JP2002083412A - 磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法並びに磁気記録装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度かつ高容量の記録が行える磁気記録媒
体及び磁気記録装置を短時間かつ安価に提供する。 【解決手段】 磁気ヘッドで情報用磁化パターンを形成
して情報を記録するための磁気記録媒体であって、該媒
体が3000Oe以上の保磁力を有する面内磁気記録媒
体であり、該媒体には該磁気ヘッドの制御用磁化パター
ンが予め形成されてなり、かつ、制御用磁化パターンの
再生信号の孤立波の半値幅が、情報用磁化パターンの再
生信号の孤立波の半値幅よりも小さい磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
その製造方法並びに磁気記録装置に関し、特に、浮上型
/接触型磁気ヘッドで記録再生を行う磁気記録媒体及び
その製造方法並びに磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置(ハードディスクドラ
イブ)に代表される磁気記録装置はコンピュータなどの
情報処理装置の外部記録装置として広く用いられ、近年
は動画像の録画装置やセットトップボックスのための記
録装置としても使用されつつある。磁気ディスク装置
は、通常、磁気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状
に固定するシャフトと、該シャフトにベアリングを介し
て接合された磁気ディスクを回転させるモータと、記録
及び/又は再生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り
付けられたアームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁
気記録媒体上の任意の位置に移動させることのできるア
クチュエータとからなる。記録再生用ヘッドは通常浮上
型ヘッドで、磁気記録媒体上を一定の浮上量で移動して
いる。
【0003】また、浮上型ヘッドの他に媒体との距離を
より縮めるために、コンタクトヘッド(接触型ヘッド)
の使用も提案されている。磁気ディスク装置に搭載され
る磁気記録媒体は、一般にアルミニウム合金などからな
る基板の表面にNiP層を形成し、所要の平滑化処理、
テキスチャリング処理などを施した後、その上に、金属
下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤滑層などを
順次形成して作製されている。あるいは、ガラスなどか
らなる基板の表面に金属下地層、磁性層(情報記録
層)、保護層、潤滑層などを順次形成して作製されてい
る。磁気記録媒体には面内磁気記録媒体と垂直磁気記録
媒体とがある。面内磁気記録媒体は、通常、長手記録が
行われる。
【0004】磁性層上の保護層は浮上する磁気ヘッドの
衝突や接触型ヘッドとの摺動による磁性層の損傷を防
ぎ、さらに潤滑層は磁気ヘッドと媒体とのあいだに潤滑
性を付与する。本構成により浮上型/接触型磁気ヘッド
での記録再生が可能となる。浮上型/接触型ヘッドの使
用により磁性層とヘッドとの距離を小さくできるため、
他方式のヘッドを用いる光ディスクや光磁気ディスクな
どに比べ格段に高密度の情報記録が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録媒体の高密度
化は年々その速度を増しており、近年においては年率6
0%以上の増加率で高密度化が進んでいる。この高密度
化を実現する技術には様々なものがあり、例えば磁気ヘ
ッドの浮上量をより小さくしたり磁気ヘッドとしてGM
Rヘッドを採用したり、また磁気ディスクの記録層に用
いる磁性材料の改良や、磁気ディスクの情報記録トラッ
クの間隔を狭くすることなどが試みられている。
【0006】各トラックには、磁気ヘッドを制御するた
めの制御用磁化パターンが形成されている。例えば磁気
ヘッドの位置制御に用いる信号や同期制御に用いる信号
である。情報記録トラックの間隔を狭めてトラック数を
増加させると、データ記録/再生用ヘッドの位置制御に
用いる信号(以下、「サーボ信号」と言うことがあ
る。)もそれに合わせてディスクの半径方向に対して密
に、すなわちより多く設けて精密な制御を行えるように
しなければならない。また、データ記録に用いる以外の
領域、即ちサーボ信号に用いる領域や該サーボ領域とデ
ータ記録領域のあいだのギャップ部を小さくしてデータ
記録領域を広くし、データ記録容量を上げたいとの要請
も大きい。このためにはサーボ信号の出力を上げたり同
期信号の精度を上げる必要がある。
【0007】サーボ信号形成方法として従来広く製造に
用いられている方法は、ドライブ(磁気記録装置)のヘ
ッドアクチュエータ近傍に穴を開け、その部分にエンコ
ーダ付きのピンを挿入し、該ピンでアクチュエータを係
合し、ヘッドを正確な位置に駆動してサーボ信号を記録
しようとするものである。しかし本法では磁気ヘッドで
の記録の限界以上の精度は得られない。
【0008】そこで、磁気ディスクへの磁気転写法とし
て、マスターディスクに軟磁性体をパターニングして磁
気ディスクに密着し、これをシールドとして、外部から
磁界をかけて磁化パターンを転写する方法が提案されて
いる(特開昭50−60212号公報(USP3、86
9、711号)、特開平10−40544号公報(EP
915456号)、"Readback Properties of Novel Ma
gnetic Contact Duplication Signals with High Recor
ding Density FD"(Sugita,R et.al, Digest ofInterMag
2000, GP-06, IEEE発行)参照)。しかし、本法は保磁
力の低いハードディスクやフロッピー(登録商標)ディ
スクには適用できるが、保磁力の高い磁気ディスクには
適用しにくいという問題があった。例えば上記杉田らの
論文によれば、磁気転写法をフロッピーディスクに適用
した結果が報告されPW50などの良好な結果が得られ
たとの報告があるが、(1)保磁力が2300Oeと比
較的低く、小さい外部磁界で転写ができるものであっ
た。しかも(2)フロッピーディスクは可撓性がありマ
スターディスクと密着しやすい、(3)形成する磁化パ
ターンが5μm、10μmと幅が広くPW50の改善が
容易である、(4)フロッピーディスクは通常保護層を
有しないため磁気転写しやすい、など磁気転写しやすい
条件が揃ったと考えられる。
【0009】最近では面内型ハードディスクの保磁力が
3kOeを超えている。磁気ディスクの保磁力が大きく
なると磁気転写にもより大きな外部磁界を必要とする
が、外部磁界を大きくすると周囲への漏れ磁界も大きい
ため、パターン境界で漏れ磁界をシールドしきれない。
このため磁化遷移領域が不明瞭になり、PW50など信
号品質が悪化してしまう問題がある。更に、マスターデ
ィスクと磁気転写される磁気記録媒体との完全な密着が
非常に難しく、また密着により媒体に欠陥が発生すると
いう問題もある。一方、近年開発されつつある垂直型ハ
ードディスクは、軟磁性体でシールドすることが難しい
ため磁気転写法は更に適用しにくいという問題がある。
すなわち本発明はこれらサーボ信号や同期信号など制御
用信号の精度及び出力が向上した磁気記録媒体とその制
御用磁化パターン形成方法を提供し、ひいては高密度記
録が可能な磁気記録媒体及び磁気記録装置を短時間かつ
安価に提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、磁気ヘ
ッドで情報用磁化パターンを形成して情報を記録するた
めの磁気記録媒体であって、該媒体が3000Oe以上
の保磁力を有する面内磁気記録媒体であり、該媒体には
該磁気ヘッドの制御用磁化パターンが予め形成されてな
り、かつ、制御用磁化パターンの再生信号の孤立波の半
値幅が情報用磁化パターンの再生信号の孤立波の半値幅
よりも小さいことを特徴とする磁気記録媒体に存する
(請求項1)。即ち、ハードディスクなどの、磁気ヘッ
ドで磁化パターンを形成して情報を記録する媒体におい
て、3000Oe以上の高い保磁力を持つ面内記録媒体
とすることで、小さい磁区が明瞭に形成でき高密度記録
が行える。このような媒体に磁化遷移領域の狭い制御用
磁化パターンを形成することで、制御用磁化パターンの
再生信号の孤立波の半値幅(孤立波の振幅の最大値の半
分における幅である。以下、PW50(Pulse Width 50
%)と称することがある)を、情報用磁化パターンの再生
信号の孤立波の半値幅よりも小さいまでに狭くすると、
磁気ヘッドの位置精度や同期精度を上げることができ、
ひいては信頼性の高い高密度記録媒体を提供できる。3
300Oe以上の更に高保磁力な媒体に適用すると、信
頼性が高くより高密度に記録が行え効果が大きい。
【0011】また本発明の別の要旨は、磁気ヘッドで情
報用磁化パターンを形成して情報を記録するための磁気
記録媒体であって、該媒体が垂直磁気記録媒体であり、
該媒体には該磁気ヘッドの制御用磁化パターンが予め形
成されてなり、かつ、該制御用磁化パターンの再生信号
の孤立波の半値幅が、情報用磁化パターンの再生信号の
孤立波の半値幅よりも小さいことを特徴とする磁気記録
媒体に存する(請求項3)。ハードディスクにおいて垂
直磁気記録媒体を用いることで、小さい磁区が明瞭に形
成でき高密度記録が行える。このような媒体に磁化遷移
領域の狭い制御用磁化パターンを形成することで、制御
用磁化パターンの再生信号の孤立波の半値幅を、情報用
磁化パターンの再生信号の孤立波の半値幅よりも小さい
までに狭くすると、磁気ヘッドの位置精度や同期精度を
上げることができ、ひいては信頼性の高い高密度記録媒
体を提供できる。保磁力が2500Oe以上の高保磁力
媒体に適用すると、信頼性が高くより高密度に記録が行
え効果が大きい。以上の発明において、制御用磁化パタ
ーンの再生信号の孤立波の半値幅を、情報用磁化パター
ンの再生信号の孤立波の半値幅の95%以下とすること
で、磁気ヘッドの位置精度や同期精度が更に高まり、更
に信頼性の高い高密度記録媒体を提供できる。より好ま
しくは90%以下である。なお、本発明において磁化パ
ターンとは、何らかの信号を発生するように磁区が配置
された状態である。制御用磁化パターンとは磁気ヘッド
の位置制御のためのサーボ信号や同期制御のための同期
信号といった制御信号を発生する磁化パターンである。
再生信号の孤立波の半値幅とは、再生信号波形におい
て、ある孤立波を選び、その最大出力(0−to−pe
ak値)の50%の出力でのパルス幅(時間或いは長さ
の幅)であって、PW50とも称する。
【0012】本発明の別の要旨は、磁気ヘッドで情報用
磁化パターンを形成して情報を記録するための磁気記録
媒体であって、該媒体には該磁気ヘッドの制御用磁化パ
ターンが予め形成され、かつ、該制御用磁化パターンは
磁気ヘッドの相対移動方向に対してそれぞれ(90±θ
1)度及び(90±θ2)度(ただし、θ1>θ2、0<θ
1≦45度、0≦θ2<45度)の角度をなす少なくとも
2種の直線パターンを含んでなり、該直線パターンの再
生信号の孤立波の出力をそれぞれP(90±θ 1)及び
P(90±θ2)とすると、 P(90±θ1)/P(90±θ2)≧0.9×cos
(θ1−θ2) を満たすことを特徴とする磁気記録媒体に存する(請求
項7)。
【0013】即ち、ハードディスクなどの磁気ヘッドで
磁化パターンを形成して情報を記録する媒体において、
制御用磁化パターンとして、位相制御による位置制御用
磁化パターンに代表される、傾きをもった直線パターン
を用いると、磁気ヘッドの位置制御が高精度に行える。
そのような傾いた直線パターンの出力を上げ上記式を満
たすことで、磁気ヘッドの位置精度を上げることができ
る。従って、位相制御による位置制御用磁化パターンを
含む場合に本発明を適用すると非常に効果が大きい。
【0014】更に、室温で磁化を安定に保つには磁性層
の磁化が消失する温度は高いほうがよい。また室温と磁
化消失温度との差が大きい方が磁化パターンの磁区が明
瞭に形成しやすい。このため磁化消失温度は100℃以
上が好ましい。例えば、キュリー温度近傍(キュリー温
度のやや下)や補償温度近傍に磁化消失温度がある。
【0015】そしてまた、記録再生時の磁気ヘッドとの
衝突や接触型ヘッドとの摺動による媒体の損傷を防ぐた
めに、磁性層上には保護層を設けるのが好ましい。記録
再生時の磁性層とヘッドとの距離を小さくするために、
膜厚は50nm以下とするのが望ましい。磁性層が複数
層ある場合には最も表面に近い磁性層の上に保護層を設
ければよい。保護層がダイヤモンドライクカーボンから
なると、ヘッドによる磁性層の損傷にも極めて強くな
る。また、ヘッドと媒体のあいだに潤滑性を付与するた
め、保護層上には潤滑層を設けるのが好ましい。磁化パ
ターン形成の妨げとならないために潤滑層は薄い方が好
ましく、10nm以下が望ましい。
【0016】更に、浮上型/接触型ヘッドの走行安定性
を損なわないよう、該媒体の表面粗度Raを3nm以下
に保つのが好ましい。なお、媒体表面粗度Raとは潤滑
層を含まない媒体表面の粗度であって、触針式表面粗さ
計を用いて測定長400μmで測定後、JIS B06
01に則って算出した値である。より好ましくは1.5
nm以下とする。
【0017】本発明のさらに別の要旨は、上述の磁気記
録媒体を製造する方法であって、該媒体の磁性層を局所
的に加熱する工程と、該媒体の磁性層に外部磁界を印加
する工程により制御用磁化パターンを形成することを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法に存する。これによれ
