JP2001189008A - 情報記録媒体用結晶化ガラス基板 - Google Patents

情報記録媒体用結晶化ガラス基板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヤング率、強度及び耐熱性が高く、表面平滑
性及び表面均質性に優れ、かつ安価に製造できる磁気デ
ィスク等の情報記録媒体用の結晶化ガラスを提供するこ
と。 【解決手段】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含有
するか、またはSiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲であ
り、MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲である。さ
らに、主結晶または50体積%以上含まれる結晶が、α
-石英固溶体または石英系結晶及びエンスタタイト及び
/又はエンスタタイト固溶体を含むか、あるいはX線回
折パターン中に石英に特有の回折パターンとほぼ同等の
回折パターンが観測される石英系結晶並びにエンスタタ
イト及び/又はエンスタタイト固溶体を含み、かつ比重
が2.9 g/cm3以上である情報記録媒体用結晶化ガラス基
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録媒体用結
晶化ガラス基板に関する。特に、本発明は、磁気ディス
ク基板やフェルールなど各種電気及び電子部品に有用な
高強度、高剛性ガラスセラミックスかなる基板に関す
る。さらに詳しくは、本発明の結晶化ガラスは、容易に
成形することができ、ガラス熱処理によって、主結晶相
としてα−石英固溶体または石英系結晶、エンスタタイ
トなどの結晶種を析出させることができるものである。
また、本発明は、TiO2を核生成剤とするMgO-Al2O3-SiO2
ガラスを適当な温度で熱処理して結晶化させることによ
り、容易に研磨加工することができ、高いヤング率、高
い表面平滑性を有し、HDDに組まれたその他のステン
レス部品の膨張係数にあわせることのできるガラス組成
物からなる高ヤング率結晶化ガラス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピューターなどの磁気記憶装置の主
要構成要素は、磁気記録媒体と磁気記録再生用の磁気ヘ
ッドである。磁気記録媒体としてはフレキシブルディス
クとハードディスクとが知られている。このうちハード
ディスク用の基板材料としては主としてアルミニウム合
金が使用されてきている。最近、PCパソコンやサーバ
ー用ハードディスクドライブの磁気記録高密度化にとも
なって磁気ヘッドの浮上量が顕著に減少してきている。
これに伴い、磁気ディスク基板の表面平滑性について、
きわめて高い精度が要求されてきている。しかし、アル
ミニウム合金の場合には、硬度が低いことから高精度の
研磨材及び工作機器を使用して研磨加工を行っても、こ
の研磨面が塑性変形するので、ある程度以上高精度の平
坦面を製造することは困難である。また、ハードディス
クドライブ記録の高密度化が進展するのにつれて、高速
回転時の磁気ディスク用基板たわみや振幅を小さくする
ことも強く要求されている。しかし、アルミニウム合金
はヤング率が低いので、10000rpm程度高速回転ハードデ
ィスクドライブの仕様から要求される所定のたわみや振
幅を保持することは困難である。そこで、高剛性、高表
面平滑性を必要される磁気ディスク用ガラス基板が登場
してきた。このうち、基板表面をイオン交換法で強化し
た化学強化ガラス基板や、結晶化処理を施した結晶化基
板などがよく知られている。
【0003】イオン交換強化ガラス基板としては、例え
ば、特開平1−239036号公報に、重量%表示で、
SiO2:50−65%、Al2O3:0.5−14%、R2O(ただしRは
アルカリ金属イオン):10−32、ZnO:1−15%、B2O3
1.1−14%を含むガラスをアルカリイオンによるイオン
交換法によってガラス基板の表面に圧縮応力層形成し強
化された磁気ディスク用ガラス基板が開示されている。
また、結晶化ガラスとしては、例えば、米国特許539
1522公報に、重量%表示で、SiO2:65−83%、
Li2O:8−13%、K2O:0−7%、MgO:0.5−5.
5%、ZnO:0−5%、PbO:0−5%(ただしMgO+ZnO+
PbO:0.5−5%)P2O5:1−4%、Al2O3:0−7
%、As2O3+Sb2O3:0−2%を含み、主結晶として微細
なLi2O・2SiO2結晶粒子を含む磁気ディスク用結晶化ガ
ラスが開示されている。米国特許5476821公報には、重
量%表示でSiO2:35-60%、Al2O3:20-35%、MgO:0-25
%、ZnO:0-25%、但し、MgO+ZnO>10%、TiO2:0-20%、
ZrO2:0-10%、Li2O:0-2%、NiO:0-8%、但しTiO2+ZrO2
+NiO>5%などの酸化物成分を含み、主結晶としてスピ
ネル結晶粒子を含むディスク用結晶化ガラスが開示され
いる。また、米国特許第5,491,116号公報にも
結晶化ガラスが開示されている。この結晶化ガラスは、
破壊係数が少なくとも約15,000psi、ヌープ硬度が約760
KHNを超え、ヤング率が約20×106 psi、及び破壊靱性が
1.0Mpa.m1/2より大きいガラスセラミック製品であっ
て、主結晶相が、エンスタタイト又はその固溶体及びス
ピネル(尖晶石型結晶)からなり、重量%で、35-60%
のSiO2、10-30%のAl2O3、12-30%のMgO、0-10%のZn
O、5-20%のTiO2、及び0-8%のNiOから実質的になる組
成を少なくとも92%含む結晶化ガラスであり、この結
晶化ガラスからなる磁気ディスク用基板も開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近の
ハードディスクの磁気記録の高密度化に伴って、磁気ヘ
ッドの低浮上化及びディスク回転の高速化が急速に進
み、そのため、ディスク基板材料のヤング率や表面平滑
性などが一層厳しく要求されてきている。特に最近パソ
コン及びサーバー用3.5インチハードディスク情報記録
の高密度化によって基板材料の表面平滑性及び表面平坦
性が厳しく要求され、ロード・アンロード方式(ランプ
ロード方式)の場合にあっては、CCS(コンタクト・
スタート・ストップ)方式に比べ超平坦(フラット)な
媒体であって、突起の高さが低く、突起高さのばらつき
が少ないことが要求される。具体的には、Rmax=3
〜10nmあるいはそれ以下、Ra=0.2〜2.5n
mあるいはそれ以下であることが要求される。またデー
タ処理の高速化に対応してディスクの回転数を10000rpm
以上にする必要があるため、基板材料の剛性度に対する
要求が一層厳しくなってきている。さらにハードディス
クに仕組まれるステンレス部品の熱膨張にあわせるため
90×10-7/℃以上の高膨張基板材料が要求されてい
る。今後、ハードディスクの高容量化及び高速回転化が
さらに進むものと予想されており、磁気記録媒体用基板
材料に対して、さらに高ヤング率、高膨張、優れた表面
平坦性、耐衝撃性などを有することが強く要求されるこ
とは間違いない。
【0005】そのため、特開平1−239036号公報
に開示されているような化学強化ガラスでは、ヤング率
が約80GPa程度であることから、今後のハードディス
クの厳しい要求に対応できなくなるのは明らかである。
また、イオン交換による化学強化を施したガラスには多
量のアルカリ成分含まれるため、高温、多湿環境下にお
いて長時間使用すると磁気膜のピンホール部または磁気
膜の周辺部など磁気膜が薄い部分またはガラスが露出し
た部分からアルカリイオンが析出し、これが引き金とな
って磁気膜が腐食或いは変質するなどの欠点が見出され
ている。また、これまでのイオン交換強化基板ガラスは
イオン交換のため多量のアルカリイオンをガラスに導入
しており、そのためほとんどの強化ガラスのヤング率が
低く(100Gpa)、剛性度も低いので、高記録密度化・高速
回転化した3.5インチ基板に対する要求には対応できな
い。さらに磁気記録媒体の製造過程においては、ガラス
基板上に磁気層を設けた後に、磁気層の保磁力などの特
性を向上させるために所定の熱処理を施される場合があ
るが、上記従来のイオン交換強化ガラスではガラスの転
移温度もせいぜい500℃程度であって、耐熱性に乏し
いので、高保磁力が得られないという問題点がある。
【0006】また、米国特許5391522公報に開示
