JP2002076399A - 太陽電池セルの製造方法およびこの方法で製造された太陽電池セル - Google Patents

太陽電池セルの製造方法およびこの方法で製造された太陽電池セル

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oxide film
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Teruhiko Hirasawa
照彦 平沢
Katsushi Tokunaga
勝志 徳永
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Shin Etsu Handotai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 安定した高効率の太陽電池セルを製造でき、
太陽電池セル製造の生産性およびコストを向上させ得る
太陽電池セルの製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくともP型シリコン基板1に、リン
が高濃度にドープされたn++部3を表面に有するリン接
合層2を形成した後、該n++部3上に表面電極6を形成
し、P型シリコン基板1裏面に裏面電極7を形成する太
陽電池セルの製造方法において、前記P型シリコン基板
1はガリウムをドープしたものを用い、前記リン接合層
2の形成は、リンを含んだ有機シリカ化合物ペーストを
表面電極6が形成されるパターンに対応してP型シリコ
ン基板1に印刷し、該P型シリコン基板1に気相リン拡
散熱処理を施すことにより、n++部3を表面に有するリ
ン接合層2を形成する太陽電池セルの製造方法。および
この方法で製造された太陽電池セル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高効率で光劣化が
なく高生産性の薄型太陽電池セルおよびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より化石燃料の有限性と、それにも
増して人類によるこれら化石燃料を中心としたエネルギ
ー大量消費による地球温暖化防止の観点から、太陽電池
がクリーンエネルギーとして注目され、本格的な実用化
が真剣に検討されている。中でもシリコン半導体を用い
る太陽電池は、これまでも各国でその構造と製造方法に
ついて精力的な研究が進められている。特に、軽量化及
び低コスト化の見地からの太陽電池セルの薄形化、及び
変換効率の向上が大きな課題となっている。
【0003】この太陽電池セルのエネルギー変換効率を
向上させるためには、表面再結合損失の低減を図ること
が重要である。図4は、再結合損失を低減する構造を取
り入れた従来型太陽電池セルを示した構造図である。図
4に示すように、この太陽電池セル20のリン接合層2
は、リンが高濃度にドープされたn++部3を表面に有し
ており、このn++部3上に表面電極6が形成されてい
る。また、P型シリコン基板1の裏面と裏面電極7の境
界面には、アルミニウムがドープされた層状のp+部4
が形成されており、再結合損失を低減することができる
ようにされている。
【0004】さらに、リン接合層2の表面のうち、表面
電極6が形成されていない部分は、パッシベーション酸
化膜5が形成されており、リン接合層2の表面での再結
合を一層低減できるようにされている。また、この太陽
電池セル20の表面には、SiNから成る反射防止膜8
が形成され、裏面には、裏面電極7として、高反射率の
銀から成る反射層が全面に形成されており、長波長の光
を太陽電池セル内に閉じ込めて、有効に利用する構造と
なっている。
【0005】従来、このような構造の太陽電池セルは以
下に示す方法で製造されていた。図3(a)〜(k)
は、図4の太陽電池セルの製造工程の一例を示したフロ
ー図である。まず、P型シリコン基板1を準備し、スラ
イス時の表面歪み層の除去を目的として、アルカリ溶液
によるエッチングを行い、その後、RCA洗浄及びIP
A乾燥等を行う(a)。次に、シリコン基板1の両面に
対して、POClを雰囲気に使用した気相リン拡散熱
処理(950℃)により、リンが高濃度にドープされた
層状のn++部3を形成する(b)。
【0006】その後、裏面に形成されたn++部3を除去
し、シリコン基板1を熱酸化して、両面にマスク用酸化
膜12を形成する(c)。そして、フォトリソグラフを
使用して、表面電極パターンに対応したマスク用酸化膜
12を残して、残りをHFにて除去する(d)。次い
で、このマスク用酸化膜12をエッチングマスクとし
て、アルカリ異方性エッチングによるテクスチャー加工
を行い、シリコン基板1の表面に選択的にn++部3を設
ける。加工終了後に、マスク用酸化膜12をHFにて除
去する(e)。さらに、再度シリコン基板1の両面に対
して、POClを使用した気相リン拡散熱処理(80
0℃)により、n++部3を表面に有するリン接合層2
(n+)を形成する(f)。
【0007】次に、裏面に形成されたリン接合層2を除
去し、シリコン基板1をドライ熱酸化して、パッシベー
ション酸化膜5を形成し、さらに表面にプラズマCVD
によりSiN反射防止膜8を形成する(g)。その後、
裏面に形成された酸化膜5をHFにて除去し、シリコン
基板1の裏面全体にスクリーン印刷でアルミニウムペー
スト13を印刷して乾燥し、近赤外線ランプベルト炉焼
