JP2002079390A - 極薄金属板のレーザ切断加工装置 - Google Patents

極薄金属板のレーザ切断加工装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】簡素な構成でアシストガスによる集光点の位置
変動を抑制するようにした極薄金属板のレーザ切断加工
装置を提供する。 【解決手段】メタルマスクなど極薄金属板のレーザ切断
加工では、集光レンズ4を備えた加工ヘッド3のノズル
6からレーザ光Lを照射するとともにアシストガスAG
を噴射している。本発明は、加工ヘッド3の下部にノズ
ルの外周部を囲みマグネット8を内装したマグネットホ
ルダ7を設け、該マグネットホルダ7の直下に磁性体の
支持板12を平面移動しないように設けている。これに
より、マグネット8が支持板12を吸引し、被加工物W
をマグネットホルダ7に密着させるので、集光レンズ4
から被加工物表面までの距離を常に一定にできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ切断加工に
関し、特にレーザによる極薄金属板の微細切断加工を行
う装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、プリント配線板に表面実装部品を
取り付ける際には予めプリント配線板にクリームはんだ
を印刷しており、この印刷に使用されるメタルマスクを
レーザ加工によって作られる場合が多くなっている。
【0003】このメタルマスクはステンレスの薄板(板
厚0.1〜0.5mm)にレーザ光で所定のパターン
に、高精度・高品質に微細切断することが要求されてい
る。このような加工においては、レーザ光をできるだけ
小さく集光させ、焦点位置の変動がないようにするとと
もにアシストガスを加工部に効果的に噴射する必要があ
る。
【0004】しかしながら、レーザ光による切断加工
は、被加工物に対して瞬間的かつ局所的に入熱して溶融
し、それをレーザ光同軸上から噴射されるアシストガス
圧によって除去することによっているので、アシストガ
スの噴射圧によって加工部に局所的な撓み(波打ち現象
と称している)が生じ、レーザ光の集光点が変動すると
いう問題がある。
【0005】従来、これを解決したものとして、例えば
特開平10−328867号公報がある。これは、図7
に示すように、被加工物台34に被加工物Wを張力を与
えて緊張保持し、加工ヘッド35とノズル6の間にベロ
ーズ40を設け、ノズル6と一体の上部押え部材30
と、被加工物の下部に固定配置された下部固定定盤31
の高潤滑板32とによって被加工物Wを上下から挟み込
み、レーザ集光点A付近の狭い領域で被加工物Wを拘束
するようにしている。
【0006】そして、レーザ光の焦点合わせのため、加
工ヘッド35の左右両側に接触式変位計39を設け、こ
れを連結板41で連結している。なお、上部押さえ部材
30は連結板41に固設されている。図7において、4
は集光レンズ、37はX軸駆動軸、38はY軸駆動軸で
あり、36は接触式変位計39の検知情報を記憶し、ま
た、X軸駆動軸37およびY軸駆動軸38を作動させる
NC制御装置である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のレーザ切断加工
装置では、被加工物のレーザ光加工位置付近を上部押え
部材30と下部固定定盤31とで挟んでいるので、極薄
板の被加工物でもアシストガスの圧力による被加工物の
撓みを抑制することができる。
【0008】しかしながら、この方法による場合は、加
工ヘッド35に取付けられた上部押え部材30と下部固
定定盤31と被加工物台34の3要素の平行度が高くな
ければならない。平行度が悪いと被加工物は、下部固定
定盤31に無理矢理押し付けられるので、その部分が局
部的に変形し易い。また、被加工物は上部押え部材30
と下部固定定盤31の間で摺動するので、上部押え部材
30は下部固定定盤31に対して常に同程度の圧力で押
さえる必要があり、このためには接触式変位計39など
によって調整しなければならず、このため、装置が複雑
で大型化するばかりでなく、切断加工における被加工物
の装着に時間を要するといった問題がある。
【0009】そこで、本発明は、簡素な構成でアシスト
ガスによる集光点の位置変動を抑制するようにした極薄
金属板のレーザ切断加工装置を提供することを目的とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では次の手段を採った。即ち、集光レンズを
備えた加工ヘッドのノズルからレーザ光を照射するとと
もにアシストガスを噴射して切断加工する極薄金属板の