ば、磁気ヘッドで記録再生を行う、3000Oe以上の
高い保磁力を持つ面内型ハードディスクに対して、再生
信号の品質が高い制御用磁化パターンを精度よくかつ効
率的に形成できる。すなわち磁化遷移幅が小さく磁区の
境界での磁化遷移が非常に急峻で再生信号の孤立波の半
値幅が小さく品質が高いパターンが形成できる。
【0018】中でも、外部磁界を印加し磁性層を予め所
望の方向に均一に磁化したのち、該媒体の磁性層を局所
的に加熱すると同時に外部磁界を印加し加熱部を該所望
の方向とは逆方向に磁化することにより制御用磁化パタ
ーンを形成することで、好ましい飽和記録が行えるため
再生信号の出力の大きい磁化パターンが得られるという
利点がある。
【0019】また、局所加熱と同時に外部磁界を印加し
加熱部を磁化する態様は、従来の磁気転写法では磁化が
困難であった保磁力の高い磁気記録媒体でも、加熱する
ことで保磁力を十分に下げて磁化させるので弱い磁界で
容易に磁化できる。なお、所望の磁化方向とは、磁化容
易軸が面内方向にある媒体の場合には、データの書込み
/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方
向)と同一又は逆方向であり、磁化容易軸が面内方向に
垂直にある場合には、該垂直方向のいずれかである。
【0020】また、外部磁界を印加し磁性層を予め所望
の方向に均一に磁化するとは、通常、磁性層の全部を均
一に磁化することを言うが、磁化パターンを形成すべき
領域が均一に磁化されていれば、磁化薄膜の一部であっ
てもよい。本方法は、パターンが単純でしかも精度要求
が厳しいデータ記録/再生用磁気ヘッドの位置制御に用
いるサーボパターン又は該サーボパターン記録用の基準
パターンの形成に適用すると効果が大きい。精度の高い
サーボパターン又は基準パターンが得られるため、トラ
ック密度が40kTPI以上であるような高密度媒体に
適用すると効果が高い。
【0021】また本法によれば、従来形成しにくかっ
た、磁気ヘッドの走行方向に対して斜め方向に延在する
パターンを含む磁化パターンも容易に形成できる。しか
も信号強度が強い磁化パターンが得られる。特に位相サ
ーボ信号などの傾斜パターンに好適である。より精密な
磁化パターン形成のために、加熱するための手段は、パ
ワーコントロール、加熱する部位の大きさが制御しやす
いなどの理由でエネルギー線を使用することが好まし
い。エネルギー線はパルス状にして、加熱部位の制御や
加熱温度の制御を行うのが好ましい。エネルギー線とし
ては記録層表面を部分的に加熱できればよいが、不要な
部分へのエネルギー線の照射を防げることからレーザが
好ましい。
【0022】連続レーザを光学部品によりパルス化して
もよいが、特にパルスレーザ光源の使用が好適である。
パルスレーザ光源はレーザをパルス状に断続的に発振す
るものであり、パワー尖頭値の高いレーザをごく短時間
に照射することができ熱の蓄積が起こりにくい。更に、
マスクを介してエネルギー線を照射すると、磁気記録媒
体の磁化パターンを形成すると磁化パターンの精度が良
いばかりでなく、自由な形状のパターンを簡単かつ短時
間で形成することができる。マスクは、エネルギー線を
照射したときに形成すべき磁化パターンに対応して媒体
面上にエネルギー線の濃淡を形成するものであればよ
い。
【0023】本発明のさらに別の要旨は、磁気記録装置
であって、磁気記録媒体と、磁気記録媒体を記録方向に
駆動する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘッド
と、磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動させる
手段と、磁気ヘッドへの記録信号入力と磁気ヘッドから
の再生信号出力を行うための記録再生信号処理手段を有
する磁気記録装置であって、磁気記録媒体が上述のいず
れかの磁気記録媒体であることを特徴としている。この
ような磁気記録装置は、安価でかつ高密度記録が可能で
ある。
【0024】磁気ヘッドとしては、高密度記録を行うた
め、通常は浮上型/接触型磁気ヘッドを用いる。また、
磁気記録媒体を装置に組みこんだ後、上記制御用磁化パ
ターンを磁気ヘッドにより再生し信号を得、該信号を基
準としてサーボバースト信号を該磁気ヘッドにより記録
してなる磁気記録装置に用いても、簡易に精密なサーボ
信号を得ることが可能である。この場合、磁気ヘッドで
のサーボバースト信号記録後にもユーザデータ領域とし
て用いられない領域には本発明により磁化パターンとし
て記録した信号が残っていると何らかの外乱により磁気
ヘッドの位置ずれが起きたときにも所望の位置に復帰さ
せやすいので、両者の書き込み方法による信号が存在す
る磁気記録装置は、信頼性が高い。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてより詳細に
説明する。本発明は、ハードディスクなど、磁気ヘッド
で情報用磁化パターンを形成して情報を記録するための
磁気記録媒体に関する。上述のとおり、情報記録トラッ
クの間隔を狭めてトラック数を増加させると、データ記
録/再生用ヘッドの位置制御もより精度を高める必要が
あり、そのための位置制御信号(以下、「サーボ信号」
と言うことがある。)を発生するサーボパターンも精度
が高く再生出力が大きい必要がある。
【0026】また、データ記録に用いる以外の領域、即
ちサーボ信号に用いる領域やサーボ領域とデータ記録領
域のあいだのギャップ部を小さくしてデータ記録領域を
広くし、データ記録容量を上げたいとの要請も大きい。
このためにはサーボ信号の出力を上げたり同期信号の精
度を上げる必要がある。前述の通り、従来の磁気転写法
では、保磁力の比較的低い面内記録媒体には磁化パター
ンを転写できるものの、垂直記録媒体や3000Oe以
上と保磁力の高い面内記録媒体には精度の高い磁化パタ
ーンの形成が困難であった。そこで本発明では、このよ
うな媒体に、磁化遷移領域の狭い制御用磁化パターンを
形成することにより、制御用磁化パターンの再生信号の
孤立波の半値幅を、情報用磁化パターンの再生信号の孤
立波の半値幅よりも小さくする。これにより磁気ヘッド
の位置精度や同期精度を上げることができ、ひいては信
頼性の高い高密度記録媒体を提供できる。本発明は、保
磁力の高い媒体に適用するとより効果的である。従来の
磁気転写技術では、被転写磁気ディスクの保磁力が大き
くなるとより大きな磁場を使い磁気転写しなければなら
ず、保磁力が大きくなる程、磁気転写が難しくなる。そ
の場合、不十分な磁気転写状態が最初に現れるのが磁化
遷移領域で、該磁化遷移領域が不明瞭になり、半値幅が
広がり、磁気ヘッドでの書き込みより半値幅が広くな
る。よって、3000Oe以上、好ましくは3300O
e以上の保磁力を有する面内記録媒体に、後述する方法
を用いて半値幅の狭い磁化パターンを形成することが、
高密度化の観点から非常に望ましい。或いは、垂直記録
媒体、好ましくは2000Oe以上、より好ましくは2
500Oe以上の保磁力を有する媒体に、後述する方法
を用いて半値幅の狭い磁化パターンを形成することが、
高密度化の観点から非常に望ましい。
【0027】制御用磁化パターンを、磁化遷移幅の狭い
磁区により形成することで、再生信号の孤立波はシャー
プで、半値幅が狭く、信号検出の位置精度は高くなり、
従って磁気ヘッドをデータトラックに位置決めする精度
も上げられる。さらに、同期信号の検出精度も同様に高
くなるため、データを記録/再生するクロックもより正
確に得られる。この時、十分な飽和記録が行われていれ
ば、再生信号の出力が大きく更に半値幅が狭くなり好ま
しい。再生信号が大きいと短いサーボ領域でも十分な積
算値が得られ、サーボ領域を狭めることができ、それだ
けユーザデータ領域を広げられデータ記録容量を上げる
ことができる。
【0028】通常、サーボ信号やアドレス信号領域など
とユーザデータ領域とのあいだにはある程度のギャップ
が設けられている。同期精度が高くないとクロックも不
正確となりデータ記録の開始点、終了点のばらつきが大
きくなるため、ばらつきを吸収するためのギャップを大
きくする必要がある。本発明によれば、同期精度が高い
ためギャップを狭めることができ、それだけユーザデー
タ領域を広げられデータ記録容量を上げることができ
る。
【0029】制御用磁化パターンの再生信号の孤立波の
半値幅は、好ましくは情報用磁化パターンの再生信号の
孤立波の半値幅の95%以下である。より好ましくは9
0%以下である。なお、比較の対象である情報用磁化パ
ターンは、その磁気記録媒体に通常記録/再生が行われ
るための磁気ヘッドを用いて室温で飽和記録を行った場
合の磁化パターンである。媒体が磁気ヘッドとともに磁
気記録装置に組み込まれていれば、その磁気ヘッドで記
録した場合の磁化パターンである。また室温は25℃程
度である。
【0030】本発明においては、記録層(磁性層)とし
て室温での保磁力3000Oe以上の面内磁気記録層を
用いる。磁性層の室温での保磁力は、室温において磁化
を保持し、かつ適当な外部磁界により均一に磁化される
ものである必要がある。従って微小な磁区を形成する高
密度記録媒体の磁性層としては、3000Oe以上の高
い保磁力が必要である。好ましくは3300Oe以上で
ある。或いは記録層として、高密度記録の可能性が高い
垂直磁気記録層を用いる。微小な磁区を保持し高密度記
録を行うためには室温での保磁力は高いほうが好まし
い。好ましくは2000Oe以上であり、より好ましく
は2500Oe以上である。
【0031】従来の磁気転写法では、あまり保磁力が高
い媒体には転写が困難であったが、本発明においては磁
性層を加熱し保磁力を十分に下げて磁化パターンを形成
するため、保磁力の大きい媒体への適用が好ましい。た
だし、好ましくは20kOe以下とする。20kOeを
超えると、一括磁化のために大きな外部磁界が必要とな
り、また通常の磁気記録が困難となる可能性がある。
【0032】本発明は、特に、位相制御による位置制御
(位相サーボ)用磁化パターンを含む場合に適用すると
好ましい。例えば、位相サーボ方式では、内周から外周
に半径に対して斜めに直線的に延びる磁化パターンが用
いられる。位相サーボ方式は、パターンが精度よく形成
できれば高精度に位置決めができる優れた方式である
が、このような半径方向に連続したパターンや斜めのパ
ターンは従来作りにくかった。たとえ形成できても従
来、斜めパターンは再生信号が小さく孤立波の半値幅も
大きく検出精度が不十分であった。後に詳述する本発明
の制御用磁化パターン形成法によれば、斜めパターンで
あっても再生信号が大きく孤立波の半値幅の小さい優れ
た磁化パターンを形成でき、位相サーボ方式本来の高精
度なヘッド位置制御が可能となる。
【0033】次に、本発明の制御用磁化パターンの好ま
しい形成法について説明する。本発明においては、磁気
記録媒体を局所的に加熱する工程と、外部磁界を印加す
る工程とを組み合わせて制御用磁化パターンを形成す
る。これにより、再生信号の品質がよく精度の高い制御
用磁化パターンを、短時間かつ簡便に形成できる。これ
によれば、再生信号の品質が高い制御用磁化パターンを
精度よくかつ効率的に形成できる。すなわち磁化遷移幅
が小さく磁区の境界での磁化遷移が非常に急峻で再生信
号の品質が高いパターンが形成できる。
【0034】サーボ信号の形成方法としては従来から磁
気転写法が知られているが、保磁力の高い媒体への適用
が難しい、垂直記録媒体への適用が難しい、媒体に欠陥
を生じやすい、などの問題がある。更に、磁気転写法で
は高い飽和磁化を持った磁気記録媒体に飽和記録を行う
のが難しく、出力や半値幅が不十分な値となる。後に詳
述するが、位相サーボ用の斜めパターンの形成には特に
大きな問題があった。本発明の方法は、これら問題点を
解決し、効率よくしかも精度よく制御用磁化パターンを
形成する方法である。以下詳述する(以下、制御用磁化
パターンを単に磁化パターンと称することがある)。本
発明においては、磁性層を局所的に加熱する工程と、磁
性層に外部磁界を印加する工程の組み合わせとして以下
の4態様をとりうる。
【0035】態様1:加熱前に強い外部磁界で磁性層を
所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位を磁化消失
温度、例えばキュリー温度近傍まで加熱消磁することで
磁化パターンを形成する方法。これによれば磁化遷移幅
が小さく孤立波の半値幅が小さい磁化パターンを最も簡
便に形成することができる。また、磁性層が均一に磁化
されているため、本方法により磁化パターンを形成した
後に通常の磁気記録を行うことができる。
【0036】態様2:加熱前に強い外部磁界で磁性層を
所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位を磁化消失
温度、例えばキュリー温度近傍まで加熱すると同時に弱
い磁界を均一磁化方向とは異なる方向に印加して消磁す
ることで磁化パターンを形成する方法。これによれば、
磁化遷移幅が小さく孤立波の半値幅が小さい磁化パター
ンを形成することができる。また消磁が完全に行えるの
で、信号強度の大きな磁化パターンが得られる。
【0037】態様3:加熱と同時に弱い外部磁界を印加
することで、加熱部のみ外部磁界の方向に磁化して、磁
化パターンを形成する方法。これによれば磁化遷移幅が
小さく孤立波の半値幅が小さい磁化パターンを最も簡便
に形成することができ、かつ外部磁界も弱いものでよ
い。 態様4:加熱前に強い外部磁界で磁性層を所望の方向に
均一に磁化し、その後所望部位を加熱すると同時に弱い
磁界を加熱前とは逆方向に印加磁化することで磁化パタ
