JP2000215785A - 含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体 - Google Patents

含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体

Info

Publication number
JP2000215785A
JP2000215785A JP1445399A JP1445399A JP2000215785A JP 2000215785 A JP2000215785 A JP 2000215785A JP 1445399 A JP1445399 A JP 1445399A JP 1445399 A JP1445399 A JP 1445399A JP 2000215785 A JP2000215785 A JP 2000215785A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode
substrate
metal
base metal
impregnated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1445399A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiichiro Uda
英一郎 宇田
Sadao Matsumoto
貞雄 松本
Takashi Sudo
孝 須藤
Akito Hara
昭人 原
Kiyomi Koyama
生代美 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp, Toshiba Electronic Engineering Co Ltd filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP1445399A priority Critical patent/JP2000215785A/ja
Publication of JP2000215785A publication Critical patent/JP2000215785A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、低電圧、低周波数であるデューティ
の低い動作条件では勿論、高電圧、高周波数であるデュ
ーティが高い領域でも低温動作効果が減少せず充分な耐
イオン衝撃性を発揮できる陰極基体およびこの陰極基体
を備えた陰極構体を得ることを課題とする。 【解決手段】本発明の陰極基体1は、高融点金属の焼結
体からなる基体金属21、31と、この基体金属に含浸
された電子放射物質22、32とを備え、前記基体金属
にはその表面から凹入する多数の溝23(凹部)、孔3
3(凹部)が並んで形成され、これら凹部は電子放射方
向に沿う側面と電子放射方向に対して交差する方向に沿
う底面とを有することを特徴とし、凹部では、前記電子
放射方向に沿う側面の面積が前記電子放射方向に対して
交差する方向に沿う底面の面積より大きい設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子管に用いられる
含浸型陰極基体およびその製造方法と、陰極構体とに関
する。
【0002】
【従来の技術】カラー受像管などの電子管に設けられる
電子銃構体は、電子を放射する陰極基体と、この陰極基
体を加熱するヒータとを備えており、陰極基体には含浸
型と酸化物型がある。
【0003】近年、電子管においては走査線を増加させ
解像度を改善したカラー受像管や、超高周波対応受像管
の開発が要請されている。また、投写管などにおいても
輝度の向上が望まれている。これらの要請に応えるため
には陰極基体からの放射電流密度を従来に対し大幅に増
加させる必要がある。
【0004】ところで、含浸型陰極基体は、酸化物陰極
基体に比ぺて大きな電流密度が得られる特徴があり、従
来から撮像管、進行波管、クライストロンなどに使用さ
れてきており、またカラー受像管の分野ではHDーTV
管、ED−TV管などの特殊用途のみに限られていてい
るが、近年大型CPT用などの要請が高まり採用が急速
に拡大されている。
【0005】この含浸型陰極基体は、基体金属として例
えば空孔率15%から20%のタングステン焼結体を用
い、このタングステン焼結体の空孔部に酸化バリウム
(BaO)、酸化カルシウム(CaO)およぴ酸化アル
ミニウム(Al2 3 )などの電子放射物質を含浸して
作製したものである。そして、含浸型陰極基体として、
基体金属の電子放射面に、スパッタ法などの薄膜形成方
法によりイリジウム(Ir)などからなる薄膜を形成し
たメタルコート型の含浸型陰極基体も作製されている。
この陰極基体は、電子管内でヒータによって加熱される
と、基体金属内に含浸された例えばバリウム(Ba)や
酸素(0)などが拡散して、基体金属表面の電子放射面
上に電気二重層が形成されて高密度の電流放射が可能と
なる。
【0006】電子管用陰極構体は、従来より省電力の目
的からコンパクトな構造に形成されている。このため、
陰極構体を構成する陰極基体は必然的にその厚さおよぴ
直径が制限され電子放射物質を充分に含浸させることが
できない。一般的に、含浸型陰極構体の寿命特性は陰極
基体に設けられる電子放射物質の主要成分であるバリウ
ムBaの蒸発量に支配され、蒸発によりバリウムBaが
消耗すると陰極基体のBa単原子層被覆率が減少するの
で、要求される長寿命特性が得られず実用上大きな問題
となっている。これらの理由から低温動作、高電流密度
動作が可能な含浸型陰極構体の開発が強く要求されてい
る。
【0007】このような背景の下に陰極構体に用いる陰
極基体として、基体金属の内部に酸化スカンジウム(S
2 3 )を分散させたもの、あるいは陰極基体表面に
スカンジウム(Sc)化合物を被着したものの開発が行
われている。このスカンジウム系含浸型陰極基体(スカ
