JP2002075172A - 電子放出素子、電子源、画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置の製造方法

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JP2002075172A
JP2002075172A JP2000258443A JP2000258443A JP2002075172A JP 2002075172 A JP2002075172 A JP 2002075172A JP 2000258443 A JP2000258443 A JP 2000258443A JP 2000258443 A JP2000258443 A JP 2000258443A JP 2002075172 A JP2002075172 A JP 2002075172A
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electron
conductive film
emitting device
manufacturing
voltage
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Tomoko Maruyama
朋子 丸山
Makoto Kojima
誠 小嶋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性膜への通電処理を経て、導電性膜に電
子放出部を形成する工程を有する電子放出素子の製造方
法において、その電子放出部の位置と形状を精度良く低
電流制御する方法を提供する。 【解決手段】 導電性膜4に局所的に還元速度の異なる
領域6を形成した後、導電性膜4を還元する工程と導電
性膜4に電流を流す工程を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子の製
造方法と、該方法を用いた電子源及び画像形成装置の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類のものが
知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以
下、「FE型」と称す。)、金属/絶縁層/金属(以
下、「MIM型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子
等がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dola
n、“Field Emission”、Advanc
e in Electron Physics、8、8
9(1956)あるいは、C.A.Spindt、“P
HYSICAL Properties of thi
n‐film field emission cat
hodes with molybdenum con
es”、J.Appl.Phys.、47、5248
(1976)等に開示されたものが知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mea
d、“Operation of Tunnel‐Em
ission Devices”、J.Appl.Ph
ys.、32、646(1961)等に開示されたもの
がある。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson、RadioEng.Elec
tron Phys.、10、1290(1965)等
に開示されたものがある。
【0006】表面伝導型電子放出素子は、基板上に形成
された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことに
より、電子放出が生ずる現象を利用するものである。こ
の表面伝導型電子放出素子としては、前記エリンソン等
によるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solid Fi
lms”、9,317(1972)]、In23/ S
nO2薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:“IEEE Trans.
ED Conf.”、519(1975)]、カーボ
ン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22頁(1983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のM.ハートウェルの素子構成を図11
に模式的に示す。同図において1は基板である。4は導
電性膜で、H型形状のパターンに、スパッタで形成され
た金属酸化物膜等からなり、後述の通電フォーミングと
呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。
尚、図中の素子電極間隔Lは0.5〜1mm、W’は
0.1mmに設定されている。
【0008】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フ
ォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を
形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミング
とは前記導電性膜4の両端に直流電圧あるいは非常にゆ
っくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電し、
導電性膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電
気的に高抵抗な状態にした電子放出部2を形成すること
である。尚、電子放出部5は導電性膜4の一部に亀裂が
発生し、その亀裂付近から電子放出が行われる。前記通
電フォーミング処理をした表面伝導型電子放出素子は、
上述導電性膜4に電圧を印加し、素子に電流を流すこと
により、上述電子放出部2より電子を放出せしめるもの
である。
【0009】上記表面伝導型電子放出素子は、構造が単
純であり、しかもその製造が容易であることから、大面
積に亘って多数素子を配列形成できるという利点を有す
る。この表面伝導型電子放出素子においては、導電性膜
は、その抵抗が金属膜に比較して充分に大きな金属酸化
物等で構成することが望ましい。これは通電フォーミン
グによる電子放出部の形成の際、導電性膜の抵抗が小さ
いと、通電フォーミングに要する電流が大きくなるから
であり、特に、表面伝導型電子放出素子を複数配設した
電子源の製造工程上、複数の素子を同時に通電フォーミ
ングする工程は、大電流仕様の通電処理装置が必要にな
り、実用的であるとは言い難い。
【0010】一方、前記表面伝導型電子放出素子を複数
配設した電子源及びこれを用いた画像形成装置において
は、該素子を構成する導電性膜の抵抗が大きいことによ
り、該電子源及び画像形成装置の駆動における消費電力
が大きくなってしまうという欠点があった。
【0011】これらの課題に対しては、多くの応用がな
されており、なかでも非常に優れたものとして、通電フ
ォーミングの際に還元処理を施す技術が挙げられる。こ
の還元処理を施すことにより、通電フォーミングの際に
生じるジュール熱を低減し基板割れ等を起こさず、再現
性良く素子を作製することが可能となった(特開平6−
12997号公報)。また、同時にフォーミング工程に
必要な電力を低下させて、電子源及び画像形成装置の製
造を著しく簡便良好に行なえる様になった。さらに、通
電フォーミング後に還元工程を設けて低消費電力の電子
源及び画像形成装置を提供することが可能となった(例
えば特開平9−298029号公報及び特開平8−31
311号公報)。
【0012】一方、導電性膜に、通電処理を経て、電子
放出部を形成するフォーミング方法において、上記導電
性膜の変質・変形の生ずる位置が何処になるかは、様々
な要因に左右されるが、ジュール熱の発生による温度上
昇の大きい場所が何処になるかが重要である。
【0013】導電性膜が均一で、素子電極の対称性が良
ければ、ジュール熱の発生は均一であり、周囲への熱伝
導を考慮すると、この位置は両方の電極のちょうど中間
になると思われるが、実際にはいろいろな不均一性があ
り、また電極を印刷などにより形成する場合はフォトリ
ソグラフィーにより形成する場合に比べ、電極形状の対
称性も不十分な場合が多い。さらに、電子放出部となる
高抵抗部の形成は、導電性膜の一部が変形変質して高抵
抗化すると、それにより電流分布が変化し、電流の集中
する部分に次の高抵抗化が起こるというような、複雑な
過程を経ると考えられるので、電子放出部の形状は、僅
かの撹乱要因により大きく蛇行する場合がある。この事
は、素子の特性を均一に制御する上で困難をもたらし、
複数の電子放出素子を配置した電子源や、それを用いた
画像形成装置などを作製した場合、電子放出量のバラツ
キ、画面の明るさのバラツキが生ずる場合がある。これ