ーンを形成する方法。これによれば、孤立波の半値幅が
小さく再生信号強度(出力)が最も大きい磁化パターン
を形成でき、C/N及びS/Nが良好な磁化パターンが
得られる。すなわち磁化遷移幅が小さく磁区の境界での
磁化遷移が非常に急峻でPW50が小さく、かつ各磁区
は互いに逆方向に飽和記録されているため出力が高く、
再生信号の品質が高いパターンが形成できる。条件を選
べば磁化遷移幅1μm以下、さらには0.5μm以下、
0.3μm以下も可能となる。
【0038】以下、各態様について説明する。まず、態
様1について説明する。まず磁気ディスクに強い外部磁
界を印加して、磁性層全体を所望の磁化方向に均一に磁
化する。外部磁界を印加する手段は、磁気ヘッドを用い
てもよいし、電磁石または、永久磁石を所望の磁化方向
に磁界が生じるよう複数個配置して用いてもよい。更に
それらの異なる手段を組み合わせて使用してもよい。
【0039】なお、所望の磁化方向とは、磁化容易軸が
面内方向にある媒体の場合には、データの書込み/再生
ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方向)と同
一又は逆方向であり、磁化容易軸が面内方向に垂直にあ
る場合には、垂直方向のいずれか(上向き、下向き)で
ある。従ってそのように磁化されるように、外部磁界を
印加する。また、磁性層全体を所望の方向に均一に磁化
するとは、磁性層の全部をほぼ同一方向に磁化すること
を言うが、厳密に全部ではなく、少なくとも磁化パター
ンを形成すべき領域が同一方向に磁化されていればよ
い。磁界の強さは磁気記録媒体の磁性層の特性によって
異なり、磁性層の室温での保磁力の2倍以上の磁界によ
って磁化することが好ましい。これより弱いと磁化が不
十分となる可能性がある。ただし、通常、磁界印加に用
いる着磁装置の能力上、磁性層の室温での保磁力の5倍
以下程度である。次に、磁気ディスクの磁性層表面を部
分的に加熱し、磁性層の磁化消失温度、例えばキュリー
温度近傍まで昇温して消磁する。或いは完全に消磁され
ず、該所望の磁化方向に均一磁化領域より弱く磁化され
た状態となることもある。態様2は、加熱前の外部磁界
の方向及び強さは態様1と全く同様である。加熱と同時
に印加する磁界の方向は、磁化容易軸が面内方向にある
媒体の場合には、面内と垂直である方向に、磁化容易軸
が面内方向に垂直にある場合には、媒体の面内方向であ
る。このように磁界を印加して磁化を消去する。また、
磁界の強さは、強いほど磁化パターンが形成しやすい
が、磁気記録媒体の磁性層の特性によって異なるが磁性
層の室温での保磁力より小さい磁界とする。好ましくは
磁性層の室温での保磁力の1/8以上の磁界とする。こ
れより弱いと、加熱部が、冷却時に周囲の磁区からの磁
界の影響をうけて再び周囲と同じ方向に磁化されてしま
う可能性がある。
【0040】ただし、磁性層の室温での保磁力の2/3
以下とするのが好ましく、1/2倍以下とするのがより
好ましい。これより大きいと、加熱部の周囲の磁区も影
響を受けてしまう可能性がある。加熱は、磁性層の保磁
力の低下が見られる温度まで加熱できればよいが、例え
ば磁性層の磁化消失温度、キュリー温度近傍である。好
ましくは100℃以上に加熱する。100℃未満で外部
磁界の影響を受ける磁性層は、室温での磁区の安定性が
低い傾向がある。また、加熱温度は700℃以下が好ま
しい。あまり加熱温度が高いと、磁性層が変形してしま
う可能性がある。
【0041】態様3の加熱と同時の外部磁界の方向は、
磁気記録媒体の磁性層の種類によって異なる。磁化容易
軸が面内方向にある媒体の場合には、磁性層が、データ
の書込み/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対
移動方向)と同一又は逆方向に磁化されるように印加す
る。磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合には、磁性
層が、該垂直方向のいずれかに磁化されるように印加す
る。
【0042】磁界の強さは、態様2の、加熱と同時の外
部磁界の強さと同様である。また、加熱温度についても
態様2と同様である。態様4は、加熱前の外部磁界の方
向及び強さは態様1と全く同様である。加熱と同時に印
加する磁界の強さは態様2と同様であるが、その方向
は、加熱前磁界の方向とは逆方向に印加し、局所的に逆
向きに磁化されるようにする。加熱温度に関しては態様
2と同様である。本発明において、好ましくは態様4の
ごとく外部磁界を印加し磁性層を予め所望の方向に均一
に磁化したのち、磁性層を局所的に加熱すると同時に外
部磁界を印加し加熱部を該所望の方向とは逆方向に磁化
して磁化パターンを形成する。これによれば、互いに逆
向きの磁区が明瞭に形成されるので、信号強度が強くC
/N及びS/Nが良好な磁化パターンが得られる。或い
は態様1によれば、磁性層が、所望の方向に均一に磁化
された領域内に、部分的に磁化を有しないパターン又は
部分的に該所望の方向により弱く磁化されたパターンを
有する磁気記録媒体が得られる。この媒体は、媒体全面
を一括で均一に磁化したのちマスク露光し消磁するのみ
で非常に短時間で簡便に作製できる。
【0043】以下では、磁気記録媒体として代表的な磁
気ディスクに、制御用磁化パターンを態様1で形成する
場合を例に説明する。まず、磁気ディスクに強い外部磁
界を印加して、磁性層全体を所望の磁化方向に均一に磁
化する。外部磁界を印加する手段は、磁気ヘッドを用い
てもよいし、電磁石または、永久磁石を所望の磁化方向
に磁界が生じるよう複数個配置して用いてもよい。更に
それらの異なる手段を組み合わせて使用してもよい。
【0044】なお、所望の磁化方向とは、磁化容易軸が
面内方向にある媒体の場合には、データの書込み/再生
ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方向)と同
一又は逆方向であり、磁化容易軸が面内方向に垂直にあ
る場合には、該垂直方向のいずれかである。次に、この
磁気ディスクの磁性層表面を部分的に加熱し、該磁性層
の磁化消失温度、例えばキュリー温度近傍まで昇温して
消磁する。或いは完全に消磁されず、該所望の磁化方向
に均一磁化領域より弱く磁化された状態となることもあ
る。
【0045】次に、本発明における磁性層の局所的な加
熱の方法について説明する。加熱手段は、磁性層表面を
部分的に加熱できる機能を備えていればよいが、不要な
部分への熱拡散防止やコントロール性を考えると、パワ
ーコントロール、加熱する部位の大きさが制御しやすい
レーザ等のエネルギー線を利用したものが好適である。
このとき、マスクを併用するのが好ましい。エネルギー
線をマスクを介して照射することで複数の磁化パターン
を一度に形成することができるため、磁化パターン形成
工程が短時間となりかつ簡便である。マスクは、形成す
べき磁化パターンに対応して磁気ディスク面上にエネル
ギー線の濃淡を形成するものであればよい。例えば、パ
ターンに応じてエネルギー線を透過する透過部を有する
フォトマスクや、特定のパターンを媒体上に結像するホ
ログラムが記録されたホログラムマスク、結像光学系な
どである。これにより、複数の磁化パターンを一度に形
成することができるため、磁化パターン形成工程が短時
間かつ簡便となる。
【0046】また、エネルギー線は連続照射よりもパル
ス状にして加熱部位の制御や加熱温度の制御を行うのが
好ましい。特にパルスレーザ光源の使用が好適である。
パルスレーザ光源はレーザをパルス状に断続的に発振す
るものであり、連続レーザを音響光学素子(AO)や電
気光学素子(EO)などの光学部品で断続させパルス化
するのに比して、パワー尖頭値の高いレーザをごく短時
間に照射することができ熱の蓄積が起こりにくく非常に
好ましい。連続レーザを光学部品によりパルス化した場
合、パルス内ではそのパルス幅に亘ってほぼ同じパワー
を持つ。一方パルスレーザ光源は、例えば光源内で共振
によりエネルギーをためて、パルスとしてレーザを一度
に放出するため、パルス内では尖頭のパワーが非常に大
きく、その後小さくなっていく。本発明では、コントラ
ストが高く精度の高い磁化パターンを形成するために、
ごく短時間に急激に加熱しその後急冷させるのが好まし
いため、パルスレーザ光源の使用が適している。
【0047】磁化パターンが形成される媒体面は、パル
ス状エネルギー線の照射時と非照射時で温度差が大きい
方が、パターンのコントラストを上げ、或いは記録密度
を上げるために好ましい。従ってパルス状エネルギー線
の非照射時には室温以下程度になっているのが好まし
い。室温とは25℃程度である。なお、パルス状エネル
ギー線を使用する際に、外部磁界は連続的に印加しても
パルス状に印加しても良い。
【0048】エネルギー線の波長は、1100nm以下
であることが好ましい。これより波長が短いと回折作用
が小さく分解能が上がるため、微細な磁化パターンを形
成しやすい。更に好ましくは、600nm以下の波長で
ある。高分解能であるだけでなく、回折が小さいため間
隙によるマスクと磁気記録媒体のスペーシングも広くと
れハンドリングがしやすく、磁化パターン形成装置が構
成しやすくなるという利点が生まれる。また、波長は1
50nm以上であるのが好ましい。150nm未満で
は、マスクに用いる合成石英の吸収が大きくなり、加熱
が不十分となりやすい。波長を350nm以上とすれ
ば、光学ガラスをマスクとして使用することもできる。
具体的には、エキシマレーザ(157,193,24
8,308,351nm)、YAGのQスイッチレーザ
(1064nm)の2倍波(532nm)、3倍波(3
55nm)、或いは4倍波(266nm)、Arレーザ
(488nm、514nm)、ルビーレーザ(694n
m)などである。
【0049】エネルギー線のパワーは、外部磁界の大き
さによって最適な値を選べばよいが、パルス状エネルギ
ー線の1パルス当たりのパワーは1000mJ/cm2
以下とすることが好ましい。これより大きなパワーをか
けると、パルス状エネルギー線によって該磁気記録媒体
表面が損傷を受け変形を起こす可能性がある。変形によ
り粗度Raが3nm以上やうねりWaが5nm以上に大
きくなると、浮上型/接触型ヘッドの走行に支障を来す
おそれがある。
【0050】より好ましくは500mJ/cm2以下で
あり、更に好ましくは200mJ/cm2以下である。
この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用いた場
合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。ま
た、パワーは10mJ/cm2以上とするのが好まし
い。これより小さいと、磁性層の温度が上がりにくく磁
気転写が起こりにくい。なお、エネルギー線のディフラ
クションの影響がパターン幅により変わるので、パター
ン幅に応じて最適なパワーも変化する。また、エネルギ
ー線の波長が短いほど、印加可能なパワーの上限値は低
下する傾向にある。
【0051】本発明に用いる基板がAl等の金属又は合
金である場合は、熱伝導率が大きいことから、局所に与
えた熱が所望の部位以外にも広がってしまい磁化パター
ンを歪ませることが無いよう、また、過剰なエネルギー
によって基板に物理的な損傷が起きないよう、該パワー
は30〜180mJ/cm2の範囲であることが好まし
い。
【0052】基板がガラス等のセラミックスである場合
はAl等に比して熱伝導が少なく、パルス状エネルギー
線照射部位での熱の蓄積が多いことから、該パワーは1
0〜150mJ/cm2の範囲であることが好ましい。
基板がポリカーボネイト等の樹脂である場合は、パルス
状エネルギー線照射部位での熱の蓄積が多くガラス等に
比して融点が低いことから、該パワーは10〜120m
J/cm2の範囲であることが好ましい。
【0053】また、エネルギー線による磁性層、保護
層、潤滑層の損傷が心配される場合は、パルス状エネル
ギー線のパワーを小さくして、該パルス状エネルギー線
と同時に印加される磁界強度を上げるといった手段を取
ることもできる。例えば、磁気記録媒体の常温での保磁
力の25〜75%の範囲のできるだけ大きな磁界をか
け、照射エネルギーを下げる。
【0054】なお、保護層と潤滑層を介してパルス状エ
ネルギー線を照射するにあたり、潤滑剤の受けるダメー
ジ(分解、重合)等も考慮し、照射後に再塗布するなど
の必要がある場合がある。パルス状エネルギー線のパル
ス幅は、1μsec以下であることが望ましい。これよ
りパルス幅が広いと該磁気記録媒体にパルス状エネルギ
ー線にて与えたエネルギーによる発熱が分散して、分解
能が低下しやすい。1パルス当たりのパワーが同じであ
る場合、パルス幅を短くし一度に強いエネルギーを照射
した方が、熱拡散が小さく磁化パターンの分解能が高く
なる傾向にある。より好ましくは100nsec以下で
ある。この領域であるとAlなど金属の比較的熱拡散の
大きな基板を用いた場合でも分解能の高い磁化パターン
が形成しやすい。最小幅が2μm以下のパターンを形成
する際には、パルス幅を25nsec以下とするのがよ
い。即ち、分解能を重視すれば、パルス幅は短いほど良
い。また、パルス幅は1nsec以上であるのが好まし
い。磁性層の磁化反転が完了するまでの時間、加熱を保
持しておくのが好ましいからである。
【0055】なお、パルス状レーザの一種として、モー
ドロックレーザのようにピコ秒、フェムト秒レベルの超
短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パル
スを高周波で照射している期間においては、各々の超短
パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常