ンジウム系含浸型陰極構体)を用いた陰極構体では、例
えば900゜Cから1000゜Cの動作温度で、数I0
A/cm2 の放射電流密度が得られていることが報告さ
れている。また、二極管にこのスカンジウム系含浸型陰
極構体を適用した例では、パルス幅5μ秒、周波数50
Hzのパルス放射電流評価で従来のメタルコート型含浸
陰極構体の約10倍の放射電流密度が得られることが報
告されている。従って、スカンジウム系含浸型陰極構体
では低い周波数で従来の放射電流密度に比較して大幅な
向上を期待できる。
【0008】しかし、このように低い周波数で良好な特
性を発揮するスカンジウム系含浸型陰極構体も、高い周
波数の下では事情が異なってくる。二極管によるパルス
評価では、その周波数を受像管などで一般に使用される
高い値である15.75kHzとした場合には、従来の
メタルコート型と同程度の放射電流しか得られない。つ
まり、スカンジウム系含浸型陰極構体は、低電圧、低周
波数であるデューティの低い動作条件ではカソード温度
が比較的低温でも充分なエミッションを得ることができ
るが、高電圧、高周波数条件下の高デューティでの動作
になると、この低温動作効果が減少して充分な耐イオン
衝撃性が得られなくなり、メタルコー卜含浸型陰極構体
とスカンジウム系含浸型陰極構体との特性に顕著な差が
なくなつてくる。すなわち、低デューティ動作領域で優
位であったスカンジウム系含浸型陰極構体が高いデュー
ティ動作領域ではメタルコート系含浸型陰極構体と差異
がなくなる。
【0009】この原因は次に述べるものと考察されてい
る。低デューティ領域での動作では、多孔質基体金属の
空孔部から拡散するBa、O、Scの供給が充分である
ために陰極基体の電子放射面の電気二重層が保たれてい
るが、高電圧、高周波数条件下の高デューティの動作で
は、この電気二重層がイオン衝撃を受けて破壊されてゆ
きスカンジウム(Sc)の拡散速度が遅くなる。スカン
ジウム系含浸型陰極基体をオージェ電子分光により表面
解析をしたところ、イオン衝撃を受けると基体金属のス
カンジウム(Sc)が消失して、電子放射の良好なSc
濃度に回復するまでに時間を要することが判った。従っ
て、このスカンジウム(Sc)の拡散速度が遅くなるこ
とが、高電圧、高周波数であるデューティが高い領域で
低温動作効果が減少して充分な耐イオン衝撃性が得られ
なくなる原因と考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のスカ
ンジウム系含浸型陰極基体では、高電圧、高周波数の条
件下で充分な耐イオン衝撃性が得られない。すなわち、
高周波数動作でイオン衝撃を受けてスカンジウム(S
c)が消失すると、消失したスカンジウム(Sc)の回
復が遅く低温動作性が低下するという欠点があり、この
ためスカンジウム系含浸型陰極基体は実用にはまだ不充
分であった。
【0011】従って、従来からスカンジウム系含浸型陰
極基体に代り、低いデューティ動作領域に加えて高いデ
ューティ動作領域においても良好な電子放射特性を発揮
できる含浸型陰極基体の開発が要望されていた。
【0012】本発明は、低いデューティ動作領域に加え
て高いデューティ動作領域においても良好な電子放射特
性を発揮でき従来からの課題を解決した陰極基体および
その製造方法を提供することを目的とする、本発明は前
記陰極基体を備えた陰極構体を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の含浸型
陰極基体は、高融点金属の焼結体からなる基体金属と、
この基体金属に含浸された電子放射物質とを備え、前記
基体金属にはその表面から凹入する多数の凹部が並んで
形成され、これら凹部は電子放射方向に沿う側面と電子
放射方向に対して交差する方向に沿う底面とを有するこ
とを特徴とする。
【0014】この発明の構成によれば、基体金属に形成
した凹部がイオン衝撃を受けにくい面である電子放射方
向に沿う側面を有するので、低電圧、低周波数であるデ
ューティの低い動作条件領域では勿論、高電圧、高周波
数であるデューティが高い動作条件領域でも低温動作効
果が減少せず充分な耐イオン衝撃性が発揮することがで
きる。
【0015】請求項2の発明は、請求項1に記載の含浸
型陰極基体において、前記凹部の内面は、前記電子放射
方向に沿う側面の面積が前記電子放射方向に対して交差
する方向に沿う底面の面積より大きいことを特徴とす
る。
【0016】請求項3の発明は、請求項1に記載の含浸
型陰極基体において、前記基体金属の表面と前記凹部の
底面との間の高さが、前記基体金属を形成する高融点金
属焼結体の粒体の平均粒径の3倍以上で、且つ前記基体
金属の平均厚さの3分の1以下であることを特徴とす
る。
【0017】請求項4の発明は、請求項1に記載の含浸
型陰極基体において、互い隣接する前記凹部の中心間の
間隔が、前記基体金属を形成する高融点金属焼結体の粒
体の平均粒径の3倍以上で、且つ前記基体金属の平均厚
さの3分の1以下であることを特徴とする。
【0018】請求項2ないし4の発明の構成によれば、
基体金属における各凹部を効果的な形態にしてイオン衝
撃を受けにくい内面の面積を充分確保して、高いデュー
ティ動作条件での耐イオン衝撃性をさらに向上させるこ
とができる。
【0019】請求項5の発明は、請求項1に記載の含浸
型陰極基体において、前記凹部は並列して形成された複
数条の溝、または交差して形成された複数条の溝である
ことを特徴とする。
【0020】請求項6の発明は、請求項1に記載の含浸
型陰極基体において、前記凹部は孔であることを特徴と
する。
【0021】請求項5および6の発明の構成によれば、
基体金属における各凹部を効果的な形態で実現できる。
【0022】請求項7の発明は、請求項1ないし請求項
6のいずれかに記載の含浸型陰極基体において、前記凹
部の内面を含む前記基体金属の表面が、イリジウムから
なる薄膜、またはイリジウムを含む成分からなる薄膜で
覆われていることを特徴とする。
【0023】請求項8の発明は、請求項1ないし請求項