されているような従来の結晶化ガラスは、ヤング率や耐
熱性の点では、上記の化学強化ガラス基板より少々優れ
ている。しかるに、熱膨張係数がせいぜい70(10-7
℃)程度であるためハードディスクのその他の部品との
組み合わせが難しく、高密度化に要求される精密な機構
設計が困難である。また、表面粗さ>10オンク゛ストロームと
表面平滑性が乏しく磁気ヘッドの低浮上化に限界がある
ため、磁気記録の高密度化に対応できないという問題も
ある。さらに、ヤング率もせいぜい90-100Gpa程度であ
って、3.5インチハイエンドディスク基板や薄型化ディ
スク基板に対応することができない。
【0007】また一方、米国特許5476821公報に開示さ
れている磁気ディスク用結晶化ガラスは最大で140Gpa程
度の高いヤング率を持ち、ヤング率の点では問題ない。
しかるに、スピネルが主結晶となるので溶解温度や液相
温度が高い上、硬度の高いスピネル結晶と母体ガラスと
の硬度差が大きすぎて研磨し難いという欠点がある。こ
のような高ヤング率結晶化ガラスを安価的に製造するの
は難しく、採算性も悪いので、大量製造に相応しくな
い。また、該ガラスの熱膨張係数はせいぜい70(10-7
℃)程度でステンレスのそれよりはるかに小さいので、
高密度化に要求される精密な機構設計が難しくなる。ま
た、米国特許第5,491,116号公報に記載の結晶
化ガラスにおいても、スピネルが多く含まれている為、
研磨がし難いという問題点があり、さらに熱膨張係数が
せいぜい70(10-7/℃)程度であり、ステンレスよりも
はるかに小さいので、高密度化に要求される精密な機構
設計が難しくなるという問題点がある。
【0008】そこで本発明の目的は、将来の磁気磁気記
録媒体用基板の薄型化、高剛性、高耐熱性、高対衝撃性
などの要求を満足し得るガラス基板を提供することであ
り、具体的には、ヤング率、強度及び耐熱性が高く、表
面平滑性及び表面均質性に優れ、ロード・アンーロド方
式に適用でき、かつ安価に製造できる磁気ディスク等の
情報記録媒体用の結晶化ガラスを提供することにある。
さらに本発明の目的は、上記結晶化ガラスの製造方法を
提供することにある。加えて本発明の目的は、上記結晶
化ガラスからなる基板を用いた磁気記録媒体のような情
報記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、SiO2:42-65
モル%、Al2O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、及び
TiO2:5.5-13モル%を含有し、主結晶としてα−石英固
溶体並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固
溶体を含むことを特徴とする情報記録媒体用結晶化ガラ
ス基板(以下、結晶化ガラス基板(1)という)に関する。
さらに本発明は、SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モ
ル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含
有し、α−石英固溶体並びにエンスタタイト及び/又は
エンスタタイト固溶体を含み、α−石英固溶体、エンス
タタイト及びエンスタタイト固溶体の合計が、結晶中、
50体積%以上であることを特徴とする情報記録媒体用
結晶化ガラス基板(以下、結晶化ガラス基板(2)という)
に関する。さらに本発明は、SiO2:42-65モル%、Al
2O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-
13モル%を含有し、主結晶相が、X線回折パターン中に
石英に特有の回折パターンとほぼ同等の回折パターンが
観測される石英系結晶並びにエンスタタイト及び/又は
エンスタタイト固溶体を含み、かつ比重が2.9 g/cm3
上であることを特徴とする情報記録媒体用結晶化ガラス
基板(以下、結晶化ガラス基板(3)という)に関する。さ
らに本発明は、SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含有
し、結晶相が、X線回折パターン中に石英に特有の回折
パターンとほぼ同等の回折パターンが観測される石英系
結晶並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固
溶体を含み、石英系結晶、エンスタタイト及びエンスタ
タイト固溶体の合計が、結晶中、50体積%以上であ
り、かつ比重が2.9 g/cm3以上であることを特徴とする
情報記録媒体用結晶化ガラス基板(以下、結晶化ガラス
基板(4)という)に関する。
【0010】上記結晶化ガラス基板(1)〜(4)において
は、SiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲であること、MgO
/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲であること、ZrO2
を0-4モル%含有すること及びY2O3を0.1−5モル%含有
することができる。
【0011】さらに本発明はSiO2+Al2O3 が58-80モル
%の範囲であり、MgO/(SiO2+Al2O3)が0.125-0.55の範
囲であり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲であり、
主結晶相が、X線回折パターン中に石英に特有の回折パ
ターンとほぼ同等の回折パターンが観測される石英系結
晶並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶
体を含み、かつ比重が2.9 g/cm3以上であることを特徴
とする情報記録媒体用結晶化ガラス基板(以下、結晶化
ガラス基板(5)という)に関する。
【0012】さらに本発明は、SiO2+Al2O3 が58-80モ
ル%の範囲であり、MgO/(SiO2+Al2O 3) が0.125-0.55の
範囲であり、結晶相が、X線回折パターン中に石英に特
有の回折パターンとほぼ同等の回折パターンが観測され
る石英系結晶並びにエンスタタイト及び/又はエンスタ
タイト固溶体を含み、石英系結晶、エンスタタイト及び
エンスタタイト固溶体の合計が50体積%以上であり、
かつ比重が2.9 g/cm3以上であることを特徴とする情報
記録媒体用結晶化ガラス基板(以下、結晶化ガラス基板
(6)という)。
【0013】結晶化ガラス基板(5)及び(6)においては、
ZrO2を0-4モル%含有すること及びY 2O3を0.1−5モル%
含有することができる。上記本発明の結晶化ガラス基板
(1)〜(6)は、ヤング率が110GPa以上であり、30〜300
℃の範囲における熱膨張係数が90(10-7/℃)以上
であることができ、また結晶相の結晶粒子径が10〜1000
nmの範囲であることができる。上記本発明の結晶化ガ
ラス基板(1)〜(6)は、ZnOを含有しないものであること
ができる。
【0014】さらに本発明は、SiO2:42-65モル%、Al2
O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、TiO2:5.5-13モ
ル%及びY2O3:0.1−5モル%からなり、主結晶としてα
−石英固溶体並びにエンスタタイト及び/又はエンスタ
タイト固溶体を含むことを特徴とする情報記録媒体用結
晶化ガラス基板(以下、結晶化ガラス基板(7)という)に
関する。加えて本発明は、SiO2:42-65モル%、Al2O3
11-25モル%、MgO:15-33モル%、TiO2:5.5-13モル
%、Y2O3:0.1−5モル%及びZrO2:0-4モル%からな
り、主結晶としてα−石英固溶体並びにエンスタタイト
及び/又はエンスタタイト固溶体を含むことを特徴とす
る情報記録媒体用結晶化ガラス基板(以下、結晶化ガラ
ス基板(8)という)に関する。上記結晶化ガラス基板(7)
及び(8)においては、SiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲
であり、モル比MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲
であり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲であること
ができる。上記本発明の結晶化ガラス基板(1)〜(8)は、
情報記録媒体が磁気ディスクであることができる。
【0015】さらに本発明は、SiO2:42-65モル%、Al2
