JP2002075260A - 回転陽極型x線管及びそれを備えたx線管装置 - Google Patents

回転陽極型x線管及びそれを備えたx線管装置

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JP2002075260A
JP2002075260A JP2001050574A JP2001050574A JP2002075260A JP 2002075260 A JP2002075260 A JP 2002075260A JP 2001050574 A JP2001050574 A JP 2001050574A JP 2001050574 A JP2001050574 A JP 2001050574A JP 2002075260 A JP2002075260 A JP 2002075260A
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rotating
ray tube
rotating body
rotating anode
rotary
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Hiroto Yasutake
浩人 安武
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Toshiba Corp
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    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J35/00X-ray tubes
    • H01J35/02Details
    • H01J35/04Electrodes ; Mutual position thereof; Constructional adaptations therefor
    • H01J35/08Anodes; Anti cathodes
    • H01J35/10Rotary anodes; Arrangements for rotating anodes; Cooling rotary anodes
    • H01J35/101Arrangements for rotating anodes, e.g. supporting means, means for greasing, means for sealing the axle or means for shielding or protecting the driving
    • H01J35/1017Bearings for rotating anodes
    • H01J35/104Fluid bearings
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2235/00X-ray tubes
    • H01J2235/10Drive means for anode (target) substrate
    • H01J2235/1046Bearings and bearing contact surfaces
    • H01J2235/106Dynamic pressure bearings, e.g. helical groove type

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  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 同軸的に嵌合する2つの円筒状回転体の軸ず
れがなく良好な回転特性を有する回転陽極型X線管、お
よびそれを備えるX線管装置を提供すること。 【解決手段】 円柱状の固定体18と、この固定体のま
わりに嵌合された円筒状の第1回転体23と、上記固定
体と第1回転体との嵌合部に設けられたらせん溝18m
…を有する少なくとも1つの動圧式すべり軸受領域と、
上記第1回転体の外側に断熱用間隙G2を形成して同軸
的に配置され一部に回転陽極円盤15が結合され該回転
陽極円盤から熱伝導経路的に遠い位置にある開口部端部