6のいずれかに記載の含浸型陰極基体において、前記凹
部の内面を含む前記基体金属の表面が、スカンジウムか
らなる薄膜、またはスカンジウムを含む成分からなる薄
膜で覆われていることを特徴とする。
【0024】請求項7および8の発明の構成によれば、
請求項1ないし6の含浸型陰極基体における低温動作効
果および耐イオン衝撃性をさらに高めることができる。
【0025】請求項9の発明の含浸型陰極基体の製造方
法は、基体金属の表面に機械加工により凹部を形成し、
その後前記基体金属に電子放射物質を含浸することを特
徴とする。
【0026】請求項10の発明の含浸型陰極基体の製造
方法は、基体金属の表面にエッチングにより凹部を形成
し、その後前記基体金属に電子放射物質を含浸すること
を特徴とする。
【0027】請求項9および10の発明の構成によれ
ば、基体金属に凹部を形成した含浸型陰極基体を効果的
な方法で製造できる。
【0028】請求項11の発明の陰極構体は、請求項1
ないし請求項8のいずれかに記載の含浸型陰極基体と、
この含浸型陰極基体を加熱するヒータとを具備すること
を特徴とする。
【0029】この発明の構成によれば、低温動作効果お
よび耐イオン衝撃性に優れた陰極基体を備えた陰極構体
を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態につい
て図1ないし図6を参照して説明する。
【0031】この実施の形態は、カラー受像管(陰極線
管)に設ける電子銃構体およびこの電子銃構体に設ける
陰極基体を対象にしている。
【0032】電子銃構体について説明する。図1は電子
銃構体の構成を示している。
【0033】図1において1は含浸型陰極基体で、この
含浸型陰極基体1は金属キャップ2に嵌合固定されてお
り、この金属キャップ2は陰極スリーブ3の一端部に支
持固定されている。陰極スリーブ3に内部には陰極基体
1を加熱するヒータ4が配置され、このヒータ4はヒー
タタブ5を介してヒータストラップ6に取付けられてい
る。また、陰極スリーブ3はストラップ7を介して筒形
をなす陰極基体ホルダ8に取付けられており、陰極基体
ホルダ8の内側には陰極スリーブ3を囲む反射筒9が配
置されている。陰極基体ホルダ8はサポートシリンダ1
0を介して陰極基体ストラップ11に取付けられてい
る。これら陰極基体1、ヒータ4およびその他前述した
各部品をもって含浸型陰極構体12が構成されている。
【0034】また、図中13は含浸型陰極基体1に対し
て電子放射方向下流側に対向配置された第1グリッド
で、この第1グリッド13を前述した含浸型陰極構体1
2に加えることにより電子銃構体14を構成している。
図中15は電子銃構体14を囲むビードガラスで、この
ビードガラス15にはヒータストラップ6、陰極基体ス
トラップ11および第1グリッド13が取付けられてい
る。なお、第1グリッド13に対して電子放射方向下流
側には図示しない陽極が設けられている。
【0035】次に陰極基体1について説明する。図2は
陰極基体を図3Z−Z線に沿い破談して示す断面図、図
3は陰極基体の電子放射面に形成した凹部を拡大して示
す断面図、図4は陰極基体の電子放射面に形成した凹部
を示す断面図である。
【0036】この陰極基体1は例えば直径1mm程度の
円板形をなす基体金属21を有しており、この基体金属
21は高融点金属の焼結体により形成されている。この
実施の形態では、基体金属21は平均粒径3μmのタン
グステン粒体21Aからなる空孔率約17%のタングス
テン焼結体により形成されている。図4に示すように基
体金属21を形成するタングステン焼結体の空孔部には
酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)お
よぴ酸化アルミニウム(Al2 3 )などの電子放射物
質22が含浸されている。なお、図2において点はタン
グステン焼結体を示し、斜線は電子放射物質22を示し
ている。図4において21aはタングステン焼結体を形
成するタングステン粒子である。これにより陰極基体1
が加熱されると、電子放射物質22が基体金属21の表
面である上面(電子放射面)21aから電子を上側へ向
けて放射する。
【0037】また、基体金属21の図示上面(電子放射
面)には、その上面から基体金属21の内部へ凹入する
多数の凹部が形成されている。ここでは図3に示すよう
に所定の方向に直線で延びる多数の溝23を間隔を存し
て並べて形成し、且つ溝23の方向とは直交する方向に
沿って直線で延びる溝23を間隔を存して並べて形成
し、両方の溝23と溝23を格子状に組合せて形成して
いる。
【0038】この溝23は断面が幅方向左右両側の一対
の側面23aと、一対の側面23aに挟まれた底面23
bとを直角に組合せた断面四角形をなすもので、側面2
3aは電子放射方向(図示上下方向)Aに沿う面(第1
グリッド13に対して交差する方向に沿う面)であり、
底面23bは電子放射方向(図示上下方向)Aに対して
交差する方向の面(第1グリッド13に沿う方向に沿う
面)である。
【0039】そして、溝23において電子放射方向に沿
う側面23aの高さL1は、電子放射方向に対して交差
する方向に沿う底面23bの幅L2より大きく設定して
ある。すなわち、溝23の単位長さ当りにおける側面2
3aの面積を底面23bの面積より大きく設定する。例
えば側面と底面との寸法の比は底面23bを1とすると
1.6:1である。
【0040】また、基体金属21の上面21aと溝23
の底面23bとの間の高さ、すなわち溝23の側面23
aの高さL1は、基体金属21を形成するタングステン
金属焼結体の粒体21Aの平均粒径(例えば3μm)の
3倍以上で、且つ基体金属21の平均厚さの3分の1以
下に設定してある。例えば溝23の側面23aの高さL
1寸法は50μmである。
【0041】さらに、同じ方向に延びて互いに隣接して
並ぶ各溝23の間の中心間の間隔(距離)Pは、基体金
属21を形成するタングステン焼結体の粒体21Aの平
均粒径(例えば3μm)の3倍以上で、且つ基体金属2