に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。
すなわち、一旦キュリー温度以上に昇温された領域はキ
ュリー温度以上に保たれる。
【0056】従ってこのような場合、連続照射期間(超
短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照
射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エ
ネルギー量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/
cm2)とする。
【0057】好ましくは、エネルギー線に予め強度分布
の均一化処理をなす。照射した領域の加熱状態の分布を
小さく抑えることができ、磁化パターンの磁気的強さの
分布を小さく抑えることができる。従って、磁気ヘッド
を使用して信号強度を読み取る際に、信号強度の均一性
の高い磁化パターンを形成することができる。
【0058】強度分布の均一化処理としては、例えば以
下のような処理が挙げられる。ホモジナイザやコンデン
サレンズを用いて均一化したり、遮光板やスリットなど
でエネルギー線の強度分布の小さい部分だけを透過し必
要に応じて拡大する、などである。好ましくは、エネル
ギー線を、一旦光学分割したのち重ね合わせることによ
って均一化処理すると、エネルギー線を無駄なく使用で
き使用効率が良い。本発明においては、磁性層の加熱に
は、高強度のエネルギー線を短時間に照射するのがよ
く、このためにはエネルギーを無駄なく使用するのが好
ましい。
【0059】本発明において、好ましくはマスクを介し
てエネルギー線を照射し、局所加熱する。一旦マスクを
形成すれば、どのような形状の磁化パターンも媒体上に
形成できるため、複雑なパターンや従来法では作りにく
かった特殊なパターンも容易に形成できる。例えば、磁
気ディスクの位相サーボ方式には、内周から外周に、半
径及びトラックに対して斜めに直線的に延びる磁化パタ
ーンが用いられる。このような、半径方向に連続したパ
ターンや半径に斜めのパターンは、ディスクを回転させ
ながら1トラックずつサーボ信号を記録する従来のサー
ボパターン形成方法では作りにくかった。本発明によれ
ば、複雑な計算や複雑な装置構成を必要とせず、このよ
うな磁化パターンを一度の照射で簡便かつ短時間に形成
できる。マスクは磁気ディスク全面を覆うものでなくて
も、磁化パターンの繰り返し単位を含む大きさでよく、
それを移動させて使用することができるため、マスクも
簡便かつ安価に作成できる。マスクは、エネルギー線の
強度分布を形成すべき磁化パターンに対応して変化さ
せ、磁気ディスク面上にエネルギー線の濃淡(強度分
布)を形成するものであればよい。例えば、パターンに
応じてエネルギー線を透過する透過部を有するフォトマ
スクや、特定のパターンを媒体上に結像するホログラム
が記録されたホログラムマスクである。これにより、複
数又は広い面積の磁化パターンを一度に形成することが
できるため、磁化パターン形成工程が短時間かつ簡便な
ものとなる。ホログラムマスクによればマスクと媒体の
距離を十分離してもシャープで明瞭なパターンが形成し
やすく好ましいが、フォトマスクは簡単かつ安価に作成
できる点で好ましい。
【0060】また、マスクの材質は限定されないが、本
発明においてマスクを非磁性材料で構成すると、どのよ
うなパターン形状でも均一な明瞭さで磁化パターンが形
成でき、均一で強い再生信号が得られる。強磁性体を含
むマスクを使用した場合は、磁化で磁界分布が乱される
ため好ましくない。強磁性の性質上、磁気ディスクの半
径方向或いは、半径方向に延びた円弧状のパターンから
斜傾したパターン形状の場合は、磁化遷移部分で磁区が
互いに十分対抗しないので良質の信号が得にくい。
【0061】マスクはエネルギー線の光源と磁性層(磁
気記録媒体)の間に配置する。磁化パターンの精度を重
視するならば、マスクの全部又は一部を媒体に接触させ
るのが好ましい。レーザ光の回折の影響を極力少なくで
き、高い分解能を持った磁化パターンを形成できる。例
えばマスクを媒体上に静置した場合は、媒体表面の数μ
m程度のうねりにより、媒体と接触する部分としない部
分ができる。ただし、媒体に圧痕を形成したり損傷する
ことのないよう、マスクと媒体に対する加圧は100g
/cm2以下とする。
【0062】ただし、欠陥や傷を少なくするためには、
少なくとも媒体の磁化パターンを形成する領域では、マ
スクと媒体とのあいだに間隙を設けるのが好ましい。ゴ
ミ等の挟み込みによる媒体やマスクの傷つき、欠陥発生
を抑えることができる。また、磁化パターン形成前に潤
滑層が設けられている場合は、特に、マスクに潤滑剤が
付着するのを最小限にするため、マスクと媒体とのあい
だに間隙を設けるのが好ましい。
【0063】磁気記録媒体の磁化パターン形成領域とマ
スクの間隙を保つ方法としては、両者を一定距離に保て
る方法であればよい。例えばマスクと媒体とを特定の装
置により保持して一定距離を保っても良い。また、両者
のあいだの、磁化パターン形成領域以外の場所にスペー
サを挿入してもよい。マスク自体に、スペーサを一体形
成しても良い。
【0064】マスクと磁気記録媒体とのあいだに、媒体
の磁化パターン形成領域の外周部又は/及び内周部にス
ペーサを設けると磁気記録媒体表面のうねりを矯正する
効果が生まれるので磁化パターン形成の精度が上がるの
でよい。
【0065】形成すべき磁化パターンに応じて複数の透
過部を形成したマスクを用意し、これを通して磁性層上
にレーザビームを照射する。ビーム径を大径又は横に細
長い楕円形等として、複数トラック分又は複数セクター
分の磁化パターンを一括して照射すれば、記録効率が一
段と上がり、これからの容量の伸びに伴いサーボ記録時
間が増大するといった問題も改善され非常に好ましい。
【0066】フォトマスクは、所望の磁化パターンに相
当する透過部と非透過部を備えているマスクであればよ
いが、石英ガラス、ソーダライムガラス等の透明原盤上
にCr等の金属をスパッタリング形成し、その上にフォ
トレジストを塗布し、エッチング等によって、所望の透
過部と非透過部を作成することができる。この場合は原
盤上にCr層を有する部分がエネルギー線非透過部、原
盤のみの部分が透過部となる。マスクには、その両面或
いは片面に無反射コーティングを付与することが望まし
い。エネルギー源側の無反射コーティングは、光学部品
への反射波による影響を低減し、結果的にディスクに与
えるエネルギーを一様にでき、安定した磁化パターンが
生成できる。ディスクと近接する側の無反射コーティン
グは、ディスクとマスク間の平行にズレが生じている場
合、或いは、ディスク/マスク面と光軸が垂直からズレ
が生じた場合に起きる干渉縞を低減し、安定した磁化パ
ターンが生成できる。特にディスクと近接する側は、無
反射コーティングによって、反射パワーを3%以下にす
ることが好ましい。より好ましくは1%以下である。ま
た、無反射コーティングは、Cr等の成膜前に付与して
も良いし、エッチングまで行い、マスクのパターン化が
済んだ最終工程で付与してもよい。このように形成した
マスクは通常凹凸を有しており、凸部がエネルギー線に
対して非透過で、凸部を媒体に近接させ、或いは略接触
させる。或いはまた、このようなマスクを形成した後に
凹部にエネルギー線に透明である材料を埋め込み、媒体
との略接触面を平坦にして使用することもできる。スペ
ーサの材質は硬質のものが良い。また、パターン形成に
外部磁界を用いるので磁化されないものが良い。好まし
くは、ステンレス、銅などの金属や、ポリイミドなどの
樹脂である。高さは任意だが、通常、数μm〜数百μm
である。
【0067】加熱と同時に外部磁化の印加が伴う時は、
外部磁界もマスクの複数の透過部に同時に印加できるよ
うにするとよい。マスクと磁気記録媒体の最小間隙は
0.1μm以上あることが好ましく、これにより、ゴミ
等の挟み込みによる磁気記録媒体やマスクの損傷、欠陥
発生を抑えることができる。即ち、間隔を0.1μm以
上とすることで媒体表面のうねりにより磁化パターン形
成部分がマスクと予期せぬ接触を起こすのを防ぐ。従っ
て、接触部分で媒体の熱伝導度が変わるため、そこだけ
磁化されやすさが特異的に変化し、所望のパターン通り
に磁化パターンが形成されないといった問題がない。よ
り好ましくは0.2μm以上とする。ただし、間隔は1
mm以下とするのが好ましい。これにより、エネルギー
線の回折を小さく、磁化パターンがぼやけるといった問
題がない。
【0068】例えば、エキシマレーザ(248nm)を
用い、フォトマスクに形成された2×2μmのパターン
(2μmの透過部と2μmの非透過部を交互に持つパタ
ーン)を媒体に転写する場合、マスクと媒体のあいだの
距離は25〜45μm程度以下に保つ必要がある。これ
以上距離が大きいと、回折現象によってレーザ光の明暗
のパターンが鮮明でなくなる。1×1μmのパターン
(1μmの透過部と1μmの非透過部を交互に持つパタ
ーン)の場合、距離は10〜15μm程度以下とする。
【0069】フォトマスクを用いる場合は、上記条件の
範囲内で、媒体との距離をできるだけ短くするのが好ま
しい。距離が長いほど照射するエネルギー線の回り込み
により磁化パターンがぼやけやすくなるためである。こ
れを改善し、より明瞭なパターンを得るために、マスク
の透過部の外側に、回折格子の働きをする細い透過部を
形成したり、半波長板の働きをする手段を設けたりする
ことで回り込み光を干渉により打ち消すこともできる。
【0070】一方、ホログラムマスクを用いる場合は、
ホログラフに応じたパターンの結像面までの距離は予め
決まるため、その距離になるよう媒体との間隔を調節す
る。なお、プリズムを使用することで、マスクと媒体と
を近接させることができるようになる。磁気ディスクは
ディスクの主両面に磁性層が形成されている場合がある
が、その場合、本発明の磁化パターン形成は片面づつ、
逐次に行ってもよいし、マスク、エネルギー照射系およ
び外部磁界を印加する手段を磁気ディスクの両面に設置
して、両面同時に磁化パターン形成を行うこともでき
る。一面に二層以上の磁性層が形成されており、それぞ
れに異なるパターンを形成したい場合は、照射するエネ
ルギー線の焦点を各層に合わせることにより、各層を個
別に加熱し、個別のパターンを形成できる。磁化パター
ンを形成する際には、エネルギー線の光源とマスクとの
間、又はマスクと該媒体との間の照射をしたくない領域
に、エネルギー線を部分的に遮光可能な遮光板を設け
て、エネルギー線の再照射を防ぐ構造とするのが好まし
い。
【0071】遮光板としては、使用するエネルギー線の
波長を透過しないものであればよく、エネルギー線を反
射又は吸収すればよい。ただし、エネルギー線を吸収す
ると加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、熱伝
導率がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、C
r、Al、Feなどの金属板である。
【0072】また好ましくは光学系に縮小結像技術を用
いる。形成すべき磁化パターンに応じた強度分布を有す
るパターン化エネルギー線を縮小して媒体表面に結像さ
せる。これによれば、エネルギー線を対物レンズで絞っ
た後マスクを介する場合、すなわち近接露光の場合に比
較して、マスクのパターニング精度やアライメント精度
により磁化パターンの精度が制限されることがなく、よ
り微細な磁化パターンを精度良く形成することができ
る。また、マスクと媒体が離間しているため、媒体上の
ゴミの影響も受けにくい。以下、本技術を縮小結像技術
(結像光学系)と称することがある。光源から出射した
エネルギー線は、マスクを介して強度分布を変化させ、
結像レンズなどの結像手段を通して媒体表面に縮小結像
させる。なお、結像レンズは投影レンズと、縮小結像を
縮小投影と称することもある。マスクは、形成すべき磁
化パターンに応じて媒体上にエネルギー線の強弱(濃
淡)を形成するものであればよい。例えば、パターンに
応じてエネルギー線透過部と非透過部を作成したフォト
マスクや、特定のパターンを媒体上に結像するようにホ
ログラムが記録されたホログラムマスクなどである。
【0073】本技術においては、マスクと媒体の間に結
像手段を有する。従来、フォトマスクと媒体を密着させ
てエネルギー線を照射すると、材質によってはマスクが
エネルギー線を吸収して加熱され、密着した媒体表面の
温度も上昇し、磁化パターンが明瞭に書けなくなること
があるが、本発明によればこの問題点も解決される。つ
まり、磁化パターンが形成される媒体面は、パルス状エ
ネルギー線の照射時と非照射時で温度差が大きい方が、
パターンのコントラストを上げ、或いは記録密度を上げ
るために好ましい。従ってパルス状エネルギー線の非照
射時には媒体面は室温以下程度が好ましい。室温とは2
5℃程度である。また、マスクの前にコンデンサレンズ
を通すと、エネルギー線の強度分布を均一にでき、かつ
エネルギー線を効率よく結像レンズに集めることがで
き、好ましい。縮小結像技術は、エネルギー線のビーム
径と外部磁界強度が許す限り、どのような大きさ或いは
形状の磁化パターンにも適用できるが、磁化パターンが
微細なほど効果が高い。磁化パターンの最小幅が2μm
以下になると、媒体とマスクのアライメントが特に難し
くなるので、本技術の適用効果が高い。より好ましくは
1μm以下である。 なお、本願においてパターンの最
小幅とは、パターン中の最も狭い長さを言う。四角形の
パターンであれば短辺、円形ならば直径、楕円形ならば
短径である。形成可能なパターンの下限はなく、理論的
