JP2002075165A - カソードおよびその製造方法 - Google Patents

カソードおよびその製造方法

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JP2002075165A JP2000262091A JP2000262091A JP2002075165A JP 2002075165 A JP2002075165 A JP 2002075165A JP 2000262091 A JP2000262091 A JP 2000262091A JP 2000262091 A JP2000262091 A JP 2000262091A JP 2002075165 A JP2002075165 A JP 2002075165A
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秀昭 玉井
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J1/00Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
    • H01J1/02Main electrodes
    • H01J1/13Solid thermionic cathodes
    • H01J1/14Solid thermionic cathodes characterised by the material
    • H01J1/144Solid thermionic cathodes characterised by the material with other metal oxides as an emissive material

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取扱いが容易で、かつ、有害性がなく、14
00℃以上の高温で安定、かつ、良好な電子放出特性を
得ることができる構造のカソードおよびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 たとえばWからなる高融点金属材料の多
結晶体1または多結晶多孔質体と、その多結晶体1中
に、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタ
ン、酸化セリウム、および酸化チタンの群れから選ばれ
る少なくとも1種が0.1〜30重量%分散されたエミ
ッタ材2とからなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温動作が可能な
カソードおよびその製造方法に関する。さらに詳しく
は、含浸型カソードの動作温度より高温(たとえば14
00℃以上)で動作可能であり、かつ、環境的に安全材
料を用いたカソードおよびその製造方法に関する。
【従来の技術】従来、たとえば大電力送信設備用電子
管、露光装置の光源用ランプなどに用いられ、図15
(a)に示されるような中型から大型の電子管に用いら
れるカソード、または図15(b)に示されるような大
電力放電管ランプ用のカソードのように、含浸型カソー
ドが動作不能な温度である1400℃以上の高温で動作
可能なカソードとしては、酸化トリウム(ThO2)入
り(約2重量%)タングステン(W)カソード(通称ト
リタンカソード)21が電極20に接続されて一般的に
使用されている。中型から大型の電子管用カソードでは
管内雰囲気の改善や環境対策に基づく管設計変更によっ
て、含浸型カソードも近年用いられるようになってきて
いるが、大電力放電管ランプ用ではトリタンカソードが
唯一の実用的なカソードで、含浸型カソードで置き換え
ることは難しい。
【0001】このトリタンカソードは、約1500〜1
800℃で、W中のThO2がWやカソード表層の炭素
(C)によって還元され、陰極表面にTh-W単原子層
を形成する。これにより、仕事関数として、約2.7e
Vが得られ、真空度10-5Pa、2000℃で約10A
/cm2の電子放出特性が得られる。この特性は、同様
に取り扱うことが可能なタングステンカソード(仕事関
数は約4.5eV)と比較すると、約1000倍以上の
電子放出特性の向上が得られる。しかし、トリタンに含
有させているThO2は放射性物質であることから、取
扱いには厳重な管理を必要とし、健康、環境面で潜在的
な問題を抱えている。また、近年の環境対策とも相俟っ
て、トリウム(Th)は供給元である欧州を中心とし
て、使用削減、あるいは使用停止の方向にあり、将来に
亘る安定供給の面でも問題がある。
【0002】さて、トリタン、タングステンカソードの
他に、電子顕微鏡や超LSI微細加工用の電子ビーム露
光器などの高輝度電子ビーム源として用いられ、図16
に示されるような構造の高温動作可能なカソードとし
て、ホウ化ランタン(LaB6)カソード22がある。
金属的な電気伝導性と比較的低い仕事関数(2.68e
V)をもち、真空度10-5Pa、動作温度1600℃で
約20〜100A/cm 2の電子放出特性が得られる。
また、イオン衝撃性に比較的強く、大気暴露後において
も、容易に元の電子放出特性に回復する。しかし、この