レーザ切断加工装置において、マグネットを内装しノズ
ルの外周部を囲むマグネットホルダを加工ヘッドの下部
に設け、該マグネットホルダの直下に磁性体の支持板を
平面移動しないように設け、該マグネットで支持板を吸
引することにより支持板上の被加工物をマグネットホル
ダに密着させ、集光レンズから被加工物表面までの距離
を一定にするようにしたことを特徴としている。
【0011】本発明は、被加工物の裏面下に配置した支
持板をマグネットで吸引することによって、集光点付近
の狭い範囲で被加工物を拘束し、集光点の位置を被加工
物上に一定に保持するようにしたものである。支持板は
上下方向には移動可能であるが、平面移動ができないよ
うに支持されている。なお、回転は自由でよい。
【0012】被加工物はマグネットホルダと支持板に挟
持され、加工時はこの間で摺動するので、マグネットホ
ルダの下端にはフェルトなどを付設し、支持板の上面は
滑り板を設けて摺動し易く被加工物に傷が付かないよう
にするのが望ましい。被加工物を取り出すときは、マグ
ネットホルダを上昇させるが、このとき支持板がマグネ
ットの吸引からスムーズに離れるようにするのが望まし
い。
【0013】これは、請求項2に記載のように、支持板
をアシストガスを吸引する吸引装置に接続した受台に高
さ調整できる調整筒を介して載置するとともに、該支持
板が所定高さ以上になることを防止するストッパを調整
筒に設けるのが簡便である。また、請求項3に記載のよ
うに、支持板側にマグネットの磁界と反発する磁界を作
る電磁石を備えて、被加工物の取出時に通電するように
するか、または、請求項4に記載のように、支持板を非
磁性体とし、これにマグネットホルダのマグネットに対
向するようにマグネットを配置し、支持板側のマグネッ
トは回動させることにより磁極を変えるようにすればよ
り確実である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の極薄金属板のレー
ザ切断加工装置の実施形態例を図面に基づいて説明す
る。図1に示すように、加工ヘッド3にはレーザ発振器
1から反射ミラー2を介して入射されるレーザ光Lを集
光する集光レンズ4が内装され、下端にはノズル6が設
けられている。また、集光レンズ4の下部にはアシスト
ガスAGの噴射圧力から集光レンズ4を保護するための
保護ガラス5が設けられている。
【0015】なお、加工ヘッド3はZ軸方向に移動可能
に構成されており、また、ノズル6はアシストガスAG
を被加工物Wの加工部位に集中的に流れ込むような径
(1.0mm以下)としている。また、アシストガスA
Gは通常のレーザ加工の場合より高圧にしている。
【0016】加工ヘッド3の下部にはノズル6を囲むア
ルミ製(非磁性体)の円筒状のマグネットホルダ7が取
り付けられており、マグネットホルダ7の先端の面は集
光レンズ4の集光点Aと一致している。図2はマグネッ
トホルダ7の詳細を示すもので、マグネットホルダ7に
は円筒状のマグネット8がねじで取り付けられており、
ねじ込み量を変えることによりマグネット8の吸着力を
調整することができる。また、マグネットホルダ7の先
端には被加工物Wとの摺動によって傷がつかないように
するため、フェルト9が付設されている。
【0017】一方、加工ヘッド3の直下にはマグネット
ホルダ7と対向して磁性体の支持板12が配設されてい
る。この詳細は図3に示すように、受台10に調整筒1
1が嵌合して設けられ、その上部に支持板12が載置さ
れ、さらに、支持板12の上には滑り板13が押えリン
グ16で固定されている。
【0018】調整筒11の外周には雄ネジが形成され、
受台10に係止した位置決めリング15の内周の雌ネジ
と係合し、円周の3カ所には支持板12の所定量以上の
上昇を押さえるストッパ14が設けられている。すなわ
ち、支持板12は調整筒11の内周に嵌挿する筒部12
aを有し、これに縦長の長孔12bが設けられており、
これにストッパ14が貫通している。また、支持板12
の外径部に鍔12cが付設されており、その外周に押え
リング16の内周の雌ネジに係合する雄ネジが形成され
ている。
【0019】受台10の中央部には吸引装置16に接続
される孔10aが形成されており、レーザ加工時は負圧
状態にできるようになっている。なお、被加工物WはX
Yステージ17上に配置され、NC制御装置15によ
り、予め設定してある切断データに基づいて制御され、
所定の形状にならって移動するように構成されている。
【0020】次に、このように構成された極薄金属板の
レーザ切断加工装置の作用について説明する。被加工物
Wを切断加工するに当たっては、予め、レーザ発振器1
から出射されたレーザ光Lが、反射ミラー2を介して集
