JP2002080434A - 光学活性アミノアルコールの製造方法 - Google Patents

光学活性アミノアルコールの製造方法

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JP2002080434A
JP2002080434A JP2000268506A JP2000268506A JP2002080434A JP 2002080434 A JP2002080434 A JP 2002080434A JP 2000268506 A JP2000268506 A JP 2000268506A JP 2000268506 A JP2000268506 A JP 2000268506A JP 2002080434 A JP2002080434 A JP 2002080434A
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Yasumasa Yamaguchi
靖正 山口
Mitsuharu Hamanaka
光治 浜中
Hideyuki Inaba
秀之 稲葉
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性医農薬合成中間体として有用な光学
活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの工業
的に有利な製造法を提供する。 【解決手段】 光学活性4−アミノ−2−メチルブタン
−1−オールと光学活性有機酸とを含有する溶液をアル
カリと接触させ、固液分離して得られる濾さいの光学活
性有機酸アルカリ塩を溶媒及び酸と接触させ、固液分離
し光学活性有機酸を回収することを特徴とする光学活性
4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの製造方
法。光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オー
ルと光学活性有機酸とを含有する溶液をアルカリと接触
させ、固液分離して得られる濾液より光学活性4−アミ
ノ−2−メチルブタン−1−オールを回収することを特
徴とする光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−
オールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性医農薬合
成中間体として有用な光学活性4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールを製造する際の光学活性有機酸と光
学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールを回
収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性4−アミノ−2−メチルブタン
−1−オールの製造方法としては、光学活性2−メチル
−4−アミノ酪酸を水素化リチウムアルミニウムで還元
して合成する方法(J.Am.Chem.Soc.,81,4946-4951(195
9))、あるいは、光学活性2−メチル−4−ニトロ酪酸
のメチルエステルを水素化リチウムアルミニウムで還元
して合成する方法が報告されている。(J. Plant Growt
h Regul. 2(1), 47-57(1983))
【0003】しかし、前者の方法は収率が低いという問
題点を有しており、後者の方法では原料として用いるニ
トロメタンの安全性および付加反応の収率が低く、工業
的な生産法としては成立し難い。
【0004】一方、ラセミ体4−アミノ−2−メチルブ
タン−1−オールは、例えば特開平8−291157号
記載の方法で青酸とメタクリル酸メチルより3−シアノ
イソ酪酸メチルを得た後、適当な溶媒中でアルカリ金属
水素化物を用いて還元すれば得られるが、ラセミ体4−
アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学分割に関
する報告はない。
【0005】光学活性有機酸と低分子アミノアルコール
とのジアステレオマー塩形成に関する例としては、光学
活性マンデル酸と光学活性2−アミノ−1−ブタノール
との塩(US4260815、US4259521、E
P518B1)、同マンデル酸と光学活性2−ベンジル
アミノ−1−ブタノールとの塩(US4239912)
が公知であるが、これらのアミノアルコールはアミノ基
が不斉炭素に結合するβ−アミノアルコールに関するも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、光学
活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールと光学
活性有機酸とを含有する溶液から光学活性有機酸を工業
的に有利に回収する方法、光学活性医農薬合成中間体あ
るいは光学分割剤として有用な光学活性4−アミノ−2
−メチルブタン−1−オールを工業的に有利に回収する
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、光学活性4−ア
ミノ−2−メチルブタン−1−オールはその分子内に1
級のヒドロキシ基とアミノ基が存在し、メチル基が結合
している不斉炭素はアミノ基の結合する炭素とはγの位
置に相当するという構造を持つアミノアルコールにおい
ても光学活性な有機酸と複合体を形成し、ジアステレオ
マー塩として晶出し得ること、このジアステレオマー塩
を固液分離してえられた光学活性4−アミノ−2−メチ
ルブタン−1−オールと光学活性有機酸を含有する溶液
をアルカリと接触させて解塩し、さらに固液分離して得
られた濾さいの光学活性有機酸アルカリ塩を溶媒及び酸
と接触させて溶解した後に晶析し、これを固液分離する
ことにより光学活性有機酸を回収できること、上記ジア
ステレオマー塩を固液分離して得られた濾液をアルカリ
