JP2002087835A - 結晶化ガラスの製造方法、結晶化ガラス基板の製造方法、および情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

結晶化ガラスの製造方法、結晶化ガラス基板の製造方法、および情報記録媒体の製造方法

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JP2002087835A JP2000280099A JP2000280099A JP2002087835A JP 2002087835 A JP2002087835 A JP 2002087835A JP 2000280099 A JP2000280099 A JP 2000280099A JP 2000280099 A JP2000280099 A JP 2000280099A JP 2002087835 A JP2002087835 A JP 2002087835A
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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
    • Y02P40/57Improving the yield, e-g- reduction of reject rates

Abstract

(57)【要約】 【課題】押え板とガラスとの積層物を熱処理することで
ガラスを結晶化させる方法で、熱処理の間に押え板の破
損を抑制でき、基板材料の反りにバラツキが生じにくい
結晶化ガラスの製造法の提供。 【解決手段】 板状ガラスを板状部材(セッター)の間に
1枚づつ、前記板状ガラスが前記セッターからはみ出さ
ないように挟み込んだ積層物を熱処理して、前記板状ガ
ラスを結晶化する結晶化ガラスの製造方法。板状ガラス
を板状部材(セッター)の間に挟み込んで積層物を形成
し、前記積層物を熱処理して板状ガラスを結晶化する結
晶化ガラスの製造方法であって、セッターの主表面から
板状ガラスがはみ出さないように、かつ板状ガラスの周
縁部に沿って、セッターの周縁部と板状ガラスの周縁部
の距離が30mm以内になるように積層物を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、板状ガラスを熱処
理して板状の結晶化ガラスを製造する方法に関する。さ
らに本発明は、上記板状結晶化ガラスを研削、研磨して
結晶化ガラス基板を製造する方法、上記基板上に情報記
録層を形成する情報記録媒体の製造方法及び上記基板上
に磁気記録層を形成する磁気記録媒体の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ等に用いられる磁気
記録装置の大容量化、書込み・読取りの高速化に伴い、
磁気ヘッドの低浮上量化、磁気ディスクの回転の高速化
が進められている。磁気ヘッドの低浮上量化を可能にす
るには、表面が高い平坦性及び平滑性を有する磁気ディ
スクが必要であり、そのため、ディスク基板表面にも高
い平坦性及び平滑性が求められている。また、磁気ディ
スクの高速回転時に磁気ヘッドの浮上量を安定に保つに
は、高い剛性を有する磁気ディスク基板が必要である。
このような要求を満足し得る基板として、結晶化ガラス
基板が知られている。結晶化ガラス基板は、表面の平坦
性及び平滑性を高くでき、かつ剛性も高くできる。
【0003】結晶化ガラス基板の製造は、最初、アモル
ファス状態のガラスを基板形状に近い形に成形し、その
後、加熱してガラスを結晶化し、さらに得られた結晶化
ガラスの表面を研削、研磨することで行われる。このよ
うな結晶化ガラス基板の製造方法は、例えば特開平9−
102125号公報(以下、公報(1)という)に記載
されている。公報(1)に開示された方法は、結晶化工
程での基板材料の反りを低減し、結晶化後に基板を平坦
化するために研削で削り落とされる結晶化ガラスの量を
低減することを目的とするものである。そのため、この
方法では、基板材料(ガラス)を基板材料(ガラス)と
反応しない押え板と交互に積層し、この積層物を最高8
50℃にまで加熱してガラスを結晶化する工程におい
て、基板材料が反らないよう荷重を加える。押え板とし
ては、両面が平坦なカーボンが使用され、カーボン以外
にセラミックスの表面にカーボンがコートされたものを
用いることができると記載されている。さらに、上記積
層された基板材料と押え板はコンベアーにより加熱炉中
を移動しながら窒素雰囲気中で加熱される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、公報(1)
に記載された方法で、カーボン製押え板と基板材料とを
交互に積層したものを熱処理することでガラスを結晶化
させると、押え板の多くが加熱処理中に割れてしまい、
押え板を再利用することができない。また押え板が割れ
ることにより積層したガラスが崩れたりすることもあ
る。さらに押え板が割れると、軟化状態のガラスに押え
板の形状が転写して、得られた結晶化ガラスの形状が悪
化して使い物にならなくなってしまうという大きな問題
があった。また押え板の破片を生産ラインより除去しな
ければならず、その都度、生産ラインを止めなければな
らないという問題もあった。
【0005】また、公報(1)に記載された方法では、
荷重が最も大きい最下層の基板材料の反りが最も小さく
なるはずであり、荷重が小さい最上層の基板材料の反り
低減量は基板材料を積層しないときと変わらないはずで
ある。ところが、実際は必ずしも荷重が最大になる最下
層部分の基板材料の反りが小さくならず、基板材料の反
りにバラツキが生じた。
【0006】そこで本発明の第1の目的は、押え板と基
板材料とを交互に積層したものを熱処理することでガラ
スを結晶化させて、結晶化ガラス基板材料を製造する方
法であって、熱処理の間に押え板の破損が生じないか、
または生じ難く、かつ基板材料の反りにバラツキが生じ
にくい方法を提供することにある。
【0007】公報(1)に記載された方法のように、カ
ーボン製押え板と基板材料とを交互に積層したものを熱
処理することでガラスを結晶化させる場合、カーボンの
酸化を防止する観点から、加熱の雰囲気を窒素雰囲気等
の不活性ガスまたは還元性ガス雰囲気とする必要があっ
た。特に、公報(1)に記載の方法では最高温度が85
0℃であったが、最高温度が800℃を超え、1000
℃前後にもなる結晶化ガラスの製造においては、カーボ
ンは僅かな量の酸素でも容易に酸化するため、上記雰囲
気制御が必須である。しかるに、加熱の雰囲気の制御に
は加熱炉の高い気密性が要求され、設備の大型化、複雑
化を招く。そして酸素を含まない気体を導入するので、
火炎を遮断しなければならず、加熱効率が悪化する。さ
らに万一気体が漏洩した場合、作業環境の酸素濃度が低
下して危険である。従って、大気中での処理が好まし
い。そこで本発明の第2の目的は、押え板と基板材料と
を交互に積層したものを熱処理することでガラスを結晶
化させて、結晶化ガラス基板材料を製造する方法であっ
て、熱処理を大気中で行える方法を提供することにあ
る。
【0008】さらに本発明は、高い生産性のもと、基板
材料の反り低減が可能な板状結晶化ガラスの製造方法、
および結晶化ガラス基板の製造方法、並びにこの方法で
得られた基板に磁気記録層のような情報記録層を形成し
て情報記録媒体を作製する情報記録媒体の製造方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明者らが検討した結果、公報(1)の方法では、結
晶化のための熱処理の工程において板状ガラス(基板材
料)及び押え板との加熱状況(温度分布)が不均一であ
り、その結果、熱処理の間に押え板の破損が生じ、ま
た、基板材料の反りにバラツキが生じることが分かっ
た。そして、この不均一な温度分布は、押え板の平面形
状が板状ガラスの平面形状と大きく異なる形状(例え
ば、正方形)であること、また積層状態で板状ガラスの
周縁部と押え板の周縁部の距離が大きいことに起因して
いることを突き止めた。そこで本発明では、板状ガラス
及び押え板がより均一に加熱されるように、押え板とし
て板状ガラスの平面形状よりも僅かに大きい近似形状の
板状の部材(セッター)を用いること、またはセッターの
主表面から板状ガラスがはみ出さないようにし、かつ板
状ガラスの周縁部に沿って、セッターの周縁部と板状ガ
ラスの周縁部の距離を一定値以内になるように積層物を
形成するで上記課題を解決した。即ち、押え板の平面形
状が板状ガラスの形状に近いため、あるいは、セッター
と板状ガラスとの位置関係を調整することで、押え板が
外周から均一に加熱され、その結果、押え板と接触して
いる板状ガラスも同様に均一に加熱され、押え板の破損
や基板材料の反りにバラツキが生じにくくなった。
【0010】即ち本発明は、板状ガラスを板状部材(以
下、セッターという)の間に1枚づつ、前記板状ガラスが
前記セッターからはみ出さないように挟み込んだ積層物
を熱処理して、前記板状ガラスを結晶化することを特徴
とする結晶化ガラスの製造方法に関する。さらに本発明
は、板状ガラスを板状部材(以下、セッターという)の間
に挟み込んで積層物を形成し、前記積層物を熱処理して
板状ガラスを結晶化する結晶化ガラスの製造方法であっ
て、前記セッターの主表面から板状ガラスがはみ出さな
いように、かつ板状ガラスの周縁部に沿って、セッター
の周縁部と板状ガラスの周縁部の距離が30mm以内に
なるように積層物を形成することを特徴とする結晶化ガ
ラスの製造方法に関する。加えて、本発明は、上記本発
明の方法により得られた結晶化ガラスの主表面を平坦に
研削、研磨して基板を形成することを特徴とする結晶化
ガラス基板の製造方法、この本発明の製造方法により得
られた結晶化ガラス基板の主表面に情報記録層を形成す
ることを特徴とする情報記録媒体の製造方法、及び上記
本発明の製造方法により得られた結晶化ガラス基板の主
表面に磁気記録層を形成することを特徴とする磁気記録
媒体の製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について
説明する。ガラスは結晶化によって硬度が増加するの
で、研削加工や研磨加工の手間を考え、予めガラスを目
的形状に近いものに成形した上で結晶化することが望ま
しい。そのため、結晶化ガラス基板を得るには、まず第
1に、結晶化ガラスの母材となるアモルファス状態のガ
ラス(以下、原ガラスと記す。)をプレス成形法等によ
って板状に成形したり、あるいは原ガラスの板から目的
形状に近い形状のガラスを取る。次いで、このガラスに
加熱処理を施して、結晶化ガラスを得る。得られた結晶
化ガラスは、加熱して得られた板状の結晶化ガラスの主
表面に冷間加工を施し、主表面を平坦化することで基板
とすることができる。さらに、この基板の主表面に記録
層を直接又は間接的に設けることで、結晶化ガラス基板
と記録層を備えた情報記録媒体が得られる。上記の原ガ
ラス、原ガラスの成形、得られた結晶化ガラス、情報記
録媒体については、後程、説明するとして、まず、本発
明の特徴である結晶化の工程について説明する。
【0012】(加熱処理のための積層物の構成)本発明
の製造方法においては、予め最終製品に近似する板状の