らの課題については、電子放出部の形状及び位置を制御
することが可能となった(特開平8−212916号公
報)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記通
電フォーミング時に還元処理を施すことによる低電流フ
ォーミング技術と、上記電子放出部の形状及び位置を制
御する技術は、必ずしも同時に用いることは出来なかっ
た。
【0015】即ち、従来のフォーミング処理では、導電
性膜に形成される電子放出部の位置や形状を制度良く且
つ低電流では制御し難く、このことは、素子の特性を均
一に制御する上で困難をもたらし、複数の電子放出素子
を配置した電子源や、それを用いた画像形成装置などを
作成した場合、電子放出量のバラツキ、画面の明るさの
バラツキが生ずる場合がある。一方、電子放出部の形状
及び位置を制御するために導電性膜の一部を組成変化さ
せる方法を用いた場合には、還元処理による低電流化が
必ずしも両立せず、電子放出素子形成のコストアップに
繋がるという課題があった。
【0016】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、導電性膜への通電処理を経て、該導電性膜に
電子放出部を形成する工程を有する電子放出素子の製造
方法において、その電子放出部の位置と形状を精度良く
低電流制御する方法を提供し、また複数の電子放出素子
を基板上に配置して形成した電子源及び、該電子源と画
像形成部材とを有する画像形成装置を、高品位に製造す
る方法を提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の構成は以下のとおりである。
【0018】即ち本発明は、電子放出部を有する導電性
膜を備えた電子放出素子の製造方法において、導電性膜
に局所的に還元速度の異なる領域を形成する工程の後
に、導電性膜を還元する工程と導電性膜に電流を流す工
程を有することを特徴としている。
【0019】上記本発明の電子放出素子の製造方法は、
更なる特徴として、「前記導電性膜に局所的に還元速度
の異なる領域を形成する工程は、導電性膜に局所的にエ
ネルギー照射する工程を含むこと」、「前記エネルギー
照射は、光照射、電子線照射、紫外線照射、レーザー照
射のうちのいずれかであること」、「前記導電性膜に局
所的にエネルギー照射する工程は、大気中で導電性膜に
局所的にレーザー照射する工程であること」、「前記導
電性膜を還元する工程は、還元性気体を素子表面に供給
することによること」、「前記導電性膜を還元する工程
と導電性膜に電流を流す工程を同時に行うこと」、「前
記導電性膜に局所的に還元速度の異なる領域を形成する
工程の後に、該導電性膜を加熱せしめ、前記導電性膜を
還元する工程と導電性膜に電流を流す工程を同時に行う
こと」、「前記導電性膜は金属酸化物を主成分とするこ
と」、「前記金属酸化物は酸化パラジウムであるこ
と」、「前記導電性膜は、酸化パラジウムが50ato
mic%以上であって、他の成分は、パラジウム以外の
金属及び/又は酸化パラジウム以外の金属酸化物からな
ること」、「前記電子放出素子は、電極間に前記電子放
出部を有する導電性膜を備えた電子放出素子であるこ
と」、「前記電子放出素子は、表面伝導型電子放出素子
であること」、を含む。
【0020】また、本発明は、導電性膜の一部に間隙を
有する電子放出素子の製造方法であって、導電性膜を基
体上に配置する工程と、該導電性膜の一部の抵抗値が変
化するように、前記導電性膜の一部に電磁波または電子
線を照射する工程と、前記電磁波が照射された前記導電
性膜に電流を流すことで、前記導電性膜の一部に間隙を
形成する工程とを有することを特徴としている。
【0021】また、本発明は、導電性膜の一部に間隙を
有する電子放出素子の製造方法であって、導電性膜を基
体上に配置する工程と、該導電性膜の一部の抵抗値が変
化するように、前記導電性膜の所望領域に電磁波または
電子線を照射することで、前記導電性膜の非照射領域に
比べて還元速度を早くする工程と、前記電磁波の照射工
程が施された前記導電性膜に電流を流すことで、前記導
電性膜の一部に間隙を形成する工程とを有することを特
徴としている。
【0022】また、本発明は、前記電磁波または電子線
が照射される領域は、前記間隙が形成される領域とは異
なることを特徴としている。
【0023】さらに、本発明は、前記間隙を形成する工
程は、還元性物質を含む雰囲気中にて行なわれることを
特徴としている。
【0024】また、本発明は、複数の電子放出素子を有
する電子源の製造方法であって、前記電子放出素子が上
記本発明の電子放出素子の製造方法により製造されるこ
とを特徴としている。
【0025】また、本発明は、電子源と画像形成部材と
を有する画像形成装置の製造方法であって、前記電子源
が上記本発明の電子源の製造方法により製造されること
を特徴としている。
【0026】本発明によれば、導電性膜に局所的に還元
速度の異なる領域を形成し、還元処理下での通電による
ジュール熱の発生を所望の場所に生じさせることで、低
電流フォーミングと電子放出部の位置及び形状の制御を
両立せしめるものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
として平面型の表面伝導型電子放出素子を例に挙げて本
発明を詳述する。
【0028】図1は、その一実施形態の構成を示す模式
図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は縦断面図
である。図1において、1は基板、2と3は素子電極、
4は導電性膜、5は電子放出部であり、間隙である。6
は導電性膜4の一部の領域であるエネルギー照射(電磁
波または電子線照射)部である。尚、電子放出部(間
隙)形成後の導電性膜4では、エネルギー照射部6とそ
の他の非照射部とは通常同じ組成を持つが、図1中には
説明の便宜上、電子放出部5とエネルギー照射部6を併
記して示している。
【0029】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少したガラス、青板ガラスにスパッタ法
等により形成したSiO2を積層したガラス基板、セラ
ミックス及びSi基板等を用いることができる。
【0030】対向する素子電極2、3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、C
u、Pd等の金属或いは合金から適宜選択される。
【0031】導電性膜4の膜厚は、素子電極2、3への
ステップカバレージ、素子電極2、3間の抵抗値及び後
述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定される
が、通常は、数Åから数百nmの範囲とするのが好まし
く、より好ましくは1nmより50nmの範囲とするの
が良い。
【0032】導電性膜4を構成する材料としては、予め
酸化した状態が容易に形成され、その後容易に還元する
ことが条件として挙げられる。勿論この条件を満たすも
のであれば特に限定されるものではないが、より好まし
い例としては、金属であって熱あるいは酸素等の処理に
よって金属酸化物を形成するものが最も好ましい。かか
る金属としては、Pd、Ag、Ru、Ti、Cu、C
r、Fe、Sn、Ni、Co等が挙げられる。特に、容
易に加熱酸化でき、更に水素添加ガスで容易に還元でき
るものとしてPdは最も簡便に本発明の効果を発現する
材料の1つである。このPdが、難還元金属酸化物、あ
るいは金属との混合物として導電性膜4を形成した場合
であっても、概ねPdのatomic%が50%以上で
あれば、後述するように、焼成による高抵抗化、還元に
よる低抵抗化、エネルギー照射(電磁波または電子線照
射)による還元速度の変化、は容易である。
【0033】図中の領域6は、導電性膜4のうち局所的
に還元速度の異なる領域であって、具体的には例えばエ
ネルギー照射を施した領域である。後述するように、エ
ネルギー照射を施した領域6はエネルギー照射を施さな
い領域に比較して還元速度が早くなるように、照射処理
を行なった領域である。このエネルギー照射は、導電性
膜4の存在する電極間距離Lの数分の一、あるいは数十
分の一の照射解像度を有するものが好ましく、具体的に
は100μm以下のものがより好ましい。また、本発明
における「エネルギー照射」としては、X線、レーザ
ー、紫外線、光等の電磁波の照射あるいは、電子線の照
射が挙げられる。大気中で照射を行ない照射解像度も上
述の条件を満たすものとして、レーザー照射がより好ま
しく用いられる。
【0034】また、エネルギー照射領域6は後述するよ
うに電子放出部を形成したい場所でない領域に形成する
ことが好ましく、中でも図1に示すように両電極際を照
射領域とするのが最も好ましい。
【0035】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された間隙であり、その形状は、後述する電子放出部形
成工程に依存したものとなる。
