JP2002069899A - 複合硬化体および複合建築材料 - Google Patents

複合硬化体および複合建築材料

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JP2002069899A
JP2002069899A JP2001176255A JP2001176255A JP2002069899A JP 2002069899 A JP2002069899 A JP 2002069899A JP 2001176255 A JP2001176255 A JP 2001176255A JP 2001176255 A JP2001176255 A JP 2001176255A JP 2002069899 A JP2002069899 A JP 2002069899A
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composite cured
inorganic
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JP2001176255A
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Kichiya Matsuno
吉弥 松野
Tetsuji Ogawa
哲司 小川
Kenji Sato
健司 佐藤
Toshihiro Nomura
敏弘 野村
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性および生産性を損なうことなく、曲げ
強度を向上させた複合硬化体について提案する。 【解決手段】 製紙スラッジを硬化させて、少なくとも
Si、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体2中に、
Caを含む無機結晶を有し、かつ繊維状物3が混在して
なる複合硬化体1とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種産業用材料
として使用できる複合硬化体およびこれを用いた複合建
築材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保護の観点から、種々の
産業廃棄物の有効利用が検討されている。例えば、これ
まで森林資源を大量に消費してきた建築産業において
は、建築資材を新たに産業廃棄物に求めることにより、
森林資源の消費量を抑えるとともに、従来使用していた
無機ボード、例えば、珪酸カルシウム板、パーライト
板、スラグ石膏板、木片セメント板および石膏ボード等
について、その低コスト化並びに高機能化を実現するた
めの提案がなされている。
【0003】例えば、紙の製造後に発生するパルプかす
(スカム)を建築用パネルとして有効に利用すること
が、特開平7−41350号公報に開示されている。こ
の技術は、スカムを焼成して得られるシリカ、アルミナ
などの無機物をセメント、繊維および水と混合し、多孔
の鉄板に圧接するものである。また、特開平10−21
8643号公報には、廃棄物溶融スラグを含むセメント
混和材が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平7−
41350号公報の技術では、鉄板とセメントを使用す
るために加工性に乏しく、さらにセメントは養生が必要
となるから生産性が低下することが問題であった。
【0005】また、特開平10−218643号公報の
技術は、圧縮強度に優れるが曲げ強度が低いことが問題
であり、この技術を建築材料用の柱材や板材等に利用す
るには、曲げ強度を高くする必要がある。
【0006】さらに、いずれの技術でもセメントを使用
するため、釘などを打ちつけることができず、無理に打
ちつけるとクラックの発生をまねく不利がある。
【0007】そこで、この発明は、上記した諸問題を解
消し、産業廃棄物を使用するにあたり、加工性および生
産性を損なうことなく、曲げ強度を向上させた複合硬化
体とこの複合硬化体を用いた複合建築材料について提案
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の要旨構成は、
次のとおりである。 1.製紙スラッジを乾燥硬化させてなり、少なくともS
i、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体中に、Ca
を含む無機結晶を有し、かつ繊維状物が混在してなるこ
とを特徴とする複合硬化体。
【0009】2.製紙スラッジを乾燥硬化させてなり、
少なくともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質
体中に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在して
なる複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算
で複合硬化体の全重量に対して3重量%〜63重量%で
あることを特徴とする複合硬化体。
【0010】3.製紙スラッジを乾燥硬化させてなり、
少なくともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質
体中に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在して
なる複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算
で複合硬化体の全重量に対して6重量%〜63重量%で
あることを特徴とする複合硬化体。
【0011】4.製紙スラッジを乾燥硬化させてなり、
少なくともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質
体中に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在して
なる複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算
で複合硬化体の全重量に対して3重量%以上、6重量%
未満であることを特徴とする複合硬化体。
【0012】5.製紙スラッジを乾燥硬化させてなり、
少なくともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質
体中に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在して
なる複合硬化体であって、前記Ca、Alの量が、それ
ぞれCaO、Alに換算してCaO/Al
の重量比率が0.2を越える量であることを特徴とする
複合硬化体。
【0013】6.1ないし5のいずれかにおいて、無機
粉末を含むことを特徴とする複合硬化体。
【0014】7.1ないし6のいずれかにおいて、さら
に結合剤を含むことを特徴とする複合硬化体。
【0015】8.1ないし7のいずれかにおいて、さら
に吸水防止剤を含むことを特徴とする複合硬化体。
【0016】9.1ないし8のいずれかにおいて、さら
に表面に吸水防止剤層が形成されてなることを特徴とす
る複合硬化体。
【0017】10.芯材の少なくとも片面に補強層を形
成した複合建築材料であって、該芯材に、1ないし9の
いずれかに記載の複合硬化体を適用してなることを特徴
とする複合建築材料。
【0018】11.芯材の少なくとも片面に化粧層を形
成した複合建築材料であって、該芯材に、1ないし10
のいずれかに記載の複合硬化体を適用してなることを特
徴とする複合建築材料。
【0019】12.芯材の少なくとも片面に電磁波シー
ルド層を形成した複合建築材料であって、該芯材に、1
ないし11のいずれかに記載の複合硬化体を適用してな
ることを特徴とする複合建築材料。
【0020】13.芯材の少なくとも片面に紙を貼付し
た複合建築材料であって、該芯材に、1ないし12のい
ずれかに記載の複合硬化体を適用してなることを特徴と
する複合建築材料。
【0021】すなわち、本発明の複合硬化体は、製紙ス
ラッジを乾燥硬化させてなり、少なくともSi、Al、
Caの酸化物を含む無機非晶質体中に、Caを含む無機
結晶を有し、かつ繊維状物が混在してなることを特徴と
する。このような構成とすることで、Caを含む無機結
晶がクラックの進展を阻止したり、硬度および密度を高
くして圧縮強度を改善したりすることで、強度を向上さ
せることができる。
【0022】Caを含む無機結晶の含有量は、複合体硬
化体の全重量に対して3重量%以上で50重量%以下で
あることが望ましい。強度を高くすることができるから
である。
【0023】本発明では、製紙スラッジを乾燥硬化さ
せ、少なくともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非
晶質体中に、Ca系結晶および繊維状物が混在してなる
複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算で複
合硬化体の全重量に対して3重量%〜63重量%である
ことが望ましい。3重量%未満では、強度・破壊靱性値
を高くすることができず、一方63重量%をこえても強
度・破壊靱性値を高くすることができないからである。
【0024】また、前記Caの量が、CaO換算で複合
硬化体の全重量に対して3重量%〜63重量%では、音
の透過損失も厚さ2cmで計測して40dB以上(10
00Hz)と大きくなるということが本願発明者により
判明した。これは、Ca結晶やSi、Al、Caの非晶
質体と繊維とが振動で擦れあって音のエネルギーを熱に
変えることで、音のエネルギーを減衰させているものと
思われる。なお、Ca成分が多すぎると、音のエネルギ
ーを充分に減衰させることができなくなる。繊維との摩
擦が少なくなるためと思われる。
【0025】さらに、本発明では、前記Caの量が、C
aO換算で複合硬化体の全重量に対して6重量%〜63
重量%であると良い。複合体の強度を高くすることがで
きるからである。
【0026】一方、本発明では、前記Caの量が、Ca
O換算で複合硬化体の全重量に対して3重量%以上で6
重量%未満であっても良い。破壊靱性値を高くすること
ができるからである。破壊靱性値は、結晶と非晶質の領
域のバランスが影響すると思われる。無機非晶質体中に
結晶性の領域が分散することで破壊靱性値を高くできる
と考えられる。
【0027】本発明では、少なくともSi、Al、Ca
を含む無機非晶質体中に、繊維状物が混在してなる複合
硬化体であって、前記Ca、Alの量が、それぞれCa
O、Alに換算してCaO/Alの重量比
率が0.2を越える量であることが望ましい。0.2以
下では、Ca系結晶が形成されず、また破壊靱性、強度
とも十分ではないからである。CaO/Alの重
量比率は、0.2を越え、12.5以下が最適である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態に則して
説明する。この発明の複合硬化体の構造を、図1に模式
で示す。この複合硬化体1は、無機非晶質体2中にCa