1の平均厚さの3分の1以下に設定してある。例えば互
いに隣接して並ぶ各溝23の間の中心間の間隔(距離)
は80μmである。
【0042】基体金属21の上面を含む表面と、各溝2
3の側面23aおよび底面23bにはイリジウム(また
はイリジウムを主成分とする材料)からなる被膜24が
形成されている。
【0043】このように構成された陰極基体1を製造す
る方法について説明する。まず、粒径3μmのタングス
テン粒体からなるタングステン焼結体ウエハを作製す
る。タングステン焼結体ウェハの寸法は直径90mm、
厚さ0.3mmである。タングステン焼結体ウェハにお
ける空孔には銅あるいはプラスチックを溶融含浸する。
このタングステン焼結体ウエハをダイシング装置にセッ
トし、ウエハ表面に深さ50μmの多数の溝23を80
μmのピッチで格子状に形成する。この溝23は、ダイ
シング装置に厚さ30mm程度ブレードを用いることに
よって形成できる。また、タングステン焼結体ウエハの
表面に著しい粗さ、あるいはうねりがある場合には、ダ
イシング装置により溝を形成する前にウエハ表面に研磨
を施しても良い。また、タングステン焼結体ウエハの表
面の粗さや凹凸の状態をレーザ光などによって検出しつ
つ、検出状態に合せてダイシング装置に用いるブレード
の高さを精密に上下移動することによって溝23の深さ
を一定の大きさの範囲に設定することも可能である。
【0044】その後、このタングステン焼結体ウエハを
高温の水素雰囲気内で処理することによって、タングス
テン焼結体ウェハの空孔中に含浸されている銅またはプ
ラスチックを除去する。タングステン焼結体ウェハに含
浸されているものが銅の場合には、水素処理の前にあら
かじめウェハを硝酸溶液内に浸漬することにより、大部
分の銅を除去することも可能である。次いで、機械的加
工によってタングステン焼結体ウェハの空孔の表面への
出口が閉じられてしまっているため、水とフェリシアン
化カリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液中にウエハを
数十秒から数分浸漬してエッチングすることにより空孔
出口を開口する。
【0045】さらに、このタングステン焼結体ウェハの
空孔部に、Ba0:CaO:Al23 =4:1:1モ
ル比の混合物からなる電子放射物質をH2 雰囲気中の高
温で、数分あるいは数10分間加熱することにより溶融
含浸する。その後、この焼結体の表面に厚さ1500オ
ームストロングのイリジウム被膜24をスパッタ法によ
って形成する。このは、水素雰囲気中高温で数充分程度
処理することにより、厚さ3000オームストロングの
タングステンとイリジウムと合金層として基体金属21
の表面に存在することとなる。
【0046】そして、このタングステン焼結体ウェハか
ら直径lmm程度の基体金属21を(ペレット)を切り
取ることにより陰極基体を作製する。基体金属21を切
り取る方法としてはレーザによる溶融破断が適当であ
る。
【0047】このように構成した含浸型陰極基体1は前
述したようにキャップ2に嵌合して陰極スリーブ3に支
持固定する。そして、ヒータ4によりキャップ2を介し
て陰極基体1を加熱すると、基体金属21に含浸した電
子放射物質22が基体金属21の上面から上側、すなわ
ちグリッドへ向けて電子を放射する。
【0048】この陰極基体1における特性について説明
をする。本発明の発明者は、含浸型陰極基体が高電圧、
高周波数の高いデューティ動作条件の下でも充分な耐イ
オン衝撃性を発揮できるようにするために、基体金属2
1の電子放射面に電気二重層を構成する元素の配置がイ
オン衝撃後に非常に早い回復を示すように、基体金属2
1の電子放射面を改良することを試みた。
【0049】電子管中で陰極基体1の表面から放射され
た電子は、その後電位勾配によってグリッド23側、す
なわち陽極方向に引き出され、この電子により衝撃され
たイオン化した残留ガスは陽極へ向かう。ここで、電子
はその比電荷の小ささのため電位勾配に従った軌跡を描
き陽極へと進行するが、比電荷の大きい残留ガスイオン
は平均的な電位勾配に従って陰極へ向かう。このため、
基体金属の表面が陽極に対してランダムな方位を持って
いた場合、電子放射方向に対して交差する方向に沿う面
(陽極面に対して平行な面)を持つ基体金属の表面はイ
オン衝撃の影響を大きく受けるが、電子放射方向に沿う
面(陽極面に対して垂直な面)を持つ基体金属の表面は
イオン衝撃の影響を受けにくい。一方、基体金属の表面
の仕事関数より大きい熱エネルギーを得て表面を脱出し
た電子は、その後外部の電位勾配に従って陽極へ達する
ことができる。
【0050】本発明はこのような理論的裏付けによって
提案されたものである。すなわち、基体金属21の表面
21aに、その表面から凹入する凹部として、電子放射
方向に沿う側面23aと電子放射方向に対して交差する
方向に沿う底面23bを有する多数の溝23を形成して
いる。このため、このような凹部を形成していない基体
金属21の表面に比較して電子放射面積が増大して電子
放射特性が向上するだけでなく、イオン衝撃の影響を受
けにくい電子放射方向に沿う側面23aが新たに多数設
けられるために、低電圧、低周波数であるデューティの
低い動作条件では勿論、高電圧、高周波数であるデュー
ティが高い領域でも低温動作効果が減少せず充分な耐イ
オン衝撃性が発揮できる。
【0051】特に溝23において電子放射方向に沿う側
面23aの高さL1を、電子放射方向に対して交差する
方向に沿う底面23bの幅L2より大きく設定されてい
るので、イオン衝撃の影響を受けにくい電子放射方向に
沿う側面23aが増大して、より一層低温動作効果を高
めて耐イオン衝撃性を発揮できる。
【0052】基体金属21の上面21aと溝23の底面
23bとの間の高さ、すなわち溝23の側面23aの高
さL1は、基体金属21を形成するタングステン金属焼
結体の粒体21Aの平均粒径(例えば3μm)の3倍以
上に設定してあるので、基体金属21における有効表面