【0036】表面伝導型電子放出素子の製造方法として
は様々な方法があるが、その一例を図2に基づいて説明
する。尚、図2においても図1に示した部位と同じ部位
には図1に付した符号と同一の符号を付している。
【0037】1)基板1を洗浄剤、純粋及び有機溶剤等
を用いて充分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィ技
術を用いて基板1上に素子電極2、3を形成する(図2
(a))。
【0038】2)素子電極2、3を設けた基板1上に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機
金属溶液とは、前述の導電性膜4の材料の金属を主元素
とする有機化合物の溶液である。上記有機金属膜を加熱
焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニ
ングし、導電性膜4を形成する(図2(b))。ここで
は、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性
膜4の形成法はこれに限られるものではなく、真空蒸着
法、スパッタ法、化学気相堆積法、分散塗布法、ディッ
ピング法、スピナー法、インクジェット法等を用いるこ
とができる。
【0039】インクジェット法を用いた場合には、10
ngから数十ng程度の微小液滴を再現性良く発生し基
板に付与することができ、フォトリソグラフィーによる
パターニングや真空プロセスが不要であるため、生産性
の上から好ましい。インクジェット法の装置としては、
エネルギー発生装置として電気熱変換体を用いたバブル
ジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いた
ピエゾジェットタイプ等が使用可能である。上記液滴の
焼成手段としては、種々の焼成手段が適用可能であり、
例えば基板全体を加熱する手段が用いられる。
【0040】3)素子電極2、3間に形成した導電性膜
4の一部6にエネルギー照射(電磁波照射)する(図2
(c))。汎用な照射装置でビーム解像度が数μmのも
のがあること、大気中で比較的簡便にエネルギー照射が
大面積で行なえることから、レーザー照射が最も好まし
い。前述のように、電子放出部5を形成したい領域でな
い領域を照射する。例えば図1に示した素子電極2、3
際の領域6を照射領域とする。勿論、照射装置及び電子
源の構成、導電性膜4の形態等によって、この照射領域
の形状はこの図に示すものに限らない。
【0041】ここで、エネルギー照射条件は、還元処理
時の導電性膜の還元速度に差が生じることが重要であ
る。例えば、導電性膜4に何もエネルギー照射を施さな
いものと、導電性膜4の所望の領域に選択的に、エネル
ギー照射を施したものと、を同じ真空チャンバ内に保持
し、還元ガスを導入して素子電極間の抵抗値を測定す
る。導電性膜4の抵抗値が、金属酸化物から金属に還元
される過程での抵抗値の変化が図3に示すように、異な
る様にエネルギー照射を行なう。はエネルギー照射無
しの素子抵抗の変化、は本発明のエネルギー照射を行
なった素子の抵抗の変化を表わす。このとき、エネルギ
ー照射によって予め素子抵抗が著しく低下し素子抵抗の
変化がの様になる場合、あるいはエネルギー照射によ
って還元処理による素子抵抗の変化が生じなくなる場
合、例えばや'、には、本発明での効果が十分に期
待出来るとは限らない。予め、再現性良くの素子抵抗
変化を生じるエネルギー照射条件を求めることで本発明
の効果が充分に期待出来る。
【0042】4)続いて、電子放出部形成工程について
述べる。この工程の方法の一例として通電フォーミング
処理による方法を説明する。図2(c)の素子電極2、
3間に不図示の電源を用いて電圧印加を行なうと、導電
性膜4に電流が流れ、その一部に、間隙(電子放出部)
5が形成される(図2(d))。
【0043】通電フォーミングの電圧波形の例を図4に
示す。電圧波形は、パルス波形が、好ましい。これには
パルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する
図4(a)に示した手法とパルス波高値を増加させなが
ら、電圧パルスを印加する図4(b)に示した手法があ
る。
【0044】図4(a)におけるT1及びT2は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1は1μse
c〜10msec、T2は、10μsec〜10mse
cの範囲で設定される。三角波の波高値(通電フォーミ
ング時のピーク電圧)は、表面伝導型電子放出素子形態
に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は三
角波に限定されるものではなく、矩形波など所望の波形
を採用することができる。
【0045】図4(b)におけるT1及びT2は、図4
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度ずつ、増加させることができる。
【0046】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2中に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0047】本発明では、この電子放出部形成工程にお
いて、通電フォーミング時の電流を低く抑えるために、
還元処理を同時に行なうことが好ましい。この還元処理
は基板加熱又は/及び還元ガス導入によって行なうこと
ができる。工程時間の短縮を考慮すると、電子源基板と
して基板上に複数の表面伝導型電子放出素子を配設する
場合等は特に、還元ガスの導入がより好ましく用いられ
る。例えば、真空チャンバ中で、上記通電フォーミング
処理を行いながら徐々に水素等の還元ガスをチャンバ中
に導入する。また、通電しながら基板温度を、例えば2
00℃程度まで加熱することでも還元工程を行なえる。
通電しながら還元処理を施すこの方法では、通電のみで
フォーミングできる電圧を最初から印加することはせ
ず、予め通電のみではフォーミングされない電圧を求め
ておき、その電圧印加下で上述の還元処理を併用するこ
とで再現性良く低電力フォーミングを実施することがで
きる。
【0048】還元処理を施しながらのフォーミングにお
いて電子放出部が形成されるメカニズムの詳細は明らか
になっていないが、おそらく還元速度の異なる領域が存
在すると、還元処理によって先に抵抗値が低下する領域
と、抵抗値が高いままの領域が過渡的に混在し、その過
渡過程で抵抗値が高いままの領域に発熱集中すること
で、非照射領域に電子放出部が形成されるのではないか
と推察される。
【0049】5)電子放出部5を形成した素子には活性
化工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程とは、この工
程により、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化す
る工程である。
【0050】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、パル
スの印加を繰り返すことで行なうことができる。この雰
囲気は、例えば油拡散ポンプやロータリーポンプなどを
用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内に残留する
有機ガスを利用して形成することができるほか、イオン
ポンプなどにより一旦十分に排気した真空中に適当な有
機物質のガスを導入することによっても得られる。この
ときの好ましい有機ガス圧は、前述の応用の形態、真空
容器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため、
場合に応じ適宜設定する。
【0051】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類
等を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、
プロパンなどのCn2n+2で表わされる飽和炭化水素、
エチレン、プロピレンなどCn2nで表わされる不飽和
炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノー
ル、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フ
ェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等あるいはこれら
の混合物が使用できる。この処理により、雰囲気中に存
在する有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上
に堆積して、素子電流If、放出電流Ieが著しく変化
するようになる。
【0052】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら適宜行なう。なお、パルス
幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜設定される。
【0053】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG、PG、GCを包含するもの
で、HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、P
Gは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れたも
の、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱れが
さらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン
(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと
前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)であり、そ
の膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、3
0nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0054】6)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行なうことが好ましい。この工
程は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真
空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオ
イルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使
用しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソー
プションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げ
ることができる。
【0055】このようにして得られる本発明の表面伝導
型電子放出素子の基本特性を以下に説明する。
【0056】図5は、表面伝導型電子放出素子の電子放
出特性を測定するための測定評価系の一例を示す概略構
成図で、まずこの測定評価系を説明する。
【0057】図5において、図1と同じ符号は同じ部材
を示す。また、51は素子に素子電圧Vfを印加するた
めの電源、50は素子電極2、3間の導電性膜4を流れ
る素子電流Ifを測定するための電流計、54は電子放
出部5より放出される放出電流Ieを捕捉するためのア
ノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加する
ための高圧電源、52は電子放出部5より放出される放
出電流Ieを測定するための電流計、55は真空装置、
56は排気ポンプである。
【0058】表面伝導型電子放出素子及びアノード電極
54等は真空装置55内に設置され、この真空装置55
には不図示の真空計等の必要な機器が具備されており、
所望の真空下で表面伝導型電子放出素子の測定評価がで
きるようになっている。
【0059】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とから構成されている。
また、真空装置55全体及び表面伝導型電子放出素子の
基板1は、ヒーターにより300℃程度まで加熱できる
ようになっている。尚、この測定評価系は、後述するよ
うな表示パネル(図8における101参照)の組み立て
段階において、表示パネル及びその内部を真空装置55
及びその内部として構成することで、前述の電子放出部
形成工程及び活性化工程における測定評価及び処理に応
用することができるものである。
【0060】以下に述べる表面伝導型電子放出素子の基
本特性は、図5の測定評価系のアノード電極54の電圧
を1kV〜10kVとし、アノード電極54と表面伝導
型電子放出素子の距離Hを2〜8mmとして行った測定
に基づくものである。
【0061】まず、放出電流Ie及び素子電流Ifと、
素子電圧Vfとの関係の典型的な例を図6に示す。尚、
図6において、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さいので、任意単位で示されている。
【0062】図6から明らかなように、表面伝導型電子
放出素子は、放出電流Ieに対する次の3つの特徴的特
性を有する。
【0063】まず第1に、表面伝導型電子放出素子はあ
る電圧(しきい値電圧と呼ぶ:図6中のVth)以上の
素子電圧Vfを印加すると急激に放出電流Ieが増加
し、一方、しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieが
ほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに対する明
確なしきい値電圧Vthを持った非線型素子である。
【0064】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに対
して単調増加する特性(MI特性と呼ぶ)を有するた
め、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0065】第3に、アノード電極54(図5参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に
依存する。即ち、アノード電極54に捕捉される電荷量
は、素子電極Vfを印加する時間により制御できる。
【0066】図6に実線で示した特性は、放出電流Ie
が素子電圧Vfに対してMI特性を有すると同時に、素
子電流Ifも素子電圧Vfに対してMI特性を有してい
るが、図6に破線で示すように、素子電流Ifは素子電
圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗特性(VCNR特性
と呼ぶ)を示す場合もある。いずれの特性を示すかは、
素子の製法及び測定時の測定条件等に依存する。但し、
素子電流Ifが素子電圧Vfに対してVCNR特性を有
する素子でも、放出電流Ieは素子電圧Vfに対してM
I特性を有する。
【0067】以上のような本発明の表面伝導型電子放出
素子の特徴的特性のため、複数の素子を配置した電子源
や画像形成装置等でも、入力信号に応じて、容易に放出
電子量を制御することが可能となり、多方面への応用が
できる。
【0068】次に、本発明の電子源における表面伝導型
電子放出素子の配列について説明する。
【0069】本発明の電子源における表面伝導型電子放
出素子の配列方式としては、梯型配置の他、m本のX方
向配線の上にn本のY方向配線を層間絶縁層を介して設
置し、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極に各々
X方向配線、Y方向配線を接続した配列方式が挙げられ
る。これを以後単純マトリクス配置と呼ぶ。
【0070】前述した表面伝導型電子放出素子の基本的
特性によれば、印加される素子電圧Vfがしきい値電圧
Vthを越える場合には、印加するパルス状電圧の波高
値とパルス幅で電子放出量を制御できる。一方、しきい
値電圧Vth以下では、殆ど電子の放出はされない。従
って、多数の表面伝導型電子放出素子を配置した場合に
おいても、単純なマトリクス配線だけで入力信号に応じ
て制御したパルス状電圧を印加し、個々の素子を選択し
て独立に駆動可能となる。
【0071】単純マトリクス配置は上記原理に基づくも
のであり、本発明の電子源の一例である単純マトリクス
配置の電子源の構成について、図7に基づいて更に説明
する。
【0072】図7において、基板1はすでに説明したよ
うなガラス板等であり、この基板1上に配列された表面
伝導型電子放出素子74の個数及び形状は用途に応じて
適宜設定されるものである。
【0073】m本のX方向配線72は、各々外部端子D
x1、Dx2、…Dxmを有するもので、基板1上に、
真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成した導電性金
属膜である。また、多数の表面伝導型電子放出素子74
にほぼ均等に電圧が供給されるように、材料、膜厚、配
線幅が設定されている。
【0074】n本のY方向配線73は、各々外部端子D
y1、Dy2、…Dynを有するもので、X方向配線7
2と同様に作成される。
【0075】これらm本のX方向配線72とn本のY方
向配線73との間には、不図示の層間絶縁層が設置さ
れ、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成してい
る。尚、このm、nは共に正の整数である。
【0076】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2等であり、X方