にエネルギー線の波長限界程度までの微細なパターンが
形成できる。例えばエキシマレーザ等で百nm程度であ
る。また本技術は、縮小結像することでより細かい磁化
パターンが形成できるので、データ記録/再生用ヘッド
の制御に用いる制御用パターンの形成に適用すると効果
が大きい。
【0074】本技術によれば精度の高いサーボパターン
又は基準パターンが得られるため、トラック密度が40
kTPI以上であるような高密度媒体に適用すると効果
が高い。また、磁化パターンが磁気ヘッドの走行方向に
対して斜めに延在するパターンを含む場合も、本発明に
よれば信号強度が強く取れるので非常に好ましい。これ
は、外部磁界からの磁界方向が乱されることなく所望の
領域かつ所望の方向に十分な磁界をかけられるからであ
る。走行方向に対して斜めの角度を有したパターンは磁
気ヘッドでは記録しにくい。また、特開平10−405
44号公報(EP915456号)に記載されたような
強磁性層を付けたマスター担体を使用した磁気転写法に
よれば、記録は可能であるが、信号強度の弱いパターン
しか作れない。
【0075】即ち、角度のあるパターンでは、磁化反転
のための磁界がマスター担体の強磁性層が作るギャップ
に垂直方向となってしまい所望の方向に磁化を傾けるこ
とができない。その結果、磁化反転方向が初期磁化方向
と完全に対向せず、十分な磁化反転パターンを形成でき
ず高い信号強度が得にくくなってしまう。
【0076】斜めに延在するパターンとは例えば、ヘッ
ド走行方向に直交する方向を基準線としたとき、該基準
線から傾きを擁しているパターンである。好ましくは基
準線からの傾きθが±45°以内であると、サーボ信号
として使用するにも十分な信号が取り出せる。これらの
ことから特に位相サーボ信号等の傾斜パターンには本発
明は好適である。
【0077】以上のような条件を最適化することによ
り、再生信号が大きく孤立波の半値幅が小さい磁化パタ
ーンを形成できる。すなわち磁化遷移幅が小さく磁区の
境界での磁化遷移が非常に急峻で再生信号の品質が高い
パターンが形成できる。条件を選べば磁化遷移幅1μm
以下、さらには0.5μm以下、0.3μm以下も可能
となる。
【0078】さらに、本発明の方法は、従来のレーザー
ビームにより凹凸パターンを形成する方法に比べて、レ
ーザービーム強度を低く抑えることができる点でも有利
であり、また凹凸が無いため浮上型/接触型ヘッドが不
安定となることもない。好ましくは媒体の表面粗度Ra
を3nm以下とし、うねりWaを5nm以下とする。
【0079】なお、磁気記録媒体には、通常、最内周や
最外周にヘッドの浮上・降下に使用する領域が設けられ
ている。例えば、CSS(コンタクト・スタートアンド
ストップ)方式の磁気ディスクならば、ユーザーデータ
記録部の他にCSSゾーンを有する。ヘッドが磁気記録
装置停止時に磁気記録媒体上から待避する方式(ロード
・アンロード方式)の磁気ディスクならば、ヘッドのラ
ンディングゾーンを有する。
【0080】CSSゾーン及びランディングゾーンは、
情報記録そのものには用いられないため、通常、制御用
磁化パターンを形成する必要はない。従って制御用磁化
パターンを形成してもしなくてもよい。エネルギー線の
照射により保護層や潤滑層の状態に悪影響を与える場合
にはCSSゾーン又はランディングゾーンには照射を行
わないほうがよい。逆にエネルギー線照射により潤滑剤
の結合が良好になるなど好影響を与える場合は照射する
ほうが好ましい。ただしこれは、保護層や潤滑層の種類
及び膜厚、CSSゾーン内の突起の形状等により異なる
と考えられる。
【0081】エネルギー線非照射の場合には、マスク手
段の非透過部や遮蔽板によりエネルギー線を遮断しても
よいし、エネルギー線の照射位置を調整して非照射とし
てもよい。エネルギー線を照射する場合には、マスク手
段の透過部で照射するかマスクであえて覆わないように
することで実現できる。
【0082】次に、本発明の磁気記録媒体の構成につい
て説明する。本発明の磁気記録媒体における基板として
は、高速記録再生時に高速回転させても振動しない必要
があり、通常、硬質基板が用いられる。振動しない十分
な剛性を得るため、基板厚みは一般に0.3mm以上が
好ましい。但し厚いと磁気記録装置の薄型化に不利なた
め、3mm以下が好ましい。例えば、Alを主成分とし
た例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主
成分とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、通
常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、非結
晶ガラス類、シリコン、チタン、セラミックス、各種樹
脂のいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板
などを用いることができる。中でもAl合金基板や強度
の点では結晶化ガラス等のガラス製基板、コストの点で
は樹脂製基板を用いることが好ましい。
【0083】本発明は硬質基板を有する媒体に適用する
と効果が高い。従来の磁気転写法では硬質基板を有する
媒体はマスターディスクとの密着が不十分になり傷や欠
陥が発生したり転写された磁区の境界が不明確でPW5
0が広がりやすい傾向があったが本発明ではマスクと媒
体とを圧着しないので硬質基板でもPW50の狭い良好
なパターンが形成できる。従って特に、ガラス製基板の
ようにクラックの入りやすい基板を有する媒体には効果
的である。
【0084】磁気ディスクの製造工程においては、まず
基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明に
おいても各層の密着性を確保する見地からもその形成前
に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。本発明の磁気記録
媒体の製造に際しては、基板表面にNiP、NiAl等
の金属層を形成してもよい。
【0085】金属層を形成する場合に、その手法として
は、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法、
CVD法など薄膜形成に用いられる方法を利用すること
ができる。導電性の材料からなる基板の場合であれば電
解めっきを使用することが可能である。金属層の膜厚は
50nm以上が好ましい。ただし、磁気ディスク媒体の
生産性などを考慮すると20μm以下であることが好ま
しい。さらに好ましくは10μm以下である。
【0086】また、金属層を成膜する領域は基板表面全
域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャリングを
施す領域のみでも実施可能である。また、基板表面、又
は基板に金属層が形成された表面に同心状テキスチャリ
ングを施してもよい。本発明において同心状テキスチャ
リングとは、例えば遊離砥粒とテキスチャーテープを使
用した機械式テキスチャリングやレーザ光線などを利用
したテキスチャリング、又はこれらを併用することによ
って、円周方向に研磨することによって基板円周方向に
微小溝を多数形成した状態を指称する。一般に、機械式
テキスチャリングは磁性層の面内異方性を出すために行
われる。面内等方性の磁性層としたい場合は施す必要は
ない。また一般に、レーザ光線などを利用したテキスチ
ャリングは、CSS(コンタクト・スタート・アンド・
ストップ)特性を良好にするために行われる。磁気ディ
スク装置が、非駆動時にヘッドをディスクの外に待避さ
せる方式(ロード・アンロード方式)などの場合は施す
必要はない。
【0087】機械的テキスチャリングに用いられる砥粒
としてはアルミナ砥粒が広く用いられているが、特にテ
キスチャリング溝に沿って磁化容易軸を配向させるとい
う面内配向媒体の観点から考えるとダイアモンド砥粒が
極めて良い性能を発揮する。中でも表面がグラファイト
化処理されているものが最も好ましい。
【0088】ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高
密度磁気記録の実現には有効であり、またこれら基板の
特長のひとつが優れた表面平滑性にあることから、基板
表面の粗度Raは2nm以下が好ましく、より好ましく
は1nm以下である。特に0.5nm以下が好ましい。
なお、基板表面粗度Raは、触針式表面粗さ計を用いて
測定長400μmで測定後、JIS B0601に則っ
て算出した値である。このとき測定用の針の先端は半径
0.2μm程度の大きさのものが使用される。
【0089】次に基板上には、磁性層との間に下地層等
を形成してもよい。下地層は、結晶を微細化し、かつそ
の結晶面の配向を制御することを目的とし、Crを主成
分とするものが好ましく用いられる。Crを主成分とす
る下地層の材料としては、純Crのほか、記録層との結
晶マッチングなどの目的で、CrにV、Ti、Mo、Z
r、Hf、Ta、W、Ge、Nb、Si、Cu、Bから
選ばれる1又は2以上の元素を添加した合金や酸化Cr
なども含む。
【0090】中でも純Cr、又はCrにTi、Mo、
W、V、Ta、Si、Nb、Zr及びHfから選ばれる
1又は2以上の元素を添加した合金が好ましい。これら
第二、第三元素の含有量はそれぞれの元素によって最適
な量が異なるが、一般には1原子%〜50原子%が好ま
しく、より好ましくは5原子%〜30原子%、さらに好
ましくは5原子%〜20原子%の範囲である。
【0091】下地層の膜厚はこの異方性を発現させ得る
に十分なものであればよいが、好ましくは0.1〜50
nmであり、より好ましくは0.3〜30nm、さらに
好ましくは0.5〜10nmである。Crを主成分とす
る下地層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくてもよ
い。下地層の上には、記録層との間に、場合により軟磁
性層を設けても良い。特に磁化遷移ノイズの少ないキー
パー媒体、或いは磁区が媒体の面内に対して垂直方向に
ある垂直記録媒体には、効果が大きく、好適に用いられ
る。
【0092】軟磁性層は透磁率が比較的高く損失の少な
いものであればよいが、NiFeや、それに第3元素と
してMo等を添加した合金が好適に用いられる。最適な
透磁率は、データの記録に利用されるヘッドや記録層の
特性によっても大きく変わるが、概して、最大透磁率が
10〜1000000(H/m)程度であることが好ま
しい。
【0093】或いはまた、Crを主成分とする下地層上
に必要に応じ中間層を設けてもよい。例えばCoCr系
中間層を設けると、磁性層の結晶配向が制御しやすく好
ましい。次に記録層(磁性層)を形成するが、記録層と
軟磁性層の間には下地層と同一材料の層又は他の非磁性
材料が挿入されていてもよい。記録層の成膜時は、基板
加熱を行っても行わなくてもよい。記録層としては、C
o合金磁性層、TbFeCoを代表とする希土類系磁性
層、CoとPdの積層膜を代表とする遷移金属と貴金属
系の積層膜等が好ましく用いられる。
【0094】Co合金磁性層としては、通常、純Coや
CoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiCr、C
oCrPtなどの磁性材料として一般に用いられるCo
合金磁性材料を用いうる。これらのCo合金に更にN
i、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの元素やSiO2
の化合物を加えたものでも良い。例えばCoCrPtT
a、CoCrPtB、CoNiPt、CoNiCrPt
B等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚は任意である
が、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以
上である。また、好ましくは50nm以下、より好まし
くは30nm以下である。また、本記録層は、適当な非
磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層しても
よい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであ
っても異なっていてもよい。
【0095】希土類系磁性層としては、磁性材料として
一般的なものを用いうるが、例えばTbFeCo、Gd
FeCo、DyFeCo、TbFeなどが挙げられる。
これらの希土類合金にTb、Dy、Hoなどを添加して
もよい。酸化劣化防止の目的からTi、Al、Ptが添
加されていてもよい。希土類系磁性層の膜厚は、任意で
あるが、通常5〜100nm程度である。また、本記録
層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層
以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組
成は、同じであっても異なっていてもよい。特に希土類
系磁性層は、アモルファス構造膜であり、かつメディア
面内に対して垂直方向に磁化を持つため高記録密度記録
に適し、高密度かつ高精度に磁化パターンを形成できる
本発明の方法がより効果的に適用できる。
【0096】同様に垂直磁気記録が行える、遷移金属と
貴金属系の積層膜としては、磁性材料として一般的なも
のを用いうるが、例えばCo/Pd、Co/Pt、Fe
/Pt、Fe/Au、Fe/Agなどが挙げられる。こ
れらの積層膜材料の遷移金属、貴金属は、特に純粋なも
のでなくてもよく、それらを主とする合金であってもよ
い。積層膜の膜厚は、任意であるが、通常5〜1000
nm程度である。また、必要に応じて3種以上の材料の
積層であってもよい。本発明においては、記録層は薄い
