JP2002079172A - 塗膜形成方法 - Google Patents

塗膜形成方法

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JP2002079172A
JP2002079172A JP2001038328A JP2001038328A JP2002079172A JP 2002079172 A JP2002079172 A JP 2002079172A JP 2001038328 A JP2001038328 A JP 2001038328A JP 2001038328 A JP2001038328 A JP 2001038328A JP 2002079172 A JP2002079172 A JP 2002079172A
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coating
coating film
top coat
cationic electrodeposition
resin
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Pending
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JP2001038328A
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English (en)
Inventor
Hirokazu Hayashi
宏和 林
Yutaka Iino
豊 飯野
Hidehiko Haishi
秀彦 羽石
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】自動車ボディの塗膜形成において、仕上り性、
チッピング性良好な総合塗膜を開発すること。 【解決手段】ダブルコート電着塗装において2回目に塗
装される電着塗膜の塗色が、次に塗装される3層からな
る上塗り塗膜の塗色と、マンセル表示の色相で同系色有
彩色、又は白の塗色とすること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車ボディや自
動車部品の2回電着塗装(以下、ダブルコート電着塗装
と表現する場合がある。)において、電着塗膜の塗色
が、次に塗装される上塗り塗膜とマンセル表示の色相
(R、G、P、B,Y)で同系色の有彩色、又は白であ
るカラーダブルコートであること。
【0002】さらに上塗り塗膜が、着色ベースコート
(a)、メタリックベースコート(b)、及びクリアー
トップコート(c)の3層で、仕上がり性が緻密で柔ら
かな(シルキー調)メタリックカラー、又はパールカラ
ーの意匠性を有する塗膜性能にも優れた塗膜形成方法に
関する。
【0003】
【従来技術及びその課題】 自動車ボディなどの複雑構
造物に、仕上がり性と防食性などの多機能を有する下塗
り塗料として、塗色がグレーや黒のダブルコートカチオ
ン電着塗装が施こされた後、さらに新規な意匠性や高仕
上がり性を目的として3層構造からなる上塗り塗装工程
が行われる。
【0004】ここで3層構造からなる上塗り塗装には、
着色ベースコート(a)、メタリックベースコート
(b)、及びクリアートップコート(c)を硬化させな
いで順次塗装し同時に焼き付ける塗膜形成方法(3C1
B)。
【0005】着色ベースコート(a)、メタリックベー
スコート(b)塗装後、両塗膜を硬化させて、クリアー
トップコート(c)を塗装し、同時に焼き付ける塗膜形
成方法(3C2B)。
【0006】着色ベースコート(a)、メタリックベー
スコート(b)、クリアートップコート(c)の各々の
塗膜において、塗装後焼き付ける塗膜形成方法(3C3
B)等がある。
【0007】一方、ボディコストの低減や生産性の向上
を目的として、中塗り塗装工程を省略したり、また上塗
り膜厚を薄くする傾向や、ユーザーの要求に、マンセル
表示でN8〜N9.5の範囲の「高白度光沢感」や、光
沢度計でよりグロス値の高い「高鮮映性」の要求があ
り、その対策として、上塗り塗膜のフロー性向上のため
顔料濃度を下げたり、塗装膜厚を厚くして仕上がり性を
上げていた。
【0008】例えば、白系上塗り塗料には、着色顔料と
して隠蔽力が低いチタン白を多量に用いるが、「高白度
光沢感」の要求に対し、熱フロー性向上を狙って顔料濃
度を低下する手法を用いた場合、隠蔽性の面から低下す
る量の限界があり、光沢感向上の為に単に塗装膜厚を厚
くするとコスト増や、上塗り塗膜が被塗物の垂直面(例
えば、ドアパーツのプレスライン下や鍵穴部の周りで)
タレが生じ仕上がり性の低下など塗装作業性が問題点と
してあった。
【0009】また、例えば、上塗り塗料が白で電着塗膜
が灰色や黒あった場合、上塗り塗料の顔料濃度を下げる
と隠蔽性が低下し、下地の影響を受けて上塗り塗膜の外
観が灰色になる。
【0010】また、例えば、上塗り塗料がブルーで電着
塗膜の塗色が灰色や黒あった場合、上塗り塗膜の仕上が
り性が、目的とする真の色味が得られないなどの問題点
があった。他に、上塗り塗料がメタリック調やパール調
で、電着塗膜が灰色や黒あった場合、アルミニウムやマ
イカによる光沢感を低下させることがあった。
【0011】対策として、上塗り塗膜での隠蔽性を確保
することは、カーボンブラックのような隠蔽力の大きい
顔料を、少量添加することで得られるが、カーボンブラ
ックは着色力が大きいため、塗膜の明度、彩度が低下
し、限られた色域範囲でしか隠蔽性が得られない。ま
た、目的とする色相からずれるなどの問題点があった。
【0012】この隠蔽性や目的とする色相を得るため
に、上塗り塗料中の顔料濃度を上げることが考えられる
が、塗膜が硬くなる為、耐チッピングなどの塗膜物性が
低下したり、熱フロー抑制による仕上がり性低下があ
り、その改良に苦慮していた。
【0013】
【課題を解決するための手段】 そこで本発明者らは、
上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、ダブルコー
ト電着塗装において2回目に塗装される電着塗膜の塗色