を含む無機結晶が存在し、さらに無機非晶質体2中に繊
維状物3が混在するものであることを特徴とする。この
無機結晶体の存在により、圧縮強度、曲げ強度、耐クラ
ック性が向上する。この理由は明確ではないが、結晶体
がクラックの進展を阻害し、また、硬度、密度を向上さ
せてクラックそのものを発生しにくくするとともに、圧
縮の力に対する支柱の役割を奏するのではないかと推定
している。
【0029】このような結晶体としては、Gehlenite,sy
n 、Anorthite 、Melitite、Gehlenite-synthetic 、to
bermorite 、xonotlite 、ettringiteや、CaO、など
の酸化物、そしてCaCO(Calcite )などの結晶体
がある。
【0030】結晶体の含有量は、複合硬化体の全重量に
対して3〜50重量%であることが望ましい。この理由
は、結晶体が少なすぎると上記効果が得られず、逆に多
すぎると強度低下を招くからである。
【0031】ちなみに、Al−CaO系の結晶性
化合物がCalcium Aluminate 、CaO−SiO系の結
晶性化合物がCalcium Silicate、Al−SiO
−CaO系の結晶性化合物がGehlenite,syn 、Anorthit
e であり、またAl−SiO−CaO−MgO
系の結晶性化合物がMelitite、Gehlenite-syntheticで
ある。
【0032】さらに、結晶体として炭酸カルシウム(Ca
lcite )を添加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自
体は強度発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を
無機非晶質体が取り囲むことにより、クラックの進展を
阻止するなどの作用により強度向上に寄与すると考えら
れ、また、圧縮の力に対する支柱の役割を奏するのでは
ないかと推定している。この炭酸カルシウムの含有量
は、複合硬化体の全重量に対して48重量%以下が望ま
しい。この理由は、48重量%を越えると曲げ強度が低
下するからである。また、0.1重量%以上が望まし
い。0.1重量%未満では、強度向上に寄与しないから
である。
【0033】この発明で使用される無機非晶質体につい
ては、Si、Al、Caを少なくとも含むとともに他
に、Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、Fe、Zn
から選ばれる、合わせて3種以上の元素を含む各種酸化
物の無機非晶質体を使用することができる。
【0034】ここでいう3種以上の酸化物の系からなる
無機非晶質体とは、酸化物(1)−酸化物(2)・・・
−酸化物(n)系(但しnは自然数であり、酸化物
(1)、酸化物(2)、・・・酸化物(n)は、それぞ
れ異なる酸化物)の無機非晶質体である。この無機非晶
質体は、正確な定義づけが困難であるが、3種以上の酸
化物を固溶あるいは水和反応等させることにより生成す
る、非晶質の化合物であると考えられる。
【0035】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により酸化物を構成する元素(Al、Si、Ca
を少なくとも含むとともに他に、Na、Mg、P、S、
K、Ti、Mn、Fe、Znから選ばれる、合わせて3
種以上)が確認され、X線回折による分析のチャートで
は2θ:15°〜40°の範囲でハローが見られる。ハ
ローはX線の強度の緩やかな起伏であり、X線チャート
でブロードな盛り上がりとして観察される。ハローは半
値幅が2θ:2°以上である。
【0036】この複合硬化体1は、まず無機非晶質体2
および無機結晶体が相互に作用して強度発現物質とな
り、しかも繊維状物3が無機非晶質体2中に分散して破
壊靱性値を改善するため、曲げ強度値や耐衝撃性を向上
することができる。また、非晶質体の方が結晶質のもの
より気孔を有しやすく、比重調整しやすい。さらに、非
晶質体は強度に異方性がなく均質な硬化体が得られるだ
けでなく、非晶質体であるが故に、低密度で充分な強度
が得られるという利点もある。
【0037】また、結晶質中に比べて非晶質中の方が繊
維状物が均一に分散しやすいことから、破壊靱性値も向
上すると考えられる。
【0038】ここでの酸化物としては、金属および/ま
たは非金属の酸化物を使用でき、Al、Si
、CaOに加えて、NaO、MgO、P
SO、KO、TiO、MnO、Feおよび
ZnOから選ばれることが望ましい。とりわけ、Al
−SiO−CaO系またはAl−SiO
−CaO−酸化物系からなる無機非晶質体もしくはこれ
ら無機非晶質体の複合体が最適である。なお、後者の無
機非晶質体における酸化物はAl、SiOおよ
びCaOを除く金属および/または非金属の酸化物の1
種以上である。
【0039】まず、Al−SiO−CaO系か
らなる無機非晶質体は、Al SiOおよびC
aOの各成分の全部または一部が互いに固溶あるいは水
和反応などにより生成する非晶質構造を有する化合物で
ある。すなわち、AlとSiO、SiOとC
aO、AlとCaO、そしてAl、SiO
およびCaOの組合せで固溶あるいは水和反応等させ
ることにより生成する化合物のいずれかを含むと考えら
れる。このような無機非晶質の化合物は、蛍光X線分析
により、Al、Si、Caが確認され、X線回折による
分析のチャートでは2θ:15°〜40°の範囲でハロ
ーが見られる。ハローはX線の強度の緩やかな起伏であ
り、X線チャートでブロードな盛り上がりとして観察さ
れる。
【0040】また、Al、SiOおよびCaO
以外に少なくとも1種の酸化物を加えた系、つまりAl
−SiO−CaO−酸化物系からなる無機非晶
質体は、上記Al−SiO−CaO系での組合
せ以外に、Alと酸化物、SiOと酸化物、C
aOと酸化物、Al、SiOおよび酸化物、S
iO、CaOおよび酸化物、Al、CaOおよ
び酸化物、そしてAl 、SiO、CaOおよび
酸化物の組合せで固溶あるいは水和反応等させることに
より生成する化合物のいずれかを含むと考えられる。
【0041】なお、前記酸化物が2以上、つまり、Al
−SiO−CaO−酸化物(1)・・・−酸化
物(n)系(nは2以上の自然数)の無機非晶質体であ
れば、これらの酸化物、例えば酸化物(1)、酸化物
(2)・・・酸化物(n)(nは2以上の自然数で、酸
化物(n)は、nの値が異なればそれぞれ異なる酸化物
を意味し、かつAl、SiO、CaOを除いた
ものである)のそれぞれから選ばれる2種以上の組合せ
で固溶あるいは水和反応等させることにより生成する化
合物、Al、SiO、CaOから選ばれる2
種以上の組合せで固溶あるいは水和反応等させることに
より生成する化合物、さらに酸化物(1)、酸化物
(2)・・・酸化物(n)(nは2以上の自然数)のそ
れぞれから選ばれる少なくとも1種と、Al
SiO、CaOから選ばれる少なくとも1種との組合
せで固溶あるいは水和反応等させることにより生成する
化合物のいずれかを含むと考えられる。
【0042】このような無機非晶質の化合物は、蛍光X
線分析により、Al、Si、Caに加えて、酸化物を構
成する元素(Na、Mg、P、S、K、Ti、Mn、F
e、Znから選ばれる少なくとも1種)が確認され、X
線回折による分析のチャートでは2θ:15°〜40°
の範囲でハローが見られる。ハローはX線の強度の緩や
かな起伏であり、X線チャートでブロードな盛り上がり
として観察される。このような無機非晶質の化合物は、
少なくともAl、Si、Caを含む無機非晶質体といえ
る。
【0043】すなわちここで、Al、SiO
およびCaOと組み合わせる酸化物は、1種または2種
以上であり、Al、SiO、CaOを除く金
属および/または非金属の酸化物を使用でき、例えばN
O、MgO、SO、P 、KO、Ti
、MnO、FeおよびZnOから選ぶことが
できる。この選択は、複合硬化体に期待する特性を基準
に行うことができる。
【0044】例えば、NaOまたはKOは、アルカ
リなどで除去できるため、めっき処理に先立って除去処
理を行えば、複合硬化体表面の被めっき面が粗くなって
めっきのアンカーとして作用させることができる。Mg
Oは、Al、SiO、CaOと固溶して強度
発現に寄与し、曲げ強度や耐衝撃性を大きく改善する。
は、骨との癒着を助けるため生体材料(人工歯
根、人工骨)に使用する場合は特に有利である。SO
は、殺菌作用があり抗菌建築材料に適している。TiO
は、白系着色材であるとともに、光酸化触媒として作
用することから、付着した有機汚染物質を強制的に酸化
でき、光を照射しただけで洗浄できるという自浄力のあ
る建築材料、あるいは各種フィルター、反応触媒として
使用できるという特異な効果を有する。MnOは暗色系
の着色材、Feは明色系の着色材、ZnOは白系
の着色材として有用である。なお、これらの酸化物は、
無機非晶質体中にそれぞれ単独で存在していてもよい。
【0045】前記無機非晶質体の組成は、それぞれAl
、SiOおよびCaOに換算して、Al
:複合硬化体の全重量に対して3〜51重量%、望ま
しくは5〜51重量%、SiO:複合硬化体の全重量
に対して5〜53重量%、望ましくは、8〜53重量
%、そしてCaO:複合硬化体の全重量に対して3〜6
3重量%で、かつそれらの合計が100重量%をこえな
い範囲において、含有することが好ましい。
【0046】なぜなら、Alの含有量が3重量%
未満あるいは51重量%をこえると、複合硬化体の吸湿
時の寸法安定性が低下し、また、SiOの含有量が5
重量%未満あるいは53重量%をこえても、複合硬化体
の吸湿時の寸法安定性が低下する。そして、CaOの含
有量が3重量%未満あるいは63重量%をこえてもやは
り複合硬化体の強度が低下するからである。特に、Al
の含有量が5重量%未満あるいは51重量%をこ
えると、複合硬化体の強度が低下し、また、SiO
含有量が8重量%未満あるいは53重量%をこえても、
複合硬化体の強度が低下する。また、CaOの含有量が
3重量%未満あるいは63重量%をこえてもやはり複合
硬化体の強度が低下するのである。なお、CaOの含有
量が3〜6重量%の場合には、特に破壊靭性値の高いの
ものが得られる。
【0047】さらに、酸化物に重量換算してCaO/S
iO、CaO/Alの比率を0.2以上、望ま
しくは、0.2を越えるものとすることが望ましい。C
aの量が多いほど、結晶を形成しやすく、強度、靱性を
向上させやすいからである。また、CaO/SiO
重量比率を0.2〜7.9、望ましくは、0.2を越え
7.9以下とすることが、そしてCaO/Al
重量比率を0.2〜12.5、望ましくは0.2を越え
12.5以下に調整することが、靱性、強度の大きい硬
化体を得るのに有利である。
【0048】また、Al、SiOおよびCaO
以外の酸化物として、NaO、MgO、P、S
、KO、TiO、MnO、FeおよびZ
nOを含有する場合、各成分の好適含有量は次のとおり
である。但し、これら酸化物の合計量は、100重量%
を越えないことはいうまでもない。 NaO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜2.