成(700℃)により、アルミニウムが高濃度にドープ
された層状のp+部4を形成する(h)。そして、アル
ミニウム焼成時に形成されたアルミニウム−シリコン合
金層9及び不要となったアルミニウムペースト13をH
Clにて除去する(i)。
【0008】次いで、フォトリソグラフを使用し、パッ
シベーション膜5及びSiN反射防止膜8に表面電極パ
ターンに対応したコンタクト開口部14を形成する
(j)。最後に、裏面は全面に銀を蒸着して裏面電極7
を形成する。表面は開口部14に、下からチタン、パラ
ジウム、銀を重ねて蒸着した後、リフトオフ法により表
面電極6を形成し、水素を数%含んだ窒素フォーミング
ガス雰囲気でアニール処理を行い太陽電池セル20を完
成する(k)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の製
造方法においては、ある程度は表面再結合損失が少ない
太陽電池セルを製造することができるものの、製造され
る太陽電池セルの変換効率には問題があった。すなわ
ち、太陽電池セルの基板材料となるシリコンウエーハと
しては、その特性の一つである基板ライフタイム(以
下、Lifetime、LTと記することがある。)の値が10
μs以上でなければ太陽電池基板として利用することは
できず、さらに変換効率の高い太陽電池を得るためには
基板ライフタイムは好ましくは200μs以上であるこ
とが要求されている。しかし、シリコン結晶は、太陽電
池セルに加工した際に強い光を照射すると、太陽電池基
板のライフタイムの低下が起こり、光劣化を生じるため
に十分な変換効率を得ることができなかった。
【0010】この光劣化が起こる原因は、結晶基板中に
存在するボロンと酸素による影響であることが知られて
いる。現在、太陽電池セルとして用いられているウエー
ハの導電型はP型が主流であり、通常このP型ウエーハ
にはボロンがドーパントとして添加されている。しか
し、シリコン結晶中には酸素が存在し、このためP型シ
リコン結晶中のボロンと酸素によってライフタイム特性
に影響を与え光劣化が生じ変換効率の低下、バラツキが
生じると言う問題点がある。特に、前述したような基板
に何回も高温熱処理を施す製造方法では、シリコン基板
内の酸素析出を助長して、ライフタイムや変換効率を低
下し、また、光劣化が起りやすくなる。
【0011】加えて、上記従来の太陽電池セルの製造方
法においては、その生産性およびコストにも大きな問題
があった。すなわち、図3(b)〜(f)に示した工程
では、シリコン基板表面に、表面電極が形成される部分
と形成されない部分に対応して、それぞれ最適なpn接
合を形成する必要があり、拡散熱処理、マスク酸化膜形
成、パターン形成、エッチング、そして再度の拡散熱処
理といった数多くの工程を施さねばならず、製造工程は
極めて複雑かつ非効率的なものとなっていた。さらに、
拡散熱処理、マスク酸化膜形成等の高温熱処理を繰り返
すため、前述の光劣化の他にシリコン基板の寿命の低下
が問題であった。これを防止するためには、熱処理炉の
クリーン度管理に厳重な注意が必要となり、生産性の悪
化の原因となっていた。したがって、太陽電池セルの製
造においては、なるべく高温熱処理工程を少なくするこ
とが好ましかった。
【0012】また、図3(h)に示したように、裏面で
の再結合を低減するため、裏面全面にアルミニウムをド
ープしたp+部を形成するが、アルミニウムペーストの
印刷・焼成では、シリコン基板とアルミニウムの熱膨張
係数の違いから、焼成後にシリコン基板の反りが生じる
ことがあった。この基板の反りは、基板の薄型化や大面
積化に伴い、より顕著なものとなっており、反りに伴う
破損や基板の寿命の低下が大きな問題となっていた。
【0013】また、図3(i)に示したように、長波長
光の光閉じ込めのため、裏面には、高反射率の金属膜を
裏面反射層を兼用した裏面電極として形成しているが、
アルミニウム−シリコン合金層は反射率が低いため、こ
のアルミニウム−シリコン合金層をエッチングにより除
去した後、新たに高反射率金属を蒸着することによって
裏面反射層を形成する必要があった。そのため複雑で手
間のかかる工程となっていた。さらに、高価な材料であ
る銀を用いて、損失の多い蒸着を行うことによって、工
程の高コスト化をもたらしていた。
【0014】さらに、電極形成においては、図3(j)
(k)に示すようにフォトリソグラフ法を利用したリフ
トオフ法を使用しているため、工程が複雑で非効率的で
あった。さらに、リフトオフ法で使用されるレジストや
使用薬液、及び蒸着法により損失する銀等の電極材料は
かなりの量となるため、歩留りは低く、極めて高コスト
な工程となっていた。以上のように、従来の再結合損失
を低減した構造の太陽電池セルは、光劣化により変換効
率の低下、バラツキが生じることに加え、製造方法が極
めて複雑で、歩留りが低く、高コストであり、その生産
性は極めて低いものであった。
【0015】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たもので、光劣化の生じない安定した高効率の太陽電池
セルを製造でき、太陽電池セル製造の生産性およびコス
トを向上させ得る太陽電池セルの製造方法を提供するこ
とを目的とする
【0016】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めの本発明は、少なくともP型シリコン基板に、リンが
高濃度にドープされたn++部を表面に有するリン接合層