O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-1
3モル%を含有し、モル比MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-
0.55の範囲であり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲
であるガラスを核生成熱処理工程及び結晶化処理工程を
経て結晶化ガラスとする方法であって、前記核生成熱処
理工程における熱処理温度を760〜840℃の範囲と
し、前記結晶化処理工程における熱処理温度を950℃
〜1150℃の範囲とし、かつ得られる結晶化ガラスの
30〜300℃の範囲における熱膨張係数が90(10-7
℃)以上となるように前記核生成熱処理工程及び結晶化
処理工程における熱処理温度を選択することを特徴とす
る情報記録媒体用結晶化ガラス基板の製造方法に関す
る。この製造方法により上記本発明の結晶化ガラス基板
(1)〜(8)を製造できる。
【0016】上記製造方法においては、核生成熱処理工
程における熱処理温度を810℃〜830℃の範囲とす
ること、結晶化処理工程における熱処理温度を1010
℃〜1150℃の範囲とすることができる。
【0017】さらに本発明は、SiO2:42-65モル%、Al2
O3:11-25モル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-1
3モル%を含有し、モル比MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-
0.55の範囲であり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲
であるガラスを核生成熱処理工程及び結晶化処理工程を
経て結晶化ガラスを製造する方法であって、前記核生成
熱処理工程における熱処理温度を760〜840℃の範
囲とし、前記結晶化処理工程における熱処理温度を95
0℃〜1150℃の範囲とし、かつ得られる結晶化ガラ
スの30〜300℃の範囲における熱膨張係数が90(10
-7/℃)以上となるように前記核生成熱処理工程及び結
晶化処理工程における熱処理温度を選択する方法により
得られる情報記録媒体用結晶化ガラス基板(以下、結晶
化ガラス基板(9)という)に関する。
【0018】結晶化ガラス基板(9)においては、核生成
熱処理工程における熱処理温度を810℃〜830℃の
範囲とすること、結晶化処理工程における熱処理温度を
1010℃〜1150℃の範囲とすること、前記ガラス
のモル比SiO2/Al2O3 が3.25以上であること、前記結晶
化ガラスの比重が2.9 g/cm3以上であることができる。
また、結晶化ガラス基板(9)においては、情報記録媒体
は磁気ディスクであることができる。
【0019】また、本発明は、本発明の結晶化ガラス基
板(1)〜(9)と、この基板上に形成された記録層とを有す
ることを特徴とする情報記録媒体に関する。前記記録層
が磁気記録層であることができる。
【0020】本発明の高ヤング率結晶化ガラスは、例え
ば、高剛性のエンスタタイト(又その固溶体)結晶と高膨
張のα−石英固溶体結晶または石英系結晶を主結晶相と
して含むものである。本発明者らは110Gpa以上のヤング
率を有し、かつ30〜300℃の範囲における熱膨張係数が9
0(10-7/℃)以上である結晶化ガラス材料の提供を
目的とし、鋭意研究を重ねた。その結果、MgO-Al2O3-Si
O2系ガラスにおいて、TiO2を必須成分として含有させた
原ガラスを適当な温度範囲で熱処理することによりα−
石英固溶体または石英系結晶やエンスタタイトなどの微
細な結晶粒子を析出でき、110〜180Gpaの範囲の高いヤ
ング率をもち、かつ90(10-7/℃)以上の高い熱膨張
係数(30〜300℃の範囲において)を有し、容易に成形す
ることができ、しかも得られた結晶化ガラス基板は容易
に研磨加工することができることを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。
【0021】α−石英固溶体は、比較的高い熱膨張係数
(30〜300℃の範囲において)を有する(α−石英固溶
体:約150×10-7/℃、β−石英固溶体:約−5×10-7
/℃、エンスタタイト:約81×10-7/℃、スピネル:約
88×10-7/℃)。また、エンスタタイトは、その鎖状又
は層状の結晶の形状から、そのすき間にガラス成分が入
り込み、粒子サイズが小さくても高いヤング率が得られ
ると考えられる。このような高膨張のα−石英固溶体と
エンスタタイト及び/又はその固溶体を主結晶相とする
ことにより、高いヤング率及び高い熱膨張係数(30〜300
℃の範囲において)の結晶化ガラスを得ることができた
ものと考えられる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の結晶化ガラスの組成は、
結晶相とそれ以外のガラスマトリックス部分とを区別せ
ずに全体として、原ガラスと同様酸化物基準で表示し得
るが、原ガラスの組成範囲を上記のように限定した理由
について以下に述べる。SiO2はガラスの網目構造の形成
物であり、主な析出結晶であるα-石英固溶体または石
英系結晶とエンスタタイトの構成成分でもある。SiO2
含有量は42%未満ではα−石英固溶体結晶または石英系
結晶の析出が難しくなるので、結果的に高膨張特性を有
する結晶化ガラスが得られない。また、SiO2の含有量が
42%より少なくなると、残存ガラスマトリックス相の化
学耐久性が悪化したり、耐熱性も悪化する傾向がある。
一方、SiO2の含有量が65%を超えると、ガラスのヤング
率が急激に小さくなる恐れがある。従って、SiO2の含有
量は、析出結晶種及びその析出量、化学耐久性、耐熱性
及び成形・生産性を考慮すると、42〜65%の範囲であるこ
とが適当であり、好ましくは44〜60%の範囲であり、よ
り好ましくは46〜58%である。
【0023】MgOはSiO2成分とともに原ガラスの熱処理
によりエンスタタイト結晶を生成し、強度や耐熱性を向
上しつつ高ヤング率を維持させる効果を有するきわめて
重要な成分である。しかし、MgOの含有量が 15%未満で
は上記のような効果が得られないので、その含有量を15
%以上にする。一方、MgOの含有量が33%を超えると、ガ
ラスから高膨張のα−石英固溶体結晶または石英系結晶
が析出し難くく、高膨張特性が得られない。そこで、Mg
Oの導入量は33%以下にする。MgOの含有量は、ガラスの
生産性、化学耐久性、高温粘性及び析出した結晶種など
を考慮すると、15〜33%の範囲であることが適当であ
り、好ましくは17〜32%の範囲であり、より好ましくは
19〜31%である。
【0024】Al2O3はガラスの中間酸化物であり、主な
結晶種であるα-石英固溶体または石英系結晶の構成成
分でもある。Al2O3の導入はα−石英固溶体結晶または
石英系結晶の析出を促進し、ガラス表面硬度の向上に寄
与する。Al2O3の含有量が 11%未満では、高膨張のα-
石英固溶体または石英系結晶の析出が難しくなる一方、
得られた結晶化ガラスのヤング率も小さくなる傾向があ
る。しかし、Al2O3の含有量が25%を超えると高ヤング
率のエンスタタイトの析出が難しくなり、ガラスの高温
粘性も高くなったり、高温溶解性も悪化したりして望ま
しくない。従って、Al2O3の含有量は、ガラスの溶解
性、高温粘性、析出結晶種などを考慮して、11〜25%の
範囲であることが適当であり、好ましくは12−22%の範
囲であり、より好ましくは14〜20%である。
【0025】結晶化ガラス基板においてSiO2とAl2O3
合計(SiO2+Al2O3)は58モル%以上であり、80モル%以
下であることが好ましい。(SiO2+Al2O3)が58モル%未
満では、α-石英固溶体または石英系結晶が析出しにく
くなる。(SiO2+Al2O3)が80モル%を超えるとヤング率
が低下する傾向がある。(SiO2+Al2O3)は好ましくは60
モル%以上、より好ましくは62モル%以上である。ま
た、(SiO2+Al2O3)は好ましくは75モル%以下、より好
ましくは73モル%以下である。さらに、結晶化ガラス基
板においてMgOと(SiO2+Al2O3)のモル比 MgO/(SiO2+Al
2O3)は0.125以上、0.55以下であることが好ましい。モ
ル比 MgO/(SiO2+Al2O3)が0.125未満になるとヤング率
が低下する傾向がある。モル比 MgO/(SiO2+Al2O 3)が0.
