JP4333936B2 - 生体骨組織再生用細胞を得る方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織の再生に用いられる組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液から組織再生用細胞を分離して、生体組織の再生に使用する細胞を得る方法に関する。さらに詳細には、本発明は、いわゆる組織工学を用いて生体組織の病変および/または欠損を修復再生するために用いる細胞の取得方法に関する。得られた細胞は生体組織再生用細胞を用いて行う各種生体組織病変および/または欠損の治療及び免疫学や細胞生物学等の基礎科学分野で用いることが可能となる。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体の組織または臓器(以下、単に組織という)の幹および/または前駆細胞を用いて、同組織をin vitroまたはin vivoで形成することで組織の病変および/または欠損を治療する、いわゆる組織工学(Tissueengineering。再生医学とも言う)が大変注目を集めており、世界各国で研究開発が盛んに行われている(例えば、「月刊組織培養工学」Vol.24、No.4、特集:組織工学I(1998年4月);同、Vol.24、No.5、特集:組織工学II(1998年5月))。
【0003】
骨髄や血液(末梢血、臍帯/胎盤血)中には骨や軟骨、血管などを形成する細胞の幹/前駆細胞である間葉系幹/前駆細胞が含まれていることが明らかにされた(例えば、国際公開特許WO95/25164号公報、WO97/26326号公報、英国公開特許GB2301114A号公報)。これらの細胞が存在する部位には、しばしば赤血球などの夾雑細胞が混在しており、夾雑細胞を除去し組織再生用細胞を濃縮分離する必要がある。国際公開特許WO95/25164号公報にはFicoll−Hypaque比重遠心法を用いて、末梢血から、組織再生用細胞を濃縮分離する方法が開示されている。また、英国公開特許GB2301114A号公報にはPercoll比重遠心法を用いて骨髄から組織再生用細胞を濃縮分離する方法が開示されている。これら、比重遠心法がベースとなる方法は、免疫学や細胞生物学、あるいは臨床検査医学などの実験室レベルでは汎用される方法ではあるが、操作が煩雑で、しかもクリーンベンチ内で行われるものの完全開放系の操作のため無菌性に難があり、臨床行為としては到底受け入れられる方法ではなかった。組織工学が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの医療行為として発展するには、本分離濃縮操作の簡便化と非完全開放系での処理が待望されていた。
【0004】
さらに、骨髄を患者から採取して骨髄の中の骨系前駆細胞を用いて骨欠損の治療に用いる場合、患者が貧血を起こすため骨髄は大量に採取できないという問題がある。この問題に対しては、同種血輸血あるいは貯血自己血による輸血という解決法もあるが、前者はウイルス感染の危険を否定できず、後者は骨髄採取とは別に自己血採血、保存という手間が追加されることになり、別の問題を生むことになる。
【0005】
一方、血液医学の分野においては、造血組織、すなわち骨髄の再生である造血幹細胞移植は、すでに通常の医療行為として確立されている。同分野で用いる造血幹細胞の濃縮分離には、たとえば特開平8−104643号公報で提案されている、簡便操作が特徴であるフィルター法が利用されている。また、造血組織以外の生体組織再生用細胞についても、生体組織の病変および/または欠損の治療への応用や基礎科学分野での利用を目指して、本発明者らは、フィルター法による生体組織再生用細胞の分離方法を開発し、特許出願した(特願平11−345515号)。これらの方法では、造血組織あるいは造血組織以外の生体組織再生用細胞を分離回収する方法は提供できたものの、分離回収した生体組織再生用細胞を生体組織再生に有効に利用できるまでには至っていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は簡便な操作かつ非開放系で組織再生用細胞を分離濃縮し、分離濃縮した組織再生用細胞を培養して生体組織再生用の細胞を得る方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる課題を解決すべく、鋭意検討を進めた。