4重量% MgO :複合硬化体の全重量に対して0.3〜2
2.0重量% P :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1
4.6重量% SO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜7.
0重量% KO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜2.
4重量% TiO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜1
7.4重量% MnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.
0重量% Fe:複合硬化体の全重量に対して0.2〜3
5.6重量% ZnO :複合硬化体の全重量に対して0.1〜3.
6重量% これら酸化物の含有量を上記範囲に限定した理由は、上
記範囲を逸脱すると複合硬化体の強度が低下するからで
ある。なお、本発明でいうSi、Al、Caの組成は、
複合硬化体中の組成であり、Ca系結晶および無機非晶
質体中の全量の組成となる。したがって、無機物質が添
加されている場合は、添加された無機物質を含めた組成
である。本発明では、組成の調整は、所望のCa成分量
の製紙スラッジを選択する方法、複数種類の製紙スラッ
ジを混合して組成調整する方法、炭酸カルシウムや珪砂
などを添加して組成調整する方法等が採用される。製紙
スラッジは、種々の組成のものがあるが、一般に、Ca
成分が少ない。これは、製紙スラッジを凝集沈殿させる
ためにpHを酸性にするため、沈殿する製紙スラッジ側
にCa成分が残留しないからである。それゆえ、所望の
組成のものが入手できない場合は、組成の異なる他の製
紙スラッジを適宜混合するか、炭酸カルシウム等の無機
成分を適宜添加する必要がある。
【0049】ここで、非晶質構造か否かは、X線回折に
より確認できる。すなわち、X線回折により2θ:15
°〜40°の領域でハローが観察されれば、非晶質構造
を有していることを確認できる。なお、この発明では、
完全に非晶質構造となっているもの以外に、非晶質構造
中に結晶体を有していてもよく、具体的にはHydrogenAl
uminium Silicate 、Kaolinite 、Zeolite 、Gehlenit
e,syn 、Anorthite 、Melitite、Gehlenite-synthetic
、tobermorite 、xonotlite 、ettringiteや、SiO
、Al、CaO、NaO、MgO、P
、SO、KO、TiO、MnO、Fe
およびZnOなどの酸化物、そしてCaCO(Calci
te )などの結晶体が混在していてもよい。これら結晶
体は、それ自体が強度発現物質になるとは考えられない
が、例えば、硬度および密度を高くして圧縮強度を改善
したり、クラックの進展を抑制するなどの効果があると
考えられる。結晶体の含有量は、複合硬化体の全重量に
対して0.1〜50重量%であることが望ましい。この
理由は、結晶体が少なすぎると上記効果が得られず、逆
に多すぎると強度低下を招くからである。そして結晶体
の含有量は、複合硬化体の全重量に対して3〜50重量
%であることがより望ましい。
【0050】ちなみに、上記Al−SiO系の
結晶性化合物がHydrogen AluminiumSilicate 、Kaolini
te 、Zeolite であり、また、先に述べたように、Al
−CaO系の結晶性化合物がCalcium Aluminate
、CaO−SiO系の結晶性化合物がCalcium Silic
ate、Al−SiO−CaO系の結晶性化合物
がGehlenite,syn 、Anorthite であり、Al−S
iO−CaO−MgO系の結晶性化合物がMelitite、
Gehlenite-synthetic である。
【0051】さらに、結晶体としてCaを含むものが望
ましく、Gehlenite,syn (CaAl)、Meliti
te-synthetic(Ca(Mg0.5Al0.5)(Si
1. Al0.5))、Gehlenite-synthetic (C
(Mg0.25Al0. 75)(Si1.25Al
0.75))、Anorthite,ordered (CaAl
Si)、炭酸カルシウム(Calcite )を、含有し
ていても良い。
【0052】この発明の複合硬化体は、比重が0.2〜
2.2であることが望ましい。比重が0.2未満では気
孔が多すぎて複合硬化体の強度が低下し、逆に比重が
2.2を越えると強度に占める無機非晶質体自体の影響
が大きくなりすぎて繊維状物の補強効果が相対的に低下
し、やはり強度が低下してしまう。即ち、比重が0.2
〜2.2の範囲で実用的な圧縮強度、曲げ強度が得られ
るのであり、この範囲は強度を得るための有利な範囲と
言える。また、比重は、強度と防音性能を良好にするに
は、1.1〜2.0であることが最適である。この範囲
で、強度と防音性能とを最も高くできるからである。な
お、比重は、4℃の水の密度を1とした場合の物質の密
度をいう。比重の測定は、硬化体の体積および重量を測
定し、(重量/体積)/0.999973で計算したも
のである。
【0053】また、比重は、釘打ち性を良好にするに
は、0.5〜1.8が好ましく、0.7〜1.4が最適
である。この範囲で特異的に釘打ちの際のクラックを抑
制できるからである。すなわち、比重が0.5未満で
は、気孔が多すぎて気孔がクラックを進展させてしま
い、逆に1.8を越えると無機非晶質体自体の影響が大
きくなりすぎて繊維状物の補強効果が相対的に低下し破
壊靱性値が下がってクラックが生じやすくなる。
【0054】また、この発明の複合硬化体では、前記少
なくとも3種以上の酸化物の系からなる無機非晶質体中
に、ハロゲンを添加してもよい。このハロゲンは、固溶
体、水和物の生成反応の触媒となり、また燃焼抑制物質
として作用する。その含有量は、複合硬化体の全重量に
対して0.1〜1.2重量%が望ましい。なぜなら、
0.1重量%未満では強度が低く、1.2重量%を越え
ると燃焼により有害物質を発生するからである。ハロゲ
ンとしては、塩素、臭素、フッ素が望ましい。
【0055】同様に、炭酸カルシウム(CaCO:Ca
lcite )を添加していてもよい。炭酸カルシウムそれ自
体は強度発現物質ではないが、炭酸カルシウムの周囲を
無機非晶質体が取り囲むことにより、クラックの進展を
阻止するなどの作用により強度向上に寄与すると考えら
れる。この炭酸カルシウムの含有量は、複合硬化体の全
重量に対して48重量%以下が望ましい。この理由は、
48重量%を越えると曲げ強度が低下するからである。
また、0.1重量%以上が望ましい。0.1重量%未満
では、強度向上に寄与しないからである。
【0056】さらに、結合剤を添加することも、強度の
さらなる向上や、耐水性、耐薬品性および耐火性の向上
に、有利である。この結合剤としては、熱硬化性樹脂お
よび無機結合剤のいずれか一方または両方からなること
が望ましい。熱硬化性樹脂としては,フェノール樹脂,
メラミン樹脂,エポキシ樹脂,ユリア樹脂から選ばれる
少なくとも1種の樹脂が望ましい。無機結合剤として
は,珪酸ソーダ,シリカゲル及びアルミナゾルの群から
選ばれる少なくとも1種が望ましい。なお、熱硬化性樹
脂、例えばフェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹
脂,ユリア樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なく
とも1種の熱硬化性樹脂は、表面に塗布してもよい。
【0057】次に、この発明において無機非晶質体中に
混在させる繊維状物は、有機質および無機質のいずれで
もよい。有機質繊維状物としては、ビニロン、ポリプロ
ピレンおよびポリエチレンなどの化学繊維、そして多糖
類からなる有機質繊維状物から選ばれる少なくとも1種
以上を使用できるが、多糖類からなる有機質繊維状物で
あることが望ましい。なぜなら、多糖類にはOH基が存
在し、水素結合によりAl、SiOまたはCa
Oの各種化合物と結合しやすいからである。
【0058】この多糖類は、アミノ糖、ウロン酸、デン
プン、グリコーゲン、イヌリン、リケニン、セルロー
ス、キチン、キトサン、ヘミセルロースおよびペクチン
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが
望ましい。これら多糖類からなる有機質繊維状物として
は、パルプ、パルプかす、新聞や雑誌などの古紙の粉砕
物が有利に適合する。なお、パルプは、セルロースの他
にリグニンを10〜30重量%程度含んでいる。
【0059】一方、無機質繊維状物としては、アルミナ
ウイスカー、SiCウイスカー、シリカアルミナ系のセ
ラミックファイバー、ガラスファイバー、カーボンファ
イバー、金属ファイバーから選ばれる少なくとも1種を
使用できる。
【0060】なお、上記繊維状物の含有率は、2〜75
重量%であることが望ましい。この理由は、2重量%未
満では複合硬化体の強度が低下し、一方75重量%を越
えると防火性能、耐水性、寸法安定性などが低下するお
それがあるからである。さらに、繊維状物の平均長さ
は、10〜3000μmが望ましい。平均長さが短すぎ
ると絡み合いが生じず、また長すぎるとが空隙が生じて
無機硬化体の強度が低下しやすいからである。
【0061】以上の複合硬化体は、産業廃棄物である製
紙スラッジ(スカム)を主原料としたものを乾燥させて
凝集硬化させることで得る。製紙スラッジは、無機物を
含むパルプかすであり、産業廃棄物を原料として使用す
るため低コストであり、環境問題の解決に寄与するから
である。しかも、この製紙スラッジは、それ自体がバイ
ンダーとしての機能を有しており、他の産業廃棄物と混