を形成した後、該n++部上に表面電極を形成し、P型シ
リコン基板裏面に裏面電極を形成する太陽電池セルの製
造方法において、前記P型シリコン基板はガリウムをド
ープしたものを用い、前記リン接合層の形成は、リンを
含んだ有機シリカ化合物ペーストを表面電極が形成され
るパターンに対応してP型シリコン基板に印刷し、該P
型シリコン基板に気相リン拡散熱処理を施すことによ
り、n++部を表面に有するリン接合層を形成することを
特徴とする太陽電池セルの製造方法である(請求項
1)。
【0017】このように、リン接合層の形成を、リンを
含んだ有機シリカ化合物ペーストを表面電極が形成され
るパターンに対応してP型シリコン基板に印刷し、該P
型シリコン基板に気相リン拡散熱処理を施すことによっ
て行えば、大幅な工程の簡略化を図ることができ、生産
性を向上させることができる。また熱処理は一回の拡散
熱処理で済むため、シリコン基板の寿命の低下は最小限
のものとなり、熱処理炉のクリーン度管理は従来ほど厳
重なものでなくてもよい。さらに、電極パターン形成の
ためのフォトリソグラフ工程が省略可能となり、使用材
料コストの低減も併せて図ることができる。
【0018】さらに、本発明の太陽電池セルはガリウム
をドープされたP型シリコン基板を用いているため、従
来のボロンをドープされたシリコン基板を用いた場合と
異なり、ボロンと酸素によってライフタイム特性に影響
を与え光劣化が生じると言う問題はなく、効率のバラツ
キの少ない高効率な太陽電池セルとなる。特に本発明で
は高温熱処理工程が少ないためライフタイムや変換効率
の低下の原因となる酸素析出が起りにくいという利点が
ある。
【0019】この場合、前記リン接合層の表面およびP
型シリコン基板の裏面に、パッシベーション酸化膜を形
成することが好ましい(請求項2)。このように、リン
接合層の表面およびP型シリコン基板の裏面の両方に、
パッシベーション酸化膜を形成すれば、太陽電池セルの
再結合損失を低減する効果は、さらに大きなものとな
り、太陽電池セルの効率を向上させることができる。
【0020】この場合、前記P型シリコン基板の裏面に
パッシベーション酸化膜を形成した後、該パッシベーシ
ョン酸化膜上から、アルミニウムペーストをドット状に
印刷し、該アルミニウムがパッシベーション酸化膜を貫
通してP型シリコン基板のシリコンに拡散するように焼
成することにより、P型シリコン基板の裏面にアルミニ
ウムがドープされたドット状のp+部を形成することが
好ましい(請求項3)。
【0021】このように、パッシベーション酸化膜を形
成した後、該パッシベーション酸化膜上から、アルミニ
ウムペーストをドット状に印刷し、該アルミニウムがパ
ッシベーション酸化膜を貫通してP型シリコン基板のシ
リコンに拡散するように焼成することにより、ドット状
のp+部を形成するようにすれば、太陽電池セルの効率
を低下させることなく、シリコン基板の反りを防止する
ことができる。さらに、アルミニウムペーストをドット
状に印刷するため、従来の全面印刷に比べて、ペースト
使用量が大幅に削減され、製造コストの低減も併せて達
成することできる。
【0022】この場合、前記ドット状のp+部を形成し
た後、前記P型シリコン基板の裏面の全面に銀ペースト
を印刷して焼成し、裏面反射層を兼用した裏面電極を形
成することができる(請求項4)。これは、裏面のパッ
シベーション酸化膜上に形成されたp+部は、ドット状
に形成されているため、その占有面積は裏面の反射率に
影響を及ぼさない程度に小さく、アルミニウム−シリコ
ン合金層及びアルミニウムペーストをエッチングで除去
する必要がない。そのため、直接シリコン基板の裏面の
全面に反射層を兼ねた裏面電極を形成することができ、
工程の簡略化により、生産性を一層向上させることがで
きる。
【0023】また、裏面電極の形成を、従来の損失の多
い蒸着法から、銀ペーストを直接印刷して焼成する方法
に変更することにより、材料歩留りが向上し、工程の簡
略化と併せて、より著しい低コスト化が期待できる。さ
らに、裏面のパッシベーション酸化膜上に直接反射層を
兼用した裏面電極を形成しているため、従来の裏面電極
による反射のみならず、裏面パッシベーション酸化膜に
よる反射効果の寄与もあり、総合的に裏面反射効果を向
上させることができる。
【0024】この場合、前記リン接合層の表面にパッシ
ベーション酸化膜を形成した後、該パッシベーション酸
化膜上に表面反射防止膜を形成し、リン接合層のn++部
に対応して銀ペーストを印刷して、該銀が表面反射防止
膜とパッシベーション酸化膜を貫通してリン接合層と接
触するように焼成することにより、n++部上に表面電極
を形成することができる(請求項5)。
【0025】このように、リン接合層の表面にパッシベ
ーション酸化膜と表面反射防止膜を形成し、リン接合層
のn++部に対応して銀ペーストを直接印刷して、該銀が
表面反射防止膜とパッシベーション酸化膜を貫通してリ
ン接合層と接触するように焼成することにより、n++部
上に表面電極を形成するようにすれば、リフトオフ法で
のフォトリソグラフ工程を省略することができるため、
工程を簡略化して、フォトリソグラフに使用する材料を
節約することができる。また、材料損失の多い蒸着法か
ら、直接銀ペーストを印刷し焼成する方法に変更するこ
とにより、歩留りを向上させることができ、従来より大
幅なコスト低減を実現することができる。
【0026】この場合、前記n++部に対応して銀ペース
