JP3945725B2 - 細胞分離方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば造血幹細胞及び/または造血前駆細胞(以下、「造血幹細胞」と略す)やリンパ球などの有核細胞を含有する液体から有核細胞を分離する方法に関する。更に詳しくはヒトに移植する細胞等、検体分取が必要な細胞の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
臍帯血幹細胞は、ドナー侵襲皆無の造血幹細胞移植ソースとして注目を集めており、欧米諸国を中心にさかんに臨床応用が試みられている。臍帯血幹細胞は、他の造血幹細胞移植、即ち、骨髄移植或いは末梢血幹細胞移植のようにドナーから採取されてすぐ患者に移植されることはまれであるので、採取時から使用時まで保存しておくことが必要である(特に非血縁者間移植の場合)。特公平8−69号公報には臍帯血を凍結保存後、解凍して移植に用いることが開示されている。ところで、臍帯血は凍結保存に際し、解凍後の破壊赤血球による副作用防止及び凍結保存時の体積を小さくする目的で、有核細胞を分離(赤血球を除去)すべきとされており現在はほとんどが分離保存が通常となっている(南江堂、「末梢血幹細胞移植」、173ページ)。事実、特公平8−69号公報でもフィコールハイパキュー(比重液による遠心分離)で分離すること(以下フィコール法と略す)及びそのプロトコールの詳細が開示されている。更に、その後の凍害保護剤を添加して凍結保存する方法の詳細も開示されている。しかしながら、フィコール法は非常に煩雑で長時間を要する操作であるという問題がある。
WO96/17514公報にはヒドロキシエチルスターチを用いて赤血球を沈降分離し、有核細胞濃厚液を得るためのバッグシステム、方法が開示されている。本法はシステム化されているものの、遠心分離が2回必要であるため、やはり長時間作業となる。
ところで、造血幹細胞移植は白血球の血液型であるHLA(ヒト白血球抗原)の型を移植患者とドナーの間で合わせることが成功率を高めるカギとされている。どうしてもHLAの一致したドナーが見つからない場合は、HLA不適合移植も行われてはいるが、生着不全や、重篤な合併症である移植片対宿主病の起こる確率はHLA一致移植と比べ、はるかに高率となる。いずれにせよ、予め、ドナーと患者のHLAタイピングは造血幹細胞移植においては必須である。HLAタイピングは、有核細胞から分離されるDNAにより行われる。
臍帯血以外の造血幹細胞移植、即ち骨髄移植や末梢血幹細胞移植は移植用の骨髄や末梢血幹細胞採取に先立って、タイピング用血液をドナーの末梢血管から採取し、HLAタイピングが行われる。ところが、臍帯血の場合、HLAは母親ではなく新生児のものなので、事前に(出産前の胎児から)HLAタイピング用検体を採取することは不可能である。また、出産後の新生児から採取することも、倫理面・安全面で問題がある。そこで、臍帯血のHLAタイピング用検体分取は採取された臍帯血から、以下の方法で行われている。即ち、1)有核細胞分離を行う前の全血から少量分取し、フィコール法により有核細胞を分離後、DNAを抽出する(残りの全血は有核細胞分離に供される)、2)ヒドロキシエチルスターチを用いる有核細胞分離後の、本来廃棄すべき赤血球層に混入する有核細胞を、フィコール法または塩化アンモニウムなどを用いる溶血法により分離回収しDNAを抽出する、というものであるが、いずれも大変、手間と時間のかかる方法であった。尚、有核細胞分離後の細胞集団からHLAタイピング用検体が分取されないのは、臍帯血から得られる細胞数は少ないため、有核細胞分離後の細胞は全て移植に使うことが望ましいためである。
ところで、フィコール法や赤血球凝集除去に代わる有核細胞分離方法も散見されるようになった。特開平8−104643号公報では赤血球は通過するフィルターに造血幹細胞を捕捉させた後、最初の通液方法とは逆方向の液流を惹起させて回収する方法が開示されている。しかしながら、回収操作を複数回行うことやHLAタイピングに関しては一切記述されていない。一方、特開平8−280384号公報には有核細胞を吸着するが核を持たない細胞は吸着しない性質を有する物質を用いて、有核細胞を含む試料から有核細胞を吸着した後、有核細胞中の核酸または蛋白質を回収することが開示されている。しかしながら、同公報の技術課題は臨床検査用の検体採取であり、移植用細胞の調製の記述は一切無い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、安価で且つ簡便・短時間操作で、移植に必須のHLAタイピング用検体と、移植用有核細胞が同時に得られる細胞分離方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、細胞をフィルターに捕捉させ、回収液をフィルターに導入し細胞を回収した場合、わずかではあるがフィルター内に捕捉されたまま回収されない細胞があることに着目し、更にもう一度回収液を導入することで、少量ではあるがHLAタイピングには十分な量の細胞が回収できることを見出した。