練することにより、所望の形状に成形できる利点を有す
る。
【0062】また、製紙スラッジ中には、パルプの他
に、Al、Si、Ca、Na、Mg、P、S、K、T
i、Mn、FeおよびZnの酸化物、水酸化物、炭酸塩
あるいはこれらの複合化合物、もしくはこれらの酸化物
の前駆体であるゾル状物、またはそれらの複合物、ハロ
ゲンおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1
種、そして水を含むのが、一般的である。とりわけ、上
質紙の古紙はカオリンや炭酸カルシウムなどのカルシウ
ム系結晶を多く含むことから、製紙スラッジは古紙を多
く含むものが適している。
【0063】なお、製紙スラッジ中の含水率は、20〜
80重量%であることが望ましい。なぜなら、含水率が
20重量%未満では、硬くなりすぎて成形が難しくな
り、一方80重量%をこえるとスラリー状になって成形
が難しくなるからである。
【0064】ここで、製紙スラッジに無機粉末を混入さ
せたものを原料とすることで、図2に示すように、複合
硬化体1中に無機粉末4を混在させると、防火性を向上
させたり、無機非晶質体と反応させて強度発現物質を形
成させて強度を向上させたりするのに有利であり、この
無機粉末量を調整することにより、複合硬化体の比重を
調整することもできる。
【0065】無機粉末としては、炭酸カルシウム、水酸
化カルシウム、シラス、シラスバルーン、パーライト、
水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸
カルシウム、産業廃棄物粉末から選ばれる少なくとも1
種を使用できる。特に、産業廃棄物粉末としては、製紙
スラッジの焼成粉末、ガラスの研磨屑、および珪砂の粉
砕屑から選ばれる少なくとも1種の産業廃棄物粉末を用
いることが望ましい。なぜなら、これら産業廃棄物粉末
を使用することにより、低コスト化を実現でき、さらに
環境問題の解決に寄与できるからである。
【0066】なお、製紙スラッジを焼成した無機粉末
は、製紙スラッジを300〜1500℃で加熱処理する
ことによって得られる。かくして得られる無機粉末は、
非晶質であり、強度、靱性に優れ、かつ密度も小さいた
め、複合硬化体に分散させることにより軽量化を実現で
きる。また、製紙スラッジを300℃以上800℃未満
で焼成した場合および、300〜1500℃で加熱処理
後、急冷することによって得られる無機粉末は、確実に
無機非晶質体を含むため有利である。無機粉末は、比表
面積が、1.6〜100m2 /gであることが望まし
い。0.8m2 /g未満では、無機非晶質体と無機粉末
の接触面積が小さくなり強度が低下してしまい、逆に1
00m2 /gを越えるとクラック進展や硬度の向上とい
った効果が低下して結果的に強度が低下する。
【0067】さらに、無機粉末中には、シリカ、アルミ
ナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化
カリウム、酸化ナトリウム、五酸化リンから選ばれる少
なくとも1種以上の無機物が含まれていることが望まし
い。これらは、化学的に安定で耐候性に優れ、建築材料
などの産業材料として望ましい特性をそなえる。
【0068】この無機粉末は、その平均粒子径が小さす
ぎても大きすぎても充分な強度が得られないため、1〜
100μmの範囲にあることが望ましい。無機粉末の含
有量は、10〜90重量%であることが望ましい。すな
わち、無機粉末が多すぎると強度が低下し、逆に無機粉
末の量が多すぎるともろくなり、いずれにしても強度が
低下するからである。
【0069】また、本発明では、吸水防止剤(はっ水剤
を含む)を添加してもよい。吸水防止剤の添加で、複合
硬化体の吸水性が抑制されるために、吸水による強度低
下を回避し得る。また、吸水量を抑制することにより、
吸水した水の凍結、溶解の繰り返しによるひび割れを防
止することができる。これらの効果を得るためには、吸
水防止剤(はっ水剤を含む)を0.1重量%以上で添加
することが好ましいが、10重量%を越える場合は、複
合硬化体の強度低下を招くため、0.1〜10重量%が
望ましく、0.2〜4重量%が最適である。ここで、吸
水防止剤とは、複合硬化体内に水の侵入を防止する役目
や効果を奏するものであり、具体的には、ロジン系、パ
ラフィン(パラフィンワックス)、反応性サイズ剤、ス
テアリン酸系(ステアリン酸カルシウム)、変性石油樹
脂系、マイクロワックス、シラン系、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル系、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、スチ
レン系、メタクリル酸系、デンプン系、ポリイミド系、
ポリエステル系、フェノール樹脂系、コハク酸系などを
使用できる。また、吸水防止剤は、複合硬化体中に均一
に分散するか、または複合硬化体の表層に限定して添加
すればよい。すなわち、原料の配合時に所定量を混合均
一に添加し、吸水防止剤を分散させ、成形する。あるい
は、複合硬化体表面にはけ、ロール、スプレー等で所定
量塗布し、乾燥、加熱硬化、養生等を行い、塗膜を形成
する。
【0070】この発明に従う複合硬化体は、各種産業に
おいて利用され、ケイ酸カルシウム板、パーライトボー
ド、合板、石膏ボードなどに代わる新たな建築材料を始
めとして、義肢、人工骨、人工歯根用の医療材料、プリ
ント配線板のコア基板、層間樹脂絶縁層などの電子材料
に使用することができる。また、この複合硬化体は、オ
フィス等のフリーアクセスフロアー、マンション等のフ
リーフロア、体育館の壁、防音ドア、音響用支持板、耐
力面材、外装材、防音壁、防音床、屋根下地、階段段
板、コンクリート型枠、家具面材、テーブル天板、キッ
チン扉、トイレブース、床下地、野縁、野縁受け、胴
縁、根太、床根太、制振材料、遮音材料などに使用でき
る。
【0071】そこで、この複合硬化体の一応用例とし
て、複合建築材料について以下に説明する。すなわち、
図3に示す、この発明の複合建築材料の一実施形態は、
芯材5の少なくとも片面、図示例では両面に補強層6が
形成された複合建築材料において、該芯材5に、この発
明の複合硬化体1を適用してなることを特徴とする。す
なわち、芯材5をこの発明の複合硬化体1とすることに
よって、この芯材に引っ張り力が加わった場合でも、芯
材自体が曲げ強度に優れているため、しかも芯材の表面
に補強層が設けられていることとも相まって、容易に破
壊が起きない構成となっている。また、表面に局所的に
圧力が加わっても凹みや窪みが生じることもない。さら
に、この発明の複合建築材料は、その使用に当たり多く
の場合、補強層6の上に塗装、化粧板および化粧単板な
どによる化粧層を設けることになるが、かかる場合で
も、耐衝撃性が向上しているので凹みなどのキズが生じ
にくくなり、化粧面がキズにより歪んで意匠性を低下さ
せることがない。
【0072】また、この実施形態における補強層6は、
樹脂6a中に繊維基材6bを埋設した構造になる。この
樹脂6aには、特に熱硬化性樹脂を用いることが望まし
い。すなわち、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂と異なり、
耐火性に優れ高温下でも軟化しないため、補強層として
の機能が失われないからである。熱硬化性樹脂として
は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミド樹脂、尿素樹脂などが適合する。そして、補強
層に充分な剛性と耐衝撃性、さらに高い耐火性を付与す
るには、補強層における熱硬化性樹脂の含有量を、10
重量%〜65重量%の範囲にすることが望ましい。
【0073】一方、繊維基材6bには、無機質繊維を用
いることが望ましい。なぜなら、補強層6の強度を向上
し、かつ熱膨張率を小さくすることができるからであ
る。無機質繊維には、ガラス繊維、ロックウールおよび
セラミックファイバーを用いることが、低価格でかつ耐
熱性並びに強度に優れる点で好ましい。この繊維基材
は、非連続の繊維をマット状に成形したもの、または連
続した長繊維を3〜7cmに切断してマット状にしたも
の(いわゆるチョップドストランドマット)、水で分散
させてシート状にすきあげたもの、連続した長繊維を渦
巻き状に積層しマット状にしたもの、あるいは連続した
長繊維を織りあげたものが、適用できる。
【0074】さらに、補強層の厚さは、0.2mm〜
3.5mmとすることが望ましい。この範囲に設定する
と、充分な剛性、耐衝撃性などが得られ、かつ高い加工
性を維持できるからである。なお、補強層には、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの難燃化剤、な
らびにシリカゾル、アルミナゾル、水ガラスなど一般に
使用される無機質の結合剤を添加してもよい。前記補強
層は、弾性高分子を含むことが望ましい。釘を打ちつけ
ても釘を起点としてクラックが発生せず、また、弾性高
分子が釘表面との摩擦力を確保して釘の保持力を向上さ
せることができるからである。
【0075】このような樹脂としては、熱硬化性樹脂お
よび弾性高分子からなる釘耐力付与のための樹脂組成物
が望ましい。即ち、未硬化の熱硬化性樹脂液中に弾性高
分子のエマルジョンが分散したものである。このような
樹脂が硬化することにより、熱硬化性樹脂マトリックス
の“海”の中に弾性高分子の“島”が分散した構成にな
り、樹脂の強度を確保し、また靱性を付与できるのであ
る。前記弾性高分子は、ゴム系ラテックス、アクリル系
ラテックス、アクリレート系ラテックス、ウレタン系ラ
テックスであることが望ましい。これらは未硬化の熱硬
化性樹脂液中に液状で分散させることができるからであ
る。熱硬化性樹脂、弾性高分子とも液状であるため、多
孔質基材や繊維質基材に含浸させやすい。