向配線72を形成した基板1の全面或いは一部に所望の
形状で形成され、特に、X方向配線72とY方向配線7
3の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製
法が適宜設定される。更に、表面伝導型電子放出素子7
4の対向する素子電極(不図示)が、m本のX方向配線
72と、n本のY方向配線73と、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成された導電性金属等からなる結
線75によって電気的に接続されているものである。
【0077】ここで、m本のX方向配線72と、n本の
Y方向配線73と、結線75と、対向する素子電極と
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、またそれぞれ異なっていてもよく、前述の素子電極
の材料等より適宜選択される。これら素子電極への配線
は、素子電極と材料が同一である場合には、素子電極と
総称する場合もある。また、表面伝導型電子放出素子7
4は、基板1あるいは不図示の層間絶縁層上どちらに形
成してもよい。
【0078】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線72には、X方向に配列された表面伝導型電子放出素
子74の行を入力信号に応じて走査するために、走査信
号を印加する不図示の走査信号印加手段が電気的に接続
されている。
【0079】一方、Y方向配線73には、Y方向に配列
された表面伝導型電子放出素子74の列の各列を入力信
号に応じて変調するために、変調信号を印加する不図示
の変調信号印加手段が電気的に接続されている。各表面
伝導型電子放出素子74に印加される駆動電圧は、当該
素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供
給されるものである。
【0080】次に、以上のような単純マトリクス配置の
本発明の電子源を用いた本発明の画像形成装置の一例
を、図8〜図10を用いて説明する。尚、図8は表示パ
ネル101の基本構成であり、図9は蛍光膜84を示す
図であり、図10は図8の表示パネル101でNTSC
方式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を行なうた
めの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0081】図8において、1は上述のようにして表面
伝導型電子放出素子74を配置した電子源の基板、81
は基板1を固定したリアプレート、86はガラス基板8
3の内面に画像形成部材であるところの蛍光膜84とメ
タルバック85等が形成されたフェースプレート、82
は支持枠である。リアプレート81、支持枠82及びフ
ェースプレート86は、これらの接合部分にフリットガ
ラス等を塗布し、大気中あるいは窒素、アルゴン雰囲気
中で400℃〜500℃で10分間以上焼成することで
封着して、外囲器88を構成している。
【0082】図8において、5は図1における電子放出
部に相当する。72、73は表面伝導型電子放出素子7
4の一対の素子電極2、3(図1参照)に接続されたX
方向配線及びY方向配線で、各々外部端子Dx1ないし
Dxm、Dy1ないしDynを有している。
【0083】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成されて
いる。しかし、リアプレート81は主に基板1の強度を
補強する目的で設けられたものであり、基板1自体で十
分な強度を持つ場合は別体のリアプレート81は不要で
あり、基板1に直接支持枠82を封着し、フェースプレ
ート86、支持枠82、基板1にて外囲器88を構成し
ても良い。また、フェースプレート間に、スペーサーと
呼ばれる不図示の支持体を更に設置することで、大気圧
に対して十分な強度を有する外囲器88とすることもで
きる。
【0084】蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから成るが、カラーの場合は、蛍光体92の配列
により、ブラックストライプ(図9(a))あるいはブ
ラックマトリクス(図9(b))等と呼ばれる黒色導電
材91と、蛍光体92とで構成される。ブラックストラ
イプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、カラー表示
の場合必要となる三原色各蛍光体92間の塗り分け部を
黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜
84における外光反射によるコントラストの低下を抑制
することである。黒色導電材91の材料としては、通常
良く用いられている黒鉛を主成分とする材料だけでな
く、導電性があり、光の透過及び反射が少ない材料であ
れば他の材料を用いることもできる。
【0085】ガラス基板83に蛍光体92を塗布する方
法としては、モノクローム、カラーによらず沈殿法や印
刷法が用いられる。
【0086】また、図8に示されるように、蛍光膜84
の内面側には通常メタルバック85が設けられる。メタ
ルバック85の目的は、蛍光体92(図9参照)の発光
のうち内面側への光をフェースプレート86へ鏡面反射
することにより輝度を向上すること、高圧端子87から
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用す
ること、外囲器88内で発生した負イオンの衝突による
ダメージからの蛍光体92の保護等である。メタルバッ
ク85は、蛍光膜84の作製後、蛍光膜84の内面側表
面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる)を行
い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製でき
る。
【0087】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の外面側に透明電極(不図示)を、設けてもよい。
【0088】前述の封着を行なう際、カラーの場合は各
色蛍光体92と表面伝導型電子放出素子とを対応させな
くてはいけないため、十分な位置合わせを行なう必要が
ある。
【0089】外囲器88内は、不図示の排気管を通じ、
10-5Pa程度の真空度にされ、封止される。また、外
囲器88の封止を行なう直前あるいは封止後に、ゲッタ
ー処理を行なう場合もある。これは、抵抗加熱あるいは
高周波加熱等の加熱法により、外囲器88内の所定の位
置に配置したゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形
成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であ
り、該蒸着膜の吸着作用により、例えば10-3〜10-7
Pa程度の真空度を維持するためのものである。
【0090】前述の電子放出部形成(通電フォーミング
及び還元処理)及び活性化等これ以降の表面伝導型電子
放出素子の製造工程は、外囲器88の封止直前又は封止
後に行われるものである。外囲器88へのガス導入及び
排気(フォーミング時の水素導入及び排気、活性化時の
有機化合物ガスの導入及び排気)を均一に行なう、また
配線の外囲器外部への取り出し等に由来する仕損費抑制
のためには、封止前に電子放出部形成及び活性化等これ
以降の製造工程を行なうことが望ましい。本発明におけ
る導電性膜4は、例えば封着工程に必要と思われる35
0℃〜450℃数分〜数十分といった高温加熱工程を経
ても膜の抵抗率が顕著な変化を生じないため、電子放出
部形成工程及び活性化工程を行なってから外囲器88の
封着を行なうことで仕損費抑制が図られ好ましく行われ
る。
【0091】上述の表示パネル101は、例えば図10
に示されるような駆動回路で駆動することができる。
尚、図10において、101は前記表示パネルであり、
102は走査回路、103は制御回路、104はシフト
レジスタ、105はラインメモリ、106は同期信号分
離回路、107は変調信号発生器、Vx及びVaは直流
電圧源である。
【0092】図10に示されるように、表示パネル10
1は、外部端子Dx1ないしDxm、外部端子Dy1な
いしDyn、及び高圧端子87を介して外部の電気回路
と接続されている。このうち、外部端子Dx1ないしD
xmには、前記表示パネル101内に設けられている表
面伝導型電子放出素子、すなわちm行n列の行列状にマ
トリクス配置された素子群を1行(n素子)づつ順次駆
動して行くための走査信号が印加される。
【0093】一方、外部端子Dy1ないしDynには、
前記走査信号により選択された1行の各素子の出力電子
ビームを制御するための変調信号が印加される。また、
高圧端子Hvには、直流電圧源Vaにより、例えば10
kVの直流電圧が供給される。これは表面伝導型電子放
出素子より出力される電子ビームに、蛍光体を励起する
のに十分なエネルギーを付与するための加速電圧であ