LaB6は単結晶であり、充分な電子放出特性を引き出
すためには、最適な結晶面(100)、(210)を選
ぶ必要がある。また、寿命は500〜2000時間と比
較的短い。これは、LaB6組成の安定性に未だ問題が
あるためである。すなわち、他の希土類ホウ化物(たと
えばYB6、GdB6)に比較すれば格段に安定ではある
ものの、高温下での表面組成の安定に多くの問題が報告
されている。このように、LaB6は、単結晶に由来す
る取扱いの困難さ、およびその寿命に問題がある。
【0003】さらに、やや特殊ではあるが、超LSI微
細加工用の電子ビーム露光機に一部使用される、図17
に示されるようなジルコニウム(Zr)被覆W(単結晶
100面)カソード23がある。このZr被覆Wカソー
ドは、水素化ジルコニウムを真空中で熱分解し、W表面
にZrを吸着させ、その後に酸素を導入することによ
り、表面にZr-O-W層24の電気双極子モーメントを
形成することによって仕事関数を2.4eV程度に減じ
良好な特性が得られる。現在、同様な構造として、Ti
-O-W(単結晶100面)の開発が報告されている。動
作温度は1500℃程度で、寿命は5000時間と言わ
れているが、必要な真空度は10-7Pa以上である。い
ずれにしても、W単結晶の結晶面を選ぶ必要がある点、
および実用的再現性において、多くの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、高温動
作用に用いられるカソードとして、トリタン陰極は、放
射性物質が含まれていることにより、健康面および環境
面の点から潜在的な問題を含んでいると共に、材料の安
定供給という点からも問題がある。また、含浸型カソー
ドは一般的には、1400℃以上では動作が不可能であ
り、さらにLaB 6やZr被覆W(単結晶100面)カ
ソードは、面方位設定などの取扱いの困難さおよび安定
性に問題がある。
【0005】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、取扱いが容易で、かつ、有害性がな
く、1400℃以上の高温で安定、かつ、良好な電子放
出特性を得ることができる構造のカソードおよびその製
造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による高温で動作
するカソードは、高融点金属材料の多結晶体または多結
晶多孔質体と、該多結晶体または多結晶多孔質体中に
0.1〜30重量%の割合で分散された、酸化ハフニウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、
および酸化チタンの群れから選ばれる少なくとも1種の
エミッタ材、または該エミッタ材にハフニウム(H
f)、Zr、ランタン(La)、セリウム(Ce)、お
よびチタン(Ti)の群れから選ばれる少なくとも1種
が混合されたエミッタ材とからなっている。
【0007】この構成にすることにより、高温の動作温
度になると、タングステンまたはモリブデン(Mo)な
どの高融点金属表面に、酸化ハフニウム、酸化ジルコニ
ウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化チタンなどに
起因する単原子層(酸素を介しないHf-Wなどと、酸
素を介したHf-O-Wなどを含む)が形成される。この
単原子層は、高温度でも比較的安定であり、仕事関数を
減じ、良好な電子放出が得られるカソードとして動作す
る。
【0008】前記高融点金属材料が、タングステンまた
はモリブデン中に0.01〜1重量%の割合でHf、Z
r、またはTiが添加された合金であれば、これら添加
元素は還元材として作用し、高融点金属単体の還元力を
向上させるため好ましい。
【0009】前記多結晶体または多結晶多孔質体の少な
くとも電子放射面に、イリジウム(Ir)、ルテニウム
(Ru)、オスミウム(Os)およびレニウム(Re)
の群れから選ばれる少なくとも1種の金属層が設けられ
ることにより、より一層仕事関数を下げることができ好
ましい。
【0010】前記多結晶体または多結晶多孔質体の少な
くとも電子放射面に、炭化タングステン層または炭化モ
リブデン層が設けられることにより、より一層仕事関数
を下げることができ好ましい。
【0011】前記多結晶体の結晶粒が、等軸方向に繊維
構造化されることにより、靭性が向上し加工が容易にな
ると共に、炭化した場合にその緻密構造により、最表面
のみに炭化層が形成されるため好ましい。
【0012】本発明の他の形態は、タングステン酸ハフ
ニウム、タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸
ランタン、タングステン酸セリウム、およびタングステ
ン酸チタンの群れから選ばれる少なくとも1種の化合物
層が電子放出面に設けられている。この構造にすると、
たとえば、タングステン酸ハフニウムは、高温真空下の
カソード動作条件ではタングステンと酸化ハフニウムに
分解していく。このようにして得られるタングステンと
酸化ハフニウムは均質性がよくタングステンの還元作用
が円滑であり、長寿命化に有利である。
【0013】本発明によるカソードの製造方法は、高融