原ガラス(板状ガラス)を用意し、この板状ガラスを熱
処理して結晶化させる。本発明は結晶化ガラスの量産
と、生産性の向上をも目的とするものなので、一度に複
数枚(n枚)の板状ガラスに結晶化のための熱処理を施
す。板状ガラスはセッターの間に1枚づつ、板状ガラス
がセッターからはみ出さないように挟み込んだ積層物を
形成し、これを熱処理する。あるいは、セッターの主表
面から板状ガラスがはみ出さないように、かつ板状ガラ
スの周縁部に沿って、セッターの周縁部と板状ガラスの
周縁部の距離が30mm以内になるように積層物を形成
し、これを熱処理する。前記板状ガラスは、円板状また
は円板状以外の平面形状(例えば、正方形、長方形等の
方形)であることができ、板状ガラスが円板状である場
合、セッターも円板状であることが好ましく、板状ガラ
スが方形板状である場合、セッターも方形状であること
が好ましい。また、板状ガラスとセッターとは、交互に
積層することが好ましいが、必ずしも1枚づつ交互にし
なくてもよい。1枚づつ交互に積層する場合は、n枚の
板状ガラス(nは1以上の整数である)に対しては、n
+1のセッターを用意する。そして、n枚の板状ガラス
をn+1枚のセッターの間毎に1枚づつ挟み込んだ積層
物を形成する。即ち、セッターを一番底に置き、次いで
板状ガラス及びセッターを交互に積層し、最上をセッタ
ーとする積層物を形成する。
【0013】さらに、各セッターの両面は互いに平行に
形成されていることが、積層した各板状ガラスを水平に
維持し易く、かつ均一に加熱できるという観点から好ま
しい。セッターの両面は平坦化されており、その平坦な
面上に上記板状ガラスを置き、その上にセッターを載せ
るというように、セッターと板状ガラスを一枚ずつ交互
に積み重ねて行く。このとき、板状ガラスがセッターか
らはみ出さないよう、セッター上に板状ガラスを載せる
位置を調整する。好ましくは、セッターの中心と板状ガ
ラスの中心とが一致するように積み重ねていく。板状ガ
ラス及びセッターの中心同一の軸上に配列させること
が、板状ガラス及びセッターが均一に加熱されるという
観点から好ましい。
【0014】さらに、セッターが円板状の場合その直径
は、円板状ガラスの直径の1倍から1.2倍とすること
が、円板状ガラス及びセッターが均一に加熱されるとい
う観点から好ましい。より好ましく、セッターの直径
は、円板状ガラスの直径の1倍超〜1.1倍である。
【0015】円板状の情報記録媒体用基板を製造する上
で、ガラスを結晶化する前に基板形状に近似する形状に
ガラスを成形することは後加工の負担を軽減する上で有
利であるが、板状ガラスを結晶化後に円板状に加工する
ことも可能である。また、他の用途でも、円板状以外の
結晶化ガラスを使用する場合は多い。例えば、マイクロ
プロセッサなどの電子部品を実装するための結晶化ガラ
ス製の実装基板は平面形状が四角形である場合が多い
が、このような実装基板を作製する上でも、本発明の製
造方法は有効である。
【0016】平面形状が四角形の板状ガラスを上述の方
法によって熱処理し、結晶化させることもできる。熱処
理条件はガラスによって適宜設定すればよい。熱処理を
行う際、平面形状が板状ガラスよりも大きいセッターま
たは、平面形状が等しいセッターを用いる。平面形状が
等しいセッターを使用する場合は、セッターと板状ガラ
スが完全に重なるようにし、セッターから板状ガラスが
はみ出さないようにして板状ガラスとセッターの積層物
を形成する。平面形状が板状ガラスよりも大きなセッタ
ーを使用する場合は、板状ガラスの周縁部がセッターの
周縁部からはみ出さないように積層物を形成する。な
お、板状ガラスよりも大きなセッターを使用する場合
は、板状ガラスの周縁部とセッターの周縁部の間隔が3
0mm以内、好ましくは20mm以内、より好ましくは
10mm以内となるように積層物を形成する。このよう
に板状ガラスの周縁部に沿って、板状ガラスの周縁部と
セッターの周縁部の間隔を所定の値以内にすることによ
って、積層物外部からの熱が板状ガラス及びセッターに
均等に伝わり、平面形状か方形(四角形)の板状ガラス
とセッターとを組み合わせた場合にも、円板状ガラスと
円板状部材を組み合わせた場合と同様、良好な結果が得
られる。
【0017】このように、板状ガラスの平面形状が円以
外の場合でも、板状ガラスの平面形状と相似形状の平面
形状をもつセッターを使用することが望ましい。さらに
板状ガラスの平面形状によらず、上記板状ガラスの周縁
部とセッターの周縁部の間隔が板状ガラスの円周部に沿
って均等になるようにして積層物を形成することが好ま
しい。
【0018】セッターとガラスの積層物の高さは、積層
物が安定性を維持できること、加熱領域の高さによって
適宜選択される。特に熱処理時のガラスの反り低減に
は、積層物の加熱を行う加熱領域に存在する温度分布を
均一化することが好ましい。しかし、加熱炉内部におけ
る加熱領域の有効高さを大きくし過ぎると、炉内の温度
分布が大きくなる。その結果、熱処理時に板状ガラスに
大きな温度勾配が生じ、ガラスの反りが生じてしまう。
したがって、均一な温度分布が得られる加熱領域の有効
高さの範囲内において、なるべく多くの板状ガラスを処
理できることが好ましい。そのような観点から、セッタ
ーの厚みは薄いほうが好ましい。しかし、セッターが薄
すぎると、熱伝導率が比較的大きな材料からなるセッタ
ーでも、伝熱量が低下する。セッターと板状ガラスの積
層物では、積層物中段にある板状ガラスの中心部付近の
加熱は、ほとんどがセッターからの熱伝導によるもので
ある。従って、セッターが薄くなりすぎて熱伝導量が低
下しすぎると、板状ガラスの中心部付近と周辺部とで大
きな温度勾配が生じてしまう。大きな温度勾配は、ガラ
スに変形を生じ、ガラスの変形によってセッターに応力
がかかり、セッターを破壊する可能性がある。こられの
事情を勘案して、セッターの厚みは、1.5〜15mm
であることが好ましく、また、セッターは、板状ガラス
よりも大きな熱伝導率を有することが好ましい。結晶化
ガラス基板の厚みは、10mm以下とする場合が実用上
多い。板状ガラスの厚みを10mm以下とする場合、セ
ッターの厚みは、板状ガラスの厚みの半分より厚くする
ことが好ましい。
【0019】上記積層物の高さは、上述したような理由
により50〜300mmであることが望ましく、100
〜200mmであることがより望ましい。また、この高
さに対応して、積層段数は10〜30段(セッター1枚
とガラス1枚の組合せを1段と数える)であることが望
ましく、10〜20段とすることがさらに望ましい。
【0020】セッターの材料としては、少なくとも結晶
化工程で晒される最高温度において十分な耐熱性を有
し、変形せず、分相、結晶化の際の高温下でガラスと融
着しないものから選ばれる。そのような観点からセッタ
ーはセラミックス製であることが好ましい。さらに、セ
ラミックス製であることは、熱処理を大気中で行えると
いう観点からも好ましい。セラミックスとしては、炭化
珪素、窒化珪素、ムライトコーディエライト耐火物、ア
ルミナ、シリカ、アルミナムライト系、スポジュメンな
どのファインセラミックスなどを例示できる。ただし、
上記セラミックスは種類により、一部の種類のガラスと
融着する場合があるので、板状ガラスの種類に応じて、
セッターの材料は適宜選択される。ガラスとの融着を起
こしにくいという観点からは、炭化珪素、ムライトコー
ディエライト耐火物、アルミナなどのファインセラミッ
クスを使用することが望ましい。また、セッターは、使
いまわし可能なように、繰返し多数回の使用に耐える耐
熱衝撃性の高いものが好ましい。即ち、セッターは耐熱
衝撃温度差が300℃以上の材料(セラミックス)からな
ることが好ましい。耐熱衝撃温度差が300℃以上の材料
(セラミックス)としては、炭化珪素(450℃)、窒
化珪素(650℃)、ムライトコーディエライト耐火物
(1000℃)、アルミナムライト系(350℃)、ス
ポジュメン(700〜1000℃)を挙げることができ
る。
【0021】さらにセッターは、上述のように、板状ガ
ラスよりも大きい熱伝導率を有することが好ましい。ガ
ラスの室温における熱伝導率は、一般に0.1〜10W
/m・Kの範囲であり、この熱伝導率を考慮して、セッ
ターは、室温における熱伝導率が1〜300W/m・K
の範囲であるものから適宜選択できる。セッターの室温
における熱伝導率は、好ましくは1.5〜200W/m
・Kの範囲である。この範囲にあって熱伝度率が比較的
大きな材料としては、170W/m・Kの炭化珪素から
なるファインセラミックス、比較的小さな材料としては
2W/m・Kのムライトコーディエライト耐火物があ
る。
【0022】板状ガラスが円板状の場合、直径が20〜
150mm、板状ガラスの平面形状が方形の場合はその
一辺が20〜500mm、厚みが10mm以下、0.5
〜2mmの範囲にあることができるがこれらに限定され
るものではない。また、本発明の製造方法は、板状ガラ
スの室温における熱伝導率が0.1〜10W/m・Kの
範囲にある場合に好適に実施でき、室温における熱伝導
率が0.8〜5W/m・Kの範囲にある板状ガラスにつ
いて特に好適に実施できる。
【0023】本発明の製造方法では、セッターと板状ガ
ラスとからなる積層物を1セットとして熱処理する。好
ましくは、複数の積層物を順次、所定の温度に設定され
た加熱炉内を移動させて連続して熱処理を行なう。また
この際、積層物の安定性(特に移送中の)を向上させる
(積層物の倒壊防止の)ために、複数の積層物を上から見
て面状に分布するように(縦横2列以上になるように)置
き、これらの積層物の高さを揃え、加熱炉中の最高温度
で長時間晒されても問題ない耐熱性板を複数の積層物上
に載せることもできる。耐熱性板を載せることにより、
横揺れに対して安定するとともに、複数の積層物全体の
重心が積層物で囲まれた領域内に位置することになって
安定した搬送を行なうことができる。このように熱処理
時には、必要に応じて積層物が崩れないように積層物全
体を支持するなどしてもよい。ただし、セッターや板状
ガラスの自重や、より上段の重量による荷重以外に、板
状ガラスが反らないように、別途に荷重する必要はな
い。積層物を締め付けるなどの別途の荷重は、セッター
を破壊する原因となるので、好ましくない。
【0024】本発明のように板状のセッターと板状ガラ
スとを用い、好ましくはセッターの大きさを板状ガラス
の大きさに近づけ、1枚のセッターと1枚の板状ガラス
を交互に積層することにより、ガラスおよびセッターの
外周部と中心部の温度差を低減できる。そのため、セッ
ターに働く応力を低減でき、破損を防止できる。さら
に、セッターによる熱伝導によりガラス中心部の加熱が
十分行われ、積層物の中段付近のガラスでも、ガラスの
反りの原因である表裏間の温度差を低減することができ
る。これにより、ガラスの反りを低減することができ
る。本発明の製造方法は、結晶化処理温度が850℃よ
りも高温域であるガラスを結晶化する際に特に有効であ
る。それは、セッターの破損及びセッターの破損による
結晶化ガラスの形状の悪化は、より高温で顕著になるた
めである。
【0025】(結晶化のための熱処理装置)次に、上述
したセッターと板状ガラスからなる積層物を結晶化のた
めに熱処理するための装置について説明する。図1は、
熱処理装置の概念図である。図の上方が結晶化のための