が、次に塗装される上塗り塗膜の塗色とマンセル表示の
色相で同系色有彩色、又は白、場合によってはアルミニ
ウムやマイカなどを含有しメタリック調やパール調の塗
色とすることによって本発明を完成するに至った。
【0014】即ち、本発明は、 1.以下の工程、 工程1:自動車ボディなどの金属製被塗物に、塗膜の塗
色が灰色、又は黒であるカチオン電着塗料(1)を塗装
して電着塗膜を形成する工程、 工程2:次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗
物を水洗し、余分に付着したカチオン電着塗料(1)を
除去する工程、 工程3:カチオン電着塗膜(1)を有する被塗物に、塗
膜の塗色が有彩色、又は白であるカチオン電着塗料
(2)を塗装して電着塗膜を形成する工程、 工程4:上記工程において得られた電着塗膜を有する被
塗物を水洗し、余分に付着したカチオン電着塗料(2)
を除去する工程、 工程5:工程1〜工程4で得られた塗膜を同時に加熱し
て硬化乾燥する工程、を特徴とする塗膜形成方法、 2.以下の工程、 工程6:工程1〜5により作成した塗膜に、カチオン電
着塗料(2)とマンセル表示の色相で同系色の有彩色、
又は白の上塗り塗料を塗装する工程、 工程7:上記、上塗り塗料を加熱して硬化乾燥する工
程、を特徴とする塗膜形成方法、 3.上塗り塗料が、着色ベースコート(a)、メタリッ
クベースコート(b)、及びクリアートップコート
(c)を硬化させないで順次塗装することを特徴とする
2項に記載の塗膜形成方法、 4.上塗り塗料が、着色ベースコート(a)、及びメタ
リックベースコート(b)塗装後、両塗膜を硬化させ
て、クリアートップコート(c)を塗装することを特徴
とする2項に記載の塗膜形成方法、 5.上塗り塗料が、着色ベースコート(a)を塗装後、
該塗膜を硬化、メタリックベースコート(b)を塗装
後、該塗膜を硬化させ、次に、クリアートップコート
(c)を塗装することを特徴とする2項に記載の塗膜形
成方法、に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】 以下、工程1〜工程7、及びカ
チオン電着塗料(1)、カチオン電着塗料(2)、上塗
り塗料について順次説明する。
【0016】工程1:被塗物としては、自動車ボディ、
自動車部品など袋部を有する複雑な構造を有する金属材
質のものを挙げることができ、鋼板としては、溶融亜鉛
めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層め
っき鋼板及び有機複合めっき鋼板など、並びにこれらの
鋼板や冷延鋼板などの基材を、必要に応じてアルカリ脱
脂などによって表面を清浄化した後、リン酸塩化成処
理、クロメート処理などの表面処理を行ったものが挙げ
られる。
【0017】1回目に電着塗装されるカチオン電着塗料
(1)としては、カチオン電着塗料である限り、特に制
限なく使用することができ、目標とする塗膜性能に応じ
て適宜選択して使用すればよい。カチオン電着塗料
(1)の塗色は、被塗物の素地を隠蔽する面から灰色や
黒が好ましい。
【0018】顔料組成としては、例えば、カーボンブラ
ック、チタン白のような着色顔料;クレー、タルク、炭
酸カルシウムのような体質顔料;クロム酸ストロンチウ
ム、クロム酸鉛、ケイ酸鉛、トリポリりん酸アルミ、ト
リポリりん酸亜鉛、亜鉛華、無機ビスマス、有機酸ビス
マスなどの防錆顔料;などが挙げられ、これらの顔料は
分散用樹脂として3級アミン型エポキシ樹脂系、4級ア
ンモニウム塩型エポキシ樹脂系、3級アミン型アクリル
樹脂系などとともに、中和剤、脱イオン水を加えたの
ち、ボールミル、サンドミルなどで分散し、顔料分散ペ
ーストを得ることができる。
【0019】カチオン電着塗料(1)の基体樹脂として
は、エポキシ樹脂を主成分とする電着塗料や、アクリル
樹脂を主成分とするカチオン電着塗料等を挙げることが
できる。アクリル樹脂を主成分とする電着塗料には、従
来から公知のアミン付加エポキシ樹脂を、少量併用する
ことが防食性の点から望ましい。
【0020】エポキシ樹脂を主成分とするカチオン電着
塗料におけるエポキシ樹脂としては、アミン付加エポキ
シ樹脂が挙げられ、該アミン付加エポキシ樹脂は、カチ
オン電着塗料において通常使用されているポリアミン樹
脂、例えば、(i)ポリエポキシド化合物と1級モノ−
及びポリアミン、2級モノ−及びポリアミン又は1、2
級混合ポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第3,
984,299号明細書参照);(ii)ポリエポキシド
化合物とケチミン化された1級アミノ基を有する2級モ
ノ−及びポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第
4,017,438号明細書参照);(iii) ポリエポキ
シド化合物とケチミン化された1級アミノ基を有するヒ
ドロキシ化合物とのエーテル化により得られる反応物
(例えば、特開昭59−43013号公報参照)などが
ある。
【0021】上記、ポリアミン樹脂の製造に使用される
ポリエポキシド化合物は、エポキシ基を1分子中に2個
以上有する化合物であり、一般に少なくとも200、好
ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800
〜2,000の範囲内の数平均分子量を有するものが適
しており、特にポリフェノール化合物とエピクロルヒド
リンとの反応によって得られるものが好ましい。
【0022】上記、ポリエポキシド化合物の形成のため
に用いうるポリフェノール化合物としては、例えば、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、
4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒ
ドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパ
ン、ビス(2−ヒドロキシナブチル)メタン、1,5−
ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシ
フェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)
−1,1,2,2−エタン、4,4′−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾール
ノボラック等が挙げられる。
【0023】ポリエポキシド化合物は、ポリオール、ポ
リエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリ
アシドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化
合物などと一部反応させたものであってもよく、さらに
また、ε−カプロラクトン、アクリルモノマーなどをグ
ラフト重合させたものであってもよい。
【0024】他に、アクリル樹脂を主成分とするカチオ
ン電着塗料のアクリル樹脂は、従来から公知のものが使
用でき、例えば、アミノ基含有アクリルモノマーと水酸
基含有アクリルモノマーや、その他のアクリルモノマー
とを共重合したものが挙げられる。
【0025】アミノ基含有モノマーとしては、アミノ基
含有アクリル系モノマーが好ましく、例えば、アミノエ
チル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミ
ノブチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキルア
クリル酸エステル又はメタクリル酸エステル類;N,N
−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,
N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミドなどのアミノアルキルアクリルアミド又はメタク
リルアミド類が挙げられる。これらはそれぞれ単独か、
又は2種以上を組合せて使用する。このようなアミノ基
含有モノマーは、全モノマー量の3〜20重量%、好ま
しくは5〜18重量%の範囲で使用するのが適当であ
る。
【0026】上記、水酸基含有アクリルモノマーとして
は、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリ
ル酸、又はメタクリル酸のC1〜C8のヒドロキシアルキ
ルエステルが使用できる。
【0027】他に、その他のアクリルモノマーとして
は、アミノ基含有モノマーや水酸基含有モノマーと共重
合可能なモノマーであれば特に制限はなく、例えば、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、 iso−ブチル
(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのア
クリル酸又はメタクリル酸のC1 〜C24のアルキル又は
シクロアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、
α−メチルスチレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニ
ル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルプロピオネー
ト、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メ
タ)アクリルアミド、ベオバモノマー(シェル化学製
品)などのビニルモノマーが挙げられ、それぞれ単独
か、又は2種以上組合せて使用する。
【0028】これらのモノマーは、目的とするカチオン
電着塗料組成物の性状や、形成される塗膜の要求性能に
応じて適宜選択できる。以上のようなモノマー類からな
るアクリル(共重合体)樹脂の製造は、従来公知の方法
で行うことができ、一般には、溶液重合法に従って行わ
れる。
【0029】また、ビニル系共重合体を主成分とするカ
チオン電着塗料組成物としては、グリシジル基含有モノ
マーと水酸基含有モノマー、及びこれらと共重合可能で
グリシジル基と反応しないその他のビニルモノマーとの
共重合体にアミンを付加してなるものも挙げられる。
【0030】上記、グリシジル基含有モノマーとして
は、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘ
キセンモノエポキシド、N−グリシジルアクリルアミ
ド、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。この
ようなグリシジル基含有モノマーは、全モノマー量の5
〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲で使
用されるのが適当である。水酸基含有モノマー及びこれ
らと共重合可能でグリシジル基と反応しないその他のビ
ニルモノマーは、前述のものが同様に使用できる。また
このようなモノマー類からなる共重合体の製造も、従来
公知の方法で行うことができる。
【0031】上記のようにして得られるグリシジル基含
有共重合体とアミンとの付加反応は、従来公知の方法に
従って行うことができ、例えば、該共重合体溶液に、第
2級アミンを加え約50〜120℃の温度で約1〜20
時間反応させる方法などが挙げられる。
【0032】使用されるアミンとしては、プロピルアミ
ン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、
ジ−n−プロピルアミンなどのアルキルアミン類;ジエ
タノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−メチ
ルエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;ピペ
リジン、モルホリン、N−メチルピペラジンなどが挙げ
られる。このようなアミンの使用量は、通常グリシジル
基1モル当たり約0.1〜1モルの範囲が適当である。
【0033】アクリル樹脂の水酸基価は、特に制限され
