JP4817506B2 - 複層塗膜形成方法および複層塗膜 - Google Patents

複層塗膜形成方法および複層塗膜 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、仕上り外観が良好な複層塗膜形成方法および複層塗膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
意匠性等の塗膜外観が重要視される自動車車体、二輪車および電気製品等およびこれらの部品の仕上げには、通常、平滑性、鮮映性および耐候性等に優れた熱硬化性塗料によって、複層塗膜が形成されている。この複層塗膜の形成方法は、基材に、カチオン電着塗膜を形成し、次いで上塗りの光線透過による電着塗膜表面の暴露等による劣化を防止し、かつ下地を隠蔽するために、グレー系または白色系の中塗り塗膜を形成する。次いで、この加熱硬化した中塗り塗膜上に、光輝性顔料および/または着色顔料を配合した上塗り塗料を塗装し、この上塗りベース塗膜を加熱硬化することなく、いわゆるウエットオンウエット(W/W)で上塗りクリヤー塗料を塗装し、最後に上塗りベース塗膜と上塗りクリヤー塗膜の両方を一度に加熱硬化する。この上塗りベース塗膜と上塗りクリヤー塗膜の両方を一度に加熱硬化する方法は、3コート2ベーク方式と呼ばれている。
【0003】
一方、複層塗膜の形成方法として、焼き付け乾燥に要するエネルギーの節約の観点から、被塗物に、着色ベ−ス塗料(A)、メタリック塗料(B)およびクリヤー塗料(C)をウェットオンウェットで順次塗装し、次いで加熱して3層塗膜を同時に硬化せしめる方法が、例えば特開平10−277474号公報に提案されている。このように3層塗膜を同時に硬化せしめる方法は、3コート1ベーク方式と呼ばれている。
【0004】
しかしながら、複層塗膜の仕上り外観を良好に保つためには、電着塗膜の性状が重要であるが、上記先行技術においては、電着塗膜についての言及がなく、電着塗膜上の3コート1ベーク方式における複層塗膜としての塗膜平滑性による塗膜外観が、十分に得られないという懸念がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、電着塗膜上の3コート1ベーク方式における複層塗膜としての塗膜平滑性を得ることのできる複層塗膜形成方法および複層塗膜を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上述の課題に鑑み鋭意研究した結果、本発明に至った。
1.基材上に、カチオン電着塗料により塗膜形成した塗膜に対するトルエンの電着塗膜への吸込み率が、25%以下である硬化電着塗膜面に、中塗り塗料、上塗りベース塗料さらに上塗りクリヤー塗料を順次塗装し、未硬化の中塗り塗膜、上塗りベース塗膜さらに上塗りクリヤー塗膜の3層塗膜を形成した後、前記3層塗膜を同時に加熱して硬化させる複層塗膜形成方法。
2.上記トルエンの電着塗膜への吸込み率が5〜25%である上記の複層塗膜形成方法。
3.上記中塗り塗膜が、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂とをビヒクル成分とする熱硬化性中塗塗料により形成される上記の複層塗膜形成方法。
4.上記上塗りクリヤー塗膜が、カルボキシル基含有ポリマーおよびエポキシ基含有ポリマーを含有する塗料により形成される上記の複層塗膜形成方法。
5.上記の複層塗膜形成方法により塗膜が形成される複層塗膜。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明の複層塗膜形成方法は、基材上に、カチオン電着塗料により塗膜形成した塗膜に対するトルエンの電着塗膜への吸込み率が、25%以下である硬化電着塗膜面に、未硬化の中塗り塗膜、上塗りベース塗膜さらに上塗りクリヤー塗膜の3層塗膜を形成した後、上記3層塗膜を同時に加熱して硬化させるものである。
【0008】
上記基材としては、電着塗装が可能な基材であれば限定されるものでなく、鉄、鋼、アルミニウム、錫、亜鉛など、およびこれらの金属を含む合金、並びにこれらの金属のめっきもしくは蒸着製品等が挙げられる。具体的には、これら金属部材を用いて製造された乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車の車体および部品等が挙げられる。またポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類や各種のFRP等に導電処理を施したプラスチック材料等にも施すことができる。
【0009】
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記基材に直接または脱脂や化成処理等の下地処理を介して電着塗膜を形成する。
【0010】
電着塗膜
本発明の複層塗膜形成方法における電着塗膜の形成は、カチオン電着塗料により塗膜形成した硬化塗膜に対するトルエンの電着塗膜への吸込み率が、25%以下であるカチオン電着塗料によって施される。
【0011】
上記電着塗料は、カチオン電着塗料により塗膜形成した塗膜に対するトルエンの電着塗膜への吸込み率(以下、「トルエン吸込み率」という)が、25%以下となるように、下記のカチオン性基体樹脂、架橋剤、および溶媒を含有する塗料である。トルエン吸込み率が、25%を超えると、未硬化の中塗り塗膜、上塗りベース塗膜さらに上塗りクリヤー塗膜の3層塗膜を形成させた後に、これらを同時に焼き付ける工程において、上記電着塗膜に上記中塗り塗膜に含有する溶剤が吸込まれやすくなり塗膜の流動性が損なわれ電着塗膜を十分に隠蔽することができずに複合塗膜の外観が低下する。好ましいトルエン吸込み率は、5〜25%である。
【0012】
上記トルエン吸込み率は、以下の算出式によって求められる。
トルエン吸込み率(%)={(B−A)/A}×100
(A:初期電着塗膜重量、B:電着塗膜をトルエンに室温で1週間浸漬後の塗膜重量)