熱処理を行う加熱炉であり、右側から積層物が投入さ
れ、左側から取り出される。加熱炉取り出された積層物
は、円板状のセッターと円板状ガラス(結晶化ガラス)と
を分別し、セッターは回収され、検査されて、再度投入
される。その後、再度投入されたセッターと供給された
円板状ガラスとは、装置の交互積層部において図2に示
すように積層され、加熱炉に投入される。熱処理は、図
2に示すように複数の積層物(図2では6つの積層物)を並
行して同時に熱処理することが好ましい。
【0026】積層されたガラスは、加熱炉中を搬送され
る過程で予備加熱、後述する分相工程、結晶化工程、冷
却を経て結晶化ガラスとなる。加熱炉は積層物の搬送経
路に沿ったものであり、上記の工程に応じた温度設定に
なっている。結晶化工程を行なう部分の炉内温度は、9
00℃であり、1000℃付近において積層物を水平状
態に維持して搬送するため、ローラハースキルン方式を
採用することが好ましい。ローラはセラミックスなどの
耐火物で構成されており、炉内最高温度に長時間晒され
ていても十分な耐性を有する材料からなる。各ローラを
回転させる駆動装置は、加熱炉の外部に設けられてお
り、駆動装置からの動力は耐火性の部材により炉内のロ
ーラに伝達されるか、あるいはローラ端部が加熱炉の外
部に出るようにして、端部に動力を伝えるようにするこ
とができる。
【0027】各ローラの間隔は、積層物を水平移動可能
な間隔とする。ローラの間隔を狭くしておけば、積層物
を直接、ローラ上に載せても傾くことなく、水平移動で
きるし、ローラの間隔を広くする場合は、ローラの間隔
に比べて十分大きな耐火性板の上に積層物を載せて移動
させることもできる。ローラハース方式は、メッシュベ
ルトによる搬送と比較すると、ベルトの撓みがなく、積
層物を水平に維持した状態で搬送できること、900℃
以上という高温下での長時間使用にも十分耐えること、
各ローラ間を通して下部からの加熱ができ、積層物のよ
り均一な加熱ができるといったメリットがある。後述す
るように、情報記録媒体用基板として好適な結晶化ガラ
スは、原ガラスを900℃以上、より具体的な例として
は1000℃付近で加熱して得られるものである。10
00℃における加熱は、結晶化ガラスの結晶化工程とし
ては比較的高温であり、搬送装置に求められる耐久性も
より厳しい。ローラハース方式は、このような高温の結
晶化炉として十分優れた性能を示すものである。加熱炉
中での加熱源は積層物の搬送経路上部、下部、必要に応
じて両側面に設けることができる。
【0028】加熱源としては、気体燃料の燃焼(例えば
ガスバーナー)、液体燃料の燃焼、電気ヒーター、およ
びこれら加熱の併用、その他、公知のものを適宜用いる
ことができる。また加熱炉内の雰囲気は不活性ガスを導
入した雰囲気、空気などとすることができる。結晶化さ
れたガラスは積層状態で加熱炉外へと搬送され、取り出
し部において結晶化ガラスとセッターに選別される。結
晶化ガラスは研磨などの次の工程へと搬送され、セッタ
ーは交互積層部へと再導入され、再度、積層物を構成す
るために使用される。上述した過程を繰り返すことによ
り、結晶化ガラスを量産することができる。加熱炉内で
セッターが破損しないこと、分相工程、結晶化工程にお
いてガラスの反りを低減し、平坦な板状の結晶化ガラス
を得るために要する研削、研磨の量を最小限にすること
により、結晶化ガラス基板を生産性よく製造でき、研
削、研磨により除去される材料も最小源に抑えることが
できるので、コスト、環境への負荷低減に役立つもので
ある。なお、装置全体のスペースの効率化、作業性向上
のため、加熱炉の入口に交互積層部を、加熱炉出口に取
り出し部を設け、積層物より結晶化ガラスから仕分けさ
れたセッターが加熱炉に沿って、加熱炉内の積層物搬送
方向とは逆方向に交互積層部へと戻るようにすることが
好ましい。また、図1は円板状のガラスの結晶化につい
て説明したが、円板状以外の平面形状のガラスについて
も同様に処理できる。
【0029】(ガラスの分相工程と結晶化工程)次に原
ガラスを結晶化する過程(分相工程、結晶化工程)につ
いて、より詳細に説明する。ここでは、TiO2を結晶核生
成剤として含有するガラス、例えば、MgO−(RO)−Al2
O3−SiO2(R=アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba)、Zn及
びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種)系ガラス
を、このガラスのガラス転移温度をTgと表した場合、
(Tg−30℃)〜(Tg+60℃)、より好ましくは
Tg〜(Tg+60℃)の温度範囲、具体的には700
〜850℃で熱処理してガラスを均質的に分相させた後
に結晶化する過程を例にして説明する。このような結晶
化過程により、高いヤング率を持つ結晶化ガラスが得ら
れ、この結晶化ガラスを用いると、上記のように高いヤ
ング率を有しかつ平均表面粗さが小さい主表面を有し、
情報記録媒体用基板に適した結晶化ガラス基板が得られ
る。
【0030】上記分相後のガラスを0.1〜10℃/分の昇
温速度で結晶化のための温度(例えば、850〜1150℃)
に昇温させることによって、高いヤング率を有する結晶
化ガラスが得られ、この結晶化ガラスを用いて基板を作
製することにより、上記高いヤング率を有しかつ平均表
面粗さの小さい主表面を有し、情報記録媒体用基板に適
した結晶化ガラス基板を提供することができる。即ち、
TiO2を含有するガラスを分相工程及び結晶化工程を経て
結晶化ガラスとする際、分相工程が前記ガラスを上記範
囲の温度で加熱することにより、高いヤング率を有する
とともに、研磨加工等によって高い平滑性を有する表面
を有する結晶化ガラスが得られる。
【0031】上記の結晶化ガラスの製造工程において、
加熱時間は約1−16時間であることができる。さらに、
前記ガラスは、TiO2含有量が8モル%以上であることが
適当である。また、前記ガラスは、TiO2を含有し、かつ
MgO、Al2O3及びSiO2の含有量の合計が80モル%以上であ
るMgO−Al2O3−SiO2系ガラス、及びMgO−RO−Al2O3−Si
O2(R=アルカリ土類金属(例えば、Ca、Sr、Ba)、Zn
及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種)系ガラ
スであること、前記ガラスは、5モル%以下のアルカリ
金属酸化物及び/又は5モル%以下のアルカリ土類金属
酸化物を含有すること、または前記ガラスは、0.1〜5モ
ル%のK2O及び/又は0.1〜5モル%のSrOを含有すること
ができる。さらに上記の方法では、結晶化工程が、分相
工程で得られたガラスを10℃/分以下の昇温速度で850
℃より高温かつ1200℃以下の温度範囲まで昇温し、当該
温度範囲で約1−10時間熱処理することにより行われる
ことが好ましい。この方法により得られる結晶化ガラス
は、主結晶相の結晶粒子サイズが10−100nmの範囲であ
り、波長600nmにおける透過率が40%以上であ
る。
【0032】出発原料となるガラスに含まれるTiO2は、
結晶化ガラスの製造の過程で結晶核生成剤となる成分で
ある。TiO2の含有量は、Tg+60℃以下の温度における熱
処理(分相工程)において、ガラスが十分に分相し、結
晶化工程において得られる結晶化ガラスの結晶粒子が所
望の比較的小さな寸法になるという観点から、8モル%
以上にすることが適当である。より小さい結晶粒子をガ
ラスから析出させるためには、TiO2の含有量は、8.5モ
ル%以上であることが好ましい。TiO2の含有量の上限
は、15モル%であり、製造工程において溶解したガラス
には成形可能な安定性が得られるという観点から12モル
%以下である。出発原料となるTiO2を含有するガラス
は、例えば、TiO2を含有し、かつMgO、Al2O3及びSiO2
含有量の合計が80モル%以上であるMgO−Al2O3−SiO2
ガラス又はMgO−RO−Al2O3−SiO2(R=アルカリ土類金
属(例えば、Ca、Sr、Ba)、Zn及びNiからなる群から選
ばれる少なくとも1種)系ガラスであることができる。
これらTiO2を結晶核生成剤とするMgO−Al2O3−SiO2系ガ
ラスやMgO−(RO)−Al2O3−SiO2系ガラスは、Tg付近
で非常に分相しやすく、より低い温度での微分相を利用
した微細な結晶構造をもつ結晶化ガラスの製造に適して
いる。出発原料となるTiO2を含有するガラスとしては、
前記米国特許5476821公報及び米国特許5491116公報に記
載のガラスを挙げることができる。又は、SiO2:35-65
モル%、Al2O3:5-25モル%、MgO:10-40モル%、SiO2
+Al2O3+MgO≦80モル%、TiO2:5-15モル%、RO(R=ア
ルカリ土類金属(Ca,Sr,Ba),Zn及びNiからなる群から
選ばれる少なくとも1種):0-10モル%を含むガラスを
挙げることができる。出発原料となるTiO2を含有するガ
ラスは、結晶化ガラスの所望の特性を損なわない範囲
で、アルカリ金属酸化物(例えば、Li2O、Na2O、K2O等)
及び/又はアルカリ土類金属酸化物(例えば、CaO、Sr
O、BaO)等の成分を含んでもよい。出発原料となるTiO2
を含有するガラスが上述のTiO2を含有するMgO−Al2O3
SiO2系ガラスである場合、アルカリ金属酸化物及び/又
はアルカリ土類金属酸化物をさらに含有することができ
る。また、出発原料となるTiO2を含有するガラスが上述
のTiO2を含有するMgO−RO−Al2O3−SiO2系ガラスである
場合、アルカリ金属酸化物をさらに含有することができ
る。当然のことながら、アルカリ金属酸化物及びアルカ
リ土類金属酸化物共に2種以上を併用することもでき
る。アルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ土類金属酸
化物は、ガラス原料として硝酸塩を使用できる。ガラス
製造の際に脱泡剤としてSb2O3を使用するとガラス溶解
用白金坩堝からガラスに白金が混入し易く、ガラス原料
として硝酸塩を使用することにより、ガラスへの白金の
混入を抑制することができる。アルカリ金属酸化物及び
アルカリ土類金属酸化物の含有量はそれぞれ0.1モル%以
上であることが上記効果を得るという観点から好まし
い。但し、アルカリ金属酸化物を含む場合、アルカリ金
属酸化物はヤング率を低下させる傾向があることから、
その含有量は5モル%以下とすることが適当である。又、
アルカリ土類金属酸化物を含む場合、アルカリ土類金属
酸化物は、結晶粒子を大きくする傾向があることから、
その含有量は5モル%以下であることが適当である。アル
カリ金属酸化物を含む場合、特に、0.1〜5モル%、好ま
しくは0.1〜2モル%、より好ましくは0.1〜1モル%のK2O
が好ましい。アルカリ土類金属酸化物を含む場合、特
に、0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜2モル%のSrOが好ま
しい。上記の方法で製造した結晶化ガラスは、主結晶相
として、エンスタタイト又はその固溶体及び/又は石英
固溶体であるものを含む。
【0033】結晶化ガラス製造のための各熱処理のプロ
セスについて以下に説明する。ある程度の量のTiO2を含