る。
【0094】走査回路102は、内部にm個のスイッチ
ング素子(図10中、S1ないしSmで模式的に示す)
を備えるもので、各スイッチング素子S1〜Smは、直
流電圧源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベ
ル)のいずれか一方を選択して、表示パネル101の外
部端子Dx1ないしDxmと電気的に接続するものであ
る。各スイッチング素子S1〜Smは、制御回路103
が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもの
で、実際には、例えばFETのようなスイッチング機能
を有する素子を組み合わせることにより容易に構成する
ことが可能である。
【0095】本例における前記直流電圧源Vxは、前記
表面伝導型電子放出素子の特性(しきい値電圧)に基づ
き、走査されていない表面伝導型電子放出素子に印加さ
れる駆動電圧がしきい値電圧以下となるような一定電圧
を出力するよう設定されている。
【0096】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行なわれるように、各部
の動作を整合させる働きをもつものである。次に説明す
る同期信号分離回路106により送られる同期信号Ts
yncに基づいて、各部に対してTscan、Tsft
及びTmryの各制御信号を発生する。
【0097】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、良く知られて
いるように、周波数分離(フィルター)回路を用いれ
ば、容易に構成できるものである。同期信号分離回路1
06により分離された同期信号は、これも良く知られる
ように、垂直同期信号と水平同期信号より成る。ここで
は説明の便宜上、Tsyncとして図示する。一方、前
記テレビ信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜
上DATA信号と図示する。このDATA信号はシフト
レジスタ104に入力される。
【0098】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アル入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて動
作する。この制御信号Tsftは、シフトレジスタ10
4のシフトクロックであると言い換えても良い。また、
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(表面伝
導型電子放出素子のn素子分の駆動データに相当する)
のデータは、Id1ないしIdnのn個の並列信号とし
て前記シフトレジスタ104より出力される。
【0099】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間だけ記憶するための記憶装置であり、
制御回路103より送られる制御信号Tmryに従って
適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶された
内容は、Id’1ないしId’nとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0100】変調信号発生器107は、前記画像データ
Id’1ないしId’nの各々に応じて、表面伝導型電
子放出素子の各々を適切に駆動変調する為の信号線で、
その出力信号は、外部端子Dy1ないしDynを通じて
表示パネル101内の表面伝導型電子放出素子に印加さ
れる。
【0101】前述したように、表面伝導型電子放出素子
は電子放出に明確なしきい値電圧を有しており、しきい
値電圧を越える電圧が印加された場合にのみ電子放出が
生じる。また、しきい値電圧を越える電圧に対しては、
表面伝導型電子放出素子への印加電圧の変化に応じて放
出電流も変化していく。表面伝導型電子放出素子の材料
や構成、製造方法を変えることにより、しきい値電圧の
値や、印加電圧に対する放出電流の変化の度合いが変わ
る場合もあるが、いずれにしても以下のようなことが言
える。
【0102】即ち、表面伝導型電子放出素子にパルス状
の電圧を印加する場合、例えばしきい値電圧以下の電圧
を印加しても電子放出は生じないが、しきい値電圧を越
える電圧を印加する場合には電子放出を生じる。その
際、第1には電圧パルスの波高値を変化させることによ
り、出力される電子ビームの強度を制御することが可能
である。第2には、電圧パルスの幅を変化させることに
より、出力される電子ビームの電荷の総量を制御するこ
とが可能である。
【0103】従って、入力信号に応じて表面伝導型電子
放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式とパル
ス変調方式とが挙げられる。電圧変調方式を行なう場
合、変調信号発生器107としては、一定の長さの電圧
パルスを発生するが、入力されるデータに応じて適宜パ
ルスの波高値を変調できる電圧変調方式の回路を用い
る。また、パルス幅変調方式を行なう場合、変調信号発
生器107としては、一定の波高値の電圧パルスを発生
するが、入力されるデータに応じて適宜パルス幅を変調
できるパルス幅変調方式の回路を用いる。
【0104】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でもよく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が
所定の速度で行なえるものであればよい。
【0105】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要がある。これは同期信号分離回路106の出力
部にA/D変換器を設けることで行なえる。
【0106】また、これと関連して、ラインメモリ10
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器107に設けられる回路が若干異なるも
のとなる。
【0107】即ち、デジタル信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えば良く知られてい
るD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付
け加えればよい。また、デジタル信号でパルス幅変調方
式の場合、変調信号発生器107は、例えば高速の発振
器及び発振器の出力する波数を計算する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる
ことで容易に構成することができる。更に、必要に応じ
て、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を表
面伝導型電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するた
めの増幅器を付け加えてもよい。
【0108】一方、アナログ信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えば良く知られてい
るオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、必要
に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。ま
た、アナログ信号でパルス幅変調方式の場合、例えば良
く知られている電圧制御型発振回路(VCO)を用いれ
ばよく、必要に応じて表面伝導型電子放出素子の駆動電
圧にまで電圧増幅するための増幅器を付け加えてもよ
い。
【0109】以上のような表示パネル101及び駆動回
路を有する本発明の画像形成装置は、外部端子Dx1〜
Dxm及びDy1〜Dynから電圧を印加することによ
り、任意の表面伝導型電子放出素子74から電子を放出
させることができ、高圧端子87を通じてメタルバック
85あるいは透明電極(不図示)に高電圧を印加して電
子ビームを加速し、加速した電子ビームを蛍光膜84に
衝突させることで生じる励起・発光によって、NTSC
方式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を行なうこ
とができるものである。
【0110】尚、以上説明した構成は、表示等に用いら
れる本発明の画像形成装置を得る上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容
に限られるものではなく、画像形成装置の用途に適する
よう、適宜選択されるものである。また、入力信号とし
てNTSC方式を挙げたが、本発明の画像形成装置はこ
れに限られるものではなく、PAL、SECAM方式等
他の方式でもよく、更にはこれらよりも多数の走査線か
らなるTV信号、例えばMUSE方式をはじめとする高
品位TV方式でもよい。また、本発明の説明では、最も
好ましい簡易な駆動方式及び駆動配線を用いた画像表示