トルエン吸込み率の範囲を25%以下ににするためには、例えば(1)カチオン性基体樹脂と硬化剤からなる系においては、硬化剤の配合量を増量すること等の手法により電着塗膜の架橋密度を上げたり、(2)電着塗膜中に含まれるウレタン結合や水酸基、アミノ基、オキサゾリドン環のような極性の高い構造をより多く導入することによって得られる。
【0013】
上記カチオン性基体樹脂としては、より高い防食性を与えるものが好ましく、例えばアミノーエポキシ樹脂、アミノ基含有アクリル樹脂、アミノ基含有ポリエステル樹脂等が挙げられ,好ましくはアミノ−エポキシ樹脂が挙げられる。アミノーエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂のエポキシ環を1級アミン、2級アミンあるいは3級アミンの酸塩等のアミン類によって開環し、カチオン化して得られる。
【0014】
上記カチオン性基体樹脂の出発原料であるエポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の多環式フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応生成物であるポリフェノールポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂および分子内にオキサゾリドン環を含む変性エポキシ樹脂が挙げられ、分子内にオキサゾリドン環を含む変性エポキシ樹脂を用いることが好ましい。この変性エポキシ樹脂は、ジイソシアネート化合物を単一の活性水素化合物と反応させたビスウレタン化合物あるいは、2種類あるいはそれ以上の活性水素化合物を反応させたヘテロウレタン化合物と、エポキシ樹脂とを脱アルコール反応させることにより得ることができる。オキサゾリドン環を含む変性エポキシ樹脂を基体樹脂として用いれば、優れた耐食性を与える電着塗膜が得られるとともに加熱減量に起因する電着塗膜のやせが、起こりにくくなる。
【0015】
上記カチオン性基体樹脂の好ましいものは、アミン価が30〜130、より好ましくは、40〜80で、かつ数平均分子量が1000〜20000の樹脂である。アミン価が30未満の場合は、水溶化しにくく、130を超えると、電導度が高くなりガスピン性が低下したり、クーロン効率の低下や再溶解性等の電着塗装作業性に問題が生じたりする恐れがある。
【0016】
中和に用いる水溶性有機酸として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アクリル酸などを、無機酸として、塩酸、リン酸、スルファミン酸などを挙げることができる。好ましい水溶性有機酸または無機酸としては、酢酸、乳酸、プロピオン酸、蟻酸、スルファミン酸等である。
【0017】
本発明の複層塗膜形成方法に用いられるカチオン電着塗料に含まれる上記架橋剤は、ブロックポリイソシアネート化合物、エーテル化メラミン樹脂であることが好ましい。ブロックポリイソシアネート化合物は、芳香族系ポリイソシアネートや脂肪族、脂環族系ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基をブロック剤により完全ブロック化または部分ブロック化して得られ、ブロック剤の解離温度でブロック剤が解離してイソシアネート基が発生し、上記カチオン性基体樹脂中の官能基と反応し硬化する。また、エーテル化メラミン樹脂はメラミンをメタノールやブタノール等のアルコールでエーテル化することにより得られる。
【0018】
上記カチオン性基体樹脂とともに、好ましく用いられる上記ブロックイソシアネートの合成に使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、ブチリデンジイソシアネートなどの脂肪族化合物、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂肪族環式化合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族化合物、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トルエンジイソシアネートまたはそれらの混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネートなどの脂肪族−芳香族化合物、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、クロロジフェニルジイソシアネートなどの核置換芳香族化合物、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエンなどのトリイソシアネート、4,4’−ジフェニル−ジメチルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどのテトライソシアネート、トルエンジイソシアネートダイマー、トルエンジイソシアネートトリマー等を挙げられる。好ましくは、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0019】
上記ブロック剤としては、例えば1−クロロ−2−プロパノール、エチレンクロルヒドリンなどのハロゲン化炭化水素、n−プロパノール、フルフリルアルコール、アルキル基置換フルフリルアルコールなどの脂肪族または複素環式アルコール類、フェノール、m−クレゾール、p−ニトロフェノール、p−クロロフェノール、ノニルフェノールなどのフェノール類、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、アセトンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチルなどの活性メチレン化合物、ε−カプロラクタム、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等を挙げることができる。好ましくはメチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタムである。