光レンズ4によって被加工物Wの表面に焦点Aを結ぶよ
うに焦点合わせを行うとともに、マグネット8のマグネ
ットホルダ7へのねじ込み量を被加工物Wの厚さに合っ
た吸着力になるように調整する。
【0021】なお、集光レンズ4、ノズル6、マグネッ
トホルダ7は加工ヘッド3に固定配置されており、集光
点Aの変動はなく、また、ノズルと被加工物の距離の変
動もないので、最初に1度行うだけで以後の調整は不要
である。一方、支持板12の高さも調整筒11を上下さ
せて、被加工物Wが僅かに低い位置になるように調整し
ておく。
【0022】被加工物WをXYステージに載置するとき
は、加工ヘッド3を上昇させる。なお、このときレーザ
発振器1および反射ミラー2は固定のままである。被加
工物WをXYステージに載置したら、加工ヘッド3を下
降させる。この上下移動は、レーザ切断加工中に被加工
物Wに対してマグネットホルダ7の先端が近接するよう
に、予め設定しておき、NC制御装置15により指令さ
せている。
【0023】加工ヘッド3の下降により、被加工物Wは
マグネット8によって支持板12とともにマグネットホ
ルダ7の先端部に吸着される。そして、被加工物Wの表
面は集光レンズ4の集光点Aと一致する。切断加工時に
はアシストガスAGは、レーザ光Lと同軸上に配置され
たノズル6から被加工物Wに向けて高圧力で噴射され
る。被加工物Wはレーザ光の入熱により局部的かつ瞬間
的に溶融し、被加工物WはNC制御装置15により、予
め設定してある切断データに基づいて制御されて移動す
るが、被加工物Wは常時マグネットホルダ7の先端に密
着した状態で移動するのでレーザ集光点Aは常時一定と
なり変動することはない。
【0024】なお、アシストガスAGのガス圧によって
被加工物Wに撓みがでるとしても極めて僅かで一定量で
あり、相対的にレーザ集光点は変動しないので、製品の
切断品質、形状精度および寸法精度は安定したものとな
る。また、アシストガスAGは、溶融物をともなって、
負圧状態となっている支持板12の中央から受台10の
孔10aを介して吸引装置22へ吸引されるので、被加
工物Wへの溶融物の付着もない。
【0025】また、被加工物Wの切断加工中はその上面
はマグネットホルダ7の先端のフェルト9と、裏面は支
持板12上の滑り板13と摺動するので、摺動抵抗が小
さくスムーズに動き、また、被加工物Wを損傷させるこ
とがない。被加工物Wを取り出すときは、加工ヘッド3
を上昇させる。これによって、支持板12も上昇しよう
とするが、ストッパ14が支持板12の長孔12bの下
端に当接して阻止され、加工ヘッド3のみが上昇するの
で、簡便に被加工物Wを取り出すことができる。
【0026】この実施形態では支持板12の長孔12b
に対するストッパ14の位置は、支持板12がマグネッ
ト8で吸引されているときにできるだけ長孔12bの下
端近くで僅かな隙間を有するようにするが、加工精度上
の限界から、加工ヘッド3を上昇させるときに若干被加
工物Wがマグネット8に吸引されることは避けられな
い。
【0027】そこで、次に支持板の配設の別の実施形態
を図4に基づいて説明する。支持板17はその外端部に
嵌合部を備え、吸引ブロック18上に上下方向には自由
であるが左右方向は規制するように載置し、吸引ブロッ
ク18の上面(支持板17の裏面)に通電することによ
りマグネット8の作る磁界と反発するような磁界を発生
させる電磁石19を設けている。そして、被加工物Wを
取り出すときは、電磁石19へ通電する。これにより、
マグネット8の作る磁界と反発するような磁界が発生し
支持板17はマグネット8の吸引から解かれるので、落
下して吸引ブロック18上に載った状態となる。したが
って、加工ヘッド3を上昇させれば、簡便に被加工物W
を取り出すことができる。
【0028】また、支持板17の上面には、図5に示す
ように、被加工物Wとの摺動摩擦を緩和する螺旋状凹溝
17bが刻まれている。なお、螺旋状凹溝17bに冷却
ガスを流せば、被加工物Wに対して冷却効果が働き切断
端面の熱の影響をより抑制することができるほか、ドロ
スが付着しにくくなるという効果もある。
【0029】また、支持板17の中央には孔17aが設
けられ、吸引ブロック18の中央部にも上記の実施形態
と同様に吸引装置22に接続された孔18aが開けられ
ている。上記2つの実施形態ではマグネット8で磁性体
の支持板12、17を吸引することによって被加工物W
を保持するようにしたが、支持板12、17を非磁性体
としてこれにマグネットを配置するようにしても同様の
効果を得ることができる。
【0030】この場合は、図6に示すように、マグネッ
トホルダ7のマグネット24を図6(a)の状態にして
配置し、これと対向しておかれる支持板側のマグネット