トを印刷する際に、リン接合層のn++部とそれ以外の部
分の色調差から印刷位置を決定することができる(請求
項6)。これは、リン接合層のn++部とそれ以外の部分
では、パッシベーション酸化膜を形成した際に形成され
る酸化膜の厚さが異なるため、その酸化膜厚の違いによ
る色調差を容易に識別することができるためである。そ
のため、n++部上に対応して正確に短時間で表面電極を
形成することができ、太陽電池セル製造の生産性をさら
に向上させることができる。
【0027】また本発明は、少なくともP型シリコン基
板に、リン接合層を形成した後、該リン接合層表面に表
面電極を形成し、P型シリコン基板裏面に裏面電極を形
成する太陽電池セルの製造方法において、前記P型シリ
コン基板はガリウムをドープしたものを用い、前記裏面
電極を形成する前に、P型シリコン基板の裏面にパッシ
ベーション酸化膜を形成して、該パッシベーション酸化
膜上から、アルミニウムペーストをドット状に印刷し、
該アルミニウムがパッシベーション酸化膜を貫通してP
型シリコン基板のシリコンに拡散するように焼成するこ
とにより、P型シリコン基板の裏面にアルミニウムがド
ープされたドット状のp+部を形成することを特徴とす
る太陽電池セルの製造方法である(請求項7)。
【0028】このように、本発明のパッシベーション酸
化膜上から、アルミニウムペーストをドット状に印刷・
焼成することにより、ドット状のp+部を形成する方法
は、リン接合層にn++部を形成するかしないかにかかわ
らず、適用することができ、その効果を奏するものであ
る。
【0029】これらの本発明では、前記P型シリコン基
板中のガリウムの濃度を3×10 〜5×1017at
oms/cm3とすることが好ましい(請求項8)。このよう
に、ガリウムの濃度が3×1015atoms/cm3以上であ
れば、太陽電池セルの内部抵抗増加により電力が消費さ
れ、変換効率が低下するのを抑制することができ、5×
1017atoms/cm3以下であれば、少数キャリアがガリ
ウム原子に捕獲されてライフタイムが低下する、いわゆ
るオージェ再結合現象を防止することができる。
【0030】そして、本発明の方法で製造された太陽電
池セルは、安価で、高い変換効率を持つ太陽電池セルと
なる(請求項9)。
【0031】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発
明は、高効率の太陽電池セルを製造するに際して問題と
なっていた、シリコン基板において光劣化が生じるとい
う問題、および製造工程の複雑さ、歩留りの低さ、製造
コストの高さ等を解決することにより、高効率の太陽電
池セルを高生産性で製造する方法を開発し、完成に至っ
たものである。
【0032】前述のようにボロンをドープされたシリコ
ン基板では、光劣化によるライフタイムの低下の問題が
ある。従来のボロンをドーパントとして加えたシリコン
単結晶から作製される太陽電池セルでは、結晶中に酸素
とボロンが同時に存在することで、太陽電池セルのバル
ク中に酸素とボロンに起因する深いエネルギー準位(d
eep levelまたはtrap levelとも言
う。)が形成され、この深いエネルギー準位に太陽電池
セル内のキャリアが捕獲されるために、基板のライフタ
イムの低下が起こり光劣化が生ずる。
【0033】そこで、本発明者らはボロン以外のドーパ
ントがドープされたシリコン基板を用いることを発想し
た。太陽電池基板は主にP型シリコンウエーハが用いら
れているが、ボロン以外の元素を用いてP型シリコン結
晶を作ることができれば、例え結晶内に酸素が存在して
も基板ライフタイムの低下は起こらず光劣化の小さい太
陽電池セルを製造することができると考た。本発明者ら
が、実験を繰り返した結果、ガリウムをドーパントとし
て添加してP型シリコンを製造して基板を作製し、これ
を用いた太陽電池セルでは結晶中に高い濃度の酸素が存
在してもライフタイムは常に安定で、光劣化を生じない
太陽電池セルを作ることができることを確認した。
【0034】しかし、ウエーハの抵抗率が5Ω・cmよ
り大きいと、抵抗率が必要以上に高くなり太陽電池セル
の内部抵抗により電力が消費され、太陽電池セルの変換
効率が低下する。また、ウエーハの抵抗率が0.1Ω・
cmより小さいと、基板抵抗率が極端に低下するために
基板内部にオージェ再結合による少数キャリアのライフ
タイムの低下が発生して、同様にセルの変換効率が悪化
してしまう。従って、太陽電池基板として用いるウエー
ハは、その基板中に含まれるガリウムの濃度が5×10
17〜3×1015atoms/cm3のもの、より好ましくは
1.5×10 〜7×1015atoms/cm3の範囲のも
のを使用するのが良いことを確認した。
【0035】これによりシリコン基板によって、光劣化
を起こすとなく安定した高い変換効率を有する太陽電池
セルを作ることが可能となり、シリコン太陽電池セルに
よる発電コストを低減させることができる。すなわち、
ライフタイムの低下が小さくなり、変換効率が向上する
とともに、そのバラツキも小さくなる。
【0036】さらに本発明者らは従来の太陽電池セルの
製造方法と構造に大幅な改良を加え、工程の簡略化と生
産コストの低減、変換効率の向上を可能とした。その結
果、太陽電池セルのコスト問題の解決とクリーンエネル
ギーである太陽光発電の普及に寄与するところが大であ
る。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。まず、太陽電池セル基板として用いるガリウムがド