積の増大が充分で耐イオン衝撃性を充分に得ることがで
きる。また、溝23の側面23aの高さL1が基体金属
21の平均厚さの3分の1以下であるので、各溝23に
挟まれた基体金属21の部分における空孔部に電子放射
物質22を含浸させておくことができ機械的強度も充分
である。実験によれば、溝23の側面23aの高さL1
が、基体金属21を形成するタングステン金属焼結体の
粒体21Aの平均粒径の3倍未満であると、基体金属2
1における有効表面積の増大が充分でないため耐イオン
衝撃性が充分に得られない。また、溝23の側面23a
の高さL1が基体金属21の平均厚さの3分の1を超え
ると、各溝23に挟まれた基体金属21の部分における
空孔に電子放射物質22を含浸浸透させておくことがで
きなくなり電子放射特性が低下して機械的強度も低下す
る。
【0053】また、同じ方向に延びて互いに隣接して並
ぶ各溝23の間の中心間の間隔(距離)Pが、基体金属
21を形成するタングステン焼結体の粒体21Aの平均
粒径(例えば3μm)の3倍以上で、且つ基体金属21
の平均厚さの3分の1以下であるので、各溝23に挟ま
れた基体金属21の部分における空孔に電子放射物質2
2を含浸浸透させておくことができ、機械的強度も充分
である。もし、各溝23の間の中心間の間隔(距離)
が、タングステン粒体21Aの平均粒径の3倍未満で、
且つ基体金属21の平均厚さの3分の1を超えると、各
溝23に挟まれた基体金属21の部分における空孔部に
電子放射物質22を含浸浸透させておくことができなく
なり、電子放射特性が低下して機械的強度も低下する。
【0054】さらに、溝23は複数条の溝23を交差し
て形成する形態は、凹部として前述した効果を良好に発
揮でき、構成が簡素で形成が容易でコスト的にも有利で
ある。なお、図5に示すように同じ方向に延びる複数条
の溝23のみを並列して形成した形態も同じことがいえ
る。
【0055】また、基体金属21の表面および溝23の
内面にイリジウム被膜24を形成しているので、被覆が
ないものに比べて1.5倍ないし2倍の陰極電流を得る
ことができる。
【0056】また、この陰極基体は、まず基体金属21
の各溝23はダイシング装置などの機械加工により容易
且つ確実に形成できる。そして、その後基体金属21に
電子放射物質22を含浸する含浸するので、凹部を形成
することにより陰極基体の特性を損なうことがない。
【0057】そして、この陰極基体1を陰極構体に組込
むことにより、充分な耐イオン衝撃性を発揮する陰極基
体を備えた陰極構体を得ることができる。
【0058】ここで、陰極基体1の特性を陰極と陽極を
用いた二極管で評価した。二極管における陰極と陽極と
の間の間隔は0.1mm、陰極温度を1300Kとし、
陽極に電圧150V、周期10msecのパルスを印加
した。パルスはデューテイを0.1から9%まで変化さ
せ、陰極基体の電流密度とデューティの関係を測定し
た。この場合、デューティが高くなるほど陰極基体に対
するイオン衝撃の負荷が大きくなり、陰極基体の電流密
度は減少する。測定結果は、図6の線図に示すように比
較例である基体金属表面に凹部がないイリジウムコート
型の陰極基体が、デューティ0.1%で12A/cm2
の陰極電流密度しか得られないのに対して、本発明例で
ある陰極基体では18A/cm2 もの陰極電流密度が得
られる。デューティが高くなっても、本発明例である陰
極基体は、比較例である陰極基体より電流密度の減少が
少なく、全測定デューティ領域で優れた電子放射特性を
示している。なお、図6は陰極基体の電流密度とデュー
ティの関係を示す線図である。なお、ここでデューティ
とはパルスの周期に対する電圧が印加されている時間の
割合のことである。
【0059】次に第2の形態について図7ないし図10
を参照して説明する。この実施の形態も第1の実施の形
態と同様に陰極線管に設ける陰極構体に用い陰極基体を
対象にしている。そして、陰極基体を設ける陰極構体は
第1の実施の形と同様であるから説明を省略する、陰極
基体1について図7ないし図9を参照して説明する。図
7は陰極基体を示す断面図、図8は基体金属に形成する
凹部を拡大して示す断面図、図9は基体金属に形成する
凹部を示す斜視図である。この陰極基体1は例えば直径
1mm程度の円板形をなす基体金属31を有し、この基
体金属31は平均粒径3μmのタングステン粒体からな
る空孔率約17%のタングステン焼結体により形成され
ている。基体金属31を形成するタングステン焼結体の
空孔部には酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム
(CaO)およぴ酸化アルミニウム(Al2 3 )など
の電子放射物質32が含浸されている。図7において点
線はタングステン焼結体におけるタングステン粒体を示
し、斜線は電子放射物質32を示している。
【0060】また、基体金属31の図示上面(電子放射
面)には、凹部として金属上面で開放し、且つ有底であ
る断面円形をなす孔33を多数分散して並べて形成して
ある。そして、孔33において電子放射方向に沿う周側
面33aの高さL1を、電子放射方向に対して交差する
方向に沿う円形の底面33bの直径L2より大きく設定
されている。すなわち、孔33の単位長さ当りにおける
周側面33aの面積を底面33bの面積より大きく設定
する。また、基体金属31の上面31aと孔33の底面
33bとの間の高さ、すなわち孔33の周側面33aの
高さL1は、基体金属31を形成するタングステン金属
焼結体の粒体の平均粒径(例えば3μm)の3倍以上
で、且つ基体金属31の平均厚さの3分の1以下であ
る。さらに、隣接して並ぶ各孔33の間の中心間の間隔
(距離)Pは、タングステン焼結体の粒体の平均粒径
(例えば3μm)の3倍以上で、且つ基体金属31の平
均厚さの3分の1以下である。
【0061】さらに、基体金属31の上面を含む表面
と、各孔33の周側面33aおよび底面33bにはスカ
ンジウム(またはスカンジウムを含む成分)からなる被
膜34が形成されている。