装置として単純マトリクス方式を挙げて説明したが、梯
型配置を用いても同様にテレビジョン表示を行なえ、上
述のテレビジョン放送の表示装置のみならず、テレビ会
議システム、コンピューター等の表示装置として好適な
画像形成装置が得られる。更には、感光ドラム等とで構
成した光プリンターの露光装置としても用いることがで
きるものである。
【0111】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に説明す
る。
【0112】[実施例1]本実施例では、図1に示した
構成の表面伝導型電子放出素子を作製する例を説明す
る。図1(a)は表面伝導型電子放出素子の平面図を、
図1(b)は断面図を示している。なお、図中のLは素
子電極2、3間の間隔、Wは素子電極の幅を表わしてい
る。図2を用いて、本実施例の表面伝導型電子放出素子
の製造方法を説明する。
【0113】1)基板1として石英基板を用い、これを
有機溶剤により充分に洗浄後、該基板1上に、一般的な
真空形成技術、フォトリソグラフィー技術により、Pt
からなる素子電極2、3を形成する。素子電極の間隔L
は10μm、幅Wは600μm、厚さは1000Åとし
た。
【0114】2)次に、酢酸パラジウム(II)モノエ
タノールアミン錯体を15mmol/l、IPAを15
wt%となるよう水溶液を調製し、液滴付与装置として
バブルジェット方式のインクジェット噴射装置を用い
て、液滴の状態にして複数回素子電極2、3間に図1に
示すように付与した。
【0115】3)350℃30分間の加熱処理を行い、
酸化パラジウム(PdO)からなる微粒子膜を形成し、
導電性膜4とした。
【0116】4)次に、ファインマシニング社製のレー
ザープロセッシングマシンSFL9400−2型を用
い、線源部ランプ電流24A(5.7W)+フィルター
10%のものを用いて一回スキャンして、図中6の領域
をレーザー照射した。
【0117】5)次に、素子電極2、3及び導電性膜4
等を形成した上記基板1を図5の測定評価系の真空装置
55内に設置し、排気ポンプ56にて排気して、真空装
置55内を約1.3×10-3Paとした。この後、素子
電圧Vfを印加するための電源51により素子電極4、
5間に電圧を印加し、電圧印加直後に水素2%窒素98
%ガスを徐々に導入しながらフォーミングを行なった。
フォーミング時の電圧波形はパルス幅1msec、パル
ス間隔10msecの矩形波とした。
【0118】このフォーミング時の素子電圧Vfは、上
記還元ガスを導入せずに通電のみを続けた場合にはフォ
ーミングが行われない電圧に設定した。尚、本実施例の
素子はフォーミング時の電圧8Vで10分程度でフォー
ミングが完了した。また、この様にして形成された電子
放出部は概ね素子電極2、3の中央部に再現良く形成さ
れた。
【0119】6)次に、フォーミング処理を施した素子
に活性化処理を行なう。フォーミング終了後、真空装置
55内を再び真空排気し、真空装置55内を1.3×1
-5Paの真空度とした。活性化を行なう有機化合物と
してベンゾニトリルを用い、不図示のバリアブルリーク
バルブを徐々に空けて、該ベンゾニトリルを導入し、真
空装置55内を1.3×10-4Paの真空度とした。ベ
ンゾニトリル導入後の真空度が充分一定になった後、素
子電極4、5間に電圧を印加した。活性化処理にはパル
ス幅1msec、パルス間隔10msec、波高値15
Vの両極矩形波を用いた。また活性化処理を施す時間は
1時間とし、活性化処理による素子電流Ifの上昇が見
られなくなり、Ifがほぼ一定値を示すようになるまで
処理した。
【0120】本実施例の表面伝導型電子放出素子の電子
放出特性の測定を、上述の測定評価系を用いて行なっ
た。測定条件は、アノード電極54と表面伝導型電子放
出素子の距離Hを4mm、アノード電極54の電位を1
kV、電子放出特性測定時の真空装置55内の真空度を
約1.3×10-6Paとした。
【0121】その結果、本実施例における素子は、数回
の作製に対して、図6中の実線で示したような電流−電
圧特性が得られた。代表的な素子の特性は、素子電圧V
f=15Vにおいて、素子電流If=1.0mA、放出
電流Ie=1μAであり複数個の素子のばらつきも極め
て少なかった。
【0122】[実施例2]本実施例では、図1に示した
ような表面伝導型電子放出素子の多数個を単純マトリク
ス配置した、図7に示したような電子源を用いて、図8
に示したような画像形成装置を作製した例を説明する。
【0123】電子源の作製は、実施例1で説明した素子
電極2、3及び導電性膜4の各パターンを拡張し、同時
に多数の表面伝導型電子放出素子を形成するとともに、
同時にX方向配線(下配線とも呼ぶ)72及びY方向配
線(上配線とも呼ぶ)73を形成して行なった。
【0124】以上のようにして作製した未フォーミング
の電子源基板を用いて画像形成装置を構成した例を、図
8及び図9を用いて説明する。
【0125】まず、未フォーミングの電子源の基板1に
おいて、実施例1で説明したように各素子の導電性膜に
局所的にレーザー照射を施した後、真空装置55内に設
置し、真空ポンプ56にて排気し、真空装置内を1.3
×10-3Paとした。次に外部端子Dx1〜Dxm及び
Dy1〜Dynを通じ、素子電圧Vfを印加するための
電源51により各表面伝導型電子放出素子74の素子電
極2、3間に電圧を印加し、電圧印加直後に水素2%窒
素98%ガスを徐々に導入しながらフォーミングを行
い、電子放出部を作製した。
【0126】この後、フォーミングした電子源の基板1
をリアプレート81に固定した後、基板1の4mm上方
に、フェースプレート86(ガラス基板83の内面に画
像形成部材であるところの蛍光膜84とメタルバック8
5が形成されて構成される)を支持枠82を介し配置
し、フェースプレート86、支持枠82、リアプレート
81の接合部にフリットガラスを塗布し、アルゴン中で
420℃で10分以上焼成することで封着した(図8参
照)。また、リアプレート81への基板1の固定もフリ
ットガラスで行なった。
【0127】画像形成部材であるところの蛍光膜84
は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、本実
施例では蛍光体はストライプ形状(図9(a)参照)を
採用し、先に黒色導電材91でブラックストライプを形
成し、その間隔部にスラリー法により各色蛍光体92を
塗布して蛍光膜84を作製した。黒色導電材91として
は、通常よく用いられている黒鉛を主成分とする材料を
用いた。
【0128】また、蛍光膜84の内面側にはメタルバッ
ク85を設けた。メタルバック85は、蛍光体84の作
製後、蛍光膜84の内面側表面の平滑化処理(通常、フ
ィルミングと呼ばれる)を行い、その後、Alを真空蒸
着することで作製した。
【0129】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の外面側に透明電極が設けられる場合もあるが、本実
施例では、メタルバック85のみで十分な導電性が得ら
れたので省略した。
【0130】前述の封着を行なう際、カラーの場合は各
色蛍光体92と表面伝導型電子放出素子74とを対応さ
せなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なっ
た。
【0131】以上のようにして完成した外囲器88内の
雰囲気を排気管(不図示)を通じて真空ポンプにて排気
し、十分な真空度に達した後、活性化処理を行なうため
の有機化合物ベンゾニトリルを導入し、外部端子Dx1
〜Dxm及びDy1〜Dynを通じ、各表面伝導型電子
放出素子74の素子電極2、3間に電圧を印加して活性
化処理を施した。活性化工程は実施例1同様行われ、素
子電流Ifの上昇がほぼ止まったところで終了とした。
【0132】この後、不図示の排気管を通じ、外囲器8
8内を1.3×10-5Pa程度の真空度とし、該排気管
をバーナーで熱することで溶着し、外囲器88の封止を
行なった。最後に、封止後の真空度を維持するために、
高周波加熱法でゲッター処理を行なった。ゲッターはB
aを主成分とした。
【0133】以上のようにして単純マトリクス配置の電
子源を用いて構成した表示パネル101(図8参照)に
おいて、外部端子Dx1ないしDxm、Dy1ないしD
ynを通じ、走査信号及び変調信号を不図示の信号発生
手段により、各表面伝導型電子放出素子74にそれぞれ
印加することにより電子放出させるとともに、高圧端子
87を通じてメタルバック85に数kV以上の高圧を印
加して、電子ビームを加速し、蛍光体84に衝突させ、
励起・発光させることで画像表示を行なった。
【0134】その結果、本実施例で用いた表面伝導型電
子放出素子は、実施例1での真空装置内の素子とほぼ同
様の電子放出特性が得られた。また、素子のばらつきも
少なく、長時間に渡り、輝度低下もなく、高輝度・高精
細な画像を安定して表示することができた。
【0135】[実施例3]実施例2で作製した画像形成
装置に、先に述べたようにNTSC信号を入力したとこ
ろ、良好なテレビ画像を得ることができた。