領域22bで前記第1回転体に接合された円筒状第2回
転体22とを有する回転陽極型X線管において、上記第
2回転体22の上記第1回転体に接合される開口端部領
域22bに、概ね回転中心軸方向Cに沿って伸びるスリ
ット26が円周方向にわたって複数個形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、らせん溝を有す
る動圧式すべり軸受を備える回転陽極型X線管およびそ
れを使用したX線管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、X線を放出するタ
ーゲット層を設けた回転陽極円盤およびこの回転陽極円
盤を直接または支持シャフトを介して回転可能に支持す
る回転機構、ターゲット層に電子ビームを照射する陰極
などから構成され、回転陽極円盤や回転機構、陰極はい
ずれも真空容器内に配置されている。回転陽極円盤を支
持する回転機構は、相互間に軸受部が形成された回転部
分および固定部分などから構成されている。
【0003】上記した回転陽極型X線管を備えるX線管
装置は、X線管の真空外囲器外に配置したステータ電磁
コイルから回転磁界を発生し、電磁誘導モータの原理で
回転機構に連結した回転陽極円盤を高速回転させる。そ
して、陰極から発生された電子ビームが回転陽極円盤の
ターゲット層に照射され、ターゲット層からX線が放出
される。
【0004】ここで、回転陽極円盤を回転可能に支持す
る従来の回転陽極型X線管の回転機構について、図7お
よび図8を参照して説明する。同図の符号31は支持シ
ャフトであり、この支持シャフト31には、X線を放出
する重金属製ターゲット層を設けた回転陽極円盤(図示
せず)が固定され、同時に、回転陽極円盤を回転可能に
支持する円筒状の回転体32が結合されている。
【0005】回転体32は、円筒状の外側円筒32a、
円筒状の中間円筒32b、および有底円筒状の内側円筒
32cからなる3重の同軸構造になっている。そして、
外側円筒32aと中間円筒32bとは、外側円筒32a
の図示上側開口部領域B1でろう接により一体結合され
ている。なお、中間円筒32bの上端部分が支持シャフ
ト31と直接結合されている。
【0006】さらに、中間円筒32bと内側円筒32c
とは、中間円筒32bの図示下部の開口部領域でろう接
により一体結合されている。すなわち、図7の線分A−
Aで横断面にした構造を示す図8に示すように、外側円
筒32aおよび中間円筒32b、内側円筒32cは互い
に同軸的に配置されており、中間円筒32bと内側円筒
32cとは下端部で全周がろう接部B2で一体結合され
ている。
【0007】また、回転体32の内側円筒32cの内側
には、20μm程度の狭い軸受間隙を保って円柱状の固
定体(図示せず)が挿入される。中間円筒32bはたと
えば強磁性体で構成され、図示しないステータ電磁コイ
ルから発する回転磁界の磁気誘導部としても機能する。
【0008】なお、外側円筒32aと中間円筒32bと
の間には半径方向の寸法が例えば0.5mm程度の断熱
用間隙G1が設けられ、また、中間円筒32bと内側円
筒32cとの間には半径方向の寸法が例えば1mm程度
の断熱用間隙G2が設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】回転陽極型X線管は、
動作状態に入ると、回転陽極円盤上のターゲット層に電
子ビームが照射され、回転陽極円盤の温度は千数百℃に
も達する。この熱は、支持シャフトなどを経て回転体に
伝達し、たとえば内側円筒と固定体間に設けられた動圧
式すべり軸受部分の温度を上昇させ、回転体の回転特性
を悪化させる。
【0010】そのため、回転陽極円盤の熱が軸受部分に
極力到達しないように、支持シャフトと直接結合する中
間円筒は、通常、熱伝導率の小さい材料で構成される。
また、軸受部分は動作中に熱を発生するため、この熱を
効率よく分散し且つ外部に逃すために、軸受面が構成さ
れる内側円筒には熱伝導率の高い材料が使用される場合
がある。
【0011】上記したように中間円筒には熱伝導率の小
さい材料が使用され、内側円筒には熱伝導率の高い材料
が使用される。したがって、中間円筒と内側円筒には異