点金属材料の多結晶体または多結晶多孔質体にエミッタ
材を分散させるカソードの製造方法であって、エミッタ
材の少なくとも一部の材料として、タングステン酸ハフ
ニウム、タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸
ランタン、タングステン酸セリウム、およびタングステ
ン酸チタンの群れから選ばれる少なくとも1種の化合物
粉末を用いることを特徴とする。このようにすれば、タ
ングステンと酸化物エミッタとが、均質に分散し、エミ
ッタ材の還元作用が円滑に行われる。
【0014】本発明による他のカソードの製造方法は、
高融点金属材料の酸化物粉末と、Hf、Zr、La、C
eおよびTiなる群れから選ばれる少なくとも1種の金
属の酸化物粉末とを、水または有機溶媒中で混合し、つ
いで焼成することにより高融点金属酸化物を還元し、前
記高融点金属材料中に、エミッタ材としての酸化ハフニ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウ
ム、および酸化チタンの群れから選ばれる少なくとも1
種を有するエミッタ材を分散させることを特徴とする。
【0015】本発明によるさらに他のカソードの製造方
法は、Hf、Zr、La、CeおよびTiなる群れから
選ばれる少なくとも1種の金属の硝酸塩を水または有機
溶媒に溶かした溶液と、高融点金属材料の酸化物粉末と
を混合し、ついで焼成することにより高融点金属酸化物
を還元すると共に前記硝酸塩を分解し、前記高融点金属
材料中に、エミッタ材としての酸化ハフニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、および酸化
チタンの群れから選ばれる少なくとも1種を有するエミ
ッタ材を分散させることを特徴とする。
【0016】本発明によるさらに他のカソードの製造方
法は、多孔質高融点金属体中に、Hf、Zr、La、C
eおよびTiなる群れから選ばれる少なくとも1種の金
属のアルコキシドを有機溶媒に溶かした溶液を減圧含浸
し、ついで焼成することにより前記アルコキシドを分解
することにより、前記多孔質高融点金属材料中に、エミ
ッタ材としての酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸
化ランタン、酸化セリウム、および酸化チタンの少なく
とも1種を有するエミッタ材を分散させることを特徴と
する。
【0017】本発明によるさらに他のカソードの製造方
法は、高融点金属粉末に、Hf、Zr、La、Ceおよ
びTiなる群れから選ばれる少なくとも1種の金属のア
ルコキシドを被覆し、ついで焼成することにより前記ア
ルコキシドを分解して酸化物とし、該酸化物により被覆
される前記高融点金属粉末を成形することにより、高融
点金属材料中にエミッタ材としての酸化ハフニウム、酸
化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、および
酸化チタンの少なくとも1種を有するエミッタ材を分散
させることを特徴とする。
【0018】前記焼成により高融点金属粉末の周囲に前
記酸化物により被覆された固形物を粉砕し、新たな高融
点金属粉末と混合し、その後成形することにより、成形
体の機械的強度を向上させることができる。
【0019】前記各製造方法における焼成を、前記エミ
ッタ材が還元しない温度で行うことが、酸化ハフニウム
などのエミッタ材の無駄な蒸発および最終生成物の生成
を抑制することができるため好ましい。
【0020】また、前述の各製造方法において、前記エ
ミッタ材を分散させた高融点金属材料に、水素中で熱間
転打による線引工程を追加することにより、前記高融点
金属材料の結晶粒を等軸方向に繊維構造化させることが
でき、靭性が向上し、加工性に優れるため好ましい。
【0021】前記繊維構造化させた後に、その表面の少
なくともその電子放射面に炭化タングステン層または炭
化モリブデン層を形成すると、とくに最表面のみが炭化
されて内部は炭化されないため、理想的な構造になる。
【0022】
【発明の実施の形態】つぎに、図面を参照しながら本発
明の高温動作カソードおよびその製造方法について説明
をする。本発明による高温動作カソードは、図1にその
一実施形態である、X線管用および大電力放電管ランプ
用のカソードの断面説明図がそれぞれ示されるように、
たとえばWからなる高融点金属材料の多結晶体1または
多結晶多孔質体と、その多結晶体1中に、酸化ハフニウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、
および酸化チタンの群れから選ばれる少なくとも1種が
0.1〜30重量%分散されたエミッタ材、または該エ
ミッタ材にハフニウム、ジルコニウム、ランタン、セリ
ウム、およびチタンの群れから選ばれる少なくとも1種
が混合されたエミッタ材2とからなっている。なお、4
はカソードスリーブ、5はヒータ、20は電極をそれぞ
れ示している。図1に示される例は、高融点金属材料か
らなる多結晶体1中へのエミッタ材2の分散が、高融点
金属材料粉末とエミッタ材粉末の混合により形成された
例である。
【0023】高融点金属材料としては、前述のWの他