ープされたシリコン単結晶を製造する。このガリウムド
ープシリコン単結晶の製造にあたっては、通常のチョク
ラルスキー(CZ)法を用いて行えば良い。すなわち、
ガリウムがドープされたシリコン結晶と原料シリコンを
ルツボに収容して溶かし込み、結晶を成長させながらシ
リコン単結晶を引上げる方法である。
【0038】ここで、原料融液に正確な量のガリウムを
ドープするには、予め高濃度のガリウムを添加したシリ
コン結晶を育成し、この高濃度ガリウムドープシリコン
結晶を砕いて作製したドーピング剤を、計算により適切
な量だけシリコン融液に添加するようにすれば、正確な
量のガリウムをドープすることができる。
【0039】ガリウムがドープされたシリコン単結晶を
製造したら、通常の方法に従い結晶をウエーハに加工す
る。加工工程では、まずコーン部とテール部を切断し単
結晶棒の周囲を円筒研削し、適当な大きさのブロックに
切断加工する。そして、この適当な大きさにした単結晶
ブロックをスライサーによりスライスして、ウエーハ状
にした後、エッチングによって加工歪みを取り除き太陽
電池基板となるウエーハを作製する。
【0040】このようにして得られたガリウムがドープ
されたシリコン基板から太陽電池セルを製造する。本発
明ではシリコン基板から太陽電池セルを製造する工程に
も大幅な改良が加えられている。図1(A)〜(G)は
本発明にかかる太陽電池セルの製造方法の一例を示した
フロー図である。先ず、上記ガリウムがドープされたP
型シリコン基板1を用意する(A)。
【0041】リンを含んだ有機シリカ化合物ペースト1
5を表面電極が形成されるパターンに対応してP型シリ
コン基板1に印刷し、該P型シリコン基板1に気相リン
拡散熱処理を施すことにより、n++部3を表面に有する
リン接合層2を形成する(B)。その後、裏面に形成さ
れたリン拡散層と表面に形成された不要なリンガラス層
を除去し、リン接合層2の表面およびP型シリコン基板
1の裏面に、パッシベーション酸化膜5を形成する。さ
らに、リン接合層2の表面のパッシベーション酸化膜5
上にSiN反射防止膜8を形成しておく(C)。
【0042】P型シリコン基板1の裏面にパッシベーシ
ョン酸化膜5を形成した後、パッシベーション酸化膜5
上から、アルミニウムペースト13をドット状に印刷
し、該アルミニウムがパッシベーション酸化膜5を貫通
してP型シリコン基板1のシリコンに拡散するように焼
成することにより、P型シリコン基板1の裏面にアルミ
ニウムがドープされたドット状のp+部4を形成する
(D)。
【0043】次いで、p+部4上のアルミニウム−シリ
コン合金層9及びアルミニウムペースト13は除去せ
ず、ドット状のp+部4を形成した後、P型シリコン基
板1の裏面の全面に銀ペーストを印刷して焼成し、裏面
反射層を兼用した裏面電極7を形成する(E)。さら
に、リン接合層2のn++部3とそれ以外の部分の色調差
から印刷位置を決定して、n++部3に対応して銀ペース
トを印刷して、該銀がSiN反射防止膜8とパッシベー
ション酸化膜5を貫通してリン接合層2と接触するよう
に焼成することにより、n++部3上に表面電極6を形成
する(F)。最後に、表面での反射防止効果を高めるた
めに、2層目のSiO反射防止膜11を形成し、本発
明の太陽電池セル10を完成する(G)。
【0044】本発明の方法では、図1(B)に示したよ
うに、電極部に対応してリンを含んだシリカ化合物を必
要最小限に基板に印刷することにより、1回の熱処理工
程のみで選択的なn++部を有するリン接合層の形成を行
うことが可能となる。
【0045】そのため、大幅な工程の簡略化を実現で
き、1回の拡散熱処理では基板の寿命低下は僅かである
ため、熱処理炉のクリーン度管理等の労力は低減され
る。また、熱処理回数が少ないため、酸素析出が少なく
なり、ライフタイムや変換効率の低下が生じにくいとと
もに、ドーパントがガリウムであるため、光劣化は生じ
ない。さらに工程を簡略化することにより、材料消費量
を低減することができ、歩留りも向上する。なお、上記
有機シリカ化合物ペーストとしては、例えば、RnSi
(OH)4−nで表される有機ケイ素化合物に、添加剤
として、PやSiP等の拡散用リン不純
物、ガラス質形成剤および有機バインダーを添加し、有
機溶剤(例えば、アルコールを主成分とし、エステル、
ケトン等から成るもの)に溶解したものを用いることが
できる。
【0046】また、本発明の方法では、図1(C)に示
したように、リン接合層表面およびP型シリコン基板裏
面の両方がパッシベーション酸化膜により覆われること
になるため、光生成した少数キャリアの再結合が両面で
十分に抑制され、変換効率の向上を図ることができる。
【0047】そして、本発明の方法では、図1(D)に
示したように、シリコン基板の裏面にパッシベーション
酸化膜を形成し、そのパッシベーション酸化膜に覆われ
たシリコン基板裏面内部に、さらにドット状のアルミニ
ウムドープによるp+部を形成しているため、裏面全面
がパッシベーション酸化膜とドット状のp+部により十
分にパッシベーションされることとなり、再結合損失を
有効に低減し、高い変換効率を実現することができる。
また、アルミニウムが印刷される部分はドット状の小さ
な面積であるので、基板の反りが発生することは極めて
少なくなる。さらに、アルミニウムペーストをドット状
に印刷するため、従来の全面印刷に比べてペースト使用
