JP2002313217A - 電子源、画像形成装置、及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子源、画像形成装置、及びそれらの製造方法

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JP2002313217A
JP2002313217A JP2001120754A JP2001120754A JP2002313217A JP 2002313217 A JP2002313217 A JP 2002313217A JP 2001120754 A JP2001120754 A JP 2001120754A JP 2001120754 A JP2001120754 A JP 2001120754A JP 2002313217 A JP2002313217 A JP 2002313217A
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electron
film
conductive film
electron source
voltage
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JP2001120754A
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Yoshinari Yoshino
佳成 吉野
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  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 素子電極間に電子放出部を含む導電性膜を有
する複数の電子放出素子を配線接続してなる電子源にお
いて、帯電防止による電子放出素子の特性安定化を図る
と共に、素子膜形成時の寸法精度と位置精度の向上、製
造の安定化とプロセスの簡略化を図る。 【解決手段】 絶縁性基板1と導電性膜5との間、素子
電極2,3と導電性膜5との間、及び絶縁性基板1の露
出面上に、導電性膜5よりも高抵抗の高抵抗膜4を設け
る。そして、この高抵抗膜4のシート抵抗を1010Ω〜
1012Ω、水滴の接触角を50°〜70°とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の電子放出素
子を備える電子源、該電子源を用いた画像形成装置、及
びそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、大別して
熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類の
ものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放出
型(以下、「FE型」という。)、金属/絶縁層/金属
型(以下、「MIM型」という。)や表面伝導型電子放
出素子等がある。
【0003】FE型の例としては、W.P.Dyke&
W.W.Dolan、“Fieldemissio
n”、Advance in Electron Ph
ysics、8、89(1956)、あるいは、C.
A.Spindt,“PHYSICAL Proper
ties of thin−film field e
mission cathodes with mol
ybdenum cones”,J.Appl.Phy
s.,47,5248(1976)等に開示されたもの
が知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A.Mea
d、“Operation of Tunnel−Em
ission Devices”、J.Apply.P
hys.、32、646(1961)等に開示されたも
のが知られている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の例としては、
M.I.Elinson、RadioEng.Elec
tron Pys.、10、1290,(1965)等
に開示されたものがある。表面伝導型電子放出素子は、
基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流
を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するも
のである。
【0006】この表面伝導型電子放出素子としては、前
記エリンソン等によるSnO2薄膜を用いたもの、Au
薄膜によるもの[G.Dittmer:“Thin S
olid Films”、9、317(1972)]、
In23/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwe
ll and C.G.Fonstad:“IEEET
rans. ED Conf.”、519(197
5)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久他:真空、第
26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告されて
いる。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のハートウェル(Hartwel
l)の素子の構成を図1に示す。同図において、11は
基板である。15は導電性膜で、H型形状のパターン
に、スパッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、
後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理により電子
放出部16が形成される。なお、図中の間隔Lは0.5
〜1mm、W’は0.1mmで設定されている。なお、
電子放出部16の位置および形状については不明である
ので、模式図として表した。
【0008】表面伝導型電子放出素子の導電性膜の形成
方法は、上記スパッタによる方法以外に分散塗布法やイ
ンクジェットによる形成方法が提案されている。
【0009】インクジェットによる形成方法は、金属元
素を含有する溶液を液滴として付与するため、所定の場
所に所望の量の導電性材料を付与することができ、製造
工程を低減し、製造コストを低減できる(特開平9−6
9334号公報、特開平9−245625号公報、特開
平11−317159号公報、特開平11−31716
0号公報、特開平11−339642号公報)。
【0010】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行なう前に導電性膜15を予め通電フォ
ーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部16を
形成するのが一般的である。すなわち、通電フォーミン
グとは前記の導電性膜15の両端に直流電圧あるいは非
常にゆっくりした昇電圧例えば1V/分程度を印加通電
し、導電性膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せし
め、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部16を形成
することである。なお、電子放出部16は導電性膜15
の一部に亀裂が発生し、その亀裂付近から電子放出が行
なわれる。
【0011】前記通電フォーミング処理を行なった表面
伝導型電子放出素子は、導電性膜15の両端に電圧を印
加し、素子に電流を流すことによって、上述の電子放出
部16より電子を放出せしめるものである。
【0012】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積で多数の素子
を配列形成できる利点がある。そこで、その特徴を生か
せるような様々な応用が研究されている。そのような例
としては、荷電ビーム源、画像表示装置等の表示装置が
挙げられる。
【0013】例えば画像形成装置においては、上述した
電子放出素子から放出された電子を加速し、蛍光体から
なる画像形成部材に入射させて輝度を得る。
【0014】これらの電子放出素子は真空中で取り扱わ
れるが、真空中における電子放出特性の不安定性の一要
因として、電子放出部近傍に絶縁性基板表面が露出して
いると、その表面の電位が不安定となり、電子放出が不
安定となることを、本出願人は確認している(特開平2
−072534号公報参照)。
【0015】すなわち、入力信号に応じて応答する画像
形成装置においては、各電子放出素子を電気的に分離す
る必要があるので、絶縁性の基板が通常用いられる。
【0016】しかし、画像表示部における蛍光体に高電
圧をかけると、対向する電子放出素子の周りの絶縁面は
真空と絶縁体の誘電率で決まる容量分割による電位が発
生する。この電位は、絶縁性が良好であればあるほど時
定数が長く、帯電したままである。更に、この状態で電
子放出素子から電子を放出すると、電子は帯電した絶縁
面にも衝突する。この場合に、電子が加速されることよ
り、絶縁性基板表面に電子、イオン等の荷電粒子が注入