【0062】このように構成された陰極基体1を製造す
る方法について説明する。まず、粒径3μmのタングス
テン粒体からなるタングステン焼結体ウエハを作製す
る。タングステン焼結体ウェハの寸法は直径90mm、
厚さ0.3mmである。タングステン焼結体ウェハにお
ける空孔部には銅あるいはプラスチックが溶融含浸した
ものである。次いで、このタングステン焼結体ウエハを
高温の水素雰囲気内で処理することによって、タングス
テン焼結体ウェハの空孔中に含浸されている銅またはプ
ラスチックを除去する。タングステン焼結体ウェハに含
浸されているものが銅の場合には、水素処理の前にあら
かじめウェハを硝酸溶液内に浸漬することにより大部分
の銅を除去することも可能である。
【0063】次いで、タングステン焼結体ウェハにおい
て基体金属の電子放射面となる面を研磨によって平滑化
する。この後、このタングステン焼結体ウエハの表面に
直径50μm、深さ50μmの円柱状の孔33をイオン
エッチングによって稠密に形成する。各孔33の中心同
士の間隔は70μmである。イオンエッチングは通常工
業的に用いられている方法で行い、その後にタングステ
ン焼結体ウェハにおいて孔34に囲まれる部分をマスク
で覆う。そして、エッチング時にタングステン焼結体ウ
ェハにおいて表面近傍にイオンが打ち込まれ、このイオ
ンが陰極基体の動作中に真空へと放射されイオン衝撃の
原因となるので、エッチングのイオン種は、ヘリウム
(He)などの軽い不活性元素が好ましいが、この場
合、エッチングの時間が極めて大きくなるため、アルゴ
ン(Ar)のようなガスで代用することができる。この
場合、イオンエッチングを施した後に、タングステン焼
結体ウエハを真空中で1300℃から1500℃程度で
数10分間処理することにより、打ち込まれた不活性ガ
スを除去することができる。あるいはエッチングを酸性
溶液などを用いた湿式の方法で代用することもできる。
【0064】次に、このタングステン焼結体ウエハの空
孔にBaO:CaO:Al3 3 =4:1:1モル比で
混合してなる材料からなる電子放射物質を溶融含浸させ
る。その後、タングステン焼結体ウエハを直径1mm程
度のペレットを打ち抜く。その後、この焼結体の表面に
厚さ10オームストロングの酸化スカンジウム(SC 3
3 )からなる被膜およぴ厚さ40オームストロングの
タングステン(W)からなる被膜をスパッタ法によって
相次いで形成した。その後、レーザ光を利用してタング
ステン焼結体ウエハから基体金属を切り出して陰極基体
を作製した。
【0065】この実施の形態の陰極基体は、基本的に第
1の実施の形態の陰極基体と同様の特徴を有している。
そして、基体金属31に形成する凹部が孔33であるた
めに、簡素で安価な構成にして耐イオン衝撃性を充分に
発揮できる。また、イオンエッチングにより形成するこ
とにより容易且つ確実に孔33を形成することができ
る。
【0066】さらに、基体金属31の上面を含む表面
と、各孔33の周面33aおよび底面33bにはスカン
ジウム(またはスカンジウムを主成分とする材料)から
なる被膜34を形成するので、被膜のない陰極の10倍
ないし20倍の電流を得ることができる。
【0067】この実施の形態の陰極基体を第1の実施の
形態と同じ陰極構体に組み立てた。作製した陰極構体を
第1の実施の形態と同じように二極管に組み立てて、そ
の極特性を評価したところ、本発明例の陰極基体の放射
電流は陰極動作温度1300Kで70A/cm3 、13
00Kで30A/cm3 であつた。この値は、通常の動
作温度である1300Kでは、従来例である陰極基体の
数倍の放射電流を示すことが判る。この陰極基体を実際
の受像管の電子銃に組み込み、その電子銃を真空排気装
置内に配置して耐イオン衝撃性を調ぺた。
【0068】その方法は、排気装置内を10-10 tor
r以下に排気し、その上で陰極を活性化させて安定する
まで電子を放射させる。そのときの陰極の放射電流を測
定しておき、そこへ可変微量気体導入装置を用いて10
-5torrになるまでアルゴンガスを導入する。そうす
ると陰極基体はかなり大規模なイオン衝撃を受け始める
ので、その後の放射電流減少量を記録する。数10分測
定をした後にガスの導入を停止し、イオン衝撃のない状
態に戻して放射電流の回復量を測定する。この測定結果
を図9の線図に示す。この図10の線図に示すように凹
部を形成しない基体金属の表面にSC3 3 とWからな
る被膜を施した従来例の陰極基体は、Arガス導入後に
10分程度で放射電流が半分程度まで減少した。これに
対して本発明例の陰極基体は30分以上経過しても30
%程度の減少しか認められない。すなわち、従来例の陰
極基体はアルゴン(Ar)ガス停止後に30分程度で1
0%程度の回復しか認められないのに対して、本発明例
の陰極基体は停止後30分程度でほぼ元の水準まで回復
したことが判る。
【0069】なお、本発明は前述した実施の形態に限定
されず、種々変形して実施することができる。例えば第
1の実施の形態で形成した溝23の断面は、角が直角な
四角形に限定されず、例えば断面円形や断面三角形であ
っても良い。第2の実施の形態で形成した孔33の断面
は、円形に限定されず、例えば断面円形や断面三角形で
あっても良い。凹部の形状は種々変形して実施すること
ができる。
【0070】
【発明の効果】請求項1の発明の含浸型陰極基体によれ
ば、基体金属に凹部を形成してイオン衝撃を受けにくい
面である電子放射方向に沿う面を有することにより、低
電圧、低周波数であるデューティの低い動作条件では勿
論、高電圧、高周波数であるデューティが高い領域でも
低温動作効果が減少せず充分な耐イオン衝撃性が発揮で
きる。
【0071】請求項2の発明によれば、基体金属に形成
した凹部におけるイオン衝撃の影響を受けにくい電子放
射方向に沿う側面が増大して、より一層低温動作効果を
高めて耐イオン衝撃性を発揮できる。
【0072】請求項3および請求項4の発明によれば、
基体金属に形成した凹部におけるイオン衝撃の影響を受