量が大幅に削減され、コスト削減も併せて実現すること
ができる。加えて、このドット状のp+部は裏面集電電
極の役目も果たすため、裏面電極の形成も容易に行うこ
とができる。
【0048】なお、このようなパッシベーション酸化膜
上にドット状のアルミニウムを印刷してp+部を形成す
る方法は、リン接合層にn++部を形成するかしないかに
かかわらず、適用することができる。
【0049】さらに、本発明の方法では、図1(E)に
示したように、シリコン基板裏面のパッシベーション酸
化膜上に裏面集電電極を兼ねたドット状p+部及びアル
ミニウム−シリコン合金層とアルミニウムペーストが形
成されることとなり、その占有面積は裏面反射率に影響
を及ぼさない程度に少ないため、アルミニウム−シリコ
ン合金層およびアルミニウムペーストを除去する必要が
ない。また、裏面電極の形成を従来の銀蒸着から、材料
の損失の少ない銀ペーストの印刷・焼成に変更すること
で、材料歩留りが向上し、工程の簡略化と併せて低コス
ト化を実現できる。さらに、反射率の高い裏面のパッシ
ベーション酸化膜上に反射層を形成することになるた
め、従来法での裏面反射層1層のみに比べて、裏面のパ
ッシベーション酸化膜と裏面反射層を兼用した裏面電極
での反射効果の寄与もあり、総合的に裏面反射効果が向
上する。
【0050】そして、本発明の方法では、図1(F)に
示したように、表面電極を形成すべきn++部が、n++部
以外の部分と、形成されるパッシベーション酸化膜の厚
さの違いによる色調差により容易に区別されるため、n
++部上に、例えばパターン認識位置合わせ機構を有する
スクリーン印刷等により、表面電極パターンを迅速かつ
簡単に印刷することが可能になる。そして、銀が表面反
射防止膜とパッシベーション酸化膜を貫通してリン接合
層と接触するように焼成するため、フォトリソグラフ工
程を省略でき、工程の簡略化と使用材料の低減が達成さ
れる。そして、表面電極形成は従来の蒸着法から、銀ペ
ースト印刷・焼成法に変更したため、材料歩留りが向上
し、従来より大幅な製造コスト削減が達成できる。
【0051】図2は、上記本発明の製造方法で製造され
た太陽電池セルの一例を示した構造図である。図に示す
ように、この太陽電池セル10は、表面電極6および裏
面電極7の形成されている部分にはそれぞれn++部3お
よびp+部4が形成されており、さらに、リン接合層2
の表面およびP型シリコン基板1の裏面の両方にパッシ
ベーション酸化膜が形成されているため、再結合損失を
低減する効果は極めて高いものとなる。また、P型シリ
コン基板1の裏面には、反射率の高いパッシベーション
酸化膜5と裏面反射層を兼ねた裏面電極7が形成されて
いるため、光閉じ込め効果も高いものとなる。P型シリ
コン基板1はガリウムをドープしたものであるので、光
劣化の問題も生じない。したがって、極めて高効率の太
陽電池セルとすることができる。加えて、上述したよう
に大幅な製造工程の簡略化等が図られているため、生産
性は従来に比べて著しく高く、きわめて安価な太陽電池
セルとなる。
【0052】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を挙げて
具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。 (実施例1〜3)通常のCZ法により、直径5インチ、
結晶方位<100>であって、初期格子間酸素濃度が約1
8ppma(JEIDA;日本電子工業振興協会規格)
のガリウムがドープされたシリコン単結晶を引き上げ
た。ドープするガリウムの量を3×1015〜5×10
17atoms/cm3の間で調整して抵抗率3.2Ω・cm
(実施例1)、抵抗率2.5Ω・cm(実施例2)、及
び抵抗率4.0Ω・cm(実施例3)の3本のシリコン
単結晶を引上げた。さらにこれらのシリコン単結晶をス
ライスし、直径125mm、抵抗率とウエーハ厚の異な
る抵抗率3.2Ω・cm、厚さ300μm(実施例
1)、抵抗率2.5Ω・cm、厚さ350μm(実施例
2)、及び抵抗率4.0Ω・cm、厚さ200μm(実
施例3)の3枚のウエーハを作製した。
【0053】これらのガリウムがドープされた3枚のシ
リコン単結晶ウエーハから、図1に示す方法で、太陽電
池セルを製造した。先ず、上記ガリウムがドープされた
P型シリコン基板1に、スライス時の表面歪み除去を目
的として、アルカリ溶液によるエッチングを行い、その
後、RCA洗浄及びIPA乾燥を行った(図1
(A))。次にP型シリコン基板1の表面にリンを含ん
だ有機シリカ化合物ペースト15を表面電極が形成され
るパターンに対応してライン状にスクリーン印刷し、乾
燥後、P型シリコン基板1を近赤外ランプベルト炉に通
して、POClを雰囲気に使用した気相リン拡散熱処
理(950℃)により、表面電極パターンに対応したn
++部3を表面に有するリン接合層2を形成した(図1
(B))。
【0054】なお、上記有機シリカ化合物ペーストとし
ては、RnSi(OH)4−nで表される有機ケイ素化
合物に、添加剤として、拡散用リン不純物であるP
およびSiPと、ガラス質形成剤および有機バ
インダーを添加し、アルコールを主成分とする有機溶剤
に溶解したものを用いた。
【0055】表面に形成された不要なリンガラス層をH
Fにて除去し、ドライ熱酸化により、リン接合層2の表
面およびP型シリコン基板1の裏面に、パッシベーショ
ン酸化膜5を形成する。さらに、リン接合層2の表面の