されると2次電子が発生する。特に高電界下では、異常
放電に至るため、素子の電子放出特性が著しく低下し、
最悪の場合、素子が破壊することが実験的に確かめられ
ている。
【0017】この異常放電現象については未だ不明な点
があるが、素子から放出された電子、イオン等の注入に
より表面の帯電、あるいは帯電した絶縁性面で2次電子
放出より雪崩的に電子増倍され、放電することが考えら
れる。また、電子放出素子から放出された電子が蛍光体
の形成されたアノードに衝突する際に、X線や紫外線を
放射する場合があるが、このようなX線や紫外線が関与
して、絶縁性基板表面を帯電させることも考えられる。
【0018】例えば、X線が絶縁性基板表面に照射され
ることにより、光電効果の結果、光電子が放出され、該
光電子がアノードに引き寄せられることにより、絶縁性
基板表面が正の電位に帯電することが考えられる。
【0019】これら、真空中での電子放出特性の不安定
性、素子の放電劣化を防止するためには、絶縁性の表面
が露出しないように適当な導電体の被膜(帯電防止膜)
で被覆することが効果的である(特開平8−18080
1号公報、特開平11−317149号公報)。
【0020】また、上述のような表面伝導型電子放出素
子の特性を均一化するためには、電子放出部の形状を均
一にする必要がある。絶縁性基板上に形成した素子電極
間に渡って導電性膜を形成する方法としては、製造工程
の低減、低コストの点からインクジェットによる形成方
法が好適であるが、この手法を用いた場合、導電性膜を
液滴の状態で付与する際、素子電極と絶縁性基板間の接
触角(表面エネルギー)が異なっていると、付与した液
体がそのどちらかに引っ張られ、形状および膜厚を均一
に作製することができない場合があり、その後のフォー
ミング時の亀裂の出来方、及び電子放出特性が不安定と
なり、歩留まりが低下する問題がある。
【0021】この問題に対しては、液滴を付与する前
に、シランカップリング剤等による前処理をすることで
接触角を制御する方法がある(特開平9−69334号
公報、特開平9−245625号公報、特開平11−3
17159号公報、特開平11−317160号公報、
特開平11−339642号公報)。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】以上、表面伝導型電子
放出素子の電子放出特性の安定性・均一性を得るための
様々な改良が行われているが、より高品位な画像が得ら
れる画像形成装置の更なる低コスト化が要望されてい
る。
【0023】本発明は、上述のような表面伝導型電子放
出素子を複数備え、画像形成装置等の電子ビーム源とし
て好適に応用される電子源における上述したような異常
放電現象等による問題を解消しつつ、更なる製造工程の
低減、低コスト化を実現することを主たる目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0025】即ち、本発明の電子源は、絶縁性基板上
に、間隔を置いて並設された一対の素子電極と、該一対
の素子電極間に配置され電子放出部を含む導電性膜とを
有する電子放出素子の複数と、該複数の電子放出素子に
接続された配線と、を具備する電子源において、絶縁性
基板と導電性膜との間、素子電極と導電性膜との間、及
び絶縁性基板の露出面上に、該導電性膜よりも高抵抗の
高抵抗膜が設けられていることを特徴とする。
【0026】上記本発明の電子源においては、前記高抵
抗膜は、更に前記素子電極上及び前記配線上に渡って配
置されていることが好ましく、また前記高抵抗膜のシー
ト抵抗が1010Ω〜1012Ωであることが好ましく、さ
らにはまた前記高抵抗膜の水滴の接触角が50°〜70
°であることが好ましい。
【0027】また、本発明の電子源の製造方法は、絶縁
性基板上に、間隔を置いて並設された一対の素子電極
と、該素子電極間に配置され電子放出部を含む導電性膜
とを有する電子放出素子の複数と、該複数の電子放出素
子に接続された配線と、を具備する電子源の製造方法に
おいて、絶縁性基板上に、複数対の素子電極及び配線を
形成する工程と、該素子電極上、該配線上、及び該絶縁
性基板の露出面に高抵抗膜を形成する工程と、該複数対
の素子電極間に渡ってそれぞれ該高抵抗膜より低抵抗の
導電性膜を形成する工程と、該導電性膜に電子放出部を
形成する工程、を有することを特徴とする。
【0028】上記本発明の電子源の製造方法において
は、前記高抵抗膜のシート抵抗が10 10Ω〜1012Ωで
あることが好ましく、また前記高抵抗膜の水滴の接触角
が50°〜70°であることが好ましく、さらには前記
導電性膜を形成する工程は、金属を含む液体をインクジ
ェット法にて付与し、これを加熱する工程を含むことが
好ましい。
【0029】また、本発明の画像形成装置は、電子源と
画像形成部材とを有する画像形成装置であって、該電子
源が上記本発明の記載の電子源であることを特徴とす
る。
【0030】また、本発明の画像形成装置の製造方法
は、電子源と画像形成部材とを有する画像形成装置の製
造方法であって、該電子源を上記本発明の電子源の製造
方法によって製造することを特徴とする。
【0031】本発明によれば、絶縁性基板と導電性膜と
の間、素子電極と導電性膜との間、及び絶縁性基板の露
出面上に配置された高抵抗膜は、入力信号に応じて応答
する画像形成装置おいて前述のような異常放電が起こっ
た際に、過剰電流の素子膜(電子放出部を含む導電性
膜)への流入、隣接素子膜への流入を防止する電流制限
抵抗としての役割を果たすことができる。また、特に高
抵抗膜を素子膜の下に配置するため、かかる帯電防止、
更には電流制限抵抗としての機能を果たす高抵抗膜は、
その接触角を制御することで、導電性膜をインクジェッ
ト法にて付与する際の基板及び電極表面の表面エネルギ
ー制御層としての役割を果たすことができる。
【0032】即ち、本発明の構成によれば、帯電制御と
接触角制御とを1層の膜で実現することが可能であり、
帯電防止による電子放出素子の特性安定化を実現できる
と共に、導電性膜形成時の寸法精度と位置精度の向上、
製造の安定化とプロセスの簡略化が図られ、より高品位
な画像が得られる画像形成装置の更なる低コスト化を可
能とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、
この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材
質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がな
い限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨の
ものではない。
【0034】本発明の電子源は、絶縁性基板上に、複数
の電子放出素子と、これに接続された配線とを具備する
ものであり、先ずこの電子放出素子の基本的な構成を説
明する。
【0035】図2は、本発明の電子源に用いられる電子
放出素子の一構成例を模式的に示したものであり、
(a)は平面図、(b)は断面図である。
【0036】図2において、1は絶縁性基板、2と3は
素子電極、4は高抵抗膜、5は電子放出部を含む導電性
膜、6は電子放出部である。
【0037】絶縁性基板1としては、例えば石英ガラ
ス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガ
ラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSiO2を積層
した積層体、セラミックス等が挙げられる。
【0038】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、
Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等の金属ある
いは合金、及びPd、Ag、Au、RuO2、Pd−A
g等の金属あるいは金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23−SnO2等の透明導電体及びポ
リシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択される。
【0039】素子電極間隔L、素子電極長さW1等は、
応用される形態等によって設計される。素子電極間隔L
は、数十nmから数百μmであることが好ましく、より
好ましくは、素子電極2,3間に印加する電圧と電子放
出し得る電界強度等により、数μmから数十μmであ
る。素子電極長さW1は、電極の抵抗値や電子放出特性
を考慮すると、好ましくは数μmから数百μmであり、
また素子電極厚は、数十nmから数μmである。
【0040】電子放出部を含む導電性膜5は、良好な電
子放出特性を得るためには、微粒子で構成された微粒子
膜であることが特に好ましく、その膜厚は、素子電極
2,3へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵
抗値及び後述するフォーミング条件等によって適宜選択
される。この電子放出部を含む導電性膜5の膜厚は、好