有するMgO−(RO)−Al2O3−SiO2(R=アルカリ土類金
属(例えば、Ca、Sr、Ba)、Zn又はNi)系ガラスは、Tg
温度より高い温度で熱処理すると、TiO2に富むガラス相
とSiO2に富む相の二つに分けられる。いわゆるガラスが
分相となる(分相工程)。このようなガラスの分相は、
結晶化ガラスの結晶種及び結晶粒子の大きさに大きな影
響を与える。通常、TiO2に富む相はSiO2に富むガラス母
体相に微粒子の形で分散している。TiO2に富む微粒子の
大きさが小さければ小さいほどこの微分相粒子を核とす
る最終の結晶粒子の大きさが小さくなる。如何にこのよ
うな微分相粒子を小さく析出させるかが微細な結晶化ガ
ラス作成のポイントとなる。
【0034】分相工程前のアモルファス状態の成形され
たガラス(原ガラス)に、分相のための熱処理を施した
後、さらに昇温して更に高温で結晶処理を行う。結晶化
処理した直径95mmの円板状のサンプルに研削加工を施
し、CeO2やSiO2を用いて光沢研磨を行った。表面粗さの
測定は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて表面観察するこ
とによって行った。(Tg−30℃)〜(Tg+60℃)
の温度範囲で分相のための熱処理した結晶化ガラスの表
面粗さは0.5nm以下となる事が分かった。これはTg付近
の温度範囲で分相処理したガラス中の結晶粒子の大きさ
が小さくなったことによるものである。表面粗さの小さ
い結晶化ガラスが得られるという観点から、分相のため
の熱処理は、好ましくは(Tg−30℃)〜(Tg+60
℃)、より好ましくはTg〜(Tg+60℃)の温度範囲で
行うことが適当である。具体的な数値範囲としては、7
00〜850℃の範囲が特に好ましい。得られた結晶化
ガラスの波長600nmでの透過率を求めたところ、上記温
度範囲で分相処理した結晶化ガラスの透過率が高く、こ
の温度範囲で分相処理して得られた結晶化ガラスの結晶
粒子が小さいことが裏付けられた。
【0035】上記の製造方法では、分相工程で得られた
ガラスを0.1〜10℃/分の昇温速度で結晶化工程におけ
る加熱温度に昇温することが好ましい。分相工程におけ
る処理温度から結晶化処理温度への昇温速度を10℃/
分以下に抑えることによって、ガラスの変形をより低減
することができる。通常の結晶化ガラスはより高い温度
で分相のための熱処理が行われるので、処理中にガラス
がすでに部分結晶化となっているため、昇温速度が速く
ても変形し難かった。しかし、この方法で分相のための
熱処理したガラスには結晶粒子を含まず、昇温が速いと
ガラスが変形してしまう恐れがあるからである。10℃
/分以下の遅い速度で昇温すると、昇温中に結晶粒子が
徐々に析出するので、ガラスの変形をより抑えることが
できる。上記昇温速度は、好ましくは、1〜7℃/分の
範囲である。より低い昇温速度は結晶粒子の均質化にも
非常に有利である。
【0036】このような方法により、結晶粒子の平均粒
径が10〜100nmの範囲である結晶化ガラスを得ることが
出来る。この方法で得られる結晶化ガラスは、結晶粒子
の平均粒径が10〜100nmの範囲であるが、好ましくは結
晶粒子の平均粒径は10〜70nmの範囲である。結晶粒
子の平均粒径は、例えば透過電子顕微鏡(TEM)を用い
て測定することができる。
【0037】また、この方法で得られる結晶化ガラス
は、波長600nmにおける透過率が40%以上、さら
に好ましくは50%であることができる。即ち、結晶粒
子が小さい程この透過率は大きくなるため、この透過率
は結晶粒子のおおよその大きさを推測するための指標と
することができる。但し、ガラスの組成によっては透過
率に影響を及ぼす成分が含まれる場合があるので、結晶
粒子の大きさと透過率の関係はガラスの組成によって若
干異なる。
【0038】結晶化のための熱処理を終えたガラスは、
所望の形状に成形した後、さらに表面を研磨される。研
磨方法については特に制限がなく、合成ダイヤモンド、
炭化珪素、酸化アルミニウム、炭化ホウ素などの合成砥
粒や、天然ダイヤモンド、酸化セリウムなどの天然砥粒
を用いて、公知の方法により研磨することができる。例
えば、通常の研磨方法および装置でラッピングおよび酸
化セリウムにてポリシング加工することによって、研磨
面の表面粗さ(Ra)を0.1−0.5nmの範囲にすること
ができる。
【0039】この方法で作成し、表面粗さ(Ra)が0.
1−0.5nmの範囲である研磨面を有する結晶化ガラス
は、磁気ディスク基板として必要な表面平滑性、平坦性
などをすべて満足することができる。また、この結晶化
ガラスは、従来のガラスに比べ約2倍以上の高いヤング
率をもつので、ディスクの高速回転化によるたわみをよ
り小さく抑えることができ、高TPI・高BPIハードディス
ク実現のための基板材料として好適である。
【0040】次に本発明の応用例である実装基板の製造
方法について説明する。まず、SiO2、Li2Oなどを
含む板状ガラスにフォトリソグラフィ技術を用いて、穴
開けなどガラスを除去したい部分に選択的に紫外線を照
射する。次に紫外線照射済みの板状ガラスを熱処理(第
1の熱処理)することによって紫外線照射部分に耐酸性
の低いLi2O・SiO2相を析出させる。この板状ガラ
スをフッ酸でエッチングするとLi2O・SiO2相が析
出した部分が選択的にエッチングされて所望の位置に所
望の形状の加工が施された板状ガラスを得ることができ
る。このような微細加工された板状ガラスを本発明の方
法によって熱処理(第2の熱処理)することによって、
化学的安定性の高いLi2O・SiO2相が析出した結晶
化ガラス基板を得ることが出来る。
【0041】なお、このような方法によって得られる結
晶化ガラスとしては、SiO2を60〜90モル%、L
2Oを5〜30モル%、Al23を1〜20モル%含
有し、上記成分の合計含有量が85モル%以上であり、
主結晶がクオーツ、二珪酸リチウム、クオーツの固溶
体、二珪酸リチウムの固溶体からなる群より選ばれる少
なくとも一種である結晶化ガラス、または上記成分に加
えて、ZrO2、TiO2、P25、アルカリ土類金属酸
化物の群より選ばれた少なくとも一種の酸化物を含む結
晶化ガラスが好適である。なお必要に応じてAu、A
g、CeO2、ZnOなどを加えても良い。この場合第
1の熱処理温度は後述する第2の熱処理温度よりも低
く、第2の熱処理温度は820〜880℃で行うことが
好ましい。なお、このガラスを原ガラスとして使用する
場合も、大気中において第2の熱処理を行うことが可能
であり、形状を適宜選択するだけで上述したセッターを
同じものを使用することができる。
【0042】この方法により、直径0.1mm程度の微
細孔が位置決め形成された結晶化ガラス基板を得ること
ができ、第1、第2の熱処理による基板の変形は、長さ
1cmあたり1μm以内の反りという極めて微小なもの
である。この結晶化ガラス基板はマイクロプロセッサな
どの電子部品を実装するための実装基板、液晶パネル基
板などに好適に用いることができる。結晶化後、基板は
必要な大きさ、形状に切り分けることもできるし、研磨
加工などを施すこともできる。
【0043】次に、本発明の製造方法に用いられる結晶
化ガラスの内、情報記録媒体用結晶化ガラス基板として
好ましい結晶化ガラスを以下に示す。 (第1の結晶化ガラス)まず、第1の結晶化ガラス(以
下、結晶化ガラス1と記す)は、SiO2:35−65
モル%、Al23:5−25モル%、MgO:10−4
0モル%、及びTiO2:5−15モル%を含有し、上
記組成の合計が少なくとも92モル%以上であり、主結
晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体である結晶化
ガラスである。上記結晶化ガラスとしては、主結晶相が
エンスタタイトまたはエンスタタイトの固溶体であるこ
とが好ましい。また、モル比(Al23/MgO)をが
0.5未満、より好ましくは0.2〜0.5とすること
が適当である。結晶化ガラス1は、TiO2成分を核形成剤
とし、主結晶相がエンスタタイト及び/又はその固溶体
であるSiO2−Al2O3−MgO系ガラスにおいて、モル比(Al
2O3/MgO)を0.5未満とすることで、モル比(Al2O3
/MgO)が0.5未満である組成を有し、140GPa以上
の高いヤング率及び良好な表面平滑性及び優れた表面加
工性を有し、液相温度が比較的低い情報記録媒体用基板
に適した結晶化ガラスである。
【0044】結晶化ガラス1は、高ヤング率などの特性
及び均質な結晶性を保つという観点からSiO2、Al2O3、M
gO、及びTiO2の合計を92%以上、好ましくは93%以
上とする。SiO2、Al2O3、MgO、及びTiO2の合計は、好ま
しくは95%以上である。上記範囲内であれば、上記以
外の成分として、結晶化ガラスの所望の特性を損なわな
い範囲で、アルカリ金属酸化物(例えば、Li2O、Na2O、K
2O等)及び/又はアルカリ土類金属酸化物(例えば、Ca
O、SrO、BaO)等の成分を含んでもよい。アルカリ金属酸
化物及び/又はアルカリ土類金属酸化物は、ガラス原料
として硝酸塩を使用できる。ガラス製造の際に脱泡剤と
してSb2O3を使用するとガラス溶解用白金坩堝からガラ
スに白金が混入し易く、ガラス原料として硝酸塩を使用
することにより、ガラスへの白金の混入を抑制すること
ができる。アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸
化物の含有量はそれぞれ0.1モル%以上であることが上記
効果を得るという観点から好ましい。但し、アルカリ金
属酸化物を含む場合、アルカリ金属酸化物はヤング率を
低下させる傾向があることから、その含有量は5モル%以
下とすることが適当である。又、アルカリ土類金属酸化
物を含む場合、アルカリ土類金属酸化物は、結晶粒子を
大きくする傾向があることから、その含有量は5モル%以
下であることが適当である。アルカリ金属酸化物を含む
場合、特に、0.1〜5モル%、好ましくは0.1〜2モル%、よ
り好ましくは0.1〜1モル%のK2Oが好ましい。アルカリ土
類金属酸化物を含む場合、特に、0.1〜5モル%、好まし
くは0.1〜2モル%のSrOが好ましい。
【0045】また、ガラスの均質化を図るために脱泡剤
としてAs2O3及び/又はSb2O3を含有させることもでき
る。ガラスの組成により変化するの高温粘性に応じて、
適当量のAs2O3やSb2O3或いはAs2O3+Sb2O3をガラスに添
加することで、より均質なガラスが得られる。但し、脱
泡剤の添加量が多過ぎると、ガラスの比重が上昇してヤ
ング率を低下させる傾向があり、また溶解用白金るつぼ
と反応してるつぼにダメージを与える場合もある。そこ
で、脱泡剤の添加量は2%以下、好ましくは1.5%以下
とすることが適当である。
【0046】以上の基本成分の他に原料中の不純物、例
えばガラスの清澄剤となるCl、F、SO3等を本発明の結晶
化ガラスの特性を損ねることのない、それぞれ1%以下
であれば含有させることができる。又、結晶化ガラス1
は、ZnO及びNiOを含まないことが望ましい。ZnOは、硬
い結晶であるスピネルを形成し易くさせるためである。
またNiOは、スピネルを形成し易くさせるという観点か