に、Moなどを用いることができる。また、これらWやM
o中に還元材としてHf、ZrまたはTiなどを0.01
〜1重量%程度の割合で添加した合金を用いることによ
り一層還元力を向上させることができるため好ましい。
エミッタ材2は、前述のように、酸化ハフニウム、酸化
ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化チタ
ンなどを用いることができるが、これらのエミッタ材に
ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、チタ
ンなどが混合していてもよい。
【0024】このカソードを製造するには、たとえば図
2にそのフローチャートの一例が示されるように、酸化
タングステンWO3粉末と、酸化ハフニウムHfO2粉末
とを、アルコール中で混合してから乾燥する(S1)。
アルコールは、表面エネルギーの高い微粉末の表面エネ
ルギーを下げ、微粉末同士が凝集するのを防止して均質
混合しやすくするために用いるもので、アルコールでな
くても他の有機溶媒、または水でもよい。しかし、蒸発
しやすい有機溶媒の方が乾燥しやすく好ましい。このと
きの混合方法は、まず酸化ハフニウム粉末と同量の酸化
タングステン粉末を混ぜ、つぎにその混合物と同量の酸
化タングステン粉末を追加するという具合に、常に被混
合物を同量の割合で混ぜ合せてゆく。これにより、酸化
ハフニウムが1重量%と少量の場合でも、均質な混合物
が得られ、カソードとしての特性の再現性が向上する。
【0025】つぎに、水素炉で800℃程度、10分程
度の仮焼きをして酸化タングステンを還元し、粒径が
0.1〜1μm程度のタングステン微粉末と酸化ハフニ
ウム粉末との混合粉末を作製する(S2)。これをさら
にアルコール中で充分に混合した(S3)後、ダイスで
錠剤形状に圧粉し(S4)、続いてCIP(冷間静水圧
加工)処理により、所望の形状のカソードを形成する
(S5)。
【0026】最後に、水素炉で、1800℃以上の熱処
理を施すことによりカソードが形成される(S6)。こ
の熱処理は、タングステンを焼結(粒界を再構築)し、機
械的強度を上げるためのもので、カソードの活性化温度
以下で行うことが望ましい。すなわち、本実施例の酸化
ハフニウムを用いた場合、2200℃、20分の条件で
処理をした。これにより、酸化ハフニウムの無駄な蒸
発、および最終生成物の生成を抑制することができる。
なお、この過程で、エミッタ材にHfなどが生成して混
入しても差し支えない。
【0027】図2に示される例で、WO3に代えて、酸
化モリブデンを用いても同様であり、また、Hf、Zr
またはTiを添加したタングステン粉末またはモリブデ
ン粉末を用いることにより、Hf、ZrまたはTi入り
のタングステン合金またはモリブデン合金に、エミッタ
材を分散させたカソードが得られる。
【0028】このタングステン酸化物粉末と、エミッタ
材との混合により製造する方法は、図3に示されるよう
な工程で行うこともできる。すなわち、まず硝酸ハフニ
ウムHf(NO3)2をアルコールに溶かした溶液を作製す
る(S11)。この場合も、アルコールに代えて他の有
機溶剤または水を使用することができる。この溶液に酸
化タングステンWO3粉末を投入し、よく混合し、乾燥
する(S12)。つぎに、水素炉で、800℃、10分
程度の仮焼きを行う(S13)。このとき、酸化タング
ステンの還元と硝酸ハフニウムの熱分解が生じ、タング
ステン微粉末と酸化ハフニウム微粉末の混合粉末を得る
ことができる。この後、もう一度アルコール中でよく混
合する(S14)。
【0029】そして、ダイスで圧粉錠剤化し(S1
5)、続いてCIP(冷間静水圧加工)処理を施し(S
16)、所望のカソード形状にする。最後に、水素炉
で、1800℃以上、20分程度の熱処理を行うことに
より、カソードが得られる(S17)。この場合も、前
述の例と同様に、カソードの活性化温度以下で行うこと
が望ましい。これにより、酸化ハフニウムの無駄な蒸
発、およびを抑制することができる。この方法を用いる
ことにより、より一層エミッタ材が均一に分散したカソ
ードが得られる。
【0030】この場合も、この過程で、エミッタ材にH
fなどが生成して混入しても差し支えないし、WO3
代えて、酸化モリブデンを用いても同様であり、また、
Hf、ZrまたはTiを添加したタングステン粉末また
はモリブデン粉末を用いることにより、Hf、Zr、ま
たはTi入りのタングステン合金またはモリブデン合金
に、エミッタ材を分散させたカソードが得られる。
【0031】このようにして作製されたカソードを図1
(a)および(b)に示されるようにヒータ5や電極2
0に固着することにより、電子管や放電管ランプなどに
組み込まれる。そして、動作させる際には、ヒータ5の
点灯により、一旦2400℃程度でカソードを活性化し
た後、カソード温度を1800℃程度に設定する。これ
により、タングステンにより還元された酸化ハフニウム
が、カソード表面でハフニウム、または酸素を介したハ
フニウムすなわち酸化ハフニウムの単原子層3(たとえ
ばHf-W層またはHf-O-W層)を形成し、仕事関数
を減ずることができる。そして、1800℃で、約0.