と接触させて解塩し、さらに固液分離して得られた濾液
より光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オー
ルを回収できること、光学活性4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールと光学活性な有機酸とのジアステレ
オマー塩を固液分離して得られた光学活性な4−アミノ
−2−メチルブタン−1−オールと光学活性有機酸を含
有するアルコールおよび/または水溶液をアルカリ金属
アルコラートまたはアルカリ金属水酸化物と接触させ、
アルコールまたは水を光学活性有機酸アルカリ金属塩の
溶解度が低いアルコールに置換し、光学活性有機酸アル
カリ金属塩と光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オール溶液に固液分離することにより光学活性有機
酸アルカリ金属塩の取得量が増加し、光学活性有機酸ア
ルカリ金属塩含有率の少ない光学活性4−アミノ−2−
メチルブタン−1−オールの溶液が得られ、光学活性有
機酸と光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オ
ールを高収率で回収できることを見出し、本発明を完成
した。
【0008】すなわち、本発明の第1の発明は、「光学
活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールと光学
活性有機酸を含有する溶液をアルカリと接触させて解塩
し、さらに固液分離して得られた濾さいの光学活性有機
酸アルカリ塩を溶媒及び酸と接触させて溶解した後に晶
析し、これを固液分離して光学活性有機酸を回収するこ
とを特徴とする光学活性アミノアルコールの製造方
法。」を要旨とする。
【0009】本発明の第2の発明は、「光学活性4−ア
ミノ−2−メチルブタン−1−オールと光学活性有機酸
を含有する溶液をアルカリと接触させて解塩し、さらに
固液分離して得られた濾液より光学活性4−アミノ−2
−メチルブタン−1−オールを回収することを特徴とす
る光学活性アミノアルコールの製造方法。」を要旨とす
る。
【0010】また、本発明の第3の発明は、「光学活性
4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールと光学活性
有機酸を含有するアルコールおよび/または水溶液を、
アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ金属水酸化物
と接触させ、アルコールまたは水を光学活性有機酸アル
カリ金属塩の溶解度が低いアルコールに置換し、光学活
性有機酸アルカリ金属塩と光学活性4−アミノ−2−メ
チルブタン−1−オール溶液に固液分離し、光学活性有
機酸と光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オ
ールを回収することを特徴とする光学活性アミノアルコ
ールの製造方法。」を要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる光学活性有機
酸としては、天然物由来もしくは合成品である各種光学
分割剤が使用でき、R体、S体の両方が使用される。好
ましい例としては、一般式(1)で表される光学活性カ
ルボン酸または光学活性スルホン酸、光学活性ホスホン
酸が挙げられる。
【化4】 (式中、DはCOO、SO またはPOを表
す。A、BおよびCはそれぞれ水素、炭素数1から10
の置換もしくは無置換の直鎖もしくは分岐状のアルキル
基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、
カルボキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基または
ナフチル基を表す。上記アルキル基、フェニル基および
ナフチル基の置換基は、炭素数1から10の直鎖もしく
は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、
水酸基、ニトロ基、カルボキシ基またはスルホン酸基で
ある。ただし、A、B、Cおよび(CH−DHは
それぞれ異なる置換基である。nは1または0である。
*は不斉炭素を表す。)
【0012】一般式(1)で表される光学活性カルボン
酸、光学活性スルホン酸または光学活性ホスホン酸にお
いて、A、BおよびCで表される炭素数1から10の直
鎖もしくは分岐状のアルキル基としては、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロ
ヘキシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ
素、塩素、臭素原子が挙げられる。アルコキシ基として
はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ
る。上記アルキル基、フェニル基、ナフチル基の置換基
としては例えば、前述の炭素数1から10の直鎖もしく
は分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、
水酸基、ニトロ基、カルボキシ基、スルホン酸基等を挙
げることができる。
【0013】具体的な例として、光学活性カルボン酸と
しては、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、マンデル酸、ジベン
ゾイル酒石酸、シトラマリン酸、フェニル乳酸、1,4
−ベンゾジオキサン−2−カルボン酸等の光学活性ヒド
ロキシカルボン酸類とその誘導体、2−ブロモプロピオ
ン酸、γ−カルボキシ−γ−ブチロラクトン、2−クロ
ロブタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−メチルデカン
酸、2−メチルブタン酸、メンチロキシ酢酸、テトラヒ