けにくい電子放射方向に沿う側面が充分に大きく耐イオ
ン衝撃性を充分に発揮できるとともに、各凹部に挟まれ
た基体金属に部分に電子放射物質を充分含浸させること
ができて良好な電子放射特性を発揮できるとともに充分
な機械的強度を確保できる。
【0073】請求項5および6の発明によれば、基体金
属における各凹部を効果的な形態で実現できる。
【0074】請求項7および8の発明によれば、請求項
1ないし8の含浸型陰極基体における低温動作効果およ
び耐イオン衝撃性をさらに高めることができる。
【0075】請求項9および10の発明によれば、基体
金属に凹部を容易に形成できるととともに、基体金属に
凹部を形成することによる影響を受けることなく良好な
特性を有する陰極基体を製造することができる。
【0076】請求項11の発明によれば、低温動作効果
および耐イオン衝撃性に優れた陰極基体を備えた陰極構
体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における陰極構体を示す断面
図。
【図2】同実施の形態における陰極基体を示す断面図、
【図3】同実施の形態における陰極基体を拡大して示す
断面図。
【図4】同実施の形態における陰極基体の溝を示す斜視
図。
【図5】同実施の形態における陰極基体の溝を示す斜視
図。
【図6】陰極基体におけるデユーティと陰極電流密度と
の関係を示す線図。
【図7】第2の実施の形態における陰極基体を示す断面
図。
【図8】同実施の形態における陰極基体を拡大して示す
断面図。
【図9】同実施の形態における陰極基体を示す斜視図。
【図10】同実施の形態における陰極基体を真空排気装
置内部で動作させ、真空排気装置内部にガスを導入した
後に導入を停止した時の陰極放射電流密度の時間的変化
を示す線図。
【符号の説明】
1…陰極基体、 3…陰極スリーブ、 4…ヒータ、 13…グリッド、 21…基体金属、 22…電子放射物質、 23…溝(凹部)、 23a…側面、 23b…底面、 24…被膜、 31…基体金属、 32…電子放射物質、 33…孔(凹部)、 33a…周側面、 33b…底面、 34…被膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 貞雄 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 須藤 孝 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 原 昭人 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 小山 生代美 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 5C027 CC01 CC11 5C031 DD10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高融点金属の焼結体からなる基体金属
    と、この基体金属に含浸された電子放射物質とを備え、
    前記基体金属にはその表面から凹入する多数の凹部が並
    んで形成され、これら凹部は電子放射方向に沿う側面と
    電子放射方向に対して交差する方向に沿う底面とを有す
    るものであることを特徴とする含浸型陰極基体。
  2. 【請求項2】 前記凹部は、前記電子放射方向に沿う側
    面の面積が前記電子放射方向に対して交差する方向に沿
    う底面の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記
    載の含浸型陰極基体。
  3. 【請求項3】 前記基体金属の表面と前記凹部の底面と
    の間の高さが、前記基体金属を形成する高融点金属焼結
    体の粒体の平均粒径の3倍以上で、且つ前記基体金属の
    平均厚さの3分の1以下であることを特徴とする請求項
    1に記載の含浸型陰極基体。
  4. 【請求項4】 互いに隣接する前記凹部の中心間の間隔
    が、前記基体金属を形成する高融点金属焼結体の粒体の
    平均粒径の3倍以上で、且つ前記基体金属の平均厚さの
    3分の1以下であることを特徴とする請求項4に記載の
    含浸型陰極基体。
  5. 【請求項5】 前記凹部は並列して形成された複数条の
    溝、または交差して形成された複数条の溝であることを
    特徴とする請求項1に記載の含浸型陰極基体。
  6. 【請求項6】 前記凹部は孔であることを特徴とする請
    求項1に記載の含浸型陰極基体。
  7. 【請求項7】 前記凹部の内面を含む前記基体金属の表
    面が、イリジウムからなる薄膜、またはイリジウムを含
    む成分からなる薄膜で覆われていることを特徴とする請
    求項1ないし請求項6のいずれかに記載の含浸型陰極基
    体。
  8. 【請求項8】 前記凹部の内面を含む前記基体金属の表
    面が、スカンジウムからなる薄膜、またはスカンジウム
    を含む成分からなる薄膜で覆われていることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の含浸型陰
    極基体。
  9. 【請求項9】 基体金属の表面に機械加工により凹部を
    形成し、その後前記基体金属に電子放射物質を含浸する
    ことを特徴とする含浸型陰極基体の製造方法。
  10. 【請求項10】 基体金属の表面にエッチングにより凹
    部を形成し、その後前記基体金属に電子放射物質を含浸
    することを特徴とする含浸型陰極基体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項8のいずれかに
    記載の含浸型陰極基体と、この含浸型陰極基体を加熱す
    るヒータとを具備することを特徴とする陰極構体。