るものではないが、通常30〜200mgKOH/g、
好ましくは50〜150mgKOH/gの範囲が適当で
ある。該水酸基価が30未満では得られる塗膜の硬化性
が劣りやすく、また200mgKOH/gを越えると耐
候性や防食性が劣る傾向がみられる。また、アクリル樹
脂の分子量は、通常約5,000〜100,000、好
ましくは10,000〜50,000の範囲が適当であ
る。
【0034】次に、硬化剤として用いる(ブロック化)
ポリイソシアネート化合物は、脂肪族及び/又は脂環式
のポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックし
た化合物である。ポリイソシアネート化合物が、脂肪族
及び/又は脂環式以外のポリイソシアネート化合物、例
えば、芳香族ポリイソシアネート化合物の場合には塗膜
の耐候性の劣化等を招くので好ましくない。
【0035】脂肪族及び/又は脂環式のポリイソシアネ
ート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレ
ンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート等の脂
肪族、脂環族のジイソシアネート化合物、またはそれら
の2量体、3量体、及びこれらのイソシアネート化合物
の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒ
マシ油等の低分子活性水素含有化合物を反応させて得ら
れる末端イソシアネート含有化合物が挙げられる。
【0036】ブロック化剤は、ポリイソシアネート化合
物のイソシアネート基に付加してブロックするものであ
り、そして付加によって生成するブロックポリイソシア
ネート化合物は、常温において安定で且つ約100〜2
00℃、好ましくは120〜150℃に加熱した際、ブ
ロック剤を解離して遊離のイソシアネート基を再生しう
るものであることが望ましい。
【0037】そのようなブロック化剤として、例えば、
ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタ
ム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサ
ノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パ
ラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノー
ル系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール
などの脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メ
チルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアルコ
ール類;エチレングリコールモノブチルエーテルなどの
エーテルアルコール系化合物等を挙げることができる。
【0038】このブロック剤の配合量としては、イソシ
アネートのNCO基に対して1:1〜1:1.3で反応
させることが好ましい。比率が1.3を越えるとブロッ
ク剤が残存して塗膜の防食性を低下させ、1.0未満で
はNCO基が残存して塗料組成物の安定性を損なうので
好ましくない。
【0039】アミン付加エポキシ樹脂や、アミン付加ア
クリル樹脂などの基体樹脂の中和、水分散化は、硬化
剤、界面活性剤、表面調整剤(アクリル樹脂、フッ素樹
脂、シリコン樹脂、ポリプロピレングリコールなど)、
硬化触媒(例えば、錫、亜鉛、鉛、ビスマスなどの金属
の塩)や、その他の添加剤、溶剤などを加えた後、該基
体樹脂を脂肪族カルボン酸、例えば、グリコール酸、グ
リセリン酸、乳酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチ
ロール酪酸、ジメチロール吉草酸、酒石酸、リンゴ酸、
ヒドロキシマロン酸、ジヒドロキシコハク酸、トリヒド
ロキシコハク酸、メチルマロン酸、酢酸、ギ酸などの水
溶性有機酸によって行われる。また中和剤としてギ酸を
用いると、つきまわり性に優れるので好ましい。
【0040】上記、カチオン電着塗料(1)は、脱イオ
ン水で希釈して固形分濃度が約5〜25重量%、pHが
5.5〜8の範囲内になるように調整する。電着塗装の
条件は、一般的には、浴温15〜35℃(好ましくは2
0〜30℃)、電圧:100〜400V(好ましくは2
00〜300V)、通電時間:30秒〜10分、極面積
比(A/C)=8/1〜1/8、極間距離10〜200
cm、撹拌状態で電着することが望ましい。
【0041】カチオン電着塗料(1)による膜厚は、目的
とする性能に応じて適宜選定すればよいが、5〜60μ
m 、好ましくは10〜40μm の範囲である。カチオン
電着塗料(1)として、基体樹脂にエポキシ樹脂を主成分
とするカチオン電着塗料を使用することによって防食性
の良好な塗膜を得ることができ、アクリル樹脂を主成分
とするカチオン電着塗料を使用することによって、耐候
性の良好な塗膜を得ることができる。
【0042】工程2:電着塗装後、余分に付着したカチ
オン電着塗料を落とすための水洗工程である。水洗液と
しては、ウルトラフィルトレーションろ液(UFろ
液)、RO透過水、工業用水、純水などで、塗装物表面
にカチオン電着塗料が残らないよう2回以上の回数を経
て十分に水洗する。この水洗設備は、自動車ボディや部
品を水洗槽内に浸漬するディピング水洗方法、又は水洗
水をシャワーリングするスプレー水洗方法で行うことが
できる。
【0043】工程3:さらに上記工程で得られた電着塗
膜を有する塗装物に、カチオン電着塗料(2)を塗装し
て、さらに電着塗膜を形成する工程であるが、ここで塗
装されるカチオン電着塗料(2)の塗色が、次に塗装さ
れる上塗り塗膜の色相と同系色の有彩色、又は白である
ことを特徴としている。上記、カチオン電着塗料(2)
として使用できる顔料は、着色顔料として、 白;二酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性硫酸鉛、鉛酸カル