ましくは数百pmから数百nmで、特に好ましくは1n
mから50nmである。
【0041】また、この導電性膜5の抵抗値は、107
Ω/□以下のシート抵抗値を示すのが好ましい。導電性
膜5の抵抗値は、後述する電子放出部の形成工程、すな
わちフォーミング工程において、良好な電子放出部の形
成できるシート抵抗値として制限される。良好な電子放
出部を形成するには、103Ω/□以上107Ω/□以下
のシート抵抗値であることが好ましい。
【0042】しかしながら、電子放出部6を形成した後
は、素子電極を通じて印加される電圧が十分に電子放出
部6に印加されるのが好ましく、電子放出部を含む導電
性膜5のシート抵抗値はより低い方が好ましい。このた
め、詳しくは後述するが、電子放出部を含む導電性膜5
は、103Ω/□以上107Ω/□以下のシート抵抗値を
持つ金属酸化膜半導体薄膜として形成し、フォーミング
処理後に還元して、より低抵抗な金属薄膜として用いる
ことができる。従って、最終的な状態での電子放出部を
含む導電性膜5の抵抗値の下限は特に限定されない。
尚、ここに言う電子放出部を含む導電性膜5の抵抗値と
は、電子放出部6を含まない領域で測定されるシート抵
抗値を意味している。
【0043】導電性膜5を構成する材料としては、例え
ばPd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、
Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、P
dO、SnO2、In23、PbO、Sb23等の酸化
物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、G
dB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、
SiC、WCなどの炭化物、TiN、ZrN、HfN等
の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等が挙げら
れる。
【0044】尚、上記微粒子膜とは、複数の微粒子が集
合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。微
粒子膜である場合、微粒子の粒径は、数百pmから数百
nmであることが好ましく、特に好ましくは1nmから
20nmである。
【0045】本発明では特に、絶縁性基板1と導電性膜
5との間、素子電極2,3と導電性膜5との間、及び絶
縁性基板1の露出面上に高抵抗膜4が設けられている。
尚、この高抵抗膜4は、更に素子電極2,3上にも設け
ても良く、また詳しくは後述するが、このような構成を
有する電子放出素子を複数備える本発明の電子源におい
ては、さらにこれら複数の電子放出素子に接続される配
線上に渡って配置しても良い。
【0046】高抵抗膜4は、金属ないし半導体を主成分
とする薄膜(島状も含む)であり、その好ましい抵抗値
は以下に述べるように決定される。
【0047】上記のような表面伝導型の電子放出素子の
特性は、素子電極間に印加される電圧Vfと、素子に流
れる電流Ifと、放出される電子による電流Ieとによ
って特徴づけられる。図4に、最大電圧Vmの三角波を
電子放出素子に印加したときのIf、Ieの波形を示
す。図4(a)は、高抵抗膜4を形成していない電子放
出素子の場合であり、IfはVth以上で立ち上がり、
Ifが増加するに伴いIeも増加する特性を有してい
る。図4(b)は、高抵抗膜4を形成した電子放出素子
の場合であり、回路的には電子放出素子と並列に抵抗R
aが接続されたものと等価である。図4(b)に示され
るように、Ifの波形は図4(a)のIfの波形にオー
ミックな電流を足し合わせたような波形になる。
【0048】また、このような電子放出素子を、後述す
るような単純マトリクス駆動する場合は、選択時(駆動
素子)に流れる電流に対して半選択時(非駆動素子)に
流れる電流は十分小さい方が望ましい。一般には、半選
択時に電子放出素子に印加される電圧は選択時に印加さ
れる電圧(駆動電圧Vop)の1/2であり、その時の
電流は選択時の電流の1/(1ラインの素子数n)以下
であるのが望ましい。
【0049】例えば、図4(a)の特性を持つ電子放出
素子をVop=Vmで駆動する場合、Vop/2の電圧
ではIf〜0なので単純マトリクス駆動において理想的
であるが、図4(b)の特性を持つ電子放出素子の場合
は、Vop/2の電圧ではIf=Vop/(2×Ra)
の電流が流れるため、好ましくは印加電圧Vop時の素
子電流Iopに対し1/n以下となるようにRaを設定
する。従って、Ra≧nVop/2IopとなるRaを
実現するのが望ましい。尚、Ra=ρa×L/(d×W
1)であり、ここで、Lは素子電極間距離、W1は素子
電極幅、dは高抵抗膜4の厚さ、ρaは高抵抗膜4の比
抵抗であり、ρa/dはシート抵抗として定義される。
【0050】それぞれの典型的な値として、Vop=2
0V、Iop=1mA、W=10μm、n=1000と
すると、ρa/d≧1×108(Ω/□)となる。
【0051】また、十分な帯電防止効果を有するために
必要な高抵抗膜4を抵抗値は、放出電子による基板表面
の帯電レートや放出電子を加速するためのアノード電
圧、電子放出素子とアノード電極間の距離等によって異
なるが、放電を防止するためには1012Ω/□程度のシ
ート抵抗値以下であるのが好ましく、また、電子放出特
性の安定化のためには1010Ω/□程度のシート抵抗値
以上であるのが好ましい。
【0052】このような高抵抗膜4の具体的な材料とし
ては、酸化パラジウム、金属パラジウム、炭素系薄膜の
他、酸化クロム、酸化スズなどが挙げられる。
【0053】上記のシート抵抗を有する高抵抗膜4は、
帯電防止、更には電流制限抵抗としての機能を果たし、
また、その接触角を制御することで、導電性膜をインク
ジェット法にて付与する際の基板及び電極表面の表面エ
ネルギー制御層としての役割を果たすことができる。
【0054】この場合、高抵抗膜4は水滴の接触角が5
0°〜70°であることが好ましく、これにより導電性
膜をインクジェット法にて付与する際、液滴流れを起こ
さず、安定した形状を維持できる。このように高抵抗膜
4の表面エネルギーを制御することにより、帯電制御と
接触角制御とを1層の高抵抗膜4で実現することが可能
であり、帯電防止による電子放出素子の特性安定化と共
に、導電性膜形成時の寸法精度と位置精度の向上が図ら
れる。
【0055】電子放出部6には亀裂が含まれており、電
子放出はこの亀裂付近から行われる。この亀裂を含む電
子放出部6および亀裂自体は、電子放出部を含む導電性
膜5の膜厚、膜質、材料および後述するフォーミング条
件等の製法に依存して形成される。従って、電子放出部
6の位置および形状は図2に示されるような位置および
形状に特定されるものではない。
【0056】電子放出部6の亀裂は、数百pmから数十
nmの粒径の導電性微粒子を有することもある。この導
電性微粒子は、電子放出部を含む導電性膜5を構成する
材料の元素の一部、あるいは総てと同様のものである。
また、亀裂を含む電子放出部6及びその近傍の電子放出
部を含む導電性膜5は炭素及び炭素化合物を有すること
もある。
【0057】次に上記構成の電子放出素子の製造方法に
ついて図3を用いて説明する。尚、かかる電子放出素子
の多数を配線接続してなる電子源は、以下の電子放出素
子の製造方法を拡張すると共に、所望の配線構造を形成
することによって製造することができ、その詳細は実施
例において説明する。
【0058】1)絶縁性基板1を洗剤,純水および有機
溶剤等を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法,スパッタ法
等により素子電極材料を堆積後,例えばフォトリソグラ
フィー技術を用いて素子電極2,3を形成する(図3
(a))。
【0059】2)次に高抵抗膜4を形成する(図3
(b))。ここで高抵抗膜4の材料としては、容易にか
つ大面積に均一な膜が得られるものが好ましく、例え
ば、炭素材料や酸化スズ、酸化クロム等の金属酸化物
や、或いは導電性材料が酸化シリコンなどに分散された
ものなどを好適に用いることができる。
【0060】高抵抗膜4の形成方法としては、スパッタ
法、真空蒸着法、塗布法、炭素系ガスによる電子ビーム
による重合法、あるいはプラズマ法、CVD法等が挙げ
られる。
【0061】3)素子電極2,3および高抵抗膜4を設
けた絶縁性基板1上に、金属元素を含有する溶液よりな
る液滴8を液滴付与装置(インクジェット装置)7によ
り吐出させ、導電性膜材料5’が素子電極上2,3に渡
って設けられるよう形成する(図3(c))。
【0062】液滴の基になる溶液は、導電性膜の構成材
料を水や溶剤等に溶かしたものや有機金属溶液等が挙げ
られるが、液滴を生じさせる粘度のものであることが必
要である。
【0063】このような液滴付与法を用いることによ
り、含有溶液の微小な液滴を所望の位置のみに選択的に
形成することができるため、素子部を構成する材料を無
駄にすることがない。また高価な装置を必要とする真空
プロセス、多数の工程を含むフォトリソグラフィーによ
るパターニングが不要であり、生産コストを大幅に下げ