方が好ましい。記録層が厚いと、記録層を加熱したとき
の膜厚方向の熱の伝わりが悪く、良好に磁化されないお
それがあるためである。このため記録層膜厚は200n
m以下が好ましい。ただし、磁化を保持するために、記
録層膜厚は5nm以上が好ましい。
【0097】本発明において、記録層としての磁性層
は、室温において磁化を保持し、加熱時に消磁される
か、或いは加熱と同時に外部磁界を印加されることで磁
化される。磁性層は、室温において磁化を保持しつつ、
適当な加熱温度では弱い外部磁界で磁化されるものであ
る必要がある。また室温と磁化消失温度との差が大きい
方が磁化パターンの磁区が明瞭に形成しやすい。このた
め磁化消失温度は高いほうが好ましく、100℃以上が
好ましくより好ましくは150℃以上である。例えば、
キュリー温度近傍(キュリー温度のやや下)や補償温度
近傍に磁化消失温度がある。
【0098】キュリー温度は、好ましくは100℃以上
である。100℃未満では、室温での磁区の安定性が低
い傾向がある。より好ましくは150℃以上である。ま
た好ましくは700℃以下である。磁性層をあまり高温
に加熱すると、変形してしまう可能性があるためであ
る。磁気記録媒体が面内磁気記録媒体である場合、高密
度用の高い保磁力を持った磁気記録媒体に対しては従来
の磁気転写法では飽和記録が難しく、磁界強度の高い磁
化パターン生成が困難となり、半値幅も広がってしま
う。このような高記録密度に適した面内記録媒体でも、
本方法によれば良好な磁化パターン形成が可能となる。
特に、該磁性層の飽和磁化が50emu/cc以上であ
る場合は、反磁界の影響が大きいので本発明を適用する
効果が大きい。
【0099】100emu/cc以上だとより効果が高
い。ただしあまり大きいと磁化パターンの形成がしにく
いため、500emu/cc以下が好ましい。磁気記録
媒体が垂直磁気記録媒体であり、磁化パターンが比較的
大きく1磁区の単位体積が大きい場合は、飽和磁化が大
きくなり、磁気的な減磁作用で磁化反転が起こりやすい
ためそれがノイズとなり半値幅を悪化させる。しかし、
本発明では、軟磁性を使用した下地層の併用で、これら
の媒体にも良好な記録が可能となる。これら記録層は、
記録容量増大などのために、二層以上設けてもよい。こ
のとき、間には他の層を介するのが好ましい。
【0100】本発明においては、磁性層上に保護層を形
成するのが好ましい。すなわち、媒体の最表面を硬質の
保護層により覆う。保護層はヘッドや衝突や塵埃・ゴミ
等のマスクとの挟み込みによる磁性層の損傷を防ぐ働き
をする。本発明のようにマスクを用いた磁化パターン形
成法を適用する際には、マスクとの接触から媒体を保護
する働きもある。また、本発明において保護層は、加熱
された磁性層の酸化を防止する効果もある。磁性層は一
般に酸化されやすく、加熱されると更に酸化されやす
い。本発明では磁性層をエネルギー線などで局所的に加
熱するため、酸化を防ぐための保護層を磁性層上に予め
形成しておくのが望ましい。磁性層が複数層ある場合に
は、最表面に近い磁性層の上に保護層を設ければよい。
保護層は磁性層上に直接設けても良いし、必要に応じて
間に他の働きをする層をはさんでも良い。
【0101】エネルギー線の一部は保護層でも吸収さ
れ、熱伝導によって磁性層を局所的に加熱する働きをす
る。このため保護層が厚すぎると横方向への熱伝導によ
り磁化パターンがぼやけてしまう可能性があるので、膜
厚は薄い方が好ましい。また記録再生時の磁性層とヘッ
ドとの距離を小さくするためにも薄い方が好ましい。従
って50nm以下が好ましく、より好ましくは30nm
以下、さらに好ましくは20nm以下である。ただし、
充分な耐久性を得るためには0.1nm以上が好まし
く、より好ましくは1nm以上である。
【0102】保護層としては、硬質で酸化に強い性質を
有していればよい。一般にカーボン、水素化カーボン、
窒素化カーボン、アモルファスカーボン、SiC等の炭
素質層やSiO2、Zr23、SiN、TiNなどが用
いられる。保護層が磁性を有する材料であっても良い。
特にヘッドと磁性層の距離を極限まで近づけるために
は、非常に硬質の保護層を薄く設けることが好ましい。
従って耐衝撃性及び潤滑性の点で炭素質保護膜が好まし
く、特にダイヤモンドライクカーボンが好ましい。エネ
ルギー線による磁性層の損傷防止の役割を果たすだけで
なく、ヘッドによる磁性層の損傷にも極めて強くなる。
本発明の磁化パターン形成法は、炭素質保護層のような
不透明な保護層に対しても適用できる。また、保護層が
2層以上の層から構成されていてもよい。磁性層の直上
の保護層としてCrを主成分とする層を設けると、磁性
層への酸素透過を防ぐ効果が高く好ましい。
【0103】更に保護層上には潤滑層を形成するのが好
ましい。媒体のマスク及び磁気ヘッドによる損傷を防ぐ
機能を持つ。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系
潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げ
られ、ディップ法、スピンコート法などの常法で塗布す
ることができる。蒸着法で成膜してもよい。磁化パター
ン形成の妨げとならないために潤滑層は薄い方が好まし
く、10nm以下が好ましい。より好ましくは4nm以
下である。十分な潤滑性能を得るためには0.5nm以
上が好ましい。より好ましくは1nm以上である。潤滑
層上からエネルギー線を照射する場合には、潤滑剤のダ
メージ(分解、重合)等を考慮し、再塗布などを行って
もよい。また、以上の層構成には他の層を必要に応じて
加えても良い。
【0104】浮上型/接触型ヘッドの走行安定性を損な
わないよう、磁化パターン形成後の該媒体の表面粗度R
aは3nm以下に保つのが好ましい。なお、媒体表面粗
度Raとは潤滑層を含まない媒体表面の粗度であって、
触針式表面粗さ計(機種名:Tencor P-12 disk profile
r(KLA Tencor社製))を用いて測定長400μmで測
定後、JIS B0601に則って算出した値である。
より好ましくは1.5nm以下とする。望ましくは磁化
パターン形成後の該媒体の表面うねりWaを5nm以下
に保つ。Waは潤滑層を含まない媒体表面のうねりであ
って、触針式表面粗さ計(機種名:Tencor P-12 disk p
rofiler(KLA Tencor社製))を用いて測定長2mmで
測定後、Ra算出に準じて算出した値である。より好ま
しくは3nm以下とする。ところで、このように構成さ
れる磁気記録媒体への磁化パターンの形成は、記録層
(磁性層)に対して行う。記録層上に保護層や潤滑層な
どを形成した後に記述のいずれかの方法で行うのが好ま
しいが、記録層の酸化のおそれが無い場合は記録層の成
膜直後に行っても良い。
【0105】磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法と
しては各種の方法が採りうるが、例えば直流(マグネト
ロン)スパッタリング法、高周波(マグネトロン)スパ
ッタリング法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法な
どの物理的蒸着法が挙げられる。また、成膜時の条件と
しては、得るべき媒体の特性に応じて、到達真空度、基
板加熱の方式と基板温度、スパッタリングガス圧、バイ
アス電圧等を適宜決定する。例えば、スパッタリング成
膜では、通常の場合、到達真空度は5×10-6Torr
以下、基板温度は室温〜400℃、スパッタリングガス
圧は1×10-3〜20×10-3Torr、バイアス電圧
は0〜−500Vが好ましい。
【0106】基板を加熱する場合は下地層形成前から加
熱しても良い。或いは、熱吸収率が低い透明な基板を使
用する場合には、熱吸収率を高くするため、Crを主成
分とする種子層又はB2結晶構造を有する下地層を形成
してから基板を加熱し、しかる後に記録層等を形成して
も良い。記録層が、希土類系の磁性層の場合には、腐食
・酸化防止の見地から、ディスクの最内周部及び最外周
部を最初マスクして、記録層まで成膜、続く保護層の成
膜の際にマスクを外し、記録層を保護層で完全に覆う方
法や、保護層が2層の場合には、記録層と第一の保護層
までをマスクしたまま成膜、第2の保護層を成膜する際
にマスクを外し、やはり記録層を第二の保護層で完全に
覆うようにすると希土類系磁性層の腐食、酸化が防げて
好適である。
【0107】本発明の磁気記録装置は、少なくとも上述
してきた磁気記録媒体と、これを記録方向に駆動する駆
動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘ
ッドを磁気記録媒体に対して相対移動させる手段と、磁
気ヘッドへの信号入力と磁気ヘッドからの再生信号再生
を行うための記録再生信号処理手段を有する磁気記録装
置である。
【0108】また、磁気記録媒体を装置に組みこんだ
後、上記磁化パターンを磁気ヘッドにより再生し信号を
得、該信号を基準としてサーボバースト信号を該磁気ヘ
ッドにより記録してなる磁気記録装置に用いても、簡易
に精密なサーボ信号を得ることが可能である。また、磁
気ヘッドでのサーボバースト信号記録後にも、ユーザデ
ータ領域として用いられない領域には本発明により磁化
パターンとして記録した信号が残っていると何らかの外
乱により磁気ヘッドの位置ずれが起きたときにも所望の
位置に復帰させやすいので、両者の書き込み方法による
信号が存在する磁気記録装置は、信頼性が高い。
【0109】磁気記録装置として代表的な、磁気ディス
ク装置を例に説明する。磁気ディスク装置は、通常、磁
気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシ
ャフトと、該シャフトにベアリングを介して接合された
磁気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再
生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたア
ームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上
の任意の位置に移動させることのできるアクチュエータ
とからなり、記録再生用ヘッドが磁気記録媒体上を一定
の浮上量で移動している。記録情報は、信号処理手段を
経て記録信号に変換されて磁気ヘッドにより記録され
る。また、磁気ヘッドにより読み取られた再生信号は同
信号処理手段を経て逆変換され、再生情報が得られる。
【0110】ディスク上には、情報信号が同心円状のト
ラックに沿って、セクター単位で記録される。サーボパ
ターンは通常、セクター間に記録される。磁気ヘッドは
該パターンからサーボ信号を読み取り、これによりトラ
ックの中心に正確にトラッキングを行い、そのセクター
の情報信号を読み取る。記録時も同様にトラッキングを
行う。
【0111】前述の通り、サーボ信号を発生するサーボ
パターンは、情報を記録する際のトラッキングに使用す
るという性質上、特に高精度が要求される。また現在多
く使用されているサーボパターンは、1トラックあた
り、互いに1/2ピッチずれた2組のパターンからなる
ため、情報信号の1/2のピッチ毎に形成する必要があ
り、2倍の精度が要求される。
【0112】しかしながら、従来のサーボパターン形成
方法では、外部ピンとアクチュエータの重心が異なるこ
とから生じる振動の影響でライトトラック幅で0.2〜
0.3μm程度が限界であり、トラック密度の増加にサ
ーボパターンの精度が追いつかず、磁気記録装置の記録
密度向上及びコストダウンの妨げとなりつつある。本発
明によれば、効率よく精度の高い磁化パターンを形成す
ることができるので、従来のサーボパターン形成方法に
比べて格段に低コスト、短時間で精度良くサーボパター
ンを形成でき、例えば40kTPI以上に媒体のトラッ
ク密度を高めることができる。従って本媒体を用いた磁
気記録装置は高密度での記録が可能となる。
【0113】また、位相サーボ方式を用いるとヘッドの
位置変化に対して、連続的に変化するサーボ信号が得ら
れるので、よりトラック密度を上げられる可能性があ
り、特に、本発明による半値幅の狭い信号を発生できる
磁化パターンを用いた場合は0.1μm幅以下でのトラ
ッキングも可能となり、より高密度記録が可能である。
前述のように、位相サーボ方式には、例えば、内周から
外周に、半径に対して斜めに直線的に延びる磁化パター
ンが用いられる。特に、トラッキング用サーボ磁化パタ
ーン又はサーボパターン書き込み用基準磁化パターンに
おいて、磁気ヘッドの相対移動方向に対して90度、及
びこの90度から±θ度(0<θ≦45)の角度をなす
直線状磁化パターンが用いられる。つまり、磁気ディス
クであれば半径方向の直線パターンと、それから±45
度以内傾いた斜めの直線パターンである。このような、
半径方向に連続したパターンや斜めのパターンは、ディ
スクを回転させながら1トラックずつサーボ信号を記録
する従来のサーボパターン形成方法では作りにくく、複
雑な計算や構成が必要であった。
【0114】しかし本発明によれば、形状に応じたマス
クを一旦作成すれば、ディスク上の所望の位置でマスク
露光するだけで、例えば図2に示すような斜めの直線パ
ターン(θ=35度)を容易に形成できるため、位相サ
ーボ方式に用いる精度が極めて高い磁化パターンを有す
る媒体を簡単かつ短時間、安価に作成することができ
る。ひいては、高密度記録が可能な、位相サーボ方式の
磁気記録装置を提供できる。
【0115】また、上記の磁化パターン形成法により、
磁気ヘッドの相対移動方向に対してそれぞれ(90±θ
1)度及び(90±θ2)度(ただし、θ1>θ2、0<θ