シウム、リン酸(Zn、Al)、モリブデン酸(Zn、
Ca)、 青;無機系として、紺青、群青、コバルトブルー、有機
系として、銅フタロシアニンブルー、インダンスロンブ
ルー、 黄;無機系として、黄鉛、合成黄色酸化鉄、透明べんが
ら(黄)、ビスマスバナデート、チタンイエロー、亜鉛
黄(ジンクエロー)、クロム酸ストロンチウム、アナミ
ド鉛、有機系として、モノアゾイエロー、モノアゾイエ
ロー、ジスアゾ、モノアゾイエロー、イソインドリノン
イエロー、金属錯塩アゾイエロー、キノフタロンイエロ
ー、イソインドリンイエロー、ベンズイミダゾロンイエ
ロー、 赤;無機系として、べんがら、透明べんがら(赤)、鉛
丹、有機系として、モノアゾレッド、モノアゾレッド、
無置換キナクリドンレッド、アゾレーキ(Mn塩)、キ
ナクリドンマゼンダ、アンサンスロンオレンジ、ジアン
スラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン
マゼンダ、ペリレンレッド、ジケトピロロピロールクロ
ムバーミリオン、塩基性クロム酸鉛、 緑;無機系として、酸化クロム、有機系として、塩素化
フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリー
ン、 その他;ピラゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンオレ
ンジ、ジオキサジンバイオレット、ペリレンバイオレッ
トなどが挙げられる。
【0044】体質顔料としては、マイカ、クレー(カオ
リン)、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが
挙げられる。防錆顔料としては、クロム酸ストロンチウ
ム、クロム酸鉛、ケイ酸鉛、トリポリりん酸アルミ、ト
リポリりん酸亜鉛、亜鉛華、無機ビスマス、有機酸ビス
マス、他にアルミニウム粉、亜鉛末、パールマイカなど
が挙げられる。これらの顔料は分散用樹脂として3級ア
ミン型エポキシ樹脂系、4級アンモニウム塩型エポキシ
樹脂系、3級アミン型アクリル樹脂系などとともに、中
和剤、脱イオン水を加え、ボールミル、サンドミルなど
の分散手段を用いて、顔料ペーストを得ることができ
る。
【0045】カチオン電着塗料(2)に用いられる基体
樹脂としては、カチオン電着塗料(1)と同様に、アミ
ン付加エポキシ樹脂、アミン付加アクリル樹脂を主成分
とするものが使用でき、耐候性や防食性、仕上がり性な
どの目的に応じて、樹脂中に含有する可塑剤量などを調
整し、基体樹脂として用いられる。
【0046】カチオン電着塗料(2)に用いるアミン付
加エポキシ樹脂、アミン付加アクリル樹脂、硬化剤とし
て用いる(ブロック化)ポリイソシアネート化合物とし
ては、カチオン電着塗料(1)と同一でも異なっていて
もよく、それぞれの塗膜に別の機能を持たせることもで
きる。
【0047】カチオン電着塗料(1)と同様に、界面活
性剤、表面調整剤、その他の添加剤を加えた後、中和
剤、脱イオン水を加えて水分散し、顔料分散ペーストて
カチオン電着塗料(2)を作成する。
【0048】上記、カチオン電着塗料(2)の電着塗装
条件は、特に制限されるものではないが、一般的に、浴
温は15〜35℃(好ましくは20〜30℃)、電圧1
00〜400V(好ましくは200〜300V)、通電
時間30秒〜10分、極面積比(A/C)=8/1〜1
/8、極間距離10〜200cm、撹拌状態で電着するこ
とが好ましい。
【0049】工程4:上記工程により得られた電着塗膜
を有する被塗物を水洗し、余分に付着したカチオン電着
塗料(2)を除去し水切りを行う工程であるが、工程2
と同様のものを使用できる。
【0050】工程5:これらの塗膜を同時に加熱して硬
化させる工程であるが、電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥
機などを用いて行うことができる。乾燥温度としては被
塗物表面の温度で110℃〜200℃、好ましくは14
0〜180℃、乾燥時間としては10分間〜180分
間、好ましくは20分間〜40分間が良い。
【0051】工程6:カチオン電着塗膜を有する被塗物
に、さらに上塗り塗料の塗装を施す工程である。上記、
上塗り塗料は、着色ベースコート(a)、メタリックベ
ースコート(b)、及びクリアトップコート(c)の各
塗料を、順次塗装してなる3層の上塗り塗膜である。
【0052】着色ベースコート(a)は、樹脂成分、着
色顔料、有機溶剤を含有し、さらに必要に応じて体質顔
料及びその他の塗料添加剤などを配合してなる熱硬化性
塗料である。着色ベースコート(a)の色相は、カチオ
ン電着塗膜と同系色の有彩色、又は白であることを特徴
とするが、場合によってはアルミニウムや、マイカなど
も配合し、より新規性のある塗膜を得ることができる。
【0053】着色ベースコート(a)における樹脂成分
は、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂などの基体樹脂をメ
ラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック)イソシアネート化
合物などの架橋剤と併用したものが挙げられ、これらは
有機溶剤及び/又は水などの溶剤に溶解又は分散して使
用される。
【0054】着色顔料としては、カチオン電着塗料で用
いたものと同様のものが使用できる。また、被塗物の素
地を隠蔽する面から有彩色顔料にはカーボンブラックな
どを併用する場合もある。
【0055】この着色ベースコート(a)は、下地であ
る電着塗膜がマンセル表示の色相で同系色の塗色である
ことから、電着塗膜上に直接塗られることの方が効果を
より見い出せる。また電着塗膜の上に、中塗り塗料を塗
装し硬化した後、着色ベースコート(a)を塗装するこ
ともできる。着色ベースコート(a)は、静電塗装、エ
アースプレー、エアレススプレー、などの方法で塗装す
ることができ、膜厚は5〜40μmの範囲が好ましい。
【0056】次に、メタリックベースコート(b)は、
着色ベースコート(a)が未硬化のまま、または着色ベ