5A/cm2の電子放出特性が得られた。なお、放電管
ランプの場合は、たとえば、キセノンガス中で放電トリ
ガーとして高圧パルスを印加してグロー放電させ、直ち
にアーク放電に移行させる。この移行は、雰囲気ガス圧
やカソードにかかる電界の強さなどに由来するプラズマ
密度により決まり、放電管ランプでは自動的に移行する
ように設計されている。アーク放電時のカソードは、前
述と同様にタングステン表面に単原子層を形成し電子放
出を行ないアーク放電を維持する。
【0032】図4は、高融点金属材料1中へのエミッタ
材2の分散が、多孔質高融点金属体の空孔内にエミッタ
材2を含浸させることにより形成された例で、多孔質タ
ングステン体の空孔内に酸化ハフニウムが含浸された状
態の断面説明図である。このカソードを作製するには、
たとえば粒径が0.1〜50μm程度のタングステン粉
末を所望のカソード形状に成形し、1800〜2400
℃程度で焼結することにより、タングステンの多結晶多
孔質体を形成する。
【0033】そして、図5にフローチャート図が示され
るように、ハフニウムのアルコキシド溶液を真空度13
3×50Pa程度の減圧下に置き、減圧下で多孔質タン
グステン体を、アルコキシドを有機溶媒に溶かしたアル
コキシド溶液に浸し、この減圧雰囲気を一気に破ること
により、多孔質タングステン体にアルコキシド溶液を含
浸させる(S21)。この後、乾燥させて(S22)か
ら、水素炉で、1000℃、20分程度の焼成を行う
(S24)ことにより、多孔質体の空孔内に酸化ハフニ
ウムが生成される。その後、工程S21に戻り、含浸、
乾燥、焼成の工程を10回程度繰り返すことにより、空
孔内に充分にエミッタ材が含浸し、図4に示される構造
のカソードが得られる。このような含浸法を用いれば、
エミッタ材が2000℃程度の焼成雰囲気を経験しなく
て済むので、エミッタ材の劣化が殆ど生じず、特性の再
現に有利である。
【0034】この場合も、この過程で、エミッタ材にH
fなどが生成して混入しても差し支えないし、タングス
テン粉末に代えて、モリブデン粉末を用いても同様であ
り、また、Hf、ZrまたはTiを添加したタングステ
ン粉末またはモリブデン粉末を用いることにより、H
f、Zr、またはTi入りのタングステン合金またはモ
リブデン合金に、エミッタ材を分散させたカソードが得
られる。
【0035】図6は、高融点金属材料1中へのエミッタ
材2の分散が、たとえばタングステン粉末からなる高融
点金属粉末の粒界を、たとえば酸化ハフニウムのような
エミッタ材2でコーティングして焼成した例の断面説明
図である。このカソードを作製するには、図7にフロー
チャートが示されるように、まず、アルコキシド溶液中
に、粒径が0.1〜1μm程度のタングステン粉末を投
入し混合する(S31)。これを乾燥し(S32)、水
素炉で、1000℃、20分程度の焼成をし(S3
3)、粉砕する(S34)ことにより、個々のタングス
テン粒界表面上に酸化ハフニウムをコーティングした粉
末を得る。これにさらにタングステン粉末を混合し(S
35)、ダイス圧粉(S36)、CIP処理(S37)
により成形した後に、本焼成として水素炉で、2200
℃、20分程度の焼成を行う(S38)ことにより、図
6に示されるカソードが得られる。
【0036】前述の例では、S35で、タングステン粒
界表面上に酸化ハフニウムをコーティングした粉末に、
さらに新たなタングステン粉末を混合したが、このよう
にタングステン粉末を混ぜることにより、成形体の機械
的強度を改善することができるため好ましいが、ステッ
プS33の焼成後、直接ダイス圧粉(S36)に進んで
も(S34、S35を省略)、高融点金属粉末の粒界
を、たとえば酸化ハフニウムのようなエミッタ材2でコ
ーティングした構造のカソードを得ることができる。
【0037】前述の各例に示されるカソードにより電子
放出特性の優れたカソードが得られるが、前述の図1、
4および6の各例で示されるカソードの、少なくとも電
子放射面にイリジウム(Ir)層または炭化タングステ
ン(W2C)層を設けることにより、さらにカソードの
特性を向上させることができる。
【0038】図8(a)〜(b)に示される例は、カソ
ード表面にIr層6が設けられた例で、カソードが取り
付けられる構造は、図1に示される例と同様である。こ
のIr層6は、たとえば図9に示されるようなスパッタ
装置10にカソード8をセッティングし、133×6×
10-3Pa程度のアルゴンAr雰囲気で、Irのターゲ
ット9とアースに接続されたカソード8間にRF出力2
50Wを印加し、30分程度スパッタリングすることに
より300nm程度の厚さに設けられている。このIr
層6が設けられることにより、図1に示される構造より
も仕事関数を0.5eV程度減じる効果があり、電子放
出特性の向上に有効である。なお、図8において、図1
と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
また、図9において、11は真空引きのためのターボ分