55を超える膨張係数が小さくなる傾向がある。モル比 M
gO/(SiO2+Al2O3)は好ましくは0.2以上、より好ましく
は0.3以上である。また、モル比 MgO/(SiO2+Al2O3)は
好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下である。α
-石英固溶体または石英系結晶を析出させるためには、S
iO2とAl2O3のモル比SiO2/Al2O3は2.3以上であることが
好ましく、3.2を超えることがより好ましく、3.25以上
であることがさらに好ましい。また同様の理由で、モル
比SiO2/Al2O3は4.2以下が好ましく、4.0以下がより好ま
しい。
【0026】TiO2は結晶核の生成剤としてα-石英固溶
体または石英系結晶やエンスタタイトなどの結晶粒子の
析出に欠かせない成分であり、またSiO2の含有量が少な
い時、ガラスの熱的な安定性を持たせる重要な成分でも
ある。TiO2の含有量が5.5%未満では、主結晶の核生成
剤としての役割を果たせない上、ガラスが表面結晶化と
なり、均質な結晶化ガラスの作製が困難となる。しか
し、TiO2の含有量が13%を超えると、高膨張のα-石英固
溶体または石英系結晶の析出が難しくなる一方、ガラス
の高温粘性が低くなりすぎて分相したり、失透したりす
るので、ガラスの生産性は極端に悪化してしまう傾向が
ある。従って、TiO2の含有量は、ガラスの生産性、高温
粘性、結晶核生成などを考慮すると、5.5〜13%の範囲
であることが適当であり、好ましくは6.5〜12%の範囲
であり、より好ましくは6.5〜9.5%である。
【0027】本発明の結晶化ガラスは、上記成分以外に
ZrO2を導入することができる。ZrO2はガラスの高温粘性
や安定性などを調整するために添加される成分である。
少量のZrO2を導入するとガラスの熱的な安定性を向上さ
せたり、溶融体の高温粘性を高めたりしてガラスがより
容易に製造できる。しかし、ZrO2の含有量が4%を超え
るとガラスの高温溶解性を悪化したり、主結晶の析出を
阻害したりして望ましくない。そのため、ZrO2の導入量
は、4%以下にすることが適当であり、好ましくは3%
以下であり、より好ましくは2%以下である。
【0028】本発明の結晶化ガラスは、上記成分以外に
Y2O3を導入することができる。本発明の結晶化ガラスに
おいては、1%程度のY2O3を導入することによって結晶
化ガラスのヤング率を5Gpa程度増大し、液相温度を50
℃程度低減することができる。さらに、Y2O3の導入によ
り、ガラスの熱的な安定性を向上させることもできる
上、α-石英固溶体または石英系結晶の析出にも貢献す
る。しかし、Y2O3は上記のチタン酸塩の核形成を抑える
力をもつので、Y2O3の導入量が多くなりすぎると、ガラ
スは熱処理中に表面結晶化を起こし、目標の結晶化ガラ
スが作れなくなる場合がある。従って、Y2O3の含有量は
0.1〜5%の範囲とすることが好ましい。特にY2O3の含有
量は0.2-4%の範囲であることがより好ましく、0.2〜2%
であることがさらに好ましい。
【0029】なお、上記の成分の他に、所望の特性を損
なわない範囲でLi2O、Na2O、K2O、CaO、SrO、BaO、Fe2O
3、Ga2O3、B2O3、P2O5、Nb2O5、Ta2O5及びLa2O3等の希
土類金属酸化物成分を5%まで、本発明の結晶化ガラス
に添加しうる。しかし、これらの成分は著しくガラスの
ヤング率を低下させたり、主結晶の析出を阻害したりす
るので、その導入量を5%以下に抑えることが望まし
い。さらに、ガラスの生産性のことを考慮すると、その
含有量は4%以下であることがより好ましく、0〜2%であ
ることがさらに好ましい。また、ZnOはスピネルを析出
しやすくする成分であり、これが多く析出するとα-石
英固溶体や石英系結晶や、エンスタタイトの析出量が減
る。そのため、本発明の結晶化ガラスはZnOを含有する
ことはできるが、含有しないことが好ましい。
【0030】As2O3とSb2O3は元のガラスの均質化を図る
ために脱泡剤として添加される成分である。各ガラスの
高温粘性に応じて適当量のAs2O3やSb2O3或いはAs2O3+S
b2O3をガラスに添加するともっと均質なガラスが得られ
る。しかし、これらの脱泡剤の添加量が多くなり過ぎる
とすると、ガラスの比重が上昇してヤング率を低下させ
る傾向があり、また溶解用白金るつぼと反応して、るつ
ぼにダメージを与える恐れもある。そこで、ので、As2O
3+Sb2O3の添加量は2%以下とすることが好ましい。特
にAs2O3+Sb2O3の添加量は1.5%以下であることが好ま
しい。
【0031】本発明の結晶化ガラス(結晶化ガラス基板
(1)、(7)、(8))は、主結晶として、例えば、MgO・SiO2
び(Mg・Al )SiO3の組成を有するエンスタタイト(エンス
タタイト固溶体を含む)結晶、またはα-石英固溶体若
しくは石英系結晶を含む。エンスタタイトは含まず、エ
ンスタタイト固溶体のみを含む場合もある。また、エン
スタタイトには、クリノエンスタタイト、プロトエンス
タタイト及びエンスタタイトが包含される。α−石英固
溶体は、例えば、2MgO・2 Al2 O3・5SiO2、MgO・Al2 O3・3S
iO2及びMgO・ Al2 O3・3SiO2 から選ばれることができ
る。尚、本発明において主結晶とは、本発明の効果を得
るために必須の結晶であり、ガラス中の結晶のうち他の
結晶に比べて多い結晶である。従って、本発明では、α
-石英固溶体、エンスタタイト(エンスタタイト固溶体
を含む)のいずれか一方が最も多く析出している結晶で
あり、他方の結晶がその次に多く析出している結晶であ
る。本発明の結晶化ガラスにおいて、主結晶であるα−
石英固溶体及びエンスタタイト(エンスタタイト固溶体
を含む)の合計は50体積%以上である。また、本発明
の結晶化ガラス(結晶化ガラス基板(2))においては、例
えば、MgO・SiO2及び(Mg・Al )SiO3の組成を有するエンス
タタイト(エンスタタイト固溶体を含む)結晶及びα−
石英固溶体を合計で、結晶中、50体積%以上含有す
る。
【0032】本発明の結晶化ガラス(結晶化ガラス基板
(3)〜(6))においては、結晶相として、X線回折パター
ン中に石英に特有の回折パターンとほぼ同等の回折パタ
ーンが観測される石英系結晶、並びにエンスタタイト及
び/又はエンスタタイト固溶体を含む。さらにこの結晶
化ガラスは、比重が2.9 g/cm3以上であることができ
る。結晶化ガラス基板(3)及び(5)においては、石英系結
晶、並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固
溶体を主結晶相として含む。この場合の主結晶相とは、
本発明の効果を得るために必須の結晶相であり、ガラス
中の結晶(X線回折でその種類が特定可能な結晶)のう
ち他の結晶相に比べて多い結晶である。また、結晶化ガ
ラス基板(4)及び(6)においては、石英系結晶、並びにエ
ンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体を50体
積%以上含有する。
【0033】また、本発明の結晶化ガラス(結晶化ガラ
ス基板(3)〜(6))は、比重が2.9 g/cm 3以上である。X線
回折パターン中に石英に特有の回折パターンとほぼ同等
の回折パターンが観測される石英系結晶は、石英の結晶
系をほぼ維持しつつ、その他の酸化物分子を固溶してい
るものと考えられ、そのため、X線回折パターン中に石
英に特有の回折パターンとほぼ同等の回折パターンが観
測される。また、このため、石英系結晶の代わりに石英
結晶を含む結晶化ガラスと比較すると比重が大きい2.9
g/cm3以上である。本発明の結晶化ガラス(結晶化ガラス
基板(3)〜(6))の比重の上限は約3.5 g/cm3である。本発
明の結晶化ガラスは、後述の実施例にも示すように、概
ね、3.0〜3.2 g/cm3の間の比重を有する。