その結果、造血幹細胞の濃縮分離に用いるフィルターを用いると、造血組織以外の組織再生用細胞の濃縮分離も可能であるという驚くべき発見を行い、さらに分離濃縮した造血組織以外の組織再生用細胞を培養すれば生体組織の再生への実用も可能であることを見出した。さらに検討を進めた結果、本発明者らは、分離濃縮した生体組織再生用細胞から生体骨組織の再生に適する培養方法の具体的な条件を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、(1)生体組織の再生に用いられる組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を採取すること、採取した細胞浮遊液を少なくとも夾雑細胞は通過し組織再生用細胞は捕捉する細胞分離フィルターに通液すること、細胞分離フィルターに流体を導入して細胞分離フィルターにいったん捕捉された組織再生用細胞を回収すること、回収された骨組織再生用細胞を培養することを含む生体骨組織再生用細胞を得る方法、および(2)生体組織の再生に用いられる組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を個体から採取すること、採取した細胞浮遊液を少なくとも赤血球は通過し組織再生用細胞は捕捉する細胞分離フィルターに通液すること、細胞分離フィルターから通過流出した赤血球を回収すること、細胞分離フィルターに流体を導入して細胞分離フィルターにいったん捕捉された組織再生用細胞を回収すること、前記回収された赤血球を同一個体または別の個体用の輸血用血液とすること、および前記回収された組織再生用細胞を培養することを含む、生体骨組織再生用細胞を得る方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で言う生体組織とは、骨、軟骨などの結合組織のことを言う。本発明で言う生体組織再生用細胞とは、前述の組織を再生するために用いられる、前述の組織の幹および/または前駆細胞のことを言い、例えば造血幹細胞および/または造血前駆細胞、間葉系前駆細胞、血管内皮前駆細胞、神経幹細胞などがあげられるが、これらに限定されるものではない。また、生体組織の再生は、当該組織の病変、欠損、傷害などで必要になるが、これらに限定されるものではない。夾雑細胞とは、これらの細胞が存在する部位にしばしば混在する、赤血球など本発明の組織の再生機能を有していない細胞のことを言う。
【0010】
これらを含む細胞浮遊液とは、赤血球と生体組織再生用細胞とを含むものならいずれでも良い.具体的には、骨髄液、臍帯血(臍帯血管から採血されたものだけでなく、胎盤血管から採血されたものも含む)、末梢血、リンパ液及びこれらに遠心分離等何らかの処理を施したもの、あるいは各種臓器や組織から抽出した細胞を何らかの液体に再浮遊したものがあげられる。たとえば骨髄液、臍帯血などは造血組織の再生に用いられる造血幹細胞と、造血組織を除く生体組織の再生に用いられる組織再生用細胞とを含み本発明で好適に用いられる細胞浮遊液である。
【0011】
本発明で言う夾雑細胞は通過して生体組織再生用細胞は捕捉する細胞分離フィルターとは、濾材を液体導入口と液体導出口を有する容器に充填したものである。濾材としては通常用いられている有核細胞捕捉材であればいかなる材料も使用できるが、成形性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニム等の金属があげられる。
【0012】
また、濾材の形状としては、織布、不織布、スポンジ状構造体、膜等があげられる。不織布の場合、後述する抗体等の特定の細胞に特異的に結合するいわゆるバイオリガンド類を表面に固定しない場合は、通常、繊維径は1.0μm以上30μm以下であり、好ましくは1.0μm以上20μm以下であり、さらにより好ましくは1.5μm以上10μm以下である。1.0μm未満では回収必要細胞が強固に捕捉されてしまい回収困難となる可能性がある。また、30μmを超えると回収必要細胞が繊維に捕捉されず素通りする可能性が高くなる。いずれの場合も回収率の低下につながるおそれがあるので好ましくない。
【0013】
また、スポンジ状構造体を用いる場合、孔径は通常2.0μm以上25μm以下であり、好ましくは3.0μm以上20μm以下であり、さらにより好ましくは4.0μm以上15μm以下である。2.0μm未満では流れ性が著しく劣り、通液自体が困難になるおそれがあり、また25μmを超えると回収必要細胞の捕捉率が低下し、回収率の低下を招くので好ましくない。
【0014】