らも環境に影響する成分であるという観点からも含有さ
せることが望ましくない。
【0047】結晶化ガラス1における主結晶相は、例え
ば、MgO・SiO2及び(Mg・Al)SiO3の組成を有するエンスタ
タイト(エンスタタイト固溶体を含む)である。また、
エンスタタイトには、クリノエンスタタイト、プロトエ
ンスタタイト及びエンスタタイトが包含される。さらに
上記の結晶のほかチタン酸塩、ムライト、フォステライ
ト、コージェライトなどその他の結晶を含むこともでき
る。エンスタタイトは、硬度が低いため(モース硬度
5.5)、エンスタタイトを主結晶とする結晶化ガラス
は非常に研磨がしやすく、比較的短い時間で所望の表面
粗さを得ることができるという特徴がある。さらに、エ
ンスタタイトは、その鎖状又は層状の結晶の形状から、
そのすき間にガラス成分が入り込み、粒子サイズが小さ
くても高いヤング率が得られると考えられる。また、本
発明のガラスは、実質的にスピネルを含まない。スピネ
ルは、エンスタタイトと比較すると硬い結晶である(モ
ース硬度8)であるため、研磨がしやすいという効果を
損ねることが考えられる。また、本発明のガラスは、石
英固溶体を実質的には含まない。
【0048】尚、結晶化ガラス1に関して主結晶相と
は、本発明の効果を得るために必須の結晶相であり、ガ
ラス中の結晶(X線回折でその種類が特定可能な結晶)
のうち50体積%以上含有されるものである。尚、本発
明においては、多くの場合は、エンスタタイト及び/又
はその固溶体が結晶のうち70体積%以上、又、場合に
よっては80体積%以上、さらには90体積%以上含有
されるものである。また、結晶化ガラス1に関して、ガ
ラス中の結晶の割合は、おおよそ20〜70%程度であ
る。
【0049】さらに、結晶化ガラス1に含まれる結晶の
サイズ(粒径)の平均値は、0.5μm以下であることが
好ましく、0.3μm以下であることがより好ましく、
0.1μm以下であることがさらに好ましい。結晶化ガ
ラス1に含まれる結晶のサイズの平均値は、最も好まし
くは、50nm以下である。結晶サイズの平均値は0.
5μmを超えると、ガラスの機械強度を低下させるだけ
でなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起こしてガラス
の表面粗度を悪化させるおそれがある。このような結晶
粒子のサイズの制御は、主に、含まれる結晶相の種類及
び後述の熱処理条件によって行うことができるが、結晶
化ガラス1における必須成分であるエンスタタイト及び
/又はその固溶体の主結晶相が得られる熱処理条件にお
いて、上記したような微細な結晶のサイズを得ることが
可能である。
【0050】結晶化ガラス1及び結晶化ガラス1からな
る基板は、積層物として熱処理すること以外、公知のガ
ラスの製造方法を用いて製造することができる。例え
ば、高温溶融法、即ち所定の割合のガラス原料を空気中
または不活性ガス雰囲気で溶解し、バブリングや脱泡剤
の添加や撹拌などによってガラスの均質化を行い、周知
のプレス法やダウンロード成形などの方法により板ガラ
スに成形し、その後、研削、研磨などの加工を施こすこ
とで、所望のサイズ、形状のガラス成形品を得ることが
できる。得られたガラス成形品は、結晶化のための熱処
理方法を施される。
【0051】熱処理条件には特に制限はなく、結晶化促
進剤の含有量やガラスの転移温度、結晶化ピーク温度な
どに応じて適宜選択することができる。但し、初期の段
階で比較的低温度(例えば、700〜850℃)で熱処
理して多数の結晶核を発せしめ、その後、温度を850
〜1150℃に上げて結晶を成長させることが、結晶を
微細化するという観点からは好ましい。結晶化ガラス1
の製造に際しては、熱処理のスケジュール又はガラス組
成を順次に変えることにより、析出結晶サイズや結晶量
を制御することができ、それにより結晶化ガラスの特性
を大幅に調整することができる。また、結晶化ガラス1
に関して、同じヤング率や同じ結晶粒子の大きさまたは
同じ結晶化均質性を有する結晶化ガラスを作製するため
の結晶核生成熱処理及び結晶成長熱処理の許容温度範囲
は30℃以上の温度幅をもつので、結晶化の製造工程を容
易に制御することができる。
【0052】さらに、結晶化ガラス1に関して、熱処理
によりMgO・SiO2の組成を有するエンスタタイト及び(Mg・
Al)SiO3の組成を有するエンスタタイト固溶体が主結晶
として析出する熱処理条件とする。尚、これらの主結晶
のほか、フォステライト、コージェライト、チタン酸
塩、ムライトなどのその他の結晶が析出してもよいが、
エンスタタイトやその固溶体が析出する条件を上述した
ように設定する。熱処理を終えた結晶化ガラス1の成形
品は、必要により研磨することができ、研磨方法につい
ては特に制限がない。例えば、合成ダイヤモンド、炭化
珪素、酸化アルミニウム、炭化ホウ素などの合成砥粒
や、天然ダイヤモンド、酸化セリウムなどの天然砥粒を
用いて、公知の方法により研磨することができる。結晶
化ガラス1からなる情報記録媒体用基板は、上記方法に
おいて、成形品を基板形状とすることで得ることができ
る。
【0053】結晶化ガラス1からなる基板は、原子間力
顕微鏡(AFM)で測定した平均粗さRaで10オングスト
ローム以下の表面平滑性を有することが好ましい。特に
結晶化ガラス1を磁気ディスク基板に用いる場合、表面
の平均粗さRaは、磁気ディスクの記録密度に大きく影響
する。表面粗さが10オングストロームを超えると、高
記録密度化を達成しにくくなる。結晶化ガラス1からな
る基板の表面粗さは磁気ディスクの高記録密度化を考慮
すると、7オングストローム以下であることがより好ま
しく、5オングストローム以下であることがさらに好ま
しい。
【0054】エンスタタイトやその固溶体を主結晶とし
て含む結晶化ガラス1からなる基板は、高強度、高硬
度、高ヤング率であり、かつ化学的耐久性や耐熱性が優
れることから、磁気ディスク基板として有用である。さ
らに、結晶化ガラス1は、無アルカリ、又は低アルカリ
であるため、磁気ディスク基板とした場合でも、磁気膜
と基板とのコロージョンを大いに低減することができ、
磁気膜を最善に保つことができる。
【0055】尚、ここで主結晶相とは、ガラス中の結晶
(X線回折でその種類が特定可能な結晶)のうち50体
積%以上含有されるものである。この結晶化ガラスは、
多くの場合、エンスタタイト及び/又はその固溶体が結
晶のうち70体積%以上、又、場合によっては80体積
%以上、さらには90体積%以上含有されるものであ
る。また、この結晶化ガラスにおいて、ガラス中の結晶
の割合は、おおよそ20〜70%程度である。
【0056】この態様の結晶化ガラス1からなる基板に
おいては、結晶化ガラスに含まれる結晶のサイズ(粒径)
の平均値(結晶粒子の平均粒子径)は、0.5μm以下で
あることが好ましく、0.3μm以下であることがより
好ましく、0.1μm以下であることがさらに好まし
い。結晶化ガラスに含まれる結晶のサイズの平均値は、
最も好ましくは、50nm以下である。結晶サイズの平
均値は0.5μmを超えると、ガラスの機械強度を低下
させるだけでなく、研磨加工時に結晶の欠落を引き起こ
してガラスの表面粗度を悪化させるおそれがある。この
ような結晶粒子のサイズの制御は、主に、含まれる結晶
相の種類及び後述の熱処理条件によって行うことができ
るが、結晶化ガラス1の必須成分であるエンスタタイト
及び/又はその固溶体の主結晶相が得られる熱処理条件
において、上記したような微細な結晶のサイズを得るこ
とが可能である。
【0057】この態様の結晶化ガラス1からなる基板
は、ヤング率が140GPa以上であることが高速回転基板と
して好ましい。また、主結晶相として石英固溶体を実質
的に含有しないこと、及び結晶相としてスピネルを実質
的に含有しないことが好ましい。スピネルは、エンスタ
タイトと比較すると硬い結晶である(モース硬度8)で
あるため、研磨しにくく、表面粗さRaが10オングスト
ローム以下である研磨面が得られにくい。
【0058】結晶化ガラス1からなる磁気ディスク基板
は、磁気ディスク基板として必要な表面平滑性、平坦
性、強度、硬度、化学耐久性、耐熱性などをすべて満足
することができる。また、高いヤング率をもつので、デ
ィスクの高速回転化によるたわみをより小さく抑えるこ
とができ、高TPIハードディスクの実現のため基板材料
として好適である。結晶化ガラス1は、耐熱性、表面平
滑性、化学耐久性、光学的性質及び機械的強度に優れて
いるので、磁気ディスク等の情報記録媒体用基板や光磁
気ディスク用のガラス基板や光ディスクなどの電子光学
用ガラス基板として好適に使用できる。
【0059】(第2の結晶化ガラス)次に、情報記録媒
体用結晶化ガラス基板として好ましい第2の結晶化ガラ
ス(以下、結晶化ガラス2と記す)について説明する。
結晶化ガラス2には、SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-2
5モル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%
を含有し、主結晶相がα−石英固溶体並びにエンスタタ
イト及び/又はエンスタタイト固溶体を含むもの (以
下、結晶化ガラス2(1)と記す。)、SiO2:42-65モル
%、Al2O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、及びTi
O2:5.5-13モル%を含有し、α−石英固溶体並びにエン
スタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体を含み、α
−石英固溶体、エンスタタイト及びエンスタタイト固溶
体の合計が50重量%以上であるもの(以下、結晶化ガ
ラス2(2)と記す。)、SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-2
5モル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%
を含有し、主結晶相が、X線回折パターン中に石英に特
有の回折パターンとほぼ同等の回折パターンが観測され
る石英系結晶並びにエンスタタイト及び/又はエンスタ
タイト固溶体を含み、かつ比重が2.9以上であるもの
(以下、結晶化ガラス基板2(3)と記す。)、SiO2:42-65
モル%、Al2O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、及び
TiO2:5.5-13モル%を含有し、結晶相が、X線回折パタ
ーン中に石英に特有の回折パターンとほぼ同等の回折パ
ターンが観測される石英系結晶並びにエンスタタイト及
び/又はエンスタタイト固溶体を含み、石英系結晶、エ
ンスタタイト及びエンスタタイト固溶体の合計が50重
量%以上であり、かつ比重が2.9以上であるもの(以下、
結晶化ガラス2(4)と記す。)がある。上記結晶化ガラス
2(1)〜2(4)においては、SiO2+Al2O3 が58-80モル%
の範囲であること、MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の
範囲であること、ZrO2を0-4モル%含有すること及びY2O
3を0.1−5モル%含有することができる。