更に、HLAタイピング用細胞は移植用細胞と異なり細胞機能・形状を維持している必要が無いばかりでなく、細胞が溶解または破壊され、DNAで回収された方がより好ましいことから、生理的溶液であることが必要な移植用細胞回収液とは別の、細胞を溶解または破壊する性質を有する回収液を採用することで、移植用細胞とDNAが同時に採取できることを見出し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない手段に有核細胞含有液を導入して有核細胞は捕捉させ、核を持たない細胞は流出させた後、該手段に回収液を導入して該手段に捕捉されている有核細胞を回収する細胞分離方法において、前記有核細胞含有液がヒト臍帯血であり、少なくとも生理的溶液と捕捉した細胞を溶解または破壊し得る溶液を含む複数の種類からなる回収液を複数回導入し、複数のCD34陽性細胞成分として細胞と細胞構成成分を同時に採取することを特徴とする細胞分離方法である。
【0005】
以下本発明を詳細に説明する。本発明で言う有核細胞とは例えば、白血球のように核を持つ細胞のことであり、リンパ球、顆粒球、単球、造血幹細胞などがあげられる。本発明で言う核を持たない細胞とは赤血球、血小板などがあげられる。また、本発明で言う有核細胞含有液とは前記有核細胞を含有する液体のことであり、例えば末梢血、リンパ液、骨髄液、臍帯血、或いはこれらに何らかの処理を施した液体等があげられる。ここで、本発明は前述したように臍帯血を用いた場合に特にその有用性が発揮されるが、用途は臍帯血に限定されるものではない。本発明で言う有核細胞成分とは、有核細胞そのもの、または有核細胞を構成しているタンパク質、核酸(DNA、RNA)などの成分を言う。
本発明における有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない手段とは、例えば有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない材料を充填した容器があげられる。有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない材料とは通常の有核細胞捕捉材であればいかなる材料も使用できるが、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプリロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。また、これらの捕捉材はこのままでも用いることができるが、血小板通過性を高める、或いは細胞の選択的捕捉を行う等の必要に応じ、表面改質を施したものでもよい。例えば、血小板通過性を高めるにはWO87/05812公報で提案されている非イオン性親水基と塩基性含窒素官能基を有するポリマーのコートによる方法等があげられ、細胞の選択的捕捉を行う場合、アミノ酸、ペプチド、糖類、糖タンパク(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)といった、特定の細胞に親和性のあるリガンドを、例えば特開平2−261833号公報で提案されているハロアセトアミド法により固定する方法等があげられる。また、捕捉材の形状としては粒状、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体、平板等があげられるが、体積あたりの表面積が大きいという点で粒状、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体が好ましい。有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない材料も充填する容器は、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプリロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、塩化ビニル等の合成高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属があげられる。
【0006】