JP1445399A 1999-01-22 1999-01-22 含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体 Pending JP2000215785A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1445399A JP2000215785A (ja) 1999-01-22 1999-01-22 含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1445399A JP2000215785A (ja) 1999-01-22 1999-01-22 含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000215785A true JP2000215785A (ja) 2000-08-04

Family

ID=11861471

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1445399A Pending JP2000215785A (ja) 1999-01-22 1999-01-22 含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000215785A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002075165A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 New Japan Radio Co Ltd カソードおよびその製造方法
US7236327B2 (en) 2003-12-31 2007-06-26 Samsung Electronics Co., Ltd. Information storage medium and apparatus adopting the same
CN109065420A (zh) * 2018-08-09 2018-12-21 中国电子科技集团公司第十二研究所 一种具有三维结构表面的热阴极及其制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002075165A (ja) * 2000-08-31 2002-03-15 New Japan Radio Co Ltd カソードおよびその製造方法
JP4648527B2 (ja) * 2000-08-31 2011-03-09 新日本無線株式会社 カソードの製造方法
US7236327B2 (en) 2003-12-31 2007-06-26 Samsung Electronics Co., Ltd. Information storage medium and apparatus adopting the same
CN109065420A (zh) * 2018-08-09 2018-12-21 中国电子科技集团公司第十二研究所 一种具有三维结构表面的热阴极及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0913849B1 (en) Field emission electron source, method of producing the same, and use of the same
US6283812B1 (en) Process for fabricating article comprising aligned truncated carbon nanotubes
US6590321B1 (en) Field emission electron source
US5796211A (en) Microwave vacuum tube devices employing electron sources comprising activated ultrafine diamonds
US6465954B2 (en) Cathode structure with getter material and diamond film, and methods of manufacture thereof
JP2987140B2 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法および平面発光装置およびディスプレイ装置および固体真空デバイス
JP2000215785A (ja) 含浸型陰極基体、その製造方法および陰極構体
KR0181325B1 (ko) 전계 방출 냉음극의 에이징 방법
US2972078A (en) Carburization of dispenser cathodes
JP2610414B2 (ja) 表示装置
JP3965298B2 (ja) 発光構造体、発光方法及び照明体
KR940009306B1 (ko) 산화물 적층형 전자관용 음극
KR100407956B1 (ko) 음극선관용 음극 및 그 제조방법
JP3487230B2 (ja) 電界放射型電子源およびその製造方法およびディスプレイ装置
JP2002008519A (ja) 冷電子放出素子デバイス及びその製造方法
JPH08329832A (ja) 電子放出素子及びその製造方法
KR100210602B1 (ko) 천이금속함유 다이아먼드상 탄소 박막을 코팅한 실리콘 팁 필드 에미터 제조방법
JPH05274998A (ja) 電子放出素子
KR100244230B1 (ko) 음극선관용 음극구조체
JPH0668846A (ja) 電子管用陰極
KR960015311B1 (ko) 음극선관용 전자총의 산화물음극
JPH11191357A (ja) 含浸型陰極構体、含浸型陰極構体の製造方法、電子銃構体、及び電子管
JPH11260313A (ja) ショートアーク放電管用陰極
JP2000306498A (ja) 荷電粒子放出装置の製造方法、及び電界放出型ディスプレイ装置の製造方法
JPH0668845A (ja) 電子管用陰極