【0060】さらに結晶化ガラス2にはSiO2+Al2O3
58-80モル%の範囲であり、MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125
-0.55の範囲であり、主結晶相が、X線回折パターン中
に石英に特有の回折パターンとほぼ同等の回折パターン
が観測される石英系結晶並びにエンスタタイト及び/又
はエンスタタイト固溶体を含み、かつ比重が2.9以上で
あるもの(以下、結晶化ガラス基板2(5)と記す。)、SiO
2+Al2O3 が58-80モル%の範囲であり、MgO/(SiO2+Al2
O3) が0.125-0.55の範囲であり、結晶相が、X線回折パ
ターン中に石英に特有の回折パターンとほぼ同等の回折
パターンが観測される石英系結晶並びにエンスタタイト
及び/又はエンスタタイト固溶体を含み、石英系結晶、
エンスタタイト及びエンスタタイト固溶体の合計が50
重量%以上であり、かつ比重が2.9以上であるもの(以
下、結晶化ガラス2(6)と記す。)がある。
【0061】結晶化ガラス2(5)及び2(6)においては、
ZrO2を0-4モル%含有すること及びY 2O3を0.1−5モル%
含有することができる。結晶化ガラス2(1)〜2(6)は、
ヤング率が110GPa以上であり、熱膨張係数が90×1
-7/℃以上であることができ、また結晶相の結晶粒子
径が10〜1000nmの範囲であることができる。
【0062】結晶化ガラス2結晶化は、SiO2、Al2O3
MgO及び TiO2を含有する原ガラスを核生成熱処理工程及
び結晶化処理工程を経て行われる。核生成熱処理工程は
760〜840℃の温度範囲で、かつ結晶化処理工程は
950℃〜1150℃の温度範囲で行われる。結晶化ガ
ラス2の高ヤング率結晶化ガラスは、例えば、高剛性の
エンスタタイト(又その固溶体)結晶と高膨張のα−石英
固溶体結晶または石英系結晶を主結晶相として含むもの
である。
【0063】結晶化ガラス2は110GPa以上のヤング率、
及び90×10-7/℃以上の熱膨張係数をもち、MgO-Al2O
3-SiO2系ガラスにおいて、TiO2を必須成分として含有さ
せた原ガラスを適当な温度範囲で熱処理することにより
α−石英固溶体または石英系結晶やエンスタタイトなど
の微細な結晶粒子を析出でき、110〜180GPaの範囲の高
いヤング率をもち、かつ90×10-7/℃以上の高い熱膨
張係数を有し、容易に成形することができる結晶化ガラ
スであり、しかも得られた結晶化ガラス2からなる基板
は容易に研磨加工することができる。
【0064】α−石英固溶体は、比較的高い熱膨張係数
を有する(α−石英固溶体:約150×10-7/℃、β−石
英固溶体:約−5×10-7/℃、エンスタタイト:約78×
10-7/℃、スピネル:約88×10-7/℃)。また、エンス
タタイトは、その鎖状又は層状の結晶の形状から、その
すき間にガラス成分が入り込み、粒子サイズが小さくて
も高いヤング率が得られると考えられる。このような高
膨張のα−石英固溶体とエンスタタイト及び/又はその
固溶体を主結晶相とすることにより、高いヤング率及び
高い熱膨張係数の結晶化ガラスを得ることができたもの
と考えられる。
【0065】なお、上記の成分の他に、所望の特性を損
なわない範囲でLi2O、Na2O、K2O、CaO、SrO、BaO、Fe2O
3、Ga2O3、B2O3、P2O5、Nb2O5、Ta2O5及びLa2O3等の希
土類金属酸化物成分を5%まで、結晶化ガラス2に添加
しうる。しかし、これらの成分は著しくガラスのヤング
率を低下させたり、主結晶の析出を阻害したりするの
で、その導入量を5%以下に抑えることが望ましい。さ
らに、ガラスの生産性のことを考慮すると、その含有量
は4%以下であることがさらに好ましい。
【0066】As2O3とSb2O3は元のガラスの均質化を図る
ために脱泡剤として添加される成分である。各ガラスの
高温粘性に応じて適当量のAs2O3やSb2O3或いはAs2O3+S
b2O3をガラスに添加するともっと均質なガラスが得られ
る。しかし、これらの脱泡剤の添加量が多くなり過ぎる
とすると、ガラスの比重が上昇してヤング率を低下させ
る傾向があり、また溶解用白金るつぼと反応して、るつ
ぼにダメージを与える恐れもある。そこで、ので、As2O
3+Sb2O3の添加量は2%以下とすることが好ましい。特
にAs2O3+Sb2O3の添加量は1.5%以下であることが好ま
しい。
【0067】結晶化ガラス2(1)における主結晶相は、
例えば、MgO・SiO2及び(Mg・Al)SiO3の組成を有するエン
スタタイト(エンスタタイト固溶体を含む)結晶相、ま
たはα-石英固溶体若しくは石英系結晶を含む。エンス
タタイトは含まず、エンスタタイト固溶体のみを含む場
合もある。また、エンスタタイトには、クリノエンスタ
タイト、プロトエンスタタイト及びエンスタタイトが包
含される。α−石英固溶体は、例えば、2MgO・2 Al2 O3
5SiO2、MgO・ Al2 O3・3SiO2及びMgO・ Al2 O3・3SiO 2 から
選ばれることができる。
【0068】尚、結晶化ガラス2(1)に関して主結晶相
とは、必須の結晶相であり、ガラス中の結晶(X線回折
でその種類が特定可能な結晶)のうち他の結晶相に比べ
て多い結晶である。結晶化ガラス2において、主結晶で
あるα−石英固溶体及びエンスタタイト(エンスタタイ
ト固溶体を含む)の合計は50体積%以上である。ま
た、結晶化ガラス基板2(2)においては、例えば、MgO・S
iO2及び(Mg・Al)SiO3の組成を有するエンスタタイト(エ
ンスタタイト固溶体を含む)結晶相及びα−石英固溶体
を合計で50体積%以上含有する。
【0069】結晶化ガラス2(3)〜2(6)においては、結
晶相として、X線回折パターン中に石英に特有の回折パ
ターンとほぼ同等の回折パターンが観測される石英系結
晶、並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固
溶体を含む。さらにこの結晶化ガラスは、比重が2.9以
上であることができる。結晶化ガラス2(3)及び2(5)に
おいては、石英系結晶、並びにエンスタタイト及び/又
はエンスタタイト固溶体を主結晶相として含む。この場
合の主結晶相とは、必須の結晶相であり、ガラス中の結
晶(X線回折でその種類が特定可能な結晶)のうち他の
結晶相に比べて多い結晶である。また、結晶化ガラス2
(4)及び2(6)においては、石英系結晶、並びにエンスタ
タイト及び/又はエンスタタイト固溶体を50体積%以
上含有する。
【0070】また、結晶化ガラス基板2(3)〜2(6))
は、比重が2.9以上である。X線回折パターン中に石英
に特有の回折パターンとほぼ同等の回折パターンが観測
される石英系結晶は、石英の結晶系をほぼ維持しつつ、
その他の酸化物分子を固溶しているものと考えられ、そ
のため、X線回折パターン中に石英に特有の回折パター
ンとほぼ同等の回折パターンが観測される。また、この
ため、石英系結晶の代わりに石英結晶を含む結晶化ガラ
スと比較すると比重が大きい2.9以上である。結晶化ガ
ラス2(3)〜2(6)の比重の上限は約3.5である。結晶化
ガラス2(3)〜2(6)は、概ね、3.0〜3.2の間の比重を有
する。
【0071】さらに上記の主結晶相のほか少量のスピネ
ル、ムライト、フォステライト、コージェライト、チタ
ン酸塩などその他の結晶を含むこともできる。チタン酸
塩はエンスタタイト及びα-石英固溶体または石英系結
晶の結晶核として作用し得る。結晶化ガラス2は、例え
ば、α-石英固溶体または石英系結晶が約40体積%、
エンスタタイト(エンスタタイト固溶体を含む)が約2
5−30体積%、チタン酸塩が約10−15体積%であ
ることができる。
【0072】また、結晶化ガラス2において、ガラス中
の結晶の割合は、おおよそ20%以上であることが好ま
しい。但し、ガラス中の結晶の割合が80%を超えると
結晶の粒子径が大きくなりやすく好ましくない。ガラス
中の結晶の割合は、40〜80%、特に45〜80%の
範囲であることが好ましい。さらに、結晶化ガラス2に
含まれる結晶(エンスタタイト、その固溶体及び/また
はα-石英固溶体若しくは石英系結晶)の平均粒子径は1
0〜1000nm範囲にあることが好ましい。より好ましく
は10〜700nmの範囲である。結晶サイズの平均値が、1
000nm(1μm)以下であることで、ガラスの機械強度
を低下させることなく、かつ研磨加工時に結晶の欠落を
引き起こしてガラスの表面粗度を悪化させることもな
い。
【0073】結晶化ガラス2の製造方法は、積層物を熱
処理すること以外、特に限定されず、各種ガラス製造方
法を用いることができる。例えば、高温溶融法、即ち所
定の割合のガラス原料を空気中や不活性ガス雰囲気で溶
解し、バブリングや脱泡剤の添加や撹拌などによってガ
ラスの均質化を行い、成形方法としては、周知のプレス
法、フロート法やダウンドロー成形などの方法により板
ガラスに成形することができる。結晶化ガラス2から基
板を得るには、板状ガラスに成形した後、研削、研磨な
どの加工が施され、所望のサイズ、形状のガラスとされ
る。成形品の熱処理条件には特に制限はなく、結晶化促
進剤の含有量やガラスの転移温度、結晶化ピーク温度な
どに応じて選択することができる。例えば、初めに比較
的低い温度で熱処理して多数の結晶核を発せしめた後、
温度を上げて結晶を成長させることが、微細な結晶を得
る上で好ましい。本発明においては、熱処理条件を制御
することにより結晶粒子径が10〜1000nm範囲にあるエ
ンスタタイト及び/またはα-石英固溶体若しくは石英
系結晶を含む結晶化ガラスが得られる。
【0074】また、結晶化ガラス2においては、熱処理
によりエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体
及びα−石英固溶体若しくは石英系結晶が主結晶相とし
て、または50体積%以上析出する熱処理条件とする。
尚、これらの主結晶のほか、スピネル、ムライト、フォ
ステライト、コージェライト、チタン酸塩などのその他
の結晶が析出してもよいが、上記の主結晶相が析出する
条件を設定する。そのような条件としては、ガラスの組
成に応じて、核生成熱処理(一次熱処理)の条件として
760〜840℃の温度範囲で1〜8時間、その後に行
う結晶化処理(二次熱処理)の条件として950℃〜1
150℃の温度範囲で1〜6時間から、適宜設定するこ
とができる。特に、核生成熱処理条件は、得られる主結
晶相に影響を及ぼすと考えられる。即ち、核生成熱処理
(一次熱処理)が低すぎると、結晶化処理(二次熱処
理)においてα−石英固溶体(または石英系結晶)が得ら
れにくい。核生成熱処理(一次熱処理)の条件としては
好ましくは800〜840℃、より好ましくは810〜
830℃の温度範囲である。結晶化処理(二次熱処理)
の条件としては好ましくは1010℃〜1140℃の温
度範囲、より好ましくは1030℃〜1120℃の温度
範囲である。結晶化処理(二次熱処理)の温度が低い
と、例えば、β−石英固溶体がα−石英固溶体に相転移
しにくい場合があり、所望の結晶相が得られにくくな
る。
【0075】熱処理を終えた板状結晶化ガラスの研磨方
法については特に制限がなく、合成ダイヤモンド、炭化
珪素、酸化アルミニウム、炭化ホウ素などの合成砥粒