ることができる。
【0064】液滴付与装置の具体例を挙げるならば、任
意の液滴を形成できる装置であればどのような装置を用
いても構わないが、特に、十数ngから数十ng程度の
範囲で制御が可能でかつ10ng程度から数十ngの微
小量の液滴が容易に形成できるインクジェット方式の装
置がよい。
【0065】インクジェット方式の装置としては、圧電
素子等を用いたインクジェット噴射装置、熱エネルギー
によって液体内に気泡を形成させてその液体を液滴とし
て吐出させる方式(以下、バブルジェット(登録商標)
方式と称する)によるインクジェット噴射装置などが挙
げられる。
【0066】次に液滴が付与された基板を数百℃で加熱
処理し、溶媒を蒸発させて導電性膜5を形成する(図3
(d))。
【0067】4)続いて、フォーミングと呼ばれる通電
処理を施す。素子電極2,3間に不図示の電源より通電
すると、導電性膜5の部位に構造の変化した電子放出部
6が形成される(図3(e))。この通電処理により導
電性膜5を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構
造の変化した部位が電子放出部6である。
【0068】フォーミングの電圧波形の例を図5に示
す。電圧波形は、特にパルス波形が好ましく、パルス波
高値を定電圧とした電圧パルスを連続的に印加する場合
(図5(a))と、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合(図5(b))とがある。
【0069】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図5(a)で説明する。図5(a)におけるT1
及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、例
えば、T1を1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2を10マ
イクロ秒〜100ミリ秒とし、波高値(フォーミング時
のピーク電圧)を前述した電子放出素子の形態に応じて
適宜選択して、適当な真空度の真空雰囲気下で、数秒か
ら数十分印加する。尚、印加する電圧波形は三角波に限
定されるものではなく、例えば図5(c)に示すような
矩形波等の所望の波形を用いることができる。
【0070】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図5(b)で説明する。
図5(b)におけるT1及びT2は図5(a)と同様で
あり、波高値(フォーミング時のピーク電圧)を、例え
ば0.1Vステップ程度ずつ増加させ、図5(a)の説
明と同様の適当な真空雰囲気下で印加する。尚、パルス
間隔T2中に、導電性膜5を局所的に破壊、変形もしく
は変質させない程度の電圧、例えば0.1V程度の電圧
で素子電流を測定して抵抗値を求め、例えば1MΩ以上
の抵抗を示したときにフォーミングを終了することが好
ましい。
【0071】上記フォーミング工程からそれ以降の工程
は、図6に示されるような測定評価系内で行うことがで
きる。この測定評価系について説明する。
【0072】図6において、図2と同じ符号は同じ部材
を示す。また、61は素子に素子電圧Vfを印加するた
めの電源、60は素子電極2,3間の導電性膜5を流れ
る素子電流Ifを測定するための電流計、64は電子放
出部6より放出される放出電流Ieを捕捉するためのア
ノード電極、63はアノード電極64に電圧を印加する
ための高圧電源、62は電子放出部6より放出される放
出電流Ieを測定するための電流計、65は真空装置、
66は排気ポンプである。
【0073】電子放出素子及びアノード電極64等は真
空装置65内に設置され、この真空装置65には不図示
の真空計等の必要な機器が具備されていて、所望の真空
下で電子放出素子の測定評価ができるようになってい
る。
【0074】排気ポンプ66は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とから構成されている。
また、真空装置65全体及び電子放出素子の基板1は、
ヒーターにより200℃程度まで加熱できるようになっ
ている。尚、この測定評価系は、後述するような表示パ
ネルの組み立て段階において、表示パネル及びその内部
を真空装置65及びその内部として構成することで、フ
ォーミング工程及び後述するそれ以後の工程における測
定評価及び処理に応用されるものである。
【0075】5)本発明の電子放出素子の場合、更に活
性化工程を施すことが好ましい。活性化工程とは、例え
ば10-2〜10-3Pa程度の真空度で、パルス波高値を
定電圧としたパルスの印加を繰り返す処理のことをい
い、真空雰囲気中に存在する有機物質から炭素及び炭素
化合物を電子放出部6に堆積させることで、素子電流、
放出電流の状態を著しく向上させることができる工程で
ある。有機物質の導入においてはロータリーポンプなど
により一旦十分に排気した真空中に適当な有機物質のガ
スを導入しても良い。このとき好ましい有機物質のガス
圧は、真空容器の形状や、有機物質の種類などにより異
なるため、場合に応じて適宜設定される。
【0076】適当な有機物質としては、アルカン、アル
ケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、フェノール、カルボン、スルホン酸等の有機酸類等
を挙げることが出来、具体的には、メタン、エタン、プ
ロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレ
ン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不飽
和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノ
ール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミ
ン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等あるいは
これらの混合物を使用できる。
【0077】この活性化工程は、例えば素子電流や放出
電流を測定しながら行って、例えば放出電流が飽和した
時点で終了するようにすれば効果的であるので好まし
い。また、活性化工程でのパルス波高値は、好ましくは
駆動電圧の波高値である。
【0078】尚、上記炭素及び炭素化合物とは、グラフ
ァイト(単結晶及び多結晶の双方を指す)、非晶質カー
ボン(非晶質カーボン及びこれと多結晶グラファイトと
の混合物を指す)である。また、その堆積膜厚は、好ま
しくは50nm以下、より好ましくは30nm以下であ
る。
【0079】6)このようにして作製した電子放出素子
を、フォーミング工程、活性化工程での真空度より高い
真空度の真空雰囲気下で動作駆動する、安定化工程を施
すことが好ましい。より好ましくは、この高い真空度の
真空雰囲気下で、80〜150℃の加熱の後、動作駆動
する。
【0080】尚、フォーミング工程、活性化工程の真空
度より高い真空度の真空雰囲気とは、例えば約10-4
a以上の真空度を有する真空雰囲気であり、より好まし
くは超高真空系であり、炭素及び炭素化合物が新たにほ
ぼ堆積しない真空度である。即ち、電子放出素子を上記
真空雰囲気中に封入してしまうことにより、これ以上の
炭素及び炭素化合物の堆積を抑制することが可能とな
り、これによって素子電流If、放出電流Ieが安定す
る。
【0081】このようにして得られる本発明で好適に用
いられる電子放出素子の基本特性を以下に説明する。
【0082】以下に述べる電子放出素子の基本特性は、
図6の測定評価系のアノード電極64の電圧を1kV〜
10kVとし、アノード電極64と電子放出素子の距離
Hを2〜8mmとして行った測定に基づくものである。
【0083】まず、放出電流Ie及び素子電流Ifと、
素子電圧Vfとの関係の典型的な例を図7に示す。尚、
図7において、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著
しく小さいので、任意単位で示されている。尚、縦軸,
横軸ともにリニアスケールである。図7から明らかなよ
うに、本発明で好適に用いられる電子放出素子は、放出
電流Ieに対する次の3つの特徴的特性を有する。
【0084】まず第1に、上記電子放出素子はある電圧
(しきい値電圧と呼ぶ:図7中のVth)を超える素子
電圧Vfを印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一
方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieが殆ど検出
されない。即ち、放出電流Ieに対する明確なしきい値
電圧Vthを持った非線形素子である。
【0085】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに対
して単調増加する特性(MI特性と呼ぶ)を有するた
