と同様な回
路を接続し、細胞分離回収装置とした。
【0026】2.原料細胞浮遊液 実施例1と同様の原料細胞浮遊液を用いた。 3.細胞分離回収操作 実施例1と同様な細胞分離回収操作を行った。
【0027】4.評価 実施例1と同様な評価を行った。原料細胞浮遊液中の赤
血球数、赤血球バッグ中の赤血球数とこれらから算出し
た赤血球回収率を表2に示す
【表2】 5.結果 赤血球バッグには原料細胞浮遊液の赤血球の91%とい
う高い回収率で赤血球が回収されていた。
【0028】
【発明の効果】以上示したように本発明によれば簡便な
操作かつ非完全開放系で原料細胞浮遊液中の組織再生用
細胞を機能を維持したまま分離濃縮でき、また同時に赤
血球も高率に回収できるので、赤血球を有効に利用でき
る。本発明は、組織工学が実験室レベルの実験医療から
脱皮し、ルーチンの医療行為への発展するために大いに
貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生体組織再生用細胞分離装置の模式
図である。
【符号の説明】
1 細胞分離フィルター 2 スパイク 3 赤血球バッグ 4 三方活栓 5 三方活栓 6 細胞回収バッグ 7 細胞回収用流体の注入手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 29/92 B01D 29/04 520B 29/94 530A G01N 33/48 29/38 510A // A61M 1/02 540 520A A61P 7/06 580B 29/42 501A 510 520 Fターム(参考) 2G045 AA01 BB04 CA25 4C077 AA12 BB02 EE01 KK11 NN02 NN20 PP08 PP09 PP10 PP14 4C087 AA01 AA02 AA04 AA05 BB34 BB36 DA17 NA14 ZA51 ZA55

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤血球と、造血組織を除く生体組織の再
    生に用いられる組織再生用細胞とを含む細胞浮遊液を、
    少なくとも赤血球は通過し組織再生用細胞は捕捉する細
    胞分離フィルターに通液して、赤血球は通過させ、組織
    再生用細胞は細胞分離フィルターに捕捉させた後、前記
    通過した赤血球を回収して輸血に用いるまで保存するこ
    とを特徴とする赤血球の分離方法。
  2. 【請求項2】 赤血球と、造血組織を除く生体組織の再
    生に用いられる組織再生用細胞とを含む細胞浮遊液を、
    少なくとも赤血球は通過し組織再生用細胞は捕捉する細
    胞分離フィルターに通液して、赤血球は通過させ、組織
    再生用細胞は細胞分離フィルターにいったん捕捉させた
    後、前記細胞分離フィルターには流体を導入して捕捉さ
    れている細胞を回収し、前記通過した赤血球は回収して
    輸血に用いるまで保存することを特徴とする赤血球の分
    離方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも入口と出口とを有する細胞分
    離フィルターと、該細胞分離フィルターの入口より上流
    にあって細胞浮遊液注入手段を接続する手段と、細胞分
    離フィルターから組織再生用細胞を回収するために流体
    を注入する手段と、組織再生用細胞を回収する手段と、
    細胞分離フィルターの出口より下流に接続される赤血球
    回収手段とを含む赤血球分離装置。
  4. 【請求項4】 赤血球と、造血組織を除く生体組織の再
    生に用いられる組織再生用細胞とを含む細胞浮遊液を個
    体から採取すること、前記採取した細胞浮遊液を細胞分
    離フィルターに通液すること、前記細胞分離フィルター
    から通過流出した赤血球を回収すること、前記回収され
    た赤血球を同一個体または別の個体に輸血することを含
    む細胞浮遊液の利用方法。
  5. 【請求項5】 赤血球と、造血組織を除く生体組織の再
    生に用いられる組織再生用細胞を含む細胞浮遊液を個体
    から採取すること、採取した細胞浮遊液を細胞分離フィ
    ルターに通液すること、前記細胞分離フィルターから通
    過流出した赤血球を回収すること、前記細胞分離フィル
    ターに流体を導入して前記細胞分離フィルターに捕捉さ
    れた組織再生用細胞を回収すること、前記回収された赤
    血球を同一個体または別の個体に輸血することを含む細
    胞浮遊液の利用方法。
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