【0020】
上記カチオン電着塗料における、カチオン性基体樹脂/架橋剤固形分比は、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは60/40〜80/20である。上記50/50〜90/10の範囲から外れると、硬化性に問題を生じる恐れがある。
【0021】
上記カチオン電着塗料は、水を溶媒として含有するが、有機溶剤として、メトキシプロパノール、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−エチルヘキシルセロソルブ、n−ヘキシルセロソルブ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メトキシブタノール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の水混和性の有機溶剤やキシレン、トルエン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、四塩化炭素、2−エチルヘキサノール、イソホロン、シクロヘキサン、ベンゼン等の水不混和性の有機溶剤を含むことができる。造膜性の点より、好ましい有機溶剤は、ブチルセロソルブ、2−エチルヘキシルセロソルブ、n−ヘキシルセロソルブであり、有機溶剤の量は、カチオン性基体樹脂と架橋剤合計の100固形分質量部当たり、0.1〜10質量部が好ましい。
【0022】
上記カチオン電着塗料は、上記成分の他に、上記架橋剤のブロック剤解離のために解離触媒を含む場合は、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドなどの有機錫化合物や、N−メチルモルホリンなどのアミン類、酢酸鉛や、ストロンチウム、コバルト、銅などの金属塩が使用できる。解離触媒の濃度は、カチオン電着塗料中のカチオン性基体樹脂と架橋剤合計の100固形分質量部に対し0.1〜6質量部である。
【0023】
この他、必要に応じて架橋性樹脂粒子、顔料および各種添加剤を含んでいてもよい。上記架橋性樹脂粒子を加えることにより、塗装される基材のエッジ部の膜厚保持効果を促進することができる。上記架橋性樹脂粒子としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等のいずれの樹脂であってもかまわないが、製法の容易さからアクリル樹脂を用いた架橋性粒子であることが特に好ましい。平均粒径は、0.02〜30μm の粒子が好ましい。
【0024】
また上記顔料として酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック等の着色顔料、ケイ酸アルミニウム、沈降性硫酸バリウム等の体質顔料、およびリンモリブデン酸とアルミニウム、第二鉄、チタニウム、ジルコニウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、珪素等の二価または三価金属塩との塩であるリンモリブデン酸塩、およびトリポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等と上記の二価または三価金属塩との塩である縮合リン酸塩、具体的にはトリポリリン酸二水素アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、ピロリン酸第二鉄等の防錆顔料を添加することもできる。
【0025】
本発明の複層塗膜形成方法に用いられる上記カチオン電着塗料は、上記成分を上記水溶性有機酸または無機酸を中和剤として含む水性媒体中に分散することによって得ることができる。電着塗膜の好ましい乾燥膜厚は、10〜40μmであり、15〜30μmがより好ましい。
【0026】
上記電着塗装の条件としては、塗装電圧;100〜450V、塗装時間:1〜5分、電着液温度:20〜35℃、電着液固形分:5〜40%、電着液pH:5.5〜8.5、電着塗膜の硬化温度:100〜250℃および電着塗膜の硬化時間:5〜60分に設定される。
【0027】
中塗り塗膜
本発明の複層塗膜形成方法における中塗り塗膜の形成は、硬化した上記電着塗膜上に、中塗り塗料を塗装することによって得られる。この中塗り塗装は、電着塗膜の隠蔽、耐チッピング性の付与および次工程で塗り重ねられる上塗りベース塗膜との密着性確保のために塗膜を形成するものである。
【0028】
上記中塗り塗料は、ビヒクル、各種顔料を含有する着色塗料である。上記中塗り塗料に含まれるビヒクルは、各種顔料が、分散するものであって、塗膜形成用樹脂と必要に応じて架橋剤とから構成される。
【0029】
上記ビヒクルを構成する塗膜形成用樹脂としては、例えば、(a)アクリル樹脂、(b)ポリエステル樹脂、(c)アルキッド樹脂、(d)フッ素樹脂、(e)エポキシ樹脂、(f)ポリウレタン樹脂、(g)ポリエーテル樹脂が挙げられ、これらは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
上記塗膜形成用樹脂は、酸価3〜200、水酸基価30〜200であって、数平均分子量500〜50000のものが好ましく、特に、酸価3〜200、水酸基価30〜200であって、数平均分子量2000〜50000のアクリル樹脂および酸価3〜200、水酸基価30〜200であって、数平均分子量500〜20000のポリエステル樹脂が好ましいものとして挙げられる。中塗り塗料を水溶液または水分散液として調製する場合には、特に、上記塗膜形成用樹脂の酸価10〜200および水酸基価30〜200の範囲であることが好ましい。
【0031】
