JP3938973B2 - 細胞分離方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞集団から特定の細胞を分離するための組成物、分離方法及び該分離方法により得られた細胞浮遊液に関する。
【0002】
【従来の技術】
白血病などの造血器腫瘍及び固形癌の化学療法における副作用である造血障害に対して、骨髄移植療法が広く施行されている。骨髄移植療法とは、移植骨髄による致死的造血障害の回復法であるため、患者にとって致死的な大量放射線及び/又は大量化学療法(以下、大量化学療法と略す)の施行が可能となり、白血病や固形癌の治癒につながる。また、近年、骨髄と同様に末梢血中にも、これらの治療に必要な造血幹細胞が含まれていることが明らかになった。通常、これらの細胞の末梢血中での含有率はかなり低値であり、採取して骨髄移植の代わりに用いることは困難であるが、抗癌剤及び/又はG−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)等のサイトカインを投与することにより、その含有率が増大することが明らかにされ、骨髄採取と比べると、全身麻酔が不要で安全なことから、盛んに臨床応用が行われている。更に近年、臍帯血中には末梢血よりもはるかに高濃度で造血幹細胞が含有されていることが明らかになり、臨床応用が始まった。ここで、移植法は細胞の提供者(ドナー)が誰であるかにより同種移植と自家移植に分けられる。前者は健康な他人(血縁者又は非血縁者)が提供者になり、後者は患者自身が提供者となるものである。自家移植においては全てが、また同種移植においては臍帯血を用いる場合はほとんどが移植まで凍結保存が行われる。凍結保存の前には、通常赤血球の除去が行われる。これは全血で保存した場合、保存スペースや解凍時の破壊赤血球による副作用が問題となるためである。従来、赤血球除去は遠心分離器により行われており、より分離効率を上げたい場合には比重液(例えばファルマシア社製Ficoll)を用いる比重遠心法が採用されている。本法は比重液に原料細胞を重層させる際に液面を乱してはならない等、非常に熟練を要する煩雑な操作である。特開昭61−84577号公報、特開平2−134564号公報等で操作の煩雑さを解決すべく、多くの試みがなされているが、比重液を用いるという点では変わらず、抜本的解決には至っていない。ところで、遠心分離を用いない赤血球除去法の提案も散見されるようになった。特開平8−104643号公報では赤血球と造血幹細胞及び/又は造血前駆細胞を含む細胞集団を、実質的に赤血球は通過し、白血球は捕捉するフィルターに通液した後、前記通液方向とは逆方向の液流を惹起させ、捕捉された白血球を回収することを特徴とする赤血球の除去方法が提案されている。しかしながら、特定組成の回収液を用いると回収率が向上するとの記載は一切ない。
【0003】
ところでデキストランはグルコースをモノマーとし、主としてα−1、6結合によって構成されている多糖類であり、古くから白血球分離剤として用いられてきた。しかしながら、デキストランによる白血球の分離は、試験管内の赤血球を凝集沈降させ(必要に応じ遠心分離)、上清の白血球をピペットで回収する(三輪史郎編集:臨床検査技術全書第3巻「血液検査」425ページ)という赤血球凝集促進剤としてのものであり、捕捉後回収という本願とは全く異なる技術思想である。なお、ヒドロキシエチルデンプン等も同様の赤血球凝集促進作用があり、デキストラン固有の性質では無い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、簡便な操作かつ短時間で、必要細胞と不要細胞の混合物から必要細胞を高率に回収する方法、例えば白血球、血小板、赤血球の混合物から白血球を選択的に高率に回収する方法を提供することを目的とする。更に詳しくは、細胞を一旦捕捉させ、その捕捉された細胞を回収する細胞分離方法において、高率に細胞を回収できる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の有する問題点を解決すべく鋭意検討した結果、デキストランを含む生理的溶液で細胞の回収を行うと、きわめて高い回収率が得られるというデキストラン固有の驚くべき性質を見出し、本発明を完成させたものである。即ち、本発明は白血球またはCD34陽性細胞と赤血球および血小板を含む骨髄、末梢血、臍帯血あるいはこれらを粗分離した細胞集団を、該白血球またはCD34陽性細胞を捕捉し、赤血球および血小板は実質的に通過する、容器に不織布を充填したフィルターに導入し、次に該フィルターにデキストランを含む生理的溶液を導入して、該フィルターに捕捉されている該白血球またはCD34陽性細胞を回収することを特徴とする細胞分離方法である。