なる材料が使用される。その結果、中間円筒と内側円筒
とは熱膨張率も相違することが少なくなく、両者を良好
にろう接できない場合がある。
【0012】すなわち、これらの円筒部材を例えば金ろ
うでろう接する場合は、約1100℃近くまで温度を上
げなければならず、或いは銀ろうでろう接する場合でも
約800℃まで温度を上げなければならない。中間円筒
および内側円筒の熱膨張率が異なると、室温での両円筒
間の嵌合寸法と、ろう接温度での嵌合寸法との間に大き
な差が生じる。
【0013】例えば、中間円筒の熱膨張率が内側円筒の
それよりも大きい場合は、室温で両円筒のろう接部分を
丁度しっくり嵌合させた状態にしてろう接すると、高い
ろう接温度においては中間円筒の内径が内側円筒の被ろ
う接部の外径寸法よりも大きくなり、両円筒間に不均一
な隙間や軸ずれが生じた状態でろう接されてしまう場合
がある。
【0014】すなわち、中間円筒と内側円筒との中心軸
が完全に一致した状態でろう接される場合が考えられる
反面、図9に示すように、内側円筒32cの中心軸Co
に対して中間円筒32bの中心軸Crが、ろう接部B1
の中心軸付近を基点にしてある角度の傾きαを持ったま
まろう接されてしまう不都合が考えられる。
【0015】このように、内側円筒と中間円筒との間に
軸ずれが生じた場合は、回転アンバランスをろう接後の
加工によってある程度補正できる。しかし、回転構造体
を室温で切削加工した場合、X線管動作中の温度で逆に
回転バランスが悪くなり、回転特性が悪化する問題もあ
る。とくに、回転数が例えば6000rpm〜1000
0rpmというような高速回転用の動圧式すべり軸受を
有する回転陽極型X線管においては、わずかな回転バラ
ンスの崩れも重大な問題を引き起こす場合がある。
【0016】一方、逆に、中間円筒の熱膨張率が小さい
場合は、室温では、中間円筒と内側円筒をろう接する嵌
合部の隙間が大きくなる。そのため、ろう接した後の冷
却状態では、内側円筒の収縮が大きく、中間円筒のろう
接部に局部的な亀裂等の破損が生じる場合がある。ま
た、中間円筒と内側円筒との間にやはり軸ずれを生じる
場合がある。
【0017】この発明は、上記した不都合を解決するも
のであり、同軸的に嵌合する2つの円筒状回転体の軸ず
れがなく良好な回転特性を有する回転陽極型X線管、お
よびそれを備えるX線管装置を提供することを目的とす
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的に円柱
状の固定体と、この固定体のまわりに嵌合された円筒状
の第1回転体と、上記固定体と第1回転体との嵌合部に
設けられたらせん溝を有する少なくとも1つの動圧式す
べり軸受領域と、上記第1回転体の外側に断熱用間隙を
形成して同軸的に配置され一部にX線放出用ターゲット
層を有する回転陽極円盤が結合され該回転陽極円盤から
熱伝導経路的に遠い位置にある開口部領域で前記第1回
転体に接合された円筒状第2回転体とを有する回転陽極
型X線管において、上記第2回転体の上記第1回転体に
接合された領域に、概ね回転中心軸方向に沿って伸びる
スリットが円周方向にわたって複数個形成されている回
転陽極型X線管である。
【0019】また、他の発明は、上記回転陽極型X線管
の強磁性体製の第1回転体または第2回転体にそれらの
間の断熱用間隙を部分的に狭める形で厚肉部が設けられ
るとともに、前記第2回転体の上記第1回転体に接合さ
れた領域に、概ね回転中心軸方向に沿って伸びるスリッ
トが円周方向にわたって複数個形成されており、且つ上
記厚肉部に対応する位置の外周領域に上記ステータ電磁
コイルの鉄芯部が位置している回転陽極型X線管装置で
ある。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図面を
参照して説明する。図1は、回転陽極型X線管10の要
部と、その回転構造体のまわりにステータ電磁コイル1
1を配置したX線管装置の要部を示している。
【0021】図1の回転陽極型X線管10の各部を示す
符号12は真空容器の金属容器部分、13は真空容器の
ガラス円筒部分、14は真空容器の封着金属リング、1
5は回転陽極円盤、15aはターゲット層、16は支持
シャフト、17は締付固定用ナット、18は概ね円柱状