【0136】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によれば、非常に小さい電力で容易に電子放出部の位置
と形状を精度良くフォーミングが行なえる。また、電子
放出部形成の為のフォーミング処理あるいは活性化処理
の後で封着工程を行なってもその後の電子放出部への電
圧印加が実効的に充分行なえるようになり、それによっ
て仕損費の大幅な削減が可能となる。さらに、封着工程
を経た後も導電性膜の電気的変化が少ないことによっ
て、複数素子の封着後の通電工程、実際の駆動時の素子
毎のばらつきも少なくなり、電子源基板、画像形成装置
の均一性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導型電子放出素子の一例を示す
平面型表面伝導型電子放出素子の構成図である。
【図2】図1の表面伝導型電子放出素子の製造方法の一
例を説明するための図である。
【図3】本発明のエネルギー照射による適正範囲を示す
ための素子抵抗曲線模式図である。
【図4】フォーミング処理に用いる電圧波形の一例を示
す図である。
【図5】表面伝導型電子放出素子の電子放出特性を測定
するための測定評価系の概略図である。
【図6】本発明の表面伝導型電子放出素子の、放出電流
Ie及び素子電流Ifと、素子電圧Vfの関係の典型的
な例を示す図である。
【図7】単純マトリクス配置の電子源の略図である。
【図8】単純マトリクス配置の電子源を備えた表示パネ
ルの概略構成を示す部分切り欠き斜視図である。
【図9】表示パネルに用いる蛍光膜の構成例を示す図で
ある。
【図10】NTSC方式のテレビ信号に応じて画像表示
を行なう画像形成装置の駆動回路の一例を示すブロック
図である。
【図11】ハートウェルの電子放出素子の構成を示す図
である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 導電性膜 5 電子放出部 6 エネルギー照射部 50 導電性膜を流れる素子電流Ifを測定するための
電流計 51 表面伝導型電子放出素子に素子電圧Vfを印加す
るための電源 52 電子放出部より放出される放出電流Ieを測定す
るための電流計 53 アノード電極に電圧を印加するための高圧電源 54 電子放出部より放出される電子を捕捉するための
アノード電極 55 真空装置 56 排気ポンプ 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 表面伝導型電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Va 直流電圧源 Vx 直流電圧源

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出部を有する導電性膜を備えた電
    子放出素子の製造方法において、 導電性膜に局所的に還元速度の異なる領域を形成する工
    程の後に、導電性膜を還元する工程と導電性膜に電流を
    流す工程を有することを特徴とする電子放出素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記導電性膜に局所的に還元速度の異な
    る領域を形成する工程は、導電性膜に局所的にエネルギ
    ー照射する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載
    の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー照射は、光照射、電子線
    照射、紫外線照射、レーザー照射のうちのいずれかであ
    ることを特徴とする請求項2に記載の電子放出素子の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記導電性膜に局所的にエネルギー照射
    する工程は、大気中で導電性膜に局所的にレーザー照射
    する工程であることを特徴とする請求項2に記載の電子
    放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記導電性膜を還元する工程は、還元性
    気体を素子表面に供給することによることを特徴とする
    請求項1乃至4のいずれかに記載の電子放出素子の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記導電性膜を還元する工程と導電性膜
    に電流を流す工程を同時に行うことを特徴とする請求項
    1乃至5のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記導電性膜に局所的に還元速度の異な
    る領域を形成する工程の後に、該導電性膜を加熱せし
    め、前記導電性膜を還元する工程と導電性膜に電流を流
    す工程を同時に行うことを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記導電性膜は金属酸化物を主成分とす
    ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の
    電子放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記金属酸化物は酸化パラジウムである
    ことを特徴とする請求項8に記載の電子放出素子の製造
    方法。
  10. 【請求項10】 前記導電性膜は、酸化パラジウムが5
    0atomic%以上であって、他の成分は、パラジウ
    ム以外の金属及び/又は酸化パラジウム以外の金属酸化
    物からなることを特徴とする請求項9に記載の電子放出
    素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記電子放出素子は、電極間に前記電
    子放出部を有する導電性膜を備えた電子放出素子である
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の
    電子放出素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 導電性膜の一部に間隙を有する電子放
    出素子の製造方法であって、導電性膜を基体上に配置す
    る工程と、該導電性膜の一部の抵抗値が変化するよう
    に、前記導電性膜の一部に電磁波または電子線を照射す
    る工程と、前記電磁波が照射された前記導電性膜に電流
    を流すことで、前記導電性膜の一部に間隙を形成する工
    程とを有することを特徴とする電子放出素子の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 導電性膜の一部に間隙を有する電子放
    出素子の製造方法であって、導電性膜を基体上に配置す
    る工程と、該導電性膜の一部の抵抗値が変化するよう
    に、前記導電性膜の所望領域に電磁波または電子線を照
    射することで、前記導電性膜の非照射領域に比べて還元
    速度を早くする工程と、前記電磁波の照射工程が施され
    た前記導電性膜に電流を流すことで、前記導電性膜の一
    部に間隙を形成する工程とを有することを特徴とする電
    子放出素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記電磁波または電子線が照射される
    領域は、前記間隙が形成される領域とは異なることを特
    徴とする請求項12または13に記載の電子放出素子の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記間隙を形成する工程は、還元性物
    質を含む雰囲気中にて行なわれることを特徴とする請求
    項12乃至14のいずれかに記載の電子放出素子の製造
    方法。
  16. 【請求項16】 前記電子放出素子は、表面伝導型電子
    放出素子であることを特徴とする請求項1乃至15のい
    ずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 複数の電子放出素子を有する電子源の
    製造方法であって、前記電子放出素子が請求項1乃至1
    6のいずれかに記載の方法により製造されることを特徴
    とする電子源の製造方法。
  18. 【請求項18】 電子源と画像形成部材とを有する画像
    形成装置の製造方法であって、前記電子源が請求項17
    に記載の方法により製造されることを特徴とする画像形
    成装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記画像形成部材が、蛍光体であるこ
    とを特徴とする請求項18に記載の画像形成装置の製造
    方法。
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