子ポンプ、12はロータリポンプである。
【0039】図8に示される例では、Ir層6がカソー
ドの表面に設けられたが、Irに代えて、Ru、Os、
Reなどの層を設けても、同様に仕事関数を下げること
ができ、電子放出特性を向上させることができる。ま
た、Ir層等の形成は、スパッタ法だけでなく、Irア
ルコキシドの加水分解・焼成によっても形成することが
できる。
【0040】図10は、カソード表面に炭化タングステ
ン(W2C)層7が設けられた例で、取付構造は図1
(a)に示される例と同様である。このW2C層7は、
たとえば図11に示されるような炭化炉ベルジャー14
内の所定の位置にカソード8をセッティングし、つぎの
ように行うことにより設けられる。まず、ベルジャー内
圧を133×10-7Pa以下まで真空にし、ヘプタン入
りボンベ17からヘプタン蒸気をベルジャー14内に導
入する。ヘプタンは、室温で約133×50Paの飽和
蒸気圧を有するので、ガス導入バルブ15により少しづ
つ導入する。このとき、メインバルブ16を適度に絞
り、ベルジャー内圧を133×5×10-4Paで安定す
るように調整する。
【0041】その後、炭化炉ヒータ13でカソード8を
2200℃に加熱すると、約5分で約15μm厚のW2
C炭化層7(図10参照)が得られる。W2Cは柱状結
晶をなしているので、図12に拡大して示されるよう
に、微細な亀裂が生じることによってカソード表面積が
増大し、内部からの酸化ハフニウム2の拡散を容易にす
る。この際、ヘプタンをベルジャー内圧で133×10
-3Pa以上にすると、WCとW2Cが混在した炭化層が
形成され、図12に示されるような柱状結晶が得られな
いので注意を要する。WC粒界は結晶が肥大化し、カソ
ード表面を増大させる図12の状態が得られにくいと共
に、必要以上の炭化は仕事関数を上げてしまう。
【0042】また、加熱温度は2100℃以上2450
℃以下とすることが、炭化層を生成する上で効率的であ
る。2100℃未満では、炭化層の形成に時間がかか
り、さらにカソード表面に非晶質炭素が堆積し、局所的
に炭素濃度が増大し、WCが形成されてしまう。また、
2475℃を超えると、WとW2Cの共晶温度により融
解してしまう。さらに、炭化層の厚さは、余り厚くする
とカソードの機械的強度が低下するため、カソード厚さ
の20%以下にすることが好ましい。
【0043】図1(a)に示される例と同様に、電子管
に組み込んだ後に、活性化のため、一旦2400℃程度
まで加熱することにより、カソード表面は清浄化され、
また、酸化ハフニウムの一部は還元され、単原子層形成
の準備が完了する。ここで、W2Cの役割は、より低温
度で酸化ハフニウムが還元されることを可能とするもの
で、1800℃の動作温度で、W2C層がない場合より
も還元が促進されているので、電子放出特性を向上させ
る効果がある。すなわち、タングステン金属だけでな
く、炭素によっても酸化ハフニウムは還元され、単原子
層を形成するハフニウムの供給を増大できる。なお、実
際の動作温度は、寿命時間を考慮して1800℃程度で
使用することが望ましい。前述のW2C層をカソードの
表面に形成した結果、1800℃で、0.3A/cm2
あった電子放出特性が5A/cm2以上に増大した。ま
た、この炭化処理は、エミッタ材蒸発の抑制にも効果が
あった。
【0044】この例では、炭化タングステン層をカソー
ドの表面に設けたが、炭化タングステンに代えて、炭化
モリブデンでも同様に電子放出特性を向上させることが
できる。
【0045】図13は、本発明のさらに他の実施形態を
示すカソードの断面構造図である。これは、圧粉・焼成
により、塊状となった多結晶多孔質状態のタングステン
を1500〜1800℃で熱間転打することにより、タ
ングステン粒界が繊維状に発達した状態を示している。
この粒界構造により、靭性が向上し、加工も容易にな
る。また、このカソードを炭化した場合、その緻密構造
により、最表面のみ炭化層が形成され、内部は炭化され
ていない理想的な構造となる。実際はこの熱間転打で塊
状の多結晶多孔質タングステンを棒状に形成し、このタ
ングステン棒をさらに加工し、図1(a)、(b)のカ
ソード形状を得る。本実施形態は、タングステンの代わ
りにモリブデンを用いた場合も同様に行うことができ
る。
【0046】図14は、本発明によるカソードのさらに
他の実施形態を説明する図である。この例は、タングス
テン酸ハフニウム粉末をエミッタ材とするもので、加熱
用ヒータ19にタングステン酸ハフニウムの粉末を塗布
して固着したものである。20は電極である。このカソ
ードは、真空中でヒータ19に電流を流して動作させる
と、タングステン酸ハフニウム18が熱分解をし、タン
グステンと酸化ハフニウムになる。酸化ハフニウムは、
タングステンの表面で単原子層を形成し、前述の各例で
説明をしたように、良好な電子放出特性が得られる。こ
こで、タングステンと酸化ハフニウムは元々化合物に由
来するので、原子レベルで均質に分布しており、電子放