この濾材を充填する、液体導入口と液体導出口を有する容器の材質としては成形性や滅菌性に優れ、細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等の合成高分子、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられるが、これらに限定されるものではない。容器の構造としては、形状は直方体、立方体、円柱形、楕円柱形などがあげられるが、いずれの形状でもよい。また、液体導入口と液体導出口の位置としては、液体導入口は濾材の最上層に液体を導入できる位置であればよく、また液体導出口は濾材の最下層から液体を導出できる位置であれば良い。
【0015】
本発明による生体組織再生用細胞の分離方法は前述の生体組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を、前述の細胞分離フィルターに通液した後、流体を該フィルターに導入して捕捉されている生体組織再生用細胞を回収するものであるが、回収用の流体を導入する前に、該フィルターに微量残存する夾雑細胞を洗い流す目的でリンスを行っても良い。リンス液としては細胞に悪影響を及ぼさない液体であればいかなる液体も使用可能であるが、いくつか例示すると生理食塩水、ダルベッコリン酸塩緩衝液(D−PBS)やハンクス液(HBSS)などの緩衝液、RPMI1640などの培地があげられる。リンス液の導入方向としては生体骨組織再生用細胞と夾雑細胞を含む細胞浮遊液の通液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、同一方向の方が捕捉された細胞が漏出する可能性が低い傾向にあるのでより好ましい。
【0016】
捕捉した細胞を回収するために該フィルターに導入する流体としては細胞に悪影響を及ぼさない流体であればいかなる流体も使用できるが、いくつか例示すると、生理食塩水、D−PBS(ダルベッコリン酸塩緩衝液)、HBSS(ハンクス液)などの緩衝液、RPMI−1640などの培地があげられる。これらの液体に、細胞保護、栄養補給、抗凝固性付与、凍結保存時の凍害防止、粘度向上(回収率向上に有効な場合がある)等の目的で必要に応じ、アルブミン、グロブリン、グルコース、サッカロース、トレハロース、クエン酸化合物、EDTA、ジメチルスルホキシド、デキストラン、ポリビニルピロリドン、グリセリン、キチン誘導体、ヒドロキシエチルデンプン、ゼラチン等を添加してもよい。また、ここで言う流体とは、液体単体のみならず、空気、アルゴン、窒素など細胞に悪影響を及ぼさない気体を混合したものも含まれる。流体の導入方向としては生体組織再生用細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液の通液方向と同一方向あるいは逆方向が考えられるが、逆方向の方が高い回収率が得られる傾向にあるのでより好ましい。
【0017】
本発明による生体組織用細胞の分離方法においては、夾雑細胞は細胞分離フィルターを通過するが、この通過した夾雑細胞を回収して何らかの目的に利用することもできる。たとえば、細胞浮遊液が骨欠損患者から得られた骨髄で、生体組織の再生に用いられる細胞が骨系前駆細胞で、同細胞を用いて骨欠損の治療(骨の再生)を行う場合、夾雑細胞は赤血球であり、この細胞分離フィルターから通過流出した赤血球を血液バッグ等に回収・保存し、基礎科学実験用赤血球検体としての利用や人工赤血球の原料となるヘモグロビンの採取目的に用いることができる。また、輸血用血液として患者に輸血することもでき、骨髄採取による貧血を防止することができ好ましい。
【0018】
本発明の生体組織用細胞取得方法においては少なくとも組織再生用細胞を含む細胞浮遊液を個体から採取するが、その採取方法は、たとえば骨髄であれば骨髄穿刺針を用いるなど適宜選択する。本発明では細胞分離フィルターにいったん捕捉させ回収した生体組織再生用細胞を前述の個体に移植できるのみならず、別の個体への移植、あるいは生体外で生体組織の再生に利用することができる。細胞分離フィルターから通過流出した赤血球は、基礎科学実験用赤血球検体としての利用や人工赤血球の原料となるヘモグロビンの採取目的に用いることができる。また、輸血用血液として患者に輸血することもでき、特に前述の個体に輸血した場合は、個体の貧血予防になるためより好ましい。
【0019】