め、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0086】第3に、アノード電極64(図6参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に
依存する。即ち、アノード電極64に捕捉される電荷量
は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0087】一方、高抵抗膜4の形成によって、電子放
出素子の基本的な特性が左右されることはない。これ
は、高抵抗膜4の抵抗値が十分に高いため(108Ω/
□以上)、電子放出を行っているときに観測される素子
電流に比べて、高抵抗膜4を通って流れるリーク電流が
十分に小さいためである。
【0088】さらに高抵抗膜4のシート抵抗値は帯電防
止膜として機能するのに十分なため、絶縁性基板表面の
帯電も防止される。このため絶縁性基板表面の電位不安
定に起因した電子放出特性の不安定性や、素子近傍とア
ノード電極間での放電が抑制されるために、長時間の安
定な電子放出特性が得られる。
【0089】以上のように本発明で用いる電子放出素子
は、長時間にわたって安定な電子放出特性、即ち、素子
電流If、放出電流Ieの素子印加電圧に対する単調増
加特性を有し、特に高抵抗膜4の水滴の接触角が50°
〜70°に制御されたものにあっては電子放出部を含む
導電性膜の均一な形成を実現できるため、多方面への応
用が期待できる。
【0090】次に、本発明の電子源における上記電子放
出素子の配列について説明する。
【0091】本発明の電子源における電子放出素子の配
列方式としては、m本のX方向配線の上にn本のY方向
配線を層間絶縁層を介して設置し、電子放出素子の一対
の素子電極に夫々X方向配線、Y方向配線を接続した配
置方式が挙げられる。これを以後単純マトリクス配置と
呼ぶ。以下、この単純マトリクス配置について詳述す
る。
【0092】前述した本発明で好適に用いられる電子放
出素子の基本的特性によれば、単純マトリクス配置され
た上記電子放出素子における放出電子は、しきい値電圧
を超える電圧では、対向する素子電極間に印加するパル
ス状電圧の波高値とパルス幅で制御できる。一方、しき
い値電圧以下では殆ど電子は放出されない。従って、多
数の電子放出素子を配置した場合においても、個々の素
子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応
じて電子放出素子を選択し、その電子放出量が制御で
き、単純なマトリクス配線だけで個別の電子放出素子を
選択して独立に駆動可能となる。
【0093】単純マトリクス配置はこのような原理に基
づくもので、本発明の電子源の一例である、この単純マ
トリクス配置の電子源の構成について図8に基づいて更
に説明する。
【0094】図8において絶縁性基板1は既に説明した
ようなガラス板等であり、この絶縁性基板1上に配列さ
れた前述の構成を有する電子放出素子83の個数及び形
状は用途に応じて適宜設定されるものである。
【0095】m本のX方向配線81は、夫々外部端子D
x1,Dx2,……,Dxmを有するもので、基板1上
に、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成した導電
性金属等である。また、多数の電子放出素子84にほぼ
均等に電圧が供給されるように、材料、膜厚、配線幅が
設定されている。
【0096】n本のY方向配線82は、夫々外部端子D
y1,Dy2,……,Dynを有するもので、X方向配
線81と同様に作成される。
【0097】これらm本のX方向配線81とn本のY方
向配線82間には、不図示の層間絶縁層が設置され、X
方向配線81とY方向配線82は電気的に分離されて、
マトリクス配線を構成している。尚、このm,nは共に
正の整数である。
【0098】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等で形成されたSiO2等であり、X方
向配線81を形成した絶縁性基板1の全面或は一部に所
望の形状で形成され、特に、X方向配線81とY方向配
線82の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材
料、製法が適宜設定される。
【0099】更に、電子放出素子83の対向する素子電
極(不図示)は、m本のX方向配線81と、n本のY方
向配線82と電気的に接続されているものである。
【0100】ここで、m本のX方向配線81と、n本の
Y方向配線82と、対向する素子電極とは、その構成元
素の一部あるいは全部が同一であっても、また夫々異な
っていてもよく、前述の素子電極の材料等より適宜選択
される。
【0101】また、詳しくは後述するが、前記X方向配
線81には、X方向に配列された電子放出素子83の行
を入力信号に応じて走査するために、走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が電気的に接続されてい
る。
【0102】一方、Y方向配線82には、Y方向に配列
された電子放出素子84の列の各列を入力信号に応じて
変調するために、変調信号を印加する不図示の変調信号
発生手段が電気的に接続されている。
【0103】各電子放出素子83に印加される駆動電圧
は、当該電子放出素子83に印加される走査信号と変調
信号の差電圧として供給されるものである。
【0104】次に、以上のような単純マトリクス配置の
本発明の電子源を用いた本発明の画像形成装置の一例
を、図9〜図11を用いて説明する。尚、図9は表示パ
ネル111の基本構成図であり、内部を表すために部分
的に切り欠いて表している。また、図10は蛍光膜94
を示す図であり、図11は図9の表示パネル111で、
NTSC方式のテレビ信号に応じてテレビジョン表示を
行うための駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0105】図9において、1は上述のようにして電子
放出素子を配置した電子源の基板、91は基板1を固定
したリアプレート、96はガラス基板93の内面に蛍光
膜94とメタルバック95等が形成されたフェースプレ
ート、92は支持枠であり、リアプレート91、支持枠
92及びフェースプレート96にフリットガラス等を塗
布し、大気中あるいは窒素中で、400〜500℃で1
0分以上焼成することで封着して外囲器98を構成して
いる。
【0106】図9において、81、82は、電子放出素
子83の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY
方向配線で、夫々外部端子Dx1ないしDxm,Dy1
ないしDynを有している。
【0107】外囲器98は、上述の如く、フェースープ
レート96、支持枠92、リアプレート91で構成され
ている。しかし、リアプレート91は主に基板1の強度
を補強する目的で設けられるものであり、基板1自体で
十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート91は不要
で、基板1に直接支持枠92を封着し、フェースプレー
ト96、支持枠92、基板1にて外囲器98を構成して
もよい。また、フェースプレート96、リアプレート9
1の間にスぺーサーと呼ばれる不図示の支持体を更に設
置することで、大気圧に対して十分な強度を有する外囲
器98とすることもできる。
【0108】蛍光膜94は、モノクロームの場合は蛍光
体102のみからなるが、カラーの蛍光膜94の場合
は、蛍光体102の配列により、ブラックストライプ
(図10(a))あるいはブラックマトリクス(図10
(b))等と呼ばれる黒色導電材101と蛍光体102
とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリ
クスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる
三原色の各蛍光体102間の塗り分け部を黒くすること
で混色等を目立たなくすることと、蛍光膜94における
外光反射によるコントラストの低下を抑制することであ
る。黒色導電材101の材料としては、通常良く用いら
れている黒鉛を主成分とする材料だけでなく、導電性が
あり、光の透過及び反射が少ない材料であれば他の材料
を用いることもできる。
【0109】ガラス基板93に蛍光体92を塗布する方
法としては、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や
印刷法が用いられる。
【0110】また、図9に示されるように、蛍光膜94
の内面側には通常メタルバック95が設けられる。メタ
ルバック95の目的は、蛍光体102(図10参照)の
発光のうち内面側への光をフェースプレート96側へ鏡
面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム
加速電圧を印加するための電極として作用すること、外
囲器98内で発生した負イオンの衝突によるダメージか
らの蛍光体102の保護等である。メタルバック95
は、蛍光膜94の作製後、蛍光膜94の内面側表面の平
滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その