ドロフラン酸、2−フェニルブタン酸、2−フェニルプ
ロピオン酸、2―フェニルコハク酸、光学活性N−置換
アミノ酸、ピログルタミン酸、カンファー酸等が例示で
きる。
【0014】また,光学活性スルホン酸としては、10
−カンファースルホン酸、フェニルエタンスルホン酸、
α−ブロモカンファー−π−スルホン酸、3−エンドブ
ロモカンファー−8−スルホン酸等が例示できる。光学
活性ホスホン酸としては、1―アミノ−2―メチルプロ
ピルホスホン酸等が例示できる。
【0015】光学活性カルボン酸類の中でも好ましいも
のとしては、一般式(2)で表される光学活性2−アリ
ール−2−置換酢酸が挙げられる。
【化5】 (Yは炭素数1から10の直鎖もしくは分岐状のアルキ
ル基、ハロゲン原子、アルコキシ基または水酸基を表
す。Arは置換もしくは無置換のフェニル基またはナフ
チル基を表す。 Arの置換基は炭素数1から10の直
鎖もしくは分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコ
キシ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基またはスルホ
ン酸基である。*は不斉炭素を表す。)
【0016】上記一般式(2)で表される光学活性2−
アリール−2−置換酢酸において、Yで表される炭素数
1から10の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ハロゲ
ン原子またはアルコキシ基としては一般式(1)で例示
したものが挙げられる。Arとしては置換もしくは無置
換のフェニル基、ナフチル基が挙げられ、その置換基と
しては、前述の炭素数1から10の直鎖もしくは分岐状
のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、
ニトロ基、カルボキシ基、スルホン酸基等を挙げること
ができる。
【0017】上記一般式(2)で表される光学活性2−
アリール−2−置換酢酸の特に好ましい例として下記一
般式(3)で表される光学活性マンデル酸誘導体が挙げ
られる。
【化6】 (Zは水素、炭素数1から10の直鎖もしくは分岐状の
アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、ニ
トロ基またはベンゾイル基を表す。*は不斉炭素を表
す。)
【0018】上記一般式(3)で表される光学活性マン
デル酸誘導体において、Zで表される炭素数1から10
の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ハロゲン原子また
はアルコキシ基としては一般式(1)で例示したものが
挙げられる。これらの光学活性マンデル酸誘導体の調製
方法は任意であるが、例えば、特開平4−99496
号、特開平4−222591号公報記載の方法で調製す
ることができる。
【0019】本発明で用いられる溶媒としては、水、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパ
ノール、ブタノール等の各種アルコール類、ジエチルエ
ーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステ
ル類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等の含窒
素溶媒、ジクロルメタン、ジクロルエタン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素、またはこれらの混合物を用
いることができる。溶媒として、好ましくは、水、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノ
ール、ブタノール等の各種アルコール類を用いることが
出来る。
【0020】本発明の第1の発明においては、溶媒中に
て4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールのラセミ
体と光学活性有機酸のジアステレオマー塩を形成させ、
難溶性ジアステレオマー塩を晶出させ、固液分離するこ
とにより、光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1
−オールと光学活性有機酸の溶液を得る。例えば適当な
溶媒に光学活性有機酸を溶解し、等モルの4−アミノ−
2−メチルブタン−1−オールのラセミ体を直接あるい
は適当な溶媒に希釈して滴下すればよく、また、この逆
の順序で混合しても良い。混合温度は任意であるが、通
常0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。得ら
れた塩溶液は直接もしくは濃縮後、冷却し、結晶を析出
させる。この際、種晶として光学純度の高い塩の結晶を
少量添加することにより、同種のジアステレオマー塩を
優先的に晶析させることも可能である。種晶の光学純度
は高いことが望ましいが、添加量は溶質量の0.01〜
1%程度で十分である。また、種晶を全く加えなくても
過飽和状態にあるジアステレオマー塩の結晶化は自然に
起こり、種晶を加えた場合と同種のジアステレオマー塩
が析出する。固液分離して得られるジアステレオマー塩
は、必要によりエタノール等の適当な溶媒を用いて再結
晶することにより、より光学的に純粋なジアステレオマ
ー塩とし、公知の方法により解塩して光学活性4−アミ
ノ−2−メチルブタン−1−オールを得ることができ
る。
【0021】ジアステレオマー塩を分離して得られた光
学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールと光
学活性有機酸と溶媒よりなる溶液をアルカリと接触させ
て解塩し、冷却後、固液分離する。得られた光学活性有
機酸アルカリ塩を溶媒及び酸と接触させて溶解した後に
冷却して光学活性有機酸を晶析させ、これを固液分離し