本発明で得られた生体組織再生用細胞は、そのまま、あるいは必要に応じさらなる分離精製、培養、活性化、分化誘導、増幅、遺伝子導入、凍結保存、WO97/26326号公報で提案されているハイドロキシアパタイトなどの骨補填材との複合化などの各種処理が施された後、各種生体組織の病変および/または欠損の治療や基礎科学分野の研究に用いられる。具体的には、本発明では、細胞分離フィルターから5%Fetal Bovine Serum(FBS)含有Minimum Essential Medium(MEM)で回収した生体組織再生用細胞分離液を5%CO2雰囲気で2週間培養した後、Glycerophosphate,Vitamin C Phosphate,Dexamethasoneを添加した15%FBS含有MEMでさらに2週間培養したところ、in vitoroで骨を形成させることができた。本発明は、このような細胞分離フィルターから回収した組織再生用細胞から生体組織再生を行うために必要な条件を初めて見出したものである。
【0020】
【実施例】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
1.細胞分離フィルター
平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布(目付約60g/m2、嵩高約0.3mm)18枚と平均繊維径12μmのポリエステル不織布(目付約100g/m2、嵩高約0.47mm)16枚を重ね、押し切りカッターで35mm角に切断し細胞分離フィルター材とした。この細胞分離フィルター材を容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで液体流出口と液体流入口を対角線上に持つポリカーボネート製容器の出口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布がくるように充填して細胞分離フィルターとした。この細胞分離フィルターの入口側には図1に示すように先端がスパイク2で、途中に細胞回収バッグ6への分岐を有する三方活栓4を有するチューブを接続した。また、細胞分離回収フィルター1の出口側には途中に三方活栓5を有し、末端が赤血球バッグ3に接続されるチューブを接続し図1に示す細胞分離回収装置とした。
【0021】
2.原料細胞浮遊液 常法によりヒト骨髄液3mlを採取し、ただちに6単位/mlヘパリン添加D−PBS3mlと混和し、細胞分離操作直前に15%Fetal BovineSerum(FBS、ギブコ社製)含有Minimum EssentialMedium(MEM、シグマ社製)60mlで希釈して原料細胞浮遊液とした。
【0022】
3.細胞分離回収操作 1.で作製した細胞分離回収装置のスパイク2に2.の原料細胞浮遊液入り血液バッグ(以下、血液バッグ)を接続した。三方活栓4は血液バッグと細胞分離フィルター1のみが連通する方向に、三方活栓5は細胞分離フィルター1と赤血球バッグのみが連通する方向にして原料細胞浮遊液を細胞分離フィルターに落差で通液濾過し、フィルターから流出した赤血球を赤血球バッグに回収した。空になった血液バッグを生理食塩水入りバッグと交換し、フィルターに100mlの生理食塩水を通液し、フィルター内に微量残存する赤血球を洗い流し、この洗液も赤血球バッグに回収した。次に三方活栓5に15%FBS含MEM30mlを入れた30ml注射器(ルアーロック口)を接続し、三方活栓5は注射器と細胞分離フィルター1のみが連通する方向にし、三方活栓4は細胞分離フィルター1と細胞回収バッグ6のみが連通する方向にした。次に注射器のプランジャーを手で押すことで細胞分離回収フィルター1に捕捉されている細胞(以下、組織再生用細胞)を回収バッグ6に回収した。
【0023】
4.培養操作3.で回収した組織再生用細胞を15mlをT75ティッシュカルチャーフラスコに入れ5%CO2インキュベータで2週間培養した後、付着細胞を公知のトリプシンを用いる方法で剥離、回収した。
【0024】
5.評価赤血球バッグ3に回収された赤血球数を測定した。赤血球数は自動血球カウンターを用いて測定した。原料細胞浮遊液中の赤血球数、赤血球バッグ中の赤血球数とこれらから算出した赤血球回収率を表1に示す。
【表1】
【0025】
また、細胞回収バッグに回収された有核細胞数を自動血球カウンターを用いて測定した。原料細胞浮遊液中の有核細胞数、細胞回収バッグ中の有核細胞数、これらから算出した有核細胞回収率を表2に示す。なお、有核細胞の全てが組織再生用細胞ではないが、組織再生用細胞はこの有核細胞に含まれている。
【表2】
【0026】