後Alを真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0111】フェースプレート96には、更に蛍光膜1
04の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明
電極(不図示)を設けてもよい。
【0112】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体102と表面伝導型電子放出素子83とを対応さ
せなくてはいけないため、十分な位置合わせを行なう必
要がある。
【0113】外囲器98内は、不図示の排気管を通じ、
10-5Pa程度の真空度にされ、封止される。また、外
囲器98の封止を行う直前あるいは封止後に、ゲッター
処理を行うこともある。これは、外囲器98内の所定の
位置に配置したゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を
形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分で
あり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば10-3ないし
は10-5Paの真空度を維持するためのものである。
【0114】尚、前述したフォーミング及びこれ以降の
電子放出素子の各製造工程は、通常、外囲器98の封止
直前又は封止後に行われるもので、その内容は前述の通
りである。
【0115】上述の表示パネル111は、例えば図11
に示されるような駆動回路で駆動することができる。
尚、図11において、111は表示パネル、112は走
査回路、113は制御回路、114はシフトレジスタ、
115はラインメモリ、116は同期信号分離回路、1
17は変調信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源であ
る。
【0116】図11に示されるように、表示パネル11
1は、外部端子Dx1ないしDxm、外部端子Dy1な
いしDyn及び高圧端子Hvを介して外部の電気回路と
接続されている。この内、外部端子Dx1ないしDxm
には前記表示パネル111内に設けられている電子放出
素子、即ちm行n列の行列状にマトリクス配置された電
子放出素子群を1行(n素子ずつ)順次駆動して行くた
めの走査信号が印加される。
【0117】一方、端子Dy1ないし外部端子Dynに
は、前記走査信号により選択された1行の各電子放出素
子の出力電子ビームを制御するための変調信号が印加さ
れる。また、高圧端子Hvには、直流電圧源Vaより、
例えば10kVの直流電圧が供給される。これは電子放
出素子より出力される電子ビームに、蛍光体を励起する
のに十分なエネルギーを付与するための加速電圧であ
る。
【0118】走査回路112は、内部にm個のスイッチ
ング素子(図11中S1ないしSmで模式的に示す)を
備えるもので、各スイッチング素子S1〜Smは、直流
電圧電源Vxの出力電圧もしくは0V(グランドレベ
ル)のいずれか一方を選択して、表示パネル111の外
部端子Dx1ないしDxmと電気的に接続するものであ
る。各スイッチング素子S1〜Smは、制御回路113
が出力する制御信号Tscanに基づいて動作するもの
で、実際には、例えばFETのようなスイッチング機能
を有する素子を組み合わせることにより容易に構成する
ことが可能である。
【0119】本例における前記直流電圧源Vxは、前記
電子放出素子の特性(しきい値電圧)に基づき、走査さ
れていない電子放出素子に印加される駆動電圧がしきい
値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定さ
れている。
【0120】制御回路113は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる働きを持つものである。次に説明する
同期信号分離回路116より送られる同期信号Tsyn
cに基づいて、各部に対してTscan、Tsft及び
Tmryの各制御信号を発生する。
【0121】同期信号分離回路116は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分を分離するための回路で、よく知られてい
るように、周波数分離(フィルター)回路を用いれば、
容易に構成できるものである。同期信号分離回路116
により分離された同期信号は、これもよく知られるよう
に、垂直同期信号と水平同期信号よりなる。ここでは、
説明の便宜上Tsyncとして図示する。一方、前記テ
レビ信号から分離された画像の輝度信号成分を便宜上D
ATA信号と図示する。このDATA信号はシフトレジ
スタ114に入力される。
【0122】シフトレジスタ114は、時系列的にシリ
アル入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎
にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御
回路113より送られる制御信号Tsftに基づいて作
動する。この制御信号Tsftは、シフトレジスタ11
4のシフトクロックであると言い換えてもよい。また、
シリアル/パラレル変換された画像1ライン分(電子放
出素子のn素子分の駆動データに相当する)のデータ
は、Id1ないしIdnのn個の並列信号として前記シ
フトレジスタ114より出力される。
【0123】ラインメモリ115は、画像1ライン分の
データを必要時間だけ記憶するための記憶装置であり、
制御回路113より送られる制御信号Tmryに従って
適宜Id1ないしIdnの内容を記憶する。記憶された
内容は、Id’1ないしId’nとして出力され、変調
信号発生器117に入力される。
【0124】変調信号発生器117は、前記画像データ
Id’1ないしId’nの各々に応じて、電子放出素子
の各々を適切に駆動変調するための信号源で、その出力
信号は、端子Dy1ないしDynを通じて表示パネル1
11内の電子放出素子に印加される。
【0125】前述したように、本発明で用いられる電子
放出素子は電子放出に明確なしきい値電圧を有してお
り、しきい値電圧を超える電圧が印加された場合にのみ
電子放出が生じる。また、しきい値電圧を超える電圧に
対しては電子放出素子への印加電圧の変化に応じて放出
電流も変化して行く。電子放出素子の材料、構成、製造
方法を変えることにより、しきい値電圧の値や印加電圧
に対する放出電流の変化度合いが変わる場合もあるが、
いずれにしても以下のことがいえる。
【0126】即ち、電子放出素子にパルス状の電圧を印
加する場合、例えばしきい値電圧以下の電圧を印加して
も電子放出は生じないが、しきい値電圧を超える電圧を
印加する場合には電子放出を生じる。その際、第1には
電圧パルスの波高値を変化させることにより、出力され
る電子ビームの強度を制御することが可能である。第2
には、電圧パルスの幅を変化させることにより、出力さ
れる電子ビームの電荷の総量を制御することが可能であ
る。
【0127】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式とが挙げられる。電圧変調方式を行う場合、変調信号
発生器117としては、一定の長さの電圧パルスを発生
するが、入力されるデータに応じて適宜パルスの波高値
を変調できる電圧変調方式の回路を用いる。また、パル
ス幅変調方式を行う場合、変調信号発生器117として
は、一定の波高値の電圧パルスを発生するが、入力され
るデータに応じて適宜パルス幅を変調できるパルス幅変
調方式の回路を用いる。
【0128】シフトレジスタ114やラインメモリ11
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でもよく、画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶が
所定の速度で行えるものであればよい。
【0129】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路116の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要がある。これは同期信号分離回路116の出力
部にA/D変換器を設けることで行える。
【0130】また、これと関連して、ラインメモリ11
5の出力信号がデジタル信号かアナログ信号かにより、
変調信号発生器117に設けられる回路が若干異なるも
のとなる。
【0131】即ち、デジタル信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器117には、例えばよく知られてい
るD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等を付
け加えればよい。また、デジタル信号でパルス幅変調方
式の場合、変調信号発生器117は、例えば高速の発振
器及び発振器の出力する波数を計数する計数器(カウン
タ)及び計数器の出力値と前記メモリの出力値を比較す