25は、吸引時(被加工物の挾み込み時)は図6(b)
の状態とし、開放時には図6(c)に示すようにマグネ
ット25を180度回転させるように構成する。
【0031】なお、この支持板は例えば、対向している
マグネットホルダ7と同様なものを用い上下逆向きにし
て、吸引ブロックに上下移動かつ回転可能に設けてもよ
い。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ切
断加工装置は、マグネットを内装しノズルの外周部を囲
むマグネットホルダを加工ヘッドの下部に設け、該マグ
ネットホルダの直下に磁性体の支持板を平面移動しない
ように設け、該マグネットで支持板を吸引することによ
り支持板上の被加工物をマグネットホルダに密着させ、
集光レンズから被加工物表面までの距離を一定にするよ
うにしたので、集光レンズと被加工物間の距離(焦点位
置)を切断加工中常時一定に保つことができ、その結果
切断幅に変動のない安定した切断性能が得られる。ま
た、被加工物のセット時に従来のような接触変位計など
による調整も必要とせず、多種の板厚に対して、段取り
時間が必要なく、簡素な構成であるので取り扱い易いと
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の極薄金属板のレーザ切断加工装置の一
実施形態例の全体構成を示す正面図である。
【図2】同 マグネットホルダ7の詳細図である。
【図3】同 支持板12の詳細図で、右半分は断面図で
ある。
【図4】同 支持板の別の形態を示す側面断面図であ
る。
【図5】同 支持板17の平面図である。
【図6】同 支持板を非磁性体としてマグネットを配置
した場合の状態説明図で、(a)はマグネットホルダ7
のマグネットの配置を示す図で、(b)は支持板の吸着
時のマグネットの配置を示し、(c)は離脱時のマグネ
ットの配置を示す図である。
【図7】従来の極薄金属板のレーザ切断加工装置の一実
施形態例の全体構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1…レーザ発振器 2…反射ミラー 3…加工ヘッド 4…集光レンズ 5…保護ガラス 6…ノズル 7…マグネットホルダ 8…マグネット 9…フェルト 10…受台 10a…孔 11…調整筒 12…支持板 12a…筒部 12b…長孔 12c…鍔 13…滑り板 14…ストッパ 15…位置決めリング 16…押えリング 17…支持板 17a…孔 17b…螺旋状凹溝 18…吸引ブロック 18a…孔 19…電磁石 21…NC制御装置 22…吸引装置 23…XYステージ 24,25…マグネット 30…上部押え部材 31…下部固定定盤 32…高滑性板 34…被加工物台 35…加工ヘッド 36…NC制御装置 37…X軸駆動台 38…Y軸駆動台 39…接触式変位計 40…ベローズ 41…連結板 L…レーザ光 A…集光点 W…被加工物 AG…アシストガス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】集光レンズを備えた加工ヘッドのノズルか
    らレーザ光を照射するとともにアシストガスを噴射して
    切断加工する極薄金属板のレーザ切断加工装置におい
    て、マグネットを内装しノズルの外周部を囲むマグネッ
    トホルダを加工ヘッドの下部に設け、該マグネットホル
    ダの直下に磁性体の支持板を平面移動しないように設
    け、該マグネットで支持板を吸引することにより支持板
    上の被加工物をマグネットホルダに密着させ、集光レン
    ズから被加工物表面までの距離を一定にするようにした
    ことを特徴とする極薄金属板のレーザ切断加工装置。
  2. 【請求項2】該支持板はアシストガスを吸引する吸引装
    置に接続した受台に高さ調整できる調整筒を介して載置
    するとともに、該支持板が所定高さ以上になることを防
    止するストッパを該調整筒に設けたことを特徴とする請
    求項1記載の極薄金属板のレーザ切断加工装置。
  3. 【請求項3】該支持板にマグネットの磁界と反発する磁
    界を作る電磁石を備えたことを特徴とする請求項1記載
    の極薄金属板のレーザ切断加工装置。
  4. 【請求項4】該支持板を非磁性体とし、これにマグネッ
    トホルダのマグネットに対向するようにマグネットを配
    置し、支持板側のマグネットは回動させることにより磁
    極を変えるようにしたことを特徴とする請求項1記載の
    極薄金属板のレーザ切断加工装置。
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