【0076】前記ゴム系ラテックスは、ニトリル−ブタ
ジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)がよい。前記熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、
メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などがよ
い。前記熱硬化性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比
は、95/5〜65/35であることが望ましい。この
理由は、熱硬化性樹脂量が多すぎると靱性が低下して、
クラックが発生しやすくなり、釘の保持力が低下し、逆
に弾性高分子が多すぎると樹脂強度が低下して、釘の保
持力が低下してしまう。このように、釘の保持力は、熱
硬化性樹脂と弾性高分子の固形分の重量比が、95/5
〜65/35が最適である。
【0077】この発明の複合建築材料においては、複合
硬化体を芯材とし、その少なくとも片面に化粧層を有し
ていてもよい。使用される化粧層は、メラミン樹脂塗
料、メラミン樹脂含浸紙、ポリエステル樹脂塗料、ジア
リルフタレート樹脂含浸紙、紫外線硬化樹脂塗料、塩化
ビニル樹脂フィルム、ウレタン樹脂塗料、ポリアクリル
ウレタン、ふっ化ビニル樹脂フィルム、化粧板から選ば
れる少なくとも1種の樹脂系化粧層、天然木単板(ロー
ズ、チーク、マツ、タモ、ナラ、スギ)、天然石、人造
石、カーペット、塩化ビニルタイル、布製カーペット、
化粧合板、畳などを使用することができる。
【0078】前記化粧板は、フェノール樹脂含浸コア
層、メラミン樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オ
ーバーレイ層からなる3層構造の化粧板やメラミン樹脂
含浸バッカー層、フェノール樹脂含浸コア層、メラニン
樹脂含浸パターン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層
からなる4層構造の化粧板を使用できる。特にコア層と
してフェノール樹脂含浸コア層を持つ化粧板の場合は、
表面強度が著しく高くなるため、床材などへの応用でき
る。この化粧層の厚みは、0.1〜10mmであること
が望ましい。
【0079】なお、この発明の複合建築材料において
は、芯材と化粧層との間に樹脂および繊維基材からなる
補強層が形成されてなることが望ましい。耐衝撃性をさ
らに向上させることができ、過酷な耐久性が要求される
床材への応用も可能だからである。この補強層を構成す
る樹脂は、熱硬化性樹脂が望ましい。熱硬化性樹脂は熱
可塑性樹脂と異なり、耐火性に優れ、高温化でも軟化し
ないため、補強層としての機能が失われないからであ
る。さらに、この発明の複合硬化体は、耐水性、強度を
向上させるために、少なくとも片面に耐水紙などの紙を
貼付して複合建築材料に供してもよい。
【0080】以下に、本発明の複合硬化体および本発明
の複合建築材料の製造方法について説明する。まず、本
発明の複合硬化体の製造方法は、次のとおりである。す
なわち、複合硬化体の原料には、製紙スラッジを使用す
る。製紙スラッジとしては、印刷・情報用紙、クラフト
紙、チタン紙、ティッシュペーパー、ちり紙、トイレッ
トペーパー、生理用品、タオル用紙、工業用雑種紙、家
庭用雑種紙を抄造した際に排出される製紙スラッジを使
用することが望ましい。市販の製紙スラッジとしては、
丸東窯材社が取扱う「サイクロン灰」「生スラッジ」な
どを使用できる。この製紙スラッジは、カルシウム化合
物量が多く、硬化によりCa系の結晶を得やすい。
【0081】この製紙スラッジを、所望の型枠に流し込
んだり、フィルターを配設した型枠に流し込んだ後、プ
レスして水分を除去したり、あるいは製紙スラッジのス
ラリーを抄造するなどの方法にて、成形を行う。そし
て、成形後、加熱温度20〜160℃で乾燥、硬化させ
ると、複合硬化体が得られる。この加熱温度が高すぎる
と、変形やクラックなどが発生し、一方低すぎると乾燥
に長時間を必要とし、生産性が低下してしまう。
【0082】抄造法では、網状体の回転ドラムを利用し
て抄造して複合硬化体を製造しており、網目から不純物
が脱落するため、不純物を低減させることができ、これ
により明度を高くすることが可能である。また、炭酸カ
ルシウムを含有してなる複合硬化体であって、その複合
硬化体中のCa、Al、Siの量が、それぞれCaO、
Al 、SiOに換算してCaO/SiO
重量比率が0.2から7.9、CaO/Alの重
量比率が0.2から12.5となる量に調整されている
ため、Ca成分が多くなり、明度が向上する。これによ
り、複合硬化体としての明度を、JIS Z 8721の規
定に基づく値でN4以上にすることができる。また強
度、釘打ち性能も高くなる。なお、JIS Z 8721
は、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を1
0とし、これらの黒の明度と白の明度との間でその明る
さの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0
からN10の記号で表示したものである。実際の明度の
測定は、N0からN10に対応する色票と対比する。こ
の場合の少数点1位は0または5とする。上記のように
この発明では、複合硬化体としての明度を、JIS Z 8
721の規定に基づく値でN4以上にできるため、複合
硬化体に着色や装飾を施すことが可能になる。
【0083】抄造法では、例えば図7のようなシステム
を使用する。このシステムは、製紙スラッジを調整して
スラリー14を生成する原料調整機構10と、スラリー
14から抄造体26を抄造する抄造機構20と、抄造体
26を反転するための反転装置40と、抄造体26を加
圧脱水するプレス機50と、プレスされた抄造体を乾燥
させて硬化させる乾燥機60からなる。原料調整機構1
0では水を添加したり、逆にポンプ17で水を減らした
りして濃度調製を行なう。濃度調製されたスラリー14
を抄造機20で抄造する。抄造用浴槽に複数のワイヤー
シリンダ22A、22B、22Cを浸漬して、抄造を行
ない、抄造された抄造体26を搬送ベルと23に転写す
る。転写された抄造体26は、吸引ボックス24で吸引
脱水されて、メーキングロール30にさらに転写され、
メーキングロール30でさらに多層化された後、メーキ
ングロール30から剥がされ、必要に応じてカッター3
6で切断される。切断された抄造体は、凹金型54の凹
部54A内にいれられ、凸金型52で押されて脱水さ
れ、最後に、ヒータ62とファン64とを備える乾燥機
60で乾燥される。
【0084】特に、複合硬化体を板状に成形するには、
製紙スラッジをコンベアで搬送しながら、ロールで押さ
えてシート状の成形体にし、このシート状成形体を加熱
温度80〜160℃で加熱しながら圧締し、板状の芯材
に成形する。その際の圧力は1〜400kgf/cm2
が適当である。圧力を適宜変えることにより、比重を調
整することができる。例えば、350kg/cm2 で概
ね比重が1.4となる。なお、圧締とは、圧力をかけた
まま保持することをいう。そして、圧締時に付与される
圧力によって、繊維状物は加圧方向と横切る向きに配向
される結果、芯材の曲げ強度を向上することができる。
また、加圧することにより水分が排除されて結晶化の進
行が抑制されるから、非晶質体の形成に有利である。
【0085】比重の調整方法としては、加圧時の圧力を
変える以外に、無機粉末を添加する方法、あるいは各種
発泡剤を添加して無機非晶質体に気泡を形成する方法な
どがある。さらに、製紙スラッジに無機粉末を添加して
混合した後、加熱硬化させることにより、複合硬化体中
に無機粉末を分散させることができる。
【0086】なお、製紙スラッジ以外に、原料として金
属アルコキシドや金属水酸化物を使用することも考えら
れる。例えばAl、Si、Caのアルコキシドや水酸化
物の混合物と古紙を粉砕した粉砕物を混合して、酸また
はアルカリの存在下で加水分解、重合反応させてゾルと
し、このゾルを乾燥硬化させてゲル化するのである。し
かしながら、Ca系結晶は、酸やアルカリで溶解しやす
いため、Ca系結晶を含有させる本発明では不適切であ
る。このようなゲルは、結果的にAl、Si
、CaO、NaO、MgO、P、SO
O、TiO、MnO、FeおよびZnOな
どの酸化物を固溶あるいは水和反応させて得られる化合
物と同一となると推定している。
【0087】ちなみに、製紙スラッジを使用した技術が
種々散見されるが、いずれもこの発明とは技術内容が異
なる。すなわち、特開昭49−86438号公報には、
パルプかす(セルロース成分)と石灰かすとを混合して
ホットプレスしたものが開示されているが、パルプかす
はセルロールを意味しており、この発明のように製紙ス
ラッジ中の無機成分を利用するものではなく、無機非晶
質中に繊維が分散したものでもない。このため石灰かす
の粒界で破断したり、クラックの進展を防止できなかっ
たりして、曲げ強度や圧縮強度に問題が残る。しかも、
石灰かすは、製紙パルプ液を燃焼させた結晶質体(酸化
カルシウム)であり、この発明の非晶質体とは明らかに
区別されるものである。
【0088】また、特開平7−47537号、同7−6
9701号、同6−293546号および同5−270
872号各公報にはセメントと無機補強繊維とを複合し
た技術が、特開平10−15923号公報にはパルプス
ラッジと結晶質である石膏を混合する技術が、特開昭4
9−2880号公報にはパルプ廃棄物中の繊維のみに着
目した技術が、そして特開昭53−81388号公報に
はパルプかす中の繊維(繊維20%、土砂0.01%)
と木屑を混ぜて成形したものが、それぞれ記載されてい
るが、いずれの技術も、この発明のような無機非晶質体
中に繊維状物質を分散させたものとは異なる。