る比較器(コンパレータ)を組み合わせた回路を用いる
ことで容易に構成することができる。更に、必要に応じ
て、比較器の出力するパルス幅変調された変調信号を電
子放出素子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器
を付け加えてもよい。
【0132】一方、アナログ信号で電圧変調方式の場
合、変調信号発生器117には、例えばよく知られてい
るオペアンプ等を用いた増幅回路を用いればよく、必要
に応じてレベルシフト回路等を付け加えてもよい。ま
た、アナログ信号でパルス幅変調方式の場合、例えばよ
く知られている電圧制御型発振回路(VCO)を用いれ
ばよく、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電
圧増幅するための増幅器を付け加えてもよい。
【0133】以上のような表示パネル111及び駆動回
路を有する本発明の画像形成装置は、端子Dx1〜Dx
m及びDy1〜Dynから電圧を印加することにより、
必要な電子放出素子から電子を放出させることができ、
高圧端子Hvを通じて、メタルバック95あるいは透明
電極(不図示)に高電圧を印加して電子ビームを加速
し、加速した電子ビームを蛍光膜94に衝突させること
で生じる励起・発光によって、NTSC方式のテレビ信
号に応じてテレビジョン表示を行うことができるもので
ある。
【0134】尚、以上説明した構成は、表示等に用いら
れる本発明の画像形成装置を得る上で必要な概略構成で
あり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述の内容
に限られるものではなく、画像形成装置の用途に適する
よう、適宜選択されるものである。また、入力信号とし
てNTSC方式を挙げたが、本発明に係る画像形成装
はこれに限られるものではなく、PAL、SECAM方
式等の他の方式でもよく、更にはこれらよりも多数の走
査線からなるTV信号、例えばMUSE方式を初めとす
る高品位TV方式でもよい。
【0135】さらに、本発明に係る画像形成装置は、上
述したテレビジョン放送の表示装置のみならず、テレビ
会議システム、コンピューター等の表示装置として好適
な画像形成装置が得られる。更には、感光ドラムとで構
成した光プリンターの露光装置としても用いることがで
きるものである。
【0136】
【実施例】以下、具体的な実施例を基に本発明を説明す
る。
【0137】(実施例)本実施例は、図2と同様の構成
を有する複数の電子放出素子を図8に模式的に示すよう
に基体上にマトリクス状に配線接続して電子源基板を構
成し、かかる電子源基板を用いて図9に示したような画
像形成装置を製造した例である。
【0138】先ず、電子源基板の製造手順を、図12等
を参照して説明する。尚、図12は電子源基板の一部の
みを表している。
【0139】工程(a) 青板ガラス1を洗剤と純水により洗浄した後、スクリー
ン印刷法により、複数対の素子電極2,3の形状のMO
Dペースト(DU−2110;ノリタケ(株)製)のパ
ターンを形成した(図12(a))。このMODペース
トは金属成分として、金を含むものである。印刷後、1
10℃で20分乾燥し、次いで熱処理装置によりピーク
温度580℃ピーク保持時間8分間の条件で上記MOD
ペーストを焼成し、厚さ0.3μmの素子電極2,3を
形成した。
【0140】工程(b) 次いで、金属成分として銀を含むペースト材料(NP−
4028A;ノリタケ(株)製)を用い、スクリーン印
刷法によりy方向配線82のパターンを形成し、工程
(a)と同様の条件で焼成してy方向配線82を形成し
た(図12(b))。
【0141】工程(c) 次に、PbOを主成分とするペーストを用い、層間絶縁
層121のパターンを印刷し、工程(a),(b)と同
様の条件で焼成して層間絶縁層121を形成した(図1
2(c))。この層間絶縁層121は、素子電極の一方
と、後の工程で形成するx方向配線とが接続されるよ
う、切り欠き部分を有している。
【0142】工程(d) 工程(b)と同様の方法で、x方向配線81を形成した
(図12(d))。
【0143】工程(e) 次に、RFマグネトロンスパッタによって高抵抗膜4を
形成した(図12中には示していない。)。この時のス
パッタ領域は、素子電極、層間絶縁層、x及びy方向配
線を含む基板全体とした。ここで、使用したターゲット
は炭素であり、高抵抗膜4の膜厚は約10nmとし、こ
のときのシート抵抗値は4×1010Ω/□程度であっ
た。さらに接触角計にて高抵抗膜4の接触角を計測した
結果、水を液滴とした場合で60°であった。
【0144】工程(f) 次に、有機パラジウム含有溶液(奥野製薬(株)製、c
cp−4230)を、液滴付与装置として圧電素子を用
いたインクジェット噴射装置を用いて、幅W2(図2
(a)参照)が200μmになるように、素子電極2,
3間に液滴を1つ(1ドット)付与した。かかる工程を
何回か繰り返し、各素子電極間に複数液滴を付与した。
次に、300℃で10分間の加熱処理を行って、上記液
滴から酸化パラジウム(PdO)微粒子からなる微粒子
膜を形成し、導電性膜5とした(図12(e))。な
お、ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合し
た膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散
配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは
重なり合った状態(島状も含む)の膜を指す。
【0145】その後、形成された導電性膜5の形状を光
学顕微鏡下で観察したところ、液滴が流れることによる
位置ずれ、形状くずれが減少し、複数作製時の薄膜形状
の均一性が向上していることを確認した。
【0146】次に、以上のようにして作製した電子源基
板1(図12(e)参照)を用いて、図9に示したよう
な画像形成装置を構成した。以下、具体的に説明する。
【0147】上記のようにして多数の導電性膜5をマト
リクス状に配線接続してなる電子源基板1をリアプレー
ト91上に固定した後、電子源基板1の4mm上方に、
フェースプレート96(ガラス基板93の内面に蛍光膜
94とメタルバック95が形成されて構成される)を、
支持枠92を介して配置し、フェースプレート96、支
持枠92、リアプレート91の接合部にフリットガラス
を塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で400℃ない
し500℃で10分以上焼成することで封着し、外囲器
98を形成した(図9参照)。尚、リアプレート91へ
の電子源基板1の固定もフリットガラスで行った。
【0148】蛍光膜94は、モノクロームの場合は蛍光
体のみからなるが、本実施例では、蛍光体はストライプ
形状を採用し、先にブラックストライプを形成し、その
間隙部に各色蛍光体を塗布し、蛍光膜94を作製した。
ブラックストライプの材料としては、通常良く用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料を用いた。ガラス基板9
3に蛍光体を塗布する方法はスラリー法を用いた。ま
た、蛍光膜94の内面側には、メタルバック95を設け
た。メタルバック95は、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面
側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を
行い、その後、Alを真空蒸着することで作製した。
【0149】フェースプレート96には、更に蛍光膜9
4の導電性を高めるため、蛍光膜94の外面側に透明電
極(不図示)が設けられる場合もあるが、本実施例で
は、メタルバックのみで十分な導電性が得られたので省
略した。
【0150】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないた
め、十分な位置合わせを行った。
【0151】以上のようにして完成した外囲器(パネ
ル)98の雰囲気を、排気管(図示せず)を通じ真空ポ
ンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器外端子
Dxo1乃至DoxmとDoy1乃至Doynを通じ
て、電子放出素子83の素子電極2,3間に電圧を印加
し、導電性膜5をフォーミング処理することにより、電
子放出部6を形成した。フォーミング処理の電圧波形
は、図5(b)と同様である。本実施例ではT1を1ミ
リ秒、T2を10ミリ秒とし、約2×10-3Paの圧力
下で行った。
【0152】このように形成された電子放出部6は亀裂
を含み、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配
置された状態となり、その微粒子の平均粒径は3nmで
あった。
【0153】次に、スローリークバルブを通してパネル
の排気管より、アセトンをパネル内に導入し、0.1P
aを維持した。
【0154】次いで、上記フォーミング処理で使用した
三角波を矩形波に変えて、波高14Vで、素子電流I