1≦45、0≦θ2<45)の角度をなす少なくとも2種
の直線パターンを含む磁化パターンであって、直線パタ
ーンの再生信号の孤立波の出力をそれぞれP(90±θ
1)及びP(90±θ2)とすると、 P(90±θ1)/P(90±θ2)≧0.9×cos
(θ1−θ2) を満たす磁化パターンが形成できる。
【0116】例えばθ1=35度、θ2=0度の2種の直
線パターンを描いた場合を考える。θ1=35度は即
ち、ヘッド進行方向から55度傾いたパターン、θ2
0度はヘッド進行方向に対して90度傾いた、つまり直
交するパターンである。例えば、θ1=35度、θ2=0
度の場合、P(55度)/P(90度)≧0.9×co
s(35度)=0.9×0.819=0.737である
から、55度の直線パターンの出力が90度の直線パタ
ーンの出力の約74%以上であればよい。ここでcos
(35度)は、磁気ヘッドを通常のトラック方向に進行
させて傾き55度の直線パターンを再生したときの出力
のアジマスロス分である。つまり上記の式は、アジマス
ロス分を差し引けば、どのような斜め直線パターンであ
っても再生信号がほぼ同程度となるように形成されてい
ることを意味する。すなわち、制御用磁化パターンが傾
きをもった直線パターンである場合にも、所定以上の出
力が得られることで、磁気ヘッドの位置精度を上げるこ
とができる。
【0117】なお、磁気ディスクであれば直線パターン
は通常、半径方向に略放射状に形成されていればよく、
ヘッドの移動方向に合わせて多少曲線状であってもよ
い。上述の従来の磁気転写法ではこのような斜め直線パ
ターンの形成は困難であった。例えば、特開昭50−6
0212号公報(USP3、869、711号)に高透
磁率の軟磁性材料をシールド材として使ったマスターテ
ープ及びマスターディスクにより、テープ及びディスク
に磁気転写する技術が紹介され、かつテープ媒体におい
て、磁気転写可能なパターンとして鋸状のサーボパター
ンが紹介されている。
【0118】このような磁化パターンの作成は確かに可
能であるが、保磁力が2000〜2500Oe以上の高
保磁力媒体に対しては、転写の磁界強度を確保するため
に、マスターディスクのパターン用強磁性体(シールド
材)は、パーマロイあるいはセンダスト等の飽和磁束密
度の大きい軟磁性体を使わざるを得ない。しかしこの場
合、走行方向に対して斜めの角度を有したパターンは、
記録は可能であるが信号強度の弱いパターンしか作れな
い。
【0119】即ち、角度のあるパターンでは、磁化反転
の磁界はマスターディスクの軟磁性体が作るギャップに
垂直方向となってしまい所望の方向に磁化を傾けること
ができない。その結果、磁区同士が互いに直線上に向き
合いにくく、磁化遷移幅の狭い磁化パターンが生成でき
ない。こうした磁化パターンの再生出力は、磁気ヘッド
の進行方向に対して90度のパターンに対して、アジマ
スロス以上に大きく減じる。また、半値幅も、本発明方
法で形成した半値幅よりも広くサーボの位置情報として
は誤差を多く含む。
【0120】実験例として、図2に示すような磁化パタ
ーン(θ=35度)を特開昭50−60212に示され
た磁気転写法で形成すると、P(55度)/P(90
度)=0.6であり、0.737を超えなかった。一
方、本発明方法で形成したパターンでは0.87であり
0.737以上であり上記式を満たした。以上のように
制御用磁化パターンを予め形成した磁気記録媒体、及び
この磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置は、高精度
のサーボ信号を有する。或いは、高精度の基準信号を有
するので、該基準信号をもとにして、装置内で精度の高
いサーボ信号を書込むことができる。
【0121】磁気ヘッドとしては、薄膜ヘッド、MRヘ
ッド、GMRヘッド、TMRヘッドなど各種のものを用
いることができる。上述の磁気ヘッドの再生部をMRヘ
ッドで構成することにより、高記録密度においても十分
な信号強度を得ることができ、より高記録密度の磁気記
録装置を実現することができる。
【0122】またこの磁気ヘッドを、浮上量が0.00
1μm以上、0.05μm未満と、従来より低い高さで
浮上させると、出力が向上して高い装置S/Nが得ら
れ、大容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することが
できる。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合
わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック
密度13kTPI以上、線記録密度250kFCI以
上、1平方インチ当たり3Gビット以上の記録密度で記
録・再生する場合にも十分なS/Nが得られる。
【0123】さらに磁気ヘッドの再生部を、互いの磁化
方向が外部磁界によって相対的に変化することによって
大きな抵抗変化を生じる複数の導電性磁性層と、その導
電性磁性層の間に配置された導電性非磁性層からなるG
MRヘッド、あるいはスピン・バルブ効果を利用したG
MRヘッドとすることにより、信号強度をさらに高める
ことができ、1平方インチ当たり10Gビット以上、3
50kFCI以上の線記録密度を持った信頼性の高い磁
気記録装置の実現が可能となる。
【0124】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いて説明するが、
その要旨の範囲を越えない限り本発明は実施例に限定さ
れるものではない。なお、以下の実施例において再生信
号の孤立波の半値幅と出力の評価は以下のように行っ
た。すなわち、磁気ディスクを回転数4200rpmで
回転させ、リード幅が0.9μmのMRヘッドで出力し
た。得られた再生信号波形において、0−to−pea
k値を最大出力とした。最大出力の50%となる出力で
のパルス幅を半値幅とする。信頼性を得るため、いずれ
も連続10パルスの平均値とした。 (実施例1)2.5インチ径のアルミノシリケート系ガ
ラス基板を洗浄、乾燥し、その上に到達真空度:1×1
-7Torr、基板温度:350℃、バイアス電圧:−
200V、スパッタリングガス圧:Arで3×10-3
orrの条件下で、NiAlを60nm、Cr94Mo6
を10nm、記録層としてCo76Cr13Pt8Ta3を2
0nm、保護層としてカーボン(ダイヤモンドライクカ
ーボン)を5nm成膜した。表面粗度Raは0.5n
m、うねりWaは0.8nmであった。その上には潤滑
層としてフッ素系潤滑剤を1.5nmの厚さに塗布し、
100℃で40分焼成し、室温での保磁力3300O
e、飽和磁化310emu/ccの面内記録用磁気ディ
スクを得た。記録層のキュリー温度は330℃であっ
た。
【0125】磁化パターン形成のため、電磁石を磁界方
向がディスクの回転方向と同じとなるように構成して、
約10kOe(約10kガウス)の強度で印加して、デ
ィスク面を一様に磁化した。その後、後述する透過/非
透過パターンを有するCrマスク上に厚さ30μmのス
ペーサを介して磁気ディスクを静置し、該マスクのパタ
ーンの位置がレーザのスポットの中心に来るように角度
出ししながら、波長λ=248nmのエキシマパルスレ
ーザをパルス幅:25nsec、パワー:80mJ/c
2、スポット:10mm×30mm(ピークエネルギ
ーの1/e2となる大きさ)、周波数:10Hzとして
ディスク全面に照射し、同時に外部磁界を、予め一様磁
化した方向とは逆方向に永久磁石にて印加し磁気パター
ンの形成を試みた。
【0126】加温時の外部磁界は1.2kガウス、1.
6kガウス、2.1kガウスと変化させた。Crマスク
にはガラス板上に約20nm厚のCr層が形成され、該
Cr層の無い部分で形成した透過部が半径15mmから
半径30mmの位置の間で形成されている。透過部は、
ヘッド進行方向に対して90度直線パターン列(θ=0
度、幅2μmのライン&スペース)と55度直線パター
ン列(θ=35度、幅2μmのライン&スペース)とが
円周方向にディスク中心角度5°毎に交互に形成されて
なる。前者は同期パターン、後者は位相の変化から半径
方向の位置情報を検出するための位相サーボパターンで
ある。凸部が非透過であって凹部が透過部であり、凸部
がよりディスクに近接する。
【0127】図5は本実施例の磁化パターン形成装置の
模式図である。回転可能なスピンドル8に固定されたタ
ーンテーブル6上に、所望のパターンが形成されたマス
ク2と磁気ディスク1を内周スペーサ10、外周スペー
サ11を介して載置したのちネジ止め等によるディスク
及びマスクの固定部5にて固定後、溝7により真空吸着
する。ここに遮光板3を通してレーザ4を照射する。レ
ーザ4のビーム形状は遮光板3通過後、略扇形となり、
マスク2に入射し、パターン形状に合わせてディスク1
に照射される。なお、図示しないがマスク2には形成す
べきパターンに合わせて微小な凹凸が形成されている。
【0128】レーザ照射のための光学系を図4に示す。
レーザ光源から発振したレーザはプログラマブルシャッ
ターを通過後、アッテネータ、ビーム径を拡大し平行光
にするコリメータレンズ、とビーム強度を均一にするホ
モジナイザーとを経て磁気ディスクに照射される。磁化
パターン形成の有無は、磁気現像液により磁化パターン
を現像して光学顕微鏡で観察することで確かめた。その
結果、マスクの透過部と非透過部に応じた制御磁化パタ
ーンをレーザ照射部に相当する全ての部位で得ることが
できた。
【0129】さらにリード幅が0.9μmのMRヘッド
で再生し信号品質を確認した。図1(a)(b)(c)
に、外部磁界強度1.2kガウス、1.6kガウス、
2.1kガウスで形成した90度直線パターンの再生信
号波形を示す。併せて、図1(d)に記録幅1.3μm
の磁気ヘッドで飽和記録した幅2μmの情報磁化パター
ンの再生信号波形を示す。横軸目盛は100ns/Di
v、縦軸目盛は100mV/Divである。
【0130】また、表−1に各磁界強度で形成した90
度直線パターンの再生信号の孤立波の半値幅を示す。併
せて、上記磁気ヘッドで飽和記録した幅2μmの情報磁
化パターンの再生信号の孤立波の半値幅を示す。
【0131】
【表1】
【0132】表−1より、再生信号の半値幅は外部磁界
強度1.6kOe(1.6kガウス)の時のパターンが
最適で、この時の半値幅は常温での磁気ヘッドによる飽
和記録よりも狭くなり、サーボ信号として優れているこ
とが分かる。また、外部磁界強度1.6kOeの時の9
0度直線パターンの再生信号の出力は320mVであっ
た。次に、同様に外部磁界強度1.6kOeで形成した
55度直線パターンを再生し再生信号の出力を測定した
ところ、275mVであった。P(55度)/P(90
度)=0.859であり、0.9×cos(35度)=
0.9×0.819=0.737であるから、本実施例
で形成した磁化パターンはP(55度)/P(90度)
≧0.9×cos(35度)の式を満たしている。
【0133】以上のように半値幅の狭い磁気記録媒体
は、その媒体を用いることで、隣接信号との干渉が少な
くなり制御用信号の線記録密度を上げることができる。
即ち同一占有面積で磁気記録媒体一周当たりに収納でき
る制御用信号の数を増やすことができ、制御用信号の帯
域幅が上げられ制御のために使用できる信号が増やせる
ので、欠陥にも強くなるなどの利点が得られる。また、
高精度の制御用磁化パターンを形成した磁気記録媒体
は、磁気ヘッドの位置制御が高精度に行えるためトラッ
ク密度を上げることができ高密度記録が可能である。ま
た同期精度も向上するためギャップ部を小さくすること
ができ、記録容量をさらに上げることができる。この磁
気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置は、磁気ヘッドの
位置制御が高精度に行え、かつ同期精度も向上するた
め、高密度及び高容量記録が可能となる。
【0134】(実施例2)実施例1と同様に磁気ディス
クを作成し、制御用磁化パターンの形成を行い、評価し
た。ただし、磁界強度を1.6kガウスとしてスペーサ
の厚さを15,25,40,100μmと変えてマスク
と媒体の間隔を変化させた。表−2にこのときの55度
直線パターンの再生信号の孤立波の半値幅と出力を示
す。併せて、同磁気ヘッドによって図3のごとく0.3
μmずつトラック位置を半径方向にずらしながら形成し
た、ヘッドの進行方向に対して55度のパターン(θ=
35度)の再生信号の孤立波の半値幅と出力を示す。
【0135】
【表2】
【0136】磁気ヘッドで書いた信号と比較すると、マ
スクと媒体の間隔を100μmとしたもの以外は、半値
幅は優れ出力は同等であることが分かる。以上のように
半値幅の狭い磁気記録媒体は、その媒体を用いること
で、隣接信号との干渉が少なくなり制御用信号の線記録
密度を上げることができる。即ち同一占有面積で磁気記
録媒体一周当たりに収納できる制御用信号の数を増やす
ことができ、制御用信号の帯域幅が上げられる制御のた
めに使用できる信号が増やせるので、欠陥にも強くなる
などの利点が得られる。また、高精度の制御用磁化パタ
ーンを形成した磁気記録媒体は、磁気ヘッドの位置制御
が高精度に行えるためトラック密度を上げることができ
高密度記録が可能である。また同期精度も向上するため
ギャップ部を小さくすることができ、記録容量をさらに
上げることができる。この磁気記録媒体を組み込んだ磁
気記録装置は、磁気ヘッドの位置制御が高精度に行え、
かつ同期精度も向上するため、高密度及び高容量記録が
可能となる。
【0137】(実施例3)2.5インチ径のアルミノシ
リケート系ガラス基板を洗浄、乾燥し、その上に到達真
空度:1×10-7Torr、基板温度:350℃、バイ
アス電圧:−200V、スパッタリングガス圧:Arで