【0089】さらに、特開昭51−30088号公報に
は、パルプ廃棄物の焼成灰と軽量無機材料を成形する技
術で記載されているが、焼成条件等が記載されておら
ず、非晶質の焼成灰を得ることできない。特開平8−2
46400号公報には、製紙スラッジではなく古紙パル
プそのものを使用する技術である。特開昭48−443
49号公報には、有機質と無機質を含むパルプ廃棄物と
高分子エマルジョンなどを混合した技術が示されている
が、無機質とは酸化珪素、酸化アルミニウムおよび酸化
鉄をいい、実質的に各1種類の金属酸化物を指してお
り、この発明のような2種以上の金属酸化物が複雑な非
晶質系を構成するものとは異なる。そして、特開昭49
−99524号公報には、セラミック化(多結晶体)し
た基材が示されているが、この発明のような非晶質系と
は異なる。
【0090】また、特開昭55−12853号には、古
新聞等の製紙スラッジをワイヤープレスして脱水し、ド
ライヤーで乾燥させ、最後にホットプレスしたものが開
示されている。また、特開昭52−90585号には、
製紙スラッジの硬化物の表面にパラフィンコートした硬
化体が開示されている。さらに、特開昭50−1016
04号には、製紙スラッジとガラス繊維などを混合した
硬化物がそれぞれ開示されている。また、特公昭57−
19019号には、Si−Ai系結晶を含む製紙スラッ
ジ硬化物を開示している。
【0091】しかしながら、当時の製紙スラッジは、1
976年発行の静岡県製紙工業試験場報告P76〜88
「製紙スラッジの有効利用の現状と資源化の研究動向」
によれば、Ca系成分が2.6重量%と殆ど含まれてお
らず、硬化させたとしても、破壊靱性値、強度とも不十
分である。当時は、OA機器が発達しておらず、インク
の添着性など考慮する必要がないため、カルシウム系化
合物の添加がなされていなかったと考えられる。ところ
が、現在においては、カオリンや炭酸カルシウムなどの
カルシウム系化合物を添加してインクの添着性を向上さ
せており、原料中のCaO換算量が増加することによ
り、従来にはなかった特性(強度、破壊靱性)が得られ
ると考えられている。また、特開平11−315593
号では、ゾル−ゲル法にてSiO−Al−Ca
O系の無機非晶質体中に紙繊維を混ぜて硬化したものを
開示するが、これでは、酸やアルカリを使用するため、
Ca系結晶が溶解してしまう。
【0092】本発明の複合建築材料は、以下のように製
造する。まず、製紙スラッジをコンベアで搬送しなが
ら、ロールで押さえてシート状成形体とする。一方、繊
維基材に樹脂を含浸させ、25〜70℃で加熱処理し
て、乾燥させて補強シートとする。次いで、シート状成
形体と補強シートを積層し、加熱しながら圧締し、芯材
(複合硬化体)と補強層からなる複合建築材料に成形す
る。ここでの加熱温度は、80〜200℃、圧力は1〜
400kgf/cm2程度が適切である。この圧締によ
って繊維状物が配向されて曲げ強度を高くすることがで
き、また圧力をかけることにより水分を除去できるか
ら、水を取り込んで結晶化が進行しすぎることを防止で
きる。
【0093】なお、上記製法に代えて、無機質繊維のマ
ットに樹脂組成物を含浸、乾燥した後、加熱プレスし、
熱硬化性樹脂を硬化せしめて成形して補強層とし、この
補強層を接着剤にて予め硬化しておいた芯材に貼付する
方法でもよい。
【0094】また、ガラス繊維、ロックウール、セラミ
ックファイバーの繊維表面にフェノール樹脂などの熱硬
化性樹脂を別構成でコーティングしておき、これらの繊
維からなる繊維基材をシート状成形体上に積層して加熱
プレスする方法も採用することができる。この繊維表面
に熱硬化性樹脂を別工程でコーティングしておく方法で
は、含浸した樹脂との密着性が向上し、また繊維同士を
接着しやすく、さらに樹脂の含浸率を改善できるため有
利である。このようなコーティングの方法としては、前
記繊維基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸し乾燥せしめ
る方法、あるいはガラス繊維、ロックウール、セラミッ
クファイバーの原料溶融物をノズルから流出させて、ブ
ローイング法あるいは遠心法により繊維化し、この繊維
化と同時にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂の溶液を
吹きつける方法がある。
【0095】なお、繊維基材の構成材料として、ガラス
繊維、ロックウール、セラミックファイバーを使用する
場合は、シランカップリング剤をコーティングしておく
とよい。このようにして得られた複合建築材料の表面、
裏面に塗装を施したり、化粧板、化粧単板を接着剤等で
貼りつけることができる。塗装は、各種顔料、インクな
どを印刷、吹きつけすることにより行う。また、化粧板
は、フェノール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パタ
ーン層、メラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる3層
構造の化粧板や、メラミン樹脂含浸バッカー層、フェノ
ール樹脂含浸コア層、メラミン樹脂含浸パターン層、メ
ラミン樹脂含浸オーバーレイ層からなる4層構造の化粧
板を使用できる。特に、コア層としてフェノール樹脂含
浸コア層を持つ化粧板の場合は、表面強度が著しく高く
なるため、床材などへの応用が可能である。また、化粧
単板としては、スギ、ヒノキ等の高級木材を使用でき
る。
【0096】なお、補強層を形成する代わりに熱硬化性
樹脂、例えばフェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ
樹脂,ユリア樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱硬化
性樹脂を複合硬化体の表面に塗布しておいてもよい。
【0097】本発明の複合硬化体は、表面または内部に
電磁波シールド層を形成しておいてもよい。この電磁波
シールド層は、金属箔が有利である。金属箔は電磁波を
効率良く、吸収するだけでなく高強度かつ軽量で加工性
にも優れているからである。この金属箔は、アルミニウ
ム箔、銅箔、亜鉛箔、ステンレススチール箔、金箔、銀
箔から選ばれる少なくとも1種以上である。金属箔の厚
さは、10〜500μmである。
【0098】また、上記電磁波シールド層は、導電性シ
ールド層でも良く、この導電性シールド層は、導電性フ
ィラーと樹脂からなる複合シートであってもよい。この
ようなシートは、音や振動も吸収するため有利である。
このシートに含ませる導電性フィラーは、例えば、鉄、
銅、アルミニウム、ステンレススチール、黄銅、亜鉛、
カーボンなどから選ばれる少なくとも1種以上の粉体で
ある。一方樹脂にはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、ユユリア樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂から選ばれる1種以上
がよい。複合シートの厚さは、0.5〜5.0mmがよ
い。さらに導電性シールド層としては、導電性塗料を塗
布したものでもよい。導電性シールド層は、複合硬化体
の表面および裏面の少なくとも一方に設けてもよく、内
部に埋設してもよい。なお、表面には化粧層を形成する
ので、裏面に形成することが最適である。
【0099】
【実施例】
(実施例1) CaOが3〜6重量% 未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社が取り扱う牧製紙株
式会社のOA機器用低質紙の製紙スラッジ「生スラッ
ジ」固形分51重量%、水分49重量%)1500gを
用意した。次いで、製紙スラッジをコンベアで搬送しな
がら、120kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚さ
10mmのシート状成形体とした。このシート状成形体
を100℃で加熱して板状の複合硬化体とした。かくし
て得られた複合硬化体を蛍光X線分析装置(Rigaku製
RIX2100 )を用いて分析したところ、酸化物に換算して
下記の組成であることが判った。なお、パルプについて
は、1100℃で焼成して重量減少量から測定した。 記 パルプ: 54.2重量%, MgO: 1.6重量% SiO: 15.6重量%, SO: 0.5重量% Al:21.3重量%, P: 0.3重量% CaO: 5.0重量%, Cl: 0.1重量% TiO: 1.2重量%, ZnO: 0.2重量% その他 微量
【0100】また、得られた複合硬化体は長方形の板で
あるため、各辺の長さを測定すれば体積が測定され、さ
らに重量を測定すれば、比重を計算できる。比重は、
1.2であった。
【0101】さらに、複合硬化体の側面を光学顕微鏡
(50倍)で観察したところ、加圧方向に直交する向き
に繊維が配向していた。また、明度が4.5であった。
【0102】(実施例2) CaOが6〜63重量% 未焼成の製紙スラッジ(丸東窯材社が取り扱う牧製紙株
式会社のOA機器用上質紙の製紙スラッジ「生スラッ
ジ」固形分51重量%、水分49重量%)1500gを
用意した。次いで、この製紙スラッジをコンベアで搬送
しながら、145kgf/cm2 の圧力を加えながら、
厚さ10mmのシート状成形体とした。このシート状成
形体を100℃で加熱して板状の複合硬化体とした。か
くして得られた複合硬化体を蛍光X線分析装置(Rigaku
製 RIX2100 )を用いて分析したところ、酸化物に換算
して下記の組成であることが判った。なお、パルプにつ
いては、1100℃で焼成して重量減少量から測定し
た。 パルプ: 53.7重量%, MgO: 1.3重量% SiO: 15.7重量%, SO: 0.2重量% Al: 9.7重量%, P: 0.8重量% CaO: 16.3重量%, Cl: 0.3重量% TiO: 1.2重量%, ZnO: 0.6重量% Fe:0.2重量% その他: 微量 実施例1と同様に測定した比重は、1.3であった。ま