また、本発明は白血球またはCD34陽性細胞と赤血球および血小板を含む骨髄、末梢血、臍帯血あるいはこれらを粗分離した細胞集団を、該白血球またはCD34陽性細胞を捕捉し、赤血球および血小板は実質的に通過する、容器に不織布を充填したフィルターに導入し、次に該フィルターにデキストランを含む生理的溶液を導入して、回収して得られた該白血球またはCD34陽性細胞とデキストランを含む生理的溶液からなる細胞浮遊液である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で言う少なくとも回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞集団の例としては、骨髄、末梢血、臍帯血あるいはこれらを遠心分離器等により粗分離したものがあげられる。本発明で言う少なくとも回収必要細胞は捕捉し、除去対象細胞は実質的に通過する手段としては、捕捉材を容器に充填したもの、あるいは成型容器で容器内面に細胞捕捉面が存在するものがあげられる。前記捕捉材としては水不溶性であればいかなる材質でも使用可能であるが、成型性、滅菌性や細胞毒性が低いという点で好ましいものを例示すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子、ハイドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン等の金属があげられる。また、これらの捕捉材はこのままでも用いることができるが、必要に応じ、アミノ酸、ペプチド、糖タンパク(抗体、接着分子等のバイオリガンドを含む)といった、特定の細胞に親和性のあるリガンドを固定してもよい。また、捕捉材の形状としては粒状、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体、平板等があげられるが、体積あたりの表面積が大きいという点で粒状、繊維塊、織布、不織布、スポンジ状多孔質体が好ましい。また、成型容器で、容器内面に細胞捕捉面が存在するものとしては、フラスコ、ディッシュ、コニカルチューブ、シリンジ等があげられる。
【0007】
本発明で言うデキストランとはグルコースのポリマーで、その結合の大部分がα−1、6結合であるものを言い、その部分加水分解物や硫酸エステル等の誘導体も含む。分子量はいかなるものも使用できるが、溶解性や入手しやすさ等を考慮し、好ましい平均分子量は1000〜1000万であり、更に好ましくは5000〜500万、更により好ましくは1万〜100万である。本発明ではデキストランを溶解して生理的溶液として用いるものであるが、溶媒としては、浸透圧や細胞毒性を考慮して好ましいものをあげると、生理食塩水、ダルベッコリン酸塩緩衝液、ハンクス液などの緩衝液、RPMI1640などの培地があげられるが、これらに限定されるものではない。また溶液には細胞への栄養補給、凍結保存などの目的で、必要に応じて、アルブミン、グロブリンなどのタンパク質、グルコース、マンニトール、トレハロース、ヒドロキシエチルデンプンなどの糖類、ヘパリン、ACD、CPDなどの抗凝固剤、ジメチルスルホキシド、グリセリンなどの凍結保存剤を添加してもよい。本発明によるデキストラン含有液中のデキストラン濃度は0.5w/v%以上飽和濃度以下であり、好ましくは1w/v%以上飽和濃度の2分の1以下である。1w/v%では細胞回収率が低下するおそれがあり、また飽和濃度の2分の1を超えた量を加えると、粘度が上昇しフィルターに通液した際、圧力の上昇が起こり、フィルターとチューブの接続部分がはずれる可能性もあり危険である。
【0008】
本発明によるデキストランを含む生理的溶液を捕捉手段に通液する方法としては、ポンプの利用、シリンジによる注入、液体を貯留したバッグを押しつぶして液流を惹起する方法、落差による方法があるが、簡便さの点ではシリンジの利用が最も好ましい。また、液体流入口と液体流出口が別々の容器からなる捕捉手段の場合は、原料血液の通液方法と同一の方向で回収液を通液するか、逆方向で通液するかに分かれるが、一般的に逆方向の方が回収率が高い傾向がある。更に、単純に通液するだけでなく、捕捉手段に振動を加えたり、ストップドフローにしても良い。また、液体流入口と液体流出口が同一の場合、例えばフラスコの場合は、フラスコに本発明による特定の粘度を有する液体をピペット等で導入してから、フラスコ本体を振る、あるいは機械的・超音波振動を加えることで細胞を回収する。
【0009】