て光学活性有機酸を回収する。
【0022】溶媒としては水、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール
等の各種アルコール類、ジエチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、
酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド等の含窒素溶媒、ジクロルメ
タン、ジクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭
化水素、またはこれらの混合物を用いる。好ましくは
水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
プロパノール、ブタノール等の各種アルコール類または
これらの混合物を用いる。
【0023】アルカリとしてはアルカリ金属水酸化物、
アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート
およびアルカリ土類金属アルコラートを用いる。好まし
くはアルカリとしてアルカリ金属水酸化物またはアルカ
リ金属アルコラートを用いる。酸としては塩酸、硝酸ま
たは硫酸等の鉱酸を使用する。溶媒が水の場合には酸を
添加した後のpHは3以下であり、好ましくは1〜2で
ある。固液分離時の温度は40℃以下、好ましくは0〜
10℃である。
【0024】本発明の第2の発明においては、上記ジア
ステレオマー塩を固液分離して得られた溶液をアルカリ
と接触させて解塩し、さらに固液分離して得られた濾液
より光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オー
ルを回収する。濾液よりの回収は必要により濃縮、蒸留
により行う。
【0025】本発明の第3の発明の方法においては、光
学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールと光
学活性有機酸の水溶液の場合、アルカリ金属水酸化物と
接触させた後、水を光学活性有機酸アルカリ金属塩の溶
解度が低いブタノールに置換し、光学活性有機酸アルカ
リ金属塩と光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1
−オール溶液を固液分離することにより、光学活性有機
酸アルカリ金属塩の回収率が高くなり、その結果、得ら
れる光学活性有機酸の回収率を高くすることができる。
また、光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オ
ールと光学活性有機酸のメタノール溶液の場合には、ア
ルカリ金属アルコラートと接触させた後、メタノールを
光学活性有機酸アルカリ金属塩の溶解度が低いイソプロ
ピルアルコールに置換し、光学活性有機酸アルカリ金属
塩と光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オー
ル溶液を固液分離することにより、光学活性有機酸アル
カリ金属塩の回収率が高くなり、その結果、得られる光
学活性有機酸の回収率を高くすることができる。また、
このように溶媒を光学活性有機酸アルカリ金属塩の溶解
度の低い溶媒に置換することにより、光学活性有機酸の
回収率を高くすることができるばかりでなく、光学活性
有機酸アルカリ金属塩の濃度が低い光学活性4−アミノ
−2−メチルブタン−1−オール溶液が得られ、濃縮ま
たは蒸留して高純度の光学活性4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールを高収率で回収できる。
【0026】
【実施例】以下、実施例にて本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるもので
はない。
【0027】実施例1 エタノール100g中に(R)−2−クロロマンデル酸
47gとラセミ体4−アミノ−2−メチルブタン−1−
オール26gを添加し、加熱溶解した。室温まで冷却
し、100mgの(R)−2−クロロマンデル酸・
(R)−4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの
塩を種晶として加え、さらに5℃まで徐々に冷却した。
析出した結晶を濾別し、濾液として(R)−2−クロロ
マンデル酸と(S)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールと(R)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールのエタノール溶液を得た。この溶液中の4−
アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は
(S)体61%e.e.であった。この溶液142gに
ナトリウムエチラートを10g添加して解塩し、5℃に
冷却後、固液分離した。固液分離して得られた濾さいを
水73gに加熱溶解し、10gの70%硫酸を加えた
後、15℃に冷却し、固液分離した。回収した(R)−
2−クロロマンデル酸は24gであった。ジアステレオ
マー塩結晶の濾液からの(R)−2−クロロマンデル酸
の回収率は87%であった。分離した溶液を濃縮した
後、真空下で蒸留して(S)−4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールを14g得た。ジアステレオマー塩
結晶の濾液からの4−アミノ−2−メチルブタン−1−
オールの回収率は88%であった。得られた(S)−4
−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は
61%e.e.であった。
【0028】実施例2 メタノール100g中に(R)−2−クロロマンデル酸
93gとラセミ体4−アミノ−2−メチルブタン−1−