【0034】さらに上記の主結晶相のほか少量のスピネ
ル、ムライト、フォステライト、コージェライト、チタ
ン酸塩などその他の結晶を含むこともできる。チタン酸
塩はエンスタタイト及びα-石英固溶体または石英系結
晶の結晶核として作用し得る。本発明の結晶化ガラス
は、例えば、α-石英固溶体または石英系結晶が約40
体積%、エンスタタイト(エンスタタイト固溶体を含
む)が約25−30体積%、チタン酸塩が約10−15
体積%であることができる。また、本発明の結晶化ガラ
スにおいて、ガラス中の結晶の割合は、おおよそ20%
以上であることが好ましい。但し、ガラス中の結晶の割
合が80%を超えると結晶の粒子径が大きくなりやすく
好ましくない。ガラス中の結晶の割合は、40〜80
%、特に45〜80%の範囲であることが好ましい。
【0035】さらに、本発明の結晶化ガラスに含まれる
結晶(エンスタタイト、その固溶け体及び/またはα-
石英固溶体若しくは石英系結晶)の平均粒子径は10〜10
00nm範囲にあることが好ましい。より好ましくは10〜
700nmの範囲である。結晶サイズの平均値が、1000n
m(1μm)以下であることで、ガラスの機械強度を低
下させることなく、かつ研磨加工時に結晶の欠落を引き
起こしてガラスの表面粗度を悪化させることもない。
【0036】本発明の結晶化ガラスの製造方法は、特に
限定されず、各種ガラス製造方法を用いることができ
る。例えば、高温溶融法、即ち所定の割合のガラス原料
を空気中や不活性ガス雰囲気で溶解し、バブリングや脱
泡剤の添加や撹拌などによってガラスの均質化を行い、
周知のプレス法、フロート法やダウンドロー成形などの
方法により板ガラスに成形され、その後、研削、研磨な
どの加工が施され、所望のサイズ、形状のガラスとされ
る。成形品の熱処理方法には特に制限はなく、結晶化促
進剤の含有量やガラスの転移温度、結晶化ピーク温度な
どに応じて選択することができる。例えば、初めに比較
的低い温度で熱処理して多数の結晶核を発せしめた後、
温度を上げて結晶を成長させることが、微細な結晶を得
る上で好ましい。本発明においては、熱処理条件を制御
することにより結晶粒子径が10〜1000nm範囲にあるエ
ンスタタイト及び/またはα-石英固溶体若しくは石英
系結晶を含む結晶化ガラスが得られる。
【0037】また、本発明においては、熱処理によりエ
ンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体及びα−
石英固溶体若しくは石英系結晶が主結晶相として、また
は50体積%以上析出する熱処理条件とする。尚、これ
らの主結晶のほか、スピネル、ムライト、フォステライ
ト、コージェライト、チタン酸塩などのその他の結晶が
析出してもよいが、上記の主結晶相が析出する条件を設
定する。そのような条件としては、ガラスの組成に応じ
て、核生成熱処理(一次熱処理)の条件として760〜
840℃の温度範囲で1〜8時間、その後に行う結晶化
処理(二次熱処理)の条件として950℃〜1150℃
の温度範囲で1〜6時間から、適宜設定することができ
る。特に、核生成熱処理条件は、得られる主結晶相に影
響を及ぼすと考えられる。即ち、核生成熱処理(一次熱
処理)が低すぎると、結晶化処理(二次熱処理)におい
てα−石英固溶体(または石英系結晶)が得られにくい。
核生成熱処理(一次熱処理)の条件としては好ましくは
800〜840℃、より好ましくは810〜830℃の
温度範囲である。結晶化処理(二次熱処理)の条件とし
ては好ましくは1010℃〜1150℃の温度範囲、よ
り好ましくは1010℃〜1140℃の温度範囲、さら
に好ましくは1030℃〜1120℃の温度範囲であ
る。結晶化処理(二次熱処理)の温度が低いと、例え
ば、β−石英固溶体がα−石英固溶体に相転移しにくい
場合があり、所望の結晶相が得られにくくなる。
【0038】熱処理を終えた成形品の研磨方法について
は特に制限がなく、合成ダイヤモンド、炭化珪素、酸化
アルミニウム、炭化ホウ素などの合成砥粒や、天然ダイ
ヤモンド、酸化セリウムなどの天然砥粒を用いて、公知
の方法により研磨することができる。例えば、通常の研
磨方法および装置でラッピングおよび酸化セリウムにて
ポリシング加工することによって、表面粗さ(Ra)を
0.1−1.0nmの範囲にすることができる。
【0039】本発明の結晶化ガラスを磁気ディスク基板
に用いると、磁気ディスク基板として必要な表面平滑
性、平坦性、強度、硬度、化学耐久性、耐熱性などをす
べて満足することができる。また、従来のアルミ基板に
比べ、約1.5倍以上の高ヤング率をもつので、ディスク
の高速回転化によるたわみをより小さく抑えることがで
き、高TPIハードディスクの実現のための基板材料とし
て好適である。本発明の結晶化ガラスに含まれる析出結
晶径や結晶量は、熱処理のスケジュール又はガラス組成
を順次に変えることにより制御することができる。結晶
化ガラスに含まれる析出結晶径や結晶量を変化させるこ
とで、結晶化ガラスの特性を大幅に調整することができ
る。
【0040】〔磁気ディスクの説明〕本発明の情報記録
媒体は、本発明の結晶化ガラス基板と、該基板上に形成
された記録層とを有することを特徴とする。以下、本発
明の結晶化ガラスからなる基板の主表面に、少なくとも
磁性層を形成した磁気ディスク(ハードディスク)もの
について説明する。磁性層以外の層としては、機能面か
ら、下地層、保護層、潤滑層などが挙げられ、必要に応
じて形成される。これらの各層の形成には各種薄膜形成
技術が利用される。磁性層の材料は特に制限されない。
磁性層としては、例えば、Co系の他、フェライト系、鉄
−希土類系などが挙げられる。磁性層は、水平磁気記
録、垂直磁気記録のいずれの磁性層でもよい。磁性層と
しては、具体的には、例えば、Coを主成分とするCoPt、
CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCrやCoNiCrPt、CoNi
CrTa、CoCrPtTa、CoCrPtSiO などの磁性薄膜が挙げられ
る。また、磁性層を非磁性層で分割してノイズ低減を図
った多層構成としてもよい。
【0041】磁性層における下地層は、磁性層に応じて
選択される。下地層としては、例えば、Cr、Mo、Ta、T
i、W、V、B、Alなどの非磁性金属から選ばれる少な
くとも一種以上の材料、又はそれらの金属の酸化物、窒
化物、炭化物等からなる下地層等が挙げられる。Coを主
成分とする磁性層の場合には、磁気特性向上の観点から
Cr単体やCr合金であることが好ましい。下地層は単層と
は限らず、同一又は異種の層を積層した複数層構造とす
ることもできる。例えば、Al/Cr/CrMo、Al/Cr/Cr等
の多層下地層等が挙げられる。
【0042】保護層としては、例えば、Cr膜、Cr合金
膜、炭素膜、ジルコニア膜、シリカ膜等が挙げられる。
これらの保護膜は、下地層、磁性層等とともにインライ
ン型スパッタ装置等で連続して形成できる。また、これ
らの保護膜は、単層としてもよく、あるいは、同一又は
異種の膜からなる多層構成としてもよい。上記保護層上
に、あるいは上記保護膜に替えて、他の保護層を形成し
てもよい。例えば、上記保護層上にテトラアルコキシラ
ンをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシ
リカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成して酸化ケイ
素(SiO2)膜を形成してもよい。潤滑層としては多種多
様な提案がなされているが、一般的には、液体潤滑剤で
あるパーフルオロポリエーテルをフレオン系などの溶媒
で希釈し、媒体表面にディッピング法、スピンコート
法、スプレイ法によって塗布し、必要に応じて加熱処理
を行って形成する。
【0043】
【発明の効果】本発明の結晶化ガラス基板は、容易に成
形することができ、110GPa以上の大きなヤング率及び90
(10-7/℃)以上の高い熱膨張係数(30〜300℃の範囲