本発明における回収必要細胞と除去対象細胞の組合せの例をいくつか示す。回収必要細胞が白血球であり、除去対象細胞が赤血球、血小板の場合、白血球は捕捉手段に捕捉され、赤血球、血小板は通過し、本発明によるデキストランを含む生理的溶液により、捕捉手段に捕捉されている白血球が回収される。また、回収必要細胞がリンパ球であり、除去対象細胞が赤血球、血小板、顆粒球、単球の場合、白血球(顆粒球+単球+リンパ球)は捕捉手段に捕捉され、赤血球、血小板は通過し、本発明によるデキストランを含む生理的溶液により捕捉手段に捕捉されている白血球のうちリンパ球のみが回収される。また、回収必要細胞がCD34陽性細胞であり、除去対象細胞が赤血球、血小板、CD34陰性細胞である場合、CD34陽性細胞は捕捉手段に捕捉され、赤血球、血小板、CD34陰性細胞は通過し、本発明によるデキストランを含む生理的溶液により捕捉手段に捕捉されているCD34陽性細胞が回収される。
【0010】
また、本発明によるデキストランを含む生理的溶液はこのまま液状あるいは凍結保存に用いることができる。即ち、幹細胞の凍結保存を例にあげると、通常、前述のFicoll法等により赤血球が分離された細胞集団を洗浄後、凍結保存剤を添加して細胞浮遊液を調製し、これを液体窒素中あるいは冷凍庫内で凍結保存を行うが、デキストラン自体が凍結保存剤となりうるため、赤血球除去後に煩雑な操作を加えることなく、凍結保存用の細胞浮遊液とすることができる。デキストラン単独ではなく、ジメチルスルホキシド、ヒドロキシエチルデンプン、アルブミンなど凍結保存に用いられる物質を共存させたい場合には、細胞回収後にこれらの物質を添加するか、デキストランを含む生理的溶液中に予め添加しておけば良い。
デキストランで細胞の高率回収が如何なるメカニズムにより達成できるかは現時点では不明である。本発明者らはデキストランが細胞の基材への接着性を減弱させる性質を持っているのではないかと想定しているが、その解明は今後の課題である。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示すが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【実施例1】
本実施例による細胞分離はCD34陽性細胞を含む単核球を回収、赤血球と血小板を除去することを目的としたものである。
▲1▼細胞分離器の作製
容器寸法41×41×18mmで液体流出口と液体流入口を対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚を、出口側に平均繊維径2.3μmのポリエステル不織布25枚を充填した。なお、本フィルターの充填密度は0.2g/cm3であった。
また、このフィルターに血小板通過性を付与する目的で、親水性ポリマーのコーティングを行った。即ち、ヒドロキシエチルメタクリレート・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体の1%エタノール溶液を該フィルターの液体流入口から通液した後、窒素ガスを通して乾燥させた。
▲2▼細胞分離操作
ヒト新鮮臍帯血(抗凝固剤CPD)50mlを入れた血液バッグを途中に生理食塩水バッグと細胞回収バッグへの分岐を有するチューブで、▲1▼で作製した細胞分離器の入口側に接続した。細胞分離器の出口側には途中に三方活栓を有するチューブでドレーン用血液バッグを接続した。新鮮臍帯血50mlを落差で通液し、フィルターから流出する赤血球含有液をドレーンバッグに回収した。その後、フィルター内に残存する赤血球、血小板を洗流する目的で生理食塩水30mlを通液した。その後、市販のデキストラン生理食塩水溶液(ミドリ十字製 商品名デキストラン40注−ミドリ、平均分子量約4万のデキストランの10w/v%生理食塩水溶液)にヒト血清アルブミン(以下HSA)を4w/v%になるように添加して調製したデキストランを含む生理的溶液(粘度約10mPa・s)30mlを入れたシリンジを、細胞分離器の出口側チューブの三方活栓に接続し、シリンジを押してデキストランを含む生理的溶液を細胞分離器内に注入、捕捉されている細胞を入口側に接続されている細胞回収バッグに回収した。
▲3▼分析
白血球数、白血球亜分画、赤血球数、血小板数は自動血球計算機にて測定、白血球中のCD34陽性率はFITC標識CD34抗体を用い、SSC−FITCに展開するフローサイトメトリー法(宮崎、他:日常診療と血液、5巻2号、21〜23ページ、1995年)を用いて測定した。
なお、回収率、除去率の算出方法は以下のとおりである。
回収率(%)=100×(分離後細胞数/分離前細胞数)
除去率(%)=100−100×(分離後細胞数/分離前細胞数)
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。単核球、CD34陽性細胞が高率に回収でき、赤血球、血小板が高率に除去されている。