出も安定である。また、粉末の塗布により形成できるの
で、複雑な形状をした表面からの電子放出を必要とする
カソードに有効である。
【0047】以上、種々の実施形態で説明をしたが、本
発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更が
可能である。たとえば、上記各例では、エミッタ材とし
て酸化ハフニウムを使用したが、酸化ジルコニウム、酸
化ランタン、酸化セリウム、酸化チタン、のいずれか1
種または複数を、またはこれらエミッタ材にハフニウ
ム、ジルコニウム、ランタン、セリウムおよびチタンな
どのいずれか1種または複数を混合して用いることがで
きる。
【0048】さらに、前記エミッタ材の出発材料とし
て、タングステン酸ハフニウム,タングステン酸ジルコ
ニウム、タングステン酸ランタン、タングステン酸セリ
ウム、タングステン酸チタンをタングステン中に混合さ
せたカソードを作製してもよい。この場合、高温真空雰
囲気のカソード動作条件下では前記タングステン酸化合
物は、タングステンと酸化ハフニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化チタンに熱分解
されて行く。すなわち、動作機構は前述のカソードと同
じとなるが、タングステン酸化合物から出発すると、タ
ングステンとの均質性向上により、エミッタ材の還元作
用が円滑で寿命時間に有意となる。
【0049】さらに、高融点金属として、タングステン
或いはモリブデン中に0.01〜1重量%の割合でハフ
ニウム、ジルコニウムまたはチタンを添加した合金とし
てもよい。このように添加材を入れると、タングステン
単体よりも接触還元力が向上し、より低温からエミッタ
材を還元でき単原子層形成に寄与する。さらに、前述の
各例では、カソード形状を錠剤形状にしたが、線状など
種々の形状にすることがきることも言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、含浸型
カソードでは動作させられない1400℃以上の高温で
動作しながら、非常に電子放出特性の優れたカソードを
得ることができる。しかも、酸化ハフニウム、酸化ジル
コニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化チタンは
蒸気圧が低く、かつ、充分な電子放出特性が得られるの
で、高温でも蒸発が少ない、高特性のカソードが得られ
る。
【0051】さらに、本発明の製造方法によれば、高融
点金属とエミッタが均質に分散し、エミッタ材の還元作
用が円滑に行われる。また、熱間転打により加工が容易
になり、炭化処理したときに理想的な構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるカソードの一実施形態の説明図で
ある。
【図2】図1に示されるカソードの製造方法を示すフロ
ーチャートである。
【図3】図1に示されるカソードの他の製造方法を示す
フローチャートである。
【図4】本発明によるカソードの他の実施形態を示す断
面説明図である。
【図5】図4に示されるカソードの製造方法を示すフロ
ーチャートである。
【図6】本発明によるカソードのさらに他の実施形態を
示す断面説明図である。
【図7】図6に示されるカソードの製造方法を示すフロ
ーチャートである。
【図8】本発明によるカソードのさらに他の実施形態を
示す断面説明図である。
【図9】図8に示されるカソードのスパッタリング工程
の一例を説明する図である。
【図10】本発明によるカソードのさらに他の実施形態
を示す断面説明図である。
【図11】図10に示されるカソードの炭化工程の一例
を説明する図である。
【図12】本発明によるカソードのさらに他の実施形態
を示す断面説明図である。
【図13】本発明によるカソードのさらに他の実施形態
を示す断面説明図である。
【図14】本発明によるカソードのさらに他の実施形態
を示す説明図である。
【図15】従来のトリタンカソードの説明図である。
【図16】従来の高輝度電子ビーム源用のLaB6カソ
ードを示す断面説明図である。
【図17】従来の超LSI微細加工用の電子ビーム露光
機に用いられるZr被覆Wカソードの説明図である。
【符号の説明】
1 W多結晶体(多孔質体) 2 エミッタ材 5 ヒータ 6 Ir層 7 W2C層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 9/04 H01J 9/04 M (72)発明者 玉井 秀昭 埼玉県上福岡市福岡二丁目1番1号 新日 本無線株式会社川越製作所内 (72)発明者 木村 親夫 埼玉県上福岡市福岡二丁目1番1号 新日 本無線株式会社川越製作所内 Fターム(参考) 5C027 CC11 CC12

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高融点金属材料の多結晶体または多結晶
    多孔質体と、該多結晶体または多結晶多孔質体中に0.