において)をもち、優れた表面平滑性(表面粗さRa<1.0
nm)を有する。尚、結晶化ガラスの熱膨張係数(30〜3
00℃の範囲において)は、大きい分には磁気ディスク用
基板として問題はないが、実際には、最も高くても150
(10-7/℃)程度であり、多くの組成では130(10
-7/℃)以下程度である。また、本発明の結晶化ガラス
基板を磁気ディスクに用いる場合、当該材料の耐熱性が
優れるため、磁気膜の特性向上に必要な熱処理を基板の
変形無しに施すことができ、平坦性が優れるため、磁気
ヘッドの低浮上化、即ち高密度記録化が達成でき、ヤン
グ率や比弾性率及び強度が大きいので、磁気ディスクの
薄型化及び高速回転化を達成できると共に磁気ディスク
の破損も避けられる。さらにガラスとしても比較的安定
に得ることができ、工業的規模での生産が容易であるた
め、安価な次世代磁気記録媒体用ガラス基板として大き
く期待できる。
【0044】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の詳細を説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。表1及び2には実施例のガラス組成をモル%で示し
た。これらのガラスを溶解する際の出発原料としては、
SiO2、Al2O3、Al(OH)3、MgO、Y2O3、TiO2、ZrO2などを
用いて表1及び2に示した所定の割合に250〜300
g秤量し、十分に混合して調合バッチと成し、これを白
金るつぼに入れ、1550℃で攪拌しながら空気中4〜
5時間ガラスの溶解を行った。熔融後、ガラス融液をカ
ーボンの金型に流し、ガラスの転移点温度まで放冷して
から直ちにアニール炉に入れ、ガラスの転移温度範囲で
約1時間アニールして炉内で室温まで放冷した。得られ
たガラスは顕微鏡で観察できる結晶が析出しなかった。
【0045】得られたガラスを100×20×10mmに研磨し
た後、熱処理炉に入れ、表1及び2に示した第一次熱処
理温度まで3〜10℃/分の昇温速度で昇温し、当該温
度で2〜15時間程度保温し一次熱処理(核生成熱処理工
程)を行い、一次熱処理を終えた後直ちに一次熱処理温
度から表1及び2に示した二次熱処理温度までに3〜10
℃/分の昇温速度で昇温し、1〜5時間程度保温した(結
晶化処理工程)後、炉内で室温まで冷却することによっ
て結晶化ガラスを作製した。得られた結晶化ガラスをさ
らに長さを95mmに研磨してヤング率、比重の測定サンプ
ルとした。ヤング率の測定に用いたサンプルをさらに切
断し、30×1×20mmのサイズに精密研磨して表面粗さ測
定用サンプルとした。ヤング率の測定は95×10×10
mmのサンプルを用いて超音波法で行われた。熱膨張係数
(30〜300℃の範囲において)の測定はφ5×L20mmのサ
ンプルを用いて行われた。測定で得られたデータをガラ
スの組成と共に表1及び2に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】(1)結晶種の同定 CuのKα線を用いて結晶化後のガラスを粉末にしたもの
についてX線回折を測定した。(装置:マックサイエンス
製X線回折装置MXP18A、管電圧:50kV、管電流:300mA、走
査角度10-90°)得られたX線回折のピークから、析出し
ている結晶の同定を行った。 (2)物性測定方法比重(密度)測定 ガラスサンプル自体を比重測定用サンプルとした。装置
は、アルキメデス法を利用した電子比重計(ミラージュ
貿易(株)製MD−200S)を用いた。室温での比重
の測定精度は±0.001g/cm3である。ヤング率測定 端面積10mm角〜20mm角、長さ50〜100mm
の平行出しされたサンプルを用い、ヤング率測定前に、
比重(密度)測定及び試料長さをノギスで測定し、それ
らを測定条件として用いた。装置は、(株)超音波工業
製UVM−2を用いた。縦波(Tl1、Tl2)及び横
波(TS1、TS2)を測定する際、深触子接触媒体と
して、縦波の場合は「水」を、横波の場合は「ソニコー
トSHN20若しくはSHN−B25」を深触子とサン
プル端面に塗布した。同一サンプルに対して縦波2回以
上、横波5回以上の繰り返し測定を行い、平均を算出し
た。尚、この操作により、ポアソン比も同時に得られ
る。ヤング率の測定精度は±1Gpaであり、ポアソン比の
測定精度は±0.001である。熱機械測定(Thermal Mechanical Analysis) 結晶化後の結晶化ガラスサンプルから試験片を切り出
し、φ5mm×20mmの円柱状に研削加工し、TMA測定用サン
プルとした。測定装置は(株)リガク製TAS100を用いた。
測定条件は、昇温速度4K/min、最大温度350℃とした。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy) 結晶化ガラスサンプルから30×25×1mmに加工し、30×1
5mmの2平面を精密光学研磨したものをAFM測定用サンプ
ルとした。装置は、Digital Instrument社製NanoScope
IIIを用いた。測定条件は、Tapping mode AFMで測定範
囲、2×2μmまたは5×5μm、サンプル数256×256、ス
キャンレート1Hzとし、データ処理条件、Planefit Auto
order 3(X,Y)、Flatten Auto order 3とした。Integra
l gain, Proportion gain, Set point は測定毎に調整
した。尚、測定の前処理として、研磨されたサンプルは
クリーンルーム内大型洗浄機にて純水、IPAなどによる
洗浄を行った。結晶化度 結晶化ガラス試料について、X線の全散乱強度を測定
し、その結果から、結晶化度x(%)は以下の式により
求めることができる。X線回折装置としては、マックサ
イエンス製X線回折装置MXP18Aを用いた。
【0049】
【数1】 x=(1−(ΣIa/ΣIa100))×100 x=(ΣIc/ΣIc100)×100 Ia:未知物質の非晶質部分の散乱強度 Ic:未知物質の結晶質部分の散乱強度 Ia100:100%非晶質試料の散乱強度 Ic100:100%結晶質試料の散乱強度
【0050】熱膨張係数測定 ガラスサンプルを切り出し、φ50nm×20nmの円柱状に研
削加工し、TMA測定用サンプルとした。測定装置は(株)
リガク製TAS100を用いた。測定条件は、昇温速度4K/mi
n、最大温度350℃とし、100〜300℃における熱膨張係数
を測定した。
【0051】表面粗さの測定は原子間力顕微鏡(AFM)
を用いて表面観察を行った。サンプル表面中5個所あた
り5X5μmの視野中の算数平均粗さを算出した。ま
た、結晶粒子の平均粒径は透過電子顕微鏡(TEM)又は
走査電子顕微鏡(SEM)を用いて測定した。表面粗さは
研磨条件や熱処理条件によって違うが、本発明のいくつ
か実施例の表面粗さは約3オングストローム程度で小さ
く次世代磁気ディスクの表面平滑性に対する要求に十分
に対応できる。さらに熱処理条件や研磨条件を最適化す
れば表面平滑性のもっと優れた結晶化ガラスの作製が可
能である。また、全ての実施例で得られた結晶化ガラス
は、X線回折の結果、主結晶相または50体積%以上含
まれる結晶が、α-石英固溶体または石英系結晶及びエ
ンスタタイト(その固溶体を含む)であることが確認さ
れた。
【0052】なお、比較のため、米国特許第5,391,522
に開示された市販TS−10結晶化ガラス基板と米国特許
第5,476,821号に記載されたガラス基板とをそれぞれ比
較例1、2として、表3に組成と特性を記載する。
【0053】
【表3】
【0054】表1及び2から明らかなように、本発明の
実施例ガラス基板はヤング率(110-200Gpaの範囲)が大
きいことから、磁気記録媒体用基板として使用した場
合、このガラス基板が高速回転しても、基板に反りやブ
レが生じにくく、より基板の薄型化にも対応できること