In vitroの骨形成は、以下の方法で評価した。すなわち、回収した5×104の細胞を直径35mmの培養用ディッシュに入れ、10mMのGlycerophosphate、82μg/mlのVitamin C Phosphate、10nMのDexamethasone(いずれも最終濃度)を添加した15%FBS含MEMで2週間培養を行った後、アリザリン染色およびアルカリフォスファターゼ染色で評価した。
【0027】
6.結果
本分離操作により骨組織再生用細胞を分離回収できること、及び、得られた組織再生細胞用細胞は図2に示すごとくin vitroで骨を形成する能力を有することが明らかになった。
図2においては、矢印で囲んだ部分に石灰化が観察され、骨を形成していることが確認できる。また、赤血球バッグには原料細胞浮遊液の赤血球の90%という高い回収率で赤血球が回収されていた。
【0028】
【実施例2】
1.細胞分離フィルター実施例1のフィルターに通液性を高めるために以下の方法で親水性ポリマーをコートする以外は同様な操作を行った。すなわち、実施例1のフィルターにヒドロキシエチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(モル比=97:3)の1%エタノール溶液15mLを該細胞分離フィルターの液体流入口から通エキし、窒素ガスで余分なポリマー溶液をパージした後、60℃で8時間以上真空乾燥機で乾燥させ細胞分離フィルターとした。本フィルターを実施例1と同様な回路を接続し、細胞分離回収装置とした。
【0029】
2.原料細胞浮遊液実施例1と同様の原料細胞浮遊液を用いた。
3.細胞分離回収操作実施例1と同様な細胞分離回収操作を行った。
【0030】
4.培養操作実施例1と同様な培養操作を行った。
5.評価実施例1と同様に骨形成および回収した赤血球の評価を行った。原料細胞浮遊液中の赤血球数、赤血球バッグ中の赤血球数とこれらから算出した赤血球回収率を表3に示す。
【表3】
6.結果実施例1と同様な骨形成像が得られた。また、赤血球バッグには原料細胞浮遊液の赤血球の91%という高い回収率で赤血球が回収されていた。
【0031】
【発明の効果】
以上示したように本発明によれば簡便な操作かつ非開放系で原料細胞浮遊液中の組織再生用細胞を機能を維持したまま分離濃縮でき、分離濃縮した組織再生用細胞が組織再生能力を有していることが分かった。また同時に赤血球も高率に回収できるので、組織工学が実験室レベルの実験医療から脱皮し、ルーチンの医療行為への発展に貢献すること極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の生体組織再生用細胞分離装置の模式図である。
【図2】実施例1で分離された細胞のin vitro骨形成の状態を示した写真である。
【符号の説明】
1 細胞分離フィルター
2 スパイク
3 赤血球バッグ
4 三方活栓
5 三方活栓
6 細胞回収バッグ
7 細胞回収用流体の注入手段

Claims (2)

  1. 取した間葉系前駆細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を少なくとも夾雑細胞を通過させ間葉系前駆細胞を捕捉する細胞分離フィルターに通液すること、
    該細胞分離フィルターに流体を導入して細胞分離フィルターにいったん捕捉された間葉系前駆細胞を回収すること、
    前記回収された間葉系前駆細胞を培養すること、および
    前記培養した間葉系前駆細胞が石灰化成分を形成すること、を含
    前記細胞分離フィルターは、ポリエステル不織布である、
    石灰化成分を含む生体骨組織再生用細胞を得る方法。
  2. 取した間葉系前駆細胞と夾雑細胞とを含む細胞浮遊液を少なくとも夾雑細胞を通過させ間葉系前駆細胞を捕捉する細胞分離フィルターに通液すること、
    細胞分離フィルターから通過流出した赤血球を回収すること、
    該細胞分離フィルターに流体を導入して細胞分離フィルターにいったん捕捉された間葉系前駆細胞を回収すること、
    前記回収された赤血球を同一個体または別の個体用の輸血用血液とすること、
    前記回収された間葉系前駆細胞を培養すること、および
    前記培養した間葉系前駆細胞が石灰化成分を形成すること、を含
    前記細胞分離フィルターは、ポリエステル不織布である、
    石灰化成分を含む生体骨組織再生用細胞と輸血用赤血球を得る方法。
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