本発明における、前記細胞捕捉手段に導入して捕捉した細胞を回収する回収液は生理的溶液であればいかなるものも使用可能であるが、いくつか例示すると、生理食塩水、D−PBSやHBSSなどの緩衝液、RPMI1640などの培地があげられる。これらの生理的溶液に、細胞保護、栄養補給、凍結保存時の凍害保護等の目的で必要に応じ、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、グルコース、サッカロース、トレハロース等を添加しても良い。本発明においては、細胞捕捉手段に複数回の回収液導入を行うが、通常、第1回目に回収される有核細胞成分が最も細胞数が多いので、これを移植用に用い、第2回目以降に回収される有核細胞成分を別用途に用いることが好ましい。別用途としては、前述したHLAタイピングの他に、幹細胞増幅方法の研究用、遺伝子診断用などがあげられる。例えばHLAタイピング用としては有核細胞で1×106あれば充分である。ところで、第2回目以降に回収される有核細胞成分をHLAタイピングに用いる場合、細胞そのものを回収する必要はなく、むしろDNAとして回収した方が手間が省けて好ましいので、回収液としては細胞を溶解または破壊させる液体を用いることが好ましい。例としてドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、トリトンX−100などの界面活性剤、蒸留水、イオン交換水などの低張液があげられる。これらにより回収されたDNAは公知のフェノール・クロロホルム法などにより精製し、HLAタイピングに供する。
本発明で言う有核細胞含有液を、有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない手段に導入する方法としては、前記手段にチューブを介して有核細胞含有液を入れたバッグ或いはボトルを接続して落差、ローラーポンプ、バッグを押しつぶし液流を惹起させる、などにより導入するか、有核細胞含有液を入れたシリンジを接続し、手押しまたはシリンジポンプなどで送液して導入すればよい。
有核細胞を該手段に導入すると、有核細胞は該手段内に捕捉され、核を持たない細胞は該手段から流出するが、若干容器内にも残存する場合があるので、残存した核を持たない細胞を洗浄除去する目的で前記手段に洗浄液を導入して洗浄することが好ましい。洗浄液としては生理的溶液であればいかなるものも使用可能であるが、いくつか例示すると、生理食塩水、ダルベッコリン酸緩衝液(D−PBS)やハンクス液(HBSS)等の緩衝液、RPMI1640等の培地があげられる。これらの生理的溶液に、細胞保護、栄養補給等の目的で必要に応じ、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、アルブミン、グロブリン、グルコース、サッカロース、トレハロース等を添加しても良い。洗浄液の送液方向は有核細胞含有液を導入した方向と同一方向が好ましい。逆方向ではこの洗浄操作により、有核細胞が漏出してしまうおそれがある。
本発明における、前記捕捉手段に回収液を導入する方法としては、該手段にチューブを介して回収液を入れたバッグ或いはボトルを接続して落差、ローラーポンプ、バッグ押しつぶしなどで送液するか、回収液を入れたシリンジを接続し、手押しまたはシリンジポンプなどで送液すればよい。この際、回収液の送液方向としては、有核細胞含有液を導入した方向と同一方向、その逆方向の2通りがあるが、一般に細胞回収率は後者の方が高いので好ましい。回収液の流速は早い方が回収率が高くなるので好ましい。
次に本発明の細胞分離システムについて説明する。本発明で言う細胞捕捉手段の入口以前に接続される、原料細胞液を前記細胞捕捉手段に注入する回路2は、原料細胞液が貯留されている容器等に接続し得るもの、または原料細胞液の存在する組織に接続され得るものである。前者の具体例をあげると、例えば原料細胞液を貯留している容器がバッグであれば、スパイク付チューブ、ルアーアダプター(オス、メス)付チューブ、或いは無菌接続器による接続(以下「SCD接続」と言う)を行うのであれば単なるチューブ、といったように適宜選択する。
原料細胞液を貯留している容器が針付シリンジであれば穿刺可能なセプタム付チューブ、針無しでルアー口の場合はルアーアダプター(メス)というように適宜選択する。後者の具体例をあげると、例えば臍帯血を対象とした場合、当該組織は胎盤及び/または臍帯であり、これらに穿刺可能な金属針付チューブがあげられる。チューブの場合には途中に流量調整の為のローラークランプ、凝集塊除去の為のメッシュチャンバー等を有してもよい。また、シリンジの場合、チューブを介さず細胞捕捉手段の入口に直接接続してもよい。
本発明でいう細胞捕捉手段の出口以降に接続される、前記細胞捕捉手段から流出する液体を排液する回路3は、排液される液体をいかなる手段で収集(または廃棄)するかにより、以下のように分けられる。即ち、バッグに収集する場合は、予めバッグを接続しておくか、バッグと接続可能な回路、即ち、スパイク付チューブ、ルアーアダプター(オス、メス)付チューブ、或いはSCD接続を行うのであれば単なるチューブというように適宜選択する。また、コニカルチューブに収集する場合や廃液ビンに廃棄、廃液チューブに廃棄する場合は先端が開放されていればよく、ルアー口のシリンジで収集する場合はルアーアダプター(メス)を用いる。また、シリンジの場合、チューブを介さず細胞捕捉手段の出口に直接接続してもよい。