また、上記塗膜形成用樹脂には、硬化性を有するタイプとラッカータイプとがあるが、通常硬化性を有するタイプのものが使用される。硬化性を有するタイプの場合には、アミノ樹脂や(ブロック)ポリイソシアネート化合物、アミン系、ポリアミド系、多価カルボン酸等の架橋剤と混合して使用に供され、加熱または常温で硬化反応を進行させることができる。また、硬化性を有しないタイプの塗膜形成用樹脂と硬化性を有するタイプと併用することも可能である。特に、ビヒクルとしては、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂が、造膜性および耐候性の点より好ましく用いられる。
【0032】
上記(a)アクリル樹脂としては、アクリル系モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重合体を挙げることができる。上記共重合に使用し得るアクリル系モノマーとしては、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル等のエステル化物類、アクリル酸またはメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物類、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびN−メチロールアクリルアミド、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルなどがある。これらと共重合可能な上記他以外のエチレン性不飽和モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニルなどがある。
【0033】
上記(b)ポリエステル樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が挙げられ、例えば、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して得られた縮合物が挙げられる。多塩基酸としては、飽和多塩基酸、不飽和多塩基酸が挙げられ、飽和多塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられ、不飽和多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。多価アルコールとしては、例えば、二価アルコール、三価アルコールが挙げられ、二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられ、三価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパンが挙げられる。
【0034】
上記(c)アルキッド樹脂としては、上記多塩基酸と多価アルコールにさらに油脂・油脂脂肪酸(大豆油、アマニ油、ヤシ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジン、コハク等)等の変性剤を反応させて得られたアルキッド樹脂を用いることができる。
【0035】
上記(d)フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン樹脂、四フッ化エチレン樹脂のいずれかまたはこれらの混合体、フルオロオレフィンとヒドロキシ基含有の重合性化合物およびその他の共重合可能なビニル系化合物からなるモノマーを共重合させて得られる各種フッ素系共重合体からなる樹脂を挙げることができる。
【0036】
上記(e)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールとエピクロルヒドリンの反応によって得られる樹脂等を挙げることができる。ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA、Fが挙げられる。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート828、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009(いずれも、シェルケミカル社製)が挙げられ、またこれらを適当な鎖延長剤を用いて鎖延長したものも用いることができる。
【0037】
上記(f)ポリウレタン樹脂としては、アクリル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等の各種ポリオール成分とポリイソシアネート化合物とによって得られるウレタン結合を有する樹脂を挙げることができる。上記ポリイソシアネート化合物としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、およびその混合物(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−MDI)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(2,4’−MDI)、およびその混合物(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジシクロへキシルメタン・ジイソシアネート(水素化HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)等を挙げることができる。
【0038】
上記(g)ポリエーテル樹脂としては、エーテル結合を有する重合体または共重合体であり、ポリオキシエチレン系ポリエーテル、ポリオキシプロピレン系ポリエーテル、もしくはポリオキシブチレン系ポリエーテル、またはビスフェノールAもしくはビスフェノールFなどの芳香族ポリヒドロキシ化合物から誘導されるポリエーテル等の1分子当たりに少なくとも2個の水酸基を有するポリエーテル樹脂を挙げることができる。また上記ポリエーテル樹脂とコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の多価カルボン酸類、あるいは、これらの酸無水物等の反応性誘導体とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエーテル樹脂を挙げることができる。