の固定体、18aは固定体の径小部、18bは固定体の
径大部、18cは固定体の外方端部、19は固定体と真
空容器の封着金属リング14との気密溶接部をあらわし
ている。
【0022】また、符号20はほぼ円筒状の回転体、2
1はその外側円筒、22は回転体の中間円筒、23は回
転体の内側円筒、24はそれにねじ止めされたスラスト
リング、25は潤滑剤漏洩防止用トラップリングをあら
わしている。さらに、符号11aはステータ電磁コイル
11のリング状鉄芯、11bはこの鉄芯に巻かれたステ
ータコイル導線、11cは絶縁スペーサをあらわしてい
る。
【0023】固定体18は、相対的に軸方向に長い径小
部18aに形成された2組のラジアル方向動圧式すべり
軸受用のヘリンボンパターンらせん溝18m,18nを
有し、両らせん溝18m,18nの間にらせん溝のない
径小部18pを有している。また、固定体の径大部18
bの上下面には、スラスト方向動圧式すべり軸受用のサ
ークル状ヘリンボンパターンらせん溝18r,18sが
形成されている。
【0024】これら各らせん溝を含む軸受領域には、固
定体と回転体との間におよそ20μmの軸受間隙が設け
られ、これらの軸受間隙やらせん溝、固定体に設けられ
た径小部18pの隙間、或いは図示しない潤滑剤リザー
バや複数の横方向通路などに、Ga合金のような少なく
ともX線管動作中に液状である金属潤滑剤が供給されて
いる。
【0025】各部の材料の一例としては、固定体18、
回転体の内側円筒23およびスラストリング24として
は、高速度工具鋼(例えばJIS規格のSKD−1
1)、モリブデン(Mo)、或いはTZM(商品名で、
Mo−0.45Ti−0.07Zr−0.02C)等を
使用し得る。
【0026】また、回転体の中間円筒22としては、熱
伝導率が比較的小さい強磁性材料が望ましく、例えば
0.50Fe−0.50Ni合金等を使用し得る。この
合金は、熱伝導率がMoやTZMのおよそ8分の1程度
であり、回転陽極円盤15からの熱が軸受面構成部材で
ある内側円筒23に伝達するのを抑制するのに好都合で
ある。さらに、支持シャフト16としては、高融点金属
であるMo或いはTZMを使用し得る。
【0027】なお、回転陽極円盤15は、支持シャフト
16を介して中間円筒22の上端部に結合されるのが一
般的であるが、それに限られず、回転陽極円盤15が直
接的に中間円筒22の上端部に結合される構造であって
もよい。
【0028】そして、回転体の中間円筒22には、その
両ラジアル方向軸受らせん溝18m,18nの間の径小
部18pにほぼ対応する位置において、内周側に突出し
た厚肉部22aが設けられており、この厚肉部22aと
ステータ電磁コイル11の鉄芯11aの軸方向の位置と
をほぼ一致するように配置してある。それによって、ス
テータ電磁コイル11から動作中に発生される回転磁界
が厚肉部22aにより電磁モータのロータ円筒として機
能する銅製外側円筒を効率よく横切るようになってい
る。
【0029】次に、本発明の回転体20の構成を図2乃
至図4を含めて説明する。外側円筒21は、ステータ電
磁コイルから加えられる回転磁界によって電磁誘導によ
る電流が流れるため、銅などの導電性の良い材料で構成
され、また、熱を容易に輻射するようにその表面に図示
しない黒化膜が付着されている。
【0030】外側円筒21と中間円筒22とは、回転陽
極円盤に結合された支持シャフト16に近い側の端部領
域B1で接合され、この接合領域B1を除いて外側円筒
21と中間円筒22との間には断熱用間隙G1が設けら
れている。一方、中間円筒22と内側円筒23とは、回
転陽極円盤に結合された支持シャフト16から伝熱経路
的に遠い側の図示下端部領域B2で接合されている。
【0031】この場合、内側円筒23の図示下端に外径
の大きい部分23aが設けられ、この径大部分23aの
外周面23bが中間円筒22の開口端部領域22bの内
面に接合されている。中間円筒22と内側円筒23との
間には、接合領域B2を除いて断熱用間隙G2が設けら
れている。なお、間隙G2の方が間隙G1よりも半径方
向の寸法が大きく形成されている。また、符号Cは回転
中心軸を示している。
【0032】そして、中間円筒22の内周面の管軸方向