【0007】
本発明でいう前記細胞捕捉手段の出口以降に接続される、前記細胞捕捉手段に回収液を注入する回路4は、細胞捕捉手段に注入する回収液を入れた容器を予め接続しておくか、後から接続可能とするか、また回収液の注入手段により以下のように分けられる。即ち、細胞捕捉手段に注入する回収液を入れた容器を予め接続しておく場合は、バッグ付チューブ、シリンジとなる。バッグの場合、細胞捕捉手段に回収液を注入する方法としては、落差による方法、バッグを押しつぶす方法、ローラーポンプを用いる方法があげられる。細胞捕捉手段に注入する回収液を入れた容器を後から接続する場合、シリンジを用いる場合はシリンジが接続可能である穿刺可能なセプタム付チューブ、ルアーアダプター(メス)付チューブ、三方活栓付チューブなどがあげられる。バッグを用いる場合はバッグと接続可能な回路、即ち、スパイク付チューブ、ルアーアダプター(オス、メス)付チューブ、或いはSCD接続を行うのであれば単なるチューブというように適宜選択する。また、シリンジの場合、チューブを介さず細胞捕捉手段の出口に直接接続してもよい。また、回路4内には回収操作を複数回行う際に、それぞれ別々の回収液を用いる場合の為に複数の分岐を設けることが好ましい。具体的には三方活栓、四方活栓を用いる方法、クランプを用いる方法、シリンジ接続可能な三つ又分岐管を用いる方法(要時にシリンジを接続)がある。また、前述の、シリジンを直接、チューブを介さずに細胞捕捉手段の出口に接続した場合は、回収液毎にシリンジを交換することで対応すればよい。
本発明でいう前記細胞捕捉手段の入口以前に接続される、前記細胞捕捉手段の入口側から細胞を回収する回路5は、細胞捕捉手段から流出した細胞をいかなる容器で回収するかにより、以下のように分けられる。即ち、バッグに回収する場合は、予めバッグを接続しておくか、バッグと接続可能な回路、即ち、スパイク付チューブ、ルアーアダプター(オス、メス)付チューブ、或いはSCD接続を行うのであれば単なるチューブというように適宜選択する。また、コニカルチューブに収集する場合は先端が開放されていればよく、ルアー口のシリンジで回収する場合にはルアーアダプター(メス)、三方活栓などを用いる。また、シリンジの場合、チューブを介さず細胞捕捉手段の入口に直接接続してもよい。ここで、細胞を該細胞捕捉手段から流出させる回収液が、その後の細胞保存に用いられるものである場合は、細胞を回収する容器も細胞保存用のものであることが最も好ましい。凍結保存容器の例をあげると、「クリオサイト」(バクスター社製)、「セルフリーズバッグ」(チャーターメド社製)等の凍結バッグがあげられる。また、回路5内には流路切替え手段と複数の分岐を有する。これは回収操作を複数回行い、それぞれの有核細胞成分を別々に回収するためのものであるが、具体的には三方活栓、四方活栓を用いる方法、クランプを用いる方法がある。また、前述の、シリジンを直接、チューブを介さずに細胞捕捉手段の入口に接続した場合は、回収液毎にシリンジを交換することで対応すればよい。
【0008】
本発明による細胞分離システムは、細胞捕捉手段に捕捉された細胞を該細胞捕捉手段から回収する前に、該細胞捕捉手段に残存する核を持たない細胞を洗浄するためのリンス回路(図示しない)を設けることがより好ましい。リンス回路はリンス液を入れた容器を予め接続しておくか、後から接続可能とするか、また液体の注入手段により以下のように分けられる。即ち、リンス液を入れた容器を予め接続しておく場合は、バッグ付チューブ、シリンジとなる。リンス液を入れた容器を後から接続する場合、シリンジを用いる場合はシリンジが接続可能である穿刺可能なセプタム付チューブ、ルアーアダプター(メス)付チューブがあげられる。バッグを用いる場合はバッグと接続可能な回路、即ち、スパイク付チューブ、ルアーアダプター(オス、メス)付チューブ、或いはSCD接続を行うのであれば単なるチューブというように適宜選択する。また、シリンジの場合チューブを介さず細胞捕捉手段の出口に直接接続してもよい。
リンス回路の、細胞捕捉手段への接続位置としては、入口側、出口側のいずれも可能であるが、入口側が操作の簡便さという点でより好ましい。
【0009】
【実施例】
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【実施例1】
▲1▼細胞分離器
容器外寸(縦×横×厚み)41×41×18mmで液体流出口と液体流入口を対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚を、出口側に平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布25枚を充填した。尚、充填密度は0.2g/cm3、有効濾過面積12.25cm2、有効濾過長12.4mmであった。