【0039】
上記ビヒクルが架橋剤を含む場合、塗膜形成用樹脂と架橋剤の割合としては、固形分換算で塗膜形成用樹脂が90〜50質量%、架橋剤が10〜50質量%であり、好ましくは塗膜形成用樹脂が85〜60質量%であり、架橋剤が15〜40質量%である。架橋剤が10質量%未満では(塗膜形成用樹脂が90質量%を超えると)、塗膜中の架橋が十分でないことがある。一方、架橋剤が50質量%を超えると(塗膜形成用樹脂が50質量%未満では)、塗料組成物の貯蔵安定性が低下するとともに硬化速度が大きくなるため、塗膜外観が悪くなる恐れがある。
【0040】
上記中塗り塗料に用いる着色顔料として、例えば、アゾレーキ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系顔料、ベリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料、カーボンブラック等の有機顔料、あるいは黄色酸化鉄、ベンガラ、二酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
【0041】
着色顔料の添加量は、所望の色相を発現するのに合わせて任意に設定できる。またバリタ粉、沈殿性硫酸バリウム、炭酸バリウム、石膏、クレー、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト等の各種体質顔料等を併用することができる。
【0042】
なお、顔料全体としての総含有量(PWC)は、10〜50%が好ましく、10〜30%未満がより好ましい。
【0043】
上記中塗り塗料は、上記成分の他に、脂肪族アミドの潤滑分散体であるポリアミドワックスや酸化ポリエチレンを主体としたコロイド状分散体であるポリエチレンワックス、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、シリコンや有機高分子等の表面調整剤、タレ止め剤、増粘剤、消泡剤、滑剤、架橋性重合体粒子(ミクロゲル)等を適宜添加することができる。これらの添加剤は、通常、上記ビヒクル100質量部(固形分基準)に対して15質量部以下の割合で配合することにより、塗料や塗膜の性能を改善することができる。
【0044】
上記中塗り塗料は、上記構成成分を、通常、溶剤に溶解または分散した態様で提供される。溶剤としては、ビヒクルを溶解または分散するものであればよく、有機溶剤および/または水を使用し得る。有機溶剤としては、塗料分野において通常用いられるものを挙げることができる。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ等のエステル類、アルコール類を例示できる。環境面の観点から有機溶剤の使用が規制されている場合には、水を用いることが好ましい。この場合、適量の親水性有機溶剤を含有させてもよい。
【0045】
中塗り塗料の塗装時の粘度は、上記有機溶剤および/または水、およびそれらの混合液を用いて、10〜30秒(フォードカップ#4/20℃)に調節することが好ましい。上記粘度が、上記の範囲よりも低い場合、次に塗装する上塗りベース塗料と混和する恐れがあり、また、上記範囲を超えると、取り扱いし難く、かつ塗膜が早期に乾燥して、次の塗膜で被覆または修復不可能な程度の表面の凹凸が生じる恐れがある。
【0046】
上記中塗り塗膜を形成する方法は特に限定されないが、スプレー法、ロールコーター法等が好ましい。中塗り塗膜の好ましい乾燥膜厚は、5〜80μmであり、10〜50μmがより好ましい。中塗り塗膜の形成後は、セッティングを行い、加熱硬化はせずに次工程の上塗りベース塗膜の形成工程に移る。
【0047】
上塗りベース塗膜
本発明の複層塗膜形成方法における上塗りベース塗膜の形成は、未硬化の上記中塗り塗膜上にW/W方式で、上塗りベース塗料を塗装することによって得られる。この上塗りベース塗装は、意匠の付与、前工程で形成された中塗り塗膜との密着性確保および次工程で塗り重ねられる上塗りクリヤー塗膜との密着性確保のために塗膜を形成するものである。
【0048】
上記上塗りベース塗料は、ビヒクル、光輝性顔料および/または着色顔料、体質顔料、各種添加剤および溶剤を含有する光輝性塗料またはソリッド塗料から形成される。上記上塗りベース塗料は、水分散系および有機溶剤分散系を含む、水系または有機溶剤系である。
【0049】
上記上塗りベース塗料に含まれるビヒクル、着色顔料、体質顔料、各種添加剤および溶剤としては、上記中塗り塗料に関して記載したものがいずれも使用できる。これらのベース塗料に含まれるビヒクルは、光輝性ベース塗料では光輝性顔料と必要に応じて着色顔料が、ソリッドベース塗料では着色顔料が、分散するものであり、塗膜形成用樹脂と必要に応じて架橋剤とから構成される。ビヒクルである塗膜形成用樹脂と架橋剤の組み合わせとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの変性樹脂から選ばれた少なくとも1種の塗膜形成性樹脂と上記の架橋剤とを混合したものを用いることができる。好ましくは、アクリル樹脂・メラミン樹脂系が挙げられ、この場合アクリル樹脂としては、酸価10〜200、水酸基価30〜200、および数平均分子量2000〜50000のものが好ましい。
【0050】
上記上塗りベース塗料中に含まれる顔料のうち光輝性顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、干渉マイカ顔料、着色マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属めっきガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属チタンフレーク顔料、グラファイト顔料、ステンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、フタロシアニンフレーク顔料またはホログラム顔料を挙げることができる。なお、上記光輝性顔料および/または着色顔料を用いる場合、顔料全体としての総含有量(PWC)は、1〜50%が好ましく、5〜30%がより好ましい。1%未満では、意匠性付与が不充分であり、50%を超えると塗膜外観が低下する恐れがある。