や、天然ダイヤモンド、酸化セリウムなどの天然砥粒を
用いて、公知の方法により研磨することができる。例え
ば、通常の研磨方法および装置でラッピングおよび酸化
セリウムにてポリシング加工することによって、表面粗
さ(Ra)を0.1−1.0nmの範囲にすることができる。
【0076】結晶化ガラス2を磁気ディスク基板に用い
ると、磁気ディスク基板として必要な表面平滑性、平坦
性、強度、硬度、化学耐久性、耐熱性などをすべて満足
することができる。また、従来のアルミ基板に比べ、約
1.5倍以上の高ヤング率をもつので、ディスクの高速回
転化によるたわみをより小さく抑えることができ、高TP
Iハードディスクの実現のための基板材料として好適で
ある。結晶化ガラス2に含まれる析出結晶径や結晶量
は、熱処理のスケジュール又はガラス組成を順次に変え
ることにより制御することができる。結晶化ガラスに含
まれる析出結晶径や結晶量を変化させることで、結晶化
ガラスの特性を大幅に調整することができる。
【0077】(磁気記録媒体について)次に、磁気記録
媒体を例に本発明の情報記録媒体の実施の形態について
説明する。本発明の情報記録媒体は、本発明の基板と、
該基板上に形成された記録層とを有するものである。以
下、本発明の結晶化ガラスからなる基板の主表面に、少
なくとも磁性層を形成した磁気ディスク(ハードディス
ク)ものについて説明する。性層以外の層としては、機
能面から、下地層、保護層、潤滑層、凹凸制御層などが
挙げられ、必要に応じて形成される。これらの各層の形
成には各種薄膜形成技術が利用される。磁性層の材料は
特に制限されない。磁性層としては、例えば、Co系の
他、フェライト系、鉄−希土類系などが挙げられる。磁
性層は、水平磁気記録、垂直磁気記録のいずれの磁性層
でもよい。
【0078】磁性層としては、具体的には、例えば、Co
を主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、Co
PtCrやCoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtSiO など
の磁性薄膜が挙げられる。また、磁性層を非磁性層で分
割してノイズ低減を図った多層構成としてもよい。磁性
層における下地層は、磁性層に応じて選択される。下地
層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al
などの非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材
料、又はそれらの金属の酸化物、窒化物、炭化物等から
なる下地層等が挙げられる。Coを主成分とする磁性層の
場合には、磁気特性向上の観点からCr単体やCr合金であ
ることが好ましい。下地層は単層とは限らず、同一又は
異種の層を積層した複数層構造とすることもできる。例
えば、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr等の多層下地層等が挙
げられる。
【0079】また、基板と磁性層の間又は磁性層の上部
に、磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着することを防止す
るための凹凸制御層を設けてもよい。この凹凸制御層を
設けることによって、磁気ディスクの表面粗さは適度に
調整されるので、磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着する
ことがなくなり、信頼性の高い磁気ディスクが得られ
る。凹凸制御層の材料及び形成方法は多種知られてお
り、特に制限されない。例えば、凹凸制御層の材料とし
ては、Al、Ag、Ti、Nb、Ta、Bi、Si、Zr、Cr、Cu、Au、
Sn、Pd、Sb、Ge、Mgなどから選ばれる少なくとも一種以
上の金属、又はそれらの合金、あるいは、それらの酸化
物、窒化物、炭化物等からなる下地層等が挙げられる。
形成が容易であるという観点からは、Al単体やAl合金、
酸化Al、窒化AlといったAlを主成分とする金属であるこ
とが望ましい。また、ヘッドスティクションを考慮する
と、凹凸形成層の表面粗さは、Rmax=50〜300オン
グストロームであることが好ましい。より好ましい範囲
は、Rmax=100〜200オングストロームである。Rm
axが50オングストローム未満の場合、磁気ディスク表
面が平坦に近いため、磁気ヘッドと磁気ディスクが吸着
し、磁気ヘッドや磁気ディスクが吸着し、磁気ヘッドや
磁気ディスクが傷ついてしまったり、吸着によるヘッド
クラッシュを起こすので好ましくない。また、Rmaxが3
00オングストロームを超える場合、グライド高さ(グ
ライドハイト)が大きくなり記録密度の低下を招くので
好ましくない。尚、凹凸制御層を設けずに、結晶化ガラ
ス基板表面に、エッチング処理やレーザー光の照射等の
手段で凹凸を付け、テクスチャリング処理を施してもよ
い。
【0080】保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金
膜、炭素膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。
これらの保護膜は、下地層、磁性層等とともにインライ
ン型スパッタ装置等で連続して形成できる。また、これ
らの保護膜は、単層としてもよく、あるいは、同一又は
異種の膜からなる多層構成としてもよい。上記保護層上
に、あるいは上記保護膜に替えて、他の保護層を形成し
てもよい。例えば、上記保護層上にテトラアルコキシラ
ンをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシ
リカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ
素(SiO2)膜を形成してもよい。この場合、保護膜と凹
凸制御層の両方の機能を果たす。潤滑層としては多種多
様な提案がなされているが、一般的には、液体潤滑剤で
あるパーフルオロポリエーテルをフレオン系などの溶媒
で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート
法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じて加熱処理
を行って形成する。以上のようにして、情報記録媒体を
生産性よく製造することができる。
【0081】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明す
る。 実施例1〜12 表1には実施例1〜12のガラス組成をモル%(または重
量%)で示すとともに、結晶化条件、得られた結晶化ガ
ラスの特性等を示した。なお、表1に記載の組成は原料
の組成であるが、各実施例の結晶化ガラス組成を分析
し、比較した結果、両者の差は±0.1モル%以内であ
り、表1の原料ガラス組成は結晶化ガラス組成と実質的
に同じである。各実施例で使用したガラスを溶解する際
の出発原料としては、SiO2、Al2O3、Al(OH)3、MgO、Y2O
3、TiO2、ZrO2、KNO3などを用いて表1に示した所定の
割合に250−300g秤量し、十分に混合して調合バ
ッチと成し、これを白金るつぼに入れ、1550℃で攪
拌しながら空気中4−5時間ガラスの溶解を行った。熔
融後、ガラス融液を金型で円盤形状にプレス成形し、ガ
ラスの転移点温度まで放冷してから直ちにアニール炉に
入れ、ガラスの転移温度範囲で約1時間アニールして炉
内で室温まで放冷した。得られたガラスは顕微鏡で観察
できる結晶が析出しなかった。
【0082】この円板状ガラスに研削、研磨を施して直
径85mm、厚みが2.0mmの板状ガラスとした。実
施例1〜3、7〜9については、このような板状ガラス
を20枚、Al23及びSiO2を含むムライトコーデ
ィエライトセラミックス(例えば、Al23とSiO2
の合量が95重量%以上占めるセラミックスで熱伝導率
2W/m・K)からなる耐火性のセッター(直径90m
m、厚み5.0mmの円盤形状)を21枚用意し、加熱
処理装置の交互積層部で、セッター、板状ガラスの順に
交互に積層して20段の積層物を構成した。このような
積層物を複数、形成し、加熱炉中のローラ上に載せて搬
送しつつ、加熱を行なった。実施例4〜6、10〜12に
ついては、上記セッターの代りに、炭化珪素からなるフ
ァインセラミックスからなるセッター(熱伝導率170
W/m・K)を用いて結晶化を行った。
【0083】なお、ローラ上には複数の積層物が隊列を
組むように置き、その上に耐熱性の板を載せて、積層物
を安定に搬送できるようにしてもよい。積層物がローラ
を搬送する過程での加熱炉内の温度変化は次の通りであ
る。表1に示した条件で、第一次熱処理、第二次熱処理
を行った後、炉内で室温まで冷却することによって結晶
化ガラスを作製した。得られた板状結晶化ガラスの反り
は、3〜14nmとすべて20nm以下であった。また
結晶化処理に使用したセッターはすべて破損せず、再度
使用可能な状態であった。
【0084】一方、上記のものと材質は同じで主表面が
400mm角の正方形のセッターを用いて直径80mm
の円板状ガラスを4枚、セッターに載せ、その上にセッ
ターを載せるとういように、次とセッターを交互に載せ
て20段に積層したもので同様の結晶化処理を行ったと
ころ、セッターが破損し、セッターの再利用ができない
ばかりでなく、破損したセッターを生産ラインから除去
しなければならないので、生産性が低下してしまった。
また、得られた結晶化ガラスには割れているものが有っ
た。また、セッターを介さないで板状ガラスを直接積層
した場合は、ガラス同士が融着してしまい、所望形状の
板状結晶化ガラスを得ることができなかった。得られた
板状結晶化ガラスを研磨、加工してヤング率、比重の測
定サンプルとした。ヤング率の測定は超音波法で行われ
た。測定で得られたデータをガラスの組成と共に表1に
示した。
【0085】
【表1】
【0086】表1に示す結果から明らかなように、実施
例1〜12の結晶化ガラスはヤング率(130GPa以上)や
比弾性率(40-60MNm/kgの範囲)などの強度特性が大き
い。そのため、これらのガラスを磁気記録媒体等の情報
記録媒体用基板として使用した場合、このガラス基板が
高速回転しても、基板に反りやブレが生じにくく、より
基板の薄型化にも対応できることが分かる。また、熱処
理前のガラスについて液相温度を測定したところ、それ
ぞれ1300℃付近であり、ガラスの溶融及び成形の面から
要求される液相温度(例えば1350℃以下)を満足するも
のであった。また、各実施例の結晶化ガラスについて、
透過電子顕微鏡(TEM)を用いて結晶粒子の平均粒径を
測定したところ、表1に示す平均粒径が得られているこ
とがわかった。また、表面粗さ測定用に光学ガラス研磨
を施したサンプルの研磨面について、原子間力顕微鏡(A
FM)による表面観察を行った結果、表面粗さ(Ra)は
表1に示す通りであった。これらの結晶化ガラスの表面
粗度(Ra)は、例えば、合成ダイヤモンド、炭化珪素、
酸化カルシウム、酸化鉄、酸化セリウムなどの研磨剤を
用いる通常の光学ガラスの研磨法で5オングストローム
以下に研磨することができる。そのため、平坦性に優れ
た基板を得ることができ、磁気ヘッドの低浮上化を図る