が分かる。さらに、これらの結晶化ガラスの30〜300℃
の範囲における熱膨張係数は90(10-7/℃)以上に大き
く、ハードディスクのステンレス部品との相性がよくな
るので高密度化に要求される精密設計がたやすくなる。
これに対し、比較例1の結晶化ガラス基板は、表面平滑
性が悪く、耐熱性及びヤング率などの強度特性でも本発
明のガラス基板に比べかなり劣る。また、比較例2の結
晶化ガラス基板は熱膨張係数(30〜300℃の範囲におけ
る)やヤング率の面で本発明のガラスに比べ劣る。以上
のことから、磁気記録媒体用基板として使用するために
は、上述した物理的、熱的或いは機械的性質が優れてい
ることが好ましいので、本発明の高ヤング率結晶化ガラ
スが非常に有用であることが分かる。
【0055】磁気ディスクの製造方法 図1に示すように、本発明の磁気ディスク1は、上記実
施例1の結晶化ガラス基板2上に、順次、下地層3、磁
性層4、保護層5、潤滑層6を形成したものである。各
層について具体的に説明すると、基板2は、外円半径3
2.5mm、内円半径10.0mm、厚さ0.43mmの円板上に加工し
たものであって、その両主表面を表面粗さがRa(JIS B06
01)=4オングストローム、Rmax=40オングストロー
ムとなるように精密研磨したものである。下地層は、厚
さ約600オングストロームのCrVの薄膜で、組成比は
Cr:83at%、V:17at%である。磁性層は、厚
さ約300オングストロームのCoPtCrの薄膜で、組成比
はCo:76at%、Pt:6.6at%、Cr:17.4a
t%である。保護層は、厚さ約100オングストローム
のカーボン薄膜である。潤滑層は、パーフルオロポリエ
ーテルからなる潤滑層をスピンコート法によって、カー
ボン保護層上に塗布して厚さ8オングストロームに形成
したものである。
【0056】次に、磁気ディスクの製造方法について説
明する。まず、実施例1で製造した結晶化ガラスを、外
円半径32.5mm、内円半径10.0mm、厚さ0.5mmの円板上に
研削加工し、その両主表面を表面粗さがRa(JIS B0601)
=4オングストローム、Rmax=40オングストロームと
なるように精密研磨して磁気ディスク用結晶化ガラス基
板を得る。次いで、上記ガラス基板のセットされたホル
ダーを、CrV(Cr:83at%、V:17at%)ター
ゲットが設置された第二チャンバー、CoPtCr(Co:76
at%、Pt:6.6at%、Cr:17.4at%)ター
ゲットが設置された第三チャンバーに連続的に順次送り
込み、基板上に成膜する。これらの膜は、圧力2mtorr
、基板温度350℃、Ar雰囲気中でスパッタリング
し、膜厚約600オングストロームのCrV下地層、膜厚
約300オングストロームのCoPtCr磁性層を得る。次い
で、下地層、磁性層が形成された積層体を、加熱処理す
るための加熱ヒーターが設けられた第四チャンバーに送
り込む。このとき第四チャンバー内をArガス(圧力2mt
orr )雰囲気にし、熱処理温度を変化させて熱処理を行
う。上記基板をカーボンターゲットが設置された第五チ
ャンバーに送り込み、Ar+H2ガス(H2=6%)雰囲気中
で成膜したこと以外は上記CrV下地層及びCoPtCr磁性層
と同じ成膜条件で、膜厚約100オングストロームのカ
ーボン保護層を得る。成膜されたディスクは基板の平滑
性が反映された平滑な膜表面を有するものであった。最
後に、カーボン保護層の形成までを終えた基板を上記イ
ンラインスパッタ装置から取り出し、そのカーボン保護
層の表面に、ディッピング法によってパーフルオロポリ
エーテルを塗布して厚さ8オングストロームの潤滑層を
形成して磁気ディスクを得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 結晶化ガラス基板2上に、順次、下地層3、
磁性層4、保護層5、潤滑層6を形成した本発明の磁気
ディスク1の概略断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA11 BB01 BB06 CC09 CC10 DA05 DA06 DB04 DC01 DD01 DE01 DF01 EA01 EB01 EC01 ED04 ED05 EE01 EF01 EG01 FA01 FB03 FB04 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ02 FJ03 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM27 NN29 NN31 NN33 QQ02 QQ15 5D006 CB04 CB07 DA03 FA04 5D112 AA02 AA24 BA03 BA09 GB03

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
    %、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含有
    し、主結晶としてα−石英固溶体並びにエンスタタイト
    及び/又はエンスタタイト固溶体を含むことを特徴とす
    る情報記録媒体用結晶化ガラス基板。
  2. 【請求項2】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
    %、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含有
    し、α−石英固溶体並びにエンスタタイト及び/又はエ
    ンスタタイト固溶体を含み、α−石英固溶体、エンスタ
    タイト及びエンスタタイト固溶体の合計が、結晶中、5
    0体積%以上であることを特徴とする情報記録媒体用結
    晶化ガラス基板。
  3. 【請求項3】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
    %、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含有
    し、主結晶相が、X線回折パターン中に石英に特有の回
    折パターンとほぼ同等の回折パターンが観測される石英
    系結晶並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト
    固溶体を含み、かつ比重が2.9 g/cm3以上であることを
    特徴とする情報記録媒体用結晶化ガラス基板。
  4. 【請求項4】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
    %、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含有
    し、結晶相が、X線回折パターン中に石英に特有の回折
    パターンとほぼ同等の回折パターンが観測される石英系
    結晶並びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固
    溶体を含み、石英系結晶、エンスタタイト及びエンスタ
    タイト固溶体の合計が、結晶中、50体積%以上であ
    り、かつ比重が2.9 g/cm3以上であることを特徴とする
    情報記録媒体用結晶化ガラス基板。
  5. 【請求項5】 SiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載の結晶化ガラス基
    板。
  6. 【請求項6】 MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲
    である請求項1〜5のいずれか1項に記載の結晶化ガラ
    ス基板。
  7. 【請求項7】 ZrO2を0-4モル%含有することを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の結晶化ガラス
    基板。