また、このフィルターに血小板通過性を付与する目的で、親水性ポリマーのコーティングを行った。即ち、ヒドロキシエチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ヒドロキシエチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートのモル比で97:3)の1%エタノール溶液を該フィルターの入口側から通液した後、窒素ガスを通して乾燥させた。
▲2▼細胞分離システム
▲1▼で作製した細胞分離器を回路に組み込み図1の細胞分離システムとした。このシステムは、原料細胞バッグと本発明システム本体、細胞捕捉手段の出口から流出する液体を回収するバッグと本発明システム本体との接続をいずれもスパイクで行い、細胞捕捉手段の入口側から細胞を回収する回路には移植用細胞回収用凍結バッグとHLAタイピング用にコニカルチューブに回収するための先端がスパイクになっているチューブを設け、クランプで流路を切替えるものである。また、細胞捕捉手段に液体を流入する、オスルアー口を有するシリンジを接続する三方活栓を設けたものである。図1において1は有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない細胞捕捉手段である。2は原料細胞を細胞捕捉手段に注入する回路であり、スパイク6、クランプ7、チューブ8からなる。3は細胞捕捉手段1の出口から流出する液体を排液する回路であり、スパイク9とチューブ10からなる。4は細胞捕捉手段1の出口側から該細胞捕捉手段に回収液を注入する回路であり、チューブ10は回路3と共用しており、シリンジを接続する三方活栓11を有する。5は細胞捕捉手段の入口側から細胞を回収する回路であり、Y字管12、クランプ13、14、凍結バッグ15、スパイク16、チューブ17、18からなる。
▲3▼細胞分離操作
図1の細胞分離システムを用いて細胞分離を行った。
予めクランプ7は閉、三方活栓11はシリンジ接続方向のみ閉、クランプ13、14は閉にしておく。
ヒト新鮮臍帯血(抗凝固剤CPD)50mlを入れた血液バッグにスパイク6を刺し、空のバッグにスパイク9を刺す。次いで、クランプ7を開けると、原料細胞液は回路2のチューブ8を通り、細胞捕捉手段に供給され、有核細胞は捕捉され、核を持たない細胞は回路3のチューブ10を通って空バッグに排液される。原料細胞液を処理し終えた後、クランプ7を閉じ、原料細胞液の入ったバッグからスパイク6を抜き、市販の生理食塩水ボトルに刺す。クランプ7を開けると、生理食塩水は細胞捕捉手段1をリンスし、回路3を通じて核を持たない細胞が入っているバッグに排液される。リンス終了後クランプ7を閉じる。次に、三方活栓11に市販のデキストラン40生理食塩水溶液(ヒト血清アルブミンを4%含む)25mlを入れたシリンジを接続し、三方活栓11をシリンジと細胞捕捉手段1のみが連通する方向に回し、クランプ13を開く。シリンジを押して凍結バッグ15に細胞を回収した。次に三方活栓11からシリンジをはずし、生理食塩水25mlの入った別のシリンジを接続する。クランプ13を閉じ、クランプ14を開け、スパイク16の下にコニカルチューブを置き、シリンジを押して細胞をコニカルチューブに回収した。
▲4▼分析
有核細胞数、、赤血球数、血小板数は自動血球計算機にて測定、有核細胞中のCD34陽性率はFITC標識抗CD34抗体を用い、SSC−FITCに展開するフローサイトメトリー法(宮崎、他:日常診療と血液、第5巻2号、21〜24ページ、1995年)を用いて測定した。
なお、回収率、除去率の算出方法は以下のとおりである。
回収率(%)=100×(回収後細胞数/原料血液中の細胞数)
除去率(%)=100−100×(回収後細胞数/原料血液中の細胞数)
▲5▼結果
結果のまとめを表1に示す。第1回有核細胞成分で得られた細胞液には有核細胞、CD34陽性細胞が高率に回収できており、赤血球、血小板が高率に除去されている。第2回有核細胞成分で得られた細胞液中にもHLAタイピングには充分の有核細胞が回収できていることがわかる。
Figure 0003945725
【0010】
【実施例2】
(1)細胞分離器
実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
(2)細胞分離システム