3×10-3Torrの条件下で、Cr90Ti10を40n
m、Co65Cr35を20nm、記録層としてCo71Cr
19Pt10を80nm、保護層としてカーボン(ダイヤモ
ンドライクカーボン)を5nm成膜した。表面粗度Ra
は0.6nm、うねりWaは0.9nmであった。その
上には潤滑層としてフッ素系潤滑剤を1.5nmの厚さ
に塗布し、100℃で40分焼成し、室温での保磁力2
500Oe、飽和磁化380emu/ccの垂直記録用
磁気ディスクを得た。記録層のキュリー温度は310℃
であった。
【0138】磁化パターン形成のため、電磁石を磁界方
向がディスク面に垂直となるように構成して約10kO
e(約10kガウス)の強度で印加して、ディスク面を
一様に磁化した。その後、スペーサ厚みを25μm、エ
キシマパルスレーザのパワーを70mJ/cm2とし、
0.9kガウスの外部磁界を最初の垂直方向の一様磁化
とは逆向き印加した以外は実施例1と同様に磁化パター
ンを形成した。
【0139】磁化パターン形成の有無は、磁気現像液に
より磁化パターンを現像して光学顕微鏡で観察すること
で確かめた。その結果、マスクの透過部と非透過部に応
じた制御磁化パターンをレーザ照射部に相当する全ての
部位で得ることができた。さらにリード幅が0.9μm
のMRヘッドで再生し信号品質を確認したところ、90
度直線パターンの再生信号の孤立波の半値幅は14.3
nsであった。一方、記録幅1.3μmの磁気ヘッドで
飽和記録した幅2μmの情報磁化パターンの再生信号の
孤立波の半値幅は16.4nsであった。なお、垂直記
録であるので、信号波形を微分回路により処理したのち
の半値幅の比較である。
【0140】これより、垂直記録においても、室温での
磁気ヘッドによる飽和記録より半値幅は狭く、サーボ信
号として優れていることが分かる。以上のように半値幅
の狭い磁気記録媒体は、その媒体を用いることで、隣接
信号との干渉が少なくなり制御用信号の線記録密度を上
げることができる。即ち同一占有面積で磁気記録媒体一
周当たりに収納できる制御用信号の数を増やすことがで
き、制御用信号の帯域幅が上げられる制御のために使用
できる信号が増やせるので、欠陥にも強くなるなどの利
点が得られる。
【0141】また、高精度の制御用磁化パターンを形成
した磁気記録媒体は、磁気ヘッドの位置制御が高精度に
行えるためトラック密度を上げることができ高密度記録
が可能である。また同期精度も向上するためギャップ部
を小さくすることができ、記録容量をさらに上げること
ができる。この磁気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置
は、磁気ヘッドの位置制御が高精度に行え、かつ同期精
度も向上するため、高密度及び高容量記録が可能とな
る。 (実施例4)実施例1と同様に磁気ディスクを作成し、
制御用磁化パターンの形成を行い、評価した。ただし、
磁界強度を1.7kガウス、エキシマパルスレーザのパ
ワーを170mJ/cm2、スペーサの厚さを5μmと
小さくした。なお、マスクパターンは実施例1と同一の
ものを使用した。なお、磁化パターンの有無は、磁気現
像液により磁化パターンを現像して光学顕微鏡で観察す
ることで確かめた。その結果、マスクとの透過部と非透
過部に応じた制御磁化パターンをレーザ照射部に相当す
る全ての部位で得ることが出来た。形成された磁化パタ
ーンの再生信号の孤立波の半値幅の評価は、記録幅0.
75μm、リード幅0.45μmの磁気ヘッドを用いて
行った。その結果、90度直線パターンでは半値幅8.
5nsec、傾き55度直線パターンでは半値幅15.
4nsecであった。一方、同磁気ヘッド(記録幅0.
75μm)の磁気ヘッドで飽和記録した幅2μmの情報
磁化パターンの再生信号の孤立波の半値幅は9.2ns
であった。つまり、高密度記録に用いられる狭ギャップ
の磁気ヘッドで再生した場合でも、磁気ヘッドで書きこ
んだ場合の再生波形より半値幅が狭く、高密度記録にお
ける本発明の有用性が示された。また、本実施例により
形成された55度直線パターンの再生出力は110m
V、90度直線パターンの再生出力は143mVであっ
た。よって、P(55度)/P(90度)=0.77で
あり、P(55度)/P(90度)≧0.9×cos
(35度)=0.737の式を満たしている。
【0142】以上のように半値幅の狭い磁気記録媒体
は、その媒体を用いることで、隣接信号との干渉が少な
くなり制御用信号の線記録密度を上げることができる。
即ち同一占有面積で磁気記録媒体一周当たりに収納でき
る制御用信号の数を増やすことができ、制御用信号の帯
域幅が上げられ制御のために使用できる信号が増やせる
ので、欠陥にも強くなるなどの利点が得られる。また、
高精度の制御用磁化パターンを形成した磁気記録媒体
は、磁気ヘッドの位置制御が高精度に行えるためトラッ
ク密度を上げることができ高密度記録が可能である。ま
た同期精度も向上するためギャップ部を小さくすること
ができ、記録容量をさらに上げることができる。この磁
気記録媒体を組み込んだ磁気記録装置は、磁気ヘッドの
位置制御が高精度に行え、かつ同期精度も向上するた
め、高密度及び高容量記録が可能となる。
【0143】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の高精度の
制御用磁化パターンを形成した磁気記録媒体は、磁気ヘ
ッドの位置制御が高精度に行えるためトラック密度を上
げることができ高密度記録が可能である。また同期精度
も向上するためギャップ部を小さくすることができ、記
録容量をさらに上げることができる。この磁気記録媒体
を組み込んだ磁気記録装置は、磁気ヘッドの位置制御が
高精度に行え、かつ同期精度も向上するため、高密度及
び高容量記録が可能となる。
【0144】また、本発明の磁気記録媒体の磁化パター
ン形成方法によれば、このような精度の高い制御用磁化
パターンを短時間かつ安価に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の実
施例1の再生信号波形である。
【図2】磁気ヘッドの進行方向に対して55度の角度を
なす直線パターン列(θ=35度)の説明図
【図3】磁気ヘッドの進行方向に対して55度の角度を
なす階段状パターン列(θ=35度)の説明図
【図4】本発明の実施例で用いたレーザ照射光学系の説
明図
【図5】本発明の実施例で用いた磁化パターン形成装置
の断面模式図
【符号の説明】
1 磁気ディスク 2 マスク 3 遮光板 4 レーザ 5 固定部 6 ターンテーブル 7 溝 8 スピンドル 9 外部磁界印加磁石 10 内周スペーサ 11 外周スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 5/852 G11B 5/852 A 21/10 21/10 Z Fターム(参考) 5D006 AA02 AA05 AA06 BA19 BB07 DA04 EA05 5D091 AA10 BB08 CC17 FF11 GG33 HH20 5D096 AA02 DD08 EE01 GG01 WW01 5D112 AA05 AA07 AA24 BC01 BC05 DD02 GB01

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ヘッドで情報用磁化パターンを形成
    して情報を記録するための磁気記録媒体であって、 該媒体が3000Oe以上の保磁力を有する面内磁気記
    録媒体であり、 該媒体には該磁気ヘッドの制御用磁化パターンが予め形
    成されてなり、かつ、制御用磁化パターンの再生信号の
    孤立波の半値幅が、情報用磁化パターンの再生信号の孤
    立波の半値幅よりも小さいことを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 該媒体の保磁力が3300Oe以上であ
    る、請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁気ヘッドで情報用磁化パターンを形成
    して情報を記録するための磁気記録媒体であって、 該媒体が垂直磁気記録媒体であり、 該媒体には該磁気ヘッドの制御用磁化パターンが予め形
    成されてなり、かつ、該制御用磁化パターンの再生信号
    の孤立波の半値幅が、情報用磁化パターンの再生信号の
    孤立波の半値幅よりも小さいことを特徴とする磁気記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 該媒体の保磁力が2500Oe以上であ
    る、請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 制御用磁化パターンの再生信号の孤立波
    の半値幅が、情報用磁化パターンの再生信号の孤立波の
    半値幅の95%以下である請求項1乃至4のいずれかに
    記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 制御用磁化パターンの再生信号の孤立波
    の半値幅が、情報用磁化パターンの再生信号の孤立波の
    半値幅の90%以下である請求項1乃至4のいずれかに
    記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 磁気ヘッドで情報用磁化パターンを形成
    して情報を記録するための磁気記録媒体であって、 該媒体には該磁気ヘッドの制御用磁化パターンが予め形
    成され、かつ、該制御用磁化パターンは磁気ヘッドの相
    対移動方向に対してそれぞれ(90±θ1)度及び(9
    0±θ2)度(ただし、θ1>θ2、0<θ1≦45度、0
    ≦θ2<45度)の角度をなす少なくとも2種の直線パ
    ターンを含んでなり、 該直線パターンの再生信号の孤立波の出力をそれぞれP
    (90±θ1)及びP(90±θ2)とすると、 P(90±θ1)/P(90±θ2)≧0.9×cos
    (θ1−θ2) を満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 制御用磁化パターンが、位相制御による
    位置制御用磁化パターンである請求項1乃至7のいずれ
    かに記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 該媒体が基板上に磁性層を有してなり、
    磁性層の磁化が消失する温度が100℃以上である請求
    項1乃至8のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 該媒体が基板上に磁性層と保護層を順
    次有してなる請求項1乃至9のいずれかに記載の磁気記
    録媒体。
  11. 【請求項11】 保護層の膜厚が50nm以下である請
    求項10に記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 保護層がダイヤモンドライクカーボン
    からなる請求項10又は11に記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 該媒体が保護層上に潤滑層を有してな
    る請求項10乃至12のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  14. 【請求項14】 潤滑層の膜厚が10nm以下である請
    求項13に記載の磁気記録媒体。
  15. 【請求項15】 該媒体の表面粗度Raが3nm以下で
    ある請求項1乃至14のいずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  16. 【請求項16】 請求項1乃至15のいずれかに記載の
    磁気記録媒体の製造方法であって、該媒体の磁性層を局
    所的に加熱する工程と、該媒体の磁性層に外部磁界を印
    加する工程とにより制御用磁化パターンを形成すること
    を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の方法において、外
    部磁界を印加し磁性層を予め所望の方向に均一に磁化し
    たのち、該媒体の磁性層を局所的に加熱すると同時に外
    部磁界を印加し加熱部を該所望の方向とは逆方向に磁化
    することにより制御用磁化パターンを形成する磁気記録
    媒体の製造方法。
  18. 【請求項18】 磁気記録媒体と、磁気記録媒体を記録
    方向に駆動する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気
    ヘッドと、磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動
    させる手段と、磁気ヘッドへの記録信号入力と磁気ヘッ
    ドからの再生信号出力を行うための記録再生信号処理手
    段を有してなり、磁気ヘッドで磁気記録媒体に情報用磁
    化パターンを形成して情報を記録する磁気記録装置であ
    って、 該媒体が請求項1乃至15のいずれかに記載の磁気記録
    媒体であることを特徴とする磁気記録装置。
  19. 【請求項19】 磁気記録媒体を装置に組みこんだ後、
    上記制御用磁化パターンを該磁気ヘッドにより再生し信
    号を得、該信号を基準としてサーボバースト信号を該磁
    気ヘッドにより記録してなる請求項18に記載の磁気記
    録装置。
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