におけるその一部、たとえば回転陽極型X線管を構成す
る真空外囲器の外側に配置されるステータ電磁コイルの
鉄芯部11aで囲まれる部分に、上述のように内側に突
出する厚肉部22aが設けられている。この場合、厚肉
部22aを設けた領域を符号Tで示している。
【0033】この厚肉部22aは、中間円筒22と内側
円筒23との間の断熱用間隙G2を部分的に狭めている
が、両円筒22,23をこの厚肉部22aのところで接
触させずに断熱用間隙を維持する突出寸法になってい
る。さらに、中間円筒22の開口部側には、複数のスリ
ット26が円周方向に等間隔に設けられている。各スリ
ット26は、図2に符号Sで示すように、中間円筒の開
口端から接合領域B2を越え、厚肉部22aに隣接する
部分まで形成されている。
【0034】このように、回転体の中間円筒22の内側
円筒23とろう接される開口端部領域には、開口端から
厚肉部22aの近傍まで軸方向に沿って伸びる複数個、
例えば6個のスリット26を円周方向に等間隔に形成し
てある。
【0035】この中間円筒22が上述のように0.50
Fe−0.50Ni合金であり、図4に示すように、そ
の開口部領域22bの内径Diが例えば約40mmであ
る場合を例として説明する。そこで、内側円筒23がT
ZMである場合、そのテーパ状部23cを経て拡大した
被ろう接部23bの外径寸法Doを、上記の中間円筒の
開口部内径Diよりもやや大きく、例えば約40.4m
mに成形しておく。
【0036】なお、各スリット26の幅寸法wは、好ま
しくは毛細管現象により溶融ろう材で埋め尽くされない
ような比較的大きい寸法で且つ中間円筒の機械的な強度
を十分保てる寸法にするため、1.5mm乃至4mmの
範囲、例えば約2mmとする。また、スリット26の数
は、中間円筒の機械的な強度を十分保てるように、例え
ば3個乃至12個の範囲が好ましく、例えば上記のよう
に6個程度とする。
【0037】そして、ろう接に際しては、図示しない高
融点材料製の位置決め用治具に内側円筒23を固定し、
そのテーパ状部23cに被ろう接部23bの外径寸法D
oよりも大きくない直径のリング状に丸めた金ろう材2
7を嵌めておき、上方から中間円筒22の開口端部22
bの内周壁面をテーパ状部23cに沿って少し拡張しな
がら内側円筒23の被ろう接部23bに密に嵌合させ
る。中間円筒22は、多数のスリット26を有している
ので、このスリットのある領域で開口端部に向かって徐
々に拡張され、内側円筒の被ろう接部23bの外周に内
側に収縮する応力が働いたまま仮固定される。
【0038】そして、これを図示しないろう接炉内に入
れ、約1100℃まで昇温し、金ろうを溶融させたう
え、徐冷してろう接する。このろう接工程の高温時にお
いて、TZM製内側円筒23の熱膨張率はおよそ6×1
-6であるのに対し、0.50Fe−0.50Ni合金
製中間円筒22はその熱膨張率がおよそ16×10-6
あり、熱膨張率がTZMよりも約2倍以上大きい。
【0039】したがって、両円筒の熱膨張量には差が生
じるが、予め、上述のようにそれを加味して内側円筒の
外径Doを中間円筒の内径Diよりも少し大きく設定し
てあるため、ろう材が溶融した後固化する温度では両円
筒の内外径寸法Do,Diはほぼ同等になり、その状態
でろう接される。溶融したろう材は、主として内側円筒
23と中間円筒22との接触面に流動し、また、一部は
スリット26の周壁と内側円筒壁面とでつくる各隅部分
に流動して両円筒を一体的にろう接合する。
【0040】そして、徐冷した後、室温においては、ろ
う接前の状態すなわち中間円筒の内径がスリット26の
ある領域で、厚肉部近傍から開口端ろう接部側にわずか
ながら徐々に拡大した状態になっている。しかし、上述
のようなろう接工程を経ているので、内側円筒23の中
心軸と中間円筒22の中心軸とのずれは皆無に等しく、
高精度の同軸性が得られる。
【0041】このように、スリット26を設けることに
より、同軸構造となり熱膨張率が相互に異なる内側円筒
23と中間円筒22とのろう接構造においても、両円筒
の軸ずれの発生が未然に防止でき、且つ回転陽極円盤側
からの熱が、動圧すべり軸受面を構成する内側円筒に伝
達することの抑制効果にわずかではあるがスリット26
の存在が寄与し、しかもこのX線管の排気工程で中間円