パッシベーション酸化膜5上にプラズマCVDでSiN
表面反射防止膜8を形成した(図1(C))。
【0056】そして、P型シリコン基板1の裏面のパッ
シベーション酸化膜5上から、アルミニウムペースト1
3をドット状にスクリーン印刷し、乾燥後、近赤外ラン
プベルト炉により、該アルミニウムがパッシベーション
酸化膜5を貫通してP型シリコン基板1のシリコンに拡
散するように焼成(700℃)することにより、パッシ
ベーション酸化膜5に覆われたシリコン基板1の裏面に
アルミニウムがドープされたドット状のp+部4を形成
した(図1(D))。
【0057】次いで、p+部4上のアルミニウム−シリ
コン合金層9およびアルミニウムペースト13は除去せ
ず、P型シリコン基板1の裏面の全面に銀ペーストをス
クリーン印刷し、乾燥させた後、近赤外ランプベルト炉
により焼成し(580℃)、裏面反射層を兼用した裏面
電極7を形成した(図1(E))。
【0058】さらに、リン接合層2のn++部3とそれ以
外の部分の色調差から、n++部3に対応してライン状に
銀ペーストを印刷し、乾燥後、近赤外ランプベルト炉に
より、銀がSiN表面反射防止膜8とパッシベーション
酸化膜5を貫通してリン接合層2と接触するように焼成
(580℃)することにより、n++部3上に表面電極6
を形成した(図1(F))。
【0059】最後に、表面での反射防止効果を高めるた
めに、常圧CVDにより2層目のSiO反射防止膜1
1を形成し、本発明の太陽電池セル10を完成した(図
1(G))。
【0060】このようにして得られた3枚の太陽電池セ
ルを、25℃に温度調節された測定台にのせ、ハロゲン
ランプを光源としたソーラーシミュレータでAM(エア
マス)1.5の条件下で定常光をセルに照射し、セルか
ら取り出すことができた電圧と電流を測定して太陽電池
セルの変換効率を算出し、結果を表1に示した。なお、
本発明による変換効率とは、下式で定義された値を言
う。 [変換効率]=[セル単位面積当たりから取り出すこと
ができた電力]/[セル単位面積あたりに照射された光
エネルギー]×100(%)
【0061】
【表1】
【0062】表1に示すように、実施例1〜実施例3の
本発明の太陽電池セルは全て19%以上の高い変換効率
を示しており、効率よく光エネルギーを電気エネルギー
に変換していることが判る。さらに、これらの太陽電池
セルに30時間以上光を照射した後の変換効率も殆ど変
化することなく初期値と同じ安定した変換効率を示して
おり、光劣化によるライフライム低下は生じていないこ
とが判る。
【0063】(比較例)通常のCZ法により、直径5イ
ンチ、結晶方位<100>であって、初期格子間酸素濃度
が約16ppma(JEIDA)のボロンをドープした
シリコン単結晶を引き上げた。抵抗率が約2.4Ω・c
mになるようにボロンのドープ量を調整してシリコン単
結晶を製造し、この単結晶棒から直径125mm、厚さ
300μmのシリコン単結晶ウエーハを作製した。この
ウエーハから図3に示した従来の方法で太陽電池セルを
製造し、実施例と同様にその変換効率を測定した。結果
を表1に併記する。
【0064】表1より、ボロンをドープしたシリコン基
板から製造された比較例の太陽電池セルは、変換効率が
光を照射した直後であっても18.7%と実施例の太陽
電池セルに比べて劣っていることが判る。さらに、この
太陽電池セルに30時間以上光を照射した後の変換効率
は17.4%に低下しており、光劣化により大幅にライ
フタイムの低下が生じていることが判る。さらに、実施
例の太陽電池セルの製造にあたっては、総工程数が比較
例の太陽電池セルの半分近くまで簡略化されており、総
製造時間は、長時間を要する拡散熱処理が省かれたため
半分以下の時間となった。また、フォトリソグラフ工程
や蒸着を行わなくなったため、これらの工程で消費され
る材料を節約でき、大幅なコストダウン、歩留りの向上
がみられた。
【0065】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0066】例えば、上記実施形態では、ガリウムがド
ープされたシリコン単結晶ウエーハを基板として用いて
太陽電池セルを製造する場合を中心に説明したが、本発
明はこれに限定されるものではなく、ガリウムがドープ
されたシリコン多結晶ウエーハであっても適用すること
ができる。また各工程の順序や行われる処理の細部が異
なっていても、本発明の趣旨を逸脱しないかぎり、本発
明の範囲に包含される。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、太陽電池
セルにおいて、大幅な製造工程の簡略化、使用材料の低
減を実現し、高効率で光劣化のない太陽電池セルを高生
産性で製造することができる。そのため、従来に比べて
より低コストで太陽電池セルの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)〜(G)は本発明にかかる太陽電池セ
ルの製造方法の一例を示したフロー図である。
【図2】 本発明の製造方法により製造された太陽電池
セルの一例を示した構造図である。
【図3】 (a)〜(k)は従来の太陽電池セルの製造
方法の一例を示したフロー図である。
【図4】 再結合損失を低減する構造を取り入れた従来
型太陽電池セルを示した構造図である。
【符号の説明】
1…P型シリコン基板、 2…リン接合層、 3…n++
部、 4…p+部、5…パッシベーション酸化膜、 6