【0012】
【実施例2】
本実施例による細胞分離はCD34陽性細胞を含む単核球を回収、赤血球と血小板を除去することを目的としたものである。
▲1▼細胞分離器の作製
実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
▲2▼細胞分離操作
デキストラン含有液としてデキストラン40(東京化成製 平均分子量約4万)とHSAをそれぞれ23w/v%、4w/v%となるように添加したものを用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。なお、本回収液の粘度は約30mPa・sであった。
▲3▼分析
実施例1と同様な方法で行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。実施例1と同様、単核球、CD34陽性細胞が高率に回収でき、赤血球、血小板が高率に除去されている。
【0013】
【実施例3】
本実施例による細胞分離はCD34陽性細胞を含む単核球を回収、赤血球と血小板を除去することを目的としたものである。
▲1▼細胞分離器の作製
実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
▲2▼細胞分離操作
デキストラン含有液としてデキストラン70(東京化成製 平均分子量約7万)とHSAを生理食塩水に、それぞれ19w/v%、4w/v%となるように添加したものを用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。なお、本回収液の粘度は実施例2と同様の約30mPa・sであった。
▲3▼分析
実施例1と同様な方法で行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。実施例1と同様、単核球、CD34陽性細胞が高率に回収でき、赤血球、血小板が高率に除去されている。
【0014】
【実施例4】
本実施例による細胞分離はCD34陽性細胞を含む単核球を回収、赤血球と血小板を除去することを目的としたものである。
▲1▼細胞分離器の作製
実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
▲2▼細胞分離操作
デキストラン含有液として白血球分離用デキストラン(ナカライテスク製 平均分子量約20万)とHSAを市販のヒドロキシエチルデンプン生理食塩水溶液(森下ルセル社製、商品名6−HES)に、それぞれ10w/v%、4w/v%となるように添加したものを用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。なお、本回収液の粘度は約20mPa・sであった。
▲3▼分析
実施例1と同様な方法で行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。実施例1と同様、単核球、CD34陽性細胞が高率に回収でき、赤血球、血小板が高率に除去されている。なお、本回収液で回収された細胞は、ジメチルスルホキシドを5w/v%添加後、CPIプロトコール(極東製薬製)により−80℃のディープフリーザー中での凍結保存が可能であった。即ち、30日の凍結保存後に37℃の温浴で急速融解し、常法のトリパンブルー排除法でバイアビリティを測定したところ、90.4%と、高値を維持していた。
【0015】
【実施例5】
本実施例による細胞分離はCD34陽性細胞を回収、赤血球と血小板とCD34陰性有核細胞(以下CD34陰性細胞)を除去することを目的としたものである。
▲1▼細胞分離器の作製
容器寸法41×41×18mmで液体流出口と液体流入口を対角線上にもつポリカーボネート製容器の入口側に平均繊維径12μmのポリエステル不織布12枚を、出口側に平均繊維径2.3μmのマウス抗ヒトCD34モノクローナル抗体(コールター社製、クローン名Immu133、以下CD34抗体と略す)固定ポリスチレン不織布25枚を充填した。本フィルターの充填密度は0.2g/cm3であった。なお、CD34抗体の固定は特開平2−261833号公報で提案されている公知のハロアセトアミド法にて行った。即ち、ポリスチレン不織布を活性化する目的で、スルホラン165mlにヒドロキシメチルヨードアセトアミド3.6gとトリフルオロメタンスルホン酸25gを添加した反応液に前述のポリスチレン不織布(予め前述の寸法に切断してある)を室温で5時間含浸、反応させた。次にこの活性化済み不織布に抗体を固定する目的で、ダルベッコリン酸塩緩衝液(以下D−PBS)で20μg/ml濃度に調製したCD34抗体溶液10mlに活性化済み不織布を2時間含浸し、D−PBSで洗浄後、真空乾燥して抗体固定不織布とした。