た、明度が4.5であった。
【0103】(実施例3)製紙スラッジの焼成物(丸東
窯材社が取り扱う「サイクロン灰」)103重量部と、
実施例1の未焼成の製紙スラッジ1210重量部とを混
練した。なお、焼成スラッジの組成は、蛍光X線分析装
置(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析を行い、各酸化
物に換算して次のとおりであった。 (製紙スラッジの焼成物) SiO: 34.1重量% MgO: 6.0 重量% Al: 20.7重量% P: 2.7 重量% Fe: 12.4重量% TiO: 1.0 重量% CaO: 21.3重量% SO: 0.5 重量% Cl: 0.2 重量% ZnO: 0.1 重量% その他: 微量 平均粒子径 11.0μm 真比重 2.756 比表面積 19.0m2 /g 実施例1と同様に測定した比重は、0.8であった。次
いで、混練物をコンベアで搬送しながら、5kgf/c
2 の圧力を加えながら、厚さ10mmのシート状成形
体とした。このシート状成形体を110℃で加熱して板
状の複合硬化体とした。
【0104】(実施例4) 吸水防止剤 実施例1および2の製紙スラッジ1200重量部とパラ
フィン系ワックス(固形分50%、水分50%)を20
1重量部添加した。次いで、混練物をコンベアで搬送し
ながら、5kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚さ1
0mmのシート状成形体とした。このシート状成形体を
110℃で加熱して板状の複合硬化体とした。
【0105】(実施例5) 吸水防止剤を表面塗布 実施例1および2の複合硬化体の表面および裏面にフェ
ノール樹脂(旭有機材工業株式会社製 HP−3000
A)を100g/m2 塗布し、80℃の温度にて20分
間乾燥硬化させた。
【0106】(実施例6) 補強層 シート状ガラス繊維に硬化剤を添加したフェノール樹脂
溶液を含浸(含浸量固形分換算45%)した後、80℃
の温度にて20分間乾燥させて、補強シートを得た。さ
らに、フェノール樹脂を芯材の表面と裏面に塗布して8
0℃の温度にて20分間乾燥させた。次いで、実施例1
および2と同様にシート状成形体を成形した。そして、
補強シートをそのシート状成形体の表面および裏面に載
置し、110℃の温度にて圧力7kgf/cm2 で20
分間プレスし、表裏両面で厚さ1mmの補強層および厚
さ10mmの芯材からなる複合建築材料を製造した。さ
らに、この複合建築材料の表面に厚さ0.2mmの杉板
の化粧単板を酢酸ビニル接着剤を介して貼付した。実施
例1および2と同様に測定した芯材の比重は、1.2で
あった。
【0107】(実施例7) 結合剤 実施例1および2の未焼成の製紙スラッジ2500重量
部、フェノール樹脂100重量部および水500重量部
を混練し混練物を得た。得られた混練物を脱水プレス法
にて、120kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚さ
10mmのシート状成形体とした。このシート状成形体
を110℃加熱して板状の複合硬化体とした。実施例1
と同様に測定した比重は、1.3であった。この複合硬
化体の両面に厚さ18μmの銅箔を酢酸ビニル接着剤を
介して貼付し、電磁波シールド層とした。
【0108】(実施例8) 耐水紙 実施例1および2の未焼成の製紙スラッジ1700重量
部、フェノール樹脂200重量部、製紙スラッジの焼成
物(丸東窯材社が取り扱う「サイクロン灰」)600重
量部および水7500重量部を混練し混練物を得た。こ
の混練物を脱水プレス法にて、65kgf/cm2 の圧
力で加圧しながら、厚さ10mmのシート状成形とし
た。このシート状成形体を110℃加熱して板状の複合
硬化体とした。実施例1および2と同様に測定した比重
は、1.3であった。この複合硬化体の両面にフェノー
ル樹脂を塗布し、この両面に耐水紙を貼付して、100
°℃で1時間加熱硬化させた。
【0109】(実施例9) 導電性シールド 基本的には、実施例1および2と同様であるが、製紙ス
ラッジに水を加えて固形分6重量%に調整したスラリー
8000kgを、円網抄造機にて抄造した後、170k
gf/cm2 (16.7MPa)の圧力を加えながら、
厚さ10mmのシート状成形体とし、このシート状成形
体を100℃で加熱乾燥して、複合硬化体とした。さら
に、この複合硬化体の一方の面にアルミニウム箔(厚さ
100μm)を酢酸ビニル接着剤にて張りつけた。
【0110】(実施例10) 化粧層 木目模様を印刷したチタン紙(灰分8重量%)にメラミ
ン樹脂を含浸させた含浸紙を実施例1および2の複合体
表面に積層し、150℃、40kg/cm2 の圧力で表
面に化粧層を形成した。
【0111】(比較例1) Ca成分が殆どない 主に、クラフトパルプ系の製紙スラッジを1500gを
用意した。次いで、この製紙スラッジをコンベアで搬送
しながら、80kgf/cm2 の圧力を加えながら、厚
さ10mmのシート状成形体とした。このシート状成形
体を100℃で加熱して板状の複合硬化体とした。かく
して得られた複合硬化体を蛍光X線分析装置(Rigaku製
RIX2100 )を用いて分析したところ、酸化物に換算し
て下記の組成であることが判った。なお、パルプについ
ては、1100℃で焼成して重量減少量から測定した。 パルプ: 76.0重量%, MgO: 0.1重量% SiO: 6.0重量%, Fe:0.5重量% Al: 13 重量%, その他: 1.0微量 CaO: 2.6 重量%, TiO: 0.8 重量%, また、X線回折により結晶構造の有無を確認したとこ
ろ、Ca系結晶は全く確認されなかった。
【0112】(比較例2) Ca過剰 実施例1の製紙スラッジに、カルシウムエトキシドの1
0%エチルアルコール溶液を添加し攪拌し、Ca過剰の
製紙スラッジを調整した。この製紙スラッジを1500
gを用意した。次いで、この製紙スラッジをコンベアで
搬送しながら、90kgf/cm2 の圧力を加えなが
ら、厚さ10mmのシート状成形体とした。このシート
状成形体を100℃で加熱して板状の複合硬化体とし
た。かくして得られた複合硬化体を蛍光X線分析装置
(Rigaku製 RIX2100 )を用いて分析したところ、酸化
物に換算して下記の組成であることが判った。なお、パ
ルプについては、1100℃で焼成して重量減少量から測定
した。 パルプ: 23.2重量%, MgO: 0.2重量% SiO: 2.6重量%, Fe:0.2重量% Al: 5.0重量%, その他: 微量 CaO: 68.3重量%, TiO: 0.5重量%,
【0113】(比較例3) ゾルゲル法 Ca系結晶なし エチルアルコールと古紙とを混ぜたものをボールミルで
1時間粉砕する。次いで、テトラエトキシシリケート4
0重量部、トリプロポキシアルミネート30重量部、カ
ルシウムジメトキシド30重量部、エチルアルコール6
6重量部、水18重量部、0.1N塩酸1重量部を加え
てゾル溶液を得た。そして粉砕物とゾル溶液とを混合し
て、型枠に流し込み、100℃で24時間乾燥させ、さ
らにフェノール樹脂を含浸させて60℃で硬化させた。
この硬化物をX線粉末回折で調べたところ、Ca系結晶
は存在しなかった。古紙中の炭酸カルシウムは塩酸で溶
解したものと思われる。
【0114】以上の実施例および比較例で得られた複合
硬化体および複合建築材料について曲げ強度、圧縮強
度、加工性、釘打ち性、破壊靭性および音の透過損失の
試験を行った。その結果を表1に示す。なお、試験方法
は、曲げ強度がJIS A6901に、また圧縮強度が
JIS A 5416に規定された方法に、それぞれ準
じて測定した。また、加工性は、木工用丸鋸にて切断加
工を行って判断した。さらに、釘打ち性については、直
径4mm、長さ50mmの釘を打ちつけ、クラックの有
無を調べた。破壊靱性値については、ビッカース硬度計
(明石製作所 MVK−D)により圧子を圧入し、生じ
たクラックの長さから計算した。ヤング率は、曲げ破壊
試験でのカーブから計算したところ、1.4〜2.7×
104 kgf/cm2 であり、これらの値を用いて破壊
靱性値を計算した。比較例1,2,3に比べて、実施例
の曲げ強度、圧縮強度および釘うち性能は何れも優れて
いる。CaO成分が多過ぎても少な過ぎても、特性は低
下してしまう。また、Ca系結晶が存在しない場合は、
強度、破壊靭性値とも大きく低下してしまう。
【0115】
【表1】 (実施例3〜10については上段が実施例1に、下段が
実施例2に対応)
【0116】(実施例11)未焼成の製紙スラッジ(丸
東窯材社の取扱う美濃製紙株式会社の製紙スラッジ:固
形分34重量%、水分66重量%)3020重量部を用
意した。次に、2N塩酸水溶液を用いて、酸洗浄し、C
a成分をほぼ完全に除去し、これを原料Aとした。 パルプ: 51.2重量% MgO: 1.6重量% SiO: 18.6重量% SO: 3.5重量% Al: 22.3重量% P: 0.3重量% CaO: 0.0重量% Cl: 0.1重量% SO: 1.2重量% ZnO:0.1重量% その他: 微量
【0117】また、丸東窯材社が取り扱う牧製紙株式会
社のインクジェットプリンタ用紙の製紙スラッジ:固形
分51重量%、水分49重量%を、原料Bとした。 パルプ: 21.8重量% SiO: 4.6重量% Al: 7.5重量% P: 0.1重量% CaO: 65.0重量% NaO: 0.2重量% SO: 0.2重量% その他: 微量 炭酸カルシウムの量は、55重量%であった。
【0118】また、丸東窯材社が取り扱う牧製紙株式会
社のインクジェットプリンタ用紙の製紙スラッジ:固形
分51重量%、水分49重量%にさらに炭酸カルシウム