筒と内側円筒との間の断熱間隙G2の空気を排気するの
にもやはりスリット26の存在が役立つ。
【0042】なお、内側円筒23をSKD−11で形成
した場合は、この内側円筒23の熱膨張率と0.50F
e−0.50Ni合金製中間円筒22の熱膨張率とは近
似しているので、ろう接前の組立て状態での被ろう接部
の内外寸法Di,Doは概ね同等にして嵌合すればよ
い。
【0043】逆に、中間円筒22の熱膨張率が小さい場
合、室温では、中間円筒22と内側円筒23とをろう接
する嵌合部の隙間が大きくなる。しかし、中間円筒22
にスリット26が設けられているため、冷却時に内側円
筒23が熱収縮しても、中間円筒の開口端部領域は接合
部分B2とともに収縮して良好にろう接される。
【0044】上記の実施形態では、スリット26を、回
転陽極と反対側の中間円筒22の端部から内側円筒23
との接合部分B2を越え、それよりも回転陽極円盤側の
厚肉部22aに隣接する部分まで管軸方向に沿って形成
してある。この場合、スリット26が厚肉部22aを避
けて厚さの薄い部分に設けられているため、スリット2
6部分が容易に変形する。そのため、中間円筒22に内
側円筒23を嵌合する際、あるいは、接合部分B2に生
じる応力を吸収する際、スリット26が広い範囲で変形
し、良好な接合状態が確保される。その結果、中間円筒
22と内側円筒23に軸ずれなどがなく、良好な回転特
性を有する回転体が実現される。
【0045】また、中間円筒22の一部にスリット26
を設けると、回転磁界の誘導効率が若干低下するという
問題がある。しかし、上記した構成では、中間円筒22
の一部に厚肉部22aが設けられているため、回転磁界
の誘導効率の低下はほとんどなく、良好な回転特性をも
つ回転体が実現される。この場合、中間円筒12bの広
い範囲に厚肉部を設けると熱伝導度が高くなり、熱伝導
を抑制する効果が低下する。したがって、熱伝導を抑制
するためには、ステータ電磁コイルの鉄芯部で囲まれる
領域に限って厚肉部を形成することが望ましい。
【0046】図5に示す実施形態は、中間円筒22の開
口端部領域の各スリット26を、中心軸Cの方向に対し
て斜めに形成したものである。この実施形態によって
も、前述の場合と同様の効果を奏する。
【0047】図6に示す実施形態は、内側円筒23を強
磁性体で構成するとともに、その軸方向に沿う途中に外
側に突出する厚肉部23dを、長さTにわたって形成し
たものである。この厚肉部23dの位置に対応した軸方
向の位置に、図示しないステータ電磁コイルの鉄芯部を
位置させる。なお、この実施形態においては、中間円筒
22の開口端部側に形成したスリット26の軸方向長さ
Sは、内側円筒との接合部B1から厚肉部23dの途中
までである。この実施形態によっても、前述の場合と同
様の効果を奏する。とくに、比較的長いスリット26を
形成しても、強磁性体製内側円筒の厚肉部23dによ
り、回転磁界の誘導効率はほとんど損なわれない。この
ような構造では、中間円筒22として、比透磁率が比較
的小さい材料、例えばステンレス鋼等を使用できる。熱
伝導率がMo等に比べて例えば5分の1程度のステンレ
ス鋼があるので、このような材料を使用可能である。
【0048】なお、上記の実施形態では、中間円筒の一
部を厚肉にする構造と、スリットを設ける構造とを組み
合わせた場合で説明している。しかし、中間円筒にスリ
ットだけを設けた構造でもよく、この場合にも、良好な
回転特性をもつ回転陽極型X線管が実現できる。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、同軸構造となる複数
の円筒状回転体の軸ずれがほとんど起こらず、良好な回
転特性を有する回転陽極型X線管、およびそれを使用し
たX線管装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための断面図であ
る。
【図2】図1の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】図2の線分A−Aにおける横断面図である。
【図4】図2に示した構造体の組立て状態を示す要部縦