オール52gを添加し、加熱溶解した。室温まで冷却
し、100mgの(R)−2−クロロマンデル酸・
(R)−4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの
塩を種晶として加え、さらに5℃まで徐々に冷却した。
析出した結晶を濾別し、濾液として(R)−2−クロロ
マンデル酸と(S)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールと(R)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールのメタノール溶液を得た。この溶液中の4−
アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は
(S)体34%e.e.であった。この溶液189gに
ナトリウムメチラートを17g添加して解塩した後、1
5℃に冷却後、固液分離した。固液分離して得られた濾
さいを水138gに加熱溶解し、19gの70%硫酸を
加えた後、5℃に冷却し、固液分離した。回収した
(R)−2−クロロマンデル酸は46gであり、ジアス
テレオマー塩結晶の濾液中の72%を回収できた。分離
して得た溶液を濃縮した後、真空下で蒸留して4−アミ
ノ−2−メチルブタン−1−オールを24g得た。ジア
ステレオマー塩結晶の濾液中の4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールを73%回収できた。得られた4−
アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は
(S)体34%e.e.であった。
【0029】実施例3 メタノール100g中に(R)−2−クロロマンデル酸
93gとラセミ体4−アミノ−2−メチルブタン−1−
オール52gを添加し、加熱溶解した。室温まで冷却
し、100mgの(R)−2−クロロマンデル酸・
(R)−4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの
塩を種晶として加え、さらに5℃まで徐々に冷却した。
析出した結晶を濾別し、濾液として(R)−2−クロロ
マンデル酸と(S)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールと(R)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールのメタノール溶液を得た。この溶液中の4−
アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は
(S)体34%e.e.であった。この溶液188gに
ナトリウムメチラートを17g添加して解塩した後、イ
ソプロピルアルコール200gを添加しつつ、濃縮して
200gの溶媒溜出させた。この操作を2回行い、溶媒
をメタノールからイソピルアルコールリッチに置換し、
5℃に冷却後、固液分離した。固液分離して得られた濾
さいを水163gに加熱溶解し、22gの70%硫酸を
加えた後、15℃に冷却し、固液分離した。回収した
(R)−2−クロロマンデル酸は、52gであり、ジア
ステレオマー塩結晶の濾液中の82%を回収できた。分
離して得た溶液を濃縮した後、真空下で蒸留して4−ア
ミノ−2−メチルブタン−1−オールを31g得た。ジ
アステレオマー塩結晶の濾液中の4−アミノ−2−メチ
ルブタン−1−オールを95%回収できた。得られた4
−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は
(S)体34%e.e.であった。
【0030】実施例4 水100g中に(R)−2−クロロマンデル酸186g
とラセミ体4−アミノ−2−メチルブタン−1−オール
103gを添加し、加熱溶解した。室温まで冷却し、1
00mgの(R)−2−クロロマンデル酸・(R)−4
−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの塩を種晶と
して加え、さらに5℃まで徐々に冷却した。析出したジ
アステレオマー塩結晶を濾別し、濾液として(R)−2
−クロロマンデル酸と(S)−4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールと(R)−4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールのエタノール溶液を得た。この溶液
中の4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学
純度は(S)体56%e.e.であった。この溶液26
2gに48%苛性ソーダ水溶液を48g添加して解塩し
た後、15℃に冷却後、固液分離した。固液分離して得
られた濾さいを水64gに加熱溶解し、9gの70%硫
酸を加えた後、5℃に冷却し、固液分離した。回収した
(R)−2−クロロマンデル酸は21gであり、ジアス
テレオマー塩結晶の濾液中の18%を回収できた。分離
して得た溶液を濃縮した後、真空下で蒸留して(S)−
4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールを12g得
た。得られた(S)−4−アミノ−2−メチルブタン−
1−オールの光学純度は56%e.e.であった。ジア
ステレオマー塩結晶の濾液からの4−アミノ−2−メチ
ルブタン−1−オールの回収率は20%であった。
【0031】実施例5 水100g中に(R)−2−クロロマンデル酸186g
とラセミ体4−アミノ−2−メチルブタン−1−オール
103gを添加し、加熱溶解した。室温まで冷却し、1
00mgの(R)−2−クロロマンデル酸・(R)−4
−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの塩を種晶と
して加え、さらに5℃まで徐々に冷却した。析出したジ
アステレオマー塩結晶を濾別し、濾液として(R)−2