    1〜30重量%の割合で分散された、酸化ハフニウム、
    酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、およ
    び酸化チタンの群れから選ばれる少なくとも1種のエミ
    ッタ材、または該エミッタ材にハフニウム、ジルコニウ
    ム、ランタン、セリウム、およびチタンの群れから選ば
    れる少なくとも1種が混合されたエミッタ材とからなる
    カソード。
  2. 【請求項2】 前記高融点金属材料が、タングステンま
    たはモリブデン中に0.01〜1重量%の割合でハフニ
    ウム、ジルコニウム、またはチタンが添加された合金で
    ある請求項1記載のカソード。
  3. 【請求項3】 前記多結晶体または多結晶多孔質体の少
    なくとも電子放射面に、イリジウム、ルテニウム、オス
    ミウムおよびレニウムの群れから選ばれる少なくとも1
    種の金属層が設けられてなる請求項1または2記載のカ
    ソード。
  4. 【請求項4】 前記多結晶体または多結晶多孔質体の少
    なくとも電子放射面に、炭化タングステン層または炭化
    モリブデン層が設けられてなる請求項1または2記載の
    カソード。
  5. 【請求項5】 前記多結晶体または多結晶多孔質体の結
    晶粒が、等軸方向に繊維構造化されてなる請求項1、
    2、3または4記載のカソード。
  6. 【請求項6】 タングステン酸ハフニウム、タングステ
    ン酸ジルコニウム、タングステン酸ランタン、タングス
    テン酸セリウム、およびタングステン酸チタンの群れか
    ら選ばれる少なくとも1種の化合物層が電子放出面に設
    けられてなるカソード。
  7. 【請求項7】 高融点金属材料の多結晶体または多結晶
    多孔質体にエミッタ材を分散させるカソードの製造方法
    であって、エミッタ材の少なくとも一部の材料として、
    タングステン酸ハフニウム、タングステン酸ジルコニウ
    ム、タングステン酸ランタン、タングステン酸セリウ
    ム、およびタングステン酸チタンの群れから選ばれる少
    なくとも1種の化合物粉末を用いることを特徴とするカ
    ソードの製造方法。
  8. 【請求項8】 高融点金属材料の酸化物粉末と、ハフニ
    ウム、ジルコニウム、ランタン、セリウムおよびチタン
    なる群れから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物粉
    末とを、水または有機溶媒中で混合し、ついで焼成する
    ことにより高融点金属酸化物を還元し、前記高融点金属
    材料中に、エミッタ材としての酸化ハフニウム、酸化ジ
    ルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、および酸化
    チタンの群れから選ばれる少なくとも1種を有するエミ
    ッタ材を分散させることを特徴とするカソードの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 ハフニウム、ジルコニウム、ランタン、
    セリウムおよびチタンなる群れから選ばれる少なくとも
    1種の金属の硝酸塩を水または有機溶媒に溶かした溶液
    と、高融点金属材料の酸化物粉末とを混合し、ついで焼
    成することにより高融点金属酸化物を還元すると共に前
    記硝酸塩を分解し、前記高融点金属材料中に、エミッタ
    材としての酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ラ
    ンタン、酸化セリウム、および酸化チタンの群れから選
    ばれる少なくとも1種を有するエミッタ材を分散させる
    ことを特徴とするカソードの製造方法。
  10. 【請求項10】 多孔質高融点金属体中に、ハフニウ
    ム、ジルコニウム、ランタン、セリウムおよびチタンな
    る群れから選ばれる少なくとも1種の金属のアルコキシ
    ドを有機溶媒に溶かした溶液を減圧含浸し、ついで焼成
    することにより前記アルコキシドを分解し、前記多孔質
    高融点金属材料中に、エミッタ材としての酸化ハフニウ
    ム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化セリウム、
    および酸化チタンの少なくとも1種を有するエミッタ材
    を分散させることを特徴とするカソードの製造方法。
  11. 【請求項11】 高融点金属粉末に、ハフニウム、ジル
    コニウム、ランタン、セリウムおよびチタンなる群れか
    ら選ばれる少なくとも1種の金属のアルコキシドを被覆
    し、ついで焼成することにより前記アルコキシドを分解
    して酸化物とし、該酸化物により被覆される前記高融点
    金属粉末を成形することにより、高融点金属材料中にエ
    ミッタ材としての酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、
    酸化ランタン、酸化セリウム、および酸化チタンの少な
    くとも1種を有するエミッタ材を分散させることを特徴
    とするカソードの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記焼成により高融点金属粉末の周囲
    に前記酸化物により被覆された固形物を粉砕し、新たな
    高融点金属粉末と混合し、その後成形することを特徴と
    する請求項11記載のカソードの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記焼成を前記エミッタ材が還元しな
    い温度で行う請求項8、9、11または12記載のカソ
    ードの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記エミッタ材を分散させた高融点金
    属材料に、水素中で熱間転打による線引工程を追加する
    ことにより、前記高融点金属材料の結晶粒を等軸方向に
    繊維構造化させることを特徴とする請求項8、9、1
    1、12または13記載のカソードの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記繊維構造化させた後に、その表面
    の少なくともその電子放射面に炭化タングステン層また
    は炭化モリブデン層を形成する請求項14記載のカソー
    ドの製造方法。
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