…表面電極、 7…裏面電極、8…SiN反射防止膜、
9…アルミニウム−シリコン合金層、10,20…太
陽電池セル、 11…SiO反射防止膜、12…マス
ク用酸化膜、 13…アルミニウムペースト、14…コ
ンタクト開口部、 15…有機シリカ化合物ペースト。
フロントページの続き (72)発明者 徳永 勝志 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越半 導体株式会社半導体磯部研究所内 Fターム(参考) 5F051 AA02 BA14 BA17 CB20 CB24 DA03 EA18 FA10 HA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともP型シリコン基板に、リンが
    高濃度にドープされたn++部を表面に有するリン接合層
    を形成した後、該n++部上に表面電極を形成し、P型シ
    リコン基板裏面に裏面電極を形成する太陽電池セルの製
    造方法において、前記P型シリコン基板はガリウムをド
    ープしたものを用い、前記リン接合層の形成は、リンを
    含んだ有機シリカ化合物ペーストを表面電極が形成され
    るパターンに対応してP型シリコン基板に印刷し、該P
    型シリコン基板に気相リン拡散熱処理を施すことによ
    り、n++部を表面に有するリン接合層を形成することを
    特徴とする太陽電池セルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記リン接合層の表面およびP型シリコ
    ン基板の裏面に、パッシベーション酸化膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項1に記載の太陽電池セルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記P型シリコン基板の裏面にパッシベ
    ーション酸化膜を形成した後、該パッシベーション酸化
    膜上から、アルミニウムペーストをドット状に印刷し、
    該アルミニウムがパッシベーション酸化膜を貫通してP
    型シリコン基板のシリコンに拡散するように焼成するこ
    とにより、P型シリコン基板の裏面にアルミニウムがド
    ープされたドット状のp+部を形成することを特徴とす
    る請求項2に記載の太陽電池セルの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ドット状のp+部を形成した後、前
    記P型シリコン基板の裏面の全面に銀ペーストを印刷し
    て焼成し、裏面反射層を兼用した裏面電極を形成するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の太陽電池セルの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記リン接合層の表面にパッシベーショ
    ン酸化膜を形成した後、該パッシベーション酸化膜上に
    表面反射防止膜を形成し、リン接合層のn++部に対応し
    て銀ペーストを印刷して、該銀が表面反射防止膜とパッ
    シベーション酸化膜を貫通してリン接合層と接触するよ
    うに焼成することにより、n++部上に表面電極を形成す
    ることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか
    1項に記載の太陽電池セルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記n++部に対応して銀ペーストを印刷
    する際に、リン接合層のn++部とそれ以外の部分の色調
    差から印刷位置を決定することを特徴とする請求項5に
    記載の太陽電池セルの製造方法。
  7. 【請求項7】 少なくともP型シリコン基板に、リン接
    合層を形成した後、該リン接合層表面に表面電極を形成
    し、P型シリコン基板裏面に裏面電極を形成する太陽電
    池セルの製造方法において、前記P型シリコン基板はガ
    リウムをドープしたものを用い、前記裏面電極を形成す
    る前に、P型シリコン基板の裏面にパッシベーション酸
    化膜を形成して、該パッシベーション酸化膜上から、ア
    ルミニウムペーストをドット状に印刷し、該アルミニウ
    ムがパッシベーション酸化膜を貫通してP型シリコン基
    板のシリコンに拡散するように焼成することにより、P
    型シリコン基板の裏面にアルミニウムがドープされたド
    ット状のp+部を形成することを特徴とする太陽電池セ
    ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記P型シリコン基板中のガリウムの濃
    度を3×1015〜5×1017atoms/cm3とすること
    を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に
    記載した太陽電池セルの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれか1項
    に記載の方法で製造された太陽電池セル。
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