−クロロマンデル酸と(S)−4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールと(R)−4−アミノ−2−メチル
ブタン−1−オールのエタノール溶液を得た。この溶液
中の4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの光学
純度は(S)体56%e.e.であった。この溶液26
2gに48%苛性ソーダ水溶液を48g添加して解塩し
た後、濃縮とブタノールの添加を2回行い、溶媒を水か
らブタノールに置換し、5℃に冷却後、固液分離した。
固液分離して得られた濾さいを水288gに加熱溶解
し、40gの70%硫酸を加えた後、10℃に冷却し、
固液分離した。回収した(R)−2−クロロマンデル酸
は94gであり、ジアステレオマー塩結晶の濾液中の8
3%を回収できた。分離して得た溶液を濃縮した後、真
空下で蒸留して(S)−4−アミノ−2−メチルブタン
−1−オールを56g得た。得られた(S)−4−アミ
ノ−2−メチルブタン−1−オールの光学純度は56%
e.e.であった。ジアステレオマー塩結晶の濾液から
の4−アミノ−2−メチルブタン−1−オールの回収率
は95%であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、光学活性医農薬合成中
間体として有用な、光学活性4−アミノ−2−メチルブ
タン−1−オールが工業的規模で高収率、高純度かつ安
価に提供可能である。また、本発明によれば使用した光
学活性な有機酸を高収率で回収可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性4−アミノ−2−メチルブタン
    −1−オールと光学活性有機酸を含有する溶液をアルカ
    リと接触させて解塩し、さらに固液分離して得られた濾
    さいの光学活性有機酸アルカリ塩を溶媒及び酸と接触さ
    せて溶解した後に晶析し、これを固液分離して光学活性
    有機酸を回収することを特徴とする光学活性アミノアル
    コールの製造方法。
  2. 【請求項2】 光学活性4−アミノ−2−メチルブタン
    −1−オールと光学活性有機酸を含有する溶液をアルカ
    リと接触させて解塩し、さらに固液分離して得られた濾
    液より光学活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オ
    ールを回収することを特徴とする請求項1記載の光学活
    性アミノアルコールの製造方法。
  3. 【請求項3】 光学活性4−アミノ−2−メチルブタン
    −1−オールと光学活性有機酸を含有するアルコールお
    よび/または水溶液を、アルカリ金属アルコラートまた
    はアルカリ金属水酸化物と接触させ、アルコールまたは
    水を光学活性有機酸アルカリ金属塩の溶解度が低いアル
    コールに置換し、光学活性有機酸アルカリ金属塩と光学
    活性4−アミノ−2−メチルブタン−1−オール溶液に
    固液分離し、光学活性有機酸と光学活性4−アミノ−2
    −メチルブタン−1−オールを回収することを特徴とす
    る請求項1又は2記載の光学活性アミノアルコールの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 光学活性有機酸が、一般式(1)表され
    る光学活性カルボン酸、光学活性スルホン酸または光学
    活性ホスホン酸である請求項1乃至4いずれか1項記載
    の光学活性アミノアルコールの製造方法。 【化1】 (式中、DはCOO、SO またはPOを表
    す。A、BおよびCはそれぞれ水素、炭素数1から10
    の置換もしくは無置換の直鎖もしくは分岐状のアルキル
    基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、
    カルボキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基または
    ナフチル基を表す。上記アルキル基、フェニル基および
    ナフチル基の置換基は炭素数1から10の直鎖もしくは
    分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水
    酸基、ニトロ基、カルボキシ基またはスルホン酸基であ
    る。ただし、A、B、Cおよび(CH−DHはそ
    れぞれ異なる置換基である。nは1または0である。*
    は不斉炭素を表す。)
  5. 【請求項5】 光学活性有機酸が、下記一般式(2)で
    表される光学活性2−アリール−2−置換酢酸である請
    求項1乃至3いずれか1項記載の光学活性アミノアルコ
    ールの製造方法。 【化2】 (Yは炭素数1から10の直鎖もしくは分岐状のアルキ
    ル基、ハロゲン原子、アルキルオキシ基または水酸基を
    表す。Arは置換もしくは無置換のフェニル基またはナ
    フチル基を表す。 Arの置換基は炭素数1から10の
    直鎖もしくは分岐状のアルキル基、ハロゲン原子、アル
    コキシ基、水酸基、ニトロ基、カルボキシ基またはスル
    ホン酸基である。*は不斉炭素を表す。)
  6. 【請求項6】 光学活性有機酸が、下記一般式(3)で
    表される光学活性マンデル酸誘導体である請求項1乃至
    3いずれか1項記載の光学活性アミノアルコールの製造
    方法。 【化3】 (式中、Zは水素、炭素数1から10の直鎖もしくは分
    岐状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸
    基、ニトロ基またはベンゾイル基を表す。*は不斉炭素
    を表す。)
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