(立方形状)を10重量%添加して、原料Cとした。 パルプ: 16.4重量% SiO: 2.6重量% Al: 5.5重量% P: 0.1重量% CaO: 75.0重量% NaO: 0.1重量% SO: 0.2重量% その他: 微量 炭酸カルシウムの量は、65重量%であった。
【0119】以上A,B,Cを適宜混合して試料を調整
して、図7の装置で抄造した。ワイヤーシリンダは、♯
60、直径70cm、幅1m、回転数60回転/分、ベ
ルト搬送速度48m/分、メーキングドラムは直径64
cmである。また、試料の固形分濃度は5%である。こ
れらからそれぞれ複合硬化体を製造し、曲げ強度、圧縮
強度、釘打ち性、明度、破壊靭性を測定した。その結果
をグラフ(図8〜11)に示す。
【0120】破壊靭性は、CaO換算で3から6重量%
でピーク的に大きくなった。また、釘の引抜き強度とし
ては、20kg/cmが基準となるが、そのときのCa
成分量はCaO換算で4重量%から63重量%の範囲と
なった。また、同様の傾向は曲げ強度や圧縮強度にも現
れている。さらにCaO/SiOの比率を0.2以上
で7.9以下、CaO/Al の比率を0.2以上
で12.5以下に調整することで、圧縮強度および、明
度N4.0以上を同時に達成でき、装飾し易い複合硬化
体を得ることができた。
【0121】また、実施例1および実施例2の複合硬化
体について、X線回折により結晶構造を確認した。その
X線回折のチャートを、図4および図5に、それぞれ示
す。なお、X線回折は、Rigaku製 MiniFlex を使用し、
Cuをターゲットとした。2θ=15°〜30°の領域
にゆるやかな起伏(ハロー)が観察されるとともに、結
晶構造を示すピークも観察され、非晶質構造中に結晶構
造が混在していることが判る。また、ピークからは、炭
酸カルシウムの結晶(Calsite)、Kaolinite、SiO
の結晶体が同定された。炭酸カルシウムの含有量は、換
算値で複合硬化体に対して実施例1で3.5重量%、実
施例2で11.2重量%であった。これに対して比較例
1の複合硬化体のX線回折チャート(図6)について
は、若干のSi、Al系結晶のピークとハローのみが観
察された。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の複合硬
化体は、加工性および生産性に優れ、かつ高い曲げ強
度、圧縮強度を有し、また、産業廃棄物を使用するた
め、安価な材料となるため、様々な分野での有利な適用
が可能であり、とりわけ、釘の打ち込みが可能であると
ころから、建築材料に最適な素材を低コストで提供でき
る。また、破壊靱性値も高く種々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図2】 この発明の複合硬化体の断面模式図である。
【図3】 この発明の複合建築材料の断面模式図であ
る。
【図4】 実施例1のX線回折のチャートである。
【図5】 実施例2のX線回折のチャートである。
【図6】 比較例1のX線回折のチャートである。
【図7】 抄造システムの模式図
【図8】 圧縮強度とCaO/SiO の重量比率と
の関係を表すグラフである。
【図9】 圧縮強度とCaO/Alの重量比率と
の関係を表すグラフである。
【図10】 曲げ強度、圧縮強度とCaOの組成との関
係を表すグラフである。
【図11】 破壊靭性、釘引き抜き強度とCaOの組成
との関係を表すグラフである。
【符号の説明】
1 複合硬化体 2 無機非晶質体 3 繊維状物 4 無機粉末 5 芯材 6 補強層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 21/16 D21H 21/16 27/30 27/30 Z E04C 2/16 E04C 2/16 F 2/24 2/24 R (72)発明者 佐藤 健司 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 (72)発明者 野村 敏弘 岐阜県揖斐郡揖斐川町北方1の1 イビデ ン株式会社大垣北工場内 Fターム(参考) 2E162 CB21 CC02 CC06 CC08 CD05 CD11 FA05 FA09 FD04 4F100 AA18B AA19B AA20B AB10E AB33E AG00A AJ11B AK33C AP01D AR00C AR00E AS00A AS00D BA05 BA07 BA10A BA10E DG02B DG20B DH02A GB07 JA20B JD05C JG10E JK04 JL01 JL02 JL16 YY00B 4L055 AF50 AG16 AG17 AG18 AG51 AG79 AH01 AH23 AJ01 AJ02 BE08 BE14 BF02 BF05 EA32 FA20 FA30 GA24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製紙スラッジを硬化させてなり、少なく
    ともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体中
    に、Caを含む無機結晶を有し、かつ繊維状物が混在し
    てなることを特徴とする複合硬化体。
  2. 【請求項2】 製紙スラッジを硬化させてなり、少なく
    ともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体中
    に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在してなる
    複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算で複
    合硬化体の全重量に対して3重量%〜63重量%である
    ことを特徴とする複合硬化体。
  3. 【請求項3】 製紙スラッジを硬化させてなり、少なく
    ともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体中
    に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在してなる
    複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算で複
    合硬化体の全重量に対して6重量%〜63重量%である
    ことを特徴とする複合硬化体。
  4. 【請求項4】 製紙スラッジを硬化させてなり、少なく
    ともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体中
    に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在してなる
    複合硬化体であって、前記Caの量が、CaO換算で複
    合硬化体の全重量に対して3重量%以上、6重量%未満
    であることを特徴とする複合硬化体。
  5. 【請求項5】 製紙スラッジを硬化させてなり、少なく
    ともSi、Al、Caの酸化物を含む無機非晶質体中
    に、Caを含む無機結晶および繊維状物が混在してなる
    複合硬化体であって、前記Ca、Alの量が、それぞれ
    CaO、Alに換算してCaO/Alの重
    量比率が0.2を越える量であることを特徴とする複合
    硬化体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    無機粉末を含むことを特徴とする複合硬化体。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    さらに結合剤を含むことを特徴とする複合硬化体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    さらに吸水防止剤を含むことを特徴とする複合硬化体。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    さらに表面に吸水防止剤層が形成されてなることを特徴
    とする複合硬化体。
  10. 【請求項10】 芯材の少なくとも片面に補強層を形成
    した複合建築材料であって、該芯材に、請求項1ないし
    9のいずれかに記載の複合硬化体を適用してなることを
    特徴とする複合建築材料。
  11. 【請求項11】 芯材の少なくとも片面に化粧層を形成
    した複合建築材料であって、該芯材に、請求項1ないし
    9のいずれかに記載の複合硬化体または請求項10記載
    の複合建築材料を適用してなることを特徴とする複合建
    築材料。
  12. 【請求項12】 芯材の少なくとも片面に電磁波シール
    ド層を形成した複合建築材料であって、該芯材に、請求
    項1ないし9のいずれかに記載の複合硬化体または請求
    項10もしくは11記載の複合建築材料を適用してなる
    ことを特徴とする複合建築材料。
  13. 【請求項13】 芯材の少なくとも片面に紙を貼付した
    複合建築材料であって、該芯材に、請求項1ないし9の
    いずれかに記載の複合硬化体または請求項10ないし1
    2のいずれかに記載の複合建築材料を適用してなること
    を特徴とする複合建築材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2952650A4 (en) * 2013-02-01 2016-10-05 Torrecid Sa BUILDING ELEMENT FOR DOUBLE FLOORS AND SIMILAR AND MANUFACTURING METHOD

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