ースコート(a)を焼き付け硬化した後に塗装する塗料
であり、樹脂、酸化アルミニウムフレーク、パールマイ
カ、有機溶剤等を含有し、さらに必要に応じて着色顔
料、体質顔料及びその他の添加剤などを配合してなるキ
ラキラとした光輝感を有するパール調やメタリック調の
塗膜を形成する熱硬化性塗料である。
【0057】メタリックベースコート(b)に用いられ
る樹脂は、水酸基などの架橋性官能基を有するアクリル
樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂
などの基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロッ
ク化)ポリイソシアネート化合物などの架橋剤を配合し
たものが挙げられる。
【0058】メタリックベースコート(b)は、アルミ
ニウム粉、フレーク状酸化アルミニウム、パールマイ
カ、フレーク状マイカ等を配合することができ、これら
の1種又は2種以上を含有することにより、メタリック
調や、パール調の塗膜が得られる。アルミニウム粉は、
従来からメタリックベースコートに用いられるものであ
りペースト状にして配合される。
【0059】この酸化アルミニウムフレークは表面が平
滑で、これを含む塗膜は、これを含む塗膜は、フレーク
状マイカ含有塗膜に比べてキラキラしており、優れた光
輝感を有している。また、この酸化アルミニウムフレー
クは、その表面を酸化チタンなどの金属酸化物で被覆し
ておくと、パール調もしくは光干渉作用を呈するので好
ましい。
【0060】メタリックベースコート(b)は、樹脂、
アルミニウム粉、酸化アルミニウムフレーク、フレーク
状マイカ等を有機溶剤又は水に混合分散することにより
調整され、塗装時の固形分含有を20〜60重量%、好
ましくは25〜50重量%で、粘度を10〜30秒/フ
ォードカップ#4/20℃に調整しておくことが好まし
い。塗装は、エアスプレー、エアレススプレーまたは静
電塗装機などで、乾燥塗膜が15〜70μm好ましくは
20〜50μmの範囲がよい。
【0061】クリアトップコート(c)は、メタリック
ベースコート(b)の未硬化塗面、又は120〜170
℃で10〜60分間加熱して架橋硬化させたメタリック
ベースコート(b)の塗面に、静電塗装、エアースプレ
ー、エアレススプレーなどの方法で塗装することがで
き、その膜厚は10〜100μmの範囲がよい。
【0062】クリアトップコート(c)の成分は、樹
脂、及び有機溶剤を主成分とし、さらに透明感を損なわ
ない程度に、着色顔料及びその他の塗料用添加剤などを
配合した無色、又は有色の透明塗膜を形成する塗料であ
る。
【0063】クリアトップコート(c)で使用する樹脂
は、熱硬化性樹脂が好ましく、水酸基、カルボキシル
基、エポキシ基などの架橋性官能基を有するアクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂な
どの基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹脂、(ブロック
化)イソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物
(又は樹脂)、エポキシ基含有化合物(又は樹脂)など
の硬化剤と併用したものが挙げられ、溶媒としては、有
機溶剤、及び/又は水を使用することができる。
【0064】上塗り塗料の塗装条件としては、(3C1
B):着色ベースコート(a)、メタリックベースコー
ト(b)、及びクリアートップコート(c)を未硬化の
ままで順次塗装する塗膜形成方法。(3C2B):着色
ベースコート(a)及びメタリックベースコート(b)
塗装後、両塗膜を硬化させて、クリアートップコート
(c)を塗装する塗膜形成方法。(3C3B):着色ベ
ースコート(a)を塗装後、塗膜を硬化させ、次にメタ
リックベースコート(b)を塗装後、塗膜を硬化させ、
クリアートップコート(c)を塗装する塗膜形成方法。
等が挙げられる。
【0065】工程7:塗装された、着色ベース(a)、
メタリックベース(b)、クリアトップコート(c)の
3層からなる塗膜を加熱して硬化乾燥させる工程であ
る。乾燥設備としては、電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥
機などを用いて行うことができる。乾燥温度としては、
被塗物表面の温度で110〜200℃、好ましくは13
0〜180℃、乾燥時間としては10分間〜180分
間、好ましくは20分間〜40分間が良い。
【0066】他に、上記、上塗り塗料は、着色ベース
(a)、メタリックベース(b)、クリアトップコート
(c)の3層からなる塗膜において、それぞれの塗膜を
約50〜約100℃の温度でプレヒートすることもでき
る。このプレヒートは、各塗膜のゲル分率が60重量%
以下程度で実施することが好ましい。
【0067】
【発明の効果】 カチオン電着塗装を2回塗り重ねるダ
ブルコート電着塗装において2回目に塗装される電着塗
膜の塗色が、その上に塗装される上塗り塗膜の塗色とマ
ンセル表示の色相で同系色の有彩色、又は白とすること
により、従来の電着塗膜の塗色が灰色や黒に比べ、上塗
り塗料の顔料濃度や塗装膜厚を下げても下地隠蔽性が得
られることがわかった。
【0068】また、上塗り塗装膜厚を減らすことによ
り、コスト低減、ドアフェンダーなどの垂直塗装面でタ
レ性の塗装作業性が向上した。また上塗りの顔料濃度を
下げるられることから塗膜に可塑効果が得られ、耐チッ
ピング性などの塗膜物性が向上する。
【0069】他の効果として、自動車ボディのトラン
ク、ドアインナー、ピラーなどに塗られる共色中塗り塗
料(外板上塗り塗色と同一塗色)、及び共色中塗り工程
を省略でき、省資源化、省工程に寄与することも得られ
た。
【0070】
【実施例】 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明する。本発明はこれによって限定されるものでは
ない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量