▲2▼細胞分離操作
ヒト新鮮臍帯血(抗凝固剤CPD)50mlを入れた血液バッグを途中に生理食塩水バッグと細胞回収バッグへの分岐を有するチューブで、▲1▼で作製した細胞分離器の入口側に接続した。細胞分離器の出口側には途中に三方活栓を有するチューブでドレーン用血液バッグを接続した。新鮮臍帯血50mlを落差で通液し、フィルターから流出する赤血球含有液(CD34陰性細胞も含む)をドレーンバッグに回収した。その後、フィルター内に残存する赤血球、血小板、CD34陰性細胞を洗流する目的で生理食塩水30mlを通液した。その後、市販のデキストラン生理食塩水溶液(ミドリ十字製 商品名デキストラン40注−ミドリ、平均分子量約4万のデキストランの10w/v%生理食塩水溶液)にヒト血清アルブミン(以下HSA)を4w/v%になるように添加して調製したデキストランを含む生理的溶液(粘度約10mPa・s)30mlを入れたシリンジを、細胞分離器の出口側チューブの三方活栓に接続し、シリンジを押してデキストランを含む生理的溶液を細胞分離器内に注入、捕捉されている細胞を入口側に接続されている細胞回収バッグに回収した。
▲3▼分析
実施例1と同様な方法で行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。CD34陽性細胞が高率に回収でき、赤血球、血小板、CD34陰性細胞が高率に除去されている。
【0016】
【比較例1】
▲1▼細胞分離器の作製
実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
▲2▼細胞分離操作
デキストラン含有液の代わりに生理食塩水にヒドロキシエチルデンプン(味の素社製、平均分子量約20万)とHSAをそれぞれ10w/v%、4w/v%となるように添加したものを用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。なお、本回収液の粘度は約10mPa・sで実施例1と同じであった。
▲3▼分析
実施例1と同様な方法で行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。赤血球除去率、血小板除去率は実施例と同等で高値であるが、単核球、CD34陽性細胞の回収率が低値であった。
【0017】
【比較例2】
▲1▼細胞分離器の作製
実施例1と同様の細胞分離器を用いた。
▲2▼細胞分離操作
デキストラン含有液の代わりにヒドロキシエチルデンプン(味の素社製、平均分子量約20万)とHSAを生理食塩水に、それぞれ20w/v%、4w/v%となるように添加したものを用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。なお、本回収液の粘度は約30mPa・sで実施例2と同じであった。
▲3▼分析
実施例1と同様な方法で行った。
▲4▼結果
結果のまとめを表1に示す。赤血球除去率、血小板除去率は実施例並に高値であるが、単核球、CD34陽性細胞の回収率が低値であった。
【0018】
Figure 0003938973
Figure 0003938973
【0019】
【発明の効果】
以上示したように本発明による細胞分離方法は簡便な操作かつ短時間で、必要細胞と不要細胞の混合物から必要細胞を高率に回収することができ、また得られた細胞浮遊液はその後の煩雑な細胞浮遊液調製操作を経ることなく凍結保存が可能なので、造血幹細胞移植分野や養子免疫療法分野の細胞処理工程における省力化に貢献するところ大である。

Claims (2)

  1. 白血球またはCD34陽性細胞と赤血球および血小板を含む骨髄、末梢血、臍帯血あるいはこれらを粗分離した細胞集団を、該白血球またはCD34陽性細胞を捕捉し、赤血球および血小板は実質的に通過する、容器に不織布を充填したフィルターに導入し、次に該フィルターにデキストランを含む生理的溶液を導入して、該フィルターに捕捉されている該白血球またはCD34陽性細胞を回収することを特徴とする細胞分離方法。
  2. 白血球またはCD34陽性細胞と赤血球および血小板を含む骨髄、末梢血、臍帯血あるいはこれらを粗分離した細胞集団を、該白血球またはCD34陽性細胞を捕捉し、赤血球および血小板は実質的に通過する、容器に不織布を充填したフィルターに導入し、次に該フィルターにデキストランを含む生理的溶液を導入して回収して得られた該白血球またはCD34陽性細胞とデキストランを含む生理的溶液からなる細胞浮遊液。
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