断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を説明するための要部側
面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施形態を説明するための
要部側面図である。
【図7】従来例を説明するための要部縦断面図である。
【図8】図7の線分A−Aにおける横断面図である。
【図9】従来例の問題点を説明するための要部縦断面図
である。
【符号の説明】
10…X線管 11…ステータ電磁コイル 11a…鉄芯 15…回転陽極円盤 18…固定体 18m,18n,18r,18s…動圧式すべり軸受の
らせん溝 20…回転体 21…外側円筒 22…中間円筒 23…内側円筒 22b…開口端部領域 22a、23a…厚肉部 26…スリット C…回転中心軸 G1…外側円筒と中間円筒の断熱用間隙 G2…中間円筒と内側円筒の断熱用間隙 B1…外側円筒と中間円筒の接合領域 B2…中間円筒と内側円筒の接合領域 S…スリットを形成した領域 T…厚肉部の領域

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に円柱状の固定体と、この固定体
    のまわりに嵌合された円筒状の第1回転体と、上記固定
    体と第1回転体との嵌合部に設けられたらせん溝を有す
    る少なくとも1つの動圧式すべり軸受領域と、上記第1
    回転体の外側に断熱用間隙を形成して同軸的に配置され
    一部にX線放出用ターゲット層を有する回転陽極円盤が
    直接または他の部材を介して結合され該回転陽極円盤か
    ら熱伝導経路的に遠い位置にある開口部領域で前記第1
    回転体に接合された円筒状第2回転体とを有する回転陽
    極型X線管において、上記第2回転体の上記第1回転体
    に接合された領域に、概ね回転中心軸方向に沿って伸び
    るスリットが円周方向にわたって複数個形成されている
    ことを特徴とする回転陽極型X線管。
  2. 【請求項2】 上記第1回転体と第2回転体との接合部
    はろう接である請求項1記載の回転陽極型X線管。
  3. 【請求項3】 上記第1回転体と第2回転体とは、互い
    に異なる材質の金属で構成されている請求項1記載の回
    転陽極型X線管。
  4. 【請求項4】 上記第2回転体の熱伝導率は、上記第1
    回転体の熱伝導率よりも小さい材料で構成されている請
    求項1記載の回転陽極型X線管。
  5. 【請求項5】 主要部が真空容器の内部に配置された実
    質的に円柱状の固定体、この固定体のまわりに嵌合され
    た円筒状の第1回転体、上記固定体と第1回転体との嵌
    合部に設けられたらせん溝を有する少なくとも1つの動
    圧式すべり軸受領域、および上記第1回転体の外側に断
    熱用間隙を形成して同軸的に配置され一部にX線放出用
    ターゲット層を有する回転陽極円盤が直接または他の部
    材を介して結合され該回転陽極円盤から熱伝導経路的に
    遠い位置にある開口部近傍領域で前記第1回転体に接合
    された円筒状第2回転体を備える回転陽極型X線管と、
    前記回転陽極型X線管の真空容器の外部であって上記第
    1回転体および第2回転体のまわりに配置された鉄芯に
    コイル導線が巻かれたステータ電磁コイルとを備える回
    転陽極型X線管装置において、上記回転陽極型X線管の
    第1回転体または第2回転体にそれらの間の断熱用間隙
    を部分的に狭める形で厚肉部が設けられるとともに、前
    記第2回転体の上記第1回転体に接合された領域に、概
    ね回転中心軸方向に沿って伸びるスリットが円周方向に
    わたって複数個形成されており、且つ上記厚肉部に対応
    する軸方向の位置の外周領域に上記ステータ電磁コイル
    の鉄芯部が位置していることを特徴とする回転陽極型X
    線管装置。
  6. 【請求項6】 上記厚肉部が設けられた第1回転体また
    は第2回転体は、強磁性体で構成されている請求項5記
    載の回転陽極型X線管装置。
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