(1)の細胞分離器を回路に組み込み図2の細胞分離システムとした。このシステムは、原料細胞バッグと本発明システム本体、細胞捕捉手段の出口から流出する液体を回収するバッグと本発明システム本体との接続をいずれもスパイクで行い、細胞捕捉手段の出口側から液体を注入する回路に分岐を設け、その先端にはオスルアー口を有するシリンジを接続する三方活栓を設けたものである。また、細胞捕捉手段の入口側から細胞を回収する回路には移植用細胞回収用凍結バッグとHLAタイピング用にコニカルチューブに回収するための先端がスパイクになっているチューブを設け、クランプで流路を切替えるものである。図2において1は有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない細胞捕捉手段である。2は原料細胞を細胞捕捉手段に注入する回路であり、スパイク6、クランプ7、チューブ8からなる。3は細胞捕捉手段1の出口から流出する液体を排液する回路であり、スパイク9とチューブ10からなる。4は細胞捕捉手段1の出口側から該細胞捕捉手段に回収液を注入する回路であり、チューブ10は回路3と共用しており、三方活栓11、チューブ19、三方活栓20からなる。5は細胞捕捉手段の入口側から細胞を回収する回路であり、Y字管12、クランプ13、14、凍結バッグ15、スパイク16、チューブ17、18からなる。
(3)細胞分離操作
図2の細胞分離システムを用いて細胞分離を行った。
予めクランプ7は閉、三方活栓11はチューブ19方向のみ閉、クランプ13、14は閉にしておく。
ヒト新鮮臍帯血(抗凝固剤CPD)50mlを入れた血液バッグにスパイク6を刺し、空のバッグにスパイク9を刺す。次いで、クランプ7を開けると、原料細胞液は回路2のチューブ8を通り、細胞捕捉手段に供給され、有核細胞は捕捉され、核を持たない細胞は回路3のチューブ10を通って空バッグに排液される。原料細胞液を処理し終えた後、クランプ7を閉じ、原料細胞液の入ったバッグからスパイク6を抜き、市販の生理食塩水ボトルに刺す。クランプ7を開けると、生理食塩水は細胞捕捉手段1をリンスし、回路3を通じて核を持たない細胞が入っているバッグに排液される。リンス終了後クランプ7を閉じる。次に、三方活栓20に市販のデキストラン40生理食塩水溶液(ヒト血清アルブミンを4%含む)25mlを入れたシリンジと注射用蒸留水5mlを入れたシリンジを接続し、三方活栓11をチューブ19と細胞捕捉手段1のみが連通する方向に、三方活栓20をデキストラン40生理食塩水溶液の入ったシリンジとチューブ19のみが連通する方向に回す。クランプ13を開き、シリンジを押して凍結バッグ15に細胞を回収した。次に三方活栓20を注射用蒸留水の入ったシリンジとチューブ19のみが連通する方向に回し、クランプ13を閉じ、クランプ14を開け、スパイク18の下にコニカルチューブを置き、シリンジを押して注射用蒸留水を細胞捕捉手段1に導入し、捕捉されている細胞を破壊し、その中の粗DNAをコニカルチューブに回収した。回収した粗DNAを常法であるプロテナーゼKによるタンパクとフェノール・クロロホルム法により精製した。
(4)分析
細胞の回収率、除去率は実施例1と同様の方法で分析した。また、精製後のDNA量を分光光度計により260nmの吸光度を測定する常法(中山、他:細胞工学別冊「バイオ実験イラストレイテッド」(1)分子生物学実験の基礎、1995年)で測定した。
(5)結果
結果のまとめを表2に示す。第1回有核細胞成分で得られた細胞液には有核細胞、CD34陽性細胞が高率に回収できており、赤血球、血小板が高率に除去されている。また、第2回有核細胞成分を精製して得られたDNAはHLAタイピングに充分な量である約10μgが得られていることが分かる。
表2
Figure 0003945725
【0011】
【発明の効果】
以上示したように、本発明によれば安価で且つ簡便・短時間操作で、移植に必須のHLAタイピング用検体と、移植用有核細胞を同時に得ることが可能となるので、臨床現場での省力化に貢献するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で用いた細胞分離システムの模式図である。
【図2】 実施例2で用いた細胞分離システムの模式図である。
【符号の説明】
1 細胞分離器(細胞捕捉手段)
2 回路
3 回路
4 回路
5 回路
6 スパイク
7 クランプ
8 チューブ
9 スパイク
10 チューブ
11 三方活栓
12 Y字管
13 クランプ
14 クランプ
15 凍結バッグ
16 スパイク
17 チューブ
18 チューブ
19 チューブ
20 三方活栓

Claims (1)

  1. 有核細胞は捕捉し、核を持たない細胞は実質的に捕捉しない手段に有核細胞含有液を導入して有核細胞は捕捉させ、核を持たない細胞は流出させた後、該手段に回収液を導入して該手段に捕捉されている有核細胞を回収する細胞分離方法において、前記有核細胞含有液がヒト臍帯血であり、少なくとも生理的溶液と捕捉した細胞を溶解または破壊し得る溶液を含む複数の種類からなる回収液を複数回導入し、複数のCD34陽性細胞成分として細胞と細胞構成成分を同時に採取することを特徴とする細胞分離方法。
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