【0051】
上記上塗りベース塗料は、その粘度を、適した希釈剤を用いて、フォードカップ#4/20℃で10〜30秒に調節することが望ましい。上記粘度が、上記の範囲よりも低い場合、次に塗装する上塗りクリヤー塗料と混和する恐れがあり、また、上記範囲を超えると、取り扱いし難く、かつ塗膜が早期に固化して、次の塗膜で被覆または修復不可能な程度の表面の凹凸が生じる恐れがある。
【0052】
上記上塗りベース塗膜を形成する方法は特に限定されないが、スプレー法、ロールコーター法等が好ましい。また、複数回塗装することも可能である。上記上塗りベース塗膜の乾燥膜厚は、1コートにつき5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0053】
上塗りクリヤー塗膜
本発明の複層塗膜形成方法における上塗りクリヤー塗膜の形成は、未硬化の上記上塗りベース塗膜上にW/W方式で、上塗りクリヤー塗料を塗装することによって得られる。この上塗りクリヤー塗装は、上塗りベース塗膜の保護および意匠の深み感の付与のために塗膜を形成するものである。
【0054】
上記上塗りクリヤー塗料は、ビヒクル、各種添加剤および溶剤を含有するクリヤー塗料から形成される。上記上塗りクリヤー塗料は、水分散系および有機溶剤分散系を含む、水系または有機溶剤系である。
【0055】
上記上塗りクリヤー塗料に含まれるビヒクル、各種添加剤および有機溶剤としては、上記中塗り塗料に関して記載したものがいずれも使用できるが、ビヒクルである塗膜形成用樹脂と架橋剤の組み合わせとしては、好ましくは、アクリル樹脂・メラミン樹脂系が挙げられ、この場合アクリル樹脂としては、酸価10〜200、水酸基価30〜200、および数平均分子量2000〜50000のものが好ましい。
【0056】
上記クリヤー塗料としては、耐酸性雨対策およびW/Wで上塗りベース塗膜との溶解性の差を大きくし上塗りベース塗膜における光輝性顔料の配向を乱さないという観点から、特公平8−19315号公報に記載されたカルボシキル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを含有するクリヤー塗料が、好ましく用いられる。また、これらのクリヤー塗料は、必要に応じて、その透明性を損なわない範囲で、着色顔料、体質顔料、改質剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤等の添加剤を配合することが可能である。
【0057】
上記上塗りクリヤー塗膜を形成する方法は特に限定されないが、スプレー法、ロールコーター法等が好ましい。上記上塗りクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、1コートにつき20〜50μmが好ましく、25〜40μmがより好ましい。上記上塗り塗膜を形成後に、中塗り塗膜、上塗りベース塗膜および上塗りクリヤー塗膜の3層の塗膜を、120〜160℃で所定時間焼き付けられ、複層塗膜を得ることができる。
【0058】
複合塗膜
本発明の複層塗膜形成方法によって得られる複合塗膜は、基材上に、上記トルエン吸込み率が、25%以下である電着塗膜面に、未硬化の中塗り塗膜、上塗りベース塗膜さらに上塗りクリヤー塗膜の3層塗膜を形成した後、上記3層塗膜を同時に加熱して硬化させて得られる。
【0059】
【実施例】
次に、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのないかぎり質量部を表す。
【0060】
カチオン電着塗料A〜Eの調製
製造例1:顔料ペーストの調製
(1)撹拌装置、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した反応容器に、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略す)222.0部を入れ、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)39.1部で希釈した後、ジブチル錫ラウレート0.2部を加えた。その後、50℃に昇温した後、2−エチルヘキサノール(以下、2EHと略す)131.5部を撹拌下、乾燥窒素雰囲気中で2時間かけて滴下した。適宜、冷却することにより、反応温度を50℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDIが得られた(樹脂固形分90%)。
(2)反応容器に、ジメチルエタノールアミン87.2部、75%乳酸水溶液117.6部およびエチレングリコールモノブチルエーテル39.2部を順に加え、65℃で約半時間撹拌して、4級化剤を調製した。
(3)次に、エポン(EPON)829(シェル・ケミカル・カンパニー社製;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量193〜203)710.0部とビスフェノールA289.6部を適当な反応容器に仕込み、窒素雰囲気下、150〜160℃に加熱した。初期発熱反応が生じた。反応混合物を150〜160℃で約1時間反応させ、次いで、120℃に冷却した後、上記(1)で調製した2−エチルヘキサノールハーフブロック化IPDI(MIBK溶液)498.8部を加えた。反応混合物を110〜120℃に約1時間保ち、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル1390.2部を加え、混合物を85〜95℃に冷却し、均一化した後、上記(2)で調製した4級化剤196.7部を添加した。酸価が1となるまで反応混合物を85〜95℃に保持した後、脱イオン水37.0部を加えて、エポキシ−ビスフェノールA樹脂において4級化を終了させ、4級アンモニウム基を有する顔料分散用樹脂とした(樹脂固形分50%)