%」を示す。
【0071】顔料ペーストAの製造例 固形分85%の3級アミン酸中和型分散樹脂5.88部(固
形分5部)、10%酢酸1.4部を配合した後、さらに脱
イオン水を加え混合攪拌した。ついでこの中に、チタン
白14部、カーボンブラック0.3部、精製クレー8部、
酸化ビスマス2部、有機錫3部を配合し、ボールミルに
て40時間分散を行い50%の顔料ペーストAを得た。
【0072】顔料ペーストB〜Dの製造例 表1の配合内容で、顔料ペーストAと同様の操作にて顔
料ペーストB〜Dを作成した。
【0073】
【表1】
【0074】(注1)アルミニウムフレーク:酸化鉄で
被覆された酸化アルミニウムフレークで酸化アルミニウ
ムフレーク100部あたり10部の酸化鉄で被覆したも
ので、厚さは0.2〜0.5μm。 (注2)パールマイカ白:酸化鉄被覆マイカ、マーク社
製、厚さ0.2〜0.5μm。
【0075】エポキシ系樹脂の製造例 エピコート828EL(油化シェル社製、商品名、エポ
キシ樹脂)1010g、ビスフェノールA390g、ジ
メチルベンジルアミノ0.2gを加え、130℃でエポ
キシ当量800になるまで反応させた。次にε−カプロ
ラクトン260g、テトラブトキシチタン0.03gを
加え、170℃に昇温し、この温度を保ちながら経時で
サンプリングを行い、赤外吸収スペクトル測定において
未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反応率が98
%以上になった時点で120℃に温度を下げた。次にジ
エタノールアミン160g、ジエチレントリアミンのメ
チルイソブチルジケチミン化物65gを加え、120℃
で4時間反応させ、ブチルセロソルブ420gを加え、
アミン価58、基体樹脂として固形分80%のエポキシ
樹脂を得た。
【0076】アクリル系樹脂の製造例 n−ブチルアルコール27部及びイソプロピルアルコー
ル27部を反応容器に入れ、加熱して90℃にした。こ
の中にスチレン30部、2−エチルヘキシルメタアクリ
レート35部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20
部、N−N−ジメチルアミノエチルアクリレート15
部、アゾビスイソブチロニトリル3.5部の混合物を約
2時間かけて滴下した。反応は窒素注入下で行った。反
応温度を90℃に保ち、さらに4時間反応を行って基体
樹脂として固形分65%のアクリル系樹脂を得た。
【0077】(ブロック化)ポリイソシアネート化合物
の製造例 イソホロンジイソシアネート(IPDI)50部をメチ
ルケトオキシム40部に40〜60℃で滴下した後、8
0℃で1時間加熱し、固形分90%の硬化剤(ブロック
化)ポリイソシアネート化合物を得た。
【0078】カチオン電着用 エマルション(I)の製
造例 上記、80%エポキシ系樹脂を87.5部(固形分70
部)、(ブロック化)ポリイソシアネート化合物を3
3.3部、液状有機錫2.5部(固形分1部)、10%
ギ酸8.2部を配合し均一に攪拌した後、脱イオン水1
84.1部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下し、
固形分32.0%のカチオン電着用エマルション(I)
を得た。
【0079】カチオン電着用 エマルション(II)の製
造例 上記、65%アクリル系樹脂を107.7部(固形分7
0部)、(ブロック化)ポリイソシアネート化合物を3
3.3部、液状有機錫2.5部(固形分1部)、10%
ギ酸8.2部を配合し、均一に攪拌した後、脱イオン水
163.9部を強く攪拌しながら約15分かけて滴下
し、固形分32.0%のカチオン電着用エマルション
(II)を得た。
【0080】カチオン電着塗料 No.1の製造例 作成した32%のカチオン電着用 エマルション(I)
318.5部、50%の顔料ペーストA 70部、及
び純水296部を加え、固形分20%のカチオン電着塗
料No.1(塗色 グレー)を得た。
【0081】カチオン電着塗料 No.2〜No.5の
製造例 以下、表2のように、エポキシ系樹脂を用いたカチオン
電着用 エマルション(I)、又はアクリル系樹脂を用
いたカチオン電着用 エマルション(II)に、表1のよ
うに顔料ペーストA〜Dを組み合わせてカチオン電着塗
料No.2〜No.5を作成した。
【0082】
【表2】
【0083】上塗り塗料 No.1〜No.6の製造例 表3のような配合でディスパーにて攪拌したのち、フォ
ードカップ#4で20秒/20℃の粘度になるようにス
ワゾール#1000で希釈し、着色ベースコート
(a)、メタリックベースコート(b)として用いる上
塗り塗料No.1〜No.6を作成した。また、クリア
トップコート(c)はルーガベーククリアー(注7)を
用いた。
【0084】
【表3】
【0085】(注3)水酸基含有アクリル系樹脂:水酸
基価110、数平均分子量25000 (注4)メラミン樹脂:ブチルエーテル化メラミン樹脂 (注5)水酸基含有アクリル系樹脂:水酸基価100、
数平均分子量20000 (注6)ブチル化メラミン樹脂:メチル・ブチル混合エ
ーテル化メラミン樹脂(注7)ルーガベーククリアー:
関西ペイント社製、商品名、アクリル系樹脂/アミノ樹
脂系。
【0086】実施例及び比較例 実施例1 工程1:化成処理パルボンド#3020(日本パーカー
ライジング社製、商品名、りん酸亜鉛化成処理剤)にて
処理した冷延鋼板(70×150×0.8mm)及び図1のような
「2枚あわせ試験板」の試験板を被塗物とし、カチオン
電着塗料No.1(塗色 グレー)を電圧250V−2
分間塗装した、その時の膜厚は15μmであった。 工程2:次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗
物を水洗し、余分に付着したカチオン電着塗料No.1
を除去した。 工程3:上記工程で得られた電着塗膜を有する被塗物
を、さらにカチオン電着塗料No.3(塗色 白メタリ
ック)を電圧250V−1分間塗装した。 工程4:上記工程において得られた電着塗膜を有する被
塗物を水洗し、余分に付着したカチオン電着塗料No.