ことを目的とする磁気記録媒体用ガラス基板として有用
である。本実施例の結晶化ガラスはいずれも、厚さ1mm
の場合、波長600nmでの透過率が50%以上であり、ある程
度透明性があった。かかる透明性は、所望の結晶種、結
晶粒径が得られているかの指標にもなり得る。本発明の
結晶化ガラスの場合、上記透過率は、例えば、60〜9
0%になり得る。
【0087】以上のことから、磁気記録媒体用基板とし
て使用するためには、上述した物理的、熱的或いは機械
的性質が優れていることが好ましく、上記実施例で得ら
れた本発明の高ヤング率を有する結晶化ガラスが非常に
有用であることが分かる。次に、実施例1で得られた結
晶化ガラス基板を用い、その主表面上に磁気記録層を含
む多層膜を形成し、磁気記録媒体を得た。
【0088】実施例1〜12として示したように、本発明
の製法によればセッターの破損を低減し、多数回、繰り
返して使用できるので、コスト低減が図られる。また結
晶化装置内のセッター破片を除去する必要もなくなるの
で、生産ラインを止める頻度も大幅に緩和され、生産性
を向上させることができる。なお、上述したAl2O3-SiO2
系コーディエライトセラミックスや炭化珪素からなるフ
ァインセラミックスのセッター以外のセッターを、発明
の実施の形態の説明に従って、使用しても良好な結果が
得られた。さらに、従来の方法と比べ、得られる板状結
晶化ガラスの反りを低減できるので、結晶化処理後、結
晶化ガラスを平坦にするための研削、研磨加工の負担を
軽減することができる。
【0089】実施例13 SiO2を70モル%、Li2Oを14モル%、Al23
を8モル%、ZnOとアルカリ金属酸化物の合量が7モ
ル%、残りが金、銀、CeO2、Sb23からなるガラ
スを平面形状が1辺500mmの正方形の形状に成形し
てガラス板を得た。このガラス板の主表面にフォトリソ
グラフィ技術を用いてレジストパターンを形成し、レジ
スト開口部を通して選択的に紫外線の照射を行った。紫
外線照射後、レジストパターンを除去し、第1の熱処理
を行って、紫外線照射部分にLiO2・SiO2相を析出
させた。次に、このガラス板をフッ酸でLi2O・Si
2相が析出した部分を選択的にエッチングして直径1
00mmの微細な穴を、所定に位置に形成した。このよ
うな板状ガラスを20枚作製した。
【0090】次に、平面形状が一辺504mmの正方形
のセッターを21枚用意し、セッターの周縁部と板状ガ
ラスの周縁部の間隔が2mmとなるように、セッターの
真中に板状ガラスがはみ出さないように載せて、セッタ
ー、ガラス、セッター、…と交互に積層物を形成した。
この積層物をローラハースキルン方式の加熱炉を通過さ
せながら加熱して板状ガラスを結晶化させた。セッター
として、炭化珪素製セラミックス、窒化珪素製セラミッ
クス、ムライトコディエライト耐火物、アルミナ製ファ
インセラミックスなど各種材料を用いたが何れの場合
も、セッターの破損は見られず、結晶化ガラス基板の反
りは長さ1cmあたり、1μm以内と非常に小さいもの
であった。なお、セッターの大きさを520mm×52
0mm、540mm×540mm、560mm×560
mmと大きくして上記大きさの板状ガラスの結晶化を行
ったが何れの場合もセッターの破損は見られず、基板の
反りも上記範囲内に納まっており、良好な結果が得られ
た。次に板状ガラスの一辺の長さを100mm、セッタ
ーの一辺の長さを120mmとした以外は、上記結晶化
処理と同じ条件で、板状ガラスの結晶化を行ったとこ
ろ、セッターの破損は認められず、長さ1cmあたりの
反り量1μm以下であった。次にセッターの一辺の長さ
を140mmにした場合と160mmとした場合で、同
様の処理を行ったところ、いずれも上記の結果と同様、
良好な結果がえら得れた。このようにして得られた結晶
化ガラス基板にマイクロプロセッサを実施して実装基板
として使用可能なことを確認した。
【0091】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、高い生
産性のもと、基板材料の反り低減が可能な円板状結晶化
ガラスの製造方法、および結晶化ガラス基板の製造方
法、ならびにこの方法で得られた基板上に、情報記録層
を形成して情報記録媒体を作製する情報記録媒体の製造
方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の実施に使用される熱処理装
置の一例の概念図。
【図2】積層物の説明図、及び複数の積層物の配置の説
明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲村 尚史 東京都新宿区中落合2丁目7番5号 ホー ヤ株式会社内 Fターム(参考) 4G015 EA02 4G062 AA11 BB01 BB06 CC09 CC10 DA05 DA06 DA07 DB03 DB04 DC01 DD01 DE01 DF01 EA03 EA04 EB01 EC01 ED04 ED05 EE01 EF01 EG01 FA01 FB03 FB04 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM27 NN31 QQ02 QQ06 QQ08 QQ15

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状ガラスを板状部材(以下、セッター
    という)の間に1枚づつ、前記板状ガラスが前記セッター
    からはみ出さないように挟み込んだ積層物を熱処理し
    て、前記板状ガラスを結晶化することを特徴とする結晶
    化ガラスの製造方法。
  2. 【請求項2】 板状ガラスを板状部材(以下、セッター
    という)の間に挟み込んで積層物を形成し、前記積層物
    を熱処理して板状ガラスを結晶化する結晶化ガラスの製
    造方法であって、前記セッターの主表面から板状ガラス
    がはみ出さないように、かつ板状ガラスの周縁部に沿っ
    て、セッターの周縁部と板状ガラスの周縁部の距離が3
    0mm以内になるように積層物を形成することを特徴と
    する結晶化ガラスの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記板状ガラス及びセッターの平面形状
    が円形または方形である請求項1または2に記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記積層物がn枚の板状ガラス(nは1
    以上の整数である)をn+1枚のセッターの間毎に1枚
    づつ挟み込んだものである請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】セッターはセラミックス製である請求項1
    〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】セッターは耐熱衝撃温度差が300℃以上の
    材料からなる請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】セッターは板状ガラスよりも大きい熱伝導
    率を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】熱処理を大気中で行う請求項1〜7のいず
    れか1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】前記熱処理時における処理対象物の最高到
    達温度が850℃以上である請求項1〜8のいずれか一
    項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】前記熱処理時における処理対象物の最高
    到達温度が800℃以上であり、かつ前記熱処理を大気
    中で行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方
    法。
  11. 【請求項11】板状ガラスが水平を維持した状態で板状
    ガラスとセッターとの積層物の熱処理を行う請求項1〜
    10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】前記積層物の1つまたは2つ以上を耐熱
    板上に載置し、板状ガラスの水平状態を保ちつつ加熱領
    域に移送することにより前記熱処理を行うことを特徴と
    する請求項11に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 耐熱性ローラを備えたローラハース方
    式の移送手段により前記移送を行うとともに、少なくと
    も前記ローラ下方とローラ上に載置された積層物の上方
    より前記積層物の加熱を行う請求項11または12に記
    載の製造方法。
  14. 【請求項14】 SiO2を35−65モル%、Al2
    3を5−25モル%、MgOを10−40モル%、及び
    TiO2を5−15モル%含有し、上記組成の合計が少
    なくとも92モル%以上であり、主結晶がエンスタタイ
    ト及び/又はその固溶体である結晶化ガラスを得ること
    を特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 SiO2を60−90モル%、Li2
    を5−30モル%及びAl23を1−20モル%含有
    し、上記組成の合計が少なくとも85モル%以上であ
    り、クォーツ、二珪酸リチウム、クォーツの固溶体、二
    珪酸リチウムの固溶体からなる群から選ばれる少なくと
    も1種の主結晶を含む結晶化ガラスを得ることを特徴と
    する請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 板状ガラスがTiO2を含有するガラ
    スからなり、前記ガラスの転移温度をTgとしたとき
    に、前記熱処理工程が、前記板状ガラスを(Tg−30
    ℃)乃至(Tg+60℃)の温度範囲に加熱してガラス
    を分相させる分相工程と、前記分相工程より高温に前記
    板状ガラスを加熱して結晶化させる結晶化工程を含むこ
    とを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかに記載の方
    法により得られた結晶化ガラスの主表面を平坦に研削、
    研磨して基板を形成することを特徴とする結晶化ガラス
    基板の製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の方法により得られ
    た結晶化ガラス基板の主表面に情報記録層を形成するこ
    とを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載の方法により得られ
    た結晶化ガラス基板の主表面に磁気記録層を形成するこ
    とを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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