(4)上記(3)で調製した4級アンモニウム基を有する顔料分散用樹脂19.1部、二酸化チタン30.4部、カオリン15.4部、カーボンブラック0.9部、イオン交換水34.3部の混合物をサンドグラインドミルで分散し、粒度10μm以下まで粉砕した顔料ペースト(固形分56%)を調製した。
【0061】
製造例2:ポリウレタン架橋剤(IPDI系)の調製
撹拌装置、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した反応容器にイソホロンジイソシアネート222部を入れ、メチルイソブチルケトン56部で希釈した後、ジブチルスズジラウレート0.2部を加え、50℃に昇温後、メチルエチルケトオキシム174部を温度が70℃を超えないように加えた。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収が実質上消滅するまで70℃で1時間保持し、その後、n−ブタノール43部で希釈しポリウレタン架橋剤(固形分80%)を調製した。
【0062】
製造例3:ポリウレタン架橋剤(NBDI系)の調製
撹拌装置、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した反応容器にノルボルナンジイソシアネート206部を入れ、メチルイソブチルケトン55部で希釈した後ジブチルスズラウレート0.2部を加え、50℃に昇温後、次いでメチルエチルケトオキシム174部を温度が70℃を超えないように加えた。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収が実質上消滅するまで70℃に1時間保温し、その後、n−ブタノール40部で希釈し、ポリウレタン架橋剤(固形分80%)を調製した。
【0063】
製造例4:ポリウレタン架橋剤(HMDI系)の調製
撹拌装置、温度計、冷却管および窒素導入管を装備した反応容器にヘキサメチレンジイソシアネート840部を入れ、メチルイソブチルケトン609部で希釈した後ジブチルスズジラウレート0.9部を加え、50℃に昇温後、トリメチロールプロパン223.5部を温度が60℃を超えないように徐々に加えた。次いでメチルエチルケトオキシム435部を温度が70℃を超えないように加えた。赤外吸収スペクトルによりイソシアネート基の吸収が実質上消滅するまで70℃で1時間保持し、その後、n−ブタノール32部で希釈し、ポリウレタン架橋剤(固形分70%)を調製した。
【0064】
製造例5:アミノ基含有アクリル共重合体の調製
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素導入管および滴下ロートを装備した反応容器にブチルセロソルブ1500部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ120℃に昇温し、メタクリル酸メチル627部、メタクリル酸ラウリル191部、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル182部、アクリル酸−2−メトキシエチル300部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル200部およびt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート50部の混合物を3時間かけて等速滴下した。滴下終了後3時間さらに120℃で反応後冷却しアミノ基含有アクリル共重合体を得た。得られた樹脂は固形分50%で数平均分子量10000およびアミン価48であった。
【0065】
製造例6:カチオン性樹脂の水分散液の調製
反応容器にエピコート828(油化シェルエポキシ(株);ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量188)633部、メタノール65部、メチルイソブチルケトン169部およびジラウリン酸ジブチルスズ0.3部を貯え室温で攪拌し均一溶液とし、2,4−/2,6−トリレンジイソシアネート80/20(重量比)混合物147部を50分間かけて滴下すると発熱により系内の温度が70℃に達した。IRスペクトルはイソシアネートに基づく2280cm-1の吸収の消失、およびウレタンのカルボニル基に基づく1730cm-1の吸収を示した。N,N−ジメチルベンジルアミン2部を加えた後、系内を120℃まで昇温し、副生するメタノールをデカンターにより留去させながらエポキシ当量が463に達するまで反応を行った。IRスペクトルはウレタンのカルボニル基に基づく1730cm-1の吸収の消失、およびオキサゾリドン環のカルボニル基に基づく1750cm-1の吸収の出現を示した。p−ノニルフェノール185部およびメチルイソブチルケトン70部を加え125℃の温度を保持しながらエポキシ当量が1146に達するまで反応を行った。系内の温度が110℃になるまで冷却し、アミノエチルエタノールアミンのケチミン(79質量%のメチルイソブチルケトン溶液)40部、ジエタノールアミン35部、N−メチルエタノールアミン25部およびメチルイソブチルケトン15部を加えた後、昇温し、120℃で2時間反応させた。このようにして、アミン価54のカチオン性エポキシ樹脂を得て、次いで製造例2のポリウレタン架橋剤(IPDI系)350部、製造例5のアクリル樹脂90部、エチレングリコールモノヘキシルエーテル140部を混合した。
得られたカチオン性樹脂1800部に対して氷酢酸29部、イオン交換水414部の混合液中に加え十分攪拌した後、さらにイオン交換水1916部をゆっくりと加えた。次いでこれを固形分36%になるまで減圧下で有機溶媒と水を除去しカチオン性樹脂の水分散液を得た。
【0066】
製造例7:カチオン電着塗料Aの調製
得られたカチオン電着塗料用樹脂の水分散液1346部に対して、イオン交換水1744部、製造例1の顔料ペースト371部の割合で混合しカチオン電着塗料Aを得た。