3を除去した。 工程5:170℃−20分間電気熱風乾燥機にて硬化乾
燥した。 工程6:以上の工程により作成した電着塗膜の外板面
に、上塗り塗料No.1(着色ベースコート(a))を
乾燥膜厚で20μmになるようにスプレーにて塗装し
た。次いで、上塗り塗料No.5(メタリックベースコ
ート(b))を12μm、ルーガベーククリア(クリア
トップコート(c))を25μm、各セッテイング時間
を7分間づつ置き、未硬化のまま塗り重ねた。 工程7:その後、10分間セッテングを行い溶剤を塗膜
中から揮散させた後、140℃−20分間電気熱風乾燥
機にて硬化乾燥し、着色ベースコート(a)、メタリッ
クベースコート(b)、クリアトップコート(c)の3
層からなる上塗り塗膜である総合塗膜を得た。
【0087】実施例2〜3、比較例1〜3 表4に示すような塗料組成物、工程にて塗板を作成し試
験に供した。その結果を示す。
【0088】
【表4】
【0089】(注8)上塗り面60°グロス:工程1〜
工程6を経て作成した塗装板の上塗り面をJIS K−
5400 7.6(1990)の60°グロスに従い、
塗膜の光沢の程度を、入射角と受光角とがそれぞれ60
°のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光
沢度を100としたときの百分率で表す。 (注9)上塗り面 鮮映性:鮮映性測定器PGD−IV型
(発売元 日本色彩研究所)を用いて測定した。角度を
55°に固定して測定した。値(PGD値)が大きいほど
鮮映性が良好であることを意味する。 (注10)耐チッピング性:工程1〜工程6を経て作成
した塗装板の上塗り面をQ−G−Rグラベロメーター
(Qパネル株式会社製)を用い7号砕石50gを0.3
9MPa(4kgf/cm)のエア圧、20℃の温度
条件で試験板に砕石を吹き付け、塗膜に衝撃を与えた後
JIS Z−2371に規定された方法に準じて塩水噴霧試
験を48時間実施した。
【0090】錆発生の状態を総合的に評価し次の基準で
表示する ◎:優れている(70×150mmの試験板に錆発生
3個以下 ) ○:良好 (70×150mmの試験板に錆発生
3〜9個以下 ) △:やや劣る (70×150mmの試験板に錆発生
10〜19個 ) ×:劣る (70×150mmの試験板に錆発生
20個以上 ) (注11)上塗り塗膜 タレ性 被塗物としてドアパ
ーツの鍵穴部分ドアパーツの鍵穴部分を想定し、図2の
ような直径10mmのポンチ○穴が開けてある鋼板を用
いた。工程(1)〜工程(6)により作成した塗板を、
上塗り塗料の垂直塗装にてポンチ○穴周辺の塗膜のタレ
状態を焼き付け塗膜にて観察した ○:問題なく良好 △:鍵穴の周りに1mmくらいの塗膜のタレがみられ
る。 ×:鍵穴の周りに2mm以上の塗膜のタレがみられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タレ性の塗装試験に用いた試験板。ドアパーツ
の鍵穴部分を想定し、直径10mmのポンチ○穴が開け
てある鋼板である。
【符号の説明】
1.直径10mmの穴 2.一般部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の工程、 工程1:自動車ボディなどの金属製被塗物に、塗膜の塗
    色が灰色、又は黒であるカチオン電着塗料(1)を塗装
    して電着塗膜を形成する工程、 工程2:次いで、上記で得られた電着塗膜を有する被塗
    物を水洗し、余分に付着したカチオン電着塗料(1)を
    除去する工程、 工程3:カチオン電着塗膜(1)を有する被塗物に、塗
    膜の塗色が有彩色、又は白であるカチオン電着塗料
    (2)を塗装して電着塗膜を形成する工程、 工程4:上記工程において得られた電着塗膜を有する被
    塗物を水洗し、余分に付着したカチオン電着塗料(2)
    を除去する工程、 工程5:工程1〜工程4で得られた塗膜を同時に加熱し
    て硬化乾燥する工程、を特徴とする塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 以下の工程、 工程6:工程1〜5により作成した塗膜に、カチオン電
    着塗料(2)とマンセル表示の色相で同系色の有彩色、
    又は白の上塗り塗料を塗装する工程、 工程7:上記、上塗り塗料を加熱して硬化乾燥する工
    程、を特徴とする塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】上塗り塗料が、着色ベースコート(a)、
    メタリックベースコート(b)、及びクリアートップコ
    ート(c)を硬化させないで順次塗装することを特徴と
    する請求項2に記載の塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】上塗り塗料が、着色ベースコート(a)、
    及びメタリックベースコート(b)塗装後、両塗膜を硬
    化させて、クリアートップコート(c)を塗装すること
    を特徴とする請求項2に記載の塗膜形成方法。
  5. 【請求項5】上塗り塗料が、着色ベースコート(a)を
    塗装後、該塗膜を硬化、メタリックベースコート(b)
    を塗装後、該塗膜を硬化させ、次に、クリアートップコ
    ート(c)を塗装することを特徴とする請求項2に記載
    の塗膜形成方法。
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JP2005199194A (ja) * 2004-01-16 2005-07-28 Nissan Motor Co Ltd 微小突起部の塗装方法、積層塗膜およびこれに用いられる防錆塗料
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