  8. 【請求項8】 Y2O3を0.1−5モル%含有することを特徴
    とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の結晶化ガラ
    ス基板。
  9. 【請求項9】 SiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲であ
    り、モル比MgO/(SiO2+Al 2O3) が0.125-0.55の範囲であ
    り、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲であり、主結晶
    相が、X線回折パターン中に石英に特有の回折パターン
    とほぼ同等の回折パターンが観測される石英系結晶並び
    にエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体を含
    み、かつ比重が2.9 g/cm3以上であることを特徴とする
    情報記録媒体用結晶化ガラス基板。
  10. 【請求項10】 SiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲であ
    り、MgO/(SiO2+Al2O3)が0.125-0.55の範囲であり、結
    晶相が、X線回折パターン中に石英に特有の回折パター
    ンとほぼ同等の回折パターンが観測される石英系結晶並
    びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体を
    含み、石英系結晶、エンスタタイト及びエンスタタイト
    固溶体の合計が50体積%以上であり、かつ比重が2.9
    g/cm3以上であることを特徴とする情報記録媒体用結晶
    化ガラス基板。
  11. 【請求項11】 ZrO2を0-4モル%含有することを特徴
    とする請求項9または10に記載の結晶化ガラス基板。
  12. 【請求項12】 Y2O3を0.1−5モル%含有することを特
    徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の結晶化
    ガラス基板。
  13. 【請求項13】 ヤング率が110GPa以上であり、30
    〜300℃の範囲における熱膨張係数が90(10-7
    ℃)以上であることを特徴とする請求項1〜12のいず
    れか1項に記載の結晶化ガラス基板。
  14. 【請求項14】 前記結晶相の結晶粒子径が10〜1000nm
    の範囲であることを特徴とする請求項1〜13のいずれ
    か1項に記載の結晶化ガラス基板。
  15. 【請求項15】ZnOを含有しない請求項1〜14のいず
    れか1項に記載の結晶化ガラス基板。
  16. 【請求項16】SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
    %、MgO:15-33モル%、TiO2:5.5-13モル%及びY2O3
    0.1−5モル%からなり、主結晶としてα−石英固溶体並
    びにエンスタタイト及び/又はエンスタタイト固溶体を
    含むことを特徴とする情報記録媒体用結晶化ガラス基
    板。
  17. 【請求項17】SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モル
    %、MgO:15-33モル%、TiO2:5.5-13モル%、Y2O3:0.
    1−5モル%及びZrO2:0-4モル%からなり、主結晶とし
    てα−石英固溶体並びにエンスタタイト及び/又はエン
    スタタイト固溶体を含むことを特徴とする情報記録媒体
    用結晶化ガラス基板。
  18. 【請求項18】 SiO2+Al2O3 が58-80モル%の範囲で
    あり、モル比MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲で
    あり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲である請求項
    16または17に記載の基板。
  19. 【請求項19】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モ
    ル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含
    有し、モル比MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲で
    あり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲であるガラス
    を核生成熱処理工程及び結晶化処理工程を経て結晶化ガ
    ラスとする方法であって、前記核生成熱処理工程におけ
    る熱処理温度を760〜840℃の範囲とし、前記結晶
    化処理工程における熱処理温度を950℃〜1150℃
    の範囲とし、かつ得られる結晶化ガラスの30〜300℃の
    範囲における熱膨張係数が90(10-7/℃)以上とな
    るように前記核生成熱処理工程及び結晶化処理工程にお
    ける熱処理温度を選択することを特徴とする情報記録媒
    体用結晶化ガラス基板の製造方法。
  20. 【請求項20】 核生成熱処理工程における熱処理温度
    を810℃〜830℃の範囲とする請求項19に記載の
    製造方法。
  21. 【請求項21】結晶化処理工程における熱処理温度を1
    010℃〜1150℃の範囲とする請求項19または2
    0に記載の製造方法。
  22. 【請求項22】 SiO2:42-65モル%、Al2O3:11-25モ
    ル%、MgO:15-33モル%、及びTiO2:5.5-13モル%を含
    有し、モル比MgO/(SiO2+Al2O3) が0.125-0.55の範囲で
    あり、モル比SiO2/Al2O3 が2.3-4.2の範囲であるガラス
    を核生成熱処理工程及び結晶化処理工程を経て結晶化ガ
    ラスを製造する方法であって、前記核生成熱処理工程に
    おける熱処理温度を760〜840℃の範囲とし、前記
    結晶化処理工程における熱処理温度を950℃〜115
    0℃の範囲とし、かつ得られる結晶化ガラスの30〜300
    ℃の範囲における熱膨張係数が90(10-7/℃)以上
    となるように前記核生成熱処理工程及び結晶化処理工程
    における熱処理温度を選択する方法により得られる情報
    記録媒体用結晶化ガラス基板。
  23. 【請求項23】 核生成熱処理工程における熱処理温度
    を810℃〜830℃の範囲とする請求項22に記載の
    基板。
  24. 【請求項24】 結晶化処理工程における熱処理温度を
    1010℃〜1150℃の範囲とする請求項22または
    23に記載の基板。
  25. 【請求項25】 前記ガラスのモル比SiO2/Al2O3 が3.2
    5以上である請求項22〜24のいずれか一項に記載の
    基板。
  26. 【請求項26】 前記結晶化ガラスの比重が2.9 g/cm3
    以上である請求項22〜25のいずれか一項に記載の基
    板。
  27. 【請求項27】 情報記録媒体が磁気ディスクである請
    求項1〜18、22〜26のいずれか1項に記載の結晶
    化ガラス基板。
  28. 【請求項28】請求項1〜18、22〜26のいずれか
    1項に記載の基板と、該基板上に形成された記録層とを
    有することを特徴とする情報記録媒体。
  29. 【請求項29】記録層が磁気記録層である請求項28に
    記載の情報記録媒体。
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