【0067】
製造例8:カチオン電着塗料Bの調製
製造例2のポリウレタン架橋剤(IPDI系)を製造例3のポリウレタン架橋剤(NBDI系)に代える以外は製造例7と同様にしてカチオン電着塗料Bを得た。
【0068】
製造例9:カチオン電着塗料Cの調製
製造例2のポリウレタン架橋剤(IPDI系)を製造例4のポリウレタン架橋剤(HMDI系)に代える以外は製造例7と同様にしてカチオン電着塗料Cを得た。
【0069】
製造例10:カチオン電着塗料Dの調製
製造例4のポリウレタン架橋剤の量を350部から520部、ヘキシルセロソルブの量を140部から130部に代える以外は製造例9と同様にしてカチオン電着塗料Dを得た。
【0070】
製造例11:カチオン電着塗料Eの調製
顔料ペーストの量を371部から200部に代える以外は製造例7と同様にしてカチオン電着塗料Eを得た。
【0071】
実施例3、4、9、10、参考例1、2、5〜8、比較例1〜4
基材の調製
ダル鋼板(長さ300mm、幅100mmおよび厚さ0.8mm)を燐酸亜鉛処理剤(「サーフダインSD2000」、日本ペイント社製)を使用して化成処理した後、上記で調製したカチオン電着塗料A〜Eを表1に示す組み合わせにて、乾燥膜厚が25μmとなるように電着塗装した。次いで、160℃で30分間焼き付けて、基材とした。
【0072】
中塗り塗膜の形成
上記基材に、ポリエステル・アミノ樹脂系中塗り塗料(「オルガS−90シーラーグレー」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚が40μmとなるようにエアースプレー塗装し、塗装後室温で3分間セッティングして中塗り塗膜を形成した。
【0073】
上塗りベース塗膜および上塗りクリヤー塗料の形成
次いで上記中塗り塗膜面に、下記に示す上塗りベース塗料を表2に示す組み合わせにて、乾燥膜厚が15μmになるように塗装した。塗装後室温で3分間セッティングし、上塗りクリヤー塗料を乾燥膜厚が35μmになるように塗装し、室温で10分間セッティングし、140℃の温度で30分間焼き付けた。使用したクリヤートップ塗料は、アクリル・メラミン樹脂系クリヤー塗料1(「スーパーラックO−130クリヤー」、日本ペイント社製)または、カルボキシル基含有ポリマーとエポキシ基含有ポリマーとを含有するクリヤー塗料2(「マックフローO−520クリヤー」、日本ペイント社製)の2種類である。電着塗膜のトルエン吸込み率および得られた複合塗膜の塗膜外観を下記評価方法で評価した。結果を表1に示す。
【0074】
塗料1:アルミニウムフレーク顔料含有アクリル・アミノ樹脂系上塗りベース塗料;(「スーパーラックM−180シルバー」、日本ペイント社製)、
塗料2:干渉マイカ顔料含有アクリル・アミノ樹脂系上塗りベース塗料;(「スーパーラックM−180マイカベース」、日本ペイント社製)、
【0075】
評価方法
トルエン吸込み率:以下の算出式によって求めた。
トルエン吸込み率(%)={(B−A)/A}×100
(A:初期電着塗膜重量、B:電着塗膜をトルエンに室温で1週間浸漬後の塗膜重量)
【0076】
複合塗膜の塗膜外観:形成された複合塗膜の外観を目視で下記の基準により評価した。
3…電着塗膜に起因する塗膜外観不良なし
2…電着塗膜に起因する塗膜外観不良僅かにあり
1…電着塗膜に起因する塗膜外観不良顕著にあり
【0077】
【表1】
Figure 0004817506
【0078】
表1の結果から明らかのように、実施例3、4、9、10、参考例1、2、5〜8は、本発明の塗膜形成方法により塗膜を形成したもので、電着塗膜に起因する塗膜外観不良のない良好な複合塗膜の形成が可能であった。一方、比較例1〜4は、電着塗膜に起因する塗膜外観不良が発生し、目的とする複合塗膜の形成が得られなかった。
【0079】
【発明の効果】
本発明の塗膜形成方法は、基材上に、カチオン電着塗料により塗膜形成した硬化電着塗膜のトルエン吸込み率が、25%以下である電着塗膜面に、中塗り塗料、上塗りベース塗料さらに上塗りクリヤー塗料を順次塗装し、未硬化の中塗り塗膜、上塗りベース塗膜さらに上塗りクリヤー塗膜の3層塗膜を形成した後、上記3層塗膜を同時に加熱して硬化させることによって、電着塗膜に起因する塗膜外観不良のない良好な複合塗膜の形成が可能であった。
【0080】
本発明により得られる複合塗膜は、塗膜外観が良好でかつ塗装工程における焼き付け乾燥に要するエネルギーの節約が可能となるため、自動車、二輪車等の乗物外板、容器外面、コイルコーティング、家電業界等の高外観および塗装時のエネルギー節減が要求される分野において好ましく使用される。

Claims (4)

  1. 基材上に、カチオン電着塗料により塗膜形成した塗膜に対するトルエンの電着塗膜への吸込み率が、25%以下である硬化電着塗膜面に、中塗り塗料、上塗りベース塗料さらに上塗りクリヤー塗料を順次塗装し、未硬化の中塗り塗膜、上塗りベース塗膜さらに上塗りクリヤー塗膜の3層塗膜を形成した後、前記3層塗膜を同時に加熱して硬化させる方法であって、
    前記上塗りクリヤー塗膜が、カルボキシル基含有ポリマーおよびエポキシ基含有ポリマーを含有する上塗りクリヤー塗料により形成されることを特徴とする、
    複層塗膜形成方法。
  2. 前記トルエンの電着塗膜への吸込み率が5〜25%である請求項1記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記中塗り塗膜が、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂とをビヒクル成分とする熱硬化性中塗塗料により形成される請求項1または2記載の複層塗膜形成方法。
  4. 請求項1ないしいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法により塗膜が形成される複層塗膜。
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