f,放出電流Ieを測定しながら、活性化処理を行っ
た。
【0155】以上のようにフォーミング、活性化処理を
行い、多数の電子放出部6を含む導電性膜がマトリクス
状に配線接続された電子源が得られた。
【0156】次に、外囲器内を10-6Pa程度の圧力ま
で排気し、不図示の排気管をガスバーナーで熱すること
で溶着して外囲器の封止を行った。
【0157】最後に、封止後の真空度を維持するため
に、高周波加熱法でゲッター処理を行った。
【0158】以上のように完成した本実施例の表示パネ
ル111(図9参照)において、各電子放出素子には、
容器外端子Dox1乃至DoxmとDoy1乃至Doy
nを通じ走査信号及び変調信号を図11の駆動回路によ
りそれぞれ印加することにより電子放出させ、一方メタ
ルバック95には、高圧端子97を通じて数kV以上の
高圧を印加して電子ビームを加速し、蛍光膜94に衝突
させて励起・発光させることで画像を表示した。
【0159】その結果、各電子放出素子の電子放出特性
は極めて安定で、安定した画像を表示し、電子ビームの
偏向等もおきず、放電による破壊等も見られなかった。
【0160】また、導電性膜が形成される領域(即ち、
素子電極及び素子電極間の基板)の表面状態(濡れ性)
を均一化したことにより、導電性膜形成時に用いる液滴
が流れることによる位置ずれ、形状くずれを減少させる
ことができ、各電子放出特性の均一化も実現することが
できた。
【0161】さらに、高抵抗膜を導電性膜の下地に設
け、この高抵抗膜の表面エネルギーを制御したことで、
従来行われていた導電性膜形成前の表面処理も省けるた
め製造工程の簡略化も実現することができた。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
素子電極上、配線上、導電性膜と基板との間、及び露出
基板面上に渡って高抵抗膜を配置したことにより、入力
信号に応じて応答する画像形成装置おいて異常放電が起
こった際に、過剰電流の素子膜(電子放出部を含む導電
性膜)への流入、隣接素子膜への流入を効果的に防止す
ることができ、電子放出特性を安定化させて、電子源及
び画像形成装置の品質を向上させることができる。
【0163】また、帯電防止及び電流制限抵抗としての
機能を果たす高抵抗膜は、その接触角を制御すること
で、特に導電性膜を特にインクジェット法にて付与する
際の基板及び電極表面の表面エネルギー制御層としての
役割を果たすことができる。これにより、従来、導電性
膜形成領域(基板上と素子電極上)の濡れ性の不均一に
より発生していた導電性膜の形状ばらつきや位置ずれを
抑制することができる。
【0164】即ち、本発明の構成によれば、帯電制御と
接触角制御とを1層の膜(高抵抗膜)で実現することが
可能であり、帯電防止による電子放出素子の特性安定化
を実現できると共に、導電性膜形成時の寸法精度と位置
精度の向上、製造の安定化とプロセスの簡略化が図ら
れ、より高品位な画像が得られる画像形成装置の更なる
低コスト化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の表面伝導型電子放出素子の基本構成図
である。
【図2】本発明の電子源における電子放出素子の基本構
成図である。
【図3】本発明の電子源における電子放出素子の製造方
法の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の特性
を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子放出素子のフォ
ーミング電圧波形図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の基本
的な測定評価装置図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子放出素子の電気
特性を示す図である。
【図8】単純マトリクス型配置の本発明の電子源の概略
的構成図である。
【図9】単純マトリクス型配置の電子源を用いた本発明
の画像形成装置に用いる表示パネルの概略的構成図であ
る。
【図10】蛍光膜の説明図である。
【図11】表示パネルを駆動する駆動回路の一例を示す
図である
【図12】本発明の実施例における単純マトリクス型配
置の電子源の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2、3 素子電極 4 高抵抗膜 5 導電性膜 5’ 導電性膜材料 6 電子放出部 7 インクジェット噴射装置 8 液滴 11 基板 15 導電性膜 16 電子放出部 60 電流計 61 電源 62 電流計 63 高圧電源 64 アノード電極 65 真空容器(真空装置) 66 排気ポンプ 81 X方向配線 82 Y方向配線 83 電子放出素子 91 リアプレート 92 支持枠 93 ガラス基板 94 蛍光膜 95 メタルバック 96 フェースプレート 97 高圧端子 98 外囲器 101 黒色導電材 102 蛍光体 111 表示パネル 112 走査回路 113 制御回路 114 シフトレジスタ 115 ラインメモリ 116 同期信号分離回路 117 変調信号発生器 121 層間絶縁層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板上に、間隔を置いて並設され
    た一対の素子電極と、該一対の素子電極間に配置され電
    子放出部を含む導電性膜とを有する電子放出素子の複数
    と、該複数の電子放出素子に接続された配線と、を具備
    する電子源において、 絶縁性基板と導電性膜との間、素子電極と導電性膜との
    間、及び絶縁性基板の露出面上に、該導電性膜よりも高
    抵抗の高抵抗膜が設けられていることを特徴とする電子
    源。
  2. 【請求項2】 前記高抵抗膜は、更に前記素子電極上及
    び前記配線上に渡って配置されていることを特徴とする
    請求項1に記載の電子源。
  3. 【請求項3】 前記高抵抗膜のシート抵抗が1010Ω〜
    1012Ωであることを特徴とする請求項1または2に記
    載の電子源。
  4. 【請求項4】 前記高抵抗膜の水滴の接触角が50°〜
    70°であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の電子源。
  5. 【請求項5】 絶縁性基板上に、間隔を置いて並設され
    た一対の素子電極と、該素子電極間に配置され電子放出
    部を含む導電性膜とを有する電子放出素子の複数と、該
    複数の電子放出素子に接続された配線と、を具備する電
    子源の製造方法において、 絶縁性基板上に、複数対の素子電極及び配線を形成する
    工程と、 該素子電極上、該配線上、及び該絶縁性基板の露出面に
    高抵抗膜を形成する工程と、 該複数対の素子電極間に渡ってそれぞれ該高抵抗膜より
    低抵抗の導電性膜を形成する工程と、 該導電性膜に電子放出部を形成する工程、を有すること
    を特徴とする電子源の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記高抵抗膜のシート抵抗が1010Ω〜
    1012Ωであることを特徴とする請求項5に記載の電子
    源の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記高抵抗膜の水滴の接触角が50°〜
    70°であることを特徴とする請求項5又は6に記載の
    電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記導電性膜を形成する工程は、金属を
    含む液体をインクジェット法にて付与し、これを加熱す
    る工程を含むことを特徴とする請求項5乃至7のいずれ
    かに記載の電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 電子源と、画像形成部材とを有する画像
    形成装置であって、該電子源が、請求項1乃至4のいず
    れかに記載の電子源であることを特徴とする画像形成装
    置。
  10. 【請求項10】 電子源と、画像形成部材とを有する画
    像形成装置の製造方法であって、該電子源を請求項5乃
    至8のいずれかに記載の製造方法によって製造すること
    を特徴とする画像形成装置の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7458872B2 (en) 2004-01-05 2008-12-02 Canon Kabushiki Kaisha Method of manufacturing electron-emitting device, electron source, and image display device
CN100456413C (zh) * 2004-06-03 2009-01-28 佳能株式会社 电子发射元件、